説明

粉末化粧料

【課題】 トラネキサム酸を安定に配合でき、ざらつきやべたつきを生じない粉末化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】 (A)トラネキサム酸と、(B)35質量%以上の高吸油性体質顔料と、(C)2質量%以上の高吸油性球状粉末とを含有する粉末化粧料を提供する。前記(B)高吸油性体質顔料は80g/100g以上の吸油量を持つものが好ましく、前記(C)高吸油性球状粉末は100g/100g以上の吸油量を持つものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラネキサム酸等の水溶性薬剤を配合した粉末化粧料に関する。より詳細には、トラネキサム酸等の水溶性美白剤を安定に配合でき、なおかつ、ざらつきやべたつきを感じないといった使用性に優れた粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、その目的に応じて様々な薬剤が配合される。例えばトラネキサム酸は、抗プラスミン作用を有し肌荒れ改善や美白等のための有効成分として各種形態の化粧料等に配合されている。例えば特許文献1には、トラネキサム酸、アルブチン、トリメチルグリシン及びビタミンEから選択される2種以上の成分を含有する皮膚外用剤が記載され、当該皮膚外用剤が様々な発生要因による肌のくすみを防止できるとされている。
【0003】
しかしながら、トラネキサム酸等の水溶性薬剤を粉末化粧料に配合した場合、化粧料基剤の大部分を占める無機粉末との間に相互作用が生じ、変色・ブツを生じるといった安定性の問題があった。また、水溶性薬剤を配合した粉末化粧料はざらついた感触を与えるという使用性の問題も生じていた。
【0004】
特許文献2には、水溶性薬剤を配合した粉末化粧料において、粉末表面を疎水化処理し、更に特定粒径のシリコーン系球状粉末を組み合わせて配合することにより、前記の問題を解決でき、薬剤安定性及び使用性に優れた粉末化粧料が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−265323号公報
【特許文献2】特開2006−76938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特にトラネキサム酸を配合した粉末化粧料に、(表面処理の有無に関わらず)酸化亜鉛をはじめとする金属酸化物が存在すると結晶が生成され、それによりざらついた感触を生じてしまい、安定性が低下する。また、酸化亜鉛のような金属酸化物が配合できないことで、化粧もち(べたつき)が著しく悪くなるという新たな課題が見出された。
そこで本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、トラネキサム酸を安定に配合でき、ざらつきやべたつきを生じない粉末化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、トラネキサム酸を配合した粉末化粧料に、特定量の高吸油性体質顔料と高吸油性球状粉末とを配合することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち本発明は、(A)トラネキサム酸と、(B)35質量%以上の高吸油性体質顔料と、(C)2質量%以上の高吸油性球状粉末とを含有する粉末化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トラネキサム酸による美白及び肌荒れ改善効果があり、しかも安定性にすぐれ、ざらつきがなく使用性、化粧持ちにも優れた粉末化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粉末化粧料は、トラネキサム酸(成分A)を必須に含有している。本明細書における「トラネキサム酸」とは、トラネキサム酸(トランス−4−アミノメチルシクロヘキサン−1−カルボン酸)及びその誘導体又は塩を含むものと解する。トラネキサム酸誘導体又は塩としては、特に限定されないが、例えば、トラネキサム酸のマグネシウム塩,カルシウム塩,ナトリウム塩,カリウム塩等の金属塩類、リン酸塩、塩酸塩,臭化水素塩、硫酸塩等、トラネキサム酸のエステル類(ビタミンA酸エステル、ビタミンAエステル、ビタミンEエステル、ビタミンCエステル、ビタミンDエステル等のビタミンエステル類、フェニルエステル類、ハイドロキノンエステル類、ゲンチシン酸エステル類等)、トラネキサム酸のアミド類(メチルアミド又はその塩等)、トラネキサム酸の二量体等を挙げることができる。
【0011】
本発明の粉末化粧料におけるトラネキサム酸類の配合量は、特に限定されないが、通常は0.1〜5質量%、より好ましくは1〜2質量%の範囲である。0.1質量%未満では美白・消炎効果等が十分に発揮されず、5質量%を越えて配合するとざらつきを生ずるといった使用性の問題が生じる場合がある。
【0012】
さらに本発明の粉末化粧料は、高吸油性体質顔料(成分B)を必須成分として含有している。本明細書における「高吸油性体質顔料」とは、JIS K5101に準じて測定した吸油量が80g/100g以上となる体質顔料を意味する。吸油量の具体的な測定手順としては、軟鋼板上に粉末(顔料)を5gとり、皮脂類似成分としてスクワランを滴下し、へらで均一に練りながら粉末(顔料)が一つの固まりとしてまとまったとことを終点とした。終点に達するまでに滴下したスクワラン量を粉末(顔料)100g当たりに換算した量を当該粉末(顔料)の吸油量として表記する。
高吸油性体質顔料の具体例としては、焼成マイカ(吸油量 約110g/100g)、焼成セリサイト(吸油量 約80g/100g)、等が挙げられるが、これらに限定されない。市販品を使用してもよく、例えば、マイカPDM−5L、マイカPDM−10L、マイカPDM−9L−20(トピー工業)等が挙げられる。本発明においては、これらの高吸油性体質顔料を1種又は2種以上の組み合わせで配合することができる。
【0013】
本発明の粉末化粧料における高吸油性体質顔料の配合量は、35質量%以上である。配合量が35質量%未満ではケーキングが生じたり、経時のテカリやべたつきを生じるといった問題が生ずる。配合量の上限は特に限定されないが、通常は95質量%以下程度とされる。
【0014】
さらに本発明の粉末化粧料は、高吸油性球状粉末(成分C)を必須成分として含有している。本明細書における「高吸油性球状粉末」とは、前記と同様にJIS K5101に準じて測定した吸油量が100g/100g以上となる球状粉末を意味する。
高吸油性体球状粉末の具体例としては、シリカ(吸油量 約130g/100g)、PMMA(吸油量115g/100g)、の球状粉末等が挙げられるが、これらに限定されない。市販品を使用してもよく、例えばサンスフェアL51S(洞海化学工業)、テクポリマー MBP 8HP(積水化成品工業)、マイクロスフェアーM311(松本油脂製薬)、トレフィルE506S(東レダウコーニング)等が挙げられる。本発明においては、これらの高吸油性球状粉末を1種又は2種以上の組み合わせで配合することができる。
【0015】
本発明の粉末化粧料における高吸油性球状粉末の配合量は、1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。配合量が2質量%未満では、ざらつきを抑制するのが困難となり、経時のテカリやべたつきを生じるといった問題が生ずる。配合量の上限は特に限定されないが、通常は20質量%以下程度とされる。
【0016】
前記したように、本発明の粉末化粧料は、トラネキサム酸と酸化亜鉛とが共存する場合に発生する結晶によるざらつきを解消した点を特徴としている。
酸化亜鉛は、粉末化粧料等に汎用されている粉末成分であるが、前記の結晶生成は酸化亜鉛の表面処理の有無に関わらず観察される。ただし、酸化亜鉛の配合量が微量である場合には結晶が生じないこともある。そこで、本発明の粉末化粧料は、酸化亜鉛を全く含有しないものと、結晶が生じない程度の微量の酸化亜鉛を含有しているものを包含するものとする。酸化亜鉛を配合する場合の配合量としては1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下とする。
【0017】
本発明の粉末化粧料は、上記必須成分A〜C以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、トラネキサム酸以外の美白剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、アルコール類、他の粉末成分、各種薬剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0018】
トラネキサム酸以外の美白剤としては、例えば、アルブチン、アスコルビン酸、アルコキシサチル酸等を挙げることができる。
【0019】
油性成分としては、例えば、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、茶実油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル等の天然油脂類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系油脂類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル等の合成油性成分、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成し得るシリコン樹脂およびシリコンゴム等のシリコン類等が挙げられる。
【0020】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジ−p−メトキシシンナメート等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニルベンゾフェノン−2−カルボキシレート等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0021】
親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸エステル等のグリセリンまたはポリグリセリンのエステル類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、 ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム等のN−アシルグルタミン酸、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸、ジトリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸コラーゲン加水分解アルカリ塩等が挙げられる。
【0023】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5,−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコ−ル脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、カチオンポリマー、アクリル酸β−N−N−ジメチル−N−エチルアンモニオエチル塩化ビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N,−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤等が挙げられる。
【0025】
保湿剤としては、例えば、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、尿素、ジグリセリンエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0026】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、トラガントガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、カゼインナトリウム、デキストリン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト等が挙げられる。
【0027】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0028】
その他の粉末成分には、本発明で特定している範囲外の吸油量を持つ体質顔料や球状粉末も含まれ、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、金雲母、合成雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等の無機粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ポリメチシルセスキオキサン粉末、セルロース粉末等の有機粉末、二酸化チタン、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、群青、紺青等の無機顔料、酸化チタンコーティッドマイカ、酸化チタンコーティッドオキシ塩化ビスマス、着色酸化チタンコーティッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料、アルミニウムパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、橙色203号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料、赤色3号、黄色4号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β−カロチン等の天然色素等が挙げられる。合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン等が挙げられる。
【0029】
本発明の粉末化粧料は、粉末化粧料に使用される常法を用いて製造することができる。
本発明の粉末化粧料は、例えば、化粧下地、ファンデーション、白粉、ボディパウダー、美白パウダー、エモリエントパウダー、フレグランスパウダー、頬紅、口紅、マスカラ、アイシャドー、アイライナー等の形態で提供することができる。
【実施例】
【0030】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0031】
下記表1及び2に示す処方で粉末化粧料を調製した。次いで、調製した各粉末化粧料の特性評価を行った。その結果を表1及び2に併せて示す。評価方法は以下の通りである。
【0032】
<ケーキングの判定>
サンプルの表面をスポンジで軽くこすり、200回行った時点で表面状態を判定した。
(評価基準)
×:表面が固まりサンプルが全く取れない状態
△:表面が多少固まるが、スポンジで取れる状態
○:表面に異常がない
<使用性及び仕上がりの評価>
各種化粧料について、20名の専門パネルによる使用テストを行い、使用性、仕上がり(ざらつき、経時のテカリ、べたつきのなさ)を評価点基準に基づいて評価した。次いで、各人がつけた評価点の平均点より実用特性評価を行った。
(評価点基準)
5〜4点:◎(非常に優れている)
4〜3点:○(普通)
3〜2点:△(劣る)
2〜1点:×(非常に劣る)
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
表1に示した結果から明らかなように、高吸油性体質顔料(焼成マイカ及び焼成セリサイト)を含まない比較例2及び配合量が35質量%未満である比較例1では、ケーキングが生じ、経時のテカリやべたつきが生じた。一方、高吸油性体質顔料を35質量%以上含有する実施例1〜3では、ケーキングを生じず、経時のテカリ及びべたつきも生じなかった。
表2に示した結果からは、高吸油性球状粉末(シリカ及びPMMA)を含有しない比較例3はざらつきがあり、その配合量が2質量%未満である比較例4及び5では、経時のテカリやべたつきを生じた。それに対して、2質量%以上の高吸油性球状粉末を配合した実施例1、4及び5では、ざらつきが無く、経時のテカリやべたつきもない使用性に優れた粉末化粧料となった。
【0036】
さらに、本発明の他の実施例を以下に示す。以下の実施例についても前記と同様の効果試験を行ったところ、いずれも優れた結果が得られた。
【0037】
実施例6:ルースパウダー
配合成分 配合量(質量%)
タルク 残余
焼成マイカ 35
窒化ホウ素 0.1
ミリスチン酸亜鉛 3
ステアリン酸アルミニウム 0.1
無水ケイ酸 5
架橋型シリコーン末 5
ベンガラ被覆雲母チタン 0.1
グリセロール変性シリコン樹脂被覆セリサイト 0.1
黄酸化鉄被覆雲母チタン 0.1
ジパルミチン酸アスコルビル 0.01
酢酸トコフェロール 0.02
パラオキシ安息香酸エステル 適量
ベンガラ被覆雲母チタン 0.1
黄酸化鉄 0.1
色素 適量
香料 適量
【0038】
実施例7:アイカラー
配合成分 配合量(質量%)
酸化チタン 0.1
マイカ 10
合成金雲母 2
焼成セリサイト 35
タルク 残余
ミリスチン酸亜鉛 2
無水ケイ酸 5
D−δ−トコフェロール 0.02
パラオキシ安息香酸エステル 適量
黄酸化鉄 2
黒酸化鉄 20
色素 適量
流動パラフィン 0.5
ワセリン 1
メチルフェニルポリシロキサン 2
セスキイソステアリン酸ソルビタン 1
リンゴ酸ジイソステアリル 3
【0039】
実施例8:アイブロウ
配合成分 配合量(質量%)
ヒドロキシアパタイト 1
焼成セリサイト 35
焼成マイカ 残余
酢酸トコフェロール 0.02
δ−トコフェロール 0.02
パラオキシ安息香酸エステル 適量
4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.1
ジパラメトキシケイヒ酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
ベンガラ 2
黄酸化鉄 7
黒酸化鉄 10
重質流動イソパラフィン 2
球状ナイロン末 0.5
ポリアクリル酸アルキル粉末 5
流動パラフィン 1
ワセリン 4
ジメチルポリシロキサン 7
1,3−ブチレングリコール 0.1
ヒドロキシステアリン酸フィトテリル 0.1
モノイソステアリン酸ソルビタン 1
香料 適量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トラネキサム酸と、
(B)35質量%以上の高吸油性体質顔料と、
(C)2質量%以上の高吸油性球状粉末とを含有する粉末化粧料。
【請求項2】
前記(B)高吸油性体質顔料が80g/100g以上の吸油量を持つ、請求項1に記載の粉末化粧料。
【請求項3】
前記(C)高吸油性球状粉末が100g/100g以上の吸油量を持つ、請求項1又は2に記載の粉末化粧料。
【請求項4】
酸化亜鉛を含有しない、請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末化粧料。

【公開番号】特開2012−46466(P2012−46466A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191902(P2010−191902)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】