説明

粉末飲料

【課題】水や湯を注いだ状態で長時間、保存しておいても、栄養素の酸化が進むことを極力防止し、飲用に供するときにもその栄養素が変質してしまわないようにすると共に、風味が劣化することなく、美味しく飲用することができる粉末飲料を提供する。
【解決手段】大麦若葉粉末、緑茶粉末及び植物の灰分を必須成分として含有したものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、他の食品等に混入して食用に供することもできるが、一般的には水や湯を注いで攪拌して飲用に供するようにした粉末飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粉末飲料としては、本発明者が先に特許出願したものが存在する。
【0003】
先ず、本発明者が先に特許出願した粉末飲料aとしては、大麦の若葉及び/又はアルファルファの微粉末と、不発酵茶及び/又は半発酵茶の微粉末とが必須成分として含有されてなるものが存在する(特許文献1)。そして、この粉末飲料aは、前記必須成分に加えて、ハトムギ、イチョウの葉、カキの葉、ウコン、アシタバ、甘草、エビスグサ、クコ、杜仲の葉、ルイボスの葉、羅布麻の葉、ぎん茶、モロヘイヤ、ニンジン、ブロッコリー、セロリー、大豆、胚芽、玄米、クロロフィルの中から選択される少なくとも1種又は2種以上が含有されてなるとしている。
【0004】
次に、本発明者が先に特許出願した粉末飲料bとしては、ケールの微粉末と、不発酵茶及び/又は半発酵茶の微粉末とが必須成分として含有されてなるものが存在する(特許文献2)。そして、この粉末飲料bは、前記必須成分に加えて、クマ笹、甘草、アシタバ、クコ、ハトムギ、イチョウの葉、カキの葉、ウコン、エビスグサ、杜仲の葉、ルイボスの葉、羅布麻の葉、ぎん茶、大麦、小麦、大豆、ニンジン、ブロッコリー、モロヘイヤ、セロリー) 、アルファルファ、胚芽、玄米、卵殻、クロロフィルの中から選択される少なくとも1種又は2種以上が含有されてなるとしている。
【0005】
さらに、本発明者が先に特許出願した粉末飲料cとしては、大麦の若葉の微粉末及び/又はケールの微粉末と、不醗酵茶の微粉末及び/又は半醗酵茶の微粉末と、多糖類の微粉末とが必須成分として含有されてなるものが存在する(特許文献3)。そして、この粉末飲料cは、前記必須成分に加えて、クマ笹、甘草、アシタバ、クコ、ハトムギ、イチョウの葉、カキの葉、ウコン、エビスグサ、杜仲の葉、ルイボスの葉、羅布麻の葉、ぎん茶、小麦、大豆、ニンジン、ブロッコリー、モロヘイヤ、セロリー、アルファルファ、胚芽、玄米、卵殻、クロロフィルの中から選択される少なくとも1種又は2種以上が含有されてなるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−221060号公報
【特許文献2】特開平11−332530号公報
【特許文献3】特開2003−334046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の粉末飲料a〜cは、いずれも一般的には水や湯を注いで飲用に供している。水や湯を注いだものを直ぐに飲用に供する場合がほとんであるが、直ぐには飲用に供せずペットボトル等に入れて持ち運ぶ場合がある。
【0008】
このような場合、水や湯を注いだ状態で長時間、保存しておくことになるので、上記従来の粉末飲料a、bにおいては、栄養素の酸化が徐々に進み、飲用に供するときにはその栄養素が変質してしまうという問題点を有していた。また、上記従来の粉末飲料a、bでは、栄養素の酸化が徐々に進むことにより、風味が劣化してしまい、美味しく飲用することができないという問題点を有していた。
【0009】
上記従来の粉末飲料cにおいては、粉末飲料a、bに多糖類の微粉末を必須成分として含有させることにより、水や湯を注いだ状態で長時間、保存しておいても、風味が劣化しないようにして、美味しく飲用することができるようにしている。
【0010】
しかしながら、上記従来の粉末飲料cでは、多糖類の微粉末を含有させて、この多糖類で風味を改善することにより、その飲料本来の風味が劣化していないようにマスキングしているだけであって、栄養素の酸化は徐々に進んでおり、飲用に供するときにはその栄養素が変質してしまうという問題点を有していることには違いない。
【0011】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、水や湯を注いだ状態で長時間、保存しておいても、栄養素の酸化が進むことを極力防止し、飲用に供するときにもその栄養素が変質してしまわないようにすると共に、風味が劣化することなく、美味しく飲用することができる粉末飲料を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、この発明の粉末飲料は、大麦若葉粉末、緑茶粉末及び植物の灰分を必須成分として含有したものとしている。
【0013】
前記大麦若葉粉末としては、結実前の若葉の粉末が用いられるのが好ましく、六条オオムギ、裸ムギ、ビールムギなどが用いられる。さらに、他の種類の大麦も全て好適に使用することができるが、麦茶に通常用いられている六条オオムギや裸ムギが特に好ましく用いられる。
【0014】
前記大麦若葉粉末の含有量は、特に限定されないが10〜90重量%としており、好ましくは30〜75重量%としており、より好ましくは50〜65重量%としている。この大麦若葉粉末は、その含有量が10重量%未満の場合には、ビタミンB1 などの大麦若葉粉末の栄養成分が充分に摂取できないものとなり、その含有量が90重量%を超える場合には、他の有効成分である緑茶粉末の含有量が少なくなり、その緑茶粉末の栄養成分が充分に摂取できないものとなったり、緑茶成分の独特の風味や味が打ち消されてしまうので、いずれの場合も好ましくない。
【0015】
前記緑茶粉末としては、煎茶、玉露、抹茶、番茶、ほうじ茶、かぶせ茶、玉緑茶、緑だん茶等の蒸し製茶、青柳茶、嬉野茶、中国緑茶等の釜炒り製茶などの粉末が挙げられ、これらのうちの任意の1種又は2種以上の粉末が好ましく用いられる。
【0016】
前記緑茶粉末の含有量は、特に限定されないが5〜90重量%としており、好ましくは20〜70重量%としており、より好ましくは30〜50重量%としている。この緑茶粉末は、その含有量が5重量%未満の場合には、カテキン、ビタミンCなどの緑茶粉末の栄養成分が充分に摂取できないものとなり、その含有量が90重量%を超える場合には、前記大麦若葉粉末の含有量が少なくなり、その大麦若葉粉末の栄養成分が充分に摂取できないものとなり、いずれの場合も好ましくない。
【0017】
前記植物の灰分としては、海藻、木の葉及び/又は薬草を焼成して得られた灰分が用いられる。海藻としては、ヒバマタ、ホンダワラ、アラメ、ワカメ及びコンブのうちの1種又は2種以上が用いられ、木の葉としては、タケ、スギ、ヒノキ、マツ及びカヤのうちの1種又は2種以上の葉が用いられ、薬草としては、ヨモギ、イタドリ若芽及びクマザサのうちの1種又は2種以上が用いられる。
【0018】
前記植物の灰分の含有量は、1〜10重量%としており、好ましくは3〜8重量%としており、より好ましくは4〜6重量%としている。この植物の灰分は、その含有量が1重量%未満の場合には、還元力が充分に発揮されないものとなり、その含有量が10重量%を超える場合には、その灰分の黒ずんだ色が粉末飲料に反映して、粉末飲料が黒っぽくなり、水や湯を注いで飲用に供する場合にはより黒っぽくなり、商品価値が低下するので、いずれの場合も好ましくない。
【0019】
さらに、この発明の粉末飲料においては、上記必須成分の他に、任意の成分として、クマ笹、甘草、アシタバ、クコ、ハトムギ、イチョウの葉、カキの葉、ウコン、エビスグサ、杜仲の葉、ルイボスの葉、羅布麻の葉、ぎん茶、小麦、大豆、ニンジン、ブロッコリー、モロヘイヤ、セロリー、アルファルファ、胚芽、玄米、卵殻、クロロフィルの中から選択される少なくとも1種又は2種以上の粉末を含有させることもできる。
【0020】
この発明の粉末飲料を飲用するには、前述したような含有成分からなる粉末飲料をコップなどに入れ、水又は湯を注ぐことにより飲料として飲用することができる。水又は湯の使用量は、特に限定されないが、粉末飲料1重量部に対して、5〜200重量倍、好ましくは10〜100重量倍、より好ましくは10〜50重量倍程度、使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のこの発明の粉末飲料は、以上に述べたように構成されており、水や湯を注いだ状態で長時間、保存しておいても、栄養素の酸化が進むことを極力防止し、飲用に供するときにもその栄養素が変質してしまうことがないと共に、風味が劣化することなく、美味しく飲用することができるものなった。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の粉末飲料を実施例に基づいて説明するが、この発明の粉末飲料はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1〜8、比較例1〜8)
表1及び表2に記載の組成にしたがって、各成分の粉末を含有する粉末飲料を調製した。大麦若葉粉末は、結実前の若葉を十分に乾燥させて、粉砕したものを使用した。緑茶粉末は、煎茶及び玉露(いずれも市販品)を粉末化したものを使用した。植物の灰分は、海藻としては乾燥ワカメ(市販品)を焼成して得られた灰分を使用し、木の葉としてはタケの葉を乾燥させてから焼成して得られた灰分を使用し、薬草としては乾燥ヨモギ(市販品)を焼成して得られた灰分を使用した。
【0024】
なお、比較例には、特許文献3に記載された粉末飲料の必須成分である多糖類の粉末として、デンプン、プルラン、グアガムをそれぞれ粉末化したものと使用した。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
(保存性試験)
上記実施例1〜8及び比較例1〜8の粉末飲料(2g)をそれぞれコップに入れ、約50mlの水を加えて、十分に攪拌して飲料を調製した。
【0028】
前記調製した飲料を室温で一昼夜保存後、飲用する直前にこれとは別に上記実施例1〜8及び比較例1〜8の粉末飲料(2g)をそれぞれコップに入れ、約50mlの水を加えて、十分に攪拌して飲料を調製した。
【0029】
そこで、調製してから室温で一昼夜保存した飲料と、前記飲用直前に調製した飲料について、10名のパネラーにより、以下の評価基準で比較してもらった。評価結果を表3及び表4に示す。評価結果は10名のパネラーの多数決によった。
【0030】
〔評価基準〕
一昼夜保存した飲料の風味は、飲用直前に調製した飲料の風味に比べてかなり劣る…×
一昼夜保存した飲料の風味は、飲用直前に調製した飲料の風味に比べて少し劣る …△
一昼夜保存した飲料の風味は、飲用直前に調製した飲料の風味とほぼ同じである …○
一昼夜保存した飲料の風味は、飲用直前に調製した飲料の風味と全く同じである …◎
【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
表3及び表4に示した結果によると、この発明の粉末飲料は、水を注いだ状態で長時間、保存しておいても、風味が劣化することなく、美味しく飲用することができるものとなった。
【0034】
なお、比較例5、6、8の粉末飲料でも、風味が劣化することなく、美味しく飲用することができるという結果を得たが、これは多糖類で風味が改善されたことによるものであり、栄養素の酸化は進んでおり、その栄養素が変質しまっていることには違いない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦若葉粉末、緑茶粉末及び植物の灰分を必須成分として含有したことを特徴とする粉末飲料。
【請求項2】
前記大麦若葉粉末の含有量が10〜90重量%、前記緑茶粉末の含有量が5〜90重量%、前記植物の灰分の含有量が1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の粉末飲料。
【請求項3】
前記植物の灰分が、海藻、木の葉及び/又は薬草を焼成して得られた灰分であることを特徴とする請求項1又は2記載の粉末飲料。
【請求項4】
前記海藻が、ヒバマタ、ホンダワラ、アラメ、ワカメ及びコンブのうちの1種又は2種以上であり、前記木の葉が、タケ、スギ、ヒノキ、マツ及びカヤのうちの1種又は2種以上の葉であり、前記薬草が、ヨモギ、イタドリ若芽及びクマザサのうちの1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3記載の粉末飲料。



【公開番号】特開2010−178670(P2010−178670A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24841(P2009−24841)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(593231760)株式会社山本芳翠園 (1)
【Fターム(参考)】