説明

粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法

【課題】25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメントや肥料等の粉粒体の袋詰を安定かつ容易に行うことができ、しかも、一人で安全に作業を行うことができる粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法を提供する。
【解決手段】本発明の粉粒体の袋詰装置は、粉粒体を貯留するホッパ1と、ホッパ1の下部に設けられ粉粒体を搬送するスクリューコンベア2と、スクリューコンベア2の先端部に同軸的かつ一体に設けられ粉粒体を収納する袋9を着脱可能とするとともにスクリューコンベア2から搬送される粉粒体を袋内に投入するノズル3と、スクリューコンベア2を駆動する電動機4と、電動機4の作動を制御する切り替えスイッチ5とを備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法に関し、更に詳しくは、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメントや肥料等の粉粒体の袋詰を行う際に用いて好適な粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セメントや肥料等の粉粒体を袋詰した製品の出荷比率は低下傾向にあるが、出荷比率が低下しているとはいえ、例えば、セメントの国内出荷においては、僅かに4%程度ではあるが、未だに2.3百万トン弱(2004年度)の袋詰を行っているのが実情である。
セメントを袋詰めする場合、その大半は、容量が25kgのクラフト紙袋を用いており、例えば、2004年度に出荷された2.3百万トン弱のセメントを25kgのクラフト紙袋を用いて袋詰めすると、92百万袋弱という膨大な量となる。そのため、セメント製造工場や出荷サービスステーション(SS)に設けられている袋詰装置、いわゆるパッカーは、一度に数トン〜数十トンのセメントを連続して袋詰することができるように、その仕様が設定されている。例えば、ホッパーの容量は、袋詰の能力に合わせて数トン〜十数トン程度に設定するのが通例である。
【0003】
このように、セメント産業におけるセメントの袋詰品の比率は、国内出荷量の4%程度と全体から見れば小さな比率であるが、左官用や家庭向け等として継続的な需要があり、現在も25kgのクラフト紙袋を用いて92百万袋弱の袋詰を行っている。また、袋詰のセメントを輸送する手段としては、通常トラックが用いられることから、2t、4t乃至10tのトラックに合わせた袋詰作業が行われ、パッカーやホッパー等についてもそれに見合った能力と容量を有する設備となっている。このため、1回あたりの袋詰は、数トン〜十数トンの単位で行われることがほとんどである。
【0004】
一方、試験的な使用やスポット受注の場合、提供するサンプルセメントの量が1袋〜数袋と非常に少なく、このような小ロットのセメントを従来のパッカーを用いて袋詰を行おうとすると、ホッパーに貯留されるセメントの量が少なすぎるために所定の量のセメントを安定して取り出すことが非常に難しく、したがって、通常使用されているパッカーでの小ロットの袋詰は非常に難しい。
このような小ロットの場合においても、例えば、頻繁にサンプルを提供するような品種については、通常の出荷時にサンプル提供分を分取するか、あるいは数トン単位で定期的にサンプルセメントを袋詰した上で適切に保管することで対応できるが、3ヶ月に一度、あるいは数ヶ月に一度等のスポットでサンプルを提供するような品種については、人手により、セメントサイロからセメントを取り出し、袋詰めすることが行われている。
例えば、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、フライアッシュセメント等のような比較的特殊な用途で用いられるセメントのサンプル品の提供を要求された際、多くの場合のサンプル品要求量は1袋〜数袋程度であり、セメント工場等の通常のパッカーでは能力が過大で、このような小ロットの袋詰は困難を極める。一般的には、この程度の量であれば、人手により袋詰するのが最も簡単であるが、人手と作業時間の点から非効率と考えざるを得ない。
【0005】
従来のセメント等の粉粒体を袋詰する装置としては、一般に、ノズルを袋の開口部(充填部)に挿し込み、このノズルにより空気輸送された粉粒体を袋に充填する方法が採られている。
例えば、セメント等の粉粒体を車両上で袋に直接充填して需要先に納入する袋詰装置としては、車両に設けたタンク内に収容されている粉粒体を該タンク内から取り出して袋へ供給する粉粒体の供給装置と、この供給装置から供給される粉粒体を袋に充填する充填ノズルと、袋内への粉粒体の充填量を計量する計量装置と、袋載せ台とを有する車載袋詰め装置が提案されている(特許文献1)。
この袋詰め装置は、ホッパーからの安定した取り出しができる範囲で、安定した計量での袋詰ができる装置であり、比較的小ロットの袋詰を行うことができる装置である。
【0006】
また、さきいか等の細長く絡みやすい食料類を袋詰めする装置としては、包装機の充填ステーションに上下動自由に設けたロッドに漏斗を取り付け、この漏斗の下端部を充填ステーションに停止する包装袋の袋口に出没させるようになし、フレームに固定した機台に、この漏斗内に遊嵌する充填スクリューを回転自由に支持する筒体と、この筒体に形成されたラックに噛合するピニオンを設け、このピニオンを駆動手段によって回転させて充填スクリューを上下動させてなると共に、このスクリューを回転駆動する電動モータを備えた被包物充填装置が提案されている(特許文献2)。
この被包物充填装置は、さきいか等の細長く絡み易い食品類の袋詰を機械化した装置である。
【特許文献1】特開2004−91031号公報
【特許文献2】特開平8−192823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のセメントや肥料等の1回あたりの袋詰は、数トン〜十数トンの単位で行われることがほとんどであるから、ユーザーから要求されるサンプルのように1袋ないし数袋程度、重量にして25kgから100kg程度の小ロットの粉粒体の袋詰を行うには、既存のパッカー設備の能力・容量が大き過ぎてしまい、所定の量の粉粒体を安定して取り出すことが非常に難しく、したがって、通常使用されているパッカーでは、小ロットの袋詰を安定して行うことができない虞があるという問題点があった。
【0008】
また、スポットでサンプルを提供するような品種については、人手により、セメントサイロからセメントを取り出し、袋詰めすることが最も安価で効率よく、かつ、品質的にも直近の製造品をサンプルとして提供できるために、しばしば多くの労力を掛けて手作業にて袋詰を行っていたために、袋詰めに30分/袋程度の時間が掛かってしまい、袋詰めの作業効率が低下し、コストも掛かってしまうという問題点があった。
【0009】
また、従来の車載袋詰め装置では、ホッパーからの安定した取り出しができる範囲で、安定した計量で比較的小ロットの袋詰を行うことができるものの、概ね100kg程度以下のさらに小ロットの袋詰を安定して行うことが困難になる虞があるという問題点があった。
また、この車載袋詰め装置は、車両に搭載して使用するために装置構成が大きく、しかも高価であるから、実際にサンプルセメントの量が1袋〜数袋と非常に少ない小ロットの袋詰への導入・設置は困難であるという問題点があった。
【0010】
また、従来の被包物充填装置では、さきいか等の細長く絡みやすい食料類を効率よく袋詰めすることができるものの、装置構成が複雑で、しかも高価であるから、実際にサンプルセメントの量が1袋〜数袋と非常に少ない小ロットの袋詰への導入・設置は困難であるという問題点があった。
また、サンプルセメントを袋詰することを考えると、通常のセメント袋と同様の仕様の袋を用いることになるが、このセメント袋にセメントを充填する場合、さきいか等の細長く絡みやすい食料類を袋詰めする際に用いられる充填スクリューや漏斗を用いることができず、別途、外径50mm程のノズルを用意する必要があり、このノズルに合わせてスクリューの構造も変える必要がある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメントや肥料等の粉粒体の袋詰を安定かつ容易に行うことができ、しかも、一人で安全に作業を行うことができる粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために次の様な粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法を提供した。
すなわち、本発明の粉粒体の袋詰装置は、小ロットの粉粒体を袋詰する装置であって、粉粒体を貯留するホッパと、このホッパの下部に設けられ該ホッパ内の粉粒体を搬送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの先端部に設けられ前記粉粒体を収納する袋を着脱可能とするとともに前記スクリューコンベアから搬送される粉粒体を前記袋内に投入するノズルと、前記スクリューコンベアを駆動する駆動手段とを備えてなることを特徴とする。
【0013】
この粉粒体の袋詰装置では、ホッパ内に貯留される粉粒体を、このホッパの下部に設けられたスクリューコンベアを用いて搬送し、このスクリューコンベアの先端部に設けられたノズルにより、このノズルに装着された袋内に投入することにより、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメントや肥料等の粉粒体の袋詰を安定かつ容易に行うことが可能になる。
また、ノズルに粉粒体を収納する袋を装着した後にスクリューコンベアを作動すればよいので、一人で作業を行うことが可能であり、しかも安全である。
【0014】
本発明の粉粒体の袋詰装置は、前記ノズルの下方に、前記袋に投入される粉粒体の重量を測定する重量測定手段を設けてなることを特徴とする。
この粉粒体の袋詰装置では、前記ノズルの下方に、前記袋に投入される粉粒体の重量を測定する重量測定手段を設けたことにより、セメントや肥料等の粉粒体の袋詰を、正確な容量でかつ確実に行うことが可能になる。
【0015】
本発明の粉粒体の袋詰装置は、前記ノズルを前記スクリューコンベアに同軸的に設け、かつ、これらスクリューコンベア及びノズルを略水平に配置してなることを特徴とする。
この粉粒体の袋詰装置では、前記ノズルを前記スクリューコンベアに同軸的に設け、かつ、これらスクリューコンベア及びノズルを略水平に配置したことにより、これらスクリューコンベア及びノズルにおける粉粒体の流れが均一かつスムーズになり、粉粒体の定量供給を安定して行うことが可能になる。
また、スクリューコンベア及びノズルを略水平に配置したことで、作業性及び安全性が高まる。
【0016】
本発明の粉粒体の袋詰装置は、前記スクリューコンベアを、前記ホッパに連通する部分に開口が形成された長尺の筒体と、この筒体内に配置され前記ホッパに貯留される粉粒体を前記筒体の先端部へ向けて搬送するスクリューとを備えた構成とし、このスクリューを、棒状体と、この棒状体の外周面に巻回されかつ固定されたコイルスプリングとを備えてなる構成としたことを特徴とする。
この粉粒体の袋詰装置では、スクリューを、棒状体と、この棒状体の外周面に巻回されかつ固定されたコイルスプリングとにより構成することにより、セメントの様な流動性の低い粉粒体であっても、流れが均一かつスムーズになり、流動性の低い粉粒体の定量供給を安定して行うことが可能になる。
【0017】
本発明の粉粒体の袋詰装置は、前記スイッチを足踏み式スイッチとし、この足踏み式スイッチをオン/オフすることにより前記駆動手段を介して前記スクリューコンベアを作動/停止することを特徴とする。
この粉粒体の袋詰装置では、足踏み式スイッチをオン/オフすることにより前記駆動手段を介して前記スクリューコンベアを作動/停止することにより、粉粒体の袋詰の作業が容易かつ確実になり、しかも、一人で安全に作業を行うことが可能である。
【0018】
本発明の粉粒体の袋詰装置は、前記ホッパの容量を1.0m以下とすることを特徴とする。
この粉粒体の袋詰装置では、前記ホッパの容量を1.0m以下とすることにより、ホッパに貯留される粉粒体の容量が適正に制限され、粉粒体が過剰にスクリューコンベアに送られる虞がなくなる。これにより、スクリューコンベアにおける粉粒体の流れがよりいっそう均一かつスムーズになり、粉粒体の定量供給をより安定して行うことが可能になる。
【0019】
本発明の粉粒体の袋詰方法は、本発明の粉粒体の袋詰装置を用いて小ロットの粉粒体を袋詰する方法であって、前記ホッパに粉粒体を貯留するとともに前記ノズルに前記袋を装着し、前記スクリューコンベアを駆動させることにより前記ホッパ内の粉粒体を搬送して前記袋内に投入し、この袋に投入される粉粒体の重量が所定の重量に達したときに前記スクリューコンベアを停止し、前記袋を前記ノズルから取り外すことを特徴とする。
【0020】
この粉粒体の袋詰方法では、ホッパに粉粒体を貯留するとともに、ノズルに袋を装着し、スクリューコンベアを駆動させることによりホッパ内の粉粒体を搬送して袋内に投入し、この袋に投入される粉粒体の重量が所定の重量に達したときにスクリューコンベアを停止することにより、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメントや肥料等の粉粒体の袋詰を、安定かつ容易に行うことが可能になる。
また、ノズルに粉粒体を収納する袋を装着した後にスクリューコンベアを作動すればよいので、一人で作業を行うことが可能であり、しかも安全である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の粉粒体の袋詰装置によれば、粉粒体を貯留するホッパと、このホッパの下部に設けられ該ホッパ内の粉粒体を搬送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの先端部に設けられ前記粉粒体を収納する袋を着脱可能とするとともに前記スクリューコンベアから搬送される粉粒体を前記袋内に投入するノズルと、前記スクリューコンベアを駆動する駆動手段とを備えたので、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメントや肥料等の粉粒体の袋詰を、安定かつ容易に、しかも一人で安全に行うことができる。
【0022】
また、従来手作業で行ってきた袋詰め作業を機械化することができるので、作業時間を大幅に短縮することができる。
また、粉粒体を収納する袋をノズルに着脱可能とすることで、粉粒体をノズルを介して袋内に投入するので、粉粒体が袋の外に散逸する虞がなくなり、粉塵の発生を抑制することができ、作業環境が悪化する虞もない。
さらに、装置構成が簡単であるから、様々な粉粒体の袋詰め工程に容易に導入することができ、しかも安価である。
【0023】
本発明の粉粒体の袋詰方法によれば、ホッパに粉粒体を貯留するとともにノズルに袋を装着し、スクリューコンベアを駆動させることによりホッパ内の粉粒体を搬送して袋内に投入し、この袋に投入される粉粒体の重量が所定の重量に達したときにスクリューコンベアを停止するので、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメントや肥料等の粉粒体の袋詰を、簡単な操作で、しかも一人で安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法の最良の形態について、図面に基づき説明する。
なお、本形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態の粉粒体の袋詰装置を示す正面図であり、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットのセメント等の粉粒体の袋詰を行う装置の例である。図において、1は粉粒体を貯留するホッパ、2はホッパ1の下部に連通して設けられホッパ1内の粉粒体を搬送するスクリューコンベア、3はスクリューコンベア2の先端部に同軸的かつ一体に設けられ粉粒体を収納する袋9を着脱可能とするとともにスクリューコンベアから搬送される粉粒体を袋9内に投入するノズル、4はスクリューコンベア2を駆動する電動機(駆動手段)、5は電動機4の作動を制御する足踏み式の切り替えスイッチ(駆動手段)、6は袋受け台、7は袋受け台6の上面に着脱可能に設けられ袋9に投入される粉粒体の重量を測定する計量装置(重量測定手段)、8はこれらを取り付けるフレームである。
【0026】
粉粒体を袋詰するための袋9としては、例えば、クラフト紙製の袋の上下をミシンで縫い止めて密封状態とし、かつ、この袋の一箇所にノズル3を挿入し粉粒体を充填するための充填口を設けたミシン縫い袋、あるいは、クラフト紙製の袋の上下を糊貼りして止めて密封状態とし、かつ、この袋の一箇所にノズル3を挿入し粉粒体を充填するための充填口を設けた糊貼り袋が好適に用いられる。
この袋を用いて粉粒体を充填する際には、この袋の充填口をノズルに挿し込むように取り付け位置を微調整して粉粒体の充填を行い、粉粒体が袋内に充満した際には、袋の充填口が閉鎖され、この袋の充填口をノズルから取り外すとともに充填口が閉鎖される構造になっている。
【0027】
ホッパ1は、一定量の粉粒体を貯留するためのもので、小ロットの粉粒体を袋詰めすることを考慮すると、その容量はクラフト紙製の袋の容量程度もしくはその数倍程度が好ましく、例えば、1.0m以下が好ましく、より好ましくは0.5m以下である。
このホッパ1は、図2及び図3に示すように、長手方向に沿う断面が略矩形状、長手方向の断面が二等辺三角形状のロート状の筐体11からなるもので、上端部全体が矩形状に開放された開口12とされ、底部には、スクリューコンベア2と連通するための矩形状の開口13が形成されている。
【0028】
スクリューコンベア2は、図2及び図3に示すように、ホッパ1の底部に水平に接続されてホッパ1に連通する開口部分が上記の開口13に接続された長尺の筒体21と、この筒体21内に配置されホッパ1に貯留される粉粒体を筒体21の先端部、すなわちノズル3へ向けて搬送するスクリュー22とにより構成されている。
【0029】
スクリュー22は、図4に示すように、ステンレススチールあるいは高硬度鋼等の機械的強度の高い鋼棒(棒状体)31と、この鋼棒31の外周面に内接するように巻回されかつ固定され鋼棒31と同一の材質の断面円形状のコイルからなるコイルスプリング32とにより構成されている。
この鋼棒31の一方の端部近傍には、電動機4の軸に固定するための突起41が形成され、さらに、所定位置、例えば両端部近傍には、図5に示すように、コイルスプリング32の端部を挿入し固定するコイルスプリング固定用孔42が形成されている。
【0030】
コイルスプリング32は、スクリューコンベア2の羽根としての機能を有するもので、スプリング間隔tは等間隔とされ、このコイルスプリング32の両端部は、鋼棒31に形成されたコイルスプリング固定用孔42に嵌め込むことにより鋼棒31に固定されている。
【0031】
図6は、スクリュー22の変形例を示す斜視図であり、鋼棒31には、2つのコイルスプリング32が二重螺旋となるように互いに近接して巻回されかつ固定されている。
各コイルスプリング32は、鋼棒31の先端部31a側のスプリング間隔tが粗になるように、そして、この先端部31aから後端部31bに向かって徐々にスプリング間隔tが密になるように巻回されている。
【0032】
このスクリューによれば、ホッパ1から投入される位置のスプリング間隔tを狭くしたので、ホッパ1に貯留する粉粒体がフラッシュし易いものであった場合においてもフラッシュの抑制を図ることができる。
なお、コイルスプリング32は、二重螺旋の他、複数の短いコイルスプリングをその一部が重なるように鋼棒31に巻回した多重構成としてもよく、コイルスプリング32の鋼棒31の後端部31b側に位置する部分のみに、さらに複数の短いコイルスプリングを重ねて巻回した構成としてもよい。
【0033】
このコイルスプリング32の最外周面(外径)とスクリューコンベア2の筒体21の内周面(内径)との隙間は1mm以上かつ十数mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以上かつ5mm以下である。
例えば、非常にサラサラして流動性の良好な粉粒体の場合、所謂フラッシュ状態を生ずる可能性があるが、この隙間をできるだけ狭くすることでフラッシュ状態を回避することができる。
また、ホッパ1が小ロット用と小容量であることから、スクリューコンベア2に対して粉粒体を押し出す力も小さく、フラッシュする虞もない。
【0034】
ノズル3は、筒体21と同一の内径及び外径を有しかつ筒体21と同一の材質からなるもので、その先端部は粉粒体を収納する袋9を容易に着脱することができるように、円筒状となっている。このノズル3の長さや径は、用いられる袋の大きさや形状に応じて適宜設定される。
例えば、セメント25kg用のクラフト紙袋では、充填口を考えるとき問題となる袋の幅は、大凡350mm±20mm程度の範囲にあり、ノズル3の長さが170mmあれば、ちょうど袋の中央部にセメントを充填するような構成となる。
計量装置7は、特に必要がない場合には、取り外してもよい。
【0035】
ここで、粉粒体の袋9への充填速度を調整するには、コイルスプリング32のスプリング間隔tを調整することで対応することができる。粉粒体のフラッシュを抑制し、かつ、充填速度を調節するためには、先端部31a側のスプリング間隔tを広くし、後端部31b側のスプリング間隔tを狭くするのが好ましい。
また、筒体21内のスプリング間隔も、粉粒体のフラッシュを抑制してシール性を向上させる目的から間隔を狭くすることが好ましい。
また、通常のスクリューコンベアの羽根の外縁部は鋭角であるので、袋を傷つける虞があるが、本実施形態のスクリューコンベア2では、羽根にコイルスプリング32を用いているので、外縁部が丸く、袋を傷つける虞もない。
【0036】
また、スクリュー22は、その先端部がノズル3の先端部から数mm〜十数mm内側に位置するように配置し、ノズル3の先端部から外側に突出することのないようにする。ノズル3の先端部では、その外縁部の角をグラインダー等で削り取り、袋を滑らかに押し込めることができるようにし、袋が傷つくことを防止する。
【0037】
電動機4は、スクリューコンベア2と軸線が同一方向とになるように(例えば直線上に)配置され、クラッチ(図示略)を介して駆動力を伝達する構成とされている。このクラッチは、足踏み式の切り替えスイッチ5により任意に操作できるようになっている。なお、このクラッチは、手動で操作するようにしてもよく、計量装置7に連動して自動的に作動する構成としてもよい。
【0038】
計量装置7は、粉粒体の重量を単に表示するのみとしてもよく、粉粒体の重量が所定の重量に達したときにブザー等、あるいは回転灯等でその旨を作業者に知らせる構成としてもよく、この粉粒体の重量が所定の重量に達したときに制御装置(図示略)を介して自動的にスクリューコンベア2及び電動機4を停止する構成としてもよい。
さらに、作業性や安全性の確保も勘案して、ホッパ1及びスクリューコンベア2を概ね水平に設け、これらホッパ1及びスクリューコンベア2の床面からの高さも、ノズル3に袋の充填口を挿し込んで粉粒体を充填する際に、袋の下端が袋受け台6にちょうど直立する程度とする。
【0039】
次に、粉粒体の袋詰方法について説明する。
まず、ホッパ1に所定量の粉粒体を投入する。粉粒体の投入は、例えば、セメントサイロ等のような粉粒体貯蔵庫からコンベアを介して行うか、粉粒体貯蔵庫からショベル等の重機を用いて搬送するか、の何れかの方法を用いればよい。
次いで、袋9の充填口をノズル3に押し込むように取り付け、次いで、このホッパ1内の粉粒体をスクリューコンベア2を駆動してノズル3の先端部に向かって搬送させ、袋9内に充填する。
粉粒体が袋9内に充填されると、袋9が徐々に膨らみ、この袋9が袋受け台6により支えられる状態となる。
【0040】
この袋受け台6には計量装置7が取り付けられているので、計量装置7が袋9に投入される粉粒体の重量を連続的に測定し、この粉粒体の重量が所定の重量に達したときにブザー等にてその旨を作業者に知らせる。
充填が完了すると、作業者がスイッチ5を踏み、電動機4を停止する。
【0041】
ここで、計量装置7が単に袋9に投入される粉粒体の重量を測定するのみであれば、計量装置7の表示部に示される粉粒体の充填量を見ながら、粉粒体の充填量が目標量となったときに電動機4を停止すればよい。
さらに、袋受け台6に計量装置7が取り付けられていない場合、粉粒体が袋内に充填される状態を見ながら充填を行い、途中で充填を中断して粉粒体を袋毎秤で計量し、再度不足分を充填する操作を繰り返し行う。場合によっては、ホッパ1に袋1袋分の必要量を計量した上で投入しておき、その全量をバッチ式に袋に充填することとしてもよい。
【0042】
なお、袋9への充填は、空気輸送による一般の大型充填装置と比べても、比較的にゆっくりとした充填であり、かつ、空気をあまり多く含まずに充填できることから、袋への充填時に脱気を特段に必要としない。
また、作業環境等を勘案すると、ホッパ1に粉粒体を投入する際に生ずる虞のある発塵を処理できる程度の集塵装置があれば好ましい。
以上により、本実施形態の装置を用いることで、小ロットのセメント等の粉粒体を作業者が一人でも短時間で、かつ、安全に袋詰を行うことができる。
【0043】
本実施形態の粉粒体の袋詰装置によれば、粉粒体を貯留するホッパ1と、ホッパ1内の粉粒体を搬送するスクリューコンベア2と、粉粒体を収納する袋を着脱可能とするとともにスクリューコンベア2から搬送される粉粒体を袋内に投入するノズル3と、スクリューコンベア2を駆動する電動機4と、電動機4の作動を制御する足踏み式スイッチ5と、袋受け台6と、袋に投入される粉粒体の重量を測定する計量装置7とを備えたので、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットの粉粒体の袋詰を、安定かつ容易に、しかも一人で安全に行うことができる。
【0044】
本実施形態のセメント袋詰方法によれば、ホッパ1に所定量の粉粒体を投入し、このホッパ1内の粉粒体をスクリューコンベア2を駆動してノズル3の先端部に向かって搬送させて袋内に充填し、計量装置7が袋に投入される粉粒体の重量を連続的に測定し、この粉粒体の重量が所定の重量に達し充填が完了した時にスクリューコンベア2を停止するので、25kg/袋で1袋ないし数袋程度、重量で25kgから100kg程度の小ロットの粉粒体の袋詰を、簡単な操作で、しかも安全に行うことができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の粉粒体の袋詰装置及び袋詰方法について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
【0046】
(実施例1)
本実施形態の粉粒体の袋詰装置を用い、粉粒体としては早強ポルトランドセメントを用いた。ただし、ここでは、袋受け台6から計量装置7を取り外したものを用いた。
また、ホッパの容量を、セメント袋1袋25kgを充填するに足りる容量とするために、ホッパの長手方向の長さを500mm、上部の幅を320mm、 高さを350mmとした。また、このホッパの下端部をスクリューコンベアの筒体とするために、外径約49mmの上部が開放された円弧状の筒体とした。
【0047】
一方、ノズルは、袋の閉じ口となる一辺の長さ約100mmよりも中に押し込む構造で、かつ袋の幅の中央部に粉粒体を投入するために、長さが170mmで40A(Sch80、STPG370)のノズルを用いた。また、上記の筒体の後端部を密閉するために、この後端部に40A(Sch80、STPG370)のシール部を成す長さ140mmのパイプを設けた。
また、スクリューコンベア用のスクリューは、スクリューの羽根が二重となるように、直径21mm、長さ810mmの棒鋼に、太さ3mm、長さ650mmの2本のコイルスプリングを内接するように巻き付け、各々の両端部を孔に固定した。
【0048】
このスクリューでは、セメントをホッパに投入した時にセメントが吹き出すことのないよう、ノズルとパイプに位置する部分のスプリング間隔を、ホッパ下部に位置する部分より狭くした。また、ノズルの内径とコイルスプリングの外径との間に11mm強の隙間を設けた。
また、このスクリューを、上記のノズル、筒体及びパイプ内に配置したとき、スクリューの先端部はノズルの先端部から10mm内側に位置していた。
また、一人で作業することを考慮して、クラッチ切り替えにはペダルスイッチを用いた。
【0049】
次いで、この袋詰装置を用いてセメントの袋詰を行った。
まず、セメントを25kg計量し、ホッパーに投入した。次いで、セメント25kg用クラフト紙袋の充填口をノズルに押し込むように取り付けた。
このクラフト紙袋の取り付けに問題ないことを確認した後、足踏み式スイッチによりスクリューコンベア駆動用の電動機を駆動し、さらにクラッチのスイッチを入れてスクリューコンベアを駆動し、袋詰を行った。
【0050】
ホッパ内のセメントが全てクラフト紙袋内に充填された時点で、クラッチのスイッチを切り、スクリューコンベアを停止した。併せて、スクリューコンベア駆動用の電動機も停止した。次いで、セメント25kg用クラフト紙袋をノズルより抜き出すように取り外した。このとき、セメント25kg用クラフト紙袋の充填口は紙が二重となったような構造をしているので、充填されたセメントにより圧密されて押し出され、口を閉じるように密閉化された。最後に、この袋の重量を台秤で確認し、袋詰作業を完了した。
【0051】
本実施例によれば、ホッパに事前に25kgのセメントを計量して投入し、スクリューコンベアを駆動させてホッパ内のセメントを全てセメント25kg用のクラフト紙袋へ充填したので、ホッパ内にセメントが残留することなく、全てのセメントをクラフト紙袋に充填することができた。時間的には、1袋の袋詰を大凡5分間程度で行うことができた。
【0052】
(実施例2)
本実施形態の粉粒体の袋詰装置を用い、粉粒体としては早強ポルトランドセメントを用いた。ただし、袋受け台6には、セメントの重量を測定し表示する計量装置を取り付けた。
【0053】
この袋詰装置を用いてセメントの袋詰を行った。
まず、ホッパにセメントをほぼ一杯に投入した。これにより、ホッパ内にはセメント25kg袋1袋を超過する量のセメントが貯留された。
次いで、セメント25kg用クラフト紙袋の充填口をノズルに押し込むように取り付けた。
このクラフト紙袋の取り付けに問題ないことを確認した後、足踏み式スイッチによりスクリューコンベア駆動用の電動機を駆動し、さらにクラッチのスイッチを入れてスクリューコンベアを駆動し、袋詰を行った。
【0054】
この袋詰の間、計量装置7にてクラフト紙袋に投入されるセメントの量を確認しながら袋詰を行った。この計量装置7が25kgを示したら、クラフト紙袋内に25kgのセメントが投入されたと判断し、この時点でクラッチのスイッチを切り、スクリューコンベアを停止した。併せて、スクリューコンベア駆動用の電動機も停止した。
次いで、セメント25kg用クラフト紙袋をノズルより抜き出すように取り外し、袋詰作業を完了した。
その後、以上の過程を繰り返し行い、数袋のクラフト紙袋にセメントを連続して袋詰した。
【0055】
本実施例によれば、ホッパにセメントをほぼ一杯に投入し、スクリューコンベアを駆動させてホッパ内のセメントをクラフト紙袋に投入し、この間、計量装置7にてクラフト紙袋に投入されるセメントの量を確認し、計量装置7が25kgを示した時点で袋詰を停止したので、数袋の袋詰作業を連続して行うことができた。
【0056】
(実施例3)
本実施形態の粉粒体の袋詰装置を用い、粉粒体としては早強ポルトランドセメントを用いた。ただし、袋受け台6には、セメントの重量を測定し、セメントの重量が所定の重量に達したときに制御装置を介して自動的にスクリューコンベア2及び電動機4を停止する計量装置7を取り付けた。
【0057】
この袋詰装置を用い、実施例2と同様にしてセメントの袋詰を行った。
ただし、袋詰の間、計量装置7にてクラフト紙袋に投入されるセメントの量を逐次測定し、測定値が25kgに達したら、計量装置7が自動的にクラフト紙袋内に25kgのセメントが投入されたと判断し、この時点でクラッチのスイッチを切り、スクリューコンベアを停止した。併せて、スクリューコンベア駆動用の電動機も停止した。
次いで、セメント25kg用クラフト紙袋をノズルより抜き出すように取り外し、袋詰作業を完了した。
その後、以上の過程を繰り返し行い、数袋のクラフト紙袋にセメントを連続して袋詰した。
【0058】
本実施例によれば、計量装置7が自動的にセメントの重量を測定し、セメントの重量が所定の重量に達したときに制御装置を介して自動的にスクリューコンベア2及び電動機4を停止したので、袋詰作業をシステム化することができ、袋詰作業をさらに簡素化することができ、能率も向上した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態の粉粒体の袋詰装置を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態の粉粒体の袋詰装置のホッパの長手方向に沿う断面を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の粉粒体の袋詰装置のホッパの長手方向の断面を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の粉粒体の袋詰装置のスクリューを示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の粉粒体の袋詰装置のスクリューの要部を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態の粉粒体の袋詰装置のスクリューの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ホッパ
2 スクリューコンベア
2a 先端部
3 ノズル
4 電動機
5 足踏み式の切り替えスイッチ
6 袋受け台
7 計量装置
8 フレーム
9 袋
11 筐体
12 開口
13 開口
21 筒体
22 スクリュー
31 鋼棒
31a 先端部
31b 後端部
32 コイルスプリング
41 突起
42 コイルスプリング固定用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小ロットの粉粒体を袋詰する装置であって、
粉粒体を貯留するホッパと、このホッパの下部に設けられ該ホッパ内の粉粒体を搬送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの先端部に設けられ前記粉粒体を収納する袋を着脱可能とするとともに前記スクリューコンベアから搬送される粉粒体を前記袋内に投入するノズルと、前記スクリューコンベアを駆動する駆動手段とを備えてなることを特徴とする粉粒体の袋詰装置。
【請求項2】
前記ノズルの下方に、前記袋に投入される粉粒体の重量を測定する重量測定手段を設けてなることを特徴とする請求項1記載の粉粒体の袋詰装置。
【請求項3】
前記ノズルを前記スクリューコンベアに同軸的に設け、かつ、これらスクリューコンベア及びノズルを略水平に配置してなることを特徴とする請求項1または2記載の粉粒体の袋詰装置。
【請求項4】
前記スクリューコンベアは、前記ホッパに連通する部分に開口が形成された長尺の筒体と、この筒体内に配置され前記ホッパに貯留される粉粒体を前記筒体の先端部へ向けて搬送するスクリューとを備え、
このスクリューは、棒状体と、この棒状体の外周面に巻回されかつ固定されたコイルスプリングとを備えてなることを特徴とする請求項1、2または3記載の粉粒体の袋詰装置。
【請求項5】
前記スイッチは足踏み式スイッチであり、
この足踏み式スイッチをオン/オフすることにより前記駆動手段を介して前記スクリューコンベアを作動/停止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の粉粒体の袋詰装置。
【請求項6】
前記ホッパの容量は1.0m以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の粉粒体の袋詰装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の粉粒体の袋詰装置を用いて小ロットの粉粒体を袋詰する方法であって、
前記ホッパに粉粒体を貯留するとともに前記ノズルに前記袋を装着し、前記スクリューコンベアを駆動させることにより前記ホッパ内の粉粒体を搬送して前記袋内に投入し、この袋に投入される粉粒体の重量が所定の重量に達したときに前記スクリューコンベアを停止し、前記袋を前記ノズルから取り外すことを特徴とする粉粒体の袋詰方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261612(P2007−261612A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87096(P2006−87096)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】