説明

粉粒体供給機の材料供給方法及び粉粒体供給機

【課題】 電気的な制御を行うことなく後設機器の状況に拘わらず、粉粒体供給機を連続的に運転することができる粉粒体供給機の材料供給方法を提供すること。
【解決手段】 粉粒体が粉粒体供給通路内に密に充満した状態で水平回転テーブルを一定速度で回転駆動し、粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の粉粒体との摩擦力をF1[N]、水平回転テーブルの上面と該上面上の粉粒体との摩擦力をF2[N]、内筒内部から粉粒体を粉粒体供給通路内へ送り出す力をF0[N]としたとき、F1<F2 の状態のときF0>0、即ち、内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しを行い、F1≧F2の状態のときF0=0、即ち、内筒から上記粉粒体供給通路への粉粒体の送り出しを停止する方法により粉粒体材料を粉粒体供給機から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気的な制御を必要とせず、後設機器への粉粒体の搬送状況に対応して排出量を制御することができる粉粒体供給機の材料供給方法及びその方法に使用する粉粒体供給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の粉粒体供給機は、機枠に台盤を設け、台盤の中心部に直立回転軸を設け、該回転軸の上端部に水平回転テーブルを設け、台盤の外周に直立円筒を立設し、直立円筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平板の内周に粉粒体原料投入用内筒を固定し、該内筒の下端と上記回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記直立円筒の内側に外筒を固定し、該外筒の下端を上記回転テーブルの上面に摺接して内外筒間に粉粒体供給通路を形成し、かつ該回転テーブルの上面に摺接し両端部を内筒の内面に固定した案内スクレーパを設け、上記通路の外側に面した下向排出口を設け、該通路に上記排出口に向う排出スクレーパを設けた(特許文献1)。
【0003】
上記粉粒体供給通路内の水平回転テーブル上には内筒内部から材料排出間隙を経て粉粒体が安息角βを形成して、内外筒間の粉粒体供給通路内に送り出され、該通路内の粉粒体は上記回転テーブルの回転によって回動し、排出スクレーパによって下向供給口(排出口)に供給された(特許文献1)。
【0004】
また、上記水平回転テーブルに代えて上記台盤上において上記直立回転軸に複数の回転羽根を設け、当該回転羽根の回転によって上記粉粒体供給通路内の粉粒体を上記排出口に搬送するものであった(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−29774
【特許文献2】特開2001−278453
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記粉粒体供給機の後設機器において粉粒体の詰まり等が発生した場合において、仮に、水平回転テーブル或いは回転羽根の回転を継続した場合、上記粉粒体供給通路内において粉粒体の排出口方向への搬送が継続されるため、粉粒体の圧密現象が生じ、トラブルの原因となる可能性がある。
【0007】
これを未然に防止するために、例えば、粉粒体供給機の排出シュートに粉粒体材料のレベル計或いはセンサーを設け、粉粒体の堆積レベルが所定のレベル以上になった場合は、それを電気的に検出し、上記回転テーブル或いは回転羽根の回転駆動を停止する等の制御を行うことが行われている。
【0008】
しかしながら、このような電気的制御装置を付加すると、粉粒体供給機が高価になるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、電気的な制御を行うことなく、後設機器への粉粒体の搬送状況に拘わらず、粉粒体供給機を連続的に運転することができる粉粒体供給機の材料供給方法及びそれに使用する粉粒体供給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は、
【0011】
第1に、機枠に水平台盤を設け、上記水平台盤の中心部に直立回転軸を設け、該直立回転軸の上端部に水平回転テーブルを設け、上記直立回転軸の駆動電動機を設け、上記水平台盤の外周に外筒を立設し、該外筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記水平回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記内外筒間に環状の粉粒体供給通路を形成し、上記粉粒体供給通路に面した排出口を設け、上記水平回転テーブルを一定速度で回転することにより、上記内筒内から上記粉粒体供給通路内に粉粒体を送り出すと共に上記粉粒体供給通路内の上記粉粒体を上記排出口まで搬送し、該排出口から上記粉粒体を後設機器に対して排出する粉粒体供給機の材料供給方法において、上記粉粒体供給機の上記粉粒体の上記排出口からの排出能力を、上記後設機器の粉粒体の処理能力より大きいか又は等しくすると共に、上記粉粒体が上記水平回転テーブルの上面及び上記粉粒体供給通路内に密に充満した状態で上記水平回転テーブルを一定速度で回転駆動し、かかる運転状態において、上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力をF1[N]、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力をF2[N]、上記内筒内部から上記粉粒体を上記粉粒体供給通路内へ送り出す力をF0[N]としたとき、
F1<F2 の状態のとき F0>0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しを行い、
F1≧F2 の状態のとき F0=0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しを停止することを特徴とする粉粒体供給機の材料供給方法により構成される。
【0012】
上記粉粒体供給機の排出能力は、例えば粉粒体供給機(20)の粉粒体の単位時間当たりの排出量(Q1[kg/時間])をいう。上記後設機器の粉粒体の処理能力は、例えば後設機器が粉粒体の押出成形機(14)であるとすると、該成形機(14)の粉粒体の単位時間当たりの押出量(Q2[kg/時間])をいう。上記水平回転テーブルの一定速度の回転は例えば一定角速度の回転をいう。上記粉粒体供給通路の壁面とは、例えば上記粉粒体供給通路(9)を構成する内筒(8)の外面(8a)、外筒(6)の内面(6a)をいう。かかる粉粒体供給機の材料供給方法によると、通常の運転状態においては、上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力F1[N]よりも、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力F2[N]が大きいので(F1<F2)、上記水平回転テーブルの一定速度の回転に基いて上記内筒内部から上記粉粒体供給通路内へ粉粒体の送り出しが行われ、粉粒体供給機から粉粒体の排出が持続的に行われる。ここで、例えば後設機器において粉粒体の材料の詰まり等が発生した場合、粉粒体供給機から後設機器への粉粒体の供給経路(X)に粉粒体が充満して行き、粉粒体の搬送方向の流れが停滞することにより、上記粉粒体供給通路内において粉粒体の架橋現象が発生し、該通路の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力F1[N]よりも、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力F2[N]が小さくなると(F1≧F2)、水平回転テーブルが自動的に空回りの状態となる。この状態においては、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出は自動的に停止される。上記後設機器における粉粒体の詰まりが解除されて上記供給経路(X)における上記粉粒体の搬送の流れが再び発生すると、上記粉粒体供給通路内の粉粒体の排出口方向の流れが回復し、これにより上記架橋現象が崩れ、上記水平回転テーブルは依然として定速回転しているので、これにより上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力F1[N]よりも上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力F2[N]が大きい状態に復帰し(F1<F2)、上記粉粒体供給機から上記粉粒体の排出動作が自動的に再開される。従って、例えば後設機器側において粉粒体の詰まり等が発生して粉粒体の搬送の流れが停止したとしても、水平回転テーブルを定速回転している状態において、粉粒体供給機側においては自動的に粉粒体の排出が停止されるため、粉粒体供給機において水平回転テーブルを停止する等の制御を行う必要はない。
【0013】
第2に、上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が行われている状態においては、F1<F2 の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作を持続し、上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が停止した状態においては、F1≧F2 の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作を自動的に停止する上記第1記載の粉粒体供給機の材料供給方法により構成される。
【0014】
上記粉粒体の供給経路は、例えば後設機器として押出成形機(14)とすると、排出口(10)から排出シュート(12)、投入シュート(13)、及び押出成形機(14)の投入口(15)に至る供給経路(X)をいう。かかる材料供給方法によると、粉粒体供給機から後設機器に至る粉粒体の供給経路において、例えば粉粒体の詰まり等が発生し粉粒体の搬送が停止した場合であっても、水平回転テーブルを一定速度で回転している状態において、粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作が自動的に停止されるため、粉粒体供給機側において水平回転テーブルの回転を停止する等の制御を行う必要はない。
【0015】
第3に、上記ドーナツ型水平円板の下側における上記粉粒体供給通路内に、上記ドーナツ型水平円板と同形状の可動式水平円板を昇降自在に配設し、該可動式水平円板を上記粉粒体供給通路内において昇降させることにより、当該粉粒体供給通路内において上記粉粒体を密に充満させる上記第1又は2記載の粉粒体供給機の材料供給方法により構成される。
【0016】
かかる材料供給方法によると、粉粒体の物性に応じて可動式水平円板を例えば下降させることにより、粉粒体供給通路内において粉粒体が密に充満した状態に設定することができ、各種の物性の粉粒体に対応することができる。
【0017】
第4に、機枠に水平台盤を設け、上記水平台盤の中心部に直立回転軸を設け、該直立回転軸の上端部に水平回転テーブルを設け、上記直立回転軸の駆動電動機を設け、上記水平台盤の外周に外筒を立設し、該外筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記水平回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記内外筒間に環状の粉粒体供給通路を形成し、上記粉粒体供給通路に面した排出口を設け、上記水平回転テーブルを一定速度で回転することにより、上記内筒内から上記粉粒体供給通路内に粉粒体を送り出すと共に上記粉粒体供給通路内の上記粉粒体を上記排出口まで搬送し、該排出口と後設機器とを接続する粉粒体の供給経路を設け、上記排出口から排出された粉粒体を上記供給経路を通して上記後設機器に供給する粉粒体供給機の材料供給方法において、上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力をF1[N]、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力をF2[N]としたとき、上記粉粒体供給機の上記粉粒体の上記排出口からの排出能力Q1[kg/時間]を、上記後設機器の粉粒体の処理能力Q2[kg/時間]より大きいか又は等しくした状態で上記水平回転テーブルを一定速度で回転駆動し、これにより上記供給経路内に粉粒体を充満させて行き、上記供給経路内に充満した粉粒体が上記排出口から上記粉粒体供給通路内にせり出すことにより、該粉粒体供給通路内に粉粒体の架橋現象を発生させ、これによりF1≧F2の状態を作り出して上記水平回転テーブルを粉粒体に対してスリップさせて粉粒体の上記排出口からの排出を停止し、この粉粒体の排出停止の状態において、一時的に上記後設機器の粉粒体の処理能力Q2[kg/時間]が上記粉粒体供給機の粉粒体の排出能力Q1[kg/時間]より大きい状態を作り出し、上記供給経路内の粉粒体が上記後設機器の方向に搬送されて行くことにより、上記粉粒体供給通路内の上記架橋現象を崩壊させ、これによりF1<F2の状態を作り出して上記水平回転テーブルの回転に基づいて粉粒体の上記排出口からの排出を再開し、以降は上記粉粒体供給通路内において、上記架橋現象が発生した上記F1≧F2の上記状態と、上記架橋現象が崩壊した上記F1<F2の上記状態を交互に発生させることにより、上記粉粒体供給機の上記排出口からの排出状態と排出停止状態とを交互に繰り返し行うことを特徴とする粉粒体供給機の材料供給方法により構成される。
【0018】
第5に、機枠に水平台盤を設け、上記水平台盤の中心部に直立回転軸を設け、該直立回転軸の上端部に水平回転テーブルを設け、上記直立回転軸の駆動電動機を設け、上記水平台盤の外周に外筒を立設し、該外筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記水平回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記内外筒間に環状の粉粒体供給通路を形成し、上記粉粒体供給通路に面した排出口を設け、上記水平回転テーブルを一定速度で回転することにより、上記内筒内から上記粉粒体供給通路内に粉粒体を送り出すと共に上記粉粒体供給通路内の上記粉粒体を上記排出口まで搬送し、該排出口から上記粉粒体を後設機器に対して排出する構成の粉粒体供給機において、上記粉粒体供給機の上記粉粒体の上記排出口からの排出能力を、上記後設機器の粉粒体の処理能力より大きいか又は等しくすると共に、上記粉粒体が上記水平回転テーブルの上面及び上記粉粒体供給通路内に密に充満した状態で上記水平回転テーブルを一定速度で回転駆動し得るように構成し、かかる状態において、上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力をF1[N]、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力をF2[N]、上記内筒内部から粉粒体を上記粉粒体供給通路内へ送り出す力をF0[N]としたとき、
F1<F2 の状態のとき F0>0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しが行われ、
F1≧F2 の状態のとき F0=0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しが停止されるように構成したものであることを特徴とする粉粒体供給機により構成される。
【0019】
第6に、上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が行われている状態においては、F1<F2の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作が持続され、上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が停止した状態においては、F1≧F2の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作が自動的に停止されるものであることを特徴とする上記第5記載の粉粒体供給機により構成される。
【0020】
第7に、上記ドーナツ型水平円板の下側における上記粉粒体供給通路内に、上記ドーナツ型水平円板と同形状の可動式水平円板を昇降自在に配設し、該可動式水平円板を上記粉粒体供給通路内において昇降させることにより、当該粉粒体供給通路内において上記粉粒体を密に充満し得るように構成したものであることを特徴とする上記第5又は6記載の粉粒体供給機により構成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように、粉粒体供給機から粉粒体を後設機器に供給する場合、後接機器側の粉粒体の搬送状況に応じて、粉粒体供給機から後設機器への粉粒体の排出動作の停止、該排出動作の再開が自動的に行われるため、後設機器までの粉粒体の状況に関係なく、粉粒体供給機の連続運転が可能となる。
【0022】
また、粉粒体供給機において排出量の電気的な制御を行う必要がないため、後設機器の粉粒体の搬送状況に応じて粉粒体の排出を自動的に停止或いは再開する機能を具備した粉粒体供給機の材料供給方法又は粉粒体供給機を極めて安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る粉粒体供給機の材料供給方法における粉粒体供給機を示し、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。
【図2】同上材料供給方法における粉粒体供給機を示し、(イ)は図1(ロ)のA−A線断面図、(ロ)は図1(イ)のB−B線断面図である。
【図3】可動式水平円板を具備した同上粉粒体供給機の側面断面図である。
【図4】同上粉粒体供給機において、粉粒体が密に充満した状態での運転状況を示す同上供給機の側面断面図である。
【図5】同上粉粒体供給機に後設機器として押出成形機を接続した状態を示す同上供給機の側面図である。
【図6】同上粉粒体供給機の材料供給方法における摩擦力F1,F2と粉粒体の送り出す力F0との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1、図2に示すものは、本発明に係る粉粒体供給機20であり、機枠1の中心部に縦型減速電動機(駆動電動機)2を設け、機枠1の上部に水平台盤3を水平に設け、上記電動機2の直立回転軸4の上端にフランジ4’を設け、該フランジ4’に水平回転テーブル5を設け、該水平回転テーブル5を上記水平台盤3上に回転可能に配置する。
【0025】
上記水平台盤3の外周には直立円筒としての外筒6の下端フランジ6’をボルトで固定し、該外筒6の上端にドーナツ形水平円板7の外周を溶着し、該水平円板7の内周に粉粒体材料投入用の内筒8の外周中程を溶着し、該内筒8の下端8’と上記水平回転テーブル5の上面との間には材料(粉粒体)の排出間隙tを介在させ、上記内筒8と上記外筒6間に円環状の粉粒体供給通路9を形成する。従って、当該粉粒体供給通路9は、上記内筒8の外面8a、上記外筒6の内面6a、上記水平円板7の内面7aによって囲まれており、下部に上記水平回転テーブル5の上面5aが位置している構成となっている。
【0026】
尚、上記内筒8の外面8a及び外筒6の内面6a、或いは、上記内筒8の外面8a及び外筒6の内面6a及びドーナツ形水平円板7の内面7a、を粉粒体供給通路9の壁面Wという。さらに、上記外筒6の周壁の一部を切欠いて切欠部6aを形成すると共に、上記粉粒体供給経路9の外側に面した下向きの排出口10を形成し、該排出口10はコ形直立板10’の両端を上記切欠部6aに溶着してなり、上記コ形直立板10’の上面は上記水平円板7を延長して延長板7’にて閉鎖状態とする。
【0027】
また、上記粉粒体供給通路9における上記内筒8の外面8aと上記外筒6の内面6a間には円環状(ドーナツ形)の可動式水平円板11を設け(図3参照)、当該円板11の上面複数箇所に駆動螺杆11aを一定間隔で固定し、これら駆動螺杆11aの上端を上記水平円板7を貫通して当該水平円板7上に突出し、上記螺杆11aに上記水平円板7上面側に螺合したナットNによって抜け止め状態とする。
【0028】
この可動式水平円板11は上記ナットNを回転させることにより上下方向に昇降調整可能となっている。従って、上記可動式水平円板11を上下に昇降調整することにより、上記水平円板11の内面11bと上記水平回転テーブル5の上面5aとの間隔、即ち、上記粉粒体供給通路9の上下幅Tを増減調整し得るように構成されている。
【0029】
上記円環状の可動式水平円板11は、搬送する粉粒体Pの材質等の物性によっては使用しなくても良いが、粉粒体Pの物性に応じて、上記粉粒体供給通路9内に粉粒体Pを圧密状態に設定するために使用されるものである。
【0030】
上記排出口10には、図2に示すように、筒状の排出シュート12が接続され、さらに該は移出シュート12の下端には投入シュート13を介して後設機器が接続される。本実施形態では後設機器としてプラスチックの押出成形機14を接続するものとする(図5参照)。
【0031】
上記投入シュート13の排出フランジ13aは押出成形機14の材料投入口15のフランジ15aに接続され、上記粉粒体供給機20から排出された粉粒体P(本実施形態の場合は廃プラスチックのチップ)は上記押出成形機14に上記材料投入口15から投入されるように構成されている。ここで、上記排出口10から排出シュート12、投入シュート13、及び押出成形機14の投入口15に至る粉粒体Pの搬送経路を供給経路Xという。
【0032】
上記押出成形機14は上記材料投入口15の直下から水平方向にスクリューコンベア16が設けられており、上記投入口15から投入された粉粒体は上記スクリューコンベア16の筺体外壁に設けられたヒータ(図示せず)によって加熱されながら水平に送られ、先端部の押出ダイス17によって長尺状に押出成形される。上記スクリューコンベア15内において粉粒体Pは、上記コンベア15内の上記投入口15近傍からコンベアの略中間位置までは強く圧縮されながら搬送され、上記コンベア15の略中間位置以降においてヒータによって加熱されて徐々に溶融されて行き、上記押出ダイス17直前位置において完全溶融して該押出ダイス17に導入されていく。
【0033】
次に上述のように構成される本発明に係る粉粒体供給機20の運転方法(材料供給方法)について説明する。
【0034】
尚、以下の説明において、Q1,Q2,F0,F1,F2について次のように定義を行う。
【0035】
Q1[kg/時間]:粉粒体供給機20の排出能力としての粉粒体の排出量(単位時間当たりの粉粒体の排出量)
Q2[kg/時間]:押出成形機14の粉粒体の処理能力(搬送能力)としての粉粒体の押出量(単位時間当たりの粉粒体の押出量)
F0[N]:粉粒体供給機20の内筒8内部から粉粒体供給通路9へ粉粒体を送り出す力[N]
F1[N]:粉粒体供給機20の壁面Wと粉粒体供給通路9内の粉粒体Pとの摩擦力[N]
F2[N]:粉粒体供給機20の水平回転テーブル5の上面5aと粉粒体Pとの摩擦力[N]
【0036】
上記構成の本発明に係る粉粒体供給機20は、上記電動機2を駆動することにより、上記水平回転テーブル5を一定角速度(一定速度)にて矢印A方向に回転させ、かかる回転状態において、粉粒体P(本実施形態の場合は廃プラスチックのチップとする)を、上記内筒8内に上面開口8bより投入する。投入された粉粒体Pは、上記水平回転テーブル5の回転により、上記内筒8下端の上記排出間隔tから一定の安息角β(図2(ロ)参照)を以って粉粒体供給通路9方向に送り出され、該供給通路9内に送り出された粉粒体Pは当該通路9内において、上記水平回転テーブル5の回転によって矢印A方句に徐々に搬送され、排出口10に到達し、当該排出口10から下方に落下供給され、上記排出シュート12及び投入シュート13等の供給経路Xを通って上記押出成形機14内にその投入口15から投入される。
【0037】
そして、上記押出成形機14内に投入された粉粒体Pは、スクリューコンベア16によって押出ダイス17方向に運搬され、上記スクリューコンベア16内の中間位置付近までは強く圧縮されながら搬送されていく。
【0038】
(1)初期設定
ここで、上記押出成形機14の粉粒体の処理能力(搬送能力)としての押出量をQ2[kg/時間]とし、上記粉粒体供給機20の粉粒体の排出能力としての排出量をQ1[kg/時間]とすると、[Q1≧Q2]となるように上記粉粒体供給機20及び上記押出成形機14を運転する。
【0039】
即ち、上記押出成形機14の搬送能力としての粉粒体Pの押出量Q2[kg/時間]より、上記粉粒体供給機20の排出能力としての粉粒体Pの排出量Q1[kg/時間]を等しいか、或いは、大として上記粉粒体供給機20及び上記押出成形機14を運転する。よって、上記押出成形機14での粉粒体の処理能力に等しいか、或いは、当該処理能力を上回る排出能力で粉粒体供給機20の駆動電動機2を駆動する。具体的には所定の一定角速度にて上記水平回転テーブル5を連続的に定速回転する。
【0040】
すると、上記押出成形機14の搬送能力としての押出量Q2[kg/時間]よりも多くの粉粒体Pが上記供給経路Xを介して上記スクリューコンベア16内に充填されていくので、上記粉粒体Pは、上記スクリューコンベア16、上記投入口15、上記投入シュート13、上記排出シュート12内(供給経路X内)に徐々に充満して行き、さらには上記排出口10及び上記粉粒体供給通路9の全体において粉粒体Pが密に充満した図4のような状態となる。
【0041】
このような密に充満した状態では、上記粉粒体供給通路9内において、粉粒体Pは上記内筒8の外面8a及び外筒6の内面6a、或いは、粉粒体Pは上記内筒8の外面8a、外筒6の内面6a、及びドーナツ形水平円板7の内面7aに所定の圧力にて密に接触した状態となり、さらに上記供給通路9内及び内筒8内の粉粒体Pは上記水平回転テーブル5の上面5a全体に密に接触した状態となる。尚、以下の説明において、図4に示す状態でのこのような状態を「密に充満した状態」、当該状態での運転を「密に充満した状態での運転」という。
【0042】
そして、上記「密に充満した状態での運転」においては、上記粉粒体Pは、上記粉粒体供給通路9の上記壁面Wとの摩擦力F1[N]と、上記水平回転テーブル5の上面5aとの摩擦力F2[N]との力関係によって、粉粒体Pの排出が行われるか否かが決定されるようになる。尚、上記「密に充満した状態」を設定するには、上述のように粉粒体供給機20を実際に運転することによって設定しても良いし、上記ドーナツ形水平円板7を開けて、上記内筒8及び粉粒体供給通路9内に粉粒体を投入することによって設定しても良い。
【0043】
本発明に係る粉粒体供給機20は、図4に示すように、粉粒体Pが粉粒体供給通路9、排出口10、排出シュート12、さらには後設機器の投入シュート13、及びスクリューコンベア16内に「密に充満した状態での運転」を行うものである。
【0044】
次に、本発明に係る粉粒体供給機20の上記「密に充満した状態での運転」の特性について説明する。
【0045】
また、以下の説明において、上記押出成形機14の押出量Q2[kg/時間]と、上記粉粒体供給機20の排出量Q1[kg/時間]との関係は、常時、上記(1)の初期設定[Q1≧Q2]の状態で、上記水平回転テーブル5が一定角速度を維持した定速回転状態で連続運転がなされているものとする。従って、以下の動作において、上記水平回転テーブル5は上記電動機2によって一定角速度で連続的に定速回転駆動されており、回転が停止したり増減速されることはない。
【0046】
(2)粉粒体供給機20にて粉粒体Pを排出可能な状態(F0>0、図6のエリア(a)の状態)
上記「密に充満した状態での運転」では、上記押出成形機14においては上記スクリューコンベア16によって粉粒体Pは常時押出ダイス17の方向に搬送されているので、上記粉粒体供給機20側においても、その排出口10から押出成形機14の方向に粉粒体Pが徐々に定量的に排出されている状態となっている。
【0047】
よって、粉粒体供給機20の上記水平回転テーブル5の一定角速度の定速回転によって、内筒8内の粉粒体Pは粉粒体供給通路9方向に徐々に送り出され、上記粉粒体供給通路9内の粉粒体Pは上記水平回転テーブル5の矢印A方向の回転によって同方向に搬送されて行き、上記排出口10から上記排出シュート12及び上記投入シュート13を通って上記押出成形機14内に定量的に投入されていく。
【0048】
ここで、かかる粉粒体Pの搬送状態において、粉粒体Pと粉粒体供給機20内の摩擦力F1,F2の関係を検討する。
【0049】
上述のように、上記後設機器14の上記スクリューコンベア16にて粉粒体Pが順調に運搬処理され、上記粉粒体供給機20の排出口10から粉粒体Pが定量的に排出されている状況においては、上記粉粒体供給通路9において、上記粉粒体供給通路9内で密な状態の粉粒体Pはその壁面Wとの摩擦力F1に拘わらず、上記水平回転テーブル5の矢印A方向の上記定速回転に伴って全体として矢印A方向に移動している状態であるので、上記摩擦力F1とF2の力関係は、
[粉粒体Pと上記水平回転テーブル5の上記上面5aとの摩擦力F2[N]]
>[粉粒体Pと上記壁面Wとの摩擦力F1[N]]
の状態、即ち、[F1<F2]となっている(図6のエリア(a)の状態)。
【0050】
この結果、上記水平回転テーブル5の上記定速回転に基づいて、当該回転テーブル5の上面5a上に密に接している上記粉粒体Pは、上記材料排出間隔tを介して、上記内筒8内から上記粉粒体供給通路9に送り出されて行き、さらに、上記粉粒体供給通路9内において上記水平回転テーブル5の上記定速回転により矢印A方向に運搬され、上記排出口10から上記押出成形機14に向けて定量的に排出されて行く。
【0051】
このように、上記粉粒体供給機20において、上記内筒8内部から上記粉粒体供給通路9へ粉粒体Pを送り出す力F0[N]は、
上記摩擦力が、[F1<F2]のとき[F0>0]
【0052】
即ち、上記力F0[N]が0より大となり、上記内筒8内部から上記粉粒体供給通路9に粉粒体Pが送り出される状態となる。よって、上記粉粒体供給通路9に送り出された粉粒体Pは、上記水平回転テーブル5の上記定速回転に基づいて排出口10へ搬送され、粉粒体供給機20から粉粒体Pが定量排出される(図6のエリア(f)(g)の状態)。
【0053】
従って、上記粉粒体Pは後設機器としての上記押出成形機14に投入され、上記スクリューコンベア16によって圧縮されながら搬送されて行き、同コンベア16の外壁に設けられたヒータによって加熱されて溶融され、先端部の上記押出ダイス17によって長尺状に押出成形される。
【0054】
(3)粉粒体供給機20にて粉粒体Pの排出停止の状態(F0=0、図6のエリア(b)(c)(d)の状態)
そして、上記粉粒体供給機20の粉粒体Pの排出能力(排出量)Q1[kg/時間]は後設機器の処理能力(搬送能力)Q2[kg/時間]より大又は等しいので(Q1≧Q2の状態)、上記押出成形機14の搬送能力としての押出量Q2[kg/時間]よりも多くの粉粒体Pが上記スクリューコンベア16内に充填されていく。よって、上記粉粒体Pは、引き続いて上記スクリューコンベア16、上記投入口15、上記投入シュート13、上記排出シュート12内(供給経路X内)に充満して行き、さらには上記粉粒体供給機20の上記排出口10を介して上記粉粒体供給通路9までせり出してくる。
或いは、後設機器において、上記スクリューコンベア16が何らかのトラブルで停止し、或いは、何らかの原因でスクリューコンベア16内において粉粒体Pの搬送が停止した場合も、引き続いて上記排出口10から上記粉粒体Pは上記供給経路X内に供給されていくので、同様に、上記粉粒体Pは、引き続いて上記スクリューコンベア16、上記投入口15、上記投入シュート13、上記排出シュート12内(供給経路X内)に充満して行き、さらには上記粉粒体供給機20の上記排出口10を介して上記粉粒体供給通路9までせり出してくる。
【0055】
このような場合、粉粒体供給機20の排出口10において粉粒体Pの排出シュート12方向への流れも停滞又は停止する。従って、上記粉粒体Pは水平回転テーブル5の一定角速度の定速回転により、当初は粉粒体供給通路9内において矢印A方向に搬送されていくが、上記排出口10近傍にて粉粒体Pの流れが停滞又は停止するので、当該排出口10近傍にて粉粒体Pの圧密状態が発生し、これにより内筒8の外面8aと外筒6の内面6a間に粉粒体Pのブリッジが発生し、粉粒体Pの重量が上記外面8aと内面6aに作用し、該粉粒体Pの重量が水平回転テーブル5の上面5aに殆ど作用しない状態、いわゆる架橋現象が発生し、上記粉粒体Pと上記壁面Wとの摩擦力F1が大きくなる。このとき、上記排出口10付近においては、水平回転テーブル5と粉粒体Pとの摩擦力F2は静摩擦力から動摩擦力へ、壁面Wと粉粒体Pの摩擦力F1は動摩擦力から静摩擦力へと変化して行く。
【0056】
そして、かかる架橋現象が上記粉粒体供給通路9の略全体に発生すると、上記粉粒体Pと水平回転テーブル5との摩擦力F2[N]は非常に小さくなるため、上記粉粒体供給通路9内の粉粒体Pは、上記壁面Wとの摩擦力F1[N]が上記水平回転テーブル5の上面5aとの摩擦力F2を等しいか上回った状態となり、結果として粉粒体Pと上記壁面Wとの摩擦力F1[N]によって粉粒体Pの矢印A方向の搬送が停止する。
【0057】
即ち、上記水平回転テーブル5は継続的に一定角速度での回転を持続しているにも拘わらず、粉粒体Pの矢印A方向の搬出が行われない状態、即ち、水平回転テーブル5の空回り(スリップ)が発生した状態となる。
【0058】
具体的には、粉粒体Pを内筒8内から粉粒体供給通路9に送り出す力F0が徐々に低下して行き(図6のエリア(g)参照)、最終的にF1≧F2の状態になると粉粒体Pの送り出しが停止する(図6のエリア(h)参照)。
【0059】
このときの上記摩擦力F1,F2の力関係は、
[粉粒体Pと壁面Wとの摩擦力F1]
≧[粉粒体Pと上記水平回転テーブル5との摩擦力F2]
の状態、即ち、F1≧F2、となり(図6のエリア(b)(c)(d)の状態)、かかる状態においては、上記水平回転テーブル5の上面5aにおける上記粉粒体Pが上記水平回転テーブル5の一定角速度の上記回転にも拘わらず移動しない状態となる。
【0060】
この状態では、上記粉粒体Pの上記内筒8内から上記粉粒体供給通路9への送り出しは行われないので、粉粒体供給機20の内筒8内部から粉粒体供給通路9へ粉粒体Pを送り出す力F0=0となる。
【0061】
よって、粉粒体供給機20の上記内筒8内部から上記粉粒体供給通路9へ粉粒体Pを送り出す力F0[N]は、
上記摩擦力が、「F1≧F2」のとき「F0=0」(図6のエリア(h))
【0062】
即ち、上記力F0が0となり、内筒8内部から上記粉粒体供給通路9に粉粒体Pが送り出されない状態となる。従って、上記水平回転テーブル5は矢印A方向の一定角速度の回転を継続しているにも拘わらず、上記粉粒体供給通路9内の粉粒体Pは排出口10へ搬送されず、粉粒体供給機20の排出口10から粉粒体Pが排出されない状態となる(図6(b)から(d)の状態)。
【0063】
このように、上述の[Q1≧Q2]の関係により、上記供給経路X内の粉粒体Pの後設機器14方向の流れが停滞し、或いは後設機器としての上記押出成形機14側の原因にて後設機器の側において粉粒体Pの詰まり等が発生し、上記供給経路X内において粉粒体Pの搬送(流れ)が停止し、上記架橋現象が発生した場合は、水平回転テーブル5は一定角速度での回転を維持しているにも拘わらず、粉粒体供給機20側にて自動的に排出口10からの粉粒体Pの排出が停止される。よって、上記後設機器14への粉粒体Pの搬送状況に応じて粉粒体供給機20の水平回転テーブル5を停止、減速する等の制御を行う必要はない。
【0064】
(4)粉粒体Pの排出停止状態(F0=0)から排出状態(F0>0)への回復(図6のエリア(e)の状態)
上述のように、上記粉粒体供給機20からの粉粒体Pの排出が停止した状態においては(Q1=0の状態)、排出シュート12への粉粒体Pの排出が停止されるので、上記後設機器14が正常に稼動している場合は、上記とは逆に、一時的に「粉粒体供給機の排出能力(排出量)Q1<押出成形機の処理能力(押出量)Q2」となる。従って、上記押出成形機14の正常運転時においては、該成形機14の運転によって排出シュート12及び投入シュート13内(供給経路X内)の粉粒体Pは、徐々に押出成形機14方向に送り出されて行くので、当該シュート12,13内(供給経路X内)の粉粒体Pは必然的に捌けて行き、従って、上記粉粒体供給機20の粉粒体供給通路9内の粉粒体Pも排出口10方向に動きはじめる。
【0065】
或いは、上記スクリューコンベア16内において、上記詰まりの原因が解消し、上記粉粒体Pの押出ダイス17方向への搬送が回復した場合は、上記投入シュート13及び排出シュート12(供給経路X)において押出成形機14への粉粒体Pの流れが再び発生し、上記粉粒体供給機20の排出口10においても排出シュート12方向への粉粒体Pの流れが生じる。
【0066】
そうすると、上記排出口10付近の粉粒体Pも排出口10方向の流れが生じるので、上記粉粒体供給通路9内の上記架橋現象は崩れ(崩壊し)、粉粒体供給通路9内の粉粒体Pの重量は上記壁面Wから上記水平回転テーブル5の上面5aに作用する。
よって、上記粉粒体Pと上記粉粒体供給機20との摩擦力の関係は、
[粉粒体Pと水平回転テーブル5との摩擦力F2]
>[粉粒体Pと上記壁面Wとの摩擦力F1]
即ち、F1<F2、となり(図6のエリア(e)の状態)、かかる状態においては、上記水平回転テーブル5の一定角速度の回転に基づいて、粉粒体Pは上記内筒8内から上記粉粒体供給通路9に再び送り出され、かつ、粉粒体供給通路9内において矢印A方向に搬送され、上記排出口10から粉粒体Pが上記押出成形機14に再び供給されていく。
【0067】
具体的には、上記摩擦力F1より上記摩擦力F2が徐々に大きくなっていき(図6のエリア(i)の状態)、粉粒体Pを内筒8内から粉粒体供給通路9に送り出す力F0は0から徐々に大きくなっていき(図6エリア(i))、これに従って粉粒体Pの搬送が徐々に回復していく(図6のエリア(i)から(j)の状態)。
【0068】
そして、上記水平回転テーブル5の上記定速回転が継続している状態において、上記内筒8内から上記粉粒体供給通路9への粉粒体Pの送り出しの再開は、上記押出成形機14側の粉粒体Pの搬送の回復に伴って自動的に行われるため、上記粉粒体供給機20側において、上記水平回転テーブル5の回転の増減速等の電気的制御を行う必要なない。
【0069】
以上のように、本発明に係る粉粒体供給機の材料供給方法によると、粉粒体が「密に充満した状態」で、水平回転テーブル5を一定角速度にて連続的に回転駆動している通常の運転状態(架橋現象は未発生)においては、上記粉粒体供給通路9内の壁面Wと該通路9内の上記粉粒体Pとの摩擦力F1よりも、上記水平回転テーブル5の上面5aと該上面5a上の上記粉粒体Pとの摩擦力F2が大きいので(図6のエリア(a)の状態)、上記内筒8内部から上記粉粒体Pを上記粉粒体供給通路9内へ送り出す力が作用し、その結果、粉粒体供給機20の排出口10から粉粒体Pの排出が持続的に行われる(図6エリア(f))。
【0070】
この状態において、例えば押出成形機14において、粉粒体Pの材料の詰まり等が発生した場合、粉粒体Pの上記押出成形機(後設機器)14への供給経路X内の搬送の流れが徐々に低下してゆき(図6のエリア(g))、該粉粒体Pの流れが停止すると、上記粉粒体供給通路9内において粉粒体Pの上記架橋現象が発生し、上記水平回転テーブル5の上記定速回転状態において、上記粉粒体供給通路9内の壁面Wと該通路9内の上記粉粒体Pとの摩擦力F1よりも、上記水平回転テーブル5の上面5aと該上面上の上記粉粒体Pとの摩擦力F2が等しいか又は小さくなるため(F1≧F2、図6のエリア(b)(c)(d)の状態)、上記水平回転テーブル5が自動的に空回り状態となる。よって、上記水平回転テーブル5は依然として定速回転しているにも拘わらず、この状態においては、上記粉粒体供給機20からの粉粒体Pの排出が自動的に停止される(図6のエリア(h))。
【0071】
上記押出成形機14における粉粒体Pの詰まりが解消されて上記供給経路Xに上記粉粒体Pの搬送の流れが徐々に発生すると(図6のエリア(i))、上記粉粒体供給通路9内の粉粒体Pの排出口10方向の流れが回復し、上記粉粒体供給通路9内の上記架橋現象も崩れるので、上記水平回転テーブル5の上記定速回転状態において、上記粉粒体供給通路9内の壁面Wと該通路9内の上記粉粒体Pとの摩擦力F1よりも、上記水平回転テーブル5の上面5aと該上面5a上の上記粉粒体Pとの摩擦力F2が大きい状態に復帰し(F1<F2、図6エリア(e)の状態)、上記粉粒体供給機20から上記粉粒体Pの排出動作が自動的に再開される(図6のエリア(i)(j)の状態)。
【0072】
このように、上記水平回転テーブル5の上記定速回転を持続している状態において、例えば後設機器14側において粉粒体Pの詰まり等が発生して粉粒体Pの搬送の流れが停止したとしても、粉粒体供給機20側においては自動的に粉粒体Pの排出が停止されるため、粉粒体供給機20において水平回転テーブル5を停止する等の制御を行う必要はない。
【0073】
また、後設機器14が正常に継続的に運転している状態において、粉粒体供給機20の排出量Q1が後設機器14の処理能力Q2より大又は等しいので(Q1≧Q2)、上記供給経路X内に粉粒体Pが充満してゆき、これにより粉粒体供給機20の粉粒体供給通路9内の粉粒体Pが圧密状態となり、上記供給通路9内の壁面Wに架橋現象が発生すると、F1≧F2となって水平回転テーブル5が定速回転しているにも拘わらず、自動的に粉粒体供給機20からの粉粒体Pの排出が停止される。
【0074】
そして、粉粒体供給機20からの粉粒体Pの排出が停止すると、後設機器14にて粉粒体Pの搬送処理が進行することにより、上記供給経路X内の粉粒体Pが捌けていくため、上記粉粒体供給機20の排出口10近傍の粉粒体Pも後設機器14方向に流れて行き、これにより上記架橋現象が崩れると、F1<F2となって、水平回転テーブル5の定速回転に基づいて自動的に粉粒体Pの排出が再開される。
【0075】
このように、上記粉粒体供給機20の能力Q1[kg/時間]を後設機器14の能力Q2[kg/時間]より大きいか等しくすることにより、粉粒体供給機20の上記粉粒体供給経路9内において、粉粒体Pの架橋現象が発生する状況を作り出し、架橋現象が発生している時は(F1≧F2の状態)、粉粒体供給機20からの粉粒体Pの排出が自動的に停止され、架橋現象が崩れると(F1<F2の状態)粉粒体供給機20からの粉粒体Pの排出を自動的に再開するように構成し、かかる状態(架橋現象の発生、崩壊により、F1<F2の状態とF1≧F2の状態を交互に発生させる)を安定的に発生させることにより、後設機器14の粉粒体の処理状況(搬送状況)に拘わらず、粉粒体供給機20の運転を連続的に行うことができるものである。
【0076】
よって、後設機器14側の粉粒体Pの搬送状況に拘わらず、粉粒体供給機20の粉粒体Pの排出量について電気的制御を行う必要もなく、また、排出シュート12近傍にレベル計やセンサー等を設ける必要もなく、当該粉粒体供給機20の連続運転、即ち、水平回転テーブル5の連続的な定速運転を行うことができる。
上記実施形態においては、粉粒体Pは長さが約10mmの廃プラスチックのチップであり、粉粒体供給経路9の幅は約80mm、上下幅Tは約40mmである。尚、廃プラスチックのチップ以外の粉粒体Pを使用する場合は、上記可動式水平円板11を昇降してその物性の粉粒体Pにおいて、上記粉粒体供給経路9内にて上記実施形態に記載したような架橋現象の発生、架橋現象の崩壊を交互に安定的に発生するために適した上下幅Tに調整する。
【0077】
以上のように、本発明は、粉粒体供給機20から粉粒体Pを後設機器に供給する場合、後接機器側の粉粒体の搬送状況に応じて、粉粒体供給機20から後設機器への粉粒体の排出動作の停止、該排出動作の再開が自動的に行われるため、粉粒体供給機20の水平回転テーブルの回転を停止、減速等することなく、後設機器までの粉粒体Pの状況に関係なく、粉粒体供給機20の連続運転が可能となる。
【0078】
また、粉粒体供給機20において排出量の電気的な制御を行う必要がないため、後設機器の状況に応じて粉粒体Pの排出量を制御し得る機能を具備した粉粒体供給機の材料供給方法又は粉粒体供給機を極めて安価に構成することができる。
【0079】
尚、図5中、18は押出成形機14のスクリューコンベア16の駆動モータ、19は粉粒体供給機20の材料ホッパーである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、上述のように、粉粒体供給機の排出口から後設機器までの粉粒体の状況に関係なく、粉粒体供給機の連続運転が可能であるため、後設機器として押出成形機に限らず、各種加工機械等への粉粒体等の材料供給方法として広く適用が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 機枠
2 駆動電動機
3 水平台盤
4 直立回転軸
5 水平回転テーブル
5a 上面
6 外筒
8 内筒
8’ 下端
9 粉粒体供給通路
14 押出成形機(後設機器)
W 壁面
P 粉粒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠に水平台盤を設け、上記水平台盤の中心部に直立回転軸を設け、該直立回転軸の上端部に水平回転テーブルを設け、上記直立回転軸の駆動電動機を設け、上記水平台盤の外周に外筒を立設し、該外筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記水平回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記内外筒間に環状の粉粒体供給通路を形成し、上記粉粒体供給通路に面した排出口を設け、上記水平回転テーブルを一定速度で回転することにより、上記内筒内から上記粉粒体供給通路内に粉粒体を送り出すと共に上記粉粒体供給通路内の上記粉粒体を上記排出口まで搬送し、該排出口から上記粉粒体を後設機器に対して排出する粉粒体供給機の材料供給方法において、
上記粉粒体供給機の上記粉粒体の上記排出口からの排出能力を、上記後設機器の粉粒体の処理能力より大きいか又は等しくすると共に、上記粉粒体が上記水平回転テーブルの上面及び上記粉粒体供給通路内に密に充満した状態で上記水平回転テーブルを一定速度で回転駆動し、
かかる運転状態において、上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力をF1[N]、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力をF2[N]、上記内筒内部から上記粉粒体を上記粉粒体供給通路内へ送り出す力をF0[N]としたとき、
F1<F2 の状態のとき F0>0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しを行い、
F1≧F2 の状態のとき F0=0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しを停止することを特徴とする粉粒体供給機の材料供給方法。
【請求項2】
上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が行われている状態においては、F1<F2 の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作を持続し、
上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が停止した状態においては、F1≧F2 の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作を自動的に停止する請求項1記載の粉粒体供給機の材料供給方法。
【請求項3】
上記ドーナツ型水平円板の下側における上記粉粒体供給通路内に、上記ドーナツ型水平円板と同形状の可動式水平円板を昇降自在に配設し、
該可動式水平円板を上記粉粒体供給通路内において昇降させることにより、当該粉粒体供給通路内において上記粉粒体を密に充満させる請求項1又は2記載の粉粒体供給機の材料供給方法。
【請求項4】
機枠に水平台盤を設け、上記水平台盤の中心部に直立回転軸を設け、該直立回転軸の上端部に水平回転テーブルを設け、上記直立回転軸の駆動電動機を設け、上記水平台盤の外周に外筒を立設し、該外筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記水平回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記内外筒間に環状の粉粒体供給通路を形成し、上記粉粒体供給通路に面した排出口を設け、上記水平回転テーブルを一定速度で回転することにより、上記内筒内から上記粉粒体供給通路内に粉粒体を送り出すと共に上記粉粒体供給通路内の上記粉粒体を上記排出口まで搬送し、該排出口と後設機器とを接続する粉粒体の供給経路を設け、上記排出口から排出された粉粒体を上記供給経路を通して上記後設機器に供給する粉粒体供給機の材料供給方法において、
上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力をF1[N]、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力をF2[N]としたとき、
上記粉粒体供給機の上記粉粒体の上記排出口からの排出能力Q1[kg/時間]を、上記後設機器の粉粒体の処理能力Q2[kg/時間]より大きいか又は等しくした状態で上記水平回転テーブルを一定速度で回転駆動し、
これにより上記供給経路内に粉粒体を充満させて行き、上記供給経路内に充満した粉粒体が上記排出口から上記粉粒体供給通路内にせり出すことにより、該粉粒体供給通路内に粉粒体の架橋現象を発生させ、これによりF1≧F2の状態を作り出して上記水平回転テーブルを粉粒体に対してスリップさせて粉粒体の上記排出口からの排出を停止し、
この粉粒体の排出停止の状態において、一時的に上記後設機器の粉粒体の処理能力Q2[kg/時間]が上記粉粒体供給機の粉粒体の排出能力Q1[kg/時間]より大きい状態を作り出し、上記供給経路内の粉粒体が上記後設機器の方向に搬送されて行くことにより、上記粉粒体供給通路内の上記架橋現象を崩壊させ、これによりF1<F2の状態を作り出して上記水平回転テーブルの回転に基づいて粉粒体の上記排出口からの排出を再開し、
以降は上記粉粒体供給通路内において、上記架橋現象が発生した上記F1≧F2の上記状態と、上記架橋現象が崩壊した上記F1<F2の上記状態を交互に発生させることにより、上記粉粒体供給機の上記排出口からの排出状態と排出停止状態とを交互に繰り返し行うことを特徴とする粉粒体供給機の材料供給方法。
【請求項5】
機枠に水平台盤を設け、上記水平台盤の中心部に直立回転軸を設け、該直立回転軸の上端部に水平回転テーブルを設け、上記直立回転軸の駆動電動機を設け、上記水平台盤の外周に外筒を立設し、該外筒の上端にドーナツ形水平円板の外周を接続し、該水平円板の内周に内筒を設け、該内筒の下端と上記水平回転テーブルの上面との間に材料排出間隙を介設し、上記内外筒間に環状の粉粒体供給通路を形成し、上記粉粒体供給通路に面した排出口を設け、上記水平回転テーブルを一定速度で回転することにより、上記内筒内から上記粉粒体供給通路内に粉粒体を送り出すと共に上記粉粒体供給通路内の上記粉粒体を上記排出口まで搬送し、該排出口から上記粉粒体を後設機器に対して排出する構成の粉粒体供給機において、
上記粉粒体供給機の上記粉粒体の上記排出口からの排出能力を、上記後設機器の粉粒体の処理能力より大きいか又は等しくすると共に、上記粉粒体が上記水平回転テーブルの上面及び上記粉粒体供給通路内に密に充満した状態で上記水平回転テーブルを一定速度で回転駆動し得るように構成し、
かかる状態において、上記粉粒体供給通路内の壁面と該通路内の上記粉粒体との摩擦力をF1[N]、上記水平回転テーブルの上面と該上面上の上記粉粒体との摩擦力をF2[N]、上記内筒内部から粉粒体を上記粉粒体供給通路内へ送り出す力をF0[N]としたとき、
F1<F2 の状態のとき F0>0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しが行われ、
F1≧F2 の状態のとき F0=0、即ち、上記内筒から上記粉粒体供給通路への上記粉粒体の送り出しが停止されるように構成したものであることを特徴とする粉粒体供給機。
【請求項6】
上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が行われている状態においては、F1<F2の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作が持続され、
上記粉粒体供給機の上記排出口から上記後設機器に至る粉粒体の供給経路において、上記粉粒体の上記後設機器への搬送が停止した状態においては、F1≧F2の状態となり、上記粉粒体供給機からの粉粒体の排出動作が自動的に停止されるものであることを特徴とする請求項5記載の粉粒体供給機。
【請求項7】
上記ドーナツ型水平円板の下側における上記粉粒体供給通路内に、上記ドーナツ型水平円板と同形状の可動式水平円板を昇降自在に配設し、
該可動式水平円板を上記粉粒体供給通路内において昇降させることにより、当該粉粒体供給通路内において上記粉粒体を密に充満し得るように構成したものであることを特徴とする請求項5又は6記載の粉粒体供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−66211(P2012−66211A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214918(P2010−214918)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(592096111)株式会社ヨシカワ (19)
【Fターム(参考)】