説明

粉粒体供給装置、農薬散布装置、農薬散布方法および病害防除方法

【課題】農薬などの粉粒体の吸湿および固化を防止し、粉粒体を定量的に供給することができ、粉粒状の農薬を温室ハウスなどの施設内に散布する、いわゆるダクト散布法に好適に用いることができる粉粒体供給装置および農薬散布装置、これらを用いた農薬散布方法および病害防除方法を提供する。
【解決手段】粉粒体を保持する保持手段11と、粉粒体を保持手段11から放出し外部に供給する放出手段12と、を備えた粉粒体供給装置1であって、保持手段11は、所定量の粉粒体を収納する複数の収納空間111Aを備え、放出手段12は、いずれか一つまたは複数の収納空間111Aを開封して収納された粉粒体を放出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるダクト散布法に好適に用いることができる粉粒体供給装置および農薬散布装置、これらを用いた農薬散布方法および病害防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な農薬散布方法として、粉粒状の農薬を水などの溶媒に溶解、希釈させ、専用の噴霧器やノズルなどを使用して散布する方法が知られている。
しかし、このような農薬散布方法においては、多量の溶媒と専用の装置が不可欠であり、散布作業に長時間を要する。また、散布後に、温室ハウスなどの施設内の湿度が上昇し、作物の発病が助長される場合がある。
【0003】
このような問題を解決するため、粉粒状の農薬を、そのまま散布する方法が知られている。
例えば、温室ハウスの施設内に設置されている温風機を気体搬送用筒状体であるダクトなどに連接し、このダクト内部に対して粉粒状の農薬を投入することで、ダクト内を流れる風を用いて農薬を搬送させてハウス内部に散布させていく、いわゆるダクト散布法が用いられている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ダクト散布法において、ダクト内部に農薬などの粉粒体を投入する方法としては、ダクト内部の温風機側に、スプーンなどで秤量した農薬を人間の手によって直接投入したり、また、ゴース布、ガーゼ、ストッキングなどの網目を有する材料から構成される袋体などに対して農薬を詰めた状態でダクトの中に吊るして、ダクト内の風力によって網目から自然に落下させる方法が用いられていた。
【0005】
しかし、人間の手により直接投入する方法では、作業者が作業時に農薬を吸引しやすくなるため、マスクの着用が必須となっていた。また、ダクト内に対して農薬を定量的に投入することも困難であった。
ストッキングなどに農薬を詰めて吊り下げる方法では、農薬の自然落下により投入が実施されるため、農薬の投入量の調整が難しかったことに加えて、農薬が吸湿、固化して散布されずに残ってしまうことがあった。また、湿り気を帯びた農薬は、比重が重いため、風によって拡散されにくい。
【0006】
そこで、粉粒体を収容する容器に設けた吐出口に対し、ブラシ状の吐出体を駆動させることで定量的に粉粒体を吐出する粉粒体供給装置およびこれを用いた農薬散布装置が提案されている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開2001−302407号公報
【特許文献2】特開2005−117929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2に記載の粉粒体供給装置においては、吐出体として棒状ブラシを使用しているので、ブラシの間に詰まった粉粒体が、送風装置からの風圧によりダクト内へ吐出され、粉粒体吐出量が、意図したよりも多くなるおそれがある。通常はブラシ先端部によって粉粒体を押し出すが、ブラシの間に詰まった粉粒体も風圧により吐出されることがあるため、吐出量が意図したよりも多くなるとともに、吐出量にばらつきが生じるおそれがある。
【0009】
また、容器内に収容した農薬が、数日程度の短時間で固化するおそれがある。
一般に、ダクト散布法においては、空中での浮遊性、拡散性が高い平均粒径の小さい農薬が用いられる。しかし、平均粒径の小さい農薬は、吸湿性が高く固化の原因となるおそれがある。
さらに、温室ハウスなどの施設内は、特に夜間において、湿度が高く、農薬の固化が発生するおそれがある。
ここで、農薬の固化を回避するため、容器内に投入する農薬の量を減らし、短時間で使い切る方法が挙げられる。しかし、この方法では、こまめな農薬の投入が必要となり、作業量が増加する。
【0010】
本発明の目的は、上述のような問題などを解決し、農薬などの粉粒体を定量的に供給することができ、粉粒状の農薬を温室ハウスなどの施設内に散布する、いわゆるダクト散布法に好適に用いることができる粉粒体供給装置および農薬散布装置、これらを用いた農薬散布方法および病害防除方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の粉粒体供給装置は、粉粒体を保持する保持手段と、前記粉粒体を前記保持手段から放出し外部に供給する放出手段と、を備えた粉粒体供給装置であって、前記保持手段は、所定量の前記粉粒体を収納する複数の収納空間を備え、前記放出手段は、いずれか一つまたは複数の前記収納空間を開封して前記収納された前記粉粒体を放出させることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、複数の収納空間が、所定量の粉粒体を収納する。
ここで、収納空間に収納される粉粒体の量を適宜調整すれば、個々の収納空間の開封により、収納された所定量の粉粒体を短時間で放出できる。したがって、粉粒体が吸湿する前に、収納空間に収納された粉粒体を放出することができ、粉粒体の吸湿および固化を防止できる。
このとき、それぞれの収納空間からは、所定量の粉粒体が放出されるので、粉粒体を定量的に放出できる。
また、粉粒体が一ヶ所にまとまって保持されることがないので、例えば、多量の粉粒体を一ヶ所に保持した場合と比べ、自重によって粉粒体が凝集して固化することを防止できる。
【0013】
本発明において、前記収納空間は、外部から密閉されていることが好ましい。
このような構成によれば、粉粒体が、外部から密閉された収納空間に収納されるので、粉粒体を外部の湿気から遮断して粉粒体の吸湿および固化を防止できる。また、粉粒体に対する異物の混入を防止できる。
【0014】
本発明において、前記収納空間は、湿気を遮断する材料により構成されることが好ましい。
このような構成によれば、より確実に、粉粒体を外部の湿気から遮断し、粉粒体の吸湿および固化を防止できる。
湿気を遮断する材料としては、例えば、防水防湿処理が施された材料、すなわち、防水防湿クラフト紙や、ポリエチレンまたはアルミによるラミネートを施した材料などが挙げられる。
特に、防水防湿クラフト紙、ポリエチレンによるラミネートを施した材料を用いた場合、微生物を担持した粉粒状の農薬を長期保管した後においても菌数の減少が小さい。
なお、ポリエチレンをラミネートした材料ではなく、ポリエチレンそのものを利用してもよい。
【0015】
本発明において、前記複数の収納空間は、複数の袋体であり、前記複数の袋体は、帯状に連続して設けられ、全体として保持帯を構成していることが好ましい。
このような構成によれば、使用前や使用後の収納空間の保管が容易である。すなわち、保持帯をロールなどに巻き取ったり、折り重ねたりすることで、スペースをとらずに保管でき、持ち運びがしやすい。したがって、使用前においては粉粒体供給装置への設置が容易であり、使用後においては廃棄や再利用が容易である。
【0016】
本発明において、前記放出手段は、前記複数の袋体の少なくとも一つを固定する固定手段と、前記固定手段により固定された前記袋体に穿孔することが可能な開封刃と、を備えることが好ましい。
このような構成によれば、固定手段が袋体を固定し、開封刃が袋体に穿孔する。そして、袋体に開けられた孔から、粉粒体を放出し外部に供給することができる。
【0017】
本発明において、前記粉粒体の供給を制御する制御部と、前記保持手段と前記放出手段との相対位置を変位させる変位手段と、前記粉粒体の供給条件を設定する設定手段と、を備え、前記制御部は、前記放出手段を制御する放出制御部と、前記変位手段を制御する変位制御部と、を備え、前記設定手段により設定された供給条件に従って前記粉粒体を供給することが好ましい。
このような構成によれば、制御部が、放出手段と変位手段を制御して、設定手段により設定された供給条件に従って、粉粒体を供給する。したがって、作業者は、時間や量などの粉粒体の供給条件を適宜設定するだけで、自動的に粉粒体を供給することができる。
【0018】
本発明において、前記複数の収納空間は、複数の袋体であり、前記複数の袋体は、帯状に連続して設けられ、全体として保持帯を構成し、前記放出手段は、前記複数の袋体の少なくとも一つを固定する固定手段と、前記固定手段により固定された前記袋体に穿孔することが可能な開封刃と、を備え、前記変位手段は、前記保持帯を巻き取るローラを備え、前記放出制御部は、前記開封刃により前記袋体に穿孔して前記粉粒体を放出し、前記変位制御部は、前記ローラを回転させて前記保持帯の穿孔された前記袋帯を巻き取ることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、制御部が、放出手段の開封刃と変位手段のローラを制御して、設定手段により設定された供給条件に従って、粉粒体を供給する。したがって、作業者は、時間や供給量などの粉粒体の供給条件を適宜設定するだけで、自動的に粉粒体を供給することができる。
また、粉粒体を放出した後の袋体は、ローラによって巻き取られるので、かさばることがなく、廃棄や再利用などが容易である。
粉粒体の供給条件としては、例えば、所定の時間に1日1回または数回の供給を実施したり、所定の時間帯(例えば夕方や夜間等)に一定間隔を空けて数回供給したり、所定の曜日や日付のみに供給を実施するなどの供給時期の設定や、1回の供給でいくつの収納空間を開封するかなどの供給量の設定などが挙げられる。
【0020】
本発明において、前記粉粒体は、微生物を担持した粉粒状の農薬を含むことが好ましい。
このような構成によれば、吸湿性が高い農薬であっても、吸湿および固化を防止して定量的に供給することができる。
【0021】
本発明において、前記収納空間に収納される所定量の前記粉粒体は、1g以上50g以下であることが好ましい。
このような構成によれば、収納空間に収納される粉粒体の量が1g以上50g以下であるから、短時間に粉粒体を放出することができ、粉粒体の吸湿および固化を防止できる。また、自重による凝集も発生しにくい。
【0022】
ここで、粉粒体の量が、1g未満であると、一度に供給できる粉粒体が少なく、頻繁に供給を繰り返す必要があるため、効率が低下するおそれがある。一方、粉粒体の量が、50g以上であると、放出に時間がかかり、吸湿および固化のおそれがあり、また、自重による凝集が発生するおそれもある。
このため、粉粒体の量は、1g以上50g以下であることが好ましい。
なお、保持空間に収納される粉粒体の量は、5〜40gであることがより好ましく、10〜30gであることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の農薬散布装置は、一方の端部が空気を送風可能な送風装置に連接され、他方の端部および側面部の少なくともいずれかに散布口が形成された筒状体の内部を流れる空気に粉粒状の農薬を搬送させ、前記散布口から前記空気とともに前記農薬を前記筒状体の外部に散布させる農薬散布装置であって、上述の粉粒体供給装置を、前記筒状体の内部に対して前記農薬を供給可能に設置したことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、上述の粉粒体供給装置を用いて筒状体の内部に農薬を供給するので、農薬を定量的に散布することができる。
すなわち、粉粒体供給装置の収納空間に収納された農薬が短時間で放出されるので、農薬が吸湿して固化が発生することを防止し、農薬を定量的に散布することができる。
また、農薬が湿り気を帯びて比重が増大することを防止でき、送風装置による送風で適切に拡散させることができる。
【0025】
本発明において、前記粉粒体供給装置は、前記送風装置の送風口付近に設置されることが好ましい。
このような構成によれば、粉粒体供給装置が送風装置の送風口付近に設置されるので、送風装置の風により、農薬をより確実に、定量的に散布することができる。
【0026】
本発明の農薬散布方法は、一方の端部が空気を送風可能な送風装置に連接され、他方の端部および側面部の少なくともいずれかに散布口が形成された筒状体の内部に対して、上述の粉粒体供給装置から粉粒状の農薬を供給して、前記筒状体内部を流れる前記空気に前記農薬を搬送させ、前記筒状体の前記散布口から前記空気とともに前記農薬を前記筒状体の外部に散布することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、上述の粉粒体供給装置を用いて筒状体の内部に農薬を供給するので、農薬を定量的に散布することができる。
すなわち、粉粒体供給装置の収納空間に収納された農薬が短時間で放出されるので、農薬が吸湿して固化が発生することを防止し、農薬を定量的に散布することができる。
また、農薬が湿り気を帯びて比重が増大することを防止でき、送風装置による送風で適切に拡散させることができる。
【0028】
本発明の病害防除方法は、粉粒状の農薬を散布して作物の病害を防除する病害防除方法であって、上述の農薬散布装置を用いて前記農薬を散布することを特徴とする。
本発明によれば、上述の農薬散布装置を用いて農薬を散布するので、農薬を定量的かつ拡散性よく散布することができ、適切に作物の病害を防除することができる。
ここで、病害には、病害の他、虫害なども広く含まれる。
【0029】
なお、本発明で使用する粉粒体には、粉状の物体の他、粒状や顆粒状の物体も含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
[粉体供給装置の構成]
図1は、本実施形態の粉粒体供給装置1の正面図である。
図1に示される粉粒体供給装置1は、粉粒体である農薬2を供給するものであり、農薬2を保持する保持手段11と、農薬2を保持手段11から放出し外部に供給する放出手段12と、保持手段11と放出手段12との相対位置を変位させる変位手段13と、農薬2の供給を制御する制御部14と、農薬2の供給条件を設定する設定手段と、を備える。
なお、農薬2は、微生物を担持した粉粒状の農薬を含む。
【0032】
保持手段11は、所定量の農薬2を収納する収納空間111Aを有する複数の袋体111と、複数の袋体111により構成される保持帯112と、保持帯112を巻き取った状態で支持する使用前ローラ113と、を備える。
図2に、袋体111の拡大図を示す。
図2に示すように、袋体111は、外部から密閉された収納空間111Aを有し、収納空間111Aの内部に農薬2を収納している。複数の袋体111は、帯状に連続して設けられ、全体として保持帯112を構成する。
なお、袋体111に収納される所定量の農薬2は、1〜50gである。
【0033】
袋体111は、重ねあわされた二枚のシート112A、112Bの端部を熱接着して形成され、上方からみて略長方形状の収納空間111Aを有する。
ここで、袋体111を形成する二枚のシート112A、112Bは、ポリエチレンまたははり合わせアルミ箔である。したがって、収納空間111Aは、湿気を遮断する材料により構成されている。
図2で、袋体111は、その左右端部において他の袋体111と連続しており、全体として保持帯112を構成する。
使用前ローラ113は、図1に示すように、保持帯112を巻き取った状態で支持する。使用前ローラ113の中心軸は、後述する農薬散布装置3の送風装置33の上面に設けられた支柱113Aの先端に、回転可能に支持されている。
【0034】
放出手段12は、図1に示すように、袋体111を固定する固定手段121と、固定手段121により固定された袋体111に穿孔することが可能な開封刃122と、を備える。
固定手段121は、開封刃122に対して対称の位置に設けられた二つの固定ローラ121A、121Bである。
二つの固定ローラ121A、121Bは、使用前ローラ113と略同じ方向に回転可能に設けられ、それぞれが、使用前ローラ113から引き出され後述する巻き取りローラ131に巻き取られる保持帯112と接している。
開封刃122は、刃本体123と、刃本体123を鉛直方向に進退させる駆動部124と、駆動部124を支持するスタンド125と、を備える。
スタンド125には、放出手段12の駆動部124を制御して刃本体123により袋体111に穿孔して農薬2を放出する放出制御部141が内蔵されている。
【0035】
変位手段13は、巻き取りローラ131と、巻き取りローラ131を回転させて保持帯112を巻き取るモータ132と、巻き取りローラ131およびモータ132を載置するローラ台133と、を備える。
巻き取りローラ131は、使用前ローラ113と略同じ方向に回転可能に設けられ、モータ132により回転される。これにより、巻き取りローラ131は、保持帯112の穿孔された袋体111を巻き取る。
ローラ台133には、変位手段13のモータ132を制御して保持帯112を巻き取る変位制御部142が内蔵されている。
【0036】
また、粉粒体供給装置1は図示しない設定手段を備える。
設定手段は、農薬2の供給条件を設定する操作盤であり、設定した供給条件を制御部14に伝達する。
制御部14は、放出制御部141および変位制御部142を備える。変位制御部142は、巻き取りローラ131の回転スピード、回転開始および停止を、放出制御部141は、刃本体123の鉛直方向への進退を制御し、設定された供給条件に従って農薬2を供給する。
設定する供給条件としては、例えば、農薬2を供給する時間や量、連続的に供給する場合の単位時間当たりの供給量などが挙げられる。具体的には、例えば、所定の時間に1日1回または数回の供給を実施したり、所定の時間帯(例えば夕方や夜間等)に一定間隔を空けて数回供給したり、所定の曜日や日付のみに供給を実施するなどの供給時期の設定や、1回の供給でいくつの袋体111を開封するかなどの供給量の設定などが挙げられる。
【0037】
[農薬散布装置の構成]
図3に、粉粒体供給装置1を適用した農薬散布装置3の概略図を示す。また、すでに説明した図1には、農薬散布装置3の粉粒体供給装置1近傍の断面図が示されている。
図3に示される農薬散布装置3において、1は粉粒体供給装置、31は筒状体であるダクト、32は散布口、33は送風装置、4は作物である。なお、農薬散布装置3は、図示しない温室ハウス内に設置されている。
【0038】
図1および3に示すように、ダクト31は、略角柱状の中空部材である。ダクト31は、その一端31Aが送風装置33の送風口331と連接されており、他端31Bは閉鎖されている。また、図1に示すように、ダクト31上面の、開封刃122に対応する位置に、刃本体123が挿通可能な粉粒体供給孔311が設けられている。
送風装置33は、ファン332を内蔵し、ファン332を回転させることにより、送風口331を介してダクト31内に送風する。
【0039】
図3に示すように、ダクト31の側面には、所定の間隔ごとに、農薬2を温室ハウス内に散布するための散布口32が設けられている。この散布口32は、略円形状の開口部を有しており、この開口部から農薬2を散布する。
【0040】
[粉体供給装置および農薬散布装置の動作]
以上の構成からなる本発明の粉粒体供給装置1および農薬散布装置3の動作の一例を、図1および図3を用いて説明する。
【0041】
まず、図示しない設定手段により、農薬2の供給条件を設定する。設定された供給条件は、制御部14に伝達される。
設定された供給時期になると、変位制御部142が巻き取りローラ131を回転させ、保持帯112を巻き取る。農薬2を収納している袋体111の一つが、開封刃122の刃本体123の下に位置した状態において、巻き取りローラ131の回転を停止する。
次に、放出制御部141が、開封刃122の駆動部124を動作させ、刃本体123を下方に突き出す。刃本体123は、袋体111に穿孔し、粉粒体供給孔311に挿通される。つづいて、放出制御部141は、駆動部124を動作させ、刃本体123を袋体111の上方に引き上げ、その位置に停止させる。
【0042】
刃本体123により袋体111に開けられた孔から、農薬2が自重により落下する。落下した農薬2は、粉粒体供給孔311を介してダクト31内に進入する。
ダクト31内部では、送風装置33から断続的に風が流れているため、ダクト31内部に供給された農薬2は、ダクト31内部を漂流する。
ダクト31内部を漂流した農薬2は、図3に示すように、ダクト31の側面に設けられた散布口32から外部に排出され、温室ハウス内の作物4に対して散布される。
【0043】
制御部14の制御により、上記の動作が繰り返され、設定された供給条件に従って、農薬2が散布される。
これにより、作物4の病害を適切に防除することができる。
【0044】
[実施形態の効果]
前記した実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
【0045】
複数の収納空間111Aが所定量の粉粒体を収納するので、収納空間111Aに収納される農薬2の量を適宜調整すれば、個々の収納空間111Aの開封により、収納された所定量の農薬2を短時間で放出できる。したがって、農薬2が吸湿する前に、収納空間111Aに収納された農薬2を放出することができ、農薬2の吸湿および固化を防止できる。
このとき、それぞれの収納空間111Aからは、所定量の農薬2が放出されるので、農薬2を定量的に放出できる。
また、農薬2が一ヶ所にまとまって保持されることがないので、例えば、多量の粉粒体を一ヶ所に保持した場合と比べ、自重によって粉粒体が凝集して固化することを防止できる。
【0046】
農薬2が、外部から密閉された収納空間111Aに収納されるので、農薬2を外部の湿気から遮断して農薬2の吸湿および固化を防止できる。また、農薬2への異物の混入を防止することができる。
ここで、収納空間111Aは、湿気を遮断する材料であるポリエチレンまたはアルミ箔により構成されるので、より確実に、農薬2を外部の湿気から遮断して農薬2の吸湿および固化を防止できる。また、長期保管した後においても農薬2の菌数の減少が小さい。
複数の袋体111が、帯状に連続して設けられ、全体として保持帯112を構成するので、保持帯112をロールなどに巻き取ったり、折り重ねたりすることで、スペースをとらずに保管でき、持ち運びがしやすい。したがって、使用前においては粉粒体供給装置1への設置が容易であり、使用後においては廃棄や再利用が容易である。
粉粒体供給装置1が、保持帯112を巻き取った状態で支持する使用前ローラ113を備えるので、保持帯112がかさばることがなく、必要な時に保持帯112を引き出して使用することができる。
【0047】
放出手段12が、袋体111を固定する固定手段121と、袋体111に穿孔することが可能な開封刃122と、を備えるので、開封刃122により固定された袋体111に穿孔することができ、袋体111に開けられた孔から、農薬2を放出することができる。
制御部14が、放出手段12と変位手段13を制御して、設定手段により設定された供給条件に従って、農薬2を供給するので、作業者は、時間や量などの供給条件を適宜設定するだけで、自動的に農薬2を供給することができる。
農薬2を放出した後の袋体111は、巻き取りローラ131によって巻き取られるので、かさばることがなく、廃棄や再利用などが容易である。
【0048】
収納空間111Aに収納される農薬2の量が1g以上50g以下であるから、短時間に農薬2を放出することができ、農薬2の吸湿および固化を防止できる。また、自重による凝集も発生しにくい。
ここで、農薬2の量が、1g未満であると、一度に供給できる農薬2が少なく、頻繁に供給を繰り返す必要があるため、効率が低下するおそれがある。一方、農薬2の量が、50g以上であると、放出に時間がかかり、吸湿および固化のおそれがあり、また、自重による凝集が発生するおそれもある。
粉粒体供給装置1は、例えば、特許文献2に記載の粉粒体供給装置のように吐出体として棒状ブラシを使用してダクト31の内部に農薬2を吐出するものではないので、ブラシの間に詰まった農薬2が風圧により吐出されることがなく、農薬2を定量的に供給することができる。
【0049】
本実施形態の農薬散布装置3によれば、粉粒体供給装置1を用いてダクト31の内部に農薬2を供給するので、農薬2を定量的に散布することができる。
すなわち、粉粒体供給装置1の収納空間111Aに収納された農薬2が短時間で放出されるので、農薬2が吸湿して固化が発生することを防止し、農薬2を定量的に散布することができる。
また、農薬2が湿り気を帯びて比重が増大することを防止でき、送風装置33による送風で適切に拡散させることができる。
ここで、粉粒体供給装置1が送風装置33の送風口331付近に設置されるので、農薬2を、送風装置33からの送風によって確実に放出させることができ、農薬2をより確実に、定量的に散布することができる。
【0050】
<変形例>
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは、本発明に含まれるものである。
【0051】
本実施形態において、農薬散布装置3に適用する都合上、粉粒体供給装置1で供給する粉粒体は農薬2としたが、これに限定されない。例えば、凝集剤、吸着剤、触媒、中和剤、消臭剤や畜産の飼料などを供給することもできる。
本実施形態において、外部から密閉された収納空間111Aを備え、収納空間111Aの内部に農薬2を収納する袋体111を例示したが、これに限定されない。例えば、収納空間111Aは、密閉されていなくてもよい。この場合でも、農薬2が所定量だけ収納され、放出が短時間で完了することに変わりはなく、凝集や吸湿による農薬2の固化および農薬2が湿り気を帯びることを防止できる。
【0052】
本実施形態において、湿気を遮断する材料であるポリエチレンまたははり合わせアルミ箔により構成された収納空間111Aを例示したが、これに限らない。
例えば、収納空間111Aは、防水防湿クラフト紙や、ポリエチレンによるラミネートを施した材料などで構成されてもよい。この場合でも、外部の湿気が遮断されるので、農薬2の吸湿および固化を防止することができる。
また、収納空間111Aは、湿気の遮断性を有さない材料により構成されていてもよい。この場合でも、農薬2が外気に曝露される場合に比べ、吸湿および固化が発生しにくくなる。また、農薬2への異物の混入を防止することができる。
【0053】
本実施形態において、収納空間111Aを有する複数の袋体111を例示したが、これに限定されない。
例えば、収納空間111Aは、成形容器および蓋材からなる包装容器であってもよい。例えば、成形容器は、長方形状の底面部の周囲から立ち上げて形成された側面部と、この側面部に囲まれた上端に形成される開口部と、この開口部の周縁から外側に延出されたフランジ部と、を備え、蓋材は、成形容器の開口部を覆うようにしてフランジ部に貼着される。
このような包装容器も、外部から密閉された収納空間111Aを備えており、収納空間111Aの内部に農薬2を収納することができる。
【0054】
また、本実施形態において、複数の袋体111は、帯状に連続して設けられ、全体として保持帯112を構成することとしたが、これに限定されない。例えば、複数の袋体111は、それぞれ別個の物であってもよい。この場合でも、農薬2が外部から密閉された収納空間111Aに、所定量だけ収納されることに変わりはなく、上述の実施形態と同様の優れた作用効果を得ることができる。
【0055】
本実施形態において、固定手段121によって固定された袋体111に、開封刃122により穿孔する構成を例示したが、これに限らない。例えば、袋体111の下側に設けられた剥離手段が、袋体111を構成する一方のシート112Bを、他方のシート112Aから剥離する構成としてもよい。この場合でも、剥離手段が放出手段として働き、袋体111に収納された農薬2を外部に放出することができる。剥離手段としては、例えば、マニピュレータなどが挙げられる。
【0056】
本実施形態において、制御部14が、放出手段12と変位手段13を制御して、設定手段により設定された供給条件に従って、農薬2を供給する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、設定手段を備えず、常に一定の供給条件で農薬2を供給するものであってもよい。この場合、供給条件を変更することはできないが、通常、供給条件の変更は頻繁に実施されるものではないので、問題とならない場合が多く、その他の点においては、上述の実施形態と同様の優れた作用効果を得ることができる。
【0057】
本実施形態において、農薬散布装置3は、ダクト31の端部31Bが閉鎖されている態様を示したが、これには限定されず、端部31Bが開放状態とされたダクト31を採用してもよい。
開放状態にすることにより、ダクト31の側面部に設けられる散布口32に加えて、開放状態の端部31Bからも農薬2がダクト31の外部に排出されることとなり、農薬2が温室ハウスなどの施設内の作物4に対してより一層好適に散布される。
経済的な観点から、ダクト31に対して連接される送風装置33として、温室ハウスなどの施設内で冷暖房に使用される冷房機、暖房機などの装置を送風装置33としてダクト31に連接してもよい。この場合、装置を小型化、単純化し、製造コストを抑えると共に、装置の運転のコストを抑えることができる。
【0058】
本実施形態の農薬散布装置3において、粉粒体供給装置1は、送風装置33の送風口331付近に設置されることとしたが、これに限らない。粉粒体供給装置1は、ダクト31内に農薬2を供給できる位置に設けられていればよく、送風装置33の送風口331との距離が離れていたとしても、農薬2の散布は可能である。
【0059】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【実施例】
【0060】
実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制限されるものではない。
【0061】
[密閉による湿気の遮断効果]
Bacillus subtilisIK1080剤(ボトキラー水和剤、出光興産株式会社製、農林水産省登録第20080号、以下IK1080と略記する。)5gをポリエチレンラミネート袋に入れたものを20個用意した。このうち半分は、開口部をシーラーで閉じて密閉し、残りの半分は、開口部を開放したままとした。質量を測定した後、これら20個の袋体を30日間、キュウリ栽培施設内で保管した。30日後に、再び質量を測定し、固化の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
開放状態の袋体においては、質量の増加および固化が見られたが、密閉状態の袋体においては、質量に変化はなく固化も発生しなかった。
【0064】
[袋体の材質による湿気の遮断効果]
各種の材料を用いて9cm×11cmの袋体を形成し、その中に5gのIK1080を入れて密閉した。質量を測定した後、キュウリ栽培施設内で保管し、30、60、90日後に質量を測定し、固化の有無を調べた。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
塩化ビニールの袋体においては、質量の増加および固化が見られたが、防水防湿加工の施された材料(防水防湿クラフト紙、ポリエチレンまたはアルミによりラミネートされたポリエチレン)で形成した袋体においては、質量に変化はなく固化も発生しなかった。
【0067】
[袋体の材質による菌量の変化]
防水防湿クラフト紙、ポリエチレンによりラミネートされた材料により形成された袋体、塩化ビニールの袋体のそれぞれに20gのIK1080を入れて密閉した。また、コップにいれた20gのIK1080を用意した。これらを、90日間、キュウリ栽培施設内で保管した。密閉前と、90日保管後に、菌量の測定を実施した。菌量は、NA平板を用いた希釈平板法により測定した。結果を表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
塩化ビニールの袋体およびコップに保存したIK1080では、菌量の減少が見られた。これに対し、防水防湿クラフト紙、または、ポリエチレンによりラミネートされた材料で形成した袋体においては、菌量に大きな変化は見られなかった。
【0070】
[散布精度]
防水防湿クラフト紙で形成された袋体に保管したIK1080(20g)を、ダクト散布時に取り出して投入器に入れて散布し、施設内におけるIK1080粒子の分散精度を調べた。なお、散布には上述の実施形態の農薬散布装置3を用いた。また、対照のため、慣行の袋(塩化ビニール製)に入れて開封後10日間放置したIK1080(20g)を散布し、同様にして散布精度を調べた。分散精度は、NA平板シャーレを10aの施設内の10ヶ所に静置して、IK1080を散布し、30分間捕集した後、2日間30℃に管理し、発生したIK1080のコロニー数を調べ比較する方法で実施した。結果を表4に示す。発生コロニー数は、10ヶ所の平均値である。
【0071】
【表4】

【0072】
防水防湿クラフト紙で形成された袋体に保管し、散布の直前に開封した場合は、慣行の袋に入れて開封後10日間放置した場合に比べ、IK1080の散布精度が高いことがわかる。開封後10日間放置した場合には、IK1080が湿り気を帯びており、拡散性が低いものと考えられる。
【0073】
[防除効果]
11月から翌年4月まで、キュウリ栽培施設において、はり合わせアルミ箔の袋体に入れたIK1080を、加温機に取り付けたダクトを用いて粉粒体のまま毎日散布した。投入は、ダクトの加温機付近に設けた上述の実施形態の農薬散布装置3を用い、午前7時から午後7時まで4時間毎に1回5gずつ(計20g)散布し、午後9時から午前7時まで2時間ごとに1回3gずつ(計15g)を散布した。散布開始後、1ヶ月毎に、キュウリの果実、花弁および茎に発生する灰色かび病の発病率を調べた。対照として、慣行防除栽培および慣行方法によるIK1080のダクト内投入散布における灰色かび病の発病率を調べた。なお、慣行防除栽培においては、発病状況に応じ、適宜、化学農薬を散布する。慣行ダクト散布とは、毎日夕方、暖房機が稼動する前に、一日一回、15gの農薬をダクト内に手動で投入する方法である。結果を表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
ここで、発病率は、(発病した果実、花弁または茎の数)/(全果実、花弁または茎の数)×100により求めた。
慣行防除栽培においては、1、2、3ヶ月目のそれぞれで発病が認められ、慣行のダクト散布法では、2ヶ月目と3ヶ月目にわずかに発病が認められた。これに対し、実施形態の農薬散布装置3を用いてダクト散布法を実施した場合、発病はまったく認められなかった。
【0076】
[各種農薬の防除効果]
上述の実施形態の農薬散布装置3を用いて、微生物を担持した粉粒状の農薬を散布し、その効果を実証した。使用した農薬を以下に示す。菌濃度は、いずれも5×1010cfu/gである。
Bacillus thuringesis剤(BT剤):鱗翅目害虫用殺虫剤
Streptmyces gulbs剤(ST剤):糸状菌病に対する放線菌製剤
Tararomyces flavas剤(TF剤):うどんこ病の糸状菌製剤
GV剤:ハマキムシ類の天敵ウイルス製剤
これらの農薬を、一日一回30gずつ、3日間続けて散布し、その一週間後に3日間、さらに一週間後に3日間の散布を実施した。
BT剤については、ハンモンヨトウの2齢幼虫の死虫率を、ST剤については、キャベツ苗の黒すす病の発病株率を、TF剤については、キュウリのうどんこ病の発病率を、GGV剤については、ハウス栽培柿におけるコカクモンハマキの死虫率を調べた。
なおこれらの農薬は、高温に対する耐性がないので、加温しない状態で散布した。
表6に結果を示す。
【0077】
【表6】

【0078】
上述の実施形態の農薬散布装置3は、各種の微生物担持農薬を好適に散布することができ、優れた病害防除効果が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、いわゆるダクト散布法に好適に用いることができる粉粒体供給装置および農薬散布装置、これらを用いた農薬散布方法および病害防除方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置の正面図。
【図2】本発明の実施形態に係る粉粒体供給装置の袋体の拡大図。
【図3】本発明の実施形態に係る農薬散布装置の概略図。
【符号の説明】
【0081】
1 粉粒体供給装置
2 農薬
3 農薬散布装置
4 作物
11 保持手段
12 放出手段
13 変位手段
14 制御部
31 ダクト
33 送風装置
111 袋体
111A 収納空間
112 保持帯
121 固定手段
122 開封刃
141 放出制御部
142 変位制御部
331 送風口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を保持する保持手段と、
前記粉粒体を前記保持手段から放出し外部に供給する放出手段と、を備えた粉粒体供給装置であって、
前記保持手段は、所定量の前記粉粒体を収納する複数の収納空間を備え、
前記放出手段は、いずれか一つまたは複数の前記収納空間を開封して前記収納された前記粉粒体を放出させる
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒体供給装置であって、
前記収納空間は、外部から密閉されている
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粉粒体供給装置であって、
前記収納空間は、湿気を遮断する材料により構成された
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粉粒体供給装置であって、
前記複数の収納空間は、複数の袋体であり、
前記複数の袋体は、帯状に連続して設けられ、全体として保持帯を構成している
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粉粒体供給装置であって、
前記放出手段は、
前記複数の袋体の少なくとも一つを固定する固定手段と、
前記固定手段により固定された前記袋体に穿孔することが可能な開封刃と、を備えた
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の粉粒体供給装置であって、
前記粉粒体の供給を制御する制御部と、
前記保持手段と前記放出手段との相対位置を変位させる変位手段と、
前記粉粒体の供給条件を設定する設定手段と、を備え、
前記制御部は、
前記放出手段を制御する放出制御部と、
前記変位手段を制御する変位制御部と、を備え、
前記設定手段により設定された供給条件に従って前記粉粒体を供給する
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の粉粒体供給装置であって、
前記複数の収納空間は、複数の袋体であり、
前記複数の袋体は、帯状に連続して設けられ、全体として保持帯を構成し、
前記放出手段は、前記複数の袋体の少なくとも一つを固定する固定手段と、前記固定手段により固定された前記袋体に穿孔することが可能な開封刃と、を備え、
前記変位手段は、前記保持帯を巻き取るローラを備え、
前記放出制御部は、前記開封刃により前記袋体に穿孔して前記粉粒体を放出し、
前記変位制御部は、前記ローラを回転させて前記保持帯の穿孔された前記袋帯を巻き取る
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の粉粒体供給装置であって、
前記粉粒体は、微生物を担持した粉粒状の農薬を含んだ
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の粉粒体供給装置であって、
前記収納空間に収納される所定量の前記粉粒体は、1g以上50g以下である
ことを特徴とした粉粒体供給装置。
【請求項10】
一方の端部が空気を送風可能な送風装置に連接され、他方の端部および側面部の少なくともいずれかに散布口が形成された筒状体の内部を流れる空気に粉粒状の農薬を搬送させ、前記散布口から前記空気とともに前記農薬を前記筒状体の外部に散布させる農薬散布装置であって、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の粉粒体供給装置を、前記筒状体の内部に対して前記農薬を供給可能に設置した
ことを特徴とした農薬散布装置。
【請求項11】
請求項10に記載の農薬散布装置であって、
前記粉粒体供給装置は、前記送風装置の送風口付近に設置された
ことを特徴とした農薬散布装置。
【請求項12】
一方の端部が空気を送風可能な送風装置に連接され、他方の端部および側面部の少なくともいずれかに散布口が形成された筒状体の内部に対して、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の粉粒体供給装置から粉粒状の農薬を供給して、
前記筒状体内部を流れる前記空気に前記農薬を搬送させ、
前記筒状体の前記散布口から前記空気とともに前記農薬を前記筒状体の外部に散布する
ことを特徴とする農薬散布方法。
【請求項13】
粉粒状の農薬を散布して作物の病害を防除する病害防除方法であって、
請求項10または請求項11に記載の農薬散布装置を用いて前記農薬を散布する
ことを特徴とする病害防除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−228615(P2008−228615A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70667(P2007−70667)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】