説明

粉粒体供給装置

【課題】最小限の搬送流体で切出管でのブリッジ形成を防止する粉粒体供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】安息角が35度以上90度以下の粉粒体を気流搬送する搬送管に、貯蔵容器内の粉粒体を定量切り出しする粉粒体供給装置において、貯蔵容器出口のフィーダと搬送配管をつなぐ逆円錐状の切出管の内部側面に、水平面に対し下向きに0度〜90度未満となるようにガスを吹き込むノズルを複数設けたことを特徴とする粉粒体供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕木材など安息角が大きい粉粒体を気流搬送配管に供給する粉粒体供給装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
一般に、粉粒体供給装置は貯留容器の下部に設けられた定量切り出し装置と、フィーダと搬送配管をつなぐ逆円錐状の切出管と、搬送配管からなる。破砕木材のように嵩密度が低く相互の摩擦が大きい粉粒体では切出管の傾斜面の間で粒子が図5のようなブリッジを形成し、切り出しが不可能になる現象が起こりやすい。これに対し、切出管にノッカを設置し、物理的衝撃でブリッジを崩す方法(特許文献1)、切出管側面にガスを吹き込むノズルを設置し、ガス流れによりブリッジを崩す方法、切出管側面にガスを導入する多孔板を設け、粉粒体を流動化させてブリッジを崩す方法などが提案されてきた。しかし、粒子の硬度・摩擦係数によっては物理的衝撃を受けてもブリッジが崩れず、場合によっては圧密状態となり排出が不可能になる問題があった。また、ガスを吹き込む方法では、ある程度以上の流速がないとブリッジを崩したり粉粒体を流動化させることが出来ず、流速を確保しようとすると過剰なガスを導入することになり搬送の効率が落ちるという問題があった。
【0003】
また、特許文献2には、粉粒体を貯留するホッパの底部である漏斗形状部分の内面に向けて気体を噴射する複数のノズルを設けたホッパ装置が開示されている。しかし、特許文献2に開示された装置は、ノズルが取り付けられた送気管全体を回転させる構造になっており、破砕木材のように相互の摩擦が大きい粉粒体では回転の抵抗が大きくなりすぎるため適用できないという問題があった。
【0004】
更に、特許文献3には、ホッパーの下部に、互いに120度間隔で水平に設けられた窒素ガス供給用の複数のノズルを、高さ方向に40度ずらしながら3段設置した微小バイオマスの供給装置が開示されている。しかし、特許文献3に開示された装置は、ホッパ中央に向けてガスを吐出するためノズル周辺の狭い領域しか流動化せず、ノズルから離れた壁面でブリッジが発生し排出が不可能になるという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭53−16466号公報
【特許文献2】特開2005−132528号公報
【特許文献3】特開2005−162238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記問題点を解消し、最小限の搬送流体で切出管でのブリッジ形成を防止する粉粒体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粉粒体供給装置は、安息角が35度以上90度以下の粉粒体を気流搬送する搬送管に、貯蔵容器内の粉粒体を定量切り出しする粉粒体供給装置において、貯蔵容器出口のフィーダと搬送配管をつなぐ逆円錐状の切出管の内部側面に、水平面に対し下向き0度〜90度未満となるようにガスを吹き込むノズルを複数設けたものである。
また、上記ノズルの上流側のノズルのガス吹き込み方向の延長線上に、隣接する下流側のノズルを設置し、切出管内部に螺旋状のガス流れが形成させるようにしたものである。
ここで、粉粒体とは0.1μmから20mmの径の固体粒子を指す。本発明は安息角が35度以上90度以下の流動性の悪い粉粒体を対象としており、具体的には木材のような繊維質の物質をハンマーミルで破砕したチップ、フィルム状・スポンジ状の廃棄物(廃プラスチック、自動車シュレッダーダスト等)を押し出し成型したペレットが該当する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉粒体供給装置により、破砕木材など嵩密度の低い粉粒体の気流搬送において、ブリッジによる切出管の閉塞を防止し、粉粒体の安定した気流搬送を可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の説明図である。本実施形態に関わる粉粒体供給装置は、貯留装置1の下部にロータリーフィーダ2を設け、ロータリーフィーダ2の下部に切出管3を設け、切出管3の先に搬送配管5を接続してある。
貯留装置1の下部にはモータ7と接続された撹拌翼6が設けられ、撹拌翼6が回転することにより貯留装置1内の粉粒体がロータリーフィーダ2の上部に投入される。ロータリーフィーダ2は、投入された粉粒体を時間あたり一定量ずつ切り出し、切出管3に排出する。切出管3に投入された粉粒体は、鉛直方向下向きに複数のガス吹き込みノズル4(図では3本)から吹き込まれる搬送ガスと共に搬送管5へと流れ、気流搬送される。
図2、図3は切出管3に取り付けられるガス吹き込みノズル4の位置の説明図である。
切出管3の内部側面に設けられた複数のガス吹き込みノズル4(図2、図3では3本)は、ノズル周辺の粉粒体を流動させブリッジを組むことを防止する。
図3では、上流側のノズルのガス吹き込み方向の延長線上に、隣接する下流側のノズルが位置するように複数のノズルを設置する。ガス吹き込み方向の延長線上で隣接するガス吹き込みノズル4同士の距離は、ガスの線流速が粉粒体の流動化速度を上回る距離とすることが好ましい。ガス吹き込み方向は水平面に対し下向きに0度以上90度未満の角度をつけることで、流動化した領域が切出管上部より出口まで螺旋状に連続することができる。具体的には、二次元乱流壁面噴流の最大速度式
【数1】

に従い、ガスの速度Umaxはノズル先端部からの距離xが大きくなるほど低下するので、Umaxが粒子の最小流動化速度を上回るxの値をガス吹き込みノズル4同士の距離とすることが好ましい。またガス吹き込み方向は、ガス流れ8が切出管内壁を一周回以上するよう定めることが望ましい。
【実施例】
【0010】
ガス吹き込みノズルの位置・吹き込み方法を変えられる小型試験装置を用いて、本発明の効果を検証した。装置概略を図4に示す。切出管を模した逆円錐型のアクリル製器具にガス吹き込みノズルを配置し、搬送ガスとして最大0.25L/minの窒素を供給し、上方から破砕木材1.35Lを間欠的に供給して排出可能な最小の窒素量を調べた。結果を表1に示す。ガス吹き込みノズルを複数配置することによりブリッジが発生しにくくなり、特に螺旋状のガス流れを形成するようにガス吹き込みノズルを配置した場合、最も少ないガス量でブリッジの生成を防止できた。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した粉粒体供給装置概略図。
【図2】本発明を適用した切出管のノズル配置例の図。
【図3】本発明を適用した別の切出管のノズル配置例の図。
【図4】小型試験装置の概略図。
【図5】従来の紛粒体供給装置における切出管内部のブリッジの例を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0012】
1 貯蔵容器
2 ロータリーフィーダ
3 切出管
4 ガス吹き込みノズル
5 搬送管
6 撹拌翼
7 モータ
8 ガス流れ
9 ノズル取付穴
10 キャップ
11 出口
12 粉粒体
13 ブリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安息角が35度以上90度以下の粉粒体を気流搬送する搬送管に、貯蔵容器内の粉粒体を定量切り出しする粉粒体供給装置において、貯蔵容器出口のフィーダと搬送配管をつなぐ逆円錐状の切出管の内部側面に、水平面に対し下向きに0度〜90度未満となるようにガスを吹き込むノズルを複数設けたことを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項2】
上流側のノズルのガス吹き込み方向の延長線上に、隣接する下流側のノズルを設置し、切出管内部に螺旋状のガス流れが形成されることを特徴とする請求項1記載の粉粒体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−297204(P2007−297204A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128974(P2006−128974)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】