説明

粒子の製造のためのパーコレーション乾燥

本発明は、乾燥粒子に、及び同一の物を製造する方法、特に非耐熱性成分、例えばコロイド系、又は比熱耐性生物薬剤化合物を含有する乾燥粒子の製造方法に、かかる乾燥粒子の使用に、かつ同一の物を含む医薬品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の詳細な説明
本発明は、乾燥粒子に、及び同一の物を製造する方法、特に非耐熱性構成成分、例えばコロイド系、又は非耐熱性生物薬剤を含有する乾燥粒子の製造方法に、かかる乾燥粒子の使用に、かつ同一の物を含む医薬組成物に関する。
【0002】
薬学分野において、粒子は、種々の適用、例えば肺及び鼻投与のために、並びに再構成及び注射のために製造される。エアロゾルを使用して肺の薬剤投与のために現在利用可能な装置のいくつかの分類がある。該装置は、噴霧器(溶解状態の薬剤を圧縮空気でエアロゾル化させる)、定量噴霧式吸入器(MDIs)及び乾燥粉末吸入器(DPIs)を含む。この技術は、乾燥粉末として使用され、又は再構成させてよく、その後配合物をすぐ使用する、薬物キャリヤー系の製造を含む。
【0003】
リポソーム又は固体脂質粒子のような系は、コロイド系の例である。リポソームは、水性成分を囲む単一の又は多層の二重層からなる人工膜である。該リポソームは、液体が水性環境において分散される場合に、自発的に形成される。リポソームは、それらの内部中へ周囲溶媒の部分を囲む、曲面脂質層からなる、球状の自己閉鎖性構造である。疎水性の薬剤及び化合物は、脂質二重層中へ取り込まれることができ、親水性の薬剤及び化合物は、それらの水性の芯内に取り込まれうる。殆どのリポソームは、リポソームが、哺乳動物の膜の分子特性を有するために、特徴において非毒性、非抗原性、及び生分解性である。
【0004】
しかしながら、水性リポソーム分散液は、物理的及び化学的な安定性を制限している。ある程度、物理的安定性は、リポソーム中への帯電脂質の取り込み(カチオン又はアニオンのリポソーム)によって改良されうる。しかしながら、これは、化学的安定性の問題を解決しない。従って、乾燥粒子配合物の開発は、頻繁に使用されている。
【0005】
リポソーム配合物は、殆ど注射によって投与されうる。殆どの存在している液体リポソーム生成物は、より長い貯蔵期間にわたって安定ではない。従って、リポソーム配合物は、極めて厳密な品質基準をこうむる。それというのも、該調合物は、種々の化学的及び物理的分解加工を受けうるからである。医薬生成物のために、室温で、又は冷凍温度で、少なくとも6ヶ月〜2年の安定性を有する最終配合物を有することが所望されうる。それらの因子は、生物有効化合物の実用的なキャリヤーとしてのリポソームの使用を制限する。リポソームのために、再水和及び脱水のための技術は、それらの要求を満たすために開発されている。
【0006】
実際に、リポソーム配合物の長期間の安定性は、それらが液体配合物ではなく無水として貯蔵される場合に、非常に増強される。凍結乾燥による水性リポソーム懸濁液のための一般に使用される安定法は、US特許番号第4,229,360号及び、第4,247,411号において記載されている。好適な有機溶剤からのリポソーム構成成分の凍結乾燥は、US特許番号第4,311,712号において記載されている。それらの凍結乾燥調合物は、容易に水和される多孔質マトリックスをもたらす。多くの配合物は、後者の技術で安定化されているが、それは、いくつかの深刻な欠点を有する。該技術は、非常に時間及びエネルギーを消費し、かつ従って、特に回分法において高価である。典型的な凍結乾燥法は、他の取扱いに好適である粉末粒子を得るための付加的な製造工程において粉砕されるべきであるケーク様の一次生成物をもたらす。
【0007】
乾燥して貯蔵され、かつ水で再構成させて、使用直前にリポソーム調合物を形成してよい、1つ以上の生物学的有効化合物を含む噴霧乾燥リポソーム構成成分の混合物の形成における安定なリポソーム前駆体を製造するための噴霧乾燥法は、US特許番号第4,830,858号において記載されている。リポソームのようなコロイド薬物キャリヤー系の脱水のための噴霧乾燥技術の主な問題は、高温の使用である。これは、特に、高い含水率を有する分散液に関して事実である。熱ストレス及び酸化ストレスは、薬物及び脂質構成成分の劣化及び分解を導きうる。
【0008】
リポソームの限られた物理的安定性を克服するために提案された他の溶液は、脂質/生物学的有効化合物の膜を製造及び貯蔵し、かつ投与直前に膜を分散して水性リポソーム調合物を形成すべきである。しかしながら、単位容量膜調合物は、急速な再水和に好適な薄膜の溶剤蒸発及び付着を容易にして、リポソームを直ちに形成するための高表面積を有する容器の要求のような深刻な実質的な問題をもたらす。その嵩の特徴によってこのタイプの容器は、いくつかの貯蔵の問題をもたらしうる。
【0009】
従来の噴霧凍結乾燥法の欠点を克服する他のアプローチにおいて、全ての方法は、噴霧凍結及び凍結乾燥の個々の工程中に分けられる。予備形成された凍結液滴の分散液は、WO 03/087339号において記載されている凍結乾燥によって乾燥される。しかしながら、尺度可能性及び再び時間を消費する凍結乾燥法の問題が、主な欠点である。
【0010】
凍結材料の乾燥時間を減少するために、遠心除滴層又は流動床を形成するガス中での該材料の流動化を含む方法が、開発されている。流動床における乾燥は、雰囲気圧下で(US 3,313,032号、US 3,436,837号、US 4,608,764号)、又は真空状態下で(US 3,269,025号、US 6,584,782号)実施されてよい。該流動床における粒子の激しい運動は、該粒子の望ましくない摩擦を導く。従って、乾燥材料のさらなる加工のための材料は、損失する。摩擦によって生じた細かく、粉塵様の粒子材料は、精巧な濾過系によって収集されなければならない。特に毒性物質を含む製造方法において、この細かい粒子材料の形成を、回避しなければならない。
【0011】
従って、本発明の根底にある問題は、温度感受性の構成成分を含有する乾燥粒子を製造するための方法を提供することであった。
【0012】
前記問題の解決法は、本発明の請求項において特徴付けられ、かつ明細書においてさらに叙述された実施態様を提供することによって得られる。
【0013】
本発明の第一の観点は、コロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体からの乾燥粒子の製造のための方法であって、
a)コロイド系及び/又は生物薬剤を含有する該水性媒体を提供する工程、
b)工程a)の水性媒体を凍結して、凍結粒子を得る工程、並びに
c)工程b)の凍結粒子を脱水して、乾燥粒子を得る工程
を含む方法において、工程c)は、減圧下で凍結粒子と、非流動条件下でパーコレーション媒体とを接触することによって実施されることを特徴とする。
【0014】
好ましい一実施態様において、該パーコレーション媒体は、非流動条件下で前記凍結粒子を横切る及び/又は通過させる。より有利には、工程c)は、融解することなしに実施される。
【0015】
本発明の方法は、化学的及び/又は物理的分解又は改質に感受性のある、コロイド薬物キャリヤー系、例えばリポソームもしくは液体複合体の水性分散液、又は生物薬剤の懸濁液を乾燥するために特に好適である。安定であり、かつ水性組成物へ容易に再構成されうる乾燥粒子を得るために、有効医薬成分を含有するリポソームの分散液の乾燥が好適である。
【0016】
本発明による方法は、低減させた時間及び経済的な方法における穏やかな条件下で溶剤の除去を可能にし、その結果、コロイドの構造及び有効化合物の活性が、十分に維持されうる。従って、本発明の方法は、より高い温度を要求する噴霧乾燥と比較して、非耐熱性化合物を乾燥するために有利である。
【0017】
多孔質のケーク様生成物をもたらす従来の凍結乾燥技術と対照的に、本発明は、バイアルの装填のような次の製造工程のための好ましい取扱い特性を有する易流動性粒子を提供する。さらに、従来の凍結乾燥法と比較して、その乾燥時間は、有意に低減されうる。120分だけが、乾燥凍結での24時間と比較して、同量の粒子を乾燥するために必要とされる。嵩材料として処理され、かつ可撓性のある、所望の一次充填容器の個々の装填のために使用されうる易流動性粒子が得られる。
【0018】
本発明の方法において実施される非流動条件下でペレットを乾燥することによる低温液体、例えばガスのパーコレーションは、流動床の使用(US 3,269,025号、US 3,313,032号、US 3,436,837号、US 4,608,764号、又はWO 03/086443号において記載されている)に対して有利である。それというのも、該流動床における粒子の激しい動きが、材料の望ましくない摩擦を導くからである。従って、他の方法のために損失する材料を、防ぐ。摩擦によって生じた細かい粉塵様粒子の回避は、毒性化合物を含む製造方法において特に有利である。さらに、濾過は、従来の凍結乾燥と比較して、乾燥時間を減少する。
【0019】
雰囲気圧で乾燥材料中の湿分の輸送のための、ガス流を使用する他の方法(US 3,313,032号、US 3,436,837号、US 4,608,764号、又はWO 03/072016号)と対照的に、本発明の方法は、低圧の使用と湿分の輸送のための媒体流動とを併用し、従って、操作時間及び/又は操作温度を減少する。
【0020】
本発明の他の目的は、前述方法によって得られる生成物を提供することである。本発明の方法によって得られる典型的な生成物は、水溶性糖類、例えばマンニトール又はトレハロースであってよい親水性賦形剤を含む、乾燥した固体粒子である。有利には、親水性賦形剤は、総生産量に対して、少なくとも50質量%、より有利には少なくとも80質量%、及び最も有利には少なくとも90質量%の量で存在する。該粒子の少なくとも一部は、1つ以上の取り込まれた、場合により非耐熱性のコロイド系、例えばリポソームを個々に含む。有効成分は、該コロイド系の中に取り込まれてよく、又は該コロイド系と関連してよい。該コロイド系は、コロイドの1つ以上の構成物、例えば活性剤の化学的性質に関する、又は該系の物理的特性に関する非耐熱性であってよい。乾燥粒子及び/又はペレットのサイズは、たいてい、実質的に該コロイド系のサイズよりも大きく選択される。例えば、前記の乾燥粒子及び/又はペレットは、約5μm〜約5000μmの範囲で平均直径を有してよいが、取り込まれたコロイド系は、約20nm〜約5μmの範囲であってよい。
【0021】
本発明の方法は、薬剤の製造のために使用されてよい。本発明の乾燥粒子は、それ自体使用され、又は他の成分と混合されて、医薬組成物を形成してよい。医薬組成物の好ましいタイプは、適切な液体キャリヤー、例えば注入のための水、滅菌緩衝液又は食塩水で粒子を再構成することによって得られた、注射又は注入のための調合物である。
【0022】
本発明の他の観点は、本発明の方法を実施するための装置に関する。
【0023】
定義
量の値の記載内容における"約"は、示された値に対して、最大±20%、有利には±10%の平均偏差に関する。例えば、カチオン脂質約30mol%の量は、合計の脂質/両親媒性物質の成分に関して、30mol%±6mol%、及び有利には30mol%±3mol%に関する。
【0024】
"有効化合物"は、ヒトもしくは動物の疾患もしくは状態の診断、予防、又は治療のために有用な作用剤として有用であることに基づく特定の生物活性を有する化合物、又は化合物の混合物に関する。薬物物質、診断化合物及びワクチンは、本発明による有効化合物の重要な例である。
【0025】
"水性媒体"又は"水溶液"は、水を含む液体材料である。前記材料は、単一の液相、又は二相もしくは多相系を示してよく、その際、連続相は、液体であり、かつ水を含む。水性懸濁液又は分散液は、水性の連続相からなる。コロイド材料を含有する水性媒体は、以下で場合により、水性コロイド分散液又は溶液に言及される。
【0026】
"生物薬剤"は、生物学的分子に、特にアミノ酸又はヌクレオチド由来の分子、例えばペプチド、ポリペプチド、もしくは核酸、例えばDNA、RNAもしくは核酸類似体に関し、かつ特に製剤学的に認容性の形で、哺乳動物に、特にヒトの患者に適用される場合に物理学的活性がある。
【0027】
"カンプトテシン"は、Camptothecea acuminata、並びにメトキシル化類似体及びカルボキシル化類似体のような誘導体及び前駆体分子、Topotecan、Irinotecan並びにSN38から由来されうる、キノリンを基剤としたアルカロイド4−エチル−4−ヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン(CAS 7689−03−4)に関する。カンプトテシンは、癌の治療のために使用される。カンプトテシンは、トポイソメラーゼIの阻害剤である。
【0028】
"コロイド系"、"コロイドキャリヤー系"又は"コロイド薬物キャリヤー"は、コロイドであり、かつコロイドサイズの範囲、例えば約10nm〜約10μmの平均直径を有する、あらゆる組成物の系として本明細書において定義される。より有利には、該コロイド系は、約20nm〜約5μm、及び特に約50nm〜約1μmの平均直径を有する。
【0029】
"低温液体"は、水溶液を凍結するために必要な温度範囲で、有利には−90℃未満の温度で液体である材料である。
【0030】
"誘導体"は、いくつかの他の化合物から誘導されるが、その一般的な構造機能を維持している化合物に関する。誘導体は、例えば化学的な機能化及び/又は誘導化によって得られてよい。
【0031】
本明細書において使用される"薬物"は、有効化合物に関する。
【0032】
"流動条件"は、固体粒子床が、揚力及び重力が統計的釣合になるまで、固体材料の全質量を上流へ移動するガス流によって通過する場合に、与えられる条件に関する。これは、固体粒子が、全ての大きさにおいて自由に動くことができる場合に、ガス相における固体材料の懸濁液を導く。この結果は、静止している固体材料の嵩密度と、流動ガスの密度との間の密度の流体様系である。従って、最新の発明の理解によって、"流動条件"という用語は、粒子が気体の渦中で懸濁される場合の条件を含む。
【0033】
本明細書において使用されているように、"液滴の形成"は、圧力噴霧、二流体噴霧、遠心性液滴形成、並びに例えば圧電性液滴形成装置、音活性化−、磁気性−及び静電性液滴形成装置のようなノズルのような測定による、材料の微粒子又はペレットへの変換に関する。
【0034】
本明細書において使用されているように、"親水性賦形剤"は、製剤学的に容認性の、薬理学的に実質的に親水性特性を有する不活性材料である。親水性は、親水性賦形剤が、実質的に水溶性であるべきであることを意味する。
【0035】
"脂質"は、水に不溶性である、原形質の脂肪、脂質、アルコール−エーテル可溶性構成成分を含む総称としてその通常の意味に関する。脂質は、脂肪、脂肪油、精油、蝋、ステロイド、ステロール、リン脂質、糖脂質、スルホ脂質、アミノ脂質、色素脂質及び脂肪酸からなる。その用語は、天然脂質と合成脂質の双方を含む。本発明に関連して好ましい脂質は、ステロイド及びステロール、特にコレステロール、リン脂質、例えばホスファチジル及びホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン、並びにスフィンゴミエリンである。それらが脂肪酸である場合に、脂肪酸は、6個までの二重結合を含む、約12〜24の炭素鎖の長さでありうる。該脂肪酸は、グリセロールから誘導されてよい主鎖に連結される。1つの脂質内の脂肪酸は、異なる(不斉である)ことができ、又は例えばリゾレシチンを有する1つのみの脂肪酸鎖であってよい。混合された配合物も可能であり、それは、特に非カチオン性の脂質が天然源から得られる場合、例えばレシチン(ホスファチジルコリン)が、卵黄、ウシの心臓、脳、肝臓又は大豆から精製される場合である。
【0036】
"リポソーム"は、種々のサイズ及び構造の人工の脂質二重層ベシクルである。ユニラメラベシクルは、水性空間を含む単一脂質二重層によって定義されるリポソームである。対照的に、オリゴ−又はマルチラメラベシクルは、いくつかの膜を含有する。典型的に、その膜は、おおよそ4nmの厚さであり、かつ両親媒性脂質、例えば天然又は合成起源のリン脂質からなる。場合により、該膜の特性は、他の脂質、例えばステロール又はコール酸誘導体の取り込みによって改質されうる。低い相転移温度(すなわち体温未満)を有するリン脂質に基づく特定の可撓性膜を有するリポソームは、場合によりトランスファーソーム(transfersome)に関する。
【0037】
それらの直径及び二重膜の数によって、リポソームは、マルチラメラベシクル(MLV、2つ以上の二重層、典型的に約150〜200nmより大きい)、小さいユニメラベシクル(SUV、1つの単一二重層、典型的に約100nm未満)、多小胞ベシクル(MVV、より大きいベシクル内でのいくつかの多孔質構造)、及び大きいユニメラベシクル(LUV、1つの単一二重層、典型的に約100nmより大きい)として分類されてもよい。
【0038】
"パクリタキセル"(本明細書において、類似体、配合物、並びに誘導体、例えばデアセチルパクリタキセル、デアセチル−7−エピパクリタキセル、ドセタキセル、タキソテール(ドセタキセルの配合物)、パクリタキセルの10−デスアセチル類似体、及びパクリタキセルの3’N−デスベンゾイル−3’N−t−ブトキシカルボニル類似体を含むことが解されるべきである)は、当業者に公知の技術(WO 94/07882号、WO 94/07881号、WO 94/07880号、WO 94/07876号、WO 93/23555号、WO 93/10076号、US特許番号第5,294,637号、第5,283,253号、第5,279,949号、第5,274,137号、第5,202,448号、第5,200,534号、第5,229,529号、及びEP 590,267号も参照)を使用してすぐに製造され、又は例えばSigma Chemical Co.、St. Louis、Mo.(Taxus brevifoliaからのT7402、又はTaxus yannanensisからのT−1912)を含む種々の市販源から得られてよい。パクリタキセルは、一般にパクリタキセルから化学的に入手できるものだけでなく、類似体(例えば前述のタキソテール)及びパクリタキセル結合体(例えば、パクリタキセル−PEG、パクリタキセルデキストラン又はパクリタキセル−セルロース)に関することを解されるべきである。
【0039】
本明細書において使用される"粒子"は、実在している固形物に関する。該粒子は、約1μm〜約5μmのサイズ範囲であってよい。該固形物は、典型的に、種々の化学元素、化合物又は構成成分からなる。例えば、粒子は、リポソーム及び賦形剤を含んでよい。該固形物は、多孔質又は無孔質であってよい。所定の温度で、典型的に、"凍結粒子"は、室温で流体である固体構成成分を含有する。典型的に、該構成成分は、水、及び水混和性溶剤である。"乾燥粒子"は、10%(w/w)未満の量でのみ、かかる構成成分を含有する。
【0040】
本明細書において使用される"タキサン"と言う用語は、微小管活性の機構を有し、かつ異常なタキサン環構造及び細胞静止活性のために要求される立体特異的側鎖を含む構造を有する抗腫瘍剤の分類に関する。また、"タキサン"の用語の中に含まれるのは、親水性誘導体と疎水性誘導体との双方を含む種々の公知の誘導体である。タキサン誘導体は、制限されることなく、国際特許出願番号WO 99/18113号において記載されているガラクトース及びマンノース誘導体、WO 99/14209号において記載されているピペラジノ及び他の誘導体、WO 99/09021号、WO 98/22451号、及びUS特許番号第5,869,680号に記載されているタキサン誘導体、WO 98/28288号において記載されている6−チオ誘導体、US特許番号第5,821,263号において記載されているスルフェンアミド誘導体、並びにUS特許番号第5,415,869号において記載されているタキソール誘導体を含む。
【0041】
本明細書において使用されているように、"熱感受性"、"温度感受性"、又は"非耐熱性"は、材料が、熱による水の蒸発に基づく乾燥法、例えば噴霧乾燥と不相容であることを意味する。言い換えれば、非耐熱性材料は、かかる熱乾燥法によって処理される場合に、少なくともいくつかのその構造、活性、機能性、又は化学純度を失い、その結果、その生成物は、製剤学的に容認性でなくてよい。
【0042】
本発明の方法によって得られる乾燥粒子は、種々のサイズ、形状及び組成物を有してよい。たいてい、多数の乾燥粒子及び/又はペレットは、約1μm〜約5mmの範囲のサイズで平均直径を有する。有利には、小さい乾燥粒子は、約5μm〜約500μm、及び有利には約10μm〜約400μmの平均直径を有する。より有利には、小さい乾燥粒子は、約20μm〜約300μm、約30μm〜約250μm、又は約35μm〜約200μmの平均直径を有する。有利には、大きい乾燥粒子は、約50μm〜約5000μm、又は約100μm〜約3000μmの平均直径を有する。他の好ましい実施態様によって、大きい乾燥粒子は、約200μm〜約2000μm、約500μm〜約1500μm、又は約750μm〜約1200μmの平均直径を有する。
【0043】
小さい乾燥粒子、及び大きい乾燥粒子は、粒子の他の加工、例えば充填及び装填に好適に依存する種々の特性を有する。大きい乾燥粒子は、小さい乾燥粒子よりも容易に摩擦及び流量をこうむりやすくない。
【0044】
該粒子の平均直径は、種々の異なる方法で測定されかつ記載されうる。本発明によると、該粒子の平均直径は、特に明記されていなければ、レーザー回折又は同等の方法で測定されるような試料の数平均直径に関する。コロイド系の平均直径は、特に明記されていなければ、光子相関分光法又は同等の方法で測定されるような試料の数平均直径として示される。
【0045】
水性媒体は、有利には少なくとも50%(vol/vol)の量で、より有利には少なくとも70%(vol/vol)の量で、及び最も有利には少なくとも90%(vol/vol)の量で水を含有する。水の他に、本発明において使用される水性媒体は、少なくとも部分的に水と混和性である1つ以上の他の液体構成分、例えばアルコール(例えば炭素原子1〜4個のアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びそれらの組合せ等)又はケトン(例えば炭素原子3〜4個のケトン、例えばアセトン、メチルエチル−ケトン、及びそれらの組合せ等)を含んでよい。好ましい一実施態様において、該水性媒体は、水、又は水とエタノールとの混合物である。
【0046】
好ましい一実施態様において、該水性媒体は、親水性賦形剤を含む。有用な親水性賦形剤は、いくつかの化合物の化学的分類の中に見出されてよい。他の好ましい一実施態様によって、該親水性賦形剤は、糖類、例えば単糖、二糖、オリゴ糖もしくは多糖、糖アルコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、水溶性ポリマー、又はそれらの組合せである。
【0047】
糖類又は炭水化物は、主に炭素、水素、及び酸素からなる化合物として定義される。有用な糖類は、糖及び糖アルコール、オリゴ糖、水溶性多糖、並びにそれらの誘導体を含む。本発明による好ましい糖類は、グルコール、フルクトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ガラクトース、マルトトリオース、マルトペントース、ラフィノース、デキストリン、デキストラン、イヌリン、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、キトサン、水溶性セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒプロメロース、アルギン酸塩、可溶性デンプン又はデンプン留分、キサンタンガム、グアールガム、ペクチン、カラゲーン、ガラクトマンナン、ジェランガム、トラガカント、それらのあらゆる誘導体を含む。特に好ましい糖類は、グルコース及びトレハロースである。
【0048】
他の有用な親水性賦形剤は、他の化学的分類から、例えば水溶性アミノ酸、ペプチド又はタンパク質から選択されてよい。例えば、グリシン又は他の天然アミノ酸が、使用されてよい。有用なタンパク質は、ゼラチン、アルブミン、乳漿タンパク質、大豆タンパク質、又は他の食物もしくは野菜タンパク質を含む。
【0049】
有用な親水性賦形剤のさらに他の例は、ポリマー、例えば水溶性ポリマー、例えば固形ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、又はポリビニルピロリドンである。
【0050】
本発明によると、1つより多い親水性賦形剤の混合物が使用されてよい。例えば、それらは、独立して、いくつかのパラメータ、例えばpH、溶解性、及び湿潤性を調整するために要求されてよい。この場合において、第一の親水性賦形剤は、コロイド系のための塩基性キャリヤー材料として選択されてよいが、一方で1つ以上の他の親水性賦形剤が、取り込まれて一定のpH及び/又は湿潤性を得てよい。
【0051】
水性相における疎水性賦形剤、又は疎水性賦形剤の混合物の含有率は、その水溶性及び他の条件に依存して、非常に広くてよく、かつ約80質量%まででさえあってよい。より有利には、約0.1質量%〜約65質量%である。約3質量%〜約60質量%、及び特に約5質量%〜約50質量%の含有率である。
【0052】
もちろん、該水性媒体は、さらに他の賦形剤又は助剤物質を含んでよく、その際、該水性媒体は、疎水性又は水溶性であってよい、又は疎水性又は水溶性でなくてよい。それらの性質及び抽出媒体に依存して、すなわちそれら物質が該抽出媒体中で可溶性であり、かつ該抽出媒体によって抽出されるかどうかかに依存して、かかる物質は、乾燥粒子中に含まれ、又は水と共に除去されてよい。含まれる物質は、製剤学的に容認性であるべきである。
【0053】
粒子配合物において、並びに特に再構成及び場合により非経口投与のために使用される粒子配合物において有用であってよい他の賦形剤は、一般に医薬配合物の研究者に公知である。好ましい他の賦形剤は、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、充填剤、凍結乾燥剤、抗酸化剤、キレート剤、防腐剤、パーコレーション圧剤、pHを調整するための酸又はアルカリ賦形剤等を含む。
【0054】
本発明による好ましい賦形剤の中では、安定剤及び抗酸化剤である。抗酸化剤は、特に酸化に対して感受性のある脂質が使用される場合に、取り込まれた有効化合物の酸化だけでなく、コロイド系の成分の酸化も予防してよい。有用な化合物は、例えば脂溶性抗酸化剤、例えばアルファ−、ベータ−及びガンマ−トコフェロール、ユビキノール、リコペン、アルファ−及びベータ−カロテン、ノルジヒドログアイアレチン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、デスフェラール、p−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、シリンガ酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、p−クマル酸、フェルラ酸、シナピン酸及びコーヒー酸、アスコルビン酸パルミテート、カルノソール、エスクレチン、エスクリン、フラキセチン、フラキシン、クエルセチン、モリン等を含む。特に、製剤学的に容認性のそれらの誘導体を含むアルファ−トコフェロール及びエチレンジアミン四酢酸が好ましい。反対に、化学的に純粋な、半合成又は合成の飽和脂質がコロイド系を含むために使用される場合に、抗酸化剤は、必要でなくてよい。
【0055】
本発明のコロイド系は、固体、半固体又は液体であってよい。有利には、該コロイド系は、液体、脂質及び/又は親水性化合物を基礎とする。好ましい一実施態様において、コロイド系は、リポソーム、脂質複合体、固体脂質ナノ粒子、リポプレックス、ニオソーム、ミセル又は混合ミセル、有利にはリポソームであり、及びより好ましい実施態様においてはカチオンリポソームである。
【0056】
本発明の明細書内において使用されるコロイド系、有利にはリポソームは、中性、アニオン又はカチオン脂質を含有してよい。中性又はアニオン脂質は、ステロール、又は脂質、例えばコレステロール、リン脂質、リゾ脂質、リゾリン酸、スフィンゴ脂質又は負の正味電荷を有するペグ化脂質から選択されてよい。従って、有用な中性及びアニオン脂質は、以下を含む:ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール(特定の糖に制限されない)、脂肪酸、カルボン酸を含有するステロール、例えばコレステロール、制限されることなく1,2−ジオレイルホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジヘキサデシルホスホエタノールアミン(DHPE)を含む1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、1,2−ジアシル−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジステアリルホスホスファチジルコリン(DSPC)、1,2−ジパルミチルホスホスファチジルコリン(DPPC)、1,2−ジミリスチルホスホスファチジルコリン(DMPC)、ホスファチジルコリン、有利には卵PC(egg PC)、大豆PC(soy PC)、及びスフィンゴミエリン。グリセロール主鎖に結合した脂肪酸は、特定の長さ又は二重結合の数に制限されない。リン脂質は、2つの異なる脂肪酸をも有してよい。有利には、中性及び/又はアニオン脂質は、室温で液状の結晶状態にあり、かつ前記脂質はカチオン脂質と、これらが適用される割合で混合可能である(すなわち、均一な相が形成されてよく、かつ相分離又は分域形成が生じない)。好ましい一実施態様において、前記中性脂質は、1,2−ジオレイルホスホスファチジルコリン(DOPC)である。
【0057】
好ましいカチオン脂質は、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩、例えば硫酸メチルを含む。好ましい−TAP脂質の群の代表例は、DOTAP(ジオレオイル−)、DMTAP(ジミリストイル−)、DPTAP(ジパルミトイル−)、又はDSTAP(ジステアロイル−)である。他の本発明のために有利な脂質は、以下を含んでよい:DDAB、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、1,2−ジアシルオキシ−3−トリメチルアンモニウムプロパン、(以下を含むがこれに限定されない:ジオレオイル、ジミリストイル、ジラウロイル、ジパルミトイル及びジステアロイル、2つの異なるアシル鎖も前記グリセロール主鎖に結合していてよい)、N−[1−(2,3−ジオロイロキシ)プロピル]−N,N−ジメチルアミン(DODAP)、1,2−ジアシルオキシ−3−ジメチルアンモニウムプロパン(以下を含むがこれに限定されない:ジオレオイル、ジミリストイル、ジラウロイル、ジパルミトイル及びジステアロイル、2つの異なるアシル鎖も前記グリセロール主鎖に結合していてよい)、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−塩化トリメチルアンモニウム(DOTMA)、1,2−ジアルキルオキシ−3−ジメチルアンモニウムプロパン(以下を含むがこれに限定されない:ジオレイル、ジミリスチル、ジラウリル、ジパルミチル及びジステアリル、2つの異なるアルキル鎖も前記グリセロール主鎖に結合していてよい)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノ−エタン)カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、2,3−ジオレオイルオキシ−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−エチル)−N,N−ジメチル−1−プロパミニウムトリフルオロ−アセテート(DOSPA)、β−アラニルコレステロール、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ジC14−アミジン、N−tert−ブチル−N’−テトラデシル−3−テトラデシルアミノ−プロピオンアミジン、14Dea2、N−(アルファ−トリメチルアンモニオアセチル)ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG)、O,O’−ジテトラデカノイル−N−(トリメチルアンモニオ−アセチル)ジエタノールアミンクロリド、1,3−ジオレオイルオキシ−2−(6−カルボキシ−スペルミル)−プロピルアミド(DOSPER)、N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジオレオイルオキシ−1,4−ブタンジアンモニウムイオジド、Solodin et al.(Solodin et al.、1995)によって記載されている1−[2−(アシルオキシ)エチル]2−アルキル(アルケニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)−イミダゾリニウムクロリド誘導体、例えば1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、1−[2−(ヘキサデカノイルオキシ)エチル]−2−ペンタデシル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DPTIM)、第4級アミン上でヒドロキシアルキル成分を含有する、例えばFeigner et al.(Feigner et al.、1994)によって記載されている2,3−ジアルキルオキシプロピル第4級アンモニウム化合物誘導体、例えば:1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシプロピルアンモニウムブロミド(DORIE−HP)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシブチルアンモニウムブロミド(DORIE−HB)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシペンチルアンモニウムブロミド(DORIE−Hpe)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、1,2−ジパルミチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DPRIE)、1,2−ジステアリルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DSRIE)、Santaniello et al.(US 5,498,633号)によって報告されているアシルカルニチンのカチオンエステル、ホスファチジルコリンのカチオントリエステル、すなわち1,2−ジアシル−sn−グリセロール−3−エチルホスホコリンであり、その際、炭化水素鎖は、飽和又は不飽和であってよく、かつC12〜C24の長さの鎖を有する分子鎖状であってよい、又は分枝鎖状でなくてよい。有利には、該カチオン脂質は、同一又は異なってよい、2個のアシル鎖を有する。
【0058】
他の好ましい一実施態様において、前記コロイド系は、有効成分のための非リポソームコロイドキャリヤー系、例えば脂質複合体、リポプレックス、コクリエート(cochleat)、ミセル、混合ミセル、又は脂質ナノ粒子である。
【0059】
さらに他の好ましい一実施態様において、本発明によるミセル及び混合ミセルは、特に、両親性分子、例えば界面活性剤の会合によって形成された、種々の形状及び長さ、又は典型的に約5nm〜約100nmの直径を有する、小さなコロイド構造である。リポソームと対照的に、該構造は、それほど安定ではなく、かつ希釈に対して分解する傾向がある単層を基礎とする。ミセルは、例えばWO 02/085337号及びEP 0 730 860号において記載されている。
【0060】
好ましい実施態様は、前記コロイド系が、有効化合物を含有することである。該有効化合物は、該コロイド系の中に取り込まれてよく、又は該コロイド系と会合してよい。リポソームの場合において、例えば、親水性有効化合物は、リポソームの水性内部空間内で封入されてよいが、一方親油性有効化合物は、たいてい、膜形成脂質と会合される。脂質ナノ粒子の場合において、親油性化合物は、かかるナノ粒子のマトリックス内でも容易に取り込まれる。
【0061】
コロイド系は、効果的に供給されにくい有効化合物、例えば乏しい溶解性の化合物、感受性(非耐熱性を含む)有効化合物、ペプチド、タンパク質、及びDNA、RNA、iRNA、siRNA又はオリゴヌクレオチドを含む核酸のための特に好適なキャリヤーである。他の有効化合物は、コロイド内でより効果的に供給されるものである。それというのも、血管内投与後の生物におけるコロイドの分布が、それぞれの化合物の溶液の投与と比べて、効力又は副作用に関してより有利であるからである。該化合物の種類は、ドキソルビシン、ミトキサントロン、及びアンホテリシンBを含む、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、並びに細胞増殖抑制剤又は細胞毒性剤である。
【0062】
本発明の明細書内で使用されるコロイド系、例えばリポソームは、特に、疎水性薬剤、例えばタキサン、カンプトテシン、ドキソルビシン、ミケラミン(michellamine)B、ビンクリスチン、及びシスプラチンの封入のために好適である。好ましい例は、水で低い溶解性を有し、かつ熱感受性である、パクリタキセル、ドセタキセル及びカンプトテシンである。
【0063】
他の好ましい一実施態様において、該コロイド系は、カチオンリポソーム調合物、特にDOTAPとDOPCとパクリタキセルとを、約50:47:3の比で含有する調合物である。この配合物は、MBT−0206又はEndoTAG−1でもある。EndoTAG−1は、10%(m/m)トレハロース二水和物溶液で10mMの脂質含有率を有する。EndoTAG−1の生成物は、WO 2004/002468号において記載されている。
【0064】
種々の方法は、一般に、リポソームを製造するために、及び有効成分を取り込むために使用される。それらは、膜法、音波処理、界面活性透析法、エタノール注射、エーテル注入、逆相蒸発、抽出、及び高圧均質化を含む。該方法、得られた生成物、及びそれらの性質は、例えばKerby et al.、Liposomes、in:Encyclopedia of controlled drug delivery、第1版、461〜492頁(John Wiley&Sons、1999)においてより詳細に記載されている。
【0065】
該方法は、しばしば、取り除かれなければならない高いレベルの残留物、例えば界面活性剤又は有機溶剤をもたらす。有機溶剤の使用を防ぐ方法は、例えば調整された孔サイズのポリカーボネートフィルターによるMLVsの抽出、特に高圧抽出、MLVsのSUVsまでの音波破砕又は高圧均質化を含む。
【0066】
コロイド系、特にリポソームは、経口的に、経皮的に、血管内に、気管支内に、筋肉内に、眼球内に、皮下に、及び腹腔内に投与されうる。薬物送達系のように、リポソームは、薬物吸収を高め、急速に取り除かれた薬物の損失を遅延し、かつ薬物毒性を低減することによって、化合物の薬物動態学及び薬力学運命を著しく変えることができる。それらは、癌の治療のための化学療法剤、細菌性、ウィルス性及び寄生虫の病気の治療ための抗菌剤の送達のために、及びワクチンの送達のための免疫アジュバントとしての使用のためにも、広く研究されている。
【0067】
長期貯蔵のために脱水されているリポソーム調合物は、好適な液体系で、典型的に水性媒体で、再水和されるべきである。驚くべきことに、水性リポソーム分散液、及び他の液体を基礎とするコロイド系は、本発明の方法によって、たいてい、それらのおおよその粒子サイズ及び特徴を維持している、容易に再構成されうる方法で、乾燥されうることが見出されている。該方法が、緩和な条件、特に減圧及びパーコレーション下で低温を使用するために、該方法は、非耐熱性リポソームを乾燥するために非常に有用である。
【0068】
コロイド系、例えばリポソームは、種々の点で不安定であってよい。それらの物理学的構造は、熱により高く感受性があってよく、そのため熱乾燥法が、リポソーム膜の分解、機能性の損失、又は取り込まれたもしくは会合された有効化合物の損失を導きうる。それらの組成物に依存して、それらは、熱に対して化学的に不安定であってもよい。例えば、いくつかの脂質は、水性環境で、高温で、急速に加水分解又は酸化する。
【0069】
本発明の目的は、工程a)における生物薬剤を含有する水性媒体を提供することである。該生物薬剤は、アミノ酸もしくは核酸から誘導された、又はウィルス、細菌もしくは細胞から誘導された分子であってよい。アミノ酸から誘導された分子は、オリゴペプチド又はポリペプチド、タンパク質、特に組換えタンパク質であってよい。抗体、特にモノクローナル抗体、抗体断片、又はインターフェロンもしくはインターロイキンのようなサイトカインが例である。
【0070】
本発明の工程b)におけて、工程a)の水性媒体が、凍結粒子を得るために凍結される。凍結は、有利には、凍結粒子を得るための凍結条件を維持している間に、水性媒体の液滴を形成し、かつそれを低温液体と接触することによって実施される。
【0071】
前記低温液体は、冷ガス又は極低温液体でありうる。極低温液体は、アルゴン、ヘリウム、水素、窒素、酸素、メタン、二酸化炭素、酸化窒素、イソペンタン、ヘキサン、もしくはエタノールのような冷却液体、及び炭化水素流体のような他の流体、又はそれらの混合物である。特に好ましい一実施態様において、窒素が使用される。
【0072】
液滴の形成は、種々の異なる方法で実施されうる。例えば、液体又は液体様材料、例えば工程a)において提供されたようなものは、それらをノズル又は噴霧器によって吹き付けることによって噴霧されうる。大きい粒子は、適切な液滴形成装置で、液体又は液体様材料から、液滴の形成中に高噴霧圧を防ぐことによって、製造されうる。一般的に、液滴は、機械力の適用によって形成されてよい。液滴形成のための技術が、それらの物理的特徴において類似であるために、"吹き付け(spraying)"、"噴霧(atomizing)"及び"滴下"という用語は、区別なく使用される。
【0073】
好ましい一実施態様によって、工程a)の水性媒体は、工程b)において種々の液滴サイズへ噴霧されるが、乾燥はその後実施されない。
【0074】
大きい粒子の調合物のための大きい液滴を得るために、種々の技術が使用されうる。大きい液滴は、さらに、より大きいノズル直径、より小さい噴霧圧、他のノズル配置、及びかかる装置とパラメータとの組合せを使用することによって形成されうる。噴霧ノズルに加えて他の液滴形成装置は、遠心分散機、圧電性液滴形成装置、音活性化−、磁気性−及び静電性液滴形成装置のようなものを使用されうる。
【0075】
有用な噴霧ノズルは、当業者に公知である。該噴霧ノズルは、例えば、回転円板ノズル、衝突ジェットノズル、毛細管ノズル、単口ノズル、振動又は脈動タイプの超音波ノズル、2流体ノズル、例えば同軸2流体ノズル等を含む。
【0076】
好ましい一実施態様は、工程b)において得られた液滴が、気化させた低温液体中で予備冷却されることである。噴霧後に、液滴は、凍結粒子を形成するために、冷蒸気相へ落下する。前記の予備冷却された粒子は、続いて、低温液体を含有するタンクで、収集されかつ凍結される。低温液体の気化は、予備冷却が実施され、かつ/又は低温液体を有するタンク室の壁を洗浄する温度調整装置中で低温液体を噴霧することによって得られてよい。場合により、すなわち代わりに、水性媒体を予備冷却するためには、低温液体中へ、すぐ近く又は直に噴霧される。
【0077】
本発明による方法の工程b)は、温度調整装置、例えば本発明による装置で、実施されうる。
【0078】
本発明の特徴は、凍結粒子が、その後、工程c)において、減圧下で、有利には該粒子を融解せずに、脱水されることである。減圧下で、水は、昇華によって、凍結粒子から除去される。
【0079】
好ましい一実施態様において、工程b)及び工程c)は、同一の装置で、温度制御装置で、実施される。この目的のために、低温液体は、凍結後に装置から取り除かれ、かつパーコレーション媒体が、減圧下で添加される。代わりに、凍結粒子は、凍結装置から取り除かれ、そして分離温度調整乾燥チャンバーへ移送される。
【0080】
本発明の特徴は、乾燥過程中に、パーコレーション媒体、有利にはガスが、非流動条件下で凍結粒子を通過又は通り越させて、乾燥材料からの湿分の増加させた輸送による蒸発を増大することである。それらと対照的に、流動条件下で、該凍結粒子は、パーコレーション媒体内で粒子の持続的な移動を導く、パーコレーション媒体流中で可溶化される。流動床における粒子は、統計的にバランスの取れた状態であるが、しかし粒子が、ガス流で、流動床から上流へ加速され、かつ持ち上げられるかかる系のために典型的である。流動床を制御するための強制的な技術的測定は、従って、流動床の上の濾過装置であって、材料の連続損失を防ぐ。
【0081】
それらの条件と対照的に、すなわち、媒体が、非流動条件下で粒子を通してパーコレーションされる場合に、その流れは、粒子床によって、関連量の粒子が移動又は懸濁されない方法で方向付けられる。前記パーコレーション媒体は、粒子/粉末床から揮発性化合物を抽出することができるが、しかし該粉末床は、その媒体流によって有意に移動しない。さらに流動条件は、それ自身の乾燥チャンバー又はブレード又はバッフルのような可動性装置が、粉末床の制御された移動を導く場合に、適用しない。有利には、該パーコレーション媒体は、工程c)の間、乾燥チャンバーを通過する。
【0082】
本発明による工程c)の乾燥工程は、減圧下で実施される。圧力の低減は、非耐熱性化合物のための減少させた乾燥時間を可能にする。減圧は、乾燥材料を通って又は超えて媒体のパーコレーションと同時に適用されうる。流動条件と比較して低いパーコレーション媒体の体積流によって、高真空が、従来の真空ポンプで得られうる。流動条件下で同一の真空を得るために、強力な及び高エネルギー消費を有する真空ポンプが、要求される。Leuenberger et al.(US 4,608,764号、US 6,584,782号)によって記載されている乾燥法と対照的に、精巧な濾過系は、流動粒子、及びそれぞれの装置の乾燥チャンバーにおける摩擦によって生じた粒子を保持する必要がない。従って、濾過装置を妨げること、及び適用される濾過系の複雑性は、本発明の方法において有意に減少される。
【0083】
本発明による特に有用なパーコレーション媒体は、ガス、すなわち、操作条件でガス状であり、乾燥のために十分な流れを提供するための好適な蒸気圧を有する物質又は物質の混合物である。これは、物質が、室温で及び大気圧で、ガス状態であることを要求する必要がない。好ましい一実施態様において、操作条件は、大気圧以下での圧力を示す。従って、低気圧で液体又は固体である物質も、適用されてよい。操作条件で液体又は固体であり、かつ好適な流れを適用して乾燥を促進するために十分な蒸気圧を有する物質も、適用されうる。有用な物質の例は、空気、窒素、二酸化炭素、アルケン、アルコール、エタン、プロパン、亜酸化窒素、アルゴン、酸素、メタン、ブタン、ペンタン、亜酸化窒素、六フッ化硫黄、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、同一又は異なってよく、かつわずか3個の炭素原子を含有してよい2つのアルキル残留物を含有するエーテル、一酸化炭素、ヘリウム、水素、キセノン、それらのあらゆる混合物を含む。特に好ましいガスは、二酸化炭素、エタン、アルゴン、キセノン、空気、及び窒素、並びにそれらのあらゆる混合物である。目下、最も好ましいガスは、窒素である。前記媒体は、下部から頂部又は頂部から下部へ粒子/ペレットを通過してパーコレーションさせてよい。
【0084】
パーコレーション媒体として使用される二酸化炭素は、ドライアイスから生じさせることができる。前記ドライアイスは、二酸化炭素の体積流を調整するために使用される弁によって乾燥チャンバーと連結させた、乾燥チャンバーの下のチャンバー中で貯蔵されうる。ドライアイスは、ガス状二酸化炭素を発生するだけでなく、ガス及び乾燥装置も冷却しない。一般的に、パーコレーション媒体は、固体材料の昇華によって又は好適な条件で液体材料の蒸発によって誘導されうる。
【0085】
好ましい一実施態様において、パーコレーション媒体は、非常に少ない量の湿分を含む。該媒体は、使用する前に乾燥されうる。該パーコレーション媒体は、乾燥装置中で乾燥されうる。
【0086】
他の好ましい実施態様において、該パーコレーション媒体は、適用前に、冷却装置中で冷却される。冷却装置において、残った湿分は、パーコレーション媒体から回収されうる。
【0087】
さらに好ましい一実施態様において、該パーコレーション媒体の体積は、約0.1g/l/h〜約1000g/l/hの範囲で選択される。有利には、該体積は、約0.2g/l/h〜約500g/l/hの範囲で選択される。より有利には、該パーコレーション媒体の体積流は、約1g/h/l〜約100g/l/hの範囲で、及び最も有利には約10g/l/h〜約20g/l/hの範囲で選択される。
【0088】
装置の温度条件を含む真空条件は、物理的パラメータとの関係で定義されなければならない。好ましい一実施態様において、真空圧は、好適なそれぞれの温度で凍結粒子を超えて水性媒体の蒸発圧未満の範囲で選択されるべきである。パーコレーション媒体の輸送特性に依存して、典型的な温度は、約−90℃〜約50℃の範囲で選択されるべきである。従って、例えば温度冷却装置における好ましい圧力は、約0.01mbar〜約800mbarであり、有利には、該圧力は、約450mbarより低い。
【0089】
より有利には、前記真空は、約0.5mbar〜約50mbarの範囲で選択され、かつジャケット付き温度冷却装置の温度は、−20℃〜約35℃の範囲で選択される。最も有利には、該真空は、約0.8mbar〜約6mbarの範囲で選択されるべきである。
【0090】
乾燥状態に依存して、温度は、生成物の崩壊及び/又は結晶化を防ぐために変動されうる。有利には、該温度は、崩壊温度未満であり、かつ乾燥時間にわたって増加される。
【0091】
該温度は、パーコレーションガスを直接加熱又は冷却することによって調整させて、所望の温度を得てよい。
【0092】
他の好ましい実施態様によって、該温度は、パーコレーション中に上昇される。本明細書において使用されるように、温度の上昇は、該温度が、一定の粒子の乾燥状態を増加させることを意味する。有利には、最大温度は、材料の融解を導かない温度に関連する。より有利には、温度の上昇は、約−20℃〜約15℃の範囲で選択される。
【0093】
本発明の好ましい一実施態様は、乾燥粒子の実際の温度が、ペレットから水を蒸発することによって生じる冷却に間に、通常の冷却/加熱の組合せによって調整されうることである。
【0094】
本発明の工程c)を実施するために、パーコレーション媒体が、真空下で供給されうることによって種々の温度で保たれうる、温度冷却装置、例えば本発明の装置が使用されうる。適切な温度調整を得るために、粒子及びパーコレーション媒体を乾燥するために使用される容器の壁は、加熱又は冷却されてよい。その装置は、それ自身撹拌されうる。代わりに、粒子は、可能な技術の変化で撹拌されて、蒸発の増加しながら混合物を得られる。材料の撹拌は、該材料内での温度勾配も妨げる。
【0095】
好ましい一実施態様は、本発明の工程b)及びc)が、単一の装置で実施されてよいことである。他の好ましい実施態様において、工程a)の水性媒体は、第一装置において凍結粒子を得るために凍結され、そしてその凍結粒子は、異なる第二装置において次の工程で乾燥される。
【0096】
本発明は、コロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体からの乾燥粒子の製造のための装置にも関する。該装置は、コロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体から凍結粒子を得るための第一チャンバー、並びに凍結粒子を減圧下で、及び非流動条件で脱水するための第二チャンバーを有する。
【0097】
有利には、前記の第一チャンバーは、水性媒体を導入及び噴霧するための手段、低温液体を導入及び噴霧するための手段、並びに場合により第一チャンバー中で圧力及び/又は温度を調整するための手段を有する。有利には第二チャンバーは、凍結粒子を導入するための手段、低温液体のための貯蔵所、非流動条件下でパーコレーション媒体を供給するための手段、並びに第二チャンバー中で圧力及び/又は温度を調整するための手段を有する。第二チャンバーは、チャンバーの冷却又は加熱を、及び場合により乾燥処理中に温度の変化を可能にする、温度可変式ジャケットによって覆われていてよい。該チャンバーの壁における流出口は、真空ポンプと連結されてよい。該チャンバーの壁は、該チャンバー中へ凍結粒子を導入するための、及び該チャンバーから乾燥生成物を取り出すための手段、有利には弁も有する。
【0098】
他の実施態様は、以下を含む、乾燥粒子をコロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体から製造するための装置に関する:
互いに連結された第一の上部チャンバーと第二の下部チャンバーであって、その際、
(a)上部チャンバーは、有利には、円錐形で、下向きに先細りであり、かつ
(i)水性媒体を導入する、及び有利には噴霧するための開口部、例えば噴霧ノズル、及び
(ii)例えばチャンバーの上部に位置させた、低温液体を導入する、及び有利には噴霧するための手段、
(iii)液体ポンプを有する導管によって開口部(i)に連結させた容器、
(iv)手段(ii)に連結させた低温液体のための供給路、及び
(v)場合により、温度調整手段、例えば温度可変式ジャケットを有し、かつ
(b)下部チャンバーは、
(i)温度調整手段、例えば温度可変式ジャケット、
(ii)真空ポンプに連結させた、例えば下部チャンバーの頂部に位置する開口部、
(iii)パーコレーション媒体のための供給路に、例えばチャンバーの下部で連結させた開口部であって、有利にはかかる連結が、手段、例えば流れを制限するための弁を含み、及び
(iv)開口部、例えば該チャンバーから生成物を取り出すための弁を有する。
【0099】
他の実施態様は、以下を含むコロイド系を含有する水性媒体の凍結のための装置に関する:
互いに連結された第一の上部チャンバーと第二の下部チャンバーであって、その際、
a)上部チャンバーは、有利には、円錐形で、下向きに先細りであり、かつ
(i)水性媒体を導入する、及び有利には噴霧するための開口部、例えば噴霧媒体が下部チャンバー中に落下することができるように配置させた噴霧ノズル、
(ii)例えばチャンバーの上部に位置させた、低温液体を導入する、及び有利には噴霧するための手段、
(iii)液体ポンプを含有する導管によって開口部(i)に連結させた容器、
(iv)手段(ii)に連結させた低温液体のための供給路、並びに
(v)場合により、温度調整手段、例えば温度可変式ジャケットを含み、かつ
(b)下部チャンバーは、
(i)開口部、例えば該チャンバーから低温液体を放出するための弁、
(ii)第二開口部、例えば該チャンバーから生成物を取り出すための弁、
(iii)場合により、温度可変式手段、例えば温度可変式ジャケットを有する。
【0100】
コロイド系を含む水性媒体の凍結は、最新の発明の他の実施態様である、凍結粒子を乾燥するための装置において乾燥されてよい凍結粒子を生じる。
【0101】
乾燥粒子のための装置は、
(i)開口部、例えばチャンバー中へ凍結粒子を装填し、かつ該チャンバーから乾燥生成物を取り出すための弁、
(ii)真空ポンプに連結させた、例えばチャンバーの頂部における開口部、
(iii)パーコレーション媒体のための供給路に、例えばチャンバーの下部で連結させた開口部であって、有利にはかかる連結が、手段、例えば流れを制限するための弁を含み、
(iv)温度可変式手段、例えば温度可変式ジャケット、及び
(v)場合により、粒子の撹拌のための装置、例えば撹拌機
を含むチャンバーを有する。
【0102】
さらに他の実施態様は、
(i)装置、例えばチャンバーを回転するための電子装置を含む回転チャンバー、
(ii)開口部、例えば材料を導入及び/又は除去するための弁、
(iii)温度調整手段、例えば温度可変式ジャケット、
(iv)パーコレーション媒体のための供給路に連結させた開口部、
(v)分配装置、例えば供給されたパーコレーション媒体を分配するためのチャンバーの壁での多孔質挿入、及び
(vi)真空ポンプに連結させた開口部
を有する凍結乾燥粒子のための装置に関する。
【0103】
本発明の装置の好ましい実施態様は、図1において示されている。該装置は、上部チャンバー(7)、例えば予備凍結容器、及び例えば弁(8)によって連結された下部チャンバー(9)、例えば予備冷却真空チャンバーを有する。有利には、上部チャンバー(7)は、円錐形で下向きに先細りである。場合により、上部チャンバー(7)の壁は、断熱され、かつ/又は温度可変式ジャケットを有する。
【0104】
上部チャンバー(7)は、低温液体を噴霧するための手段(4)、例えば液体窒素、及び水性媒体を噴霧するための噴霧ノズル(14)を有する。場合により、噴霧手段は、低温液体の易流動性膜が確立される方法でチャンバーの壁を背に低温液体を噴霧する。噴霧のための手段は、低温液体(1)の供給路に連結される。噴霧ノズルは、乾燥させるための水性媒体(12)を含む容器に連結される。噴霧に要求される圧力を得るために、好適なポンプ(13)は、ノズル(14)に水性媒体を供給している。該ノズルは、噴霧から得た液滴が、十分な直径の弁(8)を通って低温液体を含有する下部チャンバー(9)中へ落下することができる方法で配置される。
【0105】
下部チャンバー(9)において、予備冷凍液滴は、低温液体(10)中で収集され、次に脱水される。下部チャンバーは、該チャンバーの冷却又は加熱を、及び場合により乾燥処理中に温度の変化を可能にする温度可変式ジャケットによって覆われる。流出口(15)、例えば蝶形弁は、真空ポンプ(16)に連結される。乾燥過程のために、該低温液体は、流出口(15)及び真空ポンプ(16)を通して、又は場合により付加された弁によって、前記チャンバーから取り出されうる。該低温液体は、温度を上昇して該低温液体の蒸発を誘導することによって装置から取り出される。
【0106】
凍結粒子にパーコレーション媒体を通過するために、下部チャンバー(9)は、有利にはその下部で、パーコレーション媒体供給路(17)に連結させた流入口(19)を有する。パーコレーション媒体の流れは、例えば弁(18)によって調整されうる。さらに該媒体のパーコレーションを得るために、分配装置(11)、例えばチャンバーの下部を覆う流れを分配するための濾過器又は篩は、前記流入口(19)の上に配置されてよい。好ましい一実施態様において、該分配装置(11)は、多孔質材料又は孔あき板である。場合により、下部チャンバー(9)は、該チャンバーから生成物を取り出すための手段、例えば第二弁を有する。該下部チャンバーは、ペレットの撹拌のための装置、有利には撹拌機も有しうる。
【0107】
前記装置は、該装置の種々の部分における温度及び圧力を測定するための手段も含んでよい。
【0108】
さらに、該装置は、チャンバーをポンプ、例えば窒素ポンプ(2)又は真空ポンプ(16)に接触する1つ以上の導管を有してよい。前記導管は、弁(3、15)を有してよい。
【0109】
本発明による装置は、パーコレーション媒体の温度を調整するため、もしくはパーコレーション媒体を乾燥するための手段、又は双方を有してもよい。
【0110】
前記装置の真空ポンプは、循環を構成するためのパーコレーション媒体の供給路に連結されてよい。そこに、チャンバーから取り出されたパーコレーション媒体が、再利用のために再循環される。
【0111】
記載されている装置を構成するために好適である、物質及び技術構成成分は、一般に、当業者に公知である。
【0112】
前述された条件下で乾燥粒子を得るための非流動条件下での、水性媒体の凍結、パーコレーション及び真空乾燥は、水の除去を、すなわち水性媒体中に含まれる構成成分の乾燥を、及び親水性賦形剤の乾燥した固体粒子の形成を導き、その際コロイド系又は生物薬剤が含まれる。およそ通常の条件に対して真空圧を低減した後に収集されてよい、典型的に乾燥粒子を示す易流動性固体粒子が得られる。
【0113】
典型的に、前記固体粒子は、実質的に乾燥している。該方法が、十分に長い時間実施され、又は乾燥させるための選択された量の水性媒体のために十分な昇華率を使用する場合に、わずか約5質量%、及び典型的にわずか約4質量%の残っている含水率が、ただ1つの乾燥工程のみで容易に得られる。
【0114】
コロイド系が取り込まれた又は組み込まれた、乾燥し、固体の粒子を得るためには、コロイドの許容できる程度を与えるコロイド系に対して親水性賦形剤の質量比を選択することが有用である。例えば、水性媒体が親水性賦形剤に対してより多い量のコロイド系を含む場合に、該コロイド系の一部は、乾燥粒子中に取り込まれない、又は乾燥粒子中で組み込まれなくてよい。従って、コロイド系に対する親水性賦形剤の質量比は、少なくとも約1:1、及びより有利には少なくとも約2:1、例えば約3:1〜約5:1、又はそれ以上であることが好ましい。一方で、極めて高い比は、避けられるべきである。それというのも、むしろ、一定のコロイド系の含有率のための大きい粉末(乾燥粒子)体積を、従って再構成後に大量の液体組成物を導きうるからである。従って、約50未満、及び特に約20未満の割合は、有用とみなされ、かつ約50より多い、又は100より多い割合でさえ、目下好ましくない。
【0115】
指摘したように、本発明の方法は、コロイド系又は生物薬剤を含有する水性媒体の、乾燥粒子及び/又はペレットへの変換を可能にする。本方法は、低温で実施され、その結果、非耐熱性材料の乾燥及び安定化のために特に有利である。公知の方法、例えばリポソーム化と対照的に、本発明の方法は、少ない時間を要求し、かつ非常に経済的である。さらに、該方法は、回分法として実施されることができるが、しかし、半連続又は連続法としても実施できる。しばしば多孔質の凝集性の固体生成物を導くリポソーム化と対照的に、本発明の方法は、標準の、場合により滅菌性の、粉末装填方法によって一次充填容器中へ容易に装填されてよい粉末のような、易流動性粒子を導く。
【0116】
パーコレーション乾燥法は、連続条件下で維持されうる。最終パーコレーション真空乾燥での凍結粒子の調整された分離に対して噴霧凍結法を使用する粒子パーコレーションから始まる連続法は、回分式で乾燥技術加工の制限を克服するために役立ちうる。該技術の能力は、完全な連続配列が、例えばUS 3,969,183号において公知である場合に、食品産業において見られる。
【0117】
凍結粒子は、ベルトコンベヤーによって、真空を維持した乾燥チャンバー中へ移動されてよい。多孔質の下部は、粒子を通過する又は横切るためのパーコレーションガスを可能にしてよい。該ベルトコンベヤーの速度は、粒子の乾燥状態の依存性において制御されうる。その工程中、真空は、その系に適用される。乾燥粒子は、安全装置によって乾燥チャンバーの外へ移動され、そして続いて特定の容器中へ充填されうる。
【0118】
本発明の方法によって得られる乾燥粒子、又は同一のものを含む粉末は、医薬品又は診断生成物の製造において使用されうる。該乾燥粒子は、医薬投与形の全ての要求を満たすための方法で製造されることができ、それ自体使用されてよく、又は適切な一次充填容器中へ装填される。代わりに、本発明の粒子は、さらに加工されてよい。例えば、該粒子は、他の活性及び/又は不活性成分、例えば製剤学的に許容なキャリヤー、賦形剤、もしくは溶剤で混合されてよく、又は医薬錠剤中へ圧縮されてよい。
【0119】
有利には、本発明の粒子は、粉末の形で、特に適切な水性媒体での再構成のための滅菌粉末の形で使用されうる医薬組成物の製造のために−単独又は他の構成成分でのどちらかで−使用される。
【0120】
例えば注射のための水又は緩衝液系を有する本発明による粒子の再構成後に、得られた配合物は、非経口的(例えば血管内又は局所)注射、経口投与、肺又は鼻吸入のために使用されうる。乾燥粒子及び/又はペレットを、リポソームを含む水性媒体から製造する場合に、該リポソームは、再構成前のそれぞれの値と比較して、再構成後に、実質的に同一の平均粒子直径(有利には、変化30%以下まで)、及び/又は実質的に、同一の多分散性指数(有利には増加50%以下まで)を有する。
【0121】
有機溶剤は、該有機溶剤が製造中に使用されている場合に、先行技術において公知の方法を超えた本発明の特定の平均である、許容しうる又は検出できる制限未満で、本発明の方法の間に抽出される。
【0122】
本明細書において識別されている全ての雑誌記事、他の参照、特許及び特許出願は、全体において参照をもって組み込まれたものとする。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】単一の装置におけるパーコレーションによって、液体を凍結する、及び凍結粒子を乾燥するための装置を示す図。
【図2】液体を凍結するための予備凍結チャンバーを有する装置を示す図。
【図3】凍結粒子のパーコレーション乾燥のための装置を示す図。
【0124】
実施例
次の実施例は、本発明、及び大部分の本発明の好ましい実施態様を説明することを意図し、さらに、本発明の範囲を制限しない。他の実施例及び実施態様は、場合により、一般に公知の技術情報との組合せで、容易に本明細書から得られる。
【0125】
リポソーム調合物
10mM〜40mMの総脂質含有量を有するカチオンポリマーを、エタノール注射、及びWO 2004/002468号において記載されているポリカーボネート膜を介する抽出によって製造した。共にAvanti Polar Lipids(Alabaster、米国)社製の、DOTAP(1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン)及びDOPC(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)を、エタノール中に溶解した。マルチラメラリポソームは、自発的に、10%トレハロース溶液(Ferro Pfanstiehl、米国)中への注入に対して形成した。その多分散性リポソーム調合物を、定義されたサイズ分布を有するユニメラリポソームを得るための孔サイズ200nmのポリカーボネート膜を通して5回抽出した。
【0126】
該リポソームの分析
該リポソームの粒子サイズ(Z−平均)及び多分散性(PI)を、Malvern Zetasizer Nano(Malvern Instruments、英国)を使用する光子相関分光法(PCS)によって分析した。DOTAP及びDOPCの脂質濃度を、205nmでのUV/VIS検出器を使用してHPLCで分析した。その構成成分の分離及び定量化を、C18プレカラムを有するC8 LiChrospher 60 RP−選択されたBカラム(250x4mm、粒子サイズ)を使用して実施した。
【0127】
粒子調合物
実験装備において、リポソームを含有する水性媒体を、記載された技術下で、低温液体中へ添加する。該水性媒体を、種々のノズルで噴霧した。低温液体中の水性液滴を凍結した後に、パーコレーション真空乾燥を実施する。粒子及び/又はペレットサイズは、噴霧力によって調整させることができる。
【0128】
粒子の分析
残存している成分を、ヘッドスペース炉(Analytic Jena AG、ドイツ)を有する電量Karl Fischer滴定装置によって決定した。粒子サイズ分布を、レーザー回折分析器(Mastersizer X、Malvern、ドイツ)を装備したHe−Neレーザービームで測定した。
【0129】
実施例1
予備形成されたリポソームの水性分散液を、脂質濃度10mM及びトレハロース含有率10質量%で製造した。リポソームの数平均直径は、約155nmであり、約0.21の多分散性を有した。その水性媒体を、直径0.5mmの開口部を有するノズルを使用して、流量率5ml/minで噴霧した。そのリポソーム懸濁液を、ガス状窒素の予備凍結チャンバーに対して凍結し、続いて低温液体で凍結した。噴霧又は凍結のための装置は、図2において図示されている。
【0130】
粒子を凍結した後に、その凍結粒子を、図3において図示されている装置に移動し、そして真空を、予備冷却装置に適用した。真空チャンバーの温度を、−40℃〜15℃まで、4時間にわたって上昇した。ガス状窒素のパーコレーション媒体は、ペレット及び/又は粒子を介して、1時間毎に14.8リットルの体積流量で供給した。真空を、パーコレーション乾燥工程中に、4〜5mbarの間で維持した。その水性溶剤を、真空パーコレーション乾燥中に蒸発した。そして、その圧力を、大気条件まで徐々に上昇した。その真空チャンバーを開き、固体構造の粒子を得た。残存した成分含有率は、3質量%未満であった。平滑及び中空の粒子のサイズは、500〜3000μmの範囲であった。注入のための水での再構築後に、リポソーム分散液を得た。その数平均粒子直径は、約151nmであり、多分散性0.26を有した。
【0131】
実施例2
その方法を、開口部ノズルが、流量率3ml/minで直径0.2mmを有することを除いて、実施例1との類似として実施した。真空チャンバーの温度を、−8℃〜14℃まで、4時間の時間枠にわたって上昇した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に22.2リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、3〜5mbarの間で維持した。乾燥粒子を、200〜1600μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、5質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径157nm、及び多分散性0.24で得た。
【0132】
実施例3
その方法を、真空チャンバーの温度を、12時間の時間枠にわたって−8〜10℃まで上昇したことを除いて、実施例2との類似として実施した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に14.8リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、3〜4mbarの間で維持した。乾燥粒子を、300〜2000μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、4質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径163nm、及び多分散性0.24で得た。
【0133】
実施例4
その方法を、水性分散液を、流量率3ml/minで直径0.75mmの開口部を有する2流体ノズルを使用して噴霧することを除いて、実施例1との類似として実施した。真空チャンバーの温度を、−1℃〜9℃まで、4時間の時間枠にわたって上昇した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に14.8リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、2〜4mbarの間で維持した。乾燥粒子を、100〜800μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、4質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径153nm、及び多分散性0.23で得た。
【0134】
実施例5
その方法を、水性分散液を、流量率7ml/minで直径0.75mmの開口部を有する2流体ノズルを使用して噴霧することを除いて、実施例1との類似として実施した。真空チャンバーの温度を、−1℃〜9℃まで、2時間の時間枠にわたって上昇した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に29.6リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、2〜3mbarの間で維持した。乾燥粒子を、50〜900μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、3質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径159nm、及び多分散性0.24で得た。
【0135】
実施例6
その方法を、実施例5との類似として実施した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に22.2リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、2〜2.5mbarの間で維持した。乾燥粒子を、60〜800μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、4質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径138nm、及び多分散性0.25で得た。
【0136】
実施例7
その方法を、パーコレーション媒体が、その粒子を超えて供給されることを除いて、実施例5との類似として実施した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に22.2リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、2〜2.5mbarの間で維持した。乾燥粒子を、60〜800μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、4質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径140nm、及び多分散性0.25で得た。
【0137】
実施例8
その方法を、実施例7との類似として実施した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に22.2リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、1.5〜3.0mbarの間で維持した。乾燥粒子を、30〜700μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、3質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径117nm、及び多分散性0.22で得た。
【0138】
実施例9
その方法を、実施例7との類似として実施した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に22.2リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、2.5〜3.0mbarの間で維持した。乾燥粒子を、50〜900μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、4質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径143nm、及び多分散性0.23で得た。
【0139】
実施例10
その方法を、真空チャンバーの温度を、3時間の時間枠にわたって−5〜50℃まで上昇したことを除いて、実施例7との類似として実施した。ガス状窒素のパーコレーション媒体を、1時間毎に29.60リットルの体積流量で供給した。その真空を、パーコレーション真空乾燥工程中に、2〜3mbarの間で維持した。乾燥粒子を、30〜1000μmの間で変動する粒子サイズで得た。残存した成分含有率は、4質量%未満であった。粉末の再構成後に、リポソームを、数平均直径150nm、及び多分散性0.22で得た。
【符号の説明】
【0140】
図1 (1)窒素供給路、 (2)窒素ポンプ、 (3)蝶形弁、 (4)窒素噴霧器、 (5)液体窒素、 (6)気化窒素、 (7)予備凍結容器、 (8)弁、 (9)予備冷却真空チャンバー、 (10)液体窒素、 (11)パーコレーション器/篩、 (12)懸濁容器、 (13)液体ポンプ、 (14)ノズル、 (15)蝶形弁、 (16)真空ポンプ、 (17)パーコレーション媒体供給路、 (18)ボール弁、 (19)パーコレーション媒体の流出口
図2 (1)液体窒素供給路、 (2)圧力測定器を有するポンプ、 (3)流量測定器を有する蝶形弁、 (4)懸濁液供給路、 (5)圧力測定器を有するポンプ、 (6)流量測定器を有するポンプ、 (7)ノズル、 (8)窒素噴霧器、 (9)温度測定器及び調整、 (10)冷却可能ジャケットを有する予備凍結容器、 (11)ステンレス鋼容器、 (12)液体窒素、 (13)磁気撹拌機
図3 (1)パーコレーションガス供給路、 (2)流量測定器、 (3)減圧弁、 (4)液体窒素供給路、 (5)ポンプ、 (6)温度測定器、 (7)流量測定器を有する弁、 (8)中間冷却器、 (9)ポンプ、 (10)流量測定器を有する弁、 (11)温度測定器、 (12)排気ガス、 (13)真空ポンプ、 (14)弁、 (15)圧力測定器、 (16)コンデンサー、 (17)温度測定器、 (18)篩要素、 (19)粒子、 (20)2重壁ジャケット、 (21)弁、 (22)排気窒素、 (23)弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体からの乾燥粒子の製造のための方法であって、
a)コロイド系及び/又は生物薬剤を含有する該水性媒体を提供する工程、
b)工程a)の水性媒体を凍結して、凍結粒子を得る工程、並びに
c)工程b)の凍結粒子を脱水して、乾燥粒子を得る工程
を含む方法において、工程c)は、減圧下で、かつ非流動条件下で、凍結粒子とパーコレーション媒体とを接触することによって実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記のパーコレーション媒体が、前記の凍結粒子を通過させる及び/又は横切らせる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c)が、凍結粒子を融解することなく実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コロイド系が、コロイド薬物キャリヤー、有利にはリポソーム及び最も有利にはカチオンポリマーを含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該コロイド系が、有効化合物を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記有効化合物が、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤、並びに細胞増殖抑制剤又は細胞毒性剤である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該有効化合物が、カンプトテシン又はタキサン、有利にはパクリタキセル又はドセタキセルである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記コロイド系が、DOTAPとDOPCとパクリタキセルとを、約50:47:3の割合で含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記生物薬剤が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド又は核酸から選択された分子である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記分子が、タンパク質、有利には抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記乾燥粒子が、約1μm〜約5mmの平均直径を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該乾燥粒子が、約100μm〜約3mmの平均直径を有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記水性媒体が、少なくとも1つの他の液体構成成分、有利には揮発性有機溶剤を含有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該水性媒体が、少なくとも1つのアルコール又はケトン、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、DMF、DMSO、又はそれらの混合物を含有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該水性媒体が、さらに親水性賦形剤を含有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記親水性賦形剤が、糖類、有利にはトレハロースである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記水性媒体が、他の賦形剤を含有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
該水性媒体が、工程b)の前に噴霧させる、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
工程b)が、前記水性媒体と低温液体とを接触することによって実施される、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記低温液体が、アルゴン、ヘリウム、水素、窒素、酸素、メタン、二酸化炭素、亜酸化窒素、イソペンタン、ヘキサン、エタノール、もしくは炭化水素流体のような他の流体、フルオロカーボン、又はそれらの混合物から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該低温液体が、液体窒素である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
工程b)が、液滴の形成を含む、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記液滴が、気化させた低温液体中で予備冷却されて凍結粒子を得る、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程b)が、温度調整装置中で実施される、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
工程c)が、温度調整装置中で実施される、請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
工程c)が、連続的に実施される、請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記パーコレーション媒体が、二酸化炭素、エタン、アルゴン、キセノン、空気、窒素、又はあらゆるそれらの混合物であり、有利には窒素である、請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記減圧が、工程b)の凍結粒子に関してそれぞれの温度で前記水性媒体の蒸気圧未満である、請求項1から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記温度が、工程c)の間に上昇される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該温度が、約−90℃〜50℃である、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
工程c)における減圧が、約0.1〜800mbar、有利には約450mbar未満、より有利には約0.5〜50mbarである、請求項1から30までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
乾燥粒子をコロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体から製造するための装置であって、コロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体から凍結粒子を得るための第一のチャンバー、並びに凍結粒子及び/又はペレットを減圧下で、かつ非流動条件で脱水するための第二のチャンバーを有する装置。
【請求項33】
乾燥粒子をコロイド系及び/又は生物薬剤を含有する水性媒体から製造するための装置であって、互いに連結された第一の上部チャンバーと第二の下部チャンバーを有し、その際、
(a)上部チャンバーが、
(i)前記水性媒体を導入する、及び有利には噴霧するための開口部、
(ii)低温液体を導入する、及び有利には噴霧するための手段、
(iii)液体ポンプを含有する導管によって開口部(i)に連結させた容器、
(iv)手段(ii)に連結させた低温液体のための供給路、
(v)場合により温度調整手段
を有し、かつ
(b)下部容器が、
(i)温度調整手段、
(ii)真空ポンプに連結させた開口部、
(iii)パーコレーション媒体のための供給路に連結させた開口部であって、その連結が流量を制限する手段を有する開口部、及び
(iv)該チャンバーから生成物を取り出すための開口部
を有する装置。
【請求項34】
前記流出口を覆って配置される、第二のチャンバーの下部におけるパーコレーション媒体の流量を分配するための手段を含む、請求項32又は33に記載の装置。
【請求項35】
パーコレーション媒体の流量を分配するための前記手段が、多孔質材料又は孔あき板である、請求項32から34までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記下部チャンバーが、該チャンバーからパーコレーション媒体を排出するための弁を有する、請求項32から35までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
凍結乾燥粒子及び/又はペレットのための装置であって、
(i)チャンバーを回転するための駆動装置を有する回転可能なチャンバー、
(ii)材料を導入する及び/又は除去するための開口部、
(iii)温度調整手段、
(iv)パーコレーション媒体のための供給路に連結させた開口部、
(v)供給されたパーコレーション媒体を分配するための分配装置、及び
(vi)真空ポンプに連結させた開口部
を有する装置。
【請求項38】
装置の種々の部分において、温度及び圧力を測定するための装置を有する、請求項32から37までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
チャンバーをポンプに連結する1つ以上の導管が、弁を有する、請求項32から38までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記パーコレーション媒体の温度を調整するための装置、及び/又は該パーコレーション媒体を乾燥するための装置を有する、請求項32から39までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記真空ポンプが、パーコレーション媒体の供給路に連結され循環路を構成する、請求項32から40までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
請求項1から31までのいずれか1項に記載の方法によって得られる生成物。
【請求項43】
請求項1から31までのいずれか1項に記載の方法によって得られる医薬品。
【請求項44】
医薬品の製造のための、請求項42に記載の生成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−507421(P2010−507421A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533742(P2009−533742)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009325
【国際公開番号】WO2008/049633
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(506131019)メディゲーネ アクチエンゲゼルシャフト (7)
【氏名又は名称原語表記】MediGene AG
【住所又は居所原語表記】Lochhamer Strasse 11, D−82152 Planegg/Martinsried, Germany
【出願人】(506152690)
【氏名又は名称原語表記】Ludwig−Maximilians−Universitaet Muenchen
【住所又は居所原語表記】Geschwister−Scholl−Platz 1, D−80539 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】