説明

粗面状塗膜およびその形成方法

【課題】 艶消し材等を含有させることなく、塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした粗面状塗膜に、耐磨耗性を付与することにある。好ましくは、該塗膜は弾性を有する塗膜であること、より好ましくは、伸び率が50%〜300%の塗膜に耐磨耗性を付与した粗面状塗膜を提供することにある。そしてその形成方法は、何ら特別な配合技術等を必要とせず簡単な方法で行うことができ、また確実に耐磨耗性を付与できる粗面状塗膜の形成方法を提供することにある。
【解決手段】 塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした塗膜であって、該塗膜面がシリコーンオイルで被覆されている粗面状塗膜とすることによって、解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜面にクレーター状の凹部を形成することによって粗面としてなる粗面状塗膜および該粗面状塗膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粗面状塗膜を形成する塗料の一例として、艶消し塗料が知られている。この塗料は、一般的には塗料配合成分中に樹脂ビーズ、シリカ、アルミナ、タルク等のいわゆる微粒子状艶消し材を含有しており、該塗料を任意の基材等表面に塗布すると、艶消し材微粒子が塗膜面に突出して凸部を形成し、この凸部が塗膜表面を粗面状態にする。従って、このような粗面状塗膜表面に光が当ると、光は塗膜表面で乱反射し、塗膜は艶消し状態を呈するものである。この艶消し塗料は、主として光沢を嫌い、或いは防眩性を必要とされる用途、例えば、家電製品或いはOA機器等における筐体、自動車用等の内装部品として用いられる種々の成形品、部品、製品等(以下、成形品等という)の表面塗装に広く用いられている。
【0003】
また、上記同様な粗面状塗膜を形成する塗料として、弾性を有する樹脂バインダーを塗膜形成成分とし、これに弾性樹脂ビーズを艶消し材微粒子として含有してなる塗料も知られている(以下、弾性艶消し塗料または弾性艶消し塗膜という)。この塗料もそこに配合されている樹脂ビーズによって、塗膜面に凸部を形成して粗面状態とすることができる。特に、このタイプの塗料は、塗膜および艶消し材の両方が弾性体で構成されているので、上記同様の艶消し効果が得られると共に、塗膜面に触れた時にソフトな感触が得られることから、機能性塗料の一つとして位置づけられており、成形品等の付加価値を高めることのできる塗料として注目されている。
【0004】
以上のような従来の艶消し塗料によって形成される粗面状塗膜は、図2の概略断面図に示す構造のものである。すなわち、被塗装物となる基材1、塗膜2、艶消し材微粒子3からなり、この艶消し材微粒子3が塗膜2の表面に突出して凸部を形成し、この凸部の周辺部は相対的に凹部となり、塗膜全体としては凹凸状の粗面状態となるものである。このような従来の艶消し塗料は、艶消し材微粒子を配合するだけの比較的単純な処方で艶消し塗膜を形成することができる特徴があるが、艶消し材微粒子の配合によって塗膜特性が低下する問題がある。例えば、自動車の内装部品のように高い防眩性が要求されるような場合、多量の艶消し材を配合する必要が生じるが、艶消し材が多くなるに従って塗膜の柔軟性が低下し、耐折り曲げ性、耐傷付き性といった塗膜特性が悪くなる問題がある。また、艶消し材の配合量の増加に伴って塗膜が多孔質となる傾向があるので、耐汚染性、耐薬品性、耐候性等も悪くなるという問題がある。
【0005】
また、弾性艶消し塗料においては、塗膜の柔軟性が損なわれることがないので、塗膜の耐折り曲げ性、耐傷付き性の低下といった問題の発生は見られにくくなるが、所望のソフト感および艶消し感を得るための弾性樹脂バインダーおよび弾性樹脂ビーズの選択、およびこれらの組み合わせにおいて、配合上の自由度が制限され、或いは配合上の困難さを伴なう他、コストが高くなり、耐磨耗性、耐薬品性が悪くなる等の問題がある。
【0006】
そこで本出願人は、塗膜物性の低下といった問題の発生原因となり易い艶消し材を用いることなく、十分な艶消し効果の得られる粗面状塗膜およびそのような粗面状塗膜の形成方法を特許文献1で提案した。すなわち、特許文献1で開示した粗面状塗膜は、後述する塗膜形状でクレーター状の凹部を形成せしめてなることを特徴とするもので、このクレーター状凹部の形成に伴い、該凹部周辺部は相対的に盛り上って断面突起状凸部が形成されるので、塗膜表面としては凹凸の形成された粗面状態となるものである。しかしながら、この突起状凸部は磨耗性に弱いという問題があった。
【特許文献1】特開2001−191021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明が解決しょうとする課題は、艶消し材等を含有させることなく塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした粗面状塗膜に、耐磨耗性を付与することにある。好ましくは、該塗膜は弾性を有する塗膜であること、より好ましくは伸び率が50%〜300%の塗膜に、耐磨耗性を付与した粗面状塗膜を提供することにある。そしてその形成方法は、何ら特別な配合技術等を必要とせず簡単な方法で行うことができ、また確実に耐磨耗性を付与できる粗面状塗膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載するように、塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした塗膜であって、該塗膜面がシリコーンオイルで被覆されている粗面状塗膜とすることによって、解決される。また、好ましくは請求項2に記載するように、前記シリコーンオイルをメチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルとすることによって、解決される。
【0009】
さらに、請求項3に記載するように、前記塗膜は弾性を有する塗膜で形成されることによって、好ましくは請求項4に記載するように、前記弾性を有する塗膜は、硬化後の塗膜の伸び率が50%〜300%の範囲である粗面状塗膜とすることによって、解決される。
【0010】
また、前記粗面状塗膜の形成方法として、請求項5に記載するように、基材面に液状塗料を塗布し、該液状塗料が未硬化の間に、該液状塗料に非相溶な粒子を該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させ、ついで該液状塗膜を硬化させた後、硬化塗膜表面に付着ないし埋没させた粒子を除去することによって該塗膜面を粗面とする工程、ついで、該粗面上にシリコーンオイルを塗装し乾燥硬化する工程からなる粗面状塗膜の形成方法とすることによって、解決される。好ましくは請求項6に記載するように、前記シリコーンオイルとしてメチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルを用いることによって、解決される。
【0011】
さらに、請求項7に記載するように、前記液状塗料は、有機溶剤型液状塗料であり、かつ該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させる微粒子を、吸水性樹脂粒子とした粗面状塗膜の形成方法とすることによって、解決される。また、請求項8に記載するように、前記塗膜表面に付着ないし埋没させた吸水性樹脂粒子の除去が、該吸水性樹脂粒子を吸水により膨潤させた後に除去する粗面状塗膜の形成方法とすることによって、解決される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした塗膜であって、該塗膜面がシリコーンオイルで被覆されている粗面状塗膜としたので、また好ましくは、前記シリコーンオイルとしてメチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルを用いたので、粗面化するためのクレーター状凹部の形成に従来の艶消し塗料のごとき艶消し材を含有させる必要がないので、該艶消し材の配合による塗膜特性の低下といった問題の発生が防止でき、また、特にメチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルを被覆したので、塗膜面の耐磨耗性も良好となる。さらに、本発明においては塗膜の粗面化を、前記塗膜の一部分のみに行うことも容易であり、このような部分粗面状塗膜は、光沢部分と艶消し部分の組み合わせからなる意匠性に富んだ塗膜とすることができる。
【0013】
さらに、前記塗膜は弾性を有する塗膜で形成されることによって、好ましくは前記弾性を有する塗膜は、硬化後の塗膜の伸び率が50%〜300%の範囲である粗面状塗膜としたので、前述の特性に加えて、粗面化のためのクレーター状凹部を弾性を有する塗膜で行うことにより、塗膜特性に優れると共に極めてソフトな感触の塗膜となり、この塗膜を形成した成形品等の高付加価値化に寄与する。
【0014】
また請求項5に記載するように、基材面に液状塗料を塗布し、該液状塗料が未硬化の間に、該液状塗料に非相溶な粒子を該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させ、ついで該液状塗膜を硬化させた後、硬化塗膜表面に付着ないし埋没させた粒子を除去することによって該塗膜面を粗面とする工程、ついで、該粗面上にシリコーンオイルを塗装し乾燥硬化する工程からなる粗面状塗膜の形成方法とするので、何ら特別な配合技術等を必要とせず、未硬化状態の塗膜面に、凹部形成用粒子を付着ないし埋没させるだけの簡単な方法で形成でき、特にメチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルを被覆したので、耐磨耗性が良好な粗面状塗膜とすることができる。
【0015】
さらに、前記液状塗料として有機溶剤型液状塗料を用い、かつ該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させる微粒子を、吸水性樹脂粒子とした粗面状塗膜の形成方法とすることによって、また前記塗膜表面に付着ないし埋没させた吸水性樹脂粒子の除去が、該吸水性樹脂粒子を吸水により膨潤させた後に除去する粗面状塗膜の形成方法としたので、塗膜形成塗料として、有機溶剤型塗料を凹部形成用粒子として吸水性樹脂粒子を用いた場合、該吸水性樹脂粒子は吸水により膨潤し塗膜面との付着力が著しく小さくなるので、凹部形成用粒子の除去が極めて容易かつ確実に行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は請求項1に記載するように、塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした塗膜であって、該塗膜面がシリコーンオイルで被覆されている粗面状塗膜である。以下、図面に基づいて説明する。図1(d)が本発明の粗面状塗膜の概略断面図であり、1は基材、2は塗膜、4はクレーター状凹部形成用粒子(以下凹部形成用粒子)、5はクレーター状の凹部(以下クレーター状凹部)、6は断面突起状凸部(以下凸部)、7はシリコーンオイルの被覆層(以下シリコーンオイル層)である。すなわち、本発明の粗面状塗膜は、塗膜2の表面に凹部5を形成せしめてなり、この凹部5の形成に伴い該凹部周辺部は相対的に盛り上って凸部6が形成されるので、塗膜2の表面は凹凸の形成された粗面状態となる。そしてこの粗面状の塗膜面には、シリコーンオイル層7を形成することによって、耐磨耗性が向上される。
【0017】
上記本発明の粗面状塗膜が、従来の艶消し塗料から得られる粗面状塗膜と大きく異なる点は、従来の艶消し塗膜が配合されている艶消し材粒子を塗膜表面に突出させて凸部を形成させるのに対し、本発明は塗膜面にクレーター状凹部5を形成せしめることによって、相対的にその周辺部の塗膜2を隆起させて凸部6を形成せしめて粗面状塗膜とした点である。すなわち、本発明の粗面状塗膜は粗面化するための凹凸の形成として、艶消し材微粒子を全く含有させる必要がないので、該艶消し材の配合によって引き起こされる塗膜物性の低下といった問題の発生が防止できる。
【0018】
また本発明の粗面状塗膜は、塗膜2の全面に渡って粗面化できるのみならず、塗膜2の一部分のみを粗面化することもできる。例えば、凹部形成用粒子4を液状塗料塗膜面へ付着させるに際し、適宜なマスキング冶具を通して行ない、該粒子によって模様、図形、文字等が描画できるように付着させることによって、その部分のみが粗面化され、光沢部分と艶消し部分の組み合わせからなる意匠性の高い塗膜が得られる利点がある。このような利点も本発明の大きな特徴の一つであり、このような部分的粗面化塗膜も本発明の範囲に属するものである。
【0019】
以上のように粗面が形成された粗面状塗膜には、シリコーンオイル層7が被覆される。これは、前述の粗面状塗膜は耐磨耗性が十分ではなかったことによるためである。また、前記シリコーンオイル層の形成に用いるシリコーンオイルは、特に限定されるものではなく一般に市場より入手できるものでよく、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0020】
そして、前記シリコーンオイル層7は請求項2に記載するように、メチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルであることが好ましい。このようなシリコーンオイルを選択することによって、シリコーンオイル層7の形成後の乾燥工程での加熱で、塗膜表面に焼付け処理ができることになる。このようにして形成されたシリコーンオイル層7は、塗膜表面に滑性を付与することができるので耐磨耗性が長期に渡って維持されることとなる。なお、メチルハイドロジェンシリコーンオイルの焼付け処理を、より低温でより短時間で行うために触媒を併用することができる。このような触媒としては例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、テトラブチルチタネート、鉄オクトエート等が挙げられる。また、上記のシリコーンオイルは、ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤を用いて水に分散されたタイプとすることで、凹部形成用粒子4の除去に水を用いた場合、粗面状塗膜を乾燥することなくシリコーンオイル層として被覆することができるので好ましい。
【0021】
また、シリコーンオイル層7の形成方法としては、スプレー、刷毛、浸漬、ローラーなど公知の方法で行うことができる。その場合の塗布量については特別な制限はないが、シリコーンオイルとして2〜60g/cmが好ましく、より好ましくは6〜50g/cmである。2g/cmより少ないと塗膜表面の耐磨耗性が悪くなる恐れがある。反対に60g/cmより多く塗布してもその効果が飽和に達して不経済となるためである。
【0022】
さらに本発明においては、請求項3に記載するように、前記粗面状塗膜は弾性を有する塗膜2で形成されるのが良い。これは、塗膜表面を手で触れた際に、より優れたソフト感が得られるためである。このような弾性を有する粗面状塗膜としては、特に限定されるものではなく塗料業界で一般的となっている種々の塗料を挙げることができるが、塗膜面にクレーター状凹部5を形成する上で、その形成のし易さの点から液状塗料であるのが好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、天然ゴムもしくは合成ゴム等を塗膜形成成分とし、これに必要に応じて顔料、染料、有機溶媒、およびその他種々の塗料用添加剤を配合してなる塗料である。また、これらの塗料は一液型、および各種の硬化剤を用いた二液型塗料であっても良い。
【0023】
そして、前記弾性を有する塗膜2は請求項4に記載するように、硬化後の塗膜2の伸び率が50〜300%の範囲である粗面状塗膜とするのが特に好ましい。すなわち、JIS規格K5400、8.8の引張強さと伸び率に規定されている方法で測定した時の伸び率が、50〜300%の範囲であるのが好ましい。このような塗膜2を粗面化とした場合は、目的とする艶消し効果に加え、塗膜表面を手で触れた際により優れたソフト感が得られるという大きな特徴がある。その理由は、従来の弾性艶消し塗膜から得られるソフト感が、主として塗膜中に配合されている弾性樹脂ビーズの変形によってもたらされるものであるのに対し、本発明の粗面状塗膜のソフト感は、該塗膜のクレーター状凹部5の周辺を取り囲むように形成される断面突起状の凸部6の変形によって得られるために、両凸部を構成する材料および形状の差によってソフト感の優位性が生じるものと考えられる。このような塗料の具体例としては、ポリエステル・イソシアネートプレポリマーの二液反応硬化型塗料、ウレタン塗料等がある。
【0024】
なお、本発明による粗面状塗膜が形成できる基材1としては、特に限定されるものではなく、プラスチック、木材、金属、紙、布、陶磁器、ガラス、石材、コンクリートなどで構成された成形品等が対象となる。さらに、本発明の粗面状塗膜は、基材1の表面に直接形成しても良いが、種々の目的で使用される下塗り塗膜を介して形成してもよく、さらには適宜のシート、フィルム等表面に、粗面状塗膜を形成した後、該シート、フィルムを種々の成形品表面に貼着するようにしても良い。
【0025】
以上のような粗面状塗膜は、請求項5に記載するように、基材1面に液状塗料を塗布し、該液状塗料が未硬化の間に、該液状塗料に非相溶な凹部形成用粒子4を該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させ、ついで該液状塗膜2を硬化させた後、硬化塗膜表面に付着ないし埋没させた粒子を除去することによって該塗膜面2を粗面とする工程、ついで、該粗面上にシリコーンオイルを塗装し乾燥硬化し、シリコーンオイル層7を被覆する工程からなる粗面状塗膜の形成方法とすることによって、何ら特別な配合技術等を必要とせず、未硬化状態の塗膜面に、凹部形成用粒子を付着ないし埋没させ、これを除去した後シリコーンオイルを塗布・乾燥するだけの簡単な方法で形成することができる。
【0026】
図1に基づいて、本発明の粗面化塗膜の形成方法を説明する。図1において、1は基材、2は塗膜、4は凹部形成用粒子、5はクレーター状凹部、6は凸部、7はシリコーンオイル層である。図1(a)は、任意の基材1の表面に、液状塗料を塗布して液状の塗膜2を形成せしめてなる工程、(b)は、該液状塗膜2が未硬化の間に、その表面に凹部形成用粒子4を付着ないし埋没せしめてなる工程、(c)は液状塗膜を硬化させた後の塗膜表面から凹部形成用粒子4を除去してなる工程、(d)はシリコーンオイルで粗面状塗膜に被覆層を形成した工程であり、以上の各工程を順次行うことにより、塗膜面に微小なクレーター状凹部5からなる粗面を有し、その粗面にはシリコーンオイル層7が形成されている粗面状塗膜が得られる。
【0027】
まず、塗膜2の形成に用いる塗料について説明する。この塗料は特に限定するものではなく、塗料業界で一般的となっている種々の塗料を挙げることができるが、塗膜面にクレーター状凹部5を形成する上で、その形成のし易さの点から液状塗料であるのが好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、天然ゴムもしくは合成ゴム等を塗膜形成成分とし、これに必要に応じて顔料、染料、有機溶媒、およびその他種々の塗料用添加剤を配合してなる塗料である。また、これらの塗料は一液型、および各種の硬化剤を用いた二液型塗料でも良い。そして前記塗料の中でも、硬化後弾性塗膜を形成する塗料を用いるのが好ましく、特に硬化後の塗膜の伸び率が、JIS K5400、8.8引張強さと伸び率に規定されている方法で測定した時の伸び率が、50〜300%の範囲の塗膜を形成する塗料を用いるのが好ましい。このような塗料の具体例としては、ポリエステル・イソシアネートプレポリマーの二液反応硬化型塗料、ウレタン塗料等があり、このような弾性塗膜から形成される粗面状塗膜は、良好な艶消し状態に加え、より優れたソフトな感触が得られるので粗面状塗膜を有する成形品等の塗装物品の高付加価値化に寄与することができる。
【0028】
また前述の塗膜2を構成する塗料は、スプレー、刷毛、浸漬、ローラー、カーテンフローコーター等、公知の種々の塗装方法で任意の基材1表面に塗布することができる。その場合の塗布量についての特別な制限はないが、塗膜表面にクレーター状凹部5を形成する必要があることから、比較的厚膜となるように塗布するのが好ましい。一例としては、硬化塗膜厚として10μm以上となるように塗布するのが好ましく、特に30〜100μm厚となるようにするのが好ましい。
【0029】
また、本発明において使用し得る凹部形成用粒子4としては、最終的に塗膜表面から除去する必要があるので、該塗膜面から除去され易い凹部形成用粒子4であることが必要で、そのために凹部形成用粒子4は、液状塗料に非相溶な粒子であることが必要である。なお、本発明における液状塗料に非相溶な凹部形成用粒子4とは、凹部形成用粒子自体が非相溶であることが好ましいが、相溶性粒子であっても、非相溶となるように適宜表面処理の施された粒子であれば使用可能である。また、これら凹部形成用粒子4は、硬化塗膜面からの除去が容易かつ確実に行えるようにするため、これら凹部形成用粒子4は、さらに離型剤、界面活性剤等によって表面処理されたものであっても良い。
【0030】
また、凹部形成用粒子4の形状および粒子径については特に限定するものではないが、球状もしくは不定形状のいずれでもよく、硬化後の塗膜表面から除去のし易さの点で球状粒子であるのが好ましい。凹部形成用粒子4の具体例としては、種々の有機質粒子または無機質粒子が挙げられる。有機質粒子の一例としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂粒子であり、無機質粒子の例としては、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、亜鉛などの金属粒子である。また、食塩、炭酸カルシウム、砂糖、重曹等の粒子も使用でき、これら凹部形成用粒子4は、塗膜形成に用いられる液状塗料の種類に応じ適宜選択して用いることができる。
【0031】
なお凹部形成用粒子4の粒子径については、一般的には10〜2000μm、好ましくは20〜1500μmの範囲のものが使用できる。粒子径が10μmより小さいと、形成される粗面状態が緻密すぎて十分な艶消し効果が得られ難くなり、2000μmより大きくなると、艶消し効果は得られるものの塗膜表面にザラツキ感が生じ、塗装物品の商品価値を低下させるようになる。さらにその使用量については、用いる凹部形成用粒子4の材質(比重)等により大きな違いがあるので、一律に規定するのは困難である。一般的には塗膜面全体が隠れる程度とするのが好ましい。使用量が少なすぎると十分な艶消し効果が得られず、これとは反対に使用量が多すぎても(例えば、塗膜面全体が隠れる程度以上)、艶消し効果の向上にはそれほど寄与しないので経済的でなくなる。
【0032】
そして凹部形成用粒子4は、未硬化状態の塗膜面に凹部形成用粒子4を散布するのみでも、該凹部形成用粒子4の付着跡がクレーター状凹部5として塗膜面に形成されるが、得られる艶消し効果は、塗膜面に形成されるクレーター状凹部5の深さにも比例するので、凹部形成用粒子4の散布においては、該凹部形成用粒子4が塗膜面に積極的に埋没されるような手段を講ずるのが好ましい。例えば、凹部形成用粒子4を散布後その上から加圧する方法、凹部形成用粒子4をスプレーガン等で吹き付ける方法などによるのが好ましい。なお、本発明でいう凹部形成用粒子4を塗膜面に埋没させるとは、塗膜2中に完全に埋没させることを意味するものではなく、この凹部形成用粒子4は後工程で除去する必要があることから、好ましくは粒子体積の半分程度ないしそれ以下が塗膜中に沈み込んだ状態の意味で用いるものとする。
【0033】
このようにして、凹部形成用粒子4が付着ないし埋没してなる未硬化塗膜2は、ついで硬化処理される。この場合の硬化条件は、用いた液状塗料のそれぞれに定められている硬化条件に従うのが好ましい。例えば、塗料中に配合されている有機溶剤を揮散することで硬化塗膜が形成されるような塗料の場合は、常温ないし適宜な温度での加熱、無溶剤型の塗料の場合はそこに配合されている塗膜形成成分の反応が開始する温度での加熱、エネルギー線硬化塗料の場合は、その硬化に必要なエネルギー線量の照射によって、それぞれの塗膜2を硬化させることができる。
【0034】
ついで、硬化が終了した硬化塗膜2から凹部形成用粒子4が除去される。その際の除去方法については特に限定はなく、用いた凹部形成用粒子4の種類に対応させて適宜とするのが好ましい。例えば、一般的には、ブラシ、刷毛、布等で塗膜表面を拭き取って除去する方法、高圧空気または加圧水を吹き付けて吹き飛ばす方法、超音波洗浄装置により除去する方法などである。また、凹部形成用粒子4が水溶性の場合は水に溶解させて除去する方法、金属粒子の場合は磁力で吸引除去する方法なども採用できる。なお、ここで除去された凹部形成用粒子4は、回収によって再度凹部形成用粒子4として使用できる。
【0035】
また、前記塗膜面に好ましいクレーター状凹部5を形成するには、請求項7に記載するように、前記液状塗料が有機溶剤型液状塗料であり、かつ該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させる凹部形成用粒子4を吸水性樹脂粒子とした粗面状塗膜の形成方法とするのが好ましい。すなわち、本発明において使用し得る凹部形成用粒子4としては、最終的に塗膜表面から除去する必要があるので、該塗膜面から除去され易い凹部形成用粒子4であることが必要であると共に、該凹部形成用粒子4は液状塗料に非相溶な粒子であることが必要である。このため、凹部形成用粒子4を吸水性樹脂粒子とすることによって、請求項8に記載するように、最終工程での凹部形成用粒子4の除去に際し、該凹部形成用粒子4を吸水により膨潤させることにより、該凹部形成用粒子4と塗膜面との付着力を著しく低下させることになり、除去作業が容易となる利点が得られる。これは、粗面状塗膜の形成方法が、比較的簡単であり好ましい。
【0036】
以上のようにクレーター状凹部5が形成された塗膜面上には、シリコーンオイル層7が形成されて、耐磨耗性を付与させることができる。被覆されるシリコーンオイルは、特に限定されるものではないが一般に市場より入手できるものがよく、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。そして、好ましくは請求項6に記載するように、シリコーンオイルの中でもメチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルを選定することによって、被覆後の乾燥工程での加熱で塗膜表面に焼付け処理ができるので好ましい。さらに、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを用いた場合には、この焼付け処理をより低温でより短時間で行うために触媒を併用することができる。このような触媒としては例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、テトラブチルチタネート、鉄オクトエート等が挙げられる。また、上記のシリコーンオイルは、ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤を用いて水に分散されたタイプとすることで、凹部形成用粒子4の除去に水を用いた場合に粗面状塗膜を乾燥することなく被覆することができるので好ましい。
【0037】
塗膜面上をシリコーンオイル層7で被覆するには、スプレー、刷毛、浸漬、ローラーなど公知の方法で行うことができる。その場合の塗布量についての特別な制限はないがシリコーンオイルとして2〜60g/cmが好ましく、より好ましくは6〜50g/cmである。2g/cmより少ないと塗膜表面の耐磨耗性が悪くなる恐れがある。反対に60g/cmより多く塗布してもその効果が飽和に達して不経済となる。
【0038】
なお本発明の粗面状塗膜は、基材1として、プラスチック、木材、金属、紙、布、陶磁器、ガラス、石材、コンクリートなどで構成された成形品等が対象となる。また、前記粗面状塗膜は、これら成形品等表面に直接形成しても良いが、種々の目的で使用される下塗り塗膜を介して形成してもよく、さらには適宜のシート、フィルム等表面に、粗面状塗膜を形成した後、該シート、フィルムを前記成形品等表面に貼着するようにしても良い。
【実施例】
【0039】
本発明における粗面状塗膜および粗面状塗膜の形成方法について、以下の実施例並びに比較例に基づき説明する。
【0040】
実施例1:アクリル樹脂40重量部、カーボンブラック10重量部、構造粘性付与剤4重量部(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6900−20X)、レベリング剤1重量部(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン1711)、メチルイソブチルケトン45重量部を均一に混合分散してなる塗料を、ABS樹脂基材表面に、乾燥後の塗膜厚が約30μmとなるように塗布した。ついで、この塗布塗膜が硬化前で流動状態を保持している間に、この塗膜表面に凹部形成用粒子として、粒子径220〜900μmの凹部形成用粒子を78%含有する吸水性樹脂粒子(日本触媒化学(株)製、商品名:アクアリックCAK4)を、塗膜面全体が隠れる程度に散布し、ついで吸水性樹脂粒子が塗膜中に一部埋没するようにその表面を軽く押さえた後、70℃×30分加熱して塗膜を硬化させた。このようにして得られた塗膜を水に浸漬し、塗膜面に付着している吸水性樹脂粒子に水を吸収させ、十分に膨潤した吸水性樹脂粒子を手で擦り落として除去した。吸水性樹脂粒子の除去は、極めて容易でかつ確実に行え、また得られた塗膜は均一な粗面状態であった。ついで水分を除去するため塗膜を乾燥後、メチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越シリコーン株式会社製、商品名:シリコーンオイルKF99)を塗布量がシリコーンオイルとして40g/cmとなるようにスプレー方式で塗布して粗面状塗膜面を被覆し、80℃で30分間乾燥した。
【0041】
得られた粗面状塗膜の光沢を60度鏡面光沢計で測定したところ、光沢率は1以下であり、粗面状態前の塗膜の光沢率5〜10に比べて十分な艶消し効果が認められた。また、耐磨耗性は(株)大栄化学精器製作所製の平面磨耗試験機を用いて、平面摩擦子(2cm×2cm)に日本薬局方ガーゼ5枚を重ねてかぶせて塗膜表面に接するようにし、試験荷重を2Kgで200往復塗膜面を磨耗した。結果は、素地の露出はなく、ガーゼへの色移りはなく、凹凸の損耗もない良好な結果であった。
【0042】
実施例2:ポリエステルウレタン樹脂40重量部、カーボンブラック10重量部、構造粘性付与剤4重量部(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6900−20X)、レベリング剤1重量部(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン1711)、メチルイソブチルケトン45重量部を均一に混合分散してなる塗料を用いた以外は、実施例1と全く同様にして粗面状塗膜を形成し、同様に試験した。得られた塗膜の伸び率(JIS K5400、8.8引張強さと伸び率による)は200%であった。また、得られた粗面状塗膜の光沢を60度鏡面光沢計で測定したところ、光沢率は1以下であり、その塗膜表面の触感は柔らかい起毛感のある手触りであった。さらに、磨耗性について実施例1と同様に行い評価した。その結果は、素地の露出はなく、ガーゼへの色移りはなく、また凹凸の損耗もない良好な結果であった。
【0043】
実施例3:上記実施例2における凹部形成用粒子として平均粒子径80μmの吸水性樹脂粒子を用いた以外は、実施例2と全く同様にして粗面状塗膜を形成し、同様に試験した。得られた粗面状塗膜の光沢を60度鏡面光沢計で測定したところ、光沢率は1以下であり、その塗膜表面の触感は、柔らかい起毛感のある手触りであった。また、磨耗性については実施例1と同様に行い評価した。その結果は、素地の露出はなく、ガーゼへの色移りはなく、また凹凸の損耗もない良好な結果であった。
【0044】
実施例4:メチルハイドロジェンシリコーンオイルをアミノ変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製、商品名:SM−8704C)とした以外は、実施例2と全く同様にして粗面状塗膜を形成し、同様に試験を行なった。得られた粗面状塗膜の光沢を60度鏡面光沢計で測定したところ、光沢率は1以下であり、その塗膜表面の触感は柔らかい起毛感のある手触りであった。また、磨耗性については実施例1と同様に行なって評価した。その結果は、素地の露出はなく、ガーゼへの色移りはなく、また凹凸の損耗もない良好な結果であった。
【0045】
比較例1:メチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越シリコーン株式会社製、商品名:シリコーンオイルKF99)を用いなかった以外は、実施例2と全く同様にして粗面状塗膜を形成し、同様に試験をした。得られた粗面状塗膜の光沢を60度鏡面光沢計で測定したところ、光沢率は1以下であり、その塗膜表面の触感は柔らかい起毛感のある手触りであった。また、磨耗性については実施例1と同様に行い評価した。その結果、素地が露出し、ガーゼへの色移りがあり、凹凸の損耗があり、耐磨耗性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上の本発明による粗面化塗膜は、艶消し材等を含有させることなく、塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした粗面状塗膜に、シリコーンオイルによって耐磨耗性を付与したので、従来の艶消し塗料に代わって、主として光沢を嫌い或いは防眩性を必要とされる用途、例えば、家電製品或いはOA機器等における筐体、自動車用等の内装部品として用いられる種々の成形品、部品、製品等表面塗装に広く用いることができる。また、その形成方法は何ら特別な配合技術等を必要とせず簡単な方法で行うことができ実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の粗面状塗膜の形成方法の一例を示す概略図面である。
【図2】従来の艶消し塗料によって形成された粗面状塗膜の概略断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基材
2 塗膜
3 艶消し材微粒子
4 クレーター状凹部形成用粒子
5 クレーター状の凹部
6 断面突起状凸部
7 シリコーンオイルの被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜面に微小なクレーター状凹部を形成することによって粗面とした塗膜であって、該塗膜表面がシリコーンオイルで被覆されていること特徴とする粗面状塗膜。
【請求項2】
前記シリコーンオイルは、メチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載の粗面状塗膜。
【請求項3】
前記塗膜面は、弾性を有する塗膜で形成されてなることを特徴とする請求項1ないし2に記載の粗面状塗膜。
【請求項4】
前記弾性を有する塗膜は、硬化後の塗膜の伸び率が50%〜300%の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の粗面状塗膜。
【請求項5】
基材面に液状塗料を塗布し、該液状塗料が未硬化の間に、該液状塗料に非相溶な粒子を該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させ、ついで該液状塗膜を硬化させた後、硬化塗膜表面に付着ないし埋没させた粒子を除去することによって該塗膜面を粗面とする工程、ついで、該粗面上にシリコーンオイルを塗装し乾燥、硬化する工程からなることを特徴とする粗面状塗膜の形成方法。
【請求項6】
前記シリコーンオイルはメチルハイドロジェンシリコーンオイルおよび/またはアミノ変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項5に記載の粗面状塗膜の形成方法。
【請求項7】
前記液状塗料は、有機溶剤型液状塗料であり、かつ該液状塗料塗膜表面に付着ないし埋没させる微粒子が吸水性樹脂粒子であることを特徴とする請求項5または6に記載の粗面状塗膜の形成方法。
【請求項8】
前記塗膜表面に付着ないし埋没させた吸水性樹脂粒子の除去が、該吸水性樹脂粒子を吸水により膨潤させた後に除去することを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の粗面状塗膜の形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−167581(P2006−167581A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363078(P2004−363078)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000224123)藤倉化成株式会社 (124)
【Fターム(参考)】