説明

粘弾性ポリウレタン発泡体中での使用に適切な火炎遅延剤

本発明は、粘弾性ポリウレタン発泡体調合物、このような調合物から製造される粘弾性ポリウレタン発泡体、および当該粘弾性ポリウレタン発泡体から製造される製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘弾性ポリウレタン発泡体調合物、このような調合物から製造される粘弾性ポリウレタン発泡体、および当該粘弾性ポリウレタン発泡体から製造される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟性かつ粘弾性のポリウレタン発泡体(「低反発」発泡体、「遅回復」発泡体、または「高減衰」発泡体としても知られる)は、圧縮からの低速かつ段階的な回復によって特徴付けられる。粘弾性発泡体の物理的特性のほとんどは従来の発泡体のものと似ているものの、粘弾性発泡体の弾性はより遥かに低く、一般的には約15%未満である。粘弾性発泡体の適切な適用は、その形状を適合させる特性、エネルギーを弱める特性、および音波を減衰させる特性を生かす。例えば、当該発泡体は、マットレス内で圧点を低減するために、運動競技用パッドまたはヘルメット内で衝撃吸収材として、および自動車内装内で防音のために用いることができる。
【0003】
粘弾性の柔軟性ポリウレタン発泡体から製造する製品の使用のために、これらの製品は難燃性の特性を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一つの実施形態では、本発明は、a)難燃性を有する量のi)1つ以上の塩素化リン酸エステル、ii)1つ以上の臭素化難燃剤、iii)1つ以上のリン系ハロゲンフリー難燃剤、またはiv)i)、ii)、および/またはiii)の混合物、b)少なくとも2の官能性を有する少なくとも1つのイソシアネート、c)当該ジオールの末端OH基が約50%から約95%の範囲内で一級OH基である、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドジオール、および随意に、d)1つ以上のi)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)触媒、viii)水、ix)塩化メチレン等の代替発泡剤、x)色素、xi)気泡連続剤、xii)柔軟性ポリウレタン発泡体の製造分野の当業者によって用いられるその他の補助化学薬品を含む、柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体の調合物に関する。
【0005】
別の実施形態では、本発明は、a)難燃性を有する量のi)1つ以上の塩素化リン酸エステル、ii)1つ以上の臭素化難燃剤、iii)1つ以上のリン系ハロゲンフリー難燃剤、またはiv)i)、ii)、および/またはiii)の混合物、b)少なくとも2の官能性を有する少なくとも1つのイソシアネート、c)当該ジオールの末端OH基が約50%から約95%の範囲内で一級OH基である、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドジオール、および随意に、d)1つ以上のi)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)水、viii)塩化メチレン等の代替発泡剤、ix)色素、x)気泡連続剤、xi)柔軟性ポリウレタン発泡体の製造分野の当業者によって用いられるその他の補助化学薬品のうち1つ以上の触媒の存在下にまとめることを含む、柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体を製造する方法に関する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、a)難燃性を有する量のi)1つ以上の塩素化リン酸エステル、ii)1つ以上の臭素化難燃剤、iii)1つ以上のリン系ハロゲンフリー難燃剤、またはiv)i)、ii)、および/またはiii)の混合物、b)少なくとも2の官能性を有する少なくとも1つのイソシアネート、c)当該ジオールの末端OH基が約5
0%から約95%の範囲内で一級OH基である、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドジオール、および随意に、d)1つ以上のi)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)触媒、viii)水、ix)塩化メチレン等の代替発泡剤、x)色素、xi)気泡連続剤、xii)柔軟性ポリウレタン発泡体の製造分野の当業者によって用いられるその他の補助化学薬品から製造または製造可能な柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体の調合物に関する。
【0007】
その他の実施形態では、本発明は、本発明の柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体の調合物から製造される物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の通り、粘弾性ポリウレタン発泡体を製造するために用いられる一般的技術は、ポリウレタンの網目構造内の欠陥、すなわち「懸垂鎖」に依存する。現在、当該発泡体の欠陥の発生は、イソシアネート基の欠乏を有することを目的とした調製法の使用を通じて得られる。この方法での手順によって、発泡体の製造業者は、イソシアネートとポリオールとの間の反応後に、ポリオール分子から生じるいくつかのヒドロキシ基が、このようにして製造した発泡体の中で未反応のままであることを確実にする。当該未反応のヒドロキシ基は、当該粘弾性ポリウレタン発泡体の望ましい「遅回復」特性を生じる「懸垂鎖」である。多大な割合の単官能基(すなわち、モノール)を含むポリオール混合物の使用に基づき、さらに近年の粘弾性発泡体技術は発展してきた。反応完了後、これらのモノールは、懸垂物質として作用し、当該発泡体に望ましい粘弾性特性を分け与える。ポリオール混合物を含むこのようなモノールは、より高い濃度の、時には100イソシアネートインデックスに達するイソシアネートの使用を可能にする。しかし、本発明の発明者は、本明細書にて記載されているもの等の特定のジオール、および本明細書にて記載されている難燃剤を用いることによって、懸垂鎖を生じずに、すなわち時に100イソシアネートインデックスといわれるイソシアネート基の欠乏を確実にすることを目的とした調製法を用いずに、柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体または発泡体調合物を製造することができることを発見している。これは本発明の発泡体の特に望ましい性質であり、その理由は、燃焼において、これらの懸垂鎖が、大量の難燃剤および共力剤を用いてさえも、燃焼中に起こる重量損失が試験基準であるBS5852 crib 5等の防火基準を満たすことを極めて困難にし、場合によっては隣接することを不可能にする、深刻な液だれを引き起こすからである。加えて、メラミン等の大量の固形難燃性共力剤を添加することで、重大な難燃性の改善をもたらすことなく、あるいはBS5852 crib 5等の防火基準試験において一貫性のある肯定的な結果を満たすことなく、当該発泡体の望ましい遅回復挙動を解消する。
【0009】
本発明の使用に適切なイソシアネートとしては、柔軟性ポリウレタン発泡体の製造において用いられる任意のイソシアネートが挙げられる。これらのイソシアネート、最も好ましくはジイソシアネートは、ポリウレタン発泡体およびポリウレタン発泡体調合物の十分知られている成分であり、少なくとも1つの、最も好ましくは2つのフリーのシアネート反応基を有する任意の化合物が挙げられるが、それ以上のフリーのシアネート反応基を有する任意の化合物を利用してもよい。このような化合物は、実際は脂肪族または芳香族でもあり得る。本発明における使用に適切なイソシアネートの限定されない例としては、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよび2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート(および異性体)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビ
フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、および3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、およびトルエン2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート、およびポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の重合ポリイソシアネート等の、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環式ポリイソシアネート、およびこれらの混合物が挙げられる。未精製ポリイソシアネートは、トルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られる未精製トルエンジイソシアネート、または未精製ジフェニルメタンジアミンのホスゲン化によって得られる未精製ジフェニルメタンイソシアネート等の本発明の組成物中においても用いることができる。これらの未精製イソシアネートは、米国特許第3,215,652号にて開示されている。
【0010】
最も顕著に利用されるイソシアネート、ひいては本発明にとって(必要とされないが)最も好適な種類は、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、またはメチレンジイソシアネートである(または、脂肪族イソシアネート等のその他のもの、およびその他の芳香族種のものも用いてもよい)。当該ポリオールは一般的に、わずかに過剰のイソシアネート(比率が1:0.85から1:1.40である、イソシアネートのNCO基上のヒドロキシルのOH基)と反応し、柔らかい柔軟性発泡体製品を製造する(比率が高ければ高いほど、製造する発泡体は硬くなる)。
【0011】
本発明における使用に適切なジオールは、ポリエーテルジオールか、あるいはポリエステルジオールの何れかであり得る。本発明の実施において用いられるジオールは、当該ジオールのOH基が約50%から約95%の範囲内で一級OH基であるものである。好適な実施例では、当該ジオールは、当該ジオールのOH基が約65%から約90%の範囲内、より好ましくは約70%から約85%の範囲内で一級OH基であるものである。
【0012】
本発明における使用に適切なジオールは、1,000g/モル超過、好ましくは約1,000g/モルから約4,000g/モルの範囲内、より好ましくは約1,500g/モルから約3,000g/モルの範囲内の数平均分子量を有すると表現することもできる。
【0013】
好適なジオールは、ポリオキシアルキレンジオールである。いくつかの実施形態では、当該ポリオキシアルキレンジオールは、ポリオキシアルキレン単位の任意の望ましい配列を有し得る。例えば、当該ポリオキシアルキレンジオールは、酸化プロピレン(「PO」)系単独重合体、ブロック酸化エチレン(「EO」)−PO共重合体、ランダムEO/PO共重合体、EOおよびPOの混合物で「被覆」または「先端付与」されて望ましい一級ヒドロキシルの含有物を得るPO系ポリオール、または任意のその他望ましい構造物であり得る。特に好適な実施形態では、本発明の実施において用いられるポリアルキレンジオール(polyalkylkene diol)は、EOで先端を付与されて望ましい一級ヒドロキシルの含有物を得るPO系ポリオールである。いくつかの実施形態では、本発明の実施において用いられるポリアルキレンジオールは、製造中に加えられる全てのPOおよびEO上に「先端」として加えられるEOの割合が、約1%から約20%の範囲内、好ましくは約5%から約15%の範囲内、より好ましくは約9%から13%の範囲内であるものである。
【0014】
本発明の粘弾性調合物は難燃剤も含み、いくつかの実施形態では、難燃性を有する量の難燃剤は、i)1つもしくは複数の塩素化リン酸エステル、ii)1つもしくは複数の臭素化難燃剤、iii)1つもしくは複数のリン系ハロゲンフリー難燃剤、またはiv)i)、ii)、および/またはiii)の混合物から選択される。難燃性を有する量とは、
BS5852可燃性試験に記載されている試験基準を満たすか、あるいは上回るのに十分な量を意味する。一般的に、発泡体の密度に依存するため、これは当該難燃性添加剤のポリオールを100等分したうちの約5部分から約50部分(「php」)の範囲内である。好適な実施形態では、難燃性を有する量は、約10phpから約35phpの範囲内、より好ましくは約12phpから約25phpの範囲内であると見なされたい。
【0015】
本発明における使用に適切な塩素化リン酸エステルは、柔軟性かつ難燃性のポリウレタン発泡体の製造分野にて従来的に用いられる任意の塩素化リン酸エステルから選択することができる。
【0016】
例示実施形態にて用いられる適切な塩素化リン酸エステルの具体例は、TDCPとしても知られているリン酸トリス(1,3−ジクロロプロピル)、TCPPまたはTMCPとしても知られているリン酸トリス(2−クロロプロピル)、V6としても知られている2,2−ビス(クロロメチル)−1,3−プロピレン−ビス[リン酸ジ(2−クロロエチル)]、TCEPとしても知られているリン酸トリス(2−クロロエチル)である。
【0017】
これらの実施形態では、本発明にて用いられる塩素化リン酸エステルは一般的に、当該リン酸エステルの総重量に基づいて、約5重量%から約15重量%の範囲内の有機リンを含む。好ましくは、当該有機リン含有率は同条件で(当該リン酸エステルの総重量に基づいて)約6重量%から約13重量%の範囲内であり、より好適な実施形態では、当該有機リン含有率は同条件で約7重量%から約12重量%の範囲内である。
【0018】
これらの実施形態では、本発明にて用いられる塩素化リン酸エステルは一般的に、当該リン酸エステルの総重量に基づいて、約20重量%から約60重量%の範囲内の塩素を含む。好ましくは、当該塩素化リン酸エステルは同条件で約30重量%から約50重量%の範囲内の塩素を含む。
【0019】
本発明の(実施)における使用に適切な臭素を含む難燃剤は反応性または非反応性の何れかであり得、すなわちそれらは当該イソシアネートと反応することもしないこともあり、難燃性ポリウレタン発泡体の製造分野にて用いられる任意のものから選択することができる。
【0020】
例示実施形態にて用いられる適切な臭素化難燃剤の具体例は、テトラブロモフタル酸(tetrabromophtalic)無水物の反応性臭素を含むジエステル/エーテルジオールである。この種類の製品の商品例は、Saytex(登録商標)RB-79である。
【0021】
これらの実施形態では、本発明における使用のための臭素化難燃剤は一般的に、当該臭素化難燃剤の総重量に基づいて、約10重量%から約70重量%の範囲内の臭素を含む。好ましくは、当該臭素含有率は同条件で約25重量%から約60重量%の範囲内である。より好適な実施形態では、当該臭素化難燃剤の臭素含有率は、当該臭素化難燃剤の総重量に基づいて、約35重量%から約55重量%の範囲内である。
【0022】
本発明における使用に適切なリン系ハロゲンフリー難燃剤は反応性または非反応性の何れかであり得、すなわちそれらは当該イソシアネートと反応することもしないこともあり、難燃性ポリウレタン発泡体の製造分野にて用いられる任意のものから選択することができる。本発明における使用のための適切なリン系ハロゲンフリー難燃剤の典型的な種類は、リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩、ホスフィン酸塩、ならびにこれらのアミノアルキル化合物である。
【0023】
これらの実施形態では、当該リン系ハロゲンフリー難燃剤は一般的に、当該リン系ハロ
ゲンフリー難燃剤の総重量に基づいて、約5重量%から約40重量%の範囲内のリンを含む。好ましくは、当該リン含有率は同条件で約10重量%から約30重量%の範囲内である。
【0024】
本発明の粘弾性発泡体調合物としては、そしていくつかの実施形態では特に、i)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)触媒、viii)水、ix)塩化メチレン等の代替発泡剤、x)色素、xi)気泡連続剤、xii)柔軟性ポリウレタン発泡体の製造分野の当業者によって用いられるその他の補助化学薬品を挙げることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のi)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)触媒、viii)水、ix)塩化メチレン等の代替発泡剤、x)色素、xi)気泡連続剤が挙げられる。これら随意の成分は当該分野で十分に知られており、これら随意の成分の分量は通常の量であり、本発明にとって極めて重要というわけではない。
【0025】
使用可能な鎖延長剤および/または架橋剤は、250未満、具体的には50から200の間の分子量を有するジオールおよび/またはトリオールである。使用可能なジオールは、脂肪族種、脂環式種、または芳香族種であり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、および1,4−ブタンジオールである。使用可能なトリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパンおよびグリセリンが挙げられる。
【0026】
適切な界面活性剤の例は、ヒマシ油硫酸塩または脂肪酸のナトリウム塩等の乳化剤、オレイン酸ジエチルアミンおよびステアリン酸ジエタノールアミン等のアミンを有する脂肪酸塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸およびリシノール酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等のスルホン酸塩、シロキサンオキシアルキレン共重合体およびその他のオルガノポリシロキサン、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコール、およびヒマシ油等の気泡安定剤である。他の適当な界面活性剤は、有機シリコ界面活性剤である。
【0027】
適切な可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジステアリル、フタル酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニルなどが挙げられる。
【0028】
本発明の粘弾性発泡体は、1つ以上の触媒および1つ以上の発泡剤、または1つ以上の触媒および1つ以上の発泡剤の存在下において混合される個別の成分を用いて、任意の随意の成分i)〜xii)とともに、95%超過のイソシアネートインデックスを用いて、粘弾性発泡体調合物a)〜c)を混合することによって調製することができ、その結果BS5852の要件を満たすか、あるいは上回る粘弾性発泡体を製造することができる。いくつかの実施形態では、当該粘弾性発泡体内に存在するトルエンジアミンの濃度は、当該発泡体の総重量に基づいて、5ppm未満である。
【0029】
本発明における使用に適切な発泡剤としては、水、揮発性炭化水素、ハロカーボン、またはハロ炭化水素、あるいは2つ以上のこのような物質、好ましくは水の混合物が挙げられる。本発明における使用に適切な触媒は、ゲル触媒(例えば、第一スズ塩またはスズ塩)、発泡触媒(例えば、アミン触媒)、または「平衡」ゲル/発泡触媒として分類することができる。ゲル触媒は、反応性水素原子間の反応、具体的にはヒドロキシ基とイソシアネートとの反応を促進する。発泡触媒は、水の反応性水素と多イソシアネートとの反応を促進する。適切な触媒の限定されない例としては、アミン触媒、スズ系触媒、ビスマス系触媒、またはその他有機金属触媒などが挙げられる。発泡触媒として適切な三級アミンの
例としては、例えば、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、およびペンタメチルジエチレントリアミン(pentamethyldiethylentriamine)が挙げられる。ゲル触媒の例としては、1,4−ジアザ(2,2,2)ビシクロオクタン、テトラメチルジプロピレントリアミン(tetramethyldipropylentriamine)、およびトリス(ジメチルアミノプロピル)ヒドロトリアジンが挙げられる。
【0030】
上記の記述は、本発明のいくつかの実施形態を対象とする。当業者は、同様に有効なその他の方法が本発明の意図を実行するために考案される可能性があることを認識する。本発明の好適な実施形態が、本明細書にて論じられる全ての範囲は任意のより低い数値から任意のより高い数値の範囲を含むということを意図するということも留意されたい。
【0031】
下記の実施例は本発明を説明するが、いかなる方法によってもこれを制限することを意図していない。
【実施例】
【0032】
下記の実施例では、当該実施例にて表す成分を混合してBS5852 Crib 5試験を受けた発泡体を製造し、その製品を当該実施例にて報告する。その成分を標準大気条件下で混合した。
【0033】
下記の実施例では、用いた成分は、ポリオール(OH値=56):Shell Chemicals社より市販されているCaradol SC56-02、ポリオール(OH値=200):SK Oxichemicals社より市販されているYukol 1030、アミン触媒2(Amine 2 catallyst):Air Products社より市販されているDabco(登録商標)33 LV、アミン触媒1:Air Products社より市販されているDabco(登録商標)A1、またはGE社より市販されているNiax A1、オクタン酸スズ:Air Products社より市販されているDabco(登録商標)T9、およびシリコーン:GE社製 Niax L 650、またはDegussa社製 B 8229であった。
【実施例1】
【0034】
TCPP/メラミンを含む、低インデックス粘弾性発泡体
(比較データ)
ポリオール1(OH値=56) :60部分
ポリオール2(OH値=300) :40部分
水(php) :2.2
シリコーン界面活性剤(php) :1
アミン触媒1(php) :0.15
アミン触媒2(php) :0.2
オクタン酸スズ(php) :0.28
Antiblaze 81/TCPP(php):15
メラミン(php) :30
TDIインデックス :83

発泡体密度(Kg/m) :53
回復時間(s) :6
BS5852 Crib 5、燃焼時間(分) :7超過、要手動消火
BS5852 Crib 5、重量損失(g) :60超過、不合格
【実施例2】
【0035】
V6/メラミンを含む、低インデックス粘弾性発泡体
(比較データ)
ポリオール1(OH値=56) :60部分
ポリオール2(OH値=300) :40部分
水(php) :2.2
シリコーン界面活性剤(php) :1
アミン触媒1(php) :0.15
アミン触媒2(php) :0.2
オクタン酸スズ(php) :0.28
Antiblaze V6(php) :15
メラミン(php) :30
TDIインデックス :83

発泡体密度(Kg/m) :53
回復時間(s) :6
BS5852 Crib 5、燃焼時間(分) :7超過、要手動消火
BS5852 Crib 5、重量損失(g) :60超過、不合格
【実施例3】
【0036】
RX−35/メラミンを含む、高インデックス−ジオール含有粘弾性発泡体
ポリオール1(OH値=56) :60部分
ポリオール2(OH値=300) :40部分
水(php) :2.2
シリコーン界面活性剤(php) :1
アミン触媒1(php) :0.15
アミン触媒2(php) :0.2
オクタン酸スズ(php) :0.28
先端付与されたジオール(OH値=56):7.5
Antiblaze RX-35(php) :15
メラミン(php) :30
TDIインデックス :100

発泡体密度(Kg/m) :55
回復時間(s) :4.5
BS5852 Crib 5、燃焼時間(分) :5’13”
BS5852 Crib 5、重量損失(g) :38、合格
【実施例4】
【0037】
V6/メラミンを含む、高インデックス−ジオール含有粘弾性発泡体
ポリオール1(OH値=56) :60部分
ポリオール2(OH値=300) :40部分
水(php) :2.2
シリコーン界面活性剤(php) :1
アミン触媒1(php) :0.15
アミン触媒2(php) :0.2
オクタン酸スズ(php) :0.28
先端付与されたジオール(OH値=56):7.5
Antiblaze V6(php) :15
メラミン(php) :30
TDIインデックス :100

発泡体密度(Kg/m) :54
回復時間(s) :5
BS5852 Crib 5、燃焼時間(分) :5’13”
BS5852 Crib 5、重量損失(g) :47、合格

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)1つ以上の塩素化リン酸エステル、ii)1つ以上の臭素化難燃剤、iii)1つ以上のリン系ハロゲンフリー難燃剤、またはiv)i)、ii)、および/またはiii)の混合物から選択される難燃剤と、
b)少なくとも2の官能性を有する少なくとも1つのイソシアネートと、
c)当該ジオールの末端OH基が約50%から約95%の範囲内で一級OH基である、少なくとも1つのジオールと、随意に、
d)1つ以上のi)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)触媒、viii)水、ix)塩化メチレン等の代替発泡剤、x)色素、xi)気泡連続剤、xii)柔軟性ポリウレタン発泡体の製造分野の当業者によって用いられるその他の補助化学薬品と、
を含む柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体調合物。
【請求項2】
前記イソシアネートが芳香族イソシアネートまたは脂肪族イソシアネートである、請求項1に記載の調合物。
【請求項3】
前記イソシアネートがジイソシアネートである、請求項1に記載の調合物。
【請求項4】
前記イソシアネートが、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、またはメチレンジイソシアネートから選択される、請求項2に記載の調合物。
【請求項5】
前記ジオールがポリエーテルジオールまたはポリエステルジオールである、請求項1に記載の調合物。
【請求項6】
前記ジオールが、前記ジオールのOH基が約70%から約85%の範囲内で一級OH基であるそれらのジオールから選択される、請求項4に記載の調合物。
【請求項7】
前記ジオールが、約1,500g/モルから約3,000g/モルの範囲内の数平均分子量を有するそれらのジオールから選択される、請求項6に記載の調合物。
【請求項8】
前記ジオールが、1,000g/モル超過の数平均分子量を有するそれらのジオールから選択される、請求項6に記載の調合物。
【請求項9】
前記ジオールがポリオキシアルキレンジオールから選択される、請求項6から8の何れかに記載の調合物。
【請求項10】
前記ポリオキシアルキレンジオールが、酸化プロピレン(「PO」)系単独重合体、ブロック酸化エチレン(「EO」)−PO共重合体、ランダムEO/PO共重合体、EOおよびPOの混合物で「被覆」または「先端付与」されて望ましい一級ヒドロキシルの含有物を得るPO系ポリオール、または任意のその他望ましい構造物である、請求項9に記載の調合物。
【請求項11】
前記ジオールがポリアルキレン(polyalkylkene)ジオールであって、前記ポリアルキレン(polyalkylkene)ジオールがEOで先端付与されたPO系ポリオールから選択される、請求項7に記載の調合物。
【請求項12】
全てのPOおよびEO上に「先端」として加えられるEOの割合が約1%から約20%
の範囲内である、請求項11に記載の調合物。
【請求項13】
本発明にて用いられる塩素化リン酸エステルが、前記リン酸エステルの総重量に基づいて約5重量%から約15重量%の範囲内の有機リンを含む、請求項1に記載の調合物。
【請求項14】
当該臭素を含む難燃剤が、前記臭素化難燃剤の総重量に基づいて約10重量%から約70重量%の範囲内の臭素を含む、請求項1に記載の調合物。
【請求項15】
前記リン系ハロゲンフリー難燃剤が、前記リン系ハロゲンフリー難燃剤の総重量に基づいて約5重量%から約40重量%の範囲内のリンを含む、請求項1に記載の調合物。
【請求項16】
前記難燃剤が臭素を含む難燃剤である、請求項10に記載の調合物。
【請求項17】
前記臭素を含む難燃剤が、テトラブロモフタル酸(tetrabromophtalic)無水物の反応性臭素を含むジエステル/エーテルジオールである、請求項16に記載の調合物。
【請求項18】
前記難燃剤が、テトラブロモフタル酸(tetrabromophtalic)無水物の反応性臭素を含むジエステル/エーテルジオールから選択される臭素を含む難燃剤である、請求項11に記載の調合物。
【請求項19】
a)難燃性を有する量のi)1つ以上の塩素化リン酸エステル、ii)1つ以上の臭素化難燃剤、iii)1つ以上のリン系ハロゲンフリー難燃剤、またはiv)i)、ii)、および/またはiii)の混合物と、
b)少なくとも2の官能性を有する少なくとも1つのイソシアネートと、
c)当該ジオールの末端OH基が約50%から約95%の範囲内で一級OH基である、少なくとも1つのジオールと、随意に、
d)1つ以上のi)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)水、viii)塩化メチレン等の代替発泡剤、ix)色素、x)気泡連続剤、xi)柔軟性ポリウレタン発泡体の製造分野の当業者によって用いられ、それによって粘弾性ポリウレタン発泡体を形成するその他の補助化学薬品と、
のうち1つ以上の触媒の存在下にまとめるステップを含む、柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体を製造する方法。
【請求項20】
前記適切な触媒が、ゲル触媒、発泡触媒、または「平衡」ゲル/発泡触媒である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒が、アミン触媒、スズ系触媒、ビスマス系触媒、またはその他有機金属触媒などから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記粘弾性ポリウレタン発泡体がBS5852 Crib 5の試験基準を満たすか、あるいは上回る、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記イソシアネートがジイソシアネートである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記イソシアネートが、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、またはメチレンジイソシアネートから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ジオールがポリエーテルジオールまたはポリエステルジオールである、請求項19
に記載の方法。
【請求項26】
前記ジオールが、前記ジオールのOH基が約70%から約85%の範囲内で一級OH基であるそれらのジオールから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ジオールが、約1,500g/モルから約3,000g/モルの範囲内の数平均分子量を有するそれらのジオールから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ジオールが、1,000g/モル超過の数平均分子量を有するそれらのジオールから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ジオールがポリオキシアルキレンジオールから選択される、請求項26から28の何れかに記載の方法。
【請求項30】
前記ポリオキシアルキレンジオールが、酸化プロピレン(「PO」)系単独重合体、ブロック酸化エチレン(「EO」)−PO共重合体、ランダムEO/PO共重合体、EOおよびPOの混合物で「被覆」または「先端付与」されて望ましい一級ヒドロキシルの含有物を得るPO系ポリオール、または任意のその他望ましい構造物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ジオールがポリアルキレン(polyalkylkene)ジオールであって、前記ポリアルキレン(polyalkylkene)ジオールがEOで先端付与されたPO系ポリオールから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
全てのPOおよびEO上に「先端」として加えられるEOの割合が約1%から約20%の範囲内である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
本発明にて用いられる塩素化リン酸エステルが、前記リン酸エステルの総重量に基づいて約5重量%から約15重量%の範囲内の有機リンを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
当該臭素を含む難燃剤が、前記臭素化難燃剤の総重量に基づいて約10重量%から約70重量%の範囲内の臭素を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記リン系ハロゲンフリー難燃剤が、前記リン系ハロゲンフリー難燃剤の総重量に基づいて約5重量%から約40重量%の範囲内のリンを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項36】
前記難燃剤が臭素を含む難燃剤である、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記臭素を含む難燃剤が、テトラブロモフタル酸(tetrabromophtalic)無水物の反応性臭素を含むジエステル/エーテルジオールである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記難燃剤が、テトラブロモフタル酸(tetrabromophtalic)無水物の反応性臭素を含むジエステル/エーテルジオールから選択される臭素を含む難燃剤である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
請求項22に記載の粘弾性ポリウレタン発泡体。
【請求項40】
請求項31に記載の粘弾性ポリウレタン発泡体。
【請求項41】
請求項39または40の何れかに記載の粘弾性ポリウレタン発泡体から製造される物品

【請求項42】
a)1つ以上の臭素化難燃剤と、
b)少なくとも1つのジイソシアネートと、
c)当該ジオールの末端OH基が約50%から約95%の範囲内で一級OH基である、少なくとも1つのポリオキシアルキレンオキシドジオールと、随意に、
d)1つ以上のi)界面活性剤、ii)酸化防止剤、iii)希釈剤、iv)鎖延長剤または架橋剤、v)共力剤、好ましくはメラミン、vi)可塑剤、vii)触媒、viii)水、ix)塩化メチレン等の代替発泡剤、x)色素、xi)気泡連続剤、xii)柔軟性ポリウレタン発泡体の製造分野の当業者によって用いられるその他の補助化学薬品と、
を含む柔軟性の粘弾性ポリウレタン発泡体調合物。
【請求項43】
前記イソシアネートが、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、またはメチレンジイソシアネートから選択される、請求項42に記載の調合物。
【請求項44】
前記ジオールが、前記ジオールのOH基が約70%から約85%の範囲内で一級OH基であるそれらのジオールから選択される、請求項42に記載の調合物。
【請求項45】
前記ジオールが、約1,500g/モルから約3,000g/モルの範囲内の数平均分子量を有するそれらのジオールから選択される、請求項44に記載の調合物。
【請求項46】
前記ポリオキシアルキレンジオールが、酸化プロピレン(「PO」)系単独重合体、ブロック酸化エチレン(「EO」)−PO共重合体、ランダムEO/PO共重合体、EOおよびPOの混合物で「被覆」または「先端付与」されて望ましい一級ヒドロキシルの含有物を得るPO系ポリオール、または任意のその他望ましい構造物である、請求項42に記載の調合物。
【請求項47】
前記ジオールがポリアルキレン(polyalkylkene)ジオールであって、前記ポリアルキレン(polyalkylkene)ジオールがEOで先端付与されたPO系ポリオールから選択される、請求項46に記載の調合物。
【請求項48】
全てのPOおよびEO上に「先端」として加えられるEOの割合が約1%から約20%の範囲内である、請求項47に記載の調合物。
【請求項49】
当該臭素を含む難燃剤が、前記臭素化難燃剤の総重量に基づいて約10重量%から約70重量%の範囲内の臭素を含む、請求項48に記載の調合物。
【請求項50】
前記臭素を含む難燃剤が、テトラブロモフタル酸(tetrabromophtalic)無水物の反応性臭素を含むジエステル/エーテルジオールである、請求項49に記載の調合物。

【公表番号】特表2010−535896(P2010−535896A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520169(P2010−520169)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071678
【国際公開番号】WO2009/029378
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】