説明

精神病性および神経変性障害の処置のためのN−ACHRのコリン作動性リガンドとしての[(1H−インドール−5−イル)−ヘテロアリールオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン

本発明は、式(I)
【化1】


〔式中、置換基は明細書に定義の通りである。〕
の1−アザ−ビシクロアルキル誘導体およびそれらの製造方法、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規1−アザ−ビシクロノナン誘導体、それらの製造法、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【0002】
より具体的に本発明は、第一の局面において、遊離塩基または酸付加塩形の式(I)
【化1】

〔式中、
Xは、水素またはヒドロキシルであり、そして
Yは、以下の基:
【化2】

の1個である。〕
の化合物を提供する。
【0003】
本発明に従う好ましい化合物は、以下に示す式を有する(4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンである。
【化3】

【0004】
本発明に従うさらに好ましい化合物は、以下に示す式を有する5−{2−[(4S,5R)−(1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)オキシ]−ピリミジン−5−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンである。
【化4】

【0005】
本発明に従うさらに好ましい化合物は、以下に示す式を有する(4S,5R)−4−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンである。
【化5】

【0006】
本発明に従うさらに好ましい化合物は、以下に示す式を有する(4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンである。
【化6】

【0007】
本発明に従うさらに好ましい化合物は、以下に示す式を有する(4S,5R)−4−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンである。
【化7】

【0008】
本発明に従うさらに好ましい化合物は、以下に示す式を有する5−{6−[(4S,5R)−(1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)オキシ]−ピリダジン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンである。
【化8】

【0009】
式(I)の化合物は、遊離または酸付加塩形で存在する。本明細書において、特記しない限り、“式(I)の化合物”のような用語は、全ての形の化合物、例えば遊離塩基または酸付加塩形を包含すると理解すべきである。医薬使用には適さないが、例えば、遊離の式(I)の化合物の単離または精製に使用できる塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩もまた含まれる。治療的使用には、薬学的に許容される塩または遊離化合物のみを用い(適用可能であれば、医薬製剤の形で)、故に、それらが好ましい。
【0010】
式(I)の化合物は、種々の異性体の形、例えばケト−エノール互変異性体で存在できる。本明細書において、特記しない限り、“式(I)の化合物”のような用語は、全ての形の化合物、例えばケトまたはエノール形または任意のそれらの混合物を包含すると理解すべきである。
【0011】
化合物、塩などについて複数表現を使用するとき、これはまた単独の化合物、塩などを意味すると採るべきである。
【0012】
さらなる局面において、本発明はまた式(I)の化合物の製造方法も提供する。
【0013】
第一の方法は:
i)式(IX)
【化9】

〔式中、Yは上記で定義の通りであり、そしてZ zは脱離基、例えばCl、Br、I、トシレートである。〕
の化合物と、式(X)
【化10】

〔式中、RはH、C−Cアルキルであるか、または両方のROが、それらが結合しているBと一緒になって、ヘテロ環式部分であり、Xは上記で定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、そして
ii)そのようにして得た式(I)の化合物を回収する
工程を含む。
【0014】
第二の方法は:
i)式(XI)
【化11】

の化合物と式XII
【化12】

〔式中、XおよびYは、上記で定義の通りであり、そしてPGは適当な保護基である。〕
の化合物を反応させ、
ii)続いて、そのようにして得た化合物を脱保護し、そして
iii)そのようにして得た式(I)の化合物を遊離塩基または酸付加塩形で回収する
工程を含む。
【0015】
本方法は、Yが3−ピリジル部分であるとき特に適する。
出発物質は既知であるか、または既知の方法により得ることができる。出発物質の合成は、例えばGB123456に記載されており、それは引用により本明細書に包含させる。
【0016】
上記の個々の反応工程に、以下の考察を適用する:
a) 1個以上の官能基、例えばカルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、またはメルカプトは、出発物質において保護基により保護する必要があるかもしれない。用いる保護基は、すべに前駆体に存在してよく、アシル化、エーテル化、エステル化、酸化、加溶媒分解、および類似反応のような望まない二次反応に対して、意図する官能基を保護すべきである。それらが、それ自体容易に、すなわち望まない二次反応なしに、除去され、典型的に加溶媒分解、還元、光分解、または、例えば生理学的条件に類似した条件下での酵素活性によって除去され、最終生成物に存在しないのが、保護基の特徴である。専門家は、どの保護基が上記および下記の反応に適するかを知っているか、または容易に確立できる。このような官能基のこのような保護基による保護、保護基それら自体、およびそれらの除去は、例えば、標準参考書、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Wiley, New York 1981, in “The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, in “Methoden der organischen Chemie” (Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, in H.-D. Jakubke and H. Jescheit, “Aminosaeuren, Peptide, Proteine” (Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, and in Jochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of carbohydrates: monosaccharides and derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。
【0017】
b) 酸付加塩は既知の方法で遊離塩基から製造でき、逆もそうである。あるいは、光学に純粋な出発物質を使用できる。本発明に従い使用するのに適当な酸付加塩は、例えば塩酸塩を含む。
【0018】
c) 立体異性混合物、例えばジアステレオマー混合物は、それらの対応する異性体に、それ自体既知の方法により、適当な分離方法の手段により分離できる。ジアステレオマー混合物は、例えばそれらの個々のジアステレオマーに、分別結晶、クロマトグラフィー、溶媒分布、および類似方法のような手段により分離できる。この分離は、出発化合物のレベルで、または式(I)の化合物それ自体で行い得る。エナンチオマーは、例えば、エナンチオマー純粋キラル酸との塩形成による、ジアステレオマー塩の形成を介して、または、キラルリガンドのクロマトグラフィー支持体を使用したクロマトグラフィー、例えばHPLCの手段により、分離できる。あるいは、光学的に純粋な出発物質を使用できる。
【0019】
d) 上記を実施するのに適当な希釈剤は、とりわけ不活性有機溶媒である。これらは、特に、脂肪族、脂環式または芳香族性、所望によりハロゲン化された炭化水素、例えば、ベンジン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはエチレングリコールジメチルエーテルまたはエチレングリコールジエチルエーテル;ケトン、例えばアセトン、ブタノンまたはメチルイソブチルケトン;ニトリル、例えばアセトニトリルプロピオニトリルまたはブチロニトリル;アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ホルムアニリド、N−メチル−ピロリドンまたはヘキサメチルリントリアミド;エステル、例えば酢酸メチルまたは酢酸エチル、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−またはi−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。さらに、希釈剤の混合物を用い得る。出発物質、反応条件および助剤に依存して、水または水含有希釈剤が適し得る。出発物質を同時に希釈剤として使用することも可能である。
【0020】
e) 反応温度は、相対的に広い範囲で変わり得る。一般に、本方法は、0℃から150℃、好ましくは10℃から120℃の温度で行う。脱保護反応は、相対的に広い範囲で変わり得る。一般に、本方法は−150℃から+50℃、好ましくは−75℃から0℃の温度で行う。
【0021】
f) 本反応は、一般に大気圧下で行う。しかしながら、本発明の方法を加圧下または減圧下で行うことも可能である − 一般に0.1バールから10バールの間。
【0022】
g) 出発物質は、一般におおよそ等モル量で用いる。しかしながら、成分の一つを相対的に大過剰で使用することも可能である。本反応は、一般に、反応助剤の存在下で適当な希釈剤中行い、そして、反応混合物を、一般に必要な温度で一定時間、撹拌する。
【0023】
h) 上記方法に従う混合物の後処理およびこのようにして得た化合物の精製は、既知の方法に従い、行い得る(参照:製造実施例)。
【0024】
本発明の化合物は、インビトロでおよび動物で試験したときに、価値ある薬理学的特性を示し、故に、医薬として有用である。
【0025】
故に、本発明の化合物は、nAChRのコリン作動性リガンドであることが判明した。加えて、好ましい本発明の化合物は、選択的α7−nAChR活性を示す。本発明の化合物は、特に該受容体のアゴニスト、部分的アゴニスト、アンタゴニストまたはアロステリックモジュレーターであることが判明した。
【0026】
それらの薬理学的特性のために、本発明の化合物は、CNS関連疾患、PNS関連疾患、炎症、疼痛および化学物質の濫用によりもたらされる退薬症状に関連する疾患の種々の疾患または状態への使用が予想される。CNSに関連する疾患または障害は、全般的不安障害、認知障害、学習および記憶欠損(deficit)および機能異常(dysfunction)、アルツハイマー病(AD)、前駆AD、高齢者における軽度の認知障害(MCI)、健忘MCI、加齢性記憶障害、注意欠損多動障害(ADHD)、パーキンソン病、ハンチントン病、ALS、クロイツフェルト・ヤコブ病およびクールー病のようなプリオン性神経変性障害、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、精神病、鬱病および鬱病性障害、躁病、躁鬱病、統合失調症、統合失調症における認知欠損、強迫性障害、パニック障害、摂食障害、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS−認知症、老人性認知症、加齢性の軽度の認知機能異常、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、癲癇、および痙攣性障害、外傷後ストレス障害、一過性の無酸素症、仮性認知症、月経前緊張症、黄体後期の不機嫌障害(late luteal phase syndrome)、慢性疲労症候群および時差ぼけを含む。さらに、本発明の化合物は、内分泌障害、例えば甲状腺中毒症、褐色細胞腫、高血圧および不整脈ならびに狭心症、多動、早漏症および勃起不全(erectile difficulty)の処置に有用であり得る。なおさらに、本発明の化合物は炎症性障害(Wang et al., Nature 2003, 421, 384;de Jonge et al., Nature Immunology 2005, 6, 844;Saeed et al., JEM 2005, 7, 1113)、炎症性皮膚障害、リウマチ性関節炎、術後イレウス、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、敗血症、線維筋痛症、膵炎および下痢を含む障害または状態の処置に有用であり得る。本発明の化合物は、さらにヘロイン、コカイン、タバコ、ニコチン、オピオイド、ベンゾジアゼピンおよびアルコールのような濫用物質の停止が原因の退薬症状の処置にも有用であり得る。最後に、本発明の化合物は、例えば偏頭痛、術後疼痛、幻肢痛または癌と関連する疼痛が原因の疼痛の処置に有用であり得る。疼痛は、炎症性または神経障害性疼痛、中枢性疼痛、慢性頭痛、糖尿病性ニューロパシー、治療後神経痛または末梢神経傷害を含み得る。
【0027】
さらに、処置し得る変性眼障害は、虚血性網膜症全般、前部虚血性眼ニューロパシー、視神経炎の全ての形態、加齢黄斑変性症(AMD)、その乾燥形(非浸潤型AMD)および湿潤形態(浸潤型AMD)、糖尿病性網膜症、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、網膜剥離、網膜色素変性症、シュタルガルト病、ベスト卵黄様網膜変性症、レーバー先天黒内障および他の遺伝性網膜変性症、病的近視、未熟児網膜症およびレーバー遺伝性視神経萎縮症を含む、網膜細胞の変性に直接的または間接的に関与し得る眼疾患を処置し得る。
【0028】
少なくとも1種のニコチン−アルファ7受容体アゴニスト、ならびに(a)慣用の抗精神病剤および(b)非定形精神病剤から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含む組合せの効果が、精神障害の処置において組み合わせた薬剤の相加効果よりも大きいことが判明した。特に、ここに記載の組合せは、組合せパートナーの一方のみを用いた単剤療法に難治性の統合失調症の処置に使用できる。
【0029】
故に、本発明は、同時、別々または連続使用のための;少なくとも1種のニコチン−アルファ7受容体アゴニスト、ならびに(a)慣用の抗精神病剤および(b)非定形精神病剤から成る群から選択される化合物の少なくとも1種(ここで、これらの活性成分は、いずれの場合も遊離形でまたは薬学的に許容される塩形で存在する)および所望により少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、組合せ製剤または医薬組成物のような組合せに関する。
【0030】
ここで使用する用語“精神障害”は、統合失調症、不安障害、鬱病および双極性障害を含むが、これらに限定されない。好ましくは、ここに記載の組合せで処置すべき精神障害は、統合失調症、より好ましくは組合せパートナーの一方のみを用いた単剤療法に難治性の統合失調症である。
【0031】
ここで使用する用語“慣用の抗精神病剤”は、ハロペリドール、フルフェナジン、チオチキセン(thiotixene)およびフルペンチキソールを含むが、これらに限定されない。
ここで使用する用語“非定形精神病剤”は、クロザリル、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドンおよびアリピプラゾールを含むが、これらに限定されない。
【0032】
他の局面において、本発明の化合物は、例えば種々の組織におけるニコチン受容体の同定および局在化のための、診断剤および/またはPETリガンドとして使用する。適切に同位体標識された本発明の薬剤は、nAChRの選択的標識のための組織学的標識剤、造影剤および/またはバイオマーカー(以後“マーカー”)として価値ある特性を示す。より具体的に、本発明の薬剤は、インビトロまたはインビボでのアルファ7nAChR受容体の標識のためのマーカーとして有用である。特に、適切に同位体標識された本発明の化合物は、PETマーカーとして有用である。このようなPETマーカーは、11C、13N、15O、18Fから成る群から選択される1個以上の原子で標識される。
【0033】
本発明の薬剤は、故に、例えば、nAChRに作用する薬剤の受容体占拠のレベルの決定、またはnAChRのアンバランスもしくは機能不全が原因の疾患の診断目的、およびこのような疾患の薬物療法の効果のモニタリングに有用である。
【0034】
上記によって、本発明は、神経画像のマーカーとして使用するための本発明の薬剤を提供する。
【0035】
さらなる局面において、本発明は、本発明の薬剤を含む、インビボおよびインビトロにおいてnAChRが関与する脳および末梢神経系構造を標識するための組成物を提供する。
【0036】
さらに別の局面において、本発明は、脳組織と本発明の薬剤を接触させることを含む、インビトロまたはインビボでのnAChRが関与する脳および末梢神経系構造を標識する方法を提供する。
【0037】
本発明の方法は、本発明の薬剤が標的構造を標識するか否かを決定することを目的とするさらなる工程を含み得る。該さらなる工程は、陽電子放出断層撮影(PET)または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、または放射活性放射物の測定を可能にする何らかのデバイスを使用した標的構造の観察により行い得る。
【0038】
特に、本発明の薬剤は、α7ニコチンアセチルコリン受容体(αnAChRα7)アゴニストである。
【0039】
機能アッセイにおいて、本発明の薬剤は、以下の試験で示される通り、nAChRα7に高親和性を示す:
a)nAChRα7での親和性のための機能的アッセイは、nAChRα7を安定に発現するラット下垂体細胞株で行う。簡単に言うと、nAChRα7を組み換え的に発現するGH3細胞を、実験72時間前に黒色96ウェルプレートに播種し、37℃で加湿雰囲気(5%CO/95%空気)中インキュベートした。実験の日に、培地をプレートを軽打することにより除去し、2.5mM プロベネシド(Sigma)の存在下、af蛍光カルシウム感受性色素含有100μl増殖培地に置き換えた。細胞を37℃で加湿雰囲気(5%CO/95%空気)中、1時間インキュベートした。プレートを軽打して過剰のFluo−4を除去し、2回Hepes緩衝化塩溶液(mMで:NaCl 130、KCl 5.4、CaCl 2、MgSO 0.8、NaHPO 0.9、グルコース 25、Hepes 20、pH 7.4;HBS)で洗浄し、適当なときアンタゴニストを含む100μlのHBSで再充填した。アンタゴニスト存在下でのインキュベーションを3から5分で止めた。次いでプレートをイメージングプレート読取装置に置き、蛍光シグナルを記録した。このアッセイで、本発明の化合物は、約5から約9のpEC50値を示す。本試験での部分的なおよび強力なアゴニストが好ましい。
【0040】
b)ヒト神経型nAChRα4β2に対する本発明の化合物のアンタゴニスト活性を評価するために、類似の機能アッセイを、ヒトα4β2サブタイプを安定に発現するヒト上皮性細胞株を使用して行う(Michelmore et al., Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol. (2002)366, 235)。本アッセイにおいて、好ましい本発明の化合物は、nAChRα7サブタイプに対して活性を示す。
【0041】
c)“神経節サブタイプ”(α3β4)、筋肉型のニコチン受容体(α1β1γδ)および5−HT受容体に対する本発明の化合物のアンタゴニスト活性を調べるために、a)の下に記載のものと類似の機能試験を、ヒト神経節サブタイプを安定に発現するヒト上皮性細胞株、ヒト筋肉型のニコチン受容体を内因性に発現する細胞株またはマウス5−HT受容体を内因性に発現する細胞株で行う(Michelmore et al., Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol. (2002)366, 235)。α3β4nAChR、ニコチン受容体の筋肉サブタイプならびに5−HT受容体にわずかしか活性を示さないまたは示さない化合物がとりわけ好ましい。
【0042】
S. Leonard et al. in Schizophrenia Bulletin 22, 431-445 (1996)により記載の感覚ゲーティング欠損(DBA/2−マウス)において、本発明の化合物は約10から約40μMの濃度で顕著な感覚ゲーティングを誘発する。
【0043】
本発明の化合物は、齧歯類の注意試験、すなわち5−選択反応時間課題(5−CSRTT)において、注意を増加させることが示され得る(Robbins, J. Neuropsychiatry Clin. Neurosci. (2001)13, 326-35)。本試験において、ラットは5個の穴を含む壁を観察しなければならない。その中の1個で発光が見られたら、ラットは、逆の壁のフィーダーを通して送られてくる報償餌ペレットを受け取るために、5秒以内に正しい穴に鼻先を入れることにより応答しなければならない。
【0044】
本発明の化合物はまた、マウスおよびラットにおける社会認識および対象認識試験において、学習/記憶増強効果もまた示し得る(Ennaceur and Delacour, Behav. Brain Res. (1988)31, 47-59)。
【0045】
故に、本発明の化合物は、種々の障害、とりわけ上記の障害の予防および処置(緩和および予防を含む)に有用である。神経変性におけるnAChRα7アゴニストの有用性は文献に、例えばWang et al., J. Biol. Chem. 275, 5626-5632(2000)に報告されている。
【0046】
上記および他の障害の処置のために、本発明の化合物(活性成分)の適当な投与量は、例えば、宿主、投与形態および処置する状態の性質および重症度ならびに用いる特定の本発明の薬剤の相対的効果に依存してもちろん変わる。例えば、必要な活性剤の量は、どの程度の時間、血液血漿中の特定の活性剤の濃度が、治療的効果のために許容されるレベルで残るかを決定する、既知のインビトロおよびインビボ技術に基づいて決定できる。一般に、動物における満足行く結果は、約0.01から約30.0mg/kg p.o.の1日投与量で得られることが示される。ヒトにおいて、指示される1日量は約0.7から約1400mg/日 p.o.、例えば約50から200mg(70kgのヒト)の範囲であり、簡便には1日1回または1日4回までの分割量で、または遅延放出軽で投与する。従って、経口投与形は、適当には約1.75または2.0から約700または1400mgの本発明の化合物を、適当な薬学的に許容される希釈剤または担体と混合して含む。
【0047】
医薬組成物は、例えば、約0.1%から約99.9%、好ましくは約20%から約60%の活性成分(複数もある)を含む。
【0048】
本発明の化合物を含む組成物の例は、例えば塩の式(I)の化合物または遊離の式(I)の化合物を、0.1から1%の範囲、例えば0.5%で含む、例えば、固体分散、例えば可溶化剤を含む、水性溶液、マイクロエマルジョンおよび懸濁液を含む。本組成物は、例えば3.5から9.5のpHに、例えばpH4.5に、適当な緩衝剤により緩衝化され得る。
本発明の化合物は、研究用化学物質として商業的にまた有用である。
【0049】
本発明に従う使用のために、式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容される塩を、単一の活性剤として、または1種以上の他の式(I)の活性剤および/またはその薬学的に許容される塩との、またはとりわけここに記載の障害またはさらに他の障害の処置用にとりわけ一般的に用いられる他の活性剤と組み合わせて、任意の慣用の方法で、例えば経口で、例えば錠剤、カプセル剤、または経鼻スプレーの形で、または非経腸的に、例えば注射用溶液または懸濁液の形で投与できる。このような組合せに用いる他の活性剤は、好ましくはベンゾジアゼピン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、選択的セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、慣用の抗精神病剤、非定形精神病剤、ブスピロン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、ギャバペンチンおよびプレガバリンから成る群から選択される。
【0050】
本発明に適当なSSRIは、とりわけフルオキセチン、フボキサミン(fuvoxamine)、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラムおよびエシタロプラムから選択される。本発明に適当なSNRIは、とりわけベンラフェキシンおよびデュロキセチンから選択される。ここで使用する用語“ベンゾジアゼピン”は、クロナゼパム、ジアゼパムおよびロラゼパムを含むが、これらに限定されない。ここで使用する用語“慣用の抗精神病剤”は、ハロペリドール、フルフェナジン、チオチキセン(thiotixene)およびフルペンチキソールを含むが、これらに限定されない。ここで使用する用語“非定形精神病剤”は、クロザリル、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドンおよびアリピプラゾールに関する。
【0051】
ブスピロンは、遊離形で、または塩として、例えばその塩酸塩で、例えば商品名BusparTMまたはBesparTMの下に、例えば市販の形で投与できる。それは、例えば、US3,717,634に記載の通り製造および投与できる。フルオキセチンは、例えば、商品名ProzacTMの下に市販のような塩酸塩の形で、例えば、投与できる。それは、例えば、CA2002182に記載の通り、製造および投与できる。パロキセチン((3S,4R)−3−[(1,3−ベンゾジオキソl−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジン)は、例えば、商品名のPaxilTM下で、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えば、US3,912,743に記載の通り、製造および投与できる。セルトラリンは、例えば、商品名ZoloftTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えば、US4,536,518に記載の通り、製造および投与できる。クロナゼパムは、例えば、商品名AntelepsinTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。ジアゼパムは、例えば、商品名Diazepam DesitinTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。ロラゼパムは、例えば、商品名TavorTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。シタロプラムは、遊離形で、または塩として、例えばその臭化水素酸塩で、例えば、商品名CipramilTMの下に、例えば市販の形で投与できる。エシタロプラムは、例えば、商品名CipralexTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えば、AU623144に記載の通り、製造および投与できる。ベンラフェキシンは、例えば、商品名TrevilorTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。デュロキセチンは、例えば、商品名CymbaltaTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えばCA1302421に記載の通り、製造および投与できる。カルバマゼピンは、例えば、商品名TegretalTMまたはTegretolTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。オキシカルバゼピンは、例えば、商品名TrileptalTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。オキシカルバゼピンは文献から既知である[例えばSchuetz H. et al., Xenobiotica(GB), 16(8), 769-778(1986)参照]。ギャバペンチンは、例えば、商品名NeurontinTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。ハロペリドールは、例えば、商品名Haloperidol STADATMの下に、例えば市販の形で、投与できる。フルフェナジンは、例えば商品名ProlixinTMの下に市販されている二塩酸塩の形で、例えば、投与できる。チオチキセンは、例えば、商品名NavaneTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えば、US3,310,553に記載の通り製造できる。フルペンチキソールは、例えば商品名EmergilTMの下に、例えば市販の例えば、二塩酸塩の形で、または例えば、商品名DepixolTMの下に、例えば、市販の、例えば、そのデカン酸塩の形で投与できる。それは、例えば、BP925,538に記載の通り製造できる。クロザリルは、例えば、商品名のLeponexTM下に、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えば、US3,539,573に記載の通り製造できる。リスペリドンは、例えば、商品名RisperdalTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。オランザピンは、例えば、商品名ZyprexaTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。クエチアピンは、例えば、商品名SeroquelTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。ジプラシドンは、例えば、商品名GeodonTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えば、GB281,309に記載の通り製造できる。アリピプラゾールは、例えば、商品名AbilifyTMの下に、例えば市販の形で、投与できる。それは、例えば、US5,006,528に記載の通り製造できる。
【0052】
コード番号、一般名または商品名により同定している活性成分の構造は、標準概論“The Merck Index”またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。それらの態様する内容は、引用により本明細書に包含させる。当業者は活性成分を同定することが十分に可能であり、そしてこれらの引用文献に基づいて、同様に、製造し、インビトロおよびインビボの両方で標準試験モデルにおいて医薬適応および特性を試験することが可能である。
【0053】
組合せの場合、本発明に従う組合せパートナーの別々の投与のための医薬組成物および/または固定された組合せ、すなわち少なくとも2種の組合せパートナーを含む単一ガレヌス(galenical)組成物での投与のための組合せは、それ自体既知の方法で使用でき、治療的有効量の少なくとも1種の薬理学的に活性組合せパートナー単独でまたは、とりわけ経腸または非経腸適用に適当な1個以上の薬学的に許容される担体を含む、ヒトを含む哺乳動物への経腸、例えば経口または経腸、および非経腸投与に適するものである。用いる組合せパートナーを単剤として市販されている形で適用するとき、特記しない限り、ここに記載の有益な効果をもたらすために、それらの投与量および投与方式は、各市販薬の添付文書に提供されている情報に従い行い得る。
【0054】
経腸または非経腸投与のための組合せ治療用医薬製剤は、例えば、単位投与形態、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐薬、またはさらにアンプルである。特記しない限り、これらは、それ自体既知の方法で、例えば慣用の混合、造粒、糖コーティング、溶解または凍結乾燥法の手段により製造する。各投与形態の個々の用量に含まれる組合せパートナーの単位含量は、必要な有効量が単一投与単位の代わりにまた2個以上の投与単位の投与により達成できるため、それ自体有効量を構成する必要がないことは認められよう。
【0055】
特に、組合せパートナー各々の治療的有効量を、同時にまたは連続して任意の順番で投与でき、そして、各成分を別々に投与でき(例えば連続して一定のまたは種々の時間の後)、または固定組合せとして投与できる。例えば、本発明に従う障害の処置(緩和を含む)の方法は、同時のまたは任意の順番での連続的な、併用で治療的有効量の、好ましくは相乗的有効量の、例えばここに記載の1日量に対応する量での、(i)遊離または薬学的に許容される塩形の組合せパートナー(a)(本発明の化合物)の投与(ii)遊離または薬学的に許容される塩形の組合せパートナー(b)(例えば本発明の異なる化合物または異なる式の活性成分)の投与を含む。個々の組合せパートナーは、治療経過中の異なる時点で別々に、または同時に分割したもしくは単一の組合せ形態で投与できる。さらに、用語“投与”はまたインビボで組合せパートナーそれ自体に変換する組合せパートナーのプロドラッグの使用も包含する。本発明は、故に、同時のおよび/または交互の処置の全てのこのようなレジメンを含むと理解すべきであり、そして用語“投与”はそれに従い解釈すべきである。
【0056】
用いる組合せパートナーの量は、例えば用いる特定の化合物または医薬組成物、投与方式、処置する障害、および/または処置する障害の重症度に依存して変化し得る。故に、投与レジメンは、投与経路、代謝および患者の腎臓および肝臓機能を含む種々の因子に従い、選択する。通常の技術の医師、臨床医または獣医師は、障害を予防し、軽減し、回復させ(counter)または抑止するのに必要な単一活性成分の有効量を容易に決定し、処方できる。毒性を伴わない効果を発現する活性成分濃度の範囲を達成するための最適な詳細は、標的部位の活性成分の利用能の動態に基づく投与計画を必要とする。
【0057】
前記によって、本発明は以下を提供する:
(1)哺乳動物、とりわけヒトの診断または治療的処置に使用するための;とりわけアルファ−7受容体アゴニストとして使用するための、例えば任意の1種以上の障害、とりわけ前記および後記の特定の障害の任意の1つ以上の処置(緩和を含む)に使用するための、式(I)の化合物、および/またはその塩。
【0058】
(2)活性成分として式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【0059】
(2')式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、アルファ−7受容体活性化が役割を有するまたは関与するおよび/またアルファ−7受容体活性が関与する障害、とりわけ前記および後記の障害の任意の1つ以上の処置または予防のための医薬組成物。
【0060】
(3)処置を必要とする患者における障害、とりわけ前記の特定の障害の任意の1つ以上の処置方法であって、薬学的に有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0061】
(3')アルファ−7受容体活性化が役割を有するまたは関与するおよび/またはアルファ−7受容体活性が関与する障害の処置または予防方法であって、それを必要とする哺乳動物に治療的有効量の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0062】
(4)アルファ−7受容体活性化が役割を有するまたは関与するおよび/またはアルファ−7受容体活性が関与する疾患または状態、とりわけ前記の障害の1つ以上の処置または予防のための医薬の製造のための、式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0063】
(5)治療的有効量の式(I)のアルファ−7アゴニスト、および/またはその薬学的に許容される塩、および第二の薬学的に活性化合物および/またはその薬学的に許容される塩(該第二の薬学的に活性化合物および/またはその塩は、とりわけ前記および後記の障害の任意の1つ以上の処置に使用される)を、例えば同時にまたは連続的に併用投与することを含む、上記で定義の方法。
【0064】
(6)治療的有効量の式(I)のアルファ−7アゴニスト、および/またはその薬学的に許容される塩、および第二の薬学的に活性化合物および/またはその薬学的に許容される塩(該第二の薬学的に活性化合物は、とりわけ前記の障害の任意の1つ以上の処置に使用される)を含む組合せ。
【0065】
以下の実施例は、その範囲を限定することなく本発明を説明するために提供する。以下の略語を使用する:
【表1】

【0066】
温度は摂氏度で測定する。特記しない限り、反応は室温で行う。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準分析法、例えば微量分析および分光特性(例えばMS、IR、NMR)により確認する。
【実施例】
【0067】
実施例1 (4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン
1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オン(11.92g、85.6mmol)を160ml MeOHに溶解し、−10℃に冷却する。NaBH(1.69g、42.9mmol))を少しずつ添加し、内部温度が0℃を超えないようにする。反応混合物を−10℃で1時間撹拌する。水を添加し、溶媒を蒸発させる。残った固体をMTBE/MeOHに溶解し、hyfloで濾過し、濾液を蒸発させて、19.28gの粗生成物を得て、それを酸化アルミニウムでのクロマトグラフィー(400g、溶離剤:MTBE/MeOH 95:5から80:20)で精製して、10.96g(91%)(4SR,5RS)−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オールを得る。
【0068】
酢酸無水物(150ml)に、(4SR,5RS)−(1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オール(21.34g、151mmol)を冷却下に少しずつ添加する。反応混合物を120℃で2.5時間加熱し、蒸発させ、THF/飽和KCO溶液で抽出する。水性層をTHFで再抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させる。粗生成物を、bulb-to-bulb蒸留(HV、90℃)で精製して、24.07g(87%)の(4SR,5RS)−酢酸1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イルエステルを得る。
【0069】
酢酸1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イルエステル(120.0g、655mmol)を200ml 無水EtOHおよび50ml 水に溶解する。L(+)−酒石酸(98.3g、655mmol)を添加し、混合物を1分加熱還流する。混合物をrtに、次いで4℃に冷却する。沈殿を濾取し、EtOHで洗浄し、EtOH/HO 4:1から3回再結晶して、41.16gの酒石酸塩を得て([α]rt=−14.72°(c=0.265、MeOH))、飽和NaCO溶液で処理後、それは遊離塩基としての22.6g(123mmol、19%)(4S,5R)−酢酸1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イルエステルとなる。さらに10.7g(32.1mmol、5%)の酒石酸を、母液からEtOH/HO 4:1でのさらに3回の再結晶により得ることができる。
【0070】
(4S,5R)−酢酸1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イルエステル(5.45g、29.7mmol)を10%水性NaOH溶液に溶解し、1時間50℃で撹拌する。rtに冷却後、混合物をTHF/塩水で抽出する。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濾液を蒸発させて、3.83g(91%)の(4S、5R)−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オールを得て、それを50ml THFに溶解し、0℃に冷却する。NHMDS(1M THF溶液35ml)を滴下し、反応混合物をrtで0.5時間撹拌し、予め冷却(−15℃)した5−ブロモ−2−クロロ−ピリミジン(5.89g、30.5mmol)のTHF溶液に滴下する。混合物を15時間rtで撹拌し、次いでTHFで希釈し、1M水性NaOH溶液および塩水で抽出する。水性層をTHFで2回再抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濾液を蒸発させる。得られる粗生成物(10.15g)をCHCN/MeOHから再結晶させて、5.21g(65%)の(4S,5R)−4−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンを得る。
【0071】
5.19g(17.4mmol)の(4S,5R)−4−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルオキシ)−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンを200ml トルエン/EtOH 9:1に溶解する。5−インドリルボロン酸(3.47g、21.6mmol)、Pd(PPh)(1.04g、0.873mmol)およびNaCO(7.38g、69.6mmol)の35ml HO溶液を添加する。反応混合物を90℃で15時間撹拌する。rtに冷却後、混合物をhyfloで濾過し、濾液を水および塩水で抽出する。水性層をAcOEtで再抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濾液を蒸発させる。得られる粗生成物をFC(255g シリカゲル、溶離剤AcOEt/MeOH/EtN 70:27:3)で精製し、EtOHから再結晶して、3.87g(67%)(4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンを得る。MS(ES):m/e=335(MH)、m.p。195−199℃。
【0072】
前駆体1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−4−オンの製造は、M. G. Kim et al., J. Med. Chem. (2003)46, 2216に従い行う。
【0073】
実施例2(軟カプセルの製造)
各々前記実施例の一つに記載の式(I)の化合物0.05gを活性成分として含む5000個の軟ゼラチンカプセルを、以下の通り製造する:
250gの粉砕した活性成分を2リットルLauroglykol(登録商標)(プロピレングリコールラウレート、Gattefosse S.A., Saint Priest, France)に懸濁し、湿式粉砕機で約1から3μmの粒子径を得るまで挽く。混合物の0.419gずつを、カプセル充填機を使用してゼラチンカプセルに入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基または酸付加塩形の式(I)
【化1】

〔式中、
Xは水素またはヒドロキシルであり、そして
Yは、以下の基:
【化2】

の1個である。〕
の化合物。
【請求項2】
(4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリミジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン。
【請求項3】
5−{2−[(4S,5R)−(1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)オキシ]−ピリミジン−5−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン。
【請求項4】
(4S,5R)−4−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン。
【請求項5】
(4S,5R)−4−[5−(1H−インドール−5−イル)−ピリジン−2−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン。
【請求項6】
(4S,5R)−4−[6−(1H−インドール−5−イル)−ピリダジン−3−イルオキシ]−1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン。
【請求項7】
5−{6−[(4S,5R)−(1−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−4−イル)オキシ]−ピリダジン−3−イル}−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン。
【請求項8】
式(I)の化合物の製造方法であって:
i)式(IX)
【化3】

〔式中、Yは上記で定義の通りであり、そしてzは脱離基である。〕
の化合物と、式(X)
【化4】

〔式中、RはH、C−Cアルキルであるか、または両方のROがそれらが結合しているBと一緒になってヘテロ環式部分であり、Xは上記で定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、そして
ii)そのようにして得た式(I)の化合物を回収する
工程を含む、方法。
【請求項9】
式(I)の化合物の製造方法であって:
i)式(XI)
【化5】

の化合物と、式(XII)
【化6】

〔式中、XおよびYは、上記で定義の通りであり、そしてPGは適当な保護基である。〕
の化合物を反応させ、
ii)続いて、そのようにして得た化合物を脱保護し、そして
iii)そのようにして得た式(I)の化合物を遊離塩基または酸付加塩形で回収する
工程を含む、方法。
【請求項10】
医薬として使用するための、遊離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
精神病性および神経変性障害の予防、処置および/または進行遅延に使用するための、離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物を、医薬担体または希釈剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項13】
精神病性および神経変性障害の予防および処置用医薬としての、離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項14】
精神病性および神経変性障害の予防、処置および/または進行遅延用医薬の製造のための、離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項15】
処置を必要とする対象における精神病性および神経変性障害の予防、処置および/または進行遅延の方法であって、そのような対象に治療的有効量の離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
nAChRα7活性化が役割を担うまたは関与する疾患または状態の予防、処置および/または進行遅延に使用するための、離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
nAChRα7活性化が役割を担うまたは関与する疾患または状態の予防、処置および/または進行遅延用医薬としての、離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項18】
処置を必要とする対象におけるnAChRα7活性化が役割を担うまたは関与する疾患または状態を処置または予防する方法であって、そのような対象に治療的有効量の離塩基または薬学的に許容される酸付加塩形の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2009−519283(P2009−519283A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544876(P2008−544876)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012023
【国際公開番号】WO2007/068476
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】