説明

精紡機における、構造部材の締付けベルトによる固定

【解決手段】 精紡機における、特に構造部材の、如何なるピッチ間隔に依存する支持要素の加工も必要でない、簡単な固定を達成するために、固定のために締付けベルト7、8を使用することが提案され、これら締付けベルトは、一方の端部において、穿孔9、10を用いてこれら構造部材の内の一方の構造部材1のピン11内へと掛け止め可能であり、
これら締付けベルトが、保持管3、4を部分的に囲繞し、且つ、締付け装置12/13/14を用いて、ぴんと張って支持要素に対して当接可能であり、且つ、締付け結合が形成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ドイツ民主共和国特許第29797号明細書(特許文献1)内において、2つの平行な、互いに並列して位置する保持管における、スピンドル軸受ケーシングを固定するための装置が開示されている。この固定は、これら保持管を囲繞する締付け部片を用いて行われる。この目的のために、加工を必要とする締付け部片が必要である。この様式の締付け結合は、支持要素が、如何なるピッチ間隔に依存する加工も、ねじのような保持要素の装着のために必要としないことの利点を有している。むしろ、これら構造部材は、何の問題も無く、適宜の、特に、作業位置の均等なピッチ間隔内において装着され得る。
【特許文献1】ドイツ民主共和国特許第29797号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、特に、2つの平行に指向する保持管または保持棒における、織物機械の構造部材の固定のための、より簡単で、より僅かに手間暇がかかる様式の固定を提示することである。本発明は、しかしながら同様に、単に1つだけの保持管における構造部材の固定にも適している。
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の実施形態において、
この装置は、少なくとも1つの保持管における、1つの構造部材の固定に適している。この装置は、この装置の両方の端部の近傍において穿孔を備える屈撓性の締付けベルトを有しており、この締付けベルトが、一方の端部でもって、構造部材におけるピン形状の保持要素内へと、および、
この締付けベルトの他方の端部でもって、この構造部材に取り付けられた締付け装置内へと掛け止め可能であり、
この締付け装置を用いて、この構造部材の外周を部分的に囲繞する締付けベルトが締付け可能である。
【発明の効果】
【0004】
保持管が円筒形状である場合、保持管の周囲をめぐっての、構造部材の誤回転に対する抵抗は、明らかに、締付けベルトの締付け力、締付けベルトと保持管との間の摩擦抵抗、および、他の影響量に依存し、且つ、これらによって制限される。
この制限を回避するために、この保持管または保持棒は、非円形、例えば楕円形であることは可能である。
【0005】
この装置は、従って、有利には、2つの平行に指向する保持管における、構造部材の固定のために使用される。この場合、2つの逆方向の締付けベルトが、逆方向に、これら両方の保持管の周囲をめぐって敷設され、且つ、1つの締付け装置によって共に締付けられる。この場合、この構造部材が、これら両方の保持要素の周囲をめぐって回転することの如何なる危険も存在しない。
【0006】
2つの平行に指向する保持管における、構造部材の固定のための第2の実施形態において、
より長い、屈撓性の締付けベルトが設けられており、この締付けベルトの両方の、穿孔を備える端部が、ピン形状の保持ピン内へと挿入され、且つ、この締付けベルトの両方の軸間部分が、両方の保持管の間で、この構造部材に対して覆われた締付け要素を用いて締付けられる。
【0007】
図面の図内において、これら装置の実施例が示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下において、本発明の装置が、スピンドル軸受ケーシングの固定に対してのこの発明の装置の使用において図示され、且つ説明されている。この本発明の装置が、同様に、スピンドル軸受ケーシングの他の構造部材の固定のためにも有利に使用可能であることは自明のことである。
【0009】
図1および2内において、スピンドル軸受ケーシング(構造部材)1が図示されており、これらスピンドル軸受ケーシングのスピンドル2に関して、ただこれら軸線だけが示されている。これらスピンドル軸受ケーシングは、それぞれ2つの保持管3および4に固定されており、且つ、この目的のために、半円形の窪み部5を有しており、これら窪み部が、これら保持管の外径に適合されている。これらスピンドル軸受ケーシングは、有利には、ダイカストから成っている。
【0010】
これら窪み部5内において、溝部6が窪ませられており、これら溝部6内へと、図1の実施形態において、有利には鋼材から成る、2つの屈撓性の締付けベルト7および8が位置している。これら締付けベルトの寸法は、長さ、幅、厚さ、材料に関して、これら締付けベルトの使用状況に依存している。強度に対する僅かな諸要件を有する、容易な固定のために、同様に合成物質から成る締付けベルトも使用され得る。合成物質から成る締付けベルトは、これら合成物質から成る締付けベルトが、鋼材よりも高い摩擦係数を有していること、および、従って、固定の際に、ただ1つの保持管の上で、より僅かに、この保持管の周囲で滑動する傾向があることの利点を有している。合成物質から成る締付けベルト内における、穿孔のちぎれを回避するために、この締付けベルトのこれら穿孔を収容する端部は、上敷き(Auflagen)、クリップ(Klipse)、またはその種の他の物によって補強されている。
【0011】
図3および4内において詳細に図示されている締付けベルト7、8は、これら締付けベルトの端部において、穿孔9および10を有しており、これら穿孔の縁部が、片側で縁を折り曲げられている。これら締付けベルトは、これら締付けベルトの円形の穿孔9でもって、溝部6内に設けられている保持ピン11内へと掛け止めされている。これら締付けベルトは、スピンドル軸受ケーシング1内へと組み込まれ得、または、これらスピンドル軸受ケーシングがダイカストから成る場合、これらスピンドル軸受ケーシング内において形を整えられる。これら締付けベルトは、保持管3および4の外周をめぐって敷設されており、且つ、これら締付けベルトの縦長の穿孔10でもって、引張板13のノッチ部(引張り要素)(Zargen)12内へと掛け止めされている。
【0012】
スピンドル軸受ケーシング1の固定のために、引張板13が、ねじ14を用いて、このスピンドル軸受ケーシングに対して牽引され、且つ、それら締付けベルトが、ぴんと張って、保持管3および4の周囲をめぐって位置するまで、締付けベルト7および8が緊張される。
【0013】
図2内における実施形態において、より長い締付けベルト15が使用され、この長い締付けベルトは、両方の端部において単に円形の穿孔9を有している。この長い締付けベルトは、1つの端部でもって、これら溝部6の内の一方の溝部内における保持ピン11内へと掛け止めされ、次いで、スピンドル軸受ケーシング1が保持管3および4の上に載置され、且つ、この締付けベルトが保持ピン11の後方でこの溝部に係止するまで、この締付けベルトが他方の溝部内へと押し込まれる。次いで、締付け部片16が、両方の保持管の間で、この締付けベルトの上に載置され、且つ、この締付けベルト15の両方の軸間部分が、保持管3および4の周囲をめぐって牽引されるまで、ねじ14を用いて、このスピンドル軸受ケーシングに対して牽引される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】2つの締付けベルトを共に示した、2つの保持管の断面図である。
【図2】1つの締付けベルトを共に示した、2つの保持管の断面図である。
【図3】短い締付けベルトの図である。
【図4】短い締付けベルトの側面図である。
【図5】締付け側からの、図2による締付け装置の図である。
【図6】図2締付け装置の平面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 スピンドル軸受ケーシング
2 スピンドル軸線
3 保持管
4 保持管
5 窪み部
6 溝部
7 締付けベルト
8 締付けベルト
9 締付けベルト内における円形の穿孔
10 締付けベルト内における縦長の穿孔
11 保持ピン
12 ノッチ部
13 引張板
14 ねじ
15 長い締付けベルト
16 締付け部片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの、有利には円筒形状の保持管における、スピンドル軸受ケーシングのような、織物機械の構造部材の固定のための装置において、
屈撓性の締付けベルト(7、8)が設けられており、
この締付けベルトが、この締付けベルトの一方の端部でもって、構造部材(1)における保持ピン(11)において掛け止め可能であり、且つ、
保持管(3、4)の、有利には円筒形状の外周の少なくとも一部の囲繞の後、この締付けベルトの他方の端部でもって、この構造部材に装着された締付け要素(12、13、14)を介して、ぴんと張って締付け可能に固定されるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
締付けベルト(7、8)は、この締付けベルトの両方の端部の近傍において、穿孔(9、10)を有しており、これら穿孔を用いて、この締付けベルトが、構造部材(1)におけるピン形状の保持要素(11)内へと、および、
この構造部材における、この構造部材に対して締付けられる締付け要素(12、13、14)のノッチ部(12)内へと、
掛け止め可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
締付け要素は、2つのノッチ部(12)を備える引張板(13)を有しており、
この引張板が締付けベルトの縦長の穿孔(10)内へと係合可能であり、且つ、この締付け要素が締付けねじ(14)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
2つの、有利には円筒形状の保持管における、スピンドル軸受ケーシングのような、織物機械の構造部材の固定のための装置において、
屈撓性の締付けベルト(15)が設けられており、
この締付けベルトが、この締付けベルトの両方の端部において穿孔(9)を有しており、
この締付けベルトが、
これら穿孔を用いて構造部材(1)の保持要素(11)内へと掛け止め可能であり、且つ、
保持管(3、4)の有利には円筒形状の外周の、少なくとも一部の囲繞の後、この締付けベルトの中間の領域内において、この構造部材に対して締付けられる締付け要素(16、14)を用いてこれら保持管の外周に対してぴんと張って押圧可能であるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項5】
締付けベルト(15)は、この締付けベルトの両方の端部の近傍において、それぞれ1つの穿孔(9)を有しており、これら穿孔を用いて、この締付けベルトが、構造部材(1)における、2つのピン形状の保持要素(11)内へと掛け止め可能であるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
締付けベルト(7、8、15)の穿孔(9、10)は、片側で、外側に曲げられた縁部を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−507186(P2009−507186A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528425(P2008−528425)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008549
【国際公開番号】WO2007/028548
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】