説明

糖質検出用センサー

被検体(たとえば、グルコース)濃度の感知用センサーであって、適切な競合結合アッセイの異なる変性体を少なくとも2種含み、該センサーは、被検体濃度の必要な範囲を、該アッセイの変性体によって、正確に感知することができ、変性体のそれぞれは、被検体濃度の必要な範囲の一部だけを正確に感知することができ、アッセイの変性体は、必要な範囲の全体をカバーする、重なり合うまたは隣接する濃度の範囲を感知するように選択されるセンサー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー、該センサーを製造する方法、および該センサーを使用する方法に関する。
【0002】
該センサーは、組織液の成分、たとえばグルコースであってよい被検体の存在または濃度の測定において使用してもよい。
【0003】
特に、センサーは、グルコース濃度を厳密にモニターしなければならない状況および/または糖尿病の管理のように、グルコース測定を繰り返して行わなければならない状況における用途に適切である。
【背景技術】
【0004】
糖尿病の管理において、血中のグルコースの定期測定は、正確なインシュリン投与を確保するために、必要不可欠である。さらに、糖尿病患者の長期間の患者管理において、血糖値のより良い管理は、もし防止できなければ、網膜疾患、循環障害、およびしばしば糖尿病に伴う他の変性疾患の発症を遅らせる可能性があることが実証されている。したがって、糖尿病患者による血糖値の信頼のおける正確な自己モニタリングが必要である。
【0005】
糖尿病患者において起こるであろう濃度、すなわち0〜35mMまたはそれより幾分高い範囲の血糖を測定することが望ましい。グルコースは、関連する例として本明細書で頻繁に引用されるが、発明の原理は、広い範囲の被検体に広く適用可能なことは理解されるであろう。
【0006】
現在、血糖は、糖尿病患者が、市販の比色定量試験片または電気化学的バイオセンサー(たとえば、酵素電極)を用いてモニターしているが、両方とも、ランセット型装置を常に使用し、測定のたびに適量の血液を取り出す必要がある。平均して、多数の糖尿病患者はそのような装置を使用して、1日に2回血糖の測定を行っている。しかし、米国立衛生研究所は、アメリカ糖尿病協会が支持する、血糖の試験は1日に少なくとも4回行うべきであるということを推奨してきた。血糖試験の回数の増加は、糖尿病患者に、特に指先から血液を取るために、ランセットを常用しなければならない長期間の糖尿病患者には、経済面でも、痛みおよび不快な面でも大きな負担をかけることになる。したがって、患者から採血しない、より優れた長期間のグルコースモニタリングシステムが明らかに必要である。
【0007】
患者から採取する血液を必要としないグルコース測定技術に関して、数多くの提案がある。
【0008】
皮下液中の被検体の濃度は、血液中の該被検体の濃度と相関することが観察されてきており、したがって、皮下位置に据えられる、グルコースモニタリングデバイスの使用がいくつか報告されている。遠隔的に問い合わせすることができるグルコース用競合結合アッセイの使用は、特に興味を引くものである。
【0009】
競合的結合をアッセイする方法は、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペア(米国特許第6232120号で検討されている)を使用し、これは、典型的には、エネルギー移動供与体受容体ペア(エネルギー供与体部分とエネルギー受容体部分とを含む)である。エネルギー供与体部分は、光輝性(通常は蛍光性)である。
【0010】
そのような方法では、エネルギー移動供与体−受容体ペアは、分析すべきサンプル(たとえば、皮下液)と接触している。次いで、サンプルを照らし、得られた発光を検出する。供与体−受容体ペアのエネルギー供与体部分またはエネルギー受容体部分は、受容体担体に結合し、一方、供与体−受容体ペア(リガンド担体に結合する)のもう一方の部分と存在する任意の被検体とは、受容体担体上の結合部位を得るために競合する。供与体および受容体が集まった時、供与体と受容体との間にエネルギー移動が起こり、これによって、エネルギー供与体部分の蛍光の検出可能な寿命の変化(減少)をもたらす。また、エネルギー供与体部分から放射される蛍光信号の割合は抑えられる。
【0011】
寿命変化は、被検体の競合的結合によって、減少または消去される。したがって、見かけの発光寿命を測定することによって、たとえば、位相変調蛍光光度法または時間分解蛍光光度法(Lakowicz, Principles of Fluorescence Spectroscopy, Plenum Press,1983年,第3章参照)によって、サンプル中の被検体の量を決定することができる。
【0012】
エネルギー移動の効率は、供与体の量子収率、供与体の発光スペクトルと受容体の吸収スペクトルとの重なり、ならびに供与体と受容体との間の相対距離および配置に依存することも注意すべきである。
【0013】
欧州特許第0561653号には、先に記載した、受容体とリガンドとを問い合わせする方法が開示されている。
【0014】
供与体−受容体エネルギー移動の例として、蛍光共鳴エネルギー移動(フェルスター共鳴エネルギー移動、FRET)があり、これは、最初に励起された供与体(D)から受容体(A)への励起状態エネルギーの非放射性移行である。供与体は、典型的には、より短い波長で放射し、その発光スペクトルは、受容体の吸収スペクトルと重なり合う。エネルギー移動は、光子が出現することなく起こり、供与体と受容体との間の長距離双極子−双極子相互作用の結果である。
【0015】
FRETプロセスは光子の出現を伴わないので、用語共鳴エネルギー移動(RET)がより正確である。しかしFRETもRETも互換的に使用されることが多い。
【0016】
FRETの重要な特徴は、それが、生体高分子の寸法に匹敵する距離上で起こることである。フェルスター距離と呼ばれる、FRETが50%効率の時の距離は、典型的には、20〜60Åの範囲である。20〜90Åの範囲のフェルスター距離は、競合的結合の研究には都合がよい。
【0017】
供与体(D)による被検体結合部分のラベリングおよび受容体(A)による被検体類縁体のラベリング、またはその逆によって、供与体−受容体応答に基づく測定可能な応答を生み出すことができるアッセイが作り出される。したがって、D−「被検体結合部分」のA−「被検体類縁体」への結合によって、供与体の強度または寿命が減少する結果となる。サンプル中の被検体は、D−「被検体結合部分」上の被検体結合部分を獲得するために競合し、D−「被検体結合部分」を受容体(A)から放出する。したがって、供与体の強度減衰時間および位相角は、グルコース濃度が増えるに従って増加することが予測される。
【0018】
これらの原理は、エネルギー移動によるグルコース感知において使用されてきた。
【0019】
国際公開公報第91/09312号には、光学的手段によって遠隔的に問い合わせる、グルコースに基づく親和性アッセイ(エネルギー移動供与体−受容体ペアを組合わせた)を使用する、皮下方法およびデバイスが記載されている。国際公開公報第97/19188号、国際公開公報第00/02048号、国際公開公報第03/006992号および国際公開公報第02/30275の各例には、エネルギー移動によるグルコース感知が記載され、これは、遠隔的に読み取ることができる光信号を提供している。
【0020】
当業者であれば、受容体が蛍光団になり得るであろうことは理解するであろう。エネルギー受容体部分の吸収スペクトル内の波長で、入射光のビームによる励起に続いてエネルギー受容体部分によって放射される任意の蛍光信号は、FRETプロセスに影響されない。したがって、内部参照信号として、エネルギー受容体部分によって、たとえばセンサーの連続キャリブレーションにおいて、放出される蛍光信号の強度を使用すること、またはセンサーが分解している範囲をモニターすることが可能であり、したがって、新しいセンサーを移植または注射する必要性を示す。許容しうるベースラインレベル未満のこの信号の下降は、新しいセンサーを移植または注射する必要性を示す。
【0021】
しかし、エネルギー受容体部分は、非蛍光性染料であってもよい。この場合では、蛍光消光能力を持つ化合物を、特定のエネルギー受容体部分の代わりに使用する。強力かつ非特異性の蛍光消光物質の例は、Tyagiら、Nature Biotechnology (1998) 18:第49頁にある。
【0022】
現在知られている、体液中の血糖値用の非侵襲的アッセイの限界は、アッセイが正確に測定することができるグルコース濃度の範囲である。国際公開公報第91/09312号の皮下インプラントは、0.5〜18mgml-1(2.6〜94mM)の範囲において、グルコース濃度を測定することができる、これは、細胞内流体グルコース濃度測定のために必要な標的範囲の下限を除いて、全てをカバーする。非常に低いグルコース濃度での正確な測定は、低血糖症に対応するので、糖尿病コントロ−ルにおいて特に重要である。
【0023】
類似のデバイスが、国際公開公報第98/05589号において報告され、細胞内グルコース濃度測定に必要な範囲の下限をカバーする、0.05〜5mgml-1(0.26〜26mM)の範囲内のグルコース濃度を測定する能力を持つことが記載されている。
【0024】
第三のデバイスが、国際公開公報第00/16099号に開示されている。
【0025】
上記のデバイスは、競合アッセイを使用し、被検体類縁体と、興味のある被検体と被検体類縁体とを競合的に結合することができる結合剤とを含む。
【0026】
結合剤から被検体を置き換える被検体の能力は、被検体、リガンドおよび結合剤の同一性に依存する。アッセイによって作り出される測定可能な応答は、結合剤に結合された被検体の比率に関連している。
【特許文献1】米国特許第6232120号
【特許文献2】国際公開公報第91/09312号
【特許文献3】国際公開公報第97/19188号
【特許文献4】国際公開公報第00/02048号
【特許文献5】国際公開公報第03/006992号
【特許文献6】国際公開公報第02/30275号
【特許文献7】国際公開公報第98/05589号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
したがって、特定のアッセイに関して、測定され得る被検体の濃度の範囲が存在するであろう。この範囲は、結合剤から置き換わる被検体類縁体に必要される被検体の最小濃度と、全ての被検体類縁体が結合剤から置き換わる点での被検体の最大濃度によって、規定されるであろう。
【0028】
対象となる被検体濃度範囲の全てを覆う測定可能な応答を生成する1アッセイの設計は、特に、考慮しなければならない圧制のほかの特性(たとえば、寿命、コスト、毒性)がある場合、困難で、且つ高価なプロセスである可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明者らは、アッセイが正確である濃度範囲の限界を克服するための手段を見い出した。
【0030】
したがって、第一態様では、本発明は、被検体濃度を感知するセンサーであって、適切な競合結合アッセイの異なる変性体を少なくとも2種含み、該センサーは、被検体濃度のより低い範囲を、該アッセイの変性体により正確に感知することができ、それぞれは、被検体濃度のより低い範囲を正確に感知することができ、アッセイの変性体は、必要な範囲の全体をカバーする、重なり合うまたは隣接する濃度範囲を感知するように選択されるセンサーを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
アッセイの変性体は、正確に感知することができる被検体濃度の範囲内で最適感度を持つことが適切である。
【0032】
センサーは、任意の単一アッセイ変性体が濃度を感知することができる範囲より広い濃度範囲にわたって被検体濃度を感知することができることが好ましい。
【0033】
アッセイ変性体は、幅において類似あるいは異なる、およびIC50値において類似または異なる濃度範囲にわたって被検体濃度を感知できてよい。幅において異なる濃度範囲で、被検体濃度を感知することができるアッセイ変性体の組合せの使用は、全濃度範囲のある部分をより正確にモニターすることができるので、特に有用である。(以下を参照)
【0034】
センサーは、たとえば、皮下液などの体液中の被検体の検出または測定に適しているのが好ましい。センサーは、インビボでの使用に適することが望ましく、これは以下でより詳しく検討する。
【0035】
該アッセイによって検出または測定すべき被検体は、糖質であるのが好ましく、より好ましくは単糖類であり、非常に好ましくはグルコースである。
【0036】
センサーは、0〜35mMグルコースの範囲の少なくとも一部、たとえば、0〜25mMグルコースの血中グルコース濃度を測定できることが好ましい。たとえば、1アッセイ変性体は、7〜8mMのIC50値を持ち、他のアッセイ変性体は、約18mMのIC50値を持つ。センサーは、2〜10mMグルコースの範囲にわたるグルコース濃度を測定できることがより好ましい。この範囲でできるだけ直線に近い用量応答曲線が望ましい。
【0037】
好ましい実施形態では、センサーは、1つの変性体が、0〜15mMの範囲のグルコース濃度を感知することができ、もう1つの変性体が、10〜35mM、10〜25mMまたは15〜35mMの範囲のグルコース濃度を感知することができる、競合結合アッセイの2つ変性体を含む。
【0038】
重なり合う範囲の使用は、各アッセイ変性体が、IC50値の辺りで最適感度を持つので、好ましい。たとえば、発明者らは、0.08°/mMのGIcに相当する7.5相度の0〜100mMの範囲のグルコースに対する応答を持つ単一アッセイを生成した。もし、適切な競合結合アッセイの2つの変性体が、最適に使用されたとすると、7.5位相度は、0.5°/mのMGIcに相当する0〜15mMのGIcの範囲において使用可能になり、他のアッセイでは、7.5位相度は、0.5°/mMのMGIcに相当する10〜25mMのGIcの範囲において使用可能になるであろう。
【0039】
0〜35mMのグルコースの範囲内のグルコース濃度を感知することができるアッセイ変性体と、0〜10mMのグルコースの狭い範囲のグルコース濃度を感知することができるアッセイ変性体との組合せは、0〜10mMのグルコースの範囲においてより敏感なアッセイが、他の連続グルコースモニタリングデバイスではしばしば見られる、低血糖誤報の数を減らすため、特に好ましい。
【0040】
センサーは、25〜50mMの範囲においてグルコース濃度を感知できる、競合結合アッセイの第三変性体をさらに含むのが好ましい。
【0041】
好ましい実施形態では、本発明は、被検体類縁体が、数多くの部位で、被検体結合剤に非共有結合で結合してもよい競合アッセイを使用する。結合は、典型的には、被検体類縁体の被検体類縁体部分で形成される。被検体類縁体を置き換えるために必要な被検体の濃度は、被検体結合剤のための被検体類縁体の親和力(全結合能力)に依存する。
【0042】
所定の被検体結合剤のための被検体類縁体の親和力に影響するパラメーターとして、以下のものが挙げられる。
・被検体類縁体部分の数
・レクチンに対する類縁体被検体部分の親和性(個々の結合能力)
・カルシウム濃度および
・被検体類縁体の柔軟性
【0043】
生理的カルシウム濃度は制御することができない。しかし、他のパラメーターは選択することができる。
【0044】
所定の親和性を持つ被検体類縁体部分の数が多いほど、被検体結合剤用のリガンドの親和力は大きくなり、それと置き換わるために必要な被検体の濃度も高くなる。
【0045】
同様に、被検体類縁体部分の所定の数の親和性が高くなるほど、被検体結合剤用のリガンドの親和力は大きくなり、それと置き換わるのに必要な被検体の濃度も高くなる。
【0046】
したがって、アッセイ変性体によって感知され得る濃度範囲は、被検体類縁体部分の数、被検体類縁体部分のいくつかまたは全ての特性、および被検体類縁体の柔軟性を変化させることによって、より高い被検体濃度からより低い被検体濃度の間で変更することができる。
【0047】
したがって、それぞれが被検体結合剤に対して異なる親和力を有する被検体類縁体を含むアッセイ変性体の組合せを使用してもよく、アッセイ変性体は、重なり合いまたは隣接する個々のアッセイ変性体の範囲が、集められた時、対象となる被検体濃度全範囲をカバーするように選択される。
【0048】
したがって、好ましい実施形態では、競合結合アッセイは、それぞれ、被検体結合剤と、少なくとも1つの被検体類縁体部分を含む被検体類縁体とを含み、被検体結合剤は、被検体類縁体の少なくとも1つの被検体類縁体部分に結合して、被検体類縁体が前記被検体によって変位可能になる複合体を形成し、異なるアッセイは、被検体類縁体で構成されている被検体類縁体部分の数または性質によって識別する
【0049】
アッセイ変性体が異なる被検体類縁体を有すること以外のやり方で相違できることは、当業者であれば理解するであろう。
【0050】
検出
アッセイ変性体は、たとえば、光学エネルギーを生成する蛍光での刺激時、被検体濃度に関連し得る測定可能な光信号を生成するのが好ましい。
【0051】
適切な検出技術として、FRET、蛍光エネルギー移動、蛍光偏光、蛍光消光、リン光、ルミネセンス増強、ルミネセンス消光、回折またはプラズモン共鳴が挙げられる。
【0052】
光信号を発生する結合アッセイは、好ましくは、被検体の濃度変動の連続モニタリングが達成できるように、可逆的であるべきである。この可逆性は、アッセイの成分を消費しない、結合アッセイフォーマットの使用の特別の利点である。
【0053】
検出可能または測定可能な光信号は、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアを使用して発生させるのが好ましい。該ペアの第一構成要素が、該ペアの第二構成要素に近接近する時、信号が発生または変調される。
【0054】
好ましい実施形態では、被検体結合剤は、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの1つで標識化され、被検体類縁体は、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアのもう1つで標識化され、被検体類縁体および被検体結合剤が複合体を形成し、被検体類縁体が、被検体によって複合体から置き換わる時、信号において検出可能な差異が存在する。
【0055】
近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアは、エネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分であるのが好ましい。また、エネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分は、エネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分は、それぞれ、供与体発色団および受容体発色団(あるいは光吸収材料)とも言う。蛍光を放射しないエネルギー受容体は、消光部分とも言う。
【0056】
この場合、レクチンを、エネルギー供与体およびエネルギー受容体部分ペアの1つで標識化し、被検体類縁体を、エネルギー供与体およびエネルギー受容体部分ペアのもう1つで標識化する。信号における検出可能な差異は、エネルギー供与体部分からエネルギー受容体部分へのエネルギー移動における検出可能な差異に相当する。
【0057】
被検体類縁体は、エネルギー受容体部分を有し、被検体結合剤はエネルギー供与体部分を有するのが、より好ましい。
【0058】
本発明のセンサーは、FRETの技術を使用する光学読み出しを作るアッセイを導入するのが適切である。
【0059】
好ましい実施形態では、競合結合アッセイの変性体は、それぞれ、
第一光吸収材料で標識化された被検体結合剤と、
被検体類縁体部分を少なくとも1つ含む、第二光吸収材料で標識化された高分子と
を含み、
被検体結合剤は、高分子の被検体類縁体部分の少なくとも1つと結合し、前記高分子が前記被検体によって変位可能となる複合体を形成し、前記複合体は、光エネルギーを吸収することができ、該吸収された光エネルギーは、被検体によって複合体から置き換わる時に、それらの蛍光特性と比べて前記複合体中に存在する場合、光吸収材料の1つと、該光吸収材料の蛍光特性において結果として測定可能な変更を伴う光吸収材料との間で非放射的に移動することができ、アッセイの異なる変性体は、高分子中に存在する被検体類縁体部分の数によって識別される。
【0060】
蛍光寿命または蛍光強度測定を行ってもよい。蛍光寿命は、位相変調技術によって測定してもよい。
【0061】
アッセイをインビボで使用する場合、供与体は550〜約700nmで蛍光を発し、受容体は約650nmで吸収するのが望ましい。これにより、低波長での供与体蛍光とインビボ自己蛍光との間のオーバーラップを回避する。
【0062】
Alexa Fluor 594(商標)(たとえば、スクシンイミジルエステルとして)は、インビボで使用するための、適切な発光スペクトルを持つエネルギー供与体部分である。この染料は、594nmで吸収し、620nmで蛍光を発する。
【0063】
国際公開公報第05/059037号に記載されているHMCV染料は、本発明の用途にとって、適切なエネルギー受容体部分である。これらの染料は、安定化されたカルベニウムイオンである。例として、ヘキサメトキシ−クリスタルバイオレットスクシンイミジルエステル(HMCV−1)がある。
【0064】
あるいは、QSY21(商標)を、エネルギー供与体部分としてのAlexa Fluor 594(商標)とともに、エネルギー受容体部分として使用してもよい。
【0065】
蛍光寿命または蛍光強度の測定を行ってもよい。蛍光寿命は、位相変調技術(以下に検討)によって測定してもよい。
【0066】
好ましい実施形態では、被検体結合剤をエネルギー供与体部分としてAlexa Fluor 594で標識化し、被検体類縁体をエネルギー受容体部分としてHMCV−1で標識化し、蛍光寿命を位相変調技術によって測定する。
【0067】
このタイプのアッセイでは、アッセイ成分を保持する材料は、エネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分に充分な空間を提供し、互いに結合していない時には、エネルギー移動が中断できるように分離するのが好ましい。
【0068】
被検体結合剤
被検体結合剤はレクチンであるのが好ましい。用語「レクチン」は、免疫グロブリンの主要なクラスのいかなるものにも属さない、糖質代謝物に明らかに含まれない任意の糖質結合タンパク質を含む。レクチンは、糖質認識ドメイン(CRD)を介して糖質への選択的結合を示す。レクチンは、単量体型および多量体型の両方で自然に発生し、後者は、しばしば、それぞれがいくつかのCRDを有する数多くのサブユニットを含む。したがって、レクチン被検体結合剤の使用は、被検体が糖質の時、特に適切である。
【0069】
先に検討したFRET系システムは、グルコース結合剤として、コンカナバリンA(コンA)に依存する。コンカナバリンAは植物由来レクチンである。
【0070】
コンカナバリンAは、アッセイ条件下で長期間安定ではない(英国特許出願0426823.1の優先権を主張する同時出願を参照)。
【0071】
また、コンカナバリンAは毒性があり、潜在的に免疫原生である(しかし、これは、グルコースアッセイにおいては、人体内で安全であると考えられる少量で使用されている)。
【0072】
前記我々の継続中の出願は、コンAに伴う欠点を有さないグルコース結合部分を見い出す必要があるという認識に基づいている。代わりのグルコース結合部分の使用は研究され、驚くべきことに、動物レクチン、特にヒトレクチンが、グルコース結合部分として使用することができることが見い出されている。
【0073】
したがって、コンAなどの植物レクチンの使用を排除するものではないが、レクチンは動物レクチンが好ましい。
【0074】
レクチンは、C型(カルシウム依存性)レクチンが好ましい。
【0075】
動物レクチンは、脊椎動物のレクチン、たとえば、哺乳類のレクチンが好ましく、より好ましくはヒトまたはヒト化レクチンである。しかし、代わりに、トリレクチン、ウオレクチンまたは昆虫レクチンなどの無脊椎動物レクチンを使用してもよい。
【0076】
レクチンは人体由来のヒトレクチンが適切である。代わりに、レクチンは組換え製造されたレクチンであってもよい。
【0077】
さらなる代替例として、レクチンは、ヒト化動物レクチン、たとえば、ヒト化ウシレクチンであってもよい。これは、対応するヒトレクチンがあるところに適用される。レクチンは、抗体に類似の方法でヒト化してもよい。
【0078】
レクチンは多量体形態であるのが適切である。多量体レクチンは、人体または動物体由来であってもよい。あるいは、レクチンは、単量体形態であってもよい。単量体レクチンは、組換え方法によって、または人体もしくは動物体由来の天然多量体レクチンにおけるサブユニット間の結合を破壊させることによって形成してもよい。この例は米国特許第6232130号に記載されている。
【0079】
レクチンは3個以上のCRDを有するのが好ましい。レクチンは6、9、12、15個またはそれ以上のCRDを有するのがさらに好ましい。
【0080】
レクチンはコレクチン(コラーゲン様レクチン)であるのが好ましい。これらは、コラーゲン様配列(Gly−Xaa−Yaaトリプレット)を持つC−型動物レクチンである。MBLはC−型コレクチンであり、一方でコンカナバリンAはC−型レクチンである。単量体コレクチンCRDは、コラゲナーゼの作用によって生成することができる。
【0081】
レクチンは、マンノース結合レクチン、コングルチニンまたはコレクチン−43(たとえば、ウシCL−43)(全血清コレクチン)または肺界面活性タンパク質(肺コレクチン)が好ましい。
【0082】
マンノース結合レクチン(マンナン結合レクチンまたはマンナン結合タンパク質、MBL、MBPとも言う)、たとえば、ヒトMBLは、特に興味のあることがわかる。MBLは、それぞれが3個の同一のポリペプチドで構成される、「花束状」配置において数個(1〜6個の分布が起こりやすい(SDS−PAGE)が、普通、3〜4個(MALDI−MS))のサブユニットを含むコラーゲン様防衛分子である。各サブユニットの分子量は、約75kDaであり、場合によっては、1個以上のMBL関連セリンプロテアーゼ(MASP)で複合化されている可能性がある。各ポリペプチドはCRDを含む。したがって、各サブユニットは、3個の糖質結合部位を提供する。三量体MBLおよび四量体MBL(これらは、ヒト血清中に存在する主要な形態である。Teilletら, Journal of Immunology, 2005,第2870〜2877頁)は、それぞれ、9個および12個の糖質結合部位を提供する。
【0083】
MBLは、バクテリアの表面を被覆するマンノース部分を結合する、先天性免疫系の一部として体内で自然に発生する。ヒトMBLは毒性がなく、ヒトに対して非免疫原生である。他の種のMBLは、免疫原生であるがヒトに対して毒性はないと予測される。
【0084】
ヒトMB−Lは、人体由来の形態でも組換え製造された形態でも市販されている。これは感染症にかかりやすくなっていると考えられるMBL欠損患者の治療における代償療法として使用される。
【0085】
レクチンは、実質的に三量体および/または四量体形態であるMBLが適切である。先に説明したように、三量体MBLおよび四量体MBLは、ヒト血清において、主要な自然発生的な多量体形態であると考えられる。
【0086】
あるいは、レクチンは、SP−AおよびSP−Dから選択される肺界面活性タンパク質であってもよい。これらのタンパク質は、MBLに類似する。これらは、先天性宿主防衛機能においてカルシウム依存性糖質結合タンパク質として作用する水溶性コレクチンである。SP−Dは脂質にも結合する。SP−Aは、MBLの構造に類似する「花束状」構造を持つ(Kilpatrick DC (2000) Handbook of Animal Lectins,第37頁)。SP−Dは、「X」の各端部にCRDを有する四量体「X」構造を持つ。
【0087】
他の適切な動物レクチンを、以下のリストに挙げる。
・PC−レクチン(米国特許公開公報第20030216300号、米国特許公開公報第20040265898)
・CTL−I(米国特許第179528/10号)
・ケラチノサイト膜レクチン(Parfuemerie und Kosmetik74, 164-80)
・CD94(Eur J Immunol 25, 2433-7)
・P35(同義語:ヒトL−フィコリン、レクチンのグループ)(Immunol Lett 67,109-12)
・ERGIC−53(同義語:MR60)(MoI Biol Cell,7, 483-93)
・HIP/PAP(Eur J Biochem267, 1665-71)
・CLECSF8(Eur J Immunol 34,210-20)
・DCL(レクチンのグループ)(米国特許出願第00231996/US号)
・GLUTファミリータンパク質、特に、GLUT1、GLUT4およびGLUT11(PNAS97,1125−30)
【0088】
さらに、適切な動物レクチンは、「Handbook of Animal Lectins: Properties and Biomedical Applications」, David C. Kilpatrick, Wiley 2000の付属書A、BおよびCに記載されている。
【0089】
先に検討したように、異なる被検体結合剤を、異なるアッセイ変性体において使用してもよい。
【0090】
Teilletら(J.Immunol., 2005,第2870−2877頁)は、三量体(9個のCRD)MBLが、糖質に対して、四量体(12個のCRD)MBLより低い強さで結合することを実証している。異なるレクチンを用いるアッセイを使用して、またはここでのケースとして、異なるMBL多量体を、感度を変えるために使用することもできる。
【0091】
したがって、異なる変性体を、異なるレクチン被検体結合剤を持つことによって、識別してもよい。異なるレクチン被検体結合剤は、異なるMBL種、たとえば、CRDの数が異なるMBL種(たとえば、先に記載したような9個のCRDおよび12個のCRD)が好ましい。
【0092】
被検体結合剤は、先に検討したように、標識化されているのが好ましい。
【0093】
被検体類縁体
被検体類縁体はグルコース類縁体が好ましい。
【0094】
被検体類縁体は、被検体結合剤の結合部位に結合する糖質被検体類縁体部分または糖質様被検体類縁体部分を複数含むのが好ましい。用語「糖質」は、糖類を含む。
【0095】
適切な糖質様部分は、N−アセチルグルコサミンを擬態するケラチンペプチド(SFGSGFGGGY)などのペプチドを含む。ケラチンペプチドはMBLを抑制することができることが示されている(Mantactoら,2001 J.Immunol.166, 4148-4153)。
【0096】
糖質被検体類縁体部分は、単糖類またはオリゴ糖(オリゴマー)が適切である。被検体類縁体それ自身がオリゴ糖(以下参照)であってもよい。
【0097】
適切な単糖類は、場合によっては誘導体化された、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトースまたは高級相同性アルドースまたはケトース、たとえば、場合によっては誘導体化されたD−グルコース、D−マンノース、N−アセチル−D−グルコサミン、L−フコース、D−フルクトース、D−タガトースまたはD−ソルビトールがある。
【0098】
適切なオリゴマーは、たとえば2〜50糖質単位を含む直鎖または分岐ホモオリゴマーまたは混合オリゴマーである。
【0099】
好ましいグリコシル化は、1→3および1→4グリコシル化が、MBL結合を妨害することが予測されるので、1→6または1→2である。たとえば、ノナ(1→6)−α−グルコース(デキストラン1500Da)は、MBLに対して、1,3−β−D−グルコース(たとえばラミナナリヘキサオース)より高い親和力を持つことが予測される。適切なオリゴ糖として、パンノース、マルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、D−ロイコロース、エルロース、D−パラチノース、D−ツラノースまたは1〜250kDaデキストラン(好ましくは1〜40kDaデキストラン、たとえば、1kda、1.5kDa、5kDa、6kDa、10kDa、12kDa、20kDa、25kDaまたは40kDaデキストラン)が挙げられる。
【0100】
アッセイ変性体の被検体類縁体部分は、D−フルクトース、D−ロイコロース、N−アセチル−グルコサミン、D−マンノース、L−フコース、N−アセチル−マンノサミン、D−アラビノース、ミオイノシトール、D−タガトース、エルロース、D−グルコース、D−パラチノース、D−ツラノース、D−リボース、D−ソルビトールから選択されるのが好ましい。
【0101】
合成分岐糖類の例として、デンドリマー(たとえば、以下に示す、アミンリンカーを持つTRIS誘導三糖類)を構成するために使用されるデンドリマー「ウェッジ」がある。そのような「ウェッジ」は、HSA(ヒト血清アルブミン)などのタンパク質上に、たとえば二官能性アミンリンカーを介して、接合することができる。
【化1】

【0102】
MBLに対し一般的な糖質部分の親和性は、D−マンノース、N−アセチル−D−マンノサミン、D−フルクトース、D−ロイコロース、エルロース、N−アセチル−D−グルコサミン、L−フコース>ミオイノシトール、D−グルコース、D−アラビノース、D−パラチノース、D−ツラノース、D−ソルビトール、D−リボース、D−タガトース>D−リキソース>ラクトース、L−アラビノース、D−ガラクトースであることが本発明者らによって見い出されている。
【0103】
このリストの変性体アッセイを使用することにより、被検体類縁体が被検体結合剤に対して異なる親和性の被検体類縁体部分を含む中で選択することができることは、当業者であれば理解するであろう。たとえば、マンノース被検体類縁体部分を持つ被検体類縁体は、被検体結合剤としてのMBLに対し、同じ数のグルコース被検体類縁体部分を持つ被検体類縁体より高い親和力を持つ。したがって、被検体類縁体を含むマンノースは、MBLから置き換えられ得るグルコース被検体をより多く必要とし、このアッセイは、被検体類縁体を含むグルコースを使用するアッセイより高いグルコース濃度で最適感度を持つ。
【0104】
また、被検体類縁体部分の1以上のタイプを含む被検体類縁体を生成することができることも当業者は理解するであろう。これは、最適グルコース感度範囲でより優れた制御を可能にする。
【0105】
少なくとも1種のアッセイ変性体の被検体類縁体部分は、MBLおよび他の動物レクチンに対して高い親和性を持つので、少なくとも1のグルコース部分および/または少なくとも1のN−アセチルグルコサミン部分および/または少なくとも1のマンノース部分を含むのが好ましい。少なくとも1種のアッセイ変性体の被検体類縁体部分がD−グルコースであるのがより好ましい。
【0106】
被検体類縁体は高分子を含むのが好ましい。
【0107】
該高分子は、天然ポリマーであるのが好ましい。より好ましくは、高分子は直鎖状である。
【0108】
被検体類縁体に関して、3つの異なるタイプの構造が特に興味深い。
【0109】
第一に、被検体類縁体は、高分子がタンパク質またはデンドリマーであるように、糖質−タンパク質複合体または糖質−デンドリマー複合体であってもよい。これらのどちらかで、糖質様部分を、被検体類縁体部分として糖質部分の代わりにあるいはともに使用してもよい。
【0110】
該複合体における使用に好ましいタンパク質は、分子量が少なくとも10kDa、好ましくは少なくとも20kDaのヒトタンパク質である。タンパク質は三次構造全体において非球状であることが好ましい。これは、複数の結合部位で結合を助け、高い親和力をもたらすと考えられる。ハーセプチンおよびRemicade(商標)などのモノクローナル抗体(非球状「Y」型全体三次構造を持つ球状ドメインを数箇所有する免疫グロブリン)が適切である。他の代わりの適切なタンパク質は、ヒトチロンビン、ヒトラクトフェリンおよび第8因子である。
【0111】
糖質−タンパク質複合体の別の例として、タンパク質は、レクチン由来タンパク質、たとえば、CRDが除去されたレクチンであってもよい。
【0112】
好適には、複合体は糖質−アルブミン複合体であってもよい。たとえば、複合体は、マンノース−HSA複合体またはマンノース−BSA(ウシ血清アルブミン)複合体であってもよい。しかし、このタイプの複合体は、先に記載したように、MBLへの結合がカルシウム濃度に依存することがわかっているので、好ましくない。生理的カルシウム濃度で、20個のマンノース残基を持つ70kDaマンノース−HSA複合体は、MBLへの結合が見られなかった。カルシウム濃度に対する依存性は、マンノシル化が増えるにつれ減少する。
【0113】
当業者であれば、このタイプの複合体への合成経路に関しては承知しているであろう。例として、N−イソチオシアナト−4−アミノフェニル−O−α−D−マンノピラノシド(Man−ITC)をHSA上に接合することができる。
【0114】
好ましい実施形態では、各競合結合アッセイ変性体において、高分子はHSAであり、被検体類縁体部分はグルコースまたはマンノースであり、競合結合アッセイの各変性体は、異なる数のグルコース部分またはマンノース部分を含むHSA−グルコースまたはマンノース複合体を含む。この実施形態では、被検体結合剤がMBLであるのが適切である。
【0115】
本発明で好ましく使用されるデンドリマーは、アミン官能化、カルボン酸官能化またはヒドロキシル官能化された表面を持つ。デンドリマーとしては、ポリアミドアミン(PAMAM)またはポリプロピレンイミン(DAB)型のデンドリマーが好ましい。分子量は60kDa未満、たとえば、約2〜10kDaが好ましい。そのようなデンドリマーは、腎臓によってクリアーにされ得る(Kobayashiら, 2004, J. Mag. Reson. Imaging 20 (3) 512-518)。
【0116】
第二に、被検体類縁体は、糖質部分および/または糖質様部分(本明細書で使用される用語「多糖類」は両方を含む)の、場合によって誘導体化されていてもよいポリマーである。デキストラン(グルコースポリマー、ポリ(1→6)−α−グルコース)はMBLおよび類似のレクチンに強く結合する。発明者らは、これは、多数のグルコース残基(70kDaデキストラン中約430個の残基)およびデキストランの柔軟性の結果であると考える。したがって、MBLからデキストランを置き換えるのに必要なグルコースの濃度は高い。
【0117】
デキストランおよびMBLに基づくグルコースアッセイ変性体は、約30mMのグルコース濃度を最適に測定することができる。これは、血液中の通常の5mMのグルコース濃度よりかなり高い。そのようなアッセイ変性体は、全位相応答の約1/3だけの感度で、0〜10mMのグルコース濃度を測定することができる。
【0118】
したがって、本発明者らは、全位相応答の1/3を超える感度が0〜10mMグルコース範囲で使用可能になるように、MBLおよび類似のレクチンを結合する強さがより小さな代わりの被検体類縁体を探した。
【0119】
発明者らは、過ヨウ素酸塩でデキストランを処理する(これは、グルコースピラノース環の2位および3位、または3位および4位の炭素間を酸化的に開裂し、ジアルデヒドを形成する)ことによって、MBLおよび類似のレクチンに対するデキストランの親和力を減少させるために使用することができることを見い出した。これは、MBLが先に説明したグルコースの3位および4位のエカトリアル水酸基に結合するためであると思われる。3位および4位の水酸基は、他の方法で不活性化することができる(たとえば、酸化、還元、アルキル化、置換、グリコシル化またはエステル化によって)。
【0120】
非常に驚いたことに、本発明者らは、過ヨウ素酸塩処理デキストラン−MBL結合が生理的カルシウム濃度によって阻止されないことを見い出した。これは、先に検討した、マンノース−HSA複合体MBL結合とは対照的である。特にデキストランのグルコース部分が、MBLに対して、マンノース部分より低い親和性を持つので、過ヨウ素酸塩処理デキストランMBL結合は、生理的カルシウム濃度によって阻止されることが予測されていた。
【0121】
理論的には、グルコース1単位当たり過ヨウ素酸塩の2当量が消費される(1個/ジオール)。しかし、1〜100当量の過ヨウ素酸塩が70kDaデキストランに適切であることが見い出された。
【0122】
アンモニアまたはアミンによるジアルデヒドの処理、続いて還元(たとえば、ナトリウムシアノボロハイドライドを使用して)を使用し、アミノ化デキストランを得ることができる。ジアルデヒドをアミノ化し、次いで場合によっては接触水素添加を行い、遊離アミンを得る方法も使用することができる。ベンジルアミンはこの点で有用なアミンである。分光光度法を用いて過ヨウ素酸塩の開裂の程度を評価するために、ベンジルアミン由来アミノ化デキストランを使用することができる。ベンジル基が接触水素化によって除去される場合は、エネルギー供与体部分またはエネルギー受容体部分が、残っているアミンにカップリングし得る。
【0123】
あるいは、先に検討したように、あるいは、MBLおよび類似のレクチンに対して、異なる親和性の異なる糖質被検体類縁体部分または糖質様被検体類縁体部分を有する多糖類系被検体類縁体を合成することができる。コンカナバリンA FRETアッセイにおける、グルコース検出範囲を調整するマンノース部分を持つデキストランの誘導体化は、Ballerstadtら,Diabetes Technology & Therapeutics,第6巻, no. 2, 2004に開示されている。
【0124】
ガラクトースは、非常に低い親和性でMBLに結合する。したがって、ガラクトース部分(たとえば、ガラクトース誘導体化デキストラン)を含む被検体類縁体は、非誘導体化被検体類縁体より低い親和力を持つ。
【0125】
N−アセチル−グルコサミンは、MBLに対し高い親和性を持つ。したがって、N−アセチル−グルコサミン部分(たとえば、GlcNAc誘導体化アミロース)を含む被検体類縁体は、MBLに対し、非誘導体化被検体類縁体より高い親和力を持つ。
【0126】
この実施形態において、被検体類縁体は、場合によっては誘導体化されているデキストラン、マンナン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、ヒアルロナート、コンドロイチン、ヘパリン、デキストリン、イヌリン、キシラン、フルクタンおよびキチンから選択されるのが好ましい。ガラクトースはMBLに対して非常に低い親和性を有するので、アガロースなどのガラクトースの非誘導体化ポリマーは、被検体類縁体として好ましくない。
【0127】
当業者は、多糖類を糖質部分で誘導体化できる方法を承知しているであろう。例示として、アミン官能化多糖類(たとえば、CarboMer, San Diego, California, USA, Cat. No.5-00060またはMolecular Probes, Eugene, Oregon, USA, Cat No. D1862から市販されているアミノデキストラン)または先に挙げたアミノ化デキストランは、好都合にも誘導体化されてよい。あるいは、多糖類中のアルコール基および糖質部分または糖質様部分中のアミン基を、ジビニルスルホンを使用してリンクしてもよい。デキストランの誘導体化方法は、欧州特許第594772号に開示されている。
【0128】
多糖類の誘導体化に関する適切な糖質被検体類縁体部分の例として、前記糖質−タンパク質複合体および糖質−デンドリマー複合体に関して記載したものがある。
【0129】
好ましい実施形態では、被検体はグルコースであり、競合結合アッセイの各変性体において、高分子および被検体類縁体部分は一緒になって、誘導体化デキストランを形成し、競合結合アッセイの各変性体は、デキストランに導入される被検体類縁体部分の数が異なるように誘導体化されているデキストランを含む。この実施形態では、被検体結合剤がMBLであるのが適切である。
【0130】
特に好ましい実施形態では、各場合における誘導体化デキストランは、場合によっては過ヨウ素酸塩で処理されたデキストランである。
【0131】
第三には、被検体類縁体は合成ポリマーであってもよい。
【0132】
タンパク質または多糖類の誘導体化よりも人工的なポリマーの合成の方が、ポリマーのパラメーター(たとえば、分子の柔軟性、水溶性、分子量、糖質部分または糖質様部分の性質、糖質部分または糖質様部分の数、近接度に基づいた信号発生/変調部分の数)を簡単に制御し、アッセイ性能を改良し、適切なアッセイ変性体を提供するのを可能にする。多糖類と比較して、合成ポリマーは、糖質被検体類縁体部分の数を、ポリマーの長さと独立して制御することができるという利点を持つ。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)などの環を含まないモノマーをポリマー中に使用することで、分子の回転柔軟性をデキストランに比べて増やす。
【0133】
この理論に縛られるつもりはないが、発明者らは、近接度に基づいた信号発生/変調部分が、強い信号を発生させる結合部分に近いことが重要であると考える。球状リガンドは、それらが接近するように、球面上の結合部分および近接度に基づいた信号発生/変調部分を濃縮する。直鎖状のデキストランでは、骨格が結合部分から構成され、その結果、結合を、近接度に基づいた信号発生/変調部分に近づけるか、遠ざけるかを制御することができない。これは、近接度に基づいた信号発生/変調部分に近い結合部分を配置することによって、合成ポリマーにおいて制御することができる。
【0134】
この実施形態では、被検体類縁体は、ペンダント糖質被検体類縁体部分または糖質様被検体類縁体部分を有する、非糖類の柔軟な水溶性ポリマーが好ましい。
【0135】
用語「柔軟性のある」は、大きく単量体間回転し得るポリマーを含む。ポリマーは、ペンダント糖質被検体類縁体部分や糖質様被検体類縁体部分および近接度に基づいた信号発生/変調部分(以下で検討する)以外は、嵩高い基(たとえば、環構造、t−ブチル基または他の立体的に大きな基)は含まないのが好ましい。そのようなポリマーは、骨格構造中の二重結合が非常に少ない(たとえば、10%未満)ことが好ましい。そのようなポリマーは、球状三級構造を持たないのが適切であるが、そのような構造を持っていてもよい。
【0136】
ポリマーは、非分岐状であるのが好ましい(先に検討したデンドリマーとは違い)。これによりポリマーの柔軟性が改良される。しかし、ポリマーは、ある程度分岐してもよく、また架橋してもよいが、ただし、これによってヒドロゲルが形成されないことが条件である。たとえば、全分子量が100kDaのポリマー中で、1〜5個の分岐が許容される。
【0137】
用語「水溶性」は、室温での水溶性が少なくとも4mg/ml、好ましくは少なくとも25mg/ml、より好ましくは少なくとも50mg/ml、たとえば少なくとも100mg/mlのポリマーを含む。溶解度は、体温でより高くなる。以下で検討するように、体内でセンサーを使用する時、ポリマーが組織流に溶解するように、ポリマーは水溶性であることが重要である。ポリマーは、MBLなどの糖質結合分子に結合した時であっても、水溶性であるべきである。
【0138】
ポリマーは、1以上5タイプまでのモノマー単位を含むのが好ましく、より好ましくは3以上のモノマー単位を含む。
【0139】
ポリマーとしては、ペンダント糖質部分または糖質様部分を有する第一モノマー単位残基と、ぶら下がっている、近接度に基づいた信号発生/変調部分を有する第二モノマー単位残基とを含むコポリマーが適切である。あるいは、またはそれに加えて、ペンダント糖質部分または糖質様部分およびぶら下がっている、近接度に基づいた信号発生/変調部分の両方を有する単一のモノマー単位残基を使用してもよい。糖質部分または糖質様部分と近接度に基づいた信号発生/変調部分との量を独立して調整することができるので、第一および第二モノマー単位の使用が好ましい。
【0140】
コポリマーとしては、ランダムコポリマーが好ましい。しかし、交互コポリマーを使用してもよい。大きなブロックを持つブロックコポリマーの使用は好ましくない。
【0141】
しかし、低分子量(たとえば、1〜3kDa)のブロックを持つブロックコポリマーを使用してもよい。
【0142】
糖質結合分子としてMBLを用いるアッセイにおいて使用される場合、ポリマーは、MBLに0mMのグルコースで、アミノデキストランの少なくとも50%の強さで結合するのが好ましく、アミノデキストランと少なくとも同じくらい強く結合するのがより好ましいが、より簡単に抑制される。ポリマーは、0〜35mM、とりわけ2〜15mMのグルコースの範囲で、簡単に抑制されることが特に重要である。これによって、グルコース類縁体としてアミノデキストランを使用する類似のアッセイより敏感な、特定の生理的に関心のあるグルコース濃度にわたるアッセイが提供される。
【0143】
複数のタイプの糖質部分または糖質様部分を有するモノマー単位残基が存在してもよい。糖質部分または糖質様部分は異なってもよく、MBLに対し異なる親和性および類似のレクチンを有してもよい。
【0144】
第一モノマー単位(または単一モノマー単位)は、それぞれ、糖質部分または糖質様部分の二重結合含有誘導体であるのが適切である。しかし、第一モノマー単位(または単一モノマー単位)は、それぞれ、適切には重合後、糖質部分または糖質様部分がリンクし得る官能基を含む、二重結合含有分子であってもよい。
【0145】
糖質部分または糖質様部分の二重結合含有誘導体は、糖質部分または糖質様部分のアリルまたはビニル含有誘導体であるのが好ましい。糖質部分または糖質様部分の他の適切な二重結合含有誘導体として、アリル誘導体の相同体、たとえば、3−ブテニルまたは4−ペンテニル誘導体、または4位に糖質部分または糖質様部分を持つスチレン誘導体が挙げられる。糖質部分または糖質様部分のさらに適切な二重結合含有誘導体として、HEA、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)またはビニルアルコール(VA)系誘導体が挙げられる。
【0146】
糖質部分または糖質様部分は、第一モノマー単位(または単一モノマー単位)のアミン、酸、アルコールおよび/またはスルホン官能基とリンクしてもよい。たとえば、モノマー単位中のアルコール基および糖質部分または糖質様部分中のアミン基は、ジビニルスルホンを使用してリンクしてもよい。糖質がマンノースの場合、これらはMBLへの結合で重要なので、C3−OHまたはC4−OH基を介して結合を形成すべきではない。この場合、ジビニルスルホン結合は不適切である。
【0147】
アミノ誘導体化糖質部分は、二糖類の還元アミノ化によって製造することができる。これは糖質部分をそのアノマー位(C1)でリンクさせる。
【0148】
糖質部分または糖質様部分は、フィッシャーグリコシド化によってアルコール基(たとえば、HEA中)に結合することができる。
【0149】
必ずしも、第一モノマー単位(または単一モノマー単位)が二重結合を含む必要はない。
【0150】
コポリマーにおける使用に適切な糖質の例として、前記糖質−タンパク質複合体に関して検討したものがある。
【0151】
第二モノマー単位(または単一モノマー単位)は、それぞれ、適切には重合後、近接度に基づいた信号発生/変調部分部分がリンクし得る官能基を含む、二重結合含有分子が適切である。適切な官能基として、酸、アルコールおよび/またはスルホンが挙げられる。重合後の結合は、高価なエネルギー供与体部分およびエネルギー受容体部分の損失を最小限にするのを助ける。
【0152】
しかし、第二モノマー単位(あるいは単一モノマー単位)は、近接度に基づいた信号発生/変調部分を含んでもよい。この場合、適切な重合性基および結合の上記の検討が適用される。
【0153】
好ましい実施形態では、第二モノマー単位は、それぞれ、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドまたはその誘導体である。
【0154】
好ましい実施形態では、単一モノマー単位は、それぞれ、リシンの誘導体を含む、二重結合含有糖質部分または糖質様部分である。例を以下に示す(多段反応スキーム):
【化2】

【0155】
この反応スキームにおける出発材料は、PolysSciences Europe (Eppelheim, Germany)を通じて入手可能なメタアクリロイル−L−リシンである。重合後、α−アミン基は、近接度に基づいた信号発生/変調部分にリンクすることができる。
【0156】
ポリマーは、さらに、ペンダント糖質部分、糖質様部分または近接度に基づいた信号発生/変調部分を有さない第三モノマー単位残基を含むのが好ましい。これは柔軟性を増やすのを助ける。
【0157】
柔軟性は、HEAなどの立体障害のない第三モノマー単位を使用することによって増やす。また、柔軟性は、帯電していない第三モノマー単位を使用することによっても増やす。第三モノマー単位を含まないポリマーは、正に帯電したアンモニウム基を数多く持ち、これは、静電反発力によって柔軟性が減少するのを最小限にするため、不活性化する必要があり得る。
【0158】
複数のタイプの第三モノマーをポリマーに含ませることができる。
【0159】
第三モノマー単位は、それぞれ、たとえば水酸基などの親水性基を含む二重結合含有分子であるのが好ましい。第三モノマー単位として、スチレンなどの親油性二重結合含有分子であるのは好ましくない。
【0160】
好ましい実施形態では、第三モノマー単位は、それぞれ、HEA、ビニルピロリドン、MMA、HEMA、ビニルアルコールおよび/またはエチレングリコールである。しかし、当業者であれば、使用することのできる親水性基を含む他の多くの二重結合含有分子があることを理解するであろう。
【0161】
モノマー単位は付加重合によって反応するのが適切である。付加重合は、たとえば、過硫酸カリウム(PPS)または他の過酸化化合物を使用する、遊離基開始重合であってもよい。
【0162】
他の可能な重合として、縮合重合(たとえば、イオン縮合重合)、開環重合および原子移動ラジカル重合(ATRP)が挙げられる。当業者であれば、モノマー単位に性質が、重合の所望の方法に依存する(たとえば、二重結合含有モノマー単位は、縮合重合の必要はない)ことを理解するであろう。
【0163】
モノマー単位は開始剤を添加する前に混合するのが適切である。
【0164】
重合反応は2日未満かかるのが好ましい。重合の長さは、コポリマー生成物の分子量を制御するために使用することができる。
【0165】
重合反応は、酸素のない条件下で行われるのが適切である。
【0166】
重合反応は室温で行うのが適切である。
【0167】
単一モノマー単位を使用しない場合、第一モノマー単位は、20〜70重量%の量で反応混合物中に存在するのが好ましく、より好ましくは、30〜50重量%である。
【0168】
第三モノマー単位を使用する場合、それらは、5〜15重量%の量で反応混合物中に存在するのが好ましい。
【0169】
ポリマーの組成は、反応混合物中に存在するモノマー単位の量を正確に反映しないことは理解されるであろう。これは、他の要因(たとえば、立体障害および溶解性)の影響があるためである。
【0170】
好ましい実施形態では、被検体はグルコースであり、競合結合アッセイの各変性体において、上記したように、高分子および被検体類縁体部分は、一緒になって、ポリマーを形成し、異なるアッセイ変性体は、ポリマー中の被検体類縁体部分の数または性質によって識別される。好ましいポリマーとして、マンノースを有するポリマー、たとえば、第二モノマー単位(異なる量の異なる変性体のポリマー用のアリル−α−D−マンノピラノシドを持つ)として、アリル−α−D−マンノピラノシドから生成されるものが挙げられる。この実施形態では、被検体結合剤はMBLが好ましい。
【0171】
また、被検体類縁体は、2以上の分離した実体(これらは一緒に被検体類縁体として作用する)から構成されてもよいことも留意すべきである。特に、被検体類縁体は、少なくとも2個の被検体類縁体部分を持つ第一実体と、レクチンなどの被検体結合剤である第二実体とで構成されていてもよい。たとえば、受容体標識化されたMBLおよび供与体標識化されたMBLを、標識化されていないデキストランまたは標識化されていない合成ポリマーとともにテンプレートとして使用し、FRETが起こるように、互いの接近性において供与体標識化されたMBLおよび受容体標識化されたMBLをもたらすことができる。(コンAを使用する例が、Gestwickiら(2002) Chemistry and Biology 9, 第l63頁にある)。
【0172】
好ましくは、被検体類縁体は、先に検討したように、標識化されている。
【0173】
近接度に基づいた信号発生/変調部分は、前記糖質被検体類縁体部分または糖質様被検体類縁体部分に関して、先に検討したように、被検体類縁体に結合してもよい。たとえば、デキストランの標識化は、直接ジビニルスルホンカップリング、またはアミノ化(先に記載したような)、続いてカップリングによって、達成することができる。アミン誘導体化デキストランを被検体類縁体として使用する場合は、架橋は望ましくない析出を起こす可能性があるので、エネルギー供与体またはエネルギー受容体部分の結合の間、架橋を回避するように気をつけなければならない。架橋を最小限にするために、DVSでデキストランを誘導体化する方法は、欧州特許第594772号に開示されている。
【0174】
被検体類縁体は、センサーからの流出を防止できるくらい高く、しかし被検体類縁体が被検体結合剤に結合した時、析出が起こらないくらい低い分子量をもつべきである。被検体類縁体の分子量は、25〜250kDaの範囲が好ましく、より好ましくは40〜250kDa、さらにより好ましくは70〜150kDa、非常に好ましくは100〜120kDa、たとえば、110kDaである。110kDaデキストランに基づく被検体類縁体が特に好ましい。
【0175】
被検体類縁体および被検体結合剤は、場合によっては、一緒に連結している。
【0176】
センサー構成
アッセイの成分は、被検体の拡散は可能にするがアッセイ成分の拡散は可能にしない孔径を有する材料によって保持されているのが好ましい。しかし、この選択性は、他の方法、たとえば、帯電していない材料の拡散を可能にする材料を使用することによっても達成される。
【0177】
センサーの異なるアッセイ変性体は、センサーの分離したコンパートメントに含まれるのが好ましい。コンパートメントは、巨視的でも微視的でもよく、単一測定デバイスによって、同時に問い合わされるように、充分に近くに配置されるのが好ましい。しかし、これは好ましくはないが、アッセイ変性体が、単一コンパートメント内に含まれてもよい。
【0178】
アッセイの成分は、シェルまたはマトリックス材料によって保持されているのが好ましい。被検体類縁体および/または被検体結合剤は、この材料にグラフトしてもよい。材料は、国際公開公報第00/02048号に記載されるように生分解性であるのが依り好ましい。センサーは、場合によっては、国際公開公報第03/006992号に記載の生分解性材料のシェルによって保持された小粒子(たとえば、2以上のタイプの粒子または該アッセイ変性体を含む2以上の質量のマトリックスの混合物)を含んでもよい。
【0179】
好ましい実施形態では、国際公開公報第2005/110207号に記載されるような、グルコースをアッセイ成分に接触させながら、アッセイの成分を、アッセイ成分を封入する生分解性材料のシェルによって保持し、該生分解性材料は、疎水性および親水性単位を有するコポリマーを含む。
【0180】
コポリマーはランダムコポリマーが好ましい。
【0181】
コポリマーの透過性は、少なくとも5.0×10-10cm2/sであるのが好ましい。
【0182】
用語「透過性」は、実験的に測定することができる水和コポリマーによる、被検体(グルコース)の全透過性を言うために使用する。
【0183】
一度体内に移植されると、該コポリマーは1週間から1年の期間、たとえば30日間にわたって分解するのが好ましい。代表的なポリマー厚さである5μmに関して、これは0.17μm/日の分解速度に相当する。
【0184】
グルコースの移動性に関して、生分解性材料の分子量カットオフ限界は、25000Da以下が好ましい。より好ましくは、生分解性材料の分子量カットオフ限界は、10000Da以下である。
【0185】
疎水単位の重量分率は、コポリマーの10〜90%が好ましく、より好ましくは、コポリマーの10〜50%である。
【0186】
各親水性単位の分子量は、200〜10000Daが好ましく、より好ましくは400〜4000Daである。
【0187】
コポリマーの親水性単位は、それぞれ、ポリエチレングリコールと二価の酸とのエステルを含むのが好ましい。ポリエチレングリコールの代わりのものとして、エチレングリコールとプロピレングリコールとの混合ポリマーを使用してもよく、および/またはポリエーテル骨格は、疎水性基および/または親水性基で置換されてもよい。ポリエチレングリコールのさらなる代わりのものとして、ポリテトラヒドロフラン(ポリ−THF)を使用してもよい。
【0188】
親水性単位は、テレフタル酸および/またはコハク酸を二価の酸として含むことが好ましい。他の適切な二価の酸として、シュウ酸、酒石酸、フタル酸、アスパラギン酸、マロン酸、およびオリゴマーまたはポリマーの二価の酸、たとえば、ポリ(ダイマー酸−セバシン酸)がである。好ましい実施形態では、二価の酸はテレフタル酸のみである。代わりの好ましい実施形態において、テレフタル酸のコハク酸に対するモル比は、1:2〜2:1であり、1:1が適切である。
【0189】
あるいは、コポリマーの親水性単位は、オリゴマーを含んでもよい。適切なオリゴマーは、ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、糖質、エチレンオキサイドおよび/または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のオリゴマーである。親水性単位がHEMAを含む場合、生分解性結合(たとえば、テレフタレート結合などのエステル結合)がポリマー内にあり、生分解性が増す。
【0190】
各疎水性単位の分子量は、400〜5000Daが好ましい。
【0191】
コポリマーの疎水性単位は、ブタン−1,4−ジオールと二価の酸とのエステルを含むのが好ましい。ブタン−1,4−ジオールの代わりとして、ペンタン−1,5−ジオールまたはヘキサン−1,6−ジオールを使用してもよい。
【0192】
疎水性単位が、二価の酸としてテレフタル酸および/またはコハク酸を含むことが好ましい。好ましい実施形態では、テレフタル酸のコハク酸に対するモル比は、1:2〜2:であり、1:1が適切である。あるいは、疎水性単位は、二価の酸として、テレフタル酸のみを使用するのがよい。他の適切な二価の酸は先に記載されている。
【0193】
あるいはコポリマーの疎水性単位は、メチルメタアクリレート(MMA)、ポリウレタンおよび/またはアミド(たとえば、ナイロン−6、オリゴ−N−三級ブチルアクリルアミドまたはオリゴ−N−イソプロピルアクリルアミド)のオリゴマーを含み得る。疎水性単位がMMAを含む場合、生分解性結合(たとえば、テレフタレート結合などのエステル結合)は、ポリマー内に提供され、生分解性を増す。
【0194】
好ましいポリマーは、一般式:aPEG(T/S)bPB(T/S)c(式中、「a」は、PEG鎖の分子量を示し、「b」は、得られたポリマー中のPEG(T/S)(ポリエチレングリコールテレフタレート/サクシニレート)の重量分率を示し、「c」は、得られたポリマー中のPB(T/S)(ポリブチレンテレフタレート/サクシニレート)の重量分率を示す)で表される。このようなポリマーの例として、600PEGT80PBT20、1000PEGT80PBT20、2000PEGT80PBT20、4000PEGT80PBT20、1000PEGT50PBT50および1000PEG(T/S)60PB(T/S)40(T/S 50%)がある。ポリマーは、生分解性であり、高グルコース透過性を有し、その分子量カットオフ特性は、約25000Daである。
【0195】
これらのポリマーのいくつかが米国特許第6383220号明細書および欧州特許第1247522号に開示されている。
【0196】
コポリマーの外皮の厚さは1〜50μmであるのが好ましい。
【0197】
第二の態様では、本発明は、本明細書で記載したセンサーを製造する方法に関する。
【0198】
ポリマーマイクロカプセルの製造のための化学的方法として、相分離(コアセルベーション)、溶剤蒸発および/または抽出が挙げられる。
【0199】
ポリマーマイクロカプセルを製造する適切な物理的方法として、噴霧乾燥、スプレー被覆、スプレー冷却、回転円盤式アトマイゼーション、流動床被覆、共押出し(たとえば、固定ノズル共押出し、遠心性ヘッド共押出しまたは水中ノズル共押出し)およびパンコーティングが挙げられる。
【0200】
センサー用途
第三の態様では、本発明は、本明細書で記載したセンサーを使用して、グルコースを検出する方法であって、センサーを哺乳動物の皮膚に移植すること、および外部光学的手段を使用してグルコースを検出または測定することを含む方法に関する。
【0201】
第四の態様では、本発明は、前記センサーを使用してグルコースを検出する方法であって、哺乳動物の皮膚内または下に存在するセンサーの照射による外部光学的手段を使用して、グルコースを検出または測定することを含む方法に関する。
【0202】
該方法は、さらにセンサー中で生分解性材料を分解することを含むのが好ましい。
【0203】
センサーは、注射によって、好ましくはシリンジを用いて、あるいは他の方法で、特に国際公開公報第00/02048号に記載されている任意の方法によって、皮膚内に導入してもよい。センサーは、患者への不快感を最小にするため、狭いゲージ針によって注射するのに適したサイズのものが好ましい。センサーの最高寸法は、20μm〜1mmが好ましい。しかし、大きな最高寸法を持つロッド型のセンサーを使用してもよい。
【0204】
センサーは、真皮の厚さ内あるいは皮下に導入してもよいし、表皮に導入してもよいが、後者の場合、もしかしたら、生分解性材料が分解する前に、表皮層の成長によって皮膚から排出される可能性がある。
【0205】
センサーは皮膚内に配置されるので、センサーにて発生する光信号は、経皮的に(すなわち、皮膚の上位層を通して)検出されるのが好ましく、したがって、センサーと感染をもたらし得る外部環境との間の任意の直接接触を未然に防ぐ必要がある。
【0206】
しかし、代わりに、皮膚を介して光を通すことなくセンサーが外部光学的手段によって照らされるのを可能にする、中空または透明手段(たとえば、針または光ファイバー)を介して検出を行ってもよい。
【0207】
一度センサーが皮膚の位置に置かれると、悪影響を起こすことなく必要な回数だけグルコース測定を行うことができる。もしグルコース測定がより頻繁に行われれば、厳密な制御を、血中のグルコースの濃度において維持することができ、不満足に調整された血糖に関連する状態を発症するリスク、たとえば、網膜疾患、腎臓疾患、神経障害、一般的な小血管および大血管損傷、および循環不良を減少させるであろうから、これは、長期間治療の糖尿病患者に対して特に有利である。
【0208】
本発明のセンサーは、それ自身は、アッセイの読み出しを問い合わせするために必要な光学成分のいかなるもの(これらは体とは別に備えられ、体の外に置かれるのが好ましい)も含まないので、センサーを、患者に対して最小の不快感で注射し得る形態で、簡単に備えることができる。
【0209】
FRETの技術を使用する、アッセイを導入するセンサーには、エネルギー供与体部分の吸収スペクトル内の波長で入射光を供給し、放射された蛍光の強度または励起状態の寿命を測定することによって、問い合わせすることができる。一般的に知られている方法は以下の通りである。
【0210】
1.定常状態の測定
2.タイムドメイン寿命の測定
a.信号光子の計測
b.ストリークカメラ
c.ゲート検出(パルスサンプリング)
d.アップコンバージョン
3.周波数ドメイン寿命の測定
a.位相変調蛍光光度法(ヘテロダイン検出)
b.位相敏感検波法(ホモダイン検出)
【0211】
該原理の更なる説明は、Lakowicz,J.R.「Principles of Fluorescence Spectroscopy,第二編」,1999にある。
【0212】
アッセイを問い合わせするための好ましい方法は、位相変調蛍光光度法である。
【0213】
アッセイを問い合わせするための適切な光学セットアップ(図7)は、エネルギー供与体部分の発光スペクトル内で光を放射する、光放射ダイオード(LED)11で構成される。LEDは、好ましくは45°の範囲で、充分な位相シフトとなる周波数で、LEDを調整する、ドライバ回路13によって動作される。3nsの寿命を持つ蛍光団に関して、好ましい周波数は、50MHzである。LEDにより放射された光は、励起フィルター15によってフィルターをかけられ、ダイクロイックビームスプリッター17によってセンサー16に向けられ、レンズ19によって、注射されたセンサー16上のセンサー/皮膚に集束される。センサーによって放射された蛍光は、レンズ19によって集められる。光はダイクロイックビームスプリッターを通り、発光フィルター21によりフィルターをかけられる。フィルターをかけられた光は、レンズ23によって検出器25、この場合アバランシェフォトダイオード(APD)に集束される。APDは、APDバイアス供給27によって逆バイアスされ、これは、信号処理およびコントロールユニット29によって制御される。APDからの信号は、トランスインピーダンス増幅器31によって増幅され、バンドパスフィルター33によってフィルターをかけられ、第一アナログ−デジタル変換器(ADC)35によってサンプリングされる。対応して、LEDへの変調されたドライブ信号を、第二ADC37によってサンプリングする。第一ADC35上にサンプリングされた信号は、以下である。
1(t)=A1*sin(2*π**t+φf1+φ1
【0214】
1は、アッセイから検出された信号の振幅であり、fは変調周波数であり、φf1は、供与体蛍光団によって導入された位相差であり、φ1は、電子的光学的セットアップによって導入された固定位相差である。
【0215】
第二ADC37上にサンプリングされた信号は以下の通りである。
2(t)=A2*sin(2*π**t+φ2
【0216】
2は、LEDへの変調ドライブ信号の振幅であり、φ2は、電気的セットアップによって導入された固定位相差である。
【0217】
信号処理およびコントロールユニットは、2つのサンプリングされた信号を比較し、電子機器および工学機器によって導入された固定および公知の位相差を相殺することによって、エネルギー供与体部分によって導入された位相差φf1を導き出す。
【0218】
測定は、皮膚に近い蛍光光度計を保持することによって、およびセンサーを有するアラインメントにおいて行う。位相差は、相−被検体−校正関数、たとえば、
被検体濃度=A+Bx/(k+x)
(式中、Aは被検体不在時の相であり、Bは最大応答時の相であり、xは測定相であり、kは、受容体と被検体類縁体との間の解離定数である)を使用することによって、被検体濃度に変換する。
【0219】
代替測定技術は、蛍光強度の測定である。
【0220】
この場合、光学的手段は、エネルギー供与体部分の吸収スペクトル内での波長で入射光の第一ビームを、好ましくは、エネルギー受容体部分の吸収スペクトル内での波長で入射光の第二ビームを(これはエネルギー受容体部分も蛍光団であることに適用される)供給する必要がある。さらに、光学的手段は、好ましくは、センサー内で発生する光信号を、2つの異なる波長、すなわち、エネルギー供与体部分の発光スペクトル内で波長1(被検体の測定に関して発生する信号)およびエネルギー受容体部分(被検体信号、内部参照またはキャリブレーション信号であり得る)の発光スペクトル内では波長2で、測定することができる必要がある。
【0221】
蛍光光度計は、以下のパラメーターを別々に測定する。
【0222】
波長1(エネルギー供与体部分)で
励起光強度、I(1,0)
周囲の光強度、I(1,1)
組合わせた蛍光の強度および周囲の光、I(1,2)
波長2(エネルギー受容体部分)で
励起光強度、I(2,0)
周囲の光強度、I(2,1)
組合わせた蛍光の強度および周囲の光、I(2,2)
【0223】
再び、測定を、皮膚に近い蛍光光度計を保持することによって、およびセンサーを有するアラインメントにおいて行う。センサー内に発生した蛍光信号の経皮的測定を行う時は、皮膚による信号の吸収を考慮することが必要である。ヒト皮膚の吸収率は、実験によって、400nm〜900nmの範囲内で、最も低いことがわかっている。得られる最終出力は、2つの蛍光団からの蛍光強度の間の標準化された比であり、以下の関係(式1)によって規定される。
【0224】
最終出力=(I(1,2)−I(1,1))*I(2,0)/(I(2,2)−I(2,1))*I(1,0)
(1)
【0225】
前記式1によって与えられる、光学的手段(たとえば、蛍光光度計)からの最終出力は、好ましくは国際公開公報第00/02048号に規定されている原理に基づいて得ることができる、校正ダータを使用するコンピュータによって、被検体濃度に変換する。
【0226】
本発明を、実施例および図面を用いてさらに説明する。
【0227】
一般
以下の材料を使用した。
p−アミノフェニル−α−D−マンノピラノシルイソチオシアネート、ウシ血清アルブミン−α−D−マンノピラノシルイソチオシアネート(23当量、マンノース/BSA)、ヒト血清アルブミン、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、ビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミド、o−フェニレンジヒドロクロリド、ベンジルアミン、アンモニア、ナトリウムシアノボロハイドライド(NaBH3CN)(Sigma-Aldrich); Nunc F96 MaxiSorpプレート(Nunc, Denmark);PD−10カラム、ストレプトアビジン−HRP(Amersham Bioscience);デキストラン (Pharmacosmos,Denmark);マンナン結合レクチン(数箇所の供給源から入手し得る)透析チューブSpectra/Por (Spectrum Laboratories社, California, USA)、アリルα−D−グルコピラノシド、アリル2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(Glycon Biochemicals, Germany)、アリルα−D−ガラクトピラノシド(Sigma-Aldrich)
【0228】
他の記載がない限り、PBSは、20mMリン酸塩、150mMのNaCl、pH7.4であり、TBSは、20mMのTRIS、150mMのNaCl、1,25mMのCaCl2、pH7.4である。
【0229】
省略語:MBL、マンナン結合レクチン;PBS、リン酸緩衝食塩水;TBS、TRIS緩衝食塩水;ELLA、酵素結合レクチンアッセイ
【0230】
ビオチン化MBLの生成
DMSO中のビオチン−NHS(20μL,7mgmL-1、約10〜15モル当量/MBLモノマー)をMBL(0.530mg)のPBS(3mL)の溶液に加えた。溶液を2時間、緩やかに撹拌し、次いで、透析チューブ(MWCO、10〜12k)に移し、24時間にわたって、TBS(2×1L)に対して透析した。得られたビオチン化MBL(TBS中0.2mgmL-1)を、さらに精製することなく使用した。
【0231】
MBL ELLAアッセイ
ここで使用したTBS緩衝液は、TRIS(20mM)、NaCl(150mM)、CaCl2(20mM)、pH7.4であった。
【0232】
TBS中に抗原(HSA−マンノース、アミノデキストランなど)(100μL,20μgmL-1)をそれぞれ含む2つのカラムを用いて、96−ウェルマイクロプレートを、5℃、一晩で被覆した。次いで、残った結合部位を、TBS(150μL)中の1%(w/v)HSAを添加してブロックした。ビオチン化MBL(2μgmL-1)中のグルコース(100mM〜0mM)の希釈液を合計容量100μLになるように加えた。2時間培養した後、プレートを空にし、洗浄(2×200μLのTBS)した。次いで、ウェルを洗浄(2×200μLTBS)した。TBS中のストレプトアビジン−HRP0.1%(v/v)(100μL)を加えた。1時間培養した後、プレートを空にし、洗浄(3×200μlのTBS)した。基質溶液(1mgのo−フェニレンジヒドロクロリド)の添加によってHRPの存在を可視化し、2分後、1NのH2SO4で急冷した。630nmでバックグラウンド差し引きし、490nmでの吸光度を読むことによって、発色を決定した。
【実施例1】
【0233】
マンノシル化HSA
【0234】
4個の複合体を、以下の方法で生成した。4個の2mLのエッペンドルフバイアルのそれぞれに、20mMのカーボネート緩衝液(0.4mL,pH9.2)を溶解したHSA(10mg)を加えた。
【0235】
p−アミノフェニル−α−D−マンノピラノシルイソチオシアネート(Man−ITC,1.6mL)を15倍、30倍、60倍および120倍モル過剰で加え、4種類の溶液を調製した。
【0236】
Man−ITC(11.9mg)を、DMSO(0.1mL)および20mMのカーボネート緩衝液pH9.2(3.9mL)に溶解した。この溶液のアリコート(1.6mL)(120倍モル過剰に相当)を、HSA(0.4mL)を含むエッペンドルフバイアルに加えた。Man−ITC溶液の残りを希釈して2倍容量とし、希釈された容量から、アリコート(1.6mL)を他のエッペンドルフバイアルに加えた。この手順を、4種の異なるHSA:Man−ITC混合物を調製するまで繰り返した。4種の反応混合物をシェーカー中で、一晩室温で培養した。
【0237】
得られた複合糖質は、PD−10で精製した。精製の間に緩衝液をTBSに変更した。
【0238】
結合度をMALDI−TOF−MSを使用して測定した。
【表1】

【0239】
表1:MALDI−TOF−MSを使用する結合度の測定。ピーク幅評価を半値幅付近で測定した。マンノース単位の数を、以下の式:(MS中のピーク−66500)/313を使用して決定した。
【0240】
競合結合アッセイを使用した場合、異なる複合糖質はMBLに関して異なる親和力を持つことが見い出され、したがって、異なる範囲のグルコース濃度の存在下で競合的に結合した。前記MBL ELLAアッセイを、グルコース抑制に関し、動的領域へのマンノシル化度の効果を測定するために使用した。結果を図1に示す。
【0241】
図1において用量応答曲線が特定の複合糖質に関して直線状であるグルコース濃度範囲は、その複合糖質を含む競合結合アッセイ変性体が正確にグルコースを検出するグルコース濃度範囲に相当する。図1から、本発明のセンサー内での3個の複合糖質、3個の競合アッセイ変性体中のHSA−Man15、HSA−Man30およびHSA−Man60の使用は、0〜50mMのグルコース範囲でのグルコース濃度の正確な測定を可能にし得る。
【実施例2】
【0242】
ELLAアッセイでの使用のための過ヨウ素酸塩酸化デキストラン
過ヨウ素酸塩−酸化デキストランの生成
【0243】
デキストラン70k(200mg,2.86mmol)を水(2.8mL)に加え、水(2.8mL)中のNaIO4(100mM,100×モル過剰)に加えた。混合物を暗所で室温1時間撹拌した。得られた混合物を透析チューブ(MWCO10〜12k)に移し、5Lの水に対して一晩透析した。
【0244】
透析後、容量を8mLに調整した。過ヨウ素酸塩−酸化デキストランを、2個のアリコート(4mL,各100mg)に分け、それぞれ、28%アンモニウム水溶液(200μL)およびベンジルアミン(300μL)で30分処理した。次いで、NaBH3CN(45mg)を用いて、室温、pH約10で一晩イミンおよびイミニウム誘導体を還元した。翌日、反応混合物を1Lの20mMTRISに対して2回透析した。
【0245】
アミンの過ヨウ素酸塩−酸化デキストランへの導入度を、元素分析を使用して測定した。
【0246】
MBL ELLAアッセイ
1.25mMのCaCl2(生理的Ca濃度)を含むTRIS緩衝液を除いて、前記アッセイを使用した。
【0247】
アミノデキストラン、10倍モル過剰の過ヨウ素酸塩の存在下で酸化され、ベンジルアミンを使用して還元的にアミノ化されたデキストランと、100倍モル過剰の過ヨウ素酸塩の存在下に酸化され、ベンジルアミンを使用して還元的にアミノ化されたデキストランを比較した、ELLAアッセイの結果を図2に示す。
【0248】
図2の検討から、グルコース濃度を正確に測定できる範囲は、それぞれ、3個のアミノデキストランの1つを含む、3つの競合結合アッセイを組合わせて使用した場合、0〜35mMのグルコースであることがわかる。アミノデキストランのMBLへの結合は、本質的にCa2+−非依存性であり、したがってこれらのアッセイは、生理的Ca2+濃度で使用し得ることがわかる。
【実施例3】
【0249】
ELLAアッセイでの使用のための合成ポリマー
アリルα−D−マンノピラノシド
基本的に、Pekariら,(2004) J.Org. Chem,66(22), 7432-7442に記載のように行った。D−マンノース(12.1g,67mmol)を、乾燥アリルアルコール(140ml)中でBF3−OEt2(0.58ml)の存在下、一晩還流した。翌日、反応混合物を、Et3N(1.8ml)で中和し、溶剤を蒸発させた。乾燥カラムバキュームクロマトグラフィー(id:6cm;100mlの分画;DCM中0〜45%MeOH−11分画。5%の増加+100%)によって、生成物9.38g(63%)を無色シロップとして得た。
【0250】
TLC(DCM−MeOH,9:1)Rf0.3;1H−NMR(300MHz,128scans,4mg in700μl D2O)δ3.27(s,2H,allyl),3.52−4.21(m,6H),4.84(bs,1H,αH),5.16−5.34(m,2H,allyl),5.82−5.98(m,1H,allyl)
【0251】
共重合
以下の実施例で、マンノース50%コポリマーをどのように生成したかを示す。他の全てのコポリマーの調製に関しては、表2および3を参照のこと。アリルサッカライド(AS)およびN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(NAMH)の原液(100mg/ml)を、PBS(50mM,pH7.4)中で生成した。
【0252】
過硫酸カリウム(PPS)(150mg)を、スクリューキャッププラスチックチューブ中で、PBS緩衝液(50mM,pH7.4;7.8ml)に溶解した。この溶液に、アリルα−D−マンノピラノシド(アリルサッカライド;AS)(2.20ml;220mg)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(110μl)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(NAMH)(89μl)およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(100μl)を、この順番で加えた。混合物を窒素で5分間パージし、溶解酸素を除去した。旋回シェーカー中、室温で一晩重合を行った。反応混合物をろ過し、メタノール(100ml)中に析出された。ポリマーを、遠心分離(4000rpm,3分)によって集め、次いでメタノール(3×10ml)で洗浄した。最終的に得たポリマーペレットを一晩エクシケーター内で乾燥した。


【表2】

【0253】
共重合に使用した4種の異なる単糖類
【表3】

MBL ELLAアッセイ
1.25mMのCaCl2(生理的Ca濃度)を含むTRIS緩衝液を除いては、前記アッセイを使用した。
【0254】
マンノース、N−アセチル−グルコサミン、グルコースおよびガラクトースから生成した20種のコポリマーを比較した結果を表3に示す。高吸収は、リガンドへのMBLの結合に相当した。ベースライン吸収は、リガンドに結合していないMBLに相当する。AmDexは150kDaアミノデキストラン(実施例5)である。
【0255】
これは、合成ポリマー中で使用されているモノマーサッカライド単位は、MBLに対してグルコース(IC50−1)8mM)より高い親和性を持つ必要があり、好ましくは、マンノース(IC50〜8mM)またはN−アセチル−グルコサミン(IC50〜6mM)であることを実証している。より低い親和性のサッカライドモノマー単位、たとえば、(IC50〜36mM)は、生理的カルシウム濃度(1.25mM)でMBL結合を提供しない。
【0256】
一連のマンノースコポリマーを生成し(表4)、MBL ELLAアッセイを使用して評価した。35%マンノースコポリマーが最適であることがわかった。結合は0mMグルコースでMBLに対して強いが、アミノデキストランより簡単に抑制された。抑制曲線(図4)から、アミノデキストランのIC50値を計算することが可能で、最適コポリマー(表5)である。IC50値はこの特定のアッセイのみ成立する。
【表4】

【表5】

【実施例4】
【0257】
MBLの染色
ヒトMBLを緩衝液交換(透析によって)し、150mMのNaClと1.25mMのCa2+とを含む10mMのNaHCO3緩衝液、pH8.7とした。染色のために使用した染料は、Alexa Fluor(商標)594、スクシンイミジルエステル(AF594−SE)(Molecular Probes, Eugene, Oregon, USA)であった。染料を乾燥DMSOに溶解し、炭酸水素緩衝液中のMBLにゆっくり(10分)加えた。反応を1時間行った。染色は、染料の15倍モル過剰(ポリペプチド単位に関して)で行った。精製を、10mMのトリス緩衝液pH7.4、150mMのNaClおよび1.25mMCa2+に対する透析法によって行った。得られた、染色されたタンパク質の標識化度を、MBLの1サブユニット当たり染料2.3として、UV分光法によって定量した。
【実施例5】
【0258】
アミノデキストランの生成
150kDaデキストラン(6.00g,0.4μmol)を250mMのK2HPO4、pH11.5(600mL)に溶解した。水素化ホウ素ナトリウム(3g,0.08mol)を加え、次いでジビニルスルホン(15ml,0.15mol)を加えた。反応混合物を室温で30分撹拌し、その後濃塩酸でpH7.2に中和した。30分撹拌した後、得られた混合物を水(3×25L)中で透析した(MWCO10〜12kDa)。内容物をエルレンマイヤーフラスコに移し、24%アンモニア(200mL)を加えた。2時間後、pHを10.5に調整し、反応物を一晩撹拌した。過剰のアンモニアを水(8×25L)中で透析法(MWCO10−12k)により除去し、内容物全てを凍結乾燥し、アミノデキストラン5.75g(MWが185kDaのアミノデキストランに対して78%)を白色綿毛状物質として得た。元素分析を使用して、分子量、アミン導入率および導入されたジビニルスルホンの量の簡易評価を行った。(Found C39.86;H6.26;N0.16;S3.08%デキストラン150k,〜22DVS−NH2,〜160DVS−OH,and〜720H2O requires C39.55;H6.60;N0.16;S3.07%)
【実施例6】
【0259】
ヘキサ−メトキシ−クリスタルバイオレットスクシンイミジルエステル(HMCV−1)の生成
HMCV−1の合成:
【化3】

【0260】
I)4−(N−メチルアミノ)ブタン酸塩酸塩(1当量)、ジイソプロピルエチルアミン、アセトニトリル中、20℃、20時間、II)ジメチルアミン(過剰量)、III)TSTU、ジイソプロピルエチルアミン、アセトニトリル中、20℃、2時間
【0261】
4a(BF4-):4−(メチルアミノ)酪酸塩酸塩(1.36g;8.8mmol)、1(5.0g;8.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5mL)をアセトニトリル(120mL)に溶解した。反応混合物を、乾燥窒素雰囲気中で、30〜35℃、22時間撹拌した。ジメチルアミン(40mLの40%溶液)水溶液を加え、反応混合物をさらに4日間撹拌した。溶剤および過剰のジメチルアミンを真空除去し、残った材料をクロロホルムに溶解した。クロロホルム溶液を食塩水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、その後、溶剤を蒸発させ、CH2Cl2/エーテルから生成物を再析出させた。収量:4.4g(70%)、暗青色の粉末
【0262】
MS(FAB+):m/z624(M+)
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ8.34(1H,bs),6.03(2H,s),5.83(4H,s),3.49(2H,m),3.46(6H,s),3.44(12H,s),3.12(3H,s(masked)),3.08(12H,s),1.94(2H,t),1.70(2H,m)
【0263】
HMCV−1(Cl-):TSTU(2−スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩;0.8g,2.6mmol)を、アセトニトリル(15mL)中の4a(0.9g,1.26mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.55g,4.5mmol)溶液に加えた。反応混合物を密閉したフラスコ内で2時間撹拌し、その後これを、HCl水溶液(4mL,2M)で酸性化した、氷冷したほぼ飽和NaCl溶液(約150mL)に注ぎ込んだ。水相をクロロホルム(2×150mL)で抽出した。組合わせたクロロホルム相を、食塩水(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶剤を蒸発させ、CH2Cl2/エーテルから再析出し、暗青色の粉末(0.80g,84%)を得た。
【0264】
MS(FAB+):m/z721(M+)
1H−NMR 1H−NMR br.(400MHz,DMSO−d6):δ5.88(2H,s),5.85(4H,s),3.60(2H,s),3.46(12H,s),3.45(6H,s),3.15(12H,s),3.12(3H,s),2.85(4H,s),2.80(2H,t),1.95(2H,m)
【実施例7】
【0265】
アミノデキストランの染色
実施例2の方法と類似した方法で生成した、70kDaアミノデキストラン(0.5mmol NH2/gデキストラン、すなわち、デキストラン1mol当たり35molのアミン)を、10mMのNaHCO3pH8.5、HMCV−1(実施例5)を有する150mMのNaCl中で染色した。染料を乾燥DMSOに溶解し、炭酸水素緩衝液中でデキストランにゆっくり(10分)加えた。反応を1時間行った。染色は、染料の8倍モル過剰で行った。精製を、10mMのトリス緩衝液pH7.4、150mMのNaCl、1.25mMのCa2+、2mMのNaN3に対する透析法によって行った。得られた、染色されたデキストランの標識化度を、デキストラン1当たり染料7.0として、UV分光法によって決定した。
【実施例8】
【0266】
HMCV−1デキストランに関するグルコース測定
AF594で染色されたヒトMBL(実施例1)とHMCV1−デキストラン(実施例7で生成)とをTBS緩衝液(前記と同じ)中で混合し、両成分の濃度を10μMとした。アッセイ化学検査用混合物を、中空ファイバー(再生セルロース、直径0.2mm)中にストックした。蛍光寿命測定(周波数ドメイン)をKOALA自動化サンプルコンパートメント(ISS,Champaign IL)で行い、グルコース濃度を、グルコース濃度を、アッセイ化学検査物を含む中空ファイバーの回りの緩衝液(TBS)を変更することによって変更した。
【0267】
表6:AF594−MBLおよびHMCV1−Dex70に関する絶対位相シフト
【0268】
PMTカウントは、システムの強度増加を反映する。
【表6】

【実施例9】
【0269】
合成ポリマーに関するグルコース測定
コポリマー合成
【0270】
マンノースコポリマー(〜40%)を乳化重合によって以下のように生成した。
【0271】
機械的撹拌器と窒素管とを備える、250mlの3つ首丸底フラスコに、Span80界面活性剤(5.7g;HLB[親水性−親油性バランス]4.3、トルエンに対して10%w/w)、AIBN(30mg)およびトルエン(57.3g)を加えた。該フラスコを密封し、窒素でパージし、重合の間中窒素雰囲気下に保った。アリルα−D−マンノピラノシド(3.52g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2.552g)およびN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.178g)を水(12.7g)に溶解し、ろ過して、不溶物質を除去した。この混合物を、丸底フラスコ中で、ゴム膈膜によって、激しく撹拌されている混合物に加えた。反応混合物を、室温で、安定な乳化物が形成されるまで(30分)、次いで60℃4時間、撹拌した。VA−044(1ml,60mg/ml)の溶液を、膈膜を通して注入し、重合を一晩(17時間)続けた。反応混合物を室温まで冷却し、乳化物をアセトンの添加によって分離させた。これによってポリマーの析出が起こり、析出物を集め、水に再び溶解し、アセトンの添加によって析出させた。生成物を一晩、真空乾燥し、3.2g(50%)の粗薄黄色ポリマーを得た。粗ポリマーの一部(1.0g)を、水(10ml)に溶解し、水中で透析(MWCO[分子量カットオフ]25,000)し、低分子量物質を除去した。凍結乾燥によって、0.46g(46%)の綿毛状ポリマーを得た。
【0272】
45%マンノースコポリマーを同様にして生成した。
【0273】
コポリマーの染色
一般的に、コポリマーの標識化は、Molecular Probes(製品情報MP00143,Rev.2001年6月)によって提供される記載に従う。
【0274】
コポリマー(88.6mg)を、10mMのNaHCO3溶液(3ml;pH8.5)に溶解した。ポリマー溶液を3つのエッペンドルフバイアルに3等分した。HMCV−1(実施例3)(19.6mg;26.1μmol)を乾燥DMSO(600μl)に溶解した。染料を、第一バイアルは合計で100μl、第二バイアルは200μl、第三バイアルは300μlとなるように、10μlのアリコート中のポリマー溶液に、30秒ごとに加えた。最後のアリコートの添加の後、バイアルを1時間穏やかに撹拌し、数種の緩衝液変更のある10mMのTRIS緩衝液中で、透析法緩衝液に色が見えなくなる(通常、500mlおよび72時間の緩衝液変更を6〜8回)まで、該溶液を透析(MWCO、10−12,000)した。
【0275】
FRETアッセイ
AF594染色ヒトMBL(実施例4)とHMCV1−コポリマーとを、TBS緩衝液(前記と同じ)中で混合し、両成分の濃度を10μM(MBL−AF594糖質認識ドメインの濃度、CRD(それぞれMwが約25kDaである)を使用して)とした。アッセイ化学検査混合物を、中空ファイバー(再生セルロース、直径:0.2mm)に搾取した。
【0276】
蛍光寿命測定(周波数ドメイン)をKOALA自動化サンプルコンパートメント(ISS,Champaign IL)で行った。全溶液をウォーターバス中で34℃に予熱し、KOALA装置中の全測定値を34℃で記録した。ファイバーおよびファイバーホルダーアッセンブリを含む蛍光セルをKOALAのサンプルホルダー中に置き、グルコースを含む緩衝液で蛍光セルを満たした。
【0277】
測定相は、少なくとも40個の位相角記録の平均であった。測定が完了した後、蛍光セルを、ピペットを使用して空にし、次の濃度のグルコースを含む緩衝液で再び満たした。測定の間を20分間あけ、アッセイ化学検査が平衡になるようにした。
【0278】
グルコース用量応答曲線を作るために、相を、0、5、10、30、100および500mMのグルコースで測定した。500mMのグルコースでの位相角の測定の後、ファイバーを、60分の時間をかけ、10mMのTRIS緩衝液で数回洗浄した。この時点で、0mMのグルコース関して、同じ位相角を得た。これは、アッセイの可逆性を実証している。
【0279】
結果を表7および図5に示す。
【表7】

【0280】
マンノース40%コポリマーのスロープは、グルコース0〜5mM、5〜10mM、10〜30mMの範囲で、マンノース45%コポリマーより急(より応答的)であることが理解され得る。しかし、マンノース45%コポリマーのスロープは、グルコース30〜100mMおよび100〜500mMの範囲では、より急である。これにより、マンノース40%コポリマーはグルコース0〜30mMの範囲で、マンノース45%コポリマーはグルコース30〜500mMの範囲で、より敏感になる。
【実施例10】
【0281】
センサー形成および移植
から、直径700μmのガラスロッドをポリマー(1000PEGT80PBT20、英国特許出願番号第P9738号)の15%w/wジクロロメタン溶液(DCM)に浸漬し、それを室温で乾燥させて、ファイバーを作った。これによって、外径が900μmであり、内腔の直径が700μmの中空ファイバーを得た。ファイバーを、所望の濃度のアッセイ成分[たとえば、5μMのAlexa Fluor 594(商標)−染色MBL(糖質認識ドメインに関して記載された濃度)と20μMのHMCV1−染色アミノデキストラン150kDa]で満たした。ポリマーを溶融し、ファイバーの端を閉じるために加熱した。試験および挿入の前に、溶接したファイバーの漏出試験を行った。
【0282】
このタイプのファイバーは、針を使用して皮膚の上面に置くことができる。適切なサイズ(湿潤ファイバーを包含するのに充分な大きさ)の針を、皮膚表面に対して平行に、深さ約1mmで置き、皮膚を通して影のように見えるように針を残す。ファイバー(また湿っている)を針の中に置き、次に針を取り去る。通常、挿入が完了した後でも、挿入箇所に放血は観察されない。
【0283】
ファイバーを適切な場所に設置したら、読み出しデバイスをファイバーの上に直接置き、測定を始めてもよい。グルコース応答は、図6に示す応答に対応する、時間分解蛍光分光法によって測定してもよい。
【0284】
本発明を、好ましい実施形態に関して記載したが、種々の変更が本発明の範囲内において可能であることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0285】
【図1】ヒトMBLおよびHSAマンノースELLAアッセイシステムからのグルコース用量応答(実施例1)を示す。
【図2】ヒトMBLおよび過ヨウ素酸塩処理デキストランELLAアッセイシステムからのグルコース用量応答(実施例2)を示す。
【図3】ヒトMBLおよび合成ポリマーELLAアッセイシステムからのグルコース用量応答(実施例3)を示す。
【図4】ヒトMBLおよび合成マンノースコポリマーELLAアッセイシステムからのグルコース用量応答(実施例3)を示す。
【図5】ヒトMBLおよび合成ポリマーFRETアッセイシステムからのグルコース用量応答(実施例9)を示す。
【図6】ヒトMBLおよび70kDaデキストランFRETアッセイシステムからのグルコース用量応答(実施例10)を示す。
【図7】アッセイを問い合わせるために適切な光学セットアップを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体濃度の感知用センサーであって、適切な競合結合アッセイの異なる変性体を少なくとも2種含み、該センサーは、被検体濃度の必要な範囲を、該アッセイの変性体により正確に感知することができ、該変性体のそれぞれは、被検体濃度の必要な範囲の一部だけを正確に感知することができ、アッセイの変性体は、必要な範囲の全体をカバーする、重なり合うまたは隣接する濃度の範囲を感知するように選択されるセンサー。
【請求項2】
被検体が糖質である、請求項1記載のセンサー。
【請求項3】
被検体がグルコースである、請求項2記載のセンサー。
【請求項4】
センサーが、被検体濃度に対応する測定可能な光学応答を引き起こす、請求項1〜3のいずれかに記載のセンサー。
【請求項5】
競合結合アッセイが、それぞれ、被検体と、少なくとも1つの被検体類縁体部分を含む被検体類縁体とを含み、被検体結合剤が、被検体類縁体の少なくとも1個の被検体類縁体部分に結合し、被検体類縁体が前記被検体によって変位可能となる複合体を形成し、異なるアッセイが、被検体類縁体で構成される被検体類縁体部分の数または性質によって識別される、請求項1〜4のいずれかに記載のセンサー。
【請求項6】
被検体結合剤が、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアの1つで標識化され、被検体類縁体が、近接度に基づいた信号発生/変調部分ペアのもう1つで標識化され、被検体類縁体および被検体結合剤が複合体を形成し、被検体類縁体が被検体によって複合体から置き換わる時、信号において検出可能な差異が存在する、請求項5記載のセンサー。
【請求項7】
被検体結合剤がレクチンである、請求項5または請求項6のいずれかに記載のセンサー。
【請求項8】
被検体結合剤がマンノース結合レクチン(MBL)である、請求項7記載のセンサー。
【請求項9】
少なくとも1つの被検体類縁体部分が、糖質部分または糖質様部分である、請求項5〜8のいずれかに記載のセンサー。
【請求項10】
少なくとも1つの被検体類縁体部分が、単糖またはオリゴ糖部分である、請求項9記載のセンサー。
【請求項11】
被検体類縁体が、高分子を含む、請求項5〜10のいずれかに記載のセンサー。
【請求項12】
高分子が、タンパク質、デンドリマー、多糖類または合成ポリマーである、請求項11記載のセンサー。
【請求項13】
高分子が、血清アルブミンである、請求項12記載のセンサー。
【請求項14】
多糖類が、導入被検体類縁体部分の数を減らすように誘導体化されている、請求項12記載のセンサー。
【請求項15】
各競合結合アッセイ変性体において、被検体結合剤がMBLであり、高分子がHSAであり、被検体類縁体部分が、マンノースであり、競合結合アッセイの各変性体が、異なる数のマンノース部分を含むHSA−マンノース結合体を含有する、請求項5〜13のいずれかに記載のセンサー。
【請求項16】
被検体がグルコースであり、競合結合アッセイの各変性体において、被検体結合剤がMBLであり、高分子および被検体類縁体部分が一緒になって誘導体化デキストランを形成し、競合結合アッセイの変性体が、デキストランに導入される被検体類縁体部分の数が相違するように誘導体化されているデキストランを含む、請求項5〜14のいずれかに記載のセンサー。
【請求項17】
センサーが、競合結合アッセイの2個の変性体を含み、1個の変性体は、0〜10mMの範囲のグルコース濃度を感知することができ、もう1個の変性体は0〜25mMの範囲のグルコース濃度を感知することができる、請求項16記載のセンサー。
【請求項18】
15〜40mMの範囲のグルコース濃度を感知することができる、競合結合アッセイの第三変性体をさらに含む、請求項17記載のセンサー。
【請求項19】
アッセイの異なる変性体が、センサー内の分離したコンパートメントに含まれている、請求項1〜18のいずれかに記載のセンサー。
【請求項20】
センサーが、少なくとも2種の粒子であって、粒子の各種類が、競合結合アッセイの異なる変性体を含む粒子を含む、請求項1〜19のいずれかに記載のセンサー。
【請求項21】
粒子またはコンパートメントが、生分解性に作られている、請求項19または請求項20のいずれかに記載のセンサー。
【請求項22】
粒子またはコンパートメントが、シェルまたはマトリックス材料内のアッセイの成分を保持する、請求項19〜21のいずれかに記載のセンサー。
【請求項23】
粒子またはコンパートメントが、被検体に対して透過性であり、被検体を、自由にセンサーの中へおよび外へ拡散させ、アッセイ成分に接触させるが、競合結合アッセイの変性体の成分は通さない、請求項19〜22のいずれかに記載のセンサー。
【請求項24】
生体内で、請求項1〜23のいずれかに記載のセンサーを使用する方法であって、センサーを、組織液内に入るように対象の皮膚の表面の下に移植し;時間を、組織液内およびセンサー内の被検体濃度が同じになるようにし;光エネルギーをセンサーに供給し;アッセイの被検体濃度に依存する蛍光特性を測定し;該測定を被検体濃度の読み出しに変換する方法。
【請求項25】
生体内で、請求項1〜23のいずれかに記載のセンサーを使用する方法であって、時間を、対象の皮膚の表面の下に移植したセンサー内、および組織液内の被検体濃度が同じになるようにし;光エネルギーをセンサーに供給し;アッセイの被検体濃度に依存する蛍光特性を測定し;該測定を被検体濃度の読み出しに変換する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−523358(P2008−523358A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543805(P2007−543805)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013115
【国際公開番号】WO2006/061208
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(503136048)
【氏名又は名称原語表記】PRECISENSE A/S
【Fターム(参考)】