説明

糸立て装置及びミシン

【課題】糸案内部材を所定の位置に保持することができると共にコンパクトに収納することができる糸立て装置、及びミシンを提供する。
【解決手段】糸立て装置において、糸案内部材50を支持する分割支柱51,52は、上側支柱73,73と下側支柱74,74とが上下に略直列となって糸案内部材50を使用時の上方位置に位置させる第1姿勢と、上側支柱73,73と下側支柱74,74とが連結ピン75部分で屈曲して糸案内部材50を不使用時の収納位置に位置させる第2姿勢とに切換え可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の糸駒が装着可能な糸駒台と、この糸駒台に装着された複数の糸駒から延びる糸を当該糸駒よりも上方で夫々案内するための糸案内機構とを有する糸立て装置、及び糸立て装置を備えたミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記の糸立て装置を備えたミシンでは、糸駒台に装着された複数の糸駒から繰り出される糸が、糸案内機構によって糸駒の上方で夫々案内され、糸調子器や天秤等を経由する所定の糸供給経路を通って縫針に供給される。この種のミシンにあっては、その縫製時(使用時)に、糸の絡み等を防止し且つ円滑な糸の繰り出しを行うべく、糸案内機構によって糸を比較的高い位置で案内するよう構成されている。このため、不使用時にミシンを収納する際、糸案内機構が上方にかさばり邪魔になるという課題があった。そこで、ミシンに対して、糸案内機構を上下方向へ移動可能に配置したり、下方へ収縮させるようにした糸立て装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1に記載された糸立て装置は、上下方向を指向する支柱の上端に、糸駒から延びる糸を案内する糸ガイドを備えており、その支柱を、ミシンのブラケットアームの上部を貫通させてブラケットアームに挿入させることで、ミシンに対して昇降可能に立設している。この糸立て装置によれば、不使用時に、糸案内機構としての糸ガイド及び支柱を下降させることによってミシンの上方に突き出ないようにしまうことができる。しかしながら、この糸立て装置は、糸案内機構の支柱を収容するために、ブラケットアームの内方(ミシン機枠内)に上下に貫通するスペースが必要となることから、ミシン側において設計上の制約受けると共にミシン自体の小型化を図る上で好ましくなく不向きであった。
【0004】
一方、特許文献2,3の糸立て装置では、上下方向に伸縮可能な筒状のロッド体の上端部に、糸駒から延びる糸を案内する略水平な糸案内部材が支持されている。具体的には、特許文献2のミシンは、後部側に位置して上方に突出する支持管と、この支持管内に昇降可能に収容される昇降体とを備えると共に、この昇降体に収縮可能なロッド体の下端部が固着されている。このミシンにおいて、糸案内機構は、ロッド体を上方へ伸長させると共に支持管にて昇降体を上昇させて係止した状態で用いられ、不使用時には、ロッドを収縮させると共に昇降体を下降させることで糸案内部材がミシン頭部よりも上方へ突出しないようになっている。また、特許文献3の糸立て装置(スプールスタンド)でも、上下方向に伸縮可能なロッド状の連結部材によって糸案内部材が支持されており、糸案内部材の高さ調整が可能とされている。
このように、特許文献2,3の糸立て装置によれば、ロッド体自身、或は連結部材自身を収縮させることができ、ミシン側にこれらロッド体等を収容するためのスペースを省略することができるので、前述した特許文献1の課題は解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58−98074号公報
【特許文献2】実開平5−44073号公報
【特許文献3】特開2000−126487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2,3に記載されたロッド体や連結部材のように、その軸方向への伸縮が可能なロッド状の部材は、複数の円筒体から構成されるのが一般である。この種のロッドは、隣り合う円筒体の一方が他方の内部に収容されることによって縮短状態となり、その一方が他方から引き出されることで伸長することから、伸長したロッドにおける各円筒体の内嵌部分で不用意に周方向に回転してしまうことがある。特に、糸立て装置のロッドは、略水平に延びる糸案内部材を支持する支柱として適用されるため、ロッド自身が回転すると糸案内部材が所定の位置からずれてしまい、糸供給経路へ糸を適正に案内できない虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、糸案内部材を所定の位置に保持することができると共にコンパクトに収納することができる糸立て装置を提供すること、及び、この糸立て装置を備えたミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1の糸立て装置は、複数の糸駒が装着可能な糸駒台と、前記糸駒台に装着された前記複数の糸駒から延びる糸を当該糸駒よりも上方で夫々案内するための糸案内機構とを具備した糸立て装置であって、前記糸案内機構は、前記複数の糸駒から延びる糸を夫々案内し略水平方向に列をなす複数の糸案内部を有する糸案内部材と、前記糸駒台上で前記糸案内部材を支持するように配置され、上端部が前記糸案内部材に対して揺動可能に枢支された上側支柱と下端部が前記糸駒台に対して揺動可能に枢支された下側支柱とからなる分割支柱と、前記上側支柱と前記下側支柱とを揺動可能に連結する連結部と、前記分割支柱を、前記上側支柱と前記下側支柱とが上下に略直列となって前記糸案内部材を使用時の上方位置に位置させる第1姿勢と、前記上側支柱と前記下側支柱とが前記連結部で屈曲して前記糸案内部材を不使用時の収納位置に位置させる第2姿勢とに切換え可能に保持する保持手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記糸立て装置によれば、使用時には、分割支柱の第1姿勢において上側支柱と下側支柱とが上下に略直列になり、糸駒よりも上方で糸案内部材による糸の案内が行われる。一方、不使用時には、分割支柱は、上側支柱と下側支柱とを連結部で屈曲させるだけで第2姿勢に切換る。これにより、糸駒台に対し糸案内部材を収納位置に移動させたコンパクトな構成とすることができ、持ち運びや収納が容易となる。また、保持手段によって分割支柱の姿勢、ひいては糸案内部材の位置が保持されるため、糸案内部材が不用意に移動することを防止することができ、糸を適正に案内することができる。
【0010】
請求項2の糸立て装置では、請求項1の発明において、前記上側支柱及び前記下側支柱は、相互に略同じ長さに設定されていることを特徴とする。
請求項3の糸立て装置では、請求項1または2の発明において、前記糸案内機構は、前記上側支柱及び前記下側支柱とは別個に、もう一組の上側支柱及び下側支柱からなる分割支柱を備え、2つの前記分割支柱は、前記糸駒台上にて相互に対称に配置されると共に、夫々の前記上側支柱の上端部で前記糸案内部材の長手方向の略中央を支持するように設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の糸立て装置では、請求項3の発明において、2つの前記分割支柱は、夫々の前記下側支柱の下端部にギヤを備え、前記ギヤ同士の噛合によって、前記下側支柱が夫々の下端部を中心として対称的に揺動することに伴い、2つの前記分割支柱が前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で切換ることを特徴とする。
請求項5の糸立て装置では、請求項1から4までの何れかの発明において、前記保持手段は、前記連結部に設けられ、前記上側支柱と前記下側支柱とを第1姿勢になるように弾性付勢する弾性部材と、前記上側支柱の上端部に設けられ、前記糸案内部材に対する前記上側支柱の揺動を係止可能な揺動係止手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6の糸立て装置では、請求項5の発明において、前記揺動係止手段は、前記分割支柱が前記第1姿勢と前記第2姿勢とに切換わる途中の中間姿勢において、前記上側支柱の揺動の係止が可能に構成されていることを特徴とする。
請求項7のミシンは、請求項1から6までの何れかに記載の糸立て装置を備えたことを特徴とする。よって、上記した請求項1から6までの発明と同様の効果を奏する。
請求項8のミシンは、請求項7の発明において、前記分割支柱の前記第1姿勢または前記第2姿勢を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記分割支柱の前記第1姿勢または前記第2姿勢をユーザに報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の糸立て装置によれば、使用時には、分割支柱の第1姿勢において上側支柱と下側支柱とが上下に略直列になり、糸駒よりも上方で糸案内部材による糸の案内が行われる。一方、不使用時には、分割支柱は、上側支柱と下側支柱とを連結部で屈曲させるだけで第2姿勢に切換る。これにより、糸駒台に対し糸案内部材を収納位置に移動させたコンパクトな構成とすることができ、持ち運びや収納が容易となる。また、保持手段によって分割支柱の姿勢、ひいては糸案内部材の位置が保持されるため、糸案内部材が不用意に移動することを防止することができ、糸を適正に案内することができる。
【0014】
請求項2の糸立て装置によれば、請求項1の発明の効果に加え、上側支柱と下側支柱が略同じ長さに設定されているため、分割支柱を第2姿勢に切換えた場合、分割支柱を略半分の長さに折り畳むようにして連結部で屈曲させることができ、その屈曲した分割支柱の長さを極力短くして、よりコンパクトなものとすることができる。
請求項3の糸立て装置によれば、請求項1または2の発明の効果に加え、糸駒台上で、2つの分割支柱が互いに並行となる第1姿勢で糸案内部材を略水平に保持することができる。また、これら2つの分割支柱で、糸案内部材の長手方向の略中央を支持するため、糸案内部材をより安定的に支持することができる。
【0015】
請求項4の糸立て装置によれば、請求項3の発明の効果に加え、2つの分割支柱は、ギヤ同士の噛合によって、第1姿勢と第2姿勢との間で対称的に揺動する。即ち、2つの分割支柱は、左右対称を保ちつつ切換るため、糸案内部材を常に水平に支持することができる。また、2つの分割支柱は互いに向き合う位置関係にあり、第2姿勢で均等に屈曲させることができ、極力コンパクトな構成にすることができる。
請求項5の糸立て装置によれば、請求項1から4までの何れかの発明の効果に加え、揺動係止手段によって上側支柱が揺動しないように係止することで、糸案内部材を所定の高さに確実に保持することができる。また、上側支柱の揺動の係止が解除されたときには、糸案内部材が自重により急に降下してしまうことがある。しかし、弾性部材を連結部に設けることによって、上側支柱と下側支柱の双方を付勢することで、糸案内部材が自重により急に下降しないように支えることができる。
【0016】
請求項6の糸立て装置によれば、請求項5の発明の効果に加え、揺動係止手段によって、分割支柱が第1姿勢と第2姿勢とに切換わる途中の中間姿勢を保持することができる。従って、分割支柱の中間姿勢として、例えば糸案内部材を上方位置から少し下げた所望の位置で保持して糸立て装置を持ち運ぶ等、使い勝手のよいものとすることができる。
【0017】
請求項7のミシンによれば、請求項1から6の何れかに記載の糸立て装置を備えたので、上記した請求項1から6までの発明と同様の効果を奏する。
請求項8のミシンによれば、請求項7の発明の効果に加え、検出手段により分割支柱の第1姿勢または第2姿勢を検出し、報知手段によって、ユーザに対し当該第1姿勢または第2姿勢を知らせることができる。従って、例えばユーザが糸案内部材を上方位置へ切換えることを忘れていても、分割支柱が第2姿勢であることを報知することで、糸案内部材が収納位置のままで、ミシンにより縫製を行ってしまうような誤操作を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態を示す糸立て装置を備えた多針式刺繍ミシンの正面図
【図2】同右側面図
【図3】同背面図
【図4】同平面図
【図5】糸調子台部分の平面図
【図6】糸駒台部分の平面図
【図7】糸案内部材から縫針かけての部分の正面図
【図8】分割支柱の第1姿勢における糸案内機構及び中間糸案内部リンク機構の正面図
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図
【図10】図14(a)のX−X線に沿う拡大断面図
【図11】電気的構成を示すブロック図
【図12】分割支柱の第2姿勢における図7相当図
【図13】(a)及び(b)は、分割支柱の第1姿勢及び第2姿勢における揺動係止手段近傍部の拡大正面図
【図14】(a)及び(b)は、分割支柱の第1姿勢及び第2姿勢におけるベース部材近傍部の拡大正面図
【図15】分割支柱の第2姿勢における図3相当図
【図16】本発明の第2実施形態を示すものであり、(a)及び(b)は分割支柱の第1姿勢及び第2姿勢における糸案内機構の模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明を多針式刺繍ミシン(以下、多針ミシンMと称す)に適用した第1実施形態について、図1〜図15を参照しながら説明する。図1は、多針ミシンMの正面図であり、使用者(ユーザ)が位置する方向(紙面手前)を前方として説明する。
図1〜図4に示すように、多針ミシンMは、このミシン全体を支持する左右1対の脚部1と、その脚部1の後端部から立設された脚柱部2と、その脚柱部2の上部から前方に延びるアーム部3と、脚柱部2の下端部から前方に延びるシリンダベッド4と、アーム部3の前端部に装着された針棒ケース5とを備えている。脚部1、脚柱部2、アーム部3及びシリンダベッド4は、ミシン本体7として一体的に構成されており、このミシン本体7側に、多針ミシンMの制御全般を司る制御手段(後述する制御装置18、図11参照)や操作パネル6等が配設されている。
【0020】
シリンダベッド4の上面には針板4aが設けられており、この針板4aに、後述する縫針10a〜10jの針落ち位置としての針穴(図示略)が形成されている。
脚部1の上側には、左右方向向きのキャリッジ8が配置されており、このキャリッジ8の内部には、当該キャリッジ8の前側に設けられた枠取付台(図示略)をX方向(左右方向)に駆動させるX方向駆動機構(図示略)が設けられている。左右の脚部1内には、キャリッジ8をY方向(前後方向)に駆動させるY方向駆動機構が設けられている。刺繍縫製に供する加工布(図示略)は、矩形枠状の刺繍枠(図示略)に保持され、この刺繍枠が、前記枠取付台に取付けられる。こうして、キャリッジ8がY方向駆動機構によりY方向に駆動され、或は枠取付台がX方向駆動機構によりX方向に駆動されることで、刺繍枠が、キャリッジ8と同期してY方向に移動し、或は枠取付台と共にX方向に移動して、加工布が布送りされる。
【0021】
針棒ケース5には、左右方向に配列された上下方向に延びる10本の針棒9a〜9jが上下動可能に支持されており、各針棒9a〜9jの下端部には、縫針10a〜10jが夫々装着されている。また、針棒ケース5には、各針棒9a〜9jに対応する10個の天秤11a〜11jが上下動可能に装着されている。針棒ケース5の前面側には、合成樹脂製のカバー5aが取付けられており、針棒ケース5の上面側には、前下がりの傾斜状をなす糸調子台12がカバー5aの上端部と連なるように取付けられている。図5に示すように、糸調子台12の後端部には、10個の糸導入部材13A〜13Jが左右方向に並べて設けられている。詳しい図示は省略するが、糸導入部材13A〜13Jは、その後部に配された筒状の糸導入口部13a〜13j(図5参照)と、前部に配された補助糸案内部14a〜14jとからなる。また、糸調子台12には、各縫針10a〜10jに供給される糸の張力を調整する為の10個の糸調子器15a〜15jが配設されている。
【0022】
アーム部3の前端部には、左右方向に延びるガイドレール3aが設けられており、上記針棒ケース5は、このガイドレール3aに沿って左右方向(X方向)へ摺動するように支持されている。また、アーム部3の内部には、針棒ケース5をX方向に移動させる針棒ケース移動機構(図示略)が設けられている。針棒ケース移動機構は、その駆動モータ(後述する針棒ケース移動用モータ17、図11参照)の駆動により、10組の針棒9a〜9j及び天秤11a〜11jのうち1組の針棒9a〜9j及び天秤11a〜11jだけが針落ち位置に対して択一的に切換わるようになっている。この1組の針棒9a〜9j及び天秤11a〜11jは、脚柱部2に設けられたミシンモータ16(図11参照)の駆動により同期して上下動されると共に、シリンダベッド4の前端部に設けられた回転釜(図示略)と協働することによって、前記刺繍枠に保持された加工布に刺繍縫目が形成される。
【0023】
前記操作パネル6は、縫製作業に必要な各種の縫製関連情報や後述する糸案内機構27のセット状態に関する情報等を表示する表示手段として、縦長な液晶ディスプレイ6aを有する。この操作パネル6の前面下部には、起動停止スイッチ6b等の複数のスイッチやブザー6cが設けられ、側面部には、各種の刺繍模様のデータ等が記憶されているメモリカード(図示略)が挿入されるカードコネクタ6d(図11参照)等が設けられている。尚、液晶ディスプレイ6aの前面には、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネル6eが設けられており、このタッチキーがタッチ操作されることで、前記の刺繍模様の選択や、縫製に関する各種の指示等が可能となっている。
【0024】
次に、ミシン本体7の上面側に設けられた糸立て装置19について説明する。
図2〜図4に示すように、糸立て装置19は、アーム部3上面に配置された平板状の支持台20と、複数(例えば10個)の糸駒21a〜21jが載置される一対の分割糸駒台22,23と、支持台20で当該糸駒台22,23を水平面内で揺動可能に支持する一対の枢支軸24,25と、後述する糸案内機構27とを備えている。
【0025】
支持台20及び分割糸駒台22,23は本発明の糸駒台を構成し、支持台20は糸駒基台として、アーム部3上面に対し複数の螺子29(図4参照)により水平に取付け固定されている。分割糸駒台22,23は夫々複数(例えば2つ)に分割されると共に、枢支軸24,25により揺動可能に支持されることで、平面視にて「M」字状に拡開した使用位置(図4参照)と、この使用位置から閉じて略平行になり互いに隣接する収納位置(図示略)との間での切換えが可能とされている。ここで、2つの分割糸駒台22,23は互いに同一構造であり、ミシン本体7の中心を通り前後方向に延びる直線L1を対称軸として左右対称に配設されたものであるので、左側の分割糸駒台22を主として説明する。
【0026】
図4、図6に示すように、分割糸駒台22は、合成樹脂製の第1糸駒台30及び第2糸駒台31と、両者30,31を連結する連結部32とを有する。詳細には、第1糸駒台30は、平面視にて略小判状の上面部30aと、上面部30aの周縁部に形成された下方に突出する周壁部30b(図3参照)とを一体に有する。上面部30aには、例えば、3つの糸駒棒33が所定間隔で設けられており、3つの糸駒21c〜21eが水平方向に列をなすように並べて載置される。また、上面部30aの一端部(図6中、前端部)には、枢支軸24が上側から挿通される枢支軸用孔部30cが形成され、他端部(後端部)には、連結部32を連結するための連結用孔部30dが形成されている。また、第1糸駒台30の外周部には、前寄りの部位に湾状に内側に窪む左右一対の逃し部30eが形成されている。
【0027】
第2糸駒台31も、略小判状の上面部31aとその周縁部の周壁部31bとを一体に有する。上面部31aには、例えば、2つの糸駒棒33が所定間隔で設けられており、2つの糸駒21a,21bが水平方向に列をなすように並べて載置される。また、上面部31aの後端部には、連結部32を連結するための一対の連結用孔部31cが形成されると共に、前端部には後述する規制板41を連結するための規制板用孔部31dが形成されている。尚、詳しい図示及び説明は省略するが、第1糸駒台30及び第2糸駒台31は、分割糸駒台22,23を同一構造の部品で構成すべく、第1糸駒台30の左右一対の逃し部30e等のように、左右で対称的な形状になっている。
第1糸駒台30及び第2糸駒台31における夫々の後端部の下面側には、金属板製の連結板35が配置されている。この連結板35には、第1糸駒台30の連結用孔部30dに挿通された連結軸36が設けられると共に、第2糸駒台31の一対の連結用孔部31cに挿通された一対の螺子37が螺挿されている。これら連結板35、連結軸36及び螺子37からなる連結部32によって、第2糸駒台31は、第1糸駒台30の後端部に対して連結軸36の周りに揺動可能に連結されている。
【0028】
右側の分割糸駒台23は、上記した左側の分割糸駒台22と同一構造を有し、前記直線L1を対称軸として左右対称に配設されたものであり、第1糸駒台30、第2糸駒台31、及び連結部32を備え、複数の糸駒21f〜21jが載置されるようになっている。これら分割糸駒台22,23は、夫々の第1糸駒台30,30の枢支軸用孔部30c,30cに挿通された枢支軸24,25により支持台20上に揺動可能に支持されている。
【0029】
支持台20には、分割糸駒台22,23を前述した使用位置又は収納位置に保持する保持機構40が設けられている。この保持機構40は、支持台20に対して所定方向に移動可能に設けられた左右一対の規制板41,42と、この規制板41,42に対して分割糸駒台22,23の夫々の第2糸駒台31,31を揺動可能に連結する規制軸43,44と、支持台20に対する規制板41,42の移動を係止解除可能に係止する締結部材45とを備えている。
規制板41,42は長尺板状をなしており、その長手方向に沿うスリット41a,42aを有する。詳しい図示は省略するが、締結部材45は、その下端部に形成された螺子部が規制板41,42のスリット41a,42aに挿通されて、支持台20の中央部に螺挿される。この締結部材45は、分割糸駒台22,23の収納位置(図示略)において両第1糸駒台30,30の逃し部30e,30e間に位置する。そして、締結部材45は、その上端部に形成されたツマミ部45a(図3参照)が所定方向に回されることで支持台20との間で規制板41,42を押圧して固定し、前記所定方向とは逆方向にツマミ部45aが回されることで、規制板41,42の締結固定を解除可能に構成されている。
【0030】
また、支持台20の左右両側部には、締結部材45より若干、前側に位置して一対のガイドピン46,47(図6中、破線で示す)が設けられている。ここで、左側の規制板41は、スリット41aにガイドピン46及び締結部材45に挿通されてガイドされることで支持台20に所定方向(矢印D1方向)へ略直線的に移動可能に配置されている。左側の規制板41の左端部には、左側の分割糸駒台23における第2糸駒台31の規制板用孔部31dに挿通された規制軸43が揺動可能に連結されている。右側の規制板42は、スリット42aにガイドピン47及び締結部材45に挿通されてガイドされることで支持台20に所定方向(矢印D2方向)へ略直線的に移動可能に配置されている。右側の規制板42の右端部には、右側の分割糸駒台23における第2糸駒台31の規制板用孔部31dに挿通された規制軸44が揺動可能に連結されている。尚、詳しい図示は省略するが、右側の規制板42は、ガイドピン47により左側の規制板41の上面側でガイドされており、左右の規制板41,42が上下に重なるように配置されているため、分割糸駒台22,23を使用位置から収納位置に切換える場合に、規制板41,42同士が干渉しないようになっている。
【0031】
分割糸駒台23,24は、図示しない収納位置において第1糸駒台30及び第2糸駒台31が夫々の長手方向に略平行になり互いに隣接した状態で、締結部材45のツマミ部45aにより規制板41,42を介して締結固定される。一方、分割糸駒台22,23は、締結部材45を緩めて固定を解除し、枢支軸24,25を中心に第1糸駒台30,30を揺動させると共に連結軸36,36を中心に第2糸駒台31,31を揺動させることで、第1糸駒台30及び第2糸駒台31が平面視にて「M」字状に拡開した使用位置に切換わる。この場合、規制板41,42によって第2糸駒台31、31の移動方向が規制されることで、分割糸駒台22,23を上記の収納位置と使用位置との間で容易に切換えることができると共に、締結部材45により、分割糸駒台22,23を収納位置又は使用位置で保持することができる。
【0032】
続いて、分割糸駒台22,23に載置された複数の糸駒21a〜21jから延びる糸(上糸T1〜T10と称す)を夫々案内するための糸案内機構27について、図8〜図10も参照しながら詳述する。
糸案内機構27は、略水平方向に列をなす複数の糸案内部50a〜50jを有する糸案内部材50、支持台20上で糸案内部材50を支持するように配置された一対の分割支柱51,52、これら分割支柱51,52を支持台20に取付けるためのベース部材53等からなる。
【0033】
ベース部材53は、同じ構造をなす左右一対のベース部54,55からなり、これらベース部54,55が支持台20に対して前記直線L1上に対称的に配置されることにより、平面視にて矩形をなす筒状に構成されている。また、左右のベース部54,55には、上部に扇状をなすカバー部54a,55aが形成されると共に、下端部にフランジ状(図10参照)の取付部54b、55bが屈曲形成されている。ベース部材53は、これら取付部54b、55bを上下に重ねた状態で貫通する4つの螺子56が、支持台20の前部に螺挿されることにより固定されている。この場合、左右のベース部54,55は、その前面部において両者54,55の間にクランク状の間隙S(図14(a)参照)が存するように形成されている。尚、左右のベース部54,55は、隙間Sなく密接させてもよい。
図9に示すように、ベース部材53には、後述する分割支柱51,52が、渡し部材61を介して糸案内部材50を支持するように配置されている。渡し部材61は、分割支柱51,52の上端部から後方に延びる形状をなしており、その後部には糸掛け部材62が螺子63a止め固定されている。図4に示すように、糸掛け部材62は、屈曲形成された複数の板材の螺子63b結合により構成されており、分割糸駒台22,23の「M」字形状(使用位置)における各糸駒棒33の略真上側に位置して糸通し穴62a〜62jを有している。また、糸掛け部材62は、前面側に補助糸通し穴62b´〜62d´,62g´〜62i´を有し、糸駒21a〜21jから上方へ延びる上糸T1〜T10を糸案内部材50側へ絡まないように案内する。
【0034】
渡し部材61の前端部には、左右方向に延びる糸案内部材50が長手方向の略中央で一対の螺子63c(図8、図9参照)により取付け固定されている。糸案内部材50は、3つの長尺な板部材65,66,67(図3、図7、図9参照)を前後に重ねた形態で有する。板部材65と板部材66との間、及び板部材66と板部材67との間は、糸が屈曲した状態で通過可能なように所定の隙間を有するように配置されている。両外側の板部材65、67は、中間の板部材66が動き得る程度の間隔にスペーサ68(図9参照)及び螺子68aにより固定されている。中間の板部材66は、右端部に上方へ突出する操作凸部66a(図7参照)を一体的に有し、前記スペーサ68や他のガイド部(図示略)によって、両外側の板部材65、67に対し左右方向に移動操作可能に設けられている。
【0035】
この糸案内部材50に設けられた糸案内部50a〜50jは、前側の板部材65に形成された10個の外側糸挿通穴70a〜70j(図7参照)と、後側の板部材67に形成された10個の外側糸挿通穴71a〜71j(図3参照)と、中間の板部材66に形成された10個の中側糸挿通穴(図示略)とから構成されている。これら外側糸挿通穴70a〜70j及び71a〜71jは、前後両側の板部材65及び板部材67に夫々、略等間隔で且つ互いに正面視にて対向する同じ位置に設けられている。前記中側糸挿通穴も、中間の板部材66に、外側糸挿通穴70a〜70j、71a〜71jと同様のピッチ間隔で形成されている。中間の板部材66は、操作凸部66aにて左右方向へ移動されることにより、外側糸挿通穴70a〜70j,71a〜71jに対して中側糸挿通穴の位置が左右方向へずれた使用位置(縫製時における使用位置)と、外側糸挿通穴70a〜70j,71a〜71jに対して中側糸挿通穴の位置が略合致した糸通し位置とに切換え可能とされている。糸通し位置では、相互に位置が合致する外側糸挿通穴70a〜70j、71a〜71jと中側糸挿通穴とに糸を挿入することが可能であり、この状態から、使用位置に中間の板部材66を移動させることにより、外側糸挿通穴70a〜70j、71a〜71jに対し中側糸挿通穴が左右方向にずれて上糸T1〜T10が屈曲される。
【0036】
さて、前記分割支柱51,52は、複数に分割された支持手段(支柱)である。この2つの分割支柱51,52は、互いに同一構造であり、ミシン本体7の中心を通り上下方向に延びる直線L2を対称軸としてベース部材53上に左右対称に配設されたものであるので、左側の分割支柱51を主として説明する。
分割支柱51は、上端部が糸案内部材50に対して揺動可能に枢支された上側支柱73と、下端部がベース部材53に対して揺動可能に枢支された下側支柱74とを有する。上側支柱73及び下側支柱74は、例えば、金属板から相互に略同じ長さの長尺形状をなし、内側(直線L2側)が開放された断面「コ」字状に形成されている。図9に示すように、上側支柱73は、上端部に形成された前後一対の枢支ピン用孔部73aと、下端部に形成された前後一対の連結軸用孔部73bとを有する。下側支柱74も、上端部の連結軸用孔部74bと下端部の枢支ピン用孔部74aとを有する。
【0037】
上側支柱73及び下側支柱74は、連結軸用孔部73b及び連結軸用孔部74bを前後に連ねた状態で連結ピン(連結部)75が挿通されることにより、揺動可能に連結されている。連結手段としての連結ピン75は、その後端部において一対の止め輪79により抜け止めされている。連結ピン75の外周部には、弾性部材としてのねじりコイルばね76が配置されている。ねじりコイルばね76は、一端76aが上側支柱73の側壁部73dに係止され、他端76bが下側支柱74の側壁部74dに係止されている。それゆえ、ねじりコイルばね76は、上側支柱73を図8中、矢印D3方向へ、下側支柱74を矢印D4方向へ夫々付勢すると共に、その付勢力は分割支柱51が連結ピン75の部分で急に「く」字状(図12参照)に屈曲しないように設定されている。
【0038】
右側の分割支柱52は、前述のように分割支柱51と同一構造を有し、前記直線L2を対称軸として左右対称に配設されたものであり、上側支柱73、下側支柱74、連結ピン75及びねじりコイルばね76を備えている。これら2つの分割支柱51,52は、夫々の上端部の枢支ピン用孔部73a,73aに挿通される上側枢支ピン59,60により糸案内部材50に対して揺動可能に枢支されると共に、夫々の下端部の枢支ピン用孔部74a,74aに挿通された下側枢支ピン57,58によりベース部材53に対して揺動可能に枢支されている。これにより、分割支柱51,52は、上側支柱73,73と下側支柱74,74とが上下に略直列となって糸案内部材50を使用時の上方位置に位置させる第1姿勢(図8参照)と、上側支柱73,73と下側支柱74,74とが連結ピン75部分で屈曲して糸案内部材50を不使用時の収納位置に位置させる第2姿勢(図12参照)との間で切換わるようになっている。
【0039】
この分割支柱51,52の上端部及び下端部の取付け構造について、図13、図14も参照しながら説明する。
図13(a)に示すように、一対の上側支柱73,73上端部には、左右一対の扇状部分を有する係止板部77、78が配置されている。左右の係止板部77,78は、金属板から互いに左右対称に形成されている。このうち、左側の係止板部77は、その下半部(前記扇状部分)外縁に沿う円弧状のガイド溝77aが形成されると共に、その円弧の略中心部に、枢支ピン用孔部77bが形成されている。右側の係止板部78も同様に、円弧状のガイド溝78aと枢支ピン用孔部78bが形成されている。図9に示すように、係止板部77,78は、前記渡し部材61の前端部において糸案内部材50の後面側と分割支柱51,52の前面側に沿うように配置された状態で一対の螺子63cにより取付け固定されている。また、渡し部材61前部の下側には、一対の枢支ピン装着部61a,61aが一体に形成されている。
【0040】
上側枢支ピン59,60は、枢支手段として、前記枢支ピン装着部61a,61aを貫通し、分割支柱51,52の枢支ピン用孔部73a,73a及び係止板部77,78の枢支ピン用孔部77b,78bに夫々挿通されている。上側枢支ピン59,60は、夫々の後端部において一対の止め輪79により抜け止めされている。
一対の上側支柱73,73上端部には、係止板部77,78のガイド溝77a,78aに臨む部位にバーリング加工により雌螺子部73c,73cが形成されている。上側支柱73,73は、ガイド溝77a,78aに夫々挿通された係止螺子80が雌螺子部73c,73cに螺挿されることより締結固定される。即ち、係止板部77,78と一対の係止螺子80及び雌螺子部73cは、上側支柱73,73の揺動を係止可能な揺動係止手段72を構成し、係止螺子80及び雌螺子部73cによる締結固定によって分割支柱51,52を所望の姿勢に保持することができる。他方、係止螺子80を緩めることにより、上側支柱73,73に対する係止が解除され、分割支柱51,52の姿勢を変更することができる。この上側支柱73,73の揺動の際、係止螺子80,80がガイド溝77a,78aの内壁の両端に当接することで、上側支柱73,73の揺動範囲が規制され、以って分割支柱51,52の姿勢が前記の第1姿勢と第2姿勢との間で切換るようになっている。上記揺動係止手段72及びねじりコイルばね76は、本発明の保持手段87を構成する。
【0041】
図10、図14(a)に示すように、一対の下側支柱74,74の下端部には、前面側に位置して互いに噛合する一対のセクタギヤ81,82が左右対称に設けられている。詳細には、左側の下側支柱74の前面側には、下側枢支ピン57の軸心を中心とする円弧状のセクタギヤ81と、下半部に正面視にて円弧状のカム部83aを有するカム板83とが前後に重ねられた状態で一対の螺子84により取付け固定されている。カム板83のカム部83aは、正面視にてセクタギヤ81の外周に沿うように張出すと共に、その外縁部は前方へ突出する段状に屈曲形成されている(図10参照)。左側の下側支柱74の枢支ピン用孔部74aに挿通される下側枢支ピン57は、セクタギヤ81及びカム板83を貫通し且つ前記ベース部材53に対して前後に貫通するように設けられている。
【0042】
右側の下側支柱74の前面側には、下側枢支ピン58の軸心を中心とする円弧状のセクタギヤ82が一対の螺子84により取付け固定されている。また、右側の下側支柱74の枢支ピン用孔部74aに挿通される下側枢支ピン58は、セクタギヤ82を貫通し且つ前記ベース部材53に対して前後に貫通するように設けられている。枢支手段としての下側枢支ピン57,58は、夫々の後端部において一対の止め輪89(図10参照)により抜け止めされている。
ここで、セクタギヤ81,82は、ピッチ円直径が相等しく形成されており、左右の下側支柱74,74は、セクタギヤ81,82同士の噛合によって、下側枢支ピン57,58を中心として対称的に揺動する。また、セクタギヤ81,82は、正面視にてベース部材53上部のカバー部54a,55aによって前面側がカバーされ、下側支柱74,74の揺動時にはみでないようになっている(図14(a)、(b)参照)。また、この揺動の際、下側支柱74,74の側壁部74d、74dが、ベース部材53の内壁に対し当接することで(図14(a)参照)下側支柱74,74の揺動範囲が規制される。
【0043】
ベース部材53の内部には、上記の隙間Sに沿って検出スイッチ85が配置されると共に、この検出スイッチ85を保持するスイッチホルダ86が螺子86aにより固定されている。検出スイッチ85は、カム板83におけるカム部83aの外縁部に摺接(接触)可能な検出レバー85aを有する。この検出スイッチ85は、下側支柱74が揺動する際、検出レバー85aがカム部83aの外縁部と接触或は離間することに伴い所定方向へ動作することで、オンオフ動作する。これにより、検出スイッチ85は、分割支柱51,52の第1姿勢または第2姿勢を検出する検出手段として構成されている。尚、図14(a)には、検出スイッチ85のオンオフ信号を送出するリード線85bの一部を示している。このリード線85bは、スイッチホルダ86のリード線ホルダ部86bに通されて、支持台20に設けられた貫通孔20a(図9参照)からミシン本体7側に引き出され、制御装置18に接続されている。
【0044】
図5、図7に示すように、前記糸案内部50a〜50jと前記糸導入口部13a〜13jとの間には、中間糸案内部88a〜88jを有する中間糸案内部材88が配置されている。この中間糸案内部88a〜88jは、中間糸案内部材88を上下に貫通する丸孔状(図5参照)をなし、前記糸案内部50a〜50j(或は糸導入口部13a〜13j)と同じピッチ間隔で略水平方向に列をなす。
図7に示すように、中間糸案内部材88は、針棒ケース5と共に糸導入口部13a〜13jが移動する際、中間糸案内部リンク機構90により針棒ケース5の移動に応じて移動されるようになっている。中間糸案内部リンク機構90は、糸案内部材50と中間糸案内部材88とを連結する一対の第1リンク部材91,92と、中間糸案内部材88と糸調子台12の後端部とを連結する一対の第2リンク部材93,94とを備えている。
【0045】
左側の第1リンク部材91は、上端部が糸案内部材50の左端部に枢支ピン91aにより矢印D5方向へ回動可能に枢支され、下端部が前記中間糸案内部材88の左端部に枢支ピン91bにより矢印D5方向へ回動可能に枢支されている。右側の第1リンク部材92は、上端部が糸案内部材50の右端部に枢支ピン92aにより矢印D5方向へ回動可能に枢支され、他端部が中間糸案内部材88の右端部に枢支ピン92bにより矢印D5方向へ回動可能に枢支されている。図8に示すように、第1リンク部材91,92は、相互に同じリンク長さA(換言すればリンク支点部91a,91b間の距離とリンク支点部92a,92b間の距離が同じ)に設定されている。
【0046】
一方、左側の第2リンク部材93は、下端部が針棒ケース5における糸導入口13a近傍に設けられた支持片95に支軸95aを介して矢印D5方向へ回動可能に枢支され、上端部が中間糸案内部材88の左端部に前記ピン91bにより矢印D5方向へ回動可能に枢支されている。右側の第2リンク部材94は、下端部が針棒ケース5における糸導入口部13j近傍に設けられた支持片96に支軸96aを介して矢印D5方向へ回動可能に枢支され、上端部が中間糸案内部材88の右端部に前記ピン92bにより矢印D5方向へ回動可能に枢支されている。この第2リンク部材94のみ正面視にて略弓状に形成され、他のリンク部材91〜93は直線状に形状されているが、第2リンク部材93,94は相互に同じリンク長さB(換言すればリンク支点部95a,91b間の距離とリンク支点部96a,92b間の距離が同じ)に設定されている。
また、前記ピン91a,92a間の距離Cと、ピン91b、92b間の距離Dと、支軸95a,96a間の距離Eとは等しくなるように設定されており、上記したリンク長さA,Bと相俟って、前記リンク部材91〜94と中間糸案内部材88とで平行リンク機構が構成されている。
【0047】
前記上糸T1〜T10は、糸立て装置19における糸駒21a〜21jから上方に延びて、夫々、糸案内機構27の糸通し穴62a〜62j、糸案内部50a〜50jに挿通され、中間糸案内部88a〜88jを経由して糸導入口部13a〜13jに導入されている。この糸導入口部13a〜13jに導入された糸は、補助糸案内部14a〜14j、糸調子器15a〜15j、天秤11a〜11j等を経由する所定の糸供給経路を通って縫針10a〜10jの目穴(図示略)に挿通されている。ここで、上糸T1〜T10は、糸案内部50a〜50jと中間糸案内部88a〜88jと糸導入口部13a〜13jとの間において互いに平行に延びるように案内される(図1参照)。また、針棒ケース5が糸導入口部13a〜13jと共に移動しても、中間糸案内部リンク機構90によって、中間糸案内部88a〜88jを、糸案内部50a〜50jの並び方向及び糸導入口部13a〜13jの並び方向に対して平行に移動させることができ(図7参照)、糸絡みの発生が防止される。
【0048】
続いて、本実施形態の制御系の構成について、図11のブロック図を参照しながら説明する。制御装置18は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、内部にCPU18a、ROM18b、RAM18c、EEPROM18d、入出力インターフェース18e(I/O)、それらを結ぶバス18f等を有する。入出力インターフェース18eには、起動停止スイッチ6b、カードコネクタ6d、タッチパネル6e、検出スイッチ85が接続されると共に、ミシンモータ16、針棒ケース移動用モータ17、液晶ディスプレイ6a、ブザー6cを夫々駆動する駆動回路101,102,103,104が接続されている。
【0049】
上記液晶ディスプレイ6a、ブザー6と夫々の駆動回路103,104は、制御装置18と共に報知手段を構成する。即ち、制御装置18は、検出スイッチ85で検出された検出結果に基づき、分割支柱51,52の姿勢を液晶ディスプレイ6a或はブザー6cによりユーザに報知するようになっている。また、詳しくは後述するように、制御装置18は、分割支柱51,52が第1姿勢に切換ることに伴い検出スイッチ85がオン状態(図14(a)参照)となる場合にのみ、針棒ケース移動用モータ17の駆動を許容する。ROM18bには、縫製制御プログラム等が格納されており、RAM18cには、各種の制御を実行するに際して必要なメモリ類(バッファやカウンタ等)が必要に応じて設けられている。そして、制御装置18は、前記縫製制御プログラムに従って、ミシンモータ16等の各種アクチュエータを駆動制御し、加工布に対する縫製動作を実行するようになっている。
【0050】
上記構成の作用について説明する。図12、図15に示すように、第2姿勢の分割支柱51,52は、糸立て装置19において糸案内部材50が支持台20側に近接した不使用時の収納位置にあり、中間糸案内部材88及び中間糸案内部リンク機構90も収納状態にある。この状態において、図13(b)に示すように、分割支柱51,52は係止板部77,78にて一対の係止螺子80により締結固定されており、前記の収納位置が保持されている。また、検出スイッチ85は、検出レバー85aがカム部83aの外縁部と接触したオフ状態(図14(b)参照)にある。
この縫製開始前の状態において、制御装置18は、検出スイッチ85のオフ信号に基づき、液晶ディスプレイ6aに分割支柱51,52の第2姿勢を示す図柄(図示略、文字等による報知でもよい)を表示して、分割支柱51,52の第1姿勢への切換えをユーザに喚起する。また、この場合、仮にユーザが起動停止スイッチ6bを操作して縫製を開始しようとしても、制御装置18は、検出スイッチ85のオフ信号に基づきブザー6cを鳴動させることで、分割支柱51,52の第2姿勢をユーザに報知すると共に、針棒ケース移動用モータ17を駆動しないように制御する。即ち、糸案内部材50の収納位置にあっては、針棒ケース5は、両者50,5を接続する中間糸案内部リンク機構90によって、その移動が阻止されるため、針棒ケース移動用モータ17の駆動による過負荷等の問題が生じないよう、予め報知し或は当該モータ17の制御を行うのである。尚、ブザー6cを鳴動させる代わりに、図示は省略するが、スピーカを設けて音声を出力するようにしてもよい。
【0051】
分割支柱51,52を第1姿勢に切換える場合、ユーザは、係止螺子80を緩めて分割支柱51,52の締結固定状態を解除する。そして、分割支柱51,52を第2姿勢から第1姿勢に切換えることで、糸案内部材50を前記収納位置から糸駒21a〜21jよりも上方の上方位置まで移動させる。この切換えの際、分割支柱51,52は、セクタギヤ81,82同士の噛合によって、下側支柱74,74が下側枢支ピン57,58を中心として左右対称に揺動すると共に、上側支柱73,73も上側枢支ピン59,60を中心として左右対称に揺動する。そして、分割支柱51,52は、上側支柱73,73と下側支柱74,74が上下に略直列となった第1姿勢で、係止板部77,78にて一対の係止螺子80により締結固定され、当該第1姿勢が確実に保持される。また、図14(a)に示すように、分割支柱51,52が第1姿勢に切換わると(厳密には第1姿勢に切換る直前)、検出レバー85aがカム部83aの外縁部と離間することに伴い、検出スイッチ85がオン状態になる。これにより、制御装置18は、液晶ディスプレイ6aにおける分割支柱51,52の図柄の表示を第1姿勢に切換えると共に、多針ミシンMにおける前記モータ17の駆動と縫製動作を許容する。
【0052】
縫製終了後、ユーザは、係止板部77,78の一対の係止螺子80を緩めて、分割支柱51,52を第1姿勢から前述した第2姿勢に切換えることができる。この場合、係止螺子80を緩めても、ねじりコイルばね76により上側支柱73及び下側支柱74が常時、矢印D3及びD4方向に付勢されているため、糸案内部材50が自重により急に下降することはない。また、分割支柱51,52を、第1姿勢と第2姿勢とに切換える途中の中間姿勢において、再度、係止螺子80により係止板部77,78に対して上側支柱73,73を締結固定して、所望の姿勢に保持することができる。
【0053】
以上のように本実施形態の糸立て装置19において、分割支柱51,52を、上側支柱73,73と下側支柱74,74とが上下に略直列となって糸案内部材50を使用時の上方位置に位置させる第1姿勢と、上側支柱73,73と下側支柱74,74とが連結部で(連結ピン75周りで)屈曲して糸案内部材50を不使用時の収納位置に位置させる第2姿勢とに切換え可能に構成した。これによれば、使用時には、分割支柱51,52の第1姿勢において、糸駒21a〜21jよりも上方で糸案内部材50による糸の案内が行われる一方、不使用時には、分割支柱51,52は、上側支柱73,73と下側支柱74,74とを前記連結部にて屈曲させるだけで第2姿勢に切換る。この切換えにより、支持台20に対し糸案内部材50を収納位置に移動させたコンパクトな構成とすることができ、持ち運びや収納が容易となる。また、分割支柱51,52を第1姿勢と第2姿勢とに切換え可能に保持する保持手段87を設けたので、分割支柱51,52の姿勢、ひいては糸案内部材50の位置を保持することができ、糸案内部材50が不用意に移動することを防止して、上糸T1〜T10を適正に案内することができる。
【0054】
また、前記上側支柱73及び下側支柱74は、相互に略同じ長さに設定されているので、分割支柱51,52を第2姿勢に切換えた場合、分割支柱51,52を略半分の長さに折り畳むようにして連結部にて屈曲させることができ、その屈曲した分割支柱51,52の長さを極力短くして、よりコンパクトなものとすることができる。
糸案内部材50を支持する支柱を左右一対の分割支柱51,52により構成し、これら分割支柱51,52を支持台20上にて相互に左右対称に配置すると共に、夫々の上側支柱73,73の上端部で糸案内部材50の長手方向の略中央を支持するように設けた。これによれば、支持台20上で、2つの分割支柱51,52が互いに並行となる第1姿勢で糸案内部材50を略水平に保持することができる。また、これら2つの分割支柱51,52で、糸案内部材50の長手方向の略中央を支持するため、糸案内部材50をより安定的に支持することができる。
【0055】
2つの分割支柱51,52は、夫々の下側支柱74、74の下端部にギヤ81,82を備え、当該ギヤ81,82同士の噛合によって、下側支柱74、74が夫々の下端部を中心として対称的に揺動することに伴い、2つの分割支柱51,52が第1姿勢と第2姿勢との間で切換る。よって、2つの分割支柱51,52は、ギヤ81,82同士の噛合により、第1姿勢と第2姿勢との間で左右対称を保ちつつ切換るため、糸案内部材50を常に水平に支持することができる。また、2つの分割支柱51,52は互いに向き合う位置関係にあり、第2姿勢で均等に屈曲させることができ、極力コンパクトな構成にすることができる。
【0056】
保持手段87は、連結部としての連結ピン75に設けられ、上側支柱73と下側支柱74とを第1姿勢になるように弾性付勢するねじりコイルばね76と、上側支柱73の上端部に設けられ、糸案内部材50に対する上側支柱73の揺動を係止可能な揺動係止手段72を備える。この揺動係止手段72によって、糸案内部材50を所定の高さに確実に保持することができる。また、ねじりコイルばね76を連結ピン75に設けることにより、上側支柱73と下側支柱74の双方を付勢することで、揺動係止手段72による上側支柱73の揺動の係止が解除されたときに、糸案内部材50が自重により急に下降しないように支えることができる。
【0057】
揺動係止手段72は、分割支柱51,52が第1姿勢と第2姿勢とに切換わる途中の中間姿勢において、上側支柱73の揺動の係止が可能に構成されている。従って、分割支柱51,52の中間姿勢として、例えば糸案内部材50を上方位置から少し下げた所望の位置で保持して糸立て装置19を持ち運ぶ等、使い勝手のよいものとすることができる。
分割支柱51,52の第1姿勢または第2姿勢を検出する検出スイッチ85を設けると共に、報知手段として、当該検出結果に基づく分割支柱51,52の姿勢を液晶ディスプレイ6a或はブザー6cによりユーザに報知する制御装置18を設けた。従って、例えばユーザが糸案内部材50を上方位置へ切換えることを忘れていても、分割支柱51,52が第2姿勢であることを報知することで、糸案内部材50が収納位置のままで、多針ミシンMで縫製を行ってしまうような誤操作を確実に防止することができる。
【0058】
<第2実施形態>
図16は、本発明の第2実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なるところを説明する。図16(a)及び(b)は、分割支柱51´,52の第1姿勢及び第2姿勢における糸案内機構110の模式図で、第1実施形態と同一部分には同一符号を付している。
本第2実施形態の糸案内機構110は、第1実施形態の糸案内機構27とは以下の点について相違する。即ち、糸案内機構110における2つの分割支柱51´,52のうち、左側の分割支柱51´は、第1実施形態の分割支柱51と同一構造を有するが、当該支柱51の前後を逆に180度向きをかえた状態で、上側枢支ピン59と下側枢支ピン57との間に揺動可能に取付けられている。また、左側の分割支柱51´の上側における係止板部77´も、第1実施形態の係止板部77の前面側を後面側にした形態で配置されている。また、左右の連結ピン75,75を連結する連結腕111を、当該連結ピン75,75に対して揺動可能に設ける。この連結腕111の長さ寸法を、連結ピン75,75間の距離と、上側枢支ピン59,60(或は下側枢支ピン57,58)間の距離とが等しくなるように設定することで、上側支柱73,73と連結腕111、及び下側支柱74,74と連結腕111が、夫々平行リンク機構となるように構成する。そして、係止板部77´,78のガイド溝(図示略)で、上側支柱73,73の揺動範囲を規制することにより、分割支柱51´,52は、何れも上下方向に平行に延びる第1姿勢(図16(a)参照)と、何れも逆「く」字状に屈曲した第2姿勢(図16(b)参照)との間で切換るように構成される。
【0059】
ここで、連結腕111を設ける代わりに、図示は省略するが、分割支柱51´,52の下端部に、セクタギヤ81,82に代えて、夫々の下側支柱74,74を下側枢支ピン57,58の周りに同一方向(矢印D6方向)に回転させるためのギヤ機構(図示略)を設けるようにしてもよい。つまり、夫々の下側支柱74,74にピッチ円直径が相等しいギヤを夫々設けると共に、これらのギヤに挟まれる中間位置にアイドルギヤを設けるようにする。これらの各ギヤの噛合により、下側支柱74,74が同一方向に同一角度だけ回転するので、2つの分割支柱51´,52が第1姿勢と第2姿勢との間で互いに平行状態を保ちつつ切換わるように構成する。
このように、上記構成の糸案内機構110よれば、分割支柱51´,52を第1姿勢と第2姿勢にとの間で容易に切換ることができると共に、第2姿勢にて支持台20に対し糸案内部材50を収納位置に移動させたコンパクトな構成とすることができる。そして、この糸案内機構110においても、糸案内部材50を常に水平に支持することができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
尚、本発明は上記しかつ図面に示す実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。本発明の糸立て装置は、多針ミシンMに限られず、ミシン全般にも適用できるものである。
また、上記実施形態では、糸駒基台としての支持台20と分割糸駒台22,23とにより本発明の糸駒台を構成したが、これに限定されるものではない。即ち、糸駒台は、複数の糸駒が直接載置される糸駒基台のみで構成する等、その全体形状や糸駒の配置形態につき適宜変更してもよい。
分割支柱は、第1姿勢と第2姿勢との間で切換え可能に構成されていればよく、例えば、第2姿勢において糸案内部材の収納位置を図15に示した位置よりも低い位置に設定したり、上側支柱の長さと下側支柱の長さを異ならせる等、適宜変更してもよい。また、分割支柱は、上記実施形態における2つの分割支柱51,52に限定するものではなく、1つの分割支柱のみで構成してもよい。揺動係止手段72を分割支柱の下端部に配置し、ギヤ81,82等のギヤ機構を分割支柱の上端部に配設してもよい。揺動係止手段72を、係止螺子80等からなる螺合手段から構成したが、上側支柱あるいは下側支柱の揺動を係止する板ばね等を用いる他の係止手段を用いてもよい。針棒の個数は10個以外の適宜個数に変更してもよく、糸案内部の個数等はこれに合わせれば良い。
【符号の説明】
【0061】
M 多針ミシン
T1〜T10 糸
6a 液晶ディスプレイ(報知手段)
6c ブザー(報知手段)
18 制御装置(報知手段)
20 支持台(糸駒台)
21a〜21j 糸駒
22,23 分割糸駒台
27 糸案内機構
50 糸案内部材
50a〜50j 糸案内部
51,52 分割支柱
72 揺動係止手段
73 上側支柱
74 下側支柱
75 連結部
76 弾性部材
81,82 ギヤ
85 検出手段
87 保持手段
103,104 駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸駒が装着可能な糸駒台と、前記糸駒台に装着された前記複数の糸駒から延びる糸を当該糸駒よりも上方で夫々案内するための糸案内機構とを具備した糸立て装置であって、
前記糸案内機構は、
前記複数の糸駒から延びる糸を夫々案内し略水平方向に列をなす複数の糸案内部を有する糸案内部材と、
前記糸駒台上で前記糸案内部材を支持するように配置され、上端部が前記糸案内部材に対して揺動可能に枢支された上側支柱と下端部が前記糸駒台に対して揺動可能に枢支された下側支柱とからなる分割支柱と、
前記上側支柱と前記下側支柱とを揺動可能に連結する連結部と、
前記分割支柱を、前記上側支柱と前記下側支柱とが上下に略直列となって前記糸案内部材を使用時の上方位置に位置させる第1姿勢と、前記上側支柱と前記下側支柱とが前記連結部で屈曲して前記糸案内部材を不使用時の収納位置に位置させる第2姿勢とに切換え可能に保持する保持手段と、
を備えたことを特徴とする糸立て装置。
【請求項2】
前記上側支柱及び前記下側支柱は、相互に略同じ長さに設定されていることを特徴とする請求項1記載の糸立て装置。
【請求項3】
前記糸案内機構は、前記上側支柱及び前記下側支柱とは別個に、もう一組の上側支柱及び下側支柱からなる分割支柱を備え、
2つの前記分割支柱は、前記糸駒台上にて相互に対称に配置されると共に、夫々の前記上側支柱の上端部で前記糸案内部材の長手方向の略中央を支持するように設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の糸立て装置。
【請求項4】
2つの前記分割支柱は、夫々の前記下側支柱の下端部にギヤを備え、
前記ギヤ同士の噛合によって、前記下側支柱が夫々の下端部を中心として対称的に揺動することに伴い、2つの前記分割支柱が前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で切換ることを特徴とする請求項3記載の糸立て装置。
【請求項5】
前記保持手段は、
前記連結部に設けられ、前記上側支柱と前記下側支柱とを第1姿勢になるように弾性付勢する弾性部材と、
前記上側支柱の上端部に設けられ、前記糸案内部材に対する前記上側支柱の揺動を係止可能な揺動係止手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から4までの何れかに記載の糸立て装置。
【請求項6】
前記揺動係止手段は、前記分割支柱が前記第1姿勢と前記第2姿勢とに切換わる途中の中間姿勢において、前記上側支柱の揺動の係止が可能に構成されていることを特徴とする請求項5記載の糸立て装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れかに記載の糸立て装置を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項8】
前記分割支柱の前記第1姿勢または前記第2姿勢を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記分割支柱の前記第1姿勢または前記第2姿勢をユーザに報知する報知手段とを備えたことを特徴とする請求項7記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−19700(P2011−19700A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166770(P2009−166770)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】