説明

紙パック容器及びストロー

押圧折畳可能な紙パック容器20の上部に設けた挿入部36にストローを刺し込み、該容器を外方から押圧して平坦状に折畳んで内容物を押し出して飲用できる。前記容器の上下を平坦に折り曲げ、上方に位置して左右に突出した三角突部21を下方に折り曲げて該容器の側面部25に加熱加工により弱く接着結合する。前記容器の両側面部25の下方には、底面部24を底辺にして設けた三角面部の逆V型折目27と該頂部28から上方に垂直方向に縦折目29を設け、該縦折目29及び逆V型折目27を折畳んで該容器の側面部25を平坦状に折畳める。前記前面部30下方に第1水平折目31また上方に第2水平折目34を設け、前記上面部の手前側半分および底面部の手前側半分を前面部30上に平坦状に折畳めるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、紙パック容器に収容されたジュース、清涼飲料水、特に、ゼリー食品等の内容物を、吸引力を使用しないで外部からの押圧で飲用できる押圧変形可能な紙パック容器及びストローに関する。
【背景技術】
図16に示すように、牛乳、清涼飲料、ジュースなどの各種飲料を収容した紙パック容器1は、内部の各種飲料を飲用するためにストロー3を刺し込む挿入部2を容器の上面部9に設け、該挿入部を覆っている密封膜に先端を刺し込んだストローの上端から飲料を飲用している。ストロー3は、挿入部2に刺し込みやすくするため先端を斜状にし、透明袋5内に収容した状態で容器1の外面に取付けたものが特開2000−313435号に示されている。
従来のストロー3は、紙パック容器1の高さより長く形成し、該容器の外側に斜めに取付け、挿入部2に挿入した先端は容器の底部に届く長さを有し、内容物の液面が下がってもストローの先端は底部に届いているので該容器を傾けて片寄せた内容物を残さずに飲むことができる。しかし、挿入部2に刺し込んだストローを口に咥えて吸引しながら飲んだり、他の哺乳瓶やコップに移し替える場合、内容物が外部に流出すると容器内は徐々に減圧してストローから内容物が出なくなるため、該容器を外側から押圧して内圧を高める必要がある。
飲用によって内容物が減った容器を逆さにすると、ストローの先端が飲料から露出して内容物が飲めなくなる。また、ストロー3は、断面が同一形状で挿入部2に単に刺し込んであるため、誤って外方に引張ると挿入部2から簡単に抜けて、内容物が容器から流出して洋服などを汚すおそれがあった。このように従来のストローの有する問題点に鑑みて改善したストローが、特開2002−249172号や特開2002−355161号に示されている。
図1に示す如く、紙などからなる押圧変形可能な容器20に設けた挿入部36に挿入する改良型のストロー4aは、該容器内に一定以上挿入しないよう略中間部に任意形状の係止部6を設け、挿入部36に掛止してある。係止部6から容器20を形成する素材の厚みWと略同じ間隔を隔てた位置に通孔7、また、ストロー先端に斜状の開口部8を夫々設けてある。通孔7は1個でも複数個でもよい。この容器内の飲料は、ストローの開口部8の他に、通孔7から流出させて飲むことができる。
挿入部36に刺し込んだストロー4aから内容物をコップや哺乳瓶に移し替える場合、ストローの係止部6に接近して1又は2以上の通孔7を設けてあるため、容器20内の飲料は、開口部8または通孔7から取込んで他の容器に移し替えることができる。この場合、従来の長いストローだと、容器内の飲料が減少するとストローの先端が飲料外に露出して内容物を飲めなくなるが、図1に示すストロー4aは、先端に設けた開口部8の他に、容器20の壁面に接近して通孔7を設けてあるので、容器を逆さにすれば内容物を最後まで飲んだり、移し替えることができる(図14)。
上記改良ストロー4aの原理を利用した図2〜4に示す他の改良型ストロー4bの先端は、容器に設けた挿入部36に刺し込みやすくするためテーパー状をした先細筒11の先端に斜状の開口部8aを設け、中間部分には一定範囲で伸縮可能で折曲可能な蛇腹部10と挿入部36に刺し込んだストロー4bが簡単に脱出しないように、外径を略テーパー状にしてストッパー機能を有する係止部6a及び段部6bを設け、該係止部に接近して通孔7aを設けてある。図3に示すストローは、係止部6aの最大外径部に連続して垂直な段部6bをストロー外周面に設けてあり、図4に示すストローは係止部6aの最大外径部に連続した補強機能を有する筒状部6cの端部から垂直に設けた段部6bをストロー外周面のベース部12に連続して設けてある。
容器20の内容物が減少してストロー4b先端の開口部8aが飲料外に露出すると(図14)、内容物は通孔7aからストロー内に進入する。即ち、該容器20の底面部を上方にして挿入部36に刺し込んだストロー4bを口にくわえて吸い込めば最後まで飲用することができる。また、コップや哺乳瓶に内容物を移し替える場合は、残量が減ってストローの開口部8aが飲料外に露出しても通孔7aから内容物を取り込めるので他の容器に移し替えることができる。
従来の紙パック容器1の代表的なものを図16に示すが、内面にアルミ箔やポリエチレン樹脂などの耐水薄膜13(図14)を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密着させて方形箱型に折り曲げ、両側面部の上下左右に夫々突出させた三角突部を下方に折り曲げ、側面部及び底面部に接着結合して全体を矩形箱型に組立ててある。
【発明の開示】
紙パック容器1の上面部9に設けた挿入部2を密封している耐水膜は、ストロー3を刺し込むと該ストローの外周面に密着して外部に対して密封し、該ストローを口に咥えて吸引すると内容物の減少に応じて容器1の内部に生じる負圧により、該容器は外方から押圧されて変形する。その後、ストロー3から口を離すと該負圧により外気を内部に取り込んで元の状態に復帰し、再びストローを口に咥えて吸引し、之を繰返しながら内容物を飲むものである。一般的に、容器内の内容物はストローを口に咥えて吸引力により飲用するのが普通である。
しかし、清涼飲料などのように水溶液でなく、ゼリー飲料のように粘度を有する粘性流体の内容物の場合は、ストローで飲用するには強い吸引力を必要とする。そのため、乳幼児や病人や老人など体力が弱いと強い吸込力を出せないので、内容物を飲用することが困難であった。
さらに、軟らかい樹脂部材、例えばポリエチレンやアルミ箔などの柔軟な部材で形成して絞り込み可能な容器を手で保持して絞り込みながら中身のゼリー飲料を押し出す容器もある。この場合、吸引力は必要ではないが、絞り込むという強い力を必要とする上、容器の材料コストがかかり、その上、飲み終わった後の容器は、分別を必要とするためごみ処理に手間がかかる等という問題点を有していた。
本発明は、押圧変形可能な紙パック容器の外側から押圧して折畳み、吸込力を必要とすることなく中身の内容物を最後まで飲用し、また、他の容器に移し替えることができる紙パック容器及びストローを提供することを目的とする。
本発明は、内面に耐水薄膜を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密封し、これを折り曲げて、それぞれ対向する上面部35及び底面部24、前面部30及び後面部38、並びに1対の側面部25、25を形成すると共に、上方に位置して左右に突出させた三角突部21、21を側面部25、25に密着し、下方に位置して左右に突出させた三角突部22、22を底面部24に密着して方形箱型に成形してなり、前記上面部35にストロー挿入用の挿入部36を設けた紙パック容器であって、前記上方三角突部21、21を側面部25、25に加熱加工により弱く接着結合させることを特徴とする。この三角突部は側面部に弱く接着してあるので、爪を痛めることなく該側面部から容易に剥すことができ、該容器の側面部の上方部分を容易に折畳んで内容物を押し出すことができる。
また本発明は、内面に耐水薄膜を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密封し、これを折り曲げて、それぞれ対向する上面部35及び底面部24、前面部30及び後面部38、並びに1対の側面部25、25を形成すると共に、上方に位置して左右に突出させた三角突部21、21を側面部25、25に密着し、下方に位置して左右に突出させた三角突部22、22を底面部24に密着して方形箱型に成形してなり、前記上面部35にストロー挿入用の挿入部36を設けた紙パック容器であって、前記上方三角突部21、21を側面部25、25にフィルム40で密封包装させることを特徴とする。このフィルムを破ることにより三角面部を側面部から剥せるので、該容器の側面部の上方部分を折畳んで内容物を押し出すことができる。
また本発明は、内面に耐水薄膜を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密封し、これを折り曲げて、それぞれ対向する上面部35及び底面部24、前面部30及び後面部38、並びに1対の側面部25、25を形成すると共に、上方に位置して左右に突出させた三角突部21、21を側面部25、25に密着し、下方に位置して左右に突出させた三角突部22、22を底面部24に密着して方形箱型に成形してなり、前記上面部35にストロー挿入用の挿入部36を設けた紙パック容器であって、前記1対の側面部25、25に、側面部25、25と底面部24のなす交線である底辺部26、26を底辺とした二等辺三角形状の三角面部27a、27aを画定する逆V型折目27、27と、三角面部27a、27aの頂部28、28から上方三角突部21、21の頂部23、23に向かって延在する縦折目29、29とを具えることを特徴とする。このように上下端縁を密封した方形箱型の対をなす側面部に設けた縦折目と、下方に設けた逆V型折目の頂部を連結して設けてあるので、側面部の下部に設けた三角面部を外方に突出させて該側面部を二つ折りに平坦状に折畳んで内容物を外部に押し出すことができる。
また本発明は、前記三角面部27a、27aの両頂部28、28を通り、底面部24に平行な第1水平折目31を具えることを特徴とする。そのため、この方形箱型の底面部の手前部分を第1水平折目から前面部上に平坦状に折畳むことができる。
また本発明は、前記第1水平折目31が、前面部30及び後面部38の少なくとも一方を通ることを特徴とする。この第1水平折目31は前面部30に設けてもよいし、また後面部38に設けても同様に作用する。
また本発明は、前記第1水平折目31と底面部24との間の距離d1が、底面部24の幅w1の1/2であることを特徴とする。そのため、底面部24の手前側部分が第1水平折目32を内側にして前面部30上に平坦状に折畳むことができる。
また本発明は、前記第1水平折目31から底面部24の幅w1の自然数倍の距離を存し、かつ第1水平折目31に平行な少なくとも1本の補助折目32を具えることを特徴とする。このように大型の容器の場合には、前面部30に補助折目32を設ければ、前面部30上に平坦に折畳んだ底面部24を順に折り曲げながら内容物を上方に移動させてストローから外部に押し出すことができる。
また本発明は、前記上方三角突部21、21の両頂部23、23を通り、上面部35に平行な第2水平折目34を具えることを特徴とする。そのため、上方の三角突部21,21を側面部25,25から剥すことなく前面部に設けた第2水平折目34を内側にして上面部35の手前側半分を該前面部30上に平坦状に折畳んで、内容物を外部に押し出すことができる。
また、本発明は、前記第2水平折目34と上面部35との間の距離d2が上面部35の幅W2の1/2であることを特徴とする。そのため、上面部35の手前側部分が第2水平折目34を内側にして前面部30上に平坦状に折畳むことができる。
また本発明は、前記挿入部36は上面部35の後面部側に設けられており、前記第2水平折目34は前面部30を通ることを特徴とする。
また本発明は、粘度が10mPa・s以上の内容物が充填されていることを特徴とする。清涼飲料水などの場合は,粘度が低いので弱い吸引力でも吸引できるが、粘度の高い内容物例えばお粥などの場合は強い吸引力が出ないと内容物を吸引することが困難である。そのため本発明は、強い吸引力を必要とする例えば、10mPa・s以上の粘度の高い内容物を食する場合にも、吸引力を必要とせずに外部からの押圧力だけで容易に食することができる。
また本発明は、ストロー挿入用の挿入部36を有した押圧変形可能な容器20の該挿入部に着脱可能に装着されるストロー4bであって、円管状のベース部12と、前記容器の内面に係止してストローの脱出を防止する係止部6aと、該係止部に隣接した少なくとも1個の通孔7aとを有し、該通孔の開口面積の合計がベース部の直径方向断面積と同等以上であることを特徴とするストローである。
また本発明は、前記係止部6aが、その外径が飲み口側から通孔側に向って漸減するテーパー部を有することを特徴とするストローである。
また本発明は、前記係止部6aがテーパー部の最大外径がベース部12の外径とストロー管壁の厚さとの和より小さく、ベース部の外径より大きく設けてあることを特徴とするストローである。
本発明は、折畳可能な容器と粘度流体から成る内容物の流出を容易にする紙パック容器及びストローであって、押圧変形可能な容器の内容物を飲用するため、該容器の挿入部に刺し込んだストローを口で吸引しなくても、又は、吸引することができなくてもこの容器を平坦状に折畳めるように案内用の折目を設け、該容器を外側から押圧して平坦状に変形させて内容物をストローから外部に押し出すことができる。粘度の高い流体からなる内容物を飲用するには、強い吸込力を必要とするが、乳幼児や老人や病人など体力が無いため強い吸引力を出せない人でも、該容器を外方からの押圧力で内容物を外部に流出させて飲用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は第1のストローの断面図、図2は第2のストローの平面図、図3は図2の要部拡大断面図、図4はストローの他の実施例を示した要部拡大断面図、図5は本発明に係る紙パック容器の斜視図、図6は容器上方の三角突部を上方に折り返した状態の正面図、図7はストローを挿入部に刺し込んで容器の上面部をなす前面部と後面部を夫々平坦に密着させた状態の正面図、図8は容器底面部の前側半分を第1水平折目から手前側に折畳んで平坦状にした状態の平面図、図9は補助折目から底面部を手前側上方に折畳んで平坦状にした状態の平面図、図10は第2補助折目から底面部を手前側上方に折畳んで平坦状にした状態の平面図、図11は第2の実施形態の紙パック容器の斜視図、図12は同容器を平坦に折畳んだ状態の平面図、図13は図12の裏面図、図14は容器の挿入部にストローを刺し込んだ状態の断面図、図15は紙パック容器を3ケまとめて透明フィルムで包装した状態の側面図、図16は従来の紙パック容器の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施形態を添付した図面により詳細に説明する。
図5に示した押圧変形可能な容器20について説明すると、内面に耐水薄膜13(図14)を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密封して折り曲げて設けた方形箱型15の対をなす両側面部25,25と、前面部30及び後面部38とを設け、該前面部及び後面部の上下を平坦に折畳んで左右に突出させて三角面部21,21、22,22をそれぞれ形成してある。下方の三角突部22,22は夫々下方に折り曲げて底面部24の下面に接着結合させてある(図6)。さらに、上方の三角突部21,21は下方に折り曲げて側面部25,25に弱く加熱接着してある(図6)。
前記容器20を構成する方形箱型15に設けた対をなす側面部25,25の下方には、底面部24の端縁である底辺部26,26と、該底辺部を底辺にして直角二等辺三角形の稜線の頂部を結んだ逆V型折目27,27とで設けた三角面部27a、27aを設けてある。さらに、該逆V型折目の頂部28,28と側面部の中間部分に上下方向に設けた縦折目29,29とを連結し、縦折目29,29の上端は側面部の上端まで設けてある。さらに、前面部30には下方から順に第1水平折目31、補助折目32,33を底面部24とそれぞれ平行に形成し、さらに、上面部35にはストローを刺し込む挿入部36を設けてある。
押圧変形可能な容器20の上面を底面部24と略平行な平坦にした上面部35の左右に突出した三角突部21,21を下方に折り曲げて両側面部25,25に密着させるか、または、加熱加工により該三角突部21,21を該側面部に弱く接着させる。即ち、加熱温度または加熱時間を調整すれば接着強度を自由に調整することができる。具体的には、体力の弱い乳幼児や病人でも容易に三角突部21,21を剥すことができるように、接着強度を好ましくは15N/15mm以下、より好ましくは10N/15mmとする。この三角突部21,21は、下方に折り曲げて側面部25,25に密着させ、その外側から例えば透明なフィルム40で密封包装して、前記容器20の上方に位置する側面部25,25を補強する。
図15に示すように、前記容器20を3個透明なフィルム40で包装して1パックにまとめて取扱い易くする場合、該フィルムで上方の三角突部21,21を各側面部25,25に密着して該側面部の上方を補強する。また、前記容器20が1個で、該容器の外側を透明フィルム40で包装しない場合は、該三角突部21,21を側面部25,25に加熱加工により弱く接着して側面部25,25の上方を補強する。
前記容器20の下方で左右に突出した三角突部22、22は、底面部24の下面に折り曲げて一体に接着してあり、該底面部の端縁に位置する底辺部26,26によって側面部25、25の下部は補強される。このように上下の三角突部21,21、22,22によって容器20の両側面部25,25は補強され、方形箱型15を維持できる。
透明なフィルム40を破いて側面部25,25に密着している上方の三角突部21,21を剥し、または、該側面部25に弱く接着している上方の三角突部21、21を、マニキュアした長い爪で剥す場合は弱い力でよいので、マニキュアが剥れたり、長い爪が割れたりすることはない。該三角突部21,21を上方に折り返して水平にする(図6)と、該側面部25の上方部分の幅方向の強度が失われる。そのため、容器の上部両角部A,A(図5)をそれぞれ外方から押圧すると、該側面部の上方は縦折目29,29を外方にして二つ折りに折畳まれ、三角突部21,21が解消して前面部30と後面部38は縦折目29,29から二つ折りされて平坦状になり、外方から加えられた押圧力によって容器の上方部分は平坦に変形し、内容物をストロー4bから外部に押し出すことができる(図7)。
内容物は、清涼飲料のように粘度が低いと吸引力が弱くても吸引できるが、お粥のようなゼリー状食品の粘度の上限は100万mPa・sであり、その下限は10mPa・s以上であることが適当である。即ち、このように粘度の濃い内容物の場合、病人や老人など強い吸引力でストローを吸引しないと内容物を食することはできないが、本発明では吸引力は必要なく、容器を外部から押圧することにより内容物を押し出すことができる。そのため、本人以外の介助者が容器を押圧して内容物を食べさせることもできる。
容器の側面部25,25の下方に設けた逆V型折目27,27の該頂部28,28を通る水平線S、Sと前面部30との交点を結んで底面部24と平行な第1水平折目31を前面部30の下方に設けてあるため、容器の底面部24の手前側の両角部B、Bを斜め上方に押圧すると、折目31を内側にして該底面部の手前側略半分は前面部30上に平担に折畳むことができる(図8)。第1水平折目31を内側にして底面部24の幅W1の手前部分の半分を前面部30上に折畳むと、側面部25,25の下方部分は、逆V型折目27,27が折畳まれ外方に突出した頂部28,28を有する三角面部27a,27aは底面部24の両側外方に突出する。
底面部24及び該底面部の両側に位置した各三角面部27aは、該底面部24と一体の底面部分となって、第1水平折目31を内側にして折畳まれた該底面部の手前部分は前面部30上に平坦状に折畳まれ、前記頂部28,28に連結する縦折目29,29は外方に突出し、側面部25,25は二つ折りに折畳まれて前面部30と後面部38とは平坦に折畳まれ、内容物は挿入口36に挿入したストローから外部に流出する。
底面部24と平行に設けた第1水平折目31は前面部30に設けられ、該折目31と底面部24との距離は、底面部24の横幅w1の半分の長さd1の距離に設けてあるので、第1水平折目31を内側にして折畳んだ底面部24の手前側半分は、前面部30上に平坦状に折畳まれる(図8)。
前記容器の前面部30に設けた第1水平折目31と平行で、且つ、底面部24の横巾w1と略同じ距離に補助折目32を設け、さらに、容器20が長い場合には必要に応じて第2の補助折目33を設け、底面部24を同一方向に順に折畳んで容器内の内容物を押し出すようにしてもよい(図10)。
上記のように、両側面部25,25の中間部分に垂直方向に設けた縦折目29,29と、下方の逆V型折目27,27の頂部28,28とを連結して設けてあるので、上方の三角突部21,21を側面部25,25から離して略水平にした後(図6)、上方の両側端角部の各交点A,A、A,Aを外方から押圧して折畳み、また、下方の手前側の両角部B、Bを斜め上方に押圧すると、図8に示した第1水平折目31を内側にして底面部24は平坦状に折畳まれる。前面部30には下方から夫々第1水平折目31、補助折目32,33を設けてあるので、両側面部25は前記縦折目29を外方に突出して二つ折りに折畳んで平坦にすると共に、第1水平折目31を内側にして底面部24の幅w1の手前側半分を前面部30上に平坦状に折畳み、内容物を押し出すことができる。
本発明の他の実施形態を図11に基づいて説明すると、容量が100〜125ml程度の小型の押圧変形可能な容器20aは、図5と略同じ形状で折目が多少相違し、筒状に形成した厚紙材の上下端を密封して方形箱型15に折り曲げて両側面部25,25と前面部30と後面部38とを設け、該方形箱型15の上下を平坦に形成してある。前記容器20aの上下を左右に突出して設けた上下の三角突部21,21及び22,22(図8)をそれぞれ下方に折り曲げ、上方の三角突部21,21は側面部25,25に、また、下方の三角突部22,22は底面部24の下面に夫々接着してある。なお、前記符号と同じ符号は同じものを表している。
方形箱型15の下方には、底面部24の端縁である底辺部26を底辺にした直角二等辺三角形の稜線の頂部を結ぶ逆V型折目27,27の頂部28,28と、側面部25,25の中間に位置して垂直方向に設けた縦折目29,29とを連結してある。縦折目29,29の上部は上方の三角突部21、21の下部を通る水平線T、Tの一端と連結し、該水平線T、Tの他端と前面部30との交点を結んで、底面部24と平行な第2水平折目34を前面部30に設けてある。また、前記逆V型折目27,27の頂部28,28を通る水平線S、Sと前面部30の交点を結ぶ直線上に設けた第1水平折目31を前面部30の下方に設けてある。尚、上面部35に設けた挿入部36は図5と相違して容器耳部35aを有する側と反対側に形成し、容器耳部35aの手前側の上面部35は第2水平折目34を内側にして前面部30上に折畳まれても、挿入口36を有する側の上面部は該折目34を内側にして折畳まれる側ではないので、該挿入口に挿入したストローに無理な力は加わらない。
容器20a内の内容物を食する場合、挿入部36にストローを挿入し、該ストローの端部を口に咥えて該容器の前面部30と後面部38の上部両側を下方に、また、下部手前側両端を上方に外側から押圧すると、側面部25、25はその中間に設けた縦折目29、29が外方に突出して二つ折りに折畳まれて平坦状になり、内容物を挿入部36に挿入したストローから外部に押し出すことができる。
容器20aは、前面部30の上方に設けた第2水平折目34と、下方に設けた第1水平折目31を夫々内側にして折畳むと、上面部35及び底面部24は前面部30上に平坦状になって容器を外部から押圧して内容物を外部に押し出すことができる。容器20aは、図12、13に示すように、底面部24と上面部35は平坦状になって前面部30上に折畳まれ容器の内部は狭められる。この場合、前面部30と後面部38を外方から押圧すると、第2水平折目34を内側にして上面部35の幅W2の手前側半分は上面部30上に折畳まれ、また、第1水平折目31を内側にして底面部24の手前側半分は前面部30上に折畳まれ、該容器20aは平坦状に折畳まれる。容器の裏面図は、図13に示すように後面部38は平面状となり、容器は平坦状に押し潰されて吸引力を必要とすることなく外部からの押圧によってストロー4bから押し出すことができる。特に、容器が100ml又は125ml程度の小型の場合には、前面部30に図5に示すように補助折目32,33を設ける必要はない。このように第1の実施態様と異なり、三角突部21,21を側面部25から剥す必要が無いので,爪などを痛めることがないし、指先が自由にならない病人、老人、幼児などにとって便利である。
このように、容器20を外側から押圧して平坦状に折畳むことにより、体力の弱い病人や老人や幼児などが吸込力を必要とすることなく粘度の高い内容物をストローから容器外部に押出して安心して食することができる。ここで、押圧変形可能な容器とは、紙パック容器、プラスチック容器などで外部から押圧することにより平坦状に折畳まれる部材で形成した容器一般を意味している。
本発明の実施形態のストローについて説明すると、紙材や合成樹脂材により筒状に形成してあり、ストローの中間部には飲み口側から折曲可能な蛇腹部10と先端側に向って漸減するテーパー部をした係止部と、係止部6aに接して設けた通孔7aと、先細筒11と、開口部8aとを夫々設けてある。このストローの先端に設けた先細筒11は,挿入部36に刺し込む際に,中心から少しずれて刺し込んでもテーパー部にガイドされ,正しく刺し込むことができる。この通孔7aは、ストローの直径方向断面積と同等以上の開口面積を有している。ここで、開口面積とは、ストローの外周面を展開した平面上の面積をいう。即ち、ストローに設けた通孔の開口面積の大きさが該ストローの断面積未満の場合には、押し出しに要する力が過大となってしまうおそれがある。また、ストロー強度を確保する観点から、通孔の開口面積はストローの断面積の3倍以下とすることが好ましい。
ストローの係止部6aは、飲み口側から通孔7a側に向って外径を先細状になるようテーパー部に形成してある。そして、該係止部の最大外径は、ストローの外径とストローの管壁厚との和より小さいことが必要である。例えば、ストローの外径は6.3mmであって、その管壁厚は1mmであり、両者の和であるその最大外径の寸法は7.3mmである。そして、係止部6の最大外径が数値7.3mm以上の場合には、ストローの係止部6aを容器の挿入部36に刺し込めないという製造上の問題が発生する。また、係止部6aの最小外径は、ストロー外径6.3mmより短いことが必要である。このように、係止部6aに飲み口側から通孔側に向って漸減するテーパー部を設けてあるので挿入部36に挿入しやすく、いったん挿入されると抜け難いという効果を有する。
【実施例】
紙パック容器20の内部に粘性流体を30ml詰め、該容器に一定の外圧5kPaを加え、30mlの内容物が全て流出するまでの時間を計測すると、以下のような結果を得た。ここで、従来のストローの断面外径は5mm又は6mmであり、管壁厚は1.0mmである。之に対し、本発明のストローの外径は6.3mmである。
従来のストロー 4秒
本発明のストロー 2秒
ストローを用いて粘性流体からなる内容物を飲用する場合、本発明に用いたストロー4bは、従来のストロー3に比べて半分の時間に短縮することができた。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に耐水薄膜を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密封し、これを折り曲げて、それぞれ対向する上面部(35)及び底面部(24)、前面部(30)及び後面部(38)、並びに1対の側面部(25、25)を形成すると共に、上方に位置して左右に突出させた三角突部(21、21)を側面部(25、25)に密着し、下方に位置して左右に突出させた三角突部(22、22)を底面部(24)に密着して方形箱型に成形してなり、前記上面部(35)にストロー挿入用の挿入部(36)を設けた紙パック容器であって、前記上方三角突部(21、21)を側面部(25、25)に加熱加工により弱く接着結合させることを特徴とする紙パック容器。
【請求項2】
内面に耐水薄膜を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密封し、これを折り曲げて、それぞれ対向する上面部(35)及び底面部(24)、前面部(30)及び後面部(38)、並びに1対の側面部(25、25)を形成すると共に、上方に位置して左右に突出させた三角突部(21、21)を側面部(25、25)に密着し、下方に位置して左右に突出させた三角突部(22、22)を底面部(24)に密着して方形箱型に成形してなり、前記上面部(35)にストロー挿入用の挿入部(36)を設けた紙パック容器であって、前記上方三角突部(21、21)を側面部(25、25)にフィルム(40)で密封包装させることを特徴とする紙パック容器。
【請求項3】
内面に耐水薄膜を設けた厚紙材を筒状に形成し、その上下端縁を密封し、これを折り曲げて、それぞれ対向する上面部(35)及び底面部(24)、前面部(30)及び後面部(38)、並びに1対の側面部(25、25)を形成すると共に、上方に位置して左右に突出させた三角突部(21、21)を側面部(25、25)に密着し、下方に位置して左右に突出させた三角突部(22、22)を底面部(24)に密着して方形箱型に成形してなり、前記上面部(35)にストロー挿入用の挿入部(36)を設けた紙パック容器であって、前記1対の側面部(25、25)に、側面部(25、25)と底面部(24)のなす交線である底辺部(26、26)を底辺とした二等辺三角形状の三角面部(27a、27a)を画定する逆V型折目(27、27)と、三角面部(27a、27a)の頂部(28、28)から上方三角突部(21、21)の頂部(23、23)に向かって延在する縦折目(29、29)とを具えることを特徴とする紙パック容器。
【請求項4】
前記三角面部(27a、27a)の両頂部(28、28)を通り、底面部(24)に平行な第1水平折目(31)を具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙パック容器。
【請求項5】
前記第1水平折目(31)は、前面部(30)及び後面部(38)の少なくとも一方を通ることを特徴とする請求項4に記載の紙パック容器。
【請求項6】
前記第1水平折目(31)と底面部(24)との間の距離(d1)が、底面部(24)の幅(w1)の1/2であることを特徴とする請求項4又は5に記載の紙パック容器。
【請求項7】
前記第1水平折目(31)から底面部(24)の幅(w1)の自然数倍の距離を存し、かつ第1水平折目(31)に平行な少なくとも1本の補助折目(32)を具えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の紙パック容器。
【請求項8】
前記上方三角突部(21、21)の両頂部(23、23)を通り、上面部(35)に平行な第2水平折目(34)を具えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の紙パック容器。
【請求項9】
前記第2水平折目(34)と上面部(35)との間の距離(d2)が上面部(35)の幅(w2)の1/2であることを特徴とする請求項8に記載の紙パック容器。
【請求項10】
前記挿入部(36)は上面部(35)の後面部側に設けられており、前記第2水平折目(34)は前面部(30)を通ることを特徴とする請求項7又は8に記載の紙パック容器。
【請求項11】
粘度が10mPa・s以上の内容物が充填されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の紙パック容器。
【請求項12】
ストロー挿入用の挿入部(36)を有した押圧変形可能な容器(20)の該挿入部に着脱可能に装着されるストロー(4b)であって、円管状のベース部(12)と、前記容器の内面に係止してストローの脱出を防止する係止部(6a)と、該係止部に隣接した少なくとも1個の通孔(7a)とを有し、該通孔の開口面積の合計がベース部の直径方向断面積と同等以上であることを特徴とするストロー。
【請求項13】
前記係止部(6a)は、その外径が飲み口側から通孔側に向って漸減するテーパー部を有することを特徴とする請求項12記載のストロー。
【請求項14】
前記係止部(6a)は、テーパー部の最大外径がベース部(12)の外径とストロー管壁の厚さとの和より小さく、ベース部の外径より大きく設けてあることを特徴とする請求項12記載のストロー。

【国際公開番号】WO2005/014430
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【発行日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513035(P2005−513035)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011682
【国際出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【出願人】(592069470)ゴールドパック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】