説明

紙容器入り無菌充填包装食品

【課題】 常温保存・流通可能であり、かつ環境に配慮した紙容器入り無菌充填包装食品を提供すること。
【解決手段】 調理済食品を、ガスバリア性を有しかつ紙としてリサイクル可能な素材を使用し、また耐熱性を有しかつ電子レンジで加熱可能であるとともに、湯煎が可能なように容器表面が耐水処理されている紙容器に無菌充填包装し、密封シールを行う際ヘッドスペースに不活性ガス置換処理をおこなうことにより、常温保存・流通可能な紙容器入り無菌充填包装食品を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理済食品をガスバリア性の有る紙容器に無菌充填包装してなる、常温保存・流通可能な紙容器入り無菌充填包装食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調理済食品を常温保存・流通可能な形態で消費者に提供するものとして、缶詰やレトルトパウチ食品が市場に流通している。
【0003】
また近年は、カレーやグラタン、米飯などにおいて、電子レンジで直接容器入りのまま加熱し喫食できる合成樹脂容器入りレトルト食品も普及しており、一部米飯については合成樹脂容器入り無菌充填包装食品も普及している。
【0004】
一方、液状食品や飲料においては、紙容器に無菌充填包装された製品が市場に普及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の食生活は、女性の社会進出、核家族化、高齢化世帯や独居世帯の増加などの社会構造の変化、また消費者のライフスタイルパターンの変化などにより、消費者がより簡便な食品を求めるようになってきており、その現れとしてコンビニやスーパーなどの惣菜・弁当などが益々普及してきている。
【0006】
しかし、コンビニやスーパーで販売される惣菜・弁当などの調理済食品は、造りたてのおいしさは提供できるが、保存・流通に温度管理が必要であるうえ消費期限が短く、売れ残りについては廃棄処分や食品リサイクルに供されており、食料資源の有効利用の観点からは無駄が多い。
【0007】
調理済食品を提供するにあたり、保存・流通性に優れているものとしては、缶詰食品、レトルトパウチ食品、レトルト又は無菌充填の合成樹脂容器入り食品があり、常温保存・流通が可能であるうえ消費期限が長く、内容物を無駄なく喫食することができる。
【0008】
しかしながら、常温保存・流通可能な調理済食品を、家庭内の平常時のランニングストックとして、また災害等の非常時に備えた備蓄食品、援助物資食品として考えた場合、缶詰食品、レトルトパウチ食品、レトルト又は無菌充填の合成樹脂容器入り食品は、保存・流通性、内容物の多様性、個別包装である点で優れた食品であるが、包装容器に着目した場合、近年の省資源・環境対策の観点から見ると過剰包装であるうえ、特に災害時においては包装容器の処理に際し保管・処分に問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の調理済食品の提供形態が有していた問題を解決しようとするものであり、常温保存・流通可能であり、かつ環境に配慮した紙容器入り調理済食品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、本発明は上記目的を達成するために、調理済食品をガスバリア性の有る紙容器に無菌充填包装してなる、常温保存・流通可能な紙容器入り無菌充填包装食品を得ることを特徴とするものである。
【0011】
また、紙容器が紙としてリサイクル可能な素材を使用している、紙容器入り無菌充填包装食品であることを特徴とするものである。
【0012】
また、紙容器が耐熱性を有しかつ電子レンジで加熱可能であるとともに、湯煎が可能なように容器表面が耐水処理されている、紙容器入り無菌充填包装食品であることを特徴とするものである。
【0013】
また、調理済食品を紙容器に無菌充填包装し密封シールを行う際、ヘッドスペースを窒素ガス等の毒性のない不活性ガスにより不活性ガス置換処理をおこなっている、紙容器入り無菌充填包装食品であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、調理済食品を造りたてのおいしさを保ったまま、常温保存・流通可能な形態で消費者に提供することができるうえ、通常の惣菜・弁当などの調理済食品と違い消費期限を長く設定できることから販売時の在庫管理が容易であり、近年問題となっている無駄な食品廃棄を回避する効果がある。
【0015】
また、常温保存・流通が可能なため輸送時に保冷車を使用する必要がないうえ、包装容器を軽量な紙容器とすることで製品自体が軽量化され、輸送時のトラック等による環境負荷の低減が図られることから、輸送に伴う二酸化炭素排出量の削減による地球温暖化防止に寄与する効果がある。
【0016】
また、紙容器の素材に間伐材を有効利用した紙を積極的に使用することにより、間伐の促進による森林保全・育成が図られることから、森林による二酸化炭素の吸収・固定による地球温暖化防止に寄与する効果がある。
【0017】
また、災害等の非常時の備蓄食品・援助物資食品として利用した場合、常温保存・流通が可能であるとともに高温多湿な時期の食中毒の危険性を回避できるうえ、紙容器ならば包装容器の処分・保管に際し潰すなどの減量化が簡単におこなえ、場合によっては燃料として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の紙容器入り無菌充填包装食品の製造工程の例を示す説明図である。
【図2】本発明の紙容器入り無菌充填包装食品の利用時の組み合わせ例を示す説明図である。なお、形状、大きさを限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の適用される食品は、加熱調理殺菌が施された調理済食品のすべてに適用することができる。
【0020】
本発明の適用される紙容器は、ガスバリア性を有しかつ紙としてリサイクル可能な素材を使用しており、また、耐熱性を有しかつ電子レンジで加熱可能であるとともに、湯煎が可能なように容器表面が耐水処理されているものとし、特に限定されるものではないが、例えば凸版印刷のカートカンの素材が適用可能である。
【0021】
図1は、本発明における調理済食品を紙容器に無菌充填する製造工程の例であるが、クリーンルーム内で調理済食品を無菌処理済の紙容器に無菌充填しヘッドスペースを不活性ガス置換処理のうえ密封シールを行う方法は、特に限定されるものでなく常法に従って当該技術分野での公知の方法を採用することができる。
【0022】
本発明の適用される紙容器入り無菌充填包装食品の形状・大きさは特に限定されるものでないが、例えば日常において惣菜・弁当として利用する場合は、内容食品の種類や対象とする消費者の年齢・性別等を考慮した食べ切りサイズに個別包装することにより、図2に示すように主食・副食の自由な組み合わせが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理済食品をガスバリア性の有る紙容器に無菌充填包装してなる、常温保存・流通可能な紙容器入り無菌充填包装食品。
【請求項2】
前記紙容器入り無菌充填包装食品に使用する紙容器は、紙としてリサイクル可能な素材を使用していることを特徴とする請求項1に記載された紙容器入り無菌充填包装食品。
【請求項3】
前記紙容器入り無菌充填包装食品に使用する紙容器は、耐熱性を有しかつ電子レンジで加熱可能であるとともに、湯煎が可能なように容器表面が耐水処理されていることを特徴とする請求項1に記載された紙容器入り無菌充填包装食品。
【請求項4】
前記紙容器入り無菌充填包装食品は、調理済食品を紙容器に無菌充填し密封シールを行う際、ヘッドスペースを窒素ガス等の毒性のない不活性ガスにより不活性ガス置換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載された紙容器入り無菌充填包装食品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−37511(P2011−37511A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198948(P2009−198948)
【出願日】平成21年8月8日(2009.8.8)
【出願人】(508028896)
【Fターム(参考)】