紙種判別方法及び紙種判別機構
【課題】面倒な作業無しに紙種を正確に判別できる紙種判別方法を提供する。
【解決手段】記録領域(記録媒体10が通過する領域)を挟んだキャリッジ7のホームポジションとは反対側の位置には検査チャート11が配置されている。検査チャート11は、低い円柱状のものであり、その外周面には複数の記録媒体片27a,27b,…27g,……が等間隔で取り付けられている。複数の記録媒体片27a,27b,…それぞれは異なる紙種であり、各記録媒体片27a,27b,…は、検査チャート11の外周面に着脱自在に固定されている。検査チャート11は、後述するように回転し、この回転によって頂部(頂上)に位置した記録媒体片(図1では27g)は、キャリッジ7に搭載された検知センサ12と主走査方向において同一直線上になる。
【解決手段】記録領域(記録媒体10が通過する領域)を挟んだキャリッジ7のホームポジションとは反対側の位置には検査チャート11が配置されている。検査チャート11は、低い円柱状のものであり、その外周面には複数の記録媒体片27a,27b,…27g,……が等間隔で取り付けられている。複数の記録媒体片27a,27b,…それぞれは異なる紙種であり、各記録媒体片27a,27b,…は、検査チャート11の外周面に着脱自在に固定されている。検査チャート11は、後述するように回転し、この回転によって頂部(頂上)に位置した記録媒体片(図1では27g)は、キャリッジ7に搭載された検知センサ12と主走査方向において同一直線上になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別方法及び紙種判別機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータ等から記録装置(画像形成装置)に送られてくる画像データの種類は、文書データから写真データまで広範囲に及ぶ。従って、記録装置で扱う記録媒体に関しても普通紙・コート紙・光沢紙・特殊紙等の数種類に及ぶようになっている。また、記録装置では通常、画像品質を保証するため記録媒体の種類に応じた画像処理を設定している。このため、これらの記録装置には、記録媒体の種類つまり紙種を設定する機能が備えられている。例えば光沢紙に写真データを印刷しようとした場合、間違えて記録装置の紙種設定を普通紙にしたときは満足する画像は期待できないし用紙を無駄にしてしまう事になる。
【0003】
上記のような間違いを防止するための技術として、記録装置に装着された記録媒体を自動的に検出して紙種を判別する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、反射型センサを使用してフォトダイオードの放射光を記録媒体の表面に照射し、この反射光をフォトトランジスタで受光してその出力成分を測定し、予めメモリに格納しておいた紙種データと比較して普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等の紙種を判別するものである。
【特許文献1】特開平07−195774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術は、普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙についてのデータを実験室等で予め測定してメモリに記憶させておき、記録装置にセットされた記録媒体(印刷用紙)についてのデータを、装置に搭載した反射型センサで得、上記したメモリのデータと比較する技術である。この技術では、実験室と記録装置とでは別個の反射型センサによる測定であり、また、測定の環境が異なり、さらには、反射センサの経時変化などの理由で調整や補正が必要になる。この調整は、フォトダイオードの放射束のバラツキやフォトトランジスタの光電流のバラツキに起因する測定回路のバイアス電圧補正やゲイン補正で必要となる。また、補正は、装置の動作環境が広範囲に至るため反射型センサの放射束や光電流の温度特性の補償で必要となる。更に補正は、フォトダイオードの経時変化による放射束の低下の補償で必要となる。更にまた、装置の反射型センサが故障して交換が必要となった場合も調整は残存して厄介な作業となる。このような調整や補正を怠った場合は正確な紙種判別ができないので、費用や手間はかかるが上記の調整や補正は必須のものである。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、面倒な作業無しに紙種を正確に判別できる紙種判別方法及び紙種判別機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の紙種判別方法は、画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別方法において、
(1)紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段を用いて、複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートの前記複数の紙種の記録媒体片の前記特性値と、画像が形成される記録媒体の前記特性値とを検知して比較し、
(2)予め決められた一定範囲内で前記記録媒体の特性値に一致する特性値が検知された記録媒体片の紙種を前記記録媒体の紙種と判別することを特徴とするものである。
【0007】
ここで、
(3)前記検知手段は、発光素子と受光素子を備えたものであり、
(4)前記特性値は、前記発光素子からの光が反射されて前記受光素子に受光されたときに前記受光素子から出力される電圧値であってもよい。
【0008】
さらに、
(5)前記発光素子及び前記受光素子から前記複数の紙種の記録媒体片それぞれまでの距離と、前記発光素子及び前記受光素子から前記記録媒体までの距離とは等しくてもよい。
【0009】
さらにまた、
(6)前記記録媒体と前記記録媒体片とを同一平面上に位置させて前記検知手段で前記特性値を検知してもよい。
【0010】
さらにまた、
(7)前記検知手段を作動させないときは前記検査チャートを収納してもよい。
【0011】
さらにまた、
(8)前記複数の紙種の記録媒体片は、前記検査チャートに着脱自在に固定されているものであってもよい。
【0012】
さらにまた、
(9)前記検査チャートは、前記記録媒体片を固定する予備の領域が形成されたものであってもよい。
【0013】
さらにまた、
(10)前記記録媒体及び前記複数の紙種の記録媒体片それぞれにアドレスを割り付けておき、
(11)前記検知手段が検知した特性値を、これに対応するアドレスに書き込み、
(12)各アドレスに書き込まれた特性値を比較することにより前記記録媒体の紙種を判別してもよい。
【0014】
上記目的を達成するための本発明の紙種判別機構は、画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別機構において、
(13)紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段と、
(14)複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートと、
(15)前記検知手段で検知された、前記複数の紙種の記録媒体片がもつ前記特性値及び前記記録媒体がもつ前記特性値それぞれを比較して紙種を判別する判別器とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
ここで、
(16)前記検知手段は、発光素子と受光素子からなるものであってもよい。
【0016】
さらに、
(17)前記検査チャートを出し入れ自在に収納する収納箱を備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一台の検知手段を用いて、検査チャートに固定された複数の紙種の記録媒体片の特性値と、画像が形成される記録媒体の特性値とを検知して比較して紙種を判別するので、比較となるデータをメモリ等に予め記憶しておく必要は無い。また、上記の特性値を一台の検知手段によってほぼ同時に検知できるので、検知するときの環境の相違に起因した温度補正などの必要は無い。さらに、複数台ではなくて一台の検知手段を用いるので、検知手段の相互間のばらつきに起因する調整も必要が無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、インクジェット方式の画像形成装置に実現された。
【実施例1】
【0019】
図1から図3までを参照して、実施例1の紙種判別機構を備えた画像形成装置について説明する。
【0020】
図1は、実施例1の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは紙種判別位置に位置している。図3は、図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは収容位置に位置している
【0021】
画像形成装置では、記録ヘッド8から記録媒体10にインクを吐出して画像が形成される。記録ヘッド8を搭載したキャリッジ7は、記録媒体10の搬送方向(副走査方向であり矢印B方向)に直交する主走査方向(矢印A方向)に往復動する。この往復動の駆動力はキャリッジモータ5からベルトローラ2、キャリッジベルト4へ伝達されて、これによりキャリッジ7がキャリッジレール1に沿って駆動されることとなる。キャリッジ7の主走査方向の位置はリニアエンコーダ3と、キャリッジ7に装着されたエンコーダセンサ9と、キャリッジポジションセンサ(図示せず)によって確定される。記録媒体10に対する搬送方向におけるキャリッジ7の位置は、媒体検知センサ6と搬送モータ(図示せず)の送り量によって確定される。これらの位置情報に基づいて制御器41(図4参照)は記録ヘッド8を制御して記録媒体10上に画像を形成する。キャリッジ7には、発光素子と受光素子からなる検知センサ12が搭載されており、発光素子から記録媒体10へ照射されて反射された光は、受光素子に受光される。受光素子では、受光した光の量に比例する電圧値(本発明にいう特性値の一例である)が出力される。媒体検知センサ6とキャリッジ7の検知センサ12との副走査方向の距離dは機械的な取り付けによって決定される。
【0022】
記録領域(記録媒体10が通過する領域)を挟んだキャリッジ7のホームポジションとは反対側の位置には検査チャート11が配置されている。検査チャート11は、低い(短い)円柱状のものであり、その外周面(側面)には複数の記録媒体片27a,27b,…27g,……が等間隔で取り付けられている。複数の記録媒体片27a,27b,…それぞれは異なる紙種であり、各記録媒体片27a,27b,…は、検査チャート11の外周面に着脱自在に固定されている。検査チャート11は、後述するように回転し、この回転によって頂部(頂上)に位置した記録媒体片(図1では27g)は、キャリッジ7に搭載された検知センサ12と主走査方向において同一直線上になる。また、図2に示すように、頂部に位置した記録媒体片(図1では27g)はプラテン21上の記録媒体10と同一平面上と成るよう配置されており、このため、検知センサ12から、頂部に位置した記録媒体片27gまでの距離と、検知センサ12からプラテン21上の記録媒体10までの距離とは等しくなる。
【0023】
検査チャート11は、駆動ベルト17を介して検査チャート用モータ20に接続される。検査チャート11の外周面には、ホームポジションを検知するための反射板16が取り付けられている。この反射板16が位置センサ18によって検知されることにより、検査チャート11のホームポジションを設定できる構成となっている。検査チャート11に取り付けられた複数の記録媒体片27a,27b,…は、検査チャート用モータ20を所定ステップ送ることによって取り付け角度だけ回転でき、それぞれの記録媒体片27a,27b,…をプラテン上の記録媒体10と同一平面に移動させることができる。
【0024】
検査チャート11に取り付けられた記録媒体片27a,27b,…はインクの汚れや劣化を防ぐために、紙種判別時以外(検知センサ12を作動させないとき)には収納される構成となっている。図2や図3に示すように検査チャート11や検査チャート用モータ20はシャーシに固定されており、検査チャート機構15を構成する。検査チャート機構15の本体を構成する筐体が、検査チャート11を出し入れ自在に収納する収納箱に相当する。検査チャート機構15は遮蔽板19を備えており、この遮蔽板19が開閉することにより検査チャート11を保護できる機構となっている。遮蔽板19の開閉は制御器41(本発明にいう判別器の一例でもあり、図4参照)がソレノイド53(図4参照)のON/OFFにより行う。検査チャート11の昇降は、本体板金(図示せず)に取り付けられた検査チャート用リフトモータ14の駆動にて行う。この検査チャート用リフトモータ14は制御器41に制御される。軸に取り付けられたギアプーリ14aが、検査チャート機構15の側板に形成されたギア溝(ラック)13に噛合うことにより、検査チャート用リフトモータ14の回転がギア溝13に伝達されて、検査チャート機構15を昇降させることになる。検査チャート11の昇降停止位置精度を上げるために、検査チャート機構15の側板には、上限レバー24と下限レバー25が配置されており、これらは、本体フレーム26に取り付けた上限センサ22と下限センサ23で検知される。例えば上限レバー24が上限センサ22を切ったとき(検知されたとき)(L−>H)、その後に検査チャート用リフトモータ14の送りパルス数をnで停止させることでプラテン21上の記録媒体10と検査チャートの記録媒体片27を同一面にセットできるように構成されている。
【0025】
図4を参照して、上記した画像形成装置に備えられた紙種判別機構のための制御系を説明する。図4は、図1の画像形成装置の紙種判別機構のための制御系を示すブロック図である。
【0026】
制御器41はCPU等にて構成されており、PC(パソコン)43からIFコントローラ42を経由した制御指令に従って印刷データの受渡し制御、印刷制御、モータ等の制御、メモリの管理、センサ情報の管理を行う。検知センサ12は、制御器41の制御に従って記録媒体10及び検査チャート11の複数の記録媒体片27a,27b,…に光を照射してその反射光を読み取る。読み取られたデータはA/D変換44でデジタル化されて制御器41に入力されメモリ45に格納される。記録媒体10を副走査方向(矢印B方向)に搬送するに際しては、制御器41がモータドライバ46を制御して搬送モータ47を駆動する。記録媒体10の搬送速度、位置管理については、制御器41がエンコーダセンサ48や媒体検知センサ6の状態を読み取ることにより行われる。記録ヘッド8や検知センサ12を搭載しているキャリッジ7の主走査方向(矢印A方向)における制御は、制御器41がエンコーダセンサ9とキャリッジポジションセンサ50の位置情報に基づきモータドライバ49を制御してキャリッジモータ5を駆動して行う。
【0027】
検査チャート11上の記録媒体片27a,27b,…を検知センサ12の走査ライン下に移動させる制御は、制御器41が位置センサ18の情報に基づいてモータドライバ51を制御し検査チャート用モータ20を駆動して行う。検査チャート機構15の昇降制御は、制御器41が検査チャート上限センサ22と検査チャート下限センサ23の情報に基づいてモータドライバ52を制御し検査チャート用リフトモータ14を駆動して行う。遮蔽板19の開閉は、制御器41がソレノイド53を駆動して行う。
【0028】
上記した紙種判別機構による紙種判別の手順を、図5から図7までを参照して説明する。図5から図7までは一連の手順であるが、紙面の都合上、分割して示す。図5は、紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。図6は、紙種データをメモリに格納後から検査チャートの記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。図7は、記録媒体片を読み込んだ後から終了までの手順を示すフロー図である。
【0029】
図5に示すフローは、記録装置に電源が投入されることにより初期化動作が実行される。本発明の紙種判別に関しては初期化動作時及び用紙交換時に実行されるものとする。電源が投入されることにより、搬送モータ47(図4参照、以下省略)が予め定められた回転数だけ回転する(S501)。続いて、媒体検知センサ6が記録媒体の有無を判断し(S502)、記録媒体が無いと判断されたときは、記録媒体を載置する(セットする)ように促す(S503)。S502で記録媒体が有ると判断されたときは、搬送モータ47を停止して(S504)、その後、媒体検知センサ6上にロール紙等の記録媒体10の用紙先端部を位置させるために搬送モータ47を逆転させる(S505)。媒体検知センサ6が記録媒体を検知しないときはS504に戻り、媒体検知センサ6が記録媒体を検知したときは、画像形成に先立って紙種を判別するために搬送モータ47を停止する(S507)。続いて、制御器41は媒体検知センサ6から記録媒体10を距離Lだけ搬送するように搬送モータ47を正転させ(S508)、記録媒体10が媒体検知センサ6から距離Lだけ搬送されたか否かを判断し(S509)、距離Lだけ搬送されているときは搬送モータ47を停止させる(S510)。図1に示すように検知センサ12の主走査方向(矢印A方向)における記録媒体10の表面から、媒体検知センサ6上の記録媒体10の表面までの副走査方向(矢印B方向)の距離はdであるから、このとき、検知センサ12から記録媒体10の先端までの副走査方向における距離は(L−d)となる。搬送距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ48(図4参照)のパルス数と媒体検知センサ6の出力情報に基づいて搬送モータ47を制御して行う。
【0030】
S510に続いて、制御器41はキャリッジモータ5(図4参照)を駆動し(S511)、キャリッジ7を主走査方向に移動させて(S512)、検知センサ12が記録媒体10の端部よりも距離Lだけ離れた位置に位置するよう移動させ(S513)、キャリッジモータ5を停止する(S514)。距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ9のパルス数と媒体検知センサ6及びキャリッジポジションセンサ50(図4参照)からの出力情報に基づいてキャリッジモータ5を制御して行う。
【0031】
S514に続いて、制御器41は、検知センサ12に記録媒体の反射出力電圧値の読込みをさせてA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る(S515)。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S516)。続いて、図6のフローに進み、制御器41はソレノイド53をONし(S517)、遮蔽板19(図3参照)を開いて検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S518)、検査チャート11を記録媒体10と同一面の位置に押し上げ(S519)、検査チャート用リフトモータ14を停止する(S520)。
【0032】
続いて、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S521)、位置センサ18の位置に検査チャート側面の反射板16(図1,2参照)が到達したときに(S522)、検査チャート用モータ20を停止させる(S523)。このとき、検査チャート11はホームの位置にあり、記録媒体10の同一面に例えば記録媒体片27gが位置する(セットされる)。
【0033】
S523に続いて、制御器41がキャリッジモータ5を駆動させて(S524)、キャリッジ7を検査チャート側に移動させ(S525)、検知センサ12が検査チャートの記録媒体片27g上に位置したときに(S526)キャリッジモータ5を停止する(S527)。この移動距離はキャリッジ7のホームポジションから検査チャートの取り付け寸法が事前に判明しているので、キャリッジモータ5を制御してキャリッジ7をエンコーダセンサ9の所定のパルス数だけ移動させればよい事になる。
【0034】
S527に続いて、制御器41は検知センサ12に検査チャート11の最初の記録媒体片27gの反射出力電圧値を読込ませて(S528)、A/D変換器44を介したデジタル出力信号を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S529)。以下、S533からS531に示す手順のように制御器41は検査チャート用モータ20を制御して検査チャート11を一定角度回転させて、全種類の記録媒体片27a、27b、……のデータをメモリ45の所定アドレスエリアに書き込む(S530)。
【0035】
S530の後は図7のフローに移行し、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S534)キャリッジ7をホームポジションに移動させる(S535)。キャリッジ7がホームポジションに移動したことを確認した後(S536)キャリッジモータ5を停止させる(S537)。続いて、制御器41は検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S538)検査チャート11を下降させて退避ポジションに移動させ(S539)、その後、検査チャート用リフトモータ14を停止させる(S540)。次に、ソレノイド53(図示せず)をOFFし遮蔽板を閉じる(S541)。
【0036】
続いて、上記のようにして得た複数の反射出力データの処理に移行し、先ず、制御器41は記録媒体10の反射出力データと検査チャート11上の記録媒体片27a,27b……の反射出力データとを比較する(S542)。この比較に際しては、記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在していると判断したときは(S543)、記録装置の紙種を、一致した記録媒体片の紙種であると判別し(S544)、PC側に通知する(S545)。記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在しない場合は(S543でNOの場合は)、複数の記録媒体片の各反射出力データのうち、記録媒体10の反射出力データに一番近いものを選択し(S546)、これら2つのデータの誤差が±α%(予め決めておく数値であり、本発明にいう一定範囲内の一例である)以内か否かを判断する(S547)。この誤差が±α%以内のときは、S546で選択した記録媒体片の紙種を記録媒体10の紙種として(S548)PC側に通知し(S545)、このフローを終了する。制御器41は、誤差±α%以内のデータが存在しないときは、該当検査チャート無しをPC側に通知し(S549)このフローを終了する。なお、S549に移行した場合は、PC側から紙種設定要求をオペレータに出すことになる。
【0037】
以上説明したように、実施例1の紙種判別機構及び紙種判別方法によれば、単一(一台)の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)を測定して比較するので、メモリに予め記憶させた紙種データ(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)は必要としない。従って、紙種が増えても記録媒体片27a,27b……を検査チャート11上に追加し紙種名を設定する程度で対応することができる。また、単一の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を測定比較するので、発光側の放射束のバラツキや受光側の光電流のバラツキに起因する回路の調整は発生しない。さらに、印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を記録装置内の同一環境で測定比較するので、検知センサ12の光電流温度補正は発生せず、記録装置内で温度補正用の温度検知の必要はなくなる。さらに、検知センサ12が故障して交換となっても調整の必要はないのでメンテナンス性に優れている。
【実施例2】
【0038】
図8と図9を参照して、実施例2の紙種判別機構を説明する。
【0039】
図8は、実施例2の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。図9は、図8の画像形成装置の紙種判別機構の制御系を示すブロック図である。これらの図では、図1と図4に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0040】
上述した実施例1では、検査チャート11の複数の記録媒体片27a,27b……を円柱の外周面上に配置してこの円柱を回転させることにより、記録媒体片27a,27b……を記録媒体10と同一面に位置させる(セットする)構成であったが、実施例2では、図8に示すように検査チャート11の複数の記録媒体片27a,27b……が平面上に配置された構成となる。従って、各々の記録媒体片27a,27b……を検知センサ12で読み取る場合、主走査方向(矢印A方向)に検知センサ12を移動させ(シフトさせ)、且つ、副走査方向(矢印B方向)には検査チャート11の列をシフトさせることになる。
【0041】
主走査方向(矢印A方向)に検知センサ12を移動する(シフトする)際は、検査チャート11上に配列された記録媒体片27a,27b……の間隔が取り付け寸法で判明しているので、制御器41がリニアエンコーダ3を読み取るエンコーダセンサ9のパルスを監視してキャリッジモータ5を制御することにより位置設定を行う。検査チャート機構15を副走査方向(矢印B方向)に移動させる際は、本体シャーシに固定された検査チャート用モータ20の駆動をモータ軸に取り付けられたベルトローラ2で駆動ベルト28に伝達することにより、検査チャートレール29に取り付けられた検査チャート機構15を副走査方向に移動させる。検知センサ12下に各記録媒体片27a,27b……の列を設定する際は、制御器41が位置センサ18と検査チャート用モータ20(ステッピングモータ)の送りパルスによって行う。検査チャート11の昇降は、制御器41が上限センサ22(図2参照)、下限センサ23(図2参照)の状態を検知し、検査チャート機構15に取り付けられた検査チャート用リフトモータ14を駆動して行う。実施例1と同じく遮蔽板19は存在するが図示していない。
【0042】
図9に示すように、検査チャート11には、複数の記録媒体片27a−1,27a−2,…27b−1,27b−2……が着脱自在に固定されており、さらに、記録媒体片の固定されていない予備の領域(スペース)もあるので、新たな記録媒体片を固定することもできる。
【0043】
上記した紙種判別機構による紙種判別の手順を、図10から図13までを参照して説明する。図10から図13までは一連の手順であるが、紙面の都合上、分割して示す。図10は、紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。図11は、紙種データをメモリに格納後から検知センサを検査チャート上に移動させるまでの手順を示すフロー図である。図12は、全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。図13は、全ての記録媒体片を読み込んでから終了までの手順を示すフロー図である。
【0044】
図10に示すフローは、記録装置に電源が投入されることにより初期化動作が実行される。本発明の紙種判別に関しては初期化動作時及び用紙交換時に実行されるものとする。電源が投入されることにより、搬送モータ47(図9参照、以下省略)が予め定められた回転数だけ回転する(S1001)。続いて、媒体検知センサ6が記録媒体の有無を判断し(S1002)、記録媒体が無いと判断されたときは、記録媒体を載置する(セットする)ように促す(S1003)。S1002で記録媒体が有ると判断されたときは、搬送モータ47を停止して(S1004)、その後、媒体検知センサ6上にロール紙等の記録媒体10の用紙先端部を位置させるために搬送モータ47を逆転させる(S1005)。媒体検知センサ6が記録媒体を検知しないときはS1004に戻り、媒体検知センサ6が記録媒体を検知したときは、画像形成に先立って紙種を判別するために搬送モータ47を停止する(S1007)。続いて、制御器41は媒体検知センサ6から記録媒体10を距離Lだけ搬送するように搬送モータ47を正転させ(S1008)、記録媒体10が媒体検知センサ6から距離Lだけ搬送されたか否かを判断し(S1009)、距離Lだけ搬送されているときは搬送モータ47を停止させる(S1010)。図8に示すように検知センサ12の主走査方向(矢印A方向)における記録媒体10の表面から、媒体検知センサ6上の記録媒体10の表面までの副走査方向(矢印B方向)の距離はdであるから、このとき、検知センサ12から記録媒体10の先端までの副走査方向における距離は(L−d)となる。搬送距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ48(図9参照)のパルス数と媒体検知センサ6の出力情報に基づいて搬送モータ47を制御して行う。
【0045】
S1010に続いて、制御器41はキャリッジモータ5(図9参照)を駆動し(S1011)、キャリッジ7を主走査方向に移動させて(S1012)、検知センサ12が記録媒体10の端部よりも距離Lだけ離れた位置に位置するよう移動させ(S1013)、キャリッジモータ5を停止する(S1014)。距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ9のパルス数と媒体検知センサ6及びキャリッジポジションセンサ50(図9参照)からの出力情報に基づいてキャリッジモータ5を制御して行う。
【0046】
S1014に続いて、制御器41は、検知センサ12に記録媒体の反射出力電圧値の読込みをさせてA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る(S1015)。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1016)。続いて、図11のフローに進み、制御器41はソレノイド53をONし(S1017)、遮蔽板19(図3参照)を開いて検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S1018)、検査チャート11を記録媒体10と同一面の位置に押し上げ(S1019)、検査チャート用リフトモータ14を停止する(S1020)。
【0047】
続いて、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S1021)、検査チャート機構側板に取り付けてあるレバー30が、本体板金に取り付けられた位置センサ18を切ったときに(S1022)、検査チャート用モータ20を停止させる(S1023)。この位置センサ18を切ったときの位置は、記録媒体片27の1列目27aが検知センサ12によって主走査方向に読み取られる基点となる。S1023に続いて、制御器41がキャリッジモータ5を駆動させて(S1024)、キャリッジ7を検査チャート側に移動させ(S1025)、検知センサ12が検査チャートの1列目の記録媒体片27a−1上に位置するように制御し、検知センサ12が検査チャートの記録媒体片27a−1上に位置したときに(S1026)キャリッジモータ5を停止する(S1027)。この移動距離はキャリッジ7のホームポジションから検査チャートの取り付け寸法が事前に判明しているので、キャリッジモータ5を制御してキャリッジ7をエンコーダセンサ9の所定のパルス数だけ移動させればよい事になる。
【0048】
続いて、図12のフローに進み、S1027に続いて、制御器41は、検知センサ12に検査チャート11の最初の記録媒体片27a−1の反射出力電圧値を読込ませて(S1028)、A/D変換器44を介してデジタル出力信号を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1029)。以下、S1033からS1031に示す手順のように制御器41は検査チャート用モータ20を制御して検査チャート11を記録媒体片のピッチ分だけ移動させて、1列目の記録媒体片27a−1…、27a−2、……の反射出力電圧値を読み込んでA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る。1列目の記録媒体片27a−1…、27a−2、……から取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに次々に書き込まれる(S1030)。
【0049】
S1030に続いて、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S1034)、検知センサ12を記録媒体片の列先頭に戻して(S1035)、キャリッジモータ5を停止させる(S1036)。次に、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S1037)検査チャート11を列ピッチ分だけ移動させて(S1038)検査チャート用モータ20を停止させ(S1039)、この状態で、S1028やS1029と同様にして2列目の記録媒体片27b−1、27b−2、……の反射出力電圧値を読み込んでA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる。制御器41は、順次に3列目、4列目……の全ての記録媒体片を読み込んでデータ出力値をメモリ45の所定アドレスエリアに書き込む(S1040)。
【0050】
続いて、図13のフローに進み、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S1041)キャリッジ7をホームポジションに移動させる(S1042)。キャリッジ7がホームポジションに移動したことを確認した後(S1043)キャリッジモータ5を停止させる(S1044)。続いて、制御器41は検査チャート用リフトモータ14を駆動して検査チャート11を下降させて(S1045)退避ポジションに移動させ(S1046)、その後、検査チャート用リフトモータ14を停止させる(S1047)。次に、ソレノイド53(図9参照)をOFFし遮蔽板を閉じる(S1048)。
【0051】
続いて、上記のようにして得た複数の反射出力データの処理に移行し、先ず、制御器41は記録媒体10の反射出力データと検査チャート11上の記録媒体片27a−1,……,27b−1,……の反射出力データとを比較する(S1049)。この比較に際しては、記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在していると判断したときは(S1050)、記録装置の紙種を、一致した記録媒体片の紙種であると判別し(S1051)、PC側に通知する(S1052)。記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在しない場合は(S1050でNOの場合は)、複数の記録媒体片の各反射出力データのうち、記録媒体10の反射出力データに一番近いものを選択し(S1053)、これら2つのデータの誤差が±α%(予め決めておく)以内か否かを判断する(S1054)。この誤差が±α%以内のときは、S1053で選択した記録媒体片の紙種を記録媒体10の紙種として(S1055)PC側に通知し(S1052)、このフローを終了する。制御器41は、誤差±α%以内のデータが存在しないときは、該当検査チャート無しをPC側に通知し(S1056)このフローを終了する。なお、S1056に移行した場合は、PC側から紙種設定要求をオペレータに出すことになる。
【0052】
以上説明したように、実施例2の紙種判別機構及び紙種判別方法によれば、単一(一台)の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a−1,…,27b−1……(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)を測定して比較するので、メモリに予め記憶させた紙種データ(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)は必要としない。従って、紙種が増えても記録媒体片27a−1,…,27b−1……を検査チャート11上に追加し紙種名を設定する程度で対応することができる。また、単一の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a−1,…,27b−1……を測定比較するので、発光側の放射束のバラツキや受光側の光電流のバラツキに起因する回路の調整は発生しない。さらに、印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a−1,…,27b−1……を記録装置内の同一環境で測定比較するので、検知センサ12の光電流温度補正は発生せず、記録装置内で温度補正用の温度検知の必要はなくなる。さらに、検知センサ12が故障して交換となっても調整の必要はないのでメンテナンス性に優れている。
【実施例3】
【0053】
図14を参照して、紙種判別方法の実施例3を説明する。図14は、実施例3の紙種判別方法を示す斜視図である。上述した実施例1及び2では検査チャート11を記録領域外に配置した構成であるが、実施例3では、図14に示すように記録領域内に検査チャートを配置した構成となる。従って検知センサ12が各々の記録媒体片27の反射出力電圧値を読み取る場合、記録媒体10の先端部は媒体検知センサ6の位置にあり、検査チャート11から退避している。検知センサ12が記録媒体10の反射出力電圧値を読み取る場合は、図3に示すように、検査チャート11が格納される。
【0054】
図15から図18までを参照して、図14の紙種判別方法の手順を説明する。図15から図18までは一連の手順であるが、紙面の都合上、分割して示す。図15は、紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。図16は、紙種データをメモリに格納後から検査チャート用モータを停止させるまでの手順を示すフロー図である。図17は、全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。図18は、全ての記録媒体片を読み込んでからフローの終了までの手順を示すフロー図である。
【0055】
図15に示すフローは、記録装置に電源が投入されることにより初期化動作が実行される。本発明の紙種判別に関しては初期化動作時及び用紙交換時に実行されるものとする。電源が投入されることにより、搬送モータ47(図4参照、以下省略)が予め定められた回転数だけ回転する(S1501)。続いて、媒体検知センサ6が記録媒体の有無を判断し(S1502)、記録媒体が無いと判断されたときは、記録媒体を載置する(セットする)ように促す(S1503)。S1502で記録媒体が有ると判断されたときは、搬送モータ47を停止して(S1504)、その後、媒体検知センサ6上にロール紙等の記録媒体10の用紙先端部を位置させるために搬送モータ47を逆転させる(S1505)。媒体検知センサ6が記録媒体を検知しないときはS1504に戻り、媒体検知センサ6が記録媒体を検知したときは、画像形成に先立って紙種を判別するために搬送モータ47を停止する(S1507)。続いて、制御器41は媒体検知センサ6から記録媒体10を距離Lだけ搬送するように搬送モータ47を正転させ(S1508)、記録媒体10が媒体検知センサ6から距離Lだけ搬送されたか否かを判断し(S1509)、距離Lだけ搬送されているときは搬送モータ47を停止させる(S1510)。図1に示すように検知センサ12の主走査方向(矢印A方向)における記録媒体10の表面から、媒体検知センサ6上の記録媒体10の表面までの副走査方向(矢印B方向)の距離はdであるから、このとき、検知センサ12から記録媒体10の先端までの副走査方向における距離は(L−d)となる。搬送距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ48(図4参照)のパルス数と媒体検知センサ6の出力情報に基づいて搬送モータ47を制御して行う。
【0056】
S1510に続いて、制御器41はキャリッジモータ5(図4参照)を駆動し(S1511)、キャリッジ7を主走査方向に移動させて(S1512)、検知センサ12が記録媒体10の端部よりも距離Lだけ離れた位置に位置するよう移動させ(S1513)、キャリッジモータ5を停止する(S1514)。距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ9のパルス数と媒体検知センサ6及びキャリッジポジションセンサ50(図4参照)からの出力情報に基づいてキャリッジモータ5を制御して行う。
【0057】
S1514に続いて、制御器41は、検知センサ12に記録媒体の反射出力電圧値の読込みをさせてA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る(S1515)。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1516)。続いて、図16のフローに進み、制御器41はキャリッジモータ5を駆動させて(S1517)キャリッジ7をホームポジションへ移動させる(S1518)。続いて、制御器41はキャリッジモータ5を停止して(S1520)搬送モータ47(図9等参照)を逆転して(S1521)記録媒体10の先端を媒体検知センサ6の位置に停止させて(S1522)搬送モータ47を停止する(S1523)。続いて、制御器41はソレノイド53をONして(S1524)プラテン窓(図示せず)を開く。プラテン板金の一部は窓になっており、ソレノイドをONするとプラテン板金が横にスライドして開く構成となっている。続いて、検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S1525)、検査チャート11を記録媒体10と同一面の位置に押し上げ(S1526)、検査チャート用リフトモータ14を停止する(S1527)。
【0058】
続いて、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S1528)、位置センサ18の位置に検査チャート側面の反射板16(図1,2参照)が到達したときに(S1529)、検査チャート用モータ20を停止させる(S1530)。このとき、検査チャート11はホームの位置にあり、記録媒体10の同一面に例えば記録媒体片27gが位置する(セットされる)。
【0059】
S1530に続いて、図17のフローに移行して制御器41がキャリッジモータ5を駆動させて(S1531)、キャリッジ7を検査チャート側に移動させ(S1532)、検知センサ12が検査チャートの記録媒体片27g上に位置したときに(S1533)キャリッジモータ5を停止する(S1534)。この移動距離はキャリッジ7のホームポジションから検査チャートの取り付け寸法が事前に判明しているので、キャリッジモータ5を制御してキャリッジ7をエンコーダセンサ9の所定のパルス数だけ移動させればよい事になる。
【0060】
S1534に続いて、制御器41は検知センサ12に検査チャート11の最初の記録媒体片27gの反射出力電圧値を読込ませて(S1535)、A/D変換器44を介したデジタル出力信号を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1536)。以下、S1537からS1540に示す手順のように制御器41は検査チャート用モータ20を制御して検査チャート11を一定角度回転させて、全種類の記録媒体片27a、27b、……のデータをメモリ45の所定アドレスエリアに書き込む(S1537)。
【0061】
S1537の後は図18のフローに移行し、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S1541)キャリッジ7をホームポジションに移動させる(S1542)。キャリッジ7がホームポジションに移動したことを確認した後(S1543)キャリッジモータ5を停止させる(S1544)。続いて、制御器41は検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S1545)検査チャート11を下降させて退避ポジションに移動させ(S1546)、その後、検査チャート用リフトモータ14を停止させる(S1547)。次に、ソレノイド53(図4等参照)をOFFし遮蔽板を閉じる(S1548)。
【0062】
続いて、上記のようにして得た複数の反射出力データの処理に移行し、先ず、制御器41は記録媒体10の反射出力データと検査チャート11上の記録媒体片27a,27b……の反射出力データとを比較する(S1549)。この比較に際しては、記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在していると判断したときは(S1550)、記録装置の紙種を、一致した記録媒体片の紙種であると判別し(S1551)、PC側に通知する(S1552)。記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在しない場合は(S1550でNOの場合は)、複数の記録媒体片の各反射出力データのうち、記録媒体10の反射出力データに一番近いものを選択し(S1553)、これら2つのデータの誤差が±α%(予め決めておく)以内か否かを判断する(S1554)。この誤差が±α%以内のときは、S1553で選択した記録媒体片の紙種を記録媒体10の紙種として(S1555)PC側に通知し(S1552)、このフローを終了する。制御器41は、誤差±α%以内のデータが存在しないときは、該当検査チャート無しをPC側に通知し(S1556)このフローを終了する。なお、S1556に移行した場合は、PC側から紙種設定要求をオペレータに出すことになる。
【0063】
以上説明したように、実施例3の紙種判別機構及び紙種判別方法によれば、単一(一台)の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)を測定して比較するので、メモリに予め記憶させた紙種データ(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)は必要としない。従って、紙種が増えても記録媒体片27a,27b……を検査チャート11上に追加し紙種名を設定する程度で対応することができる。また、単一の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を測定比較するので、発光側の放射束のバラツキや受光側の光電流のバラツキに起因する回路の調整は発生しない。さらに、印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を記録装置内の同一環境で測定比較するので、検知センサ12の光電流温度補正は発生せず、記録装置内で温度補正用の温度検知の必要はなくなる。さらに、検知センサ12が故障して交換となっても調整の必要はないのでメンテナンス性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは紙種判別位置に位置している。
【図3】図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは収容位置に位置している。
【図4】図1の画像形成装置の紙種判別機構のための制御系を示すブロック図である。
【図5】紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。
【図6】紙種データをメモリに格納後から検査チャートの記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。
【図7】記録媒体片を読み込んだ後から終了までの手順を示すフロー図である。
【図8】実施例2の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図9】図8の画像形成装置の紙種判別機構の制御系を示すブロック図である。
【図10】紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。
【図11】紙種データをメモリに格納後から検知センサを検査チャート上に移動させるまでの手順を示すフロー図である。
【図12】全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。
【図13】全ての記録媒体片を読み込んでから終了までの手順を示すフロー図である。
【図14】実施例3の紙種判別方法を示す斜視図である。
【図15】紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。
【図16】紙種データをメモリに格納後から検査チャート用モータを停止させるまでの手順を示すフロー図である。
【図17】全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。
【図18】全ての記録媒体片を読み込んでからフローの終了までの手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0065】
8 記録ヘッド
10 記録媒体
11 検査チャート
12 検知センサ
15 検査チャート機構
19 遮蔽板
27a,27b,…27g,… 記録媒体片
41 制御器
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別方法及び紙種判別機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータ等から記録装置(画像形成装置)に送られてくる画像データの種類は、文書データから写真データまで広範囲に及ぶ。従って、記録装置で扱う記録媒体に関しても普通紙・コート紙・光沢紙・特殊紙等の数種類に及ぶようになっている。また、記録装置では通常、画像品質を保証するため記録媒体の種類に応じた画像処理を設定している。このため、これらの記録装置には、記録媒体の種類つまり紙種を設定する機能が備えられている。例えば光沢紙に写真データを印刷しようとした場合、間違えて記録装置の紙種設定を普通紙にしたときは満足する画像は期待できないし用紙を無駄にしてしまう事になる。
【0003】
上記のような間違いを防止するための技術として、記録装置に装着された記録媒体を自動的に検出して紙種を判別する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、反射型センサを使用してフォトダイオードの放射光を記録媒体の表面に照射し、この反射光をフォトトランジスタで受光してその出力成分を測定し、予めメモリに格納しておいた紙種データと比較して普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等の紙種を判別するものである。
【特許文献1】特開平07−195774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術は、普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙についてのデータを実験室等で予め測定してメモリに記憶させておき、記録装置にセットされた記録媒体(印刷用紙)についてのデータを、装置に搭載した反射型センサで得、上記したメモリのデータと比較する技術である。この技術では、実験室と記録装置とでは別個の反射型センサによる測定であり、また、測定の環境が異なり、さらには、反射センサの経時変化などの理由で調整や補正が必要になる。この調整は、フォトダイオードの放射束のバラツキやフォトトランジスタの光電流のバラツキに起因する測定回路のバイアス電圧補正やゲイン補正で必要となる。また、補正は、装置の動作環境が広範囲に至るため反射型センサの放射束や光電流の温度特性の補償で必要となる。更に補正は、フォトダイオードの経時変化による放射束の低下の補償で必要となる。更にまた、装置の反射型センサが故障して交換が必要となった場合も調整は残存して厄介な作業となる。このような調整や補正を怠った場合は正確な紙種判別ができないので、費用や手間はかかるが上記の調整や補正は必須のものである。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、面倒な作業無しに紙種を正確に判別できる紙種判別方法及び紙種判別機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の紙種判別方法は、画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別方法において、
(1)紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段を用いて、複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートの前記複数の紙種の記録媒体片の前記特性値と、画像が形成される記録媒体の前記特性値とを検知して比較し、
(2)予め決められた一定範囲内で前記記録媒体の特性値に一致する特性値が検知された記録媒体片の紙種を前記記録媒体の紙種と判別することを特徴とするものである。
【0007】
ここで、
(3)前記検知手段は、発光素子と受光素子を備えたものであり、
(4)前記特性値は、前記発光素子からの光が反射されて前記受光素子に受光されたときに前記受光素子から出力される電圧値であってもよい。
【0008】
さらに、
(5)前記発光素子及び前記受光素子から前記複数の紙種の記録媒体片それぞれまでの距離と、前記発光素子及び前記受光素子から前記記録媒体までの距離とは等しくてもよい。
【0009】
さらにまた、
(6)前記記録媒体と前記記録媒体片とを同一平面上に位置させて前記検知手段で前記特性値を検知してもよい。
【0010】
さらにまた、
(7)前記検知手段を作動させないときは前記検査チャートを収納してもよい。
【0011】
さらにまた、
(8)前記複数の紙種の記録媒体片は、前記検査チャートに着脱自在に固定されているものであってもよい。
【0012】
さらにまた、
(9)前記検査チャートは、前記記録媒体片を固定する予備の領域が形成されたものであってもよい。
【0013】
さらにまた、
(10)前記記録媒体及び前記複数の紙種の記録媒体片それぞれにアドレスを割り付けておき、
(11)前記検知手段が検知した特性値を、これに対応するアドレスに書き込み、
(12)各アドレスに書き込まれた特性値を比較することにより前記記録媒体の紙種を判別してもよい。
【0014】
上記目的を達成するための本発明の紙種判別機構は、画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別機構において、
(13)紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段と、
(14)複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートと、
(15)前記検知手段で検知された、前記複数の紙種の記録媒体片がもつ前記特性値及び前記記録媒体がもつ前記特性値それぞれを比較して紙種を判別する判別器とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
ここで、
(16)前記検知手段は、発光素子と受光素子からなるものであってもよい。
【0016】
さらに、
(17)前記検査チャートを出し入れ自在に収納する収納箱を備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一台の検知手段を用いて、検査チャートに固定された複数の紙種の記録媒体片の特性値と、画像が形成される記録媒体の特性値とを検知して比較して紙種を判別するので、比較となるデータをメモリ等に予め記憶しておく必要は無い。また、上記の特性値を一台の検知手段によってほぼ同時に検知できるので、検知するときの環境の相違に起因した温度補正などの必要は無い。さらに、複数台ではなくて一台の検知手段を用いるので、検知手段の相互間のばらつきに起因する調整も必要が無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、インクジェット方式の画像形成装置に実現された。
【実施例1】
【0019】
図1から図3までを参照して、実施例1の紙種判別機構を備えた画像形成装置について説明する。
【0020】
図1は、実施例1の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは紙種判別位置に位置している。図3は、図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは収容位置に位置している
【0021】
画像形成装置では、記録ヘッド8から記録媒体10にインクを吐出して画像が形成される。記録ヘッド8を搭載したキャリッジ7は、記録媒体10の搬送方向(副走査方向であり矢印B方向)に直交する主走査方向(矢印A方向)に往復動する。この往復動の駆動力はキャリッジモータ5からベルトローラ2、キャリッジベルト4へ伝達されて、これによりキャリッジ7がキャリッジレール1に沿って駆動されることとなる。キャリッジ7の主走査方向の位置はリニアエンコーダ3と、キャリッジ7に装着されたエンコーダセンサ9と、キャリッジポジションセンサ(図示せず)によって確定される。記録媒体10に対する搬送方向におけるキャリッジ7の位置は、媒体検知センサ6と搬送モータ(図示せず)の送り量によって確定される。これらの位置情報に基づいて制御器41(図4参照)は記録ヘッド8を制御して記録媒体10上に画像を形成する。キャリッジ7には、発光素子と受光素子からなる検知センサ12が搭載されており、発光素子から記録媒体10へ照射されて反射された光は、受光素子に受光される。受光素子では、受光した光の量に比例する電圧値(本発明にいう特性値の一例である)が出力される。媒体検知センサ6とキャリッジ7の検知センサ12との副走査方向の距離dは機械的な取り付けによって決定される。
【0022】
記録領域(記録媒体10が通過する領域)を挟んだキャリッジ7のホームポジションとは反対側の位置には検査チャート11が配置されている。検査チャート11は、低い(短い)円柱状のものであり、その外周面(側面)には複数の記録媒体片27a,27b,…27g,……が等間隔で取り付けられている。複数の記録媒体片27a,27b,…それぞれは異なる紙種であり、各記録媒体片27a,27b,…は、検査チャート11の外周面に着脱自在に固定されている。検査チャート11は、後述するように回転し、この回転によって頂部(頂上)に位置した記録媒体片(図1では27g)は、キャリッジ7に搭載された検知センサ12と主走査方向において同一直線上になる。また、図2に示すように、頂部に位置した記録媒体片(図1では27g)はプラテン21上の記録媒体10と同一平面上と成るよう配置されており、このため、検知センサ12から、頂部に位置した記録媒体片27gまでの距離と、検知センサ12からプラテン21上の記録媒体10までの距離とは等しくなる。
【0023】
検査チャート11は、駆動ベルト17を介して検査チャート用モータ20に接続される。検査チャート11の外周面には、ホームポジションを検知するための反射板16が取り付けられている。この反射板16が位置センサ18によって検知されることにより、検査チャート11のホームポジションを設定できる構成となっている。検査チャート11に取り付けられた複数の記録媒体片27a,27b,…は、検査チャート用モータ20を所定ステップ送ることによって取り付け角度だけ回転でき、それぞれの記録媒体片27a,27b,…をプラテン上の記録媒体10と同一平面に移動させることができる。
【0024】
検査チャート11に取り付けられた記録媒体片27a,27b,…はインクの汚れや劣化を防ぐために、紙種判別時以外(検知センサ12を作動させないとき)には収納される構成となっている。図2や図3に示すように検査チャート11や検査チャート用モータ20はシャーシに固定されており、検査チャート機構15を構成する。検査チャート機構15の本体を構成する筐体が、検査チャート11を出し入れ自在に収納する収納箱に相当する。検査チャート機構15は遮蔽板19を備えており、この遮蔽板19が開閉することにより検査チャート11を保護できる機構となっている。遮蔽板19の開閉は制御器41(本発明にいう判別器の一例でもあり、図4参照)がソレノイド53(図4参照)のON/OFFにより行う。検査チャート11の昇降は、本体板金(図示せず)に取り付けられた検査チャート用リフトモータ14の駆動にて行う。この検査チャート用リフトモータ14は制御器41に制御される。軸に取り付けられたギアプーリ14aが、検査チャート機構15の側板に形成されたギア溝(ラック)13に噛合うことにより、検査チャート用リフトモータ14の回転がギア溝13に伝達されて、検査チャート機構15を昇降させることになる。検査チャート11の昇降停止位置精度を上げるために、検査チャート機構15の側板には、上限レバー24と下限レバー25が配置されており、これらは、本体フレーム26に取り付けた上限センサ22と下限センサ23で検知される。例えば上限レバー24が上限センサ22を切ったとき(検知されたとき)(L−>H)、その後に検査チャート用リフトモータ14の送りパルス数をnで停止させることでプラテン21上の記録媒体10と検査チャートの記録媒体片27を同一面にセットできるように構成されている。
【0025】
図4を参照して、上記した画像形成装置に備えられた紙種判別機構のための制御系を説明する。図4は、図1の画像形成装置の紙種判別機構のための制御系を示すブロック図である。
【0026】
制御器41はCPU等にて構成されており、PC(パソコン)43からIFコントローラ42を経由した制御指令に従って印刷データの受渡し制御、印刷制御、モータ等の制御、メモリの管理、センサ情報の管理を行う。検知センサ12は、制御器41の制御に従って記録媒体10及び検査チャート11の複数の記録媒体片27a,27b,…に光を照射してその反射光を読み取る。読み取られたデータはA/D変換44でデジタル化されて制御器41に入力されメモリ45に格納される。記録媒体10を副走査方向(矢印B方向)に搬送するに際しては、制御器41がモータドライバ46を制御して搬送モータ47を駆動する。記録媒体10の搬送速度、位置管理については、制御器41がエンコーダセンサ48や媒体検知センサ6の状態を読み取ることにより行われる。記録ヘッド8や検知センサ12を搭載しているキャリッジ7の主走査方向(矢印A方向)における制御は、制御器41がエンコーダセンサ9とキャリッジポジションセンサ50の位置情報に基づきモータドライバ49を制御してキャリッジモータ5を駆動して行う。
【0027】
検査チャート11上の記録媒体片27a,27b,…を検知センサ12の走査ライン下に移動させる制御は、制御器41が位置センサ18の情報に基づいてモータドライバ51を制御し検査チャート用モータ20を駆動して行う。検査チャート機構15の昇降制御は、制御器41が検査チャート上限センサ22と検査チャート下限センサ23の情報に基づいてモータドライバ52を制御し検査チャート用リフトモータ14を駆動して行う。遮蔽板19の開閉は、制御器41がソレノイド53を駆動して行う。
【0028】
上記した紙種判別機構による紙種判別の手順を、図5から図7までを参照して説明する。図5から図7までは一連の手順であるが、紙面の都合上、分割して示す。図5は、紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。図6は、紙種データをメモリに格納後から検査チャートの記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。図7は、記録媒体片を読み込んだ後から終了までの手順を示すフロー図である。
【0029】
図5に示すフローは、記録装置に電源が投入されることにより初期化動作が実行される。本発明の紙種判別に関しては初期化動作時及び用紙交換時に実行されるものとする。電源が投入されることにより、搬送モータ47(図4参照、以下省略)が予め定められた回転数だけ回転する(S501)。続いて、媒体検知センサ6が記録媒体の有無を判断し(S502)、記録媒体が無いと判断されたときは、記録媒体を載置する(セットする)ように促す(S503)。S502で記録媒体が有ると判断されたときは、搬送モータ47を停止して(S504)、その後、媒体検知センサ6上にロール紙等の記録媒体10の用紙先端部を位置させるために搬送モータ47を逆転させる(S505)。媒体検知センサ6が記録媒体を検知しないときはS504に戻り、媒体検知センサ6が記録媒体を検知したときは、画像形成に先立って紙種を判別するために搬送モータ47を停止する(S507)。続いて、制御器41は媒体検知センサ6から記録媒体10を距離Lだけ搬送するように搬送モータ47を正転させ(S508)、記録媒体10が媒体検知センサ6から距離Lだけ搬送されたか否かを判断し(S509)、距離Lだけ搬送されているときは搬送モータ47を停止させる(S510)。図1に示すように検知センサ12の主走査方向(矢印A方向)における記録媒体10の表面から、媒体検知センサ6上の記録媒体10の表面までの副走査方向(矢印B方向)の距離はdであるから、このとき、検知センサ12から記録媒体10の先端までの副走査方向における距離は(L−d)となる。搬送距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ48(図4参照)のパルス数と媒体検知センサ6の出力情報に基づいて搬送モータ47を制御して行う。
【0030】
S510に続いて、制御器41はキャリッジモータ5(図4参照)を駆動し(S511)、キャリッジ7を主走査方向に移動させて(S512)、検知センサ12が記録媒体10の端部よりも距離Lだけ離れた位置に位置するよう移動させ(S513)、キャリッジモータ5を停止する(S514)。距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ9のパルス数と媒体検知センサ6及びキャリッジポジションセンサ50(図4参照)からの出力情報に基づいてキャリッジモータ5を制御して行う。
【0031】
S514に続いて、制御器41は、検知センサ12に記録媒体の反射出力電圧値の読込みをさせてA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る(S515)。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S516)。続いて、図6のフローに進み、制御器41はソレノイド53をONし(S517)、遮蔽板19(図3参照)を開いて検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S518)、検査チャート11を記録媒体10と同一面の位置に押し上げ(S519)、検査チャート用リフトモータ14を停止する(S520)。
【0032】
続いて、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S521)、位置センサ18の位置に検査チャート側面の反射板16(図1,2参照)が到達したときに(S522)、検査チャート用モータ20を停止させる(S523)。このとき、検査チャート11はホームの位置にあり、記録媒体10の同一面に例えば記録媒体片27gが位置する(セットされる)。
【0033】
S523に続いて、制御器41がキャリッジモータ5を駆動させて(S524)、キャリッジ7を検査チャート側に移動させ(S525)、検知センサ12が検査チャートの記録媒体片27g上に位置したときに(S526)キャリッジモータ5を停止する(S527)。この移動距離はキャリッジ7のホームポジションから検査チャートの取り付け寸法が事前に判明しているので、キャリッジモータ5を制御してキャリッジ7をエンコーダセンサ9の所定のパルス数だけ移動させればよい事になる。
【0034】
S527に続いて、制御器41は検知センサ12に検査チャート11の最初の記録媒体片27gの反射出力電圧値を読込ませて(S528)、A/D変換器44を介したデジタル出力信号を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S529)。以下、S533からS531に示す手順のように制御器41は検査チャート用モータ20を制御して検査チャート11を一定角度回転させて、全種類の記録媒体片27a、27b、……のデータをメモリ45の所定アドレスエリアに書き込む(S530)。
【0035】
S530の後は図7のフローに移行し、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S534)キャリッジ7をホームポジションに移動させる(S535)。キャリッジ7がホームポジションに移動したことを確認した後(S536)キャリッジモータ5を停止させる(S537)。続いて、制御器41は検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S538)検査チャート11を下降させて退避ポジションに移動させ(S539)、その後、検査チャート用リフトモータ14を停止させる(S540)。次に、ソレノイド53(図示せず)をOFFし遮蔽板を閉じる(S541)。
【0036】
続いて、上記のようにして得た複数の反射出力データの処理に移行し、先ず、制御器41は記録媒体10の反射出力データと検査チャート11上の記録媒体片27a,27b……の反射出力データとを比較する(S542)。この比較に際しては、記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在していると判断したときは(S543)、記録装置の紙種を、一致した記録媒体片の紙種であると判別し(S544)、PC側に通知する(S545)。記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在しない場合は(S543でNOの場合は)、複数の記録媒体片の各反射出力データのうち、記録媒体10の反射出力データに一番近いものを選択し(S546)、これら2つのデータの誤差が±α%(予め決めておく数値であり、本発明にいう一定範囲内の一例である)以内か否かを判断する(S547)。この誤差が±α%以内のときは、S546で選択した記録媒体片の紙種を記録媒体10の紙種として(S548)PC側に通知し(S545)、このフローを終了する。制御器41は、誤差±α%以内のデータが存在しないときは、該当検査チャート無しをPC側に通知し(S549)このフローを終了する。なお、S549に移行した場合は、PC側から紙種設定要求をオペレータに出すことになる。
【0037】
以上説明したように、実施例1の紙種判別機構及び紙種判別方法によれば、単一(一台)の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)を測定して比較するので、メモリに予め記憶させた紙種データ(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)は必要としない。従って、紙種が増えても記録媒体片27a,27b……を検査チャート11上に追加し紙種名を設定する程度で対応することができる。また、単一の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を測定比較するので、発光側の放射束のバラツキや受光側の光電流のバラツキに起因する回路の調整は発生しない。さらに、印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を記録装置内の同一環境で測定比較するので、検知センサ12の光電流温度補正は発生せず、記録装置内で温度補正用の温度検知の必要はなくなる。さらに、検知センサ12が故障して交換となっても調整の必要はないのでメンテナンス性に優れている。
【実施例2】
【0038】
図8と図9を参照して、実施例2の紙種判別機構を説明する。
【0039】
図8は、実施例2の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。図9は、図8の画像形成装置の紙種判別機構の制御系を示すブロック図である。これらの図では、図1と図4に示す構成要素と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0040】
上述した実施例1では、検査チャート11の複数の記録媒体片27a,27b……を円柱の外周面上に配置してこの円柱を回転させることにより、記録媒体片27a,27b……を記録媒体10と同一面に位置させる(セットする)構成であったが、実施例2では、図8に示すように検査チャート11の複数の記録媒体片27a,27b……が平面上に配置された構成となる。従って、各々の記録媒体片27a,27b……を検知センサ12で読み取る場合、主走査方向(矢印A方向)に検知センサ12を移動させ(シフトさせ)、且つ、副走査方向(矢印B方向)には検査チャート11の列をシフトさせることになる。
【0041】
主走査方向(矢印A方向)に検知センサ12を移動する(シフトする)際は、検査チャート11上に配列された記録媒体片27a,27b……の間隔が取り付け寸法で判明しているので、制御器41がリニアエンコーダ3を読み取るエンコーダセンサ9のパルスを監視してキャリッジモータ5を制御することにより位置設定を行う。検査チャート機構15を副走査方向(矢印B方向)に移動させる際は、本体シャーシに固定された検査チャート用モータ20の駆動をモータ軸に取り付けられたベルトローラ2で駆動ベルト28に伝達することにより、検査チャートレール29に取り付けられた検査チャート機構15を副走査方向に移動させる。検知センサ12下に各記録媒体片27a,27b……の列を設定する際は、制御器41が位置センサ18と検査チャート用モータ20(ステッピングモータ)の送りパルスによって行う。検査チャート11の昇降は、制御器41が上限センサ22(図2参照)、下限センサ23(図2参照)の状態を検知し、検査チャート機構15に取り付けられた検査チャート用リフトモータ14を駆動して行う。実施例1と同じく遮蔽板19は存在するが図示していない。
【0042】
図9に示すように、検査チャート11には、複数の記録媒体片27a−1,27a−2,…27b−1,27b−2……が着脱自在に固定されており、さらに、記録媒体片の固定されていない予備の領域(スペース)もあるので、新たな記録媒体片を固定することもできる。
【0043】
上記した紙種判別機構による紙種判別の手順を、図10から図13までを参照して説明する。図10から図13までは一連の手順であるが、紙面の都合上、分割して示す。図10は、紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。図11は、紙種データをメモリに格納後から検知センサを検査チャート上に移動させるまでの手順を示すフロー図である。図12は、全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。図13は、全ての記録媒体片を読み込んでから終了までの手順を示すフロー図である。
【0044】
図10に示すフローは、記録装置に電源が投入されることにより初期化動作が実行される。本発明の紙種判別に関しては初期化動作時及び用紙交換時に実行されるものとする。電源が投入されることにより、搬送モータ47(図9参照、以下省略)が予め定められた回転数だけ回転する(S1001)。続いて、媒体検知センサ6が記録媒体の有無を判断し(S1002)、記録媒体が無いと判断されたときは、記録媒体を載置する(セットする)ように促す(S1003)。S1002で記録媒体が有ると判断されたときは、搬送モータ47を停止して(S1004)、その後、媒体検知センサ6上にロール紙等の記録媒体10の用紙先端部を位置させるために搬送モータ47を逆転させる(S1005)。媒体検知センサ6が記録媒体を検知しないときはS1004に戻り、媒体検知センサ6が記録媒体を検知したときは、画像形成に先立って紙種を判別するために搬送モータ47を停止する(S1007)。続いて、制御器41は媒体検知センサ6から記録媒体10を距離Lだけ搬送するように搬送モータ47を正転させ(S1008)、記録媒体10が媒体検知センサ6から距離Lだけ搬送されたか否かを判断し(S1009)、距離Lだけ搬送されているときは搬送モータ47を停止させる(S1010)。図8に示すように検知センサ12の主走査方向(矢印A方向)における記録媒体10の表面から、媒体検知センサ6上の記録媒体10の表面までの副走査方向(矢印B方向)の距離はdであるから、このとき、検知センサ12から記録媒体10の先端までの副走査方向における距離は(L−d)となる。搬送距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ48(図9参照)のパルス数と媒体検知センサ6の出力情報に基づいて搬送モータ47を制御して行う。
【0045】
S1010に続いて、制御器41はキャリッジモータ5(図9参照)を駆動し(S1011)、キャリッジ7を主走査方向に移動させて(S1012)、検知センサ12が記録媒体10の端部よりも距離Lだけ離れた位置に位置するよう移動させ(S1013)、キャリッジモータ5を停止する(S1014)。距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ9のパルス数と媒体検知センサ6及びキャリッジポジションセンサ50(図9参照)からの出力情報に基づいてキャリッジモータ5を制御して行う。
【0046】
S1014に続いて、制御器41は、検知センサ12に記録媒体の反射出力電圧値の読込みをさせてA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る(S1015)。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1016)。続いて、図11のフローに進み、制御器41はソレノイド53をONし(S1017)、遮蔽板19(図3参照)を開いて検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S1018)、検査チャート11を記録媒体10と同一面の位置に押し上げ(S1019)、検査チャート用リフトモータ14を停止する(S1020)。
【0047】
続いて、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S1021)、検査チャート機構側板に取り付けてあるレバー30が、本体板金に取り付けられた位置センサ18を切ったときに(S1022)、検査チャート用モータ20を停止させる(S1023)。この位置センサ18を切ったときの位置は、記録媒体片27の1列目27aが検知センサ12によって主走査方向に読み取られる基点となる。S1023に続いて、制御器41がキャリッジモータ5を駆動させて(S1024)、キャリッジ7を検査チャート側に移動させ(S1025)、検知センサ12が検査チャートの1列目の記録媒体片27a−1上に位置するように制御し、検知センサ12が検査チャートの記録媒体片27a−1上に位置したときに(S1026)キャリッジモータ5を停止する(S1027)。この移動距離はキャリッジ7のホームポジションから検査チャートの取り付け寸法が事前に判明しているので、キャリッジモータ5を制御してキャリッジ7をエンコーダセンサ9の所定のパルス数だけ移動させればよい事になる。
【0048】
続いて、図12のフローに進み、S1027に続いて、制御器41は、検知センサ12に検査チャート11の最初の記録媒体片27a−1の反射出力電圧値を読込ませて(S1028)、A/D変換器44を介してデジタル出力信号を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1029)。以下、S1033からS1031に示す手順のように制御器41は検査チャート用モータ20を制御して検査チャート11を記録媒体片のピッチ分だけ移動させて、1列目の記録媒体片27a−1…、27a−2、……の反射出力電圧値を読み込んでA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る。1列目の記録媒体片27a−1…、27a−2、……から取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに次々に書き込まれる(S1030)。
【0049】
S1030に続いて、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S1034)、検知センサ12を記録媒体片の列先頭に戻して(S1035)、キャリッジモータ5を停止させる(S1036)。次に、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S1037)検査チャート11を列ピッチ分だけ移動させて(S1038)検査チャート用モータ20を停止させ(S1039)、この状態で、S1028やS1029と同様にして2列目の記録媒体片27b−1、27b−2、……の反射出力電圧値を読み込んでA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる。制御器41は、順次に3列目、4列目……の全ての記録媒体片を読み込んでデータ出力値をメモリ45の所定アドレスエリアに書き込む(S1040)。
【0050】
続いて、図13のフローに進み、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S1041)キャリッジ7をホームポジションに移動させる(S1042)。キャリッジ7がホームポジションに移動したことを確認した後(S1043)キャリッジモータ5を停止させる(S1044)。続いて、制御器41は検査チャート用リフトモータ14を駆動して検査チャート11を下降させて(S1045)退避ポジションに移動させ(S1046)、その後、検査チャート用リフトモータ14を停止させる(S1047)。次に、ソレノイド53(図9参照)をOFFし遮蔽板を閉じる(S1048)。
【0051】
続いて、上記のようにして得た複数の反射出力データの処理に移行し、先ず、制御器41は記録媒体10の反射出力データと検査チャート11上の記録媒体片27a−1,……,27b−1,……の反射出力データとを比較する(S1049)。この比較に際しては、記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在していると判断したときは(S1050)、記録装置の紙種を、一致した記録媒体片の紙種であると判別し(S1051)、PC側に通知する(S1052)。記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在しない場合は(S1050でNOの場合は)、複数の記録媒体片の各反射出力データのうち、記録媒体10の反射出力データに一番近いものを選択し(S1053)、これら2つのデータの誤差が±α%(予め決めておく)以内か否かを判断する(S1054)。この誤差が±α%以内のときは、S1053で選択した記録媒体片の紙種を記録媒体10の紙種として(S1055)PC側に通知し(S1052)、このフローを終了する。制御器41は、誤差±α%以内のデータが存在しないときは、該当検査チャート無しをPC側に通知し(S1056)このフローを終了する。なお、S1056に移行した場合は、PC側から紙種設定要求をオペレータに出すことになる。
【0052】
以上説明したように、実施例2の紙種判別機構及び紙種判別方法によれば、単一(一台)の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a−1,…,27b−1……(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)を測定して比較するので、メモリに予め記憶させた紙種データ(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)は必要としない。従って、紙種が増えても記録媒体片27a−1,…,27b−1……を検査チャート11上に追加し紙種名を設定する程度で対応することができる。また、単一の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a−1,…,27b−1……を測定比較するので、発光側の放射束のバラツキや受光側の光電流のバラツキに起因する回路の調整は発生しない。さらに、印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a−1,…,27b−1……を記録装置内の同一環境で測定比較するので、検知センサ12の光電流温度補正は発生せず、記録装置内で温度補正用の温度検知の必要はなくなる。さらに、検知センサ12が故障して交換となっても調整の必要はないのでメンテナンス性に優れている。
【実施例3】
【0053】
図14を参照して、紙種判別方法の実施例3を説明する。図14は、実施例3の紙種判別方法を示す斜視図である。上述した実施例1及び2では検査チャート11を記録領域外に配置した構成であるが、実施例3では、図14に示すように記録領域内に検査チャートを配置した構成となる。従って検知センサ12が各々の記録媒体片27の反射出力電圧値を読み取る場合、記録媒体10の先端部は媒体検知センサ6の位置にあり、検査チャート11から退避している。検知センサ12が記録媒体10の反射出力電圧値を読み取る場合は、図3に示すように、検査チャート11が格納される。
【0054】
図15から図18までを参照して、図14の紙種判別方法の手順を説明する。図15から図18までは一連の手順であるが、紙面の都合上、分割して示す。図15は、紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。図16は、紙種データをメモリに格納後から検査チャート用モータを停止させるまでの手順を示すフロー図である。図17は、全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。図18は、全ての記録媒体片を読み込んでからフローの終了までの手順を示すフロー図である。
【0055】
図15に示すフローは、記録装置に電源が投入されることにより初期化動作が実行される。本発明の紙種判別に関しては初期化動作時及び用紙交換時に実行されるものとする。電源が投入されることにより、搬送モータ47(図4参照、以下省略)が予め定められた回転数だけ回転する(S1501)。続いて、媒体検知センサ6が記録媒体の有無を判断し(S1502)、記録媒体が無いと判断されたときは、記録媒体を載置する(セットする)ように促す(S1503)。S1502で記録媒体が有ると判断されたときは、搬送モータ47を停止して(S1504)、その後、媒体検知センサ6上にロール紙等の記録媒体10の用紙先端部を位置させるために搬送モータ47を逆転させる(S1505)。媒体検知センサ6が記録媒体を検知しないときはS1504に戻り、媒体検知センサ6が記録媒体を検知したときは、画像形成に先立って紙種を判別するために搬送モータ47を停止する(S1507)。続いて、制御器41は媒体検知センサ6から記録媒体10を距離Lだけ搬送するように搬送モータ47を正転させ(S1508)、記録媒体10が媒体検知センサ6から距離Lだけ搬送されたか否かを判断し(S1509)、距離Lだけ搬送されているときは搬送モータ47を停止させる(S1510)。図1に示すように検知センサ12の主走査方向(矢印A方向)における記録媒体10の表面から、媒体検知センサ6上の記録媒体10の表面までの副走査方向(矢印B方向)の距離はdであるから、このとき、検知センサ12から記録媒体10の先端までの副走査方向における距離は(L−d)となる。搬送距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ48(図4参照)のパルス数と媒体検知センサ6の出力情報に基づいて搬送モータ47を制御して行う。
【0056】
S1510に続いて、制御器41はキャリッジモータ5(図4参照)を駆動し(S1511)、キャリッジ7を主走査方向に移動させて(S1512)、検知センサ12が記録媒体10の端部よりも距離Lだけ離れた位置に位置するよう移動させ(S1513)、キャリッジモータ5を停止する(S1514)。距離の設定は、制御器41がエンコーダセンサ9のパルス数と媒体検知センサ6及びキャリッジポジションセンサ50(図4参照)からの出力情報に基づいてキャリッジモータ5を制御して行う。
【0057】
S1514に続いて、制御器41は、検知センサ12に記録媒体の反射出力電圧値の読込みをさせてA/D変換器44を介したデジタル出力値を受け取る(S1515)。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1516)。続いて、図16のフローに進み、制御器41はキャリッジモータ5を駆動させて(S1517)キャリッジ7をホームポジションへ移動させる(S1518)。続いて、制御器41はキャリッジモータ5を停止して(S1520)搬送モータ47(図9等参照)を逆転して(S1521)記録媒体10の先端を媒体検知センサ6の位置に停止させて(S1522)搬送モータ47を停止する(S1523)。続いて、制御器41はソレノイド53をONして(S1524)プラテン窓(図示せず)を開く。プラテン板金の一部は窓になっており、ソレノイドをONするとプラテン板金が横にスライドして開く構成となっている。続いて、検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S1525)、検査チャート11を記録媒体10と同一面の位置に押し上げ(S1526)、検査チャート用リフトモータ14を停止する(S1527)。
【0058】
続いて、制御器41は検査チャート用モータ20を駆動して(S1528)、位置センサ18の位置に検査チャート側面の反射板16(図1,2参照)が到達したときに(S1529)、検査チャート用モータ20を停止させる(S1530)。このとき、検査チャート11はホームの位置にあり、記録媒体10の同一面に例えば記録媒体片27gが位置する(セットされる)。
【0059】
S1530に続いて、図17のフローに移行して制御器41がキャリッジモータ5を駆動させて(S1531)、キャリッジ7を検査チャート側に移動させ(S1532)、検知センサ12が検査チャートの記録媒体片27g上に位置したときに(S1533)キャリッジモータ5を停止する(S1534)。この移動距離はキャリッジ7のホームポジションから検査チャートの取り付け寸法が事前に判明しているので、キャリッジモータ5を制御してキャリッジ7をエンコーダセンサ9の所定のパルス数だけ移動させればよい事になる。
【0060】
S1534に続いて、制御器41は検知センサ12に検査チャート11の最初の記録媒体片27gの反射出力電圧値を読込ませて(S1535)、A/D変換器44を介したデジタル出力信号を受け取る。取り込んだデータはメモリ45の所定アドレスエリアに書き込まれる(S1536)。以下、S1537からS1540に示す手順のように制御器41は検査チャート用モータ20を制御して検査チャート11を一定角度回転させて、全種類の記録媒体片27a、27b、……のデータをメモリ45の所定アドレスエリアに書き込む(S1537)。
【0061】
S1537の後は図18のフローに移行し、制御器41はキャリッジモータ5を駆動して(S1541)キャリッジ7をホームポジションに移動させる(S1542)。キャリッジ7がホームポジションに移動したことを確認した後(S1543)キャリッジモータ5を停止させる(S1544)。続いて、制御器41は検査チャート用リフトモータ14を駆動して(S1545)検査チャート11を下降させて退避ポジションに移動させ(S1546)、その後、検査チャート用リフトモータ14を停止させる(S1547)。次に、ソレノイド53(図4等参照)をOFFし遮蔽板を閉じる(S1548)。
【0062】
続いて、上記のようにして得た複数の反射出力データの処理に移行し、先ず、制御器41は記録媒体10の反射出力データと検査チャート11上の記録媒体片27a,27b……の反射出力データとを比較する(S1549)。この比較に際しては、記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在していると判断したときは(S1550)、記録装置の紙種を、一致した記録媒体片の紙種であると判別し(S1551)、PC側に通知する(S1552)。記録媒体10の反射出力データと一致する記録媒体片の反射出力データが存在しない場合は(S1550でNOの場合は)、複数の記録媒体片の各反射出力データのうち、記録媒体10の反射出力データに一番近いものを選択し(S1553)、これら2つのデータの誤差が±α%(予め決めておく)以内か否かを判断する(S1554)。この誤差が±α%以内のときは、S1553で選択した記録媒体片の紙種を記録媒体10の紙種として(S1555)PC側に通知し(S1552)、このフローを終了する。制御器41は、誤差±α%以内のデータが存在しないときは、該当検査チャート無しをPC側に通知し(S1556)このフローを終了する。なお、S1556に移行した場合は、PC側から紙種設定要求をオペレータに出すことになる。
【0063】
以上説明したように、実施例3の紙種判別機構及び紙種判別方法によれば、単一(一台)の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)を測定して比較するので、メモリに予め記憶させた紙種データ(普通紙、コート紙、光沢紙、特殊紙等)は必要としない。従って、紙種が増えても記録媒体片27a,27b……を検査チャート11上に追加し紙種名を設定する程度で対応することができる。また、単一の検知センサ12で印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を測定比較するので、発光側の放射束のバラツキや受光側の光電流のバラツキに起因する回路の調整は発生しない。さらに、印刷用紙の記録媒体10と検査チャート11を構成する記録媒体片27a,27b……を記録装置内の同一環境で測定比較するので、検知センサ12の光電流温度補正は発生せず、記録装置内で温度補正用の温度検知の必要はなくなる。さらに、検知センサ12が故障して交換となっても調整の必要はないのでメンテナンス性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは紙種判別位置に位置している。
【図3】図1の画像形成装置に備えられた紙種判別機構を示す側面図であり、検査チャートは収容位置に位置している。
【図4】図1の画像形成装置の紙種判別機構のための制御系を示すブロック図である。
【図5】紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。
【図6】紙種データをメモリに格納後から検査チャートの記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。
【図7】記録媒体片を読み込んだ後から終了までの手順を示すフロー図である。
【図8】実施例2の紙種判別機構を備えた画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図9】図8の画像形成装置の紙種判別機構の制御系を示すブロック図である。
【図10】紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。
【図11】紙種データをメモリに格納後から検知センサを検査チャート上に移動させるまでの手順を示すフロー図である。
【図12】全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。
【図13】全ての記録媒体片を読み込んでから終了までの手順を示すフロー図である。
【図14】実施例3の紙種判別方法を示す斜視図である。
【図15】紙種判別の開始から紙種データをメモリに格納するまでの手順を示すフロー図である。
【図16】紙種データをメモリに格納後から検査チャート用モータを停止させるまでの手順を示すフロー図である。
【図17】全ての記録媒体片を読み込むまでの手順を示すフロー図である。
【図18】全ての記録媒体片を読み込んでからフローの終了までの手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0065】
8 記録ヘッド
10 記録媒体
11 検査チャート
12 検知センサ
15 検査チャート機構
19 遮蔽板
27a,27b,…27g,… 記録媒体片
41 制御器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別方法において、
紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段を用いて、複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートの前記複数の紙種の記録媒体片の前記特性値と、画像が形成される記録媒体の前記特性値とを検知して比較し、予め決められた一定範囲内で前記記録媒体の特性値に一致する特性値が検知された記録媒体片の紙種を前記記録媒体の紙種と判別することを特徴とする紙種判別方法。
【請求項2】
前記検知手段は、発光素子と受光素子を備えたものであり、
前記特性値は、前記発光素子からの光が反射されて前記受光素子に受光されたときに前記受光素子から出力される電圧値であることを特徴とする請求項1に記載の紙種判別方法。
【請求項3】
前記発光素子及び前記受光素子から前記複数の紙種の記録媒体片それぞれまでの距離と、前記発光素子及び前記受光素子から前記記録媒体までの距離とは等しいことを特徴とする請求項2に記載の紙種判別方法。
【請求項4】
前記記録媒体と前記記録媒体片とを同一平面上に位置させて前記検知手段で前記特性値を検知することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の紙種判別方法。
【請求項5】
前記検知手段を作動させないときは前記検査チャートを収納しておくことを特徴とする請求項1から4までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項6】
前記複数の紙種の記録媒体片は、前記検査チャートに着脱自在に固定されているものであることを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項7】
前記検査チャートは、前記記録媒体片を固定する予備の領域が形成されたものであることを特徴とする請求項1から6までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項8】
前記記録媒体及び前記複数の紙種の記録媒体片それぞれにアドレスを割り付けておき、
前記検知手段が検知した特性値を、これに対応するアドレスに書き込み、
各アドレスに書き込まれた特性値を比較することにより前記記録媒体の紙種を判別することを特徴とする請求項1から7までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項9】
画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別機構において、
紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段と、
複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートと、
前記検知手段で検知された、前記複数の紙種の記録媒体片がもつ前記特性値及び前記記録媒体がもつ前記特性値それぞれを比較して紙種を判別する判別器とを備えたことを特徴とする紙種判別機構。
【請求項10】
前記検知手段は、発光素子と受光素子からなるものであることを特徴とする請求項9に記載の紙種判別機構。
【請求項11】
前記検査チャートを出し入れ自在に収納する収納箱を備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載の紙種判別機構。
【請求項1】
画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別方法において、
紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段を用いて、複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートの前記複数の紙種の記録媒体片の前記特性値と、画像が形成される記録媒体の前記特性値とを検知して比較し、予め決められた一定範囲内で前記記録媒体の特性値に一致する特性値が検知された記録媒体片の紙種を前記記録媒体の紙種と判別することを特徴とする紙種判別方法。
【請求項2】
前記検知手段は、発光素子と受光素子を備えたものであり、
前記特性値は、前記発光素子からの光が反射されて前記受光素子に受光されたときに前記受光素子から出力される電圧値であることを特徴とする請求項1に記載の紙種判別方法。
【請求項3】
前記発光素子及び前記受光素子から前記複数の紙種の記録媒体片それぞれまでの距離と、前記発光素子及び前記受光素子から前記記録媒体までの距離とは等しいことを特徴とする請求項2に記載の紙種判別方法。
【請求項4】
前記記録媒体と前記記録媒体片とを同一平面上に位置させて前記検知手段で前記特性値を検知することを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の紙種判別方法。
【請求項5】
前記検知手段を作動させないときは前記検査チャートを収納しておくことを特徴とする請求項1から4までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項6】
前記複数の紙種の記録媒体片は、前記検査チャートに着脱自在に固定されているものであることを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項7】
前記検査チャートは、前記記録媒体片を固定する予備の領域が形成されたものであることを特徴とする請求項1から6までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項8】
前記記録媒体及び前記複数の紙種の記録媒体片それぞれにアドレスを割り付けておき、
前記検知手段が検知した特性値を、これに対応するアドレスに書き込み、
各アドレスに書き込まれた特性値を比較することにより前記記録媒体の紙種を判別することを特徴とする請求項1から7までのうちのいずれか一項に記載の紙種判別方法。
【請求項9】
画像が形成される記録媒体の紙種を判別する紙種判別機構において、
紙種に応じた特性値を検知する一台の検知手段と、
複数の紙種の記録媒体片が固定された検査チャートと、
前記検知手段で検知された、前記複数の紙種の記録媒体片がもつ前記特性値及び前記記録媒体がもつ前記特性値それぞれを比較して紙種を判別する判別器とを備えたことを特徴とする紙種判別機構。
【請求項10】
前記検知手段は、発光素子と受光素子からなるものであることを特徴とする請求項9に記載の紙種判別機構。
【請求項11】
前記検査チャートを出し入れ自在に収納する収納箱を備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載の紙種判別機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−66811(P2009−66811A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235572(P2007−235572)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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