説明

紙葉類処理装置

【課題】券種変更などの際には、判別パラメータの変更に限らず、対応する変更前のソフトウェア及びハードウェアの変更を可能にする紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】処理券種が入力すると、主検知制御部のMCPU20aは、主制御部から送信された券種情報を記憶部20bに保存し、当該保存された券種情報に基づき、各検知ユニットでの検知プログラム、検知ハードウェアを構成するFPGAプログラム及び検知パラメータで構成された検知構成データを選択する。このようにして選択された検知構成データを各検知ユニットに送信する。各検知ユニットは、主検知制御部から送信された検知構成データを記憶部に保存する。例えば、検知ユニット21が形状検知ユニットの場合、主検知制御部の記憶部20bに格納されている形状検知プログラムはSCPUプログラムエリアに保存され、FPGAプログラムは、記憶部21b2に保存されハードウェアを構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を紙葉類判別手段によって判別処理する紙葉類処理装置に関し、特に前記紙葉類判別手段のハードウェア及びソフトウェアを変更可能な紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、処理単位に応じて一括して投入された紙葉類束から取出装置によって紙葉類を1枚ずつ取出して搬送し、搬送状態検知装置及び紙葉類判別装置によって紙葉類を判別する。
【0003】
搬送状態検知装置は、取出装置によって取り出された紙葉類の搬送状態を検知し、搬送異常券や2枚取り券を検知した場合には排除券として排除券集積装置に集積する。
【0004】
紙葉類判別装置は、紙葉類の判別装置によって当該紙葉類の種類(以下、券種と称する。)判別、搬送方向判別、真偽判別(真券か偽券か)及び正損判別(真券で再流通可能な正券か真券で再流通不可能な損券か)を行い、正券、損券及び排除券に区分する。
【0005】
このようにして区分された紙葉類は、処理単位区分ごとに集積され又は集積・施封されていた。例えば、処理単位が1000枚で100枚区分を行う場合は、集積装置の一時集積庫に正券が100枚集積されるごとに区分され紙帯を用いて施封装置によって施封される。施封の必要のない券種は、集積装置に集積されるとそのまま集積カセットに集積される。
【0006】
上記紙葉類判別装置は、処理対象である紙葉類の判別内容によって異なるため、判別内容に対応したハードウェアとそのハードウェアに対応したソフトウェア従来が準備され、紙葉類の券種変更などの際には、変更の必要なパラメータを変更する方法が用いられていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特願2002−331620号公報 (第1頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の紙葉類処理装置では、券種変更などの際には、判別パラメータの変更で対応できる範囲を超える変更の場合は、対応するハードウェアを新規に作成する必要があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、券種変更などの際には、判別パラメータの変更に限らず、対応する変更前のソフトウェア及びハードウェアの変更を可能にする紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理装置は、複数券種の紙葉類が一括して供給された供給部から一定の間隔で1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段による判別結果に基づいて前記紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置であって、前記紙葉類判別手段は、上位装置から送信される前記紙葉類の券種情報を受信する通信制御手段と、この通信制御手段によって受信された前記券種情報に基づいて前記紙葉類を検知するハードウェアを生成する第1のプログラム生成データ及び当該ハードウェアを制御する第2のプログラムが含まれる検知構成データを記憶する第1の記憶手段と、前記通信手段及び前記記憶手段を制御し、前記通信手段によって受信した前記券種情報に基づいて前記第1の記憶手段から当該券種情報に基づく前記検知構成データを選択し、この検知構成データを送信する第1の制御手段と、この第1の制御手段が送信する前記検知構成データを受信し、この受信データを展開して前記紙葉類を検知する検知手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記問題を解決するためになされたもので、券種変更などの際には、判別パラメータの変更に限らず、対応する変更前のソフトウェア及びハードウェアの変更を可能にする紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例による紙葉類判別装置19を備えた紙葉類処理装置100の概略構成図である。図2は、図1に示す紙葉類判別装置19の構成を示す。図3は、図2に示す紙葉類判別装置19の動作を説明するためのブロック図である。以下図1から図3を参照して紙葉類処理装置100を説明する。
【0013】
紙葉類処理装置100は、操作部550及び紙葉類処理機1で構成されている。
【0014】
操作部550は、紙葉類処理機1で行う業務内容の指示、その指示された業務内容に基づく取引内容の指定、及び紙葉類処理機1での取引結果を入手し、その入手結果を図示していない上位システムに送信する。本紙葉類処理装置は、オフラインで使用するのも可能である、そのときには上位システムには接続しないで使用する。
【0015】
操作部550には、入力部551及び操作表示部552が備えられており、処理する紙葉類の種類(券種)、紙葉類を正損判別するための正損判別レベル、集積又は施封する券種指定などを操作員が設定することが可能である。
【0016】
入力部551は、キーボード又はマウスが接続されており、データの入力に用いられる。
【0017】
操作表示部552は、操作員に対して紙葉類処理機1を操作する操作の案内を行うと共に、入力されたデータを表示して操作員が確認できるようにしてある。
【0018】
紙葉類処理機1は、インターフェース501を介して操作部550に接続されている。以下、紙葉類処理機1の構成を紙葉類Pを供給する供給部10から順に説明する。
【0019】
供給部10は、供給台11を有しており、この供給台11に紙葉類Pをセットし、取出し開始釦(図示しない)をオンすると、取出ローラ5に押圧された状態になっている紙葉類Pは、取出ローラ5が回転することにより一定間隔を有して紙葉類Pの最先端の紙葉類から順に1枚ずつ取り出される。
【0020】
搬送路16aは、搬送面に対して対向するベルトで紙葉類Pを複数箇所挟持する。この搬送ベルトを掛け回した搬送ローラを駆動することによって紙葉類Pを搬送する。
【0021】
分岐ゲートG1は、例えば、排除券と、処理券とに振り分けるゲートである。排除券とは、紙葉類判別装置(紙葉類判別手段)19で紙葉類Pを判別した結果、紙葉類Pが偽券、又は折れ、破れ及びスキューなどにより判別のできない「判別不能券」と判別された紙葉類Pをいう。この判別結果を搬送制御部26が受信すると、分岐ゲートG1を右側(時計方向)に回動することにより、当該排除券を排除券集積装置30に集積する。
【0022】
また、処理券とは、紙葉類判別装置19で判別された紙葉類Pが真券で正券、又は真券で損券をいう。搬送制御部26は、その判別結果を受信すると、分岐ゲートG1を左側(反時計方向)に回動して、当該紙葉類Pを区分処理する。
【0023】
反転処理部9は、表裏反転機能を有し、紙葉類Pの取り揃える方向により紙葉類の表裏を反転する。分岐ゲートG2は、表裏反転分岐ゲートである。紙葉類判別装置19で判別された紙葉類Pの搬送方向の判別結果に基づき、表裏反転を必要とする場合に左側(時計方向)に回動し、紙葉類Pを図示矢印A6で示す表裏反転部9を通過させる。また、表裏反転を必要としない場合、分岐ゲートG2を、右側に回動し、紙葉類Pを図示矢印A4で示す方向に搬送させる。例えば搬送方向が裏正(BF)の場合、表裏反転部9によって反転されて表正(FF)になる。
【0024】
分岐ゲートG3は、搬送される紙葉類Pを搬送路16aから施封装置40、又は集積部50に分岐する分岐ゲートである。搬送される紙葉類Pが操作部550によって施封するように指定された券種の場合、搬送制御部26は、分岐ゲートG3を右側(時計方向)に回動し、紙葉類Pを施封装置40が設けられている図示矢印A7の方向に搬送する。また、それ以外の券種の紙葉類Pは、分岐ゲートG3から分岐ゲートG4〜G8を経由して集積装置57〜62に集積するように振り分けられる。
【0025】
施封装置40及び集積装置50には、紙葉類Pが搬送される搬送路から分離するために搬送路の終端に紙葉類Pを集積する羽根車集積装置が設けられている。
【0026】
この羽根車集積装置は、例えば、集積装置57の場合、羽根車57a、一時集積庫57b、シャッター57c、カセット57e、及び集積を補佐するプッシャ(図示しない)などで構成される。
【0027】
羽根車57aは、複数の羽根が回転軸の周辺に組み込まれており、搬送されてきた紙葉類Pを羽根と羽根の間で受け取れるように紙葉類Pの搬送に同期して回転している。この羽根車57aを使用することによって、高速に搬送される紙葉類Pの運動エネルギーを吸収し、かつ紙葉類Pを整位しながら一時集積庫57bに集積する。
【0028】
集積装置57で使用される一時集積庫57bには、シャッター57cが備えられており、このシャッター57cの上に紙葉類Pが集積される。そして、このシャッター57cに集積された紙葉類Pは、例えば満杯になったとき、又は業務終了指示(図示しない)などがあると、シャッター57cが開き、シャッター57c下部に設けられた集積庫としてのカセット57eに設けられたバックアッププレート57dの上に落下する。
【0029】
施封装置40は、第1集積部42、第2集積部43、搬送部44、紙帯部46、帯送り部47、帯巻部48を有する。本実施例では、施封装置40が、上記第1集積部42、第2集積部43を有している場合を説明するが、必要に応じてこれら2個の集積部を対にして複数セット用いてもよい。
【0030】
第1集積部42及び第2集積部43は、共に同様に構成されているため、第1集積部42についてその構成を説明し第2集積部43の説明を省略する。
【0031】
第1集積部42には、施封搬送路40aから紙葉類を分岐する分岐ゲートG12、振り分けられた紙葉類Pを搬送する搬送路40b、搬送路40bの終端から送り出された紙葉類を受け取る羽根車42a、この羽根車42aによって受け取られた紙葉類Pを集積する一時集積庫42b、集積された紙葉類Pを押圧するプッシャー(図示しない)が設けられている。以下、施封装置40の各部構成について説明する。
【0032】
一時集積庫42bは、搬送される紙葉類Pを計数し100枚に達すると、続けて搬送される紙葉類Pを一時集積庫43bに集積させるために切り替えゲートG12及びG13を切り替える。その後、この一時集積庫42bに集積された100枚紙葉類Pbの施封を行う。以下この施封動作を説明する。
【0033】
一時集積庫42bに集積された100枚紙葉類は、搬送キャリア44に渡される。搬送キャリア44は、図示矢印で示す縦搬送及び横搬送され、帯巻部48に100枚紙葉類Pbを渡す。
【0034】
この搬送キャリア44から渡された100枚紙葉類Pbは、紙帯部46から供給された紙帯46aが帯送り部47で送られ帯巻部48に達すると、帯巻部48はこの紙帯を用いて上記100枚紙葉類の所定部位を帯び巻きする。このようにして帯び巻された100枚紙葉類からなる把Hが形成される。
【0035】
帯巻部48で形成された把Hは、把集積装置63のカセット63dに収納される。このカセット63dに収納される方法は、シャッター63c及び把集積装置63の入口の扉が開き、把Hをカセット63dに入れ、その上から押込み棒(図示しない)で中に押込む。このようにして集積された把Hの様子が図1に示してある。
【0036】
図2は、図1に示す紙葉類判別装置19の構成を示す。紙葉類判別装置19には、主検知制御部20及び複数の検知ユニットが備えられている。
【0037】
主検知制御部20は、紙葉類判別装置全体を制御する第1の制御手段としてのMCPU(Main Central Processing Unit)20a、第1の記憶手段としての記憶部20b、通信制御手段としての通信制御部20cが備えられており、紙葉類を検知する検知手段としての検知ユニット21、22、、、と通信可能に構成され、各検知ユニットから送信された検知結果に基づき当該紙葉類を総合的に判別する。
【0038】
検知ユニット(検知手段)21、22、、、は、例えば搬送される紙葉類Pの形状を検知する形状検知ユニット、紙葉類表面の色及び模様から券種を検知する券種検知ユニット、紙葉類の正損を検知する正損検知ユニット、紙葉類の印刷インクの磁性体を検知する磁気検知ユニット、インクの蛍光などを検知する蛍光検知ユニット、紙葉類の厚さを検知する厚さ検知ユニットなどで構成される。
【0039】
また、この主検知制御部20は、主制御部500と接続されている。主制御部500は、操作部550に接続されている。従って、操作員がこの操作部550から処理する処理券種を入力すると、この入力された券種情報に基づいて使用する処理基板、この処理基板に適用するハードウェアを構築するFPGA(Field Programmable Gate Array)のデータ、及びこのハードウェアを利用するソフトウェア情報が記憶部20bから適用する処理基板に送信される。
【0040】
例えば、日本紙幣を処理する指定が操作員によって行われると、4券種(千円、2千円、5千円、万円)の形状検知データが形状検知ユニット、券種検知データ、正損検知データ、磁気検知データ、蛍光検知データ及び厚さ検知データなどが適用する処理基板に送信される。
【0041】
各検知ユニット21、22、、、のSCPU(Sub Central Processing Unit)は、主検知制御部20から受信した検知構成データを処理基板に備えられた記憶部のそれぞれ指定されたエリアに保存する。
【0042】
なお、上記各検知ユニット21、22、、、の検知構成データは、MCPU20aが管理する記憶部20bに格納されているため、各検知ユニットを構成するSCPU21a、、、が記憶部20bを参照できる構成にしてもよい。このような構成にすることによって、MCPU20aからSCPU21a、、、に対する送信を行う必要がなく、高速に処理が可能になる。しかしながらこの方法は、MCPCのデータバスを延長することになるため、各検知ユニットの処理基板とMCPU20aの位置が通信可能な位置に配置されていることが条件となる。従って、主検知制御部20と検知ユニット21、、、の距離が通信可能な位置を越えて長くなる場合には、後述する通信制御部20cを通して通信することになる。本発明はこの何れにも対応可能に構成されている。
【0043】
説明を簡単にするために、例えば形状検知ユニットが検知ユニット21に相当し、券種検知ユニットが検知ユニット22に相当する場合を仮定して説明する。
【0044】
検知ユニット21の入出力部を通して形状を検知するためのセンサA21eに接続される。このセンサA21eは、紙葉類Pの搬送方向と直行する方向に配置されたCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)を有し、紙葉類P1が通過した際の透過光を撮像する。この撮像されたデータは処理基板Aによって取込まれる。
【0045】
処理基板Aには、この処理基板の処理を行う第2の制御手段としてのSCPU21a、SCPU21aの動作を司る第2の記憶手段としての記憶部21b、SCPU21aの制御の下で動作するハードウェアを構成するハードウェア手段としてのFPGA21c及び必要に応じて主検知制御部20と通信可能な通信制御部21dを備えている。
【0046】
SCPU(第2の制御手段)21aは、図示矢印A1方向に搬送される紙葉類P1に関する透過光をセンサA21eで取込んだ形状検知データを演算処理するCPUである。
【0047】
記憶部21bには、電源オンなどの初期状態においてSCPU21aが動作するのに必要なブートプログラムと、主検知制御部20によって与えられる形状検知プログラム、FPGA21cの形状検知ハードウェアログラム及び形状検知判別パラメータが保存される。
【0048】
FPGA21cには、上記形状検知ハードウェアプログラムがダウンロードされる。
【0049】
通信制御部21dは、上述したように検知ユニット21の処理基板AとMCPU20aの位置が通信可能な位置に配置されていない場合に有効である。この場合には例えば通信手段としてLAN回線を使用する場合やUSB通信で可能な場合など、その環境における通信時間と通信量によって判断される。
【0050】
検知ユニット22は、検知ユニット21同様に構成されている。例えば、この検知ユニット22において券種検知を行う場合を例に説明する。
【0051】
SCPU(第2の制御手段)22aは、搬送される紙葉類P2の表面又は裏面の、反射光及び透過光をセンサ22eで取り込んだ券種検知データを演算処理するCPUである。
【0052】
記憶部(第2の記憶手段)22bには、電源オンなどの初期状態においてSCPU22aが動作するのに必要なブートプログラムと、主検知制御部20から送信される券種検知プログラム、FPGA22cの券種検知ハードウェアプログラム及び券種検知判別プログラムが保存される。
【0053】
FPGA22cには、上記券種検知ハードウェアプログラムがダウンロードされる。
【0054】
通信制御部22dは、形状検知ユニットの通信制御部21dと同様に使用されるため、その説明を省略する。
【0055】
同様に、紙葉類を処理する処理内容に応じて検知ユニットが複数用いられて紙葉類判別装置が構成される。
【0056】
このように構成された各検知ユニットによる検知結果は、バス19aを通して主検知制御部に送信される。
【0057】
主検知制御部20のMCPU20aは、各検知ユニット21、22、、、から受信した検知データに基づいて総合判別を行う。例えば、形状検知の場合は、当該紙葉類P1の幅、長さ、傾き、破れ、切れの大きさの値が受信されるので、それらの値が券種ごとに設定された基準値内であるかどうかが判別される。また、上述して券種検知の場合は、当該紙葉類P2の表面及び裏面の色又はパターンが処理する券種に一致するかどうか判別する。この判別方法は、パターンマッチング法などよく知られている技術を用いて行うことが可能である、本発明の目的とするところではないのでその説明を省略する。
【0058】
図3は、紙葉類判別装置19の主制御部500、主検知制御部20及び検知ユニット21の動作を説明するブロック図である。ここでは、説明を簡単にするため、検知ユニット21が一個接続されている場合を示してある。
【0059】
このように構成された紙葉類判別装置において、紙葉類判別装置内部のハードウェア及び検知内容を変更する場合を想定する。これは、例えば本装置が紙幣を区分処理する装置の場合にあって、改券などが行われ、紙葉類判別装置のハードウェア及びその処理を大幅に変更する場合が発生した場合に相当する。
【0060】
最初に、操作員によって、改券に相当する券種情報が主制御部500から主検知制御部20の通信制御部20cを介して通知される。
【0061】
次に、主検知制御部20のMCPU20aは、主制御部500から送信された券種情報を記憶部20bに保存し、当該保存された券種情報に基づき、各検知ユニットでの検知プログラム、検知ハードウェアを構成するFPGAプログラム(検知HW・FPGAプログラム)及び検知パラメータで構成された検知構成データを選択する。
【0062】
次に、このようにして検知ユニットごとに選択された構成データを各検知ユニットに送信する。
【0063】
次に、各検知ユニットは、主検知制御部20から送信された検知構成データを当該検知ユニットの対応するメモリエリアに保存する。
【0064】
例えば、上述同様検知ユニット21が形状検知ユニットの場合、主検知制御部20の記憶部20bに格納されている形状検知プログラムは検知ユニット21の記憶部21b1のSCPUプログラムエリアに格納され、形状検知プログラムとして用いられる。また、形状検知HW・FPGAプログラムは、記憶部21b2のFPGAプログラムエリアに格納され、形状検知用FPGAプログラムとして用いられる。さらに形状検知パラメータは、記憶部21b2の判別パラメータエリアに格納され、形状検知判別パラメータとして用いられる。
【0065】
次に、SCPUは、FPGA21cにアクセスし、FPGAプログラムを転送又は記憶部21b2のFPGAプログラムエリアをFPGA21cがアクセスできるようにメモリアクセス権の切り替えを行う。この操作によって、FPGAによるハードウェアの再構築が行われる。この結果、FPGAは形状検知用のハードウェアとして機能するようになる。
【0066】
同様の処理が他の検知ユニットに対しても行われる。全ての処理が終了すると、紙葉類処理装置は、稼動可能な状態になる。
【0067】
次に、紙葉類処理装置の開始スイッチ(図示しない)がオンされ、紙葉類Pの取り出しが開始される。例えば、紙葉類Pが形状検知センサ21eによって検知されると、検知された出力信号は、センサ処理回路21fに出力される。形状検知センサ21eによって検知された形状信号は、上述したように紙葉類Pの透過光をCCDなどの撮像素子で検知したアナログ信号であり、このアナログ信号をセンサ処理回路21fに出力する。
【0068】
センサ処理回路21fは、形状検知センサ21eから入力されたアナログ信号をA/D変換器(Analog to Digital converter)によりデジタルデータに変換する。
【0069】
このA/D変換されたデジタルデータは、SCPU21aの記憶部21b1に構築された形状検知プログラムによって演算され、上述した当該紙葉類Pの幅、長さ、傾き、破れ及び切れなどが検知される。
【0070】
また、この検知されたデータが形状検知パラメータで与えられる判別レベルと比較される。判別レベルと比較されたデータは、SCPU21aによって主検知制御部20に送信される。
【0071】
主検知制御部20は、液状検知ユニット21からの検知結果とその他の検知ユニットからの検知結果を基にして総合判別を行う。このようにして判別された検知結果は、主制御部500に送信される。
【0072】
主制御部500は、主検知制御部20からの検知結果を搬送制御部に送信する。搬送制御部は、この判別結果基づいて区分先を設定するのは、上述した通りである。
【0073】
以上述べたように本発明によれば、改券などの場合に設定パラメータの変更に留まらず、ハードウェアの変更及びそのハードウェアを用いた処理内容の変更までも主制御部からの指示によって容易に変更できる。この方法によれば、第1国向けに設定した紙葉類処理装置を第2国向けに変更することも容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例による紙葉類判別装置19を備えた紙葉類処理装置の概略構成図。
【図2】図1に示す紙葉類判別装置19の構成図。
【図3】紙葉類判別装置19の主制御部500、主検知制御部20及び検知ユニット21の動作を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
H 把
P、P1、P2 紙葉類
G1〜G8 分岐ゲート
1 紙葉類処理機
10 供給部
16 搬送路
19 紙葉類判別装置
20 主検知制御部
20a MCPU
20b 記憶部
21、22検知ユニット
21a、22a SCPU
21b、22b 記憶部
21c、22c FPGA
100 紙葉類処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数券種の紙葉類が一括して供給された供給部から一定の間隔で1枚ずつ取り出して搬送し、前記紙葉類を判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段による判別結果に基づいて前記紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類判別手段は、
上位装置から送信される前記紙葉類の券種情報を受信する通信制御手段と、
この通信制御手段によって受信された前記券種情報に基づいて前記紙葉類を検知するハードウェアを生成する第1のプログラム生成データ及び当該ハードウェアを制御する第2のプログラムが含まれる検知構成データを記憶する第1の記憶手段と、
前記通信手段及び前記記憶手段を制御し、前記通信手段によって受信した前記券種情報に基づいて前記第1の記憶手段から当該券種情報に基づく前記検知構成データを選択し、この検知構成データを送信する第1の制御手段と、
この第1の制御手段が送信する前記検知構成データを受信し、この受信データを展開して前記紙葉類を検知する検知手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記検知手段は、
前記第1の制御手段から送信された前記検知構成データを保存する第2の記憶手段と、
この第2の記憶手段に記憶された前記構成データの前記第1のプログラムに基づいて生成可能なハードウェア手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された前記検知構成データの前記第2のプログラムに基づいて動作する第2の制御手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記検知手段を複数備え、
前記検知構成データに応じて前記複数の検知手段で前記紙葉類を検知するようにしたことを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−123285(P2008−123285A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307022(P2006−307022)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】