細胞増殖の阻害を示すアナログ、それを作製する方法およびその使用
細胞増殖の阻害を示すアナログが提供される。アナログの作製方法もまた包含される。これらのアナログを使用して、前立腺癌、乳癌および卵巣癌のような癌性状態を処置し得る。1つの実施形態において、本発明の化合物はさまざまな形態の癌、特に前立腺癌、乳癌および卵巣癌の処置または予防に特に有用である。他の形態の癌は、本発明の化合物または組成物の被検体への投与で同じように処置できるかまたは予防できると考えられる。本発明の好ましい化合物は、癌細胞に対して選択的に破壊し、正常細胞の除去は引き起こさずに癌細胞の除去を引き起こす化合物である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願番号第10/523,175号の1部継続出願であり、そしてこの出願のの優先権の利益を主張し、この出願は2003年11月18日に出願した米国仮出願特許番号第60/523,079号優先権と利益を主張する。その両方は、本明細書により全体として参考に援用される。
【0002】
本出願は、2004年2月11日に出願した米国仮出願特許番号第60/543,724号および2004年3月24日に出願した米国仮出願特許番号第60/555,803号の優先権と利益を主張する。その両方は、全体として本明細書により参考として援用される。
【0003】
本出願は、少なくとも1部、助成金DAMD17−01−1−0830のもとで、米国防衛庁から資金援助を受けてなされた。連邦政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
合衆国の男性において新たに診断された悪性疾患の全てのうちの33%が前立腺癌である(米国癌協会(American Cancer Society):Canncer Facts and Figures(2003))。米国癌協会によると、推定230,110人の男性は、2004年において前立腺癌を有すると診断され、そしてそれで29,900人が死ぬであろう(米国癌協会(American Cancer Society):Canncer Facts and Figures(2004))。前立腺癌の発生率は、世界中で変化し、合衆国、カナダおよびスカンジナビアにおいて最高率で見出され、中国およびアジアの他の部分において最低率で見出される(非特許文献1;非特許文献2)。これらの差異は、遺伝的受容性、未知の外部危険因子に対する曝露、健康管理および癌記録における差異またはこれらの要因の組み合わせにより生じる。
【0005】
前立腺癌は、多病巣性であり、癌性腺が複数の独立した病巣を含むことが通常観察され、これはこの疾患の不均質性を示唆する(非特許文献3)。前立腺の病的増殖の原因になる決定要素は、ステロイドのアンドロゲンおよびペプチド成長因子が関与している(非特許文献4および5)が、まだ殆ど理解されていない。癌を前立腺に限る場合、手術または放射線により首尾よく制御し得るが、転移性疾患においては、リンパ節関与または位置散在性(disseiminated loci)の場合における主力の処置である、アンドロゲン除去(非特許文献6)より優れた利用可能な選択肢は殆どない。1度腫瘍細胞がホルモン難治性になると、標準的な細胞傷害剤は、ある程度の緩和的軽減を提供するが、疾患の進展を遅延するのに僅かしか有効ではない。現在の化学療法レジメン(代表的には2以上の薬剤)は、ほんの20〜30%の範囲の応答率(非特許文献7および8)をもたらす。
【0006】
前立腺癌の1つの有望な薬物開発戦略としては、癌細胞シグナル伝達経路と関連する成長因子および他の分子を干渉する薬剤を同定し、そして試験することである。Gタンパク質結合レセプター(「GPCR」)は、リゾリン脂質(「LPLs」)の結合により開始される前立腺癌細胞の増殖および生存と関連する、膜結合タンパク質のファミリーである(非特許文献9、10、11および12)。インビボでの増殖および転移の制御におけるGタンパク質依存性経路の重要性は、マウスにおけるアンドロゲン非依存性の前立腺癌細胞の増殖が、Gi/oタンパク質インヒビターである百日咳毒素による処置により減弱されるという観察により確証される(非特許文献13)。リゾホスファチジン酸(「LPA」)およびスフィンゴシン−1−リン酸(「SIP」)GPCRシグナル伝達を刺激することで知られている膜リン脂質の制御された分解により生成する脂質伝達物質である。
【0007】
LPLは、Edg遺伝子ファミリーによりコードされるGPCRに結合して多様な生物学的効果を発現する。LPAは、ホスホリパーゼDの活性およびPC−3前立腺癌細胞増殖を刺激する(非特許文献14)。さらに、以前の研究でLPAが前立腺癌細胞において有糸分裂誘発性であること、ならびにPC−3およびDU−145がLPA1レセプター、LPA2レセプターおよびLPA3レセプターを発現することを示した(非特許文献15)。進行した前立腺癌は、LPLレセプターを発現し、アンドロゲン非依存性で増殖および進行に関するホスファチジル3−キナーゼ(「PI3K」)のシグナル伝達に依存する(非特許文献10)。従って、これらの経路は、癌治療に最も有望な新規なアプローチとして広く考えられ(非特許文献16)、進行したアンドロゲン難治性の前立腺癌の処置に特に新規なアプローチを提供する。
【非特許文献1】QuinnおよびBabb、「Patterns and Trends in Prostate Cancer Incidence、Survival、Prevalence and Mortality.Part:International Comparison」BJU Int.90:162〜173(2002)
【非特許文献2】Gronberg、「Prostate Cancer Epidemiology」、Lancet 361:859〜864(2003))
【非特許文献3】Fosterら、「Cellular and Molecular Pathology of Prostate Cancer Precursors」Scand.J.Urol.Nephrol.205:19〜43(2000))
【非特許文献4】Agusら、「Prostate Cancer Cell Cycle Regulatiors:Response to Androgen Withdrawal and Developement of Androgen Independence」、J.Natl.Cancer.Inst.91:1869〜1876(1999)
【非特許文献5】Djakiew、「Dysregulated Expression of Growth.Factors and Their Receptors in the Developement of Prostate Cancer」、Prostate 42:150〜160(2000))
【非特許文献6】Frydenbergら、「Prostate Cancer Diagnosis and Management」、Lancet 349:1681〜1687(1997)
【非特許文献7】Beedassyら、「Chemothepy in Advanced Prostate Cancer」、Sern.Oncol.26:428〜438(1999)
【非特許文献8】Raghavanら、「Evolving Strategies of Cytotoxic Chemotherapy for Advanced Prostate Cancer」、Eur.J.Cancer:33566〜574(1997)
【非特許文献9】Rajら、「Guanosine Phosphate Binding Protein Coupled Receptors in Prostate Cancer:A Review」J.Urol.167:1458〜1463(2002)
【非特許文献10】Kueら、「Essential Role for G Proteins in Prostate Cancer Cell Growth and Signaling」、J.Urol.164:2162〜2167(2000)
【非特許文献11】Guoら、「Mitogenic Siganling in Androgen Sensitive and Insensitive Prostate Cancer Cell Lines」、J.Urol.163:1027〜1032(2000)
【非特許文献12】Barki−Harringtonら、「Bradykinin Induced Mitogenesis of Androgen Independent Prostate Cancer Cells」、J.Urol.165:2121〜2125(2001)
【非特許文献13】Hexら、「Influence of Pertussis Toxin on Local Progression and Metastasis After Orthotopic Implantation of the Human Prostate Cancer Cell Line PC3 in Nude Mice」、Prostate Cancer Prostatic Dis. 2:36〜40(1999)
【非特許文献14】Qiら、「Lysophosphatidic Acid Stimulates Phospholipase D Activity and Cell Proliferation in PC−3 Human Prostate Cancer Cells」J.Cell.Physiol.174:261〜272(1998)
【非特許文献15】Daakaら、「Mitogenic Action of LPA1 in Prostate」Biochim.Biophys.Acts 1582:265〜269(2002)
【非特許文献16】Vivancoら、「The Phosphatidylinositol 3−Kinase AKT Pathway in Human Cancer」、Nat.Rev.Cancer 2:489〜501(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記アプローチが有望なことにもかかわらず、LPAシグナル伝達またはPI3Kシグナル伝達を選択的に利用または阻害する、臨床上利用可能な治療は存在しない。
【0009】
本発明は、これらおよび他の先行技術の欠陥を克服することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(概要)
本発明の第1の局面は、式(I)および式(II)
【0011】
【化18】
に記載の化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X3およびX4は、必要に応じて存在し、そして各々は、硫黄または酸素であり得;
lは、1〜12の整数であり;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【0012】
【化19】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、この炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0013】
【化20】
または、−(CH2)n−Y2であり、
ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである。
【0014】
本発明の第2の局面は式(V)および式(VI)
【0015】
【化21】
に記載の化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X5は、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【0016】
【化22】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、前記炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0017】
【化23】
または、−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである。
【0018】
本発明の第3の局面は式(VII)
【0019】
【化24】
に記載の化合物に関する。ここで、
X3が、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
X6が、酸素または窒素であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0020】
【化25】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、前記炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0021】
【化26】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである。
【0022】
本発明の第4の局面は式(VIII)
【0023】
【化27】
の化合物に関する。ここで、
X8が、OまたはSであり;
nが、1〜30の間であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0024】
【化28】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;そして、
R5、R6、R7、R8、およびR9は、水素、ヒドロキシ、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択される。
【0025】
本発明の第5の局面は式
【0026】
【化29】
を有する化合物に関する。ここで、
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かまたは分枝鎖の、置換または非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしく非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールである。
【0027】
本発明の第6の局面は式(XIV)および(XV)
【0028】
【化30】
の化合物に関する。
【0029】
本発明の第7の局面は、薬学的に受容可能なキャリアと、本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第6の局面に記載の化合物とを含有する、薬学的組成物に関する。
【0030】
本発明の第8の局面は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第6の局面に記載の化合物を提供する工程、ならびに、接触された癌細胞を破壊するために効果的な条件下で、癌細胞を上記化合物と接触させる工程を包含する、癌細胞を破壊する方法に関する。
【0031】
本発明の第9の局面は、癌の状態を処置または予防する方法に関し、そしてこれらの方法は、以下の工程を包含する:本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第6の局面に記載の化合物を提供する工程、および、癌の状態を処置または予防するために効果的な様式で、ある量の上記の化合物を患者に投与する工程。
【0032】
本発明の第10の局面は、式(I)に記載の化合物を作製する方法に関し、そしてこの方法は以下の工程を包含する:式(I)に記載の化合物を形成するために有効な条件下で、式(III)
【0033】
【化31】
に記載の中間体(l、R1、X3、およびX4が上のように定義される)を、(i)R2およびR3が上のように定義される式(HNR2R3)に記載される、適切な第1級アミンまたは適切な第2級アミンか、または(ii)R2−Hを含む化合物の存在下のアンモニアのうちいずれか一方と反応させる工程。
【0034】
本発明の第11の局面は、式(II)に記載される化合物を作製する方法に関し、そしてこの方法は、以下の工程を包含する:式(II)に記載の化合物を形成するために有効な条件下で、式(IV)
【0035】
【化32】
に記載の中間体(ここで、R1およびX3が上のように定義される)を、式(HNR2R3)に示される第1級アミンまたは第2級アミン(ここで、R2およびR3が上のように定義される)と反応させる工程。
【0036】
本発明の第12の局面は、式(III)および式(IV)に記載される中間体化合物に関する。
【0037】
本発明は、前立腺癌の細胞増殖を阻害することに関して有用であることが公知である、以前に同定された癌の治療法より優れた、重要な改良点を与える。以前の報告において、細胞傷害性化合物は、LPA中のグリセロール骨格を、セリンアミドで5つの前立腺癌の細胞株において置き換えることによって得られた(Gududuruら,「Synthesis and Biological Evaluation of Novel Cytotoxic Phospholipids for Prostate Cancer」,Btaorg.Med.Chem.Lett.14:4919−4923(2004)、本明細書によってその全体が参考として援用される)。Gududuruら(上で引用された)によって報告された最も効力のある化合物は、前立腺癌とコントロール細胞株との両方を、非選択的にかつ強力に殺した。本発明は、類似の効力またはさらに改善された効力を有する化合物を与えるが、さらに重要なことは、特に前立腺癌の細胞株に対して、改善された選択性を与える。本発明の化合物は、前立腺癌細胞および卵巣癌細胞に対して、効果的であると示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(本発明の実施形態に関する詳細な説明)
さて、本発明は、本発明の特定の実施形態に対して時折文献を用いて、説明される。しかし、本発明は、異なる形態において具体的に示され、本明細書中において記載される実施形態に対して限定するように解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全でありかつ完成したものとするために提供され、しかも本開示は、当業者に対して本発明の範囲を十分に伝える。
【0039】
そうでないと定義されない限り、本明細書中において用いられる、全ての技術用語および全ての科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるような同じ意味を有する。本明細書中において本発明の説明において用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明するためのみに存在するのであって、本発明を限定していることを意図していない。本発明の説明中および添付の請求項中において用いられる場合、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、複数形も同様に含むことを意図する。本明細書中において言及される全ての、出版物、特許出願、特許、および他の引用は、それら全体が参考によって援用される。
【0040】
そうでないと示されない限り、明細書中および請求項中において用いられる場合、成分の量および特性を表す全ての数(例えば、分子量、反応条件など)は、語「約(about)」により全ての例において修飾されているように、理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書および請求項において示される数的な特性は、本発明の実施形態において得られるように努めた所望の特性に依存して変化し得る、近似値である。本発明の広範な範囲を記載する、数的な範囲および数的なパラメーターは近似値であるけれども、特定の例において示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いかなる数値も本来は、それぞれの測定において見出される実測の誤差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0041】
本発明の一つの局面は、下の式(I)および式(II)
【0042】
【化33】
に記載される化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X3およびX4は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は、酸素または硫黄であり得;
lは、1〜12の整数であり;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【0043】
【化34】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0044】
【化35】
または、−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖かもしくは分子鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである。
【0045】
本明細書中において用いられる場合、炭素が単鎖中おいて存在しようと分枝鎖中において存在しようとも、「脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは非直鎖の炭化水素」は、1個〜定義された上限までの炭素含むアルキレン基と、2個〜上限までの炭素含む、アルケニル基およびアルキニル基との両方を言う。明確に示されない限り、炭化水素は、約30個までの炭素、または約20個までの炭化水素、または約10個までの炭化水素を含む。
【0046】
本明細書中において用いられる場合、「アルキル」との用語は、そうでないと具体的に挙げられない限り、約30個までの炭素を含む、任意の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であり得る。アルキル基は、ただ一つの構成要素であり得るか、またはより大きな構成要素(例えば、アルコキシ、アリールアルキル、アルキルアミノなど)の成分であり得る。
【0047】
本明細書中において用いられる場合、「飽和もしくは不飽和の環状炭化水素」は、任意のそのような環状炭化水素であり得、この炭化水素としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロジエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない;「飽和もしくは不飽和のN−複素環」は、任意のN含有の複素環であり得、この複素環としては、アザシクロアルキルおよびジアザシクロアルキル(例えば、アジリジニル、アゼチジニル、ジアザチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびアゾカニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、ピロリジニル、インドリルなどが挙げられるが、これらに限定されない;「非置換O−複素環」は、任意のそのようなO−含有の複素環であり得、この複素環としては、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、フラニル、ピリリウム、ベンゾフラニルなどが挙げられるが、これらの限定されない;「飽和もしくは不飽和のS−複素環」は、任意のそのようなS−含有の複素環であり得、これらの複素環としては、チラニル、チエタニル、テトラヒドロチオフェニル、ジチオラニル、テトラヒドロチオピラニル、チオフェニル、チエピニル、チアナフテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない;「飽和もしくは不飽和の混合の複素環」は、S−ヘテロ原子、N−ヘテロ原子、またはO−ヘテロ原子を2つ以上含む任意の複素環であり得、これらの複素環としては、オキサチオラニル、モルホリニル、チオキサニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアジオリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の別の局面は、式(V)および式(VI)
【0049】
【化36】
に記載される化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々が、酸素であり得;
X5は、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖の、C1〜C30の炭化水素、または
【0050】
【化37】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0051】
【化38】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである。
【0052】
本発明の別の局面は、式(VII)
【0053】
【化39】
に記載される化合物に関する。ここで、
X3が、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
X6が、酸素または窒素であり;
lが、1〜12の整数であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0054】
【化40】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、前記炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0055】
【化41】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである。
【0056】
本発明のさらに別の局面は、式(VIII)
【0057】
【化42】
の化合物に関する。ここで、
X8が、OまたはSであり;
nが、1〜30の間であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0058】
【化43】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;そして、
R5、R6、R7、R8、およびR9は、水素、ヒドロキシ、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択される。
【0059】
本発明の別の局面は、式
【0060】
【化44】
を有する化合物に関する。ここで、
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かまたは分枝鎖の、置換または非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしく非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールである。1つの例において、式(X)の化合物は、X7がPO3HでありかつX8がOである場合、R16がC14H29でないように限定される。
【0061】
本発明のさらなる局面は、式(XIV)および式(XV)
【0062】
【化45】
の化合物に関する。
【0063】
式IIおよび式VIIの構造式における点線は、結合が存在するか、または結合が存在しないことを示すと理解される。
【0064】
好ましいR1基としては、ベンジル、フラニル、インドリル、ピリジニル、フェニル、または置換フェニル(上で定義されたR5〜R9で置換された)が挙げられる。
【0065】
好ましいR2基としては、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、フェニル、フェニルアルキル、置換フェニル、および上で定義されたR11〜R15基で置換されたフェニルアルキルが挙げられる。好ましい、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素は、C8〜C24の炭化水素であり、この炭化水素としては、C10〜C20のアルキル、より好ましくはC14〜C18アルキルが挙げられる。
【0066】
好ましいR3基としては、水素およびC1〜C10のアルキルが挙げられる。
【0067】
好ましいR4基としては、水素、アシル、アセチル、およびメシルが挙げられる。
【0068】
好ましいR10基は、ポリアミン(polyarnines)である。
【0069】
整数lは、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜8、1〜6、または1〜4である。整数Inは、好ましくは、0〜8、0〜6、0〜4、または0〜2である。整数nは、好ましくは、0〜8、0〜6、0〜4、または0〜2である。
【0070】
式(I)に記載の例示の化合物としては、以下:2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物65)、N−デシル−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物66)、N−テトラデシル−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物67)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物68)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−ビフェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物69)、2−(2−(1−(ジメチルアミノ)ナフタレン−4−イル)−4−オキソチアゾリジン−3−イル)−N−オクタデシルアセトアミド(化合物70)、2−(2−(4−メトキシフェニル)−4−オキソチアゾリジン−3−イル)−N−オクタデシルアセトアミド(化合物71)、2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソチアゾリジン−3イル)−N−オクタデシルアセトアミド(化合物72)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−フェニル−1−スルホキシド−チアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物80)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−フェニル−1−スルホニル−チアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物81)、N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物73)、N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)エタンチオアミド、N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物74)、N−(3,5−ジクロロフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物75)、N−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物76)、N−(ナフタレン−1−イル)2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物77)、3−(2−(オクタデシルアミノ)エチル)−2−フェニルチアゾリジン−4−オン(化合物79)、N−(2−(2−フェニルチアゾリジン−3−イル)エチル)オクタデカン−1−アミンおよびそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
式(I)に記載の好ましい化合物としては、化合物68、71、80および81が挙げられる。
【0072】
式(II)に記載の例示の化合物としては、以下:(4R)−2−(4−メトキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物15);(4R)−2−(4−エトキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;N−オクタデシル−2−フェニルチアゾール−4−カルボキシアミド(化合物34);(4R)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物23);(4R)−2−(4−シアノフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物22);(4R)−N−オクタデシル−N−メシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物29);(4R)−N−オクタデシル−N−アセチル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物28);(4R)−N−ヘプチル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物3);(4R)−N−オクタデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物5、R−異性体);(4S)−N−オクタデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物5、S−異性体);塩酸(4R)−N−テトラデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物4);(4R)−N−オクタデシル−2−ビフェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物27);(4R)−2−ドデシル−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物7);(4R)−N−オクタデシル−2−(ピリジン−3−イル)チアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物11);2−(フラン−3−イル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物12);(4R)−N−ノナデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物6);(4R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;2−(3−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物14);(4R)−2−(2,4,6−ジメトキシフェニル)N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;2−(3,4−ジメトキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物18);(4R)−2−(4−フルオロフェニル)−N−オクタデシルチアゾチジン−4−カルボキシアミド(化合物19);(4R)−2−(2,6−ジクロロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物24);(4R)−2−(4−ブロモフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物20);(4R)−N−オクタデシル−2−p−トリルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物26);(4R)−2−シクロヘキシル−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物8);2−(4−ニトロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物21);(4R)−2−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物13);(4R)−2−(1H−インドール−3−イル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物10);(4R)−2−ベンジル−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物9);(4R)−2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物25);(4R)−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−N,N−ジオクチルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;およびこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
式(II)に記載される好ましい化合物としては、化合物5(R−異性体)、13、14、16、17、18、19、25、および26が挙げられる。
【0074】
式Vの化合物としては、以下:
【0075】
【化46】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
式(VII)の化合物としては、以下:
【0077】
【化47】
(ここで、n=6、13および17である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
式(IX)、(X)、(XI)および(XII)の化合物は、実施例の章の表9において調べた化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明の化合物および本発明の中間体は、市販の反応物または容易に合成された反応物を用いて合成され得る。
【0080】
例として、式(I)に記載される化合物は、図6において例示されるスキーム4に従って合成され得る。1つのアプローチによると、式(III)
【0081】
【化48】
に記載される中間体(ここで、l、R1、X3、およびX4は、上で定義される通り)は、EDC/HOBtの存在下、標準条件の下で、適切なアミン類と反応される。酸の中間体は、最初に、ワンポット反応を使って、メルカプト酢酸、グリシンメチルエステル、および芳香族アルデヒドを濃縮することを介し、次いでエステルの塩基性加水分解によって調整される(Holmesら,「Strategies for Combinatorial Organic Synthesis:Solution and Polymer−Supported Synthesis of 4−Thiazolidinones and 4−Metathiazanones Derived from Amino Acids」,J.Org.Chem.60:7328−7333(1995)、その全体が本明細書によって参考として援用される)。グリシンメチルエステルを、より長い炭素骨格を含むアナログで置換することによって、lが1より大きい(すなわち、メチレンより長いアルキレン基を含む)、式(III)に記載される化合物および最終的に式(I)に記載される化合物を調製することが可能になる。第2のアプローチによると、式(I)のチアゾリジノンアミド類はまた、触媒量のDMAP(図7)(スキーム5)の存在下で、酸の中間体と所望のイソシアネートとの反応を含む、単純かつ直接的な方法(Schuemacherら,「Condensation Between Isocyanates and Carboxylic Acids in the Presence of 4−Dimethylaminopyridine.(DMAP),a Mild and Efficient Synthesis of Amides」,Synthesis 22:243−246(2001)、その全体が本明細書によって参考として援用される)によって調製され得る。
【0082】
さらにチアゾリジノン化合物の修飾は、例えば、還流条件下、BH3 THFを用いて完全に還元し、カルボニル基およびスルホキシド基(X3およびX4)(図8)(スキーム6c)を除去すること、ならびに、H2O2およびKMnO4を用いて化合物を酸化し、スルホキシドおよびスルホニルをそれぞれ、スキーム6aおよびスキーム6b中において示されるように与えることによって、達成し得る。
【0083】
また例として、式(II)に記載される化合物は、EDC/HOBtの存在下、標準の条件の下で、式(IV)
【0084】
【化49】
に記載される中間体の酸(ここで、化合物(IV)がR−立体異性体またはS−立体異性体のいずれか一方であり得、かつR1およびX3が上記のように定義される)を、適切なアミン類と反応させることによって調製され得る。中間体の酸は、報告された条件の下で、L−システインを所望のアルデヒドと反応させることによって調製され得る(Sekiら,「A Novel Synthesis of (+)−Biotin from L−Cysteine」,J.O□g.Chem.67:5527−5536(2002)、その全体が本明細書によって参考として援用される)。
【0085】
本発明の化合物はまた、ポリマー性結合体を含むように修飾され得る。適切なポリマー性結合体としては、ポリ(アルキル)アミン、ポリ(アルコキシ)アミン、ポリアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミンを含む化合物は多数の生物学的活性を示し、かつ、これらの化合物は化学療法剤として用いられていることが周知である。例示の結合体としては、これらを含む自然に存在するポリアミン類(例えば、プトレシン、スペルミジン、およびスペルミン)および合成のポリアミン類が挙げられる。
【0086】
1つのアプローチによると、本発明の化合物は、中間体の酸またはそれのニトロフェニル誘導体を、ポリアミンNH2−R2(ここで、R2がR10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、R10およびZが上記で定義される通りである)と反応させることによって、ポリアミンと結合体化され得る。例示的な合成スキームは、図9中において例示される。
【0087】
例として、式(V)および(VI)の化合物は、図10中において例示される、典型的な合成スキームに従って形成され得る。この化合物は、任意の他の適切な方法において作製され得る。
【0088】
例として、オキサゾリンのアナログである式(VII)の化合物は、図11中において例示されるスキームに従って形成され得る。さらに、式(VII)の化合物は、式(II)の化合物に関して上で概説された方法を用い形成され得る。また、この化合物は、任意の他の適切な方法によって作製され得る。
【0089】
例として、式(VIII)の化合物は、図12中において例示されるスキームに従って形成され得る。さらに、この化合物は、任意の他の適切な方法によって作製され得る。
【0090】
例として、式(IX)および(X)の化合物は、図13〜16のスキームにおいて示される、セリンアミドホスフェート(SAP)、セリンアミドアルコール類(SAA)およびセリンジアミドホスフェート(SDAP)の一般的な合成に従って作製され得る。市販のN−Boc−セリン(R体またはS体)は、EDC/HOBtの存在下で、適切なアミンと反応させて、アミドを形成し得る。このアミドは、TFAで処理され、SAAのアナログを生じる。エタノール中でのPd/Cを用いる加水分解の条件下での、このアミドのリン酸化、および、同時発生する保護基の除去は、SAPを生じた。SAAおよびSAPの不飽和のアナログは、図14のスキームにおいて示される類似の手順によって合成され得る。セリンジアミドホスフェート(SDAP)および他のアミン誘導体は、図15のスキームにおいて示される通りのO−ベンジルN−Boc−セリンから開始して合成され得る。LAHによって媒介されるアミン化合物の還元は、図16のスキームにおいて示され通りの長鎖のN−アルキルアミノアルコールを生じる。セリンアミド骨格よりもむしろエタノールアミンアミド骨格有する、式(XI)および(XII)の化合物は、報告された手順のLynch,K.R.H.,D.W.Carlisle,S.J.Catalano,J.G.Zhang,M.MacDonald,T.L.Mol.Pharmacol.1997,52,75−81(その全体が参考として援用される)に従って、合成され得る。
【0091】
これらの化合物はまた、塩、好ましくは薬学的に受容可能な塩の形態であり得る。用語「薬学的に受容可能な塩」は、生物学的有効性および遊離塩基または遊離酸の性質を有する塩を称し、これは生物学的でもなく、それ以外に所望可能でもない。これらの塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、オキシル酸(oxylie acid)、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどのような有機酸で形成される。他の塩は、当業者に公知であり、本発明に従う使用のために容易に適応され得る。
【0092】
本発明の化合物は、実質的に等しい量の立体異性体を含むラセミ混合物の形態で存在し得る。別の実施形態において、本発明の化合物は、関連する立体異性体がを実質的に含まない立体異性体(すなわち実質的に純粋)を得るために、公知の方法を用いて調製されるかまたはそうでなければ単離され得る。実質的に純粋とは、立体異性体が少なくとも約95%純粋、さらに好ましくは少なくとも約98%純粋、最も好ましくは少なくとも約99%純粋を意味する。
【0093】
本発明の別の局面は、本発明の上記に同定した化合物を1つ以上含む薬学的組成物に関する。一般的に、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含む。用語「薬学的に受容可能なキャリア」は任意の適したアジュバント、キャリア、賦形剤または安定化剤を称し、錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁物または乳化物のような固体または液体であり得る。
【0094】
1つの例において、この組成物は、活性化合物を約0.01%〜約99%または約20%〜約75%を、アジュバント、キャリアおよび/または賦形剤と一緒に含む。例えば、粘膜への適用は、スプレーまたはドライパウダーの形態で本発明の化合物の小さな粒子を含むエアロゾールスプレーで達成され得る。
【0095】
固形物の単位投与形態は、いずれかの適したタイプであり得る。固形物形態は、本発明の化合物とキャリア(例えば、滑沢剤および乳糖やショ糖またはトウモロコシデンプンのような不活性充填物)を含む普通のゼラチンタイプのようなカプセルなどであり得る。別の実施形態において、これらの化合物は、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはアルギン酸のような崩壊剤、およびステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤との組合せで、乳糖、ショ糖またはトウモロコシデンプンのような従来の錠剤ベースとともに、錠剤化される。
【0096】
錠剤、カプセルなどはまた、ガムトラガカント、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;およびショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤を含み得る。投薬単位形態がカプセルのとき、上記のタイプの材料に加え、脂肪油のような液体キャリアを含み得る。
【0097】
さまざまな他の材料はコーティング剤として、または投薬単位の物理的形態を変更するために存在し得る。例えば、錠剤はシェラックまたは砂糖またはその両方でコーティングされ得る。シロップは活性成分に加え、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチルパラベンおよびプロピルパラベン、着色剤、チェリー風味またはオレンジ風味のような香料を含み得る。
【0098】
経口治療投与のために、これら活性化合物は賦形剤と混合され、錠剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップなどの形態で用いられ得る。そのような組成物および調製物は少なくとも0.1%の活性化合物を含み得る。これら組成物中の化合物のパーセントはもちろん変更され得、単位重量の約2%〜約60%の間で都合よくあり得る。そのような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、適した投薬が得られる量である。1つの例において、本発明による組成物は、経口投薬単位が約1mgと約800mgの間の活性化合物を含むように調製される。
【0099】
本発明の活性化合物は、例えば不活性希釈剤と、または同化できる食用キャリアとか経口的に投与され得る、または硬いシェルカプセル中または軟らかいシェルカプセル中に封入され得るか、または錠剤に圧縮され得るか、または直接食事の食物中に混合され得る。
【0100】
注射の使用に適した薬学的形態は、無菌注射溶液または無菌注射分散剤の即時調製のために、無菌の水溶液または分散剤、および滅菌粉末を含む。すべての場合において、この形態は、無菌であるべきであり、容易に注射可能である程度まで液体であるべきである。製造および貯蔵条件下で安定であるべきであり、バクテリアや真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されるべきである。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その適した混合物および植物油を含む溶媒または分散剤であり得る。
【0101】
本発明の化合物または薬学的組成物はまた、薬学的アジュバンド、キャリアまたは賦形剤を有する、生理学的に受容可能な希釈物中へのこれら物質の溶解または懸濁により注射投薬で投与され得る。そのようなアジュバント、キャリアおよび/または賦形剤としては、界面活性剤および他の薬学的かつ生理学的に受容可能な成分の添加ありまたはなしの、水および油のような無菌の液体が挙げられるが、これに限定されない。実例の油は、石油、動物性油、植物性油または合成由来の油、例えばラッカセイ油、ダイズ油または鉱油である。一般的に水、生理食塩水、水溶性ブドウ糖および関連した糖溶液ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが、特に注射溶液において好ましい液体キャリアである。
【0102】
これらの活性化合物はまた非経口的に投与され得る。これら活性化合物の溶液または懸濁液はヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水で調製され得る。分散物はまたグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび油中のその混合物中に調製され得る。実例の油は、鉱油、動物性油、植物性油または合成由来の油、例えばラッカセイ油、ダイズ油または鉱油である。一般的に水、生理食塩水、水溶性ブドウ糖および関連した糖溶液、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが、特に注射溶液において好ましい液体キャリアである。普通の保存条件および使用条件下において、これらの調製物は、微生物の成長を防ぐ防腐剤を含む。
【0103】
エアロゾールとしての使用のため、溶液または懸濁液における本発明の化合物は、適切な推進剤(例えばプロパン、ブタンまたはイソブタンのような炭化水素推進剤)と従来のアジュバントをあわせて加圧したエアロゾール容器に封入され得る。本発明の物質はまた、ネブライザーやアトマイザーのような非加圧性の形態で投与され得る。
【0104】
本発明の化合物はさまざまな形態の癌、特に前立腺癌、乳癌および卵巣癌の処置または予防に特に有用である。他の形態の癌は、本発明の化合物または組成物の被検体への投与で同じように処置できるかまたは予防できると考えられる。本発明の好ましい化合物は、癌細胞に対して選択的に破壊し、正常細胞の除去は引き起こさずに癌細胞の除去を引き起こす化合物である。有意に、正常細胞に対する害は最小化される。なぜなら癌細胞が本発明の化合物のかなり低い濃度での破壊に対して感受性があるからである。
【0105】
このように、本発明のさらなる局面は、癌性細胞を破壊する方法に関連し:この方法は、本発明の化合物を提供する工程、それから接触した癌性細胞を破壊するために効果的な条件下において癌性細胞を本化合物と接触する工程を含む。癌性細胞を破壊するさまざまな実施形態によれば、破壊されるべき細胞はインビボまたはエクスビボ(すなわち培養中)のいずれかに配置され得る。
【0106】
本発明のさらなる局面は、癌性状態を処置または予防する方法に関連し:この方法は、本発明の化合物を提供する工程、それから癌性条件を効果的に処置または予防する方法で被検体に本化合物の有効量を投与する工程を含む。有効量は、本化合物が投与される少なくとも1つの状態の症状を減少させるか、防ぐか向上させるかまたは改善するのに効果的である化合物の量を指すとして理解される。用語「防ぐ」は、本化合物が投与される状態に関連する少なくとも1つの症状の進行を防ぐことを指すと理解される。
【0107】
1つの実施形態によれば、処置されるべき患者は前癌性の状態の存在により特徴づけられ、化合物の投与は、前癌性状態の癌性状態への進行を防ぐのに効果的である。これは、癌性状態のさらなる進行の前または癌性状態のさらなる進行と同様に、前癌性細胞を破壊することにより起こり得る。
【0108】
別の実施形態において、処置されるべき患者は、癌性状態の存在により特徴づけられ、本化合物の投与は、癌性状態の縮退を引き起こすかまたは癌性状態の成長を阻害することのいずれかに効果的である。これは患者の身体における癌細胞の位置に関係なく、好ましくは癌細胞の破壊により起こる。つまり、癌細胞が初期腫瘍部位に位置されるかどうかまたは癌細胞が転移し患者の身体内に続発性腫瘍を形成するかどうかである。
【0109】
本明細書中に用いられる場合、患者は任意の哺乳動物患者体であり、限定なしに、ヒトおよび他の霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ラット、マウスおよび他のげっ歯類を含む。
【0110】
本発明の化合物を投与する場合全身的に投与され得るか、または癌細胞または前癌性細胞が存在する特異的な部位に直接的に投与され得る。従って、投与は化合物または薬学的組成物を癌細胞または前癌細胞に送達するために効果的な任意の方法で達成され得る。投与の典型的な形態は、限定なしに化合物または組成物を経口的に、局所的に、経皮的に、非経口的に、皮下に、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、鼻腔内滴下により、腔内滴下または膀胱内注入により、眼内に、動脈内に、病巣内に、または鼻粘膜、咽頭粘膜および気管支粘膜のような粘膜に適用することにより投与することを含む。
【0111】
本発明の化合物または薬学的組成物が、前癌性状態を処置または予防するために投与される場合、薬学的組成物はまた、さまざまなタイプの癌の処置のために現在公知のまたは今後開発される他の治療薬剤または処置レジメンを含み得るか、またはこれらと組み合せて投与され得る。他の治療薬剤または処置レジメンの例としては、限定なしに、放射線治療、化学療法、外科的介入およびその組合せが挙げられる。
【0112】
本発明の範囲内の組成物は、本発明の化合物が意図した目的を達成するために有効な量で含まれる、すべての組成物を含む。個々の必要性は変動し得るが、各成分の有効量の最適の範囲の決定は、当業者の技量内である。代表的な投与量は、体重1kgあたり約0.01〜約100mgを含む。最も好ましい投与量は体重1kgあたり約0.1mg〜約100mgを含む。本発明の化合物の投与のための処置レジメンはまた、当業者により容易に決定され得る。つまり投与頻度および用量のサイズは、好ましくは、任意の副作用を最小にしながら慣用的な最適化により確立され得る。
【実施例】
【0113】
以下に述べる実施例は、説明の目的のためだけであり、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0114】
(実施例1−チアゾリジンカルボン酸アミドの合成)
用いられるすべての試薬および溶媒は、試薬グレードであるかまたは使用前に標準的な方法により精製された。感湿性反応をアルゴン大気下で行った。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)分析により追跡した。フラッシュカラムクロマトグラフィーをFisherにより供給されるシリカゲル(200〜425メッシュ)を用いて行った。融点をThomas−Hoover融点装置の開口毛細管で測定し、補正しなかった。すべての化合物をNMRおよびMS(ESI)で特徴づけた。1H NMRスペクトルをVarian300計器で記録した。化学シフトを内標準としてMeaSiに相対的なS値で報告する。質量スペクトルをEsquire−LC(Broker)分光計を用いるエレクトロスプレー(ES)モードで得た。元素分析をAtlantic Microlab Inc.(Norceoss,GA)により行った。
【0115】
本研究に記載されるすべての化合物を、簡単な化学反応に従って調製した。既報の条件下(Sekiら、「A Novel Synthesis of (+)−Biotin from L−Cysteine」,J.Org.Chem.67:5527−5536(2002)、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される)、さまざまなアルデヒドとL−システインの反応は、関連する酸を生じ(図1、2a〜v)、ジアステレオマー混合物として単離した。これら混合物を、関連するアミドの形成のために、スキーム1に示されるようにEDC/HOBtを用いて適切なアルキルアミンと反応させることにより直接使用した。従って調製されるすべての化合物をジアステレオマー混合物として特徴づけた(表1)。
【0116】
CH2Cl2(25〜50mL)中で適切なカルボン酸(図1、2a〜v、0.3〜0.5g)、EDC(1.25当量)およびHOBt(1当量)の混合物を10分間撹拌した。この溶液に適切なアルキルアミン(1当量)を加え、撹拌を6〜8時間室温で継続した。反応混合物をCH2Cl2(100〜150mL)で希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインで連続的に洗浄し、Na2SO4で乾燥した。この溶媒を減圧下で除去して粗製の固体を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した化合物(3〜6、12、15〜18および27)を2M HCl/Et2Oを用いて関連する塩酸塩に転換した。
【0117】
【化50】
【0118】
【化51】
【0119】
【化52】
【0120】
【化53】
【0121】
【化54】
(実施例2−N−アシル誘導体チアゾリジンカルボン酸アミドおよびN−スルホニル誘導体チアゾリジンカルボン酸アミドの合成)
N−アシル誘導体およびN−スルホニル誘導体(化合物28および29)を標準的な手順(スキーム2)により化合物5から合成した。簡単に、所望する誘導体を与えるために(2RS,4R)−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボン酸オクタデシルアミド(化合物5)をピリジン中で無水酢酸または塩化メチルスルホニルのいずれかと反応させた。
【0122】
【化55】
前述の合成をもとに、他のアシル無水物(例えば、より大きなアルキル基を含む)はまた、これと同じ合成手順(Badrら、「Synthesis of Oxazolidines,Thiazolidines,and 5,6,7,8−Tetrahydro−1H,3H−pyrrolo[1,2−c]oxazole(or thiazole)−1,3−diones from β−Hydroxy− or β−Mercapto−α−amino Acid Esters」,Bull.Chem.Soc.Jpn.54:1844〜1847(1981)、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される)に従って調製され得ることが期待される。
【0123】
(実施例3−チアゾールカルボン酸アミドの合成)
チアゾール誘導体(化合物34)の合成をスキーム3に示されるようにシステインから出発して達成した。
【0124】
0℃でMeOH(50mL)中のDL−システイン(3g、24.76mmol)溶液にSOCl2(2.76mL、37.14mmol)を緩やかに加え、室温で温めそれから3時間還流した。この反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を得た。この残渣を水溶性EtOH(1:1,30mL)に入れ、NaHCO3(2.28g、27.23mmol)を加え、10分後ベンズアルデヒド(2.5mL、24.76mmol)を加え、3時間撹拌を継続した。CHCl3(200mL)を反応混合物に加え、水、ブラインで洗浄、乾燥し(Na2SO4)、そして溶媒を真空下で除去した。粗製産物を、2−フェニルチアゾリジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物31)を与えるためにカラムクロマトグラフィーにより精製した:収率4.7g、85%;1H NMR(CDCl3)σ7.51−7.62(m、2H),7.32−7.42(m,3H),5.84(s,0.4H),5.58(x,0.4H),4.24(t,J=6.3 Hz,0.4H),4.01(t,J=7.5Hz,0.6H),3.83(s,3H),3.39−3.55(m,1H),3.10−3.26(m,1H);MS(ESI)m/z224(M+1)。
【0125】
化合物31で出発し、2−フェニルチアゾール−4−カルボン酸メチルエステル(化合物32)を既報の手順(Kueら、「Essential Role for G Proteins in Prostate Cancer Cell Growth and Signaling」J.Urol.164:2162〜2167(2000)、これはその全体が参考として本明細書中に援用される)に従って合成した。収率0.33g、68%;1H NMR(CDCl3)σ8.20(s、1H),8.0−8.04(m,2H),7.45−7.50(m,3H),4.0(s,3H);MS(ESI)m/z220(M+1)。
【0126】
0℃でMeOH(10mL)中の化合物32(0.5g、2.28mmol)の溶液に1NのNaOH(5mL)を加え、2時間撹拌した。この反応混合物にEtOAc(30mL)を加え、1NのHClで酸性にした。EtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた抽出物を水、ブラインで洗浄、乾燥し(Na2SO4)、そして溶媒を真空下で除去し、粗製の酸(化合物33)を生じた。これを上記実施例Iに記載される一般的な手順に従って、2−フェニルチアゾール−4−カルボン酸オクタデシルアミド(化合物34)に転換した。収率0.3g、68%;1H NMR(CDCl3)σ6.10(s、1H),7.96−7.93(m,2H),7.46−7.50(m,3H),3.49(dd,J=13.5,6.9Hz,2H),1.69(m,2H),1.27(m,301−1),0.89(t,J=6.3Hz,3H);MS(BSI)m/z220 C28H45N2OSに対する計算値457.73(M+1),測定値457.60。
【0127】
【表1】
(実施例4−選択された前立腺癌細胞株のLPAレセプター発現に関するRT−PCRによる分析)
ヒト前立腺癌細胞株DU−145、PC−3およびLNCaP、ならびにラット肝癌細胞RH7777をAmerican Type Culture Collection(Manassas、VA)より入手した。University of Tennessee Health Science CenterのMitchell Steinaer博士から、親切にもPPG−1細胞およびTSU−PrI細胞を提供していただいた。前立腺癌細胞およびRH7777細胞を、それぞれ10%ウシ胎児血清(Gibco、Grand Island、NY)を補充したRPMI1640培地およびDMEM培地中で37℃で5%CO2/95%湿めった空気中で維持した。
【0128】
全RNAを、Trizol(登録商標)試薬(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)を使用して、製造業者の説明書に従って抽出した。全RNAの0.5μg(LPA1)または1(LPA2およびLPA3)を使用して、SuperScriptTM One−Step RT−PCRとPlatinum(登録商標)タグと0.2μMのプライマーを使用してRT−PCRを実施した。以下のプライマー対を使用した:
LPA1順方向 5’−GCTCCACACACGGATGAGCAACC−3’(配列番号:1)、および
LPA逆方向 5’−GTGGTCATTGCTGTGAACTCCAGC−3’(配列番号:2);
LPA2順方向 5’−CTGCTCAGCCGCTCCTATTTG−3’(配列番号:3)、および
LPA2逆方向 5’−AGGAGCACCCACAAGTCATCAG−3’(配列番号:4);
LPA3順方向 5’−CCATAGCAACCTGACCAAAAAGAG−3’(配列番号:5)、および
LPA3逆方向 5’−TCCTTGTAGGAGTAGATGATGGGG−3’(配列番号:6);
β−アクチン順方向 5’−GCTCGTCGTCGACAACGGCTC−3’(配列番号:7)、および
β−アクチン逆方向 5’−CAAACATGATCTGGGTCATCTTCTC−3’(配列番号:8)。
【0129】
PCR条件は、以下の通りである:94℃で2分の変性工程の後、サンプルを94℃で30秒間、60℃(LPA1)または58℃(LPA2およびLPA3)で30秒間、そして72℃で1分間34〜40サイクルに供し、続いて72℃で7分のさらなる伸長工程に供した。プライマーを、ゲノム配列の1つのイントロンにまたがるように選択し、ゲノムDNAの汚染を検出した。上記PCR生成物を、1.5%アガロースゲルで分離し、臭化エチジウムで染色し、バンドの強度をQuantity One Software(Bio−Rad Laboratories,Inc.、Hercules、CA)を使用して定量した。異なる細胞株における各レセプターのサブタイプ発現レベルを、i−アクチンmRNAレベルと比較した比率として表した。
【0130】
これらの細胞株においてLPLレセプター発現を、インビトロモデル(下の表2を参照のこと)でそれらの使用を確認するために測定した。1μgの全RNAをRT−PCRにかけ、そのPCR生成物をアガロースゲル上で分離し、β−アクチンと比較した各レセプターサブタイプの相対的発現レベルを、Quantity One Software(Bio−Rad)により定量した。LPA1は、これらの細胞株において発現された優勢なLPLレセプターであった。しかしながら、LNCaP細胞は、このレセプターのサブタイプを発現しなかった。LPA3レセプターは、前立腺癌細胞株において唯一発現した。RH7777細胞は、公知のLPLレセプターのいずれも発現しない。
【0131】
【表2】
(実施例5−前立腺癌細胞における細胞傷害性アッセイ)
インビトロ細胞傷害性スクリーニングについて、1000〜5000の細胞を、増殖速度に依存して96ウェルプレートの各ウェルにプレートし、異なる濃度の試験化合物に3〜5連で96時間曝した。全ての化合物を、5〜20mMでジメチルスルホキシドに溶解し、完全培養培地中に所望の濃度に希釈した。薬物処理の終わりに、細胞の数をSRBアッセイ(Gududuruら、「Synthesis and Biological Evaluation of Novel Cytotoxic Phospholipids for Prostate Cancer」Bioorg.Med.Chem.Lett.14:4919〜4923(2004);Rubinsteinら「Comparison of in vitro Anticancer−Drug−Screening Data Generated with a Tetrazolium Assay Versus a Protein Assay Against a Diverse Panel of Human Tumor Cell Lines」J.Naatl.Cancer Inst.82:1113〜1118(1990)、上記の各々は本明細書によりその全体が参考として援用される)で測定した。簡単にいうと、細胞を10%トリクロロ酢酸(trichioroacetic acid)で固定し、0.4%SRBで染色し540nmの吸光度をプレートリーダー(DYNEX Technologies、Chantilly、VA)を使用して測定した。薬物濃度に対して細胞生存百分率をプロットし、IC50値(未処理コントロールの50%細胞増殖を阻害する濃度)を、WinNonlin(Pharsight Corporation、Mountain View、CA)を使用して非直線回帰分析により得た。5−フルオロウラシルを、新しい化合物の効力を比較するため、陽性コントロールとして使用した。
【0132】
DNAおよびヒストンに特異的なモノクロナル抗体を使用するサンドイッチELISA(Roche、Mannheim、Germany)を、72時間曝露後に上記アナログにより誘導されたアポトーシスの程度を定量するために使用した。このアッセイは、アポトーシスの間に核から細胞質へ放出されるDNA−ヒストン複合体を測定する。RH7777細胞を、レセプター陰性細胞およびレセプター陽性前立腺癌細胞における化合物4の非特異的細胞傷害性のために用いた。
【0133】
5つのヒト前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP、PPG−1およびTSU−Prl)の増殖を阻害する2−アリール−チアゾリジン誘導体(ATCAA)の能力を、スルホローダミンB(SRB)アッセイ(上述)を使用して評価した。LPLレセプターを発現しないコントロール細胞株(RH7777)(Svetlovら、「EDG Receptor and Hepatic Pathophysiology of LPA and EDG−ology of Liver Injury」、Biochimica et Biophysica ACT 1582:251〜256(2002、これは本明細書によりその全体が参考として援用される)もまた、これらの誘導体の抗増殖活性がLPLレセプターの阻害より媒介されているか否かを理解するために使用した。
【0134】
標的化合物3〜29のジアステレオマー混合物を使用して、前立腺癌細胞株に対するそれらのインビトロ阻害活性を評価し、そしてその結果を下の表3および表4に要約した。5−フルオロウラシルを参照薬物として使用した。信頼できる構造活性相関を推論するために、原理上、純粋な異性体についてIC50を決定すべきである。立体異性体の混合物を試験する1つの欠点は、この場合は避けられないが、上記生物学的活性に関する各立体異性体の効果が評価され得ないということであった。一方、上記計算されたIC50値をスクリーニング方法として使用して、有望な選択的細胞傷害性薬剤を選択し得、そして前立腺癌細胞の増殖を阻害する最も入手可能性のあるジアステレオマー混合物を同定し得る。これらのチアゾリンアナログの多くは、マイクロモル濃度の低範囲/それ以下の範囲のIC50値(表3)で前立腺癌細胞株を殺すのに非常に有効であった。化合物3〜5の細胞傷害効果の試験は、鎖長がC7からC8へと増加するにつれて、効力もまた増加することを示す。しかしながら、1つの炭素単位ごとのアルキル鎖長のさらなる増加(C18〜C19)は、細胞傷害性において著しい損失を生じた。興味深いことに、C14誘導体(化合物4)は、化合物5より高い効力を実証したが、RH7777細胞株に対しては、1/8の選択性であった。従って、C18単位を有するアルキル鎖が、この一連の化合物に観察される効力および選択性を維持するのに最適である。N−アシル誘導体およびN−スルホニル誘導体(化合物28および化合物29)は、親化合物5より細胞傷害性が低かった。フェニル環をアルキル基またはシクロヘキシル基で置換することは、チアゾリジン(化合物5)誘導体と比較して、効力を減少させた(化合物7および化合物8)。フェニル環とチアゾリン環と分けているメチレンスペーサーの導入は、親化合物5より活性が低い化合物9を提供した。
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
効力および選択性に対する不飽和の効果を理解するために、そして立体異性体と関連する問題を克服するために、化合物5の中心のチアゾリンコアをチアゾール環で置換した。しかしながら、チアゾール誘導体(化合物34)は、前立腺細胞およびRH7777細胞の両方において20μM未満で何ら活性を示さず、それは、2つのキラル中心を有するチアゾリン環が効力および選択性を提供するのに重要な役割を果たすことを示した。アナログ(化合物10〜12)を合成することによって、フェニル環の複素環(例えば、インドール環、ピリジン環またはフラン環)での置換を調べた。上記フラン誘導体(化合物12)は、化合物5と同等の細胞傷害性を示したが、RH7777細胞に対する選択性は、1/3であった。
【0137】
化合物13〜27の細胞傷害性のデータは、フェニル環置換アナログの広い範囲の調査の概略を提供し、これらのアナログのIC50値の試験は、フェニル環における多様な置換に関してより大きな耐性を実証した。一般的に、最も強力なアナログは、化合物5に対して、化合物13および化合物16〜18との比較より例証されるような電子供与性の置換基を有していた。0.55μMのIC50で最も活性がある化合物の1つ(化合物18)は、RH7777細胞と比較して、38倍PPC−1細胞により選択的であった。一方、電子吸引性置換基を有するチアゾリンアナログ(化合物19〜25)は、より低い細胞傷害性を実証した。化合物26および化合物27の効力の比較は、フェニル環を嵩高い基で置換することが活性を低下させることを示唆する。
【0138】
LPLレセプターmRNA発現研究(表2)から、これらの細胞株は、LPLレセプターの効果を開発する優秀なモデル系として役立つことが明らかになった。SAPのセラミドに対する構造的類似性(およびアポトーシスを誘導するセラミドの公知の能力)が定められると、次いでチアゾリジンアナログの抗増殖効果がアポトーシス的(apoptotla)な事象で媒介されるか否かについて決定された。上記アナログのLNCaP細胞、PC−3細胞およびRH7777細胞におけるアポトーシスを誘導する能力を、アポトーシスの間に放出されたDNA−ヒストン複合体を測定する定量的サンドイッチELISAを使用して、試験した。(処理された細胞および未処理の細胞のOD405の比率として)計算された濃縮因子は、誘導されたアポト-シスの程度の定量的な評価を提供する。最初に、2つの化合物(4および5)のみを、この研究に使用した。アナログ(化合物4)のアポトーシス活性は、前立腺癌細胞において選択的であったが、RH7777陰性コントロール細胞においては非選択的な細胞傷害性であった(下の表5を参照のこと)。アナログ化合物5は、PC−3細胞およびLNCaP細胞において、アポトーシスを誘導したが、PC−3細胞においては、程度が低かった(おそらくこの細胞株における低い効力に起因して)。このデータは、チアゾリジンアナログがアポトーシスの有効な誘導剤として作用し得、そして種々の前立腺癌細胞株を選択的に殺傷し得ることを示唆する。
【0139】
【表5】
これらの結果は、アガロースゲル電気泳動によるDNA断片化に関してLNCaP細胞を試験するアッセイと一致する。LNCaP細胞を、チアゾリジン誘導体(化合物4または化合物5)で24〜108時間処理し、そしてその後全DNAを、RNaseおよびProteinase Kで処理する単純な遠心分離法で、2x106細胞から抽出した。エタノール中で沈殿後、トリス−EDTA緩衝液中でDNAを再構築し、アアガロースゲルで分離し、そして臭化エチジウム染色(Herrmannら、「A Rapid and Simple Method for the Isolation of Apoptotic DNA Fragments」Nucl. Acids Res.22:5506〜5507(1994)、これは、本明細書によりその全体が参考として援用される)により可視化した。図4A−Bに示される結果は、これらの化合物の両方がLNCaP前立腺癌細胞株において細胞アポトーシスを誘導することを実証する。
【0140】
細胞傷害性の別の評価として、AKT阻害を測定した。未処理コントロール細胞および化合物処理細胞から30pgの全細胞性タンパク質を、SDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移し、そして全AKTおよびホスホAKTを、抗AKT抗体およびSer473がリン酸化されたAKTに特異的な抗ホスホAKT抗体(Cell Signaling Technology、Beverly、MA)で、それぞれ試験した。免疫ブロットを増強した化学蛍光により可視化し、そしてアナログ処理によって全AKTと比較したホスホAKTの相対レベルの変化を濃度分析により定量した。図5Bは、図5Aに示される抗AKTおよび抗ホスホAKTを使用した、AKTの免疫学的検出を図示する。
【0141】
前述から、フェニル環への環活性化基の導入は、前立腺癌細胞株に関して効力の増加を生じることが理解されるべきである。上記結果は、低いマイクロモル濃度/マイクロモル濃度以下での細胞傷害性、および高選択性を有する、いくつかの新規抗癌剤(化合物16、17、および18により表される)を実証する。この研究から、化合物18が、PPC−1細胞においてIC50が0.55μMであって、38倍の選択性を有する最も効力がありかつ選択的な細胞傷害剤の1つとして明らかになった。さらに、LNCaP細胞、PC−3細胞およびRH7777細胞においてアポトーシスを誘導するこれらのアナログの能力は、それらの作用メカニズムを理解するのに重要な手がかりを提供する。
【0142】
(実施例6−チアゾリジノンアミドの合成)
チアゾリジノン誘導体(化合物65〜72)の合成は、スキーム4(図6)で示されるように、簡単な化学反応を用い、ここでlは1である。さまざまな4−チアゾリジノン類を、ワン−ポット(one−pot)反応においてメルカプト酢酸、グリシンメチルエステルおよび芳香族アルデヒドを濃縮させ、続いてエステルの塩基性加水分解を行う既報の手順に従って合成した(Holmesら、「Strategies for Combinatorial Organic Synthesis:Solution and Polymer−supported Synthesis of 4−thiazolidinones and 4−metathiazanones Derived from Amino Acids」,J.Org.Chem.60:7328−7333(1995)、これはその全体が参考として本明細書中に援用される)。チアゾリジノンアミドを、標準条件下EDC/HOBtの存在において適切なアミンで処置することにより得た。側鎖をもたない化合物65を、図6(スキーム4)に示したように対応する酸から合成した。チアゾリジノンアミド(化合物73〜77)を、触媒量のDMAPの存在において、異なるイソシアン酸塩と酸性化合物64aの反応を含む単純かつ直接的な方法(Schuemacherら、「Condensation Between Isocyanates and Carboxylic Acids in the Presence of 4−dimethylaminopyridine(DMAP),a Mild and Efficient Synthesis of Amides」,Synthesis 22:243−246(2001)、これは、その全体が参考として援用される)により合成した(図7)(スキーム5)。還流条件下、BH3THFを用いる化合物68の完全な還元は、化合物79を生じる(図8)(スキーム6)。H2O2を用いる化合物68の酸化およびKMnO4での化合物68の酸化は、スキーム6に示したように、それぞれスルホキシド(化合物80)およびスルホン(化合物81)を生じた。全ての化合物を、1H NMRおよび13C NMR、質量分析、ある場合には元素分析により特徴づけた。
【0143】
化合物を、ジアステレオマーの混合物として得、そして生物学的研究のために用いた。例示的に化合物68、71、72および81の特徴のデータを、以下に提供する。
【0144】
【化56】
(実施例7−細胞障害性アッセイ)
合成される全ての化合物の抗細胞増殖活性を、スルホローダミンB(SRB)アッセイを用いて5つのヒト前立腺癌細胞株に対しておよびRH777細胞(ネガティブコントロール)において評価した(上記実施例5の説明を参照せよ)。5−フルオロウラシル(5−FU)を、参照薬物として用いた。表6に示されるように、4−チアゾリジノンカルボン酸(化合物64aおよび64b)は、50μM未満で5つの前立腺癌細胞のいずれも成長を阻害することができなかった。しかしながら、関連するアミド類(化合物66〜68)は、より高い活性を示した。アルキル鎖の長さの増加[化合物66(10)、67(C14)および68(C18)]は、前立腺癌細胞においてこれらアナログの抗細胞増殖活性を増強することが観察された。興味深いことに、長いアルキル鎖をもたない単純なアミド65は、100μM未満では細胞障害性はなく、このことはアルキル側鎖の欠如が抗細胞増殖効果のかなりの低下を引き起こすことを示している。一方で、さまざまなアリール側鎖でのアルキル鎖の置換(化合物73〜78)は、生物学的活性を減少させた。このシリーズのなかで、化合物73は中程度の細胞障害性であり、一方、アナログ(化合物76〜78)は、いくつかの前立腺癌細胞において乏しい細胞障害性を示した。しかしながら、アリール環において電子吸引置換基をもつチアゾリジノンアミド(化合物74および75)は5つの前立腺癌細胞全てに対して、13〜29μMの範囲で細胞障害性を示したと言及されることに注目すべきである。
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
かさ高いビフェニル基またはナフタレン基をもつチアゾリジノン誘導体(化合物69および70)は、化合物68に比べ低い細胞障害性を証明した(表6)。化合物71および72を、化合物68の芳香環置換の効果を理解するために合成した。電子供与置換基は良好な活性を維持したがオルト位の電子吸引置換基が実質的にこれら誘導体の抗細胞増殖活性を減少させることが観察された(表6)。アミド基をもたない化合物79は、5つの前立腺癌細胞すべてにおいて有意に良好な効力を示した。注目すべきことに、スルホキシド部分またはスルホン部分をもつ化合物80および81は、PC−3細胞株およびPPC−I細胞株の両方に対する参照薬物5−FUの細胞障害性効力に比較して、高い細胞障害性効力を示した(表7)。
【0147】
要約すれば、一連の新規かつ細胞障害性の4−チアゾリジノンアミドを調製し、同定した。このシリーズのなかで、I型化合物の詳細な構造活性相関研究(図6)を、抗細胞増殖活性を評価するために5つの前立腺癌細胞株およびRH777細胞(ネガティブコントロール)に対して行った。この細胞毒性研究は、抗細胞増殖活性が2−アリール環置換基、アルキル側鎖の長さ、親油性アルキル側鎖の除去または置換に感受性であることを示す。硫黄の酸化は、十分許容される。なぜなら、化合物80および81は、5−FUに比較して有意な細胞障害性が示されるからである。本研究は、結果としてRH7777細胞株に比較して、1/2〜1/5の選択性で、5つのヒト前立腺癌細胞株(DU−145,PC−3、LNCaP、PPC−1およびTSU)すべての成長を阻害する、強力な細胞障害性の4−チアゾリジノン(化合物68、80および81)の発見となった。これら4−チアゾリジノン誘導体は、より細胞障害性が小さいが非腫瘍細胞において改善した選択性を証明したという点でSAP部分における有意な改善である。
【0148】
(実施例8−乳癌細胞および卵巣癌細胞における細胞障害性アッセイ)
各構造式から最も強力な化合物を選択し、ヒト乳癌細胞株(MCF−7)および3つのヒト卵巣癌細胞株(CHO−I、CaOv−3、SKOv−3およびOVCAR−3)における増殖阻害活性を試験した。インビトロの細胞障害性アッセイを、同じスルホローダミンB(SRB)アッセイ(上記に記載した)により行った。表8以下に示されるこれらの化合物について、乳癌細胞株および卵巣癌細胞株に対する活性を試験した。
【0149】
【表8】
化合物Sの立体選択性をCaOV−3細胞およびSKOv−3細胞において観察した((R)および(S)異性体を比較して)。2−フェニル環における置換は、一般的に化合物の細胞障害性を上昇させる。
【0150】
(実施例9−スペルミン結合体化チアゾリジンアミドの合成および試験)
図9において説明されるように、CH2Cl2中の4−チアゾリジノン酸(ここでR1はフェニルおよびlは1である)(1.5g,6.32mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.51g,7.9mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.85g,6.32mmol)の混合物を氷浴で冷やし、10分間かき混ぜた。この溶液に4−ニトロフェノール(0.78g、5.61mmol)を加え、2時間撹拌した。この反応混合物をCH2Cl2で希釈し、冷5%HCt、飽和炭酸水素ナトリウム、水、ブラインで連続的に洗い、乾燥し(無水Na2SO4)そして真空下で溶媒を除去した。このニトロフェニルエステル生成物(化合物100)を、EtOAc/ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、1.76g(78%)を得た。1H NMR(CDCl3):σ3.70(d,J=18Hz,1H),3.85(d,J=1.2Hz,2H),4.64(d,J=17.7Hz,1H),5.88(s,1H),7.24(d,J=2.1Hz,1H),7.26(d,J=2.4Hz,1H),7.40−7.46(m,5H),8.26(d,J=1.8Hz,1H),8.28(d,J=2.1Hz,1H)。
【0151】
室温でCH3OH中(35mL)のニトロフェノールエステル(化合物100)(0.5g,1.39mmol)の溶液に、スペルミン溶液(CH3OH中0.33g,1.63mmol)にゆっくり加え、1時間撹拌した。この反応混合物を真空下で濃縮し、濃縮した反応混合物に1:1の割合でCHCl3およびCH3OHを加え、セライトを通して濾過した。溶媒を真空下除去し、この残渣をCHCl3:CH3OH/i−PrNH2を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、スペルミン結合体(化合物101)を0.2g(50%)を与え、これを2M HCl/Et2Oを用いて対応する塩酸塩に転換した。1H NMR(DMSO−d6)σ1.71−1.76(m,6H),L95−2.0(m,2H),2.89−3.0(m,10H),3.0−3.15(m,4H),3,74(d,J=15.6Hz,1H),3.87(d,J=15.3Hz,1H),4,10(d,J=16.5Hz,1H),7.35−7.44(m,5H),8.0−8.18(m,4H),8.89(Ins,2H),9.15(brs,2H).ESIMS m/z 422.4(M++1)。
【0152】
化合物101は、以下のIC50(μM)値:RH7777(>100)、DU145(12.4)、PC−3(11.1)、LNCaP(26.2)、PPC−1(11.7)、TSU−Prl(5.0)、MCF−7(>100)、CaOv−3(39.3)、OVCAR−3(39.7)およびSKOv−3(>100)を有する、卵巣癌細胞およびMCF−7乳癌細胞に比較して、前立腺癌細胞に対してより強力な活性を証明した。
【0153】
(実施例10)
3,4,5Rおよび5Sの抗細胞増殖活性の効果を、ヒト前立腺癌細胞株(PC−3、DU145、LNCaP、PPC−1、TSU−Pr1)において4つの活性セリンアミドリン酸塩(SAP)誘導体および5−フルオロウラシル(5−FU、ポジティブコントロール)で観察される抗細胞増殖活性の効果と比較した。LPLレセプター4を発現していないコントロール細胞株(RH7777)、およびMCF−7(ヒト乳癌細胞株)を、選択性を評価するために含めた。この選択した細胞株は、活性AKTレセプターおよび活性LPLレセプター発現の異なる基底レベルを示す(後で考察される)。細胞を、広い濃度範囲(0〜100μM)の指示した化合物に96時間曝露した。処置の最後で細胞数をスルホローダミンB(SRB)アッセイ5を用いて測定した。IC50(すなわち、未処置のコントロールの50%まで細胞成長を阻害した濃度)値を非線形回帰分析(WinNonlin,Pharsight Corp.)により得た。
【0154】
以前に本研究室で観察されたように、SAP誘導体(以下の表中の化合物S1〜S4)は、1.1〜20μM(ND=決定していない)の範囲のIC50値をもつ、腫瘍細胞増殖の強力なインヒビターであった。
【0155】
SAPおよびチアゾリジンの抗細胞増殖活性において違いが観察された。このチアゾリジン誘導体(3,4、5Rおよび5S)はまた、前立腺癌細胞および乳癌細胞の増殖を強力に阻害したが、LPLレセプターネガティブのRH7777細胞において1/2〜1/12の効力であり、チアゾリジンアナログがより強力で選択的な抗細胞増殖活性を証明することを示している。2つ重要な構造活性相関が、この小さな一連の化合物において示唆される。第1に、長いアルキル鎖(すなわち、C18;5Rおよび5S)を含むアナログは、より短いアルキル鎖(すなわち、C7およびC14;3および4)をもつ誘導体より強力で選択的である。第2にR異性体(5R)のIC50は、RH7777を除いてすべての腫瘍細胞株において、S異性体(5S)のIC50より小さかった。これは、分子標的との立体特異的な相互作用を示唆しており、この相互作用はRH7777細胞において存在しないかまたは重要性が小さい。重要なことに、アナログ4、5Rおよび5Sは、5−FUと同じくらいの腫瘍細胞増殖の強力なインヒビターであり、多くの細胞株において測定可能に良好であった。
【0156】
【化57】
(実施例11)
5つのヒトの前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP、PPC−1、TSU−Pr1)およびLPLレセプターを欠いているネガティブコントロール細胞株(RH7777)におけるチアゾリジン誘導体およびSAP誘導体の細胞障害性を、スルホローダミンB(SRB)アッセイを用いて試験した。細胞を、広い濃度範囲(0〜100μM)の特定の化合物に96ウェルプレート中、96時間曝露した。細胞を10%トリクロロ酢酸で固定し、水で5回洗浄した。このプレートを一晩風乾し、固定した細胞をSRB溶液で染色した。この細胞のタンパク質結合したSRBを、プレートリーダーを用いて540nmで測定した。処置の最後で細胞数を測定した。IC50(すなわち、未処置のコントロールの50%まで細胞増殖を阻害した濃度)値をWinNonlinを用いて非線形回帰分析により得た。比較の目的のためおよび細胞障害性の程度を理解するために、5−フルオロウラシル(5−FU)を5つすべての前立腺癌細胞に対して試験した。より強力な抗細胞増殖活性を示す化合物は、5−フルオロウラシルのIC50値と比較して小さいIC50値を示す。これらの結果を、以下にまとめた。
【0157】
【化58】
【0158】
【化59】
(実施例12)
前立腺細胞株LNCaP細胞を30μMの式:
【0159】
【化60】
の化合物で指示した時間処置した。AKTの活性体(Pi−AKT)およびβ−アクチンをウエスタンブロット解析により定量した。この化合物は、12時間の処置により50%までAKTリン酸化を阻害した。式VIIIの化合物は、10.3μMのIC50を有した。この実験の結果を以下に示す。
【0160】
【化61】
(実施例13)
前立腺細胞株LNCaP細胞を10μMの式:
【0161】
【化62】
の化合物で指示した時間処置した。AKTの活性体(Pi−AKT)およびAKTをウエスタンブロット分析により定量した。式IXの化合物は、6時間以内の処置でAKTのリン酸化をほぼ完全に阻害した。この化合物のIC50は、3.3μMに等しかった。この実験の結果を以下に示す。
【0162】
【化63】
(実施例14)
前立腺細胞株LNCaP細胞を10μMの式
【0163】
【化64】
の化合物で指示した時間処置した。AKTの活性体(Pi−AKT)、AKTおよびβ−アクチンをウエスタンブロット分析により定量した。この化合物は、1時間までの処置でAKTのリン酸化をほぼ完全に阻害した。この化合物は、3.3μMに等しいIC50を有した。この実験の結果を以下に示す。
【0164】
【化65】
(実施例15)
5つのヒトの前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP、PPC−1およびTSU)および2つのネガティブコントロール細胞株(CHOおよびRH7777)において、合成した化合物の細胞障害性をスルホローダミンB(SRB)アッセイ(Rubinstein,L.V.S.,R.H.Paull,K.D.Simon,R.M.Tosini,S.Skehan,P.Scudiero,D.A.Monks,A.Boyd,M.R. J.Natl.Cancer.Inst.1990,82,1113−1118、これは本明細書中に参考として援用される)を用いて試験した。細胞を96ウェルプレート中96時間広い濃度範囲(0〜100μM)の特定の化合物に曝露した。細胞を10%トリクロロ酢酸で固定し、水で5回洗浄した。このプレートを一晩乾燥し固定した細胞をSRB溶液で染色した。細胞タンパク質と結合したSRBをプレートリーダーを用いて540nmで測定した。処置の最後で細胞数を未処置のコントロールのパーセントとして算出した。IC50(すなわち、未処置のコントロールの50%まで細胞増殖を阻害した濃度)値を、WinNonlinを用いる非線形回帰分析により得た。比較の目的のためおよび細胞障害性の程度を理解するために、5−フルオロウラシルを5つすべての前立腺癌細胞に対して試験した。これらの結果を表1にまとめる。
【0165】
細胞障害性のデータから、試験されるほとんどの化合物は、5つすべての前立腺癌細胞株に対して良好な抗癌活性を示したことが明らかである。リン酸基を持たないSAA(306b、306e、306f)は、SAPと同じくらい効果的である。直接の関係は、試験した化合物のアルキル鎖の長さと細胞障害性の間で観察された。従って、すべてのこれら化合物は、アルキル鎖の長さ依存性の細胞障害性を示した。より短いアルキル鎖を有する化合物(302a、306b、315d、316d)は、より長いアルキル鎖を有するアナログより低い細胞毒性である(表1を参照せよ)。化合物302fは、PPC−1細胞株に対して1.8μMのIC50をもつ、これまで試験された最も強力なSAPの1つとして明らかになった。しかしながら、SAAはアルキル鎖の長さが18Cより少ない場合に、対応するSAPよりさらに強力であるが、細胞障害性における有意な差異は、18Cよりおおきなアルキル鎖をもつSAAとSAPの間で観察されない。SAA(306c、306d)およびSAP(302d、302c)のエナンチオマーのIC50値はおおよそ等しく、このことはキラリティーは前立腺癌におけるこれら化合物の抗細胞増殖活性に重要ではないことを示している。アルキル鎖への二重結合の導入は、SAA309およびSAP311両方の強さを低下させた。アミンの官能性の重要性を理解するために、アミノ基を対応するセットBアミド、スルホンアミドおよび尿素誘導体に誘導体化した。より短いアルキル鎖をもつセリンジアミドリン酸塩316dは、TSU前立腺細胞株を除く4つの前立腺癌細胞株において100μMより低い細胞障害性を証明できなかった。5つすべての前立腺癌細胞株においてスルホンアミド誘導体の315bおよび316bならびに尿素誘導体315cの阻害活性は一般的な減少傾向を示しこれは、C2アミノ基の誘導体化が前立腺癌細胞を殺傷する能力について容認できないことを示す。
【0166】
セリンアミド骨格領域において許容される構造的耐性の範囲をさらに調べるために、化合物319および320を合成することにより、セリンアミド基を単一のエタンアミンアミドで置換した。しかしながら、これらエタンアミンアミドアナログはより効力が小さく、特に化合物319は、DU−145、PC−3およびLNCaP前立腺癌細胞株に対していずれも活性を示さなかった。SAA中のアミド基を、長鎖のN−アルキルアミノアルコール317および318を作るために還元させると、これらアナログは、細胞障害性を保持し、前立腺癌細胞株を殺すことにおいて低マイクロモル濃度の細胞障害性で非常に効果的であった。選択性を決定するために、合成したいくつかの化合物をまたCHO細胞およびネガティブコントロールとしてのRH7777細胞において細胞障害性を試験した。多くの強力な化合物は、同様な細胞毒性を示し、前立腺癌細胞および非腫瘍性のネガティブコントロール細胞に対する作用において非選択的である。
【0167】
【表9−1】
【0168】
【表9−2】
さまざまな実施形態は明細書中に詳細に描写し、記載するが、さまざまな修飾、付加、置換などが本発明の本質から逸脱することなしに作られ得、それゆえこれらは添付の特許請求の範囲で定義されるような、発明の範囲内であると考えられることが、当業者において明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0169】
(図面のそれぞれの図に関する簡単な説明)
以下の本発明の実施形態の詳細な説明は、以下の図と組み合わせて読む場合、最も理解され得る。:これらの図において、同じ構造が同じ参照番号を用いて示される。
【図1】図1は、チアゾリジンカルボン酸アミドの合成に関する1つのアプローチ(スキーム1)を例示する。チアゾリジンカルボン酸アミド中間体(2a〜v)は、報告された条件(Sekiら,「A Novel Synthesis of (+)−Biotin from L−Cysteine」,J.Org.Chem.67:5527−5536(2002)、この全体が本明細書によって参考として援用される)下で、L−システインを種々のアルデヒドと反応させることによって形成される。この中間体カルボン酸は、アミンと反応し、対応するアミド(3〜27)を形成する;
【図2】図2は、チアゾリジンカルボン酸アミドの、N−30アリール誘導体およびN−スルホニル誘導体の合成に関する1つのアプローチ(スキーム2)を例示する。N−アシル誘導体およびN−スルホニル誘導体(化合物28および29)は、化合物5から標準の手順によって合成された;
【図3】図3は、チアゾ−ルカルボン酸アミドの合成に関する1つのアプローチ(スキーム3)を例示する。チアゾリジンカルボン酸メチルエステルは、以下の報告された手順(Badr etal,,「Synthesis of Oxazolidines,Thiazolidines,and 5,6,7,8−Tetrahydro−1H,3H−pyrrolo[1,2−c]Oxazole(or Thiazole)−1,3−diones from β−Hydroxy−or β−Mercapto−α−amino Acid Esters」,Bull.Chem.Soc.Jpn.54:1844−1847(1981)、その全体が本明細書によって参考として援用される)に従って、チアゾールカルボン酸メチルエステルに変換され、次いでアルキルアミドに変換された;
【図4】図4A〜図4Bは、チアゾリジン化合物4(図4A)およびチアゾリジン化合物5(図4B)」により24〜108時間処理した後、2x106のLNCaP細胞から抽出した全DNAのアガロースゲルの電気泳動を示す。結果は、DNA断片化に対する処理の効果を示し、細胞死の進行を示す。図4Aにおいて、用量および曝露時間が、化合物4について以下のように示される:レーン1、100bpDNAマーカー;レーン2、5μM、36時間;レーン3、3μM、24時間;レーン4、3μM、24時間;レーン5、3μM、48時間;レーン6、3μM、72時間;レーン7、3μM、108時間;およびレーン8、50μM、36時間。図4Bにおいて、用量および曝露時間が、化合物5について以下のように示される:レーン1、100bp DNAマーカー;レーン2、5μM、24時間;レーン3、5μM、48時間;レーン4、5μM、72時間;レーン5、5μM、96時間;レーン6、3μM、96時間;レーン7、8μM、48時間;およびレーン8.8μM、72時間。
【図5A】図5A〜図5Bは、AKTリン酸化阻害により測定される、チアゾリジン化合物のAKT阻害効果を実証する。図5Aは、抗ホスホAKT(5473)または抗AKT抗体を使用した免疫ブロットの結果を示す。免疫ブロットを増強した化学蛍光により可視化し、そしてアナログ処理によって全AKTと比較したホスホAKTの相対レベルの変化を濃度分析により定量した。
【図5B】図5A〜図5Bは、AKTリン酸化阻害により測定される、チアゾリジン化合物のAKT阻害効果を実証する。図5Bは、図5Aに示される、抗AKTおよび抗ホスホAKTを使用した、AKTの免疫学的検出する免疫ブロットを図示する。
【図6】図6は、4−チアゾリジノンカルボン酸の合成、および第1級アミンまたは第2級アミン(HNR2R3)と反応によって対応するアミド類への変換に関する、1つのアプローチ(スキーム4)を例示する。この反応スキームにおいて示されるように、異なる出発材料(1が異なる)は本発明の種々の化合物を調製するために用いられ得る;
【図7】図7は、4−チアゾリジノンカルボン酸、およびR2−CNOと反応することによって対応しているアミド類への変換のための第2のアプローチ(スキーム5)を例示する。
【図8】図8は、本発明(スキーム6)のチアゾリジノン化合物のコア構造を修飾して、環に結合したスルホン基または環に結合したスルホキシド基を生じること(それぞれ、工程aおよび工程b)、およびカルボニル基の完全な還元を得ること(工程c)のための、3つのアプローチを例示する。
【図9】図9は、チアゾリジノンアミドのポリアミン結合体の合成に関するプロセスを例示する。
【図10】図10は、チアゾリジノンエステルおよびチアゾリジノンエーテルの合成に関するスキームを例示する。
【図11】図11は、オキサゾリンアミドの合成に関するスキームを例示する。
【図12】図12は、チアゾリジノン二量体の合成に関するスキームを例示する。
【図13】図13は、セリンアミドアルコールおよびセリンアミドホスフェートの合成に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)CH3(CH2)nNH2、EDC、HOBt、CH2CI2、室温、5時間、(ii)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間(iii)テトラゾール、ジベンジルジイソプロリルホスホアミダイト、CH2Cl2、室温、0.5時間、H2O2、室温、0.5時間、(iv)H2、10% Pd/C、EtOH、室温、3時間。
【図14】図14は、不飽和セリンアミドアルコールおよび不飽和セリンアミドホスフェートの合成に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)C8H17(CH:CH)C8H16NH2、EDC、HOBt、CH2Cl2、室温、5時間(ii)2M HCl/Et2O、室温、一晩(iii)テトラゾール、ジtertブチルジイソプロピルホスホアミダイト、CH2Cl2、室温、0.5時間、H2O2、室温、0.5時間(iv)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間。
【図15】図15は、セリンジアミドホスフェートおよび他のアミドアナログの合成に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)R2NH2、EDC、HOBt、CH2Cl2、室温、5時間(ii)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間(iii)TEA、R3SO2ClまたはR3NCOまたはR3COCl(iv)H2、10% Pd/C、EtOH、室温、3時間(v)テトラゾール、ジベンジルジイソプロピルホスホアミダイト、CH2Cl2、室温、0.5時間、H2O2、室温、0.5時間(vi)H2、10% Pd/C、EtOH、室温、3時間。
【図16】図16は、アミノアルコールのアナログの調製に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間(ii)a.LAH、Et2O、還流、7時間、b.HCl。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願番号第10/523,175号の1部継続出願であり、そしてこの出願のの優先権の利益を主張し、この出願は2003年11月18日に出願した米国仮出願特許番号第60/523,079号優先権と利益を主張する。その両方は、本明細書により全体として参考に援用される。
【0002】
本出願は、2004年2月11日に出願した米国仮出願特許番号第60/543,724号および2004年3月24日に出願した米国仮出願特許番号第60/555,803号の優先権と利益を主張する。その両方は、全体として本明細書により参考として援用される。
【0003】
本出願は、少なくとも1部、助成金DAMD17−01−1−0830のもとで、米国防衛庁から資金援助を受けてなされた。連邦政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
合衆国の男性において新たに診断された悪性疾患の全てのうちの33%が前立腺癌である(米国癌協会(American Cancer Society):Canncer Facts and Figures(2003))。米国癌協会によると、推定230,110人の男性は、2004年において前立腺癌を有すると診断され、そしてそれで29,900人が死ぬであろう(米国癌協会(American Cancer Society):Canncer Facts and Figures(2004))。前立腺癌の発生率は、世界中で変化し、合衆国、カナダおよびスカンジナビアにおいて最高率で見出され、中国およびアジアの他の部分において最低率で見出される(非特許文献1;非特許文献2)。これらの差異は、遺伝的受容性、未知の外部危険因子に対する曝露、健康管理および癌記録における差異またはこれらの要因の組み合わせにより生じる。
【0005】
前立腺癌は、多病巣性であり、癌性腺が複数の独立した病巣を含むことが通常観察され、これはこの疾患の不均質性を示唆する(非特許文献3)。前立腺の病的増殖の原因になる決定要素は、ステロイドのアンドロゲンおよびペプチド成長因子が関与している(非特許文献4および5)が、まだ殆ど理解されていない。癌を前立腺に限る場合、手術または放射線により首尾よく制御し得るが、転移性疾患においては、リンパ節関与または位置散在性(disseiminated loci)の場合における主力の処置である、アンドロゲン除去(非特許文献6)より優れた利用可能な選択肢は殆どない。1度腫瘍細胞がホルモン難治性になると、標準的な細胞傷害剤は、ある程度の緩和的軽減を提供するが、疾患の進展を遅延するのに僅かしか有効ではない。現在の化学療法レジメン(代表的には2以上の薬剤)は、ほんの20〜30%の範囲の応答率(非特許文献7および8)をもたらす。
【0006】
前立腺癌の1つの有望な薬物開発戦略としては、癌細胞シグナル伝達経路と関連する成長因子および他の分子を干渉する薬剤を同定し、そして試験することである。Gタンパク質結合レセプター(「GPCR」)は、リゾリン脂質(「LPLs」)の結合により開始される前立腺癌細胞の増殖および生存と関連する、膜結合タンパク質のファミリーである(非特許文献9、10、11および12)。インビボでの増殖および転移の制御におけるGタンパク質依存性経路の重要性は、マウスにおけるアンドロゲン非依存性の前立腺癌細胞の増殖が、Gi/oタンパク質インヒビターである百日咳毒素による処置により減弱されるという観察により確証される(非特許文献13)。リゾホスファチジン酸(「LPA」)およびスフィンゴシン−1−リン酸(「SIP」)GPCRシグナル伝達を刺激することで知られている膜リン脂質の制御された分解により生成する脂質伝達物質である。
【0007】
LPLは、Edg遺伝子ファミリーによりコードされるGPCRに結合して多様な生物学的効果を発現する。LPAは、ホスホリパーゼDの活性およびPC−3前立腺癌細胞増殖を刺激する(非特許文献14)。さらに、以前の研究でLPAが前立腺癌細胞において有糸分裂誘発性であること、ならびにPC−3およびDU−145がLPA1レセプター、LPA2レセプターおよびLPA3レセプターを発現することを示した(非特許文献15)。進行した前立腺癌は、LPLレセプターを発現し、アンドロゲン非依存性で増殖および進行に関するホスファチジル3−キナーゼ(「PI3K」)のシグナル伝達に依存する(非特許文献10)。従って、これらの経路は、癌治療に最も有望な新規なアプローチとして広く考えられ(非特許文献16)、進行したアンドロゲン難治性の前立腺癌の処置に特に新規なアプローチを提供する。
【非特許文献1】QuinnおよびBabb、「Patterns and Trends in Prostate Cancer Incidence、Survival、Prevalence and Mortality.Part:International Comparison」BJU Int.90:162〜173(2002)
【非特許文献2】Gronberg、「Prostate Cancer Epidemiology」、Lancet 361:859〜864(2003))
【非特許文献3】Fosterら、「Cellular and Molecular Pathology of Prostate Cancer Precursors」Scand.J.Urol.Nephrol.205:19〜43(2000))
【非特許文献4】Agusら、「Prostate Cancer Cell Cycle Regulatiors:Response to Androgen Withdrawal and Developement of Androgen Independence」、J.Natl.Cancer.Inst.91:1869〜1876(1999)
【非特許文献5】Djakiew、「Dysregulated Expression of Growth.Factors and Their Receptors in the Developement of Prostate Cancer」、Prostate 42:150〜160(2000))
【非特許文献6】Frydenbergら、「Prostate Cancer Diagnosis and Management」、Lancet 349:1681〜1687(1997)
【非特許文献7】Beedassyら、「Chemothepy in Advanced Prostate Cancer」、Sern.Oncol.26:428〜438(1999)
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【非特許文献9】Rajら、「Guanosine Phosphate Binding Protein Coupled Receptors in Prostate Cancer:A Review」J.Urol.167:1458〜1463(2002)
【非特許文献10】Kueら、「Essential Role for G Proteins in Prostate Cancer Cell Growth and Signaling」、J.Urol.164:2162〜2167(2000)
【非特許文献11】Guoら、「Mitogenic Siganling in Androgen Sensitive and Insensitive Prostate Cancer Cell Lines」、J.Urol.163:1027〜1032(2000)
【非特許文献12】Barki−Harringtonら、「Bradykinin Induced Mitogenesis of Androgen Independent Prostate Cancer Cells」、J.Urol.165:2121〜2125(2001)
【非特許文献13】Hexら、「Influence of Pertussis Toxin on Local Progression and Metastasis After Orthotopic Implantation of the Human Prostate Cancer Cell Line PC3 in Nude Mice」、Prostate Cancer Prostatic Dis. 2:36〜40(1999)
【非特許文献14】Qiら、「Lysophosphatidic Acid Stimulates Phospholipase D Activity and Cell Proliferation in PC−3 Human Prostate Cancer Cells」J.Cell.Physiol.174:261〜272(1998)
【非特許文献15】Daakaら、「Mitogenic Action of LPA1 in Prostate」Biochim.Biophys.Acts 1582:265〜269(2002)
【非特許文献16】Vivancoら、「The Phosphatidylinositol 3−Kinase AKT Pathway in Human Cancer」、Nat.Rev.Cancer 2:489〜501(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記アプローチが有望なことにもかかわらず、LPAシグナル伝達またはPI3Kシグナル伝達を選択的に利用または阻害する、臨床上利用可能な治療は存在しない。
【0009】
本発明は、これらおよび他の先行技術の欠陥を克服することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(概要)
本発明の第1の局面は、式(I)および式(II)
【0011】
【化18】
に記載の化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X3およびX4は、必要に応じて存在し、そして各々は、硫黄または酸素であり得;
lは、1〜12の整数であり;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【0012】
【化19】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、この炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0013】
【化20】
または、−(CH2)n−Y2であり、
ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである。
【0014】
本発明の第2の局面は式(V)および式(VI)
【0015】
【化21】
に記載の化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X5は、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【0016】
【化22】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、前記炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0017】
【化23】
または、−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである。
【0018】
本発明の第3の局面は式(VII)
【0019】
【化24】
に記載の化合物に関する。ここで、
X3が、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
X6が、酸素または窒素であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0020】
【化25】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、前記炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0021】
【化26】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである。
【0022】
本発明の第4の局面は式(VIII)
【0023】
【化27】
の化合物に関する。ここで、
X8が、OまたはSであり;
nが、1〜30の間であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0024】
【化28】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;そして、
R5、R6、R7、R8、およびR9は、水素、ヒドロキシ、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択される。
【0025】
本発明の第5の局面は式
【0026】
【化29】
を有する化合物に関する。ここで、
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かまたは分枝鎖の、置換または非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしく非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールである。
【0027】
本発明の第6の局面は式(XIV)および(XV)
【0028】
【化30】
の化合物に関する。
【0029】
本発明の第7の局面は、薬学的に受容可能なキャリアと、本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第6の局面に記載の化合物とを含有する、薬学的組成物に関する。
【0030】
本発明の第8の局面は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第6の局面に記載の化合物を提供する工程、ならびに、接触された癌細胞を破壊するために効果的な条件下で、癌細胞を上記化合物と接触させる工程を包含する、癌細胞を破壊する方法に関する。
【0031】
本発明の第9の局面は、癌の状態を処置または予防する方法に関し、そしてこれらの方法は、以下の工程を包含する:本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第6の局面に記載の化合物を提供する工程、および、癌の状態を処置または予防するために効果的な様式で、ある量の上記の化合物を患者に投与する工程。
【0032】
本発明の第10の局面は、式(I)に記載の化合物を作製する方法に関し、そしてこの方法は以下の工程を包含する:式(I)に記載の化合物を形成するために有効な条件下で、式(III)
【0033】
【化31】
に記載の中間体(l、R1、X3、およびX4が上のように定義される)を、(i)R2およびR3が上のように定義される式(HNR2R3)に記載される、適切な第1級アミンまたは適切な第2級アミンか、または(ii)R2−Hを含む化合物の存在下のアンモニアのうちいずれか一方と反応させる工程。
【0034】
本発明の第11の局面は、式(II)に記載される化合物を作製する方法に関し、そしてこの方法は、以下の工程を包含する:式(II)に記載の化合物を形成するために有効な条件下で、式(IV)
【0035】
【化32】
に記載の中間体(ここで、R1およびX3が上のように定義される)を、式(HNR2R3)に示される第1級アミンまたは第2級アミン(ここで、R2およびR3が上のように定義される)と反応させる工程。
【0036】
本発明の第12の局面は、式(III)および式(IV)に記載される中間体化合物に関する。
【0037】
本発明は、前立腺癌の細胞増殖を阻害することに関して有用であることが公知である、以前に同定された癌の治療法より優れた、重要な改良点を与える。以前の報告において、細胞傷害性化合物は、LPA中のグリセロール骨格を、セリンアミドで5つの前立腺癌の細胞株において置き換えることによって得られた(Gududuruら,「Synthesis and Biological Evaluation of Novel Cytotoxic Phospholipids for Prostate Cancer」,Btaorg.Med.Chem.Lett.14:4919−4923(2004)、本明細書によってその全体が参考として援用される)。Gududuruら(上で引用された)によって報告された最も効力のある化合物は、前立腺癌とコントロール細胞株との両方を、非選択的にかつ強力に殺した。本発明は、類似の効力またはさらに改善された効力を有する化合物を与えるが、さらに重要なことは、特に前立腺癌の細胞株に対して、改善された選択性を与える。本発明の化合物は、前立腺癌細胞および卵巣癌細胞に対して、効果的であると示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(本発明の実施形態に関する詳細な説明)
さて、本発明は、本発明の特定の実施形態に対して時折文献を用いて、説明される。しかし、本発明は、異なる形態において具体的に示され、本明細書中において記載される実施形態に対して限定するように解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全でありかつ完成したものとするために提供され、しかも本開示は、当業者に対して本発明の範囲を十分に伝える。
【0039】
そうでないと定義されない限り、本明細書中において用いられる、全ての技術用語および全ての科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるような同じ意味を有する。本明細書中において本発明の説明において用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明するためのみに存在するのであって、本発明を限定していることを意図していない。本発明の説明中および添付の請求項中において用いられる場合、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、複数形も同様に含むことを意図する。本明細書中において言及される全ての、出版物、特許出願、特許、および他の引用は、それら全体が参考によって援用される。
【0040】
そうでないと示されない限り、明細書中および請求項中において用いられる場合、成分の量および特性を表す全ての数(例えば、分子量、反応条件など)は、語「約(about)」により全ての例において修飾されているように、理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、以下の明細書および請求項において示される数的な特性は、本発明の実施形態において得られるように努めた所望の特性に依存して変化し得る、近似値である。本発明の広範な範囲を記載する、数的な範囲および数的なパラメーターは近似値であるけれども、特定の例において示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いかなる数値も本来は、それぞれの測定において見出される実測の誤差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0041】
本発明の一つの局面は、下の式(I)および式(II)
【0042】
【化33】
に記載される化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X3およびX4は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は、酸素または硫黄であり得;
lは、1〜12の整数であり;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【0043】
【化34】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0044】
【化35】
または、−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖かもしくは分子鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである。
【0045】
本明細書中において用いられる場合、炭素が単鎖中おいて存在しようと分枝鎖中において存在しようとも、「脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは非直鎖の炭化水素」は、1個〜定義された上限までの炭素含むアルキレン基と、2個〜上限までの炭素含む、アルケニル基およびアルキニル基との両方を言う。明確に示されない限り、炭化水素は、約30個までの炭素、または約20個までの炭化水素、または約10個までの炭化水素を含む。
【0046】
本明細書中において用いられる場合、「アルキル」との用語は、そうでないと具体的に挙げられない限り、約30個までの炭素を含む、任意の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基であり得る。アルキル基は、ただ一つの構成要素であり得るか、またはより大きな構成要素(例えば、アルコキシ、アリールアルキル、アルキルアミノなど)の成分であり得る。
【0047】
本明細書中において用いられる場合、「飽和もしくは不飽和の環状炭化水素」は、任意のそのような環状炭化水素であり得、この炭化水素としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロジエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない;「飽和もしくは不飽和のN−複素環」は、任意のN含有の複素環であり得、この複素環としては、アザシクロアルキルおよびジアザシクロアルキル(例えば、アジリジニル、アゼチジニル、ジアザチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびアゾカニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、ピロリジニル、インドリルなどが挙げられるが、これらに限定されない;「非置換O−複素環」は、任意のそのようなO−含有の複素環であり得、この複素環としては、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、フラニル、ピリリウム、ベンゾフラニルなどが挙げられるが、これらの限定されない;「飽和もしくは不飽和のS−複素環」は、任意のそのようなS−含有の複素環であり得、これらの複素環としては、チラニル、チエタニル、テトラヒドロチオフェニル、ジチオラニル、テトラヒドロチオピラニル、チオフェニル、チエピニル、チアナフテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない;「飽和もしくは不飽和の混合の複素環」は、S−ヘテロ原子、N−ヘテロ原子、またはO−ヘテロ原子を2つ以上含む任意の複素環であり得、これらの複素環としては、オキサチオラニル、モルホリニル、チオキサニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアジオリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の別の局面は、式(V)および式(VI)
【0049】
【化36】
に記載される化合物に関する。ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々が、酸素であり得;
X5は、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖の、C1〜C30の炭化水素、または
【0050】
【化37】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0051】
【化38】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである。
【0052】
本発明の別の局面は、式(VII)
【0053】
【化39】
に記載される化合物に関する。ここで、
X3が、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
X6が、酸素または窒素であり;
lが、1〜12の整数であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0054】
【化40】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、前記炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【0055】
【化41】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである。
【0056】
本発明のさらに別の局面は、式(VIII)
【0057】
【化42】
の化合物に関する。ここで、
X8が、OまたはSであり;
nが、1〜30の間であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【0058】
【化43】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;そして、
R5、R6、R7、R8、およびR9は、水素、ヒドロキシ、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択される。
【0059】
本発明の別の局面は、式
【0060】
【化44】
を有する化合物に関する。ここで、
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かまたは分枝鎖の、置換または非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしく非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールである。1つの例において、式(X)の化合物は、X7がPO3HでありかつX8がOである場合、R16がC14H29でないように限定される。
【0061】
本発明のさらなる局面は、式(XIV)および式(XV)
【0062】
【化45】
の化合物に関する。
【0063】
式IIおよび式VIIの構造式における点線は、結合が存在するか、または結合が存在しないことを示すと理解される。
【0064】
好ましいR1基としては、ベンジル、フラニル、インドリル、ピリジニル、フェニル、または置換フェニル(上で定義されたR5〜R9で置換された)が挙げられる。
【0065】
好ましいR2基としては、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、フェニル、フェニルアルキル、置換フェニル、および上で定義されたR11〜R15基で置換されたフェニルアルキルが挙げられる。好ましい、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素は、C8〜C24の炭化水素であり、この炭化水素としては、C10〜C20のアルキル、より好ましくはC14〜C18アルキルが挙げられる。
【0066】
好ましいR3基としては、水素およびC1〜C10のアルキルが挙げられる。
【0067】
好ましいR4基としては、水素、アシル、アセチル、およびメシルが挙げられる。
【0068】
好ましいR10基は、ポリアミン(polyarnines)である。
【0069】
整数lは、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜8、1〜6、または1〜4である。整数Inは、好ましくは、0〜8、0〜6、0〜4、または0〜2である。整数nは、好ましくは、0〜8、0〜6、0〜4、または0〜2である。
【0070】
式(I)に記載の例示の化合物としては、以下:2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物65)、N−デシル−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物66)、N−テトラデシル−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物67)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物68)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−ビフェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物69)、2−(2−(1−(ジメチルアミノ)ナフタレン−4−イル)−4−オキソチアゾリジン−3−イル)−N−オクタデシルアセトアミド(化合物70)、2−(2−(4−メトキシフェニル)−4−オキソチアゾリジン−3−イル)−N−オクタデシルアセトアミド(化合物71)、2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−オキソチアゾリジン−3イル)−N−オクタデシルアセトアミド(化合物72)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−フェニル−1−スルホキシド−チアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物80)、N−オクタデシル−2−(4−オキソ−2−フェニル−1−スルホニル−チアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物81)、N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物73)、N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)エタンチオアミド、N−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物74)、N−(3,5−ジクロロフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物75)、N−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物76)、N−(ナフタレン−1−イル)2−(4−オキソ−2−フェニルチアゾリジン−3−イル)アセトアミド(化合物77)、3−(2−(オクタデシルアミノ)エチル)−2−フェニルチアゾリジン−4−オン(化合物79)、N−(2−(2−フェニルチアゾリジン−3−イル)エチル)オクタデカン−1−アミンおよびそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
式(I)に記載の好ましい化合物としては、化合物68、71、80および81が挙げられる。
【0072】
式(II)に記載の例示の化合物としては、以下:(4R)−2−(4−メトキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物15);(4R)−2−(4−エトキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;N−オクタデシル−2−フェニルチアゾール−4−カルボキシアミド(化合物34);(4R)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物23);(4R)−2−(4−シアノフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物22);(4R)−N−オクタデシル−N−メシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物29);(4R)−N−オクタデシル−N−アセチル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物28);(4R)−N−ヘプチル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物3);(4R)−N−オクタデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物5、R−異性体);(4S)−N−オクタデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物5、S−異性体);塩酸(4R)−N−テトラデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物4);(4R)−N−オクタデシル−2−ビフェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物27);(4R)−2−ドデシル−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物7);(4R)−N−オクタデシル−2−(ピリジン−3−イル)チアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物11);2−(フラン−3−イル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物12);(4R)−N−ノナデシル−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物6);(4R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;2−(3−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物14);(4R)−2−(2,4,6−ジメトキシフェニル)N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;2−(3,4−ジメトキシフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物18);(4R)−2−(4−フルオロフェニル)−N−オクタデシルチアゾチジン−4−カルボキシアミド(化合物19);(4R)−2−(2,6−ジクロロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物24);(4R)−2−(4−ブロモフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物20);(4R)−N−オクタデシル−2−p−トリルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物26);(4R)−2−シクロヘキシル−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物8);2−(4−ニトロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物21);(4R)−2−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物13);(4R)−2−(1H−インドール−3−イル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物10);(4R)−2−ベンジル−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物9);(4R)−2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)−N−オクタデシルチアゾリジン−4−カルボキシアミド(化合物25);(4R)−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−N,N−ジオクチルチアゾリジン−4−カルボキシアミド;およびこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
式(II)に記載される好ましい化合物としては、化合物5(R−異性体)、13、14、16、17、18、19、25、および26が挙げられる。
【0074】
式Vの化合物としては、以下:
【0075】
【化46】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
式(VII)の化合物としては、以下:
【0077】
【化47】
(ここで、n=6、13および17である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
式(IX)、(X)、(XI)および(XII)の化合物は、実施例の章の表9において調べた化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明の化合物および本発明の中間体は、市販の反応物または容易に合成された反応物を用いて合成され得る。
【0080】
例として、式(I)に記載される化合物は、図6において例示されるスキーム4に従って合成され得る。1つのアプローチによると、式(III)
【0081】
【化48】
に記載される中間体(ここで、l、R1、X3、およびX4は、上で定義される通り)は、EDC/HOBtの存在下、標準条件の下で、適切なアミン類と反応される。酸の中間体は、最初に、ワンポット反応を使って、メルカプト酢酸、グリシンメチルエステル、および芳香族アルデヒドを濃縮することを介し、次いでエステルの塩基性加水分解によって調整される(Holmesら,「Strategies for Combinatorial Organic Synthesis:Solution and Polymer−Supported Synthesis of 4−Thiazolidinones and 4−Metathiazanones Derived from Amino Acids」,J.Org.Chem.60:7328−7333(1995)、その全体が本明細書によって参考として援用される)。グリシンメチルエステルを、より長い炭素骨格を含むアナログで置換することによって、lが1より大きい(すなわち、メチレンより長いアルキレン基を含む)、式(III)に記載される化合物および最終的に式(I)に記載される化合物を調製することが可能になる。第2のアプローチによると、式(I)のチアゾリジノンアミド類はまた、触媒量のDMAP(図7)(スキーム5)の存在下で、酸の中間体と所望のイソシアネートとの反応を含む、単純かつ直接的な方法(Schuemacherら,「Condensation Between Isocyanates and Carboxylic Acids in the Presence of 4−Dimethylaminopyridine.(DMAP),a Mild and Efficient Synthesis of Amides」,Synthesis 22:243−246(2001)、その全体が本明細書によって参考として援用される)によって調製され得る。
【0082】
さらにチアゾリジノン化合物の修飾は、例えば、還流条件下、BH3 THFを用いて完全に還元し、カルボニル基およびスルホキシド基(X3およびX4)(図8)(スキーム6c)を除去すること、ならびに、H2O2およびKMnO4を用いて化合物を酸化し、スルホキシドおよびスルホニルをそれぞれ、スキーム6aおよびスキーム6b中において示されるように与えることによって、達成し得る。
【0083】
また例として、式(II)に記載される化合物は、EDC/HOBtの存在下、標準の条件の下で、式(IV)
【0084】
【化49】
に記載される中間体の酸(ここで、化合物(IV)がR−立体異性体またはS−立体異性体のいずれか一方であり得、かつR1およびX3が上記のように定義される)を、適切なアミン類と反応させることによって調製され得る。中間体の酸は、報告された条件の下で、L−システインを所望のアルデヒドと反応させることによって調製され得る(Sekiら,「A Novel Synthesis of (+)−Biotin from L−Cysteine」,J.O□g.Chem.67:5527−5536(2002)、その全体が本明細書によって参考として援用される)。
【0085】
本発明の化合物はまた、ポリマー性結合体を含むように修飾され得る。適切なポリマー性結合体としては、ポリ(アルキル)アミン、ポリ(アルコキシ)アミン、ポリアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミンを含む化合物は多数の生物学的活性を示し、かつ、これらの化合物は化学療法剤として用いられていることが周知である。例示の結合体としては、これらを含む自然に存在するポリアミン類(例えば、プトレシン、スペルミジン、およびスペルミン)および合成のポリアミン類が挙げられる。
【0086】
1つのアプローチによると、本発明の化合物は、中間体の酸またはそれのニトロフェニル誘導体を、ポリアミンNH2−R2(ここで、R2がR10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、R10およびZが上記で定義される通りである)と反応させることによって、ポリアミンと結合体化され得る。例示的な合成スキームは、図9中において例示される。
【0087】
例として、式(V)および(VI)の化合物は、図10中において例示される、典型的な合成スキームに従って形成され得る。この化合物は、任意の他の適切な方法において作製され得る。
【0088】
例として、オキサゾリンのアナログである式(VII)の化合物は、図11中において例示されるスキームに従って形成され得る。さらに、式(VII)の化合物は、式(II)の化合物に関して上で概説された方法を用い形成され得る。また、この化合物は、任意の他の適切な方法によって作製され得る。
【0089】
例として、式(VIII)の化合物は、図12中において例示されるスキームに従って形成され得る。さらに、この化合物は、任意の他の適切な方法によって作製され得る。
【0090】
例として、式(IX)および(X)の化合物は、図13〜16のスキームにおいて示される、セリンアミドホスフェート(SAP)、セリンアミドアルコール類(SAA)およびセリンジアミドホスフェート(SDAP)の一般的な合成に従って作製され得る。市販のN−Boc−セリン(R体またはS体)は、EDC/HOBtの存在下で、適切なアミンと反応させて、アミドを形成し得る。このアミドは、TFAで処理され、SAAのアナログを生じる。エタノール中でのPd/Cを用いる加水分解の条件下での、このアミドのリン酸化、および、同時発生する保護基の除去は、SAPを生じた。SAAおよびSAPの不飽和のアナログは、図14のスキームにおいて示される類似の手順によって合成され得る。セリンジアミドホスフェート(SDAP)および他のアミン誘導体は、図15のスキームにおいて示される通りのO−ベンジルN−Boc−セリンから開始して合成され得る。LAHによって媒介されるアミン化合物の還元は、図16のスキームにおいて示され通りの長鎖のN−アルキルアミノアルコールを生じる。セリンアミド骨格よりもむしろエタノールアミンアミド骨格有する、式(XI)および(XII)の化合物は、報告された手順のLynch,K.R.H.,D.W.Carlisle,S.J.Catalano,J.G.Zhang,M.MacDonald,T.L.Mol.Pharmacol.1997,52,75−81(その全体が参考として援用される)に従って、合成され得る。
【0091】
これらの化合物はまた、塩、好ましくは薬学的に受容可能な塩の形態であり得る。用語「薬学的に受容可能な塩」は、生物学的有効性および遊離塩基または遊離酸の性質を有する塩を称し、これは生物学的でもなく、それ以外に所望可能でもない。これらの塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、オキシル酸(oxylie acid)、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどのような有機酸で形成される。他の塩は、当業者に公知であり、本発明に従う使用のために容易に適応され得る。
【0092】
本発明の化合物は、実質的に等しい量の立体異性体を含むラセミ混合物の形態で存在し得る。別の実施形態において、本発明の化合物は、関連する立体異性体がを実質的に含まない立体異性体(すなわち実質的に純粋)を得るために、公知の方法を用いて調製されるかまたはそうでなければ単離され得る。実質的に純粋とは、立体異性体が少なくとも約95%純粋、さらに好ましくは少なくとも約98%純粋、最も好ましくは少なくとも約99%純粋を意味する。
【0093】
本発明の別の局面は、本発明の上記に同定した化合物を1つ以上含む薬学的組成物に関する。一般的に、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含む。用語「薬学的に受容可能なキャリア」は任意の適したアジュバント、キャリア、賦形剤または安定化剤を称し、錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁物または乳化物のような固体または液体であり得る。
【0094】
1つの例において、この組成物は、活性化合物を約0.01%〜約99%または約20%〜約75%を、アジュバント、キャリアおよび/または賦形剤と一緒に含む。例えば、粘膜への適用は、スプレーまたはドライパウダーの形態で本発明の化合物の小さな粒子を含むエアロゾールスプレーで達成され得る。
【0095】
固形物の単位投与形態は、いずれかの適したタイプであり得る。固形物形態は、本発明の化合物とキャリア(例えば、滑沢剤および乳糖やショ糖またはトウモロコシデンプンのような不活性充填物)を含む普通のゼラチンタイプのようなカプセルなどであり得る。別の実施形態において、これらの化合物は、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはアルギン酸のような崩壊剤、およびステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤との組合せで、乳糖、ショ糖またはトウモロコシデンプンのような従来の錠剤ベースとともに、錠剤化される。
【0096】
錠剤、カプセルなどはまた、ガムトラガカント、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;およびショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤を含み得る。投薬単位形態がカプセルのとき、上記のタイプの材料に加え、脂肪油のような液体キャリアを含み得る。
【0097】
さまざまな他の材料はコーティング剤として、または投薬単位の物理的形態を変更するために存在し得る。例えば、錠剤はシェラックまたは砂糖またはその両方でコーティングされ得る。シロップは活性成分に加え、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチルパラベンおよびプロピルパラベン、着色剤、チェリー風味またはオレンジ風味のような香料を含み得る。
【0098】
経口治療投与のために、これら活性化合物は賦形剤と混合され、錠剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップなどの形態で用いられ得る。そのような組成物および調製物は少なくとも0.1%の活性化合物を含み得る。これら組成物中の化合物のパーセントはもちろん変更され得、単位重量の約2%〜約60%の間で都合よくあり得る。そのような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、適した投薬が得られる量である。1つの例において、本発明による組成物は、経口投薬単位が約1mgと約800mgの間の活性化合物を含むように調製される。
【0099】
本発明の活性化合物は、例えば不活性希釈剤と、または同化できる食用キャリアとか経口的に投与され得る、または硬いシェルカプセル中または軟らかいシェルカプセル中に封入され得るか、または錠剤に圧縮され得るか、または直接食事の食物中に混合され得る。
【0100】
注射の使用に適した薬学的形態は、無菌注射溶液または無菌注射分散剤の即時調製のために、無菌の水溶液または分散剤、および滅菌粉末を含む。すべての場合において、この形態は、無菌であるべきであり、容易に注射可能である程度まで液体であるべきである。製造および貯蔵条件下で安定であるべきであり、バクテリアや真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されるべきである。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その適した混合物および植物油を含む溶媒または分散剤であり得る。
【0101】
本発明の化合物または薬学的組成物はまた、薬学的アジュバンド、キャリアまたは賦形剤を有する、生理学的に受容可能な希釈物中へのこれら物質の溶解または懸濁により注射投薬で投与され得る。そのようなアジュバント、キャリアおよび/または賦形剤としては、界面活性剤および他の薬学的かつ生理学的に受容可能な成分の添加ありまたはなしの、水および油のような無菌の液体が挙げられるが、これに限定されない。実例の油は、石油、動物性油、植物性油または合成由来の油、例えばラッカセイ油、ダイズ油または鉱油である。一般的に水、生理食塩水、水溶性ブドウ糖および関連した糖溶液ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが、特に注射溶液において好ましい液体キャリアである。
【0102】
これらの活性化合物はまた非経口的に投与され得る。これら活性化合物の溶液または懸濁液はヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水で調製され得る。分散物はまたグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび油中のその混合物中に調製され得る。実例の油は、鉱油、動物性油、植物性油または合成由来の油、例えばラッカセイ油、ダイズ油または鉱油である。一般的に水、生理食塩水、水溶性ブドウ糖および関連した糖溶液、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが、特に注射溶液において好ましい液体キャリアである。普通の保存条件および使用条件下において、これらの調製物は、微生物の成長を防ぐ防腐剤を含む。
【0103】
エアロゾールとしての使用のため、溶液または懸濁液における本発明の化合物は、適切な推進剤(例えばプロパン、ブタンまたはイソブタンのような炭化水素推進剤)と従来のアジュバントをあわせて加圧したエアロゾール容器に封入され得る。本発明の物質はまた、ネブライザーやアトマイザーのような非加圧性の形態で投与され得る。
【0104】
本発明の化合物はさまざまな形態の癌、特に前立腺癌、乳癌および卵巣癌の処置または予防に特に有用である。他の形態の癌は、本発明の化合物または組成物の被検体への投与で同じように処置できるかまたは予防できると考えられる。本発明の好ましい化合物は、癌細胞に対して選択的に破壊し、正常細胞の除去は引き起こさずに癌細胞の除去を引き起こす化合物である。有意に、正常細胞に対する害は最小化される。なぜなら癌細胞が本発明の化合物のかなり低い濃度での破壊に対して感受性があるからである。
【0105】
このように、本発明のさらなる局面は、癌性細胞を破壊する方法に関連し:この方法は、本発明の化合物を提供する工程、それから接触した癌性細胞を破壊するために効果的な条件下において癌性細胞を本化合物と接触する工程を含む。癌性細胞を破壊するさまざまな実施形態によれば、破壊されるべき細胞はインビボまたはエクスビボ(すなわち培養中)のいずれかに配置され得る。
【0106】
本発明のさらなる局面は、癌性状態を処置または予防する方法に関連し:この方法は、本発明の化合物を提供する工程、それから癌性条件を効果的に処置または予防する方法で被検体に本化合物の有効量を投与する工程を含む。有効量は、本化合物が投与される少なくとも1つの状態の症状を減少させるか、防ぐか向上させるかまたは改善するのに効果的である化合物の量を指すとして理解される。用語「防ぐ」は、本化合物が投与される状態に関連する少なくとも1つの症状の進行を防ぐことを指すと理解される。
【0107】
1つの実施形態によれば、処置されるべき患者は前癌性の状態の存在により特徴づけられ、化合物の投与は、前癌性状態の癌性状態への進行を防ぐのに効果的である。これは、癌性状態のさらなる進行の前または癌性状態のさらなる進行と同様に、前癌性細胞を破壊することにより起こり得る。
【0108】
別の実施形態において、処置されるべき患者は、癌性状態の存在により特徴づけられ、本化合物の投与は、癌性状態の縮退を引き起こすかまたは癌性状態の成長を阻害することのいずれかに効果的である。これは患者の身体における癌細胞の位置に関係なく、好ましくは癌細胞の破壊により起こる。つまり、癌細胞が初期腫瘍部位に位置されるかどうかまたは癌細胞が転移し患者の身体内に続発性腫瘍を形成するかどうかである。
【0109】
本明細書中に用いられる場合、患者は任意の哺乳動物患者体であり、限定なしに、ヒトおよび他の霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ラット、マウスおよび他のげっ歯類を含む。
【0110】
本発明の化合物を投与する場合全身的に投与され得るか、または癌細胞または前癌性細胞が存在する特異的な部位に直接的に投与され得る。従って、投与は化合物または薬学的組成物を癌細胞または前癌細胞に送達するために効果的な任意の方法で達成され得る。投与の典型的な形態は、限定なしに化合物または組成物を経口的に、局所的に、経皮的に、非経口的に、皮下に、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、鼻腔内滴下により、腔内滴下または膀胱内注入により、眼内に、動脈内に、病巣内に、または鼻粘膜、咽頭粘膜および気管支粘膜のような粘膜に適用することにより投与することを含む。
【0111】
本発明の化合物または薬学的組成物が、前癌性状態を処置または予防するために投与される場合、薬学的組成物はまた、さまざまなタイプの癌の処置のために現在公知のまたは今後開発される他の治療薬剤または処置レジメンを含み得るか、またはこれらと組み合せて投与され得る。他の治療薬剤または処置レジメンの例としては、限定なしに、放射線治療、化学療法、外科的介入およびその組合せが挙げられる。
【0112】
本発明の範囲内の組成物は、本発明の化合物が意図した目的を達成するために有効な量で含まれる、すべての組成物を含む。個々の必要性は変動し得るが、各成分の有効量の最適の範囲の決定は、当業者の技量内である。代表的な投与量は、体重1kgあたり約0.01〜約100mgを含む。最も好ましい投与量は体重1kgあたり約0.1mg〜約100mgを含む。本発明の化合物の投与のための処置レジメンはまた、当業者により容易に決定され得る。つまり投与頻度および用量のサイズは、好ましくは、任意の副作用を最小にしながら慣用的な最適化により確立され得る。
【実施例】
【0113】
以下に述べる実施例は、説明の目的のためだけであり、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0114】
(実施例1−チアゾリジンカルボン酸アミドの合成)
用いられるすべての試薬および溶媒は、試薬グレードであるかまたは使用前に標準的な方法により精製された。感湿性反応をアルゴン大気下で行った。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)分析により追跡した。フラッシュカラムクロマトグラフィーをFisherにより供給されるシリカゲル(200〜425メッシュ)を用いて行った。融点をThomas−Hoover融点装置の開口毛細管で測定し、補正しなかった。すべての化合物をNMRおよびMS(ESI)で特徴づけた。1H NMRスペクトルをVarian300計器で記録した。化学シフトを内標準としてMeaSiに相対的なS値で報告する。質量スペクトルをEsquire−LC(Broker)分光計を用いるエレクトロスプレー(ES)モードで得た。元素分析をAtlantic Microlab Inc.(Norceoss,GA)により行った。
【0115】
本研究に記載されるすべての化合物を、簡単な化学反応に従って調製した。既報の条件下(Sekiら、「A Novel Synthesis of (+)−Biotin from L−Cysteine」,J.Org.Chem.67:5527−5536(2002)、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される)、さまざまなアルデヒドとL−システインの反応は、関連する酸を生じ(図1、2a〜v)、ジアステレオマー混合物として単離した。これら混合物を、関連するアミドの形成のために、スキーム1に示されるようにEDC/HOBtを用いて適切なアルキルアミンと反応させることにより直接使用した。従って調製されるすべての化合物をジアステレオマー混合物として特徴づけた(表1)。
【0116】
CH2Cl2(25〜50mL)中で適切なカルボン酸(図1、2a〜v、0.3〜0.5g)、EDC(1.25当量)およびHOBt(1当量)の混合物を10分間撹拌した。この溶液に適切なアルキルアミン(1当量)を加え、撹拌を6〜8時間室温で継続した。反応混合物をCH2Cl2(100〜150mL)で希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインで連続的に洗浄し、Na2SO4で乾燥した。この溶媒を減圧下で除去して粗製の固体を得、これをカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した化合物(3〜6、12、15〜18および27)を2M HCl/Et2Oを用いて関連する塩酸塩に転換した。
【0117】
【化50】
【0118】
【化51】
【0119】
【化52】
【0120】
【化53】
【0121】
【化54】
(実施例2−N−アシル誘導体チアゾリジンカルボン酸アミドおよびN−スルホニル誘導体チアゾリジンカルボン酸アミドの合成)
N−アシル誘導体およびN−スルホニル誘導体(化合物28および29)を標準的な手順(スキーム2)により化合物5から合成した。簡単に、所望する誘導体を与えるために(2RS,4R)−2−フェニルチアゾリジン−4−カルボン酸オクタデシルアミド(化合物5)をピリジン中で無水酢酸または塩化メチルスルホニルのいずれかと反応させた。
【0122】
【化55】
前述の合成をもとに、他のアシル無水物(例えば、より大きなアルキル基を含む)はまた、これと同じ合成手順(Badrら、「Synthesis of Oxazolidines,Thiazolidines,and 5,6,7,8−Tetrahydro−1H,3H−pyrrolo[1,2−c]oxazole(or thiazole)−1,3−diones from β−Hydroxy− or β−Mercapto−α−amino Acid Esters」,Bull.Chem.Soc.Jpn.54:1844〜1847(1981)、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される)に従って調製され得ることが期待される。
【0123】
(実施例3−チアゾールカルボン酸アミドの合成)
チアゾール誘導体(化合物34)の合成をスキーム3に示されるようにシステインから出発して達成した。
【0124】
0℃でMeOH(50mL)中のDL−システイン(3g、24.76mmol)溶液にSOCl2(2.76mL、37.14mmol)を緩やかに加え、室温で温めそれから3時間還流した。この反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を得た。この残渣を水溶性EtOH(1:1,30mL)に入れ、NaHCO3(2.28g、27.23mmol)を加え、10分後ベンズアルデヒド(2.5mL、24.76mmol)を加え、3時間撹拌を継続した。CHCl3(200mL)を反応混合物に加え、水、ブラインで洗浄、乾燥し(Na2SO4)、そして溶媒を真空下で除去した。粗製産物を、2−フェニルチアゾリジン−4−カルボン酸メチルエステル(化合物31)を与えるためにカラムクロマトグラフィーにより精製した:収率4.7g、85%;1H NMR(CDCl3)σ7.51−7.62(m、2H),7.32−7.42(m,3H),5.84(s,0.4H),5.58(x,0.4H),4.24(t,J=6.3 Hz,0.4H),4.01(t,J=7.5Hz,0.6H),3.83(s,3H),3.39−3.55(m,1H),3.10−3.26(m,1H);MS(ESI)m/z224(M+1)。
【0125】
化合物31で出発し、2−フェニルチアゾール−4−カルボン酸メチルエステル(化合物32)を既報の手順(Kueら、「Essential Role for G Proteins in Prostate Cancer Cell Growth and Signaling」J.Urol.164:2162〜2167(2000)、これはその全体が参考として本明細書中に援用される)に従って合成した。収率0.33g、68%;1H NMR(CDCl3)σ8.20(s、1H),8.0−8.04(m,2H),7.45−7.50(m,3H),4.0(s,3H);MS(ESI)m/z220(M+1)。
【0126】
0℃でMeOH(10mL)中の化合物32(0.5g、2.28mmol)の溶液に1NのNaOH(5mL)を加え、2時間撹拌した。この反応混合物にEtOAc(30mL)を加え、1NのHClで酸性にした。EtOAc(3×50mL)で抽出し、合わせた抽出物を水、ブラインで洗浄、乾燥し(Na2SO4)、そして溶媒を真空下で除去し、粗製の酸(化合物33)を生じた。これを上記実施例Iに記載される一般的な手順に従って、2−フェニルチアゾール−4−カルボン酸オクタデシルアミド(化合物34)に転換した。収率0.3g、68%;1H NMR(CDCl3)σ6.10(s、1H),7.96−7.93(m,2H),7.46−7.50(m,3H),3.49(dd,J=13.5,6.9Hz,2H),1.69(m,2H),1.27(m,301−1),0.89(t,J=6.3Hz,3H);MS(BSI)m/z220 C28H45N2OSに対する計算値457.73(M+1),測定値457.60。
【0127】
【表1】
(実施例4−選択された前立腺癌細胞株のLPAレセプター発現に関するRT−PCRによる分析)
ヒト前立腺癌細胞株DU−145、PC−3およびLNCaP、ならびにラット肝癌細胞RH7777をAmerican Type Culture Collection(Manassas、VA)より入手した。University of Tennessee Health Science CenterのMitchell Steinaer博士から、親切にもPPG−1細胞およびTSU−PrI細胞を提供していただいた。前立腺癌細胞およびRH7777細胞を、それぞれ10%ウシ胎児血清(Gibco、Grand Island、NY)を補充したRPMI1640培地およびDMEM培地中で37℃で5%CO2/95%湿めった空気中で維持した。
【0128】
全RNAを、Trizol(登録商標)試薬(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)を使用して、製造業者の説明書に従って抽出した。全RNAの0.5μg(LPA1)または1(LPA2およびLPA3)を使用して、SuperScriptTM One−Step RT−PCRとPlatinum(登録商標)タグと0.2μMのプライマーを使用してRT−PCRを実施した。以下のプライマー対を使用した:
LPA1順方向 5’−GCTCCACACACGGATGAGCAACC−3’(配列番号:1)、および
LPA逆方向 5’−GTGGTCATTGCTGTGAACTCCAGC−3’(配列番号:2);
LPA2順方向 5’−CTGCTCAGCCGCTCCTATTTG−3’(配列番号:3)、および
LPA2逆方向 5’−AGGAGCACCCACAAGTCATCAG−3’(配列番号:4);
LPA3順方向 5’−CCATAGCAACCTGACCAAAAAGAG−3’(配列番号:5)、および
LPA3逆方向 5’−TCCTTGTAGGAGTAGATGATGGGG−3’(配列番号:6);
β−アクチン順方向 5’−GCTCGTCGTCGACAACGGCTC−3’(配列番号:7)、および
β−アクチン逆方向 5’−CAAACATGATCTGGGTCATCTTCTC−3’(配列番号:8)。
【0129】
PCR条件は、以下の通りである:94℃で2分の変性工程の後、サンプルを94℃で30秒間、60℃(LPA1)または58℃(LPA2およびLPA3)で30秒間、そして72℃で1分間34〜40サイクルに供し、続いて72℃で7分のさらなる伸長工程に供した。プライマーを、ゲノム配列の1つのイントロンにまたがるように選択し、ゲノムDNAの汚染を検出した。上記PCR生成物を、1.5%アガロースゲルで分離し、臭化エチジウムで染色し、バンドの強度をQuantity One Software(Bio−Rad Laboratories,Inc.、Hercules、CA)を使用して定量した。異なる細胞株における各レセプターのサブタイプ発現レベルを、i−アクチンmRNAレベルと比較した比率として表した。
【0130】
これらの細胞株においてLPLレセプター発現を、インビトロモデル(下の表2を参照のこと)でそれらの使用を確認するために測定した。1μgの全RNAをRT−PCRにかけ、そのPCR生成物をアガロースゲル上で分離し、β−アクチンと比較した各レセプターサブタイプの相対的発現レベルを、Quantity One Software(Bio−Rad)により定量した。LPA1は、これらの細胞株において発現された優勢なLPLレセプターであった。しかしながら、LNCaP細胞は、このレセプターのサブタイプを発現しなかった。LPA3レセプターは、前立腺癌細胞株において唯一発現した。RH7777細胞は、公知のLPLレセプターのいずれも発現しない。
【0131】
【表2】
(実施例5−前立腺癌細胞における細胞傷害性アッセイ)
インビトロ細胞傷害性スクリーニングについて、1000〜5000の細胞を、増殖速度に依存して96ウェルプレートの各ウェルにプレートし、異なる濃度の試験化合物に3〜5連で96時間曝した。全ての化合物を、5〜20mMでジメチルスルホキシドに溶解し、完全培養培地中に所望の濃度に希釈した。薬物処理の終わりに、細胞の数をSRBアッセイ(Gududuruら、「Synthesis and Biological Evaluation of Novel Cytotoxic Phospholipids for Prostate Cancer」Bioorg.Med.Chem.Lett.14:4919〜4923(2004);Rubinsteinら「Comparison of in vitro Anticancer−Drug−Screening Data Generated with a Tetrazolium Assay Versus a Protein Assay Against a Diverse Panel of Human Tumor Cell Lines」J.Naatl.Cancer Inst.82:1113〜1118(1990)、上記の各々は本明細書によりその全体が参考として援用される)で測定した。簡単にいうと、細胞を10%トリクロロ酢酸(trichioroacetic acid)で固定し、0.4%SRBで染色し540nmの吸光度をプレートリーダー(DYNEX Technologies、Chantilly、VA)を使用して測定した。薬物濃度に対して細胞生存百分率をプロットし、IC50値(未処理コントロールの50%細胞増殖を阻害する濃度)を、WinNonlin(Pharsight Corporation、Mountain View、CA)を使用して非直線回帰分析により得た。5−フルオロウラシルを、新しい化合物の効力を比較するため、陽性コントロールとして使用した。
【0132】
DNAおよびヒストンに特異的なモノクロナル抗体を使用するサンドイッチELISA(Roche、Mannheim、Germany)を、72時間曝露後に上記アナログにより誘導されたアポトーシスの程度を定量するために使用した。このアッセイは、アポトーシスの間に核から細胞質へ放出されるDNA−ヒストン複合体を測定する。RH7777細胞を、レセプター陰性細胞およびレセプター陽性前立腺癌細胞における化合物4の非特異的細胞傷害性のために用いた。
【0133】
5つのヒト前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP、PPG−1およびTSU−Prl)の増殖を阻害する2−アリール−チアゾリジン誘導体(ATCAA)の能力を、スルホローダミンB(SRB)アッセイ(上述)を使用して評価した。LPLレセプターを発現しないコントロール細胞株(RH7777)(Svetlovら、「EDG Receptor and Hepatic Pathophysiology of LPA and EDG−ology of Liver Injury」、Biochimica et Biophysica ACT 1582:251〜256(2002、これは本明細書によりその全体が参考として援用される)もまた、これらの誘導体の抗増殖活性がLPLレセプターの阻害より媒介されているか否かを理解するために使用した。
【0134】
標的化合物3〜29のジアステレオマー混合物を使用して、前立腺癌細胞株に対するそれらのインビトロ阻害活性を評価し、そしてその結果を下の表3および表4に要約した。5−フルオロウラシルを参照薬物として使用した。信頼できる構造活性相関を推論するために、原理上、純粋な異性体についてIC50を決定すべきである。立体異性体の混合物を試験する1つの欠点は、この場合は避けられないが、上記生物学的活性に関する各立体異性体の効果が評価され得ないということであった。一方、上記計算されたIC50値をスクリーニング方法として使用して、有望な選択的細胞傷害性薬剤を選択し得、そして前立腺癌細胞の増殖を阻害する最も入手可能性のあるジアステレオマー混合物を同定し得る。これらのチアゾリンアナログの多くは、マイクロモル濃度の低範囲/それ以下の範囲のIC50値(表3)で前立腺癌細胞株を殺すのに非常に有効であった。化合物3〜5の細胞傷害効果の試験は、鎖長がC7からC8へと増加するにつれて、効力もまた増加することを示す。しかしながら、1つの炭素単位ごとのアルキル鎖長のさらなる増加(C18〜C19)は、細胞傷害性において著しい損失を生じた。興味深いことに、C14誘導体(化合物4)は、化合物5より高い効力を実証したが、RH7777細胞株に対しては、1/8の選択性であった。従って、C18単位を有するアルキル鎖が、この一連の化合物に観察される効力および選択性を維持するのに最適である。N−アシル誘導体およびN−スルホニル誘導体(化合物28および化合物29)は、親化合物5より細胞傷害性が低かった。フェニル環をアルキル基またはシクロヘキシル基で置換することは、チアゾリジン(化合物5)誘導体と比較して、効力を減少させた(化合物7および化合物8)。フェニル環とチアゾリン環と分けているメチレンスペーサーの導入は、親化合物5より活性が低い化合物9を提供した。
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
効力および選択性に対する不飽和の効果を理解するために、そして立体異性体と関連する問題を克服するために、化合物5の中心のチアゾリンコアをチアゾール環で置換した。しかしながら、チアゾール誘導体(化合物34)は、前立腺細胞およびRH7777細胞の両方において20μM未満で何ら活性を示さず、それは、2つのキラル中心を有するチアゾリン環が効力および選択性を提供するのに重要な役割を果たすことを示した。アナログ(化合物10〜12)を合成することによって、フェニル環の複素環(例えば、インドール環、ピリジン環またはフラン環)での置換を調べた。上記フラン誘導体(化合物12)は、化合物5と同等の細胞傷害性を示したが、RH7777細胞に対する選択性は、1/3であった。
【0137】
化合物13〜27の細胞傷害性のデータは、フェニル環置換アナログの広い範囲の調査の概略を提供し、これらのアナログのIC50値の試験は、フェニル環における多様な置換に関してより大きな耐性を実証した。一般的に、最も強力なアナログは、化合物5に対して、化合物13および化合物16〜18との比較より例証されるような電子供与性の置換基を有していた。0.55μMのIC50で最も活性がある化合物の1つ(化合物18)は、RH7777細胞と比較して、38倍PPC−1細胞により選択的であった。一方、電子吸引性置換基を有するチアゾリンアナログ(化合物19〜25)は、より低い細胞傷害性を実証した。化合物26および化合物27の効力の比較は、フェニル環を嵩高い基で置換することが活性を低下させることを示唆する。
【0138】
LPLレセプターmRNA発現研究(表2)から、これらの細胞株は、LPLレセプターの効果を開発する優秀なモデル系として役立つことが明らかになった。SAPのセラミドに対する構造的類似性(およびアポトーシスを誘導するセラミドの公知の能力)が定められると、次いでチアゾリジンアナログの抗増殖効果がアポトーシス的(apoptotla)な事象で媒介されるか否かについて決定された。上記アナログのLNCaP細胞、PC−3細胞およびRH7777細胞におけるアポトーシスを誘導する能力を、アポトーシスの間に放出されたDNA−ヒストン複合体を測定する定量的サンドイッチELISAを使用して、試験した。(処理された細胞および未処理の細胞のOD405の比率として)計算された濃縮因子は、誘導されたアポト-シスの程度の定量的な評価を提供する。最初に、2つの化合物(4および5)のみを、この研究に使用した。アナログ(化合物4)のアポトーシス活性は、前立腺癌細胞において選択的であったが、RH7777陰性コントロール細胞においては非選択的な細胞傷害性であった(下の表5を参照のこと)。アナログ化合物5は、PC−3細胞およびLNCaP細胞において、アポトーシスを誘導したが、PC−3細胞においては、程度が低かった(おそらくこの細胞株における低い効力に起因して)。このデータは、チアゾリジンアナログがアポトーシスの有効な誘導剤として作用し得、そして種々の前立腺癌細胞株を選択的に殺傷し得ることを示唆する。
【0139】
【表5】
これらの結果は、アガロースゲル電気泳動によるDNA断片化に関してLNCaP細胞を試験するアッセイと一致する。LNCaP細胞を、チアゾリジン誘導体(化合物4または化合物5)で24〜108時間処理し、そしてその後全DNAを、RNaseおよびProteinase Kで処理する単純な遠心分離法で、2x106細胞から抽出した。エタノール中で沈殿後、トリス−EDTA緩衝液中でDNAを再構築し、アアガロースゲルで分離し、そして臭化エチジウム染色(Herrmannら、「A Rapid and Simple Method for the Isolation of Apoptotic DNA Fragments」Nucl. Acids Res.22:5506〜5507(1994)、これは、本明細書によりその全体が参考として援用される)により可視化した。図4A−Bに示される結果は、これらの化合物の両方がLNCaP前立腺癌細胞株において細胞アポトーシスを誘導することを実証する。
【0140】
細胞傷害性の別の評価として、AKT阻害を測定した。未処理コントロール細胞および化合物処理細胞から30pgの全細胞性タンパク質を、SDS−PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移し、そして全AKTおよびホスホAKTを、抗AKT抗体およびSer473がリン酸化されたAKTに特異的な抗ホスホAKT抗体(Cell Signaling Technology、Beverly、MA)で、それぞれ試験した。免疫ブロットを増強した化学蛍光により可視化し、そしてアナログ処理によって全AKTと比較したホスホAKTの相対レベルの変化を濃度分析により定量した。図5Bは、図5Aに示される抗AKTおよび抗ホスホAKTを使用した、AKTの免疫学的検出を図示する。
【0141】
前述から、フェニル環への環活性化基の導入は、前立腺癌細胞株に関して効力の増加を生じることが理解されるべきである。上記結果は、低いマイクロモル濃度/マイクロモル濃度以下での細胞傷害性、および高選択性を有する、いくつかの新規抗癌剤(化合物16、17、および18により表される)を実証する。この研究から、化合物18が、PPC−1細胞においてIC50が0.55μMであって、38倍の選択性を有する最も効力がありかつ選択的な細胞傷害剤の1つとして明らかになった。さらに、LNCaP細胞、PC−3細胞およびRH7777細胞においてアポトーシスを誘導するこれらのアナログの能力は、それらの作用メカニズムを理解するのに重要な手がかりを提供する。
【0142】
(実施例6−チアゾリジノンアミドの合成)
チアゾリジノン誘導体(化合物65〜72)の合成は、スキーム4(図6)で示されるように、簡単な化学反応を用い、ここでlは1である。さまざまな4−チアゾリジノン類を、ワン−ポット(one−pot)反応においてメルカプト酢酸、グリシンメチルエステルおよび芳香族アルデヒドを濃縮させ、続いてエステルの塩基性加水分解を行う既報の手順に従って合成した(Holmesら、「Strategies for Combinatorial Organic Synthesis:Solution and Polymer−supported Synthesis of 4−thiazolidinones and 4−metathiazanones Derived from Amino Acids」,J.Org.Chem.60:7328−7333(1995)、これはその全体が参考として本明細書中に援用される)。チアゾリジノンアミドを、標準条件下EDC/HOBtの存在において適切なアミンで処置することにより得た。側鎖をもたない化合物65を、図6(スキーム4)に示したように対応する酸から合成した。チアゾリジノンアミド(化合物73〜77)を、触媒量のDMAPの存在において、異なるイソシアン酸塩と酸性化合物64aの反応を含む単純かつ直接的な方法(Schuemacherら、「Condensation Between Isocyanates and Carboxylic Acids in the Presence of 4−dimethylaminopyridine(DMAP),a Mild and Efficient Synthesis of Amides」,Synthesis 22:243−246(2001)、これは、その全体が参考として援用される)により合成した(図7)(スキーム5)。還流条件下、BH3THFを用いる化合物68の完全な還元は、化合物79を生じる(図8)(スキーム6)。H2O2を用いる化合物68の酸化およびKMnO4での化合物68の酸化は、スキーム6に示したように、それぞれスルホキシド(化合物80)およびスルホン(化合物81)を生じた。全ての化合物を、1H NMRおよび13C NMR、質量分析、ある場合には元素分析により特徴づけた。
【0143】
化合物を、ジアステレオマーの混合物として得、そして生物学的研究のために用いた。例示的に化合物68、71、72および81の特徴のデータを、以下に提供する。
【0144】
【化56】
(実施例7−細胞障害性アッセイ)
合成される全ての化合物の抗細胞増殖活性を、スルホローダミンB(SRB)アッセイを用いて5つのヒト前立腺癌細胞株に対しておよびRH777細胞(ネガティブコントロール)において評価した(上記実施例5の説明を参照せよ)。5−フルオロウラシル(5−FU)を、参照薬物として用いた。表6に示されるように、4−チアゾリジノンカルボン酸(化合物64aおよび64b)は、50μM未満で5つの前立腺癌細胞のいずれも成長を阻害することができなかった。しかしながら、関連するアミド類(化合物66〜68)は、より高い活性を示した。アルキル鎖の長さの増加[化合物66(10)、67(C14)および68(C18)]は、前立腺癌細胞においてこれらアナログの抗細胞増殖活性を増強することが観察された。興味深いことに、長いアルキル鎖をもたない単純なアミド65は、100μM未満では細胞障害性はなく、このことはアルキル側鎖の欠如が抗細胞増殖効果のかなりの低下を引き起こすことを示している。一方で、さまざまなアリール側鎖でのアルキル鎖の置換(化合物73〜78)は、生物学的活性を減少させた。このシリーズのなかで、化合物73は中程度の細胞障害性であり、一方、アナログ(化合物76〜78)は、いくつかの前立腺癌細胞において乏しい細胞障害性を示した。しかしながら、アリール環において電子吸引置換基をもつチアゾリジノンアミド(化合物74および75)は5つの前立腺癌細胞全てに対して、13〜29μMの範囲で細胞障害性を示したと言及されることに注目すべきである。
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
かさ高いビフェニル基またはナフタレン基をもつチアゾリジノン誘導体(化合物69および70)は、化合物68に比べ低い細胞障害性を証明した(表6)。化合物71および72を、化合物68の芳香環置換の効果を理解するために合成した。電子供与置換基は良好な活性を維持したがオルト位の電子吸引置換基が実質的にこれら誘導体の抗細胞増殖活性を減少させることが観察された(表6)。アミド基をもたない化合物79は、5つの前立腺癌細胞すべてにおいて有意に良好な効力を示した。注目すべきことに、スルホキシド部分またはスルホン部分をもつ化合物80および81は、PC−3細胞株およびPPC−I細胞株の両方に対する参照薬物5−FUの細胞障害性効力に比較して、高い細胞障害性効力を示した(表7)。
【0147】
要約すれば、一連の新規かつ細胞障害性の4−チアゾリジノンアミドを調製し、同定した。このシリーズのなかで、I型化合物の詳細な構造活性相関研究(図6)を、抗細胞増殖活性を評価するために5つの前立腺癌細胞株およびRH777細胞(ネガティブコントロール)に対して行った。この細胞毒性研究は、抗細胞増殖活性が2−アリール環置換基、アルキル側鎖の長さ、親油性アルキル側鎖の除去または置換に感受性であることを示す。硫黄の酸化は、十分許容される。なぜなら、化合物80および81は、5−FUに比較して有意な細胞障害性が示されるからである。本研究は、結果としてRH7777細胞株に比較して、1/2〜1/5の選択性で、5つのヒト前立腺癌細胞株(DU−145,PC−3、LNCaP、PPC−1およびTSU)すべての成長を阻害する、強力な細胞障害性の4−チアゾリジノン(化合物68、80および81)の発見となった。これら4−チアゾリジノン誘導体は、より細胞障害性が小さいが非腫瘍細胞において改善した選択性を証明したという点でSAP部分における有意な改善である。
【0148】
(実施例8−乳癌細胞および卵巣癌細胞における細胞障害性アッセイ)
各構造式から最も強力な化合物を選択し、ヒト乳癌細胞株(MCF−7)および3つのヒト卵巣癌細胞株(CHO−I、CaOv−3、SKOv−3およびOVCAR−3)における増殖阻害活性を試験した。インビトロの細胞障害性アッセイを、同じスルホローダミンB(SRB)アッセイ(上記に記載した)により行った。表8以下に示されるこれらの化合物について、乳癌細胞株および卵巣癌細胞株に対する活性を試験した。
【0149】
【表8】
化合物Sの立体選択性をCaOV−3細胞およびSKOv−3細胞において観察した((R)および(S)異性体を比較して)。2−フェニル環における置換は、一般的に化合物の細胞障害性を上昇させる。
【0150】
(実施例9−スペルミン結合体化チアゾリジンアミドの合成および試験)
図9において説明されるように、CH2Cl2中の4−チアゾリジノン酸(ここでR1はフェニルおよびlは1である)(1.5g,6.32mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.51g,7.9mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.85g,6.32mmol)の混合物を氷浴で冷やし、10分間かき混ぜた。この溶液に4−ニトロフェノール(0.78g、5.61mmol)を加え、2時間撹拌した。この反応混合物をCH2Cl2で希釈し、冷5%HCt、飽和炭酸水素ナトリウム、水、ブラインで連続的に洗い、乾燥し(無水Na2SO4)そして真空下で溶媒を除去した。このニトロフェニルエステル生成物(化合物100)を、EtOAc/ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、1.76g(78%)を得た。1H NMR(CDCl3):σ3.70(d,J=18Hz,1H),3.85(d,J=1.2Hz,2H),4.64(d,J=17.7Hz,1H),5.88(s,1H),7.24(d,J=2.1Hz,1H),7.26(d,J=2.4Hz,1H),7.40−7.46(m,5H),8.26(d,J=1.8Hz,1H),8.28(d,J=2.1Hz,1H)。
【0151】
室温でCH3OH中(35mL)のニトロフェノールエステル(化合物100)(0.5g,1.39mmol)の溶液に、スペルミン溶液(CH3OH中0.33g,1.63mmol)にゆっくり加え、1時間撹拌した。この反応混合物を真空下で濃縮し、濃縮した反応混合物に1:1の割合でCHCl3およびCH3OHを加え、セライトを通して濾過した。溶媒を真空下除去し、この残渣をCHCl3:CH3OH/i−PrNH2を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、スペルミン結合体(化合物101)を0.2g(50%)を与え、これを2M HCl/Et2Oを用いて対応する塩酸塩に転換した。1H NMR(DMSO−d6)σ1.71−1.76(m,6H),L95−2.0(m,2H),2.89−3.0(m,10H),3.0−3.15(m,4H),3,74(d,J=15.6Hz,1H),3.87(d,J=15.3Hz,1H),4,10(d,J=16.5Hz,1H),7.35−7.44(m,5H),8.0−8.18(m,4H),8.89(Ins,2H),9.15(brs,2H).ESIMS m/z 422.4(M++1)。
【0152】
化合物101は、以下のIC50(μM)値:RH7777(>100)、DU145(12.4)、PC−3(11.1)、LNCaP(26.2)、PPC−1(11.7)、TSU−Prl(5.0)、MCF−7(>100)、CaOv−3(39.3)、OVCAR−3(39.7)およびSKOv−3(>100)を有する、卵巣癌細胞およびMCF−7乳癌細胞に比較して、前立腺癌細胞に対してより強力な活性を証明した。
【0153】
(実施例10)
3,4,5Rおよび5Sの抗細胞増殖活性の効果を、ヒト前立腺癌細胞株(PC−3、DU145、LNCaP、PPC−1、TSU−Pr1)において4つの活性セリンアミドリン酸塩(SAP)誘導体および5−フルオロウラシル(5−FU、ポジティブコントロール)で観察される抗細胞増殖活性の効果と比較した。LPLレセプター4を発現していないコントロール細胞株(RH7777)、およびMCF−7(ヒト乳癌細胞株)を、選択性を評価するために含めた。この選択した細胞株は、活性AKTレセプターおよび活性LPLレセプター発現の異なる基底レベルを示す(後で考察される)。細胞を、広い濃度範囲(0〜100μM)の指示した化合物に96時間曝露した。処置の最後で細胞数をスルホローダミンB(SRB)アッセイ5を用いて測定した。IC50(すなわち、未処置のコントロールの50%まで細胞成長を阻害した濃度)値を非線形回帰分析(WinNonlin,Pharsight Corp.)により得た。
【0154】
以前に本研究室で観察されたように、SAP誘導体(以下の表中の化合物S1〜S4)は、1.1〜20μM(ND=決定していない)の範囲のIC50値をもつ、腫瘍細胞増殖の強力なインヒビターであった。
【0155】
SAPおよびチアゾリジンの抗細胞増殖活性において違いが観察された。このチアゾリジン誘導体(3,4、5Rおよび5S)はまた、前立腺癌細胞および乳癌細胞の増殖を強力に阻害したが、LPLレセプターネガティブのRH7777細胞において1/2〜1/12の効力であり、チアゾリジンアナログがより強力で選択的な抗細胞増殖活性を証明することを示している。2つ重要な構造活性相関が、この小さな一連の化合物において示唆される。第1に、長いアルキル鎖(すなわち、C18;5Rおよび5S)を含むアナログは、より短いアルキル鎖(すなわち、C7およびC14;3および4)をもつ誘導体より強力で選択的である。第2にR異性体(5R)のIC50は、RH7777を除いてすべての腫瘍細胞株において、S異性体(5S)のIC50より小さかった。これは、分子標的との立体特異的な相互作用を示唆しており、この相互作用はRH7777細胞において存在しないかまたは重要性が小さい。重要なことに、アナログ4、5Rおよび5Sは、5−FUと同じくらいの腫瘍細胞増殖の強力なインヒビターであり、多くの細胞株において測定可能に良好であった。
【0156】
【化57】
(実施例11)
5つのヒトの前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP、PPC−1、TSU−Pr1)およびLPLレセプターを欠いているネガティブコントロール細胞株(RH7777)におけるチアゾリジン誘導体およびSAP誘導体の細胞障害性を、スルホローダミンB(SRB)アッセイを用いて試験した。細胞を、広い濃度範囲(0〜100μM)の特定の化合物に96ウェルプレート中、96時間曝露した。細胞を10%トリクロロ酢酸で固定し、水で5回洗浄した。このプレートを一晩風乾し、固定した細胞をSRB溶液で染色した。この細胞のタンパク質結合したSRBを、プレートリーダーを用いて540nmで測定した。処置の最後で細胞数を測定した。IC50(すなわち、未処置のコントロールの50%まで細胞増殖を阻害した濃度)値をWinNonlinを用いて非線形回帰分析により得た。比較の目的のためおよび細胞障害性の程度を理解するために、5−フルオロウラシル(5−FU)を5つすべての前立腺癌細胞に対して試験した。より強力な抗細胞増殖活性を示す化合物は、5−フルオロウラシルのIC50値と比較して小さいIC50値を示す。これらの結果を、以下にまとめた。
【0157】
【化58】
【0158】
【化59】
(実施例12)
前立腺細胞株LNCaP細胞を30μMの式:
【0159】
【化60】
の化合物で指示した時間処置した。AKTの活性体(Pi−AKT)およびβ−アクチンをウエスタンブロット解析により定量した。この化合物は、12時間の処置により50%までAKTリン酸化を阻害した。式VIIIの化合物は、10.3μMのIC50を有した。この実験の結果を以下に示す。
【0160】
【化61】
(実施例13)
前立腺細胞株LNCaP細胞を10μMの式:
【0161】
【化62】
の化合物で指示した時間処置した。AKTの活性体(Pi−AKT)およびAKTをウエスタンブロット分析により定量した。式IXの化合物は、6時間以内の処置でAKTのリン酸化をほぼ完全に阻害した。この化合物のIC50は、3.3μMに等しかった。この実験の結果を以下に示す。
【0162】
【化63】
(実施例14)
前立腺細胞株LNCaP細胞を10μMの式
【0163】
【化64】
の化合物で指示した時間処置した。AKTの活性体(Pi−AKT)、AKTおよびβ−アクチンをウエスタンブロット分析により定量した。この化合物は、1時間までの処置でAKTのリン酸化をほぼ完全に阻害した。この化合物は、3.3μMに等しいIC50を有した。この実験の結果を以下に示す。
【0164】
【化65】
(実施例15)
5つのヒトの前立腺癌細胞株(DU−145、PC−3、LNCaP、PPC−1およびTSU)および2つのネガティブコントロール細胞株(CHOおよびRH7777)において、合成した化合物の細胞障害性をスルホローダミンB(SRB)アッセイ(Rubinstein,L.V.S.,R.H.Paull,K.D.Simon,R.M.Tosini,S.Skehan,P.Scudiero,D.A.Monks,A.Boyd,M.R. J.Natl.Cancer.Inst.1990,82,1113−1118、これは本明細書中に参考として援用される)を用いて試験した。細胞を96ウェルプレート中96時間広い濃度範囲(0〜100μM)の特定の化合物に曝露した。細胞を10%トリクロロ酢酸で固定し、水で5回洗浄した。このプレートを一晩乾燥し固定した細胞をSRB溶液で染色した。細胞タンパク質と結合したSRBをプレートリーダーを用いて540nmで測定した。処置の最後で細胞数を未処置のコントロールのパーセントとして算出した。IC50(すなわち、未処置のコントロールの50%まで細胞増殖を阻害した濃度)値を、WinNonlinを用いる非線形回帰分析により得た。比較の目的のためおよび細胞障害性の程度を理解するために、5−フルオロウラシルを5つすべての前立腺癌細胞に対して試験した。これらの結果を表1にまとめる。
【0165】
細胞障害性のデータから、試験されるほとんどの化合物は、5つすべての前立腺癌細胞株に対して良好な抗癌活性を示したことが明らかである。リン酸基を持たないSAA(306b、306e、306f)は、SAPと同じくらい効果的である。直接の関係は、試験した化合物のアルキル鎖の長さと細胞障害性の間で観察された。従って、すべてのこれら化合物は、アルキル鎖の長さ依存性の細胞障害性を示した。より短いアルキル鎖を有する化合物(302a、306b、315d、316d)は、より長いアルキル鎖を有するアナログより低い細胞毒性である(表1を参照せよ)。化合物302fは、PPC−1細胞株に対して1.8μMのIC50をもつ、これまで試験された最も強力なSAPの1つとして明らかになった。しかしながら、SAAはアルキル鎖の長さが18Cより少ない場合に、対応するSAPよりさらに強力であるが、細胞障害性における有意な差異は、18Cよりおおきなアルキル鎖をもつSAAとSAPの間で観察されない。SAA(306c、306d)およびSAP(302d、302c)のエナンチオマーのIC50値はおおよそ等しく、このことはキラリティーは前立腺癌におけるこれら化合物の抗細胞増殖活性に重要ではないことを示している。アルキル鎖への二重結合の導入は、SAA309およびSAP311両方の強さを低下させた。アミンの官能性の重要性を理解するために、アミノ基を対応するセットBアミド、スルホンアミドおよび尿素誘導体に誘導体化した。より短いアルキル鎖をもつセリンジアミドリン酸塩316dは、TSU前立腺細胞株を除く4つの前立腺癌細胞株において100μMより低い細胞障害性を証明できなかった。5つすべての前立腺癌細胞株においてスルホンアミド誘導体の315bおよび316bならびに尿素誘導体315cの阻害活性は一般的な減少傾向を示しこれは、C2アミノ基の誘導体化が前立腺癌細胞を殺傷する能力について容認できないことを示す。
【0166】
セリンアミド骨格領域において許容される構造的耐性の範囲をさらに調べるために、化合物319および320を合成することにより、セリンアミド基を単一のエタンアミンアミドで置換した。しかしながら、これらエタンアミンアミドアナログはより効力が小さく、特に化合物319は、DU−145、PC−3およびLNCaP前立腺癌細胞株に対していずれも活性を示さなかった。SAA中のアミド基を、長鎖のN−アルキルアミノアルコール317および318を作るために還元させると、これらアナログは、細胞障害性を保持し、前立腺癌細胞株を殺すことにおいて低マイクロモル濃度の細胞障害性で非常に効果的であった。選択性を決定するために、合成したいくつかの化合物をまたCHO細胞およびネガティブコントロールとしてのRH7777細胞において細胞障害性を試験した。多くの強力な化合物は、同様な細胞毒性を示し、前立腺癌細胞および非腫瘍性のネガティブコントロール細胞に対する作用において非選択的である。
【0167】
【表9−1】
【0168】
【表9−2】
さまざまな実施形態は明細書中に詳細に描写し、記載するが、さまざまな修飾、付加、置換などが本発明の本質から逸脱することなしに作られ得、それゆえこれらは添付の特許請求の範囲で定義されるような、発明の範囲内であると考えられることが、当業者において明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0169】
(図面のそれぞれの図に関する簡単な説明)
以下の本発明の実施形態の詳細な説明は、以下の図と組み合わせて読む場合、最も理解され得る。:これらの図において、同じ構造が同じ参照番号を用いて示される。
【図1】図1は、チアゾリジンカルボン酸アミドの合成に関する1つのアプローチ(スキーム1)を例示する。チアゾリジンカルボン酸アミド中間体(2a〜v)は、報告された条件(Sekiら,「A Novel Synthesis of (+)−Biotin from L−Cysteine」,J.Org.Chem.67:5527−5536(2002)、この全体が本明細書によって参考として援用される)下で、L−システインを種々のアルデヒドと反応させることによって形成される。この中間体カルボン酸は、アミンと反応し、対応するアミド(3〜27)を形成する;
【図2】図2は、チアゾリジンカルボン酸アミドの、N−30アリール誘導体およびN−スルホニル誘導体の合成に関する1つのアプローチ(スキーム2)を例示する。N−アシル誘導体およびN−スルホニル誘導体(化合物28および29)は、化合物5から標準の手順によって合成された;
【図3】図3は、チアゾ−ルカルボン酸アミドの合成に関する1つのアプローチ(スキーム3)を例示する。チアゾリジンカルボン酸メチルエステルは、以下の報告された手順(Badr etal,,「Synthesis of Oxazolidines,Thiazolidines,and 5,6,7,8−Tetrahydro−1H,3H−pyrrolo[1,2−c]Oxazole(or Thiazole)−1,3−diones from β−Hydroxy−or β−Mercapto−α−amino Acid Esters」,Bull.Chem.Soc.Jpn.54:1844−1847(1981)、その全体が本明細書によって参考として援用される)に従って、チアゾールカルボン酸メチルエステルに変換され、次いでアルキルアミドに変換された;
【図4】図4A〜図4Bは、チアゾリジン化合物4(図4A)およびチアゾリジン化合物5(図4B)」により24〜108時間処理した後、2x106のLNCaP細胞から抽出した全DNAのアガロースゲルの電気泳動を示す。結果は、DNA断片化に対する処理の効果を示し、細胞死の進行を示す。図4Aにおいて、用量および曝露時間が、化合物4について以下のように示される:レーン1、100bpDNAマーカー;レーン2、5μM、36時間;レーン3、3μM、24時間;レーン4、3μM、24時間;レーン5、3μM、48時間;レーン6、3μM、72時間;レーン7、3μM、108時間;およびレーン8、50μM、36時間。図4Bにおいて、用量および曝露時間が、化合物5について以下のように示される:レーン1、100bp DNAマーカー;レーン2、5μM、24時間;レーン3、5μM、48時間;レーン4、5μM、72時間;レーン5、5μM、96時間;レーン6、3μM、96時間;レーン7、8μM、48時間;およびレーン8.8μM、72時間。
【図5A】図5A〜図5Bは、AKTリン酸化阻害により測定される、チアゾリジン化合物のAKT阻害効果を実証する。図5Aは、抗ホスホAKT(5473)または抗AKT抗体を使用した免疫ブロットの結果を示す。免疫ブロットを増強した化学蛍光により可視化し、そしてアナログ処理によって全AKTと比較したホスホAKTの相対レベルの変化を濃度分析により定量した。
【図5B】図5A〜図5Bは、AKTリン酸化阻害により測定される、チアゾリジン化合物のAKT阻害効果を実証する。図5Bは、図5Aに示される、抗AKTおよび抗ホスホAKTを使用した、AKTの免疫学的検出する免疫ブロットを図示する。
【図6】図6は、4−チアゾリジノンカルボン酸の合成、および第1級アミンまたは第2級アミン(HNR2R3)と反応によって対応するアミド類への変換に関する、1つのアプローチ(スキーム4)を例示する。この反応スキームにおいて示されるように、異なる出発材料(1が異なる)は本発明の種々の化合物を調製するために用いられ得る;
【図7】図7は、4−チアゾリジノンカルボン酸、およびR2−CNOと反応することによって対応しているアミド類への変換のための第2のアプローチ(スキーム5)を例示する。
【図8】図8は、本発明(スキーム6)のチアゾリジノン化合物のコア構造を修飾して、環に結合したスルホン基または環に結合したスルホキシド基を生じること(それぞれ、工程aおよび工程b)、およびカルボニル基の完全な還元を得ること(工程c)のための、3つのアプローチを例示する。
【図9】図9は、チアゾリジノンアミドのポリアミン結合体の合成に関するプロセスを例示する。
【図10】図10は、チアゾリジノンエステルおよびチアゾリジノンエーテルの合成に関するスキームを例示する。
【図11】図11は、オキサゾリンアミドの合成に関するスキームを例示する。
【図12】図12は、チアゾリジノン二量体の合成に関するスキームを例示する。
【図13】図13は、セリンアミドアルコールおよびセリンアミドホスフェートの合成に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)CH3(CH2)nNH2、EDC、HOBt、CH2CI2、室温、5時間、(ii)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間(iii)テトラゾール、ジベンジルジイソプロリルホスホアミダイト、CH2Cl2、室温、0.5時間、H2O2、室温、0.5時間、(iv)H2、10% Pd/C、EtOH、室温、3時間。
【図14】図14は、不飽和セリンアミドアルコールおよび不飽和セリンアミドホスフェートの合成に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)C8H17(CH:CH)C8H16NH2、EDC、HOBt、CH2Cl2、室温、5時間(ii)2M HCl/Et2O、室温、一晩(iii)テトラゾール、ジtertブチルジイソプロピルホスホアミダイト、CH2Cl2、室温、0.5時間、H2O2、室温、0.5時間(iv)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間。
【図15】図15は、セリンジアミドホスフェートおよび他のアミドアナログの合成に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)R2NH2、EDC、HOBt、CH2Cl2、室温、5時間(ii)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間(iii)TEA、R3SO2ClまたはR3NCOまたはR3COCl(iv)H2、10% Pd/C、EtOH、室温、3時間(v)テトラゾール、ジベンジルジイソプロピルホスホアミダイト、CH2Cl2、室温、0.5時間、H2O2、室温、0.5時間(vi)H2、10% Pd/C、EtOH、室温、3時間。
【図16】図16は、アミノアルコールのアナログの調製に関するスキームを例示する。試薬および条件は、以下であり得る:(i)TFA、CH2Cl2、室温、0.5時間(ii)a.LAH、Et2O、還流、7時間、b.HCl。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(V)または式(VI)
【化1】
に記載の化合物であって、ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X5は、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【化2】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−、またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【化3】
または、−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖もしくは分枝鎖の、C1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである、化合物。
【請求項2】
以下の式
【化4】
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式(VII)
【化6】
に記載の化合物であって、ここで、
X3が、必要に応じて存在し、そして各々が、酸素であり得;
X6が、酸素または窒素であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【化7】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【化8】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである、化合物。
【請求項4】
以下の式
【化9】
を有する請求項3に記載される化合物であって、n=6、13、または17である、化合物。
【請求項5】
以下の式(VIII)
【化10】
に記載される化合物であって、ここで、
X8が、OまたはSであり;
nが、1〜30の間であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【化11】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;そして、
R5、R6、R7、R8、およびR9は、水素、ヒドロキシ、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択される、化合物。
【請求項6】
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)、または式(XII)
【化12】
に記載の化合物であって、ここで、
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かまたは分枝鎖の、置換または非置換のC1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、R19が、脂肪族もしく非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールであり、但しX7がPO3HでありかつX8がOである場合、R16はC14H29でない、化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物であって、X9がOであり、X7がPO3Hであり、そしてR16がC7〜C20の直鎖または分枝の脂肪族もしくは非脂肪族の炭化水素である、化合物。
【請求項8】
X9がOである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
X7がPO3Hである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R16が、C7〜C20の直鎖もしくは分枝の脂肪族もしくは非脂肪族の、炭化水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
R17およびR18が水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
以下の式(XIV)および式(XV)
【化13】
に記載の化合物。
【請求項13】
薬学的組成物であって:以下
薬学的に受容可能なキャリアおよび、
請求項1、3,5および12のいずれか1項に記載される化合物または該化合物の塩を含有する、薬学的組成物。
【請求項14】
薬学的組成物であって:以下
薬学的に受容可能なキャリアおよび、
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)、または式(XII)
【化14】
【化15】
に記載の化合物を含有し、ここで、
X7は、PO3HもしくはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかもしくは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリール、あるいは該化合物の塩を含有する、薬学的組成物。
【請求項15】
癌細胞を破壊する方法であって:以下
請求項1、3、5および12のいずれか1項に記載の化合物を与える工程、および、
接触した癌細胞を破壊するために有効な条件下で、癌細胞と該化合物とを接触する工程
を包含する、方法。
【請求項16】
前記接触工程がエクスビボにおいて行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接触工程がインビボにおいて行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記癌細胞が、前立腺癌細胞、乳癌細胞、および卵巣癌細胞から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
癌細胞を破壊する方法であって:
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)または式(XII)
【化16】
に記載の化合物を提供する工程、
接触した癌細胞破壊するために有効な条件下で、癌細胞と該化合物とを接触させる工程を包含する、方法であって、ここで
X7が、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9が、Oであるかまたは存在せず;
R16がC1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18が独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールである、方法。
【請求項20】
前記接触工程がエクスビボにおいて行なわれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記接触工程がインビボにおいて行なわれる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記癌細胞が、前立腺癌細胞、乳癌細胞、および卵巣癌細胞から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
癌の状態を処置するかまたは予防する方法であって:
請求項1、3、5および12のうち少なくとも1項に記載の化合物を提供する工程;
癌の状態を処置または予防するのに効果的な様式で、患者にある量の該化合物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項24】
前記の癌の状態が、前立腺癌、乳癌、または卵巣癌である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、前記患者が前癌の状態の存在によって特徴付けられ、そして前記投与する工程が、該前癌の状態を癌の状態に発達することを予防するかまたは遅くするのに効果的である、方法。
【請求項26】
請求項23に記載の方法であって、前記患者が癌の状態の存在によって特徴づけられ、そして前記投与する工程が、該癌の状態の後退を生じるか、または該癌の状態の進行を阻害するかのいずれかに対して効果的である、方法。
【請求項27】
癌の状態を処置または予防する方法であって:
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)または式(XII)
【化17】
に記載の化合物を提供する工程、および
癌の状態を処置または予防するのに効果的な様式で、患者にある量の該化合物を投与する工程
を包含する、方法であって、ここで
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19は、脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素であるか、または置換もしくは非置換のアリールである、方法。
【請求項28】
前記癌の状態が、前立腺癌、乳癌または卵巣癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記患者が癌の状態の存在によって特徴付けられ、そして前記投与する工程が、該前癌の状態から癌の状態に発達することを予防するために効果的である、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、前記患者が癌の状態の存在によって特徴づけられ、そして前記投与する工程が、該前癌の状態の後退を生じるか、または、該癌の状態の成長を阻害するかのいずれか一方に効果がある、方法。
【請求項1】
以下の式(V)または式(VI)
【化1】
に記載の化合物であって、ここで、
X1およびX2は、各々に必要に応じて存在し、そして各々は酸素であり得;
X5は、必要に応じて存在し、そして酸素であり得;
R1は、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または、
【化2】
または、−(CH2)m−Y1の群より選択され、
ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−、またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【化3】
または、−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そして、Y2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または、脂肪族もしくは非脂肪族の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖もしくは分枝鎖の、C1〜C10の基であり、そして、ここで、各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素もしくはt−ブトキシカルボニルである、化合物。
【請求項2】
以下の式
【化4】
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式(VII)
【化6】
に記載の化合物であって、ここで、
X3が、必要に応じて存在し、そして各々が、酸素であり得;
X6が、酸素または窒素であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【化7】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R2が、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、R10−N(Z)−炭化水素−またはR10−炭化水素−であり、ここで、該炭化水素基が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、または
【化8】
または−(CH2)n−Y2であり、ここで、nが0〜10の整数であり、そしてY2が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R3は、存在しない、水素、または脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;
R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、およびR15は、水素、ヒドロキシル、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択され;
R10は、H(Z)N−、H(Z)N−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−、O炭化水素−、炭化水素−O−炭化水素−、炭化水素−N(Z)炭化水素−、H(Z)N−炭化水素−カルボニル−炭化水素−、炭化水素−カルボニル−炭化水素、H(Z)N−フェニル−、H(Z)N−フェニルアルキル−、H(Z)N−フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−O−炭化水素−、フェニルアルキル−N(Z)−炭化水素−、H(Z)N−フェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−、またはフェニルアルキル−カルボニル−炭化水素−であり、ここで、各炭化水素が、独立して、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の基であり、そしてここで各アルキルが、C1〜C10のアルキルであり;そして
Zは、独立して、水素またはt−ブトキシカルボニルである、化合物。
【請求項4】
以下の式
【化9】
を有する請求項3に記載される化合物であって、n=6、13、または17である、化合物。
【請求項5】
以下の式(VIII)
【化10】
に記載される化合物であって、ここで、
X8が、OまたはSであり;
nが、1〜30の間であり;
R1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、飽和もしくは不飽和の混合の複素環、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C30の炭化水素、または
【化11】
または−(CH2)m−Y1の群より選択され、ここで、mが0〜10の整数であり、そして、Y1が、飽和もしくは不飽和の環状炭化水素、飽和もしくは不飽和のN−複素環、飽和もしくは不飽和のO−複素環、飽和もしくは不飽和のS−複素環、または、飽和もしくは不飽和の混合の複素環であり;
R4は、必要に応じて存在するか、あるいは、水素、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アリール、アセチル、またはメシルであり得;そして、
R5、R6、R7、R8、およびR9は、水素、ヒドロキシ、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖もしくは分枝鎖のC1〜C10の炭化水素、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミド、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、アリールアミド、アリール、C5〜C7のシクロアルキル、アリールアルキルの群より独立して選択される、化合物。
【請求項6】
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)、または式(XII)
【化12】
に記載の化合物であって、ここで、
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かまたは分枝鎖の、置換または非置換のC1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、R19が、脂肪族もしく非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールであり、但しX7がPO3HでありかつX8がOである場合、R16はC14H29でない、化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物であって、X9がOであり、X7がPO3Hであり、そしてR16がC7〜C20の直鎖または分枝の脂肪族もしくは非脂肪族の炭化水素である、化合物。
【請求項8】
X9がOである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
X7がPO3Hである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R16が、C7〜C20の直鎖もしくは分枝の脂肪族もしくは非脂肪族の、炭化水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
R17およびR18が水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
以下の式(XIV)および式(XV)
【化13】
に記載の化合物。
【請求項13】
薬学的組成物であって:以下
薬学的に受容可能なキャリアおよび、
請求項1、3,5および12のいずれか1項に記載される化合物または該化合物の塩を含有する、薬学的組成物。
【請求項14】
薬学的組成物であって:以下
薬学的に受容可能なキャリアおよび、
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)、または式(XII)
【化14】
【化15】
に記載の化合物を含有し、ここで、
X7は、PO3HもしくはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかもしくは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリール、あるいは該化合物の塩を含有する、薬学的組成物。
【請求項15】
癌細胞を破壊する方法であって:以下
請求項1、3、5および12のいずれか1項に記載の化合物を与える工程、および、
接触した癌細胞を破壊するために有効な条件下で、癌細胞と該化合物とを接触する工程
を包含する、方法。
【請求項16】
前記接触工程がエクスビボにおいて行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接触工程がインビボにおいて行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記癌細胞が、前立腺癌細胞、乳癌細胞、および卵巣癌細胞から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
癌細胞を破壊する方法であって:
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)または式(XII)
【化16】
に記載の化合物を提供する工程、
接触した癌細胞破壊するために有効な条件下で、癌細胞と該化合物とを接触させる工程を包含する、方法であって、ここで
X7が、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9が、Oであるかまたは存在せず;
R16がC1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、C1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18が独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19が、脂肪族もしくは非脂肪族の直鎖か環状かもしくは分枝鎖の置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素、または置換もしくは非置換のアリールである、方法。
【請求項20】
前記接触工程がエクスビボにおいて行なわれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記接触工程がインビボにおいて行なわれる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記癌細胞が、前立腺癌細胞、乳癌細胞、および卵巣癌細胞から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
癌の状態を処置するかまたは予防する方法であって:
請求項1、3、5および12のうち少なくとも1項に記載の化合物を提供する工程;
癌の状態を処置または予防するのに効果的な様式で、患者にある量の該化合物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項24】
前記の癌の状態が、前立腺癌、乳癌、または卵巣癌である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、前記患者が前癌の状態の存在によって特徴付けられ、そして前記投与する工程が、該前癌の状態を癌の状態に発達することを予防するかまたは遅くするのに効果的である、方法。
【請求項26】
請求項23に記載の方法であって、前記患者が癌の状態の存在によって特徴づけられ、そして前記投与する工程が、該癌の状態の後退を生じるか、または該癌の状態の進行を阻害するかのいずれかに対して効果的である、方法。
【請求項27】
癌の状態を処置または予防する方法であって:
以下の式(IX)、式(X)、式(XI)または式(XII)
【化17】
に記載の化合物を提供する工程、および
癌の状態を処置または予防するのに効果的な様式で、患者にある量の該化合物を投与する工程
を包含する、方法であって、ここで
X7は、PO3HまたはO−ベンジルであり;
X9は、Oであるかまたは存在せず;
R16は、C1〜C30の脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素であり;
R17およびR18は独立して、存在しない、水素、−SO2R19、COR19、およびR19であり;そして、
R19は、脂肪族もしくは非脂肪族の、直鎖か環状かもしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換のC1〜C30の炭化水素であるか、または置換もしくは非置換のアリールである、方法。
【請求項28】
前記癌の状態が、前立腺癌、乳癌または卵巣癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記患者が癌の状態の存在によって特徴付けられ、そして前記投与する工程が、該前癌の状態から癌の状態に発達することを予防するために効果的である、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、前記患者が癌の状態の存在によって特徴づけられ、そして前記投与する工程が、該前癌の状態の後退を生じるか、または、該癌の状態の成長を阻害するかのいずれか一方に効果がある、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−522247(P2007−522247A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553347(P2006−553347)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/004759
【国際公開番号】WO2005/086638
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(504325287)ザ オハイオ ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/004759
【国際公開番号】WO2005/086638
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(504325287)ザ オハイオ ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (24)
【Fターム(参考)】
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