説明

組成物及び偏光子

【課題】経時安定性に優れる偏光子を製造可能な組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される液晶化合物、及び式(2)で表される液晶化合物を含む組成物。[X、X及びXは、1,4−フェニレン基又はトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基を表す。Uは、水素原子又は重合性基を表す。U及びZは、重合性基を表す。V、V及びTは、アルカンジイル基を表す。A及びAは、1,4−フェニレン基を表す。Aは、1,4−フェニレン基又はナフタレン−1,4−ジイル基を表す。Aは、フェニル基、フェニルフェニル基、等を表す。Y、Y、W、W、B、B及びBは、2価の連結基又は単結合を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光子を製造するために用いられる組成物等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置には、偏光子が用いられている(例えば、非特許文献1等)。このような偏光子には、経時安定性が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Semiconductor FPD World増刊号、(株)プレスジャーナル、2001年8月27日発行、通巻第266号、P.372
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、優れた経時安定性が付与された偏光子を製造するために用いられる組成物等の開発が切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の1.〜9.を提供するものである。
1. 式(1):

[式(1)中、X、X及びXは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、又は置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基を表す。ただしX、X及びXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
及びYは、互いに独立に、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR=CR−、−C≡C−又は−CR=N−を表す。
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。
は、重合性基を表す。
及びVは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。
及びWは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。]
で表される液晶化合物、及び式(2):

[式(2)中、A及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基を表す。
は、フェニル基、フェニルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基又は(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10である。
、B及びBは、互いに独立に、−O−、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−又は単結合を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Zは、重合性基を表す。]
で表される液晶化合物を含む組成物。
【0006】
2. さらに、溶剤を含む1.記載の組成物。
3. 重合性基が、アクリロイルオキシ基である1.記載の組成物。
4. さらに、重合開始剤を含む1.〜3.のいずれか記載の組成物。
5. 1.〜4.のいずれか記載の組成物中の式(1)で表される液晶化合物と式(2)で表される液晶化合物とを重合させることにより得られる偏光子。
6. 重合を、組成物が液晶相に配向する温度で行う5.記載の偏光子。
7. 1.〜4.のいずれか記載の組成物を支持基材に塗布し、該組成物が液晶相に配向する温度で光照射して得られる偏光子。
8. 前記液晶相が、スメクチック相である6.又は7.記載の偏光子。
9. 5.〜8.のいずれか記載の偏光子と、発光源とを含む表示装置。
10. 式(2):

[式(2)中、A及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基を表す。
は、フェニル基、フェニルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基又は(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10である。
、B及びBは、互いに独立に、−O−、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−又は単結合を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Zは、重合性基を表す。]
で表される液晶化合物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組成物によれば、経時安定性に優れた偏光子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の組成物からなる偏光子4を含む積層体1を表す概略図である。
【図2】本発明の表示装置の一つである液晶表示装置10を表す概略図である。
【図3】本発明の表示装置の一つである液晶表示装置24を表す概略図である。
【図4】本発明の表示装置の一つであるEL表示装置30を表す概略図である。
【図5】本発明の表示装置の一つであるEL表示装置44を表す概略図である。
【図6】本発明の表示装置の一つである投射型液晶表示装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の組成物は、式(1)で表される液晶化合物、及び式(2)で表される液晶化合物を含み、好ましくは、さらに溶剤を含む。
【0010】

【0011】
[式(1)中、X、X及びXは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、又は置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基を表す。ただしX、X及びXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
及びYは、互いに独立に、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR=CR−、−C≡C−又は−CR=N−を表す。
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。
は、重合性基を表す。
及びVは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。
及びWは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。]
【0012】

【0013】
[式(2)中、A及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基を表す。
は、フェニル基、フェニルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基又は(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10である。
、B及びBは、互いに独立に、−O−、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−又は単結合を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Zは、重合性基を表す。]
【0014】
本発明の組成物は、式(1)で表される液晶化合物(以下「化合物(1)」という場合がある)を含む。

【0015】
、X及びXは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、又は置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基である。
1,4−フェニレン基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;シアノ基;フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)等のハロゲノ基(ハロゲン原子)等が挙げられる。
トランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;シアノ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基等が挙げられる。トランス−1,4−シクロへキシレン基の−CH−は、−O−、−S−又は−NR−で置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。
1,4−フェニレン基は、無置換であることが好ましい。トランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基は、無置換であることが好ましい。
【0016】
、XおよびXのうちの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であり、炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることがより好ましく、無置換の1,4−フェニレン基であることがさらに好ましい。
、XおよびXは、互いに独立に、無置換の1,4−フェニレン基、炭素数1〜4のアルキル基を有する1,4−フェニレン基または無置換のトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基であり、そのうちの少なくとも1つが無置換の1,4−フェニレン基又は炭素数1〜4のアルキル基を有する1,4−フェニレン基であることが好ましい。
、XおよびXのうち少なくとも2つが、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることがより好ましく、無置換の1,4−フェニレン基であることがさらに好ましい。
合成が容易であるという点で、X、X及びX全てが、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることがより好ましく、X、XおよびX全てが、無置換の1,4−フェニレン基であることがより好ましい。
【0017】
及びYは、互いに独立に、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR=CR−、−C≡C−又は−CR=N−である。これらの基の結合位置は、いずれの向きでもよい。つまり、これらの基は、いずれの向きで、X、XおよびXと結合してもよく、例えば、Yが−COO−である場合には、−X−Y−X−で表される基は、−X−COO−X−であってもよいし、−X−OOC−X−であってもよく、例えば、Yが−CHO−である場合には、−X−Y−X−で表される基は、−X−CHO−X−であってもよいし、−X−OCH−X−であってもよい。
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基等が挙げられる。
は、−CHCH−、−COO−又は単結合であることが好ましい。
は、−CHCH−、−COO−又は−CHO−であることが好ましい。
【0018】
は、水素原子又は重合性基であり、好ましくは重合性基である。Uは、重合性基である。U及びUは、ともに光重合性基であることが好ましい。ここで、重合性基とは、重合開始剤から発生した活性ラジカル、酸等によって重合反応に関与しうる基を意味し、光重合性基とは、光重合開始剤から発生した活性ラジカル、酸等によって重合に関与しうる基のことをいう。また、U及びUがともに重合性基であるとき、U及びUは、同じ種類の重合性基であることが好ましく、同一の重合性基であることがより好ましい。
重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0019】
及びVは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。
炭素数1〜20のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基及びイコサン−1,20−ジイル基等が挙げられ、炭素数2〜12のアルカンジイル基が好ましく、炭素数4〜12のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数6〜12のアルカンジイル基がさらに好ましく、炭素数6〜10のアルカンジイル基が特に好ましい。
該アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、シアノ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基等が挙げられる。
アルカンジイル基としては、無置換のアルカンジイル基であることが好ましく、無置換の直鎖状アルカンジイル基であることがより好ましい。
【0020】
及びWは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−をであり、好ましくは単結合又は−O−である。Wが−COO−である場合、係る基は、いずれの向きでV及びXと結合してもよい。
【0021】
化合物(1)としては、式(1−1)〜式(1−21)で表される化合物等が挙げられる。式中、

で表される基は、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基を意味する。
【0022】

【0023】

【0024】

【0025】

【0026】
化合物(1)は、スメクチック相を発現する化合物であることが好ましい。化合物(1)が発現する相は、配向膜を形成したガラス基板上に、化合物(1)を塗布した後、塗布された化合物(1)を加熱しながら、偏光顕微鏡でテクスチャー観察を行うことにより、確認することができる。
スメクチック相としては、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相が挙げられる。スメクチック相では、化合物の配向秩序が高い状態となる。
化合物(1)としては、スメクチックB相を発現する化合物、及び、スメクチックB相が傾斜した相であるスメクチックF相又はスメクチックI相を発現する化合物がより好ましく、スメクチックB相を発現する化合物であることが特に好ましい。
【0027】
化合物(1)は、例えば、Recl.Trav.Chim.Pays−Bas 115,321−328(1996)、Liquid Crystals,33,723−737(2006)等に記載の方法により製造することができる。
【0028】
化合物(1)の含有量は、組成物の固形分に対して、70〜99.99質量%が好ましく、90〜99.9質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、化合物(1)の配向性が高くなる傾向がある。ここで、固形分とは、組成物から溶剤を除いた成分の合計量のことをいう。
化合物(1)は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0029】
本発明の組成物は、式(2)で表される液晶化合物(以下「化合物(2)」という場合がある)を含む。化合物(2)は、二色性を示す液晶化合物である。二色性とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質をいう。
【0030】

【0031】
[式(2)中、A及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基を表す。
は、フェニル基、フェニルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基又は(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10である。
、B及びBは、互いに独立に、−O−、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−又は単結合を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Zは、重合性基を表す。]
【0032】
及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。
は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基である。
1,4−フェニレン基及びナフタレン−1,4−ジイル基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のフッ化アルキル基;シアノ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基等が挙げられる。中でも、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基及び炭素数1〜4のフッ化アルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数1〜2のアルコキシ基及び炭素数1〜2のフッ化アルキル基がより好ましい。
nが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
置換基を有する1,4−フェニレン基としては、2−メチル−1,4−フェニレン基等の2位に炭素数1〜4のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン基等の2位に炭素数1〜4のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基及び2−メトキシ−1,4−フェニレン基等の2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基が挙げられ、2位に炭素数1〜2のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜2のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基及び2位に炭素数1〜2のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基が好ましい。
【0034】
は、無置換の1,4−フェニレン基であることが好ましい。Aは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることが好ましく、無置換の1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜4のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜4のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基または2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基であることがより好ましく、無置換の1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜2のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜2のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基または2位に炭素数1〜2のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基であることが特に好ましい。
【0035】
における置換基を有する1,4−フェニレン基としては、2−メチル−1,4−フェニレン基等の2位に炭素数1〜4のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン基等の2位に炭素数1〜4のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基および2−メトキシ−1,4−フェニレン基等の2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基が挙げられ、2位に炭素数1〜2のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜2のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基および2位に炭素数1〜2のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基が好ましい。置換基を有するナフタレン−1,4−ジイル基としては、2−メチルナフタレン−1,4−ジイル基等の2位に炭素数1〜4のアルキル基を有するナフタレン−1,4−ジイル基、2−トリフルオロメチルナフタレン−1,4−ジイル基等の2位に炭素数1〜4のフッ化アルキル基を有するナフタレン−1,4−ジイル基および2−メトキシナフタレン−1,4−ジイル基等の2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有するナフタレン−1,4−ジイル基が挙げられ、2位に炭素数1〜2のアルキル基を有するナフタレン−1,4−ジイル基、2位に炭素数1〜2のフッ化アルキル基を有するナフタレン−1,4−ジイル基および2位に炭素数1〜2のアルコキシ基を有するナフタレン−1,4−ジイル基が好ましい。
【0036】
は、互いに独立に、無置換の1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜4のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜4のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基、無置換のナフタレン−1,4−ジイル基、2位に炭素数1〜4のアルキル基を有するナフタレン−1,4−ジイル基または2位に炭素数1〜4のアルコキシ基を有するナフタレン−1,4−ジイル基であることが好ましく、無置換の1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜2のアルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜2のフッ化アルキル基を有する1,4−フェニレン基、2位に炭素数1〜2のアルコキシ基を有する1,4−フェニレン基、無置換のナフタレン−1,4−ジイル基、2位に炭素数1〜2のアルキル基を有するナフタレン−1,4−ジイル基または2位に炭素数1〜2のアルコキシ基を有するナフタレン−1,4−ジイル基であることがより好ましい。
【0037】
は、フェニル基、フェニルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基又は(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10である。フェニルフェニル基としては、4−フェニルフェニル基が挙げられ、シクロヘキシルフェニル基としては、4−シクロヘキシルフェニル基が挙げられる。(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基としては、4−(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基が挙げられる。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基およびデシル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基である。液晶性を発現しやすいという点で、好ましくは、フェニル基、フェニルフェニル基又はシクロヘキシルフェニル基である。
【0038】
、B及びBは、互いに独立に、−O−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCOO−又は単結合である。これらの基は、いずれの向きで結合していてもよい。
【0039】
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基であり、V及びVとして前記のアルカンジイル基と同じ基が挙げられる。中でも、炭素数4〜11のアルカンジイル基が好ましく、炭素数6〜11のアルカンジイル基がより好ましい。該アルカンジイル基が有していてもよい置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲノ基およびシアノ基が挙げられる。アルカンジイル基は、無置換のアルカンジイル基であることが好ましく、無置換の直鎖状アルカンジイル基であることがより好ましい。
【0040】
nは、1〜3の整数であり、1又は2であることが好ましい。
【0041】
Zは、重合性基である。重合性基としては、U及びUとして前記に挙げた重合性基と同じ基が挙げられる。好ましくは、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基であり、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0042】
化合物(2)としては、式(2−1)〜式(2−20)で表される化合物等が挙げられる。
【0043】

【0044】

【0045】

【0046】

【0047】

【0048】

【0049】

【0050】
化合物(2)は、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応など)を、その構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
【0051】
例えば、Bが−COO−である化合物(2)は、式(3):

[式中、Z、B、T、BおよびAは上記と同一の意味を表す。]
で表される化合物と式(4):

[式中、A、A、Aおよびnは上記と同一の意味を表わす。]
で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。かかる反応は、エステル化剤の存在下に実施してもよく、エステル化剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物が挙げられる。式(3)で表される化合物を、対応する酸クロリドに変換した後、式(4)で表される化合物と反応させてもよい。
【0052】
化合物(2)の含有量は、組成物の固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、化合物(1)の配向を乱すことなく、化合物(1)と化合物(2)とを重合することができるため、偏光子の二色比が高くなる傾向がある。
化合物(2)は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0053】
二色比とは、偏光子に入射した光の、互いに垂直に振動する2つの直線偏光の吸収強度比のことをいう。透過軸に沿った吸光度(A)に対する消光軸に沿った(垂直入射で測定された)吸光度(A)の比(A/A)として定義される。透過軸(偏光軸)とは、偏光子への入射光のうち、偏光子を透過する成分の偏光方向のことをいい、消光軸(吸収軸)とは、偏光子への入射光のうち、偏光子で吸収される成分の偏光方向のことをいう。
【0054】
通常、重合性基を有する液晶化合物は、配向させてから重合させる際に、配向を乱しやすい傾向があるが、化合物(2)自体が液晶性を示すため、化合物(1)と化合物(2)とを混合した場合でも、得られる組成物は安定して液晶相を示す傾向がある。また、これらの配向を乱すことなく、化合物(1)と化合物(2)とを重合させることができるため、得られる偏光子は二色比が高い傾向がある。
【0055】
本発明の組成物は、さらに重合開始剤を含有する組成物であることが好ましい。重合開始剤は、化合物(1)及び化合物(2)の重合を開始する化合物であり、光照射により酸やラジカルを発生する光重合開始剤であることが好ましく、光照射によりラジカルを発生する光重合開始剤がより好ましい。
【0056】
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられる。
【0057】
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0058】
アセトフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0059】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0060】
光重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン(株)製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学(株)製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬(株)製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て(株)ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)及びTAZ−104(三和ケミカル社製)など、市販の光重合開始剤も用いることができる。
【0061】
重合開始剤の含有量は、化合物(1)と化合物(2)との合計量100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、0.5質量部〜10質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、化合物(1)及び化合物(2)の配向を乱すことなくこれらを重合させることができる。
【0062】
本発明の組成物は、光増感剤を含有してもよい。光増感剤としては、例えばキサントン又はチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等)、アントラセン又はアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン化合物(例えば、ジブトキシアントラセン等)、フェノチアジン或いはルブレンを挙げることができる。
【0063】
光増感剤を用いることにより、化合物(1)や化合物(2)の重合を高感度化したり、重合により得られる偏光子の経時安定性を向上させることができる。また光増感剤の含有量としては、化合物(1)と化合物(2)との合計量100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、化合物(1)及び化合物(2)の配向を乱すことなく重合させることができる。
【0064】
本発明の組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
【0065】
重合禁止剤を用いることにより、化合物(1)や化合物(2)の重合を制御することができ、本発明の組成物の安定性を向上させることができる。また重合禁止剤の含有量は、例えば化合物(1)と化合物(2)との合計量100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、化合物(1)及び化合物(2)の配向を乱すことなく重合させることができる。
【0066】
本発明の組成物は、レベリング剤を含有してもよい。レベリング剤としては、例えば放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352、BYK−353、BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング(株)製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越化学工業(株)製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(DIC(株)製:F−445、F−470、F−477、F−479)などを挙げることができる。
【0067】
レベリング剤を用いることにより、偏光子の表面を平滑にすることができる。さらに偏光子の製造過程で、本発明の組成物の流動性を制御したり、化合物(1)や化合物(2)を重合して得られる偏光子の架橋密度を調整したりすることができる。レベリング剤の含有量は、化合物(1)と化合物(2)との合計量100質量部に対して、0.01〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の配向を乱すことなく重合することができる。
【0068】
本発明の組成物は、溶剤を含む。溶剤としては、本発明の組成物に含まれる成分を溶解し、重合反応に不活性な有機溶剤がより好ましい。
具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ又はプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン又はフェノールなどの非塩素系芳香族溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶媒;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル溶媒;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系脂肪族炭化水素溶媒;などが挙げられる。中でも、ケトン溶剤が好ましい。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
溶剤の使用量は、本発明の組成物に対して、50〜98質量%が好ましい。言い換えると、本発明の組成物における固形分は、2〜50質量%が好ましい。固形分が2質量%以上であると、膜厚が薄くなりすぎず、偏光子に必要な二色性が得られる。また50質量%以下であると、組成物の粘度が低いことから、塗膜の膜厚にムラが生じにくくなる傾向がある。
本発明の組成物の粘度は、0.1〜10mPa・sが好ましく、0.1〜7mPa・sがより好ましい。上記粘度が上記範囲内であれば、偏光子の膜厚にムラが生じにくくなる傾向がある。
【0070】
本発明の偏光子は、本発明の組成物に含まれる化合物(1)と化合物(2)とを重合することにより得られる。偏光子とは、偏光していない入射光を直交する2つの偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する物である。透過する偏光成分の軸方向は透過軸、吸収する偏光成分の軸方向は吸収軸という。
本発明の組成物に含まれる化合物(1)と化合物(2)とを重合して得られる偏光子は、化合物(1)と化合物(2)とが配向した状態で固定された重合体であることが好ましい。このような重合体を製造しやすいという点で、組成物中の化合物(1)と化合物(2)とを、該組成物が液晶相に配向する温度で、重合させることが好ましい。
【0071】
本発明の偏光子の製造方法について、以下に説明する。
本発明の組成物を支持基材に塗布し、乾燥し、本発明の組成物に含まれる化合物(1)と化合物(2)とを重合させることにより、支持基材上に本発明の偏光子を得ることができる。そのため、生産コストを低減でき、さらに偏光子の連続的な生産が可能となり、ロール状での偏光子の生産が可能である。
【0072】
支持基材、又は配向膜等を形成した支持基材の上に、本発明の組成物を塗布し、乾燥することにより、未重合偏光子を得ることができる。未重合偏光子がネマチック相やスメクチック相などの液晶相を示す場合、得られる偏光子は二色性を示す。より好ましい液晶相としては、例えば、スメクチック相が挙げられ、特に好ましくは、例えば、スメクチックB相が挙げられる。
【0073】
支持基材への本発明の組成物の塗布方法としては、例えば押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法又はダイコーティング法などが挙げられる。またディップコーター、バーコーター又はスピンコーターなどのコーターを用いて塗布する方法などが挙げられる。
【0074】
上記支持基材としては、例えばガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム又は透光性フィルムを挙げることができる。なお上記透光性フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム又はポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。
支持基材を用いると、偏光子を製造したり、運搬したり、保管したりする際に破れなどなく容易に取り扱うことができる。
【0075】
本発明の偏光子においては、好ましくは支持基材上に配向膜を形成させた後、配向膜の上に本発明の組成物を塗布することが好ましい。配向膜は、本発明の組成物の塗布等により溶解しない溶剤耐性を有することが好ましい。また、溶剤の除去や液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有することが好ましい。さらに、ラビングによる摩擦等による剥がれ等が生じない配向膜であることが好ましい。かかる配向膜としては、配向性ポリマーまたは配向性ポリマーを含有する組成物からなることが好ましい。
【0076】
上記配向性ポリマーとしては、例えば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等で容易に得ることができる。
【0077】
配向性ポリマーは、溶剤に溶解して、塗布することができる。溶剤は、特に制限はないが、具体的には、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ又はプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレンなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶媒;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル溶媒;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系脂肪族炭化水素溶媒;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
また配向膜を形成するために、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)又はオプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
このような配向膜を用いれば、ムラが低減されるため、環境耐性や機械耐性がより向上した偏光子を提供できる。
【0079】
上記支持基材上に配向膜を形成する方法としては、例えば上記支持基材上に、市販の配向膜材料や配向膜の材料となる化合物を溶液にして塗布し、その後、アニールすることにより、上記支持基材上に配向膜を形成することができる。
【0080】
このようにして得られる配向膜の厚さは、例えば10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。上記範囲とすれば、化合物(1)や化合物(2)を該配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
【0081】
またこれら配向膜は、必要に応じてラビングもしくは偏光UV照射を行うことができる。これらにより化合物(1)や化合物(2)を所望の方向に配向させることができる。すなわち、製造した偏光子の吸収軸方向を所望の方向に調整することができる。
【0082】
配向膜をラビングする方法としては、例えばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられて搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。ラビングもしくは偏光UV照射を行う時に、マスキングを行えば、得られる偏光子に遅相軸の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
【0083】
溶剤の乾燥方法としては、例えば自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などの方法が挙げられる。未重合フィルムを加熱乾燥する場合、具体的な乾燥温度としては、0〜250℃が好ましく、50〜220℃がより好ましく、80〜170℃がさらに好ましい。また乾燥時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。乾燥温度及び乾燥時間が上記範囲内であれば、上記支持基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。
溶剤の乾燥は、重合を進行させるとともに行ってもよいが、重合前にほとんどの溶剤を乾燥させることが、成膜性の点から好ましい。
【0084】
上記で得られた未重合偏光子に含まれる化合物(1)及び化合物(2)を重合させ、硬化させる。化合物(1)及び化合物(2)は、配向を保持したまま重合体となり、その配向が固定された重合体が得られる。このことにより、得られる重合体は、熱による配向性への影響を受けにくくなり、経時安定性に優れた偏光子を得ることが可能となる。
【0085】
未重合偏光子に含まれる化合物(1)及び化合物(2)を重合させる方法は、化合物(1)及び化合物(2)の有する重合性基の種類に応じて、選択すればよい。該重合性基が光重合性であれば光重合法により、該重合性基が熱重合性であれば熱重合法により、上記未重合偏光子を重合させることができる。本発明の偏光子では、光重合法により未重合偏光子を重合させることが好ましい。光重合法によれば低温で未重合フィルムを重合させることができるため、耐熱性の低い支持基材をも用いることができる。また工業的にも製造が容易である。光重合法は、未重合偏光子に可視光、紫外光又はレーザー光を照射することにより行われる。取り扱いやすいという点で、紫外光が好ましい。光照射は、化合物(1)及び化合物(2)が液晶相で配向する温度で行うことが好ましく、これらがスメクチック相で配向する温度で行うことがより好ましく、これらがスメクチックB相で配向する温度で行うことが特に好ましい。この際、マスキングなどによって偏光子をパターニングすることもできる。
【0086】
未重合偏光子の上面にさらに配向膜を積層して重合させてもよい。
2枚の支持基材にそれぞれ配向膜を塗布し、その塗布した面を対向させて、セルを形成し、当該セルに本発明の組成物を充填したのち、本発明の組成物に含まれる化合物(1)及び化合物(2)を重合させる方法も挙げられる。
【0087】
重合後に、支持基材を剥離することにより、配向膜と本発明の偏光子との積層体が得てもよいし、さらに、配向膜を剥離して、本発明の偏光子を単層で得てもよい。本発明の偏光子の膜厚は、0.5〜20μmであることが好ましい。
このようにして得られた偏光子は、さまざまな表示装置に用いることができる。
さらに本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素や二色性色素を添加して延伸することによって得られる偏光子と比較して、薄膜である。
【0088】
図1は、本発明の偏光子4を含む積層体1を表す図である。
積層体1は、支持基材2の上に、配向膜3が積層され、配向膜3の上に、本発明の偏光子4が積層された積層体である。本発明の偏光子4は、化合物(1)と化合物(2)とが配向した重合体で構成されている。
【0089】
本発明の表示装置は、本発明の偏光子4と発光源とを含む。このような表示装置としてはEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、電界放出(フィールドエミッション)表示装置(FED)、表面伝導型電子放出表示装置(SED;Surface−conduction Electron−emitter Disply)、液晶表示装置(透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置、投写型液晶表示装置)、電子ペーパーが挙げられる。また、3D表示装置やホログラム等の立体表示装置等も挙げられる。
【0090】
図2は、本発明の表示装置の一つである液晶表示装置10を表す概略図である。液晶層17を2枚の基板14a及び基板14bで挟んでいる。液晶表示装置に本発明の偏光子を用いることにより、液晶表示装置の薄型化が可能になる。
液晶層17に用いられる液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、ディスコチック液晶、サーモトロピック液晶、ライオトロピック液晶、リオトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶、主鎖型液晶、側鎖型高分子液晶、プラズマアドレス液晶(PDLC)、バナナ型液晶等が挙げられる。また、本発明の液晶表示装置に用いられる液晶モードとしてはTN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、ゲストホストモード等が挙げられる。
【0091】
一方の基板14aの片側には、カラーフィルタ15が配置されている。カラーフィルタ15が、液晶層17をはさんで画素電極22に対向する位置に配置され、ブラックマトリクス20が画素電極間の境界に対向する位置に配置されている。透明電極16がこれらを覆っている。カラーフィルタ15と透明電極16の間にオーバーコート層を有する場合もある。
もう一方の基板14bの片側には、薄膜トランジスタ21と画素電極22とが規則正しく配列されている。画素電極22は、液晶層17をはさんでカラーフィルタ15に対向する位置に配置されている。薄膜トランジスタ21と画素電極22との間には、層間絶縁膜18が配置されている。
【0092】
薄膜トランジスタ21を形成する基板14bは、薄膜トランジスタ21を製造する際の高温に耐えるようにガラス基板が用いられている。また、低温で薄膜トランジスタ21を形成する場合には、プラスチック基板を用いてもよい。
【0093】
薄膜トランジスタ21としては、石英基板上に形成する高温ポリシリコントランジスタ、ガラス基板上に形成する低温ポリシリコントランジスタ、ガラス基板又はプラスチック基板上に形成するアモルファスシリコントランジスタが挙げられる。液晶表示装置の薄型化のため、ドライバICをガラス基板上に形成してもよい。
【0094】
透明電極16と、画素電極22との間には、液晶層17が配置されている。液晶層17は、2枚の基板等を挟持して隙間を一定に保つために、スペーサ23が形成されている。
液晶層17と接する面には、液晶層17に含まれる液晶化合物を所望の方向へ配向させるための配向膜が各々形成されていてもよい。
各部材は、基板14a、ブラックマトリクス20及びカラーフィルタ15、透明電極16、液晶層17、層間絶縁膜18、薄膜トランジスタ21及び画素電極22、並びに基板14bの順番で積層されている。
【0095】
このような液晶層17を挟んだ基板14a及び基板14bの外側には、様々な光学機能を持つフィルムが積層されている。基板14aの外側には、位相差フィルム13a(例えば1/4波長板)、本発明の偏光子12a(例えば直線偏光子)が、この順番で積層され、基板14bの外側には、位相差フィルム13b(例えば1/4波長板)、本発明の偏光子12b(例えば直線偏光子)が、この順番で積層されている。偏光子12aの外側に、外光の反射を防ぐための反射防止膜11が積層されている。
【0096】
本発明の偏光子12bの外側には、発光源であるバックライトユニット19が形成されている。バックライトユニット19は、光源、導光体、反射板、拡散シート及び視野角調整シートを含む。光源としては、エレクトロルミネッセンス(EL)、冷陰極管、熱陰極管、LED、レーザー光源、水銀ランプなど、様々な光源を用いることができる。光源の特性に合わせて本発明の偏光子を選択すればよい。表示装置を薄型化するため、発光源であるバックライトを側面や上下面に配置してもよい。
【0097】
液晶表示装置10が透過型液晶表示装置である場合、光源から発せられた白色光は導光体に入射し、反射板によって進路を変えられて拡散シートで拡散されている。拡散光は視野角調整シートによって所望の指向性を持つように調整されたのちにバックライトユニット19から本発明の偏光子12bに入射する。
【0098】
無偏光である入射光のうち、ある一方の直線偏光のみが本発明の偏光子12bを透過する。この直線偏光は位相差フィルム13b(例えば1/4波長板)によって円偏光になり、基板14b、画素電極22、等を順次透過して液晶層17に到る。
【0099】
画素電極22と対向する透明電極(対向電極)16との間の電位差により、液晶層17の液晶分子の配向状態が制御される。液晶層17に入射した円偏光がそのままの状態で液晶層17及び透明電極16を透過し、カラーフィルタ15及び位相差フィルム13aを透過し、本発明の偏光子12aを透過する場合、この画素はカラーフィルタで決まる色を最も明るく表示する。
また、液晶層17を通過する光の偏光状態が変化して、カラーフィルタ15を透過した光を位相差フィルム13aと本発明の偏光子12aとがほぼ完全に吸収する場合、この画素は黒を表示する。液晶層17の液晶分子が、これら2つの状態の中間の配向状態である場合、光が部分的に透過し、部分的に吸収されるため、この画素は中間色を表示することになる。
【0100】
液晶表示装置10が半透過型液晶表示装置である場合、画素電極22は透明な材料で形成された透過部と、光を反射する材料で形成された反射部を有し、透過部では、前述の透過型液晶表示装置と同様にして画像が表示される。一方反射部では、外光が反射防止膜11の方向から液晶表示装置に入射し、偏光子12aと位相差フィルム13aとを透過した円偏光が液晶層17を通過し、画素電極22によって反射されて表示に利用される。
【0101】
図3は、本発明の表示装置の一つである液晶表示装置24を表す概略図である。液晶表示装置24では、各部材は、反射防止膜11、位相差フィルム13a、基板14a、本発明の偏光子12a、カラーフィルタ15及びブラックマトリクス20、透明電極16、液晶層17、層間絶縁膜18、薄膜トランジスタ21及び画素電極22、本発明の偏光子12b、基板14b、位相差フィルム13b、バックライトユニット19の順番で積層されている。
液晶表示装置24では、本発明の偏光子12a及び12bは、それぞれ基板14a及び14bと液晶層17との間に配置されている。
【0102】
図4は、本発明の表示装置の一つであるEL表示装置30を表す概略図である。本発明のEL表示装置30は、画素電極35が形成された基板33上に、発光源である発光層36、及びカソード電極37が積層されたものである。画素電極35にプラス、カソード電極37にマイナスの電圧を加え、画素電極35及びカソード電極37間に直流を印加することにより、発光層36が発光する。
【0103】
EL表示装置30を製造するには、まず、基板33上に薄膜トランジスタ40を所望の形状に形成する。そして層間絶縁膜34を成膜し、次いで画素電極35をスパッタ法で成膜し、パターニングする。その後、発光層36を積層する。
【0104】
基板33としては、サファイアガラス基板、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、アルミナなどのセラミック基板、銅などの金属基板、プラスチック基板等が挙げられる。基板上に熱伝導性膜を形成してもよい。熱伝導性膜としては、ダイヤモンド薄膜(DLCなど)が挙げられる。画素電極35として光を反射する材料を用いる場合は、基板33とは反対方向へ光が出射する。従って、透明材料だけでなく、ステンレスなどの非透過材料を用いることができる。基板は単一の材料であっても、複数の基板を接着剤で貼り合わせた積層基板であってもよい。これらの基板は、板状でも、フィルム状でもよい。
【0105】
薄膜トランジスタ40としては、前述の薄膜トランジスタ21と同様のものが挙げられる。
層間絶縁膜34上に、リブ41を形成する。リブ41は、画素電極35の周辺部(隣接画素間)に配置されている。リブ41の材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。リブ41の厚みは、好ましくは1.0μm以上3.5μm以下であり、より好ましくは1.5μm以上2.5μm以下である。
【0106】
次に、透明電極である画素電極35と、発光層36と、カソード電極37とからなるEL素子について説明する。有機EL表示装置の場合、発光層36は、それぞれ少なくとも1層のホール輸送層と積層され、例えば、電子注入輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層が順次積層されて発光源となる。
【0107】
画素電極35としては、例えば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、ZnO、SnO、In等が挙げられるが、特にITO、IZOが好ましい。画素電極35の厚さは、ホール注入を十分行える一定以上の厚さを有すれば良く、10〜500nm程度とすることが好ましい。
画素電極35は、蒸着法等によっても形成できるが、スパッタ法により形成することが好ましい。スパッタガスとしては、特に制限するものではなく、Ar、He、Ne、Kr、Xe等の不活性ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いればよい。
【0108】
カソード電極37の構成材料としては例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、又は安定性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(Ag:1〜20at%)、Al・Li(Li:0.3〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:5〜20at%)等が好ましい。
カソード電極37は、蒸着、スパッタ法等、好ましくは蒸着法により形成される。カソード電極37の厚さは、0.1nm以上、好ましくは1〜500nmであることが好ましい。
【0109】
正孔注入層は、画素電極35からの正孔の注入を容易にする機能を有し、正孔輸送層は、正孔を輸送する機能及び電子を妨げる機能を有する。
【0110】
発光層の厚さ、正孔注入層と正孔輸送層とを併せた厚さ及び電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、5〜100nmとすることが好ましい。正孔注入層・正孔輸送層には、各種有機化合物を用いることができる。正孔注入輸送層、発光層及び電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空蒸着法を用いることが好ましい。
【0111】
発光層36としては、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するもの、3重項励起子からの発光(燐光)を利用するもの、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するものと3重項励起子からの発光(燐光)を利用するものとを含むもの、有機物によって形成されたもの、無機物によって形成されたもの、有機物によって形成されたものと無機物によって形成されたものとを含むもの、高分子の材料、低分子の材料、高分子の材料と低分子の材料とを含むものなどを用いることができる。ただし、これに限定されず、EL素子として様々なものを用いたEL表示装置を用いることができる。
【0112】
カソード電極37と封止フタ39との空間には乾燥剤38を配置する。乾燥剤38により水分を吸収し発光層36の劣化を防止する。
【0113】
EL表示装置30の光入射面あるいは光出射面に形成する本発明の偏光子31は、直線偏光子に限定されるものではなく、楕円偏光子であってもよい。また、本発明の偏光子31は前記の積層体1であってもよく、複数の本発明の偏光子4や位相差フィルムをはり合わせたものでもよい。
【0114】
図5は、本発明の表示装置の一つであるEL表示装置44を表す概略図である。本発明のEL表示装置44は、薄膜封止膜42を用いた封止構造を有し、アレイ基板(カソード電極37、発光層36、画素電極35、層間絶縁膜34および基板33)を本発明の偏光子31側に設けることもできる。
薄膜封止膜42としては、防湿性が高いため、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を蒸着した膜を用いることが好ましい。DLCを蒸着した膜は、カソード電極37の表面に直接蒸着して形成してもよい。また、樹脂薄膜と金属薄膜とを多層に積層して、薄膜封止膜42を形成してもよい。
【0115】
図6は、本発明の表示装置の一つである投射型液晶表示装置を示す概略図である。
本発明の偏光子142及び偏光子143は、例えば、投射型液晶表示装置(プロジェクター)に用いられる。
発光源である光源(例えば、高圧水銀ランプ)111から出射された光線束は、まずは第1のレンズアレイ112、第2のレンズアレイ113、偏光変換素子114、重畳レンズ115を通過することにより、反光線束断面での輝度の均一化と偏光化が行われる。
【0116】
具体的には光源111から出射された光線束は、微小なレンズ112aがマトリクス状に形成された第1のレンズアレイ112によって多数の微小な光線束に分割される。第2のレンズアレイ113及び重畳レンズ115は、分割された光線束のそれぞれが、照明対象である3つの液晶パネル140R,140G,140Bの全体を照射するように備えられており、このため、各液晶パネル入射側表面は全体がほぼ均一な照度となる。
【0117】
偏光変換素子114は、入射した光をその偏光成分に分離する機能を有し、第2のレンズアレイ113と重畳レンズ115との間に配置される。これにより光源からのランダム偏光をあらかじめ特定の偏光方向を有する偏光に変換し、後述する入射側偏光子での光量損失を低減して、画面の輝度を向上させる。
【0118】
輝度が均一化及び偏光成分に分離された光は反射ミラー122を経由してRGBの3原色に分離するためのダイクロイックミラー121,123,132により順次、レッドチャンネル(図6中のR、実線矢印)、グリーンチャンネル(図6中のG、一点鎖線矢印)、ブルーチャンネル(図6中のB、破線矢印)に分離され、それぞれ液晶パネル140R,140G,140Bに入射する。
【0119】
液晶パネル140R,140G,140Bには、その入射側に本発明の偏光子142及び出射側に本発明の偏光子143が配置されている。
RGBそれぞれの光路に液晶パネルを挟んで、入射側と出射側に配置される2枚の偏光子について説明する。各光路に配置される本発明の偏光子142及び偏光子143は、それらの吸収軸が直交するように配置され、各光路に配置される各液晶パネル140R,140G,140Bで画像信号により各画素ごとに制御された偏光状態を光量に変換する。
【0120】
本発明の偏光子は、ブルーチャンネル、グリーンチャンネル、レッドチャンネルのいずれの光路においても耐久性の優れた偏光子として有用である。
【0121】
液晶パネル140R,140G,140Bの画像データに応じて、画素毎に異なる透過率で入射光を透過させることによって作成された光学像は、クロスダイクロイックプリズム150により合成され、投写レンズ170によって、スクリーン180に拡大投写される。
【0122】
本発明の偏光子は、電子ペーパーの偏光子としても使用でき、それらの厚みを薄くすることができる。電子ペーパーとしては、光学異方性と染料分子配向のような分子により表示されるもの、電気泳動、粒子移動、粒子回転、相変化のような粒子により表示されるもの、フィルムの一端が移動することにより表示されるもの、分子の発色/相変化により表示されるもの、分子の光吸収により表示されるもの、電子とホールが結合して自発光により表示されるものなどのことをいう。例えば、電子ペーパーとして、表示方式は特に限定されず、マイクロカプセル型電気泳動、水平移動型電気泳動、垂直移動型電気泳動、球状ツイストボール、磁気ツイストボール、円柱ツイストボール方式、帯電トナー、電子粉流体、磁気泳動型、磁気感熱式、エレクトロウェッテイング、光散乱(透明/白濁変化)、コレステリック液晶/光導電層、コレステリック液晶、双安定性ネマチック液晶、強誘電性液晶、2色性色素・液晶分散型、可動フィルム、ロイコ染料による発消色、フォトクロミック、エレクトロクロミック、エレクトロデポジション、フレキシブル有機ELなどを用いることができる。
電子ペーパーは、テキストや画像を個人的に利用するものだけでなく、広告表示(サイネージ)等に利用されるものであってもよい。本発明の偏光子によれば、電子ペーパーの厚みを薄くすることができる。
【0123】
立体表示装置には、遅相軸の方向が異なる複数の領域を有する偏光子が用いられる(例えば、特開2002−185983号公報)。本発明の偏光子は、配向膜の一部をマスキングして、ラビングもしくは偏光UV照射を行うことにより、該偏光子上に、遅相軸の方向が異なる複数の領域を容易に形成できるため、立体表示装置用の偏光子としても有用である。
【実施例】
【0124】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0125】
(合成例1)
<化合物(2−2)の合成>
下記スキームに従って合成した。

【0126】
<4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチル(MG−a)の合成例>
4−ヒドロキシ安息香酸エチル150g、炭酸カリウム186g及びN,N−ジメチルアセトアミド750gを混合し、得られた混合物を80℃に昇温した。これに、6−ブロモヘキサノール244gを滴下した、得られた混合物を80℃で攪拌した。得られた反応混合物を冷却後、酢酸エチルを加えた後、水で洗浄し、さらに、溶媒を留去することにより、式(MG−a)で示される化合物(以下「化合物(MG−a)」という場合がある)を主成分とする固体312gを得た。
【0127】
<4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸(MG−b)の合成例>
前項で得られた化合物(MG−a)を主成分とする固体312gをメタノールに溶解させた。得られた溶液に、水酸化カリウムを含有するメタノール溶液(水酸化カリウム328g)を滴下し、得られた混合物を約70℃で攪拌した後、冷却した。得られた反応混合物に、塩酸を加え、析出した固体を濾過により取り出した。水で洗浄した後、50℃減圧下、乾燥させることにより、式(MG−b)で示される化合物(以下「化合物(MG−b)」という場合がある)を主成分とする固体195gを得た。収率は化合物(MG−a)基準で91%であった。
【0128】
<4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(MG−c)の合成例>
前項で得られた化合物(MG−b)を主成分とする固体195gとN,N−ジメチルアニリン208gとを容器内に加え、該容器内を窒素置換した後、1,4−ジオキサンを加え、溶液を調製した。調製した溶液を70℃に昇温した後、アクリル酸クロリド148gを滴下した。得られた混合物を攪拌した後、冷却した。得られた反応混合物に酢酸エチルを加えた後、水で洗浄し、さらに溶媒を留去させることにより、式(MG−c)で示される化合物(以下「化合物(MG−c)」という場合がある)を主成分とする固体120gを得た。収率は化合物(MG−b)基準で50%であった。
【0129】
<化合物(2−2)の合成例>
前項で得られた化合物(MG−c)0.98g、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.04g及び4−[4−(フェニルアゾ)フェニルアゾ]−5−メチルフェノール0.89gをクロロホルム29gに加えた。これに、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.83gをクロロホルム5.9gに溶解させることにより調製した溶液を、室温で滴下した。得られた混合物を2時間攪拌した後、濾過して固形物を取り除いた。得られた有機層を、2N塩酸29gで分液洗浄した。洗浄した有機層の溶媒を留去した。得られた濃縮残渣に、メタノールを添加したところ、固形物がが析出したため、濾過により、固形物を取り出した。得られた固形物を乾燥して、式(2−2)で示される化合物(以下「化合物(2−2)」という場合がある)を8.2g得た。収率は、4−[4−(フェニルアゾ)フェニルアゾ] −5−メチルフェノール基準で73%であった。
H NMR(CDCl);δ 1.52(m、8H)、2.35(s、3H)、4.06(t、2H)、4.18(t、2H)、5.82(m、1H)、6.13(m、1H)、6.41(m、1H)、7.00(m、2H)、7.33(m、1H)、7.51(m、3H)、7.96(m、4H)、8.10(m、4H)8.18(m、2H)
【0130】
化合物(1−6)の相転位温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって確認した。温度を上げていくと95℃付近で結晶相からスメクチックA相に変わり、111度付近でネマチック液晶相に転位し、113℃付近で等方性液体相になった。等方性液体相から温度を下げていくと112℃付近でネマチック液晶相に、110℃付近でスメクチックA相に、94℃付近でスメクチックB相に転位し、さらに40℃付近まで温度を下げても結晶相には戻らなかった。
得られた化合物(2−2)の相転位温度を同様に観察したところ、温度を上げていくと106℃付近で結晶相からスメクチック液晶相に変わり、119℃付近でネマチック液晶相に転位し、そのまま加熱すると218℃付近で等方性液体相になった。等方性液体相から温度を下げていくと218℃付近でネマチック液晶相に転位し、さらに40℃付近まで温度を下げても結晶相には戻らなかった。
【0131】
(合成例2)
<化合物(2−18)の合成>
下記スキームに従って合成した。

【0132】
前記(合成例1)で得られた化合物(MG−c)1.00g、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.04g及び4−[4−(フェニルアゾ)フェニルアゾ]−2−メチルフェノール0.90gをクロロホルム29gに加えた。これに、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.85gをクロロホルム6.0gに溶解させることにより調製した溶液を、室温で滴下した。得られた混合物を2時間攪拌した後、濾過して固形物を取り除いた。得られた有機層を、2N塩酸30gで分液洗浄した後、溶媒を留去した。得られた濃縮残渣にメタノールを添加したところ、結晶が析出したため、濾過により、固形物を取り出した。得られた固形物を乾燥して、式(2−18)で示される化合物(以下「化合物(2−18)」という場合がある)を8.5g得た。収率は、4−[4−(フェニルアゾ)フェニルアゾ]−2−メチルフェノール基準で76%であった。
H NMR(CDCl);δ 1.52(m、8H)、2.35(s、3H)、4.06(t、2H)、4.18(t、2H)、5.82(m、1H)、6.13(m、1H)、6.41(m、1H)、7.00(m、2H)、7.33(m、1H)、7.51(m、3H)、7.96(m、4H)、8.10(m、4H)8.18(m、2H)
【0133】
得られた化合物(2−18)の相転位温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって確認した。温度を上げていくと107℃付近で結晶相からスメクチック液晶相に変わり、118度付近でネマチック液晶相に転位し、そのまま加熱すると217度付近で等方性液体相になった。等方性液体相から温度を下げていくと218℃付近でネマチック液晶相に転位し、さらに40℃付近まで温度を下げても結晶相には戻らなかった。
【0134】
(合成例3)
<化合物(1−6)の合成>
非特許文献(Recueil des Travaux Chimiques des Pays−Bas、115巻、321−328頁、1996年発行。)に記載の方法に準じて、式(1−6)で表される化合物(以下「化合物(1−6)」という場合がある)を製造した。
化合物(1−6)の相転位温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって確認した。温度を上げていくと95℃付近で結晶相からスメクチックA相に変化し、111℃付近でネマチック液晶相に転位し、113℃付近で等方性液体相になった。等方性液体相から温度を下げていくと112℃付近でネマチック液晶相に、110℃付近でスメクチックA相に転位し、94℃付近でスメクチックB相に転位し、さらに40℃付近まで温度を下げても結晶相には戻らなかった。
【0135】
(実施例及び参考例)
<組成物の調製>
表1及び表2に示す成分を混合して組成物の調製した。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
重合開始剤:1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン(イルガキュア651;チバ・ジャパン(株)製)
レベリング剤:BYK361N(ビックケミージャパン製)
液晶化合物LC242:PaliocolorLC242(BASF社登録商標)

二色性色素:G207((株)林原生物化学研究所製;重合性基を有さない二色性色素)
溶剤:シクロペンタノン
【0139】
<熱挙動観察>
ガラス基板にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業(株)製)の2質量%水溶液を塗布し、120℃で60分加熱乾燥して、厚さ89nmの膜を形成した。膜の表面にラビング処理を施し、配向膜を形成した。ラビング処理を施した面に、表1及び表2記載の組成物をスピンコート法により塗布した。塗布した基板を、ホットステージ付き偏光顕微鏡(ホットステージ:LTS350、Linkam社製、偏光顕微鏡:BX−51、オリンパス社製)を用いて、昇温時は昇温速度30℃/minで28℃から120℃まで加熱しながら、組成物の挙動を観察した。降温時は自然冷却で120℃から28℃まで降温し、挙動を観察した。昇温時における熱挙動観察の結果を表3に示し、降温時における熱挙動観察の結果を表4に示す。
【0140】
【表3】

【0141】
;スメクチック相に転位してモノドメインを形成し始めた温度
;ネマチック相に転位してモノドメインを形成し始めた温度
;等方性液体に転位した温度
*1)28℃において、ネマチック相でモノドメイン配向をしていることを確認した。
【0142】
【表4】

【0143】
;等方性液体からネマチック相に転移してモノドメインを形成し始めた温度
;スメクチックA相に相転移してモノドメインを形成し始めた温度。
;スメクチックB相に相転移してモノドメインを形成し始めた温度。
*2)28℃において、ネマチック相でモノドメイン配向していることを確認した。
*3)40℃において、スメクチックB相でモノドメイン配向していることを確認した。
【0144】
<偏光子の製造例>
ガラス基板に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2質量%水溶液を塗布し、乾燥後、厚さ89nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に、表1の組成の組成物1をスピンコート法により塗布し、表5記載の温度(T)で1分間乾燥した。次いで表5記載の光照射時の温度(T)で、窒素雰囲気下で1200mJ/cmの積算光量の紫外線を照射して、偏光子を得た。
【0145】
【表5】

【0146】
<表面観察>
得られた偏光子の表面状態を偏光顕微鏡で400倍の倍率で観察した。偏光子が、モノドメインを呈していれば配向欠陥はないと判断して○、モノドメインを呈していなければ配向欠陥が認められると判断して×とした。結果を表6に示す。
<経時安定性>
得られた偏光子を28℃に保った暗所で、大気中、1週間放置した後、得られた偏光子の表面状態を偏光顕微鏡で観察した。偏光子が、モノドメインを呈していれば配向欠陥はないと判断して○、モノドメインを呈していなければ配向欠陥が認めらると判断して×とした。結果を表6に示す。
<液晶相の観察>
得られた偏光子を偏光顕微鏡(BX−51、オリンパス社製)により観察した。スメクチックB相を示していればSmB、ネマチック相を示していればNと表6に示した。
【0147】
<二色比の測定>
得られた偏光子について、偏光子に含まれる化合物(2)の極大吸収波長における、透過軸方向の吸光度(A)及び吸収軸方向の吸光度(A)を、島津製作所製紫外可視分光光度計UV−3150に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。該フォルダーは、リファレンス側は光量を50%カットするメッシュを設置した。測定された透過軸方向の吸光度(A)及び吸収軸方向の吸光度(A)の値から、比(A/A)を算出し、二色比とした。また、得られた偏光子の膜厚(μm)は、レーザー顕微鏡(LEXT3000、オリンパス社製)を用いて測定した。結果を表6に示す。
【0148】
【表6】

【0149】
実施例で示した偏光子は、経時安定性に優れることが確認された。さらに、スメクチックB相を示す温度で光照射した実施例1及び3の偏光子はスメクチックB相を示し、二色比が高いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の組成物によれば、経時安定性に優れた偏光子を提供することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 積層体
2 支持基材
3 配向膜
4 本発明の偏光子
10 液晶表示装置
11 反射防止膜
12a、12b 本発明の偏光子
13a、13b 位相差フィルム
14a、14b 基板
15 カラーフィルタ
16 透明電極
17 液晶層
18 層間絶縁膜
19 バックライトユニット
20 ブラックマトリクス
21 薄膜トランジスタ
22 画素電極
23 スペーサ
24 液晶表示装置
30 EL表示装置
31 本発明の偏光子
32 位相差フィルム
33 基板
34 層間絶縁膜
35 画素電極
36 発光層
37 カソード電極
38 乾燥剤
39 封止フタ
40 薄膜トランジスタ
41 リブ
42 薄膜封止膜
44 EL表示装置
111 光源
112 第1のレンズアレイ
112a レンズ
113 第2のレンズアレイ
114 偏光変換素子
115 重畳レンズ
121,123,132 ダイクロイックミラー
122 反射ミラー
140R、140G,140B 液晶パネル
142,143 本発明の偏光子
150 クロスダイクロイックプリズム
170 投写レンズ
180 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):

[式(1)中、X、X及びXは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、又は置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基を表す。ただしX、X及びXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
及びYは、互いに独立に、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR=CR−、−C≡C−又は−CR=N−を表す。
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。
は、重合性基を表す。
及びVは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。
及びWは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。]
で表される液晶化合物、及び式(2):

[式(2)中、A及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基を表す。
は、フェニル基、フェニルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基又は(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10である。
、B及びBは、互いに独立に、−O−、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−又は単結合を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Zは、重合性基を表す。]
で表される液晶化合物を含む組成物。
【請求項2】
さらに、溶剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
重合性基が、アクリロイルオキシ基である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
さらに、重合開始剤を含む請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物中の式(1)で表される液晶化合物と式(2)で表される液晶化合物とを重合させることにより得られる偏光子。
【請求項6】
重合を、組成物が液晶相に配向する温度で行う請求項5記載の偏光子。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物を支持基材に塗布し、該組成物が液晶相に配向する温度で光照射して得られる偏光子。
【請求項8】
前記液晶相が、スメクチック相である請求項6又は7記載の偏光子。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか一項記載の偏光子と、発光源とを含む表示装置。
【請求項10】
式(2):

[式(2)中、A及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基を表す。
は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基を表す。
は、フェニル基、フェニルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基又は(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10である。
、B及びBは、互いに独立に、−O−、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−又は単結合を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜11のアルカンジイル基を表す。
nは、1〜3の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Zは、重合性基を表す。]
で表される液晶化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−246696(P2011−246696A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96025(P2011−96025)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】