説明

組織からの活性物質を伴う装置

細胞または組織から創傷に生理活性作用物質を供給する手段、例えば、細胞または組織成分を含む容器に接続され、次いで供給管に接続され、適合性のある創傷被覆材に接続された、灌流液貯蔵容器からの1つまたは複数の生理活性成分を含む灌流液流体および創傷被覆材からの創傷滲出液がデバイス(単一のポンプまたは2つもしくはそれ以上のポンプであってもよい)により移動され、創傷被覆材を貫通する流路に流体を通す創傷を洗浄するための装置、および創傷の吸引および灌流を同時に行うための手段。後者は、創傷治癒に有害な物質を取り除き、その一方で、創傷床上で正確に、また時間に関する管理を行いつつ治療的に活性のある量の細胞または組織からの創傷治癒を促進するのに有益な物質および生理活性成分を分配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置および創傷被覆材、および傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うためにそのような装置を使用して傷を治療する方法に関するものである。
【0002】
本発明は、さまざまな特に慢性の創傷から創傷治癒に有害な物質を浄化し、細胞または組織を使用してそのような物質を加えつつ、ある種の治療面において特に創傷治癒に有益な物質を保持し、細胞または組織を使用してそのような物質を加えるために、さまざまな特に慢性の創傷に容易に施すことができるような装置、創傷被覆材、および方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本発明以前には、そのための吸引および/または灌流治療装置が知られており、創傷治療時に創傷の滲出液を除去するために使用される傾向があった。このような創傷治療の知られている形態では、創傷からのオフテイクは、特に滲出液の多い状態のときには、取り除かれて、例えば、回収袋に廃棄される。
【0004】
創傷治癒に有害な物質は、この方法で取り除かれる。
【0005】
しかし、増殖因子、細胞外マトリクス成分およびその断片、および創傷から出る滲出物の他の生理活性成分などの創傷治癒を促進するのに有益な物質は、そのような治療が適用されたときに、それらの物質が潜在的に最も有益であると思われる部位、つまり創傷床へと失われる。
【0006】
さらに、本発明以前には、知られている吸引および/または灌流装置は、創傷治療時の創傷滲出液からの治癒に有害な物質を取り除くためにのみ使用され、創傷治癒を促進するのに有益な他の物質を細胞または組織から送出するのには使用されなかった。後者の例としては、増殖因子、細胞外マトリクス成分およびその断片、選択的プロテアーゼ、線維素溶解系因子およびその組合せなどの、細胞または組織からの物質を含む。
【0007】
そのような知られている形態の創傷被覆材ならび吸引および/または灌流治療システムは、創傷被覆材の下に創傷環境を形成することが多く、その結果、人体自体の持つ組織治癒の最適な能力を喪失して、治癒が遅くなり、および/または創傷床によく接着し創傷床から成長する強い三次元構造を持たない弱い新組織の成長が生じうる。これは、特に慢性的創傷の場合に著しく不都合な点である。
【0008】
そこで、以下のことを行える治療システムを実現することが望ましいであろう。
a)創傷治癒に有害な物質を除去しつつ、
b)創傷治癒を促進するのに有益な物質を保持し、例えば創傷床と接触する細胞または組織を使用してそのような物質を加える。
【0009】
透析治療は、血液などの体液をex vivoで処理し、体液から人体に有害な物質を全身的に浄化する知られている方法である。血液、細胞、およびタンパク質などの物質を保持しつつ、透析液との接触よりそのような物質を取り除くことが、透析の主たる目的である。追加の陽性の治療効果を持つと思われる他の物質は、これらの物質に対しても浸透性のある透析膜を通してシステムへと失われる。そのため、再循環する体液中のこのような物質のバランスは、さらに崩れうる。
【0010】
創傷治癒を促進するのに有益な物質を実質的に希釈することなく、また創傷床と接触すべき細胞または組織を使用してそのような物質を加えつつ、創傷治癒に有害な物質を取り除くことができ、またそのような物質を連続的に創傷に供給し、再循環させることが同時にできる、治療システムを実現することが望ましいであろう。
【0011】
体液を処理する透析治療は、処理済み体液が体内に戻されるので全身療法でもある。
【0012】
これは、処理済み流体が人体の外で、例えば、創傷へ再循環される局所療法とは対照的である。
【0013】
さらに、透析治療は、血液などの体液、または透析液のいずれかを大量に必要とし、その結果、当該デバイスは、持ち運びできない傾向がある。
【0014】
滲出液の多い状態であっても、慢性的な創傷では、内部身体系と比較して処理されるべき流体は比較的少なく、また創傷および/またはその環境内で保持すべきある種の治療面において有益な物質も比較的少ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、
a)知られている吸引および/または灌流治療システムの上述の欠点の少なくとも一部を取り除くこと、および
b)創傷治癒に有害な物質を除去しつつ、創傷治癒を促進するのに有益な物質を保持し、また創傷床と接触すべき細胞または組織を使用してそのような物質を加えることができる治療システムを実現することである。
【0016】
本発明の他の目的は、
a)知られている透析治療システムの上述の欠点の少なくとも一部を取り除き、
b)創傷治癒に有害な物質を除去しつつ、創傷治癒を促進するのに有益な物質を保持し、また創傷床と接触すべき細胞または組織を使用してそのような物質を加えることができる治療システムを実現し、しかも
c)全身に影響を及ぼさないことである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、
a)知られている透析治療システムの上述の欠点の少なくとも一部を取り除き、
b)創傷治癒に有害な物質を除去しつつ、創傷治癒を促進するのに有益な物質を保持し、また創傷床と接触すべき細胞または組織を使用してそのような物質を加えることができる治療システムを実現し、
c)持ち運びできることである。
【0018】
本発明の他の目的は、
a)知られている透析治療システムの欠点の少なくとも一部を取り除き、
b)創傷滲出液から創傷治癒に有害な物質を除去しつつ、創傷治癒を促進するのに有益な物質を保持できる治療システムを実現し、しかも
c)さらに細胞または組織を使用して創傷治癒を促進するのに有益な活性のある量の物質を含む流体を供給して、創傷床と接触する創傷の中に供給し、および/または通せる治療システムを実現することである。
【0019】
創傷の下にあり、創傷を囲む組織への血管供給および循環は、損なわれることが多い。
【0020】
本発明の他の目的は、有害な物質を取り除き、それにより創傷治癒を促進しつつ、この効果を逆転するのに有益な治療的に活性のある量の物質を保持し、細胞または組織を使用してそのような物質を供給する治療システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで、本発明の第1の態様によれば、創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置が実現され、これは、
a)流体流路であって、
i)適合性のある創傷被覆材であって、
創傷上で比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成することができるバッキング層と、
前記創傷フェーシング面を通過する、および/またはその下を通る流体供給管に接続するための少なくとも1本のインレットパイプと、
前記創傷フェーシング面を通過する、および/またはその下を通る流体オフテイク管に接続するための少なくとも1本のアウトレットパイプとを備え、
そのポイントで、前記またはそれぞれのインレットパイプおよび前記またはそれぞれのアウトレットパイプが前記創傷上の比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成する前記創傷フェーシング面を通り、および/または下を通り、
少なくとも1本のインレットパイプが流体再循環管に接続され、少なくとも1本のアウトレットパイプが流体オフテイク管に接続される適合性のある創傷被覆材と、
ii)流体オフテイク管に接続する少なくとも1つの入口および流体再循環管に接続する少なくとも1つの出口を備える流体浄化用の手段とを含む流体流路と、
b)創傷被覆材内に流体を通すためのデバイスおよび流体浄化を行う手段、および適宜または必要に応じて流体供給管と、
c)生理活性作用物質を細胞または組織から創傷に供給する手段と、
d)適宜、または必要に応じて、流路の排出を行い、流体を供給して、流路を満たし、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給し、流路を通してデバイスにより流体を再循環させる手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置が実現され、これは、
a)流体流路であって、
i)創傷被覆材であって、バッキング層と、
バッキング層を通過し、および/またはその下を通る、流体供給管に接続するための少なくとも1本のインレットパイプ、およびバッキング層を通過し、および/またはその下を通る、流体オフテイク管に接続するための少なくとも1本のアウトレットパイプとを有し、
少なくとも1本のインレットパイプが流体再循環管に接続され、少なくとも1本のアウトレットパイプが流体オフテイク管に接続される創傷被覆材と、
ii)流体オフテイク管に接続する少なくとも1つの入口および流体再循環管に接続する少なくとも1つの出口を備える流体浄化用の手段とを含む流体流路と、
b)創傷被覆材内に流体を通すためのデバイスおよび流体浄化を行う手段、および適宜または必要に応じて流体供給管と、
c)生理活性作用物質を細胞または組織から創傷に供給する手段と、
d)適宜、または必要に応じて、流路の排出を行い、流体を供給して、流路を満たし、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給し、流路を通してデバイスにより流体を再循環させる手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
吸引および灌流は、順次または同時であってよい。
【0024】
パイプは、装置の動作に関連して接続されるものとして、または管、例えば流体供給管、流体再循環管、または流体オフテイク管(の合わせ端)への接続について説明されているが、パイプおよび管は、創傷から循環する流体が通る流路内に単一の完全体を形成することができる。
【0025】
正確に、また時間的な管理をしつつ、治療的に活性のある量のこのような生理活性成分を長時間にわたって送達するとともに、
a)創傷滲出液から創傷治癒に有害な物質を除去し、ただしその際に、
b)創傷床と接触する創傷治癒を促進するのに有益な物質(細胞または組織を使用して加えられたそのような物質を含む)を実質的に希釈することをせず、
c)そのような物質を創傷に連続的に供給し、再循環させると、
創傷治癒は、
i)治療に(複数の)流体生理活性成分だけを使用するか、または
ii)局所ボーラス送達を行う方法に比べて大きく促進される。
【0026】
局所ボーラス送達に勝る利点としては、創傷表面のすべての領域に対するバイオアベイラビリティが高いこと、創傷被覆材の交換と最適用量との間で送達が長時間であることが挙げられる。例えば、TGFβなどの因子は、高い濃度と低い濃度で異なる効果を示す。
【0027】
したがって、望ましくない効果は、局所適用と局所適用との間の滞留が長くなるようにいたずらに高い用量を用いた結果であるといえる。
【0028】
陽圧の下での創傷床への供給は有利な場合があるが、それは、バッキング層の下の創傷に陽圧を加えることで、創傷の下にある組織を、細胞または組織を使用して加えられた治療的に活性のある量の1つまたは複数の生理活性成分に浸して、(複数の)静的流体生理活性成分単独で処理した場合よりも高い創傷治癒を促進することが可能であるからである。
【0029】
本発明の創傷の灌流および/または吸引を行うための装置を循環的に使用し、および/または流れを逆転することで、効果をさらに高めることができると考えられる。
【0030】
生理活性作用物質を細胞または組織から創傷に供給する手段は、
a)灌流液貯蔵容器と、これが接続される
b)細胞または組織成分を入れた容器と、さらにこれが接続される
c)流路内への供給管とを備えると都合がよいことが多い。
【0031】
生理活性作用物質を細胞または組織から適合する創傷被覆材内に供給することが多い。
【0032】
使用時に、灌流液は、貯蔵容器から細胞または組織を入れた容器に通され、そこから出るが、細胞または組織により発現される創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質を含む。
【0033】
修正された灌流液(細胞または組織から加えられたような生理活性作用物質を含む)は、流体を供給管および創傷被覆材に通し創傷に到達させるためのデバイスにより移動される。次いで、創傷滲出液と混合され、流路にそって移動し、オフテイク管に通される。
【0034】
そこで、本発明の創傷を灌流し、浄化し、および/または吸引するための装置の一実施形態は、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給する手段が、
a)灌流液貯蔵容器と、これが接続される
b)細胞または組織成分を入れた容器と、さらにこれが接続される
c)供給管とを備えることを特徴とする。
【0035】
使用時に、灌流液は、貯蔵容器から細胞または組織を入れた容器に通され、そこから出るが、細胞または組織により発現される創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質を含む。修正された灌流液(細胞または組織から加えられたような生理活性作用物質を含む)は、流体を供給管および創傷被覆材に通し創傷に到達させるためのデバイスにより移動される。次いで、創傷滲出液と混合され、流路にそって移動し、オフテイク管に通される。
【0036】
本発明の創傷を灌流し、浄化し、および/または吸引するための装置の他の実施形態では、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給する手段は、
a)灌流液貯蔵容器と、
b)細胞または組織成分を入れた容器とを備え、
d)これらは両方とも、供給管に並列に接続され、創傷に流体を通すための少なくとも1つのデバイスの作用の下で細胞または組織からの生理活性作用物質および灌流液を創傷に供給する。
【0037】
装置のこの実施形態では、灌流液貯蔵容器および細胞または組織成分を入れた容器は、例えば、Y接合部により供給管に接続されうる。使用時に、灌流液は、貯蔵容器から供給管に通され、細胞または組織により発現される創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質を含む流体(細胞または組織の栄養培地としてよい)は、細胞または組織を入れた容器から供給管に通される。灌流液は、細胞または組織から加えられたような生理活性作用物質と混合され、流体を創傷に通し創傷に送るためのデバイスにより移動される。
【0038】
本発明の創傷を灌流し、浄化し、および/または吸引するための装置のさらに他の実施形態では、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給する手段は、
a)灌流液貯蔵容器と、これが接続される
b)創傷に流体を通すための少なくとも1つのデバイスの作用の下で灌流液を創傷に供給する第1の供給管と、
c)細胞または組織成分を入れた容器と、これが接続される
d)生理活性作用物質を細胞または組織から創傷被覆材に供給する第2の供給管とを備える。
【0039】
使用時に、灌流液が、貯蔵容器から、灌流液を創傷に供給するための第1の供給管に通される。細胞または組織により発現される創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質を含む流体は、細胞または組織を入れた容器から、生理活性作用物質を細胞または組織から創傷被覆材に供給するための第2の供給管に通される。それぞれ、流体を創傷に通し創傷に送るためのデバイスにより移動される。灌流液は、細胞または組織から加えられた生理活性作用物質と創傷領域内で混合される。
【0040】
本発明の創傷を灌流し、浄化し、および/または吸引するための装置の他の実施形態では、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給する手段は、
a)灌流液貯蔵容器と、これが接続される
b)バッキング層の下で、細胞または組織成分を入れ、細胞または組織からの生理活性作用物質、および灌流液を少なくとも1つのデバイスの作用の下で創傷に供給し流体を創傷に通すための少なくとも1つの流路または導管を介して創傷と連絡する容器とを備える。
【0041】
細胞または組織成分を入れた容器は、被覆材の他の構成要素、特にバッキング層と一体にすることができる。それとは別に、これは、例えば粘着フィルムで、またはヒートシーリングにより恒久的に、または取り外し可能なようにそれらの/その要素に接着させることができる。
【0042】
使用時に、灌流液は、貯蔵容器から細胞または組織を入れた容器に通され、そこから細胞または組織により発現される創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質を含むバッキング層近位面の下の創傷領域内に出る。
【0043】
本発明の創傷を灌流し、浄化し、および/または吸引するための装置のさらに他の実施形態では、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給する手段は、
a)第1の灌流液貯蔵容器と、これが接続される
b)創傷に流体を通すための少なくとも1つのデバイスの作用の下で灌流液を創傷に供給する供給管と、
c)第2の灌流液貯蔵容器と、これが接続される
d)バッキング層の下で、細胞または組織成分を入れ、細胞または組織からの生理活性作用物質、および灌流液を少なくとも1つのデバイスの作用の下で創傷に供給する流体を創傷に通すための少なくとも1つの流路または導管を介して創傷と連絡する容器とを備える。
【0044】
細胞または組織成分を入れた容器は、被覆材の他の構成要素、特にバッキング層と一体にすることができる。それとは別に、これは、例えば粘着フィルムで、またはヒートシーリングにより恒久的に、または取り外し可能なようにそれらの/その要素に接着させることができる。
【0045】
使用時に、灌流液が第1の貯蔵容器から、灌流液を創傷に供給するための供給管に通される。灌流液は、さらに、第2の貯蔵容器から容器に送られる。
【0046】
細胞または組織により発現される創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質を含む流体は、細胞または組織を入れた容器から、生理活性作用物質を細胞または組織から創傷被覆材に供給するための第2の供給管に通される。それぞれ、流体を創傷に通し創傷に送るためのデバイスにより移動される。
【0047】
灌流液は、細胞または組織から加えられた生理活性作用物質を含む修正された灌流液と創傷領域内で混合される。
【0048】
細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給するための手段のこれらの実施形態のすべてにおいて、2つまたはそれ以上の異なるタイプの細胞または組織を使用することができる。このようなシステムでは、第1の入力細胞または組織タイプは、第1の容器内に入れられ、第2の入力細胞または組織タイプは、第2の容器内に入れられることが多い。
【0049】
2つの入力細胞または組織タイプおよび容器は、流体を創傷に通すための少なくとも1つのデバイスの作用下で創傷被覆材および創傷床と並列に生理活性作用物を供給することができる。
【0050】
装置のこの実施形態では、細胞または組織成分を入れた容器は、例えば、Y接合部により単一の供給管に、したがって、創傷被覆材に接続することができるか、または、例えば、別の供給管によりその創傷被覆材に接続することができ、細胞または組織からの生理活性作用物質の2つの流れは適宜細胞に対する灌流液および/または栄養培地とともに創傷被覆材の下の創傷領域内で適宜相互に混合される。
【0051】
細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給するためのこの手段の代替えレイアウトにおいて、第1の入力細胞または組織タイプが入っている第1の容器は、第2の細胞または組織タイプが入っている第2の容器と直列に流体により連絡する。
【0052】
したがって、これらは、流体を創傷に通すための少なくとも1つのデバイスの作用下で創傷被覆材および創傷床と直列状態で生理活性作用物を供給する。細胞または組織から生理活性作用物質を供給する手段のこのレイアウトでは、2つの容器が、単一の容器として効果的に機能する。
【0053】
上述のように、細胞または組織に対する灌流液および/または栄養培地は、多くの場合、細胞または組織成分の容器を通して供給され、次いで創傷被覆材に供給される。使用時に、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給するための手段のこれらのレイアウトは、単一の細胞または組織タイプとの類似性と全く同様に装置内で機能する。
【0054】
容器は、灌流液が通される、細胞または組織成分が入っている室または区画を備える、例えば、キャニスター、カートリッジ、またはカセットなどの中空体の形態であることが多い。
【0055】
細胞または組織成分が入っている容器が、バッキング層の外にある場合、構造は、ガラス、および/または合成ポリマー材料で作られることが多い。例えば、このような構造は、骨格上で細胞または組織を含む、貫流用の軸方向の入口および出口を備える室を定めるガラス製シリンダーとしてよい。
【0056】
細胞または組織成分が入っている容器が、バッキング層の下にある場合、構造は、適合性のある合成ポリマー材料で作られることが多い。
【0057】
このような構造は、骨格上で細胞または組織を含み、少なくとも1つのチャネルまたは導管を介して創傷と連絡する、入口を備える室を定める構造としてよい。
【0058】
後者は、創傷に流体を通すための少なくとも1つのデバイスの作用の下で細胞または組織からの生理活性作用物質および灌流液を創傷に供給する。
【0059】
細胞または組織成分を入れた容器が、創傷被覆材の他の構成要素、特にバッキング層と一体になっている場合、通常は、それらの構成要素と同じポリマー材料のものである。それとは別に、これが、例えば、粘着フィルムで、またはヒートシーリングにより恒久的に、または取り外し可能なように、それらの/その要素に接着させることができる場合、異なるポリマー材料のものであってよい。
【0060】
これは、不溶性の固定化された基材に結合されない細胞または組織成分を含み、創傷被覆材からの灌流液および/または創傷滲出液は、この基材の上を通り過ぎ、および/またはこの基材の中を通るものとしてよい。
【0061】
そのような構造は、不溶性の固定化された基材に結合されない細胞または組織成分を含み、創傷被覆材からの灌流液および/または創傷滲出液は、この基材の上を通り過ぎ、および/またはこの基材の中を通るものとしてよい。
【0062】
次いで、これは、適宜、創傷滲出液、または灌流液との混合物に対する浸透性を有するが、細胞または組織成分を保持し、粒子状物質、例えば、細胞残屑を中空体内に保持するのに断面寸法が十分に小さい開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、または細孔を有する2つまたはそれ以上の完全体を備えることができる。次いで、これらの完全体はそれぞれ、巨視的および/または顕微的フィルタを効果的に形成しうる。
【0063】
それとは別に、これは、不溶性の固定化された基材、例えば、骨格に結合された細胞または組織成分を含み、創傷被覆材からの灌流液および/または創傷滲出液は、この基材の上を通り過ぎ、および/またはこの基材の中を通るものとしてよい。
【0064】
これは、(細胞)毒性のなく、また生体適合性があり、天然および合成ポリマー材料を含む、創傷治癒を促進するのに有益な成分に対し不活性である物質であることが多い。
【0065】
これは、典型的には、多くの場合、断面寸法が小さい開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロットを有する適合性のあるフィルム、シートまたはメンブレインの形態をとりうる。
【0066】
次いで、これは、メッシュ、グリッド、格子、ネット、またはクモの巣状構造物である構造を効果的に形成することができる。
【0067】
次いで、細胞または組織用の容器は、中空体内に細胞または組織成分を保持するために創傷滲出液または灌流液との混合物に対し浸透性を有する2つまたはそれ以上の完全体を備える必要はなくてもよいが、粒子状物質、例えば、細胞残屑を保持するためには望ましいと思われる。
【0068】
組織または細胞成分が入っている完全体は、通常、細胞の生存可能性および活性を維持するように形成されたデバイス内に装着される。これは、限定はしないが、栄養物を供給し、ガス交換を調節し、最適な温度を維持する手段を含む。
【0069】
栄養物を供給する手段は、細胞または組織を入れた容器内で細胞または組織の細胞増殖、および/または創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質のそのような細胞または組織による発現を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質を含む細胞または組織用の従来の栄養培地を含むことができる。
【0070】
創傷治癒を促進するのに有益な治療効果のある量の物質を得るために、細胞または組織中を通る、および/または上を通る流体流は、かなり長い滞留時間で、および/またはかなり長い期間に、複数のサイクルにわたって維持されなければならない場合がある。
【0071】
そこで、細胞または組織から生理活性作用物質を上述の創傷に供給するための手段のこれらの実施形態において、細胞または組織成分を入れた容器に、
a)ポンプで、細胞または組織用の栄養培地を栄養培地貯蔵容器から取り出し、栄養培地貯蔵容器に戻す再循環、例えば、細胞または組織を入れた容器に接続された貯蔵容器を含むループを実行するための手段と、
b)貯蔵容器および容器を含むループの再循環と関連する供給管への供給との間で流体流を切り換えるための手段とを備えることができる。
【0072】
流体流を切り換えるためのこのような手段は、ループおよび流体供給管内の少なくとも1つの一方向弁、または供給管およびループを接続する二方向弁を備えることができる。
【0073】
使用時に、細胞または組織用の栄養培地は、貯蔵容器、および細胞または組織が入っている容器を含むループにおいて、かなり長い滞留時間をかけ、および/またはかなり長い期間にわたり、複数のサイクルにより、細胞または組織が入っている容器内の細胞または組織の細胞増殖および/または創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の生理活性成分物質のそのような細胞または組織による発現が所望のレベルに達するまで、ポンプを使って栄養培地貯蔵容器から出され、栄養培地貯蔵容器に戻されるという、再循環が実行される。
【0074】
次いで、細胞または組織用の栄養培地を栄養培地貯蔵容器から出し、栄養培地貯蔵容器に戻す再循環は、停止され、関連する供給管への供給が開始される。
【0075】
これは、ポンプを停止し、および/またはループ内の一方向弁を閉じ、供給管内で開くことにより、または供給管とループを接続する二方向弁を切り換えることにより行うことができる。
【0076】
生理活性成分物質の必要な望ましいレベル、弁、ポンプ、サイクル数、滞留時間、および/または期間は、当業者には明白なことであろう。
【0077】
上記のように、創傷を吸引し、灌流し、および/または浄化するための本発明の第1の態様の装置の他の実施形態では、特に有利な点は、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給する手段が、創傷被覆材内に置かれることである。
【0078】
使用時に、灌流液は、生理活性作用物質を創傷被覆内にある創傷に供給するために貯蔵容器から細胞または組織成分に通され、そこから出るが、細胞または組織により発現される創傷治癒を促進するのに有益な1つまたは複数の成分生理活性成分物質を含む。
【0079】
修正された灌流液(細胞または組織から加えられたような生理活性作用物質を含む)は創傷滲出液と混合され、流路にそって流体をオフテイク管に通すためのデバイスにより移動される。
【0080】
そこで、本発明の創傷を灌流し、浄化し、および/または吸引するための装置の一実施形態は、細胞または組織から生理活性作用物質を創傷に供給する手段が、
a)灌流液貯蔵容器と、これが流体により接続される
b)細胞または組織成分を含む創傷被覆材とを備えることを特徴とする。
【0081】
創傷上に比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成することができる、創傷被覆材バッキング層、および創傷床は、細胞または組織を含む創傷領域を定める。別の容器について上で指摘されているように、創傷領域は、不溶性の固定化された基材に結合されない細胞または組織成分を含み、創傷からの灌流液および/または創傷滲出液は、この基材の上を通り過ぎ、および/またはこの基材の中を通るものとしてよい。
【0082】
次いで、これは、適宜、創傷滲出液、または灌流液との混合物に対する浸透性を有するが、細胞または組織成分を保持し、粒子状物質、例えば、細胞残屑を中空体内に保持するのに断面寸法が十分に小さい開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、または細孔を有する2つまたはそれ以上の完全体を備えることができる。
【0083】
次いで、これらの完全体はそれぞれ、巨視的および/または顕微的フィルタを効果的に形成しうる。
【0084】
それとは別に、これは、不溶性の固定化された基材、例えば、骨格に結合された細胞または組織成分を含み、創傷からの灌流液および/または創傷滲出液は、この基材の上を通り過ぎ、および/またはこの基材の中を通るものとしてよい。
【0085】
これは、細胞または組織成分を入れた別の容器のそのような構成要素に適しているもののうちとりわけ上記の材料であることが多いか、または典型的には、上記の形態としてよい。
【0086】
創傷領域は、灌流液および/または創傷滲出液と接触する任意の適切な位置で細胞または組織成分を含むことができ、この成分は、適宜、創傷被覆材の任意の完全体、例えば、被覆材バッキング層または創傷充填材に接着または他の何らかの方法で固定されうるか、または恒久的に非付着状態の別の構造物としてもよい。
【0087】
これは、創傷床と接触した状態になることが多い。そのように接触する場合、これは、
a)不溶性の固定化された基材に結合され、創傷からの灌流液および/または創傷滲出液が、この基材の上を通り過ぎ、および/またはこの基材の中を通るか、または
b)不溶性の固定化された基材に結合されず、創傷滲出液または灌流液との混合物に対し浸透性のある2つまたはそれ以上の完全体に含まれ、
c)創傷床と接触する小さな断面寸法の開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、または細孔を有する生分解性のメッシュ、グリッド、格子、ネット、またはクモの巣状構造物を備えれば、有利であると思われる。
【0088】
連続的に供給され、再循環される灌流液および/または創傷滲出液と接触する細胞または組織成分は、創傷治癒に有利な要素を灌流液に加える能力を有しているが、この同じ要素は、さらに、生分解性のメッシュ、グリッド、格子、ネット、またはクモの巣状構造物の小さな断面寸法の開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、または細孔内に創傷床細胞を増殖させるのを手助けし、これは創傷治癒にも有益である。
【0089】
組織成分は、創傷治癒に有益な物質を灌流液に合わせて変化させるか、または発現させ、灌流液を修正する能力を有する。
【0090】
以下でさらに詳しく説明されるように、創傷治癒に有益なこのような要素は、滲出液および/または滲出液と灌流液中で創傷治癒にとって有害な要素に対する生化学的な、例えば、酵素的、または物理的拮抗剤であってよい。
【0091】
本発明の創傷を灌流し、浄化し、および/または吸引する装置の追加の一実施形態は、創傷治癒を促進する量だけ細胞または組織を使用して加えられた生理活性成分が、物質を取り除くことにより、あるいは創傷治癒に有害な過程を調節するか、または制限するか、または阻害することにより、創傷治癒を促進するのに有益な物質を含むことを特徴とする。
【0092】
治療される創傷の特定のタイプおよび創傷を吸引し、灌流し、および/または浄化する本装置で使用される特定の細胞または組織に応じて、取り除かれるべき有害な物質としては、セリンプロテアーゼ、例えば、エラスターゼおよびトロンビン、システインプロテアーゼ、マトリクスメタロプロテアーゼ、例えば、コラゲナーゼ、およびカルボキシル(酸)プロテアーゼなどのプロテアーゼ、トロンボスポンジン−1(TSP−1)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、またはアンギオスタチン(プラスミノーゲン断片)などの血管形成の阻害剤、腫瘍壊死因子アルファ(TNFa)およびインターロイキン1ベータ(IL−1β)などの炎症性サイトカイン、およびリポ多糖類および例えばヒスタミンなどの炎症性物質などが考えられる。
【0093】
ここでもまた、治療される創傷の特定のタイプおよび創傷を吸引し、灌流し、および/または浄化する本装置で使用される特定の細胞または組織に応じて、加えられる有益な物質としては、創傷滲出液中の創傷治癒に有害な物質に対する拮抗剤、例えば、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤などのプロテアーゼ阻害などの酵素またはその他の物質、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤、およびカルボキシル(酸)プロテアーゼ阻害剤、リポ多糖体を結合または破壊する抗炎症物質、例えばペプチドミメティックなどの結合剤および/または分解剤などが考えられる。
【0094】
これらは、さらに、ペプチド(サイトカイン、例えば、α−アミノ−γ−ブチロラクトンおよびL−ホモカルノシンなどのバクテリアサイトカイン)、および他の生理活性成分を含む。
【0095】
さらに、このような物質に対する拮抗剤の例として、天然タンパク質または組換え生成タンパク質、メタロプロテイナーゼ(TIMP 1から4)およびアルファ1−抗トリプシン(AAT)の組織阻害剤などのプロティナーゼ阻害剤、アプロチニン、α−2−マクログロブリン、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、好中球エラスターゼ、トロンボスポンジンまたはカリスタチンおよびその組合せなどの新生血管の形成(血管形成)の阻害剤など、創傷治癒に有害な過程または物質を阻害もしくは不活性化する不適切なレベルの抗体または他の分子がある。
【0096】
それとは別に、またはそれに加えて、灌流液は、適宜、天然タンパク質または組換え生成タンパク質創傷清拭剤の安定供給を行い、創傷床から痂皮、壊死細胞、および組織を取り除き、制限することができる。
【0097】
このような実施例としては、ストレプトキナーゼ、プラスミン、トリプシン、コラゲナーゼ、および他の選択的プロテアーゼまたは線維素溶解因子およびその組合せがある。
【0098】
好ましくは、創傷被覆材に供給される灌流液は、それとは別に、またはそれに加えて、適宜、アスコルビン酸またはその安定誘導体などの抗酸化物質、およびグルタチオンまたは天然タンパク質またはスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)またはフリーラジカル生成物質などの組換え生成タンパク質などのフリーラジカル捕捉剤などの細胞または組織を使用して追加された物質を含んでいてもよく、これにより創傷治癒の機会が最大になるように創傷床酸化的ストレスおよび酸化能のバランスをとることができる。
【0099】
しかし、活性物質は、デバイスにより流路に通され、生化学的、酵素的、または物理的手段に通され、再循環されるときに、生化学的、酵素的、または物理的拮抗剤などの役割を果たすことなく、創傷床に有利に作用し、また創傷治癒を助けることができる。
【0100】
さらに、このような成分(ただし供給される)の例として、
血小板溶解物、血漿、または血清などの自己、同種異系、または異種血液または血液製剤、
血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、形質転換増殖因子アルファ(TGFα)または形質転換増殖因子β(TGFβ−1、2、または3)、塩基性線維芽細胞増殖因子(b−FGF、FGF2とも呼ばれる)、上皮細胞増殖因子(EGF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などの天然タンパク質または組換え生成タンパク質成長因子、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、およびケラチノサイト成長因子2 KGF2(FGF7とも呼ばれる)、
インターロイキン1β(IL1β)、またはインターロイキン8(IL−8)などの天然精製タンパク質または組換え生成タンパク質サイトカイン、
そのような治療が施されるときに創傷床にとって有益である灌流液中で増強されうる、急性または慢性の創傷に通常存在しようとなかろうと他の生理活性作用物質、およびその組合せがある。
【0101】
それとは別に、またはそれに加えて、創傷被覆材に供給される灌流液は、適宜、増殖または移動、または糖類、アミノ酸、プリン、ピリミジン、ビタミン、金属イオンまたは無機物などの、創傷治癒に有益なマトリクス成分または因子の合成を助けるための、創傷細胞用の栄養物など細胞または組織を使用して加えられた物質を含むことができる。
【0102】
それとは別に、またはそれに加えて、創傷被覆材に供給される灌流液は、適宜、活性遺伝子または遺伝子含有ベクター(DNA、RNA、またはその修飾版)として、または裸の分子、核酸結合キャリアと複合化された分子、リポソーム内の分子として、またはウイルスベクターとして、核酸分子の送達を可能にする物質を供給し、これにより創傷床細胞に対し遺伝子治療分子の正確に計測された安定した送達を行うことができる。生理的活性作用物質を細胞または組織から創傷に供給するための手段において、細胞または組織成分内に入り、またそこを通る貯蔵容器からの灌流液は、多くの場合、都合のよいことに、この手段において細胞または組織の増殖、および/または生理活性作用物質の安定した、正確に測定された発現および供給を助ける、細胞培養液種、例えば、微量元素および/またはアミノ酸、糖類、低分子量組織構成単位、プリン、ピリミジン、ビタミン、金属イオンまたは無機物、および/または空気、窒素、酸素、および/または酸化窒素などの気体などの他の栄養物を含む。
【0103】
このような場合、上記の物質は、さらに、細胞または組織の増殖を助け、および/または他の何らかの方法で創傷治癒に有益である、創傷床細胞に供給する好適な治療分子でもある。このような場合、細胞または組織成分の中へ入り、また通る貯蔵容器からの灌流液が、細胞培養液種を含み、それ以降、適切であれば流路に入る供給管を介して創傷床に供給され、そのような細胞培養液種が灌流液とともに創傷床に入るシステムを実現することが望ましいと思われる。
【0104】
貯蔵容器からの灌流液は、当業者にとって明らかな従来の方法で、細胞または組織の最適な温度を維持し、および/またはガス交換を調節するために使用されうる。このようなシステムは、さらに、治療効果のある量の生理活性成分を使用して実用的な速度で創傷を灌流することが必要である。
【0105】
正確に、また時間を管理しつつ、上に示されている創傷灌流液パラメータおよび機能を調節することができる自動化されたプログラム可能なシステムは、使用に特に適しているシステムである。
【0106】
組織成分は、ex vivo(自己、同種異系、異種)の未培養組織外植体としてよい。
【0107】
それとは別に、組織成分は、培養期間なしで使用されていた、分離または部分的に分離された細胞から形成されるか、またはin vitroで培養されてもよい。培養過程は、成長および増殖または単に培養物のインキュベーションを伴いうる。
【0108】
提供元の組織は、皮膚、筋肉、骨、神経、結合組織、腸、肝臓または羊膜組織および他の器官またはその組合せなどの器官から得られる組織であってよく、その細胞および組織は、適切な特性を保持する。
【0109】
細胞または組織は、完全生存可能あるか、または生存可能であってよいが、照射または薬品処理を通じて非分裂にされるか、または適切な培養期間の後に生存できないものにされうる。
【0110】
それとは別に、細胞または組織に対し、特定の物質、例えば、増殖因子、細胞外マトリクス成分またはその断片、および他の生理活性成分などの、創傷治癒を促進するのに有益なタンパク質、または滲出液および/または滲出液と灌流液中の創傷治癒にとって有害な要素に対する生化学的、例えば、酵素的または物理的拮抗剤の生産を高めるために遺伝子操作を行うことができる。
【0111】
創傷床に有益に作用し、および/または創傷治癒に有害な物質を滲出液および/または滲出液と灌流液から取り除いて浄化する活性物質をもたらす組織成分は、共培養からなる場合がある。
【0112】
共培養は、2つまたはそれ以上の細胞タイプまたは組織外植体のin vitroまたはex vivoの培養を含む。これは、完全生存可能あるか、または生存可能である一方または両方の入力細胞または組織とともにあってもよいか、または照射もしくは薬品処理を通じて非分裂にされるか、または適切な培養期間の後に生存できないものにされうる。それとは別に、細胞または組織に対し、特定の物質、例えば、増殖因子、細胞外マトリクス成分またはその断片、および他の生理活性成分などの、創傷治癒を促進するのに有益なタンパク質、または滲出液および/または灌流液中の創傷治癒にとって有害な要素に対する生化学的、例えば、酵素的または物理的拮抗剤の生産を高めるために遺伝子操作を行うことができる。
【0113】
入力細胞または組織は、密に混合されるか、または混ぜ合わされる、あるいは層として積み重ねられる形で存在しうる。
【0114】
いくつかのシステムでは、構成細胞または組織の間に半透性膜またはマトリクスを置くことで、生化学的物質またはタンパク質または他の信号による通信が可能であるが、入力細胞タイプの間に細胞付着はない。他のシステムでは、修正された灌流液は、一方の入力細胞または組織タイプから収集され、第2の入力細胞または細胞タイプに与えられ、第1の入力細胞タイプに(順次または連続的に)返され、これにより最適な出力を生成する。
【0115】
細胞または組織成分は、生化学的手段、タンパク質による手段、酵素的手段、または物理的手段の送達を通じて、または電磁波照射、超音波、または電気的刺激を通じて1回だけ、または繰り返し活性化されうる。
【0116】
流体浄化の手段は、室または区画を備える、容器、例えば、キャニスター、カートリッジまたはカセットなどの中空体の形をとることが多く、これを通じて、創傷滲出液または創傷滲出液と灌流液との混合物(または修正された灌流液)は、デバイスにより流路に通され再循環される。上記の構造物は、ガラス、および/または合成ポリマー材料で作られることが多い。例えば、このような構造は、貫流用の軸方向の入口および出口を備える室を定めるガラス製シリンダーとしてよい。
【0117】
創傷の灌流、創傷の吸引、灌流、および/または浄化のための本発明の装置は、流体浄化の手段を備え、これらは、
a)限外濾過ユニット、または化学吸収および/または吸着ユニットなどの単相システム、または
b)透析ユニット、または二相抽出ユニットなどの二相システムとすることができる。
【0118】
前者では、創傷および細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器からの循環流体は、創傷治癒に有害な物質が除去され、創傷治癒を促進するのに役立つ物質(細胞または組織を使用して追加されたような物質を含む)をそのまま含む浄化流体が、再循環管を介して創傷床に戻される、自足自給型システムを通る。流体浄化のためのそのような手段に供給されたり、入るような他の流体相はない。この二相システムにおいて、創傷からの循環流体および細胞または組織から創傷に生理活性作用物質を供給するための手段は、間接的または(あまり一般的ではないが)直接的に第2の流体(透析液)相と接触しているシステムを通る。
【0119】
創傷治癒に有害な物質は、第2の相内に除去され、創傷治癒を促進するのに有益な物質(細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む)をそのまま含む浄化された循環流体は、再循環管を介して創傷床に戻される。このようなシステムは、これ以降、流体浄化の手段に関連して詳細に説明される。
【0120】
流体浄化の手段は、必要に応じて「単相システム」とすることができる。単相システムは、従来の任意のタイプでよい。
【0121】
このようなシステム内の流体浄化の手段の実施例は、適宜1つまたは複数の巨視的および/または顕微的フィルタを備える、マクロまたは精密濾過ユニットを備える。これらは、微粒子、例えば、細胞残屑および微生物を保持し、タンパク質および栄養物を通すことができる。
【0122】
それとは別に、これらは、さらに、浄化完全体が創傷治癒に有害な物質用のフィルタ、例えば、除去される、創傷治癒に有害な物質に対し選択的に浸透不可能な高性能低タンパク結合ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインであるものなどの限外濾過ユニットを含み、またそれによって創傷治癒を促進するのに有益な物質をそのまま含み、細胞または組織を使用してそのような物質を加える浄化流体が渡される。
【0123】
メンブレインは、酢酸セルロース−硝酸塩混合物、ポリ塩化ビニリデン、および例えば親水性ポリウレタンなどの親水性高分子材料であるのが好ましい。
【0124】
あまり好ましくない材料の実施例は、ポリカーボネート、PTFE、およびポリアミド、例えば、6−6および6−10などのポリエステル、および疎水性ポリウレタン、および石英およびガラスファイバも含む、疎水性物質を含む。これは、微小開口または微小孔を備え、その最大断面寸法は、主に、この方法で選択的に除去される化学種および浸透可能な化学種に依存する。
【0125】
前者は、例えば、通常、20から700ミクロンの範囲の最大断面寸法、例えば、20から50nm(例えば、望ましくないタンパク質の場合)、50から100nm、100から250nm、250から500nm、および500から700nmを有する微小開口または微小孔で除去することができる。
【0126】
フィルタ完全体は、渦の多い渦巻き形、例えば、パイプ、細管などの細長い構造の形態の高分子材料のフラットシートまたはメンブレインとすることができる。
【0127】
システムは、化学吸着ユニット、例えば、ゼオライトなどの微粒子、または例えば官能化されたポリマーの層がその表面に、創傷および細胞または組織用の容器およびそれらの上の流体貯蔵容器から循環流体を通す際に創傷治癒に有害な物質を除去することができる部位があるものとすることができる。
【0128】
これらの物質は、例えば、酵素であってもよい、キレート剤および/またはイオン交換器、分解剤により、例えば、創傷治癒に有害な物質を破壊または結合することにより、除去することができる。
【0129】
このようなものの実施例は、あまり特異性のない化学吸着ユニット、例えば、活性炭またはゼオライトなどの物理的吸収剤がその表面に、創傷および細胞または組織用の容器およびそれらの上で流体貯蔵容器から循環流体を渡す際に創傷治癒に有害な物質を除去することができる非特異性の部位があるものも含む。
【0130】
浄化完全体、例えば、ポリマーフィルム、シート、または他の化学吸収および/または吸着手段などは、もちろん、装置流路の所与の容量における実用的速度および灌流の流量で創傷治癒に有害な物質を除去することができなければならない。
【0131】
それとは別に、適切であれば、流体浄化の手段は、必要に応じて、透析ユニットまたは二相性液体抽出ユニットなどの「二相システム」としてよい。吸引、灌流、および/または浄化のための本発明の装置が、単相システムの流体浄化の手段を備える場合、従来の任意のタイプであってよい。
【0132】
二相システムである流体浄化の手段のいくつかの実施例では、創傷および流体貯蔵容器からの循環流体は、第2の流体(透析液)相、通常は液体と間接的にまたは(あまり一般的ではないが)直接的に接触する。
【0133】
そのため、一形態、二相液体抽出ユニットでは、第2の流体相は、被覆材から循環する流体と不混和性の(通常は)液体であり、創傷被覆材の表面上で、循環流体は浄化流体と直接接触する。創傷治癒に有害な物質は、透析液中に除去され、創傷治癒を促進するのに有益な物質(細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む)をそのまま含む浄化された流体は、再循環管を介して創傷床に戻される。
【0134】
流体浄化のこのような手段の実施例は、第2の流体(血液透析液)相がペルフルオロデカリンおよび類似の物質である場合のものを含む。
【0135】
それとは別に、またより一般的に、適切であれば、2つの流体(再循環流体および透析液)が著しく2次元の完全体、例えば装置内で循環する流体に含まれる物質を浸透可能なポリマーフィルム、シート、またはメンブレイン、または中空ファイバまたはフィラメントにより分離される形態で実現することができる。
【0136】
ここでもまた、創傷治癒に有害な物質は、透析液中に除去され、創傷治癒を促進するのに有益な物質(細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む)をそのまま含む浄化された流体は、再循環管を介して創傷床に戻される。
【0137】
透析ユニットなどの二相システムが実現されるこの形態では、典型的には使用時に、透析液が装置内の循環流体を通過して並流好ましくは向流方向に進む。
【0138】
蠕動ポンプなどのポンプ、および/または弁は、2つの流体流の方向を制御する。
【0139】
しかし、浄化流体は、あまり一般的ではないけれども静的であることもあるが、これは、実用的な速度で創傷滲出液から創傷治癒に有害な物質を除去できる十分な広さの(動的な)表面積を持つシステムを実現できない。
【0140】
創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う本発明の装置内の流体浄化を行うための透析手段内の典型的な透析液流量は、全身療法用の透析ユニットなどの従来のタイプの二相システムで使用されるものである。
【0141】
この完全体は、多くの場合、全身療法の透析ユニットなどの従来の二相システムで使用されるものと同じタイプ、同じ(一般的に一様な)厚さのフィルム、シート、またはメンブレインとすることができる。
【0142】
フィルム、シート、またはメンブレインは実質的に平坦であり、それにかかる差圧に応じて、その上のまたはその中の他の材料がそれを強固にするか、補強するか、または他の何らかの方法で強化する必要がある場合がある。
【0143】
しかし、これは、実用的な速度で創傷滲出液から創傷治癒に有害な物質を除去できる十分な広さの機能的表面積を持つシステムを実現できない。
【0144】
創傷治癒に有害な比較的高い濃度の物質とともに、特に慢性創傷透析において使用するのに適したものとするために、高分子材料のフィルム、シート、またはメンブレインが渦の多い渦巻き形であるシステムを実現すると都合がよいであろう。
【0145】
これは、例えば、間に空間のある配列内の、断面が丸い、例えば、楕円形または円形のパイプ、管中空ファイバ、またはフィラメントまたは細管などの細長い構造物の形をとることができる。
【0146】
創傷灌流液および/または創傷滲出液は、内部を通る形で再循環することができ、浄化流体は、並流好ましくは向流方向に、またはその逆に、隣接するパイプ、管、または細管の間の空間内に入りうる。
【0147】
ここでもまた、創傷治癒に有害な物質は、透析液中に除去され、創傷治癒を促進するのに有益な創傷からの物質(滲出液および灌流液または修正された灌流液に加えられた、創傷治癒に有益な要素を含む)をそのまま含む浄化された流体は、再循環管を介して創傷に戻される。
【0148】
フィルム、シート、またはメンブレイン用の好適な材料の例としては、天然および合成ポリマー材料がある。
【0149】
メンブレインは、セルロース誘導体、例えば、再生セルロース、セルロースモノ、ジ、またはトリアセテート、ベンジルセルロース、およびヘモファンなどのセルロースモノ、ジ、またはトリエステル、およびその混合物などの1つまたは複数の親水性高分子材料とすることができる。
【0150】
他の材料の実施例は、芳香族ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルサルホン、ポリケトン、ポリエーテルケテン、およびポリエーテルエーテルケトン、およびそのスルホン化誘導体、およびその混合物などの疎水性物質を含む。
【0151】
他の材料の実施例は、ポリカーボネート、
ポリアミド、例えば、6−6および6−10、
例えば、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリアクリロニトリル、およびその共重合体、例えば、アクリロニトリル−メタロスルホン酸ナトリウム共重合体を含むポリアクリラート、および
ポリ(塩化ビニリデン)などのポリエステルなどの疎水性物質を含む。本発明のメンブレインの好適な材料は、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、例えば酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールとの共重合体、およびそれらの混合物などの熱可塑性ポリオレフィンを含む。
【0152】
メンブレインは、創傷からの除去対象となっている創傷治癒に有害な化学種の潅流を行うように選択された分画分子量(MWCO)を持たなければならない。
【0153】
例えば、セリンプロテアーゼエラスターゼ(分子量25900Dalton)の潅流だと、MWCO>25900Daltonのメンブレインを必要とする。MWCO閾値は、1から3000000Daltonの間でそれぞれの用途に合わせて変化させることができる。
【0154】
創傷滲出液から創傷治癒に有害な物質を除去でき、それと同時に、
a)メンブレインの透析液側に関連する拮抗剤、例えば、分解酵素、または腐骨化剤を保持し、
b)そのような物質を創傷治癒に有益な場合に滲出液および灌流液(または修正された灌流液)中に供給し、および/または
c)滲出液および灌流液(または修正された灌流液)中に創傷治癒に有益な他の物質を供給することができる治療システムを実現することが望ましいと思われる。
【0155】
2層システムのオプションa)の具体的利点は、創傷滲出液から創傷治癒に有害な物質を除去する拮抗剤に(細胞)毒性があるか、または生体親和性がない、または創傷治癒を促進するのに有益な成分に対し不活性ではない場合である。
【0156】
このシステムでは、多量の拮抗剤が透析液から自由に拡散し灌流液流体内に入ることを許さない。しかし、活性物質は、流体に有利に作用することができる。
【0157】
オプションa)の一例では、エラスターゼへの拮抗剤、アルファ−1−アンチトリプシン(AAT)(分子量54000 Dalton)は、透析液成分中に出現する可能性があり、これは、エラスターゼ(創傷治癒に有害な)を除去する。MWCO>25900 Daltonのメンブレインは、慢性創傷治癒を促進するのに有益なかなりの量の阻害剤が透析液から自由に拡散することを許さず、そこに残る。
【0158】
オプションb)の一例では、あまり標準的でないタイプの二相システムを、流体浄化の手段として使用できる。このタイプでは、ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインは、創傷治癒に有害な物質を選択的に浸透できる完全体ではない。
【0159】
これは、創傷からの滲出液および/またはそれよりも大きい分子である場合も小さい分子である場合もあるが創傷治癒に有利な形で関わる灌流液流体のさまざまな成分が創傷を通り出入りすることも許す。いくつかの種は、透析液から灌流液および/または創傷滲出液に入り、また戻る。
【0160】
創傷治癒に有害な標的物質は、創傷滲出液から非選択的浸透性ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインを通して透析液内に入る。創傷からの滲出液および/または灌流液流体の他の成分とは異なり、創傷治癒に有害な標的物質は、適宜少なくとも1つの表面が透析液内にある完全体上で、透析液および/または拮抗剤、結合剤および/または分解剤と接触し、適切な拮抗剤、結合剤および/または分解剤により除去される。
【0161】
したがって、創傷からの滲出液および/または灌流液流体の他の成分とは異なり、これらの標的物質は、常に透析液から取り除かれ、これらの種のうちのごくわずかのものが、透析液から灌流液および/または創傷滲出液中へ入る。
【0162】
これらの種が常に創傷被覆材から「つぎ足し」されるとしても、定常状態の濃度平衡に到達しない。
【0163】
(好ましくは)透析液がどれも、無効にされて例えば回収袋に破棄されるということがない場合、非標的種の定常状態の濃度平衡は、最終的に、透析液と創傷被覆材から「つぎ足される」灌流液および/または創傷滲出液との間で確定される。循環する創傷流体は、創傷滲出液からの創傷治癒に有害な物質の再循環からの除去を助け、これらの物質がこのような平衡状態により速やかに到達するのを助ける。
【0164】
創傷治癒を促進するのに有益な創傷からの物質(滲出液および灌流液または修正された灌流液に加えられた、創傷治癒に有益な要素を含む)をそのまま含む浄化された流体は、再循環管に戻され、また創傷治癒を促進するのに有益な物質が潜在的に最も効果の高いものとなりうる場所、つまり創傷床に戻される。
【0165】
特に、MWCO>54000 Daltonのメンブレインを使用すると、慢性創傷治癒に有害なかなりの量のエラスターゼを透析液中に自由に拡散させることができ、また最終的に、透析液成分中に生じうるアルファ−1−アンチトリプシン(AAT)(分子量54000 Dalton)により取り除くことができる。エラスターゼに対するこの阻害剤/拮抗剤(創傷治癒に有益である)は、滲出液中に自由に拡散し、最終的に、創傷床に入り、そこで、創傷に有益に作用しうる。
【0166】
オプションc)の一例として、好適なMWCOを有するメンブレインを使用することで、溶質または分散相種を、ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインを通して透析液から灌流液および/または創傷滲出液中に入れることができる。この特性は、創傷治癒に有益な物質を透析液からの灌流液および/または滲出液内に潅流するために使用できる。このあまり標準的とはいえないタイプの注入供給では、通常、広範囲の化学種が透析液から滲出液および/または灌流液中に入る。
【0167】
これらは、創傷治癒に有益な物質を含む。このような物質は、サイトカイン、酵素、増殖因子、および走化性を引き起こす上で有益な効果を有するその他の物質を含む。
【0168】
これらは、さらに、創傷治癒に有益な追加要素である物質も含み、例えば、重炭酸塩などのイオン種、
創傷床に対する酸化ストレスを緩和する、アスコルビン酸(ビタミンC)およびビタミンE、およびその安定誘導体、およびその混合物などのビタミン類、
リン酸二水素カリウム/リン酸水素二ナトリウムなどのpH緩衝化剤、
創傷の痛みまたは炎症または被覆材に伴う痛みを軽減する、塩酸リドカイン/リグノカイン、キシロカイン(アドレナリン、リドカイン)、および/または抗炎症剤などの局所鎮痛剤/麻酔薬、
アミノ酸、糖類、低分子量組織構成要素、および微量元素などの創傷細胞の増殖を助ける栄養物、およびその他の細胞培養液化学種、および
空気、窒素、酸素、および/または一酸化窒素などの気体などがある。
【0169】
本発明の装置のこのような使用はすべて、例えば、足の糖尿病性壊疽、および特に褥瘡性潰瘍などの慢性的創傷の創傷治癒過程に有利である。
【0170】
創傷治癒に有害な複数の異なる物質を除去することが望ましい場合、それぞれのモジュールが異なる物質を除去する、モジュールが直列に配置されたシステムを実現すると有利であろう。これにより、親和性のない物質を同じ流体および/または創傷滲出液で使用することができる。
【0171】
単相システムおよび二相システムは両方とも、本発明の装置から比較的容易に取り外せるモジュール形態とすることができる。このシステムは、適宜、1つまたは複数のそのようなモジュールを備えることができる。
【0172】
好ましくは、このようなシステムは、監視作業を最小限に抑えつつ創傷灌流液および/または創傷滲出液を浄化できる従来の自動化されたプログラム可能なシステムである。
【0173】
細胞または組織を使用する流体浄化の手段は、さらに、適切であれば、1つまたは複数の巨視的および/または顕微的フィルタを備えることができる。これらは、微粒子、例えば、細胞残屑および微生物を保持し、タンパク質および栄養物を通すことができる。
【0174】
それぞれ、
a)創傷被覆材から灌流液および/または創傷滲出液が通り、
b)滲出液および灌流液(または修正された灌流液)に加えられた、創傷治癒に有益な要素とともに、創傷治癒を促進するのに有益であり、および/または創傷治癒に有益な要素を含む生化学的、酵素的、または物理的手段を通して修正された、創傷からの物質をそのまま含む浄化された流体が、再循環管に戻され、
c)(透析ユニットなどの二相システムの形態の手段が用意される場合)細胞または組織流体を使用する浄化がその手段を出入りする際に通る導管は、好ましくは、モジュールの切断および撤去時に、
i)流れをオフに切り換え、
ii)導管および本発明のそのように公開されている装置の残り部分の中の連携する管の両端上に直に流体密封シールまたは閉鎖部を備えて、
灌流液および/または滲出液および浄化された流体が連続して通過するのを防ぎ、細胞または組織流体を使用して浄化するための手段を備える。
【0175】
供給と再循環との間の流れの切り換えを行う手段は、創傷を同時に、
a)流体貯蔵容器と連絡させ、しかも
b)流体再循環管に対し閉じ、
c)またその逆も行える任意の形態を取りうる。
【0176】
そのため、創傷被覆材の創傷フェーシング面を通る、および/またはその下を通るインレットパイプが1つしかない場合、生理活性作用物質を細胞または組織から創傷に供給する手段は、必要に応じて流体再循環管と流体供給管との間で流れを切り換える手段を介して流路に接続されることが多い。
【0177】
この場合、供給と再循環との流れの切り換え手段は、T弁などの調整器とすることができる。
【0178】
これは、順に、流体再循環管または流体オフテイク管および流体供給管の2つの部分に接続され、供給と再循環との所望の流れ切り換えが行われる。
【0179】
生理活性作用物質を細胞または組織から創傷に供給する手段は、多くの場合、
a)灌流液貯蔵容器と、これが接続される
b)さらに供給管に接続される、修正された灌流液を形成するために灌流液が通される、細胞または組織成分を入れた容器とを含む。
【0180】
2つまたはそれ以上のインレットパイプがある場合、これらはそれぞれ、
a)次いで生理活性作用物質を細胞または組織から創傷に供給する手段に接続される、流体供給管と、
b)流体再循環管とに接続され、
それぞれ、流体を創傷内に入れるための弁または他の制御デバイスなどの第1の調整器および第2の調整器を備えることができる。
【0181】
供給と再循環との所望の流れ切り換えは、それぞれ、第2の調整器が閉じられたときに第1の調整器を開き、第1の調整器が閉じられたときに第2の調整器を開くことにより実現される。
【0182】
ここでもまた、この手段は、多くの場合、
i)灌流液貯蔵容器と、これが接続される
ii)修正された灌流液を形成するために灌流液が通される、細胞または組織成分を入れた容器とを含む。
【0183】
流路を排出する手段は、灌流液および/または創傷滲出液と接触している装置の当該部分内に配置できるが、通常は、オフテイクおよび/または再循環管内にある。しかし、これは、流体供給管を介して流体貯蔵容器からの流路の全体に呼び水をするために使用できるように貯蔵容器および流体供給管からできる限り遠くの下流の離れた位置にあることが多い。
【0184】
これは、弁または他の制御デバイス、例えば、装置から流体を排出し、例えば、回収袋などの廃棄物貯蔵容器に入れるために、回して排出と再循環との切り換えをするT弁などの調整器とすることができる。
【0185】
それとは別に、供給と再循環との流れの切り換えは、望ましくない場合があり、むしろ、同時排出および/または再循環が望ましい。
【0186】
後者は、再循環している灌流液および/または創傷滲出液の体積が、
a)創傷浸出液、および/または
b)例えば、透析ユニットなどのシステム内の選択的浸透完全体を通して浄化流体から渡される流体の連続的追加により増える場合に発生しうる。
【0187】
その後、オフテイクおよび/または再循環管の排出の手段を、再循環経路から枝分かれする排出管路を灌流液および/または滲出液が通過するのを許可または阻止する単純な弁または他の制御デバイスなどの、調整器の形態で備えることができる。
【0188】
使用時には、通常、供給管と再循環管との間の流れの切り換えの手段は、流体貯蔵容器から創傷内に流体が入るのを許すが、創傷から流体再循環管に入るのを閉じるように設定される。
【0189】
その後、オフテイクおよび/または再循環管の排出の手段が開かれ、流体を創傷内に通すデバイスおよび流体浄化の手段が開始される。
【0190】
装置流路の容量および創傷からの灌流液および/または創傷滲出液の流量は、主に、デバイスを作動させて装置流路の全長にわたって装置の呼び水をする、つまり、流体再循環経路から既存の蓄積流体(多くの場合空気)を排出するのが適切かどうか、およびそれを動作させておく時間を決定する。
【0191】
通常、再循環している創傷滲出液に対し流体貯蔵容器からの灌流が優位であるため、流体を創傷内に通すデバイスを使用することは、この目的にかなっている。装置流路の全長にわたって装置の呼び水入れが行われるまで実行させることができる。
【0192】
その後、通常、オフテイク管および/または再循環管の排出を行う手段は閉じられ、供給管と再循環管との間の流れの切り換えを行う手段は、創傷から流体貯蔵容器に入るのを閉じ、流体再循環管から創傷に流体が入るのを許すように設定される。
【0193】
流体浄化の手段が、透析ユニットまたは二相抽出ユニットなどの二相システムの場合、浄化流体は、通常、選択的浸透完全体、例えば、ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインの表面と接触して運動するように設定される。もちろん、洗浄流体が静的であるのはあまりふつうのことはでなく、この工程は省略される。
【0194】
以下で詳しく述べるように、再循環している創傷からの灌流液および/または創傷滲出液の体積は、
a)創傷浸出液、および/または
b)選択的浸透完全体、例えば、透析ユニットなどの二相システムのポリマーフィルム、シート、またはメンブレインを通して浄化流体から渡される流体の連続的追加により増やすことができる。
【0195】
それに加えて、またはその代わりに、創傷に流体を通すためのデバイスおよび創傷被覆材の下流の離れたところにある流体再循環管内で再循環する流体に適用される流体浄化の手段を使って負の圧力を創傷にかけることが望ましい場合がある。
【0196】
このような場合、同時排出および/または再循環が可能なシステムを実現し、オフテイクおよび/または再循環管の排出を行うための手段を使って再循環する流体の所望の収支を維持するのに必要な調整を行うことが望ましい場合がある。
【0197】
再循環している創傷からの灌流液および/または創傷滲出液の体積は、洗浄流体から例えば、透析ユニットなどのシステム内の選択的浸透完全体を通る流体の連続的損失により減少しうる。それに加えて、またはその代わりに、創傷に流体を通すためのデバイスおよび創傷被覆材の上流にあり創傷被覆材に向かう流体再循環管内で再循環する流体に適用される流体浄化の手段を使って正の圧力を創傷にかけることが望ましい場合がある。
【0198】
供給と再循環と流れ切り換えを行う手段も、同様に、同時供給および/または再循環が可能な形態のものを用意することができ、流れ切り換え手段を使って再循環している流体の所望の収支を維持するのに必要な調整を行うことができる。
【0199】
正または負の圧力が創傷に加えられる場合、創傷床との間の再循環流路内の少なくとも1つの中空体は、灌流液流体の著しい圧縮または減圧の発生を許容するように圧力に対抗して十分な弾性を持たなければならないことは理解されるであろう。
【0200】
装置のすべての実施形態において、本発明で使用するのに好適であると本明細書で実施例を使って説明されているような実体(フィルム、シート、またはメンブレインにより定められる)のタイプおよび材料は、主に、この機能を実行できる。
【0201】
したがって、取入口またはオフテイクおよび/または再循環管および灌流液流体を詰められた袋、室、および小袋などの構造物、例えば創傷被覆材のバッキング層など、フィルム、シート、またはメンブレインにより定められる実体に好適な材料の実施例は、この方法で圧力が加えられたときにこの機能を潜在的に実行できる適宜伸縮自在の弾力性がある熱可塑性材料である。
【0202】
本発明はこの態様において複数の利点を有する。
【0203】
1つは、バッキング層の下の創傷に正の圧力を加えることで、創傷の下の組織を1つまたは複数の生理的活性成分で溢れんばかりにすることが可能であるという点である。
【0204】
これを治療的活性量で行い、(複数の)流体生理的活性成分単独での治療と比べて高い創傷治癒を促進することができる。
【0205】
創傷治癒に有益な滲出液(細胞または組織を使用して加えられたそのような物質を含む)のそのような生理活性成分は、例えば、酵素または他の種であるとしてよい。
【0206】
本発明の創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置を循環的に使用すると、効果をさらに高めることができると思われる。
【0207】
循環する創傷流体は、創傷治癒に関わる生体シグナル分子(細胞または組織を使用して追加されたような物質を含む)が創傷治癒に有利な創傷床内の位置に、および/または他の方法だと、例えば、滲出が多い創傷では生体シグナル分子に曝されない細胞に移動するのを助ける。
【0208】
これは、特に、創傷の吸引、灌流、および/または浄化のための本発明のこの第1の態様の装置の実施形態の場合であり、そこにはインレットおよびアウトレットマニホールドがあり、それらのマニホールドから細管が放射状に広がって創傷床まで走り、広い領域にわたって創傷床から直接流体を送出し、回収する開口部で終わる。
【0209】
このような物質は、サイトカイン、酵素、細胞増殖を助ける創傷細胞用の栄養物、酸素、および増殖因子などの創傷治癒に有利に関わる他の分子(細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む)、および他に走化性を引き起こす有益な効果(さらに高められる)を持つものを含む。
【0210】
創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う本発明のこの第1の態様の装置のすべての実施形態において、格別な利点は、創傷被覆材が適用される体部位の形状に応じた形をとる傾向があるという点である。
【0211】
創傷被覆材は、
創傷上で比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成することができる創傷フェーシング面を有するバッキング層と、
創傷フェーシング面を通過し、および/またはその下を通る、流体供給管または再循環管に接続するための少なくとも1本のインレットパイプ、および創傷フェーシング面を通過し、および/またはその下を通る、流体オフテイク管に接続するための少なくとも1本のアウトレットパイプとを有し、
そのポイントで、そのまたはそれぞれのインレットパイプおよびそのまたはそれぞれのアウトレットパイプが比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成する創傷フェーシング面を通り、および/または下を通る。
【0212】
「比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖」という用語は、本明細書では、流体および微生物浸透不可能なもので、最大50%atm.まで、さらに通常は最大15%atm.までの、正または負の圧力を創傷に加えられるものを示すために使用される。「流体」という用語は、本明細書では、ゲル、例えば、濃い滲出液、液体、例えば、水、および空気、窒素などの気体を含むように使用される。
【0213】
適用されるバッキング層の形状は、創傷の面積全体にわたって創傷の吸引、灌流、および/または浄化に適しているものであればどのようなものでもよい。
【0214】
そのようなものの実施例は、流体を入れることができる、実質的に平坦なフィルム、シート、またはメンブレイン、または例えばポリマーフィルムのバッキング層の袋、室、小袋、または他の構造物を含む。
【0215】
バッキング層は、最大100ミクロンまで、好ましくは最大50ミクロンまで、より好ましくは最大25ミクロンまでの(一般に一様な)厚さ、および10ミクロンの最小の厚さを有することが多い、フィルム、シート、またはメンブレインとすることができる。
【0216】
その最大の断面寸法は、最大500mmまで(例えば、大きな胴体創傷)、最大100mmまで(例えば、腋窩および鼠径部創傷)、および四肢創傷については最大200mmまで(例えば、静脈性下腿潰瘍および足の糖尿病性壊疽などの、慢性的創傷)とすることができる。
【0217】
被覆材は、患者の安楽さを高め、創傷の炎症の危険性を弱めるために、弾性的に変形可能であるのが望ましい。そのための好適な材料は、例えば、酢酸ビニルおよびポリビニルアルコール、およびその混合物、ポリシロキサン、ポリカーボネートなどのポリエステル、ポリアミド、例えば、6−6および6−10、および疎水性ポリウレタンとともに、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、その共重合体などのポリオレフィンなどの水溶液を吸収しない合成高分子材料を含む。
【0218】
これらは、親水性とすることができ、したがって、親水性ポリウレタンも含む。
【0219】
また、適宜または必要に応じて高影響ポリスチレンとブレンドされた、熱可塑性エラストマーおよびエラストマーブレンド、例えば、酢酸エチルビニルなどの共重合体を含む。
【0220】
これらは、さらに、エラストマーポリウレタン、特に溶液流延法で形成されたポリウレタンを含む。
【0221】
本発明の創傷被覆材の好ましい材料は、熱可塑性エラストマーおよび硬化可能システムを含む。
【0222】
バッキング層は、創傷上および/またはインレットおよびアウトレットパイプ(複数)の周りで比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成することができる。
【0223】
しかし、とりわけ、比較的流体密封度の高いシールの外の創傷被覆材の周囲では、創傷の周囲の皮膚の浸軟を防止するために、高い水蒸気浸透性を持つ材料であるのが好ましい。また、これは、液体、例えば、水、血液、または創傷滲出液と接触する場合により高い水蒸気浸透性を有する切り換え可能な材料とすることができる。これは、例えば、Smith & Nephew社のAllevyn(商標)、IV3000(商標)、およびOpSiteT(商標)被覆材とすることができる。
【0224】
バッキング層の創傷フェーシング面の周囲は、例えば、創傷の周りの皮膚に取り付けるため接着フィルムを持つことができる。
【0225】
これは、例えば、創傷被覆材の創傷フェーシング面の周囲の流体密封度の高いシール内に創傷被覆材を適切に保持するのに十分であれば、感圧接着剤とすることができる。それとは別に、またはそれに加えて、適切であれば、光スイッチング可能接着剤を使用して、被覆材を適所に固定し、漏れを防ぐことも可能であろう。(光スイッチング可能接着剤は、接着性が光硬化作用により低下する接着剤である。その使用は、被覆材を除去するときの外傷を軽減するのに効果がある。)
【0226】
そのため、バッキング層は、透明または不透明物質のバッキング層の近位面の周りに広がるフランジまたはリップを備えることができる(これに対し、上のリストに挙げられている物質は、とりわけ好適なものであることが理解されよう)。
【0227】
これは、近位面上の漏れを防止するため被覆材を適所に固定する光スイッチング可能接着剤のフィルム、およびその遠位面上に不透明物質の層を持つ。
【0228】
被覆材を除去し、被覆材の除去に際して過剰な外傷を引き起こさないようにするために、近位創傷の周りに広がるフランジまたはリップの遠位面上の不透明物質の層は、フランジまたはリップに適切な波長の放射線を当てるのに先立って除去される。
【0229】
比較的流体密封度の高いシールの外の、創傷の周りの皮膚に取り付ける接着フィルムを帯びた創傷被覆材の周囲が高い水蒸気浸透性を持つ物質、または切り換え可能物質であれば、接着フィルムは、もし連続であれば、これもまた、高いまたはスイッチング可能な水蒸気浸透性を持たなければならず、例えば、Smith & Nephew社のAllevyn(商標)、IV3000(商標)、およびOpSiteT(商標)被覆材で使用されるような接着剤としなければならない。
【0230】
創傷被覆材を創傷被覆材の創傷フェーシング面の周囲の流体密封度の高いシールの適所に保持するために真空を使用する場合、創傷被覆材に、創傷の周りの被覆材を密封するためにシリコーンフランジまたはリップを備えることができる。これにより、患者の皮膚に対する接着剤の必要性がなくなり、関連する外傷がなくなる。
【0231】
被覆材の内側、および被覆材に向かい、被覆材を通る灌流液および/または創傷滲出液の流れが著しい正の圧力下にある場合、これは、周辺のポイントにおいて創傷の周りの皮膚から被覆材を持ち上げて除去するように作用する傾向がある。
【0232】
装置のこのような使用では、したがって、創傷に対するそのような正の圧力に対抗して創傷全体にわたってそのようなシールまたは閉鎖を形成し、維持するための手段を実現し、この目的のために周辺ポイントで作用するようにする必要があると考えられる。
【0233】
そのような手段の実施例は、被覆材を適所に固定して漏れを防ぐ、上記のような光スイッチング可能接着剤を含む。
【0234】
光スイッチング可能接着剤の接着は光硬化により低減され、それによって創傷被覆材を除去する際に生じる外傷が軽減されるため、攻撃性の強い接着剤のフィルムを、上述のように、例えばフランジ上で使用するとよい。
【0235】
患者の皮膚に生じる外傷が許容範囲である場合により極端な条件で使用するのに好適な流体接着剤の実施例は、例えばフランジまたはリップ上の創傷のエッジ部分および/または創傷被覆材のバッキング層の近位面の周囲に貼られる、シアノアクリレートおよび類似の組織接着剤で本質的に構成されるものを含む。
【0236】
このような手段の他の好適な実施例は、粘着性(例えば、感圧接着性)のある、および接着性のない、および伸縮性のある、および伸縮性のない、ストラップ、バンド、ループ、帯、タイ、包帯、例えば、圧縮包帯、シート、カバー、スリーブ、ジャケット、鞘、ラップ、ストッキングおよびホース、例えば、治療がこの方法で適用される場合に好適な圧力をかける四肢創傷を覆う圧縮フィットである弾性チューブ状ホースまたは弾性チューブ状ストッキング、および治療がこの方法で適用される場合に好適な圧力をかける四肢創傷を覆う圧縮フィットである膨張式のカフ、スリーブ、ジャケット、ズボン、鞘、ラップ、ストッキング、およびホースを含む。
【0237】
このような手段は、それぞれ、創傷被覆材のバッキング層の周囲を超えて広がるように創傷被覆材上にレイアウトすることができる。これは、適宜、創傷の周りの皮膚および/または創傷それ自体に接着されるか、または他の何らかの方法で固定され、適宜、創傷被覆材を適所に十分保持できる圧縮力を(例えば、収縮包帯、ストッキングを使って)創傷の周囲の流体密度の高いシールに加える。
【0238】
このような手段は、それぞれ、被覆材の他の構成要素、特にバッキング層と一体にすることができる。
【0239】
それとは別に、これは、例えば接着フィルムを使用して、被覆材、特にバッキング層に恒久的に取り付けるか、またははずせるように取り付けることができるか、またはこれらの構成要素は互いに張り付くVelcro(商標)、スナップボタン、またはツイストロックとすることができる。
【0240】
この手段および被覆材は、互いにくっついていない、恒久的に別々の構造物とすることができる。
【0241】
創傷により高い正の圧力を加えるより好適なレイアウトでは、堅いフランジまたはリップは、前に定義されているように、創傷被覆材のバッキング層の近位面の周辺に広がる。
【0242】
フランジまたはリップは、近位面上で凹んでおり、周辺のチャネルまたは導管を定める。
【0243】
これは、フランジまたはリップを通りチャネルまたは導管と連絡する吸引出口を備え、ポンプまたは真空供給配管などの、真空を与えるためのデバイスに接続することができる。
【0244】
バッキング層は、例えば、ヒートシーリングにより、近位面の周辺に広がるフランジまたはリップと一体にするか、またはそれに取り付けることができる。
【0245】
装置の使用時に、必要とされる創傷上の比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成し、創傷被覆材の創傷フェーシング面の周辺の下を灌流および/または滲出液が通るのを防ぐために、被覆材は創傷の周りの皮膚の上にセットされる。その後、デバイスは、フランジまたはリップの内側に真空を与え、それにより、創傷に加えられる正の圧力に対抗して創傷の周囲の周辺ポイントで作用するシールまたは閉鎖を形成し、維持する。
【0246】
創傷の周囲の周辺ポイントで創傷にかかる正または負の圧力に対する、前記の取付け手段、および創傷を覆うシールまたは閉鎖を形成し維持する手段があるが、周辺を密閉する創傷被覆材は、楕円形、特に円形などの一般に丸い形状であるのが好ましい。
【0247】
創傷上で、また創傷フェーシング面内を通り、および/または下を通るポイントで(複数の)インレットパイプおよび(複数の)アウトレットパイプの周囲で、比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成するために、バッキング層は、それらの他の構成要素と一体にすることができる。
【0248】
これらの構成要素は、それとは別に、互いに貼り合わさるプッシュ、スナップ、またはツイストロックであるか、または接着またはヒートシーリングで貼り合わせることができる。
【0249】
そのまたはそれぞれのインレットパイプまたはアウトレットパイプは、流体再循環管および/または流体供給管(適宜または必要に応じて供給と再循環の流れの切り換えをする手段を介して)または流体オフテイク管のそれぞれ嵌合い端へのオス部材として接続するための流体再循環管および/または流体供給管(適宜または必要に応じて管、パイプ、またはホースを形成する手段を介して)またはノズル、穴、開口部、オリフィス、ルアー、スロット、またはポートのそれぞれ嵌合い端へのメス部材として接続するための漏斗、穴、開口部、オリフィス、ルアー、スロット、またはポートなどの開口の形態とすることができる。
【0250】
これらの構成要素が一体である場合、通常は、同じ材料で作られる(これについては、上記の材料は、とりわけ好適なものであることは理解されるであろう)。
【0251】
それとは別に、それらがプッシュ、スナップ、またはツイストロックで嵌められる場合、同じ材料でも、異なる材料でもよい。いずれの場合も、上記の材料は、とりわけ、すべての構成要素に好適なものである。そのまたはそれぞれのパイプは、一般に、バッキング層の下ではなく、中を通過する。
【0252】
そのような場合、バッキング層は、そのまたはそれぞれのパイプとそのまたはそれぞれの嵌合い管との間の実質的遊び、または任意の方向への圧力の下での変形に耐えられるように、剛性のある、および/または弾性的柔軟性のない、または堅い領域を持つことが多い。
【0253】
これは、流体再循環管および/または流体供給管または流体オフテイク管の嵌合い端に接続するためのそれぞれの当該管、パイプまたはホース、またはノズル、穴、開口部、オリフィス、ルアー、スロット、またはポートの周りで遠位に(創傷から外に向かって)突き出る突起により強固にされるか、補強されるか、または他の何らかの方法により強化されることが多い。
【0254】
それとは別に、またはそれに加えて、適切であれば、バッキング層は、バッキング層を堅くするか、補強するか、または他の何らかの方法で強化するためにバッキング層の近位面の周りに広がる堅いフランジまたはリップを備えることができる。
【0255】
創傷被覆材は、使用されている創傷内のバッキング層の下に完全体を含むことはできない。
【0256】
しかし、これは、実用的速度で創傷を灌流するのに十分な機能的表面領域上に灌流液を分配するシステムを実現できない。創傷治癒に有害な比較的高い濃度の物質とともに、特に慢性的創傷透析において使用するのに適したものとするために、創傷灌流液および/または創傷滲出液を均等に分配するか、または創傷床上の被覆材の下の渦の多い渦巻き形経路内に通すことができるシステムを実現すると都合がよいであろう。
【0257】
したがって、被覆材の一形態は、インレットマニホールドから創傷床に放射状に広がり開口で終わり、開口を介して循環流体を直接創傷床に送出する「ツリー」形のパイプ、管、または細管を備える。同様に、アウトレットマニホールドが用意され、そこから、細管が放射状に出て、創傷床へ走り、開口部内で終わり、直接創傷床から流体を回収する。
【0258】
これらのパイプなどは、使用時に創傷を通りそれぞれインレットマニホールドまたはアウトレットマニホールドから規則正しくまたは不規則に放射状に延びてよいが、規則正しいことが好ましい。
【0259】
より深い創傷の場合のより好適なレイアウトは、パイプなどが半球および同心円の形で放射状に創傷床に広がるものである。
【0260】
浅い創傷の場合、パイプなどのそのようなレイアウトの好適な形態の実施例は、パイプなどが平坦な半楕円および同心円の形で放射状に創傷床に広がるものを含む。
【0261】
パイプなどのレイアウトの他の好適な形態は、(複数の)インレットパイプおよび/または(複数の)アウトレットパイプから延びるパイプ、管、または細管を備え、そのポイントでパイプなどがバッキング層の創傷フェーシング面の中を通り、および/または下を通り創傷床上を走るものを含む。これらは、パイプなどにそって穿孔、開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロットを持つブラインドボアを備えることができる。
【0262】
その後、それらのパイプなどは、実際に、循環流体を直接創傷床またはアウトレットパイプに送出するか、または流体を直接創傷からそれぞれ回収するインレットパイプマニホールドを形成する。
【0263】
バッキング層の下の創傷床のほとんどの上で管、パイプ、細管などの中の穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロットを介してそのようなことを行う。
【0264】
管、パイプ、または細管は、弾性的に柔軟である、例えば、弾力があり、好ましくは、創傷および創傷被覆材の内部で良好な適合性を有する軟らかい構造物であることが望ましいと考えられる。
【0265】
この方法で治療が行われる場合、管、パイプ、細管などのレイアウトは、創傷の深さおよび/またはキャパシティに依存しうる。
【0266】
したがって、浅い創傷については、管、パイプ、細管などのそのようなレイアウトの好適な形態の実施例は、本質的に螺旋形の管などの1つまたは複数からなるものを含む。この方法で治療が行われる場合のより深い創傷に対するより好適なレイアウトは、蔓巻きまたは螺旋蔓巻きの管などの1つまたは複数を含むものとすることができる。
【0267】
より浅い創傷の他の好適なレイアウトは、被覆材が使用されている場合に創傷内に流体を循環させるブラインドボア、穿孔のあいているインレットパイプまたはアウトレットパイプマニホールドを備えるものを含む。
【0268】
これらのうちの一方または両方は、そのような形態とすることができ、他方は、例えば、1つまたは複数の直線的ブラインドボア、穿孔放射状管、パイプ、またはノズルとすることができる。
【0269】
他の好適なレイアウトは、
循環流体を直接創傷床に送出し、流体を直接創傷からそれぞれ取入および/または排出管、パイプ、または細管を介して回収するインレットパイプおよび/またはアウトレットパイプマニホールド、
およびインレットマニホールドおよび/またはアウトレットマニホールドは、積層内で互いに恒久的に取り付けられている層により形成され、
取入および/または排出管、パイプ、または細管は、積層内で互いに恒久的に取り付けられている層を通る開口により形成される。(図10aには、非制限的な、そのような積層の組立分解等角図が示されている。)
【0270】
さらに、本明細書で言及されているように、適用されるバッキング層は、治療の本発明のシステムに適し、最大50%atmまで、通例最大25%atmまでの正または負の圧力を創傷に適用することを許容するものであれば何でもよい。
【0271】
したがって、これは、加わる差圧に応じて、実質的に平坦である微生物浸透不可能フィルム、シート、またはメンブレインであることが多く、また多くの場合、従来の創傷被覆材で使用されるようなフィルムまたはシートに類似の(一般的に一様な)厚さ、つまり、最大100ミクロンまで、好ましくは最大50ミクロンまで、より好ましくは最大25ミクロンまで、および最小厚さ10ミクロンを有する。
【0272】
バッキング層は、相互に一体化していない他の構成要素の間の実質的な遊びに耐えられるように剛性のある、および/または弾性的柔軟性のない、または堅い領域を備えることが多く、例えば、投影突起により堅くされるか、補強されるか、または他の何らかの方法で強化されうる。
【0273】
このような形態の被覆材は、創傷床への適合性があまりよくなく、実際にバッキング層およびバッキング層の下の創傷床により定められる室、くぼみ、または空洞を形成する可能性がある。
【0274】
創傷被覆材の内部は、滲出液の多い状態の創傷であっても、創傷床に適合することが望ましいと考えられる。したがって、一形態の被覆材は、バッキング層の下に創傷充填材を備える。
【0275】
これは、弾性的に柔軟である、例えば、創傷形状にうまく適合できる弾力があり、好ましくは軟らかい構造物であると有利である。
【0276】
バッキング層に対するそれ自体の弾性により創傷床に軽く圧力をかけるよう強制される。
【0277】
創傷充填材は、被覆材の他の構成要素、特にバッキング層と一体にすることができる。
【0278】
それとは別に、例えば接着フィルムを使用して、または近位面から広がるフランジまたはリップへのヒートシーリングにより恒久的に取り付けて、必要な創傷上の比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を妨げないようにすることができる。
【0279】
あまり普通のことではないが、創傷充填材は、例えば接着フィルムを使用して、バッキング層にはずせるように取り付けるか、またはこれらの構成要素は互いに張り付くプッシュ、スナップ、またはツイストロックとすることができる。
【0280】
創傷充填材およびバッキング層は、互いに恒久的にはくっついていない、別々の構造物とすることができる。
【0281】
創傷充填材は、固形完全体、有利であるのは弾性的に柔軟である、例えば、創傷形状にうまく適合できる弾力があり、好ましくは軟らかい構造物であるか、またはそれを含むことができる。
【0282】
このような創傷充填材の好適な形態の実施例は、好適な物質、例えば、弾力性がある熱可塑性物質で形成されたフォームである。
【0283】
本発明の創傷被覆材用の好ましい材料は、小さな開口または微細孔を有する網状濾過ポリウレタンフォームを含む。
【0284】
それとは別に、またはそれに加えて、創傷形状に強制する流体または固体を充填された袋、室、小袋、またはその他の構造物などのフィルム、シート、またはメンブレインにより定められた1つまたは複数の適合性のある中空体の形態であるか、またはそれを含むことができる。
【0285】
フィルム、シート、またはメンブレインは、多くの場合、従来の創傷被覆材バッキング層で使用されるフィルムまたはシートの厚さと似た(一般的に一様な)厚さを有する。
【0286】
つまり、最大100ミクロン、好ましくは最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロンであり、最小厚さは、10ミクロンであり、弾性的に柔軟である、例えば、弾力があり、好ましくは軟らかいことが多い。
【0287】
このような充填材は、多くの場合、被覆材の他の構成要素、特にバッキング層と一体であるか、または例えば接着フィルムを使用して、または例えばフランジへのヒートシーリングによりそれら/それに恒久的に取り付けられる。
【0288】
フィルム、シート、またはメンブレインにより定められる1つまたは複数の中空体内に含まれる好適な流体の実施例は、大気圧よりも少し高い正の圧力の空気、窒素、およびアルゴンなどの気体、より一般的には空気、および水、生理食塩水などの液体を含む。
【0289】
実施例はさらに、シリコーンゲル、例えば、CaviCare(商標)ゲル、または好ましくはセルロースゲルなどのゲル、例えば、Intrasite(商標)架橋物質などの親水性架橋セルロースゲルも含む。実施例は、さらに、エアロゾルシステムの気相が大気圧よりも少し高い正の圧力がかかっている空気または窒素またはアルゴンなどのイナートガス、より一般的には空気である場合はエアロゾルフォーム、およびプラスチック屑などの固形粒子も含む。
【0290】
もちろん、バッキング層が十分に適合性があり、および/または例えば上方に皿形になったシートである場合、バッキング層は、創傷充填材の下に置くことができ、その逆にではできない。
【0291】
この種類のレイアウトでは、創傷充填材により創傷被覆材が創傷床に強制的に向かうようにするために、創傷の周囲の皮膚にしっかりと接着されるか、または他の方法ではずせるように取り付けられなければならないのがふつうである。これは、特に、創傷充填材およびバッキング層が互いに恒久的にはくっついていない、別々の構造物である実施形態の場合である。
【0292】
この方法で治療が行われる場合のより深い創傷に対するこのようなレイアウトでは、そのような取付けの手段も、創傷の上にシールまたは閉鎖を形成し維持することができる。
【0293】
充填材がバッキング層を覆っており、(複数の)流体インレットパイプおよびアウトレットパイプがバッキング層の創傷フェーシング面を通過する場合、これらは、バッキング層の上の創傷充填材内を通り抜けるか、またはその周囲を走ることができる。
【0294】
一形態の被覆材は、開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロットを有する袋、室、小袋、または他の構造物、または管、パイプ、細管、またはノズルなどのフィルム、シート、またはメンブレインにより定められた弾性的に柔軟な、例えば、弾力性があり、好ましくは軟らかい、中空体であるか、またはそれを含むバッキング層の下に創傷充填材を備える。これは、少なくとも1つの開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロットを通る少なくとも1つのインレットまたはアウトレットパイプと連絡する。
【0295】
次いで、中空体の中に含まれる流体は、装置内の循環流体とすることができる。
【0296】
次に、中空体または中空体のそれぞれは、実際に、循環流体を直接創傷床に送出するか、または流体を直接創傷からそれぞれ、フィルム、シート、またはメンブレイン内の穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロット、管、パイプ、またはホースなどを介して回収するインレットパイプまたはアウトレットパイプマニホールドを形成する。
【0297】
この方法で治療が行われる場合、充填材の種類は、主に、創傷の深さおよび/またはキャパシティによって決定されうる。
【0298】
したがって、浅い創傷の場合、創傷被覆材の構成要素として好適な創傷充填材の実施例は、循環流体を直接創傷床に送出するか、または流体を直接創傷から回収するインレットパイプおよび/またはアウトレットパイプマニホールドを定める1つまたは複数の適合性のある中空体から本質的に構成されるものを含む。
【0299】
この方法で治療が行われる場合のより深い創傷に対するより好適な創傷充填材は、固体の完全体を少なくとも部分的に囲む、例えば、ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインにより定められた1つまたは複数の適合性のある中空体を含むものとすることができる。これにより、システムの剛性を高め、取り扱いやすくすることができる。
【0300】
バッキング層の下にある創傷充填材が(複数の)インレットパイプおよび(複数の)アウトレットパイプと直接的接続するインレットパイプまたはアウトレットパイプマニホールドをこれらのパイプが創傷フェーシング面を貫通し、および/またはその下を通るポイントに効果的に形成し、創傷床が存在しているという場合でない限り、創傷床の吸引および/または灌流が発生するために、1つまたは複数のボア、チャネル、導管、通路、パイプ、管、細管、および/または空間などが(複数の)流体インレットパイプおよび(複数の)アウトレットパイプがバッキング層の下の創傷充填材内を通してまたはその周囲でバッキング層の創傷フェーシング面内を通過し、および/またはその下を通るポイントから引き回されるのが適切である。
【0301】
あまりふつうのことではないが、創傷充填材は、バッキング層の下の創傷充填材を通るそのようなボア、チャネル、導管、通路、および/または空間を形成することができるオープンセルフォームである。
【0302】
充填材が、例えば、ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインにより定められる1つまたは複数の適合性のある中空体であるか、またはそれを含む場合、創傷被覆材の下の創傷床に流体が入るのを許す手段を備えることができる。
【0303】
これらは、(複数の)流体インレットパイプおよび(複数の)流体アウトレットパイプがバッキング層の下の創傷充填材を通るかまたは周囲にあるバンキング層の創傷フェーシング面内を通り、および/または下を通るポイントから走るパイプ、管、細管、またはノズルの形態とすることができる。
【0304】
前のほうで説明されている、被覆材が使用される場合に創傷内に流体を循環させるブラインドボア、穿孔インレットパイプまたはアウトレットパイプマニホールドを含むより浅い創傷の好適なレイアウトはすべて、バッキング層の下の創傷充填材の下で使用することができる。
【0305】
簡単にいうと、好適なレイアウトは、一方または両方のマニホールドが円環状またはドーナツ形(規則正しい形、例えば、楕円または円形、または不規則な形)であり、円環またはトーラスから分岐する適宜ブラインドボア、穿孔放射状管、パイプ、またはノズルを有し、および/または蛇行した、ねじれた、曲がりくねった、ジグザグの、蛇のように曲がりくねった、または犂耕体風の(つまり、鋤で耕した畝のような)パターンであるか、または積層内で互いに貼り付けられた層内のスロットおよび開口により定められたものを含む。
【0306】
インレットおよび/またはアウトレット管、流体再循環管、および流体供給管などは、従来のタイプ、例えば、楕円または円形の断面を持つのものとすることができ、またその全長にわたって一様な円筒穴、チャネル、導管、または通路を適宜備えることができる。
【0307】
創傷からの灌流液および/または創傷滲出液の所望の流体体積流量、および再循環する所望の量に応じて、適宜ボアの最大断面寸法は、大きな胴体創傷については最大10mmまで、四肢創傷については最大2mmまでとすることができる。
【0308】
特に再循環している創傷からの灌流液および/または創傷滲出液の体積が、創傷浸出液の連続的追加、および/または例えば透析ユニット内で浄化流体から選択的浸透可能完全体を通過する流体により増大する場合に、管壁は、加わる正または負の圧力に十分耐えられる適切な厚さでなければならない。
【0309】
しかし、ポンプに関して後述するように、そのような管の呼び水入れの目的は、圧力容器として働かせることではなく、流体灌流液および滲出液を装置流路の全長にわたって通すことである。管壁は、適宜、厚さを少なくとも25ミクロンとすることができる。
【0310】
パイプなどにそった、または中空体または複数の中空体のそれぞれの中のボアまたは穿孔、開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロットの断面寸法は小さくてもよい。
【0311】
その後、これらは、実際に、タンパク質および栄養物を通過させられるが、細胞残屑および微生物を含む粒子を通さない巨視的および/または顕微的フィルタを形成できる。
【0312】
充填材内を通る、および/または周辺にあるこのような管、パイプ、またはホースなどは、後者が固形完全体および/または1つまたは複数の弾性的に柔軟な、または適合性のある中空体であるかどうかに関係なく、(複数の)インレットパイプおよび(複数の)アウトレットパイプに関連して前のほうで詳細に説明されている。
【0313】
創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置の全長は、創傷被覆材が使われたときに創傷を覆うと微生物浸透不可能になるようなものでなければならない。
【0314】
創傷被覆材および本発明の創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う装置の内部は、殺菌されるのが望ましい。
【0315】
流体は、紫外線、ガンマ線、または電子ビームの照射により流体浄化を行う手段を含めて、流体貯蔵容器および/または流体が再循環するシステムの残り部分内で殺菌できる。(これから除外されるのが、組織または細胞成分を含む完全体であるのは、これが細胞の生存可能性および活性に悪影響を及ぼしうるからである。)
【0316】
この方法では、特に、内面および流体と殺菌剤との接触が減るか、またはなくなる。
【0317】
流体の殺菌の他の方法の実施例は、さらに、例えば、
微生物に対し選択的に浸透不可能な最大断面寸法が例えば、0.22から0.45ミクロンまでの微小開口または微小孔に通す限外濾過、
クロルヘキシジンおよびポビドンヨードなどの化学薬品溶液などの生体消毒薬液、銀塩、例えば硝酸銀などの金属イオン源、および過酸化水素の使用を含むが、
後者は、内面および流体と流体と殺菌剤との接触を伴う。
【0318】
創傷被覆材の内部、流体が再循環するシステムの残り部分、および/または創傷床は、滲出液の多い状態の創傷であっても、流体貯蔵容器内で流体が殺菌された後無菌状態を保たれること、または少なくとも自然発生の微生物増殖が抑制されることが望ましいと考えられる。
【0319】
そのため、この点で潜在的にまたは実際に有益な物質は、連続的追加により、最初に灌流液に、また必要ならば増大する再循環の量に追加することができる。
【0320】
このような物質の実施例は、抗菌剤(一部は上で説明されている)、および抗真菌薬を含む。
【0321】
とりわけ好適なのは、例えば、トリクロサン、ヨード、メトロニダゾール、セトリミド、酢酸クロルヘキシジン、ウンデシレン酸ナトリウム、クロルヘキシジン、およびヨードである。
【0322】
リン酸二水素カリウム/リン酸二ナトリウムなどの緩衝化剤を添加して、pHを調整し、塩酸リドカイン/リグノカインなどの局所鎮痛剤/麻酔薬、キシロカイン(アドレナリン、リドカイン)、および/または抗炎症剤で、創傷の痛みもしくは炎症または被覆材に伴う痛みを軽減することができる。
【0323】
また、例えば、タンパク質、例えば、増殖因子などの創傷治癒を促進するのに有益な物質の受動的堆積により、創傷治癒に有益な滲出液の生理活性成分が流体浄化の実施前後に除去されないシステムを実現することも望ましい。これは、任意のポイントで、少なくとも1つの開口、穴、開口部、オリフィス、スリット、またはスロットを通る少なくとも1つのインレットまたはアウトレットパイプで生じうる。
【0324】
創傷治癒を促進するのに有益な物質の堆積に対抗する物質は、
a)連続的追加により、最初に灌流液に、また必要ならば増大される再循環の量に追加することができるか、または
a)任意のポイントで、または流体と直接接触する再循環経路内の任意の完全体、例えば、流体浄化用の手段または望ましい管またはパイプ上で使用することができる。
【0325】
循環流体が通る表面に対するコーティング物質の実施例は、
ヘパリンなどの抗凝血剤、および
PTFEおよびポリアミドなどの高表面張力物質を含み、
これらは、増殖因子、酵素、およびその他のタンパク質および誘導体に使用できる。
【0326】
創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う本発明の装置は、流体貯蔵容器への流体供給管の形態で創傷被覆材の下の創傷に流体を直接または間接的に入れるのを許す手段を備える。
【0327】
流体貯蔵容器は、従来の種類のもの、灌流液流体を含むことができる、例えばポリマーフィルムの、例えば、管、袋(血液または血液製剤、例えば、プラズマに通常使用される、または例えば栄養物の注入供給に使用される袋など)、室、小袋、またはその他の構造物とすることができる。
【0328】
貯蔵容器は、従来の創傷被覆材バッキング層で使用されるフィルムまたはシートに厚さに類似の(一般的に一様な)厚さ、つまり、最大100ミクロンまで、好ましくは最大50ミクロンまで、より好ましくは最大25ミクロンまで、および最小厚さは10ミクロンであることが多いフィルム、シート、またはメンブレインで作ることができ、また弾性的に柔軟な、例えば、弾力のある、好ましくは軟らかい、中空体であることが多い。
【0329】
装置のすべての実施形態において、創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う本発明の装置に通された管、細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器の種類および材料は、それらの機能により主に決定される。
【0330】
特に慢性的なタイムスケールで使用するのに好適であるためには、材料は、毒性がなく、生体適合性を有し、適宜流体貯蔵容器からの灌流液および/または装置内の循環流体内に移動する透析液の装置流路内の、および二相システム透析ユニットの使用における創傷滲出液の活性成分に対し不活性でなければならない。
【0331】
灌流液流体と接触した場合に、装置の使用時にそこからかなりの量の抽出可能物が自由に拡散してしまうようであってはならない。
【0332】
これは、紫外線、ガンマ線、または電子ビームの照射により、および/または化学薬品溶液などの生体消毒薬液を使用して殺菌可能であり、いったん使用すると流体および微生物浸透不可能であり、また柔軟でなければならない。
【0333】
流体貯蔵容器に好適な材料の実施例は、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの合成高分子材料を含む。
【0334】
本発明に好適な材料も、例えば、酢酸ビニルおよびその混合物とのその共重合体を含む。この目的に好適な材料は、さらに、医療グレードのポリ(塩化ビニル)を含む。
【0335】
このような高分子材料にもかかわらず、流体貯蔵容器は、流体供給管などの、その貯蔵容器と相互に一体化していない構成要素との間に実質的な遊びに耐えられるような堅い領域を備えることが多い。これは、例えば、出っ張っている突起物により、固くされるか、補強されるか、または他の何らかの方法で強化されうる。
【0336】
創傷に流体を通すデバイスおよび流体浄化を行う手段は、この目的にかなうと思われ、またこの目的に適したポイントで作用することができる。
【0337】
これは、正または負の圧力を創傷に加えることができるが、その主要な目的は、創傷に正または負の圧力を加えることではなく、流体貯蔵容器からの流体灌流液および/または創傷滲出液を装置流路の全長にわたって通すことである。
【0338】
創傷被覆材の上流にあり、そこに向かう流体再循環管内で循環している流体および/または創傷被覆材に向かう流体供給管内の流体に適用される場合(適宜または必要に応じて供給と再循環との間で流れ切り換えを行う手段を介して)、通常、正の圧力(つまり、大気圧よりも高い圧力)を創傷床に加える。
【0339】
多くの場合、流体浄化の手段は、創傷被覆材の下流(その目的に最も適しているように)にあり、流路内に最高の抵抗をもたらす。これは、特に、流体浄化の手段が、例えば、微小開口または微小孔を通す限外濾過を使用する単相システムである場合であり、そのため、創傷に加えられる正の圧力が高められる。
【0340】
デバイスが流体再循環管内で再循環している流体および/または創傷被覆材の下流にありそこから離れている流体オフテイク管内の流体に適用される場合、通常、負の圧力(つまり、大気圧よりも低い圧力または真空)を創傷床に加える。
【0341】
ここでもまた、多くの場合、流体浄化の手段は、創傷被覆材の下流(その目的に最も適しているように)にあり、流路内に最高の抵抗をもたらし、そのため、創傷に加えられる負の圧力が高められる。
【0342】
必要に応じて以下の種類のポンプを使用できる。
以下のような往復ポンプ:
シャトルポンプ−2から50ml/分の範囲の速度で流体を移動する揺動シャトル機構を使用する。
ダイアフラムポンプ−逆止め弁で流体の流れの方向を制御しながら、1つまたは複数の柔軟なダイアフラムの脈動により液体を排出する。
ピストンポンプ−特に創傷床にかかる正および/または負の圧力に対し、ピストンがポンプ動作で流体を逆止め弁に通す。
以下のような回転ポンプ:
遠心力ポンプ
フレキシブルインペラーポンプ−弾力性のある羽根車が羽根車の羽根とポンプ筐体を通して流体をスイープする成形筐体との間の流体をトラップする。
容積型循環ポンプ−特に粘度の高い、粒子状物質で満たされた滲出液用に連携するネジローターとステータを使用する。
回転ベーンポンプ−回転時に脈動せずに流体を移動するドライブシャフトに取り付けられた回転羽根付きディスクを使用する。アウトレットは、ポンプを損傷しないよう制限することができる。
蠕動ポンプ−管内の流体の流れをローターの方向に押しやるため柔軟な流体循環に作用するローターアーム上の周辺ローラを使用する。
【0343】
デバイスの種類および/または容量は、
a)創傷からの灌流液および/または創傷滲出液の適切なまたは望ましい流体体積流量、および
b)創傷床に対し正または負の圧力をかけることが適切であるか、または望ましいかということ、および創傷床へのそのような圧力のレベルにより、
創傷治癒の最適な遂行に関して、また可搬性、消費電力、および汚染からの遮断などの要因により、ほとんど決まる。
【0344】
このようなデバイスは、さらに、パルス、連続、可変、可逆、および/または自動および/またはプログラム可能な流体移動が可能なものとしてもまったく問題はない。これは、特に、これらの種類のどれかのポンプとすることができる。
【0345】
実際、滲出液の多い状態の創傷からであっても、そのような滲出液流量は、最大75マイクロリットル/cm/時(cmは創傷面積を指す)のオーダーにすぎない。
【0346】
流体は、流動性が高い場合がある(プロテアーゼが存在するため)。創傷が例えば12.5〜25マイクロリットル/cm/時に等しい同じ創傷に対するレベルまで治癒するにつれ、滲出液レベルは低下し、コンシステンシーが変化する。
【0347】
創傷治癒に有害な物質が透析ユニットなどの二相システムにより除去される場合(以下参照)、流体は、さらに、潜在的に流体浄化の手段を通じてシステムへと失われる。
【0348】
これは、例えば、創傷治癒に有害な物質に加えて、水も浸透可能な透析ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインを通じて生じうる。
【0349】
再循環している流体の収支は、したがって、さらに低下しうるが、前に説明されているような決まりきったやり方でこの望ましくない損失が最小になるように調整できる。
【0350】
したがって、創傷からの循環する流体は、通常、流体貯蔵容器から再循環する創傷滲出液に勝る灌流液の利点を含むことがわかる。
【0351】
そのため、デバイスの種類および/または容量は、この点に関して、創傷からの滲出液の流速ではなく、灌流液の適切なまたは所望の流体体積流量により決定される。
【0352】
実際、灌流液および/または創傷滲出液全体のそのような流量は、1から1000、例えば、3から300、および好ましさは低いが1から10ml/cm/24時間のオーダーであり、ただし、cmは、創傷の面積を指す。
【0353】
再循環している灌流液および/または創傷滲出液の体積は、広い範囲にわたって変化しうるが、通常は、治療がこの方法で行われる場合、例えば、1から8l(例えば、大きな胴体創傷の場合)、200から1500ml(例えば、腋窩および鼠径部創傷の場合)、および四肢創傷については0.3から300mlとなる。
【0354】
実際には、好適な圧力は、創傷床に加えられる最大10%atmまでの正または負の圧力など、最大25%atmまでのオーダーであり、装置は、閉再循環系として動作する。
【0355】
これらの範囲の上限に近い方は、潜在的に病院用途に適しており、その場合、比較的高い%圧力および/または真空は、専門家の監督のもとで安全に使用できる。
【0356】
下限に近い方は、潜在的に家庭用途に適しており、その場合、比較的高い%圧力および/または真空は、専門家の監督がないと、または野戦病院用途には、安全に使用できない。
【0357】
デバイスは、蠕動ポンプまたはダイアフラムポンプ、例えば好ましくは、小型携帯ダイアフラムまたは蠕動ポンプとすることができる。これらは、特に内部表面およびポンプの可動部分が(慢性的)創傷滲出液と接触するのを低減するか、またはなくすために、またクリーニングしやすくするために、好ましい種類のポンプである。
【0358】
これは、適宜、創傷に正の圧力を加えるものおよび/または流体浄化の手段とすることができる。加えられる圧力が正の場合の好ましいポンプは、流体浄化の手段の上流に取り付けられた、蠕動ポンプ、例えば、小型携帯蠕動ポンプである。
【0359】
ポンプが蠕動ポンプの場合、これは、例えば、Instech Model P720小型蠕動ポンプとすることができ、流量は、0.2〜180ml/時、重量は<0.5kである。これは、家庭および野戦病院用途に有用であると思われる。
【0360】
ポンプが蠕動ポンプの場合、これは、例えば、Instech Model P720小型蠕動ポンプとすることができ、流量は、0.2〜180ml/時、重量は<0.5kである。これは、家庭および野戦病院用途に有用であると思われる。
【0361】
このポンプは、適宜、創傷に負の圧力を加えるものおよび/または流体浄化の手段とすることができる。加えられる圧力が負の場合の好ましいポンプは、被覆材または流体浄化の手段の下流に取り付けられた、ダイアフラムポンプ、例えば、小型携帯ダイアフラムポンプである。
【0362】
ポンプがダイアフラムポンプであり、好ましくは、小型携帯ダイアフラムポンプである場合、液体を排出する1つまたは2つの柔軟なダイアフラムは、それぞれ、例えば、脈動を発生する手段に接続された、ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインとすることができる。これは、都合のよい形態、なかんずく、圧電変換器、ソレノイドまたは電流の流れの方向が交互に変わる強磁性体およびコイルのコア、回転カムおよびフォロワーなどとして用意することができる。
【0363】
被覆材からの出口は、創傷滲出液からの創傷治癒に有害な物質を除去するための流体浄化の手段に、次いで(複数の)流体再循環管につながる。
【0364】
透析ユニットなどの二相システムが実現されるいずれの形態でも、使用時には、通常、透析液は、装置内の循環流体を通過して並流好ましくは向流方向に進む。
【0365】
蠕動ポンプなどのポンプ、および/または弁は、2つの流体流の方向を制御する。
【0366】
しかし、浄化流体は、あまり一般的ではないけれども静的であってよいが、これだと、システムは、実用的な速度で創傷滲出液から創傷治癒に有害な物質を除去できる十分な広さの(動的な)表面積を持つことができない。
【0367】
創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う本発明の装置内の流体浄化を行うための透析手段内の典型的な透析液流量は、全身療法用の透析ユニットなどの従来のタイプの二相システムで使用されるものである。
【0368】
この完全体は、多くの場合、全身療法の透析ユニットなどの従来の二相システムで使用されるものと同じタイプ、同じ(一般的に一様な)厚さのフィルム、シート、またはメンブレインとすることができる。
【0369】
フィルム、シート、またはメンブレインは実質的に平坦であり、それにかかる差圧に応じて、その上のまたはその中の他の材料がそれを強固にするか、補強するか、または他の何らかの方法で強化する必要がある場合がある。
【0370】
しかし、これだと、システムは創傷治癒に有害な物質を除去できる十分な広さの機能的表面積を持ちえない。
【0371】
創傷治癒に有害な比較的高い濃度の物質とともに、特に慢性創傷透析において使用するのに適したものとするために、高分子材料のフィルム、シート、またはメンブレインが渦の多い渦巻き形であるシステムを実現すると都合がよいであろう。
【0372】
これは、例えば、間に空間のある配列内の、断面が丸い、例えば、楕円形または円形のパイプ、管中空ファイバ、またはフィラメントまたは細管などの細長い構造物の形をとることができる。
【0373】
創傷灌流液および/または創傷滲出液は、内部を通る形で再循環することができ、浄化流体は、並流好ましくは向流方向に、またはその逆に、隣接するパイプ、管、または細管の間の空間内に入りうる。
【0374】
ここでもまた、創傷治癒に有害な物質は、透析液中に除去され、創傷治癒を促進するのに有益な物質(細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む)をそのまま含む浄化された流体は、再循環管を介して創傷に戻される。
【0375】
流体浄化を行う手段が、例えば、透析ユニット、または二相抽出ユニットの形態の二相システムの場合、創傷および細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器からの循環する流体は、ほとんど二次元の完全体、例えば、創傷治癒に有害な物質を選択的に浸透できるポリマーフィルム、シート、またはメンブレインの表面上に広がる。
【0376】
これらは、浄化流体を完全体の他の表面全体に流すことにより除去される。この完全体は、創傷治癒に有害な前記の物質に対し選択的に浸透できるフィルム、シート、またはメンブレインとすることができる。
【0377】
上記のようなこれらの実施例は、
遊離基などの酸化剤、例えば、過酸化物およびスーパーオキシド、
鉄IIおよび鉄III、
創傷床上で酸化的ストレスにかかわるすべて、
セリンプロテアーゼなどのプロテアーゼ、例えばエラスターゼおよびトロンビン、システインプロテアーゼ、マトリクスメタロプロテアーゼ、例えば、コラゲナーゼ、およびカルボキシル(酸)プロテアーゼ、
リポ多糖体などのエンドトクシン、
ホモセリンラクトン誘導体、例えばオキソアルキル誘導体などのバクテリアオートインデューサシグナル分子、
トロンボスポンジン−1(TSP−1)、プラスミノゲンアクチベータインヒビタ、またはアンギオスタチン(プラスミノゲン断片)などの血管形成のインヒビタ、
腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)およびインターロイキン1ベータ(IL−1β)などのプロインフラマトリサイトカイン、および
リポ多糖体、および例えばヒスタミンなどの、炎症物質を含む。
【0378】
フィルム、シート、またはメンブレインの好適な材料の実施例(通常、前述の構造などの、フィルム、シート、またはメンブレインにより定められる適合性のある中空体の形態)は、天然および合成高分子材料を含む。
【0379】
メンブレインは、セルロース誘導体、例えば、再生セルロース、セルロースモノ、ジ、またはトリアセテート、ベンジルセルロース、およびヘモファンなどのセルロースモノ、ジ、またはトリエステル、およびその混合物などの1つまたは複数の親水性高分子材料とすることができる。
【0380】
他の材料の実施例は、芳香族ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルサルホン、ポリケトン、ポリエーテルケテン、およびポリエーテルエーテルケトン、およびそのスルホン化誘導体、およびその混合物などの疎水性物質を含む。
【0381】
他の材料の実施例は、ポリカーボネート、
ポリアミド、例えば、6−6および6−10、
例えば、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリアクリロニトリル、およびその共重合体、例えば、アクリロニトリル−メタロスルホン酸ナトリウム共重合体を含むポリアクリラート、および
ポリ(塩化ビニリデン)などのポリエステルなどの疎水性物質を含む。
【0382】
本発明のメンブレインの好適な材料は、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、例えば酢酸ビニルおよびポリビニルアルコールとの共重合体、およびそれらの混合物などの熱可塑性ポリオレフィンを含む。
【0383】
細胞または組織を使用してこのような物質を加える、本発明の装置のこのような使用は、例えば、足の糖尿病性壊疽、および特に褥瘡性潰瘍などの慢性的創傷の創傷治癒過程に有利である。
【0384】
以下で説明するように、拮抗剤、例えば分解酵素、またはメンブレインの透析液側のエラスターゼの隔離剤は、創傷滲出液からこのプロテアーゼを除去する能力を高めるために使用できる。創傷治癒に有害な複数の異なる物質を除去することが望ましい場合、それぞれのモジュールが異なる物質を除去する、モジュールが直列に配置されたシステムを実現すると有利であろう。
【0385】
これにより、親和性のない浄化物質を同じ流体および/または創傷滲出液で使用することができる。
【0386】
好ましくは、このようなシステムは、監視作業を最小限に抑えつつ創傷灌流液および/または創傷滲出液を浄化できる従来の自動化されたプログラム可能なシステムである。
【0387】
上で詳しく述べたように、流体は浄化流体から選択的に浸透可能な完全体を通って流れる。
【0388】
これは、透析ユニットなどの二相システムの典型的な浸透性ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインとすることができる。
【0389】
それに加えて、溶質または分散相種は、透析液から灌流液および/または創傷滲出液に入り透析ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインを通る。
【0390】
この特性は、創傷治癒に有益な物質を透析液からの灌流液および/または滲出液内に潅流するために利用できる。
【0391】
このあまり標準的とはいえないタイプの注入供給では、通常、広範囲の化学種が透析液から滲出液および/または灌流液中に入る。
【0392】
これらに含まれるのは、
重炭酸塩などのイオン種、
創傷床に対する酸化ストレスを緩和する、アスコルビン酸(ビタミンC)およびビタミンE、およびその安定誘導体、およびその混合物などのビタミン類、
リン酸二水素カリウム/リン酸水素二ナトリウムなどのpH緩衝化剤、
創傷の痛みまたは炎症または被覆材に伴う痛みを軽減する、塩酸リドカイン/リグノカイン、キシロカイン(アドレナリン、リドカイン)、および/または抗炎症剤などの局所鎮痛剤/麻酔薬、
アミノ酸、糖類、低分子量組織構成要素、および微量元素などの創傷細胞の増殖を助ける栄養物、およびその他の細胞培養液化学種、および
空気、窒素、酸素、および/または一酸化窒素などの気体などである。
【0393】
本発明の装置内の流体浄化の目的のために、限外濾過ユニットなどの単相システム、および透析ユニットなどの二相システムは、両方とも、以下のような捕獲(非不安定、不溶性、および/または固定化)化学種を持つことができる。
【0394】
これらは、不溶性および/または固定化された基質に結合され、その基質上でまたその基質を通して、創傷被覆材から灌流液および/または創傷滲出液が、順に(複数の)流体再循環管に入り、
創傷床に対する酸化ストレスを緩和する、3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)およびビタミンEおよびグルタチオン、およびその安定誘導体、およびその混合物などの酸化防止剤およびフリーラジカル捕捉剤、
デスフェリオキサミン(DFO)、3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)などの鉄(III)キレート剤(Fe IIIは創傷床に対する酸化的ストレスに関与する)などの遷移金属イオンキレート剤などの金属イオンキレート剤および/またはイオン交換体、
鉄(III)還元剤、
TIMPsおよびアルファ1−抗トリプシン(AAT)などのプロテアーゼインヒビタ、4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF、PefaBloc)およびNα−p−トシル−L−リジンクロロメチルケトン(TLCK)およびε−アミノカプロイル−p−クロロベンジルアミドなどのセリンプロテアーゼインヒビタ、システインプロテアーゼインヒビタ、マトリクスメタロプロテアーゼインヒビタ、およびカルボキシル(酸)プロテアーゼインヒビタ、
創傷治癒に有害な酸化還元に反応しやすい遺伝子の発現が創傷滲出液内に入る引き金となる物質の除去による、創傷治癒を促進するのに潜在的にまたは実際に有益な犠牲酸化還元物質、
酵素であってもよい、オートインデューサシグナル分子分解剤、および
リポ多糖体を結合または破壊する抗炎症物質、例えばペプチドミメティックを含む。
【0395】
創傷治癒に有害な滲出液の他の生理的活性成分は、この方法で除去することができる。
【0396】
これらは、好適なキレート剤および/またはイオン交換体、分解剤により取り除くことができるが、これは酵素、または他の化学種であってもよい。
【0397】
以下の種類の官能化された基質は、その表面に、創傷および細胞または組織用の容器およびその上の流体貯蔵容器からの循環流体を渡す際に創傷治癒に有害な物質を除去できる部位を持つ。
異種樹脂、例えば以下のようなシリカ担持試薬:
金属捕捉剤、
3−(ジエチレントリアミノ)プロピル官能化シリカゲル
2−(4−(エチレンジアミノ)ベンゼン)エチル官能化シリカゲル
3−(メルカプト)プロピル官能化シリカゲル
3−(1−チオウレイド)プロピル官能化シリカゲル
トリアミン四酢酸官能化シリカゲル
または、求電子捕捉剤、
4−カルボキシブチル官能化シリカゲル
4−エチルベンゼンスルホニルクロリド官能化シリカゲル
プロピオン酸クロライド官能化シリカゲル
3−(イソシアノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(チオシアノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(2−無水コハク酸)プロピル官能化シリカゲル
3−(マレイミド)プロピル官能化シリカゲル
または、求核捕捉剤、
3−アミノプロピル官能化シリカゲル
3−(エチレンジアミノ)プロピル官能化シリカゲル
2−(4−(エチレンジアミノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(ジエチレントリアミノ)プロピル官能化シリカゲル
4−エチルベンゼンスルホンアミド官能化シリカゲル
2−(4−トルエンスルホニルヒドラジノ)エチル官能化シリカゲル
3−(メルカプト)プロピル官能化シリカゲル
ジメチルシロキシ官能化シリカゲル
または、塩基または酸捕捉剤、
3−(ジメチルアミノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド−[1,2−α]ピリミジノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(1−イミダゾール−1−イル)プロピル官能化シリカゲル
3−(1−モルホリノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(1−ピペラジノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(1−ピペリジノ)プロピル官能化シリカゲル
3−(4,4'−トリメチルジピペリジノ)プロピル官能化シリカゲル
2−(2−ピリジル)エチル官能化シリカゲル
3−(トリメチルアンモニウム)プロピル官能化シリカゲル
または、試薬、
3−(1−シクロヘキシルカルボジイミド)プロピル官能化シリカゲル
TEMPO官能化シリカゲル
2−(ジフェニルホスフィノ)エチル官能化シリカゲル
2−(3,4−(シクロヘキシルジオール)プロピル官能化シリカゲル
3−(グリシドキシ)プロピル官能化シリカゲル
2−(3,4−(エポキシシクロヘキシル)プロピル官能化シリカゲル
1−(アリル)メチル官能化シリカゲル
4−ブロモプロピル官能化シリカゲル
4−ブロモフェニル官能化シリカゲル
3−クロロプロピル官能化シリカゲル
4−塩化ベンジル官能化シリカゲル
2−(カルボメトキシ)プロピル官能化シリカゲル
3−(4−ニトロベンズアミド)プロピル官能化シリカゲル
3−(ウレイド)プロピル官能化シリカゲル
または、上記の任意の組合せ。
【0398】
創傷被覆材からの灌流液および/または創傷滲出液が上および/または中を通る不溶性のおよび固定化された基板に結合された前記のような捕捉(非不安定、不溶性、および/または固定化された)化学種の使用については、流体浄化の手段に適しているものとして前のほうで説明されている。
【0399】
しかし、それに加えて、適切であれば、これらは、創傷治癒に有害な物質を除去するために灌流液および/または創傷滲出液と接触している装置の任意の部分の中で、ただし、多くの場合被覆材内で、使用することができる。
【0400】
流体浄化の手段は、さらに、適切であれば、1つまたは複数の巨視的および/または顕微的フィルタを備えることができる。
【0401】
これらは、微粒子、例えば、細胞残屑および微生物を保持し、タンパク質および栄養物を通すことができる。
【0402】
循環する創傷流体は、創傷治癒を促進するのに有益な物質(細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む)のこのような均衡を素早く達成するのを助ける。
【0403】
これは、さらに、それらを潜在的に最も都合のよい部位、つまり創傷床に戻す。
【0404】
循環する創傷流体は、創傷治癒に有害な物質の再循環を除去しつつ、創傷床と接触して創傷治癒を促進するのに有益な物質(細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む)を保持することを助けると考えられる。
【0405】
限外濾過ユニットなどの単相システムおよび透析ユニットなどの二相システムは、両方とも、本発明の装置から比較的容易に取り外せるモジュール形態とすることができる。このシステムは、適宜、1つまたは複数のそのようなモジュールを備えることができる。
【0406】
それぞれ、
d)創傷被覆材から灌流液および/または創傷滲出液が通り、
e)浄化された流体が、再循環管に戻され、
f)(透析ユニットなどの二相システムの形態の手段が用意される場合)浄化流体がその手段を出入りする際に通る導管は、
好ましくは、モジュールの切断および撤去時に、
iii)流れをオフに切り換え、
iv)導管および本発明のそのように公開されている装置の残り部分の中の連携する管の両端上に直に流体密封シールを形成するか、または閉鎖し、
灌流液および/または滲出液および浄化された流体、および浄化流体が連続して通過するのを防止するための手段を備える。
【0407】
創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う本発明の装置は、創傷から流体を排出するための弁またはその他の制御デバイスなどの調整装置などのオフテイクおよび/または再循環管の排出を行う手段を備える。
【0408】
創傷に流体を通すためのデバイスおよび流体浄化のための手段は、灌流液を創傷被覆材に移し、所望の正または負の圧力を創傷床にかけるために使用される。
【0409】
再循環管内の流体の所望の収支は、典型的には、
a)オフテイクおよび/または再循環管の排出を行う手段、
b)供給と再循環との間の流れの切り換えを行う手段、および/または
c)流体を創傷床の上に流し、流体浄化のための手段に通すための手段
を適宜使って調整される。
【0410】
そのため、例えば、もし
a)創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う装置が、限外濾過ユニットなどの単相システムであり、
b)創傷が、滲出液の多い状態になく、
c)流体を流体貯蔵容器から創傷に入れることが適切または望ましいことでなければ、
再循環している流体の収支の変化はまったくないか無視できるくらい小さい。
例えば創傷床に加わる所望の正または負の圧力に対し完全に呼び水入れが行われた後、装置は、閉再循環システムとして動作させることができる。
【0411】
供給管と再循環管との間の流れの切り換えを行う手段は、流体供給管を介して創傷から流体貯蔵容器に入るのを閉じるように設定され、オフテイク管および/または再循環管の排出を行う手段も閉じられる。
【0412】
もし、
a)創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う装置が、限外濾過ユニットなどの単相システムであり、
b)創傷が滲出液の多い状態にあり、および/または
c)流体を流体貯蔵容器から創傷に入れることが適切または望ましいことであれば、
再循環している流体の収支の変化は正である。
【0413】
例えば創傷床に加わる所望の正または負の圧力に対し完全に呼び水入れが行われた後、場合によっては望ましくないが、装置は、創傷床に加わる圧力が増大しないと、閉再循環システムとして動作させることができない。
【0414】
オフテイクおよび/または再循環管の排出を行う手段は、創傷床にかかる正の圧力を逃がすためにある程度開かれていなければならない。ブリードオフを空にして例えば回収袋に廃棄することができる。
【0415】
細胞または組織を使用して加えられたような物質を含む、創傷治癒を促進するのに有益な物質は、もはや治療がこの方法で行われるときに潜在的に最も有益でありうる部位、例えば創傷床に役立たない可能性がある。
【0416】
しかし、再循環している流体の収支は、このような望ましくない喪失を最小限に抑えるために定期的に調整することができる。
【0417】
透析ユニット、または二相抽出ユニットの形態で流体浄化を行うための二相システム手段を備える装置内で再循環している流体の収支を決定する要因については、装置の動作に関して前のほうで詳細に説明されている。
【0418】
ここでは、定常状態の再循環が装置流路の全長を通して確定した後のある時点に、透析液からの望ましくない程度までの移動により全体として流体レベルが増えている場合に、ブリード弁が開かれることが必要になることがあることを指摘するだけで十分である。
【0419】
他の組合せ、および再循環管内の流体の望ましい収支を維持するために必要な調整は、
a)オフテイクおよび/または再循環管の排出を行う手段、
b)供給と再循環との間の流れの切り換えを行う手段、および/または
c)流体を移動する手段を使って行われることは、当業者に明白なことであろう。
【0420】
オフテイクおよび/または再循環管の排出を行う手段からの排出を回収し、監視し、それを使用して、創傷および/またはその滲出液の状態を診断することができる。
【0421】
廃液貯蔵容器は、従来の種類のもの、放出された灌流液流体を含むことができる、例えばポリマーフィルムの、例えば、管、袋(オストミーバッグとして通常使用される袋など)、室、小袋、またはその他の構造物とすることができる。装置のすべての実施形態において、廃液貯蔵容器の種類および材料は、主に、その機能により決定される。使用に適しているためには、材料は、一度使用すると流体浸透不可能になり、柔軟であるだけでよい。
【0422】
流体貯蔵容器に好適な材料の実施例は、ポリ(塩化ビニリデン)などのポリオレフィンなどの合成高分子物質を含む。
【0423】
本発明に好適な材料は、さらに、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、例えば、酢酸ビニルおよびその混合物とのその共重合体を含む。本発明の第2の態様では、創傷上で比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成することができる創傷フェーシング面を有するバッキング層を備え、また
創傷フェーシング面を通過する、および/またはその下を通る流体供給管に接続するための少なくとも1本のインレットパイプと、
創傷フェーシング面を通過する、および/またはその下を通る流体オフテイク管に接続するための少なくとも1本のアウトレットパイプとを備え、
そのポイントで、そのまたはそれぞれのインレットパイプおよびそのまたはそれぞれのアウトレットパイプは、創傷上の比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成する創傷フェーシング面を通り、および/または下を通ることを特徴とする整合創傷被覆材が提供される。
【0424】
被覆材は、防菌小袋内で使用するように実現されると都合がよい。
【0425】
このような創傷被覆材の好適な形態の実施例は、前に述べた実施例を使って説明されているとおりである。
【0426】
創傷床に加えるべき活性物質は、ヒトまたは哺乳類の細胞、例えば、ケラチン生成細胞、線維芽細胞、またはこれらの細胞の混合物、または他の細胞が,例えば、培養された栄養培地(馴化培地)であってもよいことは予想される。これらの細胞は、培地に有利な活性物質、例えば、創傷床に有益な作用をし、創傷の治癒を助けるTGFfを放出する。
【0427】
本発明のいくつかの実施形態では、実際の細胞それ自体は、細胞増殖培地があろうとなかろうと、治癒を助ける創傷床への活性物質として使用されうる。本発明の特定の実施形態では、異なるタイプの細胞を治癒過程の異なる時期の活性物質として使用できる。例えば、線維芽細胞タイプの細胞は、創傷リモデリングを助け、また創傷が構造的繊維を形成するのを助けるために、治癒を最初に助長する創傷床に対する活性物質として使用することができる。次いで、ケラチン生成細胞またはケラチン生成細胞の以前に最初に使用されたのよりも大きな割合の部分を、創傷床にそって流れる治癒を助ける活性物質として使用することも可能であろう。他の細胞も、同様に、または組み合わせて使用することが可能である。
【0428】
細胞(ケラチン生成細胞または線維芽細胞)は、有益な治癒成分を送ることにより、または創傷床に貼り付けて治癒を直接助長することにより、創傷の治癒を助けることができる。
【0429】
馴化培地が使用される場合(細胞を増殖させた培地)、異なる細胞源から得られる異なる馴化培地を使用することができ、また馴化培地を使用する特定の順序を定めることは、重要であり、治癒を助長することが考えられる。例えば、線維芽細胞タイプの細胞または高い割合の線維芽細胞を含む細胞の混合物からの馴化培地が、最初に使用され、次いでケラチン生成細胞タイプの細胞または前に使用したのよりも高い割合のケラチン生成細胞を含む細胞の混合物から得られる馴化培地が使用されうる。これは、創傷の治癒を助けると予想される。
【0430】
本発明のいくつかの実施形態では、創傷接触層がありうる。創傷接触層は、当業で知られている好適な物質(例えば、ガーゼまたはフォーム)から作ることができ、これにより栄養物を創傷床に到達させることができる。創傷接触層を備えることで、肉芽形成物質の過剰増殖を防ぐことができる。
【0431】
本発明のいくつかの実施形態では、特に慢性的創傷における重要な利点は、使用時に、肉芽組織は、創傷フィルム被覆材と創傷床との間にある創傷接触層上に増殖し、および/またはその中に増殖するように促進される点である。
【0432】
この効果は、さらに、増殖を助ける創傷細胞用の栄養物、および創傷治癒に有益な形で関わり、および/または創傷治癒過程に有利な他の分子を収めた流体貯蔵容器からの灌流液の創傷床上の循環により高められうる。
【0433】
他の特別な利点は、創傷接触層を創傷フィルム被覆材と創傷床生物分解物との間に残せるため、被覆材の交換時にこの肉芽組織成長侵入を取り除く必要がないという点である。これにより、外傷が最小限に抑えられ、また創面切除の必要も減じる。
【0434】
この創傷接触層の特定の利点は、床ずれでの使用であり、デバイスを創傷の深いところに配置し、患者は、デバイスの有用性に影響を及ぼしたり、または創傷にダメージを与えることなくそのデバイス上に横たわることができる。これは、他の医学的根拠から、患者をこの姿勢から移動できない場合に重大なものとなる。
【0435】
創傷接触層は、創傷の実質的全面に配置され、そのサイズおよび形状は、個々の創傷に適合するように調節できる。これは、さまざまな開口部を備えた半剛性材料から形成できる。
【0436】
ここで使用する「開口部を備えた」は、多孔性である、開口部を備える、穴があいている、目の粗いメッシュの、スリットのある、切開された、および/または切断された材料を意味する。
【0437】
この材料は、組織修復および創傷治癒の過程にかかわるあらゆる種類の細胞による侵入、および/または血管の内側への成長を許す十分な大きさの開口部を有し、過剰増殖を妨げ、吸引の下で潰れる十分な剛性を有していなければならない。
【0438】
生分解可能創傷接触層に適した生体適合物質は、ポリ(グリコール酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)およびそれらのエステル、および共重合体および前記の物質の混合物などの、ポリ(ヒドロキシ酸)およびそのエステルを含む。
【0439】
好適な生体適合物質は、さらに、ポリ(テレフタル酸)、ポリ(アジピン酸)および共重合体および前記の物質の混合物などのポリ(酸無水物)も含む。
【0440】
さらに、分解もしくは未変性コンフォメーション、または核酸組換え技術により生成される変性タンパク質ベースのポリマー、例えば、組換えDNA技術を通じて生成されるコラーゲン、フィブロネクチン、または線維素、またはその断片、またはこれらの混合物において、実質的にタンパク質ベースのポリマー、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、または線維素などの生物由来生物分可能ポリマー材料を全分子として、またはタンパク質分解治療もしくは化学的治療が施されるものとして使用することができる。
【0441】
他の許容可能な創傷接触層は、グリコソアミノグリカン、キトサン、セルロース、またはアルギン酸塩分子などのタンパク質ベースの骨格および炭水化物ベースのポリマーの組合せである。
【0442】
好適な物質は、さらに、皮膚、消化管、または結合組織などの、創傷内に置かれる際に受け入れられるようにする手段で処理されるヒトまたは動物由来の組織も含む。
【0443】
創傷接触層/物質は、さまざまな開口部を備えた半剛性材料で形成できる。
【0444】
これらの形態は、シート、層、フィルム、柔軟なパネル、メッシュ、ネット、クモの巣状構造物、または格子などの、本質的に二次元形状としてよい。これらは、乾燥、水和、またはゲルベースの製剤として創傷内に置くことができる。
【0445】
開口部を備える、または穴のあいている骨格の一実施形態は、創傷の形状に合わせて切り取ったハチの巣状ポリマーシートの一セクションを含む。
【0446】
創傷接触層が、シート、層、フィルム、柔軟なパネル、メッシュ、ネット、クモの巣状構造物、または格子などの本質的に二次元の開口部を備える半剛性形態である場合、創傷内に挿入した後に創傷床に適切に合わせることができる形状に設計されうる。
【0447】
したがって、形状へのこのような適合は、創傷被覆材に関連してこれ以降説明されるように、より深い創傷上で創傷被覆材が使用されるこれらの実施形態、特に創傷被覆材を創傷接触層および創傷床に押しやるために創傷被覆材が使用される場合の特別な利点である。
【0448】
例えば、このような創傷接触層は、多重マルティーズクロスまたは図案化されたバラによく似た、深く凹んだ円板の形態をとりうる。この形態は、アームを閉じ、場合によっては重ねることにより、創傷、特に深い創傷内に挿入した後、創傷床に適切に合わせることができる。
【0449】
創傷接触層の形態は、さらに、折り畳む、折り目を付ける、ひだを付ける、折り込む、縮らせる、しわくちゃにする、ねじ込む、またはよじることで三次元形状にされた、シート、層、フィルム、柔軟なパネル、メッシュ、ネット、クモの巣状構造物、および格子などの三次元形状でもよい。
【0450】
それとは別に、これらの形態は、フィルム、柔軟なパネル、メッシュ、ネット、クモの巣状構造物、および格子などの、本質的に三次元形状、または三次元のメッシュ、ネット、クモの巣状構造物、および格子、および好ましくはフォームとしてよい。
【0451】
これらは、乾燥、水和、またはゲルベースの製剤として創傷内に置くことができる。
【0452】
本発明の実施形態は、さらに、
第1の面を有する吸引ヘッドと、
前記第1の面の反対側にある第2の面であって、複数の突出部からなり、前記突出部は前記第2の面内の開口部へ、また前記第1の面を通して流体を流しやすくするための複数のチャネルを定め、前記開口部は吸引管と接続するように適合された、前記第1の面の反対側にある第2の面と、
前記開口部と一致する開口を有する外科用ドレープであって、一領域上に広がり、前記第1の面の周囲を超えて重なり合い、前記第1の面の前記領域に接着された柔軟な粘着性コーティングフィルムおよび前記第2の面上に広がり、前記外科用ドレープの重なり合う部分に接着された剥離剤コーティングバッキングを含む、外科用ドレープとを含むことができる。
【0453】
流体を創傷面上に分配するために、本発明は、さらに、
第1の面を有する吸引ヘッドと、
前記第1の面の反対側にある第2の面と、
創傷面との接触面を形成する前記第2の面からの一致する複数の突出部であって、流体の流れを容易にするための複数のチャネルが前記突出部の間に定められ、前記チャネルが創傷面と接触しない状態を保つ、複数の突出部と、
前記突出部により形成され、前記第1の面と第2の面とを通じて形成される前記チャネルと流体により連絡する開口も含むことができる。
【0454】
本発明の実施形態は、さらに、
哺乳類の創傷の治癒をシミュレートするために治療装置を使用する方法であって、
多孔性パッドを前記創傷内に、または前記創傷上に挿入し、前記多孔性パッドが前記創傷と接触するようにし、前記多孔性パッドは、少なくとも1つの部分的外面および内部ボディを有し、生体適合性を高めるために前記外面は直径約100ミクロン以下の小さな第1の細孔により前記創傷の表面と接触するように適合されるステップと、
前記創傷内の前記多孔性パッドを創傷被覆材により固定し、前記創傷の部位に対する負圧を維持するステップと、
前記多孔性パッドを通して前記創傷に負圧を発生させるステップと、
前記多孔性パッドを通して前記創傷から流体を集めるステップとを含む方法を含むことができる。
【0455】
そこで、本発明の第3の態様では、本発明の創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置を使用して創傷治癒を促進する創傷治療方法が実現される。
【0456】
本発明は、実施例により、付属の図面のみを参照しつつ説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0457】
図1を参照すると、創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う装置(1)は、
適合性のある創傷被覆材(2)であって、
創傷(5)上で比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖(4)を形成することができるバッキング層(3)を有する創傷被覆材(2)と、
(8)でバッキング層(5)の創傷フェーシング面を通過する、流体供給管(7)に接続するための1本のインレットパイプ(6)と、
(11)で創傷フェーシング面を通過する、流体オフテイク管(10)に接続するための1本のアウトレットパイプ(9)とを有し、
ポイント(8)、(11)で、インレットパイプおよびアウトレットパイプは創傷上の比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成する創傷フェーシング面を通り、および/または下を通り、
インレットパイプは、供給と再循環との間で流れの切り換えを行う手段、ここではT字型弁(14)を介して、流体供給管(7)により、流体貯蔵容器と直列につながる細胞または組織用の容器(容器および貯蔵容器は単一完全体(12)として示されている)および例えば回収袋(図に示されていない)への管の排出を行う手段、ここではブリードT字型弁(16)を備える流体再循環管(13)に接続され、
アウトレットパイプ(9)は、流体オフテイク管(10)に接続され、これはさらに、
流体再循環管(13)およびT字型弁(14)を介してインレットパイプ(6)に接続される、ここでは限外濾過ユニットの形態の流体浄化を行う手段(17)、および
創傷に流体を通すデバイスおよび流体浄化を行う手段(17)、ここでは蠕動ポンプ(18)、例えば、好ましくは小型携帯蠕動ポンプに接続され、これは、流体再循環管(13)に作用し、ローター(図に示されていない)上の周辺のローラは低い負の圧力を創傷に加える。
【0458】
使用時に、インレットパイプ、供給と再循環T字型弁(14)との間で流れを切り換えるための手段、流体供給管(7)、および細胞または組織用の容器(完全体(12)の一部)は、創傷治癒を促進する治療的に活性のある量の細胞または組織からの生理活性成分を含み、そのような物質を流路に加える。
【0459】
そのような生理活性物質の供給は、装置流路上のこの目的に適したポイントにおいて実行されうるが、(ここと同様に)細胞または組織を含む容器内の灌流液から創傷被覆材を通して再循環する流体を介して創傷へのそのような供給を行うと都合がよいことが多い。
【0460】
限外濾過ユニット(17)は、単相システムである。これにおいては、創傷および細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器からの循環流体は、創傷治癒に有害な物質が除去され、創傷治癒を促進するのに役立つ物質をまだ含んでいる浄化流体が、再循環管を介して創床に戻される、自足自給型システムを通る。
【0461】
(本装置の変更形態では、それぞれ細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器(完全体(12)とともに)から流体を創傷に導き入れる第1の弁(19)および再循環管から流体を創傷に導き入れる第2の弁(20)を備える、流体供給管(7)および流体再循環管(13)にそれぞれ接続される、2本のインレットパイプ(6)がある。通常は、装置の使用時に、第1の弁(19)が開いているときには第2の弁(20)は閉じられ、第2の弁(20)が開いているときには第1の弁(19)は閉じられている。)装置(1)の使用時に、弁(16)は、回収袋(図に示されていない)に開かれ、T字型弁(14)は、回されて、流体を細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器(完全体(12)とともに)から創傷被覆材に、流体供給管(7)およびインレットパイプ(6)を通じて導き入れる。
【0462】
(流体供給管(7)および流体再循環管(13)にそれぞれ接続される、2本のインレットパイプ(6)を備える、本装置の変更形態では、細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器(完全体(12)とともに)から流体を創傷に導き入れる第1の弁(19)は開かれ、第2の弁(20)は閉じられ、またその逆も行われる。)
【0463】
ポンプ(18)が始動されると、ローター(図に示されていない)上の周辺ローラで流体再循環管(13)をつまみ、低い正の圧力を創傷に加える。これは、装置に対し装置流路の全長にわたって呼び水入れが行われ、ブリードT字型弁(16)を介して過剰な流体が回収袋(図に示されていない)にすっかり廃棄されるまで動作させられる。次いでT字型弁(14)が回され、供給および再循環から切り換える、つまり、細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器(完全体(12)とともに)への創傷を閉じるが、流体を流体再循環管(13)から創傷に導き入れるように設定され、ブリードT字型弁(16)は同時に閉じられる。
【0464】
(本装置の変更形態では、それぞれ流体供給管(7)および流体再循環管(13)に接続される、2本のインレットパイプ(6)がある場合、第1の弁(19)は閉じられ、再循環システムは、再循環管(13)から創傷内に流体を導き入れるように第2の弁(20)を開くことによりセットアップされる。)
【0465】
創傷および細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器(完全体(12)とともに)からの循環流体は、限外濾過ユニット(17)を通過する。
【0466】
創傷治癒に有害な物質は、除去され、創傷治癒を促進するのに有益な物質をまだ含む浄化された流体は、再循環管(13)を介して創床に戻される。
【0467】
流体の再循環は、望むだけ続けることができる。
【0468】
次いで供給と再循環との切り換えが逆転されるが、そのために、T字型弁(14)を回し、流体を流体貯蔵容器および細胞または組織用の容器から創傷被覆材に、流体供給管(7)およびインレットパイプ(6)を通じて導き入れる。
【0469】
(流体供給管(7)および流体再循環管(13)にそれぞれ接続される、2本のインレットパイプ(6)を備える、本装置の変更形態では、細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器(完全体(12)とともに)から流体を創傷に導き入れる第1の弁(19)は開かれ、第2の弁(20)は閉じられ、またその逆も行われる。)
【0470】
ブリード弁(16)は、同時に開かれ、新鮮な流体が再循環システムをフラッシングする。
【0471】
ポンプ(18)の運転は、装置がフラッシングされ、それと流体再循環が止まるまで続けることができる。
【0472】
例えば、創傷が滲出液の多い状態にある場合、再循環している流体の収支に正の変化がある。ブリードT字型弁(16)を開いて再循環管(13)から流体を排出することにより、流体を再循環から排出する必要がある場合がある。
【0473】
図2を参照すると、装置(21)は、図1の装置の一変更形態であるが、二相システム、ここでは透析ユニット(23)の形態の流体浄化を行う手段を除いて、同一で、同じ番号が振られている構成要素を備える。
【0474】
これにおいては、創傷および細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器からの循環流体が通り、第2のシステムとの選択的に浸透可能な接触により有害物質が除去され、浄化流体を通す一システムがある。
【0475】
そのため、透析ユニット(23)は、創傷治癒に有害な物質に対し選択的に浸透可能な内部ポリマーフィルム、シート、またはメンブレイン(24)を有し、これは、
a)ポリマーフィルム、シート、またはメンブレインの1つの表面上に浄化流体を流す際に通る第1の室(25)、および
b)創傷および細胞または組織用の容器および流体貯蔵容器(完全体(12)とともに)から循環流体を通し、有害な物質が除去される、第2の室(26)に分けられる。
【0476】
したがって、透析ユニット(23)は、弁(34)を介して透析液貯蔵容器(図に示されていない)から第1の室(25)内のポリマーフィルム、シート、またはメンブレイン(28)の表面上に浄化流体を供給するためローター(図に示されていない)上に周辺ローラがある透析液供給管(29)上で動作する、蠕動ポンプ(38)、例えば好ましくは小型携帯蠕動ポンプにつながる透析液供給管(29)に接続する透析液インレットパイプ(28)を備える。
【0477】
透析ユニット(23)は、さらに、例えば回収袋(図に示されていない)内に第2のブリードT字型弁(36)を介して排出される透析液排出管(31)に接続する透析液アウトレットパイプ(30)も備える。
【0478】
この装置の動作は、透析ユニット(27)を除き、システムの呼び水入れが行われ、定常状態の再循環が装置流路の全長を通して確定した後のある時点に、弁(34)および第2のブリード弁(36)が開かれるという点で図1の装置に類似している。
【0479】
ポンプ(38)が始動されると、ローター(図に示されていない)上の周辺ローラで透析液管(29)をつまみ、ポンプ動作で、浄化流体を透析液貯蔵容器(図に示されていない)から第1の室に送り、ブリード弁(36)を介して回収袋(図に示されていない)に廃棄する。
【0480】
透析ユニット(23)は、色が変化すると浄化された流体内に有害な要因が存在することを示し、スクラビングカートリッジが底をつき、新しくされなければならないことを示す基板を持つモジュール(またはスクラビングカートリッジ)である。
【0481】
図3から6を参照すると、それぞれの被覆材(41)は、25ミクロンの一様な厚さを有し、創傷フェーシング面(43)が創傷上で比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成できる、微生物浸透不可能なフィルムバッキング層(42)により定められる適合性のある物体の形態である。
【0482】
バッキング層(42)は、使用に際しては創傷の周囲の皮膚上の創傷上に広がる。重なり(44)のバッキング層(43)の近位面には、接着フィルム(45)が置かれ、創傷被覆材が創傷被覆材の創傷フェーシング面(43)の周辺の流体密封シールの適所に十分保持できるように皮膚に貼り付けられる。
【0483】
創傷フェーシング面(43)内を通り、および/または下を通る、流体供給管(図に示されていない)に接続する1本のインレットパイプ(46)、および創傷フェーシング面(43)内を通り、および/または下を通る、流体オフテイク管(図に示されていない)に接続する1本のアウトレットパイプ(47)がある。図3aおよび3bを参照すると、創傷被覆材の一形態は、円形バッキング層(42)の下に創傷充填材(48)を備える。
【0484】
これは、創傷形状を強いる流体、ここでは空気または窒素で満たされた、メンブレイン(49)により定められた、一般的に円錐台形のドーナツ形の適合性のある中空体を含む。
【0485】
充填材(48)は、粘着フィルム(図に示されていない)で、またはヒートシーリングによりバッキング層に永久的に取り付けることができる。
【0486】
インレットパイプ(46)およびアウトレットパイプ(47)は、ドーナツ形中空体(48)の中心トンネル(50)の上にあるバッキング層(42)内の中央に取り付けられ、それぞれバッキング層(42)を通過し、それぞれドーナツ形中空体(48)のトンネル(50)を通してパイプ(51)および(52)内に伸び、次いで、中空体(48)の下で正反対の方向に放射状に広がる。
【0487】
この形態の被覆材は、より深い創傷により適したレイアウトである。
【0488】
図4aおよび4bを参照すると、浅い傷により適した形態が示されている。これは、円形バッキング層(42)および、ヒートシーリングによりバッキング層(42)に永久的に取り付けられ円形の小袋(63)を形成する開口を持つ円形の上方に凹んだメンブレイン(61)を含む。
【0489】
小袋(63)は、穴(64)を通してインレットパイプ(46)と連絡し、したがって、被覆材が使用されているときに創傷に直接循環流体を送出するインレットパイプマニホールドを効果的に形成する。
【0490】
開口部(66)を有する環状の第2のメンブレイン(65)は、ヒートシーリングによりバッキング層(42)に永久的に取り付けられ、層(42)とともに環状の室(67)を形成する。
【0491】
室(67)は、オリフィス(68)を通してアウトレットパイプ(47)と連絡し、したがって、被覆材が使用されるときに創傷から直接流体を回収するアウトレットパイプマニホールドを効果的に形成する。図5aおよび5bを参照すると、深い創傷に適した形態の図4aおよび4bの被覆材の変更形態が示されている。
【0492】
これは、円形バッキング層(42)、および逆円錐台形の形態の充填材(69)、固い完全体、ここでは、熱可塑性、好ましくは架橋発泡プラスチックで形成された弾力性のある弾性発泡体を含む。
【0493】
これは、粘着フィルム(図に示されていない)で、またはヒートシーリングによりバッキング層に永久的に取り付けられる。
【0494】
円形の上方に凹んだシート(70)は、バッキング層(42)および固い完全体(69)の下に置かれ、またバッキング層(42)および固い完全体(69)に適合するが、バッキング層(42)および固い完全体(69)に永久的に取り付けられることはない別の構造物である。
【0495】
開口(72)を有する円形の上方に凹んだ第1のメンブレイン(71)は、ヒートシーリングでシート(70)に永久的に取り付けられ、シート(70)とともに円形の小袋(73)を形成する。
【0496】
小袋(73)は、穴(74)を通してインレットパイプ(46)と連絡し、したがって、被覆材が使用されているときに創傷に直接循環流体を送出するインレットパイプマニホールドを効果的に形成する。
【0497】
開口部(76)を有する環状の第2のメンブレイン(75)は、ヒートシーリングによりシート(70)に永久的に取り付けられ、シート(70)とともに環状の室(77)を形成する。
【0498】
室(77)は、オリフィス(78)を通してアウトレットパイプ(47)と連絡し、したがって、被覆材が使用されるときに創傷から直接流体を回収するアウトレットパイプマニホールドを効果的に形成する。
【0499】
それとは別に、適宜、円形の上方に凹んだシート(70)がバッキング層として機能し、固い充填材(69)がバッキング層として、シート(70)の下ではなく上に配置される形態で創傷被覆材が形成されうる。充填材(69)は、バッキング層(42)の代わりに、粘着フィルムまたはテープで適所に保持される。
【0500】
図6aおよび6bを参照すると、深い傷により適した被覆材が示されている。
【0501】
これは、円形バッキング層(42)、および逆にされた一般的に半球状の完全体の形態の充填材(79)、ここでは、流体、ここでは創傷形状に合わせられるゲルを充填され、粘着フィルム(図に示されていない)で、またはヒートシーリングによりバッキング層に永久的に取り付けられる、弾力性のある弾性発泡体または中空体を含む。
【0502】
インレットパイプ(46)およびアウトレットパイプ(47)は、バッキング層(42)内の周囲に取り付けられる。
【0503】
円形の上方に凹んだシート(80)は、バッキング層(42)および充填材(79)の下に置かれ、またバッキング層(42)および充填材(79)に適合するが、バッキング層(42)および充填材(79)に永久的に取り付けられることはない別の構造物である。
【0504】
円形の上方に凹んだ2層メンブレイン(81)は、層流成分の間に閉じたチャネル(82)を有し、
メンブレイン(81)により形成される皿状物の外面(84)上の長さ方向にそった穿孔(83)、および
らせんの外端にある開口部(85)を持ち、この開口部を通して、チャネル(82)はインレットパイプ(46)と連絡し、
したがって、被覆材が使用されているときに循環流体を直接、創傷に送達するインレットパイプマニホールドを効果的に形成する。
【0505】
メンブレイン(81)は、さらに、チャネル(82)の曲がり角と曲がり角の間に、その長さにそって開口(86)を有する。
【0506】
メンブレイン(81)により形成される皿状物の内面(87)は、粘着フィルム(図に示されていない)により、またはシート(80)にヒートシーリングすることにより、一番内側のポイント(88)に永久的に取り付けられる。これは、嵌め合わせの閉じたスピロヘリカル導管(89)を定める。
【0507】
らせんの一番外側端部において、導管(89)は、開口部(90)を通じてアウトレットパイプ(47)と連絡し、したがって、事実上、開口(86)を介して創傷から直接的に流体を回収するアウトレットマニホールドである。
【0508】
図7aおよび7bを参照すると、創傷被覆材の一形態は、円形バッキング層(42)を備える。第1の(大きな)逆さの半球状メンブレイン(92)をヒートシーリングで層(42)に中心に来るように永久的に取り付けて、層(42)とともに半球室(94)を形成する。第1の中にある第2の(小さな)同心半球状メンブレイン(93)をヒートシーリングで層(42)に永久的に取り付けて、半球状小袋(95)を形成する。
【0509】
小袋(95)は、インレットパイプ(46)と連絡しており、したがって、事実上、インレットマニホールドであり、そこからパイプ(97)が半球状に、また放射状に広がり、創傷床に届き、開口(98)で終端する。
【0510】
パイプ(97)は、開口(98)を介して、循環流体を直接、創傷床に送る。
【0511】
室(94)は、アウトレットパイプ(47)と連絡しており、したがって、事実上、アウトレットマニホールドであり、そこから小管(99)が半球状に、また放射状に広がり、創傷床に届き、開口部(100)で終端する。小管(99)は、開口部(100)を介して、循環流体を直接、創傷から回収する。
【0512】
図8aから8dを参照すると、創傷被覆材の一形態は、正方形バッキング層(42)と、
インレットパイプ(46)から伸びている第1の管(101)と、
アウトレットパイプ(47)から伸びている第2の管(102)とを、
それらがバッキング層を貫通し、創傷床面に広がる位置に備える。
【0513】
これらのパイプ(101)、(102)は、パイプ(101)、(102)にそってオリフィス(103)、(104)を持つ止まり穴を有する。
【0514】
これらのパイプ(101)、(102)は、それぞれ、循環流体を直接創傷床に送出するか、またはオリフィスを介して流体を直接創傷からそれぞれ回収するインレットまたはアウトレットパイプマニホールドを形成する。
【0515】
図8aおよび8dにおいて、インレットパイプおよびアウトレットパイプマニホールドとしてのパイプ(101)、(102)のそれぞれの一レイアウトは、らせん形である。
【0516】
図8bでは、このレイアウトは、図8aおよび8bのものの変更形態であり、インレットマニホールド(101)のレイアウトは完全または部分的トーラスであり、アウトレットマニホールド(102)は放射状のパイプである。
【0517】
図8cを参照すると、インレットマニホールド(101)およびアウトレットマニホールド(102)は、犂耕体のパターンで、つまり、畝を鋤で耕す形で創傷床上に互いに並んで引き回される他の好適なレイアウトが示されている。
【0518】
図9aから9dを参照すると、図8aから8dに示されているのと同じである、より深い創傷に好適な他のレイアウトが示されている。しかし、正方形のバッキング層(42)は、バッキング層(42)の下に創傷充填材(110)を有し、粘着フィルム(図に示されていない)により、またはヒートシーリングによりバッキング層(42)に永久的に取り付けることができ、このバッキング層は、逆さの半球状の固い完全体、ここでは弾力性のある弾性発泡体であり、熱可塑性物質、好ましくは架橋発泡プラスチックで形成される。
【0519】
後者の下に、円形の上方に凹んだシート(111)があり、これは固い充填材(110)に適合するが、固い充填材(110)に永久的に取り付けられることはない別の構造物である。シート(111)内をインレットパイプ(46)およびアウトレットパイプ(47)が通り、創傷床面に行き渡る。これらのパイプ(101)、(102)は、ここでもまた、パイプ(101)、(102)にそってオリフィス(103)、(104)を持つ止まり穴を有する。
【0520】
それとは別に(図5aおよび5bのように)、適宜、円形の上方に凹んだシート(111)がバッキング層として機能し、固い充填材(110)がバッキング層として、シート(42)の下ではなく上に配置される形態で創傷被覆材が形成されうる。充填材(110)は、バッキング層(42)の代わりに、粘着フィルムまたはテープで適所に保持される。
【0521】
図10aから10cでは、それぞれ創傷に流体を送り、創傷から流体を回収するための創傷被覆材用のインレットおよびアウトレットマニホールドが、積み重ねた形で互いに永久的に付着している層内のスロットおよびそれらの層を通る開口により形成される。
【0522】
そこで、図10aでは、粘着フィルム(図に示されていない)により、または積み重ね(120)の中の隣接する層にヒートシーリングすることによりそれぞれ取り付けられている第1から第5の層(121)から(125)である5つの正方形の同じ広がりを持つ熱可塑性ポリマー層のインレットマニホールドおよびアウトレットマニホールドの積み重ね(120)の組立分解等角図が示されている。
【0523】
一番上の(第1の)層(121)(使用中の被覆材内の最も先端)は、ブランクの正方形のキャッピング層である。
【0524】
マニホールドの積み重ね(120)から図10bに示されている、次の(第2の)層(122)は、インレットマニホールドスロット(126)が中を通る正方形の層である。スロット(126)は、層(122)の一方のエッジ(127)のところまで来ており、そこで流体入口管の嵌め合い端部(図に示されていない)に接続し、4つの隣接する枝(128)内に、それらの間の空間と平行な配列で広がる。
【0525】
次の(第3の)層(123)は、第2の層(122)(図10bに示されている)を通して開口(129)がインレットマニホールドスロット(126)と揃うような配列で層(123)を通るインレットマニホールド開口(129)を有する他の正方形の層である。
【0526】
マニホールドの積み重ね(120)から図10cに示されている、次の(第4の)層(124)は、第3の層(123)を通して開口(130)が開口(129)と揃うような配列で層(124)を通るインレットマニホールド開口(130)を有する他の正方形の層である。
【0527】
さらに、中を通るアウトレットマニホールドスロット(131)も有する。
【0528】
スロット(131)は、層(122)のエッジ(127)からマニホールドの積み重ね(120)の反対側にある層(124)の一方のエッジ(132)のところまであり、流体出口管(図に示されていない)の嵌め合い端部に接続する。
【0529】
これは、層(124)内の開口(130)の間の空間内にあり、また層(122)内の開口(129)の間の空間と揃う、平行な配列の形で3つの隣接する枝(133)の中へ広がる。
【0530】
最後の(第5の)層(125)は、第4の層(124)を通して開口(134)がインレットマニホールド開口(130)と揃い、次いで第3の層(123)を通して開口(129)揃うような配列で層(125)を通るインレットマニホールド開口(134)を有する他の正方形の層である。また、これは、開口(135)が第4の層(124)内のアウトレットマニホールドスロット(131)と揃うような配列でアウトレットマニホールド開口(135)を層(125)内に有する。
【0531】
層(121)から(125)が張り合わされて、積み重ね(120)を形成する場合、一番上の(第1の)層(121)、第2の層(122)を通るインレットマニホールドスロット(126)、および第3の層(123)は連携して、インレットマニホールドを第2の層(122)内に形成し、これは使用時に、流体入口管(図に示されていない)の嵌め合い端部に接続されることがわかるであろう。
【0532】
第2の層(122)を通るインレットマニホールドスロット(126)、層(123)、(124)、および(125)を通るおよびインレットマニホールド開口(129)、(130)、および(134)は、すべて相互に揃い、連携して、第2の層(122)内のインレットマニホールドと積み重ね(120)の近位面(136)との間で第3から第5の層(123)、(124)、および(125)を通るインレットマニホールド導管を形成する。
【0533】
第3の層(121)、第4の層(124)を通るアウトレットマニホールドスロット(131)、および第5の層(125)は、連携して第4の層(124)内にアウトレットマニホールドを形成し、これは、使用時に、流体出口管(図に示されていない)の嵌め合い端部に接続される。
【0534】
第4の層(124)を通るアウトレットマニホールドスロット(131)および第5の層(125)を通るアウトレットマニホールド開口(135)は、相互に揃い、連携して、第4の層(124)内のアウトレットマニホールドと積み重ね(120)の近位面(136)との間で第5の層(125)を通るアウトレットマニホールド導管を形成する。
【0535】
図11を参照すると、創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う装置(1)は、図1の装置(1)の一変更形態である。
【0536】
これは、システム内の閉塞に対しポンプを保護する手段として、ポンプ(17)の周りにバイパス(711)を備える。
【0537】
これは、適切な手段により自動的に活性化される、例えば、これは、通常は、破裂円板(図には示されていない)、または圧力作動電動式弁によりブロックされている。
【0538】
バイパス(711)の代替えは、過剰な負荷または圧力を検出し、ポンプを停止するシステム内の圧力センサである。
【0539】
図12を参照すると、創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行う装置(1)は、図2の装置(1)の一変更形態である。
【0540】
後者は、透析ユニット(21)を備える2相システムであるが、透析流体が透析液貯蔵容器(図に示されていない)から第1の室(25)内の透析メンブレイン(28)の表面上に1回だけ通り、第2のブリードT字型弁(36)を介して例えば回収袋(図に示されていない)に廃棄される、システムである。
【0541】
この変更形態は、透析液ポンプ(23)の取入口側の第1のT字型弁(816)と第2のT字型弁(817)との間に引き回される透析液再循環管(811)を備え、これにより透析ユニット(21)に複数回通して回路の呼び水入れを行った後、ポンプ(23)で透析液を再循環させることができる。
【0542】
システムの動作は、当業者に明白なことであろう。
【0543】
図13から15を参照すると、創傷被覆材のこれらの形態は、円形バッキング層(342)の下に創傷充填材(348)を備える。
【0544】
これは、それぞれ、創傷形状を強いる流体、ここでは空気または窒素で満たされた、メンブレイン(349)により定められた、一般的に下向きのドーム形もしくはドーナツ形、または扁平回転楕円体適合中空体を含む。充填材(348)は、例えば、バッキング層(342)にヒートシーリングされる、突起(351)を介してバッキング層に永久的に取り付けられる。
【0545】
膨張インレットパイプ(350)、インレットパイプ(346)、およびアウトレットパイプ(347)は、中空体(348)の上のバッキング層(342)の突起(351)内の中心に取り付けられる。膨張インレットパイプ(350)は、中空体(348)の内部と連絡し、中空体(348)の膨張を行わせる。インレットパイプ(346)は、事実上中空体(348)を通してパイプ(352)内で伸びる。アウトレットパイプ(347)は、バッキング層(342)のすぐ下で放射状に伸びる。
【0546】
図13では、パイプ(352)は、ヒートシーリングにより充填材(348)に永久的に取り付けられる、開口(362)を有するメンブレイン(361)により形成される、インレットマニホールド(353)と連絡している。これは、好適な物質、例えば、弾力性がある熱可塑性物質で形成されたフォーム(363)で満たされる。好ましい物質は、小さな開口または細孔を有する網状濾過ポリウレタンフォームを含む。
【0547】
図14では、アウトレットパイプ(347)は、好適な物質、例えば、弾力性がある熱可塑性物質で形成されたフォーム(364)の層と連絡する。ここでもまた、好ましい物質は、小さな開口または細孔を有する網状濾過ポリウレタンフォームを含む。
【0548】
図13、14、および15のすべてにおいて、使用時に、パイプ(346)は、灌流液流体を広げられた領域上の創傷床から直接送出する1つまたは複数の開口部で終端する。
【0549】
同様に、アウトレットパイプ(347)は、効果的に、被覆材が使用されているときに創傷周辺から流体を放射状に回収する。
【0550】
図16を参照すると、創傷被覆材は、円形バッキング層(342)の下に創傷充填材(348)を備えている。
【0551】
これは、さらに、創傷形状を強いる流体、ここでは空気または窒素で満たされた、メンブレイン(349)により定められた、一般的にドーナツ形の適合性のある中空体を含む。
【0552】
充填材(348)は、第1の突起(351)を介してバッキング層(342)に、また好適な物質、例えば、弾力性がある熱可塑性物質で形成されたフォーム(364)の層に永久的に取り付けられる。ここでもまた、好ましい物質は、小さな開口または細孔を有する網状濾過ポリウレタンフォームを含む。
【0553】
第1の突起(351)およびフォーム層(364)は、それぞれ、バッキング層(342)および突起(351)にそれぞれヒートシーリングされる。
【0554】
膨張インレットパイプ(350)、インレットパイプ(346)、およびアウトレットパイプ(347)は、ドーナツ形中空体(348)の上のバッキング層(342)の第1の突起(351)内の中心に取り付けられる。
【0555】
膨張インレットパイプ(350)、インレットパイプ(346)、およびアウトレットパイプ(347)は、それぞれ、パイプ(353)、(354)、および(355)内で、中空体(348)内の中心トンネル(356)を通り、ドーナツ形中空体(348)に取り付けられている第2の突起(357)へ伸びている。
【0556】
パイプ(353)は、中空体(348)の内部と連絡し、中空体(348)の膨張を行わせることができる。パイプ(354)は、第2の突起(357)を通り放射状に伸び、灌流液流体を直接、広げられた領域上の創傷床に送出する開口部(362)を有する網状ハチの巣状の形態でヒートシーリングにより充填材(348)に永久的に取り付けられるメンブレイン(361)により形成される、インレットマニホールド(352)と連絡する。パイプ(355)は、被覆材が使用されているときに創傷中心から放射状に流れる流体を回収する。
【0557】
この形態の被覆材は、より深い創傷により適したレイアウトである。
【0558】
図17では、被覆材は、メンブレイン(349)により定められた、ドーナツ形の適合性のある中空体が、流体、ここでは空気または窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガスなどの気体ではなく、プラスチック屑またはビーズなどの固体粒子を充填され、膨張インレットパイプ(350)およびパイプ(353)が中心トンネル(356)から省かれることを除き、図16のと類似している。
【0559】
中空体(348)の内容物の例はさらに、シリコーンゲル、または好ましくはセルロースゲルなどのゲル、例えば、Intrasite(商標)架橋物質などの親水性架橋セルロースゲルも含む。例として、さらに、エアロゾルフォーム、およびセットエアロゾルフォーム、例えばCaviCare(商標)フォームがある。
【0560】
図18および19を参照すると、より深い創傷用の他の形態が示されている。これは、複数のマルタ十字架または様式化されたバラによく似た深く凹んでいる円板の形態の円形バッキング層(342)および室(363)を備える。
【0561】
これは、上側不浸透性メンブレイン(361)、および灌流液流体を広い領域にわたって直接創傷床から送出する開口(364)を有する下側多孔性フィルム(362)により定められる。
【0562】
室(363)の多数の構成が示されており、すべて、創傷内への挿入で閉じる、また場合によっては重なるアームにより創傷床にうまく適合することができる。
【0563】
一番下に示されている、室(363)の特定の設計では、アームの1つが、伸ばされ、伸ばされたアームの端部に入口を備える。これにより、使用時に被覆材および創傷から離れている灌流液供給部の結合および分離を行う機会が与えられる。
【0564】
インレットパイプ(346)およびアウトレットパイプ(347)は、室(363)の上のバッキング層(342)の突起(351)内の中心に取り付けられる。インレットパイプ(346)は、室(363)に永久的に取り付けられ、室(363)の内側と連絡しており、これにより、インレットマニホールドが効果的に形成される。室(363)の上にある空間は、緩いガーゼパッキング(364)を充填される。
【0565】
図18では、アウトレットパイプ(347)は、バッキング層(342)の創傷フェーシング面(343)の真下の被覆材の内側から流体を回収する。
【0566】
図18の被覆材の変更形態が、図19に示されている。アウトレットパイプ(347)は、室(363)の上の空間の最低点においてフォーム(374)の断片に開口するように取り付けられる。図20では、被覆材は、インレットパイプ(352)が、一般的に下向きドーム形の創傷中空充填材(348)の上面を通してではなく、その上で開口(362)を有するメンブレイン(361)により形成される、インレットマニホールド(353)と連絡することを除き、図13と類似している。
【0567】
図22では、被覆材は、一般的に下向きドーム形の環状創傷中空充填材の下面の上で、開口(362)を有するメンブレイン(361)により形成される、インレットマニホールド(353)を追加した、図14と類似している。
【0568】
図21では、一般的に下向きドーム形の環状創傷中空充填材が省かれている。
【0569】
図23を参照すると、より深い創傷用の他の形態が示されている。インレットパイプ(346)およびアウトレットパイプ(347)は、封止フォーム充填材(348)の上のバッキング層(342)の突起(351)内の中心に取り付けられる。インレットパイプ(346)は、充填材(348)に永久的に取り付けられ、充填材(348)を通り創傷床に至る。アウトレットパイプ(347)は、充填材(348)の上側周囲に取り付けられている多孔性フォームにより定められる室(363)に取り付けられ、その内部と連絡する。室(363)は、こうして、アウトレットマニホールドを効果的に形成する。
【0570】
図24では、フォーム充填材(348)は、部分的にしか封止されない。インレットパイプ(346)は、充填材(348)に永久的に取り付けられ、充填材(348)を通り創傷床に至る。アウトレットパイプ(347)は、充填材(348)のフォームに取り付けられ、その内部と連絡する。流体が、充填材(348)の上側周囲近くの環状間隙(349)に入り、フォームに入り、これにより、アウトレットマニホールドを効果的に形成する。
【0571】
図25および26は、インレットパイプ(346)およびアウトレットパイプ(347)が、バッキング層(342)内を通る創傷被覆材を示している。
【0572】
図25では、これらは、多孔性フィルム(369)により定められ、弾力性のある弾性プラスチックビーズまたは小片を充填された多孔性袋充填材(348)の内部と連絡する。図26では、これらは、フォーム充填材(348)のすぐ下にある創傷領域と連絡する。フォーム(348)は、CaviCare(商標)フォームであってよく、パイプ(346)および(347)の周りにそのまま注入され、形成されうる。
【0573】
図27を参照すると、より深い創傷用の他の形態が示されている。これは、複数のマルタ十字架または様式化されたバラによく似た深く凹んでいる円板の形態の円形、またはさらに一般的である、正方形または長方形のバッキング層(342)および室(363)を備える。
【0574】
これは、上側不浸透性メンブレイン(361)および灌流液流体を広げられた領域にわたって直接創床に送出する開口(364)を有する下側多孔性フィルム(362)により定められ、したがって、実際に、インレットマニホールドを効果的に形成する。室(363)の3つの構成が図27bに示されており、すべて、創傷内への挿入で閉じる、また場合によっては重なるアームにより創傷床にうまく適合することができる。
【0575】
室(363)の上にある空間は、バッキング層(342)の下で創傷充填材(348)を充填される。これは、創傷形状を強いる流体、ここでは空気または窒素を満たされた、メンブレイン(349)により定められた、偏球の適合性のある中空体を含む。
【0576】
成形された帽子型突起(351)は、室(363)の上側不浸透性メンブレイン(361)上の中心に取り付けられる。これは、それを通る3つの内部チャネル、導管、または通路(図に示されていない)を有し、それぞれ、入口と出口の開口を持つ。
充填材(348)は、接着剤、熱溶接、または連携するピンおよびソケットなどの機械的固定具により、室(363)のメンブレイン(361)に取り付けられる。
【0577】
膨張インレットパイプ(350)、インレットパイプ(346)、およびアウトレットパイプ(347)は、被覆材のバッキング層(342)の近位面のエッジの下を通り、充填材(348)のすぐ下、および室(363)のメンブレイン(361)の上を放射状に広がり、突起(351)内の入口開口とそれぞれ嵌合う。
【0578】
膨張インレットパイプ(350)を受ける内部チャネル、導管、またはそれを通る通路の出口は、中空充填材(348)の内部と連絡し、膨張をさせることができる。
【0579】
インレットパイプ(346)を受ける内部チャネル、導管、または通路の出口は、室(363)の内部と連絡し、室(363)を介して灌流液流体を広げられた領域上の創傷床に送出する。
【0580】
同様に、アウトレットパイプ(347)を受ける内部チャネル、導管、または通路の出口は、室(363)の上および創傷充填材(348)の下の空間と連絡し、創傷周辺から放射状に出る灌流液および/または創傷滲出液の流れを集める。
【0581】
図28を参照すると、細胞または組織創傷を使用する吸引、灌流、および/または浄化のための装置(1)は、図1に示されている装置の主要な変更形態である。
【0582】
創傷に流体を通すデバイスおよび図1の細胞または組織を使用する流体浄化を行う手段(17)は、蠕動ポンプ(18)、例えば、好ましくは小型携帯蠕動ポンプであり、これは、被覆材(2)の下流にある流体再循環管(13)に作用し、創傷に低い負の圧力を加える。
【0583】
図28に示されている装置(1)では、蠕動ポンプ(18)は、
a)被覆材(2)の上流にある流体供給管(7)に作用する蠕動ポンプ(926)、および
b)被覆材(2)の下流にある流体循環管(13)に作用する、圧力調整手段を備える真空ポンプアセンブリ(918)で置き換えられ、
創傷空間内に全体として低い負の圧力を加える。
【0584】
真空ポンプアセンブリが備えるタンク(911)は、
流体循環管(13)に接続し、タンク(911)の上側部分と連絡する入口管(912)、
廃液袋(915)を備える廃液ポンプ(914)に接続し、タンク(911)の下側部分と連絡する廃液管(913)、
真空ポンプ(918)に接続し、タンク(911)の上側部分と連絡し、流体循環管(13)を介して細胞または組織を使用する浄化の手段(17)に接続し、タンク(911)の下側部分と連絡するポンプ管(917)を含む。
【0585】
真空ポンプ(918)は、電線路(920)を通じて圧力帰還調整器(919)により制御され、調整器は、タンク(911)の上側部分にあるタンクセンサ(921)、およびそれぞれライン(923)および(924)を介して創傷空間内の被覆材センサ(922)から信号を受信する。
【0586】
廃液ポンプ(914)は、廃液レベル帰還調整器(929)により制御され、調整器は、タンク(911)の真ん中部分にある電線路(930)でタンクセンサから信号を受信する。
【0587】
真空ポンプ(918)は、真空ポンプ(918)が静止状態のときにタンク(911)の上側部分から管を通して空気が入り込むのを防止するために真空ポンプ(918)に接続するポンプ管(917)が通常ブロックされるように弁として動作するか、またはポンプ管(917)は、手動式または電動式の、例えば、圧力作動電動式の弁(930)(図に示されていない)を備え、真空ポンプ(918)に接続するポンプ管(917)をブロックしてそのような空気の入り込みを防止できる。
【0588】
装置(1)の動作は、必要な変更を加えたうえで図1の装置の動作と類似している。
【0589】
装置(1)の使用時に、弁(16)は、回収袋(図に示されていない)に開かれ、T字型弁(14)は、回されて、流体を流体貯蔵容器から創傷被覆材に、流体供給管(7)およびインレットパイプ(6)を通じて導き入れる。
【0590】
ポンプ(926)が始動されると、ローター(図に示されていない)上の周辺ローラで流体再循環管(7)をつまみ、低い正の圧力を創傷に加える。
【0591】
真空ポンプ(918)は、それが静止しているので弁として動作するか、または弁(930)(図に示されていない)は閉じられ、ポンプ管(917)がブロックされ、タンク(911)の上側部分からポンプを通して空気が入り込むのが防止される。
【0592】
流体オフテイク管(10)を通して創傷被覆材(2)からポンプで汲み上げられる灌流液は、タンク(911)の下側部分を通して排出口管(917)の上へ、細胞または組織を使用する浄化の手段(17)を介して、ブリードT字型弁(16)に汲み上げられ、例えば、回収袋(図に示されていない)に入る。
【0593】
被覆材(2)の上流にある流体供給管(7)に作用する蠕動ポンプ(926)は、装置に対し装置流路の全長にわたって呼び水入れが行われ、ブリードT字型弁(16)を介して過剰な流体が回収袋にすっかり廃棄されるまで動作させられる。
【0594】
次いでT字型弁(14)は回されて、供給から再循環に切り換える、つまり、流体貯蔵容器(完全体(12)の一部)への創傷を閉じるが、流体を流体再循環管(13)から創傷に導き入れるように設定され、ブリードT字型弁(16)は、同時に閉じられる。
【0595】
次に、真空ポンプ(918)は作動され、真空ポンプ(918)が静止時に弁として動作しない場合、ポンプ管(917)内の弁(930)は開かれ、低い負の圧力が創傷に加えられる。
【0596】
創傷および流体貯蔵容器(完全体(12)の一部)からの循環流体は、細胞または組織を使用する浄化ユニット(17)を通過する。創傷治癒に有害な物質は、除去され、創傷治癒を促進するのに有益な物質をそのまま含む浄化された流体は、再循環管(13)を介して創傷床に戻される。
【0597】
圧力帰還調整器(919)は、創傷および/またはタンク(911)の圧力を調整する。
【0598】
例えば、創傷が滲出液をひどく出し続けているため循環している流体の量が過剰になった場合、廃液ポンプ(914)は、電線路(930)でタンクセンサから信号を受信した調整器の廃液レベル帰還調整器(929)により始動されるようにできる。流体の再循環は、好きなだけ続けることができる。
【0599】
次に、真空ポンプ(918)は停止され、真空ポンプ(918)が静止時に弁として動作しない場合、ポンプ管(917)内の弁(930)は閉じられ、ブリードT字型弁は大気圧となるように開かれ、細胞または組織を使用する浄化の手段(17)および排出口管(917)を介してタンク(911)内の低い負の圧力が逃がされる。
【0600】
次いで供給と再循環との切り換えが逆転されるが、そのために、T字型弁(14)を回し、流体を流体貯蔵容器から創傷被覆材に、流体供給管(7)およびインレットパイプ(6)を通じて導き入れる。
【0601】
ブリード弁(16)は開かれたままとなり、したがって、新鮮な流体が再循環システムをフラッシングする。ポンプ(918)の運転は、装置がフラッシングされ、それと流体再循環が止まるまで続けることができる。
【実施例1】
【0602】
方法
細胞
35mlのDMEM/10% FCS培地を入れたT175フラスコ内で、37℃/15% COにおいて増殖させたヒト皮膚線維芽細胞(HS8/BSO4)をPBSで洗浄し、1×トリプシン/EDTA(37℃、5分間)を使用して持ち上げた。10ml DMEM/10% FCS培地を加えてトリプシン阻害を行い、遠心分離(Nereus Megafuge 1.0R、1000rpm、5分間)により細胞をペレット化した。この培地を破棄し、10ml DMEM/10% FCS中で細胞を再懸濁した。N血球計(SOP/CB/007)を使用して細胞を数え、DMEM/10% FCS中で希釈して、1ml当たり100,000個の細胞を得た。
【0603】
細胞(希釈ストック溶液100μl)を、24ウェルプレート内のそれぞれの13mm Thermanox組織培養コーティングカバースリップ(カタログ番号174950、ロット番号591430)に移し、37℃/5%COにおいて1時間インキュベートし、細胞接着を行わせた。1時間後、1ml DMEM/10% FCS培地をウェル毎に加えた。6時間後、培地を取り出し、細胞を2×1ml PBSで洗浄し、1ml DMEM/0%FCSをウェル毎に加え、上記の条件の下で細胞を一晩インキュベートした。
【0604】
一晩インキュベートした後、顕微鏡で増殖について細胞を目視検査し、成長のあったものをカバースリップホルダー(Vertriebs−Gmbh、カタログ番号1300)に挿入し、Minucell室(Vertriebs−Gmbh、カタログ番号1301)内に組み立てた。
【0605】
培地
ウシ胎児血清、L−グルタミン酸、非必須アミノ酸、およびペニシリン/ストレプトマイシンを補った10%のDMEM培地(Sigma、番号D6429)中で細胞を増殖させた。これらの実験システムにおいて使用された培地に、5%(v/v)のウシ胎児血清を補い、1%(vlv)のBuffer−All培地(Sigma、ロット番号51 k2311)で緩衝化して培地のpHを安定させた。
【0606】
Minucell Flowシステム
システム(5)は、図29に従って構成された。
【0607】
【表1】

【0608】
フローシステムで使用された機器は、1.02mmIDのIsmatecポンプ配管および高強度シリコン配管(HS−0152−009、Cole Palmer Instruments)およびホットプレート(アセット番号6531および6532)を有するIsmatec IPC高精度蠕動ポンプであった。
【0609】
カタラーゼ
15mlのカタラーゼ(または86200単位、Sigma、C3155、ロット014K7029)を含む、ヘビ皮ひだのある透析管(10kDa MWCO、Pierce、番号68100、ロットEB9446)。この透析管は、培地1のボトル内に置かれた。
【0610】

過酸化水素(Sigma、ロット074K3641、ストック8.8M、30%溶液)(250μl)を21.75mlのDMEM/5% FCS培地に加えた。5.1mlの培地を39.9ml DMEM/5% FCS培地に加え、これの5mlを関連するシステムのボトル1に加えて、1.1mMの最終濃度を得た。
【0611】
過酸化水素(H)は、細胞に対し酸化的ストレスを引き起こす活性酸素種であるため、これを使用して、慢性的創傷要素を模倣した。酵素カタラーゼは、Hを水と酸素に分解する天然抗酸化剤であり、タンパク質、脂質、および核酸に対する酸化的損傷から細胞を保護する。したがって、これを透析管内に配置し、滲出液透析を模倣した。活性物質供給源としての細胞供給源は、生線維芽細胞が種として蒔かれたVicrylメッシュ[Dermagraft]を使用することにより形成された。実験は、合計48時間実施された。WSTアッセイを使用して、48時間後に線維芽細胞活性を測定した。
【0612】
活性物質供給源としての細胞
「活性物質供給源としての細胞」は、Vicrylメッシュ(Dermagraft、Smith and Nephew)上に種として蒔かれた線維芽細胞であった。Dermagraftを、37℃の水槽中で1分かけて解凍し、抗凍結剤を除去した。Dermagraftを3×50ml 0.9%の塩水で洗浄し、型抜きプレスを使用して1.1cm平方に切り出した。Dermagraftの6個の正方形を上述のシステムのボトル2の中に置いた。
培地の最終体積は、ボトル1および2内で50mlに調整された。
WSTアッセイ
細胞ミトコンドリア活性を測定するWSTアッセイを、それぞれのシステムからの6個のカバースリップに対し実施した。WST試薬(Roche、ロット102452000)をDMEM/10% FCSで10% v/vに希釈し/すべての培地を緩衝化した。カバースリップをMinucell室から取り出し、1mlのPBSで洗浄した。PBSを取り除き、200μlのWST/DMEM培地を加えた。次いで、カバースリップを37℃で45分間インキュベートしてから、150μlの試薬を96ウェルプレートに移した。Ascent Multiskan Microtitreプレートリーダーを使用して、655nmを基準とする450nmの吸光度を決定した。
【0613】
結果および説明
「活性物質としての細胞」成分を使用して、または使用せずに、滲出液透析システムで増殖させた細胞のミトコンドリア活性を、WSTアッセイを使用して決定した。
【0614】
個々の実験のWST活性は、図30および31に示されており、平均WST活性はバーで表され、標準偏差は、エラーバーで表される。
【0615】
図30のデータから、Dermagraft(Dg)(生細胞からの活性物質供給源)を加えると、WSTアッセイにより測定されているように、線維芽細胞活性が増大したことを理解することが可能である。
【0616】
Dermagraft正方形内の線維芽細胞活性は、実験的インキュベーション期間の終わりに培地から多数のDermagraft正方形をアッセイすることにより示された。Dermagraft活性は、0.17から0.95までの範囲内にあり、したがって生存していた。
【0617】
図31のデータから、滲出液透析(+カタラーゼ)を加えると、培地のみの対照(TCM)に対し線維芽細胞活性が増大したことを理解することが可能である。
【0618】
このグラフ(図31)は、さらに、Dermagraft(Dg)を使用した場合でもH過酸化水素が存在すると、線維芽細胞活性はないことを示していた。そのため、過酸化水素除去システムがない場合、有毒な活性酸素種の供給源により、カバースリップ上に、またDermagraft内に種として蒔かれた線維芽細胞が殺される。
【0619】
対照的に、このデータは、過酸化水素(H)があっても滲出液透析(+カタラーゼ)とともに生細胞(Dd)からの活性物質について、線維芽細胞活性の著しい増大を示しているが、これは、培地のみの対照、過酸化水素の対照、および培地と滲出液透析結果についてWSTアッセイにより測定されたとおりである。
【0620】
また、この増大は、培地と生細胞からの活性物質の場合よりも大きかった(図30)。
【0621】
結論
培地から「慢性的創傷要素」を取り除く滲出液透析システムとともに活性物質の供給源となる生細胞に関連して細胞がフローシステム内に置かれているときに線維芽細胞増殖活性の増大を確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0622】
【図1】本発明の第1の態様による創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置の概略図である。 これは、限外濾過ユニットの形態の流体浄化を行う単相システム手段を備える。
【図2】本発明の第1の態様による創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置の概略図である。 これは、透析ユニット、または二相抽出ユニットの形態の流体浄化を行う二相システム手段を備える。
【図3a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面平面図である。
【図3b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面側面図である。
【図4a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面平面図である。
【図4b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面側面図である。
【図5a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面平面図である。
【図5b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面側面図である。
【図6a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面平面図である。
【図6b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面側面図である。
【図7a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面平面図である。
【図7b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面平面図である。
【図8a】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図8b】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図8c】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図8d】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図9a】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図9b】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図10a】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図10b】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図10c】それぞれ流体を創傷に送り、創傷から流体を集めるための本発明の第2の態様の創傷被覆材のインレットおよびアウトレットマニホールドのレイアウトのさまざまな図である。
【図11】本発明の第1の態様による創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置の概略図である。 これは、限外濾過ユニットの形態の流体浄化を行う単相システム手段を備える。
【図12】本発明の第1の態様による創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置の概略図である。 これは、透析ユニット、または二相抽出ユニットの形態の流体浄化を行う二相システム手段を備える。
【図13a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図13b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図14】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図15】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図16a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図16b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図17】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図18a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図18b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図19】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図20】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図21】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図22】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図23】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図24】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図25】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図26】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図27a】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図27b】創傷の吸引および/または灌流を行う本発明の第2の態様の適合性のある創傷被覆材の断面図である。
【図28】本発明の第1の態様による創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置の概略図である。
【図29】本発明による、実施例1で使用されるような代表的な滲出液透析フローシステムの概略図である。
【図30】培地のみ対照(TCM)と比較して、Dermagraft(生細胞から活性物質の供給源)を追加した線維芽細胞のWST活性を示している。
【図31】線維芽細胞のWST活性を示すが、この場合(i)滲出液透析システムTCM+カタラーゼを、(ii)Dermagraft(生細胞からの活性物質の供給源)Dgおよび過酸化水素Hを加えた培地において、(iii)Dermagraft(生細胞からの活性物質の供給源)Dg、過酸化水素(H)を加え、滲出液透析システム(+カタラーゼ)を使用する培地において使用している、図である。 これは、限外濾過ユニットの形態の流体浄化を行う単相システム手段を備える。
【符号の説明】
【0623】
1 装置
2 創傷被覆材
3 バッキング層
4 閉鎖
5 創傷
6 インレットパイプ
7 流体供給管
8 ポイント
9 アウトレットパイプ
10 流体オフテイク管
12 完全体
13 流体再循環管
14 T字型弁
16 ブリードT字型弁
17 手段
18 蠕動ポンプ
19 第1の弁
20 第2の弁
21 装置
23 透析ユニット
24 内部ポリマーフィルム、シート、またはメンブレイン
25 第1の室
26 第2の室
27 透析ユニット
28 ポリマーフィルム、シート、またはメンブレイン
28 透析液インレットパイプ
29 透析液供給管
30 透析液アウトレットパイプ
31 透析液排出管
34 弁
36 第2のブリード弁
38 蠕動ポンプ
41 被覆材
42 微生物浸透不可能なフィルムバッキング層
43 創傷フェーシング面
44 重なり
45 接着フィルム
46 インレットパイプ
47 アウトレットパイプ
48 創傷充填材
49 メンブレイン
50 中心トンネル
51 パイプ
52 パイプ
61 メンブレイン
63 円形の小袋
64 穴
65 第2のメンブレイン
66 開口部
67 環状の室
68 オリフィス
69 固い完全体
70 円形の上方に凹んだシート
71 第1のメンブレイン
72 開口
73 小袋
75 第2のメンブレイン
76 開口部
77 環状の室
78 オリフィス
79 充填材
80 シート
81 2層メンブレイン
82 チャネル
83 穿孔
84 皿状物の外面
85 開口部
86 開口
87 皿状物の内面
88 一番内側のポイント
89 スピロヘリカル導管
90 開口部
92 第1の(大きな)逆さの半球状メンブレイン
93 第2の(小さな)同心半球状メンブレイン
94 半球室
95 半球状小袋
97 パイプ
98 開口
99 小管
100 開口部
101 第1の管
102 第2の管
103 オリフィス
104 オリフィス
110 創傷充填材
111 円形の上方に凹んだシート
120 積み重ね
121 第1の層
122 第2の層
123 第3の層
124 第4の層
125 第5の層
126 インレットマニホールドスロット
127 エッジ
128 枝
129 開口
130 開口
131 アウトレットマニホールドスロット
133 枝
134 インレットマニホールド開口
135 アウトレットマニホールド開口
342 円形バッキング層
346 インレットパイプ
347 アウトレットパイプ
348 創傷充填材
348 中空体
349 メンブレイン
350 膨張インレットパイプ
351 突起
352 パイプ
353 インレットマニホールド
361 メンブレイン
362 開口
363 フォーム
364 フォーム
374 フォーム
811 透析液再循環管
816 第1のT字型弁
817 第2のT字型弁
911 タンク
912 入口管
913 廃液管
914 廃液ポンプ
915 廃液袋
917 ポンプ管
918 真空ポンプアセンブリ
919 圧力帰還調整器
920 電線路
921 タンクセンサ
922 被覆材センサ
923 ライン
924 ライン
926 蠕動ポンプ
929 廃液レベル帰還調整器
930 電線路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明により、創傷の吸引、灌流、および/または浄化を行うための装置が実現され、
a)流体流路であって、
i)創傷被覆材であって、バッキング層と、
前記バッキング層を通過し、および/またはその下を通る、流体供給管に接続するための少なくとも1本のインレットパイプ、および前記バッキング層を通過し、および/またはその下を通る、流体オフテイク管に接続するための少なくとも1本のアウトレットパイプとを有し、
少なくとも1本のインレットパイプが流体再循環管に接続され、少なくとも1本のアウトレットパイプが流体オフテイク管に接続される創傷被覆材と、
ii)流体オフテイク管に接続する少なくとも1つの入口および流体再循環管に接続する少なくとも1つの出口を備える流体浄化用の手段とを含む流体流路と、
b)前記創傷被覆材内に流体を通すためのデバイスおよび流体浄化を行う手段、および適宜または必要に応じて流前記体供給管と、
e)生理活性作用物質を細胞または組織から前記創傷に供給する手段と、
適宜、または必要に応じて、前記流路の排出を行い、流体を供給して、前記流路を満たし、細胞または組織から生理活性作用物質を前記創傷に供給し、前記流路を通して前記デバイスにより流体を再循環させる手段とを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記バッキング層は、創傷上で比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成することができる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記/またはそれぞれのインレットパイプおよび前記/またはそれぞれのアウトレットパイプが前記バッキング層を通り、および/または下を通るポイントでは、創傷上で比較的流体密封度の高いシールまたは閉鎖を形成することができる請求項1または2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記創傷被覆材は、適合性のある創傷被覆材である請求項1、2、または3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
生理活性作用物質を前記創傷に供給するための手段は、創傷治癒を促進する治療的に活性のある量だけ生理活性成分を入れた流体貯蔵容器を備える請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
創傷に供給するための細胞または組織に由来する前記生理活性作用物質は、前記細胞または組織が浸されるか、または増殖に使用される培地(馴化培地)であるか、またはそれより成る請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記創傷に供給する前記生理活性作用物質は、細胞を含む請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記細胞は、線維芽細胞、ケラチン生成細胞、または線維芽細胞とケラチン生成細胞の混合物を含む請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記バッキング層は、一定流量のガスを通せるように半透性である請求項1から8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、創傷接触層を含む請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記創傷接触層は、ガーゼ、フォーム、多孔性手段、半透性多孔性手段、弾性充填材、または膨張可能デバイスからなる群から選択される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記細胞または組織は、前記バッキング層の下に取り付けられる請求項1または6に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、携帯型である請求項1から12までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記細胞または組織は、不溶性および/または固定化基材上に束縛される請求項1、6または12に記載の装置。
【請求項15】
前記創傷の吸引および灌流を行うための手段を備え、これにより、灌流液流体は、流体供給管を介して流体貯蔵容器から流路を満たすように供給され、吸引流体は、前記流体オフテイク管を通してデバイスにより吸引される請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記創傷の吸引および灌流を行うための手段は、
a)前記創傷被覆材の下流にあり、前記創傷被覆材から離れている場所にある流体に適用される前記創傷に流体を通すための第1のデバイスと、
b)前記創傷被覆材の上流にあり、前記創傷被覆材に向かう前記流体供給管内の灌流液に適用される前記創傷に流体を通すための第2のデバイスとを備える請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のデバイスおよび/または第2のデバイスは、処理能力固定デバイスであり、前記創傷の吸引および灌流を行うための手段は、さらに、
流体供給管に接続された、供給流量調節のための手段と、
流体オフテイク管に接続された、吸引流量調節のための手段のうちの少なくとも1つを備える請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記灌流液流体は、前記流体供給管を介して流体貯蔵容器から前記流路を満たすように供給されることができ、吸引流体は、前記流体オフテイク管を通してデバイスにより吸引される請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記創傷の前記吸引および灌流は、順次または同時に実行される請求項15、16、17、または18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記創傷に流体を通すための前記デバイスは、隔膜ポンプまたは蠕動ポンプである請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記流量は、ランダムな、または規則正しい循環性を有する可変流量である請求項1に記載の装置。
【請求項22】
流量の前記規則正しいか、またはランダムなサイクルは、毎24時間最大48の周波数を有する請求項21に記載の装置。
【請求項23】
流速のパルスは、毎分1から60の周波数を有する請求項21または22に記載の装置。
【請求項24】
前記創傷上に流体を移動させるための前記デバイスは、前記流体が平行流、放射状の流動、渦巻き形の流動、らせん状の流動、渦らせん状の流動、または円形の流動となるようにすることができる請求項1または20に記載の装置。
【請求項25】
前記吸引手段は、さらに、前記創傷を囲む領域上に負の圧力を発生するための真空手段でもある請求項15、16、17、18、または19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記負の圧力は、約1.01から1.03kPa(0.01から0.99気圧)までの範囲である請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記創傷からの前記循環流体が前記流体浄化手段を通り、創傷治癒に有害な物質が除去され、しかも、前記循環流体は流体浄化の前記手段内の他の流体と直接的または間接的に接触することがない、単相システムである流体浄化のための手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記循環流体は流体浄化の前記手段内の他の流体と直接的または間接的に接触することによる、前記創傷からの前記循環流体が前記流体浄化手段を通り、創傷治癒に有害な物質が除去される二相システムである流体浄化のための手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項29】
流体浄化の前記手段、前記創傷からの前記循環流体、および流体浄化のための手段における他の流体は、創傷治癒に有害な物質に対し選択的透過性を有する完全体により分離される請求項27に記載の装置。
【請求項30】
流体浄化の前記手段、前記創傷からの前記循環流体、および流体浄化の前記手段における前記他の流体は、創傷治癒に有害な物質が選択的透過性を有しない完全体により分離され、前記他の流体は、創傷治癒に有害な物質を除去する物質を含み、および/または創傷治癒に有害な物質を除去する物質と接触する請求項28に記載の装置。
【請求項31】
創傷治癒に有害な物質を取り除く物質は、拮抗剤、結合剤および/または分解剤、キレート化剤、および/またはそのような有害な物質用のイオン交換体、または抗酸化剤である請求項28に記載の装置。
【請求項32】
創傷治癒に有害な物質を取り除く物質は、4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF、PefaBloc)およびNα−ρ−トシル−L−リジンクロロメチルケトン(TLCK)およびε−アミノカプロイル−ρ−クロロベンジルアミド、システインプロテアーゼ阻害剤、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤、カルボキシル(酸)プロテアーゼ阻害剤、抗炎症性ペプチド模倣薬、3−ヒドロキシチラミン(ドパミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、グルタチオン、デスフェリオキサミン(DFO)、および/または3−ヒドロキシチラミン(ドーパミン)である請求項28に記載の装置。
【請求項33】
創傷治癒に有害な前記物質は、酸化剤、プロテアーゼ、エンドトキシン、オートインデューサシグナリング分子、血管形成の阻害剤、炎症性サイトカイン、および炎症性物質である請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記創傷に減圧治療を施す請求項1から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
請求項1に記載の装置を使用して創傷治癒を促進する創傷を治療する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図8d】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図10c】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16a】
image rotate

【図16b】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18a】
image rotate

【図18b】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27a】
image rotate

【図27b】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公表番号】特表2009−508551(P2009−508551A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530617(P2008−530617)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003425
【国際公開番号】WO2007/031765
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】