説明

経口投与でき、かつ活性成分の迅速な放出を有する固形医薬投与形態

本発明は、経口投与でき、非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含み、かつ活性成分の迅速な放出を有する固形医薬形態、それらの製造法、薬剤としてのそれらの使用、疾患の予防、二次予防および/または処置のためのそれらの使用、ならびに疾患の予防、二次予防および/または処置のための薬剤を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口投与でき、非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含み、かつ活性成分の迅速な放出を有する固形医薬形態、およびそれらの製造のための方法、薬剤としてのそれらの使用、疾患の予防、二次予防および/または処置のためのそれらの使用、ならびに疾患の予防、二次予防および/または処置のための薬剤を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)は、経口投与でき、様々な血栓塞栓性疾患の予防、二次予防および/または処置のために使用できる低分子量阻害物質の凝固因子Xaである(関連として、WO 01/47919参照、該文献は出典明示により本明細書に包含させる)。活性成分(I)が下記であるとき、これはすべての結晶変態および非晶形の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)ならびにそれぞれの水和物、溶媒和物および共結晶を包含する。
【0003】
製剤の開発において、活性成分(I)の物理化学および生物学特性、例えば、活性成分(I)がWO 01/47919の実施例44(Chem. Abstr. 2001, 135, 92625)に記載の経路による製造により得られる(これを以下、結晶変態Iと称する)結晶変態の活性成分(I)の、水への比較的低い溶解性(約7mg/l;25℃)および約230℃の比較的高い融点を考慮することは必要である。
【0004】
WO 2005/060940は親水性形態の活性成分(I)を含む医薬形態を記載している。これに関して好ましいのは、装置2(パドル)のUSP(米国薬局方)放出法において75%のQ値(30分)を有する迅速な放出をする錠剤である。
【発明の開示】
【0005】
今回驚くべきことに、非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態形の活性成分(I)を含む投与形態が改良されたバイオアベイラビリティを示すことを見いだした。
【0006】
本発明は、経口投与でき、かつ活性成分の迅速な放出を有し、非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含み、活性成分(I)の80%を2時間以内に装置2(パドル;75rpm)のUSP放出方法において放出することを特徴とする、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)を含む、固体投与形態に関する。USP放出方法によるこれらのインビトロでの放出調査のさらなる条件は実験の部(沈降条件)に記載されている。放出される活性成分(I)の80%の量は、投与形態に存在する活性成分(I)の全量に基づく。
【0007】
好ましいのは、非晶形の活性成分(I)を含み、80%の活性成分(I)を2時間以内に装置2(パドル;75rpm)のUSP放出方法において放出することを特徴とする、経口投与でき、かつ活性成分の迅速な放出を有し、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)を含む固形医薬形態である。
【0008】
本発明の好ましい態様において、80%の活性成分(I)を1時間以内に装置2(パドル;75rpm)のUSP放出方法において放出する。
【0009】
活性成分(I)は部分的にまたは完全に非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態の本発明の投与形態で存在し得る。本発明の投与形態は、好ましくは存在する活性成分(I)の全量に基づいて少なくとも50%、特に好ましくは50%以上、特に少なくとも90%の量の非晶形および/または準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む。
【0010】
活性成分(I)は好ましくは部分的にまたは完全に非晶形の本発明の投与形態で存在し得る。本発明の投与形態は、好ましくは存在する活性成分(I)の全量に基づいて少なくとも50%、特に好ましくは50%以上、特に少なくとも90%の量の非晶形の活性成分(I)を含む。
【0011】
本発明の好ましい態様において、部分的にまたは完全に非晶形および/または1種またはそれ以上の熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)の存在は、迅速な放出速度に加えて、活性成分の溶解性も高める。この態様においても、本発明の投与形態は、好ましくは存在する活性成分(I)の全量に基づいて少なくとも50%、特に好ましくは50%以上、特に少なくとも90%の量の非晶形および/または準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む。活性成分の溶解性の増加または“過飽和”は、インビトロでの放出試験で証明される:“過飽和”なる用語は、これに関して、本発明の製剤が、実験の部で定義されるインビトロでの放出条件下で、非沈降条件下で20mgの用量の活性成分(I)を用いて、1時間後に、結晶変態Iの結晶微粒子化活性成分(I)と比較して少なくとも1.5倍高い活性成分の放出を示すことを意味する。この態様において、本発明にしたがう投与形態は、全量20mgの活性成分(I)を含み、1時間で、装置2(パドル)のUSP放出方法において、20mgの結晶変態Iの微粒子化結晶活性成分(I)と比較して少なくとも1.5倍高い活性成分(I)の量を放出する。例えば、微粒子化活性成分(I)が1時間後これらの条件下で40%(8mg)の放出を示すとき、本発明による製剤は少なくとも60%(12mg)の放出レベルを示す。この場合の微粒子化活性成分(I)は1から8μmのX50値(50%の割合)および20μm未満のX90値(90%の割合)の平均粒子サイズを有する。
【0012】
本発明の好ましい態様において、部分的にまたは完全に非晶形の活性成分(I)の存在は、迅速な放出速度に加えて、活性成分の溶解性も高める。この態様においても、本発明の投与形態は、好ましくは存在する活性成分(I)の全量に基づいて少なくとも50%、特に好ましくは50%以上、特に少なくとも90%の量の非晶形の活性成分(I)を含む。活性成分の溶解性の増加または“過飽和”は、インビトロでの放出試験で証明される:“過飽和”なる用語は、これに関して、本発明の製剤が、実験の部で定義されるインビトロでの放出条件下で、非沈降条件下で20mgの用量の活性成分(I)を用いて、1時間後に、結晶変態Iの結晶微粒子化活性成分(I)と比較して少なくとも1.5倍高い活性成分の放出を示すことを意味する。この態様において、本発明にしたがう投与形態は、全量20mgの活性成分(I)を含み、1時間で、装置2(パドル)のUSP放出方法において、20mgの結晶変態Iの微粒子化結晶活性成分(I)と比較して少なくとも1.5倍高い活性成分(I)の量を放出する。例えば、微粒子化活性成分(I)が1時間後これらの条件下で40%(8mg)の放出を示すとき、本発明による製剤は少なくとも60%(12mg)の放出レベルを示す。この場合の微粒子化活性成分(I)は1から8μmのX50値(50%の割合)および20μm未満のX90値(90%の割合)の平均粒子サイズを有する。
【0013】
本発明の医薬形態を製造するため、全ての結晶変態および非晶形の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)ならびにそれぞれの水和物、溶媒和物および共結晶を使用することができる。
【0014】
様々な薬学的に適当な製造法が、活性成分の非晶形化のため、および熱力学的に準安定な結晶変態を生産するため、および製剤のこれらの活性成分の形態を安定化するために可能である。溶解法、融解法またはこれら2つの方法の組合せが頻繁に使用される[Chiou, W.L.; Riegelman, S., “Pharmaceutical Applications of Solid Dispersion Systems”, Journal of Pharmaceutical Sciences 60 (1971), 1281-1302; Ford, J. L., “The Current Status of Solid Dispersions”, Pharm. Acta Helv. 61 (1986), 69-88; Rasenack, N., “Poorly Water-soluble Drugs for Oral Delivery - A Challenge for Pharmaceutical Development, Part III: Drug delivery systems containing the drug molecularly dispersed/Aspects on in vitro and in vivo characterization”, Pharmazeutische Industrie 67, No. 5 (2005), 583-591]。
【0015】
活性成分および必要に応じて使用される補助剤、例えば、ポリビニルピロリドンを溶解し、次にさらに処理する溶解法は、熱力学的に安定な結晶変態Iの結晶活性成分(I)に対してあまり適当でない。なぜなら、それは、薬学的に適当な有機溶媒、例えば、アセトンまたはエタノールにおいて限定された溶解性しかなく、したがって、過度に大量の溶媒を使用しなければならないためである。純粋な酢酸は例外であり、結晶活性成分(I)に対する適当な溶媒である−適当な製造法は実験の部に記載されている。
【0016】
活性成分(I)は、本発明にしたがって溶解法後に存在する混合物中で好ましくは溶解した成分の全質量に基づいて0.1から30%、特に好ましくは0.1から20%、特に5から15%の濃度で存在する。
【0017】
活性成分(I)を非晶形化するため、および熱力学的に準安定な結晶変態を生産するため、および医薬品の活性成分(I)の不定形な状態を安定化するための本発明の好ましい方法は、活性成分を1種またはそれ以上の適当な補助剤と一緒に、またはその中に融解させる融解法である。
【0018】
融解法に対して適当な補助剤の例は、尿素、クエン酸、ステアリン酸、糖、糖アルコール、例えば、マンニトールまたはキシリトールおよび親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体およびビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、飽和ポリグリコール化グリセリド(Gelucire, Gattefosse)またはこれらの補助剤の混合物である。好ましい補助剤は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールの混合物および1種またはそれ以上のポリエチレングリコールと1種またはそれ以上の他の適当な補助剤の混合物、特に好ましくはポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物、特にポリエチレングリコールである。活性成分(I)を溶解した補助剤または補助剤混合物に加え、温度を明白に融解が存在するまで上げるか、または活性成分(I)および補助剤を最初に混合し、次に融解する。融解の次に冷却し、次いで粉砕し、粉末または顆粒をもたらす(“固体溶液”とも称される)。あるいは、融解物を粉砕後、例えば、適当なとき、適当な医薬補助剤の添加後、カプセルまたはサシェにパッケージングすることができる。適当な製剤および適当な製造パラメーターの選択により、この融解法において、活性成分の分解が融解過程の間に薬学的に許容される限度を超えないことを確実にしなければならない。これは、約230℃の結晶変態Iの活性成分(I)の融点では困難な作業である。なぜなら、活性成分および/または補助剤の有意な速度の分解がこの高温度範囲では通常予期されるためである。
【0019】
活性成分(I)は本発明による融解法後、好ましくは融解物の全質量に基づいて0.1から30%、特に好ましくは0.1から20%、とりわけ5から15%の濃度で混合物中に存在する。
【0020】
溶融押出法は、非晶形または準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む医薬形態を製造するために特に好ましい[Breitenbach, J., “Melt extrusion: From process to drug delivery technology”, European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 54 (2002), 107-117; Breitenbach, J., “Feste Lousungen durch Schmelzextrusion - ein integriertes Herstellkonzept”, Pharmazie in unserer Zeit 29 (2000), 46-49]。
【0021】
また、この製造法において、適当な製剤および適当な製造パラメーターの選択を介して、活性成分の分解が薬学的に許容される限度を超えないことを確実にしなければならない。
【0022】
非晶形または準安定な結晶変態の活性成分(I)を製造するための溶融押出法は、好ましくはポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸、ポリメチル−メタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体またはセルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)または様々なポリマーの混合物の存在下で実施する。この関連における好ましいポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)またはHPCおよびPVPの混合物である。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはポリビニルピロリドン(PVP)が特に好ましい。
【0023】
溶解押出物中のポリマーの割合は、好ましくは本発明の溶解押出物の全質量の少なくとも40%である。
【0024】
活性成分(I)は、好ましくは本発明にしたがって、溶解押出物の全質量に基づいて0.1から20%、特に5から15%の濃度で溶解押出物中に存在する。
【0025】
非晶形の活性成分(I)を製造するか、または安定させるための溶融押出法において、処理を容易にする、および押出法中に起こる活性成分の分解を減少するために、1種またはそれ以上の薬学的に適当な物質を、活性成分の融点を低下させるために、またはポリマーの可塑剤として加えるのが有利であることを証明した。
【0026】
これらの薬学的に適当な物質は、好ましくは本発明にしたがって、溶解押出物の全質量に基づいて0.2から40%の濃度で加える。
【0027】
この目的のための適当な例は、尿素、ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸、ポリメチル−メタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、飽和ポリグリコール化グリセリド(Gelucire, Gattefosse)または糖アルコール、例えば、エリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールである。糖アルコールが好ましくは使用される。この関連において、適当な製造パラメーターの選択により、活性成分の溶解性を高めるために、活性成分(I)を不定形または熱力学的に準安定な状態へ可能な限り完全に変換することを確実にしなければならない。
【0028】
例えば、溶解法、融解法または溶融押出法により得られ、そして非晶形または準安定な結晶変態の活性成分(I)を含んだ生成物は、さらに様々な方法で処理できる:それは、例えば、粉末または顆粒として、適当なときサシェまたはカプセルにパッケージング後、粉砕および投与できる。さらに、慣用の医薬補助剤、例えば、増量剤、流量調節剤、吸着剤、湿潤剤、香味剤および着色剤を加えることが可能である。
【0029】
非晶形または準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む生成物は、追加的に錠剤製剤へさらなる処理をし得る。この目的のために、カッティングし、挽き、そして慣用の錠剤補助剤、例えば、増量剤および乾燥結合剤(例えば、セルロース粉末、微結晶セルロース、シリカ微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、ラクトース、デキストロース、マルトース、スクロース、グルコース、フルクトースまたはマルトデキストリン)、崩壊促進剤/崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース(架橋カルボキシメチルセルロース)、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、L−HPC(低−置換ヒドロキシプロピルセルロース)、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ジャガイモデンプンのグリコール酸ナトリウム、部分的に加水分解されたデンプン、小麦デンプン、トウモロコシデンプン、米デンプンまたはジャガイモデンプン)、滑剤、流動促進剤および滑沢剤、例えば、フマル酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、高分子量脂肪アルコール、ポリエチレングリコール、デンプン(小麦、米、トウモロコシまたはジャガイモデンプン)、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムまたはケイ酸カルシウム、吸着剤、香味剤および着色剤と混合し、そして錠剤に圧縮し、そして最後に適当なときコーティングもできる。光防御および/または着色コーティングのための適当な物質は、適当なとき、適当な可塑剤、例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールおよび色素、例えば、二酸化チタンまたは酸化鉄と組み合わせた、例えば、ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。錠剤は、好ましくは迅速に崩壊し、そして30分以内の崩壊時間を有する錠剤である。
【0030】
本発明は、さらに、非晶形または準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む固体溶液または押出物が、溶解法を用いて、好ましくは融解法を用いて、特に好ましくは溶融押出を用いて製造され、次に挽き、当業者に既知のさらなる医薬補助剤と混合し、カプセルまたはサシェにパッケージングするか、または当業者に既知のさらなる錠剤化補助剤(上記参照)と混合し、次に好ましくは直接的に錠剤化することにより最後にコーティングで覆うことができる錠剤に圧縮する、本発明の錠剤製剤を製造するための方法に関する。活性成分(I)は特に好ましくは非晶形で存在する。
【0031】
融解法により得られ、非晶形および/または準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む生成物は、さらに、マルチ粒状物投与形態で製造することができる。“マルチ粒状物投与形態”なる用語は、本発明において、多数の微粒子、例えば、球状の顆粒(ペレット)またはミニ錠剤からなる製剤を意味する。これらの粒子の直径は通常0.5から3.0mmである。カッティングおよび球状化された押出物または小型錠剤(3mm以下の直径であるミニ錠剤)を適当なときコーティングし、そしてカプセルにパッケージングするか、またはサシェとして製造できる。さらなる可能性は、水/胃液と接触後、迅速な崩壊により一次の顆粒/ペレットを放出する大きな錠剤へさらに処理することからなる。活性成分(I)は特に好ましくは非晶形で存在する。
【0032】
本発明は、さらに、上記マルチ粒状物投与形態を含む、医薬形態、好ましくはカプセル、サシェまたは錠剤に関する。
【0033】
本発明は、さらに、非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む押出物が好ましくは溶融押出により得られる、本発明のマルチ粒状物医薬形態を製造するための方法に関する。本発明の好ましい態様において、ペレット形態のマルチ粒状物投与形態はこの押出物束をカッティングすることにより直接製造され、適当なとき、次に丸くする。この方法で得られたペレットを次にコーティングで覆うか、またはカプセルまたはサシェにパッケージングし得る。
【0034】
本発明は、さらに、経口投与でき、非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含み、かつ活性成分の迅速な放出を有する、本発明の固形医薬形態を含む薬剤に関する。活性成分(I)は特に好ましくは非晶形で存在する。
【0035】
本発明は、さらに、経口投与でき、かつ活性成分の迅速な放出を有し、疾患、特に、動脈および/または静脈血栓塞栓性疾患、例えば、心筋梗塞、狭心症(不安定な狭心症を含む)、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス手術後の再閉塞および再狭窄、卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症または深部静脈血栓症を予防、二次予防および/または処置するための、不定形なおよび/または熱力学的に準安定な活性成分(I)を含む、本発明の固形医薬形態の使用に関する。活性成分(I)は特に好ましくは非晶形で存在する。
【0036】
本発明は、さらに、疾患、特に、動脈および/または静脈血栓塞栓性疾患、例えば、心筋梗塞、狭心症(不安定な狭心症を含む)、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス手術後の再閉塞および再狭窄、卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症または深部静脈血栓症を予防、二次予防および/または処置するための薬剤を製造するための、経口投与でき、不定形なおよび/または熱力学的に準安定な活性成分(I)を含み、かつ活性成分の迅速な放出を有する、本発明の固形医薬形態の使用に関する。活性成分(I)は特に好ましくは非晶形で存在する。
【0037】
本発明は、さらに、経口投与でき、かつ活性成分の迅速な放出を有する、本発明の固形医薬形態を製造するための、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)の使用に関する。
【0038】
本発明は、さらに、経口投与でき、非晶形および/または熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含み、かつ活性成分の迅速な放出を有する、本発明の固形医薬形態を投与することによる、動脈および/または静脈血栓塞栓性疾患の予防、二次予防および/または処置するための方法に関する。活性成分(I)は特に好ましくは非晶形で存在する。
【0039】
本発明を好ましい典型的な態様を下記にさらに詳細に説明するが、しかしながら、限定はしない。他に記載のない限り、明細書の下記すべての量は重量%で示す。
【実施例】
【0040】
実験の部
インビトロでの放出調査を装置2(パドル)のUSP放出方法により37℃の温度で実施する。撹拌器の回転速度は10lの水中の29.9gの酢酸ナトリウム三水和物および16.6mlの氷酢酸から製造される、900mlのpH4.5の酢酸バッファー溶液中で75rpm(分あたりの回転数)である。
この関連における調査は沈降または非沈降条件下で実施する。
【0041】
沈降条件:活性成分放出速度を沈降条件下で測定する。試験する活性成分用量に依存して、沈降条件を構成するために、界面活性剤、好ましくはラウリル硫酸ナトリウムを使用することができる。活性成分(I)に対する媒体の溶解性を、試験する活性成分用量の飽和溶解性より3から10倍高くなるように、適当なとき界面活性剤、好ましくはラウリル硫酸ナトリウムを加えることにより調節する。
【0042】
非沈降条件:過飽和(溶解性の増加)を調べるための調査は、界面活性剤を加えず、20mgの用量の放出される活性成分(I)を用いて実施する。
下記のインビトロでの放出調査は、例示的製剤の過飽和性質を証明するために非沈降条件下で実施した。
【0043】
比較製剤:
例示的製剤1から6(下記参照)の過飽和性質を説明するために、比較例として、熱力学的に安定な結晶変態Iの微粒子化結晶活性成分(I)の、および、流動層造粒により製造した結晶変態Iの微粒子化結晶活性成分(I)を含む迅速な放出の錠剤製剤の、インビトロでの放出(非沈降条件)を測定した。
【0044】
比較製剤1.1
結晶変態Iの微粒子化(X50=4μm;X90=10μm)結晶活性成分(I)のインビトロでの放出(非沈降条件);活性成分用量20mg:
【表1】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0045】
比較製剤1.2
10mgの結晶変態Iの微粒子化結晶活性成分(I)を含む錠剤の製剤インビトロでの放出(非沈降条件);容器あたり2個の錠剤の適用による活性成分用量20mg:
【表2】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0046】
錠剤製剤は、WO 2005/060940の実験の部の5.1部の組成物および生成物の項目に記載されている錠剤Bの形態をとり、これを次に下記コーティング組成物(mg/錠剤)でコーティングした:
【表3】

【0047】
例示的製剤1:
熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含むPEG 6000中に融解した活性成分:
【表4】

【0048】
製造:
ポリエチレングリコールを加熱可能な反応容器(撹拌器および温度センサーを有する)で融解する。約210℃の温度に到達後、微粒子化活性成分(I)を加え、加熱を続ける。220−230の温度に到達後、透明な融解物をホイルに放出し、これらをドライアイスを用いて冷却する。次に衝撃式製粉機の粉砕によりすりつぶし、粉末形態の生成物をもたらす。
【0049】
例示的製剤1(20mgの活性成分用量)のインビトロでの放出(非沈降条件):
【表5】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0050】
例示的製剤1が微粒子化活性成分(I)(比較1.1)と比較してはっきりと増加した溶解性(過飽和)を示すことが明白である。2倍より高い溶解性が1時間後に検出できる。
【0051】
例示的製剤2:
不定形な活性成分(I)を含むヒドロキシプロピルセルロースを有する溶解押出物:
【表6】

【0052】
製造:
微粒子化活性成分(I)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびキシリトールを混合し、金型の直径2mmを有する2軸押出機(Leistritz Micro 18 PH)で処理する。混合物を約1kg/hの処理量および下記温度の加熱ゾーン:20℃(ゾーン1)、100℃(ゾーン2)、174℃(ゾーン3)および194℃(ゾーン4−8および金型出口)で押し出す。得られた押出物束を約1mmのサイズの断片にカッティングし、次に衝撃式製粉機で挽く。
【0053】
例示的製剤2(20mgの活性成分用量;ふるい画分<315μm)のインビトロでの放出(非沈降条件):
【表7】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0054】
例示的製剤2が微粒子化活性成分(I)(比較例1.1)と比較してはっきりと増加した溶解性(過飽和)を示すことが明白である。2.1倍より高い溶解性が1時間後に検出できる。
【0055】
例示的製剤3:
不定形な活性成分(I)を含むポリビニルピロリドンを有する溶解押出物:
【表8】

【0056】
製造:
微粒子化活性成分(I)、ポリビニルピロリドンおよびキシリトールを混合し、金型の直径2mmを有する2軸押出機(Leistritz Micro 18 PH)で処理する。混合物を約1kg/hの処理量および下記温度の加熱ゾーン:20℃(ゾーン1)、100℃(ゾーン2)、180℃(ゾーン3)および200℃(ゾーン4−8および金型出口)で押し出す。得られた押出物束を約1mmのサイズの断片にカッティングし、次に衝撃式製粉機で挽く。
【0057】
例示的製剤3(20mgの活性成分用量;ふるい画分<315μm)のインビトロでの放出:
【表9】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0058】
例示的製剤3が微粒子化活性成分(I)(比較1.1)と比較してはっきりと増加した溶解性(過飽和)を示すことが明白である。2.4倍より高い溶解性が1時間後に検出できる。
【0059】
例示的製剤4:
PEG融解物の形態の準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む錠剤
10mgの活性成分(I)を含有する錠剤の組成(mg/錠剤):
【表10】

(*量は現在の活性成分含有量にしたがって合わせる;補正物質は微結晶セルロースである)
【0060】
製造:
活性成分(I)−PEG融解物は実施例1に記載のとおりに製造する。ふるい(0.63mm)をかけた後、さらなる補助剤(上記表参照)を混合し、この混合物を約40Nの曲げ強度で17×7mmの楕円形型の錠剤に打錠機で圧縮する。
【0061】
例示的製剤4(20mgの活性成分用量;2個の錠剤/容器)のインビトロ放出(非沈降条件):
【表11】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0062】
例示的製剤4が微粒子化活性成分(I)(比較例1.1)と比較してはっきりと増加した溶解性(過飽和)を示すことが明白である。2.1倍より高い溶解性が1時間後に検出できる。
【0063】
例示的製剤5:
HPC溶解押出物の形態の不定形な活性成分(I)を含む錠剤
10mgの活性成分(I)を含有する錠剤の組成(mg/錠剤):
【表12】

(*量は現在の活性成分含有量にしたがって合わせる;補正物質は微結晶セルロースである)
【0064】
製造:
活性成分(I)−HPC融解物は実施例2に記載のとおりに製造する。ふるい(0.4mm)をかけた後、さらなる補助剤(上記表参照)を混合し、この混合物を約40Nの曲げ強度で17×7mmの楕円形型の錠剤に打錠機で圧縮する。
【0065】
例示的製剤5(20mgの活性成分用量;2個の錠剤/容器)のインビトロ放出(非沈降条件):
【表13】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0066】
例示的製剤5が微粒子化活性成分(I)(比較例1.1)と比較してはっきりと増加した溶解性(過飽和)を示すことが明白である。2.5倍より高い溶解性が1時間後に検出できる。
【0067】
例示的製剤6:
顆粒は非晶形の活性成分(I)を含むポリビニルピロリドンで溶解法により製造する:
【表14】

【0068】
製造:
活性成分(I)を約90−100℃の温度で回転蒸発において氷酢酸に溶解させ、溶媒を次に真空蒸留する。残った塊を粗く砕き、真空乾燥オーブンに移す。100−120℃の温度で約48時間真空乾燥を行う。顆粒を乳鉢で挽き、ふるいにかける(<1mm)。
【0069】
例示的製剤6(20mgの活性成分用量)のインビトロでの放出(非沈降条件):
【表15】

(USPパドル、75rpm、900mlのpH4.5の酢酸バッファー)
【0070】
例示的製剤6が微粒子化活性成分(I)(比較例1.1)と比較してはっきりと増加した溶解性(過飽和)を示すことが明白である。2倍より高い溶解性が1時間後に検出できる。
【0071】
バイオアベイラビリティ
1)ラットの比較試験(3mg/kg)
バイオアベイラビリティは、それぞれの場合に雄ウィスターラットに3mg/kgの活性成分(I)を投与することにより調査した:
a)例示的製剤1の形態(水中に懸濁)
b)例示的製剤2の形態(水中に懸濁)
c)例示的製剤3の形態(水中に懸濁)
d)熱力学的に安定な結晶変態Iの微粒子化結晶活性成分の形態(0.5%の強度の水性メチルヒドロキシエチルセルロース(商標名:Tylose MH 300)に懸濁)
【0072】
対応する薬物動態パラメーターを下記表に示す(幾何平均):
【表16】

【0073】
結果:
熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む例示的製剤1ならびに非晶形の活性成分(I)を含む例示的製剤2および3は、熱力学的に安定な結晶変態Iの結晶微粒子化活性成分の投与と比較して、はっきりと改良されたバイオアベイラビリティを示す(例示的製剤1について3.2倍;例示的製剤2について3.5倍および例示的製剤3について3.7倍)。
【0074】
2)イヌの比較試験(150mg/kg)
バイオアベイラビリティは、それぞれの場合に4匹のビーグル犬に150mg/kgの活性成分(I)をクロスオーバー投与することにより調査した:
e)例示的製剤1の形態(水中に懸濁)
f)結晶変態Iの微粒子化結晶活性成分の形態(2%のSolutol HS 15を加えた水性メチルヒドロキシエチルセルロース(0.5%)(商標名:Tylose MH 300)に懸濁)
【0075】
対応する薬物動態パラメーターを下記表に示す(幾何平均):
【表17】

【0076】
結果:
熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む例示的製剤1は、熱力学的に安定な結晶変態Iの結晶微粒子化活性成分の投与と比較して、はっきりと改良されたバイオアベイラビリティを示す(3.6倍)。
【0077】
3)イヌの比較試験(約2mg/kgに相当するイヌあたり20mg)
バイオアベイラビリティは、それぞれの場合に4匹の雌ビーグル犬に下記錠剤製剤の形態の20mg(約2mg/kg)の活性成分(I)をクロスオーバー投与することにより調査した:
a)比較製剤1.2の形態(それぞれの場合に2個の錠剤/イヌで投与)
b)例示的製剤4の形態(それぞれの場合に2個の錠剤/イヌで投与)
【0078】
対応する薬物動態パラメーターを下記表に示す(幾何平均):
【表18】

【0079】
結果:
熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含む例示的製剤4は、比較製剤1.2(熱力学的に安定な結晶変態Iの結晶微粒子化活性成分(I)を含む錠剤)と比較して、改良されたバイオアベイラビリティを示す(約1.5倍)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与でき、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)を含み、かつ迅速な放出を有する固形医薬投与形態であって、
(a)それが非晶形または熱力学的に準安定な結晶変態の活性成分(I)を含み、そして
(b)80%の活性成分(I)を2時間以内に装置2(パドル)のUSP放出方法で放出する
ことを特徴とする固形医薬投与形態。
【請求項2】
80%の活性成分(I)を1時間以内に装置2(パドル)のUSP放出方法で放出することを特徴とする、請求項1に記載の医薬投与形態。
【請求項3】
この投与形態が、非沈降条件下のインビトロ放出試験で熱力学的に安定な結晶変態Iの微粒子化活性成分(I)と比較して過飽和性質を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬投与形態。
【請求項4】
この投与形態が、インビトロ放出試験で、装置2(パドル)のUSP放出方法で、非沈降条件下、900mlのpH4.5の酢酸バッファー中、界面活性剤の添加なしで、75rpmの撹拌器の回転速度で、1時間以内に、活性成分(I)の試験される全量の活性成分20mgを用いて、熱力学的に安定な結晶変態Iの微粒子化活性成分(I)20mgより少なくとも1.5倍高い活性成分(I)の量を放出することを特徴とする、請求項3に記載の医薬投与形態。
【請求項5】
活性成分(I)が溶解法により非晶形化されるか、または熱力学的に準安定な結晶変態に変換されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の医薬投与形態。
【請求項6】
酢酸を溶媒として使用し、1種またはそれ以上の適当な補助剤、好ましくはポリビニルピロリドンを加え、そして活性成分(I)が溶解法から得られる混合物中で0.1から30%の濃度で存在することを特徴とする、請求項5に記載の医薬投与形態。
【請求項7】
請求項5に記載の活性成分(I)を含む顆粒を含む医薬投与形態。
【請求項8】
カプセル、サシェまたは錠剤の形態の請求項7に記載の医薬投与形態。
【請求項9】
活性成分(I)を含む混合物を溶解法を用いて製造し、挽き、さらなる薬学的に適当な補助剤と混合し、次にサシェまたはカプセルとしてパッケージングするか、または、錠剤補助剤と混合後、好ましくは直接錠剤化により錠剤に圧縮し、それを最後にコーティングし得ることを特徴とする、請求項5から8のいずれかに記載の医薬形態を製造するための方法。
【請求項10】
活性成分(I)を融解法により非晶形化するか、または熱力学的に準安定な結晶変態に変換することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の医薬投与形態。
【請求項11】
1種またはそれ以上の適当な補助剤、好ましくはポリエチレングリコールを融解法で使用し、活性成分(I)が溶解法後に得られる混合物中で0.1から30%の濃度で存在することを特徴とする、請求項10に記載の医薬投与形態。
【請求項12】
活性成分(I)を含む請求項10に記載の活性成分融解物を含む医薬投与形態。
【請求項13】
カプセル、サシェまたは錠剤の形態の請求項12に記載の医薬投与形態。
【請求項14】
活性成分(I)を含む混合物を融解法を用いて製造し、挽き、さらなる薬学的に適当な補助剤と混合し、次にサシェまたはカプセルとしてパッケージングするか、または、錠剤補助剤と混合後、好ましくは直接錠剤化により錠剤に圧縮し、それを最後にコーティングし得ることを特徴とする、請求項10から13のいずれかに記載の医薬投与形態を製造するための方法。
【請求項15】
活性成分(I)を溶融押出により非晶形化するか、または熱力学的に準安定な結晶変態に変換することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の医薬投与形態。
【請求項16】
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはポリビニルピロリドン(PVP)を溶融押出でポリマーとして使用し、溶解押出物中のポリマーの割合が少なくとも40%であり、そして活性成分(I)が溶解押出物中で0.1から20%の濃度で存在することを特徴とする、請求項15に記載の医薬投与形態。
【請求項17】
少なくとも1種の薬学的に適当な物質を、ポリマーのための可塑剤として、および/または、活性成分(I)の融点を低下させるために、0.2から40%の濃度で加えることを特徴とする、請求項15または16に記載の医薬投与形態。
【請求項18】
薬学的に適当な付加物が糖アルコールであることを特徴とする、請求項17に記載の医薬投与形態。
【請求項19】
活性成分(I)を含む請求項15に記載の溶解押出物を含む医薬投与形態。
【請求項20】
カプセル、サシェまたは錠剤の形態の請求項19に記載の医薬投与形態。
【請求項21】
活性成分(I)を含む押出物を溶融押出により製造し、挽き、さらなる薬学的に適当な補助剤と混合し、次にサシェまたはカプセルとしてパッケージングするか、または、錠剤補助剤と混合後、好ましくは直接錠剤化により錠剤に圧縮し、それを最後にコーティングし得ることを特徴とする、請求項15から20のいずれかに記載の医薬投与形態を製造するための方法。
【請求項22】
請求項1から6、10から12および15から19のいずれかに記載のマルチ粒状物医薬投与形態。
【請求項23】
粒子の直径が0.5から3.0mmであることを特徴とする、請求項22に記載のマルチ粒状物医薬投与形態。
【請求項24】
請求項22または23に記載のマルチ粒状物医薬形態を含む医薬投与形態。
【請求項25】
カプセル、サシェまたは錠剤の形態の請求項24に記載の医薬投与形態。
【請求項26】
活性成分(I)を含む押出物束を溶融押出により製造し、カッティングすることを特徴とする、請求項22から25のいずれかに定義のとおりのマルチ粒状物医薬投与形態を製造するための方法。
【請求項27】
押出物束をカッティングした後に得られた造形物を丸めることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
得られた造形物をコーティングすることを特徴とする、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
経口投与でき、かつ請求項1に定義のとおりの活性成分(I)の迅速な放出を有する固形医薬投与形態を含む、薬剤。
【請求項30】
請求項1に定義のとおりの、活性成分(I)を含み、かつ活性成分の迅速な放出を有する、固形医薬投与形態の、疾患の予防、二次予防および/または処置のための使用。
【請求項31】
請求項1に定義のとおりの、活性成分(I)を含み、かつ迅速な放出を有する、固形医薬投与形態の、疾患の予防、二次予防および/または処置のための薬剤を製造するための使用。
【請求項32】
血栓塞栓性疾患の予防、二次予防および/または処置のための薬剤を製造するための、請求項30または31に記載の使用。
【請求項33】
心筋梗塞、狭心症、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス手術後の再閉塞および再狭窄、卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓または深部静脈血栓症の予防、二次予防および/または処置のための、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
請求項1に定義のとおりの医薬投与形態を製造するための、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)の使用。
【請求項35】
請求項1に定義のとおりの、経口投与でき、活性成分(I)を含み、かつ活性成分の迅速な放出を有する固形医薬投与形態を投与することによる、血栓塞栓性疾患の予防、二次予防および/または処置のための方法。

【公表番号】特表2009−510138(P2009−510138A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533890(P2008−533890)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009178
【国際公開番号】WO2007/039122
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】