説明

経粘膜送達を高めるための組成物および方法

本発明は、経粘膜用医薬または栄養補助食品組成物、ならびにメチルスルホニルメタン(MSM)を経粘膜送達増強剤として使用することによる医薬成分および栄養補助成分の経粘膜送達を高めるための方法を提供する。特に、本発明は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、片頭痛治療薬、閉経治療薬、睡眠障害治療薬、勃起不全治療薬、食欲抑制薬、ビタミン、栄養補助食品および高分子から選択される活性薬剤を含む経粘膜組成物を提供する。一部の具体的な例示的な処方物では、食欲抑制薬はDL−フェニルアラニンであり、ビタミンはB12である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物、および栄養補助成分を含めた医薬品の経粘膜送達のための組成物および方法に関する。本発明は、経粘膜送達増強剤としてのメチルスルホニルメタンの使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
(口腔粘膜を経由する薬物送達)
口から摂取され嚥下される薬剤は、まず消化(GI)管を潅流する血液の中に吸収される。GI管からの静脈還流は、肝臓を潅流する血液に最初に入る。これは、消化管の管腔から吸収される薬剤は、身体の主要な解毒する臓器である肝臓に、直ちに送られることを意味する。摂取した毒素から生物体を保護することに加えて、肝臓はまた、肝臓における初回通過代謝によって不活性化されているかも知れない薬剤を代謝する。肝臓からの血液は、次いで肝臓の門脈を経由して左心へと戻り、体循環の残りに到達する。肝臓を通るこの初回通過は、摂取された薬剤の実質的な部分の除去という結果を生じることがある。
【0003】
従って、粘膜を通る輸送が関与するものを含めて、薬物投与の他の経路が研究されてきた。種々の粘膜(例えば、経口、直腸、膣、眼、鼻)のうちで、口腔の中の粘膜を経由する薬物送達は、患者が最も容易に耐えられるもののように思われる。慣用的な経口投与に関する問題を回避することに加えて、口腔の粘膜を経由する薬物送達は、口腔粘膜自体の特性に起因する特定の他の利点を有する。例えば、口腔の粘膜は非常によく血管新生しており、リンパドレナージ(lymphatic drainage)部位が十分に備えられている。
【0004】
一般に、口腔の粘膜は、5つの主な領域に分けることができる:口腔底(舌下)、頬(頬側)、歯ぐき(歯肉)、口蓋(roof of the mouth)(口蓋(palatal))、および唇の裏側。これらの領域は、その解剖学的形態、薬物浸透性、および薬物に対する生理的応答に関して、互いに異なる。例えば、相対的浸透性の点では、舌下領域は頬側領域よりも浸透性が高く、頬側領域は口蓋領域よりも浸透性が高い。この浸透性は、一般にこれらの膜の相対的な厚みおよび角質化の程度に関連し、舌下粘膜は相対的に薄くて角質化しておらず、頬側粘膜は厚くて角質化しておらず、そして口蓋粘膜は中程度の厚みであるが角質化している。
【0005】
種々の粘膜の浸透性の違いに加えて、薬物送達の程度は、送達されるべき薬物の特性によっても影響を受ける。分子が任意の粘膜を通過する能力は、他の因子の中でも、その大きさ、その脂溶性、およびそれがイオン化している程度に依存する。
【0006】
消化管の一部の領域は静脈還流を有し、これは肝臓を通る初回通過に関与しない。これらの領域(頬腔粘膜、舌と上咽頭との下)は、左心へと直接排出する。初回通過効果の回避は、頬側および舌下処方物の使用についての論理的根拠である。頬側粘膜を通る送達は、より少量の組成物が直ちに有効であるようにすることができる。
【0007】
しかしながら、唾液が連続的に分泌されることによって溶解した薬物を口腔の外へと迅速に洗い出すため、薬物の舌下および頬側投与は、口腔粘膜を通して非常に迅速に吸収される薬物(ニトログリセリンなど)について最も有用であるとされてきた。薬物をより長期間口腔粘膜と接したままに保つために、薬物の経粘膜投与用に特に適合させた徐放剤形が開発された。これらは一般に、マトリクスに分散された薬物を含んでおり、そのマトリクスは、そのマトリクスからの拡散によってまたはそのマトリクスのゆっくりとした溶解または浸食によって、薬物をゆっくりと放出する。剤形を口中に保持するために、それは接着パッチにに結合されてもよいし、またはその剤形自体が粘膜に付着する接着層を備えていてもよい。あるいは、この剤形自体が粘膜に付着し、ゆっくりと溶解し、中に含まれた薬物を放出してもよい。
【0008】
特許文献1は、(1)口腔粘膜を通して吸収されるべき薬剤と、(2)水溶性タンパク質と、(3)多価アルコールと、(4)脂肪酸エステルまたは/およびカルボキシビニルポリマーとを含み、口中の粘膜への投与用に使用することができる軟質経頬剤形を開示する。
【0009】
特許文献2は、約20〜約75重量%の低分子量ポリエチレングリコール成分と、約2〜約65重量%の中または高分子量ポリエチレングリコール成分と、約1重量%〜約40重量%の補助的な高分子量ポリマーとを含む浸食性マトリクスに分散した医薬化合物を含む、薬物の経粘膜投与用の経頬剤形を開示する。
【0010】
特許文献3は、高分子薬物の粘膜投与のための系であって、口腔の粘膜組織に接触してそれに付着するように適合された1つの表面を有する内側の薬物/増強剤/ポリマー層を含み、前記内側の層は胆汁酸塩増強剤と、親水性ポリマーと、少なくとも500ダルトンの分子量を有する高分子薬物(とりわけ、カルシトニンまたはヘパリン)とを含有する系を開示する。
【0011】
Schiraldiらに対する特許文献4は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、可塑剤、薬剤、および必要に応じて水不溶性ポリマーからなる生体接着性層を含む、湿った粘膜表面に付着することができる薄いフィルムを開示する。この特許文献4に開示されるフィルムは、麻酔薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質、および抗菌剤などの薬剤の制御放出のために有用である。
【0012】
Zerbeらに対する特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9は、水溶性ポリマーと、薬理学的または美容上活性な成分とを含む、迅速に溶解して口腔に付着することができる粘膜付着性フィルム、およびその使用方法を開示する。
【0013】
(ビタミンB12)
ビタミンB12(コバラミン(cobalbumin)としても知られている)欠乏は、悪性貧血、食物コバラミン(food−cobalbumin)吸収不良、菜食主義および他の欠乏状態によって引き起こされ、最高29%の有病率を有すると報告されている。この病状は、ビタミンB12の筋肉内注射によって矯正することができるが、これは患者にとって痛く、投与することが難しいという欠点を有する方法である。あるいは、それは、ビタミンB12の経口投与によって治療することができるが、しかしながらこの方法は、消化管における吸収速度の低さに起因して、1〜2.5μgの1日の必要量を供給するために、大きな用量(少なくとも500−1000μg)を必要とするという欠点を伴う。ビタミンB12の舌下用剤形も市販されており、かかる剤形は高められたバイオアベイラビリティをもたらすと主張されているが、従来の経口ビタミンB12または舌下用ビタミンB12を用いたビタミンB12欠乏症被験者の治療は、このビタミンの血清濃度レベルと同程度の上昇に終わることが示されている(非特許文献1)。従って、先行技術の処方物よりも高められたバイオアベイラビリティをもたらすビタミンB12の剤形についての満たされていないニーズが残っている。
【0014】
(メチルスルホニルメタン)
ジメチルスルホンまたは有機硫黄としても知られているメチルスルホニルメタン(MSM)は、種々の果実、野菜、穀物、哺乳動物の乳および動物(ヒトを含む)で見出される、天然に存在する硫黄含有化合物である。MSMは、ヒトにおけるジメチルスルホキシドの一次酸化代謝産物である。
【0015】
メチルスルホニルメタンの毒性は、ラットにおいて、ヒトにおいて推奨される最大用量の5〜7倍の用量で評価された(非特許文献2)。MSMは、ラットにおいては、2g/kgの急性用量および1.5g/kgの亜急性慢性用量で、耐容性は良好であった。
【0016】
MSMは、種々の主張とともに上市されており、かつ変形性関節症の治療または予防のために(しばしばグルコサミンおよび/もしくはコンドロイチンと併用して)一般に使用されている栄養補助食品として販売されている。Kimら(2006)は、MSMが膝の変形性関節症の緩和に対する潜在性を有することを示すパイロット研究を開示している(非特許文献3)。
【0017】
種々の病状を予防、治療または緩和するためのメチルスルホニルメタンの使用に関する公開された特許としては、特許文献10および特許文献11(いびきの管理);特許文献12(疼痛および夜間のこむら返りの緩和ならびに動物におけるストレス誘発死の減少);特許文献13(急性胃ぜん動およびアレルギー反応の減少);ならびに特許文献14(皮膚、爪および他の組織を柔らかくするための局所製剤として)が挙げられる。
【0018】
特許文献15は、湿分の存在下では不安定な医薬成分用の錠剤化および顆粒化賦形剤としてのメチルスルホニルメタンの使用を開示する。この開示によれば、この発明は、湿分の存在下では保存に不安定な活性薬剤と、基本的に(すなわち少なくとも95%)メチルスルホニルメタンからなる担体との密接な物理的混合物から基本的になり、かつこの混合物は基本的に無水であることを特徴とする、錠剤、顆粒または自由流動性粉末の形態の経口摂取用に適合された固体医薬組成物に関する。
【0019】
特許文献16は、適時放出または遅延放出用栄養補助食品処方物、とりわけメチルスルホニルメタンを活性物質として含有する処方物を製造するための組成物および方法を開示する。この開示によれば、MSMの適時放出または遅延放出用のペレットは、約60〜95重量%の量のMSMと、約1.5〜15重量%の量の糖類と、さらなる成分(とりわけ、可塑剤、凝集剤(agglutinative)および滑沢剤)とを特定の百分率で含む。
【0020】
特許文献17は、所与の極性を有する薬剤の経皮送達用に有効な液体担体組成物であって、(a)少なくとも1種の非水系の非毒性溶媒と、(b)リモネン、レモン油またはリモネンおよびレモン油の混合物と、(c)メチルスルホニルメタンと、(d)皮膚安定剤(skin stabilizer)と、(e)溶質調整剤(solute modifier)と、(f)アデノシン三リン酸(ATP)または生体内原位置でのサイクリックアデノシン 3’5’一リン酸 cAMPの生成もしくは生体内原位置でのサイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)の生成を誘導する化合物とを含む組成物を開示する。
【0021】
特許文献18は、疼痛の緩和のために経皮投与される液体組成物であって、約57〜約91重量%の量のアルコールと、約1〜約12重量%の量のグリセリンと、約2〜約28重量%の量の鎮痛薬と、サリチル酸の誘導体を含む鎮痛薬と、約0.02〜5重量%の量のメチルスルホニルメタンと、約0.01〜3重量%の量のエミュー油とを含み、皮膚に浸透して疼痛を緩和する液体組成物を開示する。
【0022】
しかしながら、背景技術のいずれも、メチルスルホニルメタンが経粘膜送達を高めることは開示も示唆もしていない。
【0023】
(肥満症および食欲抑制)
肥満症は、有病率が増加の一途をたどる慢性の本質的に難治性の代謝障害であるが、肥満症に対する有効な治療は、現在のところ知られていない。全世界の肥満症率は増加しており、現在、21世紀の西洋諸国の中心的な流行病と考えられている。米国の人口の50%超が過体重であると考えられており、25%超が臨床的に肥満であると診断されている。統計データは、肥満症は、ますます若年で始まり、小児および青少年の15%が過体重に悩まされていることを示し、これは、25年前に報告された割合よりも3倍高い割合である。
【0024】
肥満症は、2型糖尿病、心血管疾患、高血圧、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、発作、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠時無呼吸、繁殖傷害(多嚢胞性卵巣症候群など)、乳房、前立腺、および結腸の癌、ならびに全身麻酔の合併症の発生率の上昇についての危険因子として認識されている(非特許文献4)。それは寿命を縮め、上記のような共存症、ならびに感染症、静脈瘤、黒色表皮腫、湿疹、運動不耐性、インスリン抵抗性、高血圧、高コレステロール血症、胆石症、整形外科的損傷、および血栓閉塞性疾患を含めた合併症の深刻な危険をもたらす(非特許文献5)。肥満症はまた、インスリン抵抗性症候群、または「X症候群」と呼ばれる一群の病状についての危険因子でもある。
【0025】
それゆえ、肥満症の予防およびコントロールのための治療上の戦略を開発するためのはっきりとした経済的および医学的な論理的根拠が存在する。
【0026】
正常な様式で食物摂取をコントロールできないことは、肥満症の主な原因と長らく考えられてきた。空腹嗜癖および極端な食欲切迫感は、肥満および病的に肥満の被験者における過食のサイクルの一部である。しかしながら、正常な動物またはヒトにおいて食物摂取が調節されるコントロール機構の理解不足が、この概念の有効な臨床的適用を妨げてきた。
【0027】
生理的食欲コントロールを主に担うと以前に提唱された機構は、食物摂取から生じる血糖値の上昇および/または胃拡張を含む。後の理論は、これらのコントロールは、二次的な重要性しかなく、他方で満腹を誘発し摂食を阻害するための一次的な機構は、食物刺激と粘膜の腸受容体との吸収前の接触の際の、小腸におけるペプチドホルモンの放出を含むと考えている。多くのペプチドホルモンが参加し得るが、コレシストキニン(CCK)の「満腹効果」(食欲抑制)が特に重要であるようである(非特許文献6)。食欲をコントロールための臨床的応用としては、CCKなどの消化管ペプチドの内因性放出の誘導が挙げられる。
【0028】
DL−フェニルアラニン(DLPA)は、神経伝達物質である必須アミノ酸である。DLPAの主要な機能のいくつかは、空腹の減少、記憶および精神的な俊敏さの改善、および抑うつの軽減である。DLPAはまた、細胞DNAの翻訳から必要とされるタンパク質を形成するために必要な、他の14種の生命維持に必要なアミノ酸のほとんどに変換されるという能力を有する。
【0029】
CCKの吸収前放出剤としてのL−フェニルアラニンの使用を含めた、注目するホルモンの放出をもたらす化学的刺激の投与が提案されている。特許文献19は、制限された量のタンパク質、炭水化物、脂肪および食物繊維と組み合わせてL−フェニルアラニンを含む、食欲を抑制するように処方された栄養補助食品を開示する。
【0030】
特許文献20は、穏やかな利尿薬および消化酵素とともにアミノ酸、無機質、ビタミン、ハーブ類、および必須栄養素を組み合わせた栄養補助食品組成物を開示する。この開示によれば、DL−フェニルアラニンは、チロシンと組み合わされて食欲抑制薬としての作用をする。
【0031】
特許文献21は、哺乳類の被験者における種々の疾患および病状(肥満症を含む)を治療するための、少なくとも1種のY2受容体結合ペプチド(ペプチドYY(PYY)、神経ペプチドY(NPY)または膵臓ペプチド(PP)など)と、ペプチドYYの高められた鼻粘膜送達のための1種以上の粘膜送達増強剤とを含む医薬組成物および方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第4,572,832号明細書
【特許文献2】米国特許第4,764,378号明細書
【特許文献3】米国特許第5,346,701号明細書
【特許文献4】米国特許第4,713,243号明細書
【特許文献5】米国特許第5,948,430号明細書
【特許文献6】米国特許第6,177,096号明細書
【特許文献7】米国特許第6,284,264号明細書
【特許文献8】米国特許第6,592,887号明細書
【特許文献9】米国特許第6,709,671号明細書
【特許文献10】米国特許第6,440,391号明細書
【特許文献11】米国特許第5,569,679号明細書
【特許文献12】米国特許第4,973,605号明細書
【特許文献13】米国特許第4,559,329号明細書
【特許文献14】米国特許第4,447,469号明細書
【特許文献15】米国特許第4,568,547号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2005/0181048号明細書
【特許文献17】米国特許第6,444,234号明細書
【特許文献18】米国特許第6,416,772号明細書
【特許文献19】米国特許第4,833,128号明細書
【特許文献20】米国特許第5,925,377号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2005/0002927号明細書
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】Sharabiら、Br J Clin Pharmacol 2003年、第56巻:635−638頁
【非特許文献2】Horvathら、Food Chem Toxicol.2002年、第40巻、第10号:1459−1462頁
【非特許文献3】Kimら、Osteoarthritis Cartilage、2006年、第14巻、第3号、:286−94頁
【非特許文献4】ReisinおよびAlpert、Am J Med Sci.2005年、第330巻,第6号,269−272頁
【非特許文献5】Rissanenら、BMJ 1990年、第301巻:835−7頁
【非特許文献6】G.P.Smith、「Biochemical Pharmacology of Obesity」、Elsevier Science Publishers、1983年、407−419頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
口腔粘膜を経由する医薬品または栄養補助食品の便利な迅速な投与を可能にする、高められた経粘膜処方物についての満たされていないニーズが存在する。特に、鎮痛薬、抗炎症薬、勃起不全のための治療薬、片頭痛のための治療薬または閉経の症状のための治療薬の有効な迅速な送達について、ならびにビタミンならびに食欲を抑制するためおよび肥満症または摂食障害の治療のために使用されるべき薬剤の送達を改善することについての満たされていないニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、非ステロイド性抗炎症薬、鎮痛薬、片頭痛治療薬、閉経治療薬、睡眠障害治療薬、勃起不全治療薬、食欲抑制薬および高分子を含めた医薬成分の経粘膜送達を高めるための経粘膜医薬組成物ならびに方法を提供する。本発明はさらに、ビタミン、栄養補助食品および特定の食欲抑制薬を含めた栄養補助成分の経粘膜送達を高めるための経粘膜栄養補助食品組成物ならびに方法を提供する。有利なことに、本発明の組成物および方法を用いる経粘膜送達は、投与された薬剤に対する迅速な摂取および応答をもたらす。
【0036】
本発明は、メチルスルホニルメタン(MSM)が広い範囲の医薬成分および栄養補助成分の経粘膜−経口送達を高めるという知見を初めて開示する。種々の実施形態によれば、この医薬成分は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);鎮痛薬;片頭痛治療薬;閉経治療薬;睡眠障害治療薬;勃起不全治療薬、食欲抑制薬および高分子からなる群から選択される。他の実施形態では、この栄養補助成分は、ビタミン、栄養補助食品および食欲抑制薬から選択されてよい。例示的な実施形態では、この食欲抑制薬はDL−フェニルアラニンである。有利なことに、DL−フェニルアラニンの経粘膜送達によって、肥満および病的に肥満の被験者における過食のサイクルの一部分である空腹嗜癖および食欲切迫感への迅速な応答が可能になる。
【0037】
第1の態様によれば、本発明は、口腔粘膜を通る高められた送達のための医薬組成物であって、医薬成分とメチルスルホニルメタンとを、口腔粘膜への投与に適した薬理学的に許容できる担体中に含む組成物を提供する。特定の実施形態では、この担体は食用油;精製水およびレシチンを含む。
【0038】
一般に、メチルスルホニルメタンは、浸透増強剤としての役割を果たすために適した最少量で存在し、通常は組成物の全重量の30%(重量/重量)を超えない。一部の実施形態によれば、上記メチルスルホニルメタンは、組成物の全重量の25%を超えず、好ましくはそれは20%を超えず、より好ましくはそれは10%を超えない。
【0039】
1つの実施形態によれば、上記食用油は植物油である。いくつかの実施形態によれば、この植物油は、綿実油、落花生油、ケシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、キャノーラ油およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0040】
他の実施形態によれば、上記組成物はさらに、甘味料、着香料、保護薬、抗酸化物質、可塑剤、ワックス、エラストマー溶媒、充填剤物質、保存料、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、着色料、崩壊剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、上記組成物は、カカオバター、スクラロース、カルシウム塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む。1つの実施形態によれば、このカルシウム塩は炭酸カルシウムである。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、上記組成物は、
約0.1〜15%の量の医薬成分と、
約1〜30%の量のメチルスルホニルメタンと、
約5%〜40%の量の植物油と、
約5〜30%の量の精製水と、
約5〜40%の量のカカオバターと、
甘味料としての役割を果たすために適切な量のスクラロースと、
約1〜20%の量のカルシウム塩と、
約1〜20%の量のレシチンと
を含み、この百分率は、組成物の全重量基準の重量%であり、組成物の全重量は100%に等しい。
【0043】
1つの実施形態によれば、上記医薬成分は約1%〜5%の量で存在し、
上記メチルスルホニルメタンは約1%〜10%の量で存在し、
上記植物油は約20%〜40%の量で存在し、
上記精製水は約10%〜30%の量で存在し、
上記カカオバターは約20%〜40%の量で存在し、
上記スクラロースは約0.05%〜0.2%の量で存在し、
上記カルシウム塩は約1%〜20%の量で存在し、
上記レシチンは約1%〜20%の量で存在する。
【0044】
さらなる実施形態によれば、上記医薬成分は約2%〜4%の量で存在し、
上記メチルスルホニルメタンは約2%〜5%の量で存在し、
上記植物油は約25%〜35%の量で存在し、
上記精製水は約15%〜25%の量で存在し、
上記カカオバターは約25%〜35%の量で存在し、
上記スクラロースは約0.07%〜0.15%の量で存在し、
上記カルシウム塩は約5%〜15%の量で存在し、
上記レシチンは約5%〜15%の量で存在する。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は鎮痛薬である。いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は片頭痛治療薬である。いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は閉経治療薬である。いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は睡眠障害治療薬である。いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は勃起不全治療薬である。いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は食欲抑制薬である。いくつかの実施形態によれば、上記医薬成分は高分子である。
【0046】
1つの実施形態によれば、上記NSAIDは、イブプロフェン(2−(イソブチルフェニル)−プロピオン酸);メトトレキサート(N−[4−(2,4 ジアミノ 6−プテリジニル−メチル]メチルアミノ]ベンゾイル)−L−グルタミン酸);アスピリン(アセチルサリチル酸);サリチル酸;ジフェンヒドラミン(2−(ジフェニルメトキシ)−NN−ジメチルエチルアミン塩酸塩);ナプロキセン(2−ナフタレン酢酸、6−メトキシ−9−メチル−、ナトリウム塩、(−));フェニルブタゾン(4−ブチル−1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン);スリンダク(2)−5−フルオロ−2−メチル−1−[[p−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン−]−1−H−インデン−3−酢酸;ジフルニサル(2’,4’,−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−3−ビフェニルカルボン酸;ピロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−2−ピリジニル−2H−1,2−ベンゾチアジン−2−カルボキシアミド 1,1−ジオキシド、メロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5−メチル−2−チアゾリル)−2H−1,2−ベンゾチアジン−3−カルボキシアミド 1,1−ジオキシド);別のオキシカム;インドメタシン(1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−H−インドール−3−酢酸);メクロフェナム酸ナトリウム(N−(2,6−ジクロロ−m−トリル)アントラニル酸、ナトリウム塩、一水和物);ナブメトン(4−(6−メトキシ−2−ナフタレニル)−2−ブタノン);ケトプロフェン(2−(3−ベンゾイルフェニル)−プロピオン酸;トルメチンナトリウム(1−メチル−5−(4−メチルベンゾイル−1H−ピロール−2−酢酸ナトリウム二水和物);ジクロフェナクナトリウム(2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、一ナトリウム塩);硫酸ヒドロキシクロロキン(2−{[4−[(7−クロロ−4−キノリル)アミノ]ペンチル]エチルアミノ}エタノール硫酸塩(1:1);ペニシラミン(3−メルカプト−D−バリン);フルルビプロフェン([1,1−ビフェニル]−4−酢酸、2−フルオロ−α−メチル−、(+−));エトドラク(1−8−ジエチル−13,4,9,テトラヒドロピラノ−[3−4−13]インドール−1−酢酸;メフェナム酸(N−(2,3−キシリル)アントラニル酸;および塩酸ジフェンヒドラミン(2−ジフェニルメトキシ−N,N−ジ−メチルエタミン塩酸塩)からなる群から選択される。
【0047】
1つの実施形態によれば、上記鎮痛薬は、アセトアミノフェンおよびジピロン(4−メチルアミノ−1,5−ジメチル−2−フェニル−3−ピラゾロンナトリウムメタンスルホン酸塩)からなる群から選択される。
【0048】
1つの実施形態によれば、上記片頭痛治療薬は、トリプタン;スマトリプタン(3−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−N−メチル−1H−インドール−5−メタンスルホンアミド);アルモトリプタン(1−(((3−(2(ジメチルアミノ)エチル)インドール−5−イル)メチル)スルホニル)ピロリジン)、およびアミトリプチリン(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン−5−イリデン)−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン)からなる群から選択される。
【0049】
1つの実施形態によれば、上記閉経治療薬は、ベンラファキシン;パロキセチン、フィトエストロゲン;および植物エキスからなる群から選択される。1つの実施形態では、この植物エキスは、ブラック・コホッシュおよびマカからなる群から選択される植物から誘導される。
【0050】
1つの実施形態によれば、上記睡眠障害治療薬は、ジフェンヒドラミン(2−(ベンズヒドリルオキシ)−N,N−ジメチルエチルアミン)、吉草根およびメラトニン(5−メトキシ−N−アセチルトリプタミン)からなる群から選択される。
【0051】
1つの実施形態によれば、上記勃起不全治療薬は、プロスタグランジン、テストステロン、ヨヒンビン、ペントキシフィリン、トラゾドン、アポモルヒネ、シルデナフィル、ミノキシジル、ミソプロストール、パパベリン、ニトログリセリン、フェントラミン、モキシシリト、リンシドミン、およびピリジルグアニジン化合物からなる群から選択される。
【0052】
1つの実施形態によれば、上記食欲抑制薬はDL−フェニルアラニンである。1つの実施形態によれば、このDL−フェニルアラニンは組成物の全重量の約1重量%〜約5重量%の量で存在する。1つの実施形態によれば、このDL−フェニルアラニンは組成物の全重量の約5重量%の量で存在する。一部の実施形態によれば、このDL−フェニルアラニンは、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0053】
1つの実施形態によれば、上記高分子は、ビタミンB12、抗生物質、ペプチド、カルシトニン、バソプレシンおよびオキシトシンからなる群から選択される。特定の実施形態では、この高分子はビタミンB12である。特定の実施形態では、この高分子は約5000ダルトンまでの分子量を有する。
【0054】
一部の実施形態によれば、本発明の組成物はトローチ剤、キャンディ、または溶解錠の形態で処方される。
【0055】
他の実施形態によれば、上記口腔粘膜は、舌下粘膜、頬側粘膜、歯肉粘膜、口蓋粘膜およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
別の実施形態によれば、本発明は、口腔粘膜を通る医薬成分の送達を高めるための方法であって、それを必要とする被験者に有効量の本発明の組成物を投与する工程を含む方法を提供する。1つの実施形態では、この組成物は、医薬成分、メチルスルホニルメタン、食用油、精製水、およびレシチンを含み、このメチルスルホニルメタンは、医薬成分の経粘膜送達を高めるのに十分な量で存在する。
【0057】
さらなる態様によれば、本発明は、食欲の抑制を必要とする哺乳動物の食欲を抑制するための方法であって、食欲抑制量のDL−フェニルアラニン、メチルスルホニルメタン、食用油、精製水およびレシチンを含む組成物を経粘膜投与し、それによって食欲の抑制を必要とする哺乳動物の食欲を抑制する工程を含む方法を提供する。
【0058】
1つの実施形態によれば、上記経粘膜投与は口腔粘膜経由である。1つの実施形態によれば、上記メチルスルホニルメタンは、DL−フェニルアラニンの経粘膜送達を高めるのに十分な量で存在する。1つの実施形態によれば、上記哺乳動物はヒトである。1つの実施形態によれば、上記哺乳動物は肥満である。別の実施形態によれば、上記哺乳動物は病的に肥満である。
【0059】
さらなる態様によれば、本発明は、哺乳動物の食欲を抑制するための経粘膜経口送達用薬剤の調製のための、メチルスルホニルメタンおよび食欲抑制量のDL−フェニルアラニンの使用を提供する。1つの実施形態によれば、このメチルスルホニルメタンは、DL−フェニルアラニンの経粘膜送達を高めるのに十分な量で使用される。
【0060】
本発明のこれらおよび実施形態は、以下に続く図面、説明および特許請求の範囲と関連して明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】DL−フェニルアラニンの経粘膜−経頬送達に対するメチルスルホニルメタン(MSM)の効果を示す図である。血液中のDL−フェニルアラニン濃度(nmol/ml) 対 ヒトへの頬側投与後の時間が提示されている。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、片頭痛治療薬、閉経治療薬、睡眠障害治療薬、勃起不全治療薬、および食欲抑制薬として分類される医薬成分を含めた多くの医薬成分の経粘膜送達を高めるための組成物および方法を提供する。本発明の組成物は、約5000ダルトンまでの分子量を有する高分子の経粘膜送達に特に適切であり、例えば約200ダルトンまでのより小さいサイズの分子についてのみ適している先行技術の経粘膜送達処方物よりも有利である。本発明はさらに、食欲抑制組成物および方法を提供する。従って、開示される食欲抑制組成物は、個体において食欲を効果的に抑制、阻害、低下または別様に縮小するために、口腔粘膜経由で投与することができる。この食欲抑制組成物は、体重をコントロールするか、または肥満症もしくは肥満症関連障害(II型糖尿病、高コレステロール血症、およびメタボリックシンドロームが挙げられるがこれらに限定されない)を治療するために、個体に投与することができる。
【0063】
本発明は、メチルスルホニルメタンが活性薬剤の経粘膜送達の有効な増強剤であることを初めて開示する。それは、医薬品および栄養補助食品の口腔粘膜経由の送達で使用するのに特に適切である。
【0064】
MSMの有効性は用いられる担体の種類によって制限されず、当該技術分野で周知のように、組成物に所望のコンシステンシーおよび他の特徴を賦与するよう、適切な賦形剤を選択することができる。この組成物は、液体、半固体または固体であってよい。好都合には、この組成物は、または菓子類の形態にあってよいし、または口腔粘膜に付着させるのに適切なフィルムの形態にあってよい。
【0065】
ある典型的な実施形態によれば、この組成物は、
約5%を超えない量の医薬成分または栄養補助成分と、
約10%を超えない量のメチルスルホニルメタンと、
約40%を超えない量の植物油と、
約30%を超えない量の精製水と、
約40%を超えない量のカカオバターと、
約0.2%を超えない量のスクラロースと、
約20%を超えない量のカルシウム塩と、
約20%を超えない量のレシチンと
を含み、この百分率は、組成物の全重量基準の重量%であり、組成物の全重量は100%に等しい。
【0066】
(定義)
本願明細書で使用する場合、用語「投与すること」は、本発明の組成物を口腔の粘膜(すなわち、口腔粘膜)に投与することを指す。口腔粘膜内部の適切な投与部位の例としては、口腔底の粘膜(舌下粘膜)、頬の粘膜(頬側粘膜)、歯ぐきの粘膜(歯肉粘膜)、口蓋の粘膜(口蓋粘膜)、唇の裏側の粘膜、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本願明細書で使用する場合、用語「D,L−フェニルアラニン(DLPA)」は、D−フェニルアラニン(DPA)、L−フェニルアラニン(LPA)またはこれらの混合物を指す。
【0068】
用語「約」は、本願明細書で使用する場合、示された量の±10%を指す。
【0069】
本願明細書で使用する場合、用語「高分子」は、約500〜約5000ダルトン(Da)の範囲の分子量を有する化合物を指す。
【0070】
本願明細書で使用する場合、用語「食欲」は、有機的生命を維持するために必要な本能的欲求、特に食べたいという欲求または食べるための生来的な嗜癖を指す。
【0071】
本願明細書で使用する場合、用語「食欲抑制薬」は、食欲を抑制することに活性を有する物質(医薬成分など)を指す。
【0072】
本願明細書で使用する場合、用語「食欲抑制量」は、被験者において食欲を実質的に抑制する物質(医薬成分など)の量を指す。
【0073】
本願明細書で使用する場合、用語「経粘膜送達を高めるのに十分な量」は、医薬成分もしくは栄養補助剤とともに処方された際に、かつ被験者に経粘膜投与された後に、メチルスルホニルメタンを欠く同じ医薬成分の処方物と比べて、被験者において医薬成分もしくは栄養補助成分の血中濃度、および/または血液中の医薬成分の出現の速度を実質的に高めるメチルスルホニルメタンの量を指す。
【0074】
本願明細書で使用する場合、用語「空腹」は、食物を欠くことによって引き起こされる落ち着かない感覚を指す。
【0075】
本願明細書で使用する場合、用語「空腹が抑制されている」は、空腹感が制止されているか、阻害されているかもしくは抑制されているか、または空腹感の強度が様々な程度に軽減されているかもしくは抑制されている状態を指す。
【0076】
本願明細書で使用する場合、用語「肥満症」は、哺乳動物(ヒトなど)の脂肪細胞貯蔵が、有害な健康状態および/または死亡率の上昇に関連するところまで上昇した状態を指す。肥満症は、例えば、30.0以上の肥満度指数(BMI)によるか、または男性で102cmを超える、および女性で88cmを超える胴囲による、客観的な項目で測定することができる。
【0077】
本願明細書で使用する場合、用語「安全かつ有効」は、本発明の組成物および方法に対する被験者の予測できる、再現性のある、所望の応答であるか、もしくはそれを生成するか、またはそれを生成することができ、かつ有害な副作用をもたらしそうになく、かつ/または最少/重要でない副作用をもたらすに過ぎない状態を指す。
【0078】
(口腔粘膜を経由する投与)
口から摂取され嚥下される薬剤は、まず消化管を潅流する血液の中にまず吸収される。GI管からの静脈還流は、肝臓を潅流する血液に入る。これは、消化管の管腔から吸収される薬剤は、身体の主要な解毒する臓器である肝臓に、直ちに送られることを意味する。摂取した毒素から生物体を保護することに加えて、肝臓はまた、同様に処理される薬剤を代謝する。肝臓からの血液は、次いで肝臓の門脈を経由して左心へと戻り、体循環の残りに到達する。肝臓を通るこの初回通過は、摂取された薬剤の実質的な部分の除去という結果を生じることがある。この初回通過の効果は、いくつかの薬物については他のものよりも顕著である。
【0079】
消化管の一部の領域は静脈還流を有し、これは肝臓を通る初回通過に関与しない。これらの領域(頬腔粘膜、舌と上咽頭との下、およびまた遠位直腸)は、左心へと直接排出する。初回通過効果の回避は、頬側および舌下処方物(formation)の使用についての論理的根拠である。
【0080】
舌下処方物および頬側処方物はともに、親水性ビヒクルから舌下の粘膜または頬側粘膜までの薬剤の効率的な輸送に依存する。上皮細胞間または上皮細胞を通る間隙を通る薬剤の輸送は、主に、薬剤の脂溶性によって支配される。薬物が水溶性である場合は、これは、舌下領域からの吸収に対してはさらなる障壁である。それゆえ、口から与えられるかまたは嚥下される親油性薬剤の治療有用性については、物理的および生物的制約が存在する。本発明は、粘膜表面(例えば、舌下粘膜または頬側粘膜など)を経由する医薬成分または薬剤の投与のための使用に特に適している処方物に関する。
【0081】
本発明によれば、メチルスルホニルメタンは、DL−フェニルアラニンなどの医薬成分の口腔粘膜による吸収を改善する。
【0082】
(医薬成分)
本発明の組成物に組み込んでもよいNSAIDとしては、イブプロフェン(2−(イソブチルフェニル)−プロピオン酸)、メトトレキサート(N−[4−(2,4 ジアミノ 6−プテリジニル−メチル]メチルアミノ]ベンゾイル)−L−グルタミン酸)、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチル酸、ジフェンヒドラミン(2−(ジフェニルメトキシ)−NN−ジメチルエチルアミン塩酸塩)、ナプロキセン(2−ナフタレン酢酸、6−メトキシ−9−メチル−、ナトリウム塩、(−))、フェニルブタゾン(4−ブチル−1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン)、スリンダク−(2)−5−フルオロ−2−メチル−1−[[p−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン−]−1−H−インデン−3−酢酸、ジフルニサル(2’,4’,−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−3−ビフェニルカルボン酸、ピロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−2−ピリジニル−2H−1,2−ベンゾチアジン−2−カルボキシアミド 1,1−ジオキシド、メロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5−メチル−2−チアゾリル)−2H−1,2−ベンゾチアジン−3−カルボキシアミド 1,1−ジオキシド)、オキシカム、インドメタシン(1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−H−インドール−3−酢酸)、メクロフェナム酸ナトリウム(N−(2,6−ジクロロ−m−トリル)アントラニル酸、ナトリウム塩、一水和物)、ナブメトン(4−(6−メトキシ−2−ナフタレニル)−2−ブタノン)、ケトプロフェン(2−(3−ベンゾイルフェニル)−プロピオン酸、トルメチンナトリウム(1−メチル−5−(4−メチルベンゾイル−1H−ピロール−2−酢酸ナトリウム二水和物)、ジクロフェナクナトリウム(2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、一ナトリウム塩)、硫酸ヒドロキシクロロキン(2−{[4−[(7−クロロ−4−キノリル)アミノ]ペンチル]エチルアミノ}エタノール硫酸塩(1:1)、ペニシラミン(3−メルカプト−D−バリン)、フルルビプロフェン([1,1−ビフェニル]−4−酢酸、2−フルオロ−α−メチル−、(+−))、エトドラク(1−8−ジエチル−13,4,9,テトラヒドロピラノ−[3−4−13]インドール−1−酢酸、メフェナム酸(N−(2,3−キシリル)アントラニル酸、および塩酸ジフェンヒドラミン(2−ジフェニルメトキシ−N,N−ジ−メチルエタミン塩酸塩)が挙げられる。
【0083】
本発明の組成物に組み込んでもよい鎮痛薬化合物としては、アセトアミノフェンおよびジピロン(4−メチルアミノ−1,5−ジメチル−2−フェニル−3−ピラゾロンナトリウムメタンスルホン酸塩)が挙げられる。
【0084】
本発明の組成物に組み込んでもよい片頭痛治療薬としては、スマトリプタン(3−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−N−メチル−1H−インドール−5−メタンスルホンアミド)およびアルモトリプタン 1−(((3−(2(ジメチルアミノ)エチル)インドール−5−イル)メチル)スルホニル)ピロリジンおよびアミトリプチリン 3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン−5−イリデン)−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンなどのトリプタンが挙げられる。
【0085】
本発明の組成物に組み込んでもよい勃起不全治療薬としては、テストステロン、ペプチドホルモン、アミンホルモンなどのステロイドホルモン、ならびにプロスタグランジン、ロイコトリエン、およびトロンボキサンなどのホルモン様エイコサノイドが挙げられる。
【0086】
用語「プロスタグランジン」は、もともと精液中で見出され、血管拡張、および子宮平滑筋の収縮または弛緩を引き起こすことが判明した化合物のファミリーを指す。プロスタグランジン、ロイコトリエン、および関連化合物は、エイコサノイドと呼ばれる。なぜなら、それらは、20炭素の必須脂肪酸、例えば、アラキドン酸からミクロソーム酵素によって合成されるからである(Hardman,J. 1996、Goodman and Gilmans’s: The Pharmacological Basis of Therapeutics、第26章、第9版、McGraw Hill中)。
【0087】
勃起不全治療薬として使用することができる他の医薬成分としては、テストステロン、ヨヒンビン、ペントキシフィリン、トラゾドン、アポモルヒネ、フェントラミン、タダラフィル、シルデナフィルおよび他のピロゾロピリミドン(pyrozolopyrimidone)誘導体が挙げられる。他の薬剤としては、ミノキシジル、ミソプロストール、パパベリン、ニトログリセリン、フェントラミン、モキシシリト、リンシドミン、直鎖または環状ペプチド、ピリジルグアニジン化合物、およびレニン−アンギオテンシン系阻害剤が挙げられる。これらの薬剤は、勃起不全を矯正するための有効用量で主題の経粘膜組成物に組み込まれてよい。
【0088】
本発明の組成物に組み込んでもよい閉経治療薬としては、フィトエストロゲン、ベンラファキシン、パロキセチン(paroxentine)ならびに植物エキス(ブラック・コホッシュおよびマカから誘導されるものなど)が挙げられる。
【0089】
本発明の組成物に組み込んでもよい睡眠障害治療薬としては、ジフェンヒドラミン(2−(ベンズヒドリルオキシ)−N,N−ジメチルエチルアミン)、吉草根およびメラトニン(5−メトキシ−N−アセチルトリプタミン)が挙げられる。
【0090】
本発明の組成物に組み込んでもよい食欲抑制薬はDL−フェニルアラニンである。このDL−フェニルアラニンは、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニンまたはこれらの混合物であってよい。
【0091】
本発明の組成物に組み込んでもよい高分子としては、ビタミンB12、抗生物質、ペプチド、ポリペプチド、カルシトニン、バソプレシンおよびオキシトシンが挙げられる。特定の実施形態では、この高分子はビタミンB12である。
【0092】
(医薬組成物)
本発明は、口腔粘膜を通る高められた送達のための組成物であって、医薬成分、メチルスルホニルメタン、食用油、精製水、およびレシチンを含む組成物を提供する。
【0093】
1つの実施形態によれば、この食用油は植物油である。例示的な植物油としては、綿実油、落花生油、ケシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、キャノーラ油およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
上記組成物はさらに、甘味料、着香料、保護薬、可塑剤、ワックス、エラストマー溶媒、充填剤物質、保存料、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、着色料、崩壊剤、またはこれらの組み合わせなどの少なくとも1種の賦形剤を含んでいてよい。いくつかの賦形剤は、上述の賦形剤の2つ以上のクラスに含まれ得ることを理解されたい。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、上記組成物は、カカオバター、スクラロース、カルシウム塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む。カルシウム塩の1つの例は炭酸カルシウムである。
【0096】
1つの実施形態によれば、上記組成物は、組成物の約1%〜5%の量の医薬成分を含み、ここでこの百分率は組成物の全重量基準の重量%であり、組成物の全重量は100%に等しい。1つの実施形態では、この医薬成分は組成物の約5%の量で存在する。特定の実施形態では、上記医薬成分は組成物の約2%〜4%の量で存在する。
【0097】
1つの実施形態によれば、上記メチルスルホニルメタンは、組成物の約1%〜10%の量で存在し、ここでこの百分率は組成物の全重量基準の重量%であり、組成物の全重量は100%に等しい。特定の実施形態では、このメチルスルホニルメタンは、組成物の約2%〜5%の量で存在する。
【0098】
別の実施形態によれば、上記植物油は、組成物の約20%〜40%の量で存在する。特定の実施形態では、この植物油は組成物の約25%〜35%の量で存在する。
【0099】
さらなる実施形態によれば、上記精製水は組成物の約10%〜30%の量で存在する。特定の実施形態では、この精製水は組成物の約15%〜25%の量で存在する。
【0100】
さらに別の実施形態によれば、上記カカオバターは組成物の約20%〜40%の量で存在する。特定の実施形態では、このカカオバターは組成物の約25%〜35%の量で存在する。
【0101】
なおさらなる実施形態によれば、上記スクラロースは組成物の約0.05%〜0.2%の量で存在する。特定の実施形態では、このスクラロースは組成物の約0.07%〜0.15%の量で存在する。
【0102】
さらに別の実施形態によれば、上記カルシウム塩は組成物の約1%〜20%の量で存在する。特定の実施形態では、このカルシウム塩は組成物の約5%〜15%の量で存在する。いくつかの実施形態では、このカルシウム塩は炭酸カルシウムである。
【0103】
なおさらなる実施形態によれば、レシチンは組成物の約1%〜20%の量で存在する。特定の実施形態では、このレシチンは組成物の約5%〜15%の量で存在する。
【0104】
本発明は、粘膜表面を経由する医薬成分(DL−フェニルアラニンなど)の投与において使用するための医薬処方物に関する。
【0105】
1つの実施形態によれば、本発明の組成物は特に体重減少を指向し、医薬成分として食欲抑制薬DL−フェニルアラニンを含む。
【0106】
(本発明の組成物の製造)
口腔粘膜(例えば舌下および頬側)投与のための例示的な固体形態としては、フィルム、分散性流体または半固体組成物および固体形態が挙げられる。口腔粘膜上または口腔粘膜での分散を意図した固体剤形は、ハードキャンディの形態または歯で噛み砕ける菓子類形態をとるように設計することが好都合である場合がある。他の形態としては、口腔中での分散のために有用な錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末および顆粒状物質を挙げることができる。これらの固体組成物は、希釈剤(例えば炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなど)、顆粒化および崩壊剤(例えばジャガイモデンプン、アルギン酸など)、結合剤(例えばデンプン、ゼラチン、アラビアゴムなど)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなど)などの薬理学的に許容できる不活性成分を含むことができる。本発明で使用することができる他の不活性成分としては、着色剤、着香料、可塑剤、保湿剤などが挙げられる。本発明に従って提供されるこの固体組成物はコーティングされていなくてもよいし、当該技術分野で公知の方法により当該技術分野で公知の物質を用いてコーティングされてもよい。
【0107】
本発明の組成物は、種々の方法によって製造することができる。例えば従来の錠剤、チューインガム種、またはキャンディについて利用できる製造手法は、本発明の組成物の製造において使用することができる。
【0108】
上記組成物の製造のための典型的なプロセスでは、水、メチルスルホニルメタン、DL−フェニルアラニン、スクラロース、レシチン、カカオバター、植物油および炭酸カルシウムが混合され、この混合物は均一に混練され、圧縮され、そして暖かいうちに延ばされ、次いで冷却後に得られたシートが切断される。
【0109】
リポソームは、レシチンおよび植物油を溶液に加えて薬理学的溶液としてのリポソームを形成し、次いでゆっくりとボルテックスにかけてゲル化が起こる型の中に導入する前にリポソームが損傷するのを防止することによって、錠剤に組み込むことができる。
【0110】
代替的なプロセスでは、上記の混合物はそのまま水を加えることなく微粉状にされ、次いで圧縮成形される。第3のプロセスでは、上記の混合物は、水に均一に分散または溶解され、このように湿式方法によって成形され、次いで乾燥される。これらの製造プロセスにおける工程は、上記の様式とは異なる十分な様式で組み合わされてもよい。本発明に係る組成物を製造する際には、上記成分は、上で規定した量で使用される。
【0111】
上記のような成形または形状調整の工程では、圧縮成形用の型を適切な形状に調整することにより、または成形品化合物を型に入れるか延ばすかして、次いでこれまでに形成した成形物を適切な形状を有する小片に切断することにより、所望の形状(プレート状、ベルト状、円板状、柱状、円筒状または紡錘体状の形態など)を有する組成物を得ることができる。かかる製造方法は、単純で容易な操作及び工程のみを含み、従って、これは、後に続く手順に応じて各々の個々の場合における目的に適した種々の形状の組成物を製造することができる、工業的規模で使用できる有利な製造法である。溶解または分散の工程が含まれる場合には、固体製剤の中に組み込むことが難しい液体または低融点の薬物を、上記組成物の中に組み込むことができる。
【0112】
上記の成分に加えて、製剤の加工性、成形性および品質を改善することにより、ならびに組成物の分散性および安定性を高めることによって、本発明の組成物の特徴を発展させることを支援する目的で当業者が利用できる種々の薬理学的に許容できる添加剤の中から選択された他の添加剤もまた組み込まれていてもよい。かかる添加剤は、必須の成分として言及したもの以外のものであり、その例としては以下の物質が挙げられる。
【0113】
フレーバー(サッカリンナトリウム、グリシルリジン、麦芽シロップ、クエン酸、酒石酸、メントール、レモン油、柑橘類フレーバー、食塩など)、
安定剤/保存料(パラヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、抗酸化物質、抗真菌薬など)、
色素(水溶性タール色素、天然色素、酸化チタンなど)、
賦形剤/崩壊調整剤(disintegration adjusting agent)(ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウムアルミニウム、リン酸水素カルシウムなど)、
水溶性タンパク質以外の水溶性ポリマー(天然ポリマー、合成ポリマーなど)、ならびに
ステアリン酸およびその塩、タルク、パルミチン酸、ならびに乳化剤、分散剤、結合剤、増粘剤などとして公知の他の物質。
【0114】
一部の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、好ましくは経粘膜−経口投与用のトローチ剤、キャンディ、または溶解錠(例えば、徐溶解錠(slow−dissolving tablet)もしくは速溶解錠(quick−dissolving tablet))の形態で処方される。
【0115】
特定の実施形態では、この錠剤は、噛む必要がなく被験者の唾液によって溶解する溶解錠(徐溶解錠または速溶解錠など)である。例えば、被験者の舌の上に置かれた溶解錠は、治療剤の経頬送達のために使用することができる。あるいは、被験者の舌の下に置かれた溶解錠は、治療剤の舌下送達のために使用することができる。この種の剤形は、小児患者および老齢期の患者にとって特に望ましいことがある。なぜなら、小さい小児および高齢の個体は、特定の品目を噛むことが困難であることが多いからである。典型的には、上記溶解錠は、投与後約30秒〜約5分以内、好ましくは約1分〜約3分以内に溶解するように処方される。速溶解錠は、典型的には被験者の唾液によって迅速にではなく徐々に溶解する徐溶解錠よりも速く溶解することを、当業者は理解するであろう。
【0116】
一部の他の実施形態では、この錠剤は、被験者によって噛まれ、迅速にまたは徐々にのいずれかで溶解するように処方されている咀嚼錠である。例えば、被験者の舌の上に置かれた咀嚼錠は、治療剤の経頬送達のために使用することができる。噛む間、咀嚼錠は、口内で位置を変えて動かされてよく、歯ぐきと頬との間または舌の下に時おり留め置いてもよい。結果として、咀嚼錠の中に含まれる治療剤の少なくとも一部分は、舌下に(すなわち、舌下粘膜を通って)も送達され得る。典型的には、この咀嚼錠は投与後約30秒〜約5分以内、好ましくは約1分〜約3分以内に溶解するように処方される。
【0117】
本発明の経口剤形は、口腔粘膜を通る吸収が所望される場合に、任意の活性剤または治療剤を送達するために使用することができる。例示的な実施形態に従って、本発明は、このあと食欲抑制薬DL−フェニルアラニンの投与に言及して論じられるであろうが、他の活性物が補助的にまたは代替として用いられてもよいことを理解されたい。
【0118】
非限定的な例としては、非ステロイド性抗炎症薬、鎮痛薬、片頭痛治療薬、閉経治療薬、睡眠障害治療薬、勃起不全治療薬、食欲抑制薬、咳止め/感冒薬/喉薬、ビタミン、亜鉛、メントール、ユーカリ、ヘキシルレゾルシノール、カフェイン、歯面漂白剤、歯石防止剤、口臭防止剤、粘滑薬などが挙げられる。
【0119】
本組成物は経口で溶解性である。そしてそれは、典型的には舐められ(sucked)、舐められ(licked)、および/または噛まれ、食される任意の形態(錠剤、トローチ剤、スティック状、杖状(cane)、炭酸飲料(pop)など)であってよい。錠剤およびトローチ剤は好ましい形態である。本発明の錠剤およびトローチ剤は、口中で保持されることを意図した経口剤形であり、典型的には舐められる。例えば、それらは頬腔内または舌下に保持されてよい。この錠剤またはトローチ剤は種々の形状であってよく、例として平坦、円形、八角形および両凸が挙げられる。好ましい実施形態によれば、この錠剤はチョコレート風味の錠剤である。
【0120】
他の実施形態によれば、上記経口剤形は、口腔粘膜に付着するように設計されたフィルムであってもよい。例えば、Schiraldiらに対する米国特許第4,713,243号は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、可塑剤、薬剤、および必要に応じて水不溶性ポリマーからなる生体接着層を含む湿った粘膜表面に付着することができる薄いフィルムを開示する。米国特許第4,713,243号に開示されるフィルムは、麻酔薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質、および抗菌剤などの薬剤の制御放出に有用である。
【0121】
Zerbeらに対する米国特許第5,948,430号、同第6,177,096号、同第6,284,264号、同第6,592,887号、および同第6,709,671号は、水溶性ポリマーと、薬理学的または美容上活性な成分とを含む、迅速に溶解して口腔に付着することができる粘膜付着性フィルム、およびその使用方法を開示する。
【0122】
(食欲抑制の方法)
本発明はさらに、食欲の抑制を必要とする哺乳動物の食欲を抑制するための方法であって、食欲抑制量のDL−フェニルアラニン、メチルスルホニルメタン、食用油、精製水およびレシチンを含む組成物を経粘膜投与し、それによって食欲の抑制を必要とする哺乳動物の食欲を抑制する工程を含む方法を提供する。
【0123】
上記組成物は、経口投与できる剤形(錠剤など)として処方されることが好ましく、従ってこれで口腔粘膜を経由する経粘膜投与が可能になる。上記メチルスルホニルメタンは、DL−フェニルアラニンの経粘膜送達を高めるのに十分な量で組成物中に存在する。つまり、組成物中のメチルスルホニルメタンの量は、メチルスルホニルメタンを欠く同じ医薬成分の処方物と比べて、被験者への経粘膜投与後に被験者中のDL−フェニルアラニンの血中レベルおよび/または血液中のDL−フェニルアラニンの出現速度を実質的に上昇させるのに十分なものである。本願明細書中の実施例2に例として示すように、本発明に係るDL−フェニルアラニンおよびメチルスルホニルメタンを含む経粘膜経口組成物は、メチルスルホニルメタンを欠く類似の組成物と比べて、ヒト被験者への投与後に高められたCmaxおよび低下したTmaxをもたらす。
【0124】
有利なことに、食欲抑制薬DL−フェニルアラニンの経粘膜送達は、肥満および病的に肥満の被験者における過食のサイクルの一部であることが明らかである空腹嗜癖および食欲切迫感に対する迅速な応答をもたらす。さらに、経粘膜−経口剤形で食欲抑制薬を提供することで、多くの肥満の被験者によく見られる口に食物を入れる満足感への要求に対処する。
【0125】
従って、食欲抑制薬DL−フェニルアラニンおよび経粘膜送達増強剤メチルスルホニルメタンを用いる本発明の組成物および方法は、肥満および病的に肥満であると分類される被験者を含めた過体重の被験者における体重減少および体重管理のプログラムで使用することができる。
【0126】
1つの実施形態によれば、上記哺乳動物はヒトである。1つの実施形態によれば、この哺乳動物は肥満である。別の実施形態によれば、この哺乳動物は病的に肥満である。
【0127】
肥満または病的に肥満であると被験者を分類することは、当業者の能力の範囲内であり、肥満度指数(BMI)、胴囲測定値および/または体脂肪測定値などの客観的なパラメータの使用を含んでもよい。
【0128】
BMIは、式 BMI=kg/m2(式中、kgはキログラム単位での被験者の体重であり、mはメートル単位での被験者の身長である)に従って算出される。
【0129】
(世界保健機関技術報告シリーズ894、「肥満症:世界的蔓延の予防および管理(Obesity:preventing and managing the global epidemic)」、ジュネーブ:世界保健機関、2000による)以下の指針を、肥満症を決定するために使用してもよい。
【0130】
【表1】

臨床の場面では、医師は、人種、民族性、除脂肪体重(筋肉質)、年齢、性別、およびBMIの解釈に影響を及ぼし得る他の要因を考慮に入れる。BMIは、非常に筋肉質の人の体脂肪を過大評価し、そして体重を減少させた人(例えば多くの高齢者)の体脂肪を過小評価する可能性がある。
【0131】
BMIは、脂肪組織と無脂肪組織(lean tissue)との異なる比を考慮せず、脂肪の異なる形態のいくつかは、心血管の危険性とより密に相関するかも知れないが、脂肪の異なる形態を区別することもしない。脂肪組織の異なる形態の生物学の理解が深まると、内臓脂肪または中心性肥満(男性型肥満症もしくはリンゴ型肥満症)は、特に心血管疾患に関して、BMI単独よりもはるかに強い相関を有することが示された。
【0132】
絶対的な胴囲(男性で102cm超、女性で88cm超)またはウエストヒップ比(男性について0.9超、女性について0.85超)は、ともに中心性肥満の尺度として使用される。
【0133】
肥満症を測定するための代替の手段は、%体脂肪を評価することである。25%を超える体脂肪を有する男性および30%を超える体脂肪を有する女性は肥満であるということが、一般に合意されている。体脂肪を正確に測定するための最も認められた方法は、水中で人の体重を測定することであったが、これは特別の設備を有する研究機関に限られた手順である。体脂肪を測定するための2つの簡単な方法は、皮膚をつまんだ量を正確に測定して皮下脂肪層の厚みを測定する皮下脂肪試験、または生体インピーダンス法である。体脂肪の他の測定としては、コンピュータ断層撮影(CT/CATスキャン)、磁気共鳴画像(MRI/NMR)、および二重エネルギーX線吸光測定法(DXA)が挙げられる。
【0134】
さらなる態様によれば、本発明は、哺乳動物の食欲を抑制するための口腔粘膜を通る送達用の薬剤の調製のためのメチルスルホニルメタンおよび食欲抑制量のDL−フェニルアラニンの使用を提供する。
【0135】
ここまで大まかに本発明を記載してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるであろう。以下の実施例は例証として提示されており、本発明を限定するものであるとは意図されていない。
【実施例】
【0136】
(実施例1.DL−フェニルアラニンを含む組成物の調製)
各々3gの重量のチョコレート錠剤の形態の軟質バッカル剤処方物を調製した。
【0137】
各錠剤は、
DL−フェニルアラニン 150mg
メチルスルホニルメタン(MSM) 100mg
植物油 30%
カカオバター 30%
スクラロース 0.1%
炭酸カルシウム 10%
レシチン 10%および
精製水 100%まで
を含有する。
【0138】
この組成物の調製方法は、以下のステップを含む:
ステップ1:20mlの脱イオン水を均質化する系に注ぎ込み、50℃の温度まで加熱する。
ステップ2:MSMをこの水に加え、徹底的に均質化する。
ステップ3:フェニルアラニンをこの水に加え、徹底的に均質化する。
ステップ4:スクラロースをこの水に加え、徹底的に均質化する。
ステップ5:これらの成分を30分間徹底的に混合し、溶液Aを製造する。
ステップ6:レシチンを溶液Aに加え、60分間徹底的に混合する。
ステップ7:カカオバターを植物油に加え、30分間徹底的に混合する。
ステップ8:カカオバターおよび植物油の混合物を上記溶液に加え、30分間徹底的に混合する。
ステップ9:炭酸カルシウムをこの溶液に加え、30分間徹底的に混合する。
ステップ10:この溶液を滅菌容器に注ぎ込み、24時間放置した。
【0139】
(実施例2.メチルスルホニルメタン(MSM)の存在下または非存在下における、DL−フェニルアラニンを含有する製剤のバイオアベイラビリティの比較)
3人の健康な成人男性の被験者に、実施例1に記載した方法によって調製した錠剤を、口腔中の歯肉と頬との間に、450mg DL−フェニルアラニン/被験者の用量で与えた。(A)MSMを含まない製剤で、60秒の(口腔中での)保持時間、(B)MSMを含む製剤で、30秒の(口腔中での)保持時間、および(C)MSMを含む製剤で、60秒の(口腔中での)保持時間。これらの被験者を、投与の12時間前から試験の終了まで絶食させた。
【0140】
血液試料(3ml)を、投与前、ならびに製剤の投与後20分、40分、60分、および80分に採取した。血液中のDL−フェニルアラニンの測定は、以下の分析方法によって実施した。
【0141】
血液分離後、化学分析を実施するまで、血漿を−20℃で保存した。内部標準を加えたこの血漿を、35%スルホサリチル酸を用いて除タンパク化し、遠心分離し、0.2μmフィルターを通して濾過した。濾液を分析のために使用した。使用した機器は、専用のアミノ酸分析器を加えたバイオクロム(Biochrom) 20(ファルマシアバイオテック社(Pharmacia Biotech Ltd.)、イングランド、ケンブリッジ)であった。アミノ酸の分離は、イオン交換カラム上で成し遂げられる。使用した樹脂は、ジビニルベンゼンで架橋したスルホン化ポリスチレンである。
【0142】
最終の分離は、緩衝液のPHを変化させるカラム温度の変更、および緩衝液がポンプ輸送される時間の変更によって成し遂げられる。分離が成し遂げられると、溶出したアミノ酸をニンヒドリンと反応させ、色を570nmおよび440nmで光度測定により読み取る。その色に対応する数字による信号をコンピューターによって読み取り、積算し、そして既知の標品と比較し、そして各々の濃度を測定する。データを収集して処理するために使用したデータ処理ソフトウェアは、イージークロムエリート(EZCrome ELITE)(商標)クライアント/サーバー クロマトグラフィソフトウェア(サイエンティフィックソフトウェア社(Scientific Software Inc)、カリフォルニア州、プレザントン)である。
【0143】
例示的な製剤の頬側投与後の血中のDL−フェニルアラニン濃度を、図1に提示する。
【0144】
図1に示すように、MSMの存在下での最大血中DL−フェニルアラニン濃度(Cmax)は約103nmol/mlであり、最大血中濃度が達成されるのに要した時間(Tmax)は40分であった(被験者C)が、他方、MSMの非存在下での最大血中DL−フェニルアラニン濃度(Cmax)は、約66nmol/mlであり、最大血中濃度が達成されるのに要した時間(Tmax)は60分(被験者A)であった。このように、製剤中にMSMが存在すると、DL−フェニルアラニンの頬側吸収が増加する。
【0145】
(実施例3.体重減少に対する本発明の組成物の効果)
体重減少に対する実施例2に記載した組成物の効果を調べるために、90日間の、二重盲検遡及的研究を実施する。この組成物を、プラセボ錠剤の効果と比較した。
【0146】
平均で60ポンド(約27kg)過体重の40人の個体の試験パネルを選択した。これらの個体を2つの群に分けた。I群は、20人のメンバーからなっており、毎日6個のプラセボ錠剤を服用している。II群は、20のメンバーからなっており、毎日、上記組成物の6個の錠剤を服用している。両方の群は、各々2錠の3回の一日用量を服用しており、それを食事の30分前に摂取する。すべての患者に、食事に関するカレンダーを提供し、患者の毎日の食物および液体の摂取を記録するように依頼する。診察を、患者と医師または他の医療専門家との間で週に一度行う。患者に、成功、困難さ、またはそれらに対する関心事の話題を含めて、その体重減少プログラムについて論じるように促す。これらの週に一度の診察中に、患者の体重を測定し、血圧、脈拍数および呼吸を記録するための測定値を収集する。患者に、その活力の程度、運動活性、砂糖および炭水化物に対する嗜癖、食欲のあらゆる変化、および治療の過程のあらゆる可能性のある副作用を報告するように依頼する。体重減少を測定し、3つの方法で記録する:(1)患者の最初の体重からの全重量減少、(2)過剰体重の減少、および(3)失われた過剰体重の割合(%)。本発明の組成物が空腹の感覚を低下させること、およびそれゆえ過体重の個体の過食を減少させることに有効かどうか、を試験するために、これらのデータを二重盲検遡及的臨床研究で得る。
【0147】
具体的な実施形態の上記の記載は、本発明の一般的性質を十分に明らかにしているため、他の者は、現在の知識を適用することによって、かかる具体的な実施形態を、過度に実験することなくかつ全般的な概念から逸脱することなく、種々の用途のために直ちに修正および/または適合させることができ、それゆえ、かかる適合物および修正物は、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されるべきであり、そのように意図されている。本発明は、その具体的な実施形態と関連付けて記載されてきたが、多くの代替的態様、修正およびバリエーションが当業者には明らかであろうということは明白である。従って、添付の特許請求の範囲の趣旨および広範な範囲内に属するすべてのかかる代替的態様、修正およびバリエーションを包含することが意図されている。
【0148】
上記詳細な説明および具体的な実施例は本発明の好ましい実施形態示しているが、これらは例証としてのみ提示されていることを理解されたい。なぜなら、本発明の趣旨および範囲内の種々の変更および修正は、この詳細な説明から、当業者には明らかになるであろうからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔粘膜を通る高められた送達のための医薬組成物または栄養補助食品組成物であって、医薬成分または栄養補助成分と、メチルスルホニルメタンとを、前記口腔粘膜への投与に適した担体中に含む組成物。
【請求項2】
前記担体が、食用油、水およびレシチンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記食用油が植物油である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記植物油が、綿実油、落花生油、ケシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、キャノーラ油、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物がさらに、甘味料、着香料、保護薬、抗酸化物質、可塑剤、ワックス、エラストマー溶媒、充填剤、保存料、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、着色料、崩壊剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、カカオバター、スクラロース、カルシウム塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記カルシウム塩が炭酸カルシウムである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
約0.1〜15%の量の医薬成分と、
約0.5〜30%の量のメチルスルホニルメタンと、
約5%〜40%の量の植物油と、
約5〜30%の量の精製水と、
約5〜40%の量のカカオバターと、
約1〜20%の量のカルシウム塩と、
約1〜20%を超えない量のレシチンと
を含み、当該百分率は、前記組成物の全重量基準の重量%であり、前記組成物の前記全重量は100%に等しい、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記医薬成分が約1%〜5%の量で存在し、
前記メチルスルホニルメタンが約1%〜10%の量で存在し、
前記植物油が約20%〜40%の量で存在し、
前記精製水が約10%〜30%の量で存在し、
前記カカオバターが約20%〜40%の量で存在し、
前記カルシウム塩が約1%〜20%の量で存在し、
前記レシチンが約1%〜20%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記医薬成分が約2%〜4%の量で存在し、
前記メチルスルホニルメタンが約2%〜5%の量で存在し、
前記植物油が約25%〜35%の量で存在し、
前記精製水が約15%〜25%の量で存在し、
前記カカオバターが約25%〜35%の量で存在し、
前記カルシウム塩が約5%〜15%の量で存在し、
前記レシチン約5%〜15%が量で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記医薬成分が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、片頭痛治療薬、閉経治療薬、睡眠障害治療薬、勃起不全治療薬、食欲抑制薬および高分子からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記NSAIDが、イブプロフェン(2−(イソブチルフェニル)−プロピオン酸)、メトトレキサート(N−[4−(2,4 ジアミノ 6−プテリジニル−メチル]メチルアミノ]ベンゾイル)−L−グルタミン酸)、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチル酸、ジフェンヒドラミン(2−(ジフェニルメトキシ)−NN−ジメチルエチルアミン塩酸塩)、ナプロキセン(2−ナフタレン酢酸、6−メトキシ−9−メチル−、ナトリウム塩、(−))、フェニルブタゾン(4−ブチル−1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン)、スリンダク−(2)−5−フルオロ−2−メチル−1−[[p−(メチルスルフィニル)フェニル]メチレン−]−1−H−インデン−3−酢酸、ジフルニサル(2’,4’,−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−3−ビフェニルカルボン酸、ピロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−2−ピリジニル−2H−1,2−ベンゾチアジン−2−カルボキシアミド 1,1−ジオキシド、メロキシカム(4−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5−メチル−2−チアゾリル)−2H−1,2−ベンゾチアジン−3−カルボキシアミド 1,1−ジオキシド)、オキシカム、インドメタシン(1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−H−インドール−3−酢酸)、メクロフェナム酸ナトリウム(N−(2,6−ジクロロ−m−トリル)アントラニル酸、ナトリウム塩、一水和物)、ナブメトン(4−(6−メトキシ−2−ナフタレニル)−2−ブタノン)、ケトプロフェン(2−(3−ベンゾイルフェニル)−プロピオン酸、トルメチンナトリウム(1−メチル−5−(4−メチルベンゾイル−1H−ピロール−2−酢酸ナトリウム二水和物)、ジクロフェナクナトリウム(2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、一ナトリウム塩)、硫酸ヒドロキシクロロキン(2−{[4−[(7−クロロ−4−キノリル)アミノ]ペンチル]エチルアミノ}エタノール硫酸塩(1:1)、ペニシラミン(3−メルカプト−D−バリン)、フルルビプロフェン([1,1−ビフェニル]−4−酢酸、2−フルオロ−α−メチル−、(+−))、エトドラク(1−8−ジエチル−13,4,9,テトラヒドロピラノ−[3−4−13]インドール−1−酢酸、メフェナム酸(N−(2,3−キシリル)アントラニル酸、および塩酸ジフェンヒドラミン(2−ジフェニルメトキシ−N,N−ジ−メチルエタミン塩酸塩)からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記鎮痛薬が、アセトアミノフェンおよびジピロン(4−メチルアミノ−1,5−ジメチル−2−フェニル−3−ピラゾロンナトリウムメタンスルホン酸塩)からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記片頭痛治療薬が、トリプタン、スマトリプタン(3−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−N−メチル−1H−インドール−5−メタンスルホンアミド)、アルモトリプタン(1−(((3−(2(ジメチルアミノ)エチル)インドール−5−イル)メチル)スルホニル)ピロリジン)およびアミトリプチリン(3−(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン−5−イリデン)−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン)からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記閉経治療薬が、ベンラファキシン、パロキセチン、フィトエストロゲンおよび植物エキスからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記植物エキスが、ブラック・コホッシュおよびマカからなる群から選択される植物から誘導される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記睡眠障害治療薬が、ジフェンヒドラミン(2−(ベンズヒドリルオキシ)−N,N−ジメチルエチルアミン)、吉草根、およびメラトニン(5−メトキシ−N−アセチルトリプタミン)からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記勃起不全治療薬が、プロスタグランジン、テストステロン、ヨヒンビン、ペントキシフィリン、トラゾドン、アポモルヒネ、シルデナフィル、タダラフィル、ミノキシジル、ミソプロストール、パパベリン、ニトログリセリン、フェントラミン、モキシシリト、リンシドミン、およびピリジルグアニジン化合物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
前記高分子が、ビタミンB12、抗生物質、ペプチド、カルシトニン、バソプレシンおよびオキシトシンからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
前記高分子がビタミンB12である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記高分子が、約5000ダルトンまでの分子量を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項22】
前記食欲抑制薬がDL−フェニルアラニンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項23】
前記DL−フェニルアラニンが、前記組成物の全重量の約1%〜5重量%の量で存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記DL−フェニルアラニンが、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記医薬成分がDL−フェニルアラニンである、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、トローチ剤、チューインガム、咀嚼錠、および溶解錠からなる群から選択される剤形である、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
口腔粘膜を通る医薬成分の送達を高めるための方法であって、それを必要とする被験者に、医薬成分と、メチルスルホニルメタンとを、前記口腔粘膜への投与に適した担体中に含む組成物を投与する工程を含み、前記メチルスルホニルメタンは前記医薬成分の経粘膜送達を高めるのに十分な量で存在することを特徴とする方法。
【請求項28】
前記担体が食用油、精製水、およびレシチンを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記食用油が植物油である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記植物油が、綿実油、落花生油、ケシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、キャノーラ油、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物がさらに、カカオバター、スクラロース、炭酸カルシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、請求項7に記載の組成物を含み、前記組成物が、
約0.1〜15%の量の医薬成分と、
約0.5〜30%の量のメチルスルホニルメタンと、
約5%〜40%の量の植物油と、
約5〜30%の量の精製水と、
約5〜40%の量のカカオバターと、
甘味料としての役割を果たすために十分な量のスクラロースと、
約1〜20%の量のカルシウム塩と、
約1〜20%を超えない量のレシチンと
を含み、当該百分率は、前記組成物の全重量基準の重量%であり、前記組成物の前記全重量は100%に等しい、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記医薬成分が約1%〜5%の量で存在し、
前記メチルスルホニルメタンが約1%〜10%の量で存在し、
前記植物油が約20%〜40%の量で存在し、
前記精製水が約10%〜30%の量で存在し、
前記カカオバターが約20%〜40%の量で存在し、
前記スクラロースが約0.05%〜0.2%の量で存在し、
前記炭酸カルシウムが約1%〜20%の量で存在し、
前記レシチンが約1%〜20%の量で存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記医薬成分が約2%〜4%の量で存在し、
前記メチルスルホニルメタンが約2%〜5%の量で存在し、
前記植物油が約25%〜35%の量で存在し、
前記精製水が約15%〜25%の量で存在し、
前記カカオバターが約25%〜35%の量で存在し、
前記スクラロースが約0.07%〜0.15%の量で存在し、
前記炭酸カルシウムが約5%〜15%の量で存在し、
前記レシチンが約5%〜15%の量で存在する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記医薬成分が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、片頭痛治療薬、閉経治療薬、睡眠障害治療薬、勃起不全治療薬、食欲抑制薬および高分子からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記食欲抑制薬がDL−フェニルアラニンである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記DL−フェニルアラニンが、前記組成物の全重量の約1重量%〜5重量%の量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記DL−フェニルアラニンが、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、トローチ剤、チューインガム、咀嚼錠、および溶解錠からなる群から選択される剤形である、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、頬側粘膜、歯肉粘膜、口蓋粘膜およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
食欲の抑制を必要とする哺乳動物の食欲を抑制するための方法であって、食欲抑制量のDL−フェニルアラニン、メチルスルホニルメタン、食用油、精製水およびレシチンを含む組成物を経粘膜投与し、それによって食欲の抑制を必要とする前記哺乳動物の食欲を抑制する工程を含む方法。
【請求項42】
前記食用油が植物油である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記植物油が、綿実油、落花生油、ケシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、キャノーラ油およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物がさらに、甘味料、着香料、保護薬、可塑剤、ワックス、エラストマー溶媒、充填剤物質、保存料、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、着色料、崩壊剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される賦形剤を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物が、カカオバター、スクラロース、炭酸カルシウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
約5%を超えない量のDL−フェニルアラニンと、
約10%を超えない量のメチルスルホニルメタンと、
約40%を超えない量の植物油と、
約30%を超えない量の精製水と、
約40%を超えない量のカカオバターと、
約0.2%を超えない量のスクラロースと、
約20%を超えない量の炭酸カルシウムと、
約20%を超えない量のレシチンと
を含み、当該百分率は、前記組成物の全重量基準の重量%であり、前記組成物の前記全重量は100%に等しい、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記DL−フェニルアラニンが約1%〜5%の量で存在し、
前記メチルスルホニルメタンが約1%〜10%の量で存在し、
前記植物油が約20%〜40%の量で存在し、
前記精製水が約10%〜30%の量で存在し、
前記カカオバターが約20%〜40%の量で存在し、
前記スクラロースが約0.05%〜0.2%の量で存在し、
前記炭酸カルシウムが約1%〜20%の量で存在し、
前記レシチンは約1%〜20%の量で存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記DL−フェニルアラニンが約2%〜5%の量で存在し、
前記メチルスルホニルメタンが約1%〜5%の量で存在し、
前記植物油が約25%〜35%の量で存在し、
前記精製水が約15%〜25%の量で存在し、
前記カカオバターが約25%〜35%の量で存在し、
前記スクラロースが約0.07%〜0.15%の量で存在し、
前記炭酸カルシウムが約5%〜15%の量で存在し、
前記レシチンが約5%〜15%の量で存在する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記DL−フェニルアラニンが、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、トローチ剤、チューインガム、咀嚼錠、および溶解錠からなる群から選択される剤形である、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記口腔粘膜が、舌下粘膜、頬側粘膜、歯肉粘膜、口蓋粘膜およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
前記哺乳動物がヒトである、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
前記哺乳動物が肥満である、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記哺乳動物が病的に肥満である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記メチルスルホニルメタンが、前記DL−フェニルアラニンの経粘膜送達を高めるのに十分な量で存在する、請求項41に記載の方法。
【請求項56】
前記DL−フェニルアラニンが約5%の量で存在する、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−519196(P2010−519196A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549493(P2009−549493)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000192
【国際公開番号】WO2008/099397
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509230300)ダーマ−ヤング リミテッド (1)
【Fターム(参考)】