説明

経腸フィードセット

【課題】患者へ供給されるべき流体を二つの流体源から択一的に自動選択できる自動ポンプシステムへ接続するための経腸フィードセットを提供する。
【解決手段】流体が流れるようになされるとともにポンプユニットが係合されるようになされたチューブ;前記チューブに直接連通し前記ポンプユニットが係合するようになされたバルブ機構;及び、前記ポンプユニットによる投与フィードセットの機能構成を識別することを可能にするためのフィードセットインジケータ;を備え、前記チューブは前記バルブ機構の上流側の少なくとも二つの入口チューブと前記バルブ機構下流側の単一の出口チューブとを備え、前記入口チューブのそれぞれは前記チューブをその接続端で流体源に接続するためのコネクタ10を含み、前記コネクタはそれぞれ同一形状であるが、それぞれのコネクタをどの流体源に取り付けるべきかをユーザに指し示すために視覚的に区別可能構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経腸フィードセットに関し、より詳細には、患者へ供給されるべき流体を二つの流体源から択一的に自動選択できる自動ポンプシステムへ接続するための経腸フィードセットに関する。
【背景技術】
【0002】
一つの流体源に一つ以上の接続を有するフィードセットは既知である。例えば、Tyco Healthcareは、二つのコネクタから単一のY分岐接続に至る二本のチューブを有するポンプ接続用経腸フィードセット(製品コードNo.717324)を市販している。そのそれぞれのチューブは、個別にクランプして閉じることができる。
【0003】
二つの流体源を統合する経腸フィードセットはWO2005/115501に示されており、本願はその内容を全て引用して本明細書に組み込む。この公報は、患者へ流体を供給する複数の流体源の内の一つを選択するためのバルブ操作を制御する流れ制御装置(flow control apparatus)の使用を教示している。
【0004】
二つの流体源を統合する別の構成は、WO98/046293に記載されている。
【0005】
経腸フィードセットを流体源へ接続するための様々なコネクタが知られている。その例としては、WO2004/017852に記載の滑動シールアダプタ、及び、EP1063956に記載の箔シールに穿孔するスパイク(先のとがった大釘に似たもの)を含むコネクタがある。
【0006】
本発明の目的は、二つの異なる流体源へ接続できる経腸フィードセットであって、流体源の正しい接続をより高い信頼性で可能とする経腸フィードセットを提供することにある。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、その第1態様において、流体が通過して流れるようになされるとともにポンプユニットが係合されるようになされたチューブ、前記チューブに直接連通するバルブ機構であって前記ポンプユニットが係合するようになされるバルブ機構、及び、前記ポンプユニットによる投与フィードセットの機能構成を識別することを可能にするためのフィードセットインジケータ、を備える経腸フィードセットにおいて、前記チューブは前記バルブ機構の上流側に少なくとも二つの入口チューブと同バルブ機構の下流側に単一の出口チューブとを備え、前記入口チューブはそれぞれ前記チューブをその接続端にて流体源に接続するためのコネクタを含み、前記コネクタはそれぞれ類似(同一)形状であって且つそれぞれのコネクタをどの流体源に取り付けるべきかをユーザに指し示すために視覚的に区別可能であるように構成されたことを特徴とする経腸フィードセットを提供する。
【0008】
本発明の更に別の態様において、フラッシュ流体を内部に保持するフラッシュ容器へ結合されるようになされるフラッシュコネクタであって、そのフラッシュコネクタは、第1コネクタ本体と第1コネクタ本体内に画成される第1流体通路とを備え、その第1流体通路は前記フラッシュコネクタが前記フラッシュ容器へ結合されると同フラッシュ容器に流体連通し、前記第1コネクタ本体は、更に、前記フラッシュ容器内の穿孔可能(孔開け可能)シールに穿孔する(孔を開ける)スパイクであって外側に延びる第1スパイクと第1コネクタ本体内に画成される第1空気通路とを備え、第1空気通路はフラッシュ容器へ空気を導入するためにフラッシュ容器に流体連通するように結合される、フラッシュコネクタ;
フラッシュ容器からのフラッシュ流体の流れを受けるためのチューブであって第1流体通路に流体連通するように結合されるフラッシュチューブ;
経腸フィード流体を内部に保持するフィード容器へ結合するようになされるフィードコネクタであって第2コネクタ本体と第2コネクタ本体内に画成される第2流体通路とを備えるフィードコネクタであり、その第2流体通路はフィードコネクタがフィード容器へ結合されるとフィード容器に流体連通し、第2コネクタ本体はフィード容器内の穿孔可能(孔開け可能)シールに穿孔する(孔を開ける)ためのスパイクであって外側に延びる第2スパイクと第2コネクタ本体内に画成される第2空気通路とを備え、その第2空気通路はフィード容器内に空気を導入するためにフィード容器に流体連通するように結合される、フィードコネクタ;
フィード容器からの経腸フィード流体の流れを受けるチューブであって第2流体通路に流体連通するように結合されるフィードチューブ;及び
フィードチューブ及びフラッシュチューブのそれぞれと流体連通するように結合される第1及び第2入口と、バルブ出口とを有するバルブであって、そのバルブ出口を通る流れを許容するか遮断するかを選択して動作可能であるバルブ;
を備える経腸フィードセットが提供される。
【0009】
別の態様において、フラッシュ流体を内部に保持するようになされる略フレキシブル(可撓性)なフラッシュバッグ;フレキシブルフラッシュバッグからのフラッシュ流体の流れを受けるためのチューブであってフレキシブルフラッシュバッグに流体連通するように結合されるフラッシュチューブ;経腸フィード流体を内部に保持するフィード容器へ結合するようになされるとともにコネクタ本体とコネクタ本体内に画成される流体通路とを備えるフィードコネクタであり、流体通路はフィードコネクタがフィード容器へ結合されるとフィード容器に流体連通し、コネクタ本体はフィード容器内の穿孔可能シールに穿孔するためのスパイクであって外側に延びるスパイクとコネクタ本体内に画成される空気通路とを備え、その空気通路はフィード容器内へ空気を導入するためにフィード容器に流体連通するように結合される、フィードコネクタ;フィード容器からの経腸フィード流体の流れを受けるチューブであってフィードコネクタの流体通路へ流体連通するように結合されるフィードチューブ;及び、フィードチューブ及びフラッシュチューブのそれぞれに流体連通するように結合される第1及び第2入口並びにバルブ出口を有するバルブであってそのバルブ出口を通る流れを許容するか遮断するかを選択して動作可能であるバルブ;を備える経腸フィードセットが提供される。
【0010】
本発明の更なる態様は、フラッシュ流体を内部に保持するフラッシュ容器に流体連通して結合されるように構成されるフラッシュアダプタであって、フラッシュアダプタは第1アダプタ本体と、第1スパイク部材と、第1ばねと、第1カラー部材と、第1滑動シャフトシールとを備え、第1アダプタ本体は第1環状フランジを有し、第1スパイク部材は第1アダプタ本体に結合されるとともに第1チューブアダプタを含み、第1ばねは第1スパイク部材に対してばね力を加えるために第1アダプタ本体内部に配設され、第1カラー部材は第1環状フランジを強固に係合するように構成される第1環状溝を含み、第1滑動シャフトシールは第1アダプタ本体内部に少なくとも部分的に配設されるとともに第1スパイク部材と流体密に滑動可能に係合するように構成される、フラッシュアダプタ;フラッシュ容器からのフラッシュ流体の流れを受けるためのチューブであって第1チューブアダプタに流体連通するように結合されるフラッシュチューブ;経腸フィード流体を内部に保持するフィード容器に流体連通して結合するように構成されるフィードアダプタであって、このフィードアダプタは第2アダプタ本体と、第2スパイク部材と、第2ばねと、第2カラー部材と、第2滑動シャフトシールとを備え、第2アダプタ本体は第2環状フランジを有し、第2スパイク部材は第2アダプタ本体と結合されるとともに第2チューブアダプタを含み、第2ばねは第2スパイク部材に対してばね力を加えるために第2アダプタ本体内部に配設され、第2カラー部材は第2環状フランジを強固に係合するように構成される第2環状溝を含み、第2滑動シャフトシールは第2アダプタ本体内部に少なくとも部分的に配設されるとともに第2スパイク部材と流体密に滑動可能に係合するように構成される、フィードアダプタ;フィード容器からの経腸フィード流体の流れを受けるためのチューブであって第2チューブアダプタに流体連通するように結合されるフィードチューブ;及び、フィードチューブ及びフラッシュチューブのそれぞれに流体連通するように結合される第1及び第2入口並びにバルブ出口を有するバルブであってそのバルブ出口を通る流れを許容するか遮断するかを選択して動作可能であるバルブ;を備える経腸フィードセットである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施の形態を、付帯図面を参照に、例示のみを目的として説明する。
図1は、対応するコネクタ10により、流体源8、9へそれぞれ接続可能な二本のチューブ4、6を有する経腸フィードセット2を示す。
【0012】
図2及び図3を参照すると、コネクタ10がより詳細に示されている。このコネクタは、後に詳述するように(図4〜6)、容器の出口を受け入れるキャビティ(空洞)16を画成する内面14(図3)を有し且つ全体を符号12で示す本体を含む。その本体12は、円筒状下部18と、円筒状下部18より小さく且つ円筒状下部18の上面22から上方に突出する円筒状上部20と、を有する。
【0013】
図4〜6を参照すると、キャビティ16は異なる種類の容器を受け入れるように構成されている。図4に示すように、キャビティ16は、上部20の位置にて、容器26の比較的小さな出口24をスナップ嵌合で受け入れることができるような寸法および形状を有している。上部20の内面14は、固いスナップ嵌合部材27(例えば、出口24の周囲に延在する突出リム)がその上部へスナップ嵌合することができるように弾性変形可能である。
【0014】
図5に示すように、キャビティ16は、下部18の位置において、容器30の相対的に大きな出口28をねじ係止により受け入れることができるような寸法及び形状をしている。コネクタ10の内面14は、下部18の位置において、容器30の出口28の周囲に延びる外側ねじ(雄ねじ)33に取り付けるための内側へ突出したねじ(雌ねじ)32を含む。下部18の位置におけるキャビティ16の深さD(図3)は約1.40cmと1.80cmの間である。この深さDにより、異なる大きさのネック部を持つ容器30にコネクタ10を取り付けることができ、異なる容器との一層確実な接続が提供される。更に、下部18の内側のねじ(雌ねじ)32の厚さTは約0.12cmと約0.11cmの間である。下部18の位置において本体12の外面周囲に配設された畝状部34(図2)により、ユーザーは、容器30へコネクタ10をねじ込むときに十分な把持力を得ることができる。コネクタ10は、本発明の範囲を逸脱することなく、他の方法で容器の出口に取り付けられるように構成されてもよい。更に、コネクタ10は、ねじ込み式容器又はスナップ嵌合式容器のような一種類の容器だけに取り付けられるように構成されてもよく、或いは、2種類以上の容器へ取り付けられるように構成されてもよい。
【0015】
図3〜5を参照すると、液体通路38は、本体12の上部20を貫通して延び、キャビティ16に流体連通している(流体を流せるように連通している)。液体通路38の開口部40は、その液体通路がキャビティ内に延在するように想定可能ではあるが、ここでは本体12の内面14の上面部42と実質的に同一平面上にある(即ち、その液体通路はキャビティ16内に延在していない)。図示の実施の形態では、上面部42は実質的に平坦である。また、液体通路38は、上部20の位置において本体12の外面から外側に突出している導管44を貫通して延びている。導管44は、経腸フィードチューブ54の内側ねじ付きアダプタ52へ取り付けるための外側に突出するねじ46を有する(図4〜6)。導管44の外側ねじ46の厚さTは、約0.11cmと約0.06cmとの間である。経腸フィードチューブ54をコネクタ10へ接続する方法であって締まり嵌めの使用を含む他の接続方法は、本発明の範囲内にある。
【0016】
図4〜6に示すように、組み立てた場合、コネクタ10は、そのコネクタを容器30にねじ止めするか(図5及び図6を参照。)または容器26に嵌合するか(図4)の何れかにより、容器26、30のそれぞれの出口24、28へ固定される。ねじ付きアダプタ52は、コネクタ10の導管44上にねじ止めされる。従って、組み立てられた場合、コネクタ10は、経腸フィードチューブ54を、その取り付けられた容器26、30に、流体接続する(流体が通るように接続する)。
【0017】
図3〜8を参照すると、本体12と一体に形成され且つ全体を符号58により示された概ね細長いスパイクが、その本体12の上面部42からキャビティ16内に突出する。スパイク58は、本体12の中心軸Aから距離Sだけ離れ(図3)、液体通路38の開口部40の長手軸Aから距離Sだけ離れている(図3)。スパイク58は、容器26、30の出口24、28を覆う穿孔可能シール60(例えば箔シール)に穿孔して(図4〜6)液体栄養物を容器から出すことができるように構成される。図7により最もよく示されているように、スパイク58は、その長さL内において延びる(図8)一対の対向する狭い側面63A、63B及び一対の対向する広い側面63C、63Dを有する。
【0018】
図7および8を参照すると、スパイク58の底面62(即ち、スパイクの自由端部)は、略平坦である。図8に示すように、底面62は、狭い側面63A(より広く述べると、第1の狭い側面)から、対向する狭い側面63B(より広く述べると、第2の狭い側面)へ傾斜していて、本体12の中心軸Aと角度θで交わる面内にある。底面62のこの傾斜構成は、ねじ付き容器30のシール60を穿孔する(シール60に孔を開ける)ための鋭い先端部64を形成する。図9に示すように、底面62はまた、広い側面63C(より広く述べると、第1の広い側面)から、対向する広い側面63D(より広く述べると、第2の広い側面)へ傾斜していて、本体の中心軸Aと角度θで交わる面内にある。
【0019】
図8を参照すると、狭い側面63Bは、広い側面63Dから対向する広い側面63Cへ傾斜し、スパイクの長さLに沿って、先端部64まで、ナイフエッジ66を画成している。シール60が先端部64により穿孔された後、コネクタ10が容器26、30の出口24、28上で回転さられると(例えば、ねじ込まれると)、ナイフエッジ66がシール60を切断する。スパイク58は、図4および図5に示すように、比較的大きな(即ち、スパイク58の幅より大きい)概ね円形のシールを貫く開口部70を形成する。
【0020】
図7〜図9を参照すると、スパイク58の広い側面63Dは概ね弧状をなし、傾斜した狭い側面63Bを折り曲げ縁部68で結合する。狭い側面63Bは、底面62に向かって先細り、折り曲げ縁部68が先端部64に向かって減少する、つまり先端部64に向かって斜めになる(角度が付く)ようになっている。コネクタ10が容器26,30上で回転させられると、ナイフエッジ66はシール60を切断し、開口部70を画成する箔の縁端69(図3及び図4)を形成する。図4及び図5を参照すると、コネクタ10が回転し続けられるにつれ、スパイク58の折り曲げ縁部68は、シール60の箔の縁端69を、シール60の開口部70から遠ざけるように且つ流体通路38の開口部40から遠ざけるように折り曲げ、それによりその箔の縁端がそれらの開口部の邪魔とならない。
【0021】
図3〜図5を参照すると、空気通路72は、キャビティ16からスパイク58及び本体12の上部20を通して延びている。液体が容器を出るときに発生する容器26、30内部の真空が、その空気通路72を通してその容器内へ空気を引き込み、それにより、その容器から液体を連続的かつ自由にコネクタ10の液体通路38を通して流すことができる。空気通路72はスパイク58の底面62にて開口することによりキャビティ16に連通するが、その空気通路はスパイクの長さLに沿った他の場所にて開口してもよい。
【0022】
図3〜図5及び図9を参照すると、空気通路72は、上部20に位置にて本体12の外面から外側に突出し且つ全体を符号74にて示すフィルタマウントへ流体接続される。フィルタマウント74は、本体12の中心軸Aに対してほぼ垂直に延びる長手軸ACOを有する円筒状の大開口部76(図3)を含む。大開口部76内に配設されたチューブ状ダクト78は、大開口部76内において略同軸にて延びている。図3に示すように、ダクト78は、空気通路72に流体連通している第1開口端部80と、大開口部76内に終端を有する第2開口端部82と、を有する。大開口部76とダクト78の外面とは、フィルタ88(図10)のチューブ状端部86との間で締まり嵌めをする環状ソケット84(図3)を画成し、それにより、フィルタがソケットに嵌合されたとき、そのフィルタはダクトおよび空気通路72に流体連通状態となる。図2、図4及び図5に示すように、空気フィルタ88がフィルタマウント74に受容されると、そのフィルタのフィルタ媒体90はマウントの外側に延在する。
【0023】
空気フィルタ88を除くコネクタ10の全体は、型成形(例えば射出成形)又は在庫材料のボーリング加工を含む成形により、均質かつ一体のユニットとして成形することができる。代替として、コネクタ10は、適切な方法で互いに固定される一つ以上の別々の構成部分からなる構造であってもよい。コネクタ10を製造するための適切な材料は、ポリプロピレン(例えばポリプロピレン535)、ポリエチレン及び他の適切なポリマ等である。他の材料を用いてもよく、コネクタ10の別々の構成部分に対して異なる材料を用いてもよい。
【0024】
再び図1を参照すると、コネクタ10は、チューブ4及びチューブ6のそれぞれの第1端部へ接続される。これらのチューブは、その反対側端部にてバルブユニット100へ接続され、バルブユニット100はまた一本のチューブ102の第1端部へ接続されている。チューブ102は、フィードセット2を通る流体の圧送を制御するとともに、バルブユニット100を作動させる自動ぜん動ポンプ(不図示)へ取り付けられる。磁気式のフィードセット識別子104が、チューブ102の第2端部に取り付けられ、更に別のチューブ106がそこから患者留置の胃瘻装置(不図示)へ接続されるように伸びている。適切な自動ポンプ編成の詳細はWO2005/115501に記載されている。その内容を引用して本明細書に組み込む。
【0025】
複数の流体源はコネクタ10へ取付け可能である。好適な実施の形態では、流体源8及び流体源9が接続され、流体源8は栄養液を収容し、流体源9はフラッシュ液(フラッシング液)を収容している。
【0026】
ポンプの自動化された動作の観点からすると、その自動化されたポンプが適切にそのバルブを制御するように、オペレータが流体源をフィードセットへ正しく接続することが重要である。特定のコネクタ10を特定の流体源へ正しく組み合わせることを確実にするために、好適な実施の形態では、コネクタをカラーコード化して、コネクタの本体12のプラスチック成形の色が流体源容器の色に一致するようにする。それにより、例えば、容器は、コネクタ10が取り付けられる「ねじ固定の成形品」に着色することにより、或いは、流体容器の周囲の着色箔により、適切に色付けされ得る。コネクタ10を着色する代わりに、適切な色の容器と一致させるように適切なチューブ4及びチューブ6へ色付きフラグを取り付けてもよい。
【0027】
改良された経腸フィードセットを提供するための別の解決策は、図11に示すような編成である。図11の編成においては、図1の編成のコネクタ10と異なり、図11に示す経腸フィードセット202が二つの滑動シールコネクタ210を含む。滑動シールコネクタ210は、WO2004/017852に示される編成に基づいて製作される。一方のコネクタ210の拡大図を図12に示す。フィードセット2の場合と同様、フィードセット202は、それぞれのコネクタ210をそれぞれの流体源へ正しく合わせるための手段を提供する。図11に示す編成の場合のその好適な手段は、コネクタを形成する構成部品の一つ、例えば本体部220をカラーコード化することである。言うまでもなく、図1の編成と同様に、色付きフラグ編成を用いることもできる。
【0028】
改良された経腸フィードセットを提供するための更に別の解決策は、図13に示す編成である。この編成では、経腸フィードセット302は、一本のチューブ306へ取り付けられる図2〜図10に示すコネクタに基づいて単一のコネクタ10を組み込む。第2チューブ308は、再充填式流体バッグ310へ恒久接続された状態の終端を備える。二つの異なる流体源、つまり、栄養液を収容する一つの剛性のある容器と、フラッシング液を受容する再充填式バッグと、を提供することにより、図13の編成は、正しい溶液が正しい接続チューブへ供給される確実性を高める。
【0029】
本発明の要素またはその好ましい実施の形態を導入する場合、冠詞「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その」、「前記」は、一つ以上の要素があることを意味するよう意図している。用語「備える」、「含む」および「有する」は包括的であり、列挙した要素以外の追加要素があることを意図している。
【0030】
上記観点によれば、言うまでもなく本発明の幾つかの目的が達成され、利点の多いその他の結果が得られる。
【0031】
上記の構成、製品及び方法において、本発明の範囲を逸脱することなく多様な変更をなすことができる。上記説明に含まれ、付帯図面に示した全ては、説明を意図したものであり、限定する意味はないと解釈するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】二つの流体源へ接続するための経腸フィードセットの概略図である。
【図2】経腸フィードチューブへ、液体栄養物の経腸容器を接続するためのコネクタの斜視図である。
【図3】コネクタの縦断面図である。
【図4】出口の小さな容器へスナップイン接続され、経腸フィードチューブへ取り付けられたコネクタの縦断面図である。
【図5】出口の大きな容器へねじ止めされ、経腸フィードチューブへ取り付けられたコネクタの縦断面図である。
【図6】出口の大きな容器、コネクタおよび経腸フィードチューブの一部分解斜視図である。
【図7】コネクタの底面図である。
【図8】コネクタ本体の一部を取り去った状態でコネクタのスパイクを見えるようにした、コネクタの正面図である。
【図9】コネクタ本体の一部を取り去った状態でスパイクを見えるようにしたコネクタの側面図である。
【図10】コネクタから空気フィルタを外し、フィルタ取付部の一部を破断して内部を示す、コネクタの側面図である。
【図11】第2経腸フィードセットの概略図である。
【図12】滑動シールコネクタを示す図である。
【図13】第3経腸フィードセットの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が内部を流れるようになされるとともにポンプユニットが係合されるようになされたチューブ;
前記チューブに直接連通するバルブ機構であって前記ポンプユニットが係合するようになされたバルブ機構;及び
前記ポンプユニットによる投与フィードセットの機能上の構成を識別することを可能にするためのフィードセットインジケータ;
を備えた経腸フィードセットにおいて、
前記チューブは、前記バルブ機構の上流側の少なくとも二つの入口チューブとその下流側の単一の出口チューブを備え、前記入口チューブはそれぞれ、前記チューブをその接続端にて流体源に接続するためのコネクタを含み、前記コネクタはそれぞれ類似の形状を有するとともにそれぞれのコネクタをどの流体源に取り付けるべきかをユーザに指し示すために視覚的に区別可能であるように構成されたことを特徴とする経腸フィードセット。
【請求項2】
請求項1に記載のフィードセットにおいて、
前記コネクタのそれぞれは、
前記容器の出口を受け入れるキャビティを画成する内面と、外面と、を有する本体;
前記本体内に画成されるとともに、前記コネクタが前記容器に受け入れられたときに前記キャビティに流体連通する第1端部と前記容器と前記経腸フィードチューブとを流体接続するために前記経腸フィードチューブへ接続される第2端部とを有する液体通路;
前記本体と一体に形成されるとともに、前記容器の出口が前記キャビティ内に受け入れられているときに前記容器の出口を覆う穿孔可能なシールに穿孔するスパイクであって前記キャビティ内に突出する自由端部を有するスパイク;及び
前記コネクタが前記容器へ取り付けられたときに前記コネクタ外側から前記容器内に空気を導入する空気通路であって前記スパイクを通って前記本体の外面まで延びる空気通路;を備え、
前記本体は、前記液体通路のいずれの部分を画成する構造及び前記容器の前記穿孔可能シールを穿孔する構造において制約を受けない、
フィードセット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のフィードセットにおいて、
前記本体の前記内面は上面部を含み、前記液体通路は前記上面部と略面一な開口部を有し、更に、前記液体通路のいずれの部分も前記キャビティ内に延びていないフィードセット。
【請求項4】
請求項2に記載のフィードセットであって、更に、
空気フィルタ;及び
前記空気フィルタを前記本体へ接続するためのフィルタマウント部であって前記空気通路に流体連通するように前記本体の外面に配設されたフィルタマウント部;
を備えたフィードセット。
【請求項5】
請求項2に記載のフィードセットにおいて、
前記本体は円筒状の下部と同下部から突出する円筒状の上部とを有し、
前記内面は前記下部の位置において内側に突出するとともに、ねじが設けられ且つ相対的に径が大きい出口を有する容器へねじ固定するためのねじ、を有し、
前記内面は前記上部の位置において相対的に径が小さい出口を有する容器へスナップ嵌合するようになされている、
フィードセット。
【請求項6】
請求項2に記載のフィードセットにおいて、
前記スパイクは略平坦な底面を有し、
前記空気通路は前記平坦な底面の位置にて前記キャビティ内に開口する、
フィードセット。
【請求項7】
請求項2に記載のフィードセットにおいて、
前記スパイクは、第1及び第2の対向する広い側面並びに第1及び第2の対向する狭い側面を有し、前記第2の狭い側面は前記第2の広い側面から前記第1の広い側面まで傾斜することにより前記第2の狭い側面が前記第1の広い側面と交差する部分にてカッティングエッジが形成され、前記第2の狭い側面は前記スパイクの自由端部に向かって先細りすることにより前記第2の狭い側面が前記第2の広い側面と交差する部分にて折り曲げ縁部が形成される、
フィードセット。
【請求項8】
請求項1に記載のフィードセットにおいて、
前記コネクタのそれぞれは、
前記コネクタを流体容器へ取り付けるための内側にねじを設けた本体と、
前記内側にねじを設けた本体内に配置され且つシャフトシールに沿って滑動可能となるように本体部材へ取り付けられるスパイク部材と、
を備えるフィードセット。
【請求項9】
経腸フィードセットであって:
フラッシュ流体を内部に保持するフラッシュ容器へ結合されるようになされたフラッシュコネクタであって第1コネクタ本体と同第1コネクタ本体内に画成される第1流体通路とを備えるフラッシュコネクタであり、前記第1流体通路は前記フラッシュコネクタが前記フラッシュ容器へ結合されると前記フラッシュ容器に流体連通し、前記第1コネクタ本体は前記フラッシュ容器内の穿孔可能シールに穿孔するためのスパイクであって外側に延びる第1スパイクと前記第1コネクタ本体内に画成される第1空気通路とを備え、前記第1空気通路は前記フラッシュ容器に空気を導入するために前記フラッシュ容器に流体連通するように結合される、フラッシュコネクタ;
前記フラッシュ容器からのフラッシュ流体の流れを受けるためのチューブであって前記第1流体通路に流体連通するように結合されるフラッシュチューブ;
経腸フィード流体を内部に保持するフィード容器へ結合するようになされるコネクタであって第2コネクタ本体と同第2コネクタ本体内に画成される第2流体通路とを備えるフィードコネクタであり、前記第2流体通路は前記フィードコネクタが前記フィード容器へ結合されると前記フィード容器に流体連通し、前記第2コネクタ本体は前記フィード容器内の穿孔可能シールに穿孔するためのスパイクであって外側に延びる第2スパイクと前記第2コネクタ本体内に画成される第2空気通路とを備え、前記第2空気通路は前記フィード容器内に空気を導入するために前記フィード容器に流体連通するように結合される、フィードコネクタ;
前記フィード容器からの経腸フィード流体の流れを受けるためのチューブであって前記第2流体通路に流体連通するように結合されるフィードチューブ;及び
前記フィードチューブ及び前記フラッシュチューブのそれぞれに流体連通するように結合される第1及び第2の入口と、バルブ出口と、を有するバルブであって、同バルブ出口を通る流れを許容するか遮断するかを選択して動作可能であるバルブ;
を備える経腸フィードセット。
【請求項10】
請求項9に記載のセットにおいて、
前記第1コネクタ本体及び前記第2コネクタ本体の少なくとも一方は、キャビティと、ベースと、前記ベースから上方に向けて延び且つ前記キャビティ内へ延びる中空ステムと、を含み、前記ステムは同ステムを通る前記空気通路を有する、
セット。
【請求項11】
経腸フィードセットであって:
フラッシュ流体を内部に保持するようになされた可撓性のフラッシュバッグ;
前記可撓性のフラッシュバッグからの前記フラッシュ流体の流れを受けるためのチューブであって前記可撓性のフラッシュバッグに流体連通するように結合されるフラッシュチューブ;
経腸フィード流体を内部に保持するフィード容器へ結合するようになされるフィードコネクタであって、前記フィードコネクタはコネクタ本体と同コネクタ本体内に画成される流体通路とを備え、前記流体通路は前記フィードコネクタが前記フィード容器へ結合されると前記フィード容器に流体連通し、前記コネクタ本体は前記フィード容器内の穿孔可能シールを穿孔するためのスパイクであって外側に延びるスパイクと前記コネクタ本体内に画成される空気通路とを備え、前記空気通路は前記フィード容器へ空気を導入するために前記フィード容器に流体連通するように結合される、フィードコネクタ;
前記フィード容器からの経腸フィード流体の流れを受けるチューブであって前記フィードコネクタの流体通路に流体連通するように結合されるフィードチューブ;及び、
前記フィードチューブ及び前記フラッシュチューブそれぞれに流体連通するように結合される第1及び第2の入口と、バルブ出口と、を有するバルブであって、同バルブ出口を通る流れを許容するか遮断するかを選択して動作可能であるバルブ;
を備える経腸フィードセット。
【請求項12】
請求項11に記載のセットにおいて、
前記コネクタ本体は、キャビティと、ベースと、前記ベースから上方に向けて延び且つ前記キャビティ内へ延びる中空ステムとを含み、前記ステムは同ステムを通る前記空気通路を有する、
セット。
【請求項13】
請求項12に記載のセットにおいて、
前記ステムは、前記コネクタ本体の内面に沿って前記スパイクから離間している、
セット。
【請求項14】
請求項12に記載のセットにおいて、
前記スパイクは、前記液体通路に隣接する前記ベースに沿って配置され、前記ステムから離れている、
セット。
【請求項15】
請求項12に記載のセットにおいて、
前記ステムは、前記キャビティ内に配置され且つフィルタを受け入れる外側端部を有するセット。
【請求項16】
請求項12に記載のセットにおいて、
前記コネクタ本体は前記対応する容器へ接続されるようになされた接続部分を含み、前記液体通路は前記ベースを通って延びるとともに前記キャビティから流体を受け取るための入口を備え、前記ステムは前記ベースへ結合された一端から前記キャビティ内に配置された自由端部まで前記接続部分に向かって延び、前記ステムの自由端部は前記液体通路入口より前記接続部分に近接している、
セット。
【請求項17】
請求項11に記載のセットにおいて、
前記フィードコネクタは、前記フィード容器へねじで接続するように構成されたセット。
【請求項18】
請求項11に記載のセットであって、
前記フィード容器を更に備え、前記フィード容器は概ね固い容器を備える、
セット。
【請求項19】
請求項11に記載のセットであって、
前記フィード容器を更に備え、前記フィード容器は概ね可撓性のバッグを備える、
セット。
【請求項20】
請求項11に記載のセットであって、
前記バルブ出口に流体連通するように結合されるポンプチューブを更に備え、前記ポンプチューブは同ポンプチューブを通じて前記バルブから受け取るポンプ流体に作用するようになされている、
セット。
【請求項21】
経腸フィードセットであって:
フラッシュ流体を内部に保持するフラッシュ容器に流体連通して結合されるように構成されるフラッシュアダプタであって、第1アダプタ本体と、第1スパイク部材と、第1ばねと、第1カラー部材と、第1滑動シャフトシールと、を備えたフラッシュアダプタであり、前記第1アダプタ本体は第1環状フランジを有し、前記第1スパイク部材は前記第1アダプタ本体に結合されるとともに第1チューブアダプタを含み、前記第1ばねは前記第1スパイク部材に対してばね力を加えるために前記第1アダプタ本体内部に配設され、前記第1カラー部材は前記第1環状フランジを強固に係合するよう構成された第1環状溝を含み、前記第1滑動シャフトシールは前記第1アダプタ本体内部に少なくとも部分的に配設されるとともに前記第1スパイク部材と流体密となるように滑動して係合するように構成される、フラッシュアダプタ;
前記フラッシュ容器からの前記フラッシュ流体の流れを受けるためのチューブであって前記第1チューブアダプタに流体連通するように結合されるフラッシュチューブ;
経腸フィード流体を内部に保持するフィード容器に結合して流体連通するように構成されるフィードアダプタであって、第2アダプタ本体と、第2スパイク部材と、第2ばねと、第2カラー部材と、第2滑動シャフトシールとを備えたフィードアダプタであり、前記第2アダプタ本体は第2環状フランジを有し、前記第2スパイク部材は前記第2アダプタ本体に結合されるとともに第2チューブアダプタを含み、前記第2ばねは前記第2スパイク部材に対してばね力を加えるために前記第2アダプタ本体内部に配設され、前記第2カラー部材は前記第2環状フランジを強固に係合するように構成される第2環状溝を含み、前記第2滑動シャフトシールは前記第2アダプタ本体内部に少なくとも部分的に配設されるとともに前記第2スパイク部材と流体密となるように滑動して係合するように構成される、フィードアダプタ;
前記フィード容器からの前記経腸フィード流体の流れを受けるためのチューブであって前記第2チューブアダプタに流体連通するように結合されるフィードチューブ;及び
前記フィードチューブ及び前記フラッシュチューブそれぞれに流体連通するように結合される第1及び第2の入口と、バルブ出口と、を有するバルブであって、同バルブ出口を通る流れを許容するか遮断するかを選択して動作可能であるバルブ;
を備える経腸フィードセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−149123(P2008−149123A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−297756(P2007−297756)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(507132673)コヴィディーン アーゲー (12)
【Fターム(参考)】