経路作成システム、経路作成方法及びプログラム
【課題】適切な経路を作成することができる経路作成装置を提供する。
【解決手段】本発明の位置実施形態の経路作成システムは、空中画像データを解析して、空中画像内の領域の土地状況を特定する解析部1313、1314と、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納する記憶部120と、上記解析部の解析結果及び上記通行コスト情報を参照して始点から終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出結果に基づいて上記始点から上記終点までの利用経路候補を決定する経路探索部1315とを含む。
【解決手段】本発明の位置実施形態の経路作成システムは、空中画像データを解析して、空中画像内の領域の土地状況を特定する解析部1313、1314と、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納する記憶部120と、上記解析部の解析結果及び上記通行コスト情報を参照して始点から終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出結果に基づいて上記始点から上記終点までの利用経路候補を決定する経路探索部1315とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路作成システム、経路作成方法及び経路作成を計算機に実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステムのように、目的地を設定すると、現在の位置を把握し、最適な走行経路を選択し提示する技術がある。さらに、道路地図の情報が更新されていないなど地図が現状に即していない状況でも、実際に通行した車両等の移動履歴から道路を推測する技術がある。
【0003】
下記特許文献1に記載されている技術は、保有道路データと走行データを比較し、非保有道路データを収集する。また、空中画像から道路形状を抽出し、道路ネットワークとして道路地図に反映させる技術がある。下記特許文献2に記載されている技術は、カラー画像から道路該当領域を抽出し、道路ベクトルを生成する。
【0004】
一方、空中画像からは、道路形状の抽出だけでなく、広範囲な土地の状況を把握することができる。下記特許文献3には、衛星画像のような空中画像から土地被覆状態を抽出し、生態環境特性を検出して土地利用計画を立てる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−119647号公報
【特許文献2】特開2004−246554号公報
【特許文献3】特開2000−89664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
道路が整備されている場合は、道路地図に実際の道路が反映されていなくとも、運転者が実際の道路状況を判断して、車両を走行させることが可能である。しかし、道路が未整備な地域や、災害により通行不可能となった地域では、運転者は、そこをどのように通行することができるかを示す情報を得ることができず、通行できない可能性がある。また、上記のような状況では、現況の把握が、地上観測では困難な可能性がある。本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、周辺状況に応じて適切な経路を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、始点と終点との間における経路を作成する経路作成システムであって、空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定する解析部と、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納する記憶部と、上記解析部の解析結果及び上記通行コスト情報を使用して上記始点から上記終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出結果に基づいて上記始点から上記終点までの利用経路候補を決定する経路探索部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、空中画像データから土地状況を解析し、現況に即した適切な経路を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1において、経路作成装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図2】実施形態1において、衛星画像データの構成及びデータの例を示す図である。
【図3】実施形態1において、経路作成装置が始点から終点までの経路を探索する方法を示す概念図である。
【図4】実施形態1において、処理エンジン内に含まれているプログラムモジュールの詳細を示す図である。
【図5】実施形態1において、経路作成装置が経路を作成する処理を説明する処理フローである。
【図6】実施形態2において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【図7】実施形態3において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【図8】実施形態4において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【図9】実施形態5において、経路作成装置の経路を作成する処理を説明する概念図である。
【図10】実施形態6において、経路作成装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図11】実施形態6において、車両データの構成とデータの例を示す図である。
【図12】実施形態1において、経路作成装置が衛星画像データを解析し、分類図を作成する様子を示す概念図である。
【図13】実施形態1において、設定データの構成とデータの例を示す図である。
【図14】実施形態1において、設定データの構成とデータの例を示す図である。
【図15】実施形態5において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明を実施するための形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
本実施形態の経路作成装置は、空中画像を解析して得られた土地状況に応じて、始点から終点(目的地)までの経路探索を行う。空中画像は、衛星や航空機などの空中のプラットフォームから撮影された1又は複数スペクトルの画像である。空中画像を解析することで、地図情報若しくは道路が存在しない地域又は地図情報が現在の土地状況と一致していない土地において、適切な経路候補を決定することができる。
【0012】
本実施形態の経路作成装置は、例えば、砂漠地域での植林など、始点から終点までの道路が存在しない土地における経路探索や、道路が存在していても障害物があり道路が通行できない土地での経路探索に有効である。
【0013】
土地状況は、対象としている領域の土地の状況である。土地状況は、地形、土地被覆及び土地利用の状況を含む上位概念語であり、これらの全て又は一部により特定される。地形は、地表(地面及び人工物を含む)の高低及び起伏の形であり、地形データは標高や建物高さのデータを含む。
【0014】
土地被覆は地表面の物理状態を表す。各領域の土地被覆は、予め定められた種類、例えば、コンクリート、アスファルト、高木密林、低木密林、高木疎林、低木疎林、草地、水面、土、砂利などの種類に分類される。さらに、土地被覆は、土地表面の粗さや硬さの分類(値)も含む。このように、土地被覆は、土地表面の状況を示す。土地利用は、人による土地の利用方法又は人にとっての土地の意味を示すものであり、各土地(領域)の土地利用状況は、道路、農地、公園などの予め定められた特定の種類に分類される。
【0015】
空中画像の解析により、地形状況及び土地被覆の情報を得ることができる。土地利用状況は、地図データから得ることができ、地形状況及び土地被覆から、一部の領域の土地利用状況の情報を得ることもできる。地図データは、土地利用の情報に加え、地形及び/又は土地被覆の情報を含むことができる。
【0016】
経路作成装置は、例えば、地図データを参照して空中画像の解析に反映することができる。又は、経路作成装置は、空中画像解析を地図データにより補強することができる。地図作成時から土地状況が変化していない又は変化が小さい場合、対象領域での正確な地図データが存在している場合、地図データの利用は効果的である。
【0017】
本実施形態の経路作成装置は、空中画像を解析し、さらに、必要により地図データをも参照して、対象領域の土地状況を推定する。経路作成装置は、始点から終点までの適切な経路の候補を推定した土地状況に基づいて決定し、ユーザに提示する。好ましくは、経路作成装置は、空中画像から地形状況及び土地被覆を推定するが、その一方のみを推定又は参照して経路探索を行ってもよい。経路作成装置は、地図データを利用できる場合にそれを参照してもよいし、地図データを使用しなくともよい。
【0018】
本実施形態の経路探索装置は、経路探索において、始点から終点までの通行コスト(トータル通行コスト)を算出して、適切な経路候補を決定する。経路探索装置は、土地状況と通行コストを関連づけた定義情報、具体的には、土地状況の各種類と単位距離当たりの通行コストを示す通行重みとを関連づけた定義情報を保持する。好ましくは、通行重みは、車種毎に定義されている。
【0019】
経路探索装置は、始点から終点までの経路において通過する各領域の土地状況を特定し、それぞれの領域の通過における通過コストを、その領域の通行距離及び通行重みの積により算出する。全ての通過領域の通過コストを加算した値が、その経路のトータル通行コストである。このトータル通行コストが低い経路が、適切な経路候補である。
【0020】
以下において、いくつかの実施形態を説明する。実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0021】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る経路作成装置100の構成を模式的に示す機能ブロック図である。経路作成装置100は、プロセッサ110、二次記憶装置120、メモリ130、ディスプレイ140、プリンタ150、キーボード160、マウス170を備える。また、経路作成装置100は、図示しないネットワークインターフェースを備え、外部のセンサからネットワークを介してセンサデータを受け取ることができる。
【0022】
プロセッサ110は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの演算装置であり、メモリ130が格納している各プログラムを実行する。また、プロセッサ110は、経路作成装置100の各機能部を制御する。以下では記載の便宜上、プログラムを動作主体として説明するが、実際にこれらプログラムを実行するのはプロセッサ110である。
【0023】
二次記憶装置120は、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置である。図1の例において、二次記憶装置120は、衛星画像データ121、地図データ122、設定データ123を格納する。これらデータの詳細については後述する。二次記憶装置120は、ネットワークを介して接続された外部の記憶装置でもよい。
【0024】
メモリ130は主記憶装置であり、プロセッサ110が動作するために必要なデータ(プログラムを含む)を保持する記憶装置である。図1の例において、メモリ130は、処理エンジン131、処理エンジン管理部132、演算情報管理部133、設定条件管理部134を格納する。これらはプログラム(モジュールを含む)である。説明の便宜上、プログラムはメモリ130内に示されているが、典型的には、プログラムは二次記憶装置120の記憶領域に格納されており、そこからメモリ130の記憶領域にロードされ、プロセッサ110により実行される。
【0025】
処理エンジン131は、経路作成装置100に入力された、又は保持されたデータを処理する手順を記述したプログラムである。詳細は図5を参照して改めて説明する。処理エンジン管理部132は、処理エンジン131内に含まれているプログラムモジュールに対して指示を出すプログラムである。
【0026】
演算情報管理部133は、処理エンジン131の処理結果を管理するプログラムである。設定条件管理部134は、経路作成装置100においてユーザが設定した条件その他の入力情報を管理するプログラムである。
【0027】
プロセッサ110は、メモリ130に記憶されているプログラムを実行することによって所定の機能を実現する。メモリ130は、プロセッサ110によって実行されるプログラム、及び、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。プログラムはプロセッサ110によって実行されることで、定められた処理を記憶装置及び通信ポート(通信デバイス)を用いながら行う。従って、本実施形態及び他の実施形態においてプログラムを主語とする説明は、プロセッサ110を主語とした説明でもよい。若しくは、プログラムが実行する処理は、そのプログラムが動作する計算機及び計算機システムが行う処理である。
【0028】
このように、プロセッサ110は、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部として動作する。本例において、プロセッサは、上記プログラムに従って動作することで、処理エンジン、処理エンジン管理部、演算情報管理部、設定条件管理部として機能する。
【0029】
ディスプレイ140は、処理エンジン131の処理結果などを画面表示する表示装置である。プリンタ150は、処理エンジン131の処理結果などを印刷する装置である。これらは、経路作成装置100の処理結果を出力する出力装置としての役割を有する。キーボード160とマウス170は、経路作成装置100のユーザが経路作成装置100に対して操作指示を与える入力装置である。経路作成装置100は、これらと異なる出力装置及び入力装置を含むことができる。
【0030】
図2は、衛星画像データ121の構成及びデータの例を示す図である。衛星等のプラットフォームに搭載されたセンサは、観測対象である地表面等を計測し、計測条件を記述したメタデータ及び計測データを、記録媒体に記録する。経路作成装置100は、その記録データを、ネットワークを介して受け取り、二次記憶装置120に衛星画像データ121として蓄積する。
【0031】
衛星画像データ121は、センサ名、撮影日、撮影場所の位置、データサイズ等の計測状況及び計測データフォーマット情報を保持するメタデータ1211並びに計測データ1212を保持する、データフィールドを有する。ここでは例として、同一データフィールドにメタデータと計測データを示したが、メタデータと計測データは別データフィールド又は別ファイルとして保持してもよい。
【0032】
本例は、空中画像の例として、衛星に搭載されたセンサにより撮影された衛星画像データを挙げているが、経路作成装置100は、他のプラットフォーム、例えば、航空機やヘリコプタ等に搭載されたセンサ又はカメラにより撮影された空中画像を利用することもできる。
【0033】
地図データ122は図示しないが、一般に利用される地図データは、ノードとリンクからなり、位置情報を保持するデータ群である。また、地図データは、各種属性データを含んでいる。経路作成装置100は、衛星画像データ121と地図データ122とが保有する位置情報を利用して、これらのデータを関連付ける。
【0034】
地図データ122は、道路データを保持することができる。この他、地図データ122は、地形を表す標高データや、土地利用を表す現況図も含むことができる。上述のように、地形は、地表(地面及び人工物を含む)の高低及び起伏の形であり、標高や建物高さのデータを含む。土地利用状況は人によって利用される土地の状況である。つまり、その領域(土地)が、人にとってどのような意味があるかを示す。例えば、各土地(領域)の土地利用状況は、道路、農地、公園、草原、湖、川などの予め定められた特定の種類に分類される。
【0035】
図13及び図14は、設定データ123の構成とデータの例を示す図である。設定データ123には、土地状況に応じた通行重みが記載されている。通行重みは、車両の通行の困難さを表す指標であり、単位距離当たりの値である。本例において、車両にとって通行が困難であるほど、通行重みが大きくなっている。特定経路の通行コストは、その経路における各部分の通行重みに各部分の距離をかけた値の総和である。経路の通行コストが低いほど、車両が目的地まで行きやすい、つまり、目的地に至るまでの困難性が低いことを意味する。
【0036】
図13の定義テーブルの例において、通行重みと関連付けられている土地状況は、土地利用状況と土地被覆とによって特定されている。土地利用状況は、地図データ122から得ることができる。図13の例は、道路情報のみを使用している。つまり、図13の定義テーブルにおけるエントリは、道路である領域のエントリと道路でない領域のエントリとに分類される。
【0037】
さらに、各エントリは、異なる土地被覆の種類が割り当てられている。上述のように、土地被覆は地表面の物理状態を表す。対象領域の土地被覆は、衛星画像データ121を解析することで特定することができる。図13の例においては、一つのエントリが、土地利用と土地被覆のデータを含むが、土地利用の情報を使用しなくともよい。
【0038】
例えば、土地利用状況が道路であった場合、アスファルトで舗装された道路、砂利、土が出ている道路など、表面状態が異なる場合がある。各状態(種類)に応じて、通行重みを定義する。舗装道路は通行しやすく、砂利では通行しにくい、といったような状況に応じ、通行重みを定義する。ここでは、土地被覆は、この他、地表面の粗さや硬さといった種類を含むことができる。
【0039】
同様に、図14は、地形に応じた通行重みが記載されている。例えば、地形のうち、斜面の角度である斜度をキーとして通行重みを定義する。例えば、斜面が急な場合、急斜面は通行しにくいため通行重みを高くし、平坦な場合には通行重みを低くする。
【0040】
経路作成装置100は、経路上の領域の土地状況において、図13及び図14に定義されている土地状況の各要素を特定し、それらに対応した通行重みのそれぞれに当該領域における距離を乗算した値を算出する。経路作成装置100は、例えば、二つの通行コスト値において、大きい値をその領域の通行コストとして選択する。経路作成装置100は、二つの通行重みを統合した値、例えば、それらを乗算した値を使用して、該当領域の通行コストを算出してもよい。本例では、乗算した値に係数をかけて使用する。
【0041】
図13及び図14の例において、土地被覆と地形とを別々に通行重みが割り当てられているが、通行重みは、これらのペアに割り当てられていてもよい。つまり、一つのエントリに、土地被覆及び地形が含まれ、そのエントリにおいて一つの通行重みが定義される。通行重み(通行コスト)と土地状況との関係は、上述のように、予めリスト化されていなくともよい。例えば、土地状況と通行重みとを関連付ける情報として、連続値を持つ斜度と通行重みとの関係を定義する関数を使用してもよい。
【0042】
経路作成装置100は、さらに、特定位置の通行不可能を示すデータを使用することができる。例えば、経路上に除去不能な障害が存在する場合、その経路は通行不能であり、経路候補から除外される。経路作成装置100は、衛星画像データ121を解析することで、障害物を特定することができる。障害物の特定方法については後述する。
【0043】
好ましい構成において、経路作成装置100は、ユーザから、通行する土地状況の条件(指定条件)を受け付ける。経路作成装置100は、ユーザに設定された指定条件に応じて、経路を探索する。具体的には、ユーザは、通過可能な土地状況を指定する。経路作成装置100は、指定された土地状況の地域からなる経路を探索する。つまり、指定された土地状況と異なる土地状況の地域を避けて経路探索を行う。避けるべき土地状況を指定することは、通過可能な土地状況を指定することと同じである。
【0044】
例えば、ユーザは、通行したい土地被覆の種類や斜度を選択し、選択されなかった土地被覆や斜度を棄却するよう、指定する。経路作成装置100は、ユーザから受け付けた通行条件を、二次記憶装置120の設定データ123内に格納する。経路作成装置100は、経路探索において設定データ123を参照し、設定されている通行条件に従い、通行不可な領域を避けつつ、通行コストが低い候補経路を検索する。
【0045】
次に、経路作成装置100の動作について説明する。図3は、経路作成装置100が、ユーザにより指定された始点301と終点302とを通る経路を作成する様子を示す概念図である。道路が途切れており、指定した始点301と終点302の間には道路が存在しない状況であるとする。
【0046】
ユーザは、終点302までの土地状況を把握することが困難であり、例えば、始点301から終点302までの直線的な最短経路を選択した場合、水域など通行不可能な箇所に遭遇する可能性がある。そのため、予め現在の土地状況を把握し、通行に適する土地被覆や地形の情報を得ることが必要であるが、現状把握は難しい場合がある。
【0047】
そこで本実施形態は、対象領域を撮影した衛星画像データ121を解析し、現在の土地状況を把握する。衛星画像データ121は土地の状況を撮影したデータを含み、経路作成装置100は、例えば、水域や傾斜といった土地状況の情報を得ることが可能である。経路作成装置100は、上記情報を活用し、水域や森林域を避け、傾斜が緩やかな経路を作成する、といった、設定データ123が示す通行条件に従って、現在の土地状況に即した最適な経路を作成することができる。
【0048】
図4は、処理エンジン131に含まれているプログラムモジュールの詳細を示す図である。処理エンジン131は、データ読み出し部1311、始点・終点設定部1312、画像解析部1313、地形解析部1314、経路探索部1315、出力部1316を含む。これらは、処理エンジン131に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。
【0049】
データ読み出し部1311は、二次記憶装置120から対象領域の衛星画像データ121と地図データ122を読み出す。始点・終点設定部1312は、ユーザにより指定された始点と終点を、衛星画像データ121上の特定位置に、位置情報を用いて対応づける。
【0050】
画像解析部1313は、データ読み出し部1311が読み出した衛星画像データ121を解析する。例えば、衛星に搭載された各波長のセンサで観測した、衛星画像データ121が保有する画素毎の観測スペクトルデータを、予め設定された手法で分類することで、水域や森林域、裸地といった土地被覆図を作成すること可能である。
【0051】
図12は、衛星画像データ121から土地被覆図を作成する概念図である。スペクトル数Nのセンサで衛星画像が取得された場合、各スペクトルに対応する衛星画像N枚が得られる。画像解析部1313は、各画素に対し、得られたスペクトルデータについて各スペクトルを特徴軸とする特徴空間上にプロットし、各クラスタに分類する。例えば、水域、樹木、道路などである。
【0052】
特徴空間上でのクラスタ分布と土地被覆の種類とが、予め対応づけられており、画像解析部1313は、それらを対応付ける情報を参照することで、該当画素のスペクトルがどの土地被覆クラスに含まれるか決定することができる。これにより、画像解析部1313は、衛星画像で撮影された範囲について土地被覆分類を行い、土地被覆図を作成することができる。
【0053】
画像解析部1313が、土地状況特定のための画像解析で使用する特徴ベクトルは予め定義されている。画像解析部1313は、特徴空間を規定する特徴量(特徴ベクトル)として、上述のようにスペクトルデータだけでなく、空中画像が保有する色情報を利用してもよいし、画素間の画素値変化を表すテクスチャ情報を利用してもよい。
【0054】
画像解析部1313は、画素毎に分類処理を行ってもよいし、特定の条件を満たす連結画素を領域として扱い、領域毎に分類処理を行ってもよい。画像解析による土地状況の認識のための様々な技術が広く知られており、ここでのこれ以上の詳細な説明を省略する。画像解析部1313は、設計により選択された適切な手法を使用する。
【0055】
地形解析部1314は、データ読み出し部1311が読み出した衛星画像データ121から、地表の高さや建物高さといった地形情報を抽出する。例えば、地形解析部1314は、ステレオ視したペア画像を用いて地表の高さを抽出することができる。地形解析部1314は、航空機等に搭載されたレーザー装置で得られる高度情報から、面的な地形情報を抽出してもよい。地形解析部1314は、さらに、データ読み出し部1311が読み出した地図データ122に含まれる標高情報を利用して地形情報を取得してもよいし、標高地図を利用してもよい。
【0056】
地形解析部1314は、上述のように抽出した標高データから、斜面の斜度を計算することができる。地形解析部1314は、斜度を、近傍の標高データから標高差を計算し、単位面積あたりの傾斜として求めることができる。画像解析による土地被覆の特定と同様に、地形解析のための多くの手法が広く知られている。そのため、本明細書では、これ以上の詳細な説明を省略する。地形解析部1314は、設計により選択された適切な手法を使用する。
【0057】
経路探索部1315は、画像解析部1313で作成した土地表面状況(土地被覆)のデータと、地形解析部1314が作成した地形データとを用いて、最適な通行経路を探索する。経路探索部1315は、設定条件管理部134が管理している予め設定されたユーザ指定条件を満たす土地状況の領域を通り、かつ通行コストが最も低い経路を探索する。
【0058】
例えばユーザは、通行条件として、急斜面や水域など経路として除外すべき条件を指定してもよい。その場合、経路探索部1315は、画像解析部1313が解析した土地被覆分類図から、水域を経路探索範囲から除外する。また、経路探索部1315は、地形解析部1314が解析した斜面の斜度情報から、急斜面として設定した角度以上の範囲については、経路探索範囲から除外する。
【0059】
一つの地点又は領域に対して、複数の条件が指定されている場合は、経路探索部1315は、これらの条件を統合する。経路探索部1315は、例えば、統合にOR計算を使用することができる。このほか、経路探索部1315は、条件に合致する割合を数値で表現し、それらの乗算値と閾値とを比較してその地点又は領域が条件に合致するか否かを判定してもよい。
【0060】
経路探索部1315は、ユーザにより指定された対象外領域を除いた後、残りの領域における経路の通行コストを算出して、適切な経路を探索する。最もトータル通行コストが低い経路が、最適経路である。上述のように、経路探索部1315は、通行コストを、画像解析部1313の出力と、地形解析部1314の出力から計算できる。経路探索部1315は、予め設定された設定データ123を読み出し、画像解析部1313と地形解析部1314の出力結果に対応する通行重みを取得する。
【0061】
例えば、経路探索の一方法として、始点から終点までの最短距離を抽出する。最短距離での通行コストを計算し、経路候補の一つとする。次に、最短距離上で最も通行重みが大きい領域を抽出し、該当領域および該当領域の通行重みよりも重みが大きい領域を経路探索領域から除外する。除外した領域を通過せず、かつ最短距離の経路を探索する。探索した経路の通行コストを算出し、探索経路を経路候補の一つとする。同様に複数の経路候補を抽出していく。通行重みが大きい領域を除外すると経路が存在しない場合には、通行重みが大きい領域を最短で通過する経路を探索する。
【0062】
また、経路探索の一方法として、始点から終点を含む領域に複数のポイントを設定する。ポイント設定は、適切な間隔で格子状に設定してもよい。各ポイントを通過する経路をすべて抽出し、ポイント間の通行コストを算出する。各ポイントを通り、始点から終点までの通行コストが最も低くなる経路を最適経路候補として抽出する。また、通行コスト順に抽出した経路をソートし、通行コストが低い順に複数の経路を候補として抽出してもよい。
【0063】
候補として抽出した複数経路のうち、最も通行コストが低い経路を最適経路として提示する。また、抽出した全複数経路を提示してもよいし、複数経路のうち、通行コストが低い順に設定した経路数のみ提示してもよい。複数経路の提示は、各経路の通行コスト、距離もあわせて表示することにより、ユーザが経路を選択するための補助情報となる。
【0064】
例えば、経路探索部1315は、画像解析部1313の出力結果から、道路領域であり表面はアスファルトと判断された画素に対して、設定データ123から、通行重み0.1を取得する。同様に、経路探索部1315は、解析対象範囲の全ての画素に対する通行重みを取得する。また、地形解析部1314の出力結果から斜度を得られると、設定データ123を参照して、その斜度の通行重みを決定することができる。経路探索部1315は、各画素に割り当てられている距離とその通行重みとから、その画素の通行コストを算出することができる。
【0065】
同一地点において、画像解析部1313と地形解析部1314の出力結果から得られた通行重みが異なる場合、経路探索部1315は、最も高い通行重みの値を採用する。若しくは、経路探索部1315は、複数の通行コストを乗算して使用もよい。
【0066】
上記手順により、各領域又は画素における通行コストが算出され、二次記憶装置120に記憶される。経路探索部1315は、経路探索において、始点・終点設定部1312が設定した始点から終点までの複数の経路のトータル通行コストを算出する。経路探索部1315は、最もトータル通行コストが低い経路を探索する。経路探索部1315の探索結果は、トータル通行コストが最小の経路のみ若しくはそれに加えた他の経路候補を含むことができる。例えば、経路探索部1315は、トータル通行コストが最も低い経路から所定数の経路を、経路候補として選択する。
【0067】
出力部1316は、経路探索部1315が探索した経路を、ディスプレイ140の画面上に表示又はプリンタ150に出力する。複数経路を表示する場合、出力部1316は、各経路の距離及びトータル通行コストの値も同時に出力する。
【0068】
図5は、経路作成装置100が衛星画像データ121及び地図データ122から、最適な経路を探索する処理を説明する処理フローである。以下、図5のフローチャートについて説明する。S500において、経路作成装置100のユーザは、キーボード160やマウス170などの入力装置を用いて、衛星画像データ121と地図データ122から経路作成するように経路作成装置100に指示する。
【0069】
プロセッサ110はその指示を受け取り、本処理フローを開始する。経路作成装置100は、先に衛星画像データ121や地図データ122を取得し、二次記憶装置120に格納済みであるものとする。まず、S501において、データ読み出し部1311は、二次記憶装置120から衛星画像データ121を読み出し、衛星画像データ121のメタデータに含まれる位置情報を取得する。
【0070】
S502において、データ読み出し部1311は、二次記憶装置120から地図データ122を読み出す。データ読み出し部1311は、ステップS501で読み出した衛星画像データ121と地図データ122を、それぞれ取得した位置情報を利用してリンクする。出力部1316は、リンクした衛星画像データ121と地図データ122を、ディスプレイ140に出力する。出力部1316は、衛星画像データ121又は地図データ122のみ表示してもよいし、複数のデータを重畳して表示してもよし、別ウィンドウ上にそれぞれデータを表示してもよい。
【0071】
S503において、経路作成装置100のユーザは、キーボード160などを用いて、表示されている衛星画像データ121又は地図データ122上で、始点と終点を設定する。始点・終点設定部1312は、ユーザが指定した始点と終点の位置情報を取得し、メモリ130の設定条件管理部134に記憶する。
【0072】
S504において、画像解析部1313は、衛星画像データ121のスペクトル情報を利用し、画像全体に対して土地被覆の分類処理を行う。画像解析部1313は、始点・終点設定部1312が設定した始点と終点の位置から、始点及び終点が含まれる任意の形状の領域のみ、分類処理を行うようにしてもよい。S505において、地形解析部1314は、衛星画像データ121から地形情報を抽出する。また、地形解析部1314は、地図データ122から地形情報を抽出してもよい。
【0073】
S506において、経路探索部1315は、設定条件管理部134が管理している設定データ123が示す経路探索条件を、画像解析部1313及び地形解析部1314が解析した結果に適用する。例えば、経路探索部1315は、地形データから得られる斜面の斜度情報を用いて、急斜面は通行しない等の条件を適用する。また、経路探索部1315は、画像解析結果から水域や建物領域を抽出し、該領域は通行しない等の条件を適用する。
【0074】
S507において、経路探索部1315は、上記経路探索条件を反映させた画像又は地図を利用し、始点・終点設定部1312が設定した始点から終点までの経路で、上記経路探索条件に適した領域を通る経路を、探索する。経路探索部1315は、経路探索において、各経路のトータル通過コストを算出する。
【0075】
トータル通行コストの算出方法は上述の通りであり、経路上の各画素又は各領域の通過重みを、設定データ123を参照して特定し、その通過重みと通過距離との乗算値を、通過コストとして得る。経路上の通過コストの総和が、その経路のトータル通過コストである。経路探索部1315は、候補経路として、トータル通行コストが他の経路よりも低い1又は複数の経路を抽出する。
【0076】
S508において、出力部1316は、上記ステップで探索された1又は複数の候補経路を、ディスプレイ140上に表示する。出力部1316は、経路を、衛星画像データ又は地図データ上に重畳して表示してもよい。また、プリンタ150に出力してもよい。
【0077】
以上のように、本実施形態1に係る経路作成装置100は、衛星画像データ121と地図データ122から、任意の目的地までの最適経路を作成し、その経路をディスプレイ140などでユーザに提示する。これにより、ユーザは道路がない場所でも、通行に適した経路を把握することができる。
【0078】
<実施形態2>
実施形態1は、衛星画像データ121や地図データ122を用いて、道路が存在していなくても、予め設定した始点と終点を通る最適な経路を作成することができる。一方、目的地が不明瞭な場合や目的とする領域が広い場合、ユーザが終点をどこにすべきか分からないことも考えられる。
【0079】
そこで実施形態2では、目的地である終点の候補地点を衛星画像データ121や地図データ122から抽出し、経路を鑑みて終点を決定する構成例を説明する。その他の構成は実施形態1と同様であるため、以下では差異点を中心に説明する。
【0080】
図6は、本実施形態2の経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成を示す図である。本実施形態2において、処理エンジン131は、実施形態1の図4で説明した構成に加え、設定入力部1317と対象領域抽出部1318を備える。設定入力部1317と対象領域抽出部1318は、他の機能部と同様に処理エンジン131内に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。
【0081】
設定入力部1317は、ユーザがキーボード160から入力した設定条件を受け取り、設定条件管理部134に渡す。設定条件は、目的地を定める条件及び経路探索条件を含む。ユーザは、ディスプレイ140に表示される設定条件からマウス170で条件を選択してもよい。
【0082】
ユーザは、ディスプレイ140に表示した衛星画像や地図上で、目的地を定める条件として、目的地が満たすべき土地状況の条件を入力する。ユーザは、条件として、目的領域を入力してもよい。また、ユーザは、経路探索条件として、通行不可能領域や通行すべき中間地点を入力してもよい。設定入力部1317は、ユーザがディスプレイ140上で入力した領域の位置情報を受け取り、設定条件管理部134に位置情報及び通行の可否を示す属性情報を渡す。
【0083】
対象領域抽出部1318は、設定条件管理部134が管理する条件に当てはまる地域(領域もしくは地点)を、衛星画像データ121及び地図データ122から抽出する。抽出地域は、目的地の候補である。地図データ122は使用しなくともよい。始点・終点設定部1312は、対象領域抽出部1318が抽出した領域もしくは地点から、終点の候補となる地点を選択する。
【0084】
具体的には、対象領域抽出部1318は、衛星画像データ121及び地図データ122から、各領域の土地状況を取得する。対象領域抽出部1318は、衛星画像データ121を解析して、必要により地図データ122を参照し、各領域もしくは地点の土地状況を特定する。土地状況の特定のための解析方法は、画像解析部1313及び地形解析部1314による解析方法と同様である。対象領域抽出部1318は、指定された条件についてのみ土地状況を特定すればよいが、画像解析部1313及び地形解析部1314と同じレベルの解析を行ってもよい。
【0085】
対象領域抽出部1318は、各領域の土地状況を参照し、設定条件管理部134が管理する目的地(対象領域)の土地状況の条件を満たす領域もしくは地点を探索し、それを抽出する。目的地の土地状況の条件は、土地被覆、地形及び土地利用の全て又は一部の要素により構成される。対象領域抽出部1318は、条件を満たす1又は複数の領域もしくは地点を抽出する。
【0086】
対象領域抽出部1318が衛星画像データ121と地図データ122から対象領域(目的地候補)を抽出する例として、植林に適した地域を抽出する例を以下に説明する。広大な砂漠地域を植林する場合、全面を一様に植林施工するのではなく、施工前に予め植林に適した領域を選択し、適した領域から順序だてて領域毎に植林を進めることがある。
【0087】
以下において、対象領域抽出部1318が、植林に適した領域を、衛星画像データ121と地図データ122から抽出する例を説明する。植林に適した領域としては、例えば過去からの土地状況の時系列変化から得られる砂漠化進行度が緩やかに進んでいる領域や、斜面の下部領域、土壌水分量が高い領域などがある。
【0088】
対象領域抽出部1318は、時系列の衛星画像データ121から、各衛星画像データの植生領域及び植生の種類を求め、その変化度合を計算することができる。例えば、対象領域抽出部1318は、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)と呼ばれる近赤外と赤領域のスペクトル情報を用いる植生指標を計算し、ある閾値以上の領域を植生領域として抽出すればよい。
【0089】
また、対象領域抽出部1318は、二次記憶装置120のデータベースに登録されている種別スペクトルと、衛星画像データ121から得られるスペクトルとを照合することで、植生の種類を求めることができる。
【0090】
対象領域抽出部1318は、これらの処理により、他領域と比べて比較的植生領域の後退がゆるやかな地域を抽出する。また、対象領域抽出部1318は、地形データから、斜面領域を抽出し、斜面の向きや斜度を抽出することができる。対象領域抽出部1318は、上記砂漠進行度や斜面の情報に対し、設定条件管理部134が管理する対象領域条件に合致する領域を選択する。これらの対象領域抽出処理により、対象となる植林に適した領域を抽出することができる。抽出する対象領域は単数でもよいし複数領域でもよい。
【0091】
以上のように、本実施形態2に係る経路作成装置100は、入力された設定条件に基づき、対象領域を衛星画像データ121と地図データ122から抽出することができる。これにより、最適な目的地を特定し、最適な目的地までの最適な経路をユーザに示すことができる。
【0092】
<実施形態3>
実施形態2では、目的地の候補(対象領域)を抽出する機能を追加した経路作成装置100の処理を説明した。複数の対象領域が存在する場合、どの領域を目的地とすべきか、又は複数の目的地をどの順でアクセスしたらよいか決定する場合が考えられる。そこで、本実施形態3では対象領域が複数存在する場合、その優先度を決定する処理について説明する。その他の構成は、実施形態1、2と同様であるため、以下では差異点を中心に説明する。
【0093】
図7は、本実施形態3に係る経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成図である。本実施形態3において、処理エンジン131は、実施形態1及び2で説明した構成に加え、優先度決定部1319を備える。図7は、図6に示す構成に優先度決定部1319を追加した例を示している。
【0094】
優先度決定部1319は、他の機能部と同様に処理エンジン131内に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。優先度決定部1319は、対象領域抽出部1318が出力した対象領域の土地状況の情報を受け取り、優先度決定処理を行う。優先度決定部1319は、画像解析部1313及び地形解析部1314の解析結果を取得して、それにより、優先度決定のために対象領域の土地状況を特定してもよい。優先度決定部1319が、画像データ121及び地図データ122を解析してもよい。
【0095】
土地状況と優先度との関係が予め定義されており、優先度決定部1319はこの定義情報を参照して、各対象領域の優先度を決定する。定義情報は設定条件管理部134により管理され、設定データ123内に格納することができる。定義情報は、ユーザにより設定される又はネットワークを介して外部から取得する又は予め設定データ123に設定登録されている。
【0096】
土地状況における土地被覆により優先度を決定する場合、土地被覆の各種類と優先度の値とが優先度定義情報において関連付けられる。この他、土地被覆の時間変化の情報と優先度を関連付けることもできる。例えば、植林の例において、裸地の優先度が高く、次いで草原、疎林となり、湿地や耕地などは優先度が低くなる。また、植生域の進行度や土壌の状態を優先度に関連づけてもよい。
【0097】
土地状況における地形により優先度を決定する場合、標高や斜度などの領域の高さに関する特性値と優先度が優先度定義情報において関連づけられる。例えば、植林の例において、急斜面は優先度が低く、平坦地は優先度が高い。優先度定義情報は、例えば、複数の斜度の範囲のそれぞれに対応する優先度を定義し、複数の標高の範囲のそれぞれに対応する優先度の値を定義する。この他、優先度定義情報は、利用状況の種類と優先度とを関連づけてもよい。
【0098】
優先度決定部1319は、対象領域の優先度を、その対象領域までの経路に基づいて決定することができる。優先度決定部1319は、対象領域まで経路のトータル通行コストによる優先度を決定する。経路のトータル通行コストは、経路探索部1315から得ることができる。例えば、対象領域への最も低いトータル通行コストを使用する。定義情報は、例えば、通行コストの値の範囲と対応する優先度の値を定義する。
【0099】
対象領域に複数の条件(例えば土地被覆の種類と斜度)の優先度を付与することができる場合、優先度決定部1319は、そのうち一つ又は複数の優先度から、その対象領域の優先度を決定する。例えば、優先度決定部1319は、ユーザが指定した単一条件の優先度の値を、その対象領域の優先度の値と決定する。若しくは、優先度決定部1319は、複数条件の優先度を足しわせて、対象領域の優先度の値として使用する。このとき、条件に重みをつけてもよい。対象領域に同一条件に対する複数の優先度の値を付与することができる場合、例えば、対象領域が土地被覆の複数種類を含む場合も同様である。
【0100】
優先度決定部1319は、優先度の決定において面積を使用してもよい。面積が広い程、優先度が高くなる。例えば、優先度定義情報から決定した優先度の値と面積との乗算値を使用する。対象領域に同一条件に対する複数の優先度の値を付与することができる場合、それら領域の面積と優先度との乗算値の総和から、その対象領域の優先度を決定する。
【0101】
以上のように、本実施形態3に係る経路作成装置100は、複数の目的地候補としての対地域が抽出された場合に、各地域に優先度を付けることができる。さらに対象領域に至るまでのトータル通行コストにより、経路を決定する。これにより、ユーザは土地状況に応じ、施工領域の優先度を得ることができ、さらに施工領域までの通行コストの低い経路を優先的に選択することができる。
【0102】
<実施形態4>
実施形態1〜3では、始点及び終点までの道路が存在しない場合、土地の状況から最適な経路を探索する処理について説明した。一方、道路が存在していても障害物があり、道路が通行できない場合がある。そこで本実施形態4は、道路上の障害物を検知し、それに基づいた経路探索する構成例を説明する。その他の構成は、実施形態1〜3と同様であるため、以下では差異点を中心に説明する。
【0103】
図8は、本実施形態4に係る経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成図である。本実施形態4において、処理エンジン131は、実施形態1〜2で説明した構成に加え、障害物抽出部1310を備える。図8は、図6で説明した構成のうち、対象領域抽出部1318の代わりに障害物抽出部1310を設けた例を示している。
【0104】
障害物抽出部1310は、他の機能部と同様に処理エンジン131内に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。障害物抽出部1310は、設定入力部1317から障害物の条件を受け取り、データ読み出し部1311が読み出した衛星画像データ121を、必要により地図データ122を参照して解析し、障害物の領域を抽出する。障害物は、例えば、道路上の瓦礫である。
【0105】
障害物の抽出は、上記の特徴空間におけるクラスタリングを利用することができる。例えば、テクスチャやスペクトルにおける特徴量を利用することができる。一例として、衛星画像データ121で十分確認できるサイズの瓦礫が道路上に存在していると仮定する。障害物抽出部1310は、衛星画像データ121と地図データ122を、それぞれのデータが有する位置情報を利用して位置合わせを行い、道路領域を抽出する。障害物抽出部1310は、衛星画像データ121から、瓦礫領域の抽出を行う。
【0106】
障害物抽出部1310は、例えば、ユーザがディスプレイ140に表示された衛星画像データ121上で指定した瓦礫と類似している領域を抽出する。また、瓦礫の特徴を予め二次記憶装置120に記憶しておき、その特徴と合致する領域を抽出してもよい。瓦礫領域は単一でもよいし、複数領域を抽出してもよい。
【0107】
障害物抽出部1310は、抽出した瓦礫領域が道路上に存在する場合、該道路に瓦礫の分布状況に応じて属性を付加する。例えば、道路幅以上に分布していれば通行不可能、道路の一部に分布していれば通行注意等の属性が付与される。障害物抽出部1310は、通行情報を付加した道路データを二次記憶装置120に格納する。
【0108】
経路探索部1315は、道路の通行状態を表す属性情報を利用して、地図データ122上の道路を通る経路探索を行う。出力部1316は、探索した経路をディスプレイ140に表示するとともに、分断等の道路の通行状況も表示する。また、プリンタ150に出力してもよい。
【0109】
以上のように、本実施形態4に係る経路作成装置100は、既存の道路の通行状況を、衛星画像データから判断し、現況の道路通行状態を道路データの属性として出力し、二次記憶装置120に蓄積する。通行状態を保持した道路データを利用して、経路探索部1315は、現況に即した経路探索を行う。これにより、障害物等により道路通行が困難な場合でも、最適な経路を探索し、ユーザに示すことができる。
【0110】
<実施の形態5>
実施形態4では、障害物抽出部1310により障害物の存在位置を抽出し、既存の道路状況を判断し、道路を通る最適な経路を探索する処理について説明した。道路が分断されている場合、道路の補修や障害物の除去を行うことがあり、分断地点の把握と分断地点への適切なアクセスの順序を探索したい場合がある。
【0111】
また、障害物除去においては、障害物の集積場があり、集積場への効率的な往復経路および障害物巡回経路を探索したい場合もある。障害物除去により、他の障害物へアクセス可能な経路も変化する。本実施形態5では、障害物抽出部1310によって道路の分断情報を抽出して通行コストに反映し、集積場から複数の障害物へのアクセスの優先度の決定及び経路探索を行う構成を説明する。
【0112】
本実施形態5の経路作成装置100は、始点から目的地までの最小通行コストの経路上に障害物が存在する場合、障害物を除去する作業コストと障害物を迂回する別経路の通行コストを考慮して、経路情報をユーザに提供する。以下では、実施形態1〜4との差異点を中心に説明する。
【0113】
図15は、本実施形態5に係る経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成図である。本実施形態5において、処理エンジン131は、実施形態4で説明した構成に加え、新たに作業見積もり部1320を備える。
【0114】
図9は、本実施形態5に係る経路作成装置100が、道路上に障害物901や障害物902が存在し、障害物901、902から集積場903まで道路上を往復する場合に、最適経路を探索する例を示す概念図である。作業者が、道路上の障害物を除去し、作業車両で集積場へ除去した障害物を運搬する場合、障害物902から集積場903への道路は障害物901に分断されているため、障害物902から集積場903へアクセスすることは困難である。
【0115】
そこで本実施形態は、衛星画像データ121と地図データ122を解析し、現在の状況を把握し、始点・終点を順に変更することにより、複数対象地点への経路を作成する。さらに、目的とする障害物までの経路上に別の障害物が存在する場合、障害物撤去に有するコストと別経路を利用するコストを計算し、ユーザに提供する。本実施形態において、障害物撤去のコストは、通行コストと比較することができるように、同一の基準で定義される。
【0116】
以下では、瓦礫が道路上の複数の地点に存在し、複数の瓦礫領域に対し優先順位を与え、集積場へ数回に分けて運搬する場合を、各モジュールの処理を説明する。例えば、ユーザは、キーボード160やマウス170により、集積場の位置又は領域を入力する。入力には、ディスプレイ140上でマウス170によって位置や領域を指定してもよいし、集積場の位置を示す緯度経度等の位置情報をキーボード160で入力してもよい。
【0117】
また、優先的に撤去したい瓦礫の選定基準をユーザが入力してもよい。選定基準として、例えば道路上に存在し、量が多い瓦礫から撤去する、といった設定が考えられる。選定基準の入力には、道路、民家領域といった領域名称をディスプレイ140上に示し、ユーザが選択又は順位付けを行う。さらに、上記設定を自然言語で入力してもよい。通行コストがより低い瓦礫に、より高い優先度を付与してもよい。この場合、通行コストが低い順で瓦礫にアクセスして撤去する。以下ではユーザが、道路上に存在し、量が多い瓦礫から撤去するという選定基準を設定したと仮定して説明する。
【0118】
設定入力部1317は、ユーザが入力した集積場の位置および選定基準を受け取り、設定条件管理部134へ渡す。例えば、ユーザは、選定基準として、道路上の瓦礫で量が多い瓦礫から撤去すると設定する。障害物抽出部1310は、実施形態3で説明したように、衛星画像データ121を解析して障害物である瓦礫の領域を抽出する。障害物抽出部1310は、抽出した瓦礫領域のうち、道路上に存在する障害物を選択する。瓦礫領域は、その瓦礫撤去作業を行う作業領域である。
【0119】
図9の例において、障害物901と障害物902が、ユーザ指定された選定基準を満たす障害物に該当する。また、障害物抽出部1310は、全ての瓦礫領域を抽出し、抽出した瓦礫領域をディスプレイ140上に表示し、ユーザが優先度の高い瓦礫領域を指定してもよい。ユーザが選定基準を指定していない場合、集積場までの通行コストによって瓦礫の優先度を決定する。これは後述する経路探索部1315が示す経路のうち、通行コストが低い順に優先度を設定することで行う。
【0120】
障害物抽出部1310は、抽出した瓦礫の分布状況から、道路の分断情報を抽出し、地図データに属性情報として付加する。その後の瓦礫除去作業等により道路の分断が改善された場合には、障害物抽出部1310は、分断が改善された領域部分を通行可能とし、道路の分断情報を更新する。
【0121】
道路の分断は、該当道路の通行重みに最大値を与えることで定義してもよいし、データ上での道路ネットワークを切断してもよい。障害物抽出部1310は、瓦礫の除去完了を、現況の衛星画像データ121を、再度解析することにより認識してもよい。又は、ユーザが作業完了の指示を受け取り、道路の分断情報を経路作成装置100に入力し、設定入力部1317からその情報受け取った障害物抽出部1310が、地図データを更新してもよい。
【0122】
作業見積もり部1320は、対象となる瓦礫の量を推定し、瓦礫撤去に係る作業量(コスト)を見積もる。作業見積もり部1320は、障害物抽出部1310が抽出した瓦礫領域の情報を受け取り、瓦礫領域の面積を推定する。作業見積もり部1320は、面積から、おおよその瓦礫量を計算する。瓦礫量の計算は、面積に定数をかけて求めてもよいし、衛星や航空機で撮影したステレオ画像から瓦礫の高さを推定し、面積に推定した高さを掛けることで求めてもよい。
【0123】
作業見積もり部1320は、航空機等に搭載されたレーザデータから推定した地表面高さから瓦礫の高さ情報を抽出してもよい。計算した瓦礫量を、ユーザが利用を想定している作業機器の搭載量で割ることで、作業見積もり部1320は、瓦礫撤去作業量を推定する。作業量としては、例えば10tトラックで20回分などのように推定する。作業車両の搭載量等のデータは後述する実施の形態6で説明する。
【0124】
始点・終点設定部1312は、集積場の位置を設定条件管理部134から受け取り、始点を集積場903に設定する。さらに、終点を障害物901と障害物902の領域に設定する。始点を障害物、終点を集積場と逆に設定してもよい。
【0125】
経路探索部1315は、始点・終点設定部1312が設定した始点と終点間の経路を探索する。道路の分断情報が属性として地図データ122に付加されており、経路探索部1315は、道路が分断されていない経路を探索する。経路探索部1315は、通過可能な道路のうち、始点・終点まで探索可能な経路を選択し、ユーザに表示する経路として、そのうちのトータル通行コストが最小の経路を選択する。経路探索部1315は、トータル通行コストが他のよりも小さい複数の経路を選択してもよい。
【0126】
好ましい構成において、経路探索部1315は、障害物901を撤去して、通行可能となった経路を使用する場合のトータル通行コストを算出する。このトータル通行コストは、通行可能となった後の経路の通過コストに加え、障害物901の撤去作業のコスト(通行コスト換算)を含む。
【0127】
障害物901の撤去作業のコストは、作業見積もり部1320が見積もった作業から算出することができる。上述のように、作業見積もり部1320は、作業車両による運搬回数により作業量を見積もる。設定データ123は、瓦礫の車両への積み込みや積み下ろしなど、瓦礫の運搬以外の作業に対するコスト重みを記憶しており、そのコスト重みと上記見積もり作業量との乗算値が、運搬以外の作業のコストである。なお、設計によっては、運搬以外の作業のコストを考慮しなくともよい。
【0128】
経路探索部1315は、集積場から障害物901までの最小通行コストの経路を探索する。運搬回数が障害物と集積場との往復回数であるとして、経路探索部1315は、運搬回数の2倍の数に通行コストを乗算した値を算出する。その値が、運搬作業にかかるトータル通行コストである。運搬作業にかかるトータル通行コストとその他作業のコストとの和が、瓦礫撤去作業のトータルコストである。
【0129】
経路探索部1315は、障害物902への経路に関連して、障害物901を迂回した経路及びその通行コスト、障害物901を除去して通過可能となる経路及び撤去作業コストを含む通行コストを算出する。二つ目の通行コスト算出において、経路探索部1315は、障害物901の除去作業における経路及びその通行コスト、並びに、障害物901を撤去した後の経路及びその通行コストを算出する。
【0130】
出力部1316は、上記経路及び通過コストをディスプレイ140に表示し、ユーザに提示する。つまり、出力部1316は、障害物901を迂回した経路及びその通過コスト、並びに、障害物901を除去して通過可能とした経路及びその通過コストを表示する。障害物901の撤去作業のコストと撤去後の経路の通過コストも個別に表示する。出力部1316は、同様の内容を、プリンタ150に出力してもよい。ユーザは、障害物901に対して撤去作業を行うか、障害物901を迂回して障害物902にアクセスするか選択することができる。
【0131】
上記説明は、道路上に瓦礫が存在する場合に瓦礫を撤去する経路をユーザに示す場合である。さらに、本実施形態は、複数の植林領域(植林を行う予定の領域)に対する経路を示す場合にも適用できる。植林領域は、そこで植林を行う作業領域である。以下では本実施形態の適用例として、植林領域への経路探索について説明する。上記瓦礫撤去の場合は、集積場を起点として障害物までの経路を探索したが、植林領域への経路探索の場合は、資材置き場を起点として、複数の植林領域までの経路を探索すると仮定する。
【0132】
障害物抽出部1310は、すでに植林が行われた領域を抽出する。植林した領域は、車両の通行が困難になる。障害物抽出部1310は、植林が行われた領域を、衛星画像データ121から植生領域を抽出してもよいし、ユーザからの植林完了入力を受けて特定してもよい。
【0133】
作業見積もり部1320は、対象となる植林領域に対し、植林領域の面積から植林する樹木の数を推定し、それに係る作業量を見積もる。植林領域は、ユーザが指定した植林領域選定基準に該当する領域であり、上述のように、対象領域抽出部1318により抽出されている。
【0134】
作業見積もり部1320は、例えば、樹木を運送するトラックの搭載量から運搬回数を基準として、作業量を見積もることができる。始点・終点設定部1312は、資材置き場を始点に設定し、各植林領域を終点に設定する。
【0135】
経路探索部1315は、始点・終点設定部1312が設定した始点から各領域に設定した終点までの経路を探索する。ここで、経路上に植林領域が存在する場合、その経路上の植林領域(ユーザ選定基準による優先度が高い)から作業を始めると、植林が完了した時点で該当領域は通行不可能となるため、ほか植林領域への経路が分断されることになる。
【0136】
そのため、経路探索部1315は、各経路上に植林領域が存在するか判定し、存在する場合には、その植林領域を通過する経路の他に、その植林領域によって経路が分断されると仮定した迂回経路を探索する。具体的には、経路探索部1315は、地図データ122の道路属性情報を更新し、経路探索を行う。さらに、経路探索部1315は、植林領域を通過する経路と迂回経路の双方について、作業見積もり部1320が算出した作業量から、植林に係る作業のコストを算出する。
【0137】
本例において、作業コストの算出は、植林のための運搬作業のコスト(通行コスト)を算出する。経路探索部1315は、算出した経路の通行コストと樹木の運搬回数から、運搬作業におけるトータルの通行コストを算出することができる。具体的には、一回の運搬が経路の往復に相当するとして、運搬回数の二倍に通過コストを乗算した値を、植林作業におけるトータル通過コストとして使用することができる。
【0138】
具体例として、植林領域Aと植林領域Bが存在し、植林領域Aが植林領域Bまでの経路上に存在するとする。植林領域Aは、ユーザが指定した選定基準に当てはまり、植林領域Bよりも植林の優先度が高いとする。ユーザの指定によると、植林領域Aから作業が始まる。しかし、植林領域Aの植林が完了した後に植林領域Bの植林を行う場合、植林領域Bまでの最小コスト経路で通行することが困難となる。
【0139】
経路探索部1315は、道路分断がない状況での植林領域Bの植林作業に伴う往復回数を反映した通行コスト及び経路を算出する。さらに、経路探索部1315は、道路分断がある状況での植林領域Bの植林作業に伴う往復回数を反映した通行コスト及び経路を算出する。出力部1316は、各経路および各通行コストをディスプレイ140に表示し、ユーザに提示する。この処理により、作業に伴う経路および通行コストの変化をユーザに提示することができ、ユーザによる植林領域の選択順序の決定を助けることができる。
【0140】
上記二つの作業における経路探索は、一つの地点(集積場又は資材置き場)から、複数の目的領域へのそれぞれの経路を探索した。これと異なり、経路作成装置100は、複数の目的領域に対し、周回経路を探索することができる。
【0141】
始点・終点設定部1312は、最初の目的地に達成した時点で、最初の目的地を始点とし、目的地から除外する。終点は、全ての他の対象領域に対して設定し、経路探索部1315に対して経路探索を行う。探索した経路のうち、最小通行コストに該当する経路および終点を選択する。上記のように、始点を適宜変更することにより、現況の道路状況に応じた周回経路を決定することができる。
【0142】
以上のように、本実施形態5に係る経路作成装置100は、障害物抽出部1310により経路上の障害物領域を抽出し、経路探索部1315は、ユーザが指定した地点から障害物領域への往復経路を探索する。また、複数の障害物領域が存在する場合、経路探索部1315は、障害物に関する作業量を鑑みた経路および通行コストをユーザに提示する。これにより、障害物等により道路が分断される場合に、複数領域における作業の順序及び経路をユーザに示すことができる。
【0143】
<実施形態6>
実施形態5では、経路作成装置100が障害物抽出部1310を備え、道路上の障害物を検知し、障害物までの経路を探索する例を説明した。ここで、障害物等を除去するには、重機等の特殊車両が必要となる。道路が十分に広い場合は問題ないが、道路が狭い又は道路が曲がっているなど重機が通行できない場合が考えられる。
【0144】
そこで、本実施形態6では、予め記憶してある重機等の情報を利用し、通行可能な経路のみユーザに表示する経路作成装置100を説明する。以下では、障害物を重機によって撤去する場合を例に挙げて説明する。図10は、実施形態6に係る経路作成装置100の機能ブロック図である。本実施形態6に係る経路作成装置100において、二次記憶装置120は、実施形態1〜5で説明した構成に加えて、車両データ124を格納している。
【0145】
図11は、車両データ124の構成とデータの例を示す図である。車両データ124は、車両のサイズや通行可能幅等を記述している。さらに、通行可能な土地状況も記述している。例えば、車両データ124は、車種が、舗装道や砂利、土や岩場を通行可能かを示す。
【0146】
経路探索部1315は、図5のフローチャートにおけるS506で、地図データ122とユーザが予め指定した車両の車両データ124を受け取る。経路探索部1315は、画像解析部1313及び地形解析部1314から受け取った通行コストに応じ、既存の道路を通行する場合の最短経路を探索する。経路探索部1315は、選択した経路上で、車両データ124に記述されている車両の通行可能サイズと、地図データ122に記述されている道路幅及び曲率を照らし合わせ、通行可能性を判定する。
【0147】
以下に、図11に示すデータを例として、通行可能性の判定を説明する。図11に記載されている重機1が道路を通行する場合、幅2.3m以上の道路幅が必要である。経路探索部1315は、候補として抽出した最短経路に幅2.3m以下の道路が含まれるか、地図データ122の付加情報を検索する。幅2.3m以下の道路が存在する場合、経路探索部1315は、該当道路は重機1に対しては通行不可能であると判定する。
【0148】
さらに、経路上に曲がり角が存在する場合、経路探索部1315は、道路幅及び角度と、重機1の横幅及び縦幅から、通行可能性を判定する。選択した重機1が、該当曲がり角の通行が不可能な場合、経路探索部1315は、該当道路は通行不可能であると判定する。
【0149】
経路探索部1315は、通行不可能と判定された道路は、該当箇所の道路においての通行コストを最大になるように設定する。重機2がユーザにより選択された場合、機器の横幅及び縦幅等のデータが異なるので、道路の通行可能性判定の結果が変化する。すなわち、機器によって探索される経路が異なる。
【0150】
上記手順により探索された経路上で通行不可能な箇所が存在した場合、経路探索部1315は、通行不可能箇所を地図データ122に属性として付加し、二次記憶装置120に記憶する。通行不可能箇所があれば、経路探索部1315は、再度、最小通過コストの経路を探索する。
【0151】
さらに、既存の道路が全て通行不可能である場合も考えられる。その場合は、経路作成装置100は、画像解析部1313によって、衛星画像データ121を解析し、道路以外の領域の土地状況を特定する。例えば、特定される土地状況は、土地の利用状況、土地被覆、舗装の有無、障害物の有無などである。
【0152】
道路が通行不可能な場合、道路以外の領域において、経路探索部1315は、解析した土地状況と、車両データ124が保持する通行可能な土地状況を照合し、通行可能な領域を通る経路を探索する。これにより、通行可能な道路がなくても、道路以外の領域においての経路を探索し、ユーザに示すことができる。
【0153】
その他、道路状況に応じて使用する車両を変更してもよい。その場合、経路作成装置100は、車両データ124に記述されている複数の車両のうち、経路探索部1315が探索した最小通行コストの経路を通行できる車両を選択し、ユーザに使用車両及び経路を示すことができる。以上のように本実施形態6に係る経路作成装置100は、使用する車両データ124と地図データ122から、車両が通行可能な道路を選択し、ユーザに最適経路を示すことができる。
【0154】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0155】
上記各構成、機能、処理部などは、それらの全部又は一部を、例えば集積回路で設計することによりハードウェアとして実現することもできるし、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを実行することによりソフトウェアとして実現することもできる。各機能を実現するプログラム、テーブルなどの情報は、メモリやハードディスクなどの記憶装置、ICカード、DVDなどの非一時的記憶媒体に格納することができる。
【0156】
上記実施形態は、一つの計算機による経路作成装置を説明したが、経路作成システムは、一つの計算機又は処理を分担する複数の計算機により構成することがでる。上記構成における機能部の構成は一例であって、上記構成における特定の機能部の処理の一部を他の機能部が行ってもよい。
【符号の説明】
【0157】
100:経路作成装置、110:プロセッサ、120:二次記憶装置、121:衛星画像データ、122:地図データ、123:設定データ、124:車両データ、130:メモリ、131:処理エンジン、132:処理エンジン管理部、133:演算情報管理部、134:設定条件管理部、140:ディスプレイ、150:プリンタ、160:キーボード、170:マウス、301:始点、302:終点、901:障害物、902:障害物、903:集積場、1211:メタデータ、1212:計測データ、1310:障害物抽出部、1311:データ読み出し部、1312:始点・終点設定部、1313:画像解析部、1314:地形解析部、1315:経路探索部、1316:出力部、1317:設定入力部、1318:対象領域抽出部、1319:優先度決定部、1320:作業見積もり部
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路作成システム、経路作成方法及び経路作成を計算機に実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステムのように、目的地を設定すると、現在の位置を把握し、最適な走行経路を選択し提示する技術がある。さらに、道路地図の情報が更新されていないなど地図が現状に即していない状況でも、実際に通行した車両等の移動履歴から道路を推測する技術がある。
【0003】
下記特許文献1に記載されている技術は、保有道路データと走行データを比較し、非保有道路データを収集する。また、空中画像から道路形状を抽出し、道路ネットワークとして道路地図に反映させる技術がある。下記特許文献2に記載されている技術は、カラー画像から道路該当領域を抽出し、道路ベクトルを生成する。
【0004】
一方、空中画像からは、道路形状の抽出だけでなく、広範囲な土地の状況を把握することができる。下記特許文献3には、衛星画像のような空中画像から土地被覆状態を抽出し、生態環境特性を検出して土地利用計画を立てる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−119647号公報
【特許文献2】特開2004−246554号公報
【特許文献3】特開2000−89664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
道路が整備されている場合は、道路地図に実際の道路が反映されていなくとも、運転者が実際の道路状況を判断して、車両を走行させることが可能である。しかし、道路が未整備な地域や、災害により通行不可能となった地域では、運転者は、そこをどのように通行することができるかを示す情報を得ることができず、通行できない可能性がある。また、上記のような状況では、現況の把握が、地上観測では困難な可能性がある。本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、周辺状況に応じて適切な経路を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、始点と終点との間における経路を作成する経路作成システムであって、空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定する解析部と、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納する記憶部と、上記解析部の解析結果及び上記通行コスト情報を使用して上記始点から上記終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出結果に基づいて上記始点から上記終点までの利用経路候補を決定する経路探索部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、空中画像データから土地状況を解析し、現況に即した適切な経路を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1において、経路作成装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図2】実施形態1において、衛星画像データの構成及びデータの例を示す図である。
【図3】実施形態1において、経路作成装置が始点から終点までの経路を探索する方法を示す概念図である。
【図4】実施形態1において、処理エンジン内に含まれているプログラムモジュールの詳細を示す図である。
【図5】実施形態1において、経路作成装置が経路を作成する処理を説明する処理フローである。
【図6】実施形態2において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【図7】実施形態3において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【図8】実施形態4において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【図9】実施形態5において、経路作成装置の経路を作成する処理を説明する概念図である。
【図10】実施形態6において、経路作成装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図11】実施形態6において、車両データの構成とデータの例を示す図である。
【図12】実施形態1において、経路作成装置が衛星画像データを解析し、分類図を作成する様子を示す概念図である。
【図13】実施形態1において、設定データの構成とデータの例を示す図である。
【図14】実施形態1において、設定データの構成とデータの例を示す図である。
【図15】実施形態5において、経路作成装置が備える処理エンジンのモジュール構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明を実施するための形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
本実施形態の経路作成装置は、空中画像を解析して得られた土地状況に応じて、始点から終点(目的地)までの経路探索を行う。空中画像は、衛星や航空機などの空中のプラットフォームから撮影された1又は複数スペクトルの画像である。空中画像を解析することで、地図情報若しくは道路が存在しない地域又は地図情報が現在の土地状況と一致していない土地において、適切な経路候補を決定することができる。
【0012】
本実施形態の経路作成装置は、例えば、砂漠地域での植林など、始点から終点までの道路が存在しない土地における経路探索や、道路が存在していても障害物があり道路が通行できない土地での経路探索に有効である。
【0013】
土地状況は、対象としている領域の土地の状況である。土地状況は、地形、土地被覆及び土地利用の状況を含む上位概念語であり、これらの全て又は一部により特定される。地形は、地表(地面及び人工物を含む)の高低及び起伏の形であり、地形データは標高や建物高さのデータを含む。
【0014】
土地被覆は地表面の物理状態を表す。各領域の土地被覆は、予め定められた種類、例えば、コンクリート、アスファルト、高木密林、低木密林、高木疎林、低木疎林、草地、水面、土、砂利などの種類に分類される。さらに、土地被覆は、土地表面の粗さや硬さの分類(値)も含む。このように、土地被覆は、土地表面の状況を示す。土地利用は、人による土地の利用方法又は人にとっての土地の意味を示すものであり、各土地(領域)の土地利用状況は、道路、農地、公園などの予め定められた特定の種類に分類される。
【0015】
空中画像の解析により、地形状況及び土地被覆の情報を得ることができる。土地利用状況は、地図データから得ることができ、地形状況及び土地被覆から、一部の領域の土地利用状況の情報を得ることもできる。地図データは、土地利用の情報に加え、地形及び/又は土地被覆の情報を含むことができる。
【0016】
経路作成装置は、例えば、地図データを参照して空中画像の解析に反映することができる。又は、経路作成装置は、空中画像解析を地図データにより補強することができる。地図作成時から土地状況が変化していない又は変化が小さい場合、対象領域での正確な地図データが存在している場合、地図データの利用は効果的である。
【0017】
本実施形態の経路作成装置は、空中画像を解析し、さらに、必要により地図データをも参照して、対象領域の土地状況を推定する。経路作成装置は、始点から終点までの適切な経路の候補を推定した土地状況に基づいて決定し、ユーザに提示する。好ましくは、経路作成装置は、空中画像から地形状況及び土地被覆を推定するが、その一方のみを推定又は参照して経路探索を行ってもよい。経路作成装置は、地図データを利用できる場合にそれを参照してもよいし、地図データを使用しなくともよい。
【0018】
本実施形態の経路探索装置は、経路探索において、始点から終点までの通行コスト(トータル通行コスト)を算出して、適切な経路候補を決定する。経路探索装置は、土地状況と通行コストを関連づけた定義情報、具体的には、土地状況の各種類と単位距離当たりの通行コストを示す通行重みとを関連づけた定義情報を保持する。好ましくは、通行重みは、車種毎に定義されている。
【0019】
経路探索装置は、始点から終点までの経路において通過する各領域の土地状況を特定し、それぞれの領域の通過における通過コストを、その領域の通行距離及び通行重みの積により算出する。全ての通過領域の通過コストを加算した値が、その経路のトータル通行コストである。このトータル通行コストが低い経路が、適切な経路候補である。
【0020】
以下において、いくつかの実施形態を説明する。実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0021】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る経路作成装置100の構成を模式的に示す機能ブロック図である。経路作成装置100は、プロセッサ110、二次記憶装置120、メモリ130、ディスプレイ140、プリンタ150、キーボード160、マウス170を備える。また、経路作成装置100は、図示しないネットワークインターフェースを備え、外部のセンサからネットワークを介してセンサデータを受け取ることができる。
【0022】
プロセッサ110は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの演算装置であり、メモリ130が格納している各プログラムを実行する。また、プロセッサ110は、経路作成装置100の各機能部を制御する。以下では記載の便宜上、プログラムを動作主体として説明するが、実際にこれらプログラムを実行するのはプロセッサ110である。
【0023】
二次記憶装置120は、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置である。図1の例において、二次記憶装置120は、衛星画像データ121、地図データ122、設定データ123を格納する。これらデータの詳細については後述する。二次記憶装置120は、ネットワークを介して接続された外部の記憶装置でもよい。
【0024】
メモリ130は主記憶装置であり、プロセッサ110が動作するために必要なデータ(プログラムを含む)を保持する記憶装置である。図1の例において、メモリ130は、処理エンジン131、処理エンジン管理部132、演算情報管理部133、設定条件管理部134を格納する。これらはプログラム(モジュールを含む)である。説明の便宜上、プログラムはメモリ130内に示されているが、典型的には、プログラムは二次記憶装置120の記憶領域に格納されており、そこからメモリ130の記憶領域にロードされ、プロセッサ110により実行される。
【0025】
処理エンジン131は、経路作成装置100に入力された、又は保持されたデータを処理する手順を記述したプログラムである。詳細は図5を参照して改めて説明する。処理エンジン管理部132は、処理エンジン131内に含まれているプログラムモジュールに対して指示を出すプログラムである。
【0026】
演算情報管理部133は、処理エンジン131の処理結果を管理するプログラムである。設定条件管理部134は、経路作成装置100においてユーザが設定した条件その他の入力情報を管理するプログラムである。
【0027】
プロセッサ110は、メモリ130に記憶されているプログラムを実行することによって所定の機能を実現する。メモリ130は、プロセッサ110によって実行されるプログラム、及び、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。プログラムはプロセッサ110によって実行されることで、定められた処理を記憶装置及び通信ポート(通信デバイス)を用いながら行う。従って、本実施形態及び他の実施形態においてプログラムを主語とする説明は、プロセッサ110を主語とした説明でもよい。若しくは、プログラムが実行する処理は、そのプログラムが動作する計算機及び計算機システムが行う処理である。
【0028】
このように、プロセッサ110は、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部として動作する。本例において、プロセッサは、上記プログラムに従って動作することで、処理エンジン、処理エンジン管理部、演算情報管理部、設定条件管理部として機能する。
【0029】
ディスプレイ140は、処理エンジン131の処理結果などを画面表示する表示装置である。プリンタ150は、処理エンジン131の処理結果などを印刷する装置である。これらは、経路作成装置100の処理結果を出力する出力装置としての役割を有する。キーボード160とマウス170は、経路作成装置100のユーザが経路作成装置100に対して操作指示を与える入力装置である。経路作成装置100は、これらと異なる出力装置及び入力装置を含むことができる。
【0030】
図2は、衛星画像データ121の構成及びデータの例を示す図である。衛星等のプラットフォームに搭載されたセンサは、観測対象である地表面等を計測し、計測条件を記述したメタデータ及び計測データを、記録媒体に記録する。経路作成装置100は、その記録データを、ネットワークを介して受け取り、二次記憶装置120に衛星画像データ121として蓄積する。
【0031】
衛星画像データ121は、センサ名、撮影日、撮影場所の位置、データサイズ等の計測状況及び計測データフォーマット情報を保持するメタデータ1211並びに計測データ1212を保持する、データフィールドを有する。ここでは例として、同一データフィールドにメタデータと計測データを示したが、メタデータと計測データは別データフィールド又は別ファイルとして保持してもよい。
【0032】
本例は、空中画像の例として、衛星に搭載されたセンサにより撮影された衛星画像データを挙げているが、経路作成装置100は、他のプラットフォーム、例えば、航空機やヘリコプタ等に搭載されたセンサ又はカメラにより撮影された空中画像を利用することもできる。
【0033】
地図データ122は図示しないが、一般に利用される地図データは、ノードとリンクからなり、位置情報を保持するデータ群である。また、地図データは、各種属性データを含んでいる。経路作成装置100は、衛星画像データ121と地図データ122とが保有する位置情報を利用して、これらのデータを関連付ける。
【0034】
地図データ122は、道路データを保持することができる。この他、地図データ122は、地形を表す標高データや、土地利用を表す現況図も含むことができる。上述のように、地形は、地表(地面及び人工物を含む)の高低及び起伏の形であり、標高や建物高さのデータを含む。土地利用状況は人によって利用される土地の状況である。つまり、その領域(土地)が、人にとってどのような意味があるかを示す。例えば、各土地(領域)の土地利用状況は、道路、農地、公園、草原、湖、川などの予め定められた特定の種類に分類される。
【0035】
図13及び図14は、設定データ123の構成とデータの例を示す図である。設定データ123には、土地状況に応じた通行重みが記載されている。通行重みは、車両の通行の困難さを表す指標であり、単位距離当たりの値である。本例において、車両にとって通行が困難であるほど、通行重みが大きくなっている。特定経路の通行コストは、その経路における各部分の通行重みに各部分の距離をかけた値の総和である。経路の通行コストが低いほど、車両が目的地まで行きやすい、つまり、目的地に至るまでの困難性が低いことを意味する。
【0036】
図13の定義テーブルの例において、通行重みと関連付けられている土地状況は、土地利用状況と土地被覆とによって特定されている。土地利用状況は、地図データ122から得ることができる。図13の例は、道路情報のみを使用している。つまり、図13の定義テーブルにおけるエントリは、道路である領域のエントリと道路でない領域のエントリとに分類される。
【0037】
さらに、各エントリは、異なる土地被覆の種類が割り当てられている。上述のように、土地被覆は地表面の物理状態を表す。対象領域の土地被覆は、衛星画像データ121を解析することで特定することができる。図13の例においては、一つのエントリが、土地利用と土地被覆のデータを含むが、土地利用の情報を使用しなくともよい。
【0038】
例えば、土地利用状況が道路であった場合、アスファルトで舗装された道路、砂利、土が出ている道路など、表面状態が異なる場合がある。各状態(種類)に応じて、通行重みを定義する。舗装道路は通行しやすく、砂利では通行しにくい、といったような状況に応じ、通行重みを定義する。ここでは、土地被覆は、この他、地表面の粗さや硬さといった種類を含むことができる。
【0039】
同様に、図14は、地形に応じた通行重みが記載されている。例えば、地形のうち、斜面の角度である斜度をキーとして通行重みを定義する。例えば、斜面が急な場合、急斜面は通行しにくいため通行重みを高くし、平坦な場合には通行重みを低くする。
【0040】
経路作成装置100は、経路上の領域の土地状況において、図13及び図14に定義されている土地状況の各要素を特定し、それらに対応した通行重みのそれぞれに当該領域における距離を乗算した値を算出する。経路作成装置100は、例えば、二つの通行コスト値において、大きい値をその領域の通行コストとして選択する。経路作成装置100は、二つの通行重みを統合した値、例えば、それらを乗算した値を使用して、該当領域の通行コストを算出してもよい。本例では、乗算した値に係数をかけて使用する。
【0041】
図13及び図14の例において、土地被覆と地形とを別々に通行重みが割り当てられているが、通行重みは、これらのペアに割り当てられていてもよい。つまり、一つのエントリに、土地被覆及び地形が含まれ、そのエントリにおいて一つの通行重みが定義される。通行重み(通行コスト)と土地状況との関係は、上述のように、予めリスト化されていなくともよい。例えば、土地状況と通行重みとを関連付ける情報として、連続値を持つ斜度と通行重みとの関係を定義する関数を使用してもよい。
【0042】
経路作成装置100は、さらに、特定位置の通行不可能を示すデータを使用することができる。例えば、経路上に除去不能な障害が存在する場合、その経路は通行不能であり、経路候補から除外される。経路作成装置100は、衛星画像データ121を解析することで、障害物を特定することができる。障害物の特定方法については後述する。
【0043】
好ましい構成において、経路作成装置100は、ユーザから、通行する土地状況の条件(指定条件)を受け付ける。経路作成装置100は、ユーザに設定された指定条件に応じて、経路を探索する。具体的には、ユーザは、通過可能な土地状況を指定する。経路作成装置100は、指定された土地状況の地域からなる経路を探索する。つまり、指定された土地状況と異なる土地状況の地域を避けて経路探索を行う。避けるべき土地状況を指定することは、通過可能な土地状況を指定することと同じである。
【0044】
例えば、ユーザは、通行したい土地被覆の種類や斜度を選択し、選択されなかった土地被覆や斜度を棄却するよう、指定する。経路作成装置100は、ユーザから受け付けた通行条件を、二次記憶装置120の設定データ123内に格納する。経路作成装置100は、経路探索において設定データ123を参照し、設定されている通行条件に従い、通行不可な領域を避けつつ、通行コストが低い候補経路を検索する。
【0045】
次に、経路作成装置100の動作について説明する。図3は、経路作成装置100が、ユーザにより指定された始点301と終点302とを通る経路を作成する様子を示す概念図である。道路が途切れており、指定した始点301と終点302の間には道路が存在しない状況であるとする。
【0046】
ユーザは、終点302までの土地状況を把握することが困難であり、例えば、始点301から終点302までの直線的な最短経路を選択した場合、水域など通行不可能な箇所に遭遇する可能性がある。そのため、予め現在の土地状況を把握し、通行に適する土地被覆や地形の情報を得ることが必要であるが、現状把握は難しい場合がある。
【0047】
そこで本実施形態は、対象領域を撮影した衛星画像データ121を解析し、現在の土地状況を把握する。衛星画像データ121は土地の状況を撮影したデータを含み、経路作成装置100は、例えば、水域や傾斜といった土地状況の情報を得ることが可能である。経路作成装置100は、上記情報を活用し、水域や森林域を避け、傾斜が緩やかな経路を作成する、といった、設定データ123が示す通行条件に従って、現在の土地状況に即した最適な経路を作成することができる。
【0048】
図4は、処理エンジン131に含まれているプログラムモジュールの詳細を示す図である。処理エンジン131は、データ読み出し部1311、始点・終点設定部1312、画像解析部1313、地形解析部1314、経路探索部1315、出力部1316を含む。これらは、処理エンジン131に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。
【0049】
データ読み出し部1311は、二次記憶装置120から対象領域の衛星画像データ121と地図データ122を読み出す。始点・終点設定部1312は、ユーザにより指定された始点と終点を、衛星画像データ121上の特定位置に、位置情報を用いて対応づける。
【0050】
画像解析部1313は、データ読み出し部1311が読み出した衛星画像データ121を解析する。例えば、衛星に搭載された各波長のセンサで観測した、衛星画像データ121が保有する画素毎の観測スペクトルデータを、予め設定された手法で分類することで、水域や森林域、裸地といった土地被覆図を作成すること可能である。
【0051】
図12は、衛星画像データ121から土地被覆図を作成する概念図である。スペクトル数Nのセンサで衛星画像が取得された場合、各スペクトルに対応する衛星画像N枚が得られる。画像解析部1313は、各画素に対し、得られたスペクトルデータについて各スペクトルを特徴軸とする特徴空間上にプロットし、各クラスタに分類する。例えば、水域、樹木、道路などである。
【0052】
特徴空間上でのクラスタ分布と土地被覆の種類とが、予め対応づけられており、画像解析部1313は、それらを対応付ける情報を参照することで、該当画素のスペクトルがどの土地被覆クラスに含まれるか決定することができる。これにより、画像解析部1313は、衛星画像で撮影された範囲について土地被覆分類を行い、土地被覆図を作成することができる。
【0053】
画像解析部1313が、土地状況特定のための画像解析で使用する特徴ベクトルは予め定義されている。画像解析部1313は、特徴空間を規定する特徴量(特徴ベクトル)として、上述のようにスペクトルデータだけでなく、空中画像が保有する色情報を利用してもよいし、画素間の画素値変化を表すテクスチャ情報を利用してもよい。
【0054】
画像解析部1313は、画素毎に分類処理を行ってもよいし、特定の条件を満たす連結画素を領域として扱い、領域毎に分類処理を行ってもよい。画像解析による土地状況の認識のための様々な技術が広く知られており、ここでのこれ以上の詳細な説明を省略する。画像解析部1313は、設計により選択された適切な手法を使用する。
【0055】
地形解析部1314は、データ読み出し部1311が読み出した衛星画像データ121から、地表の高さや建物高さといった地形情報を抽出する。例えば、地形解析部1314は、ステレオ視したペア画像を用いて地表の高さを抽出することができる。地形解析部1314は、航空機等に搭載されたレーザー装置で得られる高度情報から、面的な地形情報を抽出してもよい。地形解析部1314は、さらに、データ読み出し部1311が読み出した地図データ122に含まれる標高情報を利用して地形情報を取得してもよいし、標高地図を利用してもよい。
【0056】
地形解析部1314は、上述のように抽出した標高データから、斜面の斜度を計算することができる。地形解析部1314は、斜度を、近傍の標高データから標高差を計算し、単位面積あたりの傾斜として求めることができる。画像解析による土地被覆の特定と同様に、地形解析のための多くの手法が広く知られている。そのため、本明細書では、これ以上の詳細な説明を省略する。地形解析部1314は、設計により選択された適切な手法を使用する。
【0057】
経路探索部1315は、画像解析部1313で作成した土地表面状況(土地被覆)のデータと、地形解析部1314が作成した地形データとを用いて、最適な通行経路を探索する。経路探索部1315は、設定条件管理部134が管理している予め設定されたユーザ指定条件を満たす土地状況の領域を通り、かつ通行コストが最も低い経路を探索する。
【0058】
例えばユーザは、通行条件として、急斜面や水域など経路として除外すべき条件を指定してもよい。その場合、経路探索部1315は、画像解析部1313が解析した土地被覆分類図から、水域を経路探索範囲から除外する。また、経路探索部1315は、地形解析部1314が解析した斜面の斜度情報から、急斜面として設定した角度以上の範囲については、経路探索範囲から除外する。
【0059】
一つの地点又は領域に対して、複数の条件が指定されている場合は、経路探索部1315は、これらの条件を統合する。経路探索部1315は、例えば、統合にOR計算を使用することができる。このほか、経路探索部1315は、条件に合致する割合を数値で表現し、それらの乗算値と閾値とを比較してその地点又は領域が条件に合致するか否かを判定してもよい。
【0060】
経路探索部1315は、ユーザにより指定された対象外領域を除いた後、残りの領域における経路の通行コストを算出して、適切な経路を探索する。最もトータル通行コストが低い経路が、最適経路である。上述のように、経路探索部1315は、通行コストを、画像解析部1313の出力と、地形解析部1314の出力から計算できる。経路探索部1315は、予め設定された設定データ123を読み出し、画像解析部1313と地形解析部1314の出力結果に対応する通行重みを取得する。
【0061】
例えば、経路探索の一方法として、始点から終点までの最短距離を抽出する。最短距離での通行コストを計算し、経路候補の一つとする。次に、最短距離上で最も通行重みが大きい領域を抽出し、該当領域および該当領域の通行重みよりも重みが大きい領域を経路探索領域から除外する。除外した領域を通過せず、かつ最短距離の経路を探索する。探索した経路の通行コストを算出し、探索経路を経路候補の一つとする。同様に複数の経路候補を抽出していく。通行重みが大きい領域を除外すると経路が存在しない場合には、通行重みが大きい領域を最短で通過する経路を探索する。
【0062】
また、経路探索の一方法として、始点から終点を含む領域に複数のポイントを設定する。ポイント設定は、適切な間隔で格子状に設定してもよい。各ポイントを通過する経路をすべて抽出し、ポイント間の通行コストを算出する。各ポイントを通り、始点から終点までの通行コストが最も低くなる経路を最適経路候補として抽出する。また、通行コスト順に抽出した経路をソートし、通行コストが低い順に複数の経路を候補として抽出してもよい。
【0063】
候補として抽出した複数経路のうち、最も通行コストが低い経路を最適経路として提示する。また、抽出した全複数経路を提示してもよいし、複数経路のうち、通行コストが低い順に設定した経路数のみ提示してもよい。複数経路の提示は、各経路の通行コスト、距離もあわせて表示することにより、ユーザが経路を選択するための補助情報となる。
【0064】
例えば、経路探索部1315は、画像解析部1313の出力結果から、道路領域であり表面はアスファルトと判断された画素に対して、設定データ123から、通行重み0.1を取得する。同様に、経路探索部1315は、解析対象範囲の全ての画素に対する通行重みを取得する。また、地形解析部1314の出力結果から斜度を得られると、設定データ123を参照して、その斜度の通行重みを決定することができる。経路探索部1315は、各画素に割り当てられている距離とその通行重みとから、その画素の通行コストを算出することができる。
【0065】
同一地点において、画像解析部1313と地形解析部1314の出力結果から得られた通行重みが異なる場合、経路探索部1315は、最も高い通行重みの値を採用する。若しくは、経路探索部1315は、複数の通行コストを乗算して使用もよい。
【0066】
上記手順により、各領域又は画素における通行コストが算出され、二次記憶装置120に記憶される。経路探索部1315は、経路探索において、始点・終点設定部1312が設定した始点から終点までの複数の経路のトータル通行コストを算出する。経路探索部1315は、最もトータル通行コストが低い経路を探索する。経路探索部1315の探索結果は、トータル通行コストが最小の経路のみ若しくはそれに加えた他の経路候補を含むことができる。例えば、経路探索部1315は、トータル通行コストが最も低い経路から所定数の経路を、経路候補として選択する。
【0067】
出力部1316は、経路探索部1315が探索した経路を、ディスプレイ140の画面上に表示又はプリンタ150に出力する。複数経路を表示する場合、出力部1316は、各経路の距離及びトータル通行コストの値も同時に出力する。
【0068】
図5は、経路作成装置100が衛星画像データ121及び地図データ122から、最適な経路を探索する処理を説明する処理フローである。以下、図5のフローチャートについて説明する。S500において、経路作成装置100のユーザは、キーボード160やマウス170などの入力装置を用いて、衛星画像データ121と地図データ122から経路作成するように経路作成装置100に指示する。
【0069】
プロセッサ110はその指示を受け取り、本処理フローを開始する。経路作成装置100は、先に衛星画像データ121や地図データ122を取得し、二次記憶装置120に格納済みであるものとする。まず、S501において、データ読み出し部1311は、二次記憶装置120から衛星画像データ121を読み出し、衛星画像データ121のメタデータに含まれる位置情報を取得する。
【0070】
S502において、データ読み出し部1311は、二次記憶装置120から地図データ122を読み出す。データ読み出し部1311は、ステップS501で読み出した衛星画像データ121と地図データ122を、それぞれ取得した位置情報を利用してリンクする。出力部1316は、リンクした衛星画像データ121と地図データ122を、ディスプレイ140に出力する。出力部1316は、衛星画像データ121又は地図データ122のみ表示してもよいし、複数のデータを重畳して表示してもよし、別ウィンドウ上にそれぞれデータを表示してもよい。
【0071】
S503において、経路作成装置100のユーザは、キーボード160などを用いて、表示されている衛星画像データ121又は地図データ122上で、始点と終点を設定する。始点・終点設定部1312は、ユーザが指定した始点と終点の位置情報を取得し、メモリ130の設定条件管理部134に記憶する。
【0072】
S504において、画像解析部1313は、衛星画像データ121のスペクトル情報を利用し、画像全体に対して土地被覆の分類処理を行う。画像解析部1313は、始点・終点設定部1312が設定した始点と終点の位置から、始点及び終点が含まれる任意の形状の領域のみ、分類処理を行うようにしてもよい。S505において、地形解析部1314は、衛星画像データ121から地形情報を抽出する。また、地形解析部1314は、地図データ122から地形情報を抽出してもよい。
【0073】
S506において、経路探索部1315は、設定条件管理部134が管理している設定データ123が示す経路探索条件を、画像解析部1313及び地形解析部1314が解析した結果に適用する。例えば、経路探索部1315は、地形データから得られる斜面の斜度情報を用いて、急斜面は通行しない等の条件を適用する。また、経路探索部1315は、画像解析結果から水域や建物領域を抽出し、該領域は通行しない等の条件を適用する。
【0074】
S507において、経路探索部1315は、上記経路探索条件を反映させた画像又は地図を利用し、始点・終点設定部1312が設定した始点から終点までの経路で、上記経路探索条件に適した領域を通る経路を、探索する。経路探索部1315は、経路探索において、各経路のトータル通過コストを算出する。
【0075】
トータル通行コストの算出方法は上述の通りであり、経路上の各画素又は各領域の通過重みを、設定データ123を参照して特定し、その通過重みと通過距離との乗算値を、通過コストとして得る。経路上の通過コストの総和が、その経路のトータル通過コストである。経路探索部1315は、候補経路として、トータル通行コストが他の経路よりも低い1又は複数の経路を抽出する。
【0076】
S508において、出力部1316は、上記ステップで探索された1又は複数の候補経路を、ディスプレイ140上に表示する。出力部1316は、経路を、衛星画像データ又は地図データ上に重畳して表示してもよい。また、プリンタ150に出力してもよい。
【0077】
以上のように、本実施形態1に係る経路作成装置100は、衛星画像データ121と地図データ122から、任意の目的地までの最適経路を作成し、その経路をディスプレイ140などでユーザに提示する。これにより、ユーザは道路がない場所でも、通行に適した経路を把握することができる。
【0078】
<実施形態2>
実施形態1は、衛星画像データ121や地図データ122を用いて、道路が存在していなくても、予め設定した始点と終点を通る最適な経路を作成することができる。一方、目的地が不明瞭な場合や目的とする領域が広い場合、ユーザが終点をどこにすべきか分からないことも考えられる。
【0079】
そこで実施形態2では、目的地である終点の候補地点を衛星画像データ121や地図データ122から抽出し、経路を鑑みて終点を決定する構成例を説明する。その他の構成は実施形態1と同様であるため、以下では差異点を中心に説明する。
【0080】
図6は、本実施形態2の経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成を示す図である。本実施形態2において、処理エンジン131は、実施形態1の図4で説明した構成に加え、設定入力部1317と対象領域抽出部1318を備える。設定入力部1317と対象領域抽出部1318は、他の機能部と同様に処理エンジン131内に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。
【0081】
設定入力部1317は、ユーザがキーボード160から入力した設定条件を受け取り、設定条件管理部134に渡す。設定条件は、目的地を定める条件及び経路探索条件を含む。ユーザは、ディスプレイ140に表示される設定条件からマウス170で条件を選択してもよい。
【0082】
ユーザは、ディスプレイ140に表示した衛星画像や地図上で、目的地を定める条件として、目的地が満たすべき土地状況の条件を入力する。ユーザは、条件として、目的領域を入力してもよい。また、ユーザは、経路探索条件として、通行不可能領域や通行すべき中間地点を入力してもよい。設定入力部1317は、ユーザがディスプレイ140上で入力した領域の位置情報を受け取り、設定条件管理部134に位置情報及び通行の可否を示す属性情報を渡す。
【0083】
対象領域抽出部1318は、設定条件管理部134が管理する条件に当てはまる地域(領域もしくは地点)を、衛星画像データ121及び地図データ122から抽出する。抽出地域は、目的地の候補である。地図データ122は使用しなくともよい。始点・終点設定部1312は、対象領域抽出部1318が抽出した領域もしくは地点から、終点の候補となる地点を選択する。
【0084】
具体的には、対象領域抽出部1318は、衛星画像データ121及び地図データ122から、各領域の土地状況を取得する。対象領域抽出部1318は、衛星画像データ121を解析して、必要により地図データ122を参照し、各領域もしくは地点の土地状況を特定する。土地状況の特定のための解析方法は、画像解析部1313及び地形解析部1314による解析方法と同様である。対象領域抽出部1318は、指定された条件についてのみ土地状況を特定すればよいが、画像解析部1313及び地形解析部1314と同じレベルの解析を行ってもよい。
【0085】
対象領域抽出部1318は、各領域の土地状況を参照し、設定条件管理部134が管理する目的地(対象領域)の土地状況の条件を満たす領域もしくは地点を探索し、それを抽出する。目的地の土地状況の条件は、土地被覆、地形及び土地利用の全て又は一部の要素により構成される。対象領域抽出部1318は、条件を満たす1又は複数の領域もしくは地点を抽出する。
【0086】
対象領域抽出部1318が衛星画像データ121と地図データ122から対象領域(目的地候補)を抽出する例として、植林に適した地域を抽出する例を以下に説明する。広大な砂漠地域を植林する場合、全面を一様に植林施工するのではなく、施工前に予め植林に適した領域を選択し、適した領域から順序だてて領域毎に植林を進めることがある。
【0087】
以下において、対象領域抽出部1318が、植林に適した領域を、衛星画像データ121と地図データ122から抽出する例を説明する。植林に適した領域としては、例えば過去からの土地状況の時系列変化から得られる砂漠化進行度が緩やかに進んでいる領域や、斜面の下部領域、土壌水分量が高い領域などがある。
【0088】
対象領域抽出部1318は、時系列の衛星画像データ121から、各衛星画像データの植生領域及び植生の種類を求め、その変化度合を計算することができる。例えば、対象領域抽出部1318は、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)と呼ばれる近赤外と赤領域のスペクトル情報を用いる植生指標を計算し、ある閾値以上の領域を植生領域として抽出すればよい。
【0089】
また、対象領域抽出部1318は、二次記憶装置120のデータベースに登録されている種別スペクトルと、衛星画像データ121から得られるスペクトルとを照合することで、植生の種類を求めることができる。
【0090】
対象領域抽出部1318は、これらの処理により、他領域と比べて比較的植生領域の後退がゆるやかな地域を抽出する。また、対象領域抽出部1318は、地形データから、斜面領域を抽出し、斜面の向きや斜度を抽出することができる。対象領域抽出部1318は、上記砂漠進行度や斜面の情報に対し、設定条件管理部134が管理する対象領域条件に合致する領域を選択する。これらの対象領域抽出処理により、対象となる植林に適した領域を抽出することができる。抽出する対象領域は単数でもよいし複数領域でもよい。
【0091】
以上のように、本実施形態2に係る経路作成装置100は、入力された設定条件に基づき、対象領域を衛星画像データ121と地図データ122から抽出することができる。これにより、最適な目的地を特定し、最適な目的地までの最適な経路をユーザに示すことができる。
【0092】
<実施形態3>
実施形態2では、目的地の候補(対象領域)を抽出する機能を追加した経路作成装置100の処理を説明した。複数の対象領域が存在する場合、どの領域を目的地とすべきか、又は複数の目的地をどの順でアクセスしたらよいか決定する場合が考えられる。そこで、本実施形態3では対象領域が複数存在する場合、その優先度を決定する処理について説明する。その他の構成は、実施形態1、2と同様であるため、以下では差異点を中心に説明する。
【0093】
図7は、本実施形態3に係る経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成図である。本実施形態3において、処理エンジン131は、実施形態1及び2で説明した構成に加え、優先度決定部1319を備える。図7は、図6に示す構成に優先度決定部1319を追加した例を示している。
【0094】
優先度決定部1319は、他の機能部と同様に処理エンジン131内に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。優先度決定部1319は、対象領域抽出部1318が出力した対象領域の土地状況の情報を受け取り、優先度決定処理を行う。優先度決定部1319は、画像解析部1313及び地形解析部1314の解析結果を取得して、それにより、優先度決定のために対象領域の土地状況を特定してもよい。優先度決定部1319が、画像データ121及び地図データ122を解析してもよい。
【0095】
土地状況と優先度との関係が予め定義されており、優先度決定部1319はこの定義情報を参照して、各対象領域の優先度を決定する。定義情報は設定条件管理部134により管理され、設定データ123内に格納することができる。定義情報は、ユーザにより設定される又はネットワークを介して外部から取得する又は予め設定データ123に設定登録されている。
【0096】
土地状況における土地被覆により優先度を決定する場合、土地被覆の各種類と優先度の値とが優先度定義情報において関連付けられる。この他、土地被覆の時間変化の情報と優先度を関連付けることもできる。例えば、植林の例において、裸地の優先度が高く、次いで草原、疎林となり、湿地や耕地などは優先度が低くなる。また、植生域の進行度や土壌の状態を優先度に関連づけてもよい。
【0097】
土地状況における地形により優先度を決定する場合、標高や斜度などの領域の高さに関する特性値と優先度が優先度定義情報において関連づけられる。例えば、植林の例において、急斜面は優先度が低く、平坦地は優先度が高い。優先度定義情報は、例えば、複数の斜度の範囲のそれぞれに対応する優先度を定義し、複数の標高の範囲のそれぞれに対応する優先度の値を定義する。この他、優先度定義情報は、利用状況の種類と優先度とを関連づけてもよい。
【0098】
優先度決定部1319は、対象領域の優先度を、その対象領域までの経路に基づいて決定することができる。優先度決定部1319は、対象領域まで経路のトータル通行コストによる優先度を決定する。経路のトータル通行コストは、経路探索部1315から得ることができる。例えば、対象領域への最も低いトータル通行コストを使用する。定義情報は、例えば、通行コストの値の範囲と対応する優先度の値を定義する。
【0099】
対象領域に複数の条件(例えば土地被覆の種類と斜度)の優先度を付与することができる場合、優先度決定部1319は、そのうち一つ又は複数の優先度から、その対象領域の優先度を決定する。例えば、優先度決定部1319は、ユーザが指定した単一条件の優先度の値を、その対象領域の優先度の値と決定する。若しくは、優先度決定部1319は、複数条件の優先度を足しわせて、対象領域の優先度の値として使用する。このとき、条件に重みをつけてもよい。対象領域に同一条件に対する複数の優先度の値を付与することができる場合、例えば、対象領域が土地被覆の複数種類を含む場合も同様である。
【0100】
優先度決定部1319は、優先度の決定において面積を使用してもよい。面積が広い程、優先度が高くなる。例えば、優先度定義情報から決定した優先度の値と面積との乗算値を使用する。対象領域に同一条件に対する複数の優先度の値を付与することができる場合、それら領域の面積と優先度との乗算値の総和から、その対象領域の優先度を決定する。
【0101】
以上のように、本実施形態3に係る経路作成装置100は、複数の目的地候補としての対地域が抽出された場合に、各地域に優先度を付けることができる。さらに対象領域に至るまでのトータル通行コストにより、経路を決定する。これにより、ユーザは土地状況に応じ、施工領域の優先度を得ることができ、さらに施工領域までの通行コストの低い経路を優先的に選択することができる。
【0102】
<実施形態4>
実施形態1〜3では、始点及び終点までの道路が存在しない場合、土地の状況から最適な経路を探索する処理について説明した。一方、道路が存在していても障害物があり、道路が通行できない場合がある。そこで本実施形態4は、道路上の障害物を検知し、それに基づいた経路探索する構成例を説明する。その他の構成は、実施形態1〜3と同様であるため、以下では差異点を中心に説明する。
【0103】
図8は、本実施形態4に係る経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成図である。本実施形態4において、処理エンジン131は、実施形態1〜2で説明した構成に加え、障害物抽出部1310を備える。図8は、図6で説明した構成のうち、対象領域抽出部1318の代わりに障害物抽出部1310を設けた例を示している。
【0104】
障害物抽出部1310は、他の機能部と同様に処理エンジン131内に含まれるプログラムモジュールとして構成されている。障害物抽出部1310は、設定入力部1317から障害物の条件を受け取り、データ読み出し部1311が読み出した衛星画像データ121を、必要により地図データ122を参照して解析し、障害物の領域を抽出する。障害物は、例えば、道路上の瓦礫である。
【0105】
障害物の抽出は、上記の特徴空間におけるクラスタリングを利用することができる。例えば、テクスチャやスペクトルにおける特徴量を利用することができる。一例として、衛星画像データ121で十分確認できるサイズの瓦礫が道路上に存在していると仮定する。障害物抽出部1310は、衛星画像データ121と地図データ122を、それぞれのデータが有する位置情報を利用して位置合わせを行い、道路領域を抽出する。障害物抽出部1310は、衛星画像データ121から、瓦礫領域の抽出を行う。
【0106】
障害物抽出部1310は、例えば、ユーザがディスプレイ140に表示された衛星画像データ121上で指定した瓦礫と類似している領域を抽出する。また、瓦礫の特徴を予め二次記憶装置120に記憶しておき、その特徴と合致する領域を抽出してもよい。瓦礫領域は単一でもよいし、複数領域を抽出してもよい。
【0107】
障害物抽出部1310は、抽出した瓦礫領域が道路上に存在する場合、該道路に瓦礫の分布状況に応じて属性を付加する。例えば、道路幅以上に分布していれば通行不可能、道路の一部に分布していれば通行注意等の属性が付与される。障害物抽出部1310は、通行情報を付加した道路データを二次記憶装置120に格納する。
【0108】
経路探索部1315は、道路の通行状態を表す属性情報を利用して、地図データ122上の道路を通る経路探索を行う。出力部1316は、探索した経路をディスプレイ140に表示するとともに、分断等の道路の通行状況も表示する。また、プリンタ150に出力してもよい。
【0109】
以上のように、本実施形態4に係る経路作成装置100は、既存の道路の通行状況を、衛星画像データから判断し、現況の道路通行状態を道路データの属性として出力し、二次記憶装置120に蓄積する。通行状態を保持した道路データを利用して、経路探索部1315は、現況に即した経路探索を行う。これにより、障害物等により道路通行が困難な場合でも、最適な経路を探索し、ユーザに示すことができる。
【0110】
<実施の形態5>
実施形態4では、障害物抽出部1310により障害物の存在位置を抽出し、既存の道路状況を判断し、道路を通る最適な経路を探索する処理について説明した。道路が分断されている場合、道路の補修や障害物の除去を行うことがあり、分断地点の把握と分断地点への適切なアクセスの順序を探索したい場合がある。
【0111】
また、障害物除去においては、障害物の集積場があり、集積場への効率的な往復経路および障害物巡回経路を探索したい場合もある。障害物除去により、他の障害物へアクセス可能な経路も変化する。本実施形態5では、障害物抽出部1310によって道路の分断情報を抽出して通行コストに反映し、集積場から複数の障害物へのアクセスの優先度の決定及び経路探索を行う構成を説明する。
【0112】
本実施形態5の経路作成装置100は、始点から目的地までの最小通行コストの経路上に障害物が存在する場合、障害物を除去する作業コストと障害物を迂回する別経路の通行コストを考慮して、経路情報をユーザに提供する。以下では、実施形態1〜4との差異点を中心に説明する。
【0113】
図15は、本実施形態5に係る経路作成装置100が備える処理エンジン131のモジュール構成図である。本実施形態5において、処理エンジン131は、実施形態4で説明した構成に加え、新たに作業見積もり部1320を備える。
【0114】
図9は、本実施形態5に係る経路作成装置100が、道路上に障害物901や障害物902が存在し、障害物901、902から集積場903まで道路上を往復する場合に、最適経路を探索する例を示す概念図である。作業者が、道路上の障害物を除去し、作業車両で集積場へ除去した障害物を運搬する場合、障害物902から集積場903への道路は障害物901に分断されているため、障害物902から集積場903へアクセスすることは困難である。
【0115】
そこで本実施形態は、衛星画像データ121と地図データ122を解析し、現在の状況を把握し、始点・終点を順に変更することにより、複数対象地点への経路を作成する。さらに、目的とする障害物までの経路上に別の障害物が存在する場合、障害物撤去に有するコストと別経路を利用するコストを計算し、ユーザに提供する。本実施形態において、障害物撤去のコストは、通行コストと比較することができるように、同一の基準で定義される。
【0116】
以下では、瓦礫が道路上の複数の地点に存在し、複数の瓦礫領域に対し優先順位を与え、集積場へ数回に分けて運搬する場合を、各モジュールの処理を説明する。例えば、ユーザは、キーボード160やマウス170により、集積場の位置又は領域を入力する。入力には、ディスプレイ140上でマウス170によって位置や領域を指定してもよいし、集積場の位置を示す緯度経度等の位置情報をキーボード160で入力してもよい。
【0117】
また、優先的に撤去したい瓦礫の選定基準をユーザが入力してもよい。選定基準として、例えば道路上に存在し、量が多い瓦礫から撤去する、といった設定が考えられる。選定基準の入力には、道路、民家領域といった領域名称をディスプレイ140上に示し、ユーザが選択又は順位付けを行う。さらに、上記設定を自然言語で入力してもよい。通行コストがより低い瓦礫に、より高い優先度を付与してもよい。この場合、通行コストが低い順で瓦礫にアクセスして撤去する。以下ではユーザが、道路上に存在し、量が多い瓦礫から撤去するという選定基準を設定したと仮定して説明する。
【0118】
設定入力部1317は、ユーザが入力した集積場の位置および選定基準を受け取り、設定条件管理部134へ渡す。例えば、ユーザは、選定基準として、道路上の瓦礫で量が多い瓦礫から撤去すると設定する。障害物抽出部1310は、実施形態3で説明したように、衛星画像データ121を解析して障害物である瓦礫の領域を抽出する。障害物抽出部1310は、抽出した瓦礫領域のうち、道路上に存在する障害物を選択する。瓦礫領域は、その瓦礫撤去作業を行う作業領域である。
【0119】
図9の例において、障害物901と障害物902が、ユーザ指定された選定基準を満たす障害物に該当する。また、障害物抽出部1310は、全ての瓦礫領域を抽出し、抽出した瓦礫領域をディスプレイ140上に表示し、ユーザが優先度の高い瓦礫領域を指定してもよい。ユーザが選定基準を指定していない場合、集積場までの通行コストによって瓦礫の優先度を決定する。これは後述する経路探索部1315が示す経路のうち、通行コストが低い順に優先度を設定することで行う。
【0120】
障害物抽出部1310は、抽出した瓦礫の分布状況から、道路の分断情報を抽出し、地図データに属性情報として付加する。その後の瓦礫除去作業等により道路の分断が改善された場合には、障害物抽出部1310は、分断が改善された領域部分を通行可能とし、道路の分断情報を更新する。
【0121】
道路の分断は、該当道路の通行重みに最大値を与えることで定義してもよいし、データ上での道路ネットワークを切断してもよい。障害物抽出部1310は、瓦礫の除去完了を、現況の衛星画像データ121を、再度解析することにより認識してもよい。又は、ユーザが作業完了の指示を受け取り、道路の分断情報を経路作成装置100に入力し、設定入力部1317からその情報受け取った障害物抽出部1310が、地図データを更新してもよい。
【0122】
作業見積もり部1320は、対象となる瓦礫の量を推定し、瓦礫撤去に係る作業量(コスト)を見積もる。作業見積もり部1320は、障害物抽出部1310が抽出した瓦礫領域の情報を受け取り、瓦礫領域の面積を推定する。作業見積もり部1320は、面積から、おおよその瓦礫量を計算する。瓦礫量の計算は、面積に定数をかけて求めてもよいし、衛星や航空機で撮影したステレオ画像から瓦礫の高さを推定し、面積に推定した高さを掛けることで求めてもよい。
【0123】
作業見積もり部1320は、航空機等に搭載されたレーザデータから推定した地表面高さから瓦礫の高さ情報を抽出してもよい。計算した瓦礫量を、ユーザが利用を想定している作業機器の搭載量で割ることで、作業見積もり部1320は、瓦礫撤去作業量を推定する。作業量としては、例えば10tトラックで20回分などのように推定する。作業車両の搭載量等のデータは後述する実施の形態6で説明する。
【0124】
始点・終点設定部1312は、集積場の位置を設定条件管理部134から受け取り、始点を集積場903に設定する。さらに、終点を障害物901と障害物902の領域に設定する。始点を障害物、終点を集積場と逆に設定してもよい。
【0125】
経路探索部1315は、始点・終点設定部1312が設定した始点と終点間の経路を探索する。道路の分断情報が属性として地図データ122に付加されており、経路探索部1315は、道路が分断されていない経路を探索する。経路探索部1315は、通過可能な道路のうち、始点・終点まで探索可能な経路を選択し、ユーザに表示する経路として、そのうちのトータル通行コストが最小の経路を選択する。経路探索部1315は、トータル通行コストが他のよりも小さい複数の経路を選択してもよい。
【0126】
好ましい構成において、経路探索部1315は、障害物901を撤去して、通行可能となった経路を使用する場合のトータル通行コストを算出する。このトータル通行コストは、通行可能となった後の経路の通過コストに加え、障害物901の撤去作業のコスト(通行コスト換算)を含む。
【0127】
障害物901の撤去作業のコストは、作業見積もり部1320が見積もった作業から算出することができる。上述のように、作業見積もり部1320は、作業車両による運搬回数により作業量を見積もる。設定データ123は、瓦礫の車両への積み込みや積み下ろしなど、瓦礫の運搬以外の作業に対するコスト重みを記憶しており、そのコスト重みと上記見積もり作業量との乗算値が、運搬以外の作業のコストである。なお、設計によっては、運搬以外の作業のコストを考慮しなくともよい。
【0128】
経路探索部1315は、集積場から障害物901までの最小通行コストの経路を探索する。運搬回数が障害物と集積場との往復回数であるとして、経路探索部1315は、運搬回数の2倍の数に通行コストを乗算した値を算出する。その値が、運搬作業にかかるトータル通行コストである。運搬作業にかかるトータル通行コストとその他作業のコストとの和が、瓦礫撤去作業のトータルコストである。
【0129】
経路探索部1315は、障害物902への経路に関連して、障害物901を迂回した経路及びその通行コスト、障害物901を除去して通過可能となる経路及び撤去作業コストを含む通行コストを算出する。二つ目の通行コスト算出において、経路探索部1315は、障害物901の除去作業における経路及びその通行コスト、並びに、障害物901を撤去した後の経路及びその通行コストを算出する。
【0130】
出力部1316は、上記経路及び通過コストをディスプレイ140に表示し、ユーザに提示する。つまり、出力部1316は、障害物901を迂回した経路及びその通過コスト、並びに、障害物901を除去して通過可能とした経路及びその通過コストを表示する。障害物901の撤去作業のコストと撤去後の経路の通過コストも個別に表示する。出力部1316は、同様の内容を、プリンタ150に出力してもよい。ユーザは、障害物901に対して撤去作業を行うか、障害物901を迂回して障害物902にアクセスするか選択することができる。
【0131】
上記説明は、道路上に瓦礫が存在する場合に瓦礫を撤去する経路をユーザに示す場合である。さらに、本実施形態は、複数の植林領域(植林を行う予定の領域)に対する経路を示す場合にも適用できる。植林領域は、そこで植林を行う作業領域である。以下では本実施形態の適用例として、植林領域への経路探索について説明する。上記瓦礫撤去の場合は、集積場を起点として障害物までの経路を探索したが、植林領域への経路探索の場合は、資材置き場を起点として、複数の植林領域までの経路を探索すると仮定する。
【0132】
障害物抽出部1310は、すでに植林が行われた領域を抽出する。植林した領域は、車両の通行が困難になる。障害物抽出部1310は、植林が行われた領域を、衛星画像データ121から植生領域を抽出してもよいし、ユーザからの植林完了入力を受けて特定してもよい。
【0133】
作業見積もり部1320は、対象となる植林領域に対し、植林領域の面積から植林する樹木の数を推定し、それに係る作業量を見積もる。植林領域は、ユーザが指定した植林領域選定基準に該当する領域であり、上述のように、対象領域抽出部1318により抽出されている。
【0134】
作業見積もり部1320は、例えば、樹木を運送するトラックの搭載量から運搬回数を基準として、作業量を見積もることができる。始点・終点設定部1312は、資材置き場を始点に設定し、各植林領域を終点に設定する。
【0135】
経路探索部1315は、始点・終点設定部1312が設定した始点から各領域に設定した終点までの経路を探索する。ここで、経路上に植林領域が存在する場合、その経路上の植林領域(ユーザ選定基準による優先度が高い)から作業を始めると、植林が完了した時点で該当領域は通行不可能となるため、ほか植林領域への経路が分断されることになる。
【0136】
そのため、経路探索部1315は、各経路上に植林領域が存在するか判定し、存在する場合には、その植林領域を通過する経路の他に、その植林領域によって経路が分断されると仮定した迂回経路を探索する。具体的には、経路探索部1315は、地図データ122の道路属性情報を更新し、経路探索を行う。さらに、経路探索部1315は、植林領域を通過する経路と迂回経路の双方について、作業見積もり部1320が算出した作業量から、植林に係る作業のコストを算出する。
【0137】
本例において、作業コストの算出は、植林のための運搬作業のコスト(通行コスト)を算出する。経路探索部1315は、算出した経路の通行コストと樹木の運搬回数から、運搬作業におけるトータルの通行コストを算出することができる。具体的には、一回の運搬が経路の往復に相当するとして、運搬回数の二倍に通過コストを乗算した値を、植林作業におけるトータル通過コストとして使用することができる。
【0138】
具体例として、植林領域Aと植林領域Bが存在し、植林領域Aが植林領域Bまでの経路上に存在するとする。植林領域Aは、ユーザが指定した選定基準に当てはまり、植林領域Bよりも植林の優先度が高いとする。ユーザの指定によると、植林領域Aから作業が始まる。しかし、植林領域Aの植林が完了した後に植林領域Bの植林を行う場合、植林領域Bまでの最小コスト経路で通行することが困難となる。
【0139】
経路探索部1315は、道路分断がない状況での植林領域Bの植林作業に伴う往復回数を反映した通行コスト及び経路を算出する。さらに、経路探索部1315は、道路分断がある状況での植林領域Bの植林作業に伴う往復回数を反映した通行コスト及び経路を算出する。出力部1316は、各経路および各通行コストをディスプレイ140に表示し、ユーザに提示する。この処理により、作業に伴う経路および通行コストの変化をユーザに提示することができ、ユーザによる植林領域の選択順序の決定を助けることができる。
【0140】
上記二つの作業における経路探索は、一つの地点(集積場又は資材置き場)から、複数の目的領域へのそれぞれの経路を探索した。これと異なり、経路作成装置100は、複数の目的領域に対し、周回経路を探索することができる。
【0141】
始点・終点設定部1312は、最初の目的地に達成した時点で、最初の目的地を始点とし、目的地から除外する。終点は、全ての他の対象領域に対して設定し、経路探索部1315に対して経路探索を行う。探索した経路のうち、最小通行コストに該当する経路および終点を選択する。上記のように、始点を適宜変更することにより、現況の道路状況に応じた周回経路を決定することができる。
【0142】
以上のように、本実施形態5に係る経路作成装置100は、障害物抽出部1310により経路上の障害物領域を抽出し、経路探索部1315は、ユーザが指定した地点から障害物領域への往復経路を探索する。また、複数の障害物領域が存在する場合、経路探索部1315は、障害物に関する作業量を鑑みた経路および通行コストをユーザに提示する。これにより、障害物等により道路が分断される場合に、複数領域における作業の順序及び経路をユーザに示すことができる。
【0143】
<実施形態6>
実施形態5では、経路作成装置100が障害物抽出部1310を備え、道路上の障害物を検知し、障害物までの経路を探索する例を説明した。ここで、障害物等を除去するには、重機等の特殊車両が必要となる。道路が十分に広い場合は問題ないが、道路が狭い又は道路が曲がっているなど重機が通行できない場合が考えられる。
【0144】
そこで、本実施形態6では、予め記憶してある重機等の情報を利用し、通行可能な経路のみユーザに表示する経路作成装置100を説明する。以下では、障害物を重機によって撤去する場合を例に挙げて説明する。図10は、実施形態6に係る経路作成装置100の機能ブロック図である。本実施形態6に係る経路作成装置100において、二次記憶装置120は、実施形態1〜5で説明した構成に加えて、車両データ124を格納している。
【0145】
図11は、車両データ124の構成とデータの例を示す図である。車両データ124は、車両のサイズや通行可能幅等を記述している。さらに、通行可能な土地状況も記述している。例えば、車両データ124は、車種が、舗装道や砂利、土や岩場を通行可能かを示す。
【0146】
経路探索部1315は、図5のフローチャートにおけるS506で、地図データ122とユーザが予め指定した車両の車両データ124を受け取る。経路探索部1315は、画像解析部1313及び地形解析部1314から受け取った通行コストに応じ、既存の道路を通行する場合の最短経路を探索する。経路探索部1315は、選択した経路上で、車両データ124に記述されている車両の通行可能サイズと、地図データ122に記述されている道路幅及び曲率を照らし合わせ、通行可能性を判定する。
【0147】
以下に、図11に示すデータを例として、通行可能性の判定を説明する。図11に記載されている重機1が道路を通行する場合、幅2.3m以上の道路幅が必要である。経路探索部1315は、候補として抽出した最短経路に幅2.3m以下の道路が含まれるか、地図データ122の付加情報を検索する。幅2.3m以下の道路が存在する場合、経路探索部1315は、該当道路は重機1に対しては通行不可能であると判定する。
【0148】
さらに、経路上に曲がり角が存在する場合、経路探索部1315は、道路幅及び角度と、重機1の横幅及び縦幅から、通行可能性を判定する。選択した重機1が、該当曲がり角の通行が不可能な場合、経路探索部1315は、該当道路は通行不可能であると判定する。
【0149】
経路探索部1315は、通行不可能と判定された道路は、該当箇所の道路においての通行コストを最大になるように設定する。重機2がユーザにより選択された場合、機器の横幅及び縦幅等のデータが異なるので、道路の通行可能性判定の結果が変化する。すなわち、機器によって探索される経路が異なる。
【0150】
上記手順により探索された経路上で通行不可能な箇所が存在した場合、経路探索部1315は、通行不可能箇所を地図データ122に属性として付加し、二次記憶装置120に記憶する。通行不可能箇所があれば、経路探索部1315は、再度、最小通過コストの経路を探索する。
【0151】
さらに、既存の道路が全て通行不可能である場合も考えられる。その場合は、経路作成装置100は、画像解析部1313によって、衛星画像データ121を解析し、道路以外の領域の土地状況を特定する。例えば、特定される土地状況は、土地の利用状況、土地被覆、舗装の有無、障害物の有無などである。
【0152】
道路が通行不可能な場合、道路以外の領域において、経路探索部1315は、解析した土地状況と、車両データ124が保持する通行可能な土地状況を照合し、通行可能な領域を通る経路を探索する。これにより、通行可能な道路がなくても、道路以外の領域においての経路を探索し、ユーザに示すことができる。
【0153】
その他、道路状況に応じて使用する車両を変更してもよい。その場合、経路作成装置100は、車両データ124に記述されている複数の車両のうち、経路探索部1315が探索した最小通行コストの経路を通行できる車両を選択し、ユーザに使用車両及び経路を示すことができる。以上のように本実施形態6に係る経路作成装置100は、使用する車両データ124と地図データ122から、車両が通行可能な道路を選択し、ユーザに最適経路を示すことができる。
【0154】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0155】
上記各構成、機能、処理部などは、それらの全部又は一部を、例えば集積回路で設計することによりハードウェアとして実現することもできるし、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを実行することによりソフトウェアとして実現することもできる。各機能を実現するプログラム、テーブルなどの情報は、メモリやハードディスクなどの記憶装置、ICカード、DVDなどの非一時的記憶媒体に格納することができる。
【0156】
上記実施形態は、一つの計算機による経路作成装置を説明したが、経路作成システムは、一つの計算機又は処理を分担する複数の計算機により構成することがでる。上記構成における機能部の構成は一例であって、上記構成における特定の機能部の処理の一部を他の機能部が行ってもよい。
【符号の説明】
【0157】
100:経路作成装置、110:プロセッサ、120:二次記憶装置、121:衛星画像データ、122:地図データ、123:設定データ、124:車両データ、130:メモリ、131:処理エンジン、132:処理エンジン管理部、133:演算情報管理部、134:設定条件管理部、140:ディスプレイ、150:プリンタ、160:キーボード、170:マウス、301:始点、302:終点、901:障害物、902:障害物、903:集積場、1211:メタデータ、1212:計測データ、1310:障害物抽出部、1311:データ読み出し部、1312:始点・終点設定部、1313:画像解析部、1314:地形解析部、1315:経路探索部、1316:出力部、1317:設定入力部、1318:対象領域抽出部、1319:優先度決定部、1320:作業見積もり部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
始点と終点との間における経路を作成する経路作成システムであって、
空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定する、解析部と、
通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納する、記憶部と、
前記解析部の解析結果及び前記通行コスト情報を使用して前記始点から前記終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出の結果に基づいて前記始点から前記終点までの利用経路候補を決定する、経路探索部と、を含む経路作成システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記空中画像データに含まれる領域の地図データを格納し、
前記解析部は、前記地図データに含まれる道路の位置情報を使用して、前記空中画像データ内の道路を特定し、
前記経路探索部は、前記道路を含む経路の通行コストを、前記通行コスト情報を参照して算出する、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項3】
前記解析部は、前記土地状況の特定において地形状況及び土地被覆状況を特定し、
前記経路探索部は、前記通行コスト情報を参照して、前記特定した地形状況及び土地被覆状況から前記通行コストを算出する、請求項2に記載の経路作成システム。
【請求項4】
前記記憶部は、経路探索範囲から除外する領域を指定する経路探索条件を格納し、
前記経路探索部は、前記経路探索条件が指定する領域を除外した領域において前記利用経路候補を探索する、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項5】
前記記憶部は、目的地の候補となる対象領域の特徴を示す対象領域情報をさらに格納し、
前記経路作成システムは、
前記対象領域情報を参照して、前記空中画像データから前記対象領域の特徴を示す領域を抽出する、対象領域抽出部と、
前記対象領域抽出部に抽出された対象領域を前記終点に設定する、終点設定部と、をさらに含む、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記対象領域抽出部に抽出された対象領域を前記終点として設定することの優先度と当該対象領域の土地状況とを関連付ける優先度情報、をさらに格納し、
前記経路作成システムは、前記優先度情報を参照して、前記対象領域抽出部が抽出した複数の対象領域の土地状況から当該複数の対象領域の優先度を決定する優先度決定部をさらに含む、請求項5に記載の経路作成システム。
【請求項7】
前記空中画像データの解析結果から障害領域を抽出し、前記地図データから得られる道路の位置と前記抽出した障害領域の位置とから、前記地図データに道路の分断情報を付与する、障害抽出部、をさらに含む、請求項2に記載の経路作成システム。
【請求項8】
前記経路作成システムは、出力部をさらに含み、
前記経路探索部は、作業を行う複数の作業領域への経路探索を行い、
前記始点から第1作業領域への第1経路上に第2作業領域が存在し、第2作業領域での作業により当該第2作業領域の通行可/通行不可が変化する場合に、前記経路探索部は、第2作業領域を迂回する第2経路の通行コストと、前記第2作業領域での作業における前記始点と前記第2作業領域との間の往復における通行コストを含む作業コストと、を算出し、
前記出力部は、前記第1経路と、前記作業コストと、前記第2経路と、当該第2経路の通行コストとを出力する、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項9】
前記記憶部は、車両の車体に関するデータを含む車両データをさらに格納し、
前記経路探索部は、前記車両データと前記地図データとを照合して、前記車両が道路を通行可能か判定する、請求項2に記載の経路作成システム。
【請求項10】
始点と終点との間における経路を作成する経路作成方法であって、
演算部が、空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定し、
記憶部が、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納し、
前記演算部が、前記解析の結果及び前記通行コスト情報から、前記始点から前記終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出結果に基づいて前記始点から前記終点までの利用経路候補を決定し、
表示部が前記利用経路候補を表示する、ことを含む経路作成方法。
【請求項11】
前記記憶部が、前記空中画像データに含まれる領域の地図データを格納し、
前記演算部が、前記地図データに含まれる道路の位置情報から、前記空中画像データ内の道路を特定し、
前記演算部が、前記道路を含む経路の通行コストを、前記通行コスト情報を参照して算出する、請求項10に記載の経路作成方法。
【請求項12】
プロセッサと記憶装置とを含む計算機システムに、始点と終点との間における経路を作成する処理を行わせるプログラムであって、前記プロセッサに、
空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定するステップと、
前記記憶装置に格納されている、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報、を参照するステップと、
前記解析により特定された土地状況及び前記通行コスト情報から、前記始点から前記終点までの複数の経路における通行コストを算出するステップと、
前記通行コストの算出結果に基づいて前記始点から前記終点までの利用経路候補を決定するステップと、を実行させるプログラム。
【請求項13】
前記記憶装置に格納されている前記空中画像データに含まれる領域の地図データを参照するステップと、
前記地図データに含まれる道路の位置情報から、前記空中画像データ内の道路を特定するステップと、
前記道路を含む経路の通行コストを、前記通行コスト情報を参照して算出するステップと、をさらにプロセッサに実行させる、請求項12に記載のプログラム。
【請求項1】
始点と終点との間における経路を作成する経路作成システムであって、
空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定する、解析部と、
通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納する、記憶部と、
前記解析部の解析結果及び前記通行コスト情報を使用して前記始点から前記終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出の結果に基づいて前記始点から前記終点までの利用経路候補を決定する、経路探索部と、を含む経路作成システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記空中画像データに含まれる領域の地図データを格納し、
前記解析部は、前記地図データに含まれる道路の位置情報を使用して、前記空中画像データ内の道路を特定し、
前記経路探索部は、前記道路を含む経路の通行コストを、前記通行コスト情報を参照して算出する、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項3】
前記解析部は、前記土地状況の特定において地形状況及び土地被覆状況を特定し、
前記経路探索部は、前記通行コスト情報を参照して、前記特定した地形状況及び土地被覆状況から前記通行コストを算出する、請求項2に記載の経路作成システム。
【請求項4】
前記記憶部は、経路探索範囲から除外する領域を指定する経路探索条件を格納し、
前記経路探索部は、前記経路探索条件が指定する領域を除外した領域において前記利用経路候補を探索する、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項5】
前記記憶部は、目的地の候補となる対象領域の特徴を示す対象領域情報をさらに格納し、
前記経路作成システムは、
前記対象領域情報を参照して、前記空中画像データから前記対象領域の特徴を示す領域を抽出する、対象領域抽出部と、
前記対象領域抽出部に抽出された対象領域を前記終点に設定する、終点設定部と、をさらに含む、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記対象領域抽出部に抽出された対象領域を前記終点として設定することの優先度と当該対象領域の土地状況とを関連付ける優先度情報、をさらに格納し、
前記経路作成システムは、前記優先度情報を参照して、前記対象領域抽出部が抽出した複数の対象領域の土地状況から当該複数の対象領域の優先度を決定する優先度決定部をさらに含む、請求項5に記載の経路作成システム。
【請求項7】
前記空中画像データの解析結果から障害領域を抽出し、前記地図データから得られる道路の位置と前記抽出した障害領域の位置とから、前記地図データに道路の分断情報を付与する、障害抽出部、をさらに含む、請求項2に記載の経路作成システム。
【請求項8】
前記経路作成システムは、出力部をさらに含み、
前記経路探索部は、作業を行う複数の作業領域への経路探索を行い、
前記始点から第1作業領域への第1経路上に第2作業領域が存在し、第2作業領域での作業により当該第2作業領域の通行可/通行不可が変化する場合に、前記経路探索部は、第2作業領域を迂回する第2経路の通行コストと、前記第2作業領域での作業における前記始点と前記第2作業領域との間の往復における通行コストを含む作業コストと、を算出し、
前記出力部は、前記第1経路と、前記作業コストと、前記第2経路と、当該第2経路の通行コストとを出力する、請求項1に記載の経路作成システム。
【請求項9】
前記記憶部は、車両の車体に関するデータを含む車両データをさらに格納し、
前記経路探索部は、前記車両データと前記地図データとを照合して、前記車両が道路を通行可能か判定する、請求項2に記載の経路作成システム。
【請求項10】
始点と終点との間における経路を作成する経路作成方法であって、
演算部が、空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定し、
記憶部が、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報を格納し、
前記演算部が、前記解析の結果及び前記通行コスト情報から、前記始点から前記終点までの複数の経路における通行コストを算出し、当該算出結果に基づいて前記始点から前記終点までの利用経路候補を決定し、
表示部が前記利用経路候補を表示する、ことを含む経路作成方法。
【請求項11】
前記記憶部が、前記空中画像データに含まれる領域の地図データを格納し、
前記演算部が、前記地図データに含まれる道路の位置情報から、前記空中画像データ内の道路を特定し、
前記演算部が、前記道路を含む経路の通行コストを、前記通行コスト情報を参照して算出する、請求項10に記載の経路作成方法。
【請求項12】
プロセッサと記憶装置とを含む計算機システムに、始点と終点との間における経路を作成する処理を行わせるプログラムであって、前記プロセッサに、
空中画像データを解析して、当該空中画像データ内の領域の土地状況を特定するステップと、
前記記憶装置に格納されている、通行の困難性を表す通行コストの係数と土地状況とを関連付ける通行コスト情報、を参照するステップと、
前記解析により特定された土地状況及び前記通行コスト情報から、前記始点から前記終点までの複数の経路における通行コストを算出するステップと、
前記通行コストの算出結果に基づいて前記始点から前記終点までの利用経路候補を決定するステップと、を実行させるプログラム。
【請求項13】
前記記憶装置に格納されている前記空中画像データに含まれる領域の地図データを参照するステップと、
前記地図データに含まれる道路の位置情報から、前記空中画像データ内の道路を特定するステップと、
前記道路を含む経路の通行コストを、前記通行コスト情報を参照して算出するステップと、をさらにプロセッサに実行させる、請求項12に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−19683(P2013−19683A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150876(P2011−150876)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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