説明

結像レンズおよびカメラ装置および携帯情報端末装置

【課題】フォーカシングの際に前群を固定するタイプで、射出瞳位置が像面から大きく離れ、大口径かつ小型、高性能の結像レンズを実現可能とする。
【解決手段】物体側から像側へ向かって順に、正または負の屈折力を有する第1レンズ群Gr1、正の屈折力を有する第2レンズ群Gr2、正の屈折力を有する第3レンズ群Gr3を配し、第2レンズ群と像面との間に光学絞りStopを配してなり、第1レンズ群を固定し、第2レンズ群と第3レンズ群を光軸方向へ移動させてフォーカシングを行ない、無限遠合焦時の全系の焦点距離:F、第1レンズ群の焦点距離:F1、第2レンズ群の焦点距離:F2、第3レンズ群の焦点距離:F3が、条件:
(1) 0.5 <F2/F3< 1.6
(2) 6.0 <|F1|/F< 20.0
を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結像レンズおよびカメラ装置および携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、CCDやCMOS等の固体撮像素子を使用する撮像装置として、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラが普及し、特にデジタルスチルカメラは銀塩カメラに代わる撮像装置として広く普及している。
【0003】
撮像装置に用いられる固体撮像素子の高画素化が進むに伴い、撮像レンズとしての結像レンズには、より高い光学性能が求められる。また、撮像装置の携帯性の面から、市場では「高性能化とコンパクト化を両立させたもの」が求められている。
【0004】
撮影速度も高速化が進み、撮像レンズとして「より明るいレンズ」が求められている。
【0005】
デジタルカメラ用の撮像レンズの画角については、スナップ写真等で手軽に撮影できるある程度の広角が好まれており、35mm判写真換算で「〜40mm相当の焦点距離」に相当する半画角:「27度〜」が画角の目安の一つとなっている。
【0006】
大口径写真レンズとして広く知られた「ガウスタイプ」では、焦点距離は「35mm判写真換算で50mm程度」に構成されるのが一般的であった。
近来、大口径レンズでも「広角単焦点レンズ」が望まれる傾向にあるが「焦点距離を50mmよりも広角側に短くする」場合、コマ収差や像面湾曲が大きくなって、その抑制が困難となる。大口径の35mm判換算で「50mmよりも広角の焦点距離のレンズ」としては、特許文献1〜3に開示されたものが知られている。
【0007】
特許文献1、2に開示された結像レンズは、大口径ではあるが、射出瞳位置が像面に近く、撮像を行なうCCDやCMOSの固体撮像素子のサイズを考慮すると、シェーディングが発生することが考えられる。
【0008】
特許文献3に開示された結像レンズは、Fナンバ:1.9と明るく、大口径化の面で優れているが、レンズ全長が最大像高の9倍以上と大きく、小型化の面で尚改良の余地がある。
【0009】
フォーカシングの際に光学全長が変化する「前群繰り出しタイプの結像レンズ系」は、レンズ群の繰り出しにより群間隔を変化させることで「収差変動を少なく出来る」が、レンズ系全長が変化するため、操作性や取り扱いの面で煩わしさがある。
前群を固定してフォーカシングを行なう「インナフォーカスタイプの結像レンズ系」は、フォーカシングの際に、収差が変動し、特に近距離側で非点収差・非点隔差が大きく発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は「フォーカシングの際に前群を固定するタイプ」で、射出瞳位置が像面から大きく離れ、大口径かつ小型、高性能の結像レンズを実現可能とすることを課題とする。
【0011】
また、フォーカシングの際に「前群を固定するタイプ」で、射出瞳位置が像面から大きく離れ、大口径かつ小型、高性能の結像レンズの提供を課題とする。
【0012】
この発明はまた、上記結像レンズを用いて、性能良好かつコンパクトで、操作性、取り扱い性に優れたカメラ装置、携帯情報端末装置の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の結像レンズは、図1に例示するように、物体側(図1の左方)から像側へ向かって順に、正または負の屈折力を有する第1レンズ群Gr1、正の屈折力を有する第2レンズ群Gr2、正の屈折力を有する第3レンズ群Gr3を配し、第2レンズ群Gr2と像面との間に光学絞りを配してなり、フォーカシングを「第1レンズ群Gr1を固定し、第2レンズ群Gr2と第3レンズ群Gr3を光軸方向へ移動させ」て行なう。
【0014】
請求項1記載の結像レンズは、無限遠合焦時の全系の焦点距離:F、第1レンズ群の焦点距離:F1、第2レンズ群の焦点距離:F2、および、第3レンズ群の焦点距離:F3が、条件:
(1) 0.5 <F2/F3< 1.6
(2) 6.0 <|F1|/F< 20.0
を満足することを特徴とする。
請求項1記載の結像レンズは、フォーカシングの際の第2レンズ群Gr2と第3レンズ群Gr3の移動量が異なり、且つ「結像倍率−1/16倍での第1レンズ群と第2レンズ群の間隔」と「無限遠合焦時の第1レンズ群と第2レンズ群の間隔」との差分:D1−2(∞−B1)、「結像倍率−1/16倍での第2レンズ群と第3レンズ群の間隔」と「無限遠合焦時の第2レンズ群と第3レンズ群の間隔」との差分:D2−3(∞−B1)が、条件:
(3) |0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}| < 1.2
を満足することが好ましい(請求項2)。
【0015】
請求項1または2記載の結像レンズは、フォーカシングの際に、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔と第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が、共に狭まるように、第2レンズ群Gr2と第3レンズ群Gr3が移動し、「結像倍率:−1/7倍での第1レンズ群と第2レンズ群の間隔」と「無限遠合焦時の第1レンズ群と第2レンズ群の間隔」との差分:D1−2(∞−B2)、「結像倍率:−1/7での第2レンズ群と第3レンズ群の間隔」と「無限遠合焦時の第2レンズ群と第3レンズ群の間隔」との差分:D2−3(∞−B2)が、条件:
(4) |0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}| < 1.2
を満足することが好ましい(請求項3)。
【0016】
請求項1〜3の任意の1に記載の結像レンズは、第1レンズ群が3枚のレンズで構成され、かつ、第1レンズ群中で最も物体側のレンズの物体側が凹面で、且つ、第1レンズ群の最も物体側に位置するレンズの焦点距離:f1、第1レンズ群の物体側から数えて2番目と3番目に位置するレンズの合成焦点距離:f2−3、第1レンズ群の最も物体側に位置するレンズの物体側の曲率半径:R1、第1レンズ群の物体側から数えて2番目に位置するレンズの物体側の曲率半径R3が、条件:
(5) 0.7 <|f1/f2−3|< 1.2
(6) 0.0 <R1/R3< 2.0
を満足することが好ましい(請求項4)。
【0017】
請求項1〜4の任意の1に記載の結像レンズは、第2レンズ群が複数のレンズを有し、その最も物体側のレンズが正レンズであり、第2レンズ群の最も物体側に位置する正レンズの焦点距離:f4、第2レンズ群の最も物体側に位置する正レンズの物体側の曲率半径:R6が、条件:
(7) 0.2 <R6/f4< 0.6
を満足することが好ましい(請求項5)。
【0018】
請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズは、第3レンズ群が2枚以上の負レンズを含み、
第3レンズ群の「最も物体側に位置する負レンズ」の焦点距離:F3−1、第3レンズ群の「物体側から数えて2番目に位置する負レンズ」の焦点距離:F3−2が、条件:
(8) 0.6 < F3−1/F3−2 < 1.1
を満足することが好ましい(請求項6)。
【0019】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズは、第1〜第3レンズ群が何れも「d線の屈折率が1.7以上のレンズ」を2枚以上有し、第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から像面までの距離:OAL、最大像高:Y’が、条件:
(9) 3.0 <OAL/Y’< 5.0
を満足することが好ましい。
【0020】
請求項1〜7の任意の1に記載の結像レンズは、第1レンズ群内の各レンズの「d線の屈折率とアッベ数の積」の平均値:Gr1(Nd*νd)AΝG、第2レンズ群内の各レンズの「d線の屈折率とアッベ数の積」の平均値:Gr2(Nd*νd)AΝG、第3レンズ群内の各レンズの「d線の屈折率とアッベ数の積」の平均値:Gr3(Nd*νd)AΝGが、条件:
(10) Gr3(Nd*νd)AΝG≦Gr2(Nd*νd)AΝG<Gr1(Nd*νd)AΝG
を満足することが好ましい(請求項8)。
【0021】
請求項9記載のカメラ装置は、請求項1〜8の任意の1に記載の結像レンズを撮影用光学系として有するカメラ装置である。また、請求項10の携帯情報端末装置は、請求項9記載のカメラ装置をカメラ機能部として有する携帯情報端末装置である。
【0022】
なお、上に例示した図1のレンズ構成は、1例であり、これに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0023】
説明を補足する。
請求項1における条件(1)と(2)について説明する。
条件(1)、(2)は、大口径で小型、高性能で、射出瞳位置が像面から遠い結像レンズを実現するために必要な条件である。
条件(1)のパラメータ:F2/F3は、共に正の屈折力を持つ、第2レンズ群と第3レンズ群のパワーの比であり、条件(1)は、第2レンズ群と第3レンズ群の正のパワーの適正な範囲を定めるものである。
【0024】
条件(1)の下限を超えると、第2レンズ群の正のパワーが相対的に過大となり、コマ収差が大きくなる傾向となる。逆に上限を超えると、第3レンズ群の正のパワーが相対的に過大となり、倍率色収差、サジタルコマ収差が大きくなる傾向となる。
【0025】
条件(2)のパラメータ:|F1|/Fは、第1レンズ群のパワー(正であることも負であることもある。)と全系のパワーの比であり、条件(2)は、結像レンズ全系に対する第1レンズ群のパワーの適切な範囲を定めるものである。
【0026】
条件(2)は、上限を超えても下限を超えても、倍率色収差と非点間差が増大する。
【0027】
請求項2における条件(3)は、第2レンズ群と第3レンズ群が「互いに異なる移動量」で移動する場合に、結像倍率:−1/16という近距離へのフォーカシングの際に、上記条件(1)、(2)と相俟って、大口径、且つ小型、高性能で、射出瞳位置が像面から長く離れた結像レンズを、実現できる条件である。
【0028】
条件(3)のパラメータ:
|0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}|
における「D1−2(∞−B1)」は、結像レンズの結像倍率が「−1/16」のときの、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔と、無限遠合焦時における第1レンズ群と第2レンズ群の間隔との差分であり、「D2−3(∞−B1)」は、結像レンズの結像倍率が「−1/16」のときの、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔と、無限遠合焦時における第2レンズ群と第3レンズ群の間隔との差分である。
【0029】
無限遠から結像倍率:−1/16に合焦させる場合に、第1レンズ群、第2レンズ群が共に物体側に変位するものとすると「D1−2(∞−B1)、D2−3(∞−B1)」は、ともに数値として大きくなるが、上記パラメータが条件(3)を満足するようにすることにより、第2レンズ群、第3レンズ群の焦点距離をバランスさせ、諸収差の良好な補正を可能とする。
【0030】
条件(3)の上限を超えると、第2レンズ群の移動量が相対的に大きくなり、第2レンズ群と第3レンズ群の焦点距離のバランスが崩れ、諸収差への影響が大きくなりやすい。
【0031】
なお、条件(3)の下限値は「0.00」が適当である。
【0032】
請求項3における条件(4)は、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔と、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が、共に狭まるように、第2レンズ群と第3レンズ群が移動」する場合に、「結像倍率:−1/7という距離」へのフォーカシングの際に、上記条件(1)、(2)と相俟って、大口径、且つ小型、高性能で、射出瞳位置が像面から長く離れた結像レンズを、実現できる条件である。
【0033】
条件(4)のパラメータ:
|0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}|
における「D1−2(∞−B1)」は、結像レンズの結像倍率が「−1/7」のときの、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔と、無限遠合焦時における第1レンズ群と第2レンズ群の間隔との差分であり、「D2−3(∞−B2)」は、結像レンズの結像倍率が「−1/7」のときの、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔と、無限遠合焦時における第2レンズ群と第3レンズ群の間隔との差分である。
【0034】
無限遠から結像倍率:−1/7に合焦させる場合に、第1レンズ群、第2レンズ群が上記の如く変位すると「D1−2(∞−B1)、D2−3(∞−B1)」は、ともに数値として大きくなるが、上記パラメータが条件(4)を満足するようにすることにより、第2レンズ群、第3レンズ群の焦点距離をバランスさせ、諸収差の良好な補正を可能とする。
【0035】
条件(4)の上限を超えると、第2レンズ群の移動量が相対的に大きくなり、第2レンズ群と第3レンズ群の焦点距離のバランスが崩れ、諸収差への影響が大きくなりやすい。
【0036】
請求項4の条件(5)、(6)は「倍率色収差とコマ収差の補正」に有効な条件である。
【0037】
第1レンズ群を3枚のレンズで構成する場合に、最も物体側のレンズのパワーと、第2番目および第3番目のレンズの合成のパワーとの関係を適正にする条件が条件(5)であり、第1番目のレンズの物体側レンズ面の屈折力と、第2番目のレンズの物体側レンズ面の屈折力に影響する曲率半径:R1、R3の関係を適正に定めるのが条件(6)である。
【0038】
条件(5)の下限を超えると、最も物体側のレンズのパワーが課題となって、「倍率色収差とコマ収差」が大きくなり、上限を超えると「軸上色収差とコマ収差」が大きく発生し易くなる。
【0039】
条件(6)は、上限を超えても下限を超えても、倍率色収差とコマ収差が大きく発生し易くなる。
【0040】
請求項5の条件(7)は「軸上色収差、コマ収差の補正」に有効な条件である。
条件(7)の下限を超えると、第2レンズ群の最も物体側のレンズのパワーと「物体側レンズ面の屈折力」のバランスが崩れ、物体側レンズ面の屈折力が大きくなって「軸上色収差」
が発生しやすく、上限を超えると、物体側レンズ面の屈折力に対して相対的に上記物体側のレンズのパワーが大きくなって「コマ収差」が発生しやすくなる。
【0041】
請求項6の条件(8)は「倍率色収差と軸上色収差の発生の抑制」に有効な条件であり、第3レンズ群が「負レンズを2枚以上」含む場合に、第3レンズ群の「最も物体側に位置する負レンズ」と「物体側から数えて2番目に位置する負レンズ」のパワーをバランスさせ、倍率色収差、軸上色収差、タンジェンシャルコマ収差、サジタルコマ収差や、球面収差の補正に有効な条件である。
【0042】
条件(8)の下限を超えると、倍率色収差と軸上色収差が大きく発生し易く、上限を超えると、タンジェンシャルコマ収差、サジタルコマ収差ともに大きく発生し易く、球面収差がオーバーになり易い。
【0043】
請求項7の結像レンズは、第1〜第3レンズ群の各群に「屈折率が1.7以上のレンズを2枚 以上」有するが、この場合に条件(9)を満足することにより、倍率色収差、コマ収差を有効に補正し、なおかつ、結像レンズの全長をコンパクト化することが可能となる。
【0044】
条件(9)の下限を超えると、倍率色収差、コマ収差が大きくなり易く、上限を超えると、諸収差は改善傾向となるが「光学全長が大きく」なってコンパクト化が困難になる。
【0045】
請求項8の条件(10)は、倍率色収差・軸上色収差の補正に有効な条件である。
【0046】
条件(10)を満たさない場合、軸上色収差、倍率色収差ともに大きく発生しやすい。
【発明の効果】
【0047】
以上に説明したように、この発明によれば、「フォーカシングの際に前群を固定するタイプ」で、射出瞳位置が像面から大きく離れ、大口径かつ小型、高性能の結像レンズを実現することが可能である。そして、請求項2以下の各条件を満足することにより、フォーカシングの際に「前群を固定するタイプ」で、射出瞳位置が像面から大きく離れ、大口径かつ小型、高性能の結像レンズを実現でき、このような結像レンズを用いてコンパクトで性能良好なカメラ装置、携帯情報端末装置の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図2】実施例1の結像レンズの無限遠合焦時の収差曲線図である。
【図3】実施例1の結像レンズの結像倍率−1/16の時の収差曲線図である。
【図4】実施例1の結像レンズの結像倍率−1/7の時の収差曲線図である。
【図5】実施例2の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図6】実施例2の結像レンズの無限遠合焦時の収差曲線図である。
【図7】実施例2の結像レンズの結像倍率−1/16の時の収差曲線図である。
【図8】実施例2の結像レンズの結像倍率−1/7の時の収差曲線図である。
【図9】実施例3の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図10】実施例3の結像レンズの無限遠合焦時の収差曲線図である。
【図11】実施例3の結像レンズの結像倍率−1/16の時の収差曲線図である。
【図12】実施例3の結像レンズの結像倍率−1/7の時の収差曲線図である。
【図13】実施例4の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図14】実施例4の結像レンズの無限遠合焦時の収差曲線図である。
【図15】実施例4の結像レンズの結像倍率−1/16の時の収差曲線図である。
【図16】実施例4の結像レンズの結像倍率−1/7の時の収差曲線図である。
【図17】実施例5の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図18】実施例5結像レンズの無限遠合焦時の収差曲線図である。
【図19】実施例5の結像レンズの結像倍率−1/16の時の収差曲線図である。
【図20】実施例5の結像レンズの結像倍率−1/7の時の収差曲線図である。
【図21】携帯情報端末装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図22】図21の装置のシステム構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、実施の形態を説明する。
【0050】
図1、図5、図9、図13、図17に結像レンズの実施の形態を5例示す。なお、これら各図の結像レンズは、後述する実施例1〜5に、上記順序で対応している。
繁雑をさけるため、これらの図において、符号を共通化する。即ち、これらの図において、図の左方を「物体側」、右方を「像側」とする。
【0051】
各実施の形態とも、結像レンズは10枚のレンズで構成されており、これら10枚のレンズの符号を、物体側から順次L1〜L10とする。また、光学絞りを符号「Stop」で表す。
【0052】
上記各図において、図の最も像側に配置されているのは「透明平行平板」である
結像レンズを、デジタルスチルカメラの様に、CCD(CMOS)等の固体撮像素子を用いるタイプのカメラ装置では、ローパスフィルタや赤外カットガラス、さらには、固体撮像素子の受光面を保護するカバーガラス等の「少なくとも何れか」が配置される。
上記各図には、これらの挿入光学板を、これらに「光学的に等価」な1枚の透明平行平板として図示している。
【0053】
図1は、先の説明において例示した結像レンズの「無限遠合焦状態」のレンズ配置を示している。
【0054】
図1の結像レンズは、図示の如く、物体側から順に、正の屈折率を有する第1レンズ群Gr1、正の屈折率を有する第2レンズ群Gr2、正の屈折率を有する第3レンズ群Gr3を配してなり、第2レンズ群Gr2と第3レンズ群Gr3との間に光学絞りStopを配してなる。
【0055】
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズL1、負の屈折力を有する第2レンズL2と正の屈折力を有する第3レンズL3が接合された接合レンズにより構成されている。
第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第4レンズL4、正の屈折力を有する第5レンズL5と負の屈折力を有する第6レンズL6が接合された接合レンズにより構成されている。
【0056】
第2レンズ群Gr2の像側に配置された光学絞りStopを介して配置される第3レンズ群Gr3は、負の屈折力を有する第7レンズL7と正の屈折力を有する第8レンズL8と負の屈折力を有する第9レンズL9とが接合された接合レンズと、その像側に配されて正の屈折力を有する第10レンズL10とにより構成されている。
【0057】
フォーカシングは、第1レンズ群Gr1を固定し、第2レンズ群Gr2と第3レンズ群Gr3とを、別個に物体側へ変位させて行なう。
【0058】
図5に示す結像レンズは、後述する実施例2に対応する実施の形態の、無限遠合焦状態におけるレンズ配置を示している。
【0059】
図5の結像レンズは、図示の如く、物体側から順に、正の屈折率を有する第1レンズ群Gr1、正の屈折率を有する第2レンズ群Gr2、正の屈折率を有する第3レンズ群Gr3を配してなる。
【0060】
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズL1、負の屈折力を有する第2レンズL2と正の屈折力を有する第3レンズL3が接合された接合レンズにより構成されている。
第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第4レンズL4、正の屈折力を有する第5レンズL5と負の屈折力を有する第6レンズL5が接合された接合レンズにより構成されている。
【0061】
第2レンズ群Gr2の像側に配置された光学絞りStopを介して配置された第3レンズ群Gr3は、負の屈折力を有する第7レンズL7と正の屈折力を有する第8レンズL8と負の屈折力を有する第9レンズL9とが接合された接合レンズと、その像側に配されて正の屈折力を有する第10レンズL10により構成されている。
【0062】
フォーカシングは、第1レンズ群Gr1を固定し、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3を、物体側へ別個に変位させることにより行なう。
【0063】
図9に示す結像レンズは、後述する実施例3に対応する実施の形態の、無限遠合焦状態におけるレンズ配置を示している。
【0064】
図9の結像レンズは、図示の如く、物体側から順に、正の屈折率を有する第1レンズ群Gr1、正の屈折率を有する第2レンズ群Gr2、正の屈折率を有する第3レンズ群Gr3を配してなる。
【0065】
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズL1、負の屈折力を有する第2レンズL2と正の屈折力を有する第3レンズL3とが接合された接合レンズにより構成されている。
【0066】
第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第4レンズL4、正の屈折力を有する第5レンズL5と負の屈折力を有する第6レンズL6が接合された接合レンズにより構成されている。
【0067】
第2レンズ群Gr2の像側に配置された光学絞りStopを介して配置された第3レンズ群Gr3は、負の屈折力を有する第7レンズL7と正の屈折力を有する第8レンズL8と負の屈折力を有する第9レンズL9とが接合された接合レンズと、その像側に配されて正の屈折力を有する第10レンズL10により構成されている。
【0068】
フォーカシングは、第1レンズ群Gr1を固定し、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3を物体側へ、別個に変位させることにより行なう。
【0069】
図13に示す結像レンズは、後述する実施例4に対応する実施の形態の、無限遠合焦状態におけるレンズ配置を示している。
【0070】
図13の結像レンズは、図示の如く、物体側から順に、正の屈折率を有する第1レンズ群Gr1、正の屈折率を有する第2レンズ群Gr2、正の屈折率を有する第3レンズ群Gr3を配してなる。
【0071】
第1レンズ群Gr1は、物体側から順次、負の屈折力を有する第1レンズL1、負の屈折力を有する第2レンズL2と正の屈折力を有する第3レンズL3とが接合された接合レンズで構成されている。
【0072】
第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第4レンズL4、正の屈折力を有する第5レンズL5と負の屈折力を有する第6レンズL6とが接合された接合レンズにより構成されている。
【0073】
第2レンズ群Gr2の像側に配置された光学絞りStopを介して配置された第3レンズ群Gr3は、負の屈折力を有する第7レンズL7と正の屈折力を有する第8レンズL8と負の屈折力を有する第9レンズL9とが接合された接合レンズと、その像側に配されて正の屈折力を有する第10レンズL10により構成されている。
【0074】
フォーカシングは、第1レンズ群Gr1を固定し、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3を物体側へ、別個に変位させることにより行なう。
【0075】
図17に示す結像レンズは、後述する実施例5に対応する実施の形態の、無限遠合焦状態におけるレンズ配置を示している。
【0076】
図17の結像レンズは、図示の如く、物体側から順に、負の屈折率を有する第1レンズ群Gr1、正の屈折率を有する第2レンズ群Gr2、正の屈折率を有する第3レンズ群Gr3を配してなる。
【0077】
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズL1、負の屈折力を有する第2レンズL2と正の屈折力を有する第3レンズL3とが接合された接合レンズにより構成されている。
【0078】
第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第4レンズL4、正の屈折力を有する第5レンズL5と負の屈折力を有する第6レンズL6とが接合された接合レンズにより構成されている。
【0079】
第2レンズ群Gr2の像側に配置された光学絞りStopを介して配置された第3レンズ群Gr3は、負の屈折力を有する第7レンズL7と正の屈折力を有する第8レンズL8と負の屈折力を有する第9レンズL9とが接合された接合レンズと、その像側に配されて正の屈折力を有する第10レンズL10により構成されている。
【0080】
フォーカシングは、第1レンズ群Gr1を固定し、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3を物体側へ、別個に変位させることにより行なう。
【0081】
図21、22を参照して、携帯情報端末装置の実施の1形態を説明する。
図21はカメラ装置(携帯情報端末装置のカメラ機能部)の外観を示し、図22は携帯情報端末装置のシステム構成を示している。
図22に示すように、携帯情報端末装置30は、撮影レンズ31と受光素子(1000万画素〜1600万画素が2次元に配列された固体撮像素子)45を有し、撮影レンズ31によって形成される「撮影対象物の像」を受光素子45によって読み取るように構成されている。
【0082】
撮影レンズ31としては請求項1〜8の任意の1に記載の「結像レンズ」、より具体的には後述の実施例1〜5の結像レンズが用いられる。
【0083】
受光素子45からの出力は中央演算装置40の制御を受ける信号処理装置42によって処理され、デジタル情報に変換され、デジタル化された画像情報は、中央演算装置40の制御を受ける画像処理装置41において所定の画像処理を受けた後、半導体メモリ44に記録される。
【0084】
液晶モニタ38には、画像処理装置41において画像処理された撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ44に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ44に記録した画像は通信カード等43を使用して外部へ送信することができる。
【0085】
画像処理装置41は「シェーディングの電気的な補正」や「画像中心部のトリミング」等を行なう機能も有する。
【0086】
図21に示すように、撮影レンズ31は携帯時には、図21(a)に示すように沈胴状態にあり、ユーザが電源スイッチ36を操作して電源を入れると、(b)に示すように鏡胴が繰り出される。
【0087】
このとき、鏡胴の内部でズームレンズの各群は「物体距離が無限遠の配置」となっており、シャッタボタン35の半押しにより「有限物体距離へのフォーカシング」が行なわれる。
【0088】
フォーカシング動作は前述したように「第1レンズ群を固定し、第2レンズ群と第3レンズ群を異なる繰り出し量で変位」させて行なわれる。第1レンズ群が固定であるので、繰り出された鏡胴が伸縮することはない。
【0089】
半導体メモリ44に記録した画像を液晶モニタ38に表示したり、通信カード等を使用して外部へ送信したりする際は、図21(c)に示す操作ボタン37を使用して行なう。半導体メモリおよび通信カード等は、それぞれ専用または汎用のスロット39A、39Bに挿入して使用される。
【0090】
撮影レンズ31が沈胴状態にあるとき、各レンズ群は、必ずしも光軸上に並んでいなくても良く、例えば、第1レンズ群や第2レンズ群が光軸上から退避して、他のレンズ群と並列に収納されるような機構とすれば、携帯情報端末装置の更なる薄型化を実現できる。
【0091】
以上に説明したような「カメラ装置を撮影機部として有する携帯情報端末装置」には、実施例1〜5の結像レンズを撮影レンズ31として使用することができ、1000万画素を超える受光素子45を使用した高画質で小型のカメラ機能を持つ携帯情報端末装置を実現できる。
【実施例】
【0092】
以下、結像レンズの具体的な実施例を5例挙げる。
【0093】
各実施例における記号の意味は以下の通りである。
【0094】
F:光学系全体の焦点距離
Fno:開口数
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:屈折率
Νd:アッベ数
非球面は、以下の周知の式で表わされる。
【0095】
X=(H/R)/[1+{1−k(H/r)}1/2
+C4H+C6H+C8H+C10H10+・・・
この式において、
「X」は、面の頂点を基準としたときの光軸からの高さ:Hの位置での光軸方向の変位、「k」は円錐係数、C4、C6、C8、C10、・・・は非球面係数、「R」は近軸曲率半径である。なお、長さの元を持つ量の単位は「mm」である。また「INF」とあるのは「∞」を意味する。
【0096】
「実施例1」
実施例1の結像レンズは、図1に示したものである。
【0097】
F=27.0mm,Fno=1.95
実施例1のデータを表1に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
「非球面データ」
非球面(表中に「*」印を付した面 以下の実施例においても同様である。)に関するデータを表2に示す。
【0100】
【表2】

【0101】
「可変量のデータ」
フォーカシングに伴う第2レンズ群、第3レンズ群の変位による、面間隔:D5、D10、D17の、無限遠合焦時(INF)、結像倍率:−1/16倍、−1/7倍における値を表3に示す。以下の実施例においても同様である。
【0102】
【表3】

【0103】
「条件式のパラメータの値」
F2/F3=1.5
F1/F=8.0
|0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}|=1.1
|0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}|=1.1
|f1/f2―3|=1.1
R1/R3=1.8
R6/f4=0.3
3−1/F3−2=0.8
OAL/Y’=4.1
(Gr1Nd*νd)AΝG=75.2
(Gr2Nd*νd)AΝG=67.0
(Gr3Nd*νd)AΝG=64.9 。
【0104】
実施例1の結像レンズの、d線とg線における諸収差(球面収差、非点収差、歪曲収差、コマ収差)を図2〜図4に順次示す。図2は「無限遠合焦時」、図3は「結像倍率:−1/16のとき」、図4は「結像倍率:−1/7のとき」のものである。
【0105】
「球面収差」の図中の破線は正弦条件を表す。「非点収差」の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。以下の実施例に関する収差図においても同様である。
【0106】
「実施例2」
実施例2の結像レンズは、図5に示したものである。
【0107】
F=27.0mm,Fno=1.94
実施例2のデータを表2に示す。
【0108】
【表4】

【0109】
「非球面のデータ」
非球面のデータを表5に示す。
【0110】
【表5】

【0111】
「可変量のデータ」
可変量のデータを表6に示す。
【0112】
【表6】

【0113】
「条件式のパラメータの値」
F2/F3=1.0
F1/F =7.5
|0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}|=0.4
|0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}|=0.8
|f1/f2―3|=1.0
R1/R3=0.3
R6/f4=0.5
3−1/F3−2=0.8
OAL/Y’=4.1
(Gr1Nd*νd)AΝG=75.2
(Gr2Nd*νd)AΝG=67.0
(Gr3Nd*νd)AΝG=64.9 。
【0114】
実施例2の結像レンズの、d線とg線における諸収差(球面収差、非点収差、歪曲収差、コマ収差)を図6〜図8に順次示す。図6は「無限遠合焦時」、図7は「結像倍率:−1/16のとき」、図8は「結像倍率:−1/7のとき」のものである。
【0115】
「実施例3」
実施例3の結像レンズは、図9に示したものである。
【0116】
F=27.0mm、Fno=1.95
実施例3のデータを表7に示す。
【0117】
【表7】

【0118】
「非球面データ」
非球面のデータを表8に示す。
【0119】
【表8】

【0120】
「可変量のデータ」
可変量のデータを表9に示す。
【0121】
【表9】

【0122】
「条件式のパラメータの値」
F2/F3=1.0
F1/F =7.8
|0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}|=0.5
|0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}|=0.7
|f1/f2−3|=1.0
R1/R3=0.2
R6/f4=0.5
3−1/F3−2=0.8
OAL/Y’=4.1
(Gr1Nd*νd)AΝG=75.2
(Gr2Nd*νd)AΝG=67.0
(Gr3Nd*νd)AΝG=64.9 。
【0123】
実施例3の結像レンズの、d線とg線における諸収差(球面収差、非点収差、歪曲収差、コマ収差)を図10〜図12に順次示す。図10は「無限遠合焦時」、図11は「結像倍率:−1/16のとき」、図12は「結像倍率:−1/7のとき」のものである。
【0124】
「実施例4」
実施例4の結像レンズは、図13に示したものである。
【0125】
F=27.0mm、Fno=1.97
実施例4のデータを表10に示す。
【0126】
【表10】

【0127】
「非球面データ」
非球面のデータを表11に示す。
【0128】
【表11】

【0129】
「可変量のデータ」
可変量のデータを表12に示す。
【0130】
【表12】

【0131】
「条件式のパラメータの値」
F2/F3=1.0
F1/F =8.7
|0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}|=0.3
|0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}|=0.8
|f1/f2―3|=1.0
R1/R3 =0.1
R6/f4 =0.5
3−1/F3−2 =0.8
OAL/Y’=4.1
(Gr1Nd*νd)AΝG=75.2
(Gr2Nd*νd)AΝG=67.1
(Gr3Nd*νd)AΝG=66.9 。
【0132】
実施例4の結像レンズの、d線とg線における諸収差(球面収差、非点収差、歪曲収差、コマ収差)を図14〜図16に順次示す。図14は「無限遠合焦時」、図15は「結像倍率:−1/16のとき」、図16は「結像倍率:−1/7のとき」のものである。
【0133】
「実施例5」
実施例5の結像レンズは、図17に示したものである。
【0134】
F=27.0mm、Fno=1.97
実施例5のデータを表13に示す。
【0135】
【表13】

【0136】
「非球面データ」
非球面のデータを表14に示す。
【0137】
【表14】

【0138】
「可変量のデータ」
可変量のデータを表15に示す。
【0139】
【表15】

【0140】
「条件式のパラメータの値」
F2/F3=1.2
F1/F =16.4
|0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}|=0.0
|0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}|=0.1
|f1/f2−3|=0.8
R1/R3=0.1
R6/f4=0.5
3−1/F3−2=1.0
OAL/Y’=4.1
(Gr1Nd*νd)AΝG=75.8
(Gr2Nd*νd)AΝG=69.8
(Gr3Nd*νd)AΝG=64.9 。
【0141】
実施例5の結像レンズの、d線とg線における諸収差(球面収差、非点収差、歪曲収差、コマ収差)を図18〜図20に順次示す。図18は「無限遠合焦時」、図19は「結像倍率:−1/16のとき」、図20は「結像倍率:−1/7のとき」のものである。
【0142】
各実施例の収差は高いレベルで補正されており、球面収差、非点収差、像面湾曲、倍率色収差の補正も十分である。歪曲収差も絶対値で2.0%以下となっている。この発明の様に結像レンズを構成することにより、半画角が27度前後で、Fnoが1.9程度と大口径でありながら、非常に良好な結像性能を確保し得ることが各実施例により明らかである。
【符号の説明】
【0143】
Gr1 第1レンズ群
Gr2 第2レンズ群
Gr3 第3レンズ群
Stop 光学絞り
【先行技術文献】
【特許文献】
【0144】
【特許文献1】特開2000−321490号公報
【特許文献2】特許第4217040号公報
【特許文献3】特開2010−039088号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ向かって順に、正または負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群を配し、第2レンズ群と像面との間に光学絞りを配してなり、
第1レンズ群を固定し、第2レンズ群と第3レンズ群を光軸方向へ移動させてフォーカシングを行ない、
無限遠合焦時の全系の焦点距離:F、第1レンズ群の焦点距離:F1、第2レンズ群の焦点距離:F2、第3レンズ群の焦点距離:F3が、条件:
(1) 0.5 <F2/F3< 1.6
(2) 6.0 <|F1|/F< 20.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項2】
請求項1記載の結像レンズにおいて、
フォーカシングの際の第2レンズ群と第3レンズ群の移動量が異なり、
結像倍率−1/16倍での第1レンズ群と第2レンズ群の間隔と、無限遠合焦時の第1レンズ群と第2レンズ群の間隔との差分:D1−2(∞−B1)、結像倍率−1/16倍での第2レンズ群と第3レンズ群の間隔と、無限遠合焦時の第2レンズ群と第3レンズ群の間隔との差分:D2−3(∞−B1)が、条件:
(3) |0.063・{D1−2(∞−B1)/D2−3(∞−B1)}| < 1.2
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項3】
請求項1または2記載の結像レンズにおいて、
フォーカシングの際に、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔と第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が、共に狭まる様に第2レンズ群と第3レンズ群とが移動し、
結像倍率−1/7倍での第1レンズ群と第2レンズ群の間隔と、無限遠合焦時の第1レンズ群と第2レンズ群の間隔との差分:D1−2(∞−B2)、結像倍率−1/7での第2レンズ群と第3レンズ群の間隔と、無限遠合焦時の第2レンズ群と第3レンズ群の間隔との差分:D2−3(∞−B2)が、条件:
(4) |0.143・{D1−2(∞−B2)/D2−3(∞−B2)}| < 1.2
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項4】
請求項1〜3の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第1レンズ群は3枚のレンズで構成され、かつ、最も物体側のレンズは物体側が凹面であり、
第1レンズ群の最も物体側に位置するレンズの焦点距離:f1、第1レンズ群の物体側から数えて2番目と3番目に位置するレンズの合成焦点距離:f2−3、第1レンズ群の最も物体側に位置するレンズの物体側の曲率半径:R1、第1レンズ群の物体側から数えて2番目に位置するレンズの物体側の曲率半径R3が、条件:
(5) 0.7 <|f1/f2−3|< 1.2
(6) 0.0 <R1/R3< 2.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項5】
請求項1〜4の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第2レンズ群が複数のレンズを有し、その最も物体側のレンズが正レンズであり、
第2レンズ群の最も物体側に位置する正レンズの焦点距離:f4、第2レンズ群の最も物体側に位置する正レンズの物体側の曲率半径:R6が、条件:
(7) 0.2 <R6/f4< 0.6
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項6】
請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第3レンズ群が2枚以上の負レンズを含み、
第3レンズ群の最も物体側に位置する負レンズの焦点距離:F3−1、第3レンズ群の最も物体側から数えて2番目に位置する負レンズの焦点距離:F3−2が、条件:
(8) 0.6 < F3−1/F3−2 < 1.1
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項7】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第1〜第3レンズ群が何れも、d線の屈折率が1.7以上のレンズを2枚以上有し、
第1レンズ群の最も物体側のレンズ面から像面までの距離:OAL、最大像高:Y’が、条件:
(9) 3.0 <OAL/Y’< 5.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項8】
請求項1〜7の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第1レンズ群内の各レンズの、d線の屈折率とアッベ数の積の平均値:Gr1(Nd*νd)AΝG、第2レンズ群内の各レンズの、d線の屈折率とアッベ数の積の平均値:Gr2(Nd*νd)AΝG、第3レンズ群内の各レンズの、d線の屈折率とアッベ数の積の平均値:Gr3(Nd*νd)AΝGが、条件:
(10) Gr3(Nd*νd)AΝG≦Gr2(Nd*νd)AΝG<Gr1(Nd*νd)AΝG
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項9】
請求項1〜8の任意の1に記載の結像レンズを撮影用光学系として有するカメラ装置。
【請求項10】
請求項9記載のカメラ装置をカメラ機能部として有する携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−7856(P2013−7856A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139832(P2011−139832)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】