説明

結晶成長装置及び結晶成長方法

【課題】垂直ブリッジマン法においても、結晶を成長させる第1容器に、第2容器が保持している融液を供給することができ、かつ融液供給時に第1容器内の融液に振動が生じることを抑制できる結晶成長装置及び結晶成長方法を提供する
【解決手段】第1容器100は、種結晶50及び結晶成長用の融液52を保持する。第2容器200は、補充用の融液54を保持する。融液供給部は、第2溶液200内に保持されている補充用の融液54を第1容器100に供給する。融液供給部は、開口部220と、案内部を備える。開口部220は、第2容器200の側壁または上面に設けられ、第1容器100内における融液52の液面より高く位置する。案内部は、開口部220からオーバーフローした補充用の融液54を伝わせることにより、融液54を第1容器100内の融液52の液面に案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶成長装置及び結晶成長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LiNbO、LiTaOなどの強誘電体結晶の誘電分極方向を周期的に180度反転(分極反転)させることにより擬似的に位相整合をさせる方法は、擬似位相整合(QPM:Quasi-Phase-Matching)と呼ばれている。QPMにより、安価なレーザ光源を用いて、より高い周波数のレーザ光を得ることが可能になる。
【0003】
擬似位相整合が行われる擬似相整合素子を得るためには、結晶欠陥の少ない強誘電体単結晶を得る必要がある。しかし、強誘電体結晶は、一致溶融組成(コングルエント組成)が化学量論組成(定比組成)と異なることが多く、このため、通常の結晶成長方法では非化学量論組成の単結晶を得ることしかできない。非化学量論組成の単結晶は、電気的に中性であることを維持するために、原子空孔やアンチサイトディフェクトなどの点欠陥を多く含む。
【0004】
これに対して、例えば非特許文献1及び特許文献1には、内側坩堝の底に外側坩堝から内側坩堝に通じる穴を設けた二重坩堝を用いる技術が開示されている。この技術において、結晶は、内側坩堝内の融液から引き上げ法により育成される。内側坩堝の融液は、化学量論組成(定比組成)の結晶を得るための組成になっているが、この組成は化学量論組成(定比組成)とは異なっている。このため、内側坩堝単独では、結晶が成長するにつれて内側坩堝の融液の組成が変化する。そこで、結晶の成長量に見合った量の原料粉末を外側坩堝の融液の表面に供給している。これによって、外側坩堝から内側坩堝に化学量論組成の融液を供給して、内側坩堝における融液の組成を所望の組成に維持することができる、とされている。そして、組成が均一(例えば化学量論組成)な単結晶を成長させることができる、とされている。
【0005】
また単結晶を成長させる方法には、垂直ブリッジマン法(例えば特許文献2参照)、及び水平ブリッジマン法(例えば特許文献3)などもある。
【非特許文献1】「強誘電体光学単結晶のブレークスルー」,北村健二,応用物理第69巻 第5号(2000年),P511〜P517
【特許文献1】特開2000−233997号公報
【特許文献2】特開平6−72799号公報
【特許文献3】特開平10−67592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、例えば強誘電体の単結晶を成長させるときに、結晶を成長させる第1容器に、第2容器が保持している融液を補充することは有効である。一方で、単結晶を成長させるためには、融液に振動を与えないようにする必要がある。非特許文献1及び特許文献1の方法は、内側坩堝の底に外側坩堝から内側坩堝に通じる穴を設けているため、外側坩堝から内側坩堝に融液が移動するときに振動は生じにくい。しかし、垂直ブリッジマン法では、容器の底部に種結晶が位置し、かつ容器内で単結晶が成長するため、非特許文献1及び特許文献1に開示されている二重坩堝をそのまま適用することはできない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、垂直ブリッジマン法においても、結晶を成長させる第1容器に、第2容器が保持している融液を供給することができ、かつ融液供給時に第1容器内の融液に振動が生じることを抑制できる結晶成長装置及び結晶成長方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、種結晶、及び前記種結晶上に位置する結晶成長用の融液を保持する結晶成長用の第1容器と、
補充用の融液を保持する第2容器と、
前記第2溶液内に保持されている前記補充用の融液を前記第1容器に供給する融液供給部と、
を備え、
前記融液供給部は、
前記第2容器の側壁または上面に設けられ、前記第1容器内における前記融液の液面より高く位置する開口部と、
前記開口部からオーバーフローした前記補充用の融液を伝わせることにより、当該融液を前記第1容器内の前記液面に案内する案内部と、
を備える結晶成長装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、第1容器内に種結晶及び前記種結晶上に位置する結晶成長用の融液を保持させておき、前記種結晶を成長させる結晶成長方法であって、
補充用の融液を保持する第2容器を配置し、
前記第2容器の側壁または上面に、前記第1容器内における前記融液の液面より高く位置する開口部を設け、
前記第2容器内の前記補充用の融液を前記開口部からオーバーフローさせ、オーバーフローした前記補充用の融液を、案内部に伝わせて前記第1容器内の前記液面に案内することにより、前記第1容器に供給する、結晶成長方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、垂直ブリッジマン法においても、結晶を成長させる第1容器に、第2容器が保持している融液を供給することができ、かつ融液供給時に第1容器内の融液に振動が生じることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る結晶成長装置の構成を示す図である。この結晶成長装置は、垂直ブリッジマン方式で結晶を成長させる装置であり、第1容器100、第2容器200、及び融液供給部を備える。第1容器100は、種結晶50及び結晶成長用の融液52を保持する結晶成長用の容器である。結晶成長用の融液52は、種結晶50上に位置する。第2容器200は、補充用の融液54を保持する。融液供給部は、第2溶液200内に保持されている補充用の融液54を第1容器100に供給する。融液供給部は、開口部220と、案内部を備える。開口部220は、第2容器200の側壁または上面に設けられ、第1容器100内における融液52の液面より高く位置する。本実施形態において開口部220は、第2容器200の上面に設けられている。案内部は、開口部220からオーバーフローした補充用の融液54を伝わせることにより、融液54を第1容器100内の融液52の液面に案内する。
【0013】
本実施形態において、第2容器200の側面の外面と、第1容器100の側壁の内面は連続している。そして上記した案内部は、第2容器200の側面の外面、及び第1容器100の側壁の内面である。
【0014】
結晶成長装置で成長する結晶は、例えばニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの強誘電体の単結晶である。種結晶50の組成を化学量論組成とし、第1容器100内における融液52の組成を、化学量論組成の固体の析出温度と状態図上の固液境界線の交点となる組成として、第2容器200内の補充用の融液54の組成を化学量論組成とした場合、種結晶50にエピタキシャル成長する単結晶の組成は、化学量論組成になる。例えば単結晶がニオブ酸リチウムである場合、第1容器100内における融液52におけるLiO/(LiO+Nb)のモル分率を0.58〜0.60として、第2容器200が保持する補充用の融液54におけるLiO/(LiO+Nb)のモル分率を0.495〜0.50とすることにより、単結晶のLiO/(LiO+Nb)のモル分率を0.495〜0.50とすることができる。
【0015】
なお第1容器100内における融液52は、例えば融液52と同等の組成を有する固体原料を第1容器100内に挿入し、この固体原料を溶融することにより生成する。また第2容器200内における補充用の融液54は、例えば化学量論組成を有する固体原料を第2容器200内に挿入し、この固体原料を溶融することにより生成する。
【0016】
結晶成長装置は、さらに固体原料供給部300、第1容器100及び第2容器200を載置するステージ400、ヒータ500、結晶成長制御部600、並びに原料供給制御部610を備える。第1容器100、第2容器200、固体原料供給部300、及びステージ400は、炉心管520の内部に配置されている。
【0017】
固体原料供給部300は、第2容器200の融液に固体原料を供給する。固体原料の組成は、例えば化学量論組成である。結晶成長装置で成長する結晶がニオブ酸リチウムであり、融液52,54におけるLiO/(LiO+Nb)のモル分率が上記した範囲にある場合、固体原料供給部300が供給する固体原料は、LiO/(LiO+Nb)のモル分率は0.495〜0.50である。
【0018】
ステージ400は、第1容器100及び第2容器200を載置した状態で上下する。ヒータ500は、第1容器100及び第2容器200の周囲に配置されており、第1容器100及び第2容器200を加熱する。ヒータ500は出力を部分的に調節することができる。
【0019】
結晶成長制御部600は、ヒータ500の出力を部分的に調節することにより、第1容器100内の融液52に温度分布を持たせ、かつ第2容器200内の補充用の融液54の温度を調節する。そして、ステージ400を昇降させることにより、種結晶50の成長を制御する。具体的には、結晶成長制御部600は、融液52の上部の温度を強誘電体が液相となる温度に維持し、かつ融液52と種結晶50の境界における温度を、化学量論組成の固体の析出温度に維持する。そして種結晶50が成長するにつれて、融液52と種結晶50の境界は移動するが、結晶成長制御部600は、この境界が結晶の成長に伴って上下しないように、ステージ400を下降させる。
【0020】
原料供給制御部610は、固体原料供給部300による固体原料の供給量を制御する。具体的には、原料供給制御部610は、結晶成長制御部600による制御結果に基づいて固体原料の供給量を制御する。例えば原料供給制御部610は、結晶成長制御部600からステージ400の下降速度を取得し、この下降速度と第1容器100の断面積から固体原料の供給量を算出する。
【0021】
図2は図1に示した結晶成長装置の第1容器100及び第2容器200を示す図である。本実施形態において第1容器100は、円筒状の容器である。第2容器200はリング状の容器であり、第1容器100の周囲を取り囲むように形成されている。具体的には、第1容器100の側壁110の上部112が、第2容器200の内側の側壁となっている。また上部112の上端は、第2容器200の外側の側壁210の上端より低くなっている。
【0022】
そして、上部112の内側の面(第2容器200からみると、第2容器200の内側の側壁の外面)の全周が、開口部220からオーバーフローした補充用の融液54を案内する案内部となっている。すなわち、開口部220からオーバーフローした補充用の融液54は、第2容器200の側面の外面及び第1容器100の側壁の内面を伝って第1容器100に供給される。本図に示す例において、案内部である上部112は、融液52の液面に対して垂直である。
【0023】
次に、本実施形態における効果について説明する。本実施形態によれば、第1容器100において種結晶50は垂直ブリッジマン法により成長する。そして、第2容器200が保持している補充用の融液54を、第1容器100に供給することができる。このとき、第2容器200の開口部220から補充用の融液54をオーバーフローさせ、オーバーフローした融液を、案内部である側壁110の上部112を伝わせて第1容器100の融液52の液面まで案内している。従って、融液供給時に第1容器100内の融液52に振動が生じることを抑制できる。
【0024】
このため、結晶欠陥の少ない高品質の単結晶を成長させることができる。例えば単結晶がニオブ酸リチウムである場合、この単結晶をスライスすることにより、擬似相整合素子を製造するためのニオブ酸リチウム基板を製造することができる。
【0025】
図3(a)は、第2の実施形態に係る結晶成長装置の第2容器200の内側壁の上端部を示す平面図であり、図3(b)は第2容器200の内側壁の上端部を図3(a)のA方向から見た図である。この結晶成長装置は、第2容器200の内側壁すなわち第1容器100の側壁110の上部112の上端部に、切欠部114を一定間隔ごとに複数設けた点を除いて、第1の実施形態と同様の構成である。
【0026】
切欠部114は、第2容器200の開口部220から補充用の融液54をオーバーフローさせるために設けられている。本図に示す例において、切欠部114は略三角形であり、90°間隔で4つ設けられている。ただし切欠部114の形状、数、及び配置はこの例に限定されない。
【0027】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また切欠部114の配置や大きさ、数を調節することにより、第1容器100に対する補充用の融液54の流れ込みを制御することができる。
【0028】
図4は、第3の実施形態に係る結晶成長装置における第1容器100及び第2容器200の構成を示す図であり、第1の実施形態における図2に相当している。この結晶成長装置は、以下の点を除いて、第1の実施形態に示した結晶成長装置と同様の構成である。
【0029】
まず、第2容器200の内側の側壁となる第1容器100の側壁110の上部112に、複数の開口部230が設けられている。複数の開口部230は、下端の高さが互いに同一であり、断面で見た場合に等間隔に配置されている。
【0030】
そして、第2容器200内の補充用の融液54は、複数の開口部230それぞれからオーバーフローして、側壁110の上部112を伝って、第1容器100が保持する融液52の液面に流れ込む。
【0031】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、開口部230の配置や大きさ、数を調節することにより、第1容器100に対する補充用の融液54の流れ込みを制御することができる。
【0032】
図5は、第4の実施形態に係る結晶成長装置における第1容器100及び第2容器200の構成を示す図であり、第3の実施形態における図4に相当している。この結晶成長装置は、以下の点を除いて、第3の実施形態に示した結晶成長装置と同様の構成である。
【0033】
まず、第1容器100の側壁110と、第2容器200の内側の側壁242が別々になっている。そして、第2容器200の側壁242に形成された開口部230の下端と、第1容器100の側壁110の上部112の上端とを板状の案内部244で繋げている。
【0034】
本実施形態によれば、開口部230からオーバーフローした補充用の融液54は、案内部244を介して第1容器100の側壁110に伝わり、第1容器100の融液52の液面に達する。
本実施形態によっても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0036】
(実施例)
実施形態1に示した結晶成長装置を用いて、ニオブ酸リチウムの単結晶を成長させた。
【0037】
まず、第1容器100の底部に種結晶50を配置した。このとき、種結晶50のZ面が上を向くようにした。次いで、LiO/(LiO+Nb)のモル分率が0.59であるニオブ酸リチウムの焼結体を第1容器100の種結晶50上に充填した。次いで、この焼結体をヒータ500で加熱して溶融し、融液52を生成した。このとき、融液52の温度を1280℃にして、種結晶50の温度を1100℃にした。融液52と種結晶50の界面における温度を、化学量論組成のニオブ酸リチウムが析出する温度にした。また融液52と種結晶50の界面における温度勾配を、5〜10℃/cmとした。
【0038】
また、固体原料供給部300から第2容器200内に、化学量論組成を有する粉末状又はペレット状のニオブ酸リチウムを供給した。そしてこの固体をヒータ500で加熱して溶融することにより、補充用の融液54を生成した。このとき、補充用の融液54の量を、第2容器200の開口部220から補充用の融液54がオーバーフローする直前にした。
【0039】
そして、ステージ400を下方に0.2mm/時間の速度で下降させつつ、固体原料供給部300から第2容器200に、ステージ400の下降速度に合わせた量のニオブ酸リチウムを第2溶液200内に供給した。なお、ステージ400の下降速度は、種結晶50の成長速度すなわち単結晶の成直速度になる。
【0040】
このようにして、結晶長が75mmのニオブ酸リチウムの結晶を成長させ、この単結晶を20時間かけて室温まで冷却した。
【0041】
次いで、この単結晶の上部、中部、及び下部からウェハを切り出し、両面を研磨して1mm厚にした。そして、LiO/(LiO+Nb)のモル分率(LiOのモル分率)(%)を調べるため、示差走査熱力測定(DSC)を行い、各ウェハのキューリー温度(Tc)を調べた。結果を表1に示す。なお表1には、参考のため、化学量論組成を有するニオブ酸リチウム及び不定比組成を有するニオブ酸リチウムそれぞれのモル分率及びTcも示している。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に示すように、単結晶の上部、中部、及び下部のいずれから切り出したウェハも、LiOのモル分率及びTcが化学量論組成のニオブ酸リチウムと同等の値を示した。また化学分析(例えばICP−MS法)を行った結果においても、単結晶の上部、中部、及び下部のいずれから切り出したウェハも、LiOのモル分率は化学量論組成であった。従って、本実施例で生成した単結晶は、全域において、化学量論組成を有することが示された。
【0044】
また、生成した単結晶をX線トポグラフィ及び断面TEM(透過型電子顕微鏡)で評価した結果、転位やサブグレインが少ないことが判明した。また分光透過率測定では、不定比組成の単結晶と同等以上の光透過率であること、及び短波長側の吸収端が短波長側に伸びていることが確認された。また屈折率測定を行った結果、ウェハ面内において極めて高い光学的均一性を有することが示された。また、He−Neレーザを入射した際のレーザ散乱においても全く散乱がないことも示された。
【0045】
なお、第3の実施形態に示した結晶成長装置を用いて同様な評価を行った結果、上記と同様の結果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の実施形態に係る結晶成長装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した結晶成長装置の第1容器及び第2容器を示す図である。
【図3】(a)は第2の実施形態に係る結晶成長装置の第2容器200の内側壁の上端部を示す平面図であり、(b)は第2容器200の内側壁の上端部を(a)のA方向から見た図である。
【図4】第3の実施形態に係る結晶成長装置における第1容器及び第2容器の構成を示す図である。
【図5】第4の実施形態に係る結晶成長装置における第1容器及び第2容器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
50 種結晶
52 融液
54 融液
100 第1容器
110 側壁
110 第1容器
112 上部
114 切欠部
200 第2容器
210 側壁
220 開口部
230 開口部
242 側壁
244 案内部
300 固体原料供給部
400 ステージ
500 ヒータ
520 炉心管
600 結晶成長制御部
610 原料供給制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種結晶、及び前記種結晶上に位置する結晶成長用の融液を保持する結晶成長用の第1容器と、
補充用の融液を保持する第2容器と、
前記第2溶液内に保持されている前記補充用の融液を前記第1容器に供給する融液供給部と、
を備え、
前記融液供給部は、
前記第2容器の側壁または上面に設けられ、前記第1容器内における前記融液の液面より高く位置する開口部と、
前記開口部からオーバーフローした前記補充用の融液を伝わせることにより、当該融液を前記第1容器内の前記液面に案内する案内部と、
を備える結晶成長装置。
【請求項2】
請求項1に記載の結晶成長装置において、
前記第2容器の前記側面の外面と、前記第1容器の側壁の内面は連続しており、
前記案内部は、前記第2容器の前記側面の外面、及び前記第1容器の側壁の内面である結晶成長装置。
【請求項3】
請求項2に記載の結晶成長装置において、
前記第2容器は、前記第1容器の周囲を取り囲むように形成されており、
前記案内部は、前記第2容器の前記側面の外面の全周、及び前記第1容器の側壁の内面の全周である結晶成長装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の結晶成長装置において、
前記第1容器内における結晶成長を制御する結晶成長制御部と、
結晶成長用の固体原料を前記第2容器に供給する固体原料供給部と、
前記固体原料供給部による前記固体原料の供給量を、前記結晶成長制御部による制御結果に基づいて制御する原料供給制御部と、
を備える結晶成長装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶成長装置において、
前記第1容器で成長する結晶は、強誘電体の単結晶である結晶成長装置。
【請求項6】
請求項5に記載の結晶成長装置において、
前記強誘電体の単結晶はニオブ酸リチウムであり、LiO/(LiO+Nb)のモル分率が0.495〜0.50である結晶成長装置。
【請求項7】
第1容器内に種結晶及び前記種結晶上に位置する結晶成長用の融液を保持させておき、前記種結晶を成長させる結晶成長方法であって、
補充用の融液を保持する第2容器を配置し、
前記第2容器の側壁または上面に、前記第1容器内における前記融液の液面より高く位置する開口部を設け、
前記第2容器内の前記補充用の融液を前記開口部からオーバーフローさせ、オーバーフローした前記補充用の融液を、案内部に伝わせて前記第1容器内の前記液面に案内することにより、前記第1容器に供給する、結晶成長方法。
【請求項8】
請求項7に記載の結晶成長方法において、
前記第2容器の前記側面の外面と、前記第1容器の側壁の内面は連続しており、
前記開口部からオーバーフローした前記補充用の融液は、前記案内部としての前記第2容器の前記側面の外面、及び前記第1容器の側壁の内面を伝って前記第1容器に供給される結晶成長方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の結晶成長方法において、
前記第1容器で成長する結晶は、強誘電体の単結晶である結晶成長方法。
【請求項10】
請求項9に記載の結晶成長方法において、
前記強誘電体の単結晶はニオブ酸リチウムであり、LiO/(LiO+Nb)のモル分率が0.495〜0.50である結晶成長方法。
【請求項11】
請求項10に記載の結晶成長方法において、
前記第1容器内における前記融液は、LiO/(LiO+Nb)のモル分率が0.58〜0.60であり、
前記第2容器内における前記融液は、LiO/(LiO+Nb)のモル分率が0.495〜0.50である結晶成長方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−120821(P2010−120821A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297219(P2008−297219)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】