説明

結腸直腸癌を治療するためのピコプラチンおよびセツキシマブの使用

本発明は、様々な治療レジメンにおける、セツキシマブ、5−FU、およびロイコボリンと組み合わせた抗癌白金薬ピコプラチンの投与により転移性結腸直腸癌を治療する方法を提供する。本発明は、転移性結腸直腸癌を治療するための、セツキシマブ、5−FU、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用も提供する。本発明は、セツキシマブと併せたピコプラチンの投与に適合されたキットをさらに提供する。EGFRを含む癌を患っている患者のための用量レジメンを決定するための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2008年2月8日に出願された米国仮特許出願第61/027,387号、2008年2月8日に出願された米国仮特許出願第61/027,382号、および2008年2月8日に出願された米国仮特許出願第61/027,360号の優先権を主張し、これらの特許出願の開示は、それらの全体が参考として援用される。本願はまた、米国仮特許出願第60/857,066号(2006年11月6日に出願)、60/857,725号(2006年11月8日に出願)、60/877,495号(2006年12月28日に出願)、60/889,191号(2007年2月9日に出願)、60/931,589号(2007年5月24日に出願)、および60/983,852号(2007年10月30日に出願)、ならびに2007年11月5日に出願された米国特許出願第11/982,841号の優先権を主張し、これらの特許出願の開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
結腸直腸癌は、依然として米国における癌関連死の2番目に多い原因および他の国における癌関連死の重要な原因である。数十年間にわたり、結腸直腸癌を治療するための唯一の認可された化学療法薬は、5−フルオロウラシル(5−FU)であった。そして、5−フルオロウラシルは、進行した疾患を有する患者のための大部分の一次化学療法レジメンの主力であり続けている。しかしながら、過去10年間に転移性結腸直腸癌(MCRC)の治療においてかなりの進展が見られ、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、ごく最近には、セツキシマブおよびベバシツマブを包含するいくつかの新たな治療剤が認可されている2、3。重要なことに、これらの薬剤を利用する様々な新化学療法レジメンが考案され、奏効率の増加ならびに進行した疾患を有する患者についての増悪までの時間および生存期間中央値の漸進的増加につながった2、3。単剤療法としての5−FU/ロイコボリン、イリノテカン、およびオキサリプラチンについての奏効率は低く(それぞれ、23%、18%、および12%)、無増悪生存期間は短く(それぞれ中央値4.0、4.3、および4.0カ月)、生存期間中央値も低かった(それぞれおおよそ12、12、および14.5カ月)。イリノテカンおよびオキサリプラチンを使用する5−FUベースの併用化学療法レジメン、「FOLFOXレジメン」の導入により、奏効率が実質的に増加し、64%という高い奏効率が報告されており(FOLFOX7)、増悪までの時間は、8.9から12.3カ月に及び、生存期間中央値は、今や、一部の報告においておおよそ20カ月に近づいている2〜4
【0003】
しかしながら、残念なことに、これらのより新しい併用化学療法レジメンは、毒性の増加を有する。イリノテカンを含有するレジメンは、著しい下痢および他の胃腸毒性を伴い、一方、オキサリプラチンを含有するレジメンは、神経毒性を伴う2〜10。観察される神経毒性には2つのタイプがあり、第一に、機能を妨害することがある知覚異常を伴う蓄積性および用量制限であることが多い感覚喪失、第二に、FOLFOXレジメンの患者承諾を制限する攪乱性低温感受性である7〜10
【0004】
ピコプラチンは、前臨床試験においてインビトロで5−FUとの相乗作用を示し、様々な癌において広範な第1相および第2相試験を受けた白金類似体である11〜22。他の白金類似体のように、ピコプラチンは、DNA複製および転写を妨害し細胞死につながる、DNAにおける共有結合架橋の形成により細胞死を引き起こす。最初の白金類似体であるシスプラチンは、おおよそ20年前に導入され、依然として広く使用されている。シスプラチンの認可にカルボプラチンの認可、ごく最近、オキサリプラチンの認可が続いた。
【0005】
白金類似体による治療は、それらの毒性により制限される。神経毒性および腎毒性は、シスプラチン治療後に観察される主な用量制限毒性(DLT)であるが、骨髄抑制は、カルボプラチン治療後に最も著しい。カルボプラチンが、ゆっくりとした骨髄回復をもたらす蓄積性の用量関連毒性を引き起こすことは公知である。末梢神経毒性は、オキサリプラチンで治療された患者において十分に裏付けられている。初期の白金類似体に伴う許容できない腎毒性、耳毒性、および神経毒性は、動物試験か臨床治験のどちらかでピコプラチンについて報告されたことがない11,19〜22
【0006】
白金類似体の有効性は、細胞取り込み障害、チオール[例えば、還元グルタチオン]による細胞内不活性化、およびDNA修復の増強および/または白金−DNAアダクトに対する耐容性の増加を包含する抵抗性のいくつかの(内因性または獲得性)機構によっても制限される23。前臨床試験は、ピコプラチンが、抵抗性のこれら3つの機構を克服することができることを示している。このことは、インビトロで、およびシスプラチンに対して抵抗性を示すヒト卵巣異種移植片腫瘍モデルを使用することにより証明されている13〜17。オキサリプラチンに対する誘導抵抗性のあるいくつかのヒト卵巣および結腸細胞系は、ピコプラチンに対する感受性を保持している16〜18
【0007】
第1相試験において、耐容性の副作用および活性の徴候は、卵巣癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、結腸直腸癌、頭頸部癌、腎細胞癌、胸腺癌、膵臓癌、胃癌、平滑筋肉腫、肝癌、中皮腫、および前立腺癌のある被験者において見られた24,25。第2相試験において、有効性の徴候は、卵巣癌、NSCLC、SCLC、中皮腫、前立腺癌、および乳癌のある被験者において見られた。
【0008】
セツキシマブは、組み換えヒト/マウスキメラ上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体である。イリノテカンベースまたはオキサリプラチンベースの化学療法で改善することができなかった患者においてEGFRを発現する転移性結腸直腸癌を治療するためにイリノテカンと組み合わせて使用されることが2004年2月に米国食品医薬品局により認可された。セツキシマブは、イリノテカンベースの化学療法に対して不耐容であるEGFRを発現する転移性結腸直腸癌のある患者の治療における単剤としての投与についても認可された。セツキシマブは、Erbitux(登録商標)の商品名でBristol−Myers Squibbにより販売されている。
【0009】
EGFRは、多種多様な癌系において発現されることが周知であり、「上皮成長因子受容体(EGFR)、成長因子受容体チロシンキナーゼ、および/またはその同族リガンドのレベル上昇は、複数の癌タイプの共通成分として特定されており、固形腫瘍成長を促進するように見える」ことが報告されている。例えば、Nicholson RI、Gee JM、Harper ME、「EGFR and Cancer Prognosis」、Eur. J. Cancer、(2001年9月)、37 Suppl.4、S9〜15頁を参照されたい。
【0010】
セツキシマブは、オキサリプラチンおよびイリノテカンベースのレジメンと組み合わせて使用される一次療法として、および他の薬物と組み合わせた二次療法としてまたは転移性結腸直腸癌(mCRC)を治療するための単独療法として認可されており、例えば、J.J. Leeら、Clin Colorectal Cancer.2007年;6 Suppl2:S42〜6頁;およびW. Zhangら、Ann Med.2006年;38:545〜51頁を参照されたい。
【0011】
mCRC患者の約40%は、K−ras変異を有し、それらのmCRCは、セツキシマブおよびパニツムマブなどの上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤に対して反応しない。mCRCにおける多くのセツキシマブ治療試験は、K−ras変異陽性mCRCにおいて極めて低いかゼロといった奏効率、短い無増悪生存期間、および短い全生存期間を立証した。EGFR阻害剤で治療されたK−ras野生型CRC患者は、有意に高い客観的奏効率、無増悪生存期間の増加、および全生存期間の増加を有するため、K−ras検査は、今や、EGFR阻害剤による治療から恩恵を受ける可能性が最も高いmCRC患者のサブセットを選択するための日常的な臨床業務において使用される。サブセット選択は、副作用および無効薬物の費用についてEGFR阻害剤に対して反応する可能性の低い患者を救う。腫瘍内科医にK−ras検査を提供する会社の例は以下を包含する。
【0012】
例えば、M. Brinkら、Carcinogenesis.2003年;24:703〜10頁; A. Lievreら、J Clin Oncol.2008年;26:374〜9頁;W. De Roockら、Ann Oncol.2007年11月12日;F. Di Fioreら、Br J Cancer.2007年;96:1166〜9頁; A. Lievreら、Cancer Res.2006年;66:3992〜5頁;C.S. Karapetisら、NEJM. 2008年;359(N 17):1757〜1765頁;Amadoら、2008年American Society of Clinical Oncology Gastrointestinal Cancers Symposium、Abstract 278を参照されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ピコプラチン、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))および、場合により、5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンで転移性結腸直腸癌を治療する方法、結腸直腸癌の治療におけるセツキシマブおよび、場合により、5−FUおよびロイコボリンを併せたピコプラチンの使用、ならびにセツキシマブ、5−FUおよびロイコボリンと併せたピコプラチンの投与に適合されたキットを対象とする。
【0014】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、セツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、セツキシマブが、1週間隔で少なくとも2回投与される方法を提供する。例えば、ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与することができる。例えば、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は、約2週であってよく、ピコプラチンの投与の間隔は、約4週であってよい。
【0015】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、結腸直腸癌を患っている患者に、有効量のピコプラチン、セツキシマブ、5−FUおよびロイコボリンの組合せを投与することを含み、ピコプラチン、ならびに5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、セツキシマブが、1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量が、ピコプラチンの最大耐容用量未満である方法を提供する。例えば、ピコプラチンは、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与することができる。例えば、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は、約2週であってよい。
【0016】
様々な実施形態において、本発明は、転移性結腸直腸癌(mCRC)のための治療レジメンを選択するための方法であって、(a)mCRCを患っている患者を用意すること、(b)患者が、K−ras野生型mCRC患者であるかどうかを決定すること、および(c)患者が、K−ras野生型mCRCを含む場合、EGFR阻害剤およびピコプラチンを含むレジメンを前記患者について選択することを含む方法を提供する。
【0017】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、(a)FOLFOX−4および/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および(b)セツキシマブ400mg/mの初回用量と、後続の、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを患者に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、
(a)ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、イリノテカン、FOLFOX、またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および(b)再発を防ぐためのアジュバント療法としての、セツキシマブ400mg/mの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを患者に投与することを含む方法を提供する。
【0019】
様々な実施形態において、本発明は、EGFRを含む転移性癌を患っている患者のための治療のレジメンを選択するための方法であって、(a)転移性癌を患っている患者を特定すること、(b)癌が、野生型K−ras遺伝子または変異陽性K−ras遺伝子を含むかどうかを決定すること、および(c)野生型K−ras遺伝子が存在する場合には、ピコプラチンおよびEGFR阻害剤を含む治療レジメンを選択すること、または変異陽性K−ras遺伝子が存在する場合には、EGFR阻害剤なしでピコプラチンを含む治療レジメンを選択することを含む方法を提供する。例えば、EGFRを含む転移性癌は、SCLC、NSCLC、膵臓癌、結腸直腸癌、上皮癌、または頭頸部癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、食道癌、胃癌、乳癌、もしくは子宮内膜癌を含むことができる。
【0020】
様々な実施形態において、本発明は、mCRCを患っている患者のための治療のレジメンを選択するための方法であって、(a)mCRCを患っている患者を特定すること、(b)mCRCが、野生型K−ras遺伝子または変異K−ras遺伝子を含むかどうかを決定すること、ならびに(c)mCRCがK−ras野生型遺伝子型を含む場合には、ピコプラチン、ならびに場合により5−FUおよびロイコボリンと組み合わせて、セツキシマブ、エルロチニブもしくはパニツムマブなどのEGFR阻害剤を患者に投与すること、または(d)mCRCがK−ras変異陽性遺伝子型を含む場合には、ピコプラチン、ならびに場合により5−FUおよびロイコボリンを患者に投与することを含む方法を提供する。例えば、EGFR阻害剤は、セツキシマブを含むことができる。
【0021】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療するための、セツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、5−FUおよびロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、セツキシマブが1週間隔で少なくとも2回投与される使用を提供する。例えば、ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与することができる。例えば、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は約2週であってよく、ピコプラチンの投与の間隔は約4週であってよい。
【0022】
様々な実施形態において、本発明は、セツキシマブ、5−FUおよびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、ピコプラチン、ならびに5−FUおよびロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、セツキシマブが1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量がピコプラチンの最大耐容用量未満である使用を提供する。例えば、ピコプラチンは、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与することができる。例えば、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は、約2週であってよい。
【0023】
本発明の様々な実施形態において、患者へのFOLPI+セツキシマブレジメンの静脈内投与に適合されたキットであって、ピコプラチンの溶液を含む第一の容器およびロイコボリンの溶液を含む第二の容器を含み;第一の容器および第二の容器の内容物を患者へ同時に投与することができるように第一の容器、第二の容器、および単体の静脈内管へ独立して連結されるように適合された連結器をさらに含み;患者への静脈内投与に適合された、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))の溶液を含む容器および5−FUの溶液を含む容器をさらに含み;場合により、使用説明書をさらに含むキットが提供される。
【0024】
一実施形態において、キットは、水、NaClを含む張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形でピコプラチンを、第一の容器中に含有できる。剤形は、本明細書に開示されている用量に従って、有効量の溶存または分散5−FUおよび/またはロイコボリンも含むこともできる。剤形は、保存剤も静菌剤も含有しない。剤形の適切な容量を投与して、望ましい治療用量を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、セツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、セツキシマブが、1週間隔で少なくとも2回投与される方法を提供する。例えば、ピコプラチンは、約60mg/m〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与することができる。例えば、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は、約2週であってよく、ピコプラチンの投与の間隔は、約4週であってよい。
【0026】
様々な実施形態において、本発明は、結腸直腸癌を治療する方法であって、結腸直腸癌を患っている患者に、有効量のピコプラチン、セツキシマブ、5−FUおよびロイコボリンの組合せを投与することを含み、ピコプラチン、ならびに5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、セツキシマブが、1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量が、ピコプラチンの最大耐容用量未満である方法を提供する。例えば、ピコプラチンは、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与することができる。例えば、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンの投与の間隔は、約2週であってよい。
【0027】
例えば、ロイコボリンおよび5−FUは、約2週毎に投与することができ、ピコプラチンは、約4週毎にロイコボリンと一緒に投与され、セツキシマブは、毎週投与される。例えば、ピコプラチンは、約60〜75mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。あるいは、ピコプラチンは、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。一部の実施形態において、ピコプラチンの後続の用量は、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与することができる。
【0028】
本発明の様々な実施形態において、患者は、これまでに転移性疾患について治療されたことがない。他の実施形態において、患者は、これまでにイリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンで治療されたことがあってもよい。または、患者は、これまでにFOLFOXレジメンで、続いて、FOLPIレジメンで治療され、FOLPIレジメンの終了から6カ月以内に再発したことがあってもよい。あるいは、患者は、これまでにFOLFOXまたはイリノテカンを含む第一のレジメンで、続いて、セツキシマブ単独、イリノテカン+セツキシマブ、またはFOLPIを含む第二のレジメンで治療され、第二のレジメンの中止後6カ月以内に再発したことがあってもよい。
【0029】
本発明の様々な実施形態において、患者は、これまでに転移性疾患について治療されたことがないか、患者は、これまでに局在性または転移性疾患について、化学療法などの全身治療を受けたことがない。例えば、患者は、原発腫瘍を摘出または減量するために手術を受け、次いで、転移の発生を防止するか遅らせることを包含する癌の増悪を防止するか遅らせるために本発明のピコプラチン、5−FU、ロイコボリンレジメン(例えば、FOLPI)のうちの1つで治療されたことがあってもよい。患者は、本ピコプラチン治療の少なくとも6カ月前に、原発腫瘍治療時の早期化学療法を受けたことがあってもよい。
【0030】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、寛解なしに単に疾患を止めようとすることでなく、治癒的意図で投与することができる。ピコプラチンの用量は、疾患静止をもたらす用量を超えて増加させ、患者において治癒を得ることができる。
【0031】
例えば、ピコプラチンは、ロイコボリンと実質的に同時に投与することができ、続いて、患者の治療毎に5−FUを投与し、セツキシマブは、1週間隔で投与される。例えば、ピコプラチンは、約40〜45mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。
【0032】
様々な実施形態において、患者は、これまでに化学療法の早期全身レジメンで治療されたことがあってもよく、癌は、寛解状態にあってもよい。例えば、患者は、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、早期FOLPIレジメンで治療されたことがあってもよい。
【0033】
本方法の様々な実施形態において、ピコプラチンは、水、NaClを含む張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形で投与することができ、剤形は、保存剤も静菌剤も含有しない。
【0034】
様々な実施形態において、ピコプラチン、セツキシマブおよびロイコボリンは、実質的に同時に投与することができる。例えば、ピコプラチンおよびロイコボリンは、同時に投与することができる。本明細書に使用されるように、「同時に」という用語は、投与される2つ以上の薬剤が治療有効量でインビボで存在するように、投与が、同時である、重複する、または時間的に十分に近いことを意味する。
【0035】
様々な実施形態において、5−FUは、ピコプラチン、ロイコボリンおよびセツキシマブの投与後に投与することができる。
【0036】
様々な実施形態において、ロイコボリンは、約200〜400mg/mの初期用量で投与することができる。および、5−FUは、約1000〜3000mg/mの投与1回当たりの総用量で投与することができる。
【0037】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で投与することができる。より具体的に、ピコプラチンは、約120〜150mg/mの用量で投与することができる。例えば、ピコプラチンは、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。
【0038】
様々な実施形態において、ピコプラチンの後続の用量は、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与することができ、例えば、前の用量が、約150mg/mである場合、後続の用量は、約120〜135mg/mであってよい。
【0039】
本方法の様々な実施形態において、ピコプラチンの約900mg/mを超える累積用量が患者に送達される。
【0040】
様々な実施形態において、セツキシマブは、約400mg/mの初回用量で、次いで、約250mg/mの用量で週に1回静脈内に投与することができる。
【0041】
様々な実施形態において、ロイコボリンは約400mg/mの用量で2時間注入として投与することができ、ロイコボリンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUボーラスが行われ;5−FUボーラスに続いて、約2,400mg/mの用量の5−FUが46時間連続注入として投与され;ロイコボリンおよび5−FUは2週毎に患者に投与され、ピコプラチン約60〜150mg/mが4週毎にロイコボリンと一緒に患者に投与され、少なくともピコプラチン初期用量が約150mg/mであり、セツキシマブが、約400mg/mの初期用量で、次いで、約250mg/mの用量で週に1回投与される。
【0042】
本方法のある実施形態は、結腸直腸癌を治療する方法であって、
(a)FOLFOX−4および/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および
(b)セツキシマブ400mg/mの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを患者に投与することを含む方法を提供する。
【0043】
本方法のある実施形態は、結腸直腸癌を治療する方法であって、
(a)ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、イリノテカン、FOLFOX、またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および
(b)再発を防ぐためのアジュバント療法としての、400mg/mセツキシマブの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを患者に投与することを含む方法を提供する。
【0044】
本発明の別の実施形態において、ピコプラチンは、ロイコボリンと実質的に同時に投与され、ピコプラチンは、5−FUおよびロイコボリンによる患者の1回おきの治療毎に、例えば、4週毎に投与される。セツキシマブは、ピコプラチンと同時に、その後、毎週、やや高い用量で投与される。ロイコボリンは、約200〜500mg/m、好ましくは、約400mg/mの用量で投与することができる。ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で投与される。セツキシマブは、約5mL/分で約20時間の間、400mg/mの用量で注入により投与され、続いて、毎週、250mg/mの持続用量で約60分間、静脈内注入される。5−FUは、約1000〜3000mg/mの総用量で投与される。ロイコボリンおよび5−FUにとって好ましい治療サイクルは、2週毎であり、ピコプラチンは、例えば、約60〜75mg/m、例えば、60mg/mの低用量で、または約120〜180mg/m、好ましくは、約120〜150mg/m、例えば、約150mg/mの高用量で、4週毎に投与される。
【0045】
したがって、本発明の一実施形態において、ロイコボリンは、200〜500mg/mの用量で、ピコプラチンと同時に約2時間注入として投与され、与えられる場合、ピコプラチン用量は、120〜180mg/m、例えば、約150mg/mであり;ロイコボリンおよびピコプラチンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUがボーラスとして投与され;5−FU用量に続いて、600mg/mまたは2,400mg/mの用量の5−FUが、好ましくはそれぞれ22時間または46時間の連続注入として投与され、ロイコボリンおよび5−FUは2週の間隔で患者に提供され、ロイコボリン、ピコプラチン、および5−FUは4週の交互間隔で患者に提供される。セツキシマブは、400mg/mの初期用量と、後続の250mg/mの週用量で、上に記載されているように投与される。別の実施形態において、約45〜75mg/m、例えば、約60〜75mg/m、例えば、約60mg/mのピコプラチンの低用量が投与される。そのような5−FU/ロイコボリン/ピコプラチンレジメンは、FOLPIレジメンと広く呼ばれることがあり、本発明ではセツキシマブ注入が追加される。
【0046】
本発明の別の実施形態において、ロイコボリンは、400mg/mの用量で、2時間注入として投与され;ロイコボリンの投与に続いて、400mg/mの用量で5−FUボーラス投与され;5−FUボーラス用量に続いて、400mg/mまたは2,400mg/mの用量の非経口5−FUが、好ましくはそれぞれ22時間または46時間の連続注入として投与され;ロイコボリンおよび5−FUの投与は、2週毎に行われ;2週毎のピコプラチンは、約50mg/mまでの用量、例えば、約40〜50mg/m、例えば、45mg/mで、ロイコボリンと同時に(concurrently)、好ましくは、同時に(simultaneously)投与される。約45〜105mg/mのピコプラチン用量も投与することができる。セツキシマブは、上に記載されているように毎週与えられる。
【0047】
一部の場合に、治療サイクル毎にロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与されるピコプラチンの低用量の組合せが、反応を生じさせるのに、同じ間隔で与えられる、より高い用量、例えば、MTDと同じように有効か、より有効であることが予想外に判明した。2週および4週ピコプラチン投与スケジュール(表1)についてのMTDは、下で議論される。初期治療におけるそのような用量は、MTDよりも低いか実質的に低いことが好ましい。そのような用量は、下で議論されるように、ロイコボリンおよびセツキシマブと、後続の、5−FUと一緒に与えられる2週毎のピコプラチン約40〜60mg/mの範囲であってよい。
【0048】
驚いたことに、約900mg/mを超える累積ピコプラチン総投与量が、グレード2以上の神経障害が観察されることなく、患者により耐容され得ることが判明した。
【0049】
この方法の一実施形態において、患者は、これまでに転移性疾患のために化学療法などの全身治療を受けたことがないことが好ましい。しかしながら、患者は、このピコプラチン−セツキシマブ治療の少なくとも6カ月前に、原発腫瘍治療時に早期のアジュバント療法を受けていてもよい。
【0050】
本発明の別の実施形態において、患者は、FOLFOXレジメンなどの化学療法の早期全身レジメンで治療されたことがあり、寛解状態にある。そのような場合、セツキシマブを併用するかまたは併用しない、FOLPIと広く呼ばれる本レジメンは、寛解期間、または無疾患生存期間を延長するために投与することができる。あるいは、MCRC患者は、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、早期FOLPIレジメンで治療されたことがあり、癌は、寛解状態にあり、FOLPI+セツキシマブ、またはピコプラチンとセツキシマブの組合せの本方法は、癌の再発を防ぐためのアジュバント療法として使用することができる。
【0051】
患者は、転移性結腸直腸癌の細胞の少なくとも一部でEGFR発現を示すことが好ましい。
【0052】
ピコプラチンは、mCRC患者における一次治療としてFOLPIレジメンにおいて5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンと組み合わせて使用することができ、セツキシマブも投与することができる。モノクローナル抗体のセツキシマブまたはパニツムマブなどの上皮成長因子受容体(EDFR)阻害剤は、mCRC患者における二次および三次治療として使用される。上で議論されているように、K−ras変異陽性である腫瘍遺伝子型を持つmCRC患者は、セツキシマブおよび他のEGFRアゴニストに対して反応しない。本発明の様々な実施形態において、ピコプラチンおよびセツキシマブ(場合により5−FUおよびロイコボリンが含まれる)は、K−ras変異陽性mCRCを有する患者の治療において使用することができる。例えば、別様に特定用量のセツキシマブを受けるであろうが、そのmCRC癌細胞遺伝子型が、K−ras変異陽性であることが分かっている患者には、様々な投与レジメンで5−FUおよびロイコボリンと併せてピコプラチンを投与することができる。
【0053】
したがって、本発明のある実施形態は、mCRCを患っている患者のための治療のレジメンを選択するための方法であって、(a)mCRCを患っている患者を用意すること、(b)mCRCが、野生型K−ras遺伝子または変異K−ras遺伝子を含むかどうかを決定すること、および(c)1つまたは複数のセツキシマブ(Erbitux(登録商標)など)、エルロチニブ(Tarceva(登録商標)など)またはパニツムマブ(Vectibix(登録商標)など)などのEGFR阻害剤、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンを含む、上に記載されている本発明の併用療法を含む前記K−ras野生型mCRC患者のためのレジメンを選択することを含む方法も含む。患者が、K−ras変異陽性であるmCRCを含むと判断される場合、EGFR阻害剤は、ピコプラチン、5−FU、ロイコボリンレジメンから省略されるであろう。さらなる実施形態は、選択されたレジメンで前記患者を治療することを含む。
【0054】
本方法は、一般的に、腫瘍を患っている患者を提供し、(b)腫瘍が、野生型K−ras遺伝子または変異K−ras遺伝子を含むかどうかを決定し、(c)野生型K−ras遺伝子が存在する場合には、ピコプラチンおよびEGFR阻害剤を含む治療レジメンを選択することにより、SCLC、NSCLC、膵臓癌、結腸直腸癌、上皮性癌、または頭頸部癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、食道癌、胃癌、乳癌、もしくは子宮内膜癌などの癌を患っている患者のための治療のレジメンを選択するために用いられる。
【0055】
本発明のある実施形態は、mCRCを患っている患者のための治療のレジメンを選択するための方法であって、(a)mCRCを患っている患者を特定すること、(b)mCRCが、野生型K−ras遺伝子または変異K−ras遺伝子を含むかどうかを決定すること、および(c)mCRCがK−ras野生型遺伝子型を含む場合には、ピコプラチンおよび、場合により、5−FUおよびロイコボリンと組み合わせて、セツキシマブ、エルロチニブまたはパニツムマブなどのEGFR阻害剤を患者に投与すること、または(d)mCRCがK−ras変異陽性遺伝子型を含む場合には、ピコプラチン、ならびに場合により5−FUおよびロイコボリンを患者に投与することを含む方法も提供する。例えば、EGFR阻害剤は、セツキシマブであってよい。
【0056】
本発明のさらなる実施形態において、結腸直腸癌を患っている患者は、一次療法(FOLFOXまたはイリノテカン)が奏効しなかったか、二次療法(セツキシマブ単独、イリノテカン+セツキシマブまたはFOLPI)も奏効しなかった。そのような場合、本修正FOLPI+セツキシマブレジメンを、「三次療法」として用いることができる。
【0057】
あるいは、セツキシマブレジメン400mg/mのi.v.初期負荷用量、次いで、250mg/mのi.v.週1回維持用量と組み合わせて3週毎の静脈内ピコプラチン(5〜150mg/m)を用いることは、5−FUおよびロイコボリンのさらなる投与なしで、三次療法として用いることができる。
【0058】
本明細書で使用されるように、「同時に」という用語は、投与される2つ以上の薬剤が治療有効量でインビボで存在するように、投与が、同時である、重複する、または時間的に十分に近いことを意味する。
【0059】
本方法は、抗嘔吐剤として、有効量の5−HT受容体アンタゴニストの投与を含むこともできる。
【0060】
本発明のある実施形態は、転移性結腸直腸癌を治療するためのセツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、5−FUおよびロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきにロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、セツキシマブが、1週間隔で少なくとも2回投与される使用を提供する。
【0061】
例えば、様々な実施形態において、ロイコボリンおよび5−FUは、約2週毎に投与することができ、ピコプラチンは、約4週毎にロイコボリンと一緒に投与することができ、セツキシマブは、毎週投与することができる。例えば、ピコプラチンは、約60〜75mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。
【0062】
本発明の別の実施形態は、転移性結腸直腸癌を治療するための、セツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、ピコプラチン、5−FUおよびロイコボリンが約2週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、セツキシマブが1週間隔で少なくとも2回投与され、ピコプラチンの量が、前記組合せで投与される場合に、ピコプラチンの最大耐容用量未満である使用を提供する。
【0063】
本発明の別の実施形態は、転移性結腸直腸癌を治療するための、セツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと併せたピコプラチンの使用であって、5−FUおよびロイコボリンが約2週の間隔で静脈内に投与され、ピコプラチンが、フルオロウラシルおよびロイコボリンが投与される毎にロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、ピコプラチンが約45〜120mg/mの用量で投与され、セツキシマブが、250〜500mg/mの初回用量で、続いて200〜300mg/mの用量で1週間隔で静脈内に投与される使用を提供する。
【0064】
例えば、ピコプラチンは、ロイコボリンと実質的に同時に投与することができ、続いて、患者の治療毎に5−FUを投与し、セツキシマブは、1週間隔で投与される。例えば、ピコプラチンは、約40〜45mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。
【0065】
本使用の様々な実施形態において、患者は、これまでに転移性疾患について治療されたことがない。様々な他の実施形態において、患者は、これまでにFOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンで治療されたことがある。例えば、患者は、これまでにFOLFOXレジメンで、続いて、FOLPIレジメンで治療され、FOLPIレジメンの終了から6カ月以内に再発したことがあってもよい。または、結腸直腸癌を患っている患者は、これまでにFOLFOXまたはイリノテカンを含む最初のレジメンで、続いて、セツキシマブ単独、イリノテカン+セツキシマブまたはFOLPIを含む第二のレジメンで治療され、第二のレジメンの中止後6カ月以内に再発したことがあってもよい。
【0066】
本使用の他の実施形態において、患者は、これまでに化学療法の早期全身レジメンで治療されたことがあってもよく、癌は、寛解状態にあってもよい。例えば、患者は、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、早期FOLPIレジメンで治療されたことがあってもよく、癌は、寛解状態にあってもよい。
【0067】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、水、NaClを含む張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形で投与することができ、剤形は、保存剤も静菌剤も含有しない。
【0068】
様々な実施形態において、ピコプラチン、セツキシマブおよびロイコボリンは、実質的に同時に投与することができる。本明細書で使用されるように、「同時に」という用語は、投与される2つ以上の薬剤が治療有効量でインビボで存在するように、投与が、同時である、重複する、または時間的に十分に近いことを意味する。様々な実施形態において、ピコプラチンおよびロイコボリンは、同時に投与することができる。様々な実施形態において、5−FUは、ピコプラチン、ロイコボリンおよびセツキシマブの投与後に投与することができる。
【0069】
本使用の様々な実施形態において、ロイコボリンは、約200〜400mg/mの初期用量で投与することができる。他の実施形態において、5−FUは、約1000〜3000mg/mの投与1回当たりの総用量で投与することができる。様々な実施形態において、ピコプラチンは、約60〜180mg/mの用量で投与することができる。より具体的に、ピコプラチンは、約120〜150mg/mの用量で投与することができ、例えば、ピコプラチンは、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与することができる。様々な実施形態において、ピコプラチンの後続の用量は、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与することができ、例えば、前の用量が、約150mg/mである場合、後続の用量は、約120〜135mg/mであってよい。様々な実施形態において、ピコプラチンの約900mg/mを超える累積用量を患者に送達することができる。
【0070】
様々な実施形態において、セツキシマブは、約400mg/mの初回用量、次いで、約250mg/mの用量で週に1回静脈内に投与することができる。
【0071】
本発明の使用の様々な実施形態において、ロイコボリンは、約400mg/mの用量で、約2時間注入として投与することができ、ロイコボリンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUボーラスが行われ;5−FUボーラスに続いて、約2,400mg/mの用量の5−FUが46時間連続注入として投与され;ロイコボリンおよび5−FUが2週毎に患者に投与され、ピコプラチン約60〜150mg/mが4週毎にロイコボリンと一緒に患者に投与され、ピコプラチンの少なくとも初期用量が約150mg/mであり、セツキシマブが、約400mg/mの初期用量で、次いで、約250mg/mの用量で毎週1回投与される。
【0072】
様々な実施形態において、患者は、転移性結腸直腸癌の少なくとも一部の細胞でEGFR発現を示すことができる。
【0073】
様々な実施形態において、ピコプラチン約5〜150mg/mを、FOLFOX−4および/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった結腸直腸癌を患っている患者における結腸直腸癌の治療において、セツキシマブ400mg/mの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と併せて21日毎に投与することができる。
【0074】
様々な実施形態において、ピコプラチン約5〜150mg/mを、癌が、寛解状態にあり、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、イリノテカン、FOLFOX、またはFOLPIレジメンを受けたことがある結腸直腸癌を患っている患者において結腸直腸癌の再発を防ぐために、セツキシマブ400mg/mの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と併せて21日毎に投与することができる。
【0075】
様々な実施形態において、前記使用は、5−HT受容体アンタゴニストの投与をさらに含むことができる。
【0076】
様々な実施形態において、本発明は、患者へのFOLPI+セツキシマブレジメンの静脈内投与に適合されたキットであって、ピコプラチンの溶液を含む第一の容器およびロイコボリンの溶液を含む第二の容器を含み;第一の容器および第二の容器の内容物を患者へ同時に投与することができるように第一の容器、第二の容器、および単体の静脈内管へ独立して連結されるように適合された連結器をさらに含み;患者への静脈内投与に適合された、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))の溶液を含む容器および5−FUの溶液を含む容器をさらに含み;場合により、使用説明書をさらに含むキットを提供する。例えば、第一の容器は、水、張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含むピコプラチンの剤形を含むことができ、剤形は保存剤も静菌剤も含有しない。
【0077】
ピコプラチン(SP−4−3)(シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)Pt(II))、および有用なプロドラッグならびにそれらの類似体は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,665,771号、第6,518,428号、第6,413,953号、2007年11月5日出願の米国特許出願第11/982,891号、およびPCT/GB/01/02060に開示されている。本明細書に開示されている用量は、薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせた有効量のピコプラチンの経口投与により、ならびに静脈内注入により提供することができる。
【0078】
ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)は、ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)の細胞外ドメインと特異的に結合する組み換えヒト/マウスキメラモノクローナル抗体である。ERBITUX(登録商標)は、ヒトIgG1重鎖およびκ軽鎖定常領域のあるマウス抗EGFR抗体のFv領域で構成され、約152kDaの重量を有する。ERBITUX(登録商標)は、哺乳類(マウス骨髄腫)細胞培養物中で産生される。Goldsteinら(米国特許第7,060,808号)を参照されたい。
【0079】
ERBITUX(登録商標)は、pH7.0〜7.4の無菌の透明な無色液体として提供され、少量の容易に見える白色の非晶質のセツキシマブ粒子を含有することがある。各使い捨ての50mLバイアルは、2mg/mLの濃度でセツキシマブ100mgを含有し、塩化ナトリウム8.48mg/mL、二塩基性リン酸ナトリウム7水和物1.88mg/mL、一塩基性リン酸ナトリウム1水和物0.42mg/mL、および注射用水(USP)を含有する保存剤の入っていない溶液中で製剤化される。
【0080】
併用化学療法または放射線療法と組み合わせて投与されるERBITUX(登録商標)は、非線形薬物動態を示す。濃度時間曲線下面積(AUC)は、用量に比例するよりも大きく増加し、一方、セツキシマブのクリアランスは、用量が20から200mg/mまで増加するにつれて0.08から0.02L/時間/mまで減少し、200mg/mを超える用量で、水平状態になるように見えた。セツキシマブについての分布容積は、用量と無関係であるように見え、2〜3L/mの脈管性間隙(vascular space)に近づいた。
【0081】
推奨用量レジメンは、増悪または許容できない毒性まで続けられる、120分静脈内注入としての400mg/m初期用量と、後続の、60分かけて静脈内に注入される250mg/m週1回用量である。セツキシマブのインビトロ濃度は、3回目の週1回注入までに定常状態レベルに達し、試験を通しての平均ピーク濃度およびトラフ濃度は、それぞれ168〜235および41〜85μg/mLの範囲であった。セツキシマブの平均半減期は、おおよそ112時間(範囲63〜230時間)であった。セツキシマブの薬物動態は、SCCHN患者および結腸直腸癌患者において類似していた。セツキシマブは、過度の副作用なしにFOLFOX4レジメンとの組合せで評価されている27
【0082】
転移性結腸直腸癌を治療するためのピコプラチンの使用は、3つの部分で行われるであろう。第1相は、これまでに転移性疾患について治療されたことがない転移性結腸直腸癌を有する被験者のための初期治療として、2週毎に投与される5−FUおよびロイコボリン(LV)と一緒に、2週毎か4週毎のどちらかで投与することができるピコプラチンの最大耐容用量(MTD)を特定するための用量増加試験である。第2相は、無作為化試験である。試験の一方の群において、ピコプラチンは、2週毎に投与される5−FUおよびロイコボリンと組み合わせて、4週毎に150mg/mで投与される。もう一方の群において、2つの薬剤を広く使用されるレジメンとの関連において比較することができるように、FOLFOX6におけるオキサリプラチン用量100mg/mが、85mg/mに低減され、2週毎に投与される修正FOLFOX6レジメンが用いられる。癌患者を、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンの代わりにピコプラチンを用いる本発明のレジメンでより効果的に治療することができると考えられるのは、癌患者が、好ましくはより高用量の白金(Pt)薬を受けながら、神経障害などの副作用を経験することが少ないためである。第3相は、毎週のErbitux(登録商標)注入を伴うFOLPIレジメン、および伴わないFOLPIレジメンを比較する試験になるであろう。
【0083】
第1相試験の資格がある被験者は、IV期結腸直腸癌を有し、転移性癌のための全身療法を受けたことがないものとする。少なくとも6カ月の無治療間隔があった場合、オキサリプラチンもイリノテカンも含有しない5−FUベースの治療レジメンによる先行アジュバント化学療法は許容できる。
【0084】
第1相
被験者は、2週毎か4週毎かのどちらかで投与されるピコプラチンによる治療へ中心的に割り当てられ、今までの試験結果に応じて与えられるべきピコプラチンの用量を割り当てられる。各患者は、2週毎に5−FUおよびロイコボリン療法も受ける。3例の被験者のコホートは、下記のスケジュールに従ってピコプラチンおよびロイコボリンおよび5−FUのそれらの割当用量を受ける。
【0085】
1日目:割当用量のピコプラチンは、2時間注入として、5−FUおよびロイコボリンのサイクル毎(2週毎、スケジュールA)か5−FUおよびロイコボリンの1サイクルおき(4週毎、スケジュールB)のどちらかで与えられる。ロイコボリン、D5W(水−5%ブドウ糖)中400mg/mは、単独か、患者がピコプラチンを受けることになっている場合、Yラインを使用する別のバッグ中のピコプラチンと同時にかのどちらかで、2時間注入として投与されるであろう。ロイコボリン(±ピコプラチン)に、5−FUボーラス=400mg/mと、次いで、46時間連続注入として投与されるD5W中の5−FU、2,400mg/mが続くであろう。
【0086】
第1相における被験者は、ピコプラチンの2つのスケジュールのうちの1つへ中心的に割り当てられる。2週毎(スケジュールA)被験者の第一コホートは、サイクル毎、2週毎に、45mg/mの用量のピコプラチンで治療される。このスケジュールに割り当てられた被験者のその後に連続するコホートは、治療が良好な耐容性を示す場合に、許容できない用量制限毒性(DLT)がMTDを確立するまで、15mg/mずつ増加する投与レベルでピコプラチンを受ける。
【0087】
MTDは、少なくとも6例の被験者のうちの少なくとも3分の1がDLTを経験する用量未満のピコプラチンの用量と定義される。治療の最初の4週のみからの耐容性データを使用し、MTDを決定する。したがって、2週毎(スケジュールA)被験者におけるピコプラチンの最初の2回の投与の後、および4週毎(スケジュールB)被験者におけるピコプラチンの初回投与のみの後のデータが考慮される。4週毎(スケジュールB)被験者の第一コホートは、1サイクルおき、4週毎に、60mg/mの用量のピコプラチンで治療されるであろう。このスケジュールに割り当てられた被験者のその後に連続するコホートは、治療が良好な耐容性を示す場合に、許容できない用量制限毒性(DLT)がMTDを確立するまで、30mg/mずつ増加する投与レベルでピコプラチンを受けるであろう。観察される毒性のパターンおよび重症度に応じて、ピコプラチン投与のどちらかのスケジュールの追加中間用量レベルが検討されることがある。
【0088】
各スケジュール内で、コホートサイズは、3例の被験者であり、DLTが観察される場合には6例の被験者まで拡大される。各スケジュールの各コホート内で、1例の患者が初めに治療され、後続の4週(2回の薬物サイクル)以内にDLTが観察されない場合に、残りの2例の被験者を治療することができる。DLTが、あるコホート内の最初の患者で観察される場合、そのコホートへの追加被験者の組み入れを進めるか否かは、ケースバイケースの原則で決定されるであろう。2週毎(スケジュールA)コホート内の全被験者は、次の被験者のコホートにおいて用量を増加するのに先立って、2サイクル(サイクル=2日治療レジメンおよび追加の12日追跡期間)を終了しているであろう。4週毎(スケジュールB)コホート内の全被験者は、スケジュールB被験者の次のコホートにおいて用量を増加するのに先立って、1サイクルの2日治療レジメン(5FU/ロイコボリンを包含するべきである)および追加の26日追跡期間を終了しているであろう。
【0089】
あるコホート内の3例の被験者の中でDLTが観察されない場合、ピコプラチン用量増加を、ピコプラチンのそのスケジュールの次のコホートにおいて進めることができる。1つのDLTが観察される場合、ピコプラチンの指定された用量およびスケジュールにおけるコホートサイズは、6例の被験者まで拡大される。追加の被験者は、6例のうちの2例がDLTを有する用量未満の任意の用量レベルおよびスケジュールに参加し、追加の安全性または有効性データを得ることができる。
【0090】
第2相
この試験の第2相コンポーネントの用量は、第1相を踏まえて、各用量およびスケジュールで得られるピコプラチンの用量強度、各用量およびスケジュールの耐容されたサイクル数ならびに耐容性および安全性プロファイルの主観的評価ならびに奏効率の予備的評価に基づいて選択される。第2相のためのスケジュールは、スケジュールB、4週毎スケジュールとして選択される。被験者(約25の臨床施設で、転移性CRCを有するおおよそ100例)は、修正FOLFOX6またはFOLPI−150に無作為化される。
【0091】
FOLPIレジメンは以下の通りである:
ピコプラチン150mg/mは、2時間注入として、交互サイクル(4週毎、スケジュールB)毎の5−FUおよびロイコボリンと一緒に投与される。ロイコボリン(D5W中400mg/m)は、単独か、Yラインを使用する別のバッグ中のピコプラチンと同時に与えられるかのどちらかで、2時間注入として2週毎に投与される。ロイコボリン±ピコプラチンの投与に、400mg/mの5−FUボーラス、次いで、46時間連続注入として投与されるD5W中の5−FU、2,400mg/mが続く。
修正FOLFOX6レジメンは以下の通りである:
オキサリプラチン85mg/mは、2時間注入として、2週毎に投与される。ロイコボリン(D5W中400mg/m)は、2時間注入として2週毎に投与される。オキサリプラチンは、Yラインを使用する別のバッグ中のロイコボリンと同時に与えられる。ロイコボリン+オキサリプラチンの投与に、400mg/mの5−FUボーラス、次いで、46時間連続注入として投与されるD5W中の5−FU、2,400mg/mが続く。
【0092】
神経障害評価は、独立した神経学者によりベースラインで、および2サイクルの療法後毎(おおよそ1月毎に)行われる。被験者および神経学者は、注入される白金がオキサリプラチンであるかピコプラチンであるかを知らされない。神経学者によるこの評価は、グレード2以上の末梢神経障害の発生率を決定するために使用される。第2相において、用量低減または試験薬中止のために毒性を決定する目的で、治療医は、NCI CTCAEを使用して神経学的評価を行う。これらのCTCAE基準は、各サイクルに先立って用量低減の必要性を決定するために使用される。神経学者の評価は、安全性エンドポイント、神経障害の発生率の決定のために使用され、プロトコル特異的神経障害スケールを使用して1サイクルおきに独立して行われるが、用量変更のためには使用されない。全被験者について、血液学的および血清化学的実験室研究が、各治療サイクルに先立って得られる。治療サイクル(スケジュールに応じて5−FUおよびロイコボリン±ピコプラチンまたはオキサリプラチン)は、2週毎に繰り返されるが、臨床的または実験室的異常の回復を待ちながら2週まで遅らせることができる。全治療サイクルからのデータおよび累積毒性は、安全性解析のために評価される。
【0093】
腫瘍評価は、試験中に、ベースラインで、および5−FU/ロイコボリンの4回目の治療後毎(投与が延期されていない限り8週毎)に行われるであろう。有効性エンドポイントは、RECIST基準による客観的奏効率を包含するであろう26。反応の持続時間、増悪までの時間、無増悪生存期間、および全生存期間も評価される。
【0094】
試験治療法を、下の表1に要約する:
【0095】
【表1−1】

【0096】
【表1−2】

ピコプラチン:2時間かけて150mg/m;オキサリプラチン:2時間かけて、85mg/m;LV:2時間かけて400mg/m(与えられる場合にピコプラチンとまたはオキサリプラチンと同時に)、続いて、5−FU:400mg/mボーラス、次いで46時間かけて2400mg/m。全被験者は、進行または毒性に起因する試験薬の中止まで2週毎にサイクルを続ける。
【0097】
ピコプラチン用量の選択
ピコプラチンは、3週毎に投与される120〜150mg/mの用量、すなわち、2週毎の80〜100mg/mまたは4週毎に投与される160〜200mg/mに等しい用量で、これまでの第1相試験において他の骨髄抑制化学療法剤との組み合わせで一般的に耐容性であった。しかしながら、これらの試験のどれも、5−FUおよびロイコボリンとの組み合わせでピコプラチンを研究しなかった。5−FU/ロイコボリンは、一般的に骨髄毒性ではないため、今試験の用量増加部分で初期開始用量として選択されるピコプラチンの用量、すなわち、2週毎の45mg/mおよび4週毎の60mg/mは、これらのスケジュールで投与されるピコプラチンの予想MTDをはるかに下回っていた。
【0098】
ピコプラチンの投与
治験実施施設スタッフは、投与用のピコプラチンを調製する場合に、標準的な細胞傷害性取扱手順を使用しなければならない。ピコプラチンは、すぐに使える製剤として供給される。バイアルの内容物は、投与に適したバッグに移されなければならない。製剤と典型的な注入装置との適合性が評価されており、結果は、材料が光から守られている場合に、EVA注入バッグ、PVC注入管、およびポリプロピレン注射器との適合性を確立した。PVC注入バッグは、ピコプラチンの投与には推奨されない。
【0099】
製剤と典型的な投与セットとの適合性が評価されており、許容性の限界は、被覆された注入バッグで8時間に設定されている。製品は、光に極めて敏感であり、光防御なしに1時間を超えて周辺光に暴露されるべきではない。バッグは、使用時の調製および投与中に光から守られなければならない。
【0100】
ピコプラチン製剤中に保存剤も静菌剤も存在しない。したがって、ピコプラチンは、無菌条件下で移されなければならない。溶液は、注入バッグへの導入から8時間以内に完全に使用されるか廃棄されなければならない。すべての白金錯体と同様に、アルミニウムとの接触は回避されるべきである。
【0101】
ピコプラチンは、末梢静脈または正中線により投与されるべきであり、筋肉内または皮下経路により与えられてはいけない。開始用量は、患者の身長および体重からの体表面積に基づいて計算されるであろう。患者の体重が10%を超えて変化する場合、治療医は、体表面積を再計算し、用量を修正しなければならない。
【0102】
ピコプラチンは、2時間かけて投与されるべきである。2つの薬物が同じ日に与えられる場合、Yラインを使用する別のバッグで、ロイコボリンと同時に投与されるべきである。これら2つの薬物は、試験されており、このように投与される場合に適合性であることが明らかにされている。
【0103】
被験者は、ピコプラチンの投与の30分前に5−HT受容体アンタゴニスト+デキサメタゾンからなる抗嘔吐療法も受けた。被験者は、治療の後の数日にわたって抗嘔吐療法を受けることもでき、これには、抑えきれない悪心および/または嘔吐に臨床的に適応するように、7日までにわたる、経口ロラゼパム、プロクロルペラジン、または等価物が含まれ得る。
【0104】
投与についてのガイダンス
5−FUおよびロイコボリンの投与についての詳細なガイダンスは、製品ラベルで提供される。手短に言うと、D5W中のロイコボリン400mg/mIV注入液は、Yラインを使用する別個のバッグで、ピコプラチンと同時に(ピコプラチンがその日に与えられることになっている場合)2時間かけて投与され、5−FU=400mg/mのボーラス、次いで、46時間連続IV注入として投与されるD5W中(推奨)の5−FU 2,400mg/mが続くであろう。
【0105】
用量変更
ピコプラチンの用量変更
用量低減は、下記の血液学的事象、すなわち、少なくとも5日にわたって絶対好中球数(ANC)<0.5×10/L;グレード≧2の発熱(>38.5℃)を伴う絶対好中球数<1.0×10/L;血小板数<25×10/L;15日目までに血小板数≧100×10/LおよびANC≧1.5×10/Lに達しないことが前サイクル中に観察された場合に必須である。
【0106】
用量低減は、任意の治療関連グレード3毒性、任意のグレード4毒性、または下に記載されている任意の腎毒性もしくは神経毒性を含む任意の治療事象についても必要とされる。
【0107】
2週毎にピコプラチンを受ける被験者について、用量低減は、15mg/mであるべきであり、4週毎にピコプラチンを受ける被験者について、用量低減は、30mg/mであるべきである。
【0108】
血清クレアチニン変化の事象における用量低減
血清クレアチニンは、ピコプラチンの投与前毎に測定されなければならない。異常な血清クレアチニンを有する被験者について、ピコプラチン(しかし、5−FUでもロイコボリンでもない)の用量は、第1相において下記の表に従って変更されるべきである。
【0109】
【表2】

第2相において、下記の用量低減が、血清クレアチニン上昇について必要とされるであろう。
【0110】
【表3】

神経毒性の事象における用量変更
ピコプラチンの用量は、以下の通り毒性およびその持続時間のCTCAEグレードに従って変更されるべきである。
【0111】
【表4】

30mg/mの3回までの用量低減が、毒性が以後のサイクルで改善も悪化もしない限り生じ得る。
【0112】
5−FUの用量変更
初めてピコプラチンの用量が低減される時は、5−FUのボーラス投与は省略されるべきである。ピコプラチンの用量が低減される2回目は、注入用量は600mg/m低減されるべきである。いったん減らされたら、5−FUの低減用量は、継続されるべきであり、すなわち、5−FUの用量は、その後に増やされるべきではない。
【0113】
血小板数またはANCカウントが、ピコプラチンを使用するサイクルにおける15日目にグレード1または2であり、被験者が、交互の、すなわち、ピコプラチンを包含しない偶数サイクルを受けている場合、5−FUの用量は、このサイクルで低減されるべきではない。次の治療サイクルで、ピコプラチンおよび5−FUの用量は、1レベル低減されるべきである。グレード3または4の非血液学的事象についての用量変更が行われなければならない。毒性がグレード3未満まで解決した場合にのみ治療を続ける。
【0114】
ロイコボリンの用量変更
ロイコボリン投与時との時間的関係のため、薬物過敏性が疑われない限り、ロイコボリンについての用量変更はない。
【0115】
結果
59例の患者が、今までに第1相において治療されている。2週毎スケジュールにおいて、6例の患者のうちの1例が、グレード4血小板減少のDLTを示し、6例の患者のうちの3例が、105mg/mのピコプラチン用量レベルでグレード4好中球減少を示した。2週毎スケジュールは、現在、120mg/mで評価されている。4週毎スケジュールにおいて、DLTは、6例の患者のうちの2例で180mg/mにて観察された。したがって、MTDは、4週毎スケジュールにおいて150mg/mに設定された。患者は、24までのサイクルを受け、療法は、良好な耐容性を示した。
【0116】
両スケジュールについて、投与遅延は、主に好中球減少または血小板減少由来であり、より高い用量で血液学的毒性の増加が観察された。治療に関連するグレード3の非血液学的毒性は、1例のFU注入後の冠動脈攣縮、1例のピコプラチン注入アレルギー反応、1例の口内炎、2例の下痢、1例の高窒素血症を包含する。心臓および口内炎事象は、5−FUコンポーネントが原因であった。約900mg/mを超える累積ピコプラチン投与量を受けた4例の患者についてさえグレード2以上の神経毒性は報告されておらず、特に、オキサリプラチンの匹敵する用量で観察される中等度から重度の神経毒性の高発生率に鑑みて驚くべき予想外の結果である。このことは、ピコプラチンを、FOLFOXレジメンに伴う用量制限神経毒性なしにFUおよびLVと一緒に安全に投与することができることを示している。
【0117】
スケジュールA(ピコプラチン2週毎)において、好ましい用量範囲は、約45〜120mg/m、例えば、45〜105mg/mの用量、例えば、45mg/mである。
【0118】
スケジュールB(ピコプラチン4週毎)において、好ましい用量は、より高く、例えば、約120〜210mg/m、例えば、120〜180mg/m、例えば、150mg/mであってよい。より低い用量を、例えば、45〜90mg/m、例えば、60mg/mで投与することもできる。
【0119】
CTスキャンにより評価された44例の評価被験者のうち、6例の確認された部分奏効および1例の完全奏効(未確認)(16%)があった。2週毎スケジュールの32例の被験者のうち26例が評価され、2例の部分奏効が観察された。驚いたことに、コホートA1(45mg/m)における2/3の患者が部分奏効を示した。4週毎スケジュールにおける18例の被験者のうちの18例が評価され、5例の部分奏効が観察された(28%)。
【0120】
参考文献
下記の参考文献、ならびに本明細書で引用されている他の刊行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0121】
【数1】

【0122】
【数2】

ピコプラチンと一緒に投与するのに有用な薬剤および治療の方法も開示されており、2003年9月4日出願の米国特許出願第10/276,503号、2007年11月5日出願の第11/982,841号、2007年11月6日出願の第11/935,979号、2007年11月5日出願の第11/982,839号に、米国特許第7,060,808号および第4,673,668号に、ならびにPCT WO/98/45331およびWO/96/40210に開示されている白金および非白金抗癌薬を包含する。
【0123】
下記の特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする:
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,387号、代理人整理番号295.114prv
2009年2月6日出願の米国特許出願第_号、代理人整理番号295.114wol

2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,382号、代理人整理番号295.115prv
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,360号、代理人整理番号295.116prv
2009年2月6日出願の米国特許出願第_号、代理人整理番号295.116wol
2007年11月5日出願の米国特許出願第11/982,841号、代理人整理番号295.093usl
2009年2月6日出願の米国特許出願第_号、代理人整理番号295.131usl

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
結腸直腸癌を患っている患者に、ピコプラチン、セツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)およびロイコボリンを投与することを含み、5−FUおよびロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記ピコプラチンが、前記フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきに前記ロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、前記セツキシマブが、1週間隔で少なくとも2回投与される方法。
【請求項2】
前記ピコプラチンが、約60〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が、約2週であり、前記ピコプラチンの投与の間隔が、約4週である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
結腸直腸癌を患っている患者に、有効量のピコプラチン、セツキシマブ、5−FUおよびロイコボリンの組合せを投与することを含み、前記ピコプラチン、ならびに前記5−FUおよび前記ロイコボリンが、約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記セツキシマブが、1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量が、ピコプラチンの最大耐容用量未満である方法。
【請求項5】
前記ピコプラチンが、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ピコプラチン、5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が、約2週である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
転移性結腸直腸癌(mCRC)のための治療レジメンを選択するための方法であって、
(a)mCRCを患っている患者を用意すること、
(b)前記患者がK−ras野生型mCRC患者であるかどうかを決定すること、および
(c)前記患者がK−ras野生型mCRCを含む場合、前記患者用に、EGFR阻害剤およびピコプラチンを含むレジメンを選択すること
を含む方法。
【請求項8】
前記EGFR阻害剤が、セツキシマブまたはパニツムマブである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記レジメンが、5−FUおよびロイコボリンをさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者が、前記レジメンでさらに治療される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記セツキシマブが、約250〜500mg/mの初回用量で静脈内に投与され、続いて、約200〜300mg/mの用量で週1回間隔で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記患者が、これまでに転移性疾患について治療されたことがない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、これまでにイリノテカン、FOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンで治療されたことがある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者が、これまでに、FOLFOXレジメンで、続いて、FOLPIレジメンで治療されたことがあり、前記FOLPIレジメンの終了から6カ月以内に再発したことがある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者が、これまでに、FOLFOXまたはイリノテカンを含む最初のレジメンで、続いて、セツキシマブ単独、イリノテカン+セツキシマブ、またはFOLPIを含む第二のレジメンで治療されたことがあり、前記第二のレジメンの中止後6カ月以内に再発したことがある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が、これまでに化学療法の早期全身レジメンで治療されたことがあり、前記癌が、寛解状態にある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記患者が、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、早期FOLPIレジメンで治療されたことがある、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ピコプラチンが、水、NaClを含む張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形で投与され、前記剤形が保存剤も静菌剤も含有しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記セツキシマブ、投与される場合の前記ピコプラチン、および投与される場合の前記ロイコボリンが、実質的に同時に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ロイコボリンおよび投与される場合の前記ピコプラチンが、同時に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記5−FUが、投与される場合、投与される場合の前記ピコプラチン、投与される場合の前記ロイコボリン、および前記セツキシマブの投与後に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ピコプラチンが、前記ロイコボリンと実質的に同時に投与され、続いて、前記患者の治療毎に前記5−FUが投与され、前記セツキシマブが、1週間隔で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項23】
前記ロイコボリンが、約200〜400mg/mの初期用量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記5−FUが、約1000〜3000mg/mの投与1回当たりの総用量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ピコプラチンが、約120〜150mg/mの用量で投与される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項26】
前記ピコプラチンが、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ピコプラチンの後続の用量が、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ピコプラチンが、約60〜75mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ピコプラチンが、約40〜45mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項30】
ピコプラチンの約900mg/mを超える累積用量が、前記患者に送達される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記セツキシマブが、約400mg/mの初回用量で、次いで、約250mg/mの用量で週1回静脈内に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ロイコボリンが約400mg/mの用量で約2時間注入として投与され、前記ロイコボリンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUボーラスが行われ;前記5−FUボーラスに続いて、約2,400mg/mの用量の5−FUが46時間連続注入として投与され;前記ロイコボリンおよび前記5−FUが2週毎に前記患者に投与され、前記ピコプラチン約60〜150mg/mが4週毎に前記ロイコボリンと一緒に前記患者に投与され、少なくとも前記ピコプラチン初期用量が約150mg/mであり、前記セツキシマブが、約400mg/mの初期用量で、次いで、約250mg/mの用量で週1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記セツキシマブを投与する前に、前記患者の前記癌にK−ras変異がないことを決定することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
(a)FOLFOX−4および/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった、結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および
(b)400mg/mセツキシマブの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを前記患者に投与すること
を含む方法。
【請求項35】
結腸直腸癌を治療する方法であって、
(a)ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、イリノテカン、FOLFOX、またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者を特定すること、および
(b)再発を防ぐためのアジュバント療法としての、400mg/mセツキシマブの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と組み合わせて21日毎にピコプラチン約5〜150mg/mを前記患者に投与することを含む方法。
【請求項36】
5−HT受容体アンタゴニストの投与をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
EGFRを含む転移性癌を患っている患者のための治療のレジメンを選択するための方法であって、(a)転移性癌を患っている患者を特定すること、(b)前記癌が、野生型K−ras遺伝子または変異陽性K−ras遺伝子を含むかどうかを決定すること、および(c)前記野生型K−ras遺伝子が存在する場合には、ピコプラチンおよびEGFR阻害剤を含む治療レジメンを選択すること、または変異陽性K−ras遺伝子が存在する場合には、EGFR阻害剤なしでピコプラチンを含む治療レジメンを選択することを含む方法。
【請求項38】
前記EGFRを含む転移性癌が、SCLC、NSCLC、膵臓癌、結腸直腸癌、上皮癌、または頭頸部癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、食道癌、胃癌、乳癌、もしくは子宮内膜癌を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
mCRCを患っている患者のための治療のレジメンを選択するための方法であって、(a)mCRCを患っている患者を特定すること、(b)mCRCが、野生型K−ras遺伝子または変異K−ras遺伝子を含むかどうかを決定すること、ならびに(c)前記mCRCがK−ras野生型遺伝子型を含む場合には、ピコプラチン、ならびに場合により5−FUおよびロイコボリンと組み合わせて、セツキシマブ、エルロチニブもしくはパニツムマブなどのEGFR阻害剤を前記患者に投与すること、または(d)前記mCRCがK−ras変異陽性遺伝子型を含む場合には、ピコプラチン、ならびに場合により5−FUおよびロイコボリンを前記患者に投与することを含む方法。
【請求項40】
前記EGFR阻害剤が、セツキシマブを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
結腸直腸癌を治療するための、セツキシマブ、5−フルオロウラシル(5−FU)、およびロイコボリンと組み合わせたピコプラチンの使用であって、前記5−FUおよびロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記ピコプラチンが、前記フルオロウラシルおよびロイコボリンの投与時1回おきに前記ロイコボリンおよび5−FUと一緒に投与され、前記セツキシマブが1週間隔で少なくとも2回投与される使用。
【請求項42】
前記ピコプラチンが、約60〜180mg/mの用量で、好ましくは、約150mg/mの用量で投与される、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が約2週であり、前記ピコプラチンの投与の間隔が約4週である、請求項41に記載の使用。
【請求項44】
セツキシマブ、5−FU、およびロイコボリンと組み合わせたピコプラチンの使用であって、前記ピコプラチン、ならびに前記5−FUおよび前記ロイコボリンが約2〜6週の間隔で少なくとも2回静脈内に投与され、前記セツキシマブが1週間隔で少なくとも2回投与され、投与されるピコプラチンの量がピコプラチンの最大耐容用量未満である使用。
【請求項45】
前記ピコプラチンが、約45〜150mg/mの用量で、好ましくは、約135〜150mg/mの用量で投与される、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記ピコプラチン、5−FUおよび前記ロイコボリンの投与の間隔が約2週である、請求項44に記載の使用。
【請求項47】
前記セツキシマブが、約250〜500mg/mの初回用量で静脈内に投与され、続いて、約200〜300mg/mの用量で週1回間隔で投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記患者が、これまでに転移性疾患について治療されたことがない、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記患者が、これまでにFOLFOXおよび/またはFOLPIレジメンで治療されたことがある、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記患者が、これまでにFOLFOXレジメンで、続いて、FOLPIレジメンで治療されたことがあり、前記FOLPIレジメンの終了から6カ月以内に再発したことがある、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記結腸直腸癌を患っている患者が、これまでにFOLFOXまたはイリノテカンを含む最初のレジメンで、続いて、セツキシマブ単独、イリノテカン+セツキシマブ、またはFOLPIを含む第二のレジメンで治療されたことがあり、前記第二のレジメンの中止後6カ月以内に再発したことがある、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記患者が、これまでに化学療法の早期全身レジメンで治療されたことがあり、前記癌が、寛解状態にある、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記患者が、ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、早期FOLPIレジメンで治療されたことがある、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
前記ピコプラチンが、水、NaClを含む張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む剤形で投与され、前記剤形が保存剤も静菌剤も含有しない、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項55】
前記セツキシマブ、投与される場合の前記ピコプラチン、および投与される場合の前記ロイコボリンが、実質的に同時に投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
前記ロイコボリンおよび投与される場合の前記ピコプラチンが、同時に投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
前記5−FUが、投与される場合、投与される場合の前記ピコプラチン、投与される場合の前記ロイコボリン、および前記セツキシマブの投与後に投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記ピコプラチンが、前記ロイコボリンと実質的に同時に投与され、続いて、前記患者の治療毎に前記5−FUが投与され、前記セツキシマブが、1週間隔で投与される、請求項41に記載の使用。
【請求項59】
前記ピコプラチンが、前記ロイコボリンと実質的に同時に投与され、続いて、前記患者の治療毎に前記5−FUが投与され、前記セツキシマブが、1週間隔で投与される、請求項44に記載の使用。
【請求項60】
前記ロイコボリンが、約200〜400mg/mの初期用量で投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記5−FUが、約1000〜3000mg/mの投与1回当たりの総用量で投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項62】
前記ピコプラチンが、約120〜150mg/mの用量で投与される、請求項41または44に記載の使用。
【請求項63】
前記ピコプラチンが、約150mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項64】
ピコプラチンの後続の用量が、前の用量よりも約15〜30mg/m低い用量で投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項65】
前記ピコプラチンが、約60〜75mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項41に記載の使用。
【請求項66】
前記ピコプラチンが、約40〜45mg/mの用量で少なくとも1回投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項67】
ピコプラチンの約900mg/mを超える累積用量が、前記患者に送達される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項68】
前記セツキシマブが、約400mg/mの初回用量で、次いで、約250mg/mの用量で週1回静脈内に投与される、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
前記ロイコボリンが約400mg/mの用量で約2時間注入として投与され、前記ロイコボリンの投与に続いて、約400mg/mの用量で5−FUボーラスが行われ;前記5−FUボーラスに続いて、約2,400mg/mの用量の5−FUが46時間連続注入として投与され;前記ロイコボリンおよび前記5−FUが2週毎に前記患者に投与され、前記ピコプラチン約60〜150mg/mが4週毎に前記ロイコボリンと一緒に前記患者に投与され、少なくとも前記ピコプラチン初期用量が約150mg/mであり、前記セツキシマブが、約400mg/mの初期用量で、次いで、約250mg/mの用量で週1回投与される、請求項41に記載の使用。
【請求項70】
前記患者が、前記転移性結腸直腸癌の細胞においてEGFR発現を示す、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項71】
前記ピコプラチンを投与する前に、前記転移性結腸直腸癌の細胞におけるK−ras変異陽性遺伝子型の存在について前記患者の前期mCRCを検査することをさらに含む、請求項41〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項72】
FOLFOX−4および/またはFOLPIレジメンが奏効しなかった結腸直腸癌を患っている患者における結腸直腸癌の治療における、セツキシマブ400mg/mの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と併せた21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用。
【請求項73】
ベバシツマブまたはセツキシマブを併用するかまたは併用しない、イリノテカン、FOLFOX、またはFOLPIレジメンを受けたことがある、寛解状態にある結腸直腸癌を患っている患者において結腸直腸癌の再発を防ぐための、セツキシマブ400mg/mの初回用量、続いて、週毎に投与されるセツキシマブの250mg/m用量と併せた21日毎に投与されるピコプラチン約5〜150mg/mの使用。
【請求項74】
5−HT受容体アンタゴニストの投与をさらに含む、請求項72または73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
患者へのFOLPI+セツキシマブレジメンの静脈内投与に適合されたキットであって、ピコプラチンの溶液を含む第一の容器およびロイコボリンの溶液を含む第二の容器を含み;前記第一の容器および前記第二の容器の内容物を前記患者へ同時に投与することができるように前記第一の容器、前記第二の容器、および単体の静脈内管へ独立して連結されるように適合された連結器をさらに含み;前記患者への静脈内投与に適合された、セツキシマブの溶液を含む容器および5−FUの溶液を含む容器をさらに含み;場合により、使用説明書をさらに含むキット。
【請求項76】
前記第一の容器が、水、NaClを含む張度調整剤、および溶存ピコプラチン約0.5mg/mLを含む等張溶液を含む、ピコプラチンの剤形を含み、前記剤形が保存剤も静菌剤も含有しない、請求項75に記載のキット。

【公表番号】特表2011−511074(P2011−511074A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545885(P2010−545885)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/000773
【国際公開番号】WO2009/099651
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(398003681)ポニアード ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】