説明

給水装置

【課題】ベース上に設けられたモータを容易に移動可能な給水装置を提供すること。
【解決手段】 給水装置1は、レール部14を有するベース10上の、レール部14上にモータ22を有するモータ直動式ポンプ20と、モータ22に設けられレール部14を移動可能な移動手段40とを有し、移動手段40は、モータ22に設けられた取付部29に着脱自在に固定される台車部43を有する前部移動手段41と、モータ22のモータフレーム30が積載される台部47に台車部46が接続された後部移動手段42と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース上にポンプ及びモータが配置された給水装置に関し、特にモータの移動が容易なものに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物等へ生活用水や工業用水等を給水するために、水道本管の分岐管や受水槽等から引き込んだ水をポンプにより揚水させる給水装置が用いられている。このような給水装置は、屋外又は屋内のポンプ室等に設置されるため、ベース上に例えばモータ直動式のポンプが単数又は複数固定されて配置される。また、ベース上に、ポンプだけではなく、アキュムレータや制御盤等の各構成品が配置されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようにベース上に各構成品を配置させると、ベースの面積(サイズ)は、各構成品を配置させるために大きくなる。即ち、給水装置を設置するにあたり、広い設置面積が必要となる。このように、設置面積が広くなると、設置箇所に制限が発生する虞や、スペースの有効利用が出来ない虞があった。
【0003】
そこで、給水装置として、このようなベース上に、ポンプを固定し、さらに、ベース上に架台を設け、この架台に水槽、アキュムレータ及び制御盤等の各構成品を設置させるものも知られている(例えば特許文献2参照)。このように、ベース上に架台を設けることで、ベースの設置面積を低減させ、空間のデットスペースを低減させる工夫がなされている。
【0004】
なお、モータ直動式ポンプは、例えば、モータの回転軸に、ポンプのインペラ、ガイドベーン、及び、ケーシングカバーが一体に組みつけられ、このようなモータをポンプ(ポンプケース)にボルトにより固定することで構成されているものが用いられる。即ち、ポンプは、ポンプケーシング内に、モータの軸心に設けられたインペラやガイドベーンを配置させることで、モータから直接インペラを駆動し、ポンプケーシング内の水を揚水する、というものである。なお、モータ直動式ポンプを用いない場合であっても、モータの回転軸とポンプの駆動軸とを接続し、モータにより回転させるポンプが用いられるものも知られている。
【特許文献1】特開2002−332998号公報
【特許文献2】特開2002−195167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような給水装置では次のような問題があった。即ち、上述したモータ直動式ポンプ等のモータを、ポンプに接続する場合には、Oリングシール等によりモータのフランジとポンプケーシングのフランジ(又は接続部)とを密閉し、互いのフランジをボルト固定することで一体に組みつけられている。しかし、このようなポンプやモータは、使用時間や経年変化により、メンテナンスやOリングシールの劣化によるシール交換等を行なう必要がある。このような場合、ポンプからモータを取り外し、Oリングシールの交換やメンテナンスが行なわれる。
【0006】
しかし、ベース上に構成品を配置させるために架台を設けると、ポンプ及びモータは架台の下方に位置することとなる。このため、モータの取り外し等に制限が発生してしまう。即ち、モータを取り外す際には、まず、モータとポンプとの固定用のボルト等を工具により比較的容易にできる。しかし、モータとポンプとの固定を解除し、モータをベース上から外部に移動させるときは、架台により、作業者がベース上に立って作業することが困難となる。そこで、モータの下部に当て木を行い、モータを架台下部から引きずりだす方法や、クレーン等を用いる方法、又は、無理な体勢や複数名の作業者によりモータを支える方法により、モータを移動させていた。
【0007】
しかし、モータの下部に当て木を行なう場合には、モータやベース等に、モータを引きずり出す際に傷をつけてしまう虞があった。また、クレーンを用いる場合には、架台上部を開口させておく必要があり、また、クレーンの準備等が必要であった。
【0008】
例えば、作業者が架台による制限のため無理な体勢でモータを支えて移動させる方法では、モータの落下の虞や各関節部を痛める虞もある。また、例え複数人で支持しても、モータ上部には架台があり、その支持に制限が発生する。
【0009】
特に、労働省通達(平成6年9月6日 基発547号)による「職場における腰痛対策指針」には、満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う場合の重量は55kg以下にすること、との旨の指針が成されている。しかし、このような55kgという重量を超えるのは勿論のこと、55kg以下の重量であっても、1日に複数回モータの持ち上げ下げを繰り返した場合、腰等にかかる負担は甚大であり、腰痛等の原因になる虞もある。
【0010】
そこで本発明は、ベース上にモータを有するポンプが設けられた給水装置であって、特に、モータを容易に移動することが可能なものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の給水装置は次のように構成されている。
【0012】
ベースと、このベース上にその軸心が水平方向に固定されたポンプと、前記ベース上に位置するとともに、前記ポンプに着脱自在に接続され、前記ポンプを駆動するモータと、前記モータの下方に設けられ、前記ポンプとは離間する一方向に延設された案内部材と、前記モータに設けられ、前記案内部材によって案内される被案内部材が取り付けられる被案内部材取付部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベース上に設けられたモータを容易に移動可能な給水装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る給水装置1を図1〜5を用いて説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る給水装置1の外観を示す側面図、図2は同給水装置1に用いられるベース10及び移動手段40の外観を示す斜視図、図3は同給水装置1に用いられるモータ22を示す正面図、図4は同移動手段40の一部を示す斜視図、図5は同移動手段40の一部を示す斜視図である。なお、図1〜5中、Bはボルトを、Fは水の流れ方向を示している。
【0015】
図1〜5に示すように、給水装置1は、ベース10と、ベース10上に固定された複数(例えば3台)のモータ直動式ポンプ20と、モータ直動式ポンプ20のモータ22に設けられた移動手段(被案内部材)40と、ベース10に設けられた架台50と、架台50に設けられた制御盤60と、を備えている。
【0016】
また、給水装置1は、モータ直動式ポンプ20の吐出側に接続された吐出管70に、流量検出器71、逆止弁72、アキュムレータ73及び開閉弁74を順次有し、開閉弁74の下流には、給水口等の下流側へと接続可能なフランジ75を有している。また、開閉弁74とフランジ75との間には、圧力検出器76を有している。
【0017】
図2に示すように、ベース10は、枠組部11と、枠組部11の対向する一辺を繋ぐ台部12と、枠組部11及び台部12上に固定されたポンプ固定板13と、レール部(案内部材)14とを備えている。
【0018】
枠組部11は、例えばその断面がコ字状のチャンネル部材により方形に組み合わせて形成されている。また、台部12は、枠組部11の互いに対向する2つのチャンネル部材間を渡すとともに、ポンプ固定板13を、台部12と対向するチャンネル部材(枠組部11)と固定保持可能に形成されている。なお、枠組部11及び台部12は、その下面が地面等に固定可能に、一定の平坦度を有して形成されている。
【0019】
ポンプ固定板13は、例えば枠組部11と台部12との上面の一部に積載されるとともに、溶接又はボルト締結により固定されている。また、ポンプ固定板13の上面には、モータ直動式ポンプ20をボルトBにより固定可能なボルト孔15が複数設けられている。
【0020】
レール部14は、ポンプ固定板13に固定されるモータ直動式ポンプ20の台数分、枠組部11及び台部12に固定されている。レール部14は、その断面がL字状の一対のレール16を有しており、この一対のレール16は、互いに隣り合う位置(端辺)に上方に延出する脱輪防止の壁部17が設けられている。なお、レール16間の距離は、壁部17に後述する移動手段40が当接した際に、移動手段40がレール16から脱輪しない距離に適宜設定される。
【0021】
モータ直動式ポンプ20は、ポンプ21とモータ22とを有しており、ポンプ21とモータ22とにそれぞれ設けられたフランジ23、24を介してボルトBにより一体に接続されている。また、ポンプ21及びモータ22のそれぞれのフランジ23,24間には、Oリングが設けられている。このOリングは、平面に設けられるものでも、円筒面に設けられるものでもどちらでも良い。
【0022】
ポンプ21は、ポンプケーシング25と、このポンプケーシング25内に設けられたインペラと、を備えている。また、ポンプ21には、例えば水槽や水道本管からの分岐管に接続される吸込口26と、下流と接続される吐出口27と、を備えている。
【0023】
モータ22は、回転軸28を有し、制御盤60からの指示により運転・停止が可能に形成されている。また、モータ22は、その端部にフランジ24を有しており、フランジ24には、移動手段40を取り付け可能な2つ(一対)の取付部(被案内部材取付部)29が形成されている。また、モータ22の外形状は、例えば円筒状のモータフレーム30を有しており、その外周に、熱放出(熱交換)用のフィン31が複数設けられている。なお、一対の取付部29は、それぞれがレール16上に位置するように、フランジ24に形成されている。
【0024】
移動手段40は、モータ22の取付部29にそれぞれ固定される前部移動手段41と、モータ22のモータフレーム30が積載される後部移動手段42と、を備えている。
【0025】
前部移動手段41は、台車部43と、台車部43の上部に設けられ、取付部29をその間に挿入可能な互いに向かい合う一対の壁部44と、壁部44に設けられ、取付部29に締結することで固定可能に形成された蝶螺子45と、を備えている。
【0026】
後部移動手段42は、それぞれが対向する一対のレール16を移動可能に配置された一対の台車部46と、この台車部46の上部に設けられ、モータ22が積載可能に形成された板状の台部47とを備えている。台部47は、その上面に、モータフレーム30の外面を少なくとも一点(被案内部材取付部)以上で当接可能な保持部47aが形成されている。
【0027】
また、前部移動手段41及び後部移動手段42とは、モータ22がポンプ21に接続されている際に、モータ22及びレール16間に着脱自在に位置し、モータ22及びレール16のどちらか一方に当接するとともに、他方とは離間する大きさに形成されている。
【0028】
即ち、モータ22及びポンプ21が接続しているときには、前部移動手段41は、蝶螺子45により取付部29に固定され、且つ、台車部43とレール16とが離間することとなる。
【0029】
また、後部移動手段42は、モータ22と離間してレール16上に配置され、且つ、台部47がいずれか一方に傾くとともに、台部47の下面端部とレール16の壁部17上端が当接し、完全に横たわることなく配置される。なお、移動手段40(41,42)は、対となる一方(左右いずれか)の台車部43(又は台車部46)がレール16の壁部17に当接しても、他方の台車部43(又は台車部46)が脱輪しないような間隔に適宜設定されている。
【0030】
架台50は、複数(例えば4本)の脚部51と、各脚部51の上端部に設けられ、各脚部51をそれぞれ連結させる複数の梁材52と、を備えている。なお、脚部51及び梁材52は、例えばその断面がL字形状やコ字形状に金属材料(例えば鋼鉄等)により形成されたアングル部材やチャンネル部材等により形成されている。各脚部51及び各梁材52とは、ボルト又は溶接等により強固に固着されている。また、架台50は、脚部51の下端部が、枠組部11の内面又は外面(外表面のいずれか)にボルト又は溶接等により強固に固定されている。このような架台50は、ベース10上であって、ポンプ21が配置されていない範囲(レール14上)に設けられることとなる。
【0031】
制御盤60は、架台50の上部にボルト等により固定されている。また、制御盤60は、上述した複数台のモータ22、流量検出器71及び圧力検出器76に信号線Sを介して接続されており、流量検出器71及び圧力検出器76の検出結果によりモータ22の運転を制御可能に形成されている。
【0032】
このように構成された給水装置1では、制御盤60の電源をONとすることで、モータ22及び制御盤60の制御回路部に電力が供給される。制御盤60の制御回路部は、予め設定されたモータ22の運転制御の情報に基いてモータ22を運転(回転)させる。
【0033】
モータ22が回転すると、駆動軸を介してポンプ21が駆動(作動)されることとなる。ポンプ21が回転すると、吸込口26から水が吸い込まれるとともに、ポンプケーシング25内部に進入した水は、インペラ及びポンプケーシング25により増圧されるとともに、ポンプ21の吐出口27から吐出される。
【0034】
ポンプ21の吐出側から吐出された水は、吐出管70、流量検出器71、逆止弁72及び開閉弁74を介してフランジ75へ移動し、フランジ75から給水装置1の下流に設けられた建造物の蛇口等の給水口から給水されることとなる。なおこのとき、アキュムレータ73に蓄圧されることとなる。
【0035】
このとき、流量検出器71及び圧力検出器76は、常時、ポンプ21からの吐出流量及び吐出圧力を検出し、この検出結果を信号線Sを介して制御回路部へ送信する。制御回路部は、信号線Sから受信した検出結果と、制御回路部に予め設定してある運転制御に対するポンプ21の吐出流量及び吐出圧力等の制御値とを比較し、検出結果が制御値と近似するようにモータ22に指示を与える。このように、ポンプ21の吐出量(水の供給量)が所定量となるように、制御回路部はモータ22を制御する。
【0036】
このような給水装置1の運転が、所定の時間又は期間行なわれた場合には定期的にメンテナンスが行なわれる。また、給水装置1の使用により、Oリングが劣化した場合には、Oリングの交換がなされる。次に、Oリングの交換時の説明を行なう。なお、ここでのOリングの着脱である交換作業は、従来の円筒面又は平面のOリングの着脱と同一のため、その詳細は省略する。
【0037】
まず、定期メンテナンス又はOリングの劣化による水漏れ発生時に、作業者は、給水装置1の運転を停止させる。次に、ポンプ21の上流に設けられた開閉弁と、ポンプ21の下流に設けられた開閉弁74を閉とする。次に、ポンプ21内の水抜きを行なう。
【0038】
次に、モータ22の取付部29に、蝶螺子45を締結することで、前部移動手段を取り付ける。また、レール16上であって、モータ22の軸心方向の中心からフランジ23,24とは離間する方向にずれた位置に、後部移動手段42を配置させる。
【0039】
なお、このとき、ポンプ21にモータ22が固定されているため、モータ22の取付部29に固定された前部移動手段41は、レール16に当接せず、レール16から一定間隔浮いた状態となっている。同様に、後部移動手段42は、その上部はモータフレーム30から一定以上離間する状態でレール16上に配置されることとなる。なお、後部移動手段42は、二点の台車部46により支えられているため、台部47がレール部14の延設方向のどちらか一方に傾き、台部47の下面端とレール16の壁部17上端とが当接することとなる。
【0040】
この状態で、作業者は、ポンプ21とモータ22とのフランジ23、24を締結しているボルトBを脱離させるとともに、モータ22をポンプケーシング25から離脱させる。この、ポンプケーシング25からモータ22を離脱させる際には、モータ22がポンプケーシング25から離脱時に、レール16から脱落しないよう、作業者は、モータ22を支えながら引っ張ることで離脱させる。次に、作業者は、ポンプケーシング25からモータ22を離脱させたら、一対の前部移動手段41を一対のレール16上にそれぞれ当接させる。これにより、作業者は、モータ22の一方側であるフランジ側をレール16に当接させるとともに、他方を持ち上げることで、作業者がモータ22を支える際に、持ち上げなければならない重量が低減することとなる。
【0041】
この状態で、作業者は、さらに、モータ22の他方側の下面に配置された後部移動手段42の台部47上面に設けられた保持部47aに、モータ22のモータフレーム30の他方を積載する。モータ22が保持部47aに積載されると、後部移動手段42は、台部47の下面がレール16の延設方向(又は延設方向と直交する方向)に対して平行に位置することとなる。なお、台部47の下面がレール16の壁部17に当接している際は、作業者が後部移動手段42を、台部47の下面がレール16に対して平行となるように支えながら、モータ22を後部移動手段42上に積載する。
【0042】
これにより、モータ22は、2つの前部移動手段41の台車部43及び後部移動手段42が有している2つの台車部46により、レール16上に四点保持されることとなる。この状態で、作業者は、レール16のポンプが設けられている側がら離間する方向にモータ22を移動させる。なお、一対のレール16の幅は、一対の前部移動手段41、41(取付部29、29)の間隔、及び、後部移動手段42の台車部46、46の間隔(脱輪しない間隔)に形成されている。このため、モータ22に移動手段40を接続してモータ22を移動させた際に、各台車部46がレール16から脱輪することがない。
【0043】
また、モータ22の移動時に、モータ22の移動方向がレール16に対して角度を有して移動させた場合、レール16の壁部17に移動手段40のいずれかの台車部43,46又は外面のいずれかが当接することとなる。しかし、いずれかの台車部43,46が壁部17に当接しても、一対の台車部43、46の幅がレール16の幅よりも狭いため、台車部43,46が脱輪せずに、壁部17により案内されることで、モータ22を移動することができる。
【0044】
モータ22がレールの端部に移動することで、外部からであっても、モータ22のOリングの交換作業やメンテナンスが可能となる。
【0045】
また、ベース10からモータ22を出す場合であっても、モータ22持ち上げ時に架台50とモータ22とが干渉しにくいベース10の端部にモータ22が移動しているため、作業者は容易にモータ22を持ち上げることが可能となる。このように、作業者は、モータ22を移動させて、メンテナンス等を行う。
【0046】
モータ22のメンテナンスが終わったら、作業者は、モータ22に移動手段40を接続し、移動させ、上述の手順の逆を行なうことにより、モータ22をポンプ21に接続させる。なお、レール16からモータ22を離間させた際には、始めに、モータ22を後部移動手段42の台部47上面に配置させ、移動手段40により、レール16上にモータ22を配置させる。
【0047】
このように構成された給水装置1は、移動手段40により、モータ22をレール16に沿って移動させることができる。このように、移動手段40を用いることで、モータ22の移動が容易にできるため、作業性の向上となる。また、移動手段40を用いることで、作業者のモータ22の持ち上げ下げは、最低限の回数でよく、また、モータ22を持ち上げて移動させる距離も短い。さらに、移動手段40の取り付けの際には、先に前部移動手段41を設けることにより、前部移動手段41によりモータ22を支持し、他端側は作業者が持ち上げていることで、モータ22の重量を分散させることも可能となり、後部移動手段42を配置させることが容易となる。
【0048】
特に、Oリングの交換は、使用時間や漏れ増大時に頻繁に行なわれるものであり、このような交換毎に持ち上げやモータ22の移動を行なわなくてよく、作業時間の短縮にもつながる。また、作業者のモータ22の持ち上げ下げも確実に少なくなるため、作業者の体にかかる負担も防止することが可能となる。特に、腰や足(膝)等にかかる負担を少なくすることで、腰痛や関節痛、さらには怪我を防止し、作業者の労働環境をも向上させることができる。
【0049】
レール16から移動手段40が脱輪しない構成とすることで、移動手段40の脱輪によるモータ22のレール16からの転落を防止し、安全性を向上させるとともに、モータ22の転落による破損も防止することが可能となる。即ち、モータ22を容易且つ確実に移動させることが可能となる。
【0050】
また、各モータ22が一台あたりに、それぞれ一対の前部移動手段41と後部移動手段42を設ける構成であっても、給水装置1一台に対して一対の前部移動手段41と後部移動手段42を設ける構成であっても、作業者一人に対して移動手段40を持たせる構成でもよい。
【0051】
即ち、従来の給水装置1とは、ベース10にレール部14を有する構成としていれば、移動手段40を少なくとも一組(一対の前部移動手段41及び後部移動手段42)があれば良い構成であるため、移動手段40の製造コストを低減することが可能となる。また、レール16を共有とすることで、様々な形状・サイズのモータ直動式ポンプ20やベース10に対応することが可能となり、汎用性を向上させることも可能となる。また、前部移動手段41は、壁部44の間にモータ22の取付部29を配置させ、蝶螺子45で締結させる構成としたため取付部29の厚さ等が寸法精度や設計等により異なっていても用いることが可能となり、汎用性が高い。
【0052】
上述したように給水装置1によれば、モータ22の下方に位置するレール16を、移動手段40が脱輪しない構成でベース10に設けることで、モータ22を容易、且つ、確実に移動することが可能となる。また、作業者は、蝶螺子45で前部移動手段41をモータ22に固定し、後部移動手段42上にモータ22を積載させるだけで移動可能となるため、略作業工程を増大させることなく、移動の作業性を向上させることが可能となる。また、作業者の負担も低減することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した移動手段40は、前部移動手段41及び後部移動手段42を有する構成としたが、前部移動手段41のみを設ける構成としてもよい。前部移動手段41のみを設けることで、前部移動手段41によりモータ22を支持し、他端側は作業者が持ち上げていることで、モータ22の重量を分散させることも可能となり、モータ22を引くことで、容易にモータ22を移動させることが可能となる。なお、前部移動手段41のみではなく、後部移動手段42のみを設ける構成でもよい。また、前記移動手段41及び後部移動手段42の一方又は両方がモータ22に固定されている構成でもよい。
【0054】
また、例えば、上述した給水装置1では、前部移動手段41の固定方法として、壁部44間にモータ22の取付部29を配置させ、蝶螺子45により取付部29を直接締結し、押し付けて固定する方法としたが、これに限られない。例えば、蝶螺子45の先端に、さらに蝶螺子45の回転に応じて、蝶螺子45の軸心方向に移動可能であって、その面方向がフレキシブルに変化する板材を設けてもよい。このような板材を設けることで、取付部29と板材との固定面積が向上することとなる。これは、取付部29と蝶螺子45との固定面積を向上させると、前部移動手段41のモータ22の自重による倒れを防止することが可能となる。
【0055】
即ち、蝶螺子45のねじ部により、取付部29を固定すると、例えば、モータ22の自重と、前部移動手段41との位置により、前部移動手段41が斜め方向に押圧される場合がある。このように、斜め方向に前部移動手段41が押圧された場合、特に、モータ22が大型の場合であって固定のための面積が小さい場合、回転モーメントに対して必要な面積が得られず、前部移動手段41が脱離することや、蝶螺子45に過度な力が加わり、蝶螺子45が変形する虞がある。このため、固定面積を大きくすることで、回転モーメントに対する耐力を得ることが可能となり、前部移動手段41の脱離を防止するとともに、耐力を向上させることが可能となる。
【0056】
また、上述した後部移動手段42は、台部47に一対の台車部46を設ける構成としたが、これは、モータフレーム30に後部移動手段の取付部を設けることで、前部移動手段41と同一構成のものとしてもよい。
【0057】
また、後部移動手段42の台部47は板状であるが、保持部47aを湾曲させることで、モータ22の外周を点ではなく面で支えるようにしてもよい。
【0058】
さらに、レール部14は、壁部17を互いに隣り合う端辺に設ける構成としたが、これは、両端辺に壁部を設ける構成としてもよい。このように、レール16の両辺に壁部を設けることで、より確実に移動手段40の脱輪を防止することが可能となり、モータ22の破損を確実に防止することができる。
【0059】
また、上述した前部移動手段41は蝶螺子45を用いるとしたが、取付部29を固定可能であれば、六角ボルトであってもよく、また、スプリング等により取付部29を固定する構成でもよい。この他にも、上述した構成では、流量検出器71及び圧力検出器76を有する構成としたが、どちらか一方も設ける構成としてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態に係る給水装置の外観を示す側面図。
【図2】同給水装置に用いられるベース及び移動手段の外観を示す斜視図。
【図3】同給水装置に用いられるモータを示す正面図。
【図4】同移動手段の一部を示す斜視図。
【図5】同移動手段の一部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0061】
1…給水装置、10…ベース、11…枠組部、12…台部、13…ポンプ固定板、14…レール部、15…ボルト孔、16…レール、17…壁部、20…モータ直動式ポンプ、21…ポンプ、22…モータ、23、24…フランジ、25…ポンプケーシング、26…吸込口、27…吐出口、28…回転軸、29…取付部、30…モータフレーム、31…フィン、40…移動手段、41…前部移動手段、42…後部移動手段、43、46…台車部、44…壁部、45…蝶螺子、47…台部、47a…保持部、50…架台、51…脚部、52…梁材、60…制御盤、70…吐出管、71…圧力検出器、72…逆止弁、73…アキュムレータ、74…開閉弁、75…フランジ、B…ボルト、S…信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
このベース上にその軸心が水平方向に固定されたポンプと、
前記ベース上に位置するとともに、前記ポンプに着脱自在に接続され、前記ポンプを駆動するモータと、
前記モータの下方に設けられ、前記ポンプとは離間する一方向に延設された案内部材と、
前記モータに設けられ、前記案内部材によって案内される被案内部材が取り付けられる被案内部材取付部と、を備えることを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記被案内部材取付部は、前記モータの前記ポンプと接続する一端側、及び、前記モータの他端側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記モータの一端側に設けられた前記被案内部材取付部に着脱自在に設けられた前部被案内部材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記モータの他端側に設けられた前記被案内部材取付部に着脱自在に設けられた後部被案内部材をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記被案内部材取付部に固定された被案内部材をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−174456(P2009−174456A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15245(P2008−15245)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】