説明

給油所システム

【課題】ユーザおよび給油所の双方にとって、プリカやクレジットカードよりも利用し易いカードを用いた給油所システムを提供する。
【解決手段】燃料油を吐出するノズルと、前記ノズルからの燃料油の給油量を計量する計量手段と、給油予定情報を入力する入力手段と、前記給油予定情報と前記給油量に応じて給油の制御を行う計量制御手段と、識別記号を記憶するカードのカードIDを読み取る読取機と、前記カードIDに対応する残高を記憶する残高管理センターから前記残高の情報を受け取ると共に前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号を出力する通信PCとを備え、前記通信PCからの制限給油許可信号により、前記残高の範囲で前記給油予定情報に基づいた給油の制御を前記計量制御手段が行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを用いた給油所システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、給油所では、種々のカードを用いた給油がなされている。
カードとしては、貨幣価値のあるプリペイドカード(以下、「プリカ」という)や利用者(ユーザ)個人の信用に基づいて給油を許可するクレジットカードが主流である(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−332017号(図2)
【0003】
しかし、プリカを用いたシステムでは、以下のような欠点がある。
前払式証票の規則等に関する法律(通称プリカ法)との関係上、予め供託金を納める必要があるので、給油所に資金的な負担が生じる。
また、予め貨幣化した多量のプリカを保管するので、盗難防止などの厳重な管理が必要となる。
更に、プリカの印字欄を使い切るとプリカを廃棄し、新たなプリカを発行することになるので、ランニングコストがアップする上、環境保全の観点から好ましくない。
【0004】
一方、クレジットカードの場合には、カード自体に利用者個人の信用的価値があり、そのため、カードを紛失すると、多額の損失が発生するおそれがあるので、かかる観点から利用しないユーザも多い。そのため、給油所利用の拡大を図りにくい。
【発明の開示】
【0005】
したがって、本発明の主目的は、ユーザおよび給油所の双方にとって、プリカやクレジットカードよりも利用し易いカードを用いた給油所システムを提供することである。
【0006】
前記目的を達成するために、本第1発明の給油所システムは、燃料油を吐出するノズルと、前記ノズルからの燃料油の給油量を計量する計量手段と、給油予定情報を入力する入力手段と、前記給油予定情報と前記給油量に応じて給油の制御を行う計量制御手段と、識別記号を記憶する第1カードの第1のカードIDを読み取る第1読取機と、前記第1読取機で読み取られた前記第1のカードIDに対応する当該第1カードを用いることができるか否かの信用情報を記憶するオーソリセンターからの情報で給油許可信号を前記計量制御手段に出力するPOS本体と、識別記号を記憶する第2カードの第2のカードIDを読み取る第2読取機と、前記第2のカードIDに対応する残高を記憶する残高管理センターから前記残高の情報を受け取ると共に前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号を出力する通信PCと、前記計量制御手段、前記第2読取機、前記POS本体および前記通信PCに接続され、前記POS本体から給油許可信号が入力された場合には当該給油許可信号を前記計量制御手段に出力し、一方、前記通信PCから前記残高を含む前記制限給油許可信号が入力された場合には前記給油予定情報から算出される利用予定額が前記残高の範囲内であるか否かを判別し、範囲内である場合に前記計量制御手段に給油を許可する信号を出力する切替機とを備え、前記通信PCからの制限給油許可信号により、前記残高の範囲で前記給油予定情報に基づいた給油の制御と、前記POS本体からの給油許可信号により前記給油予定情報に基づいた給油の制御とを前記計量制御手段が行えるようにしたことを特徴とする。
【0007】
かかる給油所システムは新規に給油所を設置する場合の他、既存(既設)の給油所に増設により構築することが可能である。
【0008】
すなわち、本第1発明の給油所システムは、燃料油を吐出するノズルと、前記ノズルからの燃料油の給油量を計量する計量手段と、給油予定情報を入力する入力手段と、前記給油予定情報と前記給油量に応じて給油の制御を行う計量制御手段と、識別記号を記憶する第1カードの第1のカードIDを読み取る第1読取機と、前記第1読取機で読み取られた前記第1のカードIDに対応する前記第1カードを用いることができるか否かの信用情報を記憶するオーソリセンターからの情報で給油許可信号を出力するPOS本体とを備え、前記POS本体からの給油許可信号により前記給油予定情報に基づいた給油の制御を前記計量制御手段が行えるようにした既設の給油所システムにおいて、識別記号を記憶する第2カードの第2のカードIDを読み取る第2読取機と、前記第2のカードIDに対応する残高を記憶する残高管理センターから前記残高の情報を受け取ると共に前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号を出力する通信PCと、前記計量制御手段、前記第2読取機、前記POS本体および前記通信PCに接続され、前記POS本体から給油許可信号が入力された場合には当該給油許可信号を前記計量制御手段に出力し、一方、前記通信PCから前記残高を含む前記制限給油許可信号が入力された場合には前記給油予定情報から算出される利用予定額が前記残高の範囲内であるか否かを判別し、範囲内である場合に前記計量制御手段に給油を許可する信号を出力する切替機とが増設され、前記通信PCからの制限給油許可信号により、前記残高の範囲で前記給油予定情報に基づいた給油の制御を前記計量制御手段が行えるようにしてもよい。
【0009】
本第1発明において、第1カードは信用情報に対応する第1カードIDを記憶しており、したがって、いわゆるクレジットカードである。
一方、第2カードは残高管理センターの残高に対応する第2カードIDを記憶しており、したがって、いわゆる電子マネーカードである。
【0010】
本第1発明の給油所システムで用いるカードは、クレジットカードおよび電子マネーカードであるから、プリカと異なり、予め供託金を納める必要がないから、給油所に資金的な負担が生じない。
また、予め貨幣化した多量のプリカを保管する必要もないので、盗難防止などの管理が不必要となる。
更に、印字欄を設ける必要もなくカードを廃棄する必要がないので、ランニングコストが少なくなるなどの利点が得られる。
しかも、プリカと異なり、給油所以外の使用用途の拡大の可能性もある。
【0011】
本システムでは電子マネーとクレジットの双方を用いることができるから、ユーザはいずれかを選択できるので、至便であり、拡販を狙うことができる。
【0012】
ここで、POS本体(POS端末)は、古くから存在するPOSシステムに対応する仕様となっているため、インターネットによる通信機能を備えていない。そこで、本第1発明では、POS本体とは別の通信PCを設けて残高管理センターとインターネットで接続可能としている。
【0013】
また、既設の給油所においては前記POS本体の仕様、つまり、ハードウェアや信号形式などのソフトウェアなどが不明であるが、この場合にも、別途通信PCを設けることで、システムの構築に支障を来たさないようにしている。
【0014】
その一方で、切替機を設けることで、前記計量制御手段に対しPOS本体または通信PCのいずれか一方が給油の許可を行うことができるようにしている。
【0015】
特に、本第1発明では、新設の給油所だけでなく、既設の給油所についても同様なシステムを採用することができるから、既設の給油所で導入し易くなる。
【0016】
一方、本第2発明の給油所システムは、燃料油を吐出するノズルと、前記ノズルからの燃料油の給油量を計量する計量手段と、給油予定情報を入力する入力手段と、前記給油予定情報と前記給油量に応じて給油の制御を行う計量制御手段と、識別記号を記憶するカードのカードIDを読み取る読取機と、前記カードIDに対応する残高を記憶する残高管理センターから前記残高の情報を受け取ると共に前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号を出力する通信PCとを備え、前記通信PCからの制限給油許可信号により、前記残高の範囲で前記給油予定情報に基づいた給油の制御を前記計量制御手段が行えるようにしたことを特徴とする。
【0017】
本第2発明では、残高管理センターの残高に対応するカードIDを記憶しており、したがって、カードは電子マネーカードである。
【0018】
本第2発明では、クレジットカードを利用できないが、電子マネーの利点を有する上、システムの構造が簡単でイニシャルコストが安くなるという利点がある。
したがって、小規模の給油所システムとしての利用価値が高い。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0020】
実施例1
図1〜図5は実施例1を示す。
実施例1は、クレジットカード(第1カード)C1といわゆる電子マネーカード(第2カード)C2の双方を利用できるシステムである。このシステムは新規に給油所を設置する場合と、既設のPOSシステムに増設する場合とがあるが、以下の説明では既設のPOSシステムに増設する場合について説明する。
【0021】
まず、図2および図3(b)を用いて既設のPOSシステムについて説明する。
図2に示すように、給油所には、複数台または1台の計量機3が設けられている。各計量機3には、油種ごとに図示しないノズルが設けられており、各ノズルは燃料油を吐出する。
【0022】
図3(b)において、前記各計量機3には、ノズル検出手段30、計量手段31、計量機制御部(計量制御手段)32、および第1入出力機10が設けられている。
前記ノズル検出手段30は計量機3のノズルをノズルハンガから取り外したか否かを検知する。
【0023】
前記第1入出力機10は、表示器11、第1読取機12、入力手段13、およびプリンタ14などを備える。前記入力手段13は給油する油種や数量(何リットルまたは満たん)などの給油予定情報を設定するためのものである。
【0024】
前記計量手段31は、前記ノズルから吐出された燃料油の給油量をリアルタイムに計量して図示しない計量表示器に表示する。
前記計量機制御部32は、前記計量手段31から入力される給油量をリアルタイムに監視しながら、前記給油予定情報に基づいて、図示しないポンプの回転、流量制御弁の開度および開閉弁の開閉の制御を行い、所定量の燃料油が給油されるように制御する。
【0025】
図2の前記第1入出力機10はHUBを介してイーサネット(登録商標)によりPOS本体(POS端末)1に接続されている。
図3(b)において、前記第1読取機12は、ユーザが投入したクレジットカードC1のカードIDを読み取り、当該カードIDをHUBを介してPOS本体1に出力する。
また、前記入力手段13から入力された給油予定情報はHUBを介してPOS本体1に送信される。
【0026】
前記各計量機制御部32はSS−LANを介して1つのセルフ用の集中コントローラSSCに接続されている。図2の前記集中コントローラSSCは、セルフ式の給油所に設けられるもので、SS−LANによりPOS本体1に接続されている。
【0027】
前記POS本体1はISN等の通信回線を介してオーソリセンター19に接続されている。前記オーソリセンター19は前記クレジットカードC1を用いることができるか否かの信用情報を記憶している。
【0028】
前記POS本体1は、前記オーソリセンター19からの信用情報で給油許可信号を前記集中コントローラSSCに出力する。前記給油許可信号は、前記集中コントローラSSCでホールドされオペレータが集中コントローラSSCを操作することで集中コントローラSSCから前記計量機制御部32に出力される。この給油許可信号を受け取った場合には、ノズルのレバーを操作することにより給油がなされ、計量機制御部32は前記給油予定情報に基づいた給油の制御を行う。
【0029】
前記POS本体1は、以下に説明する販売管理および在庫管理を行うための第1記憶部18を備える。
燃料油の基本的な販売管理としては、いつ、何番ノズル(又は何番計量機)で何の油種をどれだけ(何リッター、何円)給油したか(販売形態管理用として、現金と現金以外であればそのカードNo.なども記録)が第1記憶部18に記憶される。つまり、第1記憶部18は、過去に行った給油の給油日時、ノズルNo.、油種、給油量、給油金額、(支払方法、カードNo.)などを記憶し、この記憶を基にして、POS本体1は計量機ごと・ノズルごと・油種ごとの給油量と金額の日計・月報(週報)などを算出して販売の管理資料を作成する。
前記POS本体1は前記記憶内容を加工して地下タンクごと(油種)の在庫の管理を行うこともできる。
【0030】
つぎに、前記既設のPOSシステムに追加される増設部分について説明する。
図1に示すように、前記増設部分としては、通信PC2、切替機4、ルーター5および第2入出力機20などがある。
【0031】
前記第2入出力機20は各計量機3Aごとに増設される。
図3(a)に示すように、前記第2入出力機20は、表示器21、第2読取機22、入力手段23、プリンタ24および紙幣識別機25を備えている。
【0032】
前記入力手段23は給油する油種や数量(何リットルまたは満たん)などの給油予定情報を設定するためのものである。
【0033】
図1に示すように、前記第2入出力機20は切替機4を介して例えばRS−232Cにより通信PC2に接続されている。
図3(a)において、前記第2読取機22は、ユーザが投入した電子マネーカードC2のカードIDを読み取り、当該カードIDを切替機4に出力する。
【0034】
図1の前記切替機4は前記第2入出力機20、集中コントローラSSC、POS本体1および通信PC2に接続されており、これらのうちの2つを選択的に接続する。
【0035】
前記通信PC2はルーター5を介して残高管理センター29に接続されている。前記残高管理センター29は前記各電子マネーカードC2のカードIDに対応する残高の情報を記憶している。
【0036】
切替機4には各第2入出力機20からの給油予定情報が入力される。前記通信PC2は、前記残高管理センター29からの残高の情報で制限給油許可信号を切替機4に出力する。
【0037】
切替機4は判別手段41を備えており、この判別手段41は、通信PC2から制限給油許可信号が入力されると、前記残高管理センター29に記憶されていた残高の範囲で前記入力手段23から入力された給油予定情報に基づいた給油が可能か否かの判別を行う。判別の結果、前記給油予定情報から算出される利用予定額が前記残高の範囲である場合には切替機4は集中コントローラSSCに給油許可の信号を出力し、一方、残高の範囲を超える場合には、第2入出力機20に油種および数量を再設定させる信号を送る。前記給油許可の信号は、前記集中コントローラSSCでホールドされオペレータが集中コントローラSSCを操作することで集中コントローラSSCから前記計量機制御部32に出力される。この給油許可信号を受け取った場合には、ノズルのレバーを操作することにより給油がなされ、計量機制御部32は前記給油予定情報に基づいた給油の制御を行う。
【0038】
前記通信PC2は前記POS本体1と同様の販売管理および在庫管理を行うための第2記憶部28を備える。
なお、これらの管理内容や前記第2記憶部28の記憶内容等については、前述のPOSシステムと同様であり、その説明を省略する。
【0039】
なお、増設する場合には、図2の前記集中コントローラSSCと前記POS本体1との間に図1の前記切替機4を設置し、当該切替機4に第2入出力機20や通信PC2を接続する。
【0040】
前記切替機4は、POS本体1から給油許可信号が入力されると、給油許可信号を集中コントローラSSCに出力する。
【0041】
つぎに、図1のシステムの運用を図4および図5のチャートを用いて説明する。
まず、前記クレジットカードC1を用いる場合について説明する。
【0042】
図4のステップS1において、ユーザが第1読取機12にクレジットカードC1を挿入すると、当該クレジットカードC1のカードIDが第1入出力機10からHUBを介してPOS本体1に送信される。
【0043】
次のステップS2で、POS本体1が当該カードIDをオーソリセンター19に送信し、信用情報を問い合わせると、ステップS3において、当該カードIDのカードを用いることができるか否かの信用情報をPOS本体1にオーソリセンター19が送信して応答する。
【0044】
一方、前記クレジットカードC1を挿入したユーザがステップS50で油種の設定とステップS51で数量の設定を入力手段13から行うと、当該設定された油種と数量がHUBを介してPOS本体1に出力される。前記信用情報が「使用可」の場合、次のステップS4において、POS本体1は油種および数量の情報を含む給油許可信号Sを切替機4に出力し、切替機4は当該給油許可信号Sを集中コントローラSSCに送信する。集中コントローラSSCは前記給油許可信号をホールドする。
【0045】
その後、ユーザがステップS52でノズルをノズルハンガーから取り外して、ノズル検出手段30(図3)からノズルONの信号が計量機制御部32から集中コントローラSSCに出力され、更に、給油所のオペレータが集中コントローラSSCの操作ボタンを押下すると、前記給油許可信号をホールドしていた集中コントローラSSCは、ステップS5において、前記設定された油種と数量の範囲で給油を許可する給油許可信号を計量機制御部32に送信する。
【0046】
これにより、ステップS53に進み、ノズルから燃料油が吐出(給油が開始)されると共に、給油開始の信号が計量機制御部32から集中コントローラSSCに送信される。
【0047】
その後、給油が完了し、ステップS54でユーザがノズルをノズルハンガに戻すと、これをノズル検出手段30が検出し、給油完了信号が計量機制御部32から集中コントローラSSCを介して切替機4に出力される。切替機4は当該信号をPOS本体1に出力する。前記給油完了信号には、実際に給油された油種や数量、金額などの情報が含まれており、これらをPOS本体1が第1記憶部18に記憶する。
同時に、第1入出力機10の第1読取機12からクレジットカードC1が排出されると共に、プリンタ14から利用明細が印字される。
【0048】
このように、クレジットカードC1についてはPOS本体1からの給油許可信号Sにより、信用情報および給油予定情報に基づいた給油が可能である。
【0049】
つぎに、電子マネーカードC2を用いる場合について説明する。
この場合、必要に応じてユーザは図3(a)の紙幣識別機25に紙幣を投入すると共に、第2読取機22に電子マネーカードC2を投入して、電子マネーカードC2で使用できるお金をチャージすることができる。
この際、図1の切替機4および通信PC2を介して残高管理センター29に前記電子マネーカードC2のIDカードごとの使用残高が更新記憶される。
【0050】
図5のステップS11において、ユーザが第2読取機22に電子マネーカードC2を挿入すると、当該電子マネーカードC2のカードIDが第2入出力機20から切替機4を介して通信PC2に送信される。
【0051】
次のステップS12において、通信PC2は残高管理センター29に当該電子マネーカードC2のカードIDを送信し、残高を問い合わせると、ステップS13において、残高管理センター29は当該カードIDに対応する残高を検索し、当該残高の情報を送信し通信PC2に応答する。
【0052】
次のステップS14において、前記通信PC2は、前記カードIDについて前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号Lを切替機4に送信する。切替機4は前記制限給油許可信号Lの残高とカードIDとを一時的に記憶する。
【0053】
一方、前記電子マネーカードC2を挿入したユーザがステップS50で油種の設定とステップS51で数量の設定を入力手段23から行うと、当該設定された油種と数量が切替機4に出力される。
前記切替機4は前記入力された数量および油種から算出される利用予定額と前記残高とを比較し、残高の範囲内である場合は、ステップS100において給油許可信号を集中コントローラSSCに送信する。この信号には、給油を許可すると共に前記残高の範囲での油種と数量の情報が含まれている。一方、利用予定額が前記残高を超える場合には、その旨を図3(a)の第2入出力機20に出力し、第2入出力機20は表示器21に数量を再設定するように表示する。
【0054】
つまり、給油予定情報の数量として金額またはリットル数が入力手段23から入力されている場合においては、当該金額や前記リットル数および油種から換算される利用予定額が前記残高の範囲内であるときは、前記入力された金額またはリットル数が数量の情報として、前記給油許可信号に含まれ、一方、残高の範囲外であるときは、前記再設定の表示をさせる。
また、前記給油予定情報の数量として「満たん」が入力手段23から入力されている場合においては、前記残高の情報として給油希望量としての「満たん」の情報に代り給油上限としての前記残高の情報が前記給油許可信号に含まれる。
【0055】
その後、図5のステップS15では前記ステップS5と同様に給油許可信号が集中コントローラSSCから計量機制御部32に出力される。
【0056】
これにより、ステップS53に進み、ノズルから燃料油が吐出(給油が開始)されると共に、給油開始の信号が計量機制御部32から集中コントローラSSCに送信される。
【0057】
ここで、給油予定情報の数量として前記残高の範囲で金額またはリットル数が入力手段23から入力されている場合において、給油中に「満たん」とならないときは、当該金額またはリットル数となるまで給油がなされ、給油中に「満たん」となったときは、満たんとなった時点で給油が停止される。
【0058】
一方、数量として入力手段23から「満たん」が入力されている場合においては給油金額が前記残高となるか、あるいは、「満たん」になるまで給油が行なえる。
【0059】
次のステップS54は前述のクレジットカードC1の場合と同様であるが、給油完了信号が切替機4に出力されると、切替機4は当該信号を通信PCに出力する。なお、給油完了信号に含まれる油種や数量、金額などの情報は、通信PC2の第2記憶部28に記憶される。
【0060】
前記ステップS54において、給油完了信号を受け取った通信PC2は、ステップS16において当該利用に応じた利用額をカードIDと共にルーター5を介して残高管理センター29に送信する。
次のステップS17において、残高管理センター29は前記カードIDに応じた残高から前記利用額を減算して、当該カードIDに対応する残高を更新記憶すると共に、当該利用を受け付けたことを意味する利用応答の信号を前記通信PC2に送信する。
【0061】
次のステップS18において通信PC2は完了通知を切替機4を介して第2読取機22に送信すると、第2読取機22は電子マネーカードC2を排出すると共に、プリンタ24(図3)から利用明細が印字される。
【0062】
このように、電子マネーカードC2については通信PC2からの制限給油許可信号Lにより、残高の範囲で給油予定情報に基づく給油が可能となる。
【0063】
ところで、図5の実施例1では残高管理センター29に残高が残ったまま給油を行うので、同時使用などによる不正行為を防止し得ない場合がある。この不正防止を図り得る例を次に変形例として示す。
【0064】
図6は前記実施例1の変形例を示すチャートである。
【0065】
この変形例は図5の前記実施例1のステップS12、13、16および17に代えて、図6のステップS32、33、36、37を採用している。
【0066】
図6において、ステップS32では、前記第2読取機22から切替機4を介して前記通信PC2に前記第2のカードIDが送信されると、前記通信PC2から前記残高管理センター29に残高の全額の利用を要求する全額利用要求が送信される。これに応じてステップS33では、前記残高管理センター29が当該残高を前記通信PC2に送信すると共に残高を0円に更新する。これにより、同時使用による不正を防止できる。
【0067】
一方、ステップS36では、給油が完了した給油完了信号を前記計量制御部32から集中コントローラSSCおよび切替機4を介して、前記通信PC2が受け取ると、前記残高管理センター29から出力された残高から前記利用額を減算した利用残額が前記残高管理センター29に出力される。これに応じて、次のステップS37では残高管理センター29は前記利用残額を受け取った旨の返信を残高応答として通信PC2に送信し、同時に前記利用残額を残高として更新記憶する。
【0068】
前記実施例1では通信PC2以外にPOS本体1を設けたが、新規に給油所を設置する場合には、POS本体1を設ける必要はない。この例を図7〜図10の実施例2に示す。
【0069】
実施例2
この実施例2のシステムは、複数台もしくは1台の計量機3Bが設けられている。各計量機3Bは前記実施例1と同様にノズル、ポンプ等の機器の他に計量機制御部32を備える。
【0070】
この実施例2のシステムでは、前記実施例1のシステムにおいて増設した部分からなる。したがって、電子マネーカードC2を用いるシステムであって、クレジットカードC1を用いることはできない。
【0071】
なお、本システムにおいて、図7の入出力機20、通信PC2の記憶部28および図8の読取機22は、それぞれ、実施例1の第2入出力機20、第2記憶部2および第2読取機22に相当し、同一の機能を発揮する。
【0072】
この実施例2のシステムにより電子マネーカードC2を用いた場合の運用は図9および図10に示すように、前記実施例1と同様であり、したがって、その説明を省略する。
【0073】
なお、前記実施例ではセルフの場合について説明したが、フルサービスについても本発明は適用できる。フルサービスの場合、集中コントローラSSCは不要となる。この場合、切替機4を介して通信PCやPOS本体と通信すると共に2つの計量機制御部32の親機として、一方の計量機制御部32をマスターとし、他方をスレーブとすると共に、当該マスターがダウンした場合に対応できるように、スレーブをマスターに変更できるようにするのが望ましい。
【0074】
また、電子マネーカードは磁気カードを用いても、あるいは、他の接触式でも非接触式のいずれでもよい。更に、非接触式の場合には個有番号を認識できる機能を持つ携帯電話などでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は新規および既設の給油所システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例1を示す給油所システムの概略構成図である。
【図2】増設前の既設の給油所システムを示す概略構成図である。
【図3】(a)は増設後、(b)は増設前を示す計量機等の概略構成図である。
【図4】クレジットカード(第1カード)による給油の運用を示すチャートである。
【図5】電子マネーカード(第2カード)による給油の運用を示すチャートである。
【図6】同カードによる別の運用例を示すチャートである。
【図7】本発明の実施例2を示す給油所システムの概略構成図である。
【図8】計量機等の概略構成図である。
【図9】電子マネーカード(第2カード)による給油の運用を示すチャートである。
【図10】同カードによる別の運用例を示すチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1:POS本体
18:第1記憶部
2:通信PC
28:第2記憶部
3A、3B:計量機
31:計量手段
32:計量機制御部(計量機制御手段)
4:切替機
12:第1読取機
22:(第2)読取機
13、23:入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油を吐出するノズルと、
前記ノズルからの燃料油の給油量を計量する計量手段と、
給油予定情報を入力する入力手段と、
前記給油予定情報と前記給油量に応じて給油の制御を行う計量制御手段と、
識別記号を記憶する第1カードの第1のカードIDを読み取る第1読取機と、
前記第1読取機で読み取られた前記第1のカードIDに対応する当該第1カードを用いることができるか否かの信用情報を記憶するオーソリセンターからの情報で給油許可信号を前記計量制御手段に出力するPOS本体と、
識別記号を記憶する第2カードの第2のカードIDを読み取る第2読取機と、
前記第2のカードIDに対応する残高を記憶する残高管理センターから前記残高の情報を受け取ると共に前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号を出力する通信PCと、
前記計量制御手段、前記第2読取機、前記POS本体および前記通信PCに接続され、前記POS本体から給油許可信号が入力された場合には当該給油許可信号を前記計量制御手段に出力し、一方、前記通信PCから前記残高を含む前記制限給油許可信号が入力された場合には前記給油予定情報から算出される利用予定額が前記残高の範囲内であるか否かを判別し、範囲内である場合に前記計量制御手段に給油を許可する信号を出力する切替機とを備え、
前記通信PCからの制限給油許可信号により、前記残高の範囲で前記給油予定情報に基づいた給油の制御と、前記POS本体からの給油許可信号により前記給油予定情報に基づいた給油の制御とを前記計量制御手段が行えるようにした給油所システム。
【請求項2】
燃料油を吐出するノズルと、
前記ノズルからの燃料油の給油量を計量する計量手段と、
給油予定情報を入力する入力手段と、
前記給油予定情報と前記給油量に応じて給油の制御を行う計量制御手段と、
識別記号を記憶する第1カードの第1のカードIDを読み取る第1読取機と、
前記第1読取機で読み取られた前記第1のカードIDに対応する前記第1カードを用いることができるか否かの信用情報を記憶するオーソリセンターからの情報で給油許可信号を出力するPOS本体とを備え、
前記POS本体からの給油許可信号により前記給油予定情報に基づいた給油の制御を前記計量制御手段が行えるようにした既設の給油所システムにおいて、
識別記号を記憶する第2カードの第2のカードIDを読み取る第2読取機と、
前記第2のカードIDに対応する残高を記憶する残高管理センターから前記残高の情報を受け取ると共に前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号を出力する通信PCと、
前記計量制御手段、前記第2読取機、前記POS本体および前記通信PCに接続され、前記POS本体から給油許可信号が入力された場合には当該給油許可信号を前記計量制御手段に出力し、一方、前記通信PCから前記残高を含む前記制限給油許可信号が入力された場合には前記給油予定情報から算出される利用予定額が前記残高の範囲内であるか否かを判別し、範囲内である場合に前記計量制御手段に給油を許可する信号を出力する切替機とが増設され、
前記通信PCからの制限給油許可信号により、前記残高の範囲で前記給油予定情報に基づいた給油の制御を前記計量制御手段が行えるようにした給油所システム。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記第2読取機から前記通信PCに前記第2のカードIDが送信されると、前記通信PCから前記残高管理センターに残高が問い合わせられ、これに応じて前記残高管理センターから前記通信PCに残高の情報が応答されるようにした給油所システム。
【請求項4】
請求項3において、給油が完了した給油完了信号を前記計量制御手段から前記通信PCが受け取ると、当該通信PCが前記残高管理センターに利用額を出力し、前記残高管理センターの前記残高から前記利用額を減算して残高を更新し、当該利用を受け付けたことを意味する利用応答の信号が前記通信PCに出力されるようにした給油所システム。
【請求項5】
請求項1もしくは2において、前記第2読取機から前記通信PCに前記第2のカードIDが送信されると、前記通信PCから前記残高管理センターに残高の全額の利用を要求する全額利用要求が出力され、これに応じて前記残高管理センターが当該残高を前記通信PCに出力して、残高を0円に更新するようにした給油所システム。
【請求項6】
請求項5において、給油が完了した給油完了信号を前記計量制御手段から前記通信PCが受け取ると、前記残高管理センターから出力された残高から前記利用額を減算した利用残額が前記残高管理センターに出力されるようにした給油所システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、前記POS本体は前記第1カードを用いて過去に行った給油情報を記憶する第1記憶部を有し、一方、前記通信PCは前記第2カードを用いて過去に行った給油の情報を記憶する第2記憶部を有する給油所システム。
【請求項8】
燃料油を吐出するノズルと、
前記ノズルからの燃料油の給油量を計量する計量手段と、
給油予定情報を入力する入力手段と、
前記給油予定情報と前記給油量に応じて給油の制御を行う計量制御手段と、
識別記号を記憶するカードのカードIDを読み取る読取機と、
前記カードIDに対応する残高を記憶する残高管理センターから前記残高の情報を受け取ると共に前記残高の範囲で給油を許可する制限給油許可信号を出力する通信PCとを備え、
前記通信PCからの制限給油許可信号により、前記残高の範囲で前記給油予定情報に基づいた給油の制御を前記計量制御手段が行えるようにした給油所システム。
【請求項9】
請求項8において、前記読取機から前記通信PCに前記カードIDが送信されると、前記通信PCから前記残高管理センターに残高が問い合わせられ、これに応じて前記残高管理センターから前記通信PCに残高の情報が応答されるようにした給油所システム。
【請求項10】
請求項9において、給油が完了した給油完了信号を前記計量制御手段から前記通信PCが受け取ると、当該通信PCが前記残高管理センターに利用額を出力し、前記残高管理センターの前記残高から前記利用額を減算して残高を更新し、当該利用を受け付けたことを意味する利用応答の信号が前記通信PCに出力されるようにした給油所システム。
【請求項11】
請求項8において、前記読取機から前記通信PCに前記カードIDが送信されると、前記通信PCから前記残高管理センターに残高の全額の利用を要求する全額利用要求が出力され、これに応じて前記残高管理センターが当該残高を前記通信PCに出力して、残高を0円に更新するようにした給油所システム。
【請求項12】
請求項11において、給油が完了した給油完了信号を前記計量制御手段から前記通信PCが受け取ると、前記残高管理センターから出力された残高から前記利用額を減算した利用残額が前記残高管理センターに出力されるようにした給油所システム。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項において、前記通信PCは前記カードを用いて過去に行った給油の情報を記憶する記憶部を有する給油所システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−157572(P2009−157572A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334019(P2007−334019)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】