説明

給湯システム

【課題】 給湯開始から短時間で設定温度の温水を給湯するとともに、給湯開始直後であっても高温の温水の出湯が防止される給湯システムを提供する。
【解決手段】 給湯システム100は、発電ユニット24と、貯湯タンク18と、混合ユニット44と、温水利用箇所66、冷水供給源2等に接続されている。給湯システム100は、タンク給湯経路34の配管容量と、タンク給湯経路34を流れる温水の流量に基づいて、給湯開始時点で貯湯タンク18から流出した温水が混合経路40との接続部42に到達するタイミング(温水到達タイミング)を特定する手段を備えている。給湯開始後は、温水利用箇所66へ供給される温水が設定温度より高温となる混合比に混合器14を調整し、温水到達タイミング以降は、温水利用箇所66へ供給される温水の温度が設定温度と等しくなる混合比に混合器14を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱した温水を貯湯しておき、貯湯しておいた温水を利用して給湯することが可能な給湯システムに関する。特に、貯湯しておいた温水と冷水を混合し、温水利用箇所(給湯や風呂の湯張り等)へ供給する給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
温水を貯湯しておいて、貯湯しておいた温水と冷水を混合弁で混合し、給湯する給湯システムが知られている。このような給湯システムでは一般的に、給湯開始から短時間で設定温度の温水を給湯するために、貯湯タンクから早急に高温の温水を供給する必要がある。このとき、混合弁の混合比を湯側全開に調整すると、貯湯タンクから早急に高温の温水を給湯することができるものの、給湯開始直後に設定温度よりも予想外に高い高温の温水が給湯されてしまうおそれがある。そのため、このような給湯システムでは、給湯開始から短時間で設定温度の温水を給湯するとともに、給湯開始直後の高温出湯を防止する技術が求められる。
【0003】
特許文献1には、給湯システムにおいて、給湯開始後の高温出湯を防止する技術が記載されている。この技術によると、給湯開始後、設定温度と給水温度と混合弁近傍を流れる温水の温度に基づいて、設定温度と等しい温度の温水が給湯される混合比に混合弁をフィードフォワード制御する。混合弁近傍の温水の温度を検出する温度センサは、給湯経路上の混合弁よりも上流側に設けられている。フィードフォワード制御は、貯湯タンク上部の温水の温度と混合弁の近傍を流れる温水の温度の差が所定範囲内になるまで行われる。フィードフォワード制御を行うことによって、給湯開始から所定時間の間は高温の温水の出湯が防止される。
【0004】
【特許文献1】特開2006−64337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術によると、給湯開始後、貯湯タンクから流出した温水が混合弁近傍の温度センサに到達するまでの間は、混合弁近傍の温度センサで温水の温度を検出することができないため、フィードフォワード制御が行われない。そのため、フィードフォワード制御が開始された直後は、貯湯タンクから流出した高温の温水の一部が既に混合弁を通過しており、給湯開始直後に予想外に高温の温水が出湯するおそれがある。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するために提案された。本発明は、給湯開始から短時間で設定温度の温水を給湯するとともに、給湯開始直後であっても高温の温水の出湯が防止される給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、加熱した温水を貯湯しておき、貯湯しておいた温水を利用して給湯することが可能な給湯システムに関する。
本発明の給湯システムは、温水を貯える貯湯タンクと、貯湯タンクの上部から温水利用箇所へ温水を供給する給湯経路と、冷水供給源から貯湯タンクの下部へ冷水を供給する給水経路を備えている。冷水供給源とは、例えば水道管などである。
本発明の給湯システムは、給湯経路と給水経路を接続しており、冷水供給源から供給される冷水を貯湯タンクから供給される温水に混合する混合経路を備えている。
【0008】
本発明の給湯システムは、混合経路上に設けられており、冷水供給源から供給される冷水の流量と貯湯タンクから供給される温水の流量との混合比を調整する混合弁を備えている。混合弁は混合経路上のどの位置に設けられていてもよい。本明細書でいう混合比とは、貯湯タンクから供給される温水の流量を1としたときの、冷水供給源から供給される冷水の流量の割合をいう。
【0009】
本発明の給湯システムは、貯湯タンクから給湯経路に供給される温水の流量を取得する流量取得手段を備えている。流量取得手段とは、例えば、貯湯タンクから給湯経路に供給される温水の流量を直接検出する流量センサなどである。
本発明の給湯システムは、温水利用箇所へ供給される温水の温度を設定する温度設定手段を備えている。温度設定手段とは、例えば、温度設定が可能なリモコンなどである。
【0010】
本発明の給湯システムは、給湯開始後に、混合経路との接続部よりも上流の給湯経路の配管容量と、流量取得手段で取得された流量に基づいて、給湯開始時点で貯湯タンクから流出した温水が混合経路との接続部に到達するタイミング(温水到達タイミング)を特定するタイミング特定手段を備えている。
【0011】
本発明の給湯システムでは、給湯開始後に、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度より高温となる混合比に混合弁を調整する。
本発明の給湯システムでは、温水到達タイミング以降は、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなる混合比に混合弁を調整する。
【0012】
本発明の給湯システムによると、給湯開始後は、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度より高温となる混合比に混合弁が制御されており、混合弁の湯側の開度が大きい。そのため、混合経路の接続部よりも上流の給湯経路内を流れる温水の速度が速く、貯湯タンクから流出した温水は短時間で混合弁に到達する。温水到達タイミング以降は、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなるように混合比が調整される。即ち混合弁の湯側の開度が絞られる。給湯開始後、貯湯タンクから流出した温水は、湯側の開度が絞られた後の混合弁を通過するため、給湯開始直後であっても高温の温水が出湯するおそれがない。給湯開始後、短時間で設定温度の温水を給湯するとともに、給湯開始直後であっても高温の温水の出湯が防止される。
【0013】
本発明の給湯システムは、流量取得手段が、温水利用箇所へ供給される温水の流量を検出する流量センサと、流量センサで検出される流量と混合弁の混合比に基づいて貯湯タンクから給湯経路に供給される温水の流量を計算する流量計算手段を備えていることが好ましい。流量センサは、混合経路との接続部よりも下流の給湯経路上に設けられていてもよいし、混合経路との接続部よりも上流の給水経路上に設けられていてもよい。混合弁では貯湯タンクから供給される温水の流量と冷水供給源から供給される冷水の流量との混合比を調整するので、流量センサで検出される流量と混合弁の混合比とから、貯湯タンクから給湯経路に供給される温水の流量を計算することができる。
【0014】
本発明の給湯システムでは、タイミング特定手段が、給湯開始後に、混合経路との接続部よりも上流の給湯経路の配管容量と、流量取得手段で取得された流量に基づいて、給湯開始時点で貯湯タンクから流出した温水が混合経路との接続部に到達するまでの所要時間を計算する時間計算手段と、給湯開始時点からの経過時間を取得する時間計測手段を備えており、所要時間と経過時間に基づいて温水到達タイミングを特定してもよい。所要時間は、配管容量を流量取得手段で取得された流量で除算することによって計算することができる。この給湯システムによると、給湯開始から所要時間経過したときを温水到達タイミングと特定することができる。
【0015】
本発明の給湯システムは、タイミング特定手段が、流量取得手段で取得された流量を積算して、給湯開始時点からの積算流量を取得する流量積算手段を備えており、配管容量と積算流量に基づいて温水到達タイミングを特定してもよい。配管容量と積算流量から温水が混合弁に到達するときの積算流量を計算することができるため、温水到達タイミングを特定することができる。
【0016】
本発明の給湯システムは、貯湯タンクの上部に貯えられている温水の温度を検出する第1温度センサと、冷水供給源から給水経路に供給される冷水の温度を検出する第2温度センサをさらに備えていることが好ましい。この場合、給湯開始から温水到達タイミングまでは、第1温度センサで検出される温度と、第2温度センサで検出される温度とに基づいて、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度より高温となる混合比に混合弁をフィードフォワード制御することが好ましい。第1温度センサは、貯湯タンクの上部近傍に設けられている。第2温度センサは、給水経路上のどの位置に設けられていてもよい。
【0017】
上記の給湯システムによると、2つの温度センサで検出された温度に基づいて混合弁の混合比をフィードフォワード制御することができる。貯湯タンクの上部に貯えられている温水の温度と冷水供給源から供給される冷水の温度に基づいて混合弁の制御を行うため、混合比を正確に計算することができる。
【0018】
上記の給湯システムの場合、第1温度センサで検出される温度と、第2温度センサで検出される温度と、給湯開始時の混合弁の混合比に基づいて、温水利用箇所へ供給される温水の温度を算出する温度算出手段をさらに備えていることが好ましい。この場合、給湯開始後に、温度算出手段で算出される温度が温度設定手段で設定した温度を所定温度以上超える場合には、温水到達タイミング以前であっても、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなる混合比に混合弁をフィードフォワード制御することが好ましい。
【0019】
温度推定手段で推定される温度が温度設定手段で設定した温度を所定温度以上超える場合、給湯開始後に混合弁の湯側の開度を大きくしなくとも、高温の温水が出湯する可能性が高い。温度推定手段で推定される温度が温度設定手段で設定した温度を所定温度以上超える場合とは、第1温度センサで検出される温度が前回の給湯終了時の温度よりも上昇した場合や、冷水供給源から供給される冷水の温度が上昇した場合、温度設定手段で設定した温度が前回の給湯時に温度設定手段で設定した温度よりも高くなった場合が挙げられる。上記の給湯システムによると、温度推定手段で推定される温度が温度設定手段で設定した温度を所定温度以上超える場合、温水到達タイミング以前であっても、安全性を重視して、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度となるようにフィードフォワード制御を行って混合弁の混合比を調整する。給湯開始直後であっても高温の温水の出湯を防止することができる。
【0020】
本発明の給湯システムは、混合経路との接続部よりも上流で給湯経路を流れる温水の温度を検出する第3温度センサをさらに備えており、給湯開始後に、第3温度センサで検出される温度が温度設定手段で設定した温度を超える場合には、温水到達タイミング以前であっても、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなる混合比に混合弁をフィードフォワード制御することが好ましい。
【0021】
第3温度センサで検出される温度が温度設定手段で設定した温度を超える場合、既に高温の温水が給湯経路内を流れており、高温の温水が混合弁に到達するまでの時間が短い。そのため、混合弁の湯側の開度を大きくする必要がない。上記の給湯システムによると、温水到達タイミング以前であっても、安全性を重視して、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度となるようにフィードフォワード制御を行って混合弁の混合比を調整する。給湯開始直後であっても高温の温水の出湯を防止することができる。
【0022】
本発明の給湯システムでは、温温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度より高温となる混合比から、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなる混合比への切替えが、温水到達タイミングになると同時に終了するように混合弁の混合比を調整することが好ましい。
【0023】
温水到達タイミングになると同時に混合弁の混合比を切替えようとしても、混合弁の制御遅延により、すぐにはその混合比にまで調整がされない。そのため、温水到達タイミングになると同時に混合比を切替えると、実際には温水到達タイミングよりも少し遅れて切替え後の混合比の温水が供給される。上記の給湯システムによると、温水到達タイミングになると同時に混合比の切替えが終了するように混合弁の混合比を調整することによって、温水到達タイミングになると同時に切替え後の混合比の温水を供給することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の給湯システムによると、給湯開始から短時間で設定温度の温水を給湯するとともに、給湯開始直後であっても高温の温水が出湯するのを防止することができる。
【実施例】
【0025】
(第1実施例)
図1に、本発明の第1実施例である給湯システム100の模式図を示す。給湯システム100は、温水利用箇所66である給湯栓66bと風呂の浴槽66a等に接続されている。給湯システム100は、発電ユニット24、貯湯タンク18、混合ユニット44、リモコン(温度設定手段)70およびコントローラ68等を備えている。
【0026】
発電ユニット24は、固体高分子型の燃料電池を用いた発電装置である。発電ユニット24は電力需要に応じて発電を行う。発電を行う際に、発電ユニット24は排熱回収ポンプ20を駆動する。排熱回収ポンプ20が駆動されると、貯湯タンク18の下部から水が吸い出される。吸い出された水は、排熱回収熱交換器22で発電熱によって加熱されて、貯湯タンク18の上部に戻される。発電ユニット24から貯湯タンク18の上部に戻される湯の温度は、排熱回収サーミスタ26によって測定されて、コントローラ68へ出力される。上部に戻される湯の温度が低い場合には、三方排熱切替弁28を切替えることによって、貯湯タンク18をバイパスして発電ユニット24に戻されて再び加熱される。
【0027】
貯湯タンク18は、発電ユニット24の発電熱によって加熱された湯を貯える。貯湯タンク18に貯えられた湯は、給湯や風呂の追い焚き等に利用される。貯湯タンク18の内部には温度成層が形成されており、貯湯タンク18の上部には下部に比べて高温の湯が貯えられている。従って、貯湯タンク18の蓄熱量が少ないときでも、貯湯タンク18の上部から出湯することによって、高温の湯を利用することができる。貯湯タンク18の上部には、湯温を検出するタンク上部サーミスタ(第1温度センサ)32が設けられており、検出された温度はコントローラ68へ出力される。
【0028】
貯湯タンク18の下部は、タンク給水経路16、混合ユニット44および給水経路4を経由して、水道管(冷水供給源)2に接続されている。給水経路4には減圧弁6が設けられており、水道管2からの給水圧力が調整されている。貯湯タンク18の上部は、タンク給湯経路34、混合ユニット44、給湯経路48を経由して、給湯栓66bに接続されている。タンク給湯経路34は混合経路40との接続部42よりも上流に設けられており、給湯経路48は混合経路40との接続部42よりも下流に設けられている。給湯栓66bが開かれると、給水圧力によって貯湯タンク18の内部の湯水が下部から上部に向けて押し上げられ、貯湯タンク18の上部からタンク給湯経路34へ出湯する。貯湯タンク18から出湯した湯は、混合ユニット44で水道水と混合されて、所望の温度に調温された後に給湯栓66bへ供給される。
【0029】
混合ユニット44は、貯湯タンク18の上部から出湯される高温の湯に水道水を混合して、所望の温度に調温する。混合ユニット44は、給水経路4からタンク給水経路16へ流れる水道水の一部を混合経路40に分岐させて、タンク給湯経路34から給湯経路48へ流れる湯に混合する。給水経路4、タンク給水経路16および混合経路40の接続部分には混合器(混合弁)14が設けられている。混合器14はステッピングモータを内蔵しており、これが駆動されることによって、タンク給水経路16の開度と混合経路40の開度が調整されて、タンク給水経路16へ流れる水道水の流量と混合経路40へ流れる水道水の流量の比率が調整される。混合ユニット44から貯湯タンク18の下部へ給水される水道水の流量と、貯湯タンク18の上部から混合ユニット44へ出湯される湯の流量は等しい。従って、混合器14によってタンク給水経路16へ分岐する水道水の流量と混合経路40へ分岐する水道水の流量の比率を調節することによって、混合経路40からの水道水とタンク給湯経路34からの湯の混合比率を調節することができる。
【0030】
タンク給湯経路34には、タンク電磁弁36と給湯高温サーミスタ(第3温度センサ)38が設けられている。タンク電磁弁36はコントローラ68によって制御されており、内蔵しているソレノイドが駆動されることによって開閉する。タンク電磁弁36が閉じられている状態では、給湯栓66bを開いても貯湯タンク18からは出湯せず、給湯栓66bには給水経路4および混合経路40を経由して水道水が供給される。給湯高温サーミスタ38はタンク給湯経路34を流れる湯の温度を検出して、コントローラ68へ出力する。
【0031】
給湯経路48には、出湯サーミスタ46が設けられている。出湯サーミスタ46は給湯経路48を流れる温水の温度を検出して、コントローラ68へ出力する。
【0032】
給水経路4には、給水サーミスタ(第2温度センサ)8と給湯水量センサ(流量センサ)10と給湯水量サーボ12が設けられている。給水サーミスタ8は給水経路4を流れる水道水の温度を検出して、コントローラ68へ出力する。給湯水量センサ10は給水経路4を流れる水道水の流量を検出して、コントローラ68へ出力する。給水経路4から混合ユニット44へ流れる水道水の流量と、混合ユニット44から給湯経路48へ流れる湯の流量は等しいから、給湯水量センサ10で検出される流量は、混合ユニット44から給湯される湯の流量に等しい。給湯水量サーボ12は給水経路4を流れる水道水の流量を制御する。給水経路4から混合ユニット44へ流れる水道水の流量と、混合ユニット44から給湯経路48へ流れる湯の流量は等しいから、給水経路4を流れる水道水の流量を制御することによって、混合ユニット44から給湯経路48へ流れる温水の流量を制御することができる。
【0033】
貯湯タンク18の上部と下部には、三方タンク切替弁30を介して熱源機(図示はしない)に向かう経路29aが設けられている。熱源機では必要に応じて貯湯タンク18の湯水を加熱する。加熱された温水は経路29bから貯湯タンク18の上部に戻される。熱源機によって加熱された温水は、貯湯タンク18へ直接戻されることもあるし、例えば暖房端末機の熱源として利用される熱媒との間で熱交換が行われ、床暖房や風呂の追い焚き等に利用された後に貯湯タンク18へ戻されることもある。貯湯タンク18の上部には熱源機によって加熱された温水が供給されることもあれば、発電ユニット24によって加熱された温水が供給されることもある。
【0034】
風呂の浴槽66aには風呂循環経路62が接続されている。風呂循環経路62には風呂ポンプ54と、風呂水流スイッチ56と、風呂サーミスタ58が設けられている。コントローラ68によって風呂ポンプ54が駆動されると、浴槽66aから風呂循環経路62に湯が吸い出される。浴槽66aから吸い出された湯は、風呂熱交換器60で加熱されて、浴槽66aに戻される。風呂熱交換器60で加熱された温水の温度は、風呂往きサーミスタ64で検出される。
【0035】
風呂循環経路62は、湯張り弁50と湯張り水量センサ52を介して給湯経路48に連通している。湯張り弁50を開くことで、浴槽66aへの湯張りが行われる。湯張り弁50はコントローラ68によって制御される。湯張り水量センサ52は、給湯経路48から風呂循環経路62に向かう温水の水量を検出する。給湯経路48から風呂循環経路62に向かう温水の温度は、風呂サーミスタ58で検出する。
【0036】
リモコン70は、表示板と操作スイッチを備えている。利用者はリモコン70を操作して、給湯システム100の運転のON/OFFや、各種の運転モードの開始/終了や、給湯設定温度、風呂設定温度等を入力することができる。リモコン70はコントローラ68と通信可能であって、利用者の操作内容をコントローラ68へ送信する。
【0037】
コントローラ68は、制御プログラムを記憶している。コントローラ68には、リモコン70の操作信号と、各種水量センサの検出信号と各種サーミスタの検出信号等が入力される。コントローラ68は、入力された信号を制御プログラムで処理し、各種ポンプ、各種弁、混合器14等を制御する。コントローラ68はタイマカウンタを内蔵している。
【0038】
図2に、給湯システム100の混合器14の調整動作を開始する前までの動作を説明するフローチャートを示す。以下では、そのフローチャートについて説明する。なお、フローチャート中、SWの表記はスイッチを示し、THの表記はサーミスタを示す。
【0039】
ステップS102では、リモコン70のスイッチがONされたか否かを判断する。ONされた場合(ステップS102でYESの場合)、ステップS104に進む。ONされていない場合(ステップS102でNOの場合)、リモコン70がONされるまで待機する。
【0040】
ステップS104では、給湯が開始されるまで待機する。本実施例では、給湯水量センサ10の検出流量が2.7リットル/min以上となった時点で、即ち給湯経路48の流量が2.7リットル/min以上となった時点で、給湯が開始されたと判断する。給湯が開始されると(ステップS104でYESとなると)、ステップS106に進む。給湯経路48の流量が2.7リットル/min未満の場合(ステップS104でNOの場合)、給湯が開始されるまで待機する。
【0041】
ステップS106では、タンク電磁弁36が開かれる。これによって、貯湯タンク18内の上部に貯められていた温水がタンク給湯経路34に送り出される。
【0042】
ステップS108では、給湯開始時の混合器14の混合比に基づいて温水利用箇所66へ供給される温水の温度を算出し、その算出温度がリモコン70で設定した温度(以下、設定温度と記載する)より所定温度以上高いか否かを判断する。本実施例では、タンク上部サーミスタ32で検出される温度と、給水サーミスタ8で検出される温度に基づいて、温水利用箇所66へ供給される温水の温度を算出する(温度算出手段)。本実施例では、算出温度が設定温度+5℃より高い場合(ステップS108でYESの場合)、所定温度以上高いと判断し、ステップS110へ進む。算出温度が設定温度+5℃より低い場合(ステップS108でNOの場合)、ステップS116へ進む。ステップS108において、算出温度は、T=タンク上部サーミスタ検出温度、T=給水サーミスタ検出温度、y=給湯開始時の混合比とすると、算出温度は、以下の式で計算される。
算出温度={(y×T)+T}/(y+1)
【0043】
ステップS110では、混合器14の制御を通常制御(設定温度と等しい温度の温水が温水利用箇所66に供給されるように混合比を調整する制御)に切替える。混合器14の湯側の開度を大きくしなくとも、短時間で温水利用箇所66へ温水を供給することができる。
【0044】
ステップS112では、給湯が終了したか否かを判断する。本実施例では、給湯水量センサ10の検出流量が2.0リットル/min以下となった時点で、給湯が終了したと判断する。給湯が終了したと判断すると(ステップS112でYESとなると)、ステップS114へ進む。給湯が終了したと判断しない場合(ステップS112でNOの場合)、ステップS110へ戻り、通常制御の給湯を継続する。
【0045】
ステップS114では、タンク電磁弁36を閉じてタンク給湯経路34を遮断し、給湯が停止される。給湯が停止されると、ステップS104へ戻り、給湯が開始されるまで待機する。
【0046】
ステップS116では、設定温度が給湯高温サーミスタ38の検出温度より高いか否かを判断する。設定温度が給湯高温サーミスタ38の検出温度より高い場合(ステップS116でYESの場合)、混合器14の調整を開始する(図示A)。設定温度が給湯高温サーミスタ38の検出温度より低い場合(ステップS116でNOの場合)、ステップS110へ進む。
【0047】
図3に、給湯システム100の混合器14の調整動作を説明するフローチャートを示す。以下では、そのフローチャートについて説明する。
【0048】
ステップS152では、給湯開始後に貯湯タンク18から流出した温水が混合ユニット44に到達するまでの時間を短くするために、開始直後の混合器の混合比を小さくする(湯側の開度を大きくする)。本実施例では、設定温度+10℃の温水が温水利用箇所66へ供給される混合比αとなるように、混合器14の混合比を調整する。
【0049】
ステップS154では、温水到達タイミングを計算する。本実施例では、給湯水量センサ10で検出される流量と混合器14の混合比に基づいてタンク給湯経路34を流れる温水の流量を計算する(流量取得手段)。さらに、計算した温水の流量と、タンク給湯経路34の配管容量に基づいて、給湯開始時点で貯湯タンク18から流出した温水が混合ユニット44に到達するまでの所要時間(時間計算手段)t(秒)を計算する。本実施例の場合、V=タンク給湯経路34を流れる湯の流量、V=給湯水量センサ10で検出される流量、D=配管容量とすると、所要時間t(秒)は以下の式で計算される。
=1/(1+α)×V
t=D/V
【0050】
ステップS156では、コントローラ68に内蔵されているタイマカウンタを利用して給湯を開始してからの経過時間を計測し(時間計測手段)、混合器14の混合比をαに調整してからt秒経過したか否かを判断する。t秒経過した場合(ステップS156でYESの場合)、図2のステップS110へ戻り(図示B)、混合器14の混合比をαから通常制御の混合比に切替える。t秒経過していない場合(ステップS156でNOの場合)、ステップS158へ進む。
【0051】
ステップS158では、混合器14の湯側の開度が大きい状態を継続する必要があるか否かを判断する。本実施例では、設定温度と出湯サーミスタ46で検出される温度の差が3℃以下である場合、設定温度とほぼ等しい温度の温水が既に混合ユニット44を通過しているため、温水到達タイミング以前であっても、湯側の開度が大きい状態を継続する必要がないと判断する。湯側の開度が大きい状態を継続する必要がない場合(ステップS158でYESの場合)、ステップS110へ戻り、混合器14の混合比をαから通常制御の混合比に切替える。湯側の開度が大きい状態を継続する必要がある場合(ステップS158でNOの場合)ステップS156へ戻り、給湯開始から(混合比をαに調整してから)t秒経過したか否かを判断する。
【0052】
本実施例の給湯システム100では、給湯開始後は、温水利用箇所66へ供給される温水の温度が設定温度+10℃となるように混合器14が調整されているため、混合器14の湯側の開度が大きい。タンク給湯経路34を流れる温水の速度が速く、貯湯タンク18から出湯した温水は短時間で混合ユニット44に到達する。給湯開始からt秒経過した以降は、温水利用箇所66へ供給される温水の温度が設定温度と等しくなるように混合器14の湯側の開度が絞られる。給湯開始後、短時間で設定温度の温水を給湯するとともに、給湯開始直後であっても高温の温水の出湯が防止される。
【0053】
(第2実施例)
図4に、第2実施例の給湯システムにおける混合器14の調整動作を説明するフローチャートを示す。第2実施例の給湯システムの構造は第1実施例の給湯システム100の構造と同様である。また、第2実施例における給湯システムの混合器14の調整動作を開始する前までの動作は、図2に示す給湯システム100の混合器14の調整動作を開始する前までの動作と同様である。以下では、そのフローチャートについて説明する。
【0054】
ステップS202では、給湯開始後に貯湯タンクから出湯した湯が混合ユニットに到達するまでの時間を短くするために、開始直後の混合器の混合比を小さくする(湯側の開度を大きくする)。本実施例では、設定温度+10℃の温水が温水利用箇所66へ供給される混合比αとなるように、混合器14の混合比を調整する。
【0055】
ステップS204では、給湯開始時点からタンク給湯経路34を流れた温水の積算流量を計算する。本実施例では、給湯水量センサ10で検出される流量と混合器14の混合比に基づいてタンク給湯経路34を流れる温水の流量を積算し、給湯開始時点からタンク給湯経路34を流れた温水の積算流量を計算する(流量積算手段)。
【0056】
ステップS206では、温水到達タイミングに達したか否かを判断する。本実施例では、ステップS204で計算した積算流量がタンク給湯経路34の配管容量以上になった場合(ステップS206でYESの場合)、温水到達タイミングに達したと判断し、図2のステップS110へ戻り(図示B)、混合器14の混合比をαから通常制御の混合比に切替える。計算した積算流量が配管容量未満である場合(ステップS206でNOの場合)、ステップS208へ進む。
【0057】
ステップS208では、混合器14の湯側の開度が大きい状態を継続する必要があるか否かを判断する。本実施例では、設定温度と出湯サーミスタ46で検出される温度の差が3℃以下である場合、設定温度とほぼ等しい温度の温水が既に混合ユニット44を通過しているため、温水到達タイミング以前であっても、湯側の開度が大きい状態を継続する必要がない。湯側の開度が大きい状態を継続する必要がない場合(ステップS208でYESの場合)、ステップS110へ戻り、混合器14の混合比をαから通常制御の混合比に切替える。湯側の開度が大きい状態を継続する必要がある場合(ステップS208でNOの場合)ステップS204へ戻り、積算流量の計算を行う。
【0058】
給湯システム100では、給湯開始後は、温水利用箇所66へ供給される温水の温度が設定温度+10℃となるように混合器14が調整されているため、混合器14の湯側の開度が大きい。タンク給湯経路34を流れる温水の速度が速く、貯湯タンク18から出湯した温水は短時間で混合器14に到達する。タンク給湯経路34を流れる温水の積算流量がタンク給湯経路34の配管容量以上になった以降は、温水利用箇所66へ供給される温水の温度が設定温度と等しくなるように混合器14の湯側の開度が絞られる。給湯開始後、短時間で設定温度の温水を給湯するとともに、給湯開始直後であっても高温の温水の出湯が防止される。
【0059】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、本発明の実施例の給湯システムでは、水を加熱する手段として発電ユニットを用いているが、他の加熱手段を用いたものであってもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施例である給湯システム100の模式図を示す。
【図2】給湯システム100の混合器の調整動作を開始する前までの動作を説明するフローチャートを示す。
【図3】第1実施例の給湯システムにおける混合器の調整動作を説明するフローチャートを示す。
【図4】第2実施例の給湯システムにおける混合器の調整動作を説明するフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0061】
2:水道管(冷水供給源)
4:給水経路
6:減圧弁
8:給水サーミスタ(第2温度センサ)
10:給湯水量センサ(流量センサ)
12:給湯水量サーボ
14:混合器(混合弁)
16:タンク給水経路
18:貯湯タンク
20:排熱回収ポンプ
22:排熱回収熱交換器
24:発電ユニット
26:排熱回収サーミスタ
28:三方排熱切替弁
29a、29b:経路
30:三方タンク切替弁
32:タンク上部サーミスタ(第1温度センサ)
34:タンク給湯経路
36:タンク電磁弁
38:給湯高温サーミスタ(第3温度センサ)
40:混合経路
42:タンク給湯経路と混合経路と給湯経路との接続部
44:混合ユニット
46:出湯サーミスタ
48:給湯経路
50:湯張り弁
52:湯張り水量センサ
54:風呂ポンプ
56:風呂水流スイッチ
58:風呂サーミスタ
60:風呂熱交換器
62:風呂循環経路
64:風呂往きサーミスタ
66:温水利用箇所
66a:浴槽
66b:給湯栓
68:コントローラ
70:リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱した温水を貯湯しておき、貯湯しておいた温水を利用して給湯することが可能な給湯システムであって、
温水を貯える貯湯タンクと、
貯湯タンクの上部から温水利用箇所へ温水を供給する給湯経路と、
冷水供給源から貯湯タンクの下部へ冷水を供給する給水経路と、
給湯経路と給水経路を接続しており、冷水供給源から供給される冷水を貯湯タンクから供給される温水に混合する混合経路と、
混合経路上に設けられており、冷水供給源から供給される冷水の流量と貯湯タンクから供給される温水の流量との混合比を調整する混合弁と、
貯湯タンクから給湯経路に供給される温水の流量を取得する流量取得手段と、
温水利用箇所へ供給される温水の温度を設定する温度設定手段と、
給湯開始後に、混合経路との接続部よりも上流の給湯経路の配管容量と、流量取得手段で取得された流量に基づいて、給湯開始時点で貯湯タンクから流出した温水が混合経路との接続部に到達するタイミング(温水到達タイミング)を特定するタイミング特定手段を備えており、
給湯開始後に、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度より高温となる混合比に混合弁を調整し、
温水到達タイミング以降は、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなる混合比に混合弁を調整する、給湯システム。
【請求項2】
前記流量取得手段が、
温水利用箇所へ供給される温水の流量を検出する流量センサと、
流量センサで検出される流量と混合弁の混合比に基づいて貯湯タンクから給湯経路に供給される温水の流量を計算する流量計算手段を備えている、請求項1の給湯システム。
【請求項3】
前記タイミング特定手段が、
給湯開始後に、混合経路との接続部よりも上流の給湯経路の配管容量と、流量取得手段で取得された流量に基づいて、給湯開始時点で貯湯タンクから流出した温水が混合経路との接続部に到達するまでの所要時間を計算する時間計算手段と、
給湯開始時点からの経過時間を取得する時間計測手段を備えており、
所要時間と経過時間に基づいて温水到達タイミングを特定する、請求項1又は2の給湯システム。
【請求項4】
前記タイミング特定手段が、
流量取得手段で取得された流量を積算して、給湯開始時点からの積算流量を取得する流量積算手段を備えており、
配管容量と積算流量に基づいて温水到達タイミングを特定する、請求項1又は2の給湯システム。
【請求項5】
貯湯タンクの上部に貯えられている温水の温度を検出する第1温度センサと、
冷水供給源から給水経路に供給される冷水の温度を検出する第2温度センサをさらに備えており、
給湯開始から温水到達タイミングまでは、第1温度センサで検出される温度と、第2温度センサで検出される温度に基づいて、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度より高温となる混合比に混合弁をフィードフォワード制御する、請求項1〜4のいずれか1項の給湯システム。
【請求項6】
第1温度センサで検出される温度と、第2温度センサで検出される温度と、給湯開始時の混合弁の混合比に基づいて、温水利用箇所へ供給される温水の温度を算出する温度算出手段をさらに備えており、
給湯開始後に、温度算出手段で算出される温度が温度設定手段で設定した温度を所定温度以上超える場合には、温水到達タイミング以前であっても、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度算出手段で設定した温度と等しくなる混合比に混合弁をフィードフォワード制御する、請求項5の給湯システム。
【請求項7】
混合経路との接続部よりも上流で給湯経路を流れる温水の温度を検出する第3温度センサをさらに備えており、
給湯開始後に、第3温度センサで検出される温度が温度設定手段で設定した温度を超える場合には、温水到達タイミング以前であっても、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなる混合比に混合弁をフィードフォワード制御する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項8】
温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度より高温となる混合比から、温水利用箇所へ供給される温水の温度が温度設定手段で設定した温度と等しくなる混合比への切替えが、温水到達タイミングになると同時に終了するように混合弁の混合比を調整する、請求項1〜7のいずれか1項の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−222326(P2009−222326A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68979(P2008−68979)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】