説明

給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】単一のファンの吸排気を共に利用して、用紙を用紙搬送ベルトに吸着し、かつ空気を用紙束の側面に吹き付けるという構成を前提とし、用紙が用紙搬送ベルトに吸着されたときでも、用紙束の側面に吹き付けられる空気量が低減することがない給紙装置を提供する。
【解決手段】気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値未満に低下すると、ソレノイド106を付勢して、吸気ダクト85の開口部85kを開き、吸排気ファン84の回転速度を増速して、空気を開口部85kを通じて吸気ダクト85へと速やかに流入させ、また気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値以上に復帰すると、ソレノイド106を消勢して、吸気ダクト85の開口部85kを閉じ、吸排気ファン84の回転速度を通常の速度に戻している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙積載台に積載された用紙束から用紙を引出して送り出す給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の給紙装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。ここでは、用紙積載台の上方に用紙搬送ベルトを配置し、空気を用紙搬送ベルトの通気孔から吸気ダクトを通じてファンへと吸引し、用紙積載台上の用紙束の用紙を用紙搬送ベルトに吸着して搬送し、また同一のファンから排気された空気を排気ダクトを通じて用紙積載台上の用紙束の側面へと吹き出し、用紙束の各用紙間に空気を吹き込んで、各用紙間の密着力を低下させて、各用紙の引出しを容易にしており、単一のファンの吸排気を共に利用して、部品点数を節減している。
【0003】
また、吸気ダクトにバルブを設け、このバルブにより吸気ダクトの通気経路を絞って、吸気ダクトの通気経路を流れる空気量を調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−1467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、単一のファンにより、空気を用紙搬送ベルトの通気孔から吸気ダクトを通じて吸引したり、空気を排気ダクトを通じて用紙積載台上の用紙束の側面へと吹き出したりする構成では、ファンにより吸引される空気量と排気される空気量とが略同一であり、一方の空気量が低減すると他方の空気量も低減する。このため、用紙が用紙搬送ベルトに吸着されたときに、用紙搬送ベルトの通気孔が塞がって、吸引される空気量が低減すると、これに伴って用紙積載台上の用紙束の側面へと吹き出される空気量が低減し、各用紙間に空気が吹き込まれず、各用紙間の密着力が低下せず、複数の用紙が同時に引出されるという搬送エラーを生じることがあった。
【0006】
また、特許文献1では、バルブにより吸気ダクトの通気経路を絞って、吸気ダクトの通気経路を流れる空気量を調節しているものの、用紙搬送ベルトの通気孔が塞がって、吸気ダクトへと吸引される空気量が低減したときには、そのようなバルブが開かれても、空気量が増大することはない。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、単一のファンの吸排気を共に利用して、用紙を用紙搬送ベルトに吸着し、かつ空気を用紙束の側面に吹き付けるという構成を前提とし、用紙が用紙搬送ベルトに吸着されたときでも、用紙束の側面に吹き付けられる空気量が低減することがない給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、ファンから排気ダクトを通じて空気を排気し、空気を用紙搬送ベルトの通気孔から吸気ダクトを通じて前記ファンへと吸引し、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送ベルトに吸着して搬送する給紙装置であって、前記吸気ダクト内の気圧及び空気の流量のうちの少なくとも1つを検出する空気状態検出部と、前記吸気ダクトに形成された開口部を開閉する開閉部と、前記空気状態検出部による検出結果に基づき、前記開口部を開閉する制御部とを備えている。
【0009】
このような本発明では、用紙が用紙搬送ベルトに吸着されたときに、用紙搬送ベルトの通気孔が塞がって、吸引される空気量が低減することがあり、このときには排気ダクトを通じて排気される空気量も低減して、排気された空気を利用することができなくなる。例えば、排気された空気を排気ダクトを通じて各用紙間に吹き込んで、各用紙間の密着力を低下させている場合には、各用紙間の密着力が低下せず、複数の用紙が同時に引出されるという搬送エラーが生じる。
【0010】
そこで、吸引される空気量が低減すると、吸気ダクト内の気圧及び空気の流量が変化することに着目し、気圧及び空気の流量のうちの少なくとも1つを検出して、この検出結果に基づき開閉部を開閉している。これにより、吸引される空気量が低減したときに、空気を開口部から吸気ダクトへと流れ込ませることができ、ファンから吸排気される空気量が増大して元に戻り、各用紙間に空気が吹き込まれ、複数の用紙が同時に引出されるという搬送エラーが防止される。
【0011】
また、本発明の給紙装置において、前記制御部は、前記空気状態検出部により検出された前記吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が予め設定された閾値未満になると、前記開閉部を制御して、前記開口部を開き、前記吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が予め設定された閾値以上になると、前記開閉部を制御して、前記開口部を閉じている。
【0012】
このように吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量と比較される閾値を予め設定しておき、吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が閾値未満になったときに、開口部を開いてもよい。これにより、吸引される空気量が低減したときに、空気を開口部から吸気ダクトへと流れ込ませることができる。また、吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が閾値以上になったときに、つまり吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が上昇して元に戻ったときに、開口部を閉じているので、用紙搬送ベルトの通気孔からの空気の吸引力を殆ど低下させずに済み、用紙搬送ベルトへの用紙の吸着力の低下を抑えて、用紙搬送ベルトに用紙を吸着した状態を維持することができる。
【0013】
更に、本発明の給紙装置において、前記制御部は、前記空気状態検出部により検出された前記吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が予め設定された閾値未満になると、前記開閉部を制御して、前記開口部を開き、前記開口部を開いた時点から所定時間を経過すると、前記開閉部を制御して、前記開口部を閉じている。
【0014】
このように吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が閾値未満になったときに、開口部を開いてもよい。これにより、吸引される空気量が低減したときに、空気を開口部から吸気ダクトへと流れ込ませることができる。また、開口部を開いた時点から所定時間が経過したときに開口部を閉じることによっても、用紙搬送ベルトの通気孔からの空気の吸引力を殆ど低下させずに済み、用紙搬送ベルトへの用紙の吸着力の低下を抑えて、用紙搬送ベルトに用紙を吸着した状態を維持することができる。
【0015】
また、本発明の給紙装置においては、前記制御部は、前記開閉部を制御して、前記開口部を開いたときに、前記ファンを制御して、前記ファンの回転速度を増速させている。
【0016】
開口部が開いたときに、開口部から吸気ダクトへと空気が流れ込み、ファンから排気される空気量が増大して元に戻るので、このときにファンの回転速度を増速させれば、ファンから排気される空気量をより早く復帰させることができる。
【0017】
更に、本発明の給紙装置においては、前記空気状態検出部を、前記吸気ダクトの開口部近傍に設けている。
【0018】
これにより、開口部を開いたことによる気圧もしくは空気の流量の変化を確実に検出することが可能になる。
【0019】
また、本発明の給紙装置においては、前記空気状態検出部を、前記吸気ダクト内の空気の流れ方向における該吸気ダクトの開口部よりも下流側に設けている。
【0020】
開口部を開くと、開口部から吸気ダクトを通じてファンへと空気が流れ込むので、空気状態検出部を、空気の流れ方向における開口部よりも下流側に設けると、気圧もしくは空気の流量の変化を最も早く検出することができる。
【0021】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の給紙装置を備えている。このような
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の給紙装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
このような本発明では、吸引される空気量が低減すると、吸気ダクト内の気圧及び空気の流量が変化することに着目し、気圧及び空気の流量のうちの少なくとも1つを検出して、この検出結果に基づき開閉部を制御し、吸気ダクトの開口部を開閉している。これにより、吸引される空気量が低減したときに、空気を開口部から吸気ダクトへと流れ込ませることができ、ファンから吸排気される空気量が増大して元に戻り、各用紙間に空気が吹き込まれ、複数の用紙が同時に引出されるという搬送エラーが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本実施形態の給紙装置を概略的に示す側面図である。
【図3】図2の給紙装置を示す平面図である。
【図4】図2の給紙装置を示す正面図である。
【図5】用紙引出し部を取外した状態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図6】給紙装置における用紙積載台、ワイヤー、従動プーリ、及び巻取りプーリを簡略化して示す側面図である。
【図7】(a)、(b)は用紙積載台上に積載された用紙束の高さを検出する高さ位置センサを簡略化して示す側面図及び平面図であり、(c)は高さ位置センサの一動作状態を示す側面図である。
【図8】用紙引出し部を斜め上前方から見て示す斜視図である。
【図9】用紙引出し部を斜め上後方から見て示す斜視図である。
【図10】用紙引出し部を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【図11】用紙引出し部における用紙搬送ベルト等を拡大して示す平面図である。
【図12】用紙引出し部を概略的に示す正面図である。
【図13】(a)、(b)は、吸気ダクトの開口部及び開閉体を概略的に示す平面図である。
【図14】給紙装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、画像データによって示されるモノクロ画像を記録用紙に印刷するものであり、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
【0026】
この画像形成装置1においては、原稿読取り装置2より原稿画像を読取って画像データを生成するか、あるいは外部の端末装置等から画像データを受信入力して、画像データを取得し、画像データに種々の画像処理を施してから、印刷部11で画像データによって示される画像を記録用紙に印刷する。
【0027】
印刷部11の略中央には、感光体ドラム21が配置され、その周囲に帯電装置22、レーザ露光装置23、現像装置24、転写ローラ25、及びクリーニング装置26が配置されている。
【0028】
感光体ドラム21は、その表面に光感光層を有しており、矢印方向に回転されつつ、その表面をクリーニング装置26によりクリーニングされてから、その表面を帯電装置22により均一に帯電される。レーザ露光装置23は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニング部(LSU)であり、画像データを入力し、画像データに応じてレーザビームの強度を変調しつつ、レーザビームにより感光体ドラム21表面を走査して、感光体ドラム21表面に静電潜像を書込む。現像装置24は、感光体ドラム21表面の静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
【0029】
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成し、感光体ドラム21と共に回転する。感光体ドラム21及び転写ローラ25は、搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。
【0030】
印刷部11の上側には、定着装置27が配置されている。定着装置27は、相互に圧接された加熱ローラ28と加圧ローラ29を有し、加熱ローラ28と加圧ローラ29との間のニップ域に記録用紙を挟みこんで、記録用紙を加熱及び加圧し、記録用紙上に転写されたトナー像を定着させる。この記録用紙は、定着装置27から排紙ローラ対36へと搬送されて、排紙ローラ対36により排紙トレイ37へと排出される。
【0031】
一方、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を収容しておくためのトレイであり、画像形成装置1の下方で複数段に設けられている。また、各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙搬送部12の搬送経路33へと送り出す。
【0032】
また、大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、各給紙カセット38と同様に、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送部12の搬送経路33に送り出す。
【0033】
用紙搬送部12は、記録用紙を搬送するための複数の搬送ローラ対31、レジストローラ対32、搬送経路33、迂回経路34、分岐爪35、排紙ローラ対36、及び排紙トレイ37等を備えている。この搬送経路33では、いずれかの給紙カセットから引出された記録用紙を用紙搬送方向Cに搬送してレジストローラ対32へと受け渡し、記録用紙の先端を一時的に停止されたレジストローラ対32に突き当てて、記録用紙を撓ませ、記録用紙の弾性力により該記録用紙の先端をレジストローラ対32と平行に揃え、この後にレジストローラ対32の回転を開始して、レジストローラ対32により記録用紙を感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと搬送する。この記録用紙は、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域を通過して、トナー像を転写され、加熱ローラ28と加圧ローラ29間のニップ域を通過して、トナー像を定着され、排紙ローラ対36により順方向Aに搬送されて排紙トレイ37へと排出される。
【0034】
また、記録用紙の裏面にも画像を印刷する場合は、記録用紙を順方向Aに搬送して排紙トレイ37へと排出する途中で排紙ローラ対36を停止させ、つまり記録用紙を挟み込んだ状態で排紙ローラ対36を停止させ、分岐爪35を斜め下方の向きに切替えてから、排紙ローラ対36を逆回転させて、記録用紙を逆方向Bに搬送して迂回経路34へと導き、記録用紙を迂回経路34を通じて搬送経路33へと再び導いて、この記録用紙をレジストローラ対32へと戻す。
【0035】
このような記録用紙の搬送方向の切替えをスイッチバック搬送と称し、このスイッチバック搬送により記録用紙の表裏が反転され、同時に記録用紙の先端及び後端が入れ替わる。従って、記録用紙が反転されて戻されると、記録用紙の後端がレジストローラ対32に当接して、記録用紙の後端がレジストローラ対32と平行に揃えられ、レジストローラ対32により記録用紙がその後端から感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと搬送されて、記録用紙の裏面に印刷がなされ、加熱ローラ28と加圧ローラ29によりトナー像が記録用紙の裏面に定着され、記録用紙が排紙ローラ対36を介して排紙トレイ37へと排出される。
【0036】
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2は、下側の第1読取り部41と、上側の原稿搬送部42とを備えている。原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。原稿搬送部42が開かれたときには、第1読取り部41のプラテンガラス44が開放され、このプラテンガラス44上に原稿用紙が載置される。
【0037】
第1読取り部41は、プラテンガラス44、第1走査ユニット45、第2走査ユニット46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48等を備えている。第1走査ユニット45は、光源51及び第1反射ミラー52を備えており、副走査方向へと原稿用紙のサイズに応じた距離だけ一定速度Vで移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導き、これにより原稿用紙表面の画像を副走査方向に走査する。第2走査ユニット46は、第2及び第3反射ミラー53、54を備えており、第1走査ユニット45に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿用紙からの反射光をCCD48に集光して、原稿用紙表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿用紙表面の画像を繰り返し主走査方向に走査し、その度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
【0038】
また、第1読取り部41は、静止原稿だけではなく、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取ることができる。この場合は、図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めし、この状態で、原稿搬送部42による原稿用紙の搬送を開始する。
【0039】
原稿搬送部42では、ピックアップローラ56を原稿トレイ57上の原稿用紙に押し当て回転させて、原稿用紙を引出し、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、原稿用紙を第1読取り部41の原稿読取りガラス55上に通過させ、更に原稿用紙を第2読取り部43の下に通させて排紙ローラ対61から排紙トレイ62へと搬送する。
【0040】
この原稿用紙の搬送に際し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、原稿用紙からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿用紙表面の画像をCCD48上に結像させ、CCD48により原稿用紙表面の画像を読取る。
【0041】
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取ると同時に、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43により原稿用紙裏面の画像を読取ることができる。この第2読取り部(以下CISと称する)43は、密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))であって、プラテンガラス44の上方に配置されている。第1読取り部41の原稿読取りガラス55上を通過した原稿用紙は、CIS43の下を通過して排紙トレイ62へと排出される。CIS43は、原稿用紙の通過に際し、原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
【0042】
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、CCD48及びCIS43からアナログ画像信号として出力され、このアナログ画像信号がデジタル画像信号にA/D変換される。そして、このデジタル画像信号(画像データ)は、種々の画像処理を施されてから画像形成装置1のレーザ露光装置23へと送受され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0043】
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている本実施形態の給紙装置の構成を詳しく説明する。この給紙装置は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して搬送経路33(図1に示す)に送り出すものである。
【0044】
図2は、本実施形態の給紙装置を概略的に示す側面図である。図2に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
【0045】
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。
【0046】
用紙引出し部75は、用紙搬送ベルト81、用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン(図示せず)、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファンへと吸引され、用紙積載台74上の用紙束の記録用紙が用紙搬送ベルト81の下面に吸着される。用紙搬送ベルト81は、間欠的に周回移動しており、その下面に吸着した記録用紙を引出方向Eへと引出して搬送ローラ対31へと搬送する。この記録用紙は、図1の搬送経路33を通じてレジストローラ対32へと搬送されて行く。
【0047】
また、吸排気ファンから排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86の排気口86bから用紙積載台74上の用紙束の先端面の上層に吹き付けられ、各記録用紙間に侵入し、各記録用紙をばらつかせる。これにより、用紙束の上層の各記録用紙の密着力が低下し、用紙束からの記録用紙の引出しが容易になり、記録用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
【0048】
従って、単一の吸排気ファンにより、空気を用紙搬送ベルト81の通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸引したり、空気を排気ダクト86を通じて用紙積載台74上の用紙束の側面へと吹き出したりしている。
【0049】
図3、図4は、本実施形態の給紙装置を示す平面図及び正面図である。図3、図4に示すように用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(給紙及び搬送方向)Eに長い長形孔74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の長形孔74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
【0050】
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、外側枠体72の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように移動されるか又は互に離間するように連動して移動される。
【0051】
用紙引出し部75は、4つの用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸引される。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹き出される。
【0052】
図5は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。図5に示すように各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80が設けられている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸引された空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから外側枠体72の内側に吹き出される。
【0053】
また、図3及び図5に示すように用紙後端ガイド76は、記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能であり、引出し方向Eに沿った任意の位置で位置決めされる。更に、図3及び図5に示すように各アシストダクト77、78は、引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能であり、引出し方向Eと直交する方向に沿った任意の位置で位置決めされる。
【0054】
ここで、用紙束を用紙積載台74に搭載するときには、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間を広く開け、また各アシストダクト77、78を相互に離間する方向に移動させて、各アシストダクト77、78の間を広く開けておく。この状態で、用紙束を用紙積載台74に載せ、この後に用紙後端ガイド76を引出し方向Eに移動させ、用紙後端ガイド76の柱部76aにより用紙束の後端を引出し方向Eに押して、用紙束を用紙積載台74上で滑らして移動させ、用紙束の先端を外側枠体72の当接板72bに当接させて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めする。また、各アシストダクト77、78を相互に接近する方向に移動させて、用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
【0055】
また、図5に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の矩形孔72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー87が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー87が複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され巻取りプーリ89に接続されている。また、外側枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー87が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー87が他の複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ89に接続されている。各巻取りプーリ89は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が回転し、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られたり各巻取りプーリ89から繰り出されたりする。
【0056】
図6は、用紙積載台74、各ワイヤー87、各従動プーリ88、及び各巻取りプーリ89を簡略化して示す側面図である。図6から明らかなようにパルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ92により回転駆動される巻取りプーリ89の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ92の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
【0057】
また、図3及び図5に示すように用紙後端ガイド76の頭部76bには、用紙積載台74上の用紙束の最上層の高さを検出する高さ位置センサ93が設けられている。図7(a)、(b)は、用紙後端ガイド76の頭部76bに設けられた高さ位置センサ93を簡略化して示す側面図及び平面図である。図7(a)、(b)に示すように高さ位置センサ93は、水平な軸94により回転自在に支持されたくの字型レバー95と、くの字型レバー95の一端部95aの回転移動領域を挟んで対向配置された発光素子96及び受光素子97とを備えている。くの字型レバー95の先端部95cは、外側枠体72の当接板72bの方に向いており、その屈曲部95bが用紙後端ガイド76の頭部76bから下方に突出している。このため、用紙積載台74上の用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んだ状態では、くの字型レバー95が用紙束の後端部の上方に位置する。
【0058】
ここで、図6に示すようにパルスモータ92により各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されて、用紙積載台74が下降し、用紙積載台74上の用紙束が高さ位置センサ93のくの字型レバー95から離間した状態では、図7(c)に示すようにくの字型レバー95がその自重により軸94を中心に反時計周り方向に回転して、くの字型レバー95がストッパー98に当接し、くの字型レバー95の一端部95aが発光素子96と受光素子97間の光路から外れて、発光素子96の光が受光素子97で受光される。また、パルスモータ92により各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されて、用紙積載台74が上昇し、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに達すると、図7(a)に示すように最上層の用紙がくの字型レバー95の屈曲部95bに接触して屈曲部95bを押し上げ、くの字型レバー95が軸94を中心に時計周り方向に回転して、くの字型レバー95の一端部95aが発光素子96と受光素子97間の光路を遮断し、発光素子96の光が受光素子97で受光されなくなる。更に、用紙積載台74がより上昇して、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さを超えると、くの字型レバー95が時計周り方向に更に回転して、くの字型レバー95の一端部95aが発光素子96と受光素子97間の光路から外れ、発光素子96の光が受光素子97で受光される。
【0059】
従って、受光素子97の受光出力の変化に基づき用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さにあるか否かを検出することができる。
【0060】
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。図8は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、図9は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、図10は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【0061】
図8、図9、図10において、吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向Eと直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の通気経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸引される。
【0062】
また、吸気ダクト85の上面85bが平面にされ、吸気ダクト85の下面85gが平面にされている。更に、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支されている。
【0063】
また、吸気ダクト85の下面85gには、引出し方向Eに長い複数のリブ85jが並べて形成されている。そして、図11の平面図に拡大して示すように吸気ダクト85の下面85gにおける各リブ85jの間に、吸気ダクト85の通気経路に通じる複数の吸気孔85eが形成されている。
【0064】
搬送モータ107が前方のローラ82を矢印方向Dに回転駆動し、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。このとき、各用紙搬送ベルト81は、吸気ダクト85の下面85gに形成された各リブ85jに摺接する。
【0065】
ここで、図11の平面図に拡大して示すように用紙搬送ベルト81の各通気孔81aが引出し方向Eに沿って複数列に並べて形成され、これらの列が各リブ85jと同一の間隔で形成され、これらの列が各リブ85jの間に位置するように用紙搬送ベルト81が架け渡されている。従って、各リブ85jの間には、該各リブ85j、用紙搬送ベルト81、及び吸気ダクト85の下面85gにより囲まれた空間が形成されており、この空間に対しては、用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eが空気の出入り口となる。このため、吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸引されると、空気が用紙搬送ベルト81の各通気孔81aからその空間を通じて吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eへと流入し、空気が吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと流れる。これにより、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着することが可能となる。
【0066】
一方、排気ダクト86も、中空体であって、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)から排気ダクト86の一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
【0067】
また、排気ダクト86の内壁面86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる各排気口86bが形成されている。この排気ダクト86の内壁面86dが外側枠体72の当接板72b(図5に示す)の外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各排気口86bが外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側に臨んでいる。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各排気口86bから外側枠体72の内側後方へと吹き出される。
【0068】
更に、吸気ダクト85の一側端部85a及び排気ダクト86の一側端部86aが吸排気ファン84に共に接続され、また吸気ダクト85の他の側端部85f及び排気ダクト86の他の側端部86cが互いに接続され、これにより吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86が一体化されている。
【0069】
このような給紙装置71において、図2の側面図に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。そして、パルスモータ92により各巻取りプーリ89を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させ、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出されると、つまり最上層の用紙が検出基準の高さに到達すると、パルスモータ92を停止させて、最上層の用紙を検出基準の高さに位置決めする。また、各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気を送り込み、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74に積載された用紙束の先端寄り両側面の上層に吹き付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各用紙をばらつかせる。更に、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を排気ダクト86の各排気口86bから用紙束の先端面の上層に吹き付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。これにより、用紙束の上層の各記録用紙の密着力が低下し、用紙束からの記録用紙の引出しが容易になり、記録用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
【0070】
この状態で、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸引して、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eを通じて吸い込みつつ、各ローラ82、83を間欠的に回転させて、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させると、各用紙搬送ベルト81の下面に1枚の記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送ローラ対31へと搬送され、記録用紙が搬送経路33を通じて搬送され、引き続いて各用紙搬送ベルト81の下面に次の1枚の記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送ローラ対31へと搬送され、以降同様に各用紙搬送ベルト81の下面に記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送されて行く。
【0071】
ところで、給紙装置71においては、単一の吸排気ファン84により、空気を各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸引したり、空気を排気ダクト86を通じて用紙積載台74上の用紙束の側面へと吹き出したりする構成であることから、吸排気ファン84により吸引される空気量と排気される空気量とが略同一であり、一方の空気量が低減すると他方の空気量も低減する。このため、用紙が各用紙搬送ベルト81に吸着されたときに、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aが塞がって、吸気ダクト85へと吸引される空気量が低減すると、これに伴って排気ダクト86の各排気口86bから用紙積載台74上の用紙束の側面へと吹き出される空気量が低減する。仮に、このような吸排気される空気量が低減するという現象が放置されたならば、用紙積載台74上の用紙束の上層の各記録用紙間に空気が吹き込まれず、各記録用紙間の密着力が低下せず、複数の記録用紙が同時に引出されるという搬送エラーが生じる。
【0072】
そこで、本実施形態では、用紙引出し部75の吸気ダクト85内の気圧を検出する気圧センサを設け、また図3及び図8等に示すように吸気ダクト85の上面85b側の壁部に開口部85kを形成して、開口部85kを開閉するための開閉体101を設けている。
【0073】
ここで、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aが塞がって、吸気ダクト85へと吸引される空気量が低減すると、吸気ダクト85内の気圧が低下することから、気圧センサにより検出された気圧に基づき吸気ダクト85へと吸引される空気量が低減したか否かを判定することができる。そして、吸気ダクト85へと吸引される空気量が低減したと判定したときに、開閉体101を移動させて、吸気ダクト85の上面85b側の開口部85kを開けば、空気が開口部85kを通じて吸気ダクト85へと流れ込み、吸排気ファン84により吸排気される空気量が増大して元に戻り、排気ダクト86の各排気口86bから用紙積載台74上の用紙束の側面へと吹き出される空気量も元に戻って、各記録用紙間に空気が吹き込まれ、各記録用紙間の密着力が低下し、複数の記録用紙が同時に引出されるという搬送エラーが防止される。
【0074】
次に、気圧センサ、開閉体101、及び給紙装置71の制御系について詳しく説明する。図12は、給紙装置71の用紙引出し部75を概略的に示す正面図である。図12に示すように吸気ダクト85の一側端部85a及び排気ダクト86の一側端部86aを吸排気ファン84に共に接続し、吸気ダクト85を各用紙搬送ベルト81の内側に通している。
【0075】
吸気ダクト85内の通気経路85pでは、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の各吸気孔85eを通じて流入した空気が矢印Fの方向に流れて吸排気ファン84へと吸引されている。そして、この矢印Fの方向における各用紙搬送ベルト81よりも下流側に開口部85kが形成され、この開口部85kを開閉するための開閉体101が設けられている。また、空気が流れる矢印Fの方向における開口部85kよりも下流側であってかつ開口部85kの近傍に気圧センサ102が配置されて、気圧センサ102が吸気ダクト85の内壁に固定されている。この気圧センサ102の配置位置により、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aが塞がったときの吸気ダクト85内の気圧変化、及び開口部85kが開かれて、空気が開口部85kを通じて流入したときの吸気ダクト85内の気圧変化を最も早く適確に検出することが可能となる。
【0076】
また、排気ダクト86内の通気経路86pでは、吸排気ファン84から排気された空気が矢印Kの方向に流れ、この空気が各排気口86bから吹き出される。
【0077】
図13(a)、(b)は、吸気ダクト85の開口部85k及び開閉体101を概略的に示す平面図である。吸気ダクト85の開口部85kは、概ね三角状に形成されており、この開口部85kの三角形状に合わせて開閉体101も概ね三角形状に形成されている。
【0078】
開閉体101は、その角部101aの孔に通された軸103により回転自在に支持されている。また、くの字型のキックバネ104の中央のリング104aが軸103に通され、キックバネ104の一端部104bが吸気ダクト85の外壁に固定され、キックバネ104の他端部104cが開閉体101に固定され、キックバネ104により開閉体101が反時計回りの方向に付勢されている。更に、ソレノイド106が吸気ダクト85の外壁に固定され、ソレノイド106のプランジャー107がダンパー108を介して開閉体101に連結されている。
【0079】
ソレノイド106を消勢した場合は、図13(a)に示すようにプランジャー107が矢印Qの方向に突出し、開閉体101がストッパー105に当接するまで、キックバネ104により開閉体101が反時計回りの方向に回転移動され、開閉体101により吸気ダクト85の開口部85kが閉じられる。
【0080】
また、ソレノイド106を付勢した場合は、図13(b)に示すようにプランジャー107が矢印Qとは逆方向に引っ込み、開閉体101がキックバネ104の弾性力に抗して時計周りの方向に回転移動され、吸気ダクト85の開口部85kが開かれる。
【0081】
従って、ソレノイド106を消勢するか付勢するかにより、開口部85kを閉じたり開いたりすることができる。
【0082】
図14は、給紙装置71の制御系の構成を示すブロック図である。図14において、制御部111は、給紙装置71等を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。例えば、制御部111は、高さ位置センサ93により検出された用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙の高さに基づきパルスモータ92を制御して、用紙束の最上層の用紙の高さを調節したり、気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧に基づきソレノイド106を消勢又は付勢して、開閉体101を回転させ、開口部85kを閉じたり開いたりする。
【0083】
次に、制御部111による給紙装置71の制御について詳しく説明する。まず、制御部111は、パルスモータ92を駆動制御し、各巻取りプーリ89を回転させて、用紙積載台74を上昇させる。そして、制御部111は、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに到達したことが検出されると、パルスモータ92を停止させて、用紙積載台74の上昇を停止させ、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙を検出基準の高さに位置決めする。このとき、図2に示すように用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0が規定の距離haとなる。
【0084】
また、制御部111は、各アシストファン79、80を駆動して、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の先端寄り両側面の上層に吹き出させる。更に、制御部111は、吸排気ファン84を駆動して、空気を排気ダクト86を通じて排気ダクト86の各排気口86bから用紙積載台74上の用紙束の先端面の上層に吹き出させると共に、空気を各用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eを通じて吸気ダクト85へと吸引する。これにより、用紙束の上層の各用紙の密着力が低下し、また記録用紙が各用紙搬送ベルト81の下面に吸着される。
【0085】
そして、制御部111は、搬送モータ107を駆動制御し、各ローラ82、83を間欠的に回転させて、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させる。これにより、各用紙搬送ベルト81の下面に記録用紙を吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出して画像形成装置1の搬送経路33へと搬送するという記録用紙の引出しと搬送が繰返される。
【0086】
こうして用紙積載台74上の用紙束から記録用紙が順次引出されて搬送されて行くと、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙の高さが低下し、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さよりも低下したことが検出される(h0>ha)。これに応答して制御部111は、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さにあることが検出されるまで、パルスモータ92を駆動制御して、用紙積載台74を再度上昇させ、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を規定の距離haに再設定する。
【0087】
以降同様に、用紙積載台74上の用紙束から記録用紙が順次引出されて搬送され、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さより低くなると(h0>ha)、用紙積載台74が上昇されて、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が規定の高さに位置決めされ、離間距離h0が規定の距離haに設定される。
【0088】
従って、離間距離h0が規定の距離haにほぼ維持され続ける。この規定の距離haは、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着するのに適した距離であり、各用紙搬送ベルト81により用紙積載台74上の記録用紙を1枚ずつ速やかに吸着して引出すことが可能となる。
【0089】
一方、制御部111は、そのような給紙装置71の稼動に際し、気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧を監視して、検出された吸気ダクト85内の気圧を予め設定された閾値と比較している。そして、制御部111は、検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値以上に維持されていれば、ソレノイド106の消勢を維持し、吸気ダクト85の開口部85kを閉じたままとする。また、制御部111は、検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値未満に低下すると、ソレノイド106を付勢して、吸気ダクト85の開口部85kを開き、空気を開口部85kを通じて吸気ダクト85へと流入させる。同時に、制御部111は、吸排気ファン84を駆動制御して、吸排気ファン84の回転速度を増速させ、吸排気ファン84により吸排気される空気量を増大させる。これにより、開口部85kを通じて吸気ダクト85へと流入される空気量が速やかに増大し、吸気ダクト85内の気圧が速やかに上昇する。
【0090】
そして、気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値以上に復帰すると、制御部111は、ソレノイド106を消勢して、吸気ダクト85の開口部85kを閉じ、また吸排気ファン84の回転速度を通常の速度まで低減して戻す。
【0091】
ここで、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させて、各用紙搬送ベルト81の下面に記録用紙を1枚ずつ吸着して引出すと、用紙の吸着により各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aが塞がれるため、吸気ダクト85へと吸引される空気量が低減することがあり、これに伴って排気ダクト86の各排気口86bから吹き出される空気量も低減する。
【0092】
この場合は、気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値未満に低下するので、ソレノイド106が付勢されて、吸気ダクト85の開口部85kが開かれ、吸排気ファン84の回転速度が増速されて、空気が開口部85kを通じて吸気ダクト85へと速やかに流入する。これにより、吸排気ファン84により吸排気される空気量が増大して元に戻り、排気ダクト86の各排気口86bから用紙積載台74上の用紙束の側面へと吹き出される空気量も元に戻って、各記録用紙間に空気が吹き込まれ、各記録用紙間の密着力が低下し、複数の記録用紙が同時に引出されるという搬送エラーが防止される。
【0093】
そして、開口部85kからの空気の流入により吸気ダクト85内の気圧が閾値以上に復帰すると、ソレノイド106が消勢されて、吸気ダクト85の開口部85kが再び閉じられ、吸排気ファン84の回転速度が通常の速度に戻される。これにより、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸引される空気量が元に戻り、各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着力が復帰する。
【0094】
以降同様の動作が繰返されて、吸気ダクト85内の気圧が略閾値以上に維持され、吸気ダクト85内の気圧が閾値を大きく下回らないようにされる。
【0095】
このため、吸排気ファン84から排気ダクト86へと送り込まれる空気量が不足することはなく、空気を排気ダクト86の各排気口86bから用紙積載台74上の用紙束の上層に吹き出させることができ、複数の記録用紙が同時に引出されるという搬送エラーが生じることはない。また、各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着も継続することができる。
【0096】
このように本実施形態の給紙装置71では、吸気ダクト85内の気圧を検出する気圧センサ102を設け、また吸気ダクト85の壁部に開口部85kを形成して、開口部85kを開閉するための開閉体101を設け、気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値未満に低下すると、ソレノイド106を付勢して、吸気ダクト85の開口部85kを開き、吸排気ファン84の回転速度を増速して、空気を開口部85kを通じて吸気ダクト85へと速やかに流入させ、また気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値以上に復帰すると、ソレノイド106を消勢して、吸気ダクト85の開口部85kを閉じ、吸排気ファン84の回転速度を通常の速度に戻しているので、空気を排気ダクト86の各通気孔81aから用紙積載台74上の用紙束の上層に吹き出して、搬送エラーを防止することができ、また各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着も継続することができる。
【0097】
尚、上記実施形態では、気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値以上に復帰したときに、吸気ダクト85の開口部85kを閉じているが、吸気ダクト85の開口部85kを開いた時点からの経過時間を計時し、この経過時間が予め設定された時間(所定時間)に達したときに、吸気ダクト85の開口部85kを閉じてもよい。あるいは、気圧センサ102によって検出された吸気ダクト85内の気圧が閾値以上に復帰したか、又は経過時間が所定時間に達したときに、吸気ダクト85の開口部85kを閉じてもよい。これは、吸気ダクト85の開口部85kが開いた状態では、開口部85kから吸排気ファン84へと空気が流れて、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸引される空気量が減少し、各用紙搬送ベルト81への記録用紙の吸着力が低下することから、開口部85kを開く時間を短く限定することにより、各用紙搬送ベルト81への記録用紙の吸着力の著しい低下を防止するためである。
【0098】
また、気圧センサ102により吸気ダクト85内の気圧を検出しているが、この代わりに、流量センサにより吸気ダクト85内の空気の流量を検出しても構わない。記録用紙の吸着により各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aが塞がると、吸気ダクト85へと吸引される空気量が低減し、流量センサにより検出された空気の流量も低減するので、流量センサにより検出された空気の流量が予め設定された閾値未満に低下したときに開口部85kを開いて、空気を開口部85kを通じて吸気ダクト85へと流入させ、また流量センサにより検出された空気の流量が閾値以上に増大して元に戻ったときに開口部85kを閉じるようにする。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成装置
2 原稿読取り装置
11 印刷部
12 用紙搬送部
13 用紙供給部
14 大容量給紙カセット(LCC)
71 給紙装置
72 外側枠体
73 底板
74 用紙積載台
75 用紙引出し部
76 用紙後端ガイド
77、78 アシストダクト
79、80 アシストファン
81 用紙搬送ベルト
82、83 ローラ
84 吸排気ファン(ファン)
85 吸気ダクト
85k 開口部
86 排気ダクト
92 パルスモータ
93 高さ位置センサ
101 開閉体(開閉部)
102 気圧センサ(空気状態検出部)
106 ソレノイド
107 搬送モータ
111 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンから排気ダクトを通じて空気を排気し、空気を用紙搬送ベルトの通気孔から吸気ダクトを通じて前記ファンへと吸引し、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送ベルトに吸着して搬送する給紙装置であって、
前記吸気ダクト内の気圧及び空気の流量のうちの少なくとも1つを検出する空気状態検出部と、
前記吸気ダクトに形成された開口部を開閉する開閉部と、
前記空気状態検出部による検出結果に基づき、前記開口部を開閉する制御部とを備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記制御部は、前記空気状態検出部により検出された前記吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が予め設定された閾値未満になると、前記開閉部を制御して、前記開口部を開き、前記吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が予め設定された閾値以上になると、前記開閉部を制御して、前記開口部を閉じることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記制御部は、前記空気状態検出部により検出された前記吸気ダクト内の気圧もしくは空気の流量が予め設定された閾値未満になると、前記開閉部を制御して、前記開口部を開き、前記開口部を開いた時点から所定時間を経過すると、前記開閉部を制御して、前記開口部を閉じることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記制御部は、前記開閉部を制御して、前記開口部を開いたときに、前記ファンを制御して、前記ファンの回転速度を増速させることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記空気状態検出部を、前記吸気ダクトの開口部近傍に設けたことを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記空気状態検出部を、前記吸気ダクト内の空気の流れ方向における該吸気ダクトの開口部よりも下流側に設けたことを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の給紙装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−240837(P2012−240837A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115890(P2011−115890)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】