給電プラグロック装置
【課題】、部品の早期劣化を抑制でき、かつ操作時の利便性も確保することができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】給電プラグをインレット24に接続する際、ロックバー39はロックアーム27に押されながら奥に直線移動する。その操作過程でロックアーム27が突部32に落ち込むと、ロックバー39が付勢部材42の付勢力によって飛び出し、ロックバー39及びレバー43がロックアーム27の上方に位置してロック状態となる。給電プラグロック装置33がロック時、ロックバー39をアクチュエータによって奥に引き込んでレバー43から離間させると、レバー43が下に回り、側面43aでロックバー39を位置保持する。このため、ロックアーム27の揺動操作が許容され、給電プラグをインレット24から引き抜くことが可能となる。
【解決手段】給電プラグをインレット24に接続する際、ロックバー39はロックアーム27に押されながら奥に直線移動する。その操作過程でロックアーム27が突部32に落ち込むと、ロックバー39が付勢部材42の付勢力によって飛び出し、ロックバー39及びレバー43がロックアーム27の上方に位置してロック状態となる。給電プラグロック装置33がロック時、ロックバー39をアクチュエータによって奥に引き込んでレバー43から離間させると、レバー43が下に回り、側面43aでロックバー39を位置保持する。このため、ロックアーム27の揺動操作が許容され、給電プラグをインレット24から引き抜くことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両等の物品に接続された給電プラグを物品にロックして、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行するものである。よって、長距離走行してバッテリの残量が減ると、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。このため、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に挿し込んだ際、給電プラグが不正に車両から引き抜かれないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【0004】
ところで、この種の給電プラグロック装置では、例えばロック/アンロックの動作を、車両ドアのドアロック/ドアアンロックに連動する技術が考案されている(特許文献2参照)。この技術は、車両ドアがドアロック動作されるとき、給電プラグロック装置にロック動作を実行させ、車両ドアがアンロック動作されるとき、給電プラグロック装置にアンロック動作を実行させる。こうすれば、車両ドアの施解錠を行った時点で給電プラグロック装置の動作も完了するので、給電プラグロック装置を動作させる際に別途、操作が不要となる。
【0005】
しかし、この場合は、車両への給電プラグの接続有り無しにかかわらず、車両ドアの施解錠が実行される度に、給電プラグロック装置が毎回作動してしまうので、給電プラグロック装置の部品の早期劣化を招く懸念があった。また、給電プラグロック装置のロック/アンロックを車両ドアのロック/アンロックに連動させると、車両ドアの施解錠の度に、給電プラグロック装置の動作電力が必要となるので、車両電源が無駄に消費される問題にも繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【特許文献2】特開2009−08917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、このような問題を解決するために、給電プラグロック装置を例えばボタン操作等の手動操作にてロック状態に切り換える構造のものも想定される。こうすれば、ユーザの意志に応じてロック装置をロック状態に切り換えることが可能となるので、真に必要なときのみ給電プラグロック装置をロック状態に切り換えることができ、部品の早期劣化防止や車両電源の省電力化を満足することができる。しかし、今度は手動操作をユーザに課すことになるため、この技術を用いた場合は逆に利便性を損なう問題に繋がる。
【0008】
本発明の目的は、部品の早期劣化を抑制でき、かつ操作時の利便性も確保することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明では、インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグに抜け止めの爪として設けられたロックアームをロック機構によって前記インレットの突部に固定することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、前記ロック機構は、前記給電プラグの抜き挿し方向に直線移動可能なロック部材と、当該ロック部材を前記給電プラグ側に付勢する付勢部材と、前記インレットに挿し込まれた前記給電プラグに接近離間するレバー部材とを備え、前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記レバー部材を乗せた状態の前記ロック部材が該ロックアームによって前記付勢部材の付勢力に抗して押し込まれ、該挿し込みの過程で該ロックアームが前記突部に落ち込むと、前記ロック部材が前記付勢部材の付勢力によって飛び出し、当該ロック部材及び前記レバー部材が前記ロックアームを固定してロック状態となり、前記ロック部材を奥に引き込んで該ロック部材が前記レバー部材から離間したとき、前記レバー部材が前記ロックアーム側に動いて前記ロック部材を側面で位置保持可能することにより、前記ロックアームの可動を許容したアンロック状態となることを要旨とする。
【0010】
本発明の構成によれば、給電プラグをインレットに接続する際、この接続操作に連動して給電プラグロック装置がロック動作をとるので、給電プラグをインレットに接続するときのみ、給電プラグロック装置にロック動作をとらせることが可能となる。このため、給電プラグロック装置に無駄なロック動作をとらせずに済むので、部品の早期劣化を抑制することが可能となる。また、給電プラグをインレットに接続したとき、その時点で給電プラグロック装置がロック状態に切り換わる。よって、ロック状態に切り換えるに際して、ボタン等を別途操作する必要がないので、利便性も確保することが可能となる。
【0011】
また、給電プラグロック装置がロック状態の際、ロック部材を奥に引き込んでレバー部材から離間させると、レバー部材がロックアーム側に動いて、レバー部材の側面でロック部材の位置を保持した状態となる。このため、ロックアームの上方には、可動するレバー部材のみが位置することになるので、ロックアームの操作が許容され、結果、給電プラグをインレットから引き抜くことが可能となる。従って、ロック状態の給電プラグロック装置を、問題なくアンロック状態に切り換えることが可能となる。
【0012】
本発明では、前記ロック機構は、電気で動いて前記ロック部材を奥に引き込むことにより、前記ロック機構をアンロック状態に切り換える駆動手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、アンロック動作時に行うロック部材の引き込みを駆動手段によって実行するので、ロック部材の引き込みを自動とすることが可能となる。よって、ロック部材の引き込みをユーザに課さずに済むので、アンロック操作時の利便性を確保することが可能となる。また、この場合、駆動手段を駆動させるのに電力が必要となるが、通電は一時的で済むので、省電力化も確保される。
【0013】
本発明では、前記レバー部材は、前記給電プラグの抜き挿し方向を軸として回動可能であり、アンロック動作のとき、前記ロック部材が離間すると、付勢部材の付勢力により前記ロックアーム側に回動して前記ロックアームに当接し、前記側面で前記ロック部材を位置保持したアンロック状態となることを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置の構造を、回動するレバー部材と直線移動するロック部材とを組み合わせた簡素な構成にすることが可能となる。
【0014】
本発明では、前記ロック機構は、ロック状態の前記ロック機構を手動操作によってアンロック状態に切り換え可能な手動解除手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置のロック状態が何らかの要因でアンロック状態に解除できない状況となっても、手動解除手段によって給電プラグロック装置をアンロック状態に切り換えることが可能となる。よって、給電プラグをインレットから取り外せず、車両を走行させることができない状況にならずに済む。
【0015】
本発明では、前記ロック機構は、車両ドアがアンロック動作をとるとき、前記駆動手段を駆動させることにより、前記車両ドアのアンロック動作に連動して、自身のアンロック動作を実行することを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置のアンロック動作を、車両ドアのアンロック動作に連動する構成とした。このため、給電プラグロック装置をアンロック状態に切り換えるとき、別途特別な操作が不要となるので、利便性をよくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部品の早期劣化を抑制でき、かつ操作時の利便性も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態の車両の構成図。
【図2】給電プラグ及びインレットの外観を示す斜視図。
【図3】給電プラグの構造及び取り付け態様を示す一部破断側面図。
【図4】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図5】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの斜視図。
【図6】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの平断面図。
【図7】給電プラグロック装置の電気構成を示す回路図。
【図8】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの状態図。
【図9】給電プラグがインレットに挿し込まれたときの動きを示す状態図。
【図10】給電プラグロック装置がロック状態のときの状態図。
【図11】給電プラグロック装置がアンロック動作をとるときの回路図。
【図12】給電プラグロック装置がアンロック状態をとるときの動きを示す状態図。
【図13】給電プラグをインレットから引き抜くときの動きを示す状態図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の一実施形態を図1〜図13に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2又はモータ3にて発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。車両1は、エンジン2の動力で発電してモータ3により走行するモード、エンジン2及びモータ3の両方を動力として走行するモード、モータ3のみで走行するモード等の各種モードにより走行する。
【0019】
車両1には、電子キー6との間で無線によりID照合を行って車両1を動作させる電子キーシステム7が搭載されている。本例の電子キーシステム7は、電子キー6からの通信を契機にID照合を行うワイヤレスキーシステムである。
【0020】
この場合、車両1には、電子キー6とのID照合を実行するキー照合装置8と、車両ドアのドアロック施解錠を実行するドアロック装置9とが設けられ、これらが車内バス10によって接続されている。キー照合装置8には、キー照合装置8の動作を統括制御する照合ECU(Electronic Control Unit)11が設けられている。照合ECU11のメモリには、電子キー6のIDコードが登録されている。照合ECU11には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機12が接続されている。ドアロック装置9には、ドアロックの施解錠動作を統括制御するドアロックECU13が設けられている。ドアロックECU13には、ドアロックの施解錠を切り換える際の駆動源としてドアロックモータ14が接続されている。
【0021】
電子キー6には、キー側の通信動作を管理するキー制御部15が設けられている。キー制御部15のメモリには、電子キー6のIDコードが登録されている。また、電子キー6には、車両1を遠隔操作する際に操作する複数の操作ボタン16が設けられている。操作ボタン16には、ドアロックを施錠する際に操作する施錠ボタンや、ドアロックを解錠する際に操作する解錠ボタン等がある。
【0022】
操作ボタン16が操作されると、電子キー6からUHF帯の電波によりワイヤレス信号Sidが送信される。ワイヤレス信号Sidには、IDコードと、操作された操作ボタン16に応じた機能コードとが含まれている。照合ECU11は、ワイヤレス信号Sidを車両受信機12で受信すると、ワイヤレス信号Sid内のIDコードにてID照合を実行する。照合ECU11は、ID照合の成立を確認すると、ワイヤレス信号Sid内の機能コードに応じた動作を車両1に実行させる。
【0023】
例えば、ドアロックが施錠状態のとき、電子キー6からワイヤレス信号Sidとしてドアロック要求信号を受信すると、ID照合成立を条件にドアロックモータ14が例えば正転され、ドア側の係止部材(図示略)が車体に係止される。よって、ドアロックが施錠状態となる。一方、ドアロック解錠状態のとき、電子キー6からワイヤレス信号Sidとしてドアアンロック要求信号を受信すると、ID照合成立を条件にドアロックモータ14が例えば逆転され、係止部材が車体から外される。よって、ドアロックが解錠状態となる。
【0024】
車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム17が設けられている。充電システム17は、例えば街の一角に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備18として、充電設備18の充電ケーブル18aの先端に設けられた給電プラグ19を車両1に接続して、バッテリ5を充電する。
【0025】
図1及び図2に示すように、車体20の左前側壁には、給電プラグ19の接続箇所として受電コネクタ21が設けられている。受電コネクタ21は、横開き式のリッド22によって収納室23が開閉される。受電コネクタ21には、電気接続端子(パワー端子、制御端子)を有するインレット24が設けられている。インレット24には、給電プラグ19が完挿されたことを検出するプラグ接続検出センサ25が設けられている。また、インレット24には、インレット24の電気接続端子を開閉するゴム製の蓋26が横開き可能に取り付けられている。
【0026】
図2及び図3に示すように、給電プラグ19は、充電システム17の電源側であって、インレット24に接続される電気接続端子が設けられている。給電プラグ19のプラグ本体19aには、接続時の抜け止めとしてロックアーム27が揺動可能に取り付けられている。ロックアーム27は、長手方向中央を回動軸28として上下方向に揺動する。ロックアーム27は、先端の爪部29と根元の操作部30とがプラグ本体19aの外部に露出されている。ロックアーム27において操作部30寄りの位置には、ロックアーム27を閉じ側に常時付勢する付勢部材31が設けられている。
【0027】
給電プラグ19を受電コネクタ21に接続する際には、給電プラグ19を受電コネクタ21へ挿入方向(図3の−Y軸方向)に真っ直ぐ挿し込む。このとき、爪部29がインレット24の突部32に当接すると、ロックアーム27は斜面32aに案内されて突部32を上る。そして、給電プラグ19がインレット24に完挿されると、付勢部材31の付勢力によってロックアーム27が閉じ側に揺動する。このため、爪部29が突部32に引っ掛かって、給電プラグ19がインレット24に抜け止めされる。
【0028】
ハイブリッドシステム4は、インレット24に給電プラグ19が完挿されたことをプラグ接続検出センサ25により検出すると、給電プラグ19に充電開始要求を出力する。給電プラグ19は、ハイブリッドシステム4から充電開始要求を入力すると、受電コネクタ21に電流を流して、バッテリ5を充電する。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電されたことを確認すると、充電終了要求を給電プラグ19に出力する。給電プラグ19は、ハイブリッドシステム4から充電終了要求を入力すると、受電コネクタ21への電流供給を停止し、充電を終了する。
【0029】
給電プラグ19をインレット24から取り外す際には、操作部30を押してロックアーム27を開き側に揺動させ、突部32から離間させる。そして、この状態で給電プラグ19をインレット24から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0030】
図4〜図6に示すように、受電コネクタ21には、インレット24に接続された給電プラグ19の不正な取り外しを防止する給電プラグロック装置33が設けられている。本例の給電プラグロック装置33は、給電プラグ19がインレット24に挿し込まれるとき、その挿し込み操作に連動して機械的に自らロック状態に切り換わる。また、給電プラグロック装置33をロック状態からアンロック状態に切り換えるときは、モータ等のアクチュエータによって電気的に実行する。
【0031】
給電プラグロック装置33には、略直方体の箱形状を呈するケース34が設けられている。ケース34は、給電プラグロック装置33の部品群を収納するロックボディ35と、ロックボディ35の開口を閉じるリッド36とからなる。ロックボディ35は、手前側が開口した形状をとる。ロックボディ35及びリッド36は、例えば複数の係止ピン37により一体に組み付けられる。係止ピン37は、例えばネジが使用されている。ケース34は、ロックボディ35が複数の係止部材(図示略)によってインレット24に固定された取り付け状態をとる。リッド36の正面には、給電プラグ19をインレット24に接続/取り外す際にロックアーム27が通る凹部36aが形成されている。
【0032】
ケース34の内部には、給電プラグロック装置33の機構部分としてロック機構38が設けられている。この場合、ケース34の内部には、略直方体形状を呈するロックバー39が、装置奥行き方向(図4のY軸方向)に直線往復動可能に設けられている。ロックバー39には、ロックバー39の本体部40と、本体部40に対し装置高さ方向Zにおいて幅狭の位置規制部41とが一体に設けられている。位置規制部41は、ロックバー39を上から位置規制する部材であって、本体部40から一部分が突出することにより形成されている。ケース34とロックバー39との間には、ロックバー39を突出方向に常時付勢する付勢部材42が介装されている。このため、ロックバー39は、付勢部材42の付勢部材42により突出方向(図4の矢印K1方向)にスライド移動可能であり、付勢部材42の付勢力に抗して引込方向(図4の矢印S1方向)にスライド移動可能である。付勢部材42は、例えばコイルばねが使用されている。なお、ロックバー39がロック部材に相当し、装置奥行き方向Yが抜き挿し方向に相当する。
【0033】
また、ケース34の内部には、ロックバー39と協同してロックアーム27の揺動を規制可能なレバー43が、装置奥行き方向Yに延びるピン部材44によって回動可能に取り付けられている。レバー43は、ピン部材44の軸La回りに回動可能であって、ロックバー39の直線移動方向(図4のY軸方向)に対して交差する方向に回動する。レバー43には、レバー43を倒れ方向に常時付勢する付勢部材45が取り付けられている。このため、レバー43は、付勢部材45の付勢力により倒れ方向(図4の矢印K2方向)に回動し、付勢部材45の付勢力に抗して持ち上がり方向(図4の矢印S2方向)に回動可能である。付勢部材45は、例えばトーションばねが使用されている。なお、レバー43がレバー部材に相当する。
【0034】
給電プラグ19がインレット24に接続されたとき、ロックバー39が突出方向に直線移動して、ロックバー39及びレバー43が重なった状態でロックアーム27の上に乗ると、給電プラグロック装置33はロックアーム27の揺動動作を規制したロック状態となる。また、このロック状態からロックバー39が引込位置に引き込まれて、レバー43のみがロックアーム27の上に乗ると、給電プラグロック装置33はロックアーム27の揺動動作を許容したアンロック状態となる。
【0035】
給電プラグロック装置33には、ロックバー39を奥に引き込み可能なアクチュエータ46が設けられている。アクチュエータ46は、突出位置にあるロックバー39を引込位置に引き込むことにより、ロック機構38をアンロック状態にする。アクチュエータ46は、例えば吸引ソレノイドが使用され、ハーネス(図示略)を介して車両1の電源+Bに接続されている。アクチュエータ46は、通常、通電されておらず、ロックバー39を突出位置に位置させ、通電状態をとると、通電期間中、ロックバー39を奥の引込位置に引き込む。なお、アクチュエータ46が駆動手段に相当する。
【0036】
図7に示すように、ドアロックECU13には、ドアアンロック動作時にオンされるアンロック側リレー47と、ドアロック時にオンされるロック側リレー48とが接続され、これらリレー47,48の間にドアロックモータ14が接続されている。ドアロックECU13は、車両1が電子キー6からドアロック要求信号を受信したとき、アンロック側リレー47をオフ、ロック側リレー48をオンして、ドアロックモータ14を一方向に回転させる。一方、ドアロックECU13は、車両1が電子キー6からドアアンロック要求信号を受信したとき、アンロック側リレー47をオン、ロック側リレー48をオンして、ドアロックモータ14を他方向に回転させる。
【0037】
アクチュエータ46は、ドアロックモータ14のモータ回路からハーネスを引き延ばすことにより、ドアロックモータ14に並列接続されている。アクチュエータ46のハーネス上には、給電プラグロック装置33がロック状態にあることを検出するプラグロック検出部49が接続されている。プラグロック検出部49は、例えばマイクロスイッチからなり、ロックバー39及びレバー43にてロック機構38がロック状態となると機械的にオンする。アクチュエータ46とプラグロック検出部49との間には、逆電流防止用のダイオード50が接続されている。
【0038】
ドアロックがロック動作をとる際、ドアロックモータ14には、ロック側リレー48からアンロック側リレー47に電流(図7の電流Ia)が流れる。このため、ドアロックモータ14のアンロック側端子14aの電圧が低電位となるので、プラグロック検出部49がオン/オフのどちらをとっていても、アクチュエータ46には電流が流れず、アクチュエータ46は動作しない。なお、アンロック側端子14aは、ドアロックモータ14の+端子及び−端子のうち、ドアロックモータ14がアンロック動作をとるときに高電位となる側の端子のことを言う。
【0039】
一方、ドアロックがアンロック動作をとる際、ドアロックモータ14には、アンロック側リレー47からロック側リレー48に電流(図7の電流Ib)が流れる。このため、アンロック側端子14aの電圧が高電位となるので、プラグロック検出部49がオンとなっていれば、アクチュエータ46に電流が流れ、給電プラグロック装置33がアンロック動作をとる。なお、アクチュエータ(吸引ソレノイド)46は、自身に電流が流れているときのみ、ロックバー39の引き込み動作を実行する。
【0040】
次に、本例の給電プラグロック装置33の動作を、図8〜図13を用いて説明する。
まず、図8に、アンロック状態の給電プラグロック装置33を示す。このとき、同図に示すように、アクチュエータ46は、非通電状態をとるので、ロックバー39は、付勢部材42の付勢力によって突出位置をとり、レバー43を下支えする。このため、レバー43は、先端が下に倒れ込む状態をとらないので、給電プラグ19をインレット24に自由に接続することが可能である。このとき、ロックバー39は、本体部40の段状部40aがレバー43の側面43aに当接することにより、抜け止めされる。
【0041】
図9に示すように、給電プラグ19をインレット24に挿し込むと、その挿し込み過程で、ロックアーム27がロックバー39を奥側に押し込む。このとき、ロックバー39は、ロックアーム27に押されることにより、付勢部材42の付勢力に抗して、引込方向(図9の矢印S1方向)に直線移動する。この押し込み時、ロックバー39は、上にレバー43を乗せた状態で奥に移動する。
【0042】
そして、図10に示すように、ロックアーム27が突部32を乗り越えると、ロックアーム27は付勢部材31の付勢力によって下に落ち込み、爪部29が突部32に係止する。このとき、ロックアーム27は、ロックバー39に対して下方向に移動するので、ロックバー39を横から押す状態を止める。このため、ロックバー39は、付勢部材42の付勢力によって突出方向(図10の矢印K1方向)に直線移動し、ロックアーム27及びレバー43の間に入り込む。よって、ロックアーム27の上方にロックバー39及びレバー43の両方が位置した状態となる。なお、このときのロックバー39は、爪部29の上面に形成された段部29aにて位置決めされる。
【0043】
これにより、ロックアーム27は、ロックバー39及びレバー43によって位置規制されて、開き側に揺動できなくなる。つまり、給電プラグロック装置33は、給電プラグ19をインレット24に固定したロック状態となる。なお、ロックバー39がロック位置をとったとき、プラグロック検出部49が機械的にオンする。
【0044】
続いて、給電プラグロック装置33がロック状態のとき、ドアロックのアンロック動作が実行されると、ドアのアンロック動作に連動して給電プラグロック装置33のアンロック動作をとる。このときは、図11に示すように、ドアロックモータ14にアンロック電流が流れることにより、アンロック側端子14aの電圧が高電位をとり、かつプラグロック検出部49がオンをとるので、電流Ibの一部がアクチュエータ46にも流れ、アクチュエータ46が動作する。
【0045】
図12に示すように、アクチュエータ46は、通電中、付勢部材42の付勢力に抗して、ロックバー39を引込方向(同図の矢印S1方向)に直線移動させて、引込位置に位置させる。ロックバー39は、引込位置に位置したとき、レバー43から完全に離間する。なお、アクチュエータ46の通電時間は、ドアロックモータ14が通電される数秒間のみとなっている。
【0046】
ロックバー39が引込位置に位置すると、レバー43は、ロックバー39による下支えがなくなるので、付勢部材45の付勢力によって、倒れ方向(図12の矢印K2方向)に回動して先端が下側に倒れ込む。このため、アクチュエータ46への通電停止後、ロックバー39は付勢部材42の付勢力によって突出方向に飛び出そうとするが、レバー43の側面43aにて位置規制され、略引込位置で位置が保持される。よって、ロックアーム27の上方には、回動が許容されたレバー43のみが位置する。つまり、給電プラグロック装置33がアンロック状態となる。
【0047】
図13に示すように、給電プラグ19をインレット24から引き抜くときは、給電プラグ19のロックアーム27の操作部30が押され、ロックアーム27が開き側に揺動操作される。このとき、ロックアーム27の爪部29の上方には、回動動作可能なレバー43のみが存在するので、ロックアーム27を問題なく持ち上げることが可能である。つまり、ロックアーム27の開き動作によってレバー43が持ち上がり方向(図13の矢印S2方向)に回動し、給電プラグ19の引き抜きが可能となる。
【0048】
そして、図13に示すように、レバー43が位置規制部41よりも高い位置をとると、ロックバー39はレバー43による位置規制が外れ、付勢部材42の付勢力によって突出方向(同図の矢印K1方向)に直線移動し、レバー43の下側に入り込む。続いて、給電プラグ19が引き抜き操作されると、その操作とともにロックバー39が突出方向に直線移動し、最終的にロックバー39が突出位置に位置する。よって、給電プラグ19をインレット24から引き抜いた後は、給電プラグロック装置33は元の図8の状態に復帰する。
【0049】
以上により、本例においては、給電プラグ19をインレット24に接続する際、その接続操作に連動して、ロックバー39はロックアーム27に押されながら奥に直線移動する。そして、その操作過程で、ロックアーム27が突部32に落ち込むと、ロックバー39が付勢部材42の付勢力によって飛び出し、ロックバー39及びレバー43がロックアーム27の上方に位置してロック状態となる。つまり、給電プラグ19の接続操作に連動して給電プラグロック装置33がロック動作をとる。
【0050】
このため、給電プラグ19をインレット24に接続するときのみ、給電プラグロック装置33にロック動作をとらせることが可能となるので、給電プラグロック装置33に無駄なロック動作をとらせずに済み、部品の早期劣化を抑制することが可能となる。また、給電プラグロック装置33は、給電プラグ19の接続操作に連動して機械的にロックする構造をとるので、ロック操作に際してボタン等を別途操作する必要がないので、利便性を確保することも可能となる。さらに、ロック動作に際して電力も不要であるので、車両1の電源の省電力化も可能となる。
【0051】
また、給電プラグロック装置33がロック状態の際、ロックバー39をアクチュエータ46によって奥に引き込んでレバー43から離間させると、レバー43がロックアーム27側に回動して、ロックバー39はレバー43の側面43aにて位置保持された状態となる。このため、ロックアーム27の上方には、レバー43のみが位置した状態となるので、ロックアーム27の揺動操作が許容され、給電プラグ19をインレット24から引き抜くことが可能となる。よって、ロック状態の給電プラグロック装置33を、問題なくアンロック状態に切り換えることが可能となる。
【0052】
本例の場合、アンロック動作時のロックバー39の引き込みは、アクチュエータ(吸引ソレノイド)46によって電気的に実行する。ところで、ロックバー39の引き込みは、レバー43が持ち上がり方向に回動して側面43aでロックバー39を位置保持するまで、一時的に行うだけでよい。よって、ロックバー39の引き込みに際してアクチュエータ46を通電するにしても、通電時間は短い時間で済むので、車両1の省電力化も可能となる。また、給電プラグロック装置33のアンロック動作は、車両ドアのドアアンロック連動となっているので、アンロック操作に際して特別な操作を別途必要としない。よって、アンロック操作時の利便性を確保することも可能となる。
【0053】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)本例の給電プラグロック装置33によれば、給電プラグ19をインレット24に接続するときのみ、その接続操作に連動してロック機構38が機械的に動作してロック状態となるので、部品の早期劣化を防止することができ、かつ利便性も確保することができる。
【0054】
(2)アンロック動作時のロックバー39の引き込みを、アクチュエータ46によって電気的に実行するので、ロックバー39の引き込みをユーザが手動で行う必要がない。よって、アンロック操作時の利便性を確保することができる。
【0055】
(3)アンロック時のロックバー39の引き込みをアクチュエータ46により行う場合、アクチュエータ46の通電は、ロックバー39がレバー43の側面43aに位置保持される一瞬でよい。このため、ロックバー39の引き込みを電動とした場合でも、アクチュエータ46の通電は一時的(車両ドアがアンロック動作する間)で済むので、車両1の電源の省電力化に一層効果が高くなる。
【0056】
(4)給電プラグロック装置33の構造を、回動するレバー43と直線移動するロックバー39とを組み合わせた簡素な構成とすることが可能となる。
(5)給電プラグロック装置33のアンロック動作を、車両ドアのアンロック動作に連動するようにした。このため、給電プラグロック装置33をアンロック状態に切り換えるとき、別途特別な操作が不要となるので、利便性をよくすることができる。
【0057】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・給電プラグロック装置33のロック状態を手動解除可能としてもよい。この場合、例えばロックバー39に、図8に示すノブ部51を設け、ノブ部51を手で引くことにより、ロック状態を解除する。よって、給電プラグロック装置33がロック状態のとき、何らかの要因でアクチュエータ46が動かずロックが解除できない状況になっても、ノブ部51を引き操作することによって、ロック状態を解除することができる。また、ノブ部51を例えばトランク内に配置すれば、電子キー6を所持した正規ユーザのみがドアロック解除にてランクを開けることでノブ部51を操作することができる。よって、不正な手動解除操作も防止することができる。なお、ノブ部51が手動解除手段に相当する。
【0058】
・給電プラグロック装置33のロック手動解除は、引き操作に限定されず、例えば押し操作としてもよい。また、手動解除手段は、ノブ部51を操作することでロック状態を解除する構造に限定されない。例えば、ワイヤー等でロックバー39を直に奥側に直線移動させるものでもよい。
【0059】
・バッテリ5の充電開始条件は、適宜変更可能である。例えば、プラグ接続検出センサ25がインレット24への給電プラグ19の挿し込みを検出し、かつ電子キー6とID照合が成立することを充電開始条件としてもよい。
【0060】
・プラグロック検出部49は、スイッチ類(マイクロスイッチ)に限定されず、例えばセンサを使用してもよい。
・アクチュエータ46の電気回路は、例えばアンロック側端子14aにプラグロック検出部49を介してスイッチ手段(トランジスタ、リレー等)接続し、このスイッチ手段のオン/オフを、アンロック側端子14aの電圧(電流)により切り換えることで、アクチュエータ46の動作を制御するものでもよい。
【0061】
・給電プラグロック装置33にICを設け、このICが、給電プラグロック装置33がロック状態をとることと、車両ドアがアンロック動作をとることとを確認したとき、アクチュエータ46にアンロック動作の電流を流すようにしてもよい。
【0062】
・アクチュエータ(駆動手段)46は、ソレノイドに限定されず、例えばモータ等を使用してもよい。
・バッテリ5の充電停止は、車両内のスイッチを切ることで行ってもよい。
【0063】
・給電プラグロック装置33のアンロック動作は、ドアロック連動とすることに限定されず、例えば手動操作式としてもよい。
・電子キーシステム7は、ワイヤレスキーシステムに限定されない。例えば、車両1からの通信を契機にID照合を行うキー操作フリーシステムや、通信にNFC(Near Field Communication)等の近距離通信を用いる近距離無線認証システムとしてもよい。
【0064】
・ワイヤレスキーシステムは、パワースライドドア開閉システムでもよい。
・1つの操作ボタン16が操作される度に、ドアロックの施錠と解除とが交互に実行されるシステムでもよい。
【0065】
・ケース34の気密性(防水性)を確保する防水機構を設けてもよい。防水機構としては、例えばロックボディ35とリッド36との間に設けたシール部材がある。
・ロックバー39は、直にロックアーム27の上方に位置してロックアーム27の揺動を規制する構造に限定されず、例えば所定部材を介してロックアーム27の揺動操作を規制するものでもよい。
【0066】
・ロック機構38は、本例の技術思想を満たすものであれば、どのような構造を採用してもよい。
・レバー部材は、軸La回りに回る回動部材に限定されず、例えば装置高さ方向Zにスライド移動可能な直線移動部材としてもよい。
【0067】
・車両1は、ハイブリッド車に限定されず、例えばモータのみで走行する電気自動車でもよい。
・給電プラグロック装置33は、車両1に適用されることに限らず、他の装置や機器に応用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
19…給電プラグ、24…インレット、27…ロックアーム、32…突部、33…給電プラグロック装置、38…ロック機構、39…ロック部材としてのロックバー、42…付勢部材、43…レバー部材としてのレバー、43a…側面、45…付勢部材、46…駆動手段としてのアクチュエータ、50…手動解除手段としてのノブ部、La…軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両等の物品に接続された給電プラグを物品にロックして、給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進んでいる。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力により走行するものである。よって、長距離走行してバッテリの残量が減ると、その度にバッテリを充電しなくてはならない(特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルで化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。よって、バッテリ充電中、仮に車両から立ち去ってしまうと、その隙に第三者によって給電プラグを付け替えられるなどして、電力を盗電される可能性も否めない。このため、バッテリ充電可能な車両では、給電プラグを車両に挿し込んだ際、給電プラグが不正に車両から引き抜かれないようにロック装置を搭載することが検討されている。
【0004】
ところで、この種の給電プラグロック装置では、例えばロック/アンロックの動作を、車両ドアのドアロック/ドアアンロックに連動する技術が考案されている(特許文献2参照)。この技術は、車両ドアがドアロック動作されるとき、給電プラグロック装置にロック動作を実行させ、車両ドアがアンロック動作されるとき、給電プラグロック装置にアンロック動作を実行させる。こうすれば、車両ドアの施解錠を行った時点で給電プラグロック装置の動作も完了するので、給電プラグロック装置を動作させる際に別途、操作が不要となる。
【0005】
しかし、この場合は、車両への給電プラグの接続有り無しにかかわらず、車両ドアの施解錠が実行される度に、給電プラグロック装置が毎回作動してしまうので、給電プラグロック装置の部品の早期劣化を招く懸念があった。また、給電プラグロック装置のロック/アンロックを車両ドアのロック/アンロックに連動させると、車両ドアの施解錠の度に、給電プラグロック装置の動作電力が必要となるので、車両電源が無駄に消費される問題にも繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【特許文献2】特開2009−08917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、このような問題を解決するために、給電プラグロック装置を例えばボタン操作等の手動操作にてロック状態に切り換える構造のものも想定される。こうすれば、ユーザの意志に応じてロック装置をロック状態に切り換えることが可能となるので、真に必要なときのみ給電プラグロック装置をロック状態に切り換えることができ、部品の早期劣化防止や車両電源の省電力化を満足することができる。しかし、今度は手動操作をユーザに課すことになるため、この技術を用いた場合は逆に利便性を損なう問題に繋がる。
【0008】
本発明の目的は、部品の早期劣化を抑制でき、かつ操作時の利便性も確保することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明では、インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグに抜け止めの爪として設けられたロックアームをロック機構によって前記インレットの突部に固定することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、前記ロック機構は、前記給電プラグの抜き挿し方向に直線移動可能なロック部材と、当該ロック部材を前記給電プラグ側に付勢する付勢部材と、前記インレットに挿し込まれた前記給電プラグに接近離間するレバー部材とを備え、前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記レバー部材を乗せた状態の前記ロック部材が該ロックアームによって前記付勢部材の付勢力に抗して押し込まれ、該挿し込みの過程で該ロックアームが前記突部に落ち込むと、前記ロック部材が前記付勢部材の付勢力によって飛び出し、当該ロック部材及び前記レバー部材が前記ロックアームを固定してロック状態となり、前記ロック部材を奥に引き込んで該ロック部材が前記レバー部材から離間したとき、前記レバー部材が前記ロックアーム側に動いて前記ロック部材を側面で位置保持可能することにより、前記ロックアームの可動を許容したアンロック状態となることを要旨とする。
【0010】
本発明の構成によれば、給電プラグをインレットに接続する際、この接続操作に連動して給電プラグロック装置がロック動作をとるので、給電プラグをインレットに接続するときのみ、給電プラグロック装置にロック動作をとらせることが可能となる。このため、給電プラグロック装置に無駄なロック動作をとらせずに済むので、部品の早期劣化を抑制することが可能となる。また、給電プラグをインレットに接続したとき、その時点で給電プラグロック装置がロック状態に切り換わる。よって、ロック状態に切り換えるに際して、ボタン等を別途操作する必要がないので、利便性も確保することが可能となる。
【0011】
また、給電プラグロック装置がロック状態の際、ロック部材を奥に引き込んでレバー部材から離間させると、レバー部材がロックアーム側に動いて、レバー部材の側面でロック部材の位置を保持した状態となる。このため、ロックアームの上方には、可動するレバー部材のみが位置することになるので、ロックアームの操作が許容され、結果、給電プラグをインレットから引き抜くことが可能となる。従って、ロック状態の給電プラグロック装置を、問題なくアンロック状態に切り換えることが可能となる。
【0012】
本発明では、前記ロック機構は、電気で動いて前記ロック部材を奥に引き込むことにより、前記ロック機構をアンロック状態に切り換える駆動手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、アンロック動作時に行うロック部材の引き込みを駆動手段によって実行するので、ロック部材の引き込みを自動とすることが可能となる。よって、ロック部材の引き込みをユーザに課さずに済むので、アンロック操作時の利便性を確保することが可能となる。また、この場合、駆動手段を駆動させるのに電力が必要となるが、通電は一時的で済むので、省電力化も確保される。
【0013】
本発明では、前記レバー部材は、前記給電プラグの抜き挿し方向を軸として回動可能であり、アンロック動作のとき、前記ロック部材が離間すると、付勢部材の付勢力により前記ロックアーム側に回動して前記ロックアームに当接し、前記側面で前記ロック部材を位置保持したアンロック状態となることを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置の構造を、回動するレバー部材と直線移動するロック部材とを組み合わせた簡素な構成にすることが可能となる。
【0014】
本発明では、前記ロック機構は、ロック状態の前記ロック機構を手動操作によってアンロック状態に切り換え可能な手動解除手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置のロック状態が何らかの要因でアンロック状態に解除できない状況となっても、手動解除手段によって給電プラグロック装置をアンロック状態に切り換えることが可能となる。よって、給電プラグをインレットから取り外せず、車両を走行させることができない状況にならずに済む。
【0015】
本発明では、前記ロック機構は、車両ドアがアンロック動作をとるとき、前記駆動手段を駆動させることにより、前記車両ドアのアンロック動作に連動して、自身のアンロック動作を実行することを要旨とする。この構成によれば、給電プラグロック装置のアンロック動作を、車両ドアのアンロック動作に連動する構成とした。このため、給電プラグロック装置をアンロック状態に切り換えるとき、別途特別な操作が不要となるので、利便性をよくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部品の早期劣化を抑制でき、かつ操作時の利便性も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態の車両の構成図。
【図2】給電プラグ及びインレットの外観を示す斜視図。
【図3】給電プラグの構造及び取り付け態様を示す一部破断側面図。
【図4】給電プラグロック装置の分解斜視図。
【図5】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの斜視図。
【図6】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの平断面図。
【図7】給電プラグロック装置の電気構成を示す回路図。
【図8】給電プラグロック装置がアンロック状態のときの状態図。
【図9】給電プラグがインレットに挿し込まれたときの動きを示す状態図。
【図10】給電プラグロック装置がロック状態のときの状態図。
【図11】給電プラグロック装置がアンロック動作をとるときの回路図。
【図12】給電プラグロック装置がアンロック状態をとるときの動きを示す状態図。
【図13】給電プラグをインレットから引き抜くときの動きを示す状態図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の一実施形態を図1〜図13に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪を回す動力をエンジン2又はモータ3にて発生させるハイブリッドシステム4が設けられている。ハイブリッドシステム4には、モータ3の電源としてバッテリ5が設けられている。車両1は、エンジン2の動力で発電してモータ3により走行するモード、エンジン2及びモータ3の両方を動力として走行するモード、モータ3のみで走行するモード等の各種モードにより走行する。
【0019】
車両1には、電子キー6との間で無線によりID照合を行って車両1を動作させる電子キーシステム7が搭載されている。本例の電子キーシステム7は、電子キー6からの通信を契機にID照合を行うワイヤレスキーシステムである。
【0020】
この場合、車両1には、電子キー6とのID照合を実行するキー照合装置8と、車両ドアのドアロック施解錠を実行するドアロック装置9とが設けられ、これらが車内バス10によって接続されている。キー照合装置8には、キー照合装置8の動作を統括制御する照合ECU(Electronic Control Unit)11が設けられている。照合ECU11のメモリには、電子キー6のIDコードが登録されている。照合ECU11には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機12が接続されている。ドアロック装置9には、ドアロックの施解錠動作を統括制御するドアロックECU13が設けられている。ドアロックECU13には、ドアロックの施解錠を切り換える際の駆動源としてドアロックモータ14が接続されている。
【0021】
電子キー6には、キー側の通信動作を管理するキー制御部15が設けられている。キー制御部15のメモリには、電子キー6のIDコードが登録されている。また、電子キー6には、車両1を遠隔操作する際に操作する複数の操作ボタン16が設けられている。操作ボタン16には、ドアロックを施錠する際に操作する施錠ボタンや、ドアロックを解錠する際に操作する解錠ボタン等がある。
【0022】
操作ボタン16が操作されると、電子キー6からUHF帯の電波によりワイヤレス信号Sidが送信される。ワイヤレス信号Sidには、IDコードと、操作された操作ボタン16に応じた機能コードとが含まれている。照合ECU11は、ワイヤレス信号Sidを車両受信機12で受信すると、ワイヤレス信号Sid内のIDコードにてID照合を実行する。照合ECU11は、ID照合の成立を確認すると、ワイヤレス信号Sid内の機能コードに応じた動作を車両1に実行させる。
【0023】
例えば、ドアロックが施錠状態のとき、電子キー6からワイヤレス信号Sidとしてドアロック要求信号を受信すると、ID照合成立を条件にドアロックモータ14が例えば正転され、ドア側の係止部材(図示略)が車体に係止される。よって、ドアロックが施錠状態となる。一方、ドアロック解錠状態のとき、電子キー6からワイヤレス信号Sidとしてドアアンロック要求信号を受信すると、ID照合成立を条件にドアロックモータ14が例えば逆転され、係止部材が車体から外される。よって、ドアロックが解錠状態となる。
【0024】
車両1には、外部電源にてバッテリ5を充電する充電システム17が設けられている。充電システム17は、例えば街の一角に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備18として、充電設備18の充電ケーブル18aの先端に設けられた給電プラグ19を車両1に接続して、バッテリ5を充電する。
【0025】
図1及び図2に示すように、車体20の左前側壁には、給電プラグ19の接続箇所として受電コネクタ21が設けられている。受電コネクタ21は、横開き式のリッド22によって収納室23が開閉される。受電コネクタ21には、電気接続端子(パワー端子、制御端子)を有するインレット24が設けられている。インレット24には、給電プラグ19が完挿されたことを検出するプラグ接続検出センサ25が設けられている。また、インレット24には、インレット24の電気接続端子を開閉するゴム製の蓋26が横開き可能に取り付けられている。
【0026】
図2及び図3に示すように、給電プラグ19は、充電システム17の電源側であって、インレット24に接続される電気接続端子が設けられている。給電プラグ19のプラグ本体19aには、接続時の抜け止めとしてロックアーム27が揺動可能に取り付けられている。ロックアーム27は、長手方向中央を回動軸28として上下方向に揺動する。ロックアーム27は、先端の爪部29と根元の操作部30とがプラグ本体19aの外部に露出されている。ロックアーム27において操作部30寄りの位置には、ロックアーム27を閉じ側に常時付勢する付勢部材31が設けられている。
【0027】
給電プラグ19を受電コネクタ21に接続する際には、給電プラグ19を受電コネクタ21へ挿入方向(図3の−Y軸方向)に真っ直ぐ挿し込む。このとき、爪部29がインレット24の突部32に当接すると、ロックアーム27は斜面32aに案内されて突部32を上る。そして、給電プラグ19がインレット24に完挿されると、付勢部材31の付勢力によってロックアーム27が閉じ側に揺動する。このため、爪部29が突部32に引っ掛かって、給電プラグ19がインレット24に抜け止めされる。
【0028】
ハイブリッドシステム4は、インレット24に給電プラグ19が完挿されたことをプラグ接続検出センサ25により検出すると、給電プラグ19に充電開始要求を出力する。給電プラグ19は、ハイブリッドシステム4から充電開始要求を入力すると、受電コネクタ21に電流を流して、バッテリ5を充電する。ハイブリッドシステム4は、バッテリ5が満充電されたことを確認すると、充電終了要求を給電プラグ19に出力する。給電プラグ19は、ハイブリッドシステム4から充電終了要求を入力すると、受電コネクタ21への電流供給を停止し、充電を終了する。
【0029】
給電プラグ19をインレット24から取り外す際には、操作部30を押してロックアーム27を開き側に揺動させ、突部32から離間させる。そして、この状態で給電プラグ19をインレット24から真っ直ぐ引き抜くことで、車両1から取り外す。
【0030】
図4〜図6に示すように、受電コネクタ21には、インレット24に接続された給電プラグ19の不正な取り外しを防止する給電プラグロック装置33が設けられている。本例の給電プラグロック装置33は、給電プラグ19がインレット24に挿し込まれるとき、その挿し込み操作に連動して機械的に自らロック状態に切り換わる。また、給電プラグロック装置33をロック状態からアンロック状態に切り換えるときは、モータ等のアクチュエータによって電気的に実行する。
【0031】
給電プラグロック装置33には、略直方体の箱形状を呈するケース34が設けられている。ケース34は、給電プラグロック装置33の部品群を収納するロックボディ35と、ロックボディ35の開口を閉じるリッド36とからなる。ロックボディ35は、手前側が開口した形状をとる。ロックボディ35及びリッド36は、例えば複数の係止ピン37により一体に組み付けられる。係止ピン37は、例えばネジが使用されている。ケース34は、ロックボディ35が複数の係止部材(図示略)によってインレット24に固定された取り付け状態をとる。リッド36の正面には、給電プラグ19をインレット24に接続/取り外す際にロックアーム27が通る凹部36aが形成されている。
【0032】
ケース34の内部には、給電プラグロック装置33の機構部分としてロック機構38が設けられている。この場合、ケース34の内部には、略直方体形状を呈するロックバー39が、装置奥行き方向(図4のY軸方向)に直線往復動可能に設けられている。ロックバー39には、ロックバー39の本体部40と、本体部40に対し装置高さ方向Zにおいて幅狭の位置規制部41とが一体に設けられている。位置規制部41は、ロックバー39を上から位置規制する部材であって、本体部40から一部分が突出することにより形成されている。ケース34とロックバー39との間には、ロックバー39を突出方向に常時付勢する付勢部材42が介装されている。このため、ロックバー39は、付勢部材42の付勢部材42により突出方向(図4の矢印K1方向)にスライド移動可能であり、付勢部材42の付勢力に抗して引込方向(図4の矢印S1方向)にスライド移動可能である。付勢部材42は、例えばコイルばねが使用されている。なお、ロックバー39がロック部材に相当し、装置奥行き方向Yが抜き挿し方向に相当する。
【0033】
また、ケース34の内部には、ロックバー39と協同してロックアーム27の揺動を規制可能なレバー43が、装置奥行き方向Yに延びるピン部材44によって回動可能に取り付けられている。レバー43は、ピン部材44の軸La回りに回動可能であって、ロックバー39の直線移動方向(図4のY軸方向)に対して交差する方向に回動する。レバー43には、レバー43を倒れ方向に常時付勢する付勢部材45が取り付けられている。このため、レバー43は、付勢部材45の付勢力により倒れ方向(図4の矢印K2方向)に回動し、付勢部材45の付勢力に抗して持ち上がり方向(図4の矢印S2方向)に回動可能である。付勢部材45は、例えばトーションばねが使用されている。なお、レバー43がレバー部材に相当する。
【0034】
給電プラグ19がインレット24に接続されたとき、ロックバー39が突出方向に直線移動して、ロックバー39及びレバー43が重なった状態でロックアーム27の上に乗ると、給電プラグロック装置33はロックアーム27の揺動動作を規制したロック状態となる。また、このロック状態からロックバー39が引込位置に引き込まれて、レバー43のみがロックアーム27の上に乗ると、給電プラグロック装置33はロックアーム27の揺動動作を許容したアンロック状態となる。
【0035】
給電プラグロック装置33には、ロックバー39を奥に引き込み可能なアクチュエータ46が設けられている。アクチュエータ46は、突出位置にあるロックバー39を引込位置に引き込むことにより、ロック機構38をアンロック状態にする。アクチュエータ46は、例えば吸引ソレノイドが使用され、ハーネス(図示略)を介して車両1の電源+Bに接続されている。アクチュエータ46は、通常、通電されておらず、ロックバー39を突出位置に位置させ、通電状態をとると、通電期間中、ロックバー39を奥の引込位置に引き込む。なお、アクチュエータ46が駆動手段に相当する。
【0036】
図7に示すように、ドアロックECU13には、ドアアンロック動作時にオンされるアンロック側リレー47と、ドアロック時にオンされるロック側リレー48とが接続され、これらリレー47,48の間にドアロックモータ14が接続されている。ドアロックECU13は、車両1が電子キー6からドアロック要求信号を受信したとき、アンロック側リレー47をオフ、ロック側リレー48をオンして、ドアロックモータ14を一方向に回転させる。一方、ドアロックECU13は、車両1が電子キー6からドアアンロック要求信号を受信したとき、アンロック側リレー47をオン、ロック側リレー48をオンして、ドアロックモータ14を他方向に回転させる。
【0037】
アクチュエータ46は、ドアロックモータ14のモータ回路からハーネスを引き延ばすことにより、ドアロックモータ14に並列接続されている。アクチュエータ46のハーネス上には、給電プラグロック装置33がロック状態にあることを検出するプラグロック検出部49が接続されている。プラグロック検出部49は、例えばマイクロスイッチからなり、ロックバー39及びレバー43にてロック機構38がロック状態となると機械的にオンする。アクチュエータ46とプラグロック検出部49との間には、逆電流防止用のダイオード50が接続されている。
【0038】
ドアロックがロック動作をとる際、ドアロックモータ14には、ロック側リレー48からアンロック側リレー47に電流(図7の電流Ia)が流れる。このため、ドアロックモータ14のアンロック側端子14aの電圧が低電位となるので、プラグロック検出部49がオン/オフのどちらをとっていても、アクチュエータ46には電流が流れず、アクチュエータ46は動作しない。なお、アンロック側端子14aは、ドアロックモータ14の+端子及び−端子のうち、ドアロックモータ14がアンロック動作をとるときに高電位となる側の端子のことを言う。
【0039】
一方、ドアロックがアンロック動作をとる際、ドアロックモータ14には、アンロック側リレー47からロック側リレー48に電流(図7の電流Ib)が流れる。このため、アンロック側端子14aの電圧が高電位となるので、プラグロック検出部49がオンとなっていれば、アクチュエータ46に電流が流れ、給電プラグロック装置33がアンロック動作をとる。なお、アクチュエータ(吸引ソレノイド)46は、自身に電流が流れているときのみ、ロックバー39の引き込み動作を実行する。
【0040】
次に、本例の給電プラグロック装置33の動作を、図8〜図13を用いて説明する。
まず、図8に、アンロック状態の給電プラグロック装置33を示す。このとき、同図に示すように、アクチュエータ46は、非通電状態をとるので、ロックバー39は、付勢部材42の付勢力によって突出位置をとり、レバー43を下支えする。このため、レバー43は、先端が下に倒れ込む状態をとらないので、給電プラグ19をインレット24に自由に接続することが可能である。このとき、ロックバー39は、本体部40の段状部40aがレバー43の側面43aに当接することにより、抜け止めされる。
【0041】
図9に示すように、給電プラグ19をインレット24に挿し込むと、その挿し込み過程で、ロックアーム27がロックバー39を奥側に押し込む。このとき、ロックバー39は、ロックアーム27に押されることにより、付勢部材42の付勢力に抗して、引込方向(図9の矢印S1方向)に直線移動する。この押し込み時、ロックバー39は、上にレバー43を乗せた状態で奥に移動する。
【0042】
そして、図10に示すように、ロックアーム27が突部32を乗り越えると、ロックアーム27は付勢部材31の付勢力によって下に落ち込み、爪部29が突部32に係止する。このとき、ロックアーム27は、ロックバー39に対して下方向に移動するので、ロックバー39を横から押す状態を止める。このため、ロックバー39は、付勢部材42の付勢力によって突出方向(図10の矢印K1方向)に直線移動し、ロックアーム27及びレバー43の間に入り込む。よって、ロックアーム27の上方にロックバー39及びレバー43の両方が位置した状態となる。なお、このときのロックバー39は、爪部29の上面に形成された段部29aにて位置決めされる。
【0043】
これにより、ロックアーム27は、ロックバー39及びレバー43によって位置規制されて、開き側に揺動できなくなる。つまり、給電プラグロック装置33は、給電プラグ19をインレット24に固定したロック状態となる。なお、ロックバー39がロック位置をとったとき、プラグロック検出部49が機械的にオンする。
【0044】
続いて、給電プラグロック装置33がロック状態のとき、ドアロックのアンロック動作が実行されると、ドアのアンロック動作に連動して給電プラグロック装置33のアンロック動作をとる。このときは、図11に示すように、ドアロックモータ14にアンロック電流が流れることにより、アンロック側端子14aの電圧が高電位をとり、かつプラグロック検出部49がオンをとるので、電流Ibの一部がアクチュエータ46にも流れ、アクチュエータ46が動作する。
【0045】
図12に示すように、アクチュエータ46は、通電中、付勢部材42の付勢力に抗して、ロックバー39を引込方向(同図の矢印S1方向)に直線移動させて、引込位置に位置させる。ロックバー39は、引込位置に位置したとき、レバー43から完全に離間する。なお、アクチュエータ46の通電時間は、ドアロックモータ14が通電される数秒間のみとなっている。
【0046】
ロックバー39が引込位置に位置すると、レバー43は、ロックバー39による下支えがなくなるので、付勢部材45の付勢力によって、倒れ方向(図12の矢印K2方向)に回動して先端が下側に倒れ込む。このため、アクチュエータ46への通電停止後、ロックバー39は付勢部材42の付勢力によって突出方向に飛び出そうとするが、レバー43の側面43aにて位置規制され、略引込位置で位置が保持される。よって、ロックアーム27の上方には、回動が許容されたレバー43のみが位置する。つまり、給電プラグロック装置33がアンロック状態となる。
【0047】
図13に示すように、給電プラグ19をインレット24から引き抜くときは、給電プラグ19のロックアーム27の操作部30が押され、ロックアーム27が開き側に揺動操作される。このとき、ロックアーム27の爪部29の上方には、回動動作可能なレバー43のみが存在するので、ロックアーム27を問題なく持ち上げることが可能である。つまり、ロックアーム27の開き動作によってレバー43が持ち上がり方向(図13の矢印S2方向)に回動し、給電プラグ19の引き抜きが可能となる。
【0048】
そして、図13に示すように、レバー43が位置規制部41よりも高い位置をとると、ロックバー39はレバー43による位置規制が外れ、付勢部材42の付勢力によって突出方向(同図の矢印K1方向)に直線移動し、レバー43の下側に入り込む。続いて、給電プラグ19が引き抜き操作されると、その操作とともにロックバー39が突出方向に直線移動し、最終的にロックバー39が突出位置に位置する。よって、給電プラグ19をインレット24から引き抜いた後は、給電プラグロック装置33は元の図8の状態に復帰する。
【0049】
以上により、本例においては、給電プラグ19をインレット24に接続する際、その接続操作に連動して、ロックバー39はロックアーム27に押されながら奥に直線移動する。そして、その操作過程で、ロックアーム27が突部32に落ち込むと、ロックバー39が付勢部材42の付勢力によって飛び出し、ロックバー39及びレバー43がロックアーム27の上方に位置してロック状態となる。つまり、給電プラグ19の接続操作に連動して給電プラグロック装置33がロック動作をとる。
【0050】
このため、給電プラグ19をインレット24に接続するときのみ、給電プラグロック装置33にロック動作をとらせることが可能となるので、給電プラグロック装置33に無駄なロック動作をとらせずに済み、部品の早期劣化を抑制することが可能となる。また、給電プラグロック装置33は、給電プラグ19の接続操作に連動して機械的にロックする構造をとるので、ロック操作に際してボタン等を別途操作する必要がないので、利便性を確保することも可能となる。さらに、ロック動作に際して電力も不要であるので、車両1の電源の省電力化も可能となる。
【0051】
また、給電プラグロック装置33がロック状態の際、ロックバー39をアクチュエータ46によって奥に引き込んでレバー43から離間させると、レバー43がロックアーム27側に回動して、ロックバー39はレバー43の側面43aにて位置保持された状態となる。このため、ロックアーム27の上方には、レバー43のみが位置した状態となるので、ロックアーム27の揺動操作が許容され、給電プラグ19をインレット24から引き抜くことが可能となる。よって、ロック状態の給電プラグロック装置33を、問題なくアンロック状態に切り換えることが可能となる。
【0052】
本例の場合、アンロック動作時のロックバー39の引き込みは、アクチュエータ(吸引ソレノイド)46によって電気的に実行する。ところで、ロックバー39の引き込みは、レバー43が持ち上がり方向に回動して側面43aでロックバー39を位置保持するまで、一時的に行うだけでよい。よって、ロックバー39の引き込みに際してアクチュエータ46を通電するにしても、通電時間は短い時間で済むので、車両1の省電力化も可能となる。また、給電プラグロック装置33のアンロック動作は、車両ドアのドアアンロック連動となっているので、アンロック操作に際して特別な操作を別途必要としない。よって、アンロック操作時の利便性を確保することも可能となる。
【0053】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)本例の給電プラグロック装置33によれば、給電プラグ19をインレット24に接続するときのみ、その接続操作に連動してロック機構38が機械的に動作してロック状態となるので、部品の早期劣化を防止することができ、かつ利便性も確保することができる。
【0054】
(2)アンロック動作時のロックバー39の引き込みを、アクチュエータ46によって電気的に実行するので、ロックバー39の引き込みをユーザが手動で行う必要がない。よって、アンロック操作時の利便性を確保することができる。
【0055】
(3)アンロック時のロックバー39の引き込みをアクチュエータ46により行う場合、アクチュエータ46の通電は、ロックバー39がレバー43の側面43aに位置保持される一瞬でよい。このため、ロックバー39の引き込みを電動とした場合でも、アクチュエータ46の通電は一時的(車両ドアがアンロック動作する間)で済むので、車両1の電源の省電力化に一層効果が高くなる。
【0056】
(4)給電プラグロック装置33の構造を、回動するレバー43と直線移動するロックバー39とを組み合わせた簡素な構成とすることが可能となる。
(5)給電プラグロック装置33のアンロック動作を、車両ドアのアンロック動作に連動するようにした。このため、給電プラグロック装置33をアンロック状態に切り換えるとき、別途特別な操作が不要となるので、利便性をよくすることができる。
【0057】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・給電プラグロック装置33のロック状態を手動解除可能としてもよい。この場合、例えばロックバー39に、図8に示すノブ部51を設け、ノブ部51を手で引くことにより、ロック状態を解除する。よって、給電プラグロック装置33がロック状態のとき、何らかの要因でアクチュエータ46が動かずロックが解除できない状況になっても、ノブ部51を引き操作することによって、ロック状態を解除することができる。また、ノブ部51を例えばトランク内に配置すれば、電子キー6を所持した正規ユーザのみがドアロック解除にてランクを開けることでノブ部51を操作することができる。よって、不正な手動解除操作も防止することができる。なお、ノブ部51が手動解除手段に相当する。
【0058】
・給電プラグロック装置33のロック手動解除は、引き操作に限定されず、例えば押し操作としてもよい。また、手動解除手段は、ノブ部51を操作することでロック状態を解除する構造に限定されない。例えば、ワイヤー等でロックバー39を直に奥側に直線移動させるものでもよい。
【0059】
・バッテリ5の充電開始条件は、適宜変更可能である。例えば、プラグ接続検出センサ25がインレット24への給電プラグ19の挿し込みを検出し、かつ電子キー6とID照合が成立することを充電開始条件としてもよい。
【0060】
・プラグロック検出部49は、スイッチ類(マイクロスイッチ)に限定されず、例えばセンサを使用してもよい。
・アクチュエータ46の電気回路は、例えばアンロック側端子14aにプラグロック検出部49を介してスイッチ手段(トランジスタ、リレー等)接続し、このスイッチ手段のオン/オフを、アンロック側端子14aの電圧(電流)により切り換えることで、アクチュエータ46の動作を制御するものでもよい。
【0061】
・給電プラグロック装置33にICを設け、このICが、給電プラグロック装置33がロック状態をとることと、車両ドアがアンロック動作をとることとを確認したとき、アクチュエータ46にアンロック動作の電流を流すようにしてもよい。
【0062】
・アクチュエータ(駆動手段)46は、ソレノイドに限定されず、例えばモータ等を使用してもよい。
・バッテリ5の充電停止は、車両内のスイッチを切ることで行ってもよい。
【0063】
・給電プラグロック装置33のアンロック動作は、ドアロック連動とすることに限定されず、例えば手動操作式としてもよい。
・電子キーシステム7は、ワイヤレスキーシステムに限定されない。例えば、車両1からの通信を契機にID照合を行うキー操作フリーシステムや、通信にNFC(Near Field Communication)等の近距離通信を用いる近距離無線認証システムとしてもよい。
【0064】
・ワイヤレスキーシステムは、パワースライドドア開閉システムでもよい。
・1つの操作ボタン16が操作される度に、ドアロックの施錠と解除とが交互に実行されるシステムでもよい。
【0065】
・ケース34の気密性(防水性)を確保する防水機構を設けてもよい。防水機構としては、例えばロックボディ35とリッド36との間に設けたシール部材がある。
・ロックバー39は、直にロックアーム27の上方に位置してロックアーム27の揺動を規制する構造に限定されず、例えば所定部材を介してロックアーム27の揺動操作を規制するものでもよい。
【0066】
・ロック機構38は、本例の技術思想を満たすものであれば、どのような構造を採用してもよい。
・レバー部材は、軸La回りに回る回動部材に限定されず、例えば装置高さ方向Zにスライド移動可能な直線移動部材としてもよい。
【0067】
・車両1は、ハイブリッド車に限定されず、例えばモータのみで走行する電気自動車でもよい。
・給電プラグロック装置33は、車両1に適用されることに限らず、他の装置や機器に応用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
19…給電プラグ、24…インレット、27…ロックアーム、32…突部、33…給電プラグロック装置、38…ロック機構、39…ロック部材としてのロックバー、42…付勢部材、43…レバー部材としてのレバー、43a…側面、45…付勢部材、46…駆動手段としてのアクチュエータ、50…手動解除手段としてのノブ部、La…軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグに抜け止めの爪として設けられたロックアームをロック機構によって前記インレットの突部に固定することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、
前記ロック機構は、前記給電プラグの抜き挿し方向に直線移動可能なロック部材と、当該ロック部材を前記給電プラグ側に付勢する付勢部材と、前記インレットに挿し込まれた前記給電プラグに接近離間するレバー部材とを備え、
前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記レバー部材を乗せた状態の前記ロック部材が該ロックアームによって前記付勢部材の付勢力に抗して押し込まれ、該挿し込みの過程で該ロックアームが前記突部に落ち込むと、前記ロック部材が前記付勢部材の付勢力によって飛び出し、当該ロック部材及び前記レバー部材が前記ロックアームを固定してロック状態となり、
前記ロック部材を奥に引き込んで該ロック部材が前記レバー部材から離間したとき、前記レバー部材が前記ロックアーム側に動いて前記ロック部材を側面で位置保持することにより、前記ロックアームの可動を許容したアンロック状態となる
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、電気で動いて前記ロック部材を奥に引き込むことにより、前記ロック機構をアンロック状態に切り換える駆動手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記レバー部材は、前記給電プラグの抜き挿し方向を軸として回動可能であり、アンロック動作のとき、前記ロック部材が離間すると、付勢部材の付勢力により前記ロックアーム側に回動して前記ロックアームに当接し、前記側面で前記ロック部材を位置保持したアンロック状態となる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、ロック状態の前記ロック機構を手動操作によってアンロック状態に切り換え可能な手動解除手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記ロック機構は、車両ドアがアンロック動作をとるとき、前記駆動手段を駆動させることにより、前記車両ドアのアンロック動作に連動して、自身のアンロック動作を実行する
ことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続された際、前記給電プラグに抜け止めの爪として設けられたロックアームをロック機構によって前記インレットの突部に固定することにより、前記給電プラグの不正取り外しを防止する給電プラグロック装置において、
前記ロック機構は、前記給電プラグの抜き挿し方向に直線移動可能なロック部材と、当該ロック部材を前記給電プラグ側に付勢する付勢部材と、前記インレットに挿し込まれた前記給電プラグに接近離間するレバー部材とを備え、
前記給電プラグが前記インレットに挿し込まれるとき、前記レバー部材を乗せた状態の前記ロック部材が該ロックアームによって前記付勢部材の付勢力に抗して押し込まれ、該挿し込みの過程で該ロックアームが前記突部に落ち込むと、前記ロック部材が前記付勢部材の付勢力によって飛び出し、当該ロック部材及び前記レバー部材が前記ロックアームを固定してロック状態となり、
前記ロック部材を奥に引き込んで該ロック部材が前記レバー部材から離間したとき、前記レバー部材が前記ロックアーム側に動いて前記ロック部材を側面で位置保持することにより、前記ロックアームの可動を許容したアンロック状態となる
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、電気で動いて前記ロック部材を奥に引き込むことにより、前記ロック機構をアンロック状態に切り換える駆動手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記レバー部材は、前記給電プラグの抜き挿し方向を軸として回動可能であり、アンロック動作のとき、前記ロック部材が離間すると、付勢部材の付勢力により前記ロックアーム側に回動して前記ロックアームに当接し、前記側面で前記ロック部材を位置保持したアンロック状態となる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、ロック状態の前記ロック機構を手動操作によってアンロック状態に切り換え可能な手動解除手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記ロック機構は、車両ドアがアンロック動作をとるとき、前記駆動手段を駆動させることにより、前記車両ドアのアンロック動作に連動して、自身のアンロック動作を実行する
ことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−199014(P2012−199014A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61095(P2011−61095)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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