説明

給電プラグロック装置

【課題】ロック機構の構造を簡素化することができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】充電用インレットにキーシリンダ50を設け、メカニカルキーによってキーシリンダ50がロック位置に回動操作されると、キーシリンダ50の背面に形成したバー押込部66が、付勢部材46の付勢力に抗してロックバー44を後から押す。よって、ロックバー44が図中の左側に直進し、ロックバー44の肉抜き部48が凹部42に位置して、ロック機構43がアンロック状態になる。一方、キーシリンダ50がロック位置に回動操作されると、バー押込部66が離間してロックバー44が付勢部材46によって図中の右側に直進する。よって、移動規制部49が凹部42に位置してロックアームの爪部を上から押さえ付け、ロック機構43がロック状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インレットに給電プラグを接続した際に、給電プラグの接続をロックする給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、二酸化炭素の排出量の少ない車両として、例えばハイブリッド車や電気自動車等の普及が進みつつある。これら車両は、バッテリの電力でモータを回転させ、モータの駆動力を主に走行するものである。よって、長距離走行してバッテリの残量が減ると、バッテリ残量が少なくなる度にバッテリを充電しなくてはならない。
【0003】
バッテリへの充電は、例えば街の一角に設置された充電スタンドや、住宅のコンセントに繋いだ家庭用充電ケーブルによって行われる(特許文献1参照)。いずれにしても、ケーブル先端の給電プラグを車両のインレットに接続し、ケーブル側から電力を車両に流し込んでバッテリを充電する。給電プラグは、いわゆるケーブルの把持箇所であって、ガソリン給油口のようにインレットに挿し込む使用態様をとる。
【0004】
ところで、バッテリ充電は、バッテリの構成要素である電池セルにおいて化合物やイオンの電解反応を伴うため、充電時間が相対的に長くかかる現状がある。最近は、急速充電の開発が進んでいるものの、それでもなお、ある程度の充電時間が必要である。よって、バッテリ充電の際には、給電プラグを車両のインレットに接続したまま、車両を長時間に亘り放置することが想定される。このとき、悪意を持った第三者により給電プラグが他車両に付け替えられ、給電プラグの電力が盗難されることも想定される。
【0005】
よって、この種の給電プラグには、給電プラグを車両のインレットに接続した際に、この接続状態をロックするもの、つまりインレットから不正に取り外せなくする手段が有効となる。給電プラグに給電ロック装置を搭載すれば、ユーザの許可がなければ給電プラグをインレットから取り外すことができないので、給電プラグの電力が盗電されることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種の給電プラグロック装置には、例えば係止爪のようなものをスライド移動させて、給電プラグにロックさせることにより、給電プラグの取り外しをロックするものが想定される。しかし、このような型のものでは、ロックバーをスライド移動するための機構部品が必要となるが、この機構部品が複雑化してしまっては、給電プラグロック装置の構造複雑化に繋がり、これが普及の足枷となる問題が考えられる。
【0008】
本発明の目的は、ロック機構の構造を簡素化することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明では、インレットに給電プラグが接続された際、当該インレットに設けたロック部材を前記給電プラグに係止することにより、前記インレットからの前記給電プラグの不正取り外しを不可とする給電プラグロック装置において、前記インレットに設けたキーシリンダがメカニカルキーによって回動操作されると、当該回動操作に前記ロック部材が機械的に連れ動きしてロック位置又はアンロック位置に位置することにより、ロック又はアンロックが切り換わるロック機構を備えたことを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、インレットにキーシリンダを設け、キーシリンダを正規のメカニカルキーによって回動操作することにより、ロック部材をロック位置又はアンロック位置に切り換えて、ロック装置をロック状態又はアンロック状態にする。よって、本例の給電プラグロック装置においては、キーシリンダという一般に広く使用された部材を使用するので、給電プラグロック装置の構造を簡素化することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記キーシリンダは、前記キーシリンダの径方向外側に突出する押込部を備え、回動時において当該押込部により前記ロック部材を押すことによって、当該ロック部材を移動させることを要旨とする。
この構成によれば、ロック部材がキーシリンダの軸方向に配置されずに済むので、給電プラグロック装置をキーシリンダの軸方向において小型化することが可能となる。
【0012】
本発明では、前記ロック部材を室内側から操作することにより、前記ロック機構を手動でロック状態からアンロック状態に解除可能な手動解除機構を備えたことを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、ロック機構がロック状態のとき、仮にキーシリンダが故障しても、手動解除機構によってロック状態をアンロック状態に切り換えることが可能となる。よって、キーシリンダが故障するなどの状態に陥っても、インレットから給電プラグを取り外すことが可能となる。
【0014】
本発明では、前記ロック機構は、前記ロック部材とその収納部との間に、当該ロック部材を前記キーシリンダ側に付勢する付勢手段を備え、前記キーシリンダが回動操作されると、前記押込部によって前記ロック部材を前記付勢手段の付勢力に抗して押すことにより、前記ロック部材を移動させることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、ロック部材と収納部との間に単に付勢手段を配置し、ロック部材を付勢手段に抗して後から押込部によって押すことによってロック部材を動作させる構造としたので、給電プラグロック装置の構造簡素化に一層寄与する。
【0016】
本発明では、前記ロック機構は、押込部を前記キーシリンダに相対回動可能に取り付け、前記キーシリンダが一方向に回動操作された際、前記キーシリンダと前記押込部との間に設けた付勢手段により、前記押込部を前記キーシリンダに連れ回りさせて、前記ロック部材を移動させ、前記キーシリンダが他方向に回動操作された際、前記キーシリンダに設けた当接部によって、前記付勢手段の付勢力に抗して前記押込部を同一方向に押すことにより、当該押込部を前記キーシリンダと一体回動させて、前記ロック部材を移動させることを要旨とする。
この構成によれば、付勢手段を介してキーシリンダに押込部を相対回動可能に取り付ける構造としたので、ロック機構の主要部品を一箇所に集約することが可能となる。
【0017】
本発明では、前記ロック部材が障害物に規制を受けて動作できない状況となっても、前記キーシリンダの回動操作を許容しつつ、前記障害物による位置規制が解除されると、前記ロック部材を付勢手段によって自ら動作させる吸収機構を備えたことを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、仮にロック部材が障害物によって動けない状況となっていても、キーシリンダが移動操作された際には、吸収機構によってキーシリンダの回動操作自体は許容される。そして、キーシリンダの回動操作後、障害物による位置規制が解除されると、付勢手段の付勢力によってロック部材が自ら動作するので、ロック部材を移動先に動作させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、給電プラグロック装置のロック機構の構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の車両の概略構成を示すブロック図。
【図2】インレットに接続する前の給電プラグの一部破断側面図。
【図3】インレットに接続された給電プラグの一部判断側面図。
【図4】給電プラグをインレットに接続するときの態様を示す斜視図。
【図5】アンロック状態のロック機構を示す断面図。
【図6】ロック状態のロック機構を示す断面図。
【図7】キーシリンダの断面図。
【図8】図5のII−II線断面図。
【図9】ロック機構の主要部品の分解斜視図。
【図10】ロック機構の部品配置関係を示す模式図。
【図11】ロック機構を手動解除するときの態様を示す斜視図。
【図12】ロックバーに障害物が引っ掛かったときの一連の動作を示す作用図。
【図13】第2実施形態の給電プラグロック装置の部分斜視図。
【図14】ロック機構の分解斜視図。
【図15】アンロック状態のロック機構を示す断面図。
【図16】ロック状態のロック機構を示す断面図。
【図17】ロック機構を手動解除するときの態様を示す作用図。
【図18】ロックバーに障害物が引っ掛かったときの一連の動作を示す作用図。
【図19】別例のロック機構を示す模式図。
【図20】(a),(b)は他の別例のロック機構を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した給電プラグロック装置の一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
【0022】
図1に示すように、ハイブリッド車(以下、単に車両1と記す)には、車輪の動力源としてエンジン2及びモータ3が搭載されている。ハイブリッド式の車両1は、エンジン2の動力で走行するモードと、エンジン2の動力で発電してモータ3により走行するモードと、エンジン2及びモータ3の両方を動力として走行するモードと、モータ3のみで走行するモード等の各種モードにより走行する。
【0023】
この場合、車両1には、モータ3に電力を供給する電池ユニット4が設けられている。電池ユニット4には、電池ユニット4の動作を管理する電池ECU5と、複数の電池セルからなるバッテリ6とが設けられている。電池ユニット4は、筐体の中に電池ECU5と電池セル群とが組み込まれた1ユニット、いわゆるバッテリパックからなる。バッテリ6には、配線を介してモータ3が接続され、バッテリ6の電力によってモータ3が回転される。
【0024】
車両1には、電子キー7によって無線によりキー照合を行う電子キーシステム8が搭載されている。電子キーシステム8には、車両1からの問い合せ(リクエスト信号Srq)に電子キー7が応答してIDコード(ID信号Sid)を返信し、車両1がID照合を実行するキー操作フリーシステムがある。また、電子キーシステム8には、電子キー7上の各種ボタンを使用した遠隔操作によって、車載機器を動作させるワイヤレスキーシステムがある。
【0025】
この場合、車両1には、電子キー7との間でID照合を実行するキー照合装置9と、ドアロック動作を管理するドアロック装置10と、エンジンの動作を管理するエンジン始動装置11とが設けられ、これらが車内バス12によって接続されている。キー照合装置9には、キー照合装置9のコントロールユニットとして照合ECU(Electronic Control Unit)13が設けられている。照合ECU13のメモリ(図示略)には、車両1と組みをなす電子キー7のIDコードが登録されている。
【0026】
照合ECU13には、車外にLF(Low Frequency)帯の電波を発信する車外発信機14と、車内にLF帯の電波を発信する車内発信機15と、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信する車両チューナ16とが接続されている。車外発信機14及び車内発信機15は、電子キー7へのID返信要求としてリクエスト信号SrqをLF帯の電波によって送信し、いわゆるスマート通信の成立可否を試みる。
【0027】
照合ECU13は、リクエスト信号Srqに対する応答として電子キー7からID信号Sidを受信すると、ID信号Sid内のIDコードによりID照合としてスマート照合を実行する。照合ECU13は、車外の電子キー7とスマート照合、即ち車外照合が成立することを確認すると、ドアロック装置10によるドアロック施解錠を実行又は許可する。また、照合ECU13は、車内の電子キー7とスマート照合、即ち車内照合が成立することを確認すると、エンジンスイッチ17のプッシュ操作によるエンジン始動及び電源遷移を許可する。
【0028】
また、電子キー7には、電子キー7の遠隔操作によってドアロックの施解錠を切り換える施錠ボタン18及び解錠ボタン19が設けられている。そして、施錠ボタン18や解錠ボタン19が操作されると、操作ボタンに応じたワイヤレス信号Swlが電子キー7から送信される。ワイヤレス信号Swlを車両1が受信すると、ワイヤレス信号Swl内のIDコードでID照合が行われ、ID照合が成立すると、ワイヤレス信号Swlに種別に応じた動作が実行される。
【0029】
ハイブリッド式の車両1には、バッテリ6への充電を行う充電システム20が設けられている。充電システム20は、例えば街の一角に設置された充電スタンドや住宅の商用電源などを充電設備21として、充電設備21設けられた充電ケーブル22を車両1に接続してバッテリ6充電する。充電ケーブル22の先端には、図2〜図4に示すように、充電ケーブル22のコネクタ部位として給電プラグ23が設けられている。給電プラグ23は、いわゆる充電システム20の電源側であって、ノズル形状をなしている。
【0030】
一方、図1〜図4に示すように、車体24(図4参照)の左前側壁には、給電プラグ23の接続箇所として受電コネクタ25が設けられている。受電コネクタ25は、その収納室26(図4参照)が横開き式のリッド27によって開閉される。受電コネクタ25には、給電プラグ23の電気端子の接続口としてインレット28が設けられている。インレット28には、給電プラグ23が完挿されたことを検出するプラグ接続検出センサ29(図1参照)が設けられている。
【0031】
図2〜図4に示すように、給電プラグ23のプラグ本体30内には、接続時の抜け止めとしてロックアーム31が揺動可能に取り付けられている。ロックアーム31は、給電プラグ23の挿込方向(図2のY軸方向)に対して直交する方向を軸32として、この軸32回りに揺動する。ロックアーム31は、先端の爪部33と根元の操作部34とが、プラグ本体30の外部に露出されている。ロックアーム31において操作部34寄りの位置には、ロックアーム31を閉じ側に常時付勢する付勢部材35が取り付けられている。
【0032】
給電プラグ23を受電コネクタ25に接続する際には、給電プラグ23を受電コネクタ25へ真っ直ぐ挿し込む。このとき、図3の一点鎖線で示すように、インレット28の上壁面に形成された突部36の斜面36aによってロックアーム31が押されて、開き側(爪部33が上に移動する側)に揺動して斜面36aを登る。そして、図3の実線で示すように、給電プラグ23がインレット28に完挿されると、爪部33が斜面36aを登り切り、付勢部材35の付勢力によってロックアーム31が閉じ側(爪部33が下に移動する側)に揺動する。このため、爪部33が突部36に引っ掛かって、給電プラグ23がインレット28に抜け止めされる。
【0033】
電池ECU5は、インレット28に給電プラグ23が完挿されたことをプラグ接続検出センサ29により確認すると、照合ECU13にID照合結果を問い合せる。このとき、ID照合が成立していなければ、照合ECU13はスマート照合をリトライする。そして、ID照合成立済みの通知を取得すると、電池ECU5は、バッテリ6の電流経路上に配置されたスイッチ(図示略)をオンするなどして、給電プラグ23からバッテリ6への電流の流れ込みを許可する。これにより、給電プラグ23からの電力がインレット28及びパワー線37を経由してバッテリ6に流れ、バッテリ6が充電される。
【0034】
充電完了後、給電プラグ23をインレット28から取り外す際には、ロックアーム31の操作部34を下に押し込んでロックアーム31を開き側に揺動させる。このとき、爪部33と突部36との係止が解除されるので、この状態を保ちながら給電プラグ23を手前に引くことにより、給電プラグ23がインレット28から取り外される。
【0035】
図1,図4〜図6に示すように、受電コネクタ25には、インレット28に接続された給電プラグ23の不正な取り外しを防止する給電プラグロック装置38が設けられている。この場合、図4〜図6に示すように、給電プラグロック装置38には、略直方体形状のケース39が設けられている。ケース39は、例えば上部ハウジング40と下部ハウジング41とを組み付けることにより形成されている。ケース39には、ロックアーム31が突部36に対して係脱するときに通る凹部42が形成されている。
【0036】
ケース39の内部には、給電プラグロック装置38の機構部分としてロック機構43が設けられている。この場合、ケース39には、突部36に係止状態をとるロックアーム31の開き動作を規制する略棒形状のロックバー44が、装置幅方向(図5のX軸方向)に沿って直線往復移動可能に取り付けられている。ロックバー44を収納する収納部45の内壁面とロックバー44との間には、ロックバー44をロック側に常時付勢する付勢部材46が介装されている。付勢部材46は、例えばコイルばねが使用され、ロックバー44の上面に形成された段部47に配置されている。なお、ロックバー44がロック部材に相当し、付勢部材46が付勢手段に相当する。
【0037】
ロックバー44において先端寄りの位置(図5の紙面右端側)には、爪部33の通過を許容する肉抜き部48が形成されている。一方、ロックバー44において基端寄りの位置(図5の紙面左端側)には、突部36に係止状態をとる爪部33を上から押さえ付ける移動規制部49が形成されている。よって、ロックバー44は、肉抜き部48が凹部42に位置して爪部33の動きを許容するアンロック位置(図5の状態)と、移動規制部49が凹部42に位置して爪部33を上から押さえ付けるロック位置(図6の状態)とをとる。
【0038】
図5〜図9に示すように、ケース39には、ロック機構43のロック及びアンロックを切り換える際に操作するキーシリンダ50が設けられている。キーシリンダ50には、キー挿込穴51が形成され、キー挿込穴51にメカニカルキー52を挿し込んで回動操作が可能となっている。図7〜図9に示すように、キーシリンダ50には、キーシリンダ50の外枠として略円筒形状のロータケース53が設けられている。ロータケース53の内部には、略円柱状のロータ54がロータ軸L回り(図9参照)に回動可能に収納されている。図4に示すように、キーシリンダ50のキー挿込穴51は、収納室26においてインレット28の近傍位置に配置されている。
【0039】
図7〜図9に示すように、ロータ54の内部には、複数の板状のタンブラ55,55…がロータ軸Lに対して直交方向に直線移動可能に取り付けられている。タンブラ55は、ロータ54に開口形成されたタンブラ収納部56に摺動可能に収納されている。タンブラ55は、同一軸心位置をとって重ね配置されている。
【0040】
各タンブラ55の中央部には、メカニカルキー52の挿込箇所として通し孔57が貫設されている。タンブラ55には、タンブラ55をロータ軸直交方向に付勢する付勢部材58が取り付けられている。付勢部材58は、例えばコイルばねが使用され、タンブラ55とタンブラ収納部56の内壁面との間に介装されている。タンブラ55は、付勢部材58によって下方向に付勢されるものと、付勢部材58によって上方向に付勢されるものとが、ロータ軸方向において交互に配置されている。
【0041】
ロータケース53には、ロータ54の収納先としてロータ収納部59が貫設されている。ロータケース53の胴体部60には、タンブラ55の上下動を許容する複数(本例は4つ)の抜け止め部61a,61a,61b,61bが、ロータ周方向に等間隔に形成されている。これら抜け止め部61a,61bは、ロータ軸直交方向において向き合うもの同士が組をなし、紙面上下方向に並ぶ61a,61aがアンロック位置用であり、紙面左右方向に並ぶ61b,61bがロック位置用となっている。
【0042】
キーシリンダ50に正規のメカニカルキー52を挿し込むと、メカニカルキー52のキー溝によってタンブラ55が整列し、抜け止め部61a(61b)から抜け出る。このため、ロータ54の回動操作が可能となり、ロック位置やアンロック位置に回し操作可能となる。また、ロータ54をアンロック位置に回し操作した後、キーシリンダ50からメカニカルキー52を抜くと、タンブラ55が抜け止め部61aに係止する。このとき、ロータ54を直に回そうとしても、タンブラ55が抜け止め部61aの一対の当接壁62,62に当たって、ロータ54の不正回動操作が不可となる。なお、ロータ54がロック位置に位置する際には、タンブラ55が抜け止め部61bの一対の当接壁63,63に接触する。
【0043】
ロータ54の手前面には、ロータ54のキー挿込穴51を開閉する蓋部64が、付勢部材65を介して取り付けられている。メカニカルキー52を蓋部64に押し当てると、挿し込み操作に連動して蓋部64が内側に開いてメカニカルキー52の挿し込みが許容され、メカニカルキー52をキー挿込穴51から引き抜くと、蓋部64が付勢部材65の付勢力によって元の閉じ状態に戻る。
【0044】
ロータ54の背面には、キーシリンダ50の回動操作力をロックバー44に伝達する略円板形状のバー押込部66が、ロータ54と一体回動可能に設けられている。バー押込部66は、ロータ54において径方向の外側位置に延出するとともに、先端が円弧形状をなしている。バー押込部66は、ロータ54がロック位置をとるときにロックバー44を後から押し込むことが可能である。なお、バー押込部66が押込部を構成する。
【0045】
図5に示すように、ロータ54がメカニカルキー52によってアンロック位置に回動されると、バー押込部66が付勢部材46の付勢力に抗してロックバー44を後から押し、肉抜き部48が凹部42に位置する。つまり、ロックバー44が爪部33を上から押さえ付ける状態をとらず、ロック機構43がアンロック状態となる。
【0046】
一方、図6に示すように、ロータ54がメカニカルキー52によってロック位置に回動されると、バー押込部66がロックバー44から離間するので、ロックバー44が付勢部材46によってキーシリンダ50側に直線移動し、移動規制部49が凹部42に位置する。つまり、ロックバー44が爪部33を上から押さえ付ける状態をとり、ロック機構43がロック状態となる。
【0047】
キーシリンダ50がアンロック位置に位置した際、タンブラ55群は紙面上下方向の抜け止め部61a,61aの組と向き合う。また、キーシリンダ50がロック位置に位置した際、タンブラ55群は紙面左右方向の抜け止め部61b,61bの組と向き合う。よって、キーシリンダ50に挿し込まれたメカニカルキー52は、キーシリンダ50がロック位置又はアンロック位置のどちらに位置していても、キーシリンダ50から抜き取り可能となっている。
【0048】
図10に示すように、キーシリンダ50がアンロック位置をとる際、バー押込部66の軸心P1とロータ54の軸心P2とを結ぶ線R1と、ロックバー44の直進移動軌跡の線R2とは、互いに平行向きをとるように配置されている。このため、キーシリンダ50がアンロック位置をとる際、回し操作したメカニカルキー52から手を離しても、ロータ54がロックバー44によって回らず、その位置で保持される。
【0049】
ロック機構43には、ロック機構43のロック状態を手動でアンロックに解除可能とする手動解除機構67が設けられている。この場合、ロックバー44の上面には、手動解除機構67の操作箇所としてレバー部68が突設されている。レバー部68は、ケース39の上壁に形成された開口孔69から、ケース39の外部に引き出されている。レバー部68は、車内からのみ操作可能となるように、例えば助手席等の車内に露出配置されている。
【0050】
ロックバー44は、キーシリンダ50とバー押込部66を介して単に接触しているのみの構成である。よって、キーシリンダ50がロック位置に位置してバー押込部66がロックバー44から離間する際、キーシリンダ50に関係を受けることなく、ロックバー44はアンロック位置に操作可能である。このため、ロック機構43がロック状態の際、レバー部68を手動操作によって反キーシリンダ50側に直線移動させることにより、ロック機構43を手動によりアンロック状態に切り換え可能である。
【0051】
次に、本例の給電プラグロック装置38の動作を図5及び図6等に従って説明する。
インレット28に給電プラグ23を挿し込まないとき、図5に示すように、正規メカニカルキー52によってキーシリンダ50をアンロック位置に回動操作しておく。このとき、バー押込部66がロックバー44を後から付勢部材46に付勢力に抗して押すので、ロックバー44がキーシリンダ50から離間する位置をとる。よって、肉抜き部48が凹部42に位置してロック機構43がアンロック状態となるので、給電プラグ23をインレット28に接続可能となる。
【0052】
給電プラグ23をインレット28に接続した後、給電プラグロック装置38をロック状態にするには、正規ユーザならば所持するメカニカルキー52をキーシリンダ50に挿し込み、図6に示すように、キーシリンダ50を紙面時計回り方向に略90度回動操作する。つまり、キーシリンダ50をロック位置に回動操作する。
【0053】
このとき、バー押込部66がロックバー44から退避するので、ロックバー44が付勢部材46の付勢力によってキーシリンダ50側に直線移動する。よって、移動規制部49が凹部42に位置するので、ロックバー44が爪部33を上から押さえ付け、ロック機構43がロック状態となる。このため、正規メカニカルキー52を所持するユーザでなければ、ロック機構43を解除することができなくなり、充電中に車両1から離れても、給電プラグ23の付け替えによる盗電が生じない。
【0054】
また、図12に示すように、キーシリンダ50をアンロック位置からロック位置に回動操作した際、仮にロックバー44が障害物Mに引っ掛かって直進できない状況、つまり半嵌合が生じる場合がある。そこで、本例のロック機構43は、この半嵌合が解消されたとき、ロックバー44をロック位置に自ら直進させる吸収機構70としても機能する。つまり、ロックバー44は付勢部材46によって付勢されているため、給電プラグ23を位置合わせして半嵌合を解消すれば、付勢部材46の付勢力によってロックバー44が自らロック位置に動く。よって、半嵌合の場合も、ロックバー44は問題なくロック位置に移動する。
【0055】
続いて、給電プラグロック装置38をアンロック状態に解除するには、ロック位置にあるキーシリンダ50をメカニカルキー52によって、図5に示すように、紙面反時計回り方向に略90度回動操作する。つまり、キーシリンダ50をアンロック位置に回動操作する。
【0056】
このとき、バー押込部66がロックバー44の先端に当接するとともに、バー押込部66の円弧面によってロックバー44が付勢部材46の付勢力に抗して、反キーシリンダ50側に直線移動する。よって、肉抜き部48が凹部42に位置するので、爪部33がロックバー44から開放され、ロック機構43がアンロック状態となる。このため、爪部33を持ち上げることが可能となり、給電プラグ23をインレット28から取り外す操作が許可される。
【0057】
ところで、例えばキーシリンダ50が故障するなどして、ロック機構43のロックを解除することができない場合も想定される。このときは、正規ユーザならば電子キー7を所持しているはずなので、電子キー7によってドアロックを解錠して乗車して、車内からレバー部68を図11の矢印で示す方向に手動で操作する。これにより、ロックバー44がアンロック位置に位置するので、爪部33をロックバー44から開放することが可能となり、給電プラグ23をインレット28から取り外すことが可能となる。
【0058】
以上により、本例においては、インレット28にキーシリンダ50を設け、ロック機構43のロック又はアンロックの切り換えを、キーシリンダ50の回動操作によって行う構造とした。よって、ロック機構43の構造を、キーシリンダ50を使用した簡素な構造とすることが可能となる。このため、充電システム20に給電プラグロック装置38を搭載するとき、設置コストが大幅に増加したり、或いはインレット28の構造を複雑化させたりするなどの問題を考えずに済む。
【0059】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ロック機構43にキーシリンダ50を設け、キーシリンダ50を回動操作することによって、ロックバー44をロック位置又はアンロック位置に切り換えることにより、ロック機構43をロック状態又はアンロック状態にする。よって、ロック機構43を単にキーシリンダ50を使用した構造とすることが可能となるので、キーシリンダ50を簡素な構造とすることができる。
【0060】
(2)キーシリンダ50の径方向外側にバー押込部66を突出させ、このバー押込部66によってロックバー44を後から押し込むことによって、ロックバー44を直線移動させる。よって、ロックバー44がキーシリンダ50の軸方向に配置されずに済むので、ロック機構43ひいては給電プラグロック装置38をキーシリンダ50の軸方向において小型化することができる。
【0061】
(3)ロック機構43に手動解除機構67を設けたので、ロック機構43がロック状態のときに、仮にキーシリンダ50が故障しても、手動解除機構67によってロック機構43のロック状態を解除して、充電ケーブル22を車両1から引き抜くことができる。このため、ロック機構43がロック状態のときにキーシリンダ50が故障してもロック機構43が故障しても、車両1から充電ケーブル22を引き抜いて、車両1を走行させることができる。
【0062】
(4)本例のロック機構43は、ロックバー44と収納部45との間に付勢部材46を介装し、キーシリンダ50の背面に設けたバー押込部66によって、ロックバー44を後から付勢部材46の付勢力に抗して押し込むことにより、ロックバー44を直進移動させるものである。このため、ロック機構43の構造を、ロックバー44と収納部45との間に付勢部材46を単に介装した簡素な構造とすることができる。
【0063】
(5)ロック機構43に吸収機構70を設けたので、ロック機構43がアンロック状態からロック状態に切り換わるとき、仮にロックバー44が障害物Mによって動きが止められて半嵌合状態となっていても、障害物Mが取り払われれば、ロックバー44が付勢部材46によって自らロック位置に移動する動きをとる。よって、ロックバー44に半嵌合が生じていても、障害物Mの取り除きによって、ロックバー44をロック位置へ切り換えることができる。
【0064】
(6)図10に示すように、線R1と線R2とが平行向きをとるようにバー押込部66を設けたので、キーシリンダ50をメカニカルキー52によってアンロック位置に回動操作した後、メカニカルキー52から手を離しても、バー押込部66はアンロックの回動位置でロックバー44を支えることができる。よって、キーシリンダ50をアンロック位置に操作した後に、キーシリンダ50から手を離しても、その位置状態が保持されるので、ユーザの利便性をよくすることができる。
【0065】
(7)バー押込部66によってロックバー44が後から押し込まれていないとき、ロックバー44が付勢部材46の付勢力によって飛び出してロック位置をとり、バー押込部66によってロックバー44が付勢部材46の付勢力に抗して後から押されとき、ロック位置をとる。よって、ロックバー44は付勢部材46によって常にロック側に移動しようとする動きをとるので、これはロック動作が優先されていると言える。このため、給電プラグ23の不正取り外しに対するセキュリティ性確保に非常に効果が高いと言える。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図13〜図18に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態のロック機構43の構造を変更したのみの実施形態である。よって、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0067】
図13及び図14に示すように、ロータ54の背面には、ロータ54と一体回動可能な連結レバー71が、抜け止めピン72を介して取り付けられている。連結レバー71には、円形状の貫通孔73が形成され、ロータ54の背面に突設された係止突部74に貫通孔73が通されている。なお、連結レバー71が押込部を構成する。
【0068】
連結レバー71には、連結レバー71の径方向に沿って延びる延出部75が形成されている。延出部75には、ロータ54の略径方向に沿って孔が延びる長孔76が形成されている。長孔76には、ロックバー44の基端に突設された係止ピン77が係入されている。キーシリンダ50のロック位置又はアンロック位置への操作に伴い、ロータ54とともに連結レバー71が回動すると、係止ピン77が長孔76内を動くことによって、連結レバー71の回動運動がロックバー44の直線運動に変換される。
【0069】
図14〜図16に示すように、係止突部74には、係止突部74の一部分を切り欠くことによって略扇形状の切欠部78が形成されている。貫通孔73の内周面には、切欠部78に嵌り込む略台形状の突片79が突設されている。切欠部78と突片79との間には、ロックバー44を手動解除可能とする遊びスペース80が形成されている。ロックバー44が図16に示すロック位置をとるとき、遊びスペース80の分だけ、ロックバー44を手動で戻し操作することが可能である。なお、切欠部78及び突片79が当接部を構成する。
【0070】
ロータ54と連結レバー71との間には、連結レバー71をロック側(図15に示す矢印方向)に常時付勢するトーションばね81が介装されている。キーシリンダ50がアンロック位置からロック位置に回動操作されると、連結レバー71がトーションばね81の付勢力によって回ることにより、連結レバー71がロータ54と同一方向に一体回動する。また、キーシリンダ50がロック位置からアンロック位置に回動操作されると、切欠部78が突片79を押すことにより、連結レバー71がロータ54と同一方向に一体回動する。なお、トーションばね81が付勢手段を構成する。
【0071】
さて、図15に示すアンロック状態のロック機構43をロック状態とするには、キーシリンダ50にメカニカルキー52を挿し込んで、キーシリンダ50を紙面反時計回りに回動操作する。このとき、ロータ54が同図の矢印方向に回動するとともに、トーションばね81の付勢力によって、連結レバー71もロータ54と一体回動する。よって、ロックバー44が紙面左側に直進移動し、図16に示すように爪部33の上方に入り込み、ロック機構43がロック状態となる。
【0072】
一方、図16に示すロック状態のロック機構43をアンロック状態とするには、キーシリンダ50にメカニカルキー52を挿し込んで、キーシリンダ50を紙面時計回りに回動操作する。このとき、切欠部78が突片79を押す動きをとるので、連結レバー71はトーションばね81の付勢力に抗してロータ54と同一方向に一体回動する。よって、ロックバー44が紙面右側に直進移動し、図15に示すように、ロックバー44が爪部33から離間し、ロック機構43がアンロック状態となる。
【0073】
また、例えばキーシリンダ50が故障するなどして、ロック機構43のロックを解除することができない場合も想定される。このときは、電子キー7によってドアロックを解錠して乗車し、車内からレバー部68を図17の矢印で示す方向に手動で操作する。このとき、遊びスペース80が利いて、連結レバー71の回転動作が許容されるので、ロックバー44がアンロック側に直進移動する。よって、爪部33をロックバー44から開放することが可能となり、給電プラグ23をインレット28から取り外すことが可能となる。
【0074】
また、図18に示すように、アンロック位置のロックバー44が障害物Mによってロック側に直進できない半嵌合の状況下で、ロータ54がロック位置側に回動操作された際には、遊びスペース80が利いてロータ54の回動は許容される。そして、障害物Mが取り除かれると、トーションばね81の付勢力によって連結レバー71がロック側に自ら回動し、ロックバー44がロック位置に直進移動する。よって、半嵌合が発生していても、障害物Mを取り除いた後は、ロック機構43を問題なくロック状態に移行させることが可能となる。
【0075】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(3),(5)に加え、以下の効果を得ることができる。
(8)本例のロック機構43は、キーシリンダ50の背面に連結レバー71を相対回動可能に取り付け、キーシリンダ50と連結レバー71との間に、トーションばね81を介装したものである。よって、ロック機構43の主要部品をキーシリンダ50に集約することができる。
【0076】
(9)連結レバー71に形成した長孔76にロックバー44の係止ピン77を係入して、ロックバー44と連結レバー71とを連結するので、これら2部品を一体化することが可能となる。よって、部品の脱落を生じ難くすることができる。
【0077】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1実施形態において、バー押込部66でロックバー44を押し込んだときをロック状態とし、バー押込部66がロックバー44から離間してロックバー44が付勢部材46によって押されたときをアンロック状態としてもよい。
【0078】
・第1実施形態において、付勢部材46は、ロックバー44を後から押すコイルばねに限らず、ロックバー44を一方向に押すことのできるものであれば、配置箇所や部品種類を適宜変更可能である。
【0079】
・第1実施形態において、バー押込部66は、キーシリンダ50がロック位置に回動されたとき、線R1と線R2とが平行をとる位置に配置されることに限定されない。例えば、図19に示すように、ロックバー44よりも下側に軸心P2が位置するようにキーシリンダ50を配置し、この位置をとるキーシリンダ50から斜め上方に連結レバー71を突出させてもよい。
【0080】
第1実施形態において、バー押込部66は、略円板形状に限定されず、例えば棒状などの他の形状が採用可能である。例えば、図20(a),(b)に示すような位置関係をとるバー押込部66を採用してもよい。
【0081】
・第2実施形態において、連結レバー71の形状は、環状の部材に側部から延出部75が伸びる形状に限定されない。つまり、ロータ54と付勢部材(トーションばね81)を介して一体回動可能であれば、他の形状に変更可能である。
【0082】
・第2実施形態において、トーションばね81は、一端が連結レバー71に係止され、他端がロータケース53に係止されることに限定されない。例えば、一端は連結レバー71に係止されるものの、他端はロータ54に係止されてもよい。
【0083】
・第2実施形態において、連結レバー71とロックバー44とは、長孔76と係止ピン77で連結される構造に限定されない。例えば、連結レバー71がロックバー44を後から単に押す構造でもよい。
【0084】
・第1及び第2実施形態において、連結レバー71の延出部75は、ロータ54の径方向に突出する形状に限定されない。例えば、延出部75がロータ54の背面からロータ軸方向に突出する形状としてもよい。
【0085】
・第1及び第2実施形態において、キーシリンダ50は、実施形態に示した種類(構造)のものに限定されず、適宜変更可能である。
・第1及び第2実施形態において、手動解除機構67は、ロックバー44に突設したレバー部68を手で操作する構造に限定されない。例えば、ロックバー44にワイヤを繋ぎ、ワイヤを引くことでロックバー44を手動でアンロック位置に動かすものでもよい。
【0086】
・第1及び第2実施形態において、キーシリンダ50のロック時又はアンロック時の回し方向は適宜変更可能である。また、ロック状態やアンロック状態のときのキー挿込穴51の向きも適宜変更可能である。
【0087】
・第1及び第2実施形態において、充電開始の条件に、給電プラグロック装置38のロックを含ませてもよい。
・第1及び第2実施形態において、ロックバー44は、棒形状をとることに限らず、例えば平板状や扇状などの他の形状を採用してもよい。
【0088】
・第1及び第2実施形態において、付勢部材46はコイルばねに限らず、他の付勢手段を使用してもよい。また、トーションばね81も同様である。
・第1及び第2実施形態において、ロック機構43は、ロックアーム31の爪部33を受電コネクタ25側のロックバー44により上から押さえ付けることによりロックするものに限定されない。例えば、単にピン部材を給電プラグ23に係止することにより、給電プラグ23をインレット28に固定するものでもよい。
【0089】
・第1及び第2実施形態において、ロックアーム31は、実施形態の配置に対して上下反転した状態で配置してもよい。
・第1及び第2実施形態において、車両1は、ハイブリッド車に限定されず、例えば電気自動車としてもよい。
【0090】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1〜6のいずれかにおいて、前記ロック部材は、前記キーシリンダの回動操作に伴ってロック位置又はアンロック位置に直線移動する部材である。この構成によれば、ロック機構の構造を、ロック部材が単に直線移動する簡素な構造とすることが可能となる。
【0091】
(ロ)請求項1〜6、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記キーシリンダは、ロック位置又はアンロック位置のそれぞれで回動位置が保持される。この構成によれば、キーシリンダをメカニカルキーによってロック位置やアンロック位置に回動操作した後、メカニカルキーから手を離しても、ロック機構がロック状態やアンロック状態で保持されるので、利便性をよくすることが可能となる。
【0092】
(ハ)請求項4又は6、前記技術的思想(イ)又は(ロ)のいずれかにおいて、前記ロック部材は、前記付勢部材が延びた状態にあるときにロック状態をとり、前記キーシリンダの回動操作によって前記付勢部材が縮んだ状態にあるときにアンロック状態をとる。
【符号の説明】
【0093】
23…給電プラグ、28…インレット、38…給電プラグロック装置、43…ロック機構、44…ロック部材としてのロックバー、45…収納部、46…付勢手段を構成する付勢部材、50…キーシリンダ、52…メカニカルキー、66…押込部を構成するバー押込部、67…手動解除機構、70…吸収機構、71…押込部を構成する連結レバー、78…当接部を構成する切欠部、79…当接部を構成する突片、81…付勢手段を構成するトーションばね、M…障害物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続された際、当該インレットに設けたロック部材を前記給電プラグに係止することにより、前記インレットからの前記給電プラグの不正取り外しを不可とする給電プラグロック装置において、
前記インレットに設けたキーシリンダがメカニカルキーによって回動操作されると、当該回動操作に前記ロック部材が機械的に連れ動きしてロック位置又はアンロック位置に位置することにより、ロック又はアンロックが切り換わるロック機構を備えた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
前記キーシリンダは、前記キーシリンダの径方向外側に突出する押込部を備え、回動時において当該押込部により前記ロック部材を押すことによって、当該ロック部材を移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記ロック部材を室内側から操作することにより、前記ロック機構を手動でロック状態からアンロック状態に解除可能な手動解除機構を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記ロック部材とその収納部との間に、当該ロック部材を前記キーシリンダ側に付勢する付勢手段を備え、前記キーシリンダが回動操作されると、前記押込部によって前記ロック部材を前記付勢手段の付勢力に抗して押すことにより、前記ロック部材を移動させる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記ロック機構は、押込部を前記キーシリンダに相対回動可能に取り付け、前記キーシリンダが一方向に回動操作された際、前記キーシリンダと前記押込部との間に設けた付勢手段により、前記押込部を前記キーシリンダに連れ回りさせて、前記ロック部材を移動させ、前記キーシリンダが他方向に回動操作された際、前記キーシリンダに設けた当接部によって、前記付勢手段の付勢力に抗して前記押込部を同一方向に押すことにより、当該押込部を前記キーシリンダと一体回動させて、前記ロック部材を移動させる
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項6】
前記ロック部材が障害物に規制を受けて動作できない状況となっても、前記キーシリンダの回動操作を許容しつつ、前記障害物による位置規制が解除されると、前記ロック部材を付勢手段によって自ら動作させる吸収機構を備えた
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−22814(P2012−22814A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158214(P2010−158214)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】