説明

絶縁基板上に薄層を堆積させることにより加熱素子を製造する方法、及びそれにより得られた素子

絶縁基板上に薄層を堆積させることにより加熱素子を製造する方法、及びそれにより得られた素子であって、
−前記方法は、少なくとも一つの低い粗さRaの滑らかな領域(1a)−(1b)と、少なくとも一つのより高い粗さRaxを有する領域(1c)と、を得るために、前記基板(1)の表面状態を調整する。
−前記方法は、これらの様々な領域(1a)、(1b)、及び(1c)に高い導電性材料を塗布する。
−前記方法は、材料(2)の滑らかな領域(2a)及び(2b)を電気出力源(3)に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁基板上の加熱素子を製造するために、薄層堆積の技術分野に関連している。
【0002】
本発明は、自動車産業における反射面、または航空機産業における飛行機の最先端の翼のように、デミストまたは除氷表面の分野における有利な応用を有している。
【背景技術】
【0003】
当業者に知られているように、加熱素子は、「コールドゾーン」として参照される低い電気抵抗を特徴とする領域、及び実効的な加熱部分を構成しているより高い電気抵抗を有する領域を特徴とする領域よりなる。
【0004】
一つの加熱素子の設計において、ゾーンの各々を通る電流の強度は同一となるように、二つのコールドゾーンは一連に接続されることによりホットゾーンと関連している。
【0005】
前記コールドゾーンの機能は、外部源から得られた電流供給と接続すること、及び前記電流を加熱部分の末端に均一に分散させることである。
【0006】
読者は、電力は抵抗×電流の二乗であり、及び高い電気抵抗を有し、ホットゾーンとして参照される領域において、電流の流れは大きな電力上昇をもたらすことを思い起こす。反対に、前記コールドゾーンは可能な限り最低の電気抵抗を有するという事実を踏まえて、電気接続から最小の熱出力が除去される。
【0007】
同様に、抵抗は抵抗率×その断面積で割られた導体の長さに等しく、上述したパラメータ:抵抗率、長さ、断面積のいずれかを変更することにより抵抗値を修正することが可能である。
【0008】
例えば、真空蒸着法を用いる薄層加熱素子の一つの実施例において、少なくとも二つの異なる抵抗率の材料を用いることができ、それらの各々は、トラックの形態で(ホットゾーン)加熱部分、及び一つ以上のコレクターまたはドレインを連続的に構成させるために特定のマスクを通して堆積される。前記二つの材料は、固有の抵抗率に依存して選択され、それらの断面積は、前記コールドゾーンに必要なコンダクタンス値、前記加熱部分に必要な抵抗値に依存して決定される。
【0009】
加熱被覆が、前記被覆の厚さを調節することにより十分に高い電気抵抗を得ることを可能とさせない場合、ついては電流が流れる距離を増大させるためにトラックの形態で堆積された抵抗の長さを変更することが必要になる。
【0010】
上記のように、二番目に高い導電性材料がドレインとして作用するために前記抵抗の端部に堆積される。これは例えば特許文献1及び特許文献2の開示を引用できる。
【0011】
他の実施形態において、堆積された抵抗がトラックの形態ではない場合、ドレインとして知られているストライプの形態で製造された導電性被覆を通して、電気接続は抵抗性被覆の両側でなされうる。そのような解法は、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5において開示されている。特許文献3において開示されたように、前記加熱層は透明な導電性材料で作られ、及びそれは如何なる温度上昇なしにドレイン機能を満たすために銀の高い導電層に関連している。
【0012】
当該技術の現状の結果として、薄層を堆積することにより加熱素子を製造する段階は、二つの段階を含んでいる。
−第1段階は、抵抗の場合、マスクを通してトラックの形態で抵抗を堆積すること、または前記基板の全表面上に直接抵抗を堆積することである。トラックは同様に、前記抵抗の堆積を選択的に除去することにより製造されてもよい。
−第2段階は、ドレインを製造するために他のマスクを通して他の被覆を堆積することである。
【0013】
それ故、二つの異なる材料を用いること、及び前記二つの堆積工程の間にマスクを操作することが必要である。
【0014】
当該技術の現状は、二つの段階で製造された過熱素子を示す図1に概略的に図示されている。前記加熱素子は、セラミック、ガラス、またはプラスチック等のような電気絶縁材料で作られた基板(C)よりなる。僅かに導電的な被覆(B)は、前記基板(C)の全体表面にわたって堆積される。例えば、ジェネレータ(G)のような電気出力源を接続するためのドレイン(A)を製造するため、第2の高い導電性被覆を堆積することを可能にするために、マスクはその端部を覆わないような方法で、マスクが被覆(B)の上に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第7226301号明細書
【特許文献2】特許第8124707号明細書
【特許文献3】国際公開第0158213号
【特許文献4】国際公開第03095251号
【特許文献5】米国特許第4543466号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
当該技術の現状を発端とする、本発明が解決することを目的としている問題は、単一材料を用いる単一の堆積工程で薄膜の過熱素子を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そのような問題を解決するために、絶縁基板上に薄層を堆積することによる加熱素子を製造するための方法が考え出され、及び完成されており、それによって、
−前記方法は、少なくとも一つの低い表面粗さRaの滑らかな領域、及び少なくとも一つの高い表面粗さRaxを有する領域、を得るために前記基板の表面状態を調整する。
−前記方法は、これらの様々な領域に高い導電性材料を塗布する。
−前記方法は、前記滑らかな領域を電気出力源に接続する。
【0018】
この場合において、この方法の結果として、電気抵抗及び低い粗さの領域よりなるドレインを同時に製造するために、前記加熱素子は単一の堆積工程で製造されうる。
【0019】
それ故、もはや二つの異なる材料を用いること、または前記被覆を製造する工程の間に異なるマスクを適用する必要がない。
【0020】
本発明による当業者にとって反対に直感的に、高い導電性材料は、前記コールド部分またはドレインとしてだけではなく、加熱部分として利用される。
【0021】
この基本設計に始まり、
−前記方法は、滑らかな及び荒い領域の全てを被覆するために前記基板全体にわたって高い導電性材料の層を堆積する。
−前記方法は、前記滑らかな領域の部分及び前記荒い領域の部分を被覆するトラックを形成するために高い導電性材料の層を堆積する。
【0022】
一つの実施形態において、前記方法は、二つの滑らかな領域の間に、隆起した荒い表面を製造する。
【0023】
本発明は同様に、ジュール効果を用いる少なくとも一つの加熱部分と、少なくとも一つの隆起した荒い領域Raxよりなる少なくとも一つの電気接続部分と、及び少なくとも一つの低い粗さRaの滑らかな領域と、を有する絶縁基板上に薄層を堆積することにより得られる加熱素子に関連している。前記領域は、高い導電性材料の薄層により被覆され、電気出力源は前記滑らかな領域に接続されている。
【0024】
利用できる高い導電性材料は、ただ単の情報として、及び限定されないが、アルミニウム、銅、銀、金、及びより一般的に言えば、大気温度において30×10S.m−1をこえる固有の導電率を有する任意の材料を含む。
【0025】
他の態様によると、前記滑らかな領域の粗さRaは、0.5μmより低い。
【0026】
一つの実施形態において、前記基板は、より高い粗さRaxの領域に並んで位置された低い粗さRaの滑らかな領域を有している。
【0027】
他の実施形態において、前記基板は、より高い粗さRaxの領域に並んで位置された低い粗さRaの二つの滑らかな領域を有している。
【0028】
以下がこの方法から明らかとなる。
−高い導電性材料の薄層が、前記様々な領域を被覆するために前記基板の全体表面にわたって堆積される。
−高い導電性材料の薄層が、前記様々な領域を被覆するトラックの形態で堆積される。
【0029】
抵抗比R2/R1が、係数α1及びα2の二乗の比をこえる、すなわち、R2/R1>(α2)/(α1)のとき、特に有利な結果が達成される。ここで、
R1=低い粗さ(Ra)の滑らかな領域の抵抗(オーム)
R2=高い粗さ(Rax)の領域の抵抗(オーム)
α1=表面形状測定装置を用いて走査される、長さで割られた滑らかな領域の展開長さ
α2=表面形状測定装置を用いて走査される、長さで割られた高い粗さの領域の展開長さ
【0030】
本発明は、以下でより詳細に説明され、参照は添付の図面によってなされる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、従来技術による加熱素子の概略図である。
【図2】図2は、図1と同等の上面図である。
【図3】図3は、本発明により得られた加熱素子を示す図1と類似の概略断面図である。
【図4】図4は、図3と同等の上面図である。
【図5】高い導電性被覆がトラックの形態で堆積された加熱素子の他の実施形態の概略上面図である。
【図6】高い導電性被覆がトラックの形態で堆積された加熱素子の他の実施形態の概略上面図である。
【図7】滑らかな領域及び荒い領域を有する素子の概略斜視図である。
【図8】被覆が前記円筒形領域の外部上に堆積された後の、図7に等しい図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図3及び図4は、任意の既知の適切なタイプの電気的な絶縁基板(1)上に本発明の態様により得られた加熱素子の第1の実施形態を示している。
【0033】
本発明の一つの基本的な態様によると、前記基板(1)の表面状態は、一般的に0.5μmより小さい低い粗さRaの滑らかな領域(1a)及び(1b)、及び必然的に0.5μmをこえる高い粗さRaxの領域(1c)を得るために調整される。
【0034】
高い導電性材料よりなる被覆(2)が、基板(1)の全体表面領域にわたって領域(1a)、(1b)及び(1c)と同一面上に堆積される。高い導電性材料の導電率は大気温度で30×10S/mをこえる。このように、一方で、より高い粗さを有する領域(1c)上の領域(2c)は、前記素子の加熱部分を構成しているのに対して、基板(1)の滑らかな領域(1a)及び(1b)上の領域(2a)及び(2b)はジェネレータ(3)のような電気出力源を接続するためのドレインを構成している。
【0035】
電気抵抗は、前記基板の領域(1c)の表面粗さを調整することにより調整される。同様に、粗さの特性を結び付け、及び抵抗値を調整するために、前記被覆の厚さを調整することが可能である。
【0036】
被覆(2)は、例えば前記被覆を堆積させる前にマスクを配置することにより、または前記被覆を選択的に除去することによりトラックの形態で堆積されうる。
【0037】
低い粗さの表面は、温度上昇を減少させ、及び結果として前記堆積の損傷を避けることを可能にできる低い抵抗を促すので、トラックを製造するために、曲げ区域の近辺において低い粗さの表面を選ぶことが重要である、ということが確立されている。
【0038】
一つの有利な実施形態は、高い粗さRax(1c)の隆起した中心領域と、低い粗さ(Ra)の二つの側部領域(1a)及び(1b)と、を有する基板(1)を示した図5において図示されている。低い粗さのトラック(2)の曲げ区域(2d)が位置された領域(1a)は、ジェネレータ(3)を電気的に接続するためにドレインの付近におけるものと同様に、加熱を避けることを可能にしている。
【0039】
示された図において、前記基板は、より高い粗さRaxの領域の両側に位置された低い粗さRaの二つの滑らかな領域(1a)及び(1b)を有している。あるいは、前記基板は、より高い粗さRaxの領域に並んで位置された低い粗さRaの単一の滑らかな領域を有していてもよい。同時に、電気的な導電性被覆よりなるトラック(2d)はことなる形状で製造されうる。図5及び6を参照する。
【0040】
図7において、前記基板は、低い粗さの領域(1b)及び高い粗さの領域(1c)を有している。被覆(2)は、領域(2c)(高い粗さの領域)及び電気ジェネレータ(3)が接続される領域(2b)(低い粗さの領域)において円筒形表面の外側に堆積される。
【0041】
本発明により第1に、前記素子がトラックの形態であるかどうかに関わらず、前記導電性被覆を堆積する前の前記基板の表面状態の局所修正は、単一材料を用いる加熱素子を製造することを可能にさせるという利点を強調させる必要がある。
【0042】
ポリマー基板の場合、例えば、注入成型ダイの表面上の隆起した領域によって前記基板が製造される場合、この表面状態の調整は上流で製造されうる。
【0043】
この表面状態の調整は同様に、サンドブラスティングのような既知の技術、または問題となっている前記基板の粗さを調整する他の適切な手段により、堆積の前に前記基板上に直接得られうる。
【0044】
電気的に導電性である基板の場合、第1の絶縁被覆は、前記加熱素子を堆積する前に塗布されうる。
【0045】
ここで留意すべきは、本発明による前記加熱素子の基本的特性を製造するために、本発明は次のどちらかを採用する。
−例えば、粗さRaの二つの滑らかな領域の間に高い粗さRaxの領域を得るために、処理される低い粗さRaの基板を用いる
−例えば、高い粗さRaxの領域の両側に低い粗さRaの二つの領域を得るために、処理される高い粗さRaxの基板を用いる
【実施例1】
【0046】
実施例1において、真空蒸着法を用いて銅がポリカーボネート上に堆積された。
【0047】
ポリカーボネート基板は、ストリップ形態であり、第1の表面粗さの値Ra=0.02μmを有する。これらのポリカーボネート基板は、真空蒸着の前にサンドブラスティングを受け、これはそれらの粗さをRa=4.9μmに増大させる。
【0048】
前記ストリップの端部は、電気的な結合機能及を満たすために、及び電流を均一に分布させるために滑らかさを保った。
【0049】
抵抗の三つのタイプが、各表面状態上に製造された。前記抵抗の長さは、98mmであり、及びそれらはそれぞれ5、12、及び24mm幅である。粗さのプロファイルが、各々の表面状態の展開長さを計算するために用いられた。
【0050】
電気抵抗は、電流を印加し、及び前記抵抗の端子を交差する電圧を測定することで特徴付けられた。全ての基板は、真空蒸着装置内で同時に被覆された。前記基板は同様に、前記蒸着源と相対的に、同一に配置された。
【0051】
0.01μmより低い粗さRaを有する試料ガラス基板上に堆積された銅の測定された厚さは、1.15μmである。
【0052】
粗さの試験片が図3及び図4において示された原理に従って準備された。
【0053】
【表1】

【0054】
αは、表面形状測定装置を用いて測定された長さによって割られた展開長さである。表において、粗い表面は1で示され、滑らかな表面は2で示される。
【0055】
α=展開寸法/見かけの寸法
【0056】
粗さは長さ及び表面の展開幅を増大させる効果を有していることは明らかである。
【0057】
電気抵抗Riの値は、一般的に以下の式で示される。
Ri=ρ×L×αi/((e/(α×α))×l×α
=ρ×L×α×α/(e×l)
【0058】
表面iの展開長さ(L)はL×α、表面iの幅(l)はl×αであり、及び表面i上の堆積厚さ(e)はe/(α×α)となり、堆積した体積(V)は変わらないままとなる。V=V=L×α×l×α×e/(α×α)=L×l×e
【0059】
これは、当業者に対して、電気抵抗の比(R2/R1)が係数αの二乗の比に等しくなるべきである(R2/R1=(α2×α2)/(α1×α1))と断定することに我々を導く。
【0060】
実験的結果は、3つの電気抵抗幅に対して、粗さの領域が電気抵抗を比R2/R1において3.1から3.2に増大させることを明示している。
【0061】
このような因子による増大は、滑らかな領域において電気抵抗として高い導電性材料を用いることを可能にしており、被覆は短絡のように作用し、及び加熱素子のように利用することができない。
【0062】
結果は同様に、驚くべきことに、比R2/R1は係数αの二乗の比をはるかにこえているので、電気抵抗の増加が表面の粗さの形状効果に最初に起因していないことを明示している。さらに、理論的なアプローチを導入すると、1.2だけの因子による電気抵抗の増加は、短絡を加熱抵抗に変えることを可能にしないので、表面の粗さを変えるという考えは当業者に対して即座に明らかとならないだろう。
【実施例2】
【0063】
実施例2において、実施例1と同様の材料が真空蒸着法を用いてポリスルホン上に体積された。粗さの試験片は図3、4、及び5において示された方式に従って準備された。抵抗の長さは45mmであり、及びこれらはそれぞれ12mmと23mm幅である。
【0064】
【表2】

【0065】
この実施例において、電気抵抗の増加は表面粗さの形状効果に一致しないことが明らかとなる。展開長さの変化は、抵抗の増加を表していない。
【実施例3】
【0066】
この実施例において、加熱素子はポリカーボネート片上に製造された。トラックを得るために堆積の前にマスクが試験片上に位置される。
【0067】
四つの部分(加熱素子)が比較のために製造された。
【0068】
第1部分では、前記基板の表面状態が変更されず、及びRaはおおよそ0.02μmである。
【0069】
第2部分では、前記基板全体の表面状態が変更され、Raはおおよそ4.92μmである。
【0070】
第3部分では、前記基板の表面状態は、曲げの周囲で変更されず、及び電気接続の近く及びこれらの領域内でRaはおおよそ0.02μmである。
【0071】
前記トラックの周囲において、粗さは0.02μmから4.89μmまでサンドブラスティングにより増大された。片3は図3、4、及び5において示された方式に従って製造された。
【0072】
銅は、PVDを用いてこれらの最初の三つの片上に堆積された。この堆積の厚さは、滑らかな表面において測定され、Ra=0.02μm及び0.5μmである。
【0073】
片4では、当該技術の現状の方式(図1及び2)に従って、前記部分の表面は0.02μmの粗さを有している。第1の抵抗性NiCr合金の0.1μmの層が第1のマスクを通して堆積された。この最初の堆積の後で、第2のマスクが前記部分上に配置され、及びそれから0.5μmの銅層が図5に定義されたように端部領域上に堆積された。
【0074】
決定された全体の電気抵抗を有して、それからジュール効果による温度上昇を測定するために抵抗に12Vが印加された。前記温度上昇測定の間の周囲温度は20℃であった。
【0075】
【表3】

【0076】
[結果]
第1部分は非適合である。過度に滑らかな表面状態は、非常に低い抵抗をもたらす。12Vが前記抵抗に印加されたとき、高いアンペア数に起因する過度の温度上昇は、ガラス転移温度である150℃より上にその温度を上昇させることにより基板に損傷を与える。
【0077】
第2部分は非対応である。流線が非常にしっかりと詰められている電気接続の周囲の温度上昇は、堆積及びこれらの接続の近くで基板に損傷を与える。
【0078】
第3部分は適合である。温度が媒体を損傷させることなく、除氷またはデミストのような応用に適合している値まで上昇するように、抵抗値は電流の流れを制限している。電気接続及び電流密度が高いトラック構造の曲げの近くで、滑らかな表面は、局所的な過熱を避ける低い抵抗を提供する。
【0079】
最後に、第4部分は加熱素子として利用されうるという事実にも関わらず、非適合である。実際に、前記構造は、非常に異なる伝導率を有する二つの材料を用いて、及び二つの段階で堆積を実施し、及びこれらの二つの段階の間でマスクを使用して得られた。これは、本発明が排除を目的としている結果としての欠点を有する当該技術の現状に相当している。
【0080】
有利な点は説明から容易に明らかとなる。電気抵抗とドレインの両方を得るために単一材料を用いて単一の製造段階で加熱素子を得る能力が、強化され、及び特に強調されている。
【符号の説明】
【0081】
1 基板
1a、1b 滑らかな領域
1c 領域
2 高い導電性材料
2a、2b 滑らかな領域
2c 領域
2d 曲げ区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板(1)上に薄層を堆積することにより加熱素子を製造する方法であって、
前記方法は、少なくとも一つの低い粗さRaの滑らかな領域(1a)−(1b)と、少なくとも一つのより高い粗さRaxを有する領域(1c)と、を得るために、前記基板(1)の表面状態を変更し、
前記方法は、これらの様々な領域(1a)、(1b)、(1c)に高い導電性材料(2)を塗布し、
前記方法は、材料(2)の滑らかな領域(2a)及び(2b)を電気出力源(3)に接続する。
【請求項2】
前記滑らかな領域(1a)及び(1b)、及び粗い領域(1c)の全てを被覆するために、前記方法は、前記基板(1)全面上に高い導電性材料の層を堆積することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
滑らかな領域(1a)及び(1b)の一部分、及び粗い領域(1c)の一部分を被覆しているトラックを形成するために、前記方法は、高い導電性材料(2)の層を堆積することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、二つの滑らかな領域(1a)と(1b)の間に隆起した粗い領域(1c)を製造することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの電気的な加熱部分と少なくとも一つの電気的な接続部分を有する絶縁基板(1)上に薄層を堆積することにより得られた加熱素子であって、前記部分は、少なくとも一つの低い粗さRaの滑らかな領域(1a)及び(1b)と、少なくとも一つの高い粗さRaxの領域(1c)と、よりなり、前記領域(1a)、(1b)、及び(1c)は、高い導電性材料(2)の薄層で被覆されており、電気出力源(3)は、被覆(2)の滑らかな領域(2a)及び(2b)に接続されている。
【請求項6】
前記滑らかな領域の前記粗さRaは、0.5μmより低いことを特徴とする請求項5に記載の素子。
【請求項7】
前記基板(1)は、より高い粗さRaxの領域に並んで堆積された低い粗さRaの滑らかな領域を有していることを特徴とする請求項5に記載の素子。
【請求項8】
前記基板は、より高い粗さRaxの領域に並んで堆積された低い粗さRaの二つの滑らかな領域を有していることを特徴とする請求項5に記載の素子。
【請求項9】
前記高い導電性材料(2)の薄層は、前記様々な領域(1a)、(1b)、及び(1c)を被覆するために、前記基板の全体表面にわたって堆積されることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか一項に記載の素子。
【請求項10】
前記高い導電性材料(2)の薄層は、前記様々な領域(1a)、(1b)、及び(1c)を被覆するトラックの形態で堆積されることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか一項に記載の素子。
【請求項11】
前記高い導電性材料の導電率は、大気温度で30 10S/mをこえることを特徴とする請求項5ないし10のいずれか一項に記載の素子。
【請求項12】
高い導電性材料(2)は、銅、アルミニウム、銀、または金であることを特徴とする請求項5ないし11のいずれか一項に記載の素子。
【請求項13】
基板(1)は、絶縁材料で作られていることを特徴とする請求項5ないし11のいずれか一項に記載の素子。
【請求項14】
基板(1)は、絶縁層で被覆された導電性材料で作られていることを特徴とする請求項5ないし11のいずれか一項に記載の素子。
【請求項15】
前記電気抵抗の比R2/R1は、係数α1及びα2の二乗の比をこえる、すなわち、R2/R1=(α2)/(α1)であることを特徴とする請求項5ないし14のいずれか一項に記載の素子。
ここで、
R1=低い粗さRaの滑らかな表面の抵抗(Ω)
R2=より高い粗さRaxの領域の抵抗(Ω)
α1=表面形状測定装置を用いて走査された、長さで割られた前記滑らかな領域の展開長さ
α2=表面形状測定装置を用いて走査された、長さで割られた前記高い粗さの領域の展開長さ
【請求項16】
デミストまたは除氷の反射表面のために、請求項5ないし15のいずれか一項に記載の加熱素子の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−512008(P2011−512008A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545528(P2010−545528)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050111
【国際公開番号】WO2009/098421
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(506126266)
【Fターム(参考)】