説明

締まり嵌め式のローブドライブシステム及びその製造方法ならびに製造装置

【課題】改善されたローブドライブシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】締結部品(10)は、交互に配置された複数のローブ(24)及び溝(22)を含む凹部(18)を備え、この溝(22)とローブ(24)は、それぞれ、ねじりが加えられ、または、角度が付けられている。締結部品(10)は、既存のマルチローブ式ドライバ(38)で回転させることができる。あるいは、角度付き、または、よじれた溝とローブとを有するドライバを凹部(18)に係合させて締結部品(10)を回転させてもよい。パンチピン(60)は、交互に配置された複数のローブ(66)及び溝(22)を含むパンチヘッド(62)を備え、この溝(64)及びローブ(66)は、ねじりが加えられ、または、角度が付けられている。パンチピン(60)のパンチヘッド(62)は、締結部品(10)の頭部(12)に凹部(18)をパンチングによって形成する。装置(80)は、パンチピン(60)を、締結部品(10)の頭部(12)に凹部(18)を形成した後に、凹部(18)をよじるように回転可能に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、ローブドライブシステムに関し、より詳細には、ローブドライブシステム及びその製造方法ならびに製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
締結部品は、単純な機械から非常に複雑なスペースシャトルにわたり、多くの構成及び機構において重要な部品である。これらの締結部品が重大な機能を果たすので、その構成上及び機能特性上の改良が絶えず図られている。かかる改良の一例が、トルクス(登録商標)ドライブシステムである。かかるシステムは、例えば、ドライブソケットや、締結部品の頭部、あるいは、ドライブビットまたはソケットに採用され、加工対象物に締結部品を入れ込むことに利用されている。
【0003】
トルクスドライブシステムの構造及び利点が、特許文献1に開示されている。この文献の内容を、参照として本明細書に取り込む。トルクスドライブシステムは、締結部品の産業界において多大な影響を与えた改良の一例である。
【0004】
トルクスドライブシステムの用途の一例が、特許文献2に開示されている。この文献の内容を、参照として本明細書に取り込む。具体的に説明すると、この文献のドライブビットは、ビットが締結部品の凹部またはソケットに挿入された際に、ビットと締結部品との間にくさび効果を奏して締結部品をドライブビット上に保持する手段を備え、これによって加工対象物への締結部品の片手での取り付けが容易となる。かかる片手での取り付けは、多数の締結部品が単一または複数の加工対象物に取り付けられたりする用途、例えば、アセンブリラインにおいて実用上非常に望ましい。この種の摩擦による係合は、また、非磁性のドライブ及び締結部品を使用することが好ましい用途において望ましい。さらに、特許文献2の特定の構造によれば、加工対象物を損傷させるおそれがある、締結部品の「移動」または「首振り」が防止される。かかる「移動」または「首振り」は、パイロットホールが使用されていない場合、あるいは、セルフタッピング若しくはセルフドリリング式のねじを手で取り付ける際に、特に深刻な問題となる。ドライブビットもまた、自己位置合わせ式であるので、ドリルねじを使用する際に非常に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3584667号明細書
【特許文献2】米国特許第4269246号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に係る発明によって提供される締結部品及びドライブビットまたはアセンブリは、非常に有用ではあるものの、さらなる改善または改良の余地がある。具体的に説明すると、特許文献2のドライブビットは、主要な直径上で3度の角度が付けられたテーパ形状を有する。そこで、ドライブビットは、ビットが挿入される締結部品のソケットの上端において締結部品と接触する。より詳細に説明すると、ビットと締結部品のソケットとの接触は、ビットの丸型凸部(ローブ)の外側の先端及びソケット内の溝の中央において生じる。ビットは、その主要な直径にわたって押し込まれる。そこで、上述したくさび効果は、論理上は、6箇所の接触「点」において生じ、この数は、ビットとソケットとの間にある溝とローブとのそれぞれの数に等しい。ビットとソケットとのくさび効果は、ドライブビットのローブの外側の縁においてのみ生じるので、非常に大きな機械的応力がそれらの限定的な箇所に加わる。かかる応力が集中することにより、ビットが過剰に磨耗したり、あるいは、寸法上の許容誤差に狂いが生じたりすることとなる。
【0007】
さらに、ビットと締結部品との制限的な接触のため、ビットが締結部品のソケットから自然と外れる傾向があった。そのため、ドライブビットの実効寿命の減少、すなわち、首振りを防止する機能及びビットと締結部品との締まり嵌めによる一体性が減少してしまい、これによって片手での取り付けがより困難となっていた。加えて、ソケットの主要な直径にわたって測定して、ソケットの落としこみのばらつきは、除去することが困難であり、ドライブビットのソケット内への挿入の深さに悪影響を与え、従って、締結部品を回転させるのに十分なビットのソケット内への挿入に不均一さを生じていた。
【0008】
様々なローブドライブシステムが現在のところ利用可能であるが、締まり嵌めを改善したローブドライブシステムが求められている。かかる締まり嵌めは、締結部品が締め付けられたときに強化される傾向があり、また、締結部品が緩められたときに低減される傾向がある。従って、締結部品が一旦取り付けられれば、ある程度の不正開封防止機能が得られることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、改善されたローブドライブシステムを提供することを一の目的とする。
【0010】
本発明は、また、改善された締まり嵌めを実現するローブドライブシステムを提供することを別の目的とする。
【0011】
本発明は、一つのローブごとに、少なくとも二つの接触点を有するローブドライブシステムを提供することを他の目的とし、かかる接触点は、一つは、ローブの先端であり、他方は、後端である。
【0012】
本発明は、ある程度の不正開封防止機能が得られるローブドライブシステムを提供することをさらに他の目的とする。
【0013】
様々な態様において本発明を実施することが可能であり、そのうちの一部を図示して説明する。本発明の一の実施形態によれば、ドライバのヘッド(またはドライバビット)、ドライバソケット、締結部品の頭部、または締結部品のソケットにおいて具体化可能なドライブシステムが提供される。
【0014】
例えば、本明細書で開示する、本発明の一の具体的な実施形態は、締結部品という形態をとり、この締結部品は、交互に配置された複数のローブ及び溝を含むソケットまたは凹部を有し、各ローブ及び各溝は、それぞれ、よじれ、または、角度が付けられている。各ローブ及び各溝がよじれ、または角度が付けられていることにより、各ローブ毎に少なくとも2つの接触点という態様で、締まり嵌めが不正開封防止機能とともに向上する。この接触点の一つは、ローブの先端であり、他方は後端である。
【0015】
6つ、またはマルチローブ式の設計におけるそれ以上の数のローブのそれぞれにおける2つの接触点による係合は、論理上の最大限である。耐性と使用による磨耗により、それよりも少ない数の各ローブ毎の接触点またはローブで係合が生じるようになることもある。
【0016】
締結部品は、既存のマルチローブドライバ(例えば、特許文献1に記載のものと同一のもの)を用いて回転させることができる。あるいは、締結部品は、本発明の別の実施形態に係るドライバを用いて回転させることもできる。かかるドライバは、交互に配置された複数のローブ及び溝を備えたドライブヘッドを有し、このローブ及び溝は、よじれ、または角度が付けられている。
【0017】
本発明の他の実施形態は、パンチピンの態様をとり、このパンチピンは、交互に配置された複数のローブ及び溝を有するヘッドを備え、このローブ及び溝は、角度またはねじりが加えられている。パンチピンのヘッドは、締結部品の頭部をパンチし、これによって上述した凹部を形成する。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態は、装置の態様をとり、この装置は、パンチピンを保持して締結部品の頭部に凹部を形成するのに用いる。この装置は、例えば、ピン保持部と、ベアリングと、パッキンとを備え、これらは全てケース内に収容されている。装置は、パンチピンを、回転自在に保持する。そこで、装置は、締結部品の頭部にパンチピンのヘッドをパンチするのに使用でき、また、締結部品に形成された凹部からパンチピンのヘッドを退避させる際に、パンチピンのヘッドを効率的に回転させながら凹部から退避させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、改善されたローブドライブシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一の実施形態に係る締結部品を示す拡大斜視図である。
【図2】図1に示す締結部品の拡大側面図である。
【図3】図1に示す締結部品の拡大平面図である。
【図4】図1〜3に示す締結部品を示す、図3の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図1〜4に示す締結部品を回転させることができるマルチローブ式ドライバビットを示す斜視図である。
【図6】図1〜4に示す締結部品の頭部に形成された凹部に、図5に示すドライバビットのヘッドが挿入された状態を示す図である。
【図7】図6に示す締結部品の凹部を透視し、ドライバビットのヘッドとの係合をより明確に示す図である。
【図8】締結部品と係合したドライバビットを示す平面図である。
【図9】図8の9−9線に沿った断面図である。
【図10】図7の10−10線に沿った断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係るパンチピンであって、図1〜4に示す締結部品の頭部に凹部を形成するためのパンチピンを示す斜視図である。
【図12】図11に示すパンチピンのヘッドを示す拡大斜視図である。
【図13】図11に示すパンチピンの一端を示す拡大図である。
【図14】本発明の実施形態に係る、図11に示すパンチピンを形成するための方法を説明するブロック図である。
【図15】パンチピンを用いて締結部品の頭部に凹部をパンチにより形成する装置の断面図である。
【図16】本発明の実施形態に係る、締結部品に凹部をパンチによって形成するための方法を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々な態様の実施形態を採用することができるが、具体的な実施形態について図示して以下に詳細に説明する。しかしながら、本明細書の開示は、本発明の原理を例示するためのものであり、本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。
【0022】
図1〜4に、本発明の一の実施形態に係る締結部品10を示す。この締結部品10は、頭部12と、この頭部12の底部16から延伸するねじ軸部14とを備える。ソケットまたは凹部18が頭部12の上部20に設けられ、この凹部18は、交互に配置された複数の溝22及び丸型凸部(ローブ)24を備え、凹部18の底部26は、略円錐形である。溝及びローブの数は、異なっていてもよいが、6つのローブ24及び6つの溝22が配置されていることが好ましく、それぞれが、等間隔で凹部の外周に沿って配置され、かつ、隣接するローブ24が、一の溝22によって離間している。
【0023】
配置される溝及びローブの数に関係なく、図1〜4に示す締結部品10の頭部12の凹部18内に配置された溝22とローブ24とは、その形状が真っ直ぐである特許文献1の構成とは異なり、よじれまたは角度が付けられている。好ましくは、溝22とローブ24とは、凹部18内において、締結部品10の頭部12の上部20から、凹部18の底部26に向かって、時計回り方向に角度が付けられている。図3は、凹部18を覗き込んだ場合に見えるローブ24の先端または先端壁28を示す。なお、その後縁または後端壁30は、基本的にこの視線では見ることができない。
【0024】
図4は、溝22及びローブ24のよじれの角度を最もよく示している。図4は、図3中の4−4線に沿った断面図である。図4において、よじれの角度に参照符号32を付す。この角度は、締結部品10の長手軸36と平行な線34に対する角度である。好ましくは、この角度は、少なくとも3度で、最大で12度であるが、その他の角度を選択しても差し支えない。ひねりの角度が大きくなればなるほど、不正開封防止機能が高められ、凹部18にドライバを係合させても、加工対象物のねじ穴から締結部品10を取り外そうと反時計回り方向に回転させるとドライバが凹部18から外れる傾向が高まる。
【0025】
図5(また、特許文献1参照)に示すような既存のマルチローブ式ドライバまたはドライバビット38は、締結部品10を回転させるのに用いることができ、このドライバまたはドライバビット38は、締結部品と係合する部分またはドライブヘッド40を備え、このドライブヘッド40に交互に配置された複数の溝42及びローブ44を備える。ドライブヘッド40を、ツールシャンク部46を備えたドライバビット38(図5参照)に配置することができることは、当業者にとって自明であり、このツールシャンク部46は、好適なツール、例えば、レンチ、ドリルなど(図示せず)と係合可能に構成されているので、ビット38、ひいては締結部品10にトルクを加えることができる。あるいは、ドライブヘッド40は、ビットを用いることなく、ドライバに直接配置されていてもよい。本明細書においては、ドライバビットを具体例として図示して説明したが、「ドライバ」という語は、両方の場合を含む語として用いる。
【0026】
図6は、かかるドライバ38のヘッド40が、図1〜4に示す締結部品10の頭部12と係合した状態を示す。図7に示すように、ドライバ38のヘッド40は、締結部品10の頭部12のソケットまたは凹部18と係合する。具体的に説明すると、ドライバ38のヘッド40のローブ44は、凹部18の溝22と係合し、同時に、締結部品10のソケットまたは凹部18のローブ24は、ドライバ38のヘッド40の溝42と係合する。
【0027】
図10は、図7の10−10線に沿った断面図であり、ドライバ38のローブ44と溝42とが、締結部品10の頭部12の凹部18の溝22とローブ24とのそれぞれに係合した状態を示す。ドライバ38のヘッド40は、既存のものであり、その溝42とローブ44とは、締結部品10の頭部12の凹部18のローブ24と溝22とは異なり、よじれが加えられたり、または、角度が付けられたりしていない。図9(図8の9−9線に沿った断面図)に示すように、ドライバ38のヘッド40が凹部18と係合した場合、ドライバ38のヘッド40のローブ44と、凹部18の溝22との間、すなわち、図9に示す部分48と部分50との間に、締まり嵌めまたはくさび作用が生じる。論理的には、ドライバ38の各ローブ44毎に、2つの接触点がある。一つは、各ローブ44の先端52にあり、もう一方は、各ローブ44の後縁54にある。ドライバ38の6つのローブ44のそれぞれ毎の2つの接触点による係合、あるいは、マルチローブ式の設計における多数の接触点による係合は、論理上の最大限である。耐久性と使用による磨耗とから、より少ない数の接触点またはローブによって係合が生じることとなる場合もある。同様の締まり嵌めまたはくさび作用が、締結部品10の頭部12の凹部18内のローブ24と、ドライバ38のヘッド40の溝42との間においても生じる。
【0028】
好ましくは、締結部品10の頭部12の凹部18内の溝22とローブ24とのよじれの程度は、締結部品10を加工対象物に取り付ける際にドライバヘッド40が凹部18から外れないようにするのに十分なドライバヘッド40の挿入の深さが得られる限度を超えるものではない。かかる構成によって得られる「外れ」に対する抵抗により、加工対象物のねじ穴に締結部品10を取り付ける際に、端部荷重は不要となる。しかしながら、セルフタッピングまたはセルフドリル式のねじを使用する場合には、パイロット穴は設けられていない場合が多い。そこで、セルフタッピング式のねじを使用する場合、加工対象物へねじをタップまたはドリルすることを容易にするため、端部荷重が必要となる。ドライバヘッド40により、特定の接線/点による接触構造が得られるので、ドライバ38は、この必要な端部荷重を、セルフタッピングねじが加工対象物に取り付けられる際にセルフタッピングねじが首振りまたは移動するのを最小限にすることに利用することができる。したがって、締結部品10の凹部18の溝22とローブ24とのよじれまたは角度により、外れを防止するとともにドライバ38に対して締結部品10を位置合わせする手段が提供されるだけでなく、首振りを低減する手段が提供される。
【0029】
締結部品10の頭部12の凹部18内の溝22とローブ24とのよじれまたは角度が時計回り方向に向かっているので、ドライバ38のヘッド40と締結部品10の頭部12の凹部18との間の締まり嵌めは、ドライバ38を時計回り方向に回転させた際、すなわち、ドライバ38が締結部品10を固定するのに用いられた際に強化される。一方、ドライバ38のヘッド40と締結部品10の頭部12の凹部18との間の締まり嵌めは、ドライバ38が反時計回り方向に回転された際、すなわち、ドライバ38が締結部品10を緩めようとするのに用いられた際に低減される。換言すると、締結部品10の頭部12の凹部18内の溝22とローブ24とのよじれの角度の方向により、ドライバ38が、反時計回り方向に回転させられた際に、凹部18から外れる傾向がある。これにより、ある種の不正開封防止機能が実現される。この不正開封防止機能は、凹部18内のローブ24と溝22とのひねりの角度を増やすことにより、さらに高めることができる。
【0030】
さらに、本実施形態によれば、ドライバもまた、角度付き、または、よじれを加えた溝及びフルートを採用することができる。これにより、ドライバが凹部18との係合から外れる傾向が高まり、従って不正開封防止機能が得られる。ドライバの溝及びローブのよじれの程度は、締結部品10の頭部12の凹部18内の溝22及びローブ24のよじれの程度と実質的に同程度か、あるいはそれ未満とすることができる。なお、ドライバは、締結部品に対して必要なトルクを加えるのに十分な構成上の一体性を備えた適切な材料から構成されている。
【0031】
締結部品の頭部の凹部に関連して、よじれを加えた溝及びローブについて、ドライバまたはドライバビットのドライブヘッドの場合についても同様に説明したが、かかるドライブシステムは、ドライブソケット及び/または締結部品の頭部において交互によじれを加えた溝及びローブを配置した構成を採用してもよい。
【0032】
図11は、本発明の実施形態に係るパンチピン60を示し、このパンチピン60は、上述した締結部品10に凹部18をパンチによって形成するのに用いられる。パンチピン60は、図12に部分的に拡大して示すパンチヘッド62を備え、このパンチヘッド62は、交互に配置された溝64及びローブ66を備え、この溝64及びローブ66は、よじれが加えられ、または、角度が付けられている。好ましくは、溝64とローブ66とは、溝64とローブ66との底部72において、パンチピン60のヘッド62の上面68から、パンチピン60の肩部70に向けて時計回り方向に角度が付けられている。そこで、パンチピンの端部68を覗き込むようにした状態を示す図13では、ローブ66の壁74を見ることができ、一方で、ローブ66の壁76は、基本的に見ることができない。よじれの程度は、締結部品10の凹部18において望ましい最大限のよじれの程度(例えば、上述したように、3度から12度)と同じである。パンチピン60は、締結部品10の頭部12に凹部18をパンチによって形成するのに十分な構成上の一体性と硬度とを備えた適切な材料から形成することができる。
【0033】
締結部品10の頭部12に凹部18をパンチによって形成することに関して、パンチピン60について説明したが、このパンチピン60は、また、ドライブソケットに凹部を形成するのにも使用することができ、凹部が形成されたソケットは、その後、締結部品の頭部と係合して回転させることに使用でき、かかる締結部品の頭部は、本発明の実施の形態に従って、(従来どおり)真っ直ぐな、または、ひねりが加えられた溝とローブとを備える。
【0034】
図14に示すように、パンチピン60を形成するには、まず、既存のパンチピンを形成し、次に、パンチピンをよじってパンチヘッドによじれを加える。最後に、パンチピンの一端をカットして所定の長さにするとともに、パンチピンの端部に円錐形の縁端を形成する。
【0035】
図15に、本発明の実施形態に係る装置80を示す。装置80は、図11に示すパンチピン60を保持し、このパンチピン60を用いて図1に示す締結部品10に凹部18をパンチによって形成する。図15に示すように、装置80は、好ましくは、ピン保持部82と、ベアリング84と、パッキン86とを備え、これらは既存のパンチ機器とともに使用可能なケース88内に収容されている。装置80は、パンチピン60を回転可能に保持する。換言すると、パンチピン60は、ピン保持部82及びベアリング84に対して自由に回転可能である。図16のブロック図に示すように、装置80は、締結部品10の頭部12内にパンチピン60のパンチヘッド62をパンチによって形成する既存のパンチ機器とともに使用可能であり、次に、締結部品10に形成された凹部18からパンチピン60のパンチヘッド62を退避させる際に、パンチピン60のヘッド62は凹部18から効率的に回転しながら退避できるので、凹部18にダメージを与えずによじれが加えられた、または、角度が付けられた溝22及びローブ24を形成することができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について図示して説明したが、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲で様々な応用及び変更が可能であることは、当業者にとっては自明である。
【符号の説明】
【0037】
10 締結部品
12 頭部
14 ねじ軸部
16 底部
18 凹部(ソケット)
20 上部
22 溝
24 ローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部(20)及び底部(16)を備えた頭部(12)と、
前記頭部(12)の前記底部(16)から延伸するねじ軸部(14)と、
を備えた締結部品(10)であって、
前記頭部(12)の前記上部(20)にソケット(18)が設けられ、
前記ソケット(18)は、複数の溝(22)と複数のローブ(24)とを交互に備えており、
前記溝(22)と前記ローブ(24)とは、よじれている
ことを特徴とする締結部品(10)。
【請求項2】
前記ソケット(18)は、6つのローブ(24)と、6つの溝(22)とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部品(10)。
【請求項3】
前記複数のローブ(24)と前記複数の溝(22)とは、それぞれ、前記ソケット(18)の外周に沿って等間隔で離間されている
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部品(10)。
【請求項4】
前記ローブ(24)と、前記溝(22)とは、前記ソケット(18)内において、締結部品(10)の頭部(12)の上部(20)から前記ソケット(18)の底部(26)に向けて時計回り方向に角度が付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部品(10)。
【請求項5】
前記ソケット(18)を覗き込むと、前記ローブ(24)の先端壁(28)は視認可能であり、後端壁(30)は視認不能である
ことを特徴とする請求項4に記載の締結部品(10)。
【請求項6】
前記ローブ(24)と前記溝(22)とは、締結部品(10)の長手軸(36)に対して平行な線(34)に対し、少なくとも3度の角度でよじれている
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部品(10)。
【請求項7】
前記ローブ(24)と前記溝(22)とは、締結部品(10)の長手軸(36)に対して平行な線(34)に対し、最大で12度の角度でよじれている
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部品(10)。
【請求項8】
前記ローブ(24)と前記溝(22)とは、締結部品(10)の長手軸(36)に対して平行な線(34)に対し、3〜12度の間の角度でよじれている
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部品(10)。
【請求項9】
ドライバ(38)のヘッド(40)が前記ソケット(18)に係合した際に、ドライバ(38)のヘッド(40)のローブ(44)と締結部品(10)の当該ソケット(18)の前記溝(22)との間でくさび作用が生じるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の締結部品(10)。
【請求項10】
締結部品(10)の前記頭部(12)の前記ソケット(18)内の前記ローブ(24)とドライバ(38)のヘッド(40)の溝(42)との間でも、同様のくさび作用が生じるように構成されている
ことを特徴とする請求項9に記載の締結部品(10)。
【請求項11】
所定の部品(10)に凹部(18)を形成するためのパンチピン(60)であって、
交互に配置された複数の溝(64)及び複数のローブ(66)を備えるパンチヘッド(62)を備え、
前記溝(64)と前記ローブ(66)とは、よじれている
ことを特徴とするパンチピン(60)。
【請求項12】
前記パンチヘッド(62)は、6つのローブ(66)と6つの溝(64)とを備える
ことを特徴とする請求項11に記載のパンチピン(60)。
【請求項13】
前記複数のローブ(66)と前記複数の溝(64)とは、それぞれ、前記パンチヘッド(62)の外周に沿って等間隔で離間されている
ことを特徴とする請求項11に記載のパンチピン(60)。
【請求項14】
前記ローブ(66)と前記溝(64)とは、パンチピン(60)の長手軸に対して平行な線に対し、少なくとも3度の角度でよじれている
ことを特徴とする請求項11に記載のパンチピン(60)。
【請求項15】
前記ローブ(66)と前記溝(64)とは、パンチピン(60)の長手軸に対して平行な線に対し、最大で12度の角度でよじれている
ことを特徴とする請求項11に記載のパンチピン(60)。
【請求項16】
前記ローブ(66)と前記溝(64)とは、パンチピン(60)の長手軸に対して平行な線に対し、3度〜12度の間の角度でよじれている
ことを特徴とする請求項11に記載のパンチピン(60)。
【請求項17】
前記ローブ(66)と、前記溝(64)とは、前記溝(64)と前記ローブ(66)の底部において、パンチピン(60)の前記ヘッド(62)の上面(68)からパンチピン(60)に設けられた肩部(70)に向けて時計回り方向によじれている
ことを特徴とする請求項11に記載のパンチピン(60)。
【請求項18】
パンチピン(60)を製造するための方法であって、
交互に溝(64)とローブ(66)を備えたパンチヘッド(62)を有するパンチピン(60)を形成し、
パンチピン(60)にねじれを加えることにより、パンチヘッド(62)をよじり、これによって交互に配置されたローブ(66)と溝(64)とがよじれているパンチピン(60)を形成する
ことを特徴とするパンチピン(60)の製造方法。
【請求項19】
所定の部品(10)にパンチピン(60)を用いて凹部18を形成する方法であって、
パンチ機器として用いる装置(80)を用意し、
ねじりが加えられた溝(64)とローブ(66)とを交互に配置したパンチヘッド(62)を備えたパンチピン(60)を、パンチピン(60)を回転自在に保持する装置(80)に係合させ、
パンチピン(60)を用いて所定の部品(10)に凹部(18)を形成し、
パンチヘッド(62)を回転させながらパンチピン(60)を凹部(18)から退避させる
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
装置(80)用意する前記ステップは、
ケース(88)を用意し、ピン保持部(82)と、ベアリング(84)と、パッキン(86)とをケース内に設ける
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2010−532453(P2010−532453A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515103(P2010−515103)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/068283
【国際公開番号】WO2009/006181
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(507065795)アキュメント インテレクチュアル プロパティーズ エルエルシー (11)
【Fターム(参考)】