説明

締付バンド、固定式等速自在継手、及び摺動式等速自在継手

【課題】雄雌係合構造にかかる応力集中を回避して強度の低下を防止することができ、収縮量上限値の管理幅を広げることができて、コストを抑えることができる締付バンド、固定式等速自在継手、及び摺動式等速自在継手を提供する。
【解決手段】締付力が付与された状態で、両端が雄雌係合構造60を介して連結されて円環状をなして、被締付け部材を相手部材に締付け固定する締付バンドである。金属製帯状体41に、締付力が付与された組付時における雄雌係合構造部60への引張荷重を分散させる応力分散構造48を設け、応力分散構造48は断面積減少部49にて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や各種産業機械などの構成部品である被締付け部材を相手部材に円環状の帯状体で締付け固定する締付バンド、及びそれを用いた固定式等速自在継手、摺動式等速自在継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばゴムや合成樹脂などの可撓性弾性体からなる防塵用ベローズ、軸継手用ブーツ等の被覆体や流体給送用ホースなどの被締付け部材を、それに対応する軸、継手、管などの相手部材に固定するため、その相手部材に装着された被締付け部材を円環状の帯状体で抱持してその締付け力の作用により固定する締付バンドが使用されている。
【0003】
一例として、自動車や各種産業機械における動力の伝達に用いられる等速自在継手には、継手内部への塵埃等の異物浸入防止や継手内部に封入されたグリースの漏れ防止を目的とし、被締付部材としてのブーツが装着される。等速自在継手用ブーツの材料としては、ゴムや合成樹脂などの可撓性弾性体、例えばシリコーン材、CR材(クロロプレン)、VAMAC材(エチレンアクリルゴム)、CM材(塩素化ポリエチレン)等が知られている。
【0004】
この種のブーツは、例えば等速自在継手の外側継手部材としての外輪に固定される大径部と、内側継手部材としての内輪から延びるシャフトに固定される小径部と、大径部と小径部との間に設けられた蛇腹部とを有する。そして、大径部と小径部には、それぞれ締付バンドとしてのブーツバンドが装着されることによって固定される。
【0005】
一般的に、前述の締付バンドは、金属製の帯状体の一端部に雄鍵部を設けるとともに、他端部に雌鍵部を設けて両端部を係合して雄雌係合構造を構成するものである。すなわち、図8に示すように、帯状体118の一端部119aに、幅方向両側に突出させる突起122を有する雄鍵部120を設けると共に、他端部119bに、前記突起122と嵌合する係合溝123を有する雌鍵部121を設けている。そして、前記雄鍵部120及び雌鍵部121を係合させることより、前記帯状体118を円環状として被締付け部材を相手部材に締付け状態で保持している。
【0006】
ところで、ブーツバンドの取付時においては、取付けの際の締着力によって荷重が負荷され、その反力が引張荷重として作用する。この引張荷重により、場合によっては雌鍵部が拡幅して、雌鍵部の強度が低下するおそれがあった。そこで、雄雌係合構造の強度を向上させるものが提案されている(特許文献1)。特許文献1のものは、図9に示すように帯状体118の一端部119aの先端部に、幅方向両側に突出させる突起122を有する雄鍵部120を設けると共に、他端部119bの先端部に、前記突起と嵌合する係合溝123を有する雌鍵部121を設けている。そして、雄鍵部120は端部に向かってその幅寸法が狭くなる本体部124と、本体部124の側部から連設される台形状の突起122とからなる。これにより、雄雌係合構造に作用する引張荷重に対して引張荷重の方向と直交する面が存在することになって、この面が雌鍵部121の拡幅を規制している。
【特許文献1】特開2005−9640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載されたものは、雄雌係合構造の強度を向上することができるため、ブーツバンドの引っ張り強度を大きくすることは可能である。しかしながら、引張荷重が雄雌係合構造に集中するのを防止することはできない。このため、雄雌係合構造への応力集中により雄雌係合構造の強度が低下するのを防止するため、ブーツバンドの縮径量が大きくならないように縮径量の上限値を厳しく管理しなければならないという問題がある。このため、生産性及び組立性に劣ることになって、コスト高となっていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、雄雌係合構造にかかる応力集中を回避して強度の低下を防止することができ、収縮量上限値の管理幅を広げることができて、コストを抑えることができる締付バンド、固定式等速自在継手、及び摺動式等速自在継手を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の締付バンドは、締付力が付与された状態で、両端が雄雌係合構造を介して連結されて円環状をなして、被締付け部材を相手部材に締付け固定する締付バンドであって、前記金属製帯状体に、締付力が付与された組付時における雄雌係合構造部への引張荷重を分散させる応力分散構造を設け、前記応力分散構造を断面積減少部にて構成したものである。
【0010】
本発明の締付バンドでは、帯状体に応力分散構造を設けたことにより、帯状体を円環状に縮径させることにより雄雌係合構造に発生する引張荷重を、応力分散構造に分散させることができる。このため、雄雌係合構造に発生する応力集中を緩和することができる。
【0011】
前記応力分散構造を、金属製帯状体の側辺の一部にアール状の切欠きを設けることによって構成したり、半円乃至半長円状の切欠きを設けることによって構成したりすることができる。
【0012】
前記切欠きの開口端を面取りすることができる。これにより、開口端が被締付け部材に食い込むのを防止することができ、被締付け部材の損傷を防止することができる。
【0013】
前記応力分散構造を、金属製帯状体の側辺の一部に孔部を設けることによって構成することもできる。
【0014】
前記被締付け部材を固定式等速自在継手用ブーツとしたり、摺動式等速自在継手用ブーツとしたりすることができる。
【0015】
前記ブーツをゴム材としたり、樹脂材としたりすることができる。
【0016】
内球面に複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、外球面に複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在してボールを保持するポケットが円周方向に形成されたケージと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ固定式等速自在継手用ブーツとを備え、前記内側継手部材及び外側継手部材のトラック溝が、軸方向の縦断面が単一の円弧面形状を有する固定式等速自在継手において、前記本発明の締付バンドを介して前記固定式等速自在継手用ブーツを装着することができる。
【0017】
内球面に複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、外球面に複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在してボールを保持するポケットが円周方向に形成されたケージと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ固定式等速自在継手用ブーツとを備え、前記内側継手部材及び外側継手部材のトラック溝が、軸方向の縦断面が円弧部と、軸方向と平行なストレート底を有する固定式等速自在継手において、前記本発明の締付バンドを介して前記固定式等速自在継手用ブーツを装着することができる。
【0018】
円筒状の内周面に複数の直線状のトラック溝を軸方向に形成した外側継手部材と、球面状の外周面に複数の直線状のトラック溝を軸方向に形成した内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に介在してボールを保持するポケットが円周方向に形成されたケージと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ摺動式等速自在継手用ブーツとを備え、ケージの球面状の外周面の中心と球面状の内周面の中心とが、それぞれ継手中心から軸方向の反対側にオフセットされている摺動式等速自在継手において、前記本発明の締付バンドを介して前記摺動式等速自在継手用ブーツを装着することができる。
【0019】
円周方向に向き合って配置された円筒状のローラ案内面を有する三つのトラック溝が形成された外側継手部材と、半径方向に突出した三つの脚軸を備えたトリポード部材と、前記トラック溝に挿入されたローラと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ摺動式等速自在継手用ブーツとを備え、前記ローラが前記ローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に移動可能な摺動式等速自在継手において、前記本発明の締付バンドを介して前記摺動式等速自在継手用ブーツを装着することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、締付力が付与された組付時における引張荷重を、雄雌係合構造と応力分散構造とに分散させることができて、雄雌係合構造に負荷される応力集中を回避して強度の低下を防止することができ、収縮量上限値の管理幅を広げることができる。これにより、生産性及び組立性の向上を図ることができて、コスト低減を達成できる。
【0021】
応力分散構造を、金属製帯状体の側辺の一部にアール状の切欠きを設けることによって形成したり、半円乃至半長円状の切欠きを設けることによって形成したり、孔部を設けることによって形成したりすると、応力分散構造を容易に形成することができる。特に、半円乃至半長円状の切欠きにて構成すると、応力分散構造の寸法を小さくすることができて、帯状体の全長が短い場合に最適となる。
【0022】
切欠きの開口端を面取りすると、開口端がブーツに食い込むのを防止して被締付け部材に亀裂が発生するのを防止することができ、被締付け部材としての機能を長期にわたって発揮することができる。
【0023】
前記被締付け部材を固定式等速自在継手用ブーツとしたり、摺動式等速自在継手用ブーツとしたりすると、固定式等速自在継手や摺動式等速自在継手の組立においてバンド収縮量の管理幅を広げることができて、低コストな等速自在継手を提供できる。また、ブーツをゴム材としたり、樹脂材としたり、種々のタイプの等速自在継手に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る締付バンドの第1の実施形態を以下に詳述する。本発明は、自動車の自在継手を相手部材とし、その自在継手の端部に装着されるブーツを被締付け部材として、自在継手の端部にブーツを締付バンドで締付け固定する実施形態や、その他の実施形態として、例えばゴムや合成樹脂などの可撓性弾性体からなる防塵用ベローズ等の被覆体や流体給送用ホースなどの被締付け部材を、それに対応する軸、管などの相手部材に固定する場合にも適用可能である。
【0025】
図1は、アクスルモジュールを示し、シャフト33の一端側には固定式等速自在継手1が連結され、他端側には摺動式等速自在継手2が連結されている。固定式等速自在継手1は、内球面に複数のトラック溝13が形成された外側継手部材としての外輪3と、外球面に複数のトラック溝15が形成された内側継手部材としての内輪5と、外輪3のトラック溝13と内輪5のトラック溝15との間に介在してトルクを伝達する複数のボール11と、外輪3と内輪5との間に介在してボール11を保持するポケット9が円周方向に形成されたケージ7とを備え、内輪5及び外輪3のトラック溝13、15が、軸方向の縦断面が単一の円弧面形状を有するツェッパ型の固定式等速自在継手である。
【0026】
図1の摺動式等速自在継手2は、円筒状の内周面に複数の直線状のトラック溝14を軸方向に形成した外側継手部材としての外輪4と、球面状の外周面に複数の直線状のトラック溝16を軸方向に形成した内側継手部材としての内輪6と、外輪4のトラック溝14と内輪6のトラック溝16との間に介在してトルクを伝達するボール12と、外輪4と内輪6との間に介在してボール12を保持するポケット10が円周方向に形成されたケージ8とを備え、ケージ8の球面状の外周面の中心と球面状の内周面の中心とが、それぞれ継手中心から軸方向の反対側にオフセットされているダブルオフセット型の摺動式等速自在継手である。
【0027】
等速自在継手用ブーツ17、18は、図1に示すように、外輪3、4の開口端部に固定される大径部19、20と、内輪5、6から延びるシャフト33に固定される小径部21、22と、大径部19、20と小径部21、22との間に設けられた蛇腹部23、24とを有する。等速自在継手用ブーツは樹脂やゴムからなり、例えば、シリコーン材、CR材(クロロプレン)、VAMAC材(エチレンアクリルゴム)、CM材(塩素化ポリエチレン)等にて構成されている。
【0028】
ブーツ17、18の大径部19、20及び小径部21、22は、その外径面にブーツバンド装着用の嵌合溝29、30、31、32が形成されている。そして、大径部19、20と小径部21、22に設けられた前記嵌合溝29、30、31、32に、それぞれ締付バンド(ブーツバンド)25、26、27、28が装着されることによってブーツ17、18が固定される。
【0029】
ブーツバンド25、26、27、28は、図2に示すように、金属製帯状体41の一端部42に雄鍵部43を形成すると共に、他端部44に雌鍵部45を形成している。雄鍵部43は、金属製帯状体41の長手方向に沿って延びる本体部46と、この本体部46から略直交する方向に延びる突部47とで構成されている。また、雌鍵部45は、前記本体部46及び突部47に係合する溝部40にて構成されている。これにより、ブーツバンド25、26、27、28を装着する際には、図3に示すように、両端が連結された雄雌係合構造60を介して円環状をなして、ブーツ17、18の、ブーツバンド装着用の嵌合溝29、30、31、32に、縮径外嵌され装着された状態で引張荷重を発生させることにより、ブーツ17、18を外輪3、4及びシャフト33に締付け固定することができる。
【0030】
また、帯状体41には、幅面積が減少する断面積減少部49を設けている。この場合、アール状の切欠き50を一対とし、帯状体41の両側辺の一部にアール状の切欠き50を形成するものであって、この相対向する一対の切欠き50を形成することによって、前記断面積減少部49を形成している。すなわち、切欠部50を設けることによって、この部位(図2のHで示す範囲)での断面積(横断面における面積)が他の部位における断面積よりも小としている。この実施形態では、断面積減少部49を長手方向に沿って所定間隔で2箇所に設けている。このため、この断面積減少部49は、ブーツバンド25、26、27、28を円環状とした状態で、図3に示すように、雄雌係合構造60と2箇所の切欠き50とが120°ピッチとなるように配設されている。これにより、帯状体41を円環状としてブーツ17、18に装着した際、雄雌係合構造60に発生する引張荷重を、この断面積減少部49からなる応力分散構造48にて分散させることができる。この場合、締め付け機によって外周から中心に向けて圧縮荷重を付加して縮径させることで、このブーツ17、18を所定の締着力で装着している。このため、取付後、雄雌係合構造60に、取付の際の締着力によってこの雄雌係合構造60に付加された荷重の反力が引張力として発生する。しかしながら、応力分散構造48を設けたことによって雄雌係合構造60に作用する引張力を分散させている。
【0031】
このように、本発明の第1実施形態の締付バンドでは、締付力が付与された組付時における引張荷重を、雄雌係合構造60と応力分散構造48とに分散させることができて、雄雌係合構造60に負荷される応力集中を回避して強度の低下を防止することができ、収縮量上限値の管理幅を広げることができる。これにより、生産性及び組立性の向上を図ることができて、コスト低減を達成できる。
【0032】
応力分散構造48を、帯状体41の側辺の一部にアール状の切欠き50を設けることによって形成すると、応力分散構造48を容易に形成することができる。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態の締付バンドについて説明する。この場合、図4に示すように、アール状の切欠き50に代えて、半円乃至半長円状の切欠き52としている。
【0034】
第2実施形態の締付バンドでは、帯状体41の寸法Sの応力分散構造48が形成されることになる。これは、第1実施形態の締付バンドの応力分散構造48の寸法Hと比較すると小となる。このように、応力分散構造48を側辺の一部に設けた半円乃至半長円状の切欠き52にて構成すると、応力分散構造48の寸法を小さくすることができて、帯状体41の全長が短い場合に最適となる。なお、図4に示す締付バンドにおいて、図2に示す締付バンドと同様の構成については、図2と同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
次に、本発明の第3実施形態の締付バンドについて説明する。この場合、図5に示すように、図2に示すアール状の切欠き50の開口端51をR状或はテーパー状に面取りしている。
【0036】
また、本発明の第4実施形態の締付バンドは、図6に示すように、図4に示す切欠き52の開口端53をR状或はテーパー状に面取りしている。
【0037】
このように、第3実施形態及び第4実施形態では、切欠き50、52の開口端51、53を面取りすると、開口端51、53がブーツ17、18に食い込むのを防止してブーツ17、18に亀裂が発生するのを防止することができ、ブーツ17、18としての機能を長期にわたって発揮することができる。なお、図5及び図6に示す締付バンドにおいて、図2及び図4に示す締付バンドと同様の構成については、図2及び図4と同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
次に、本発明の第5実施形態の締付バンドについて説明する。この場合、図7に示すように、帯状体41の一部に、孔部54を設けることによって、断面積減少部49を構成している。図7形態における断面積減少部49は、所定間隔で2箇所設けている。
【0039】
このように、第5実施形態では、応力分散構造48を孔部54にて構成すると、応力分散構造48を容易に形成することができる。なお、図7に示す締付バンドにおいて、図2、図4〜図6に示す締付バンドと同様の構成については、図2、図4〜図6と同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
固定式等速自在継手1としては、内輪5及び外輪3のトラック溝13、15が、軸方向の縦断面が円弧部と、軸方向と平行なストレート底を有するアンダーカットフリー型の固定式等速自在継手とすることもできる。また、摺動式等速自在継手2としては、円周方向に向き合って配置された円筒状のローラ案内面を有する三つのトラック溝が形成された外輪と、半径方向に突出した三つの脚軸を備えたトリポード部材と、前記トラック溝に挿入されたローラとを備えるトリポート型の摺動式等速自在継手とすることもできる。
【0041】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、帯状体41の周方向長さは、相手部材の周方向長さに応じて増減変更してよい。アール状の切欠き50、半円乃至半長円状の切欠き52、孔部54の長手方向寸法及び短手方向寸法は任意に設定することができる。応力分散構造48の数としては、2箇所に限らずそれ以上設けることもできる。実施形態では、ブーツバンド25、26、27、28を円環状に縮径させた状態で、雄雌係合構造60と2箇所の応力分散構造48とが120°ピッチとなるように応力分散構造48を配設したが、他の角度であってもよく、応力分散機構48を3箇所以上設ける場合は、等ピッチでも不等ピッチでもよい。また、応力分散構造48をアール状の切欠き50や、半円乃至半長円状の切欠き52にて構成する場合、実施形態では一対の切欠き50、52を帯状体41の側辺の両端部に対向させて設けたが、側辺の一端部や他端部のみに設けてもよい。また、両端部に設ける場合、一対の切欠き50、52を対向させる必要はなく、長手方向にずらして配設することもできる。実施形態では切欠き50、52を側辺に設けたが、帯状体41の表面や裏面を切欠くことにより帯状体41の一部を薄肉とし、この薄肉部を断面積減少部49としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の締付バンドを使用した固定式等速自在継手及び摺動式等速自在継手の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の締付バンドの正面図である。
【図3】前記図2の締付バンドの側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の締付バンドの正面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の締付バンドの正面図である。
【図6】本発明の第4実施形態の締付バンドの正面図である。
【図7】本発明の第5実施形態の締付バンドの正面図である。
【図8】従来の締付バンドの締付状態を示す正面図である。
【図9】従来の他の締付バンドの締付状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0043】
1、2 等速自在継手
3、4 外側継手部材
5、6 内側継手部材
7、8 ケージ
9、10 ポケット
11、12 ボール
13、14、15、16 トラック溝
17、18 ブーツ
19、20 大径部
21、22 小径部
23、24 蛇腹部
25、26、27、28 ブーツバンド
33 シャフト
41 帯状体
48 応力分散構造
49 断面積減少部
50、52 切欠き
51、53 開口端
54 孔部
60 雄雌係合構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が雄雌係合構造を介して連結されて円環状をなして、被締付け部材に外嵌されて装着された状態で引張荷重が発生する締付バンドであって、
前記金属製帯状体に、締付力が付与された組付時における雄雌係合構造部への引張荷重を分散させる応力分散構造を設け、前記応力分散構造を断面積減少部にて構成したことを特徴とする締付バンド。
【請求項2】
前記応力分散構造を、金属製帯状体の側辺の一部にアール状の切欠きを設けることにより形成したことを特徴とする請求項1の締付バンド。
【請求項3】
前記応力分散構造を、金属製帯状体の側辺の一部に半円乃至半長円状の切欠きを設けることにより形成したことを特徴とする請求項1の締付バンド。
【請求項4】
前記切欠きの開口端を面取りしたことを特徴とする請求項2又は請求項3の締付バンド。
【請求項5】
前記応力分散構造を、金属製帯状体に孔部を設けることにより形成したことを特徴とする請求項1の締付バンド。
【請求項6】
前記被締付け部材が固定式等速自在継手用ブーツであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項の締付バンド。
【請求項7】
前記被締付け部材が摺動式等速自在継手用ブーツであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項の締付バンド。
【請求項8】
前記ブーツがゴム材であることを特徴とする請求項6又は請求項7の締付バンド。
【請求項9】
前記ブーツが樹脂材であることを特徴とする請求項6又は請求項7の締付バンド。
【請求項10】
内球面に複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、外球面に複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在してボールを保持するポケットが円周方向に形成されたケージと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ固定式等速自在継手用ブーツとを備え、前記内側継手部材及び外側継手部材のトラック溝が、軸方向の縦断面が単一の円弧面形状を有する固定式等速自在継手において、
前記請求項6、請求項8、請求項9のいずれか1項に記載の締付バンドを介して前記固定式等速自在継手用ブーツを装着したことを特徴とする固定式等速自在継手。
【請求項11】
内球面に複数のトラック溝が形成された外側継手部材と、外球面に複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在してボールを保持するポケットが円周方向に形成されたケージと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ固定式等速自在継手用ブーツとを備え、前記内側継手部材及び外側継手部材のトラック溝が、軸方向の縦断面が円弧部と、軸方向と平行なストレート底を有する固定式等速自在継手において、
前記請求項6、請求項8、請求項9のいずれか1項に記載の締付バンドを介して前記固定式等速自在継手用ブーツを装着したことを特徴とする固定式等速自在継手。
【請求項12】
円筒状の内周面に複数の直線状のトラック溝を軸方向に形成した外側継手部材と、球面状の外周面に複数の直線状のトラック溝を軸方向に形成した内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達するボールと、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に介在してボールを保持するポケットが円周方向に形成されたケージと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ摺動式等速自在継手用ブーツとを備え、ケージの球面状の外周面の中心と球面状の内周面の中心とが、それぞれ継手中心から軸方向の反対側にオフセットされている摺動式等速自在継手において、
前記請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の締付バンドを介して前記摺動式等速自在継手用ブーツを装着したことを特徴とする摺動式等速自在継手。
【請求項13】
円周方向に向き合って配置された円筒状のローラ案内面を有する三つのトラック溝が形成された外側継手部材と、半径方向に突出した三つの脚軸を備えたトリポード部材と、前記トラック溝に挿入されたローラと、前記外側継手部材の開口部を塞ぐ摺動式等速自在継手用ブーツとを備え、前記ローラが前記ローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に移動可能な摺動式等速自在継手において、
前記請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の締付バンドを介して前記摺動式等速自在継手用ブーツを装着したことを特徴とする摺動式等速自在継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−257400(P2009−257400A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105360(P2008−105360)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】