説明

緩衝性作用物質としてトロメタモールを含む、ニコチンの口腔内送り込みのための被覆薬用製品

【課題】タバコまたはニコチン依存症等の治療に使用できる経口製剤を提供する。
【解決手段】ニコチンの急速な経口送り込みによって、任意の形態のニコチンを対象者に送り込むための被覆経口投薬形態は、少なくとも一つのコア、任意の形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤、少なくとも一つのコーティング層、および任意的に少なくとも一以上のその他の添加物を含み、この少なくとも一つのコーティング層が、緩衝性作用物質として少なくともトロメタモールを用いて、緩衝されている。任意の形態のニコチンの送り込みのための方法、喫煙の衝動またはタバコを用いたいという衝動の減少のための方法、ならびに、前記被覆製品の製造方法、および、ニコチンの急速な経口取り込みを実現するための前記被覆製品の使用についても、考慮されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、対象者に対するニコチンの口腔内送り込みのための、被覆経口投薬形態に関するものである。本被覆経口投薬形態は、緩衝トロメタモールを含有する。また、ニコチンの送り込みのための方法およびシステム、ならびに、本被覆経口投薬形態の使用および製造についても考慮されている。
【0002】
〔発明の背景〕
タバコへの依存およびその減少
近年、タバコ喫煙の有害な影響への認識と共に、タバコの喫煙に起因する健康への悪影響に関する情報を広めるための多くのキャンペーンやプログラムが、政府機関および種々の健康グループならびに他の関連組織によって行われてきた。さらに、有害な影響へのこの認識の結果、喫煙率を減らす試みを目的とする多くのプログラムが行われてきた。
【0003】
ニコチンは有機化合物であって、タバコの主要アルカロイドである。ニコチンは、巻きタバコ、葉巻、嗅ぎタバコなどに使用されるタバコ中の主要な習慣性成分である。ニコチンは習慣性薬物でもあり、喫煙者は、一時的に禁煙に成功した後、ぶり返しを起こす強い傾向を示す特徴を有する。ニコチンは、コーヒーや茶のカフェインに次いで世界の二番目に多く使用される薬物である。
【0004】
タバコ喫煙に関する主な問題は、健康に関するその大きな影響である。喫煙に関連した疾病によって、1年につき約300万〜400万の死が引き起こされていると推定されている。疾病の制御と予防のためのセンター(Centers for Disease Control and Prevention)によれば、米国で毎年約500,000人が、タバコの使用の結果死亡している。「米国、1995年、MMWR1997;46:1217−1220」を参照されたい。実際、過度の喫煙は、現在、全世界において、主要な健康問題の一つと認識されている。タバコ喫煙のこの厳しい結果は、多くの医学団体および保健衛生当局に、タバコの使用に対して非常に強い措置をとるよう迫るものであった。
【0005】
今日多くの先進諸国でタバコの喫煙は減少しているが、世界で二番目に多く使用されている薬物を社会がどのようにして駆逐することができるかは予測が困難である。喫煙率は多くの国、とくに非先進国では依然上昇しつつある。
【0006】
ヘビースモーカーが実行することができる最も有利なことは、完全に禁煙するか、少なくとも自分の喫煙を減少させることである。しかしながら、たいていの場合タバコの喫煙が依存性障害または欲求を引き起こすため、大部分の喫煙者にとってこれは極端に困難であることは、経験の示すところである。世界保健機構(「WHO」)は、障害の国際分類において、タバコ依存症と呼ばれる診断項目を設けている。アメリカ精神医学会のような他の団体は、この中毒をニコチン依存症と呼んでいる。喫煙を止めることのこれらの困難性が、これらのヘビースモーカーがニコチンに依存しているという事実に起因することは、一般的に認められている。しかしながら、最も重要な危険因子は、タバコの燃焼の間に形成される物質(たとえば、一酸化炭素、タール生成物、アルデヒドおよびシアン化水素酸)である。
【0007】
ニコチンの影響
ニコチンの投与は、充足感を与え得、その通常の方法は、喫煙、例えば巻きタバコ、葉巻またはパイプタバコの喫煙である。しかしながら、喫煙は健康に有害であり、従って、喫煙を止めることを促進するのに用いることができ、および/または喫煙の代わりとして用いることができる、楽しい方法でニコチンを投与する代替法を作り出すことが好ましい。
【0008】
巻きタバコを吸う場合、ニコチンは喫煙者の血中に迅速に吸収され、吸入後約10秒以内に脳に達する。ニコチンの迅速な取り込みは、消費者に急速な充足感または活力(kick)を与える。ついで、この充足感は、巻きタバコの喫煙中、および、その後の一定期間持続する。喫煙の、有毒性、中毒性、発癌性および習慣性の性質は、巻きタバコを吸う習慣を断つのに助けとなる方法、組成物およびデバイスに関する努力を与えてきた。
【0009】
ニコチンは、タバコ植物に由来する習慣性の有毒アルカロイドCNCNCHである。ニコチンは、殺虫剤としても使用される。成人を殺し得る一回の服用量は約40mgのニコチンである(メルクインデックス)。
【0010】
ニコチン代替製品
喫煙を減らす一方法は、喫煙以外の形態または方式でニコチンを提供することである。このニーズを満たすためのいくつかの製品がこれまでに開発されてきた。現在、ニコチン含有製剤は、タバコ依存症のための支配的な処置手段である。
【0011】
現在知られている製品を使用した喫煙率減少の実現は、これまであまり成功していない。現在の最高水準の技術では、行動に関するアプローチと薬理学的アプローチとが関与する。一般的に、単独で喫煙率を減らすために行動に関するアプローチまたは薬理学的アプローチを使った後に当初、喫煙をやめたタバコ喫煙者の80%以上が、約一年以内にぶり返し、以前の喫煙率での喫煙習慣に戻る。
【0012】
禁煙する気がある人々のための助けとして、ニコチン代替製品のいくつかの方法と形態とが市場で利用可能である。米国特許第5,810,018号(経口ニコチン含有スプレー)、米国特許第5,939,100号(ニコチン含有ミクロスフィア)および米国特許第4,967,773号(ニコチン含有トローチ剤)に記載されるように、ニコチンまたはその誘導体を対象者に投与するステップを含むいくつかの方法および手段が、タバコを用いたいという対象者の願望を減らすために開示されて来た。
【0013】
ニコチン含有点鼻薬が報告されている{Russell等、British Medical Journal、第286巻、第683頁(1983年);Jarvis等、Brit. J. of Addiction、第82巻、第983頁(1987年)}。しかしながら、点鼻薬は、投与が難しく、仕事中やその他の公共の場で使用するには不便である。スプレーを用いて鼻腔に直接送り込むことによってニコチンを投与する方法は、米国特許第4,579,858号、DE 32 41 437およびWO/93 127 64から理解することができる。しかしながら、鼻ニコチン製剤を使用すると局所的な鼻の刺激が起こり得る。投与が困難なため、投与されるニコチンの用量も予測不能になり得る。
【0014】
ニコチンの経皮投与のための皮膚パッチの使用が報告されている{Rose、Pharmacologic Treatment of Tobacco Dependence、(1986年)第158−166頁、Harvard Univ. Press}。今日広く使用されているニコチン含有皮膚パッチは、局所的な刺激を生じ得る場合があり、また、ニコチンの吸収が遅く、皮膚血流によって影響を受ける。
【0015】
米国特許第5,167,242号において示唆されているように、ニコチン蒸気の取り込みのための、巻きタバコに似た吸入デバイスも知られている。
【0016】
喫煙率の減少に対し今日まで最も成功しているアプローチの一つは、ニコチン禁断症状を減少させるようにデザインされたニコチン含有チューインガムに依存するものである。報告されている成功率は、プラセボの約2倍である。ニコチンガムの使用には、例えば、ニコチン含有ガムが、たいていの喫煙家が経験する欲求を十分急速に充足させるものではないといったいくつかの問題がある。ニコチンをベースとし、喫煙の代替物として、および/または禁煙の助けとして使用される成功品の一つに、チューインガム・ニコレット(登録商標)がある。この製品は、食品医薬品局(FDA)の承認を得た最初のニコチン代替形態のうちの一つであり、いまなお、最も多く使用されているニコチン代替製品の一つである。ニコレット(登録商標)チューインガムは、これまで数年間、約80カ国で売り出されて来た。このチューインガムでは、ニコチンが、ガムベース中に分散した、不溶性カチオン交換体(polacrilex)との複合体の形態で存在する。ニコチンは、噛むこと(チューイング)によってガムからゆっくり放出され、チューイング技術、すなわち緩急に応じて、約30分後に、巻きタバコを吸ったときと同程度の血漿中濃度に達する。この製品に関する特許は、たとえば、米国特許第3,877,468号、米国特許第3,901,248号および米国特許第3,845,217号である。
【0017】
WO 98/23165は、ニコチンが緩衝されていないコーティング中にあり得るチューインガムを開示している。この概念は、被覆チューインガムからのニコチンの迅速な放出を与え得るが、ニコチンの頬からの取り込みは十分迅速ではない。放出されたニコチンで直ちに吸収されない部分は唾液により胃腸(G.I.)管中に下り、しゃっくりおよび他のG.I.副作用を引き起こし得る。一旦、G.I.経路で吸収されると、この飲み込まれたニコチンは、第一の経路の代謝を受ける。
【0018】
WO 00/13662は、活性成分の全身性経口投与のためのチューインガムを開示している。この活性成分は、二相形態のチューインガム構成によって投与される。この二相形態の送り込みは、ガムマトリックス自体によって実現され、コーティングから与えられるものではない。
【0019】
WO 00/19977は、活性成分の送り込みのための、実質的に湿気を含まない、被覆され得るチューインガムについて開示している。ニコチンは、好ましくはカプセル化される。このあり得るコーティングは緩衝されていない。
【0020】
WO 00/35296は、緩衝されていないコーティングで被覆されたニコチン含有チューインガムを開示している。
【0021】
WO 02/102357は、被覆ニコチン含有チューインガムを開示している。このガムでは、少なくとも一つのコーティング層が緩衝されている。このガムでは、口腔内におけるニコチンの経粘膜的吸収が改善される。それによって、より巻きタバコのような充足感と、喫煙への衝動のより急速な減少が達成される。しかしながら、WO 02/102357で提案されている緩衝剤は、調子外れの風味(off-notes)を持つ。それ故、この調子外れの風味をカバーするために、1以上の香味剤をガムに添加する必要がある。更に、WO 02/102357の被覆ガムの層の乾燥時間は、容認できないほど長い。
【0022】
本発明は、上記問題に対する解決を与えるものである。
【0023】
〔発明の概要〕
口腔内で溶解することを意図した医用製品を製剤する場合、感覚器を刺激する特徴が重要である。多くの場合、活性成分の十分な取り込みを成し遂げることができるように、口腔内で最適のpHを得ることが必要である。製品に緩衝性作用物質を用いることにより、このpH調節が可能になる。しかしながら、多くの一般的に用いられる緩衝性作用物質は、はっきりした調子外れの風味を持っている。従って、通常、これらの調子外れの風味をカバーするために、1以上の香味剤および/または風味マスク剤が製剤に加えられる。さらに、製品に快い風味を与えるために、製剤には香味剤も使用される。調子外れの風味のない緩衝性作用物質の使用の可能性があれば、製剤作業が容易になり、調味プロセスおよび/または風味マスクプロセスの複雑さが減少する。
【0024】
緩衝性作用物質であるトロメタモールは、固有の風味を有さず、従って、経口取り込みのための製品におけるトロメタモールの使用が有益であることが判明した。より具体的には、少なくとも一つの緩衝されたまたは緩衝されていないコア、任意の形態のニコチンおよび任意的にニコチン模倣剤、少なくとも一つのコーティング層および任意的に一以上のその他の添加物を含む、ニコチンの口腔内送り込みのための被覆薬用製品であって、当該少なくとも一つのコーティング層が緩衝されており、その際に少なくともトロメタモールが緩衝性作用物質として使用されている、製品が提供される。
【0025】
製品に活性成分と緩衝性作用物質との両方を使用する場合、望ましくない化学反応を回避するため、これら二つの成分を分離しておく必要性が生じ得る。それ故、これらの成分は、例えば別々の層中に置かれ得る。そのような種々異なる層の乾燥時間は極端に長くなり、適度なプロセス時間枠の範囲内ではなくなる場合があり得る。許容可能な乾燥時間を与える緩衝性作用物質を発見するために種々異なる多くの緩衝性作用物質が評価されたが、本製剤のための製造プロセスへのトロメタモールの導入により許容可能な乾燥時間が得られるという驚くべき結果が得られるまでは、許容可能な結果を与えるものはなかった。上記のごとく、トロメタモールは、緩衝の目的を果たし、その際調子外れの風味と長い乾燥時間の双方の問題が回避されるという際だった特徴を有している。
【0026】
対象者にニコチンを送り込んで、対象者の口腔内でのニコチンの急速な経粘膜的取り込みを達成しようとする際の本技術分野で公知の前記の不利益に鑑み、本発明は、使用される緩衝剤からの調子外れの風味を避け、製品のコーティング層について許容可能な乾燥時間を与えつつ、対象者の口腔内におけるニコチンの急速な経粘膜的取り込みを実現するための、新規で改善された製品、システムおよび方法を提供するものである。
【0027】
本発明の一目的は、このような以前知られていた製品や方法の不利益を回避した、対象者におけるニコチンの急速な取り込みのための効率的で効果的な製品ならびに方法およびシステムを提供するものである。
【0028】
このように、本発明は、任意の形態のニコチンを対象者に送り込む方法であって、任意の形態のニコチンを含有するこの被覆経口投薬形態を対象者の口腔中に投与することと、被覆経口投薬形態製品中の任意の形態のニコチンを口腔の唾液中に放出させ、対象者の体循環系に吸収させるようにすることとを含む方法、および、この被覆経口投薬形態を製造する方法を提供するものである。
【0029】
本被覆経口投薬形態は、主に口腔内にニコチンを放出することを意図したものである。本被覆経口投薬形態は、好ましくはチューインガム、咀嚼タブレット(chewable tablet)、タブレット、溶融タブレット、トローチ剤またはハードボイルドキャンディである。特に興味を惹くものに被覆チューインガムがある。しかしながら、本発明は、投与の間使用者が保持する必要がある棒キャンディのようなデバイス、またはその他のデバイスを包含するものではない。そのようなデバイスは、なかんずく、歯に対し損傷を与える危険性があり、ニコチンの服用量に正確さを欠き、好ましからざるキャンディとの連想をもたらすので不適切である。本発明の全ての投薬形態は、一旦それらが口腔内に適用されると、その投薬形態の口腔内からの選択的除去および口腔内への選択的挿入のために口腔の外から何らかの部材により取り扱われる必要はないものである。
【0030】
下記の説明は、被覆チューインガム(coated chewing gums)または被覆タブレットに関するものであるが、このような説明は、本出願のその他の被覆経口投薬形態にも必要に応じて変更を加えて、適用されるものと理解されるべきである。
【0031】
本発明は、喫煙の衝動またはタバコ含有物質を用いたいという衝動の減少を実現する方法、および/または喫煙せずに喫煙の充足感を与える方法であって、このタバコ含有物質を、少なくとも部分的に、上記の被覆経口投薬形態で置き換えるステップと、任意の形態のニコチン含有被覆経口投薬形態を対象者の口腔内に投与するステップと、被覆経口投薬形態中の任意の形態のニコチンを、口腔の唾液中に放出し、対象者によって吸収させるステップとを含む、方法も提供する。
【0032】
更に、本発明は、任意の形態のニコチンを対象者に送り込むためのシステムであって、この被覆経口投薬形態および、喫煙の衝動またはタバコの使用の減少を実現するための、少なくとも一つのその他の手段を含む、システム、ならびに、喫煙の衝動または別様のタバコの使用の減少を実現するための、および/または喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムであって、上記に係る被覆経口投薬形態、および、喫煙の衝動または別様のタバコの使用の減少を実現するための少なくとも一つのその他の方法を含む、システムを提供する。このシステムは、この少なくとも一つの他の方法が、マウススプレー、スプレー式点鼻薬、経皮パッチ、吸入デバイス、トローチ剤、タブレットを介する投与、および、非経口的方法、皮下的方法、および経粘膜的方法;または別様のタバコの使用からなる群から選ばれたシステムであり得る。
【0033】
更になお、本発明は、少なくとも一つのコア、任意の形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤、少なくとも一つのコーティング層、および任意的に少なくとも一以上のその他の添加物を含む被覆経口投薬形態であって、この少なくとも一つのコーティング層が少なくともトロメタモールによって緩衝されている、被覆経口投薬形態に関する。
【0034】
前記被覆経口投薬形態において、唯一の緩衝剤としてまたは主要緩衝剤としてトロメタモールを使用することにより、WO 02/102357によるガム製品に関する問題、すなわち使用される緩衝剤からの調子外れの風味とコーティング層についての長すぎる乾燥時間に関する問題が解決される。
【0035】
トロメタモール(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)は、トロメタミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、およびTRISとも呼ばれており、「生物学的緩衝剤」および「アルカリ化剤」として知られている。たとえば、メルクインデックス、第13版、2001年を参照されたい。
【0036】
緩衝剤としてトロメタモールを含有するニコチン含有浣腸剤が公知である。Italian Journal of Gastroenterology & Hepatology、30(3):260−5、1998年、6月を参照されたい。この浣腸剤は、潰瘍性大腸炎の治療のためのものである。これは、局所治療であり、全身的な処置のためのものではない。
【0037】
US5,783,207は、ホルダー部材に取り付けられたニコチン含有基材(matrix)を含む棒キャンディのようなデバイスを開示しており、この基材を口で吸うことによりニコチンを口腔に投与でき、この基材を使用者の口から選択的に除去し、使用者の口へ選択的に挿入することができるようにホルダー部材が構成されている。この基材はトロメタモール等の緩衝剤を含み得る。しかしながら、’207では、チューインガム、タブレット、トローチ剤といった投薬形態が、’207の発明には適していないとして、こうした投与形態の使用の請求権が明示的に放棄されている。このことは、’207が、ニコチンとトロメタノールとを含有する、チューインガム、タブレット、トローチ剤やその他の経口送り込みのための投薬形態で、ホルダー部材に取り付けられていないものを使用することを教示していないことを意味する。
【0038】
WO 01/30288は、経口の粘膜送り込みのための製剤に使用される、ニコチンとトロメタモールの長いリストを開示しており、こうした製剤は、たとえばニコチンが特定のタイプの固溶体として共に含まれる溶解剤を必要とする。本発明においては、ニコチンはこのような固溶体にはなっていない。
【0039】
本被覆経口投薬形態は、更に、少なくとも一つの緩衝されたコアを含み、更に、任意の形態のニコチンが、少なくとも一つのコーティング層の一部または少なくとも一つのコーティング層の少なくとも一つでもあり得る。この少なくとも一つのコーティング層は、ガムまたはタブレットの投与時に唾液のpHが、0.3〜4pH単位または好ましくは0.5〜2pH単位増大するように、本発明に従い、少なくともトロメタノールで緩衝されている。緩衝性作用物質であるトロメタモールは、アルカリ金属(たとえばカリウムまたはナトリウム)の炭酸塩(重炭酸塩またはセスキ炭酸塩を含めた)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、またはクエン酸塩(たとえば、クエン酸三ナトリウム、およびクエン酸三カリウム)、またはアンモニウム、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた1以上の緩衝剤で補填され得る。トロメタモールを他の緩衝剤で補填することの主な理由は、加えられた緩衝剤の単位重量あたりのアルカリ化能力を増大させることである。
【0040】
本発明に係る本被覆経口投薬形態の使用により、任意の形態のニコチンが迅速に対象者に送り込まれ、本被覆経口投薬形態は、喫煙の衝動またはタバコを用いたいという衝動の迅速な、および/もしくは持続的な、および/もしくは完全な減少の実現のために、ならびに/または、喫煙せずに喫煙の満足感に類似した喫煙の充足感を与え、習慣的な喫煙またはタバコの使用後得られる喫煙の衝動の減少させるためにも使用される。
【0041】
〔図面の説明〕
図1は、AUC10分、すなわち、二つの製剤についての、ゼロ時間〜10分までのニコチンの血漿中濃度対投与後時間曲線における面積を示す。これら二つの製剤は、それぞれ、本発明に係る、3mgのニコチン含有コアと1mgのニコチン含有緩衝コーティングとを有する被覆チューインガムと、4mgのニコチンを含有する被覆なしのチューインガムとであり、前者を連続線で表し、後者を点線で表してある。上記コーティングは、ガム1個あたり、5mgの炭酸ナトリウムと混合物された15mgのトロメタモールで緩衝してある。
【0042】
上記被覆ガムのコアおよび上記被覆なしガムは、それぞれのニコチン含有量の差を除いて、本質的に同一の組成である。
【0043】
これら二つの曲線は、18人の個人{男性が8人、女性が10人、年齢は18〜50才(平均28才)}から得られた血液サンプルについてのデータから生成された。プロットされた値は、ベースラインを差し引いた平均値(mean values)である。
【0044】
図1から、被覆ガムのAUC10分が、同一の総ニコチン含有量を有する被覆なしガムのAUC10分より大きいことは明らかである。
【0045】
〔発明の詳細な説明〕
定義
ここでいう用語「コア」は、一以上のコーティング層が塗布される対象である実在物すなわち核を意味することを意図したものである。
【0046】
ここでいう用語「喫煙の衝動またはタバコを用いたいという衝動の迅速な減少」は、喫煙の衝動またはタバコを用いたいという衝動の減少を実現するための、対象者の初期の準備刺激(priming)を意味することを意図している。
【0047】
ここにいう用語「持続的な」は、時間的に継続することを意味することを意図している。
【0048】
ここでいう用語「完全な減少」または「完全な」は、完全な減少または実質的に完全な減少を意味することを意図している。
【0049】
用語「放出制御」は、ガムまたはタブレットを積極的に噛むことや口により吸引することによる、ガムまたはタブレットからの物質の対象者の口腔内への放出であって、この積極的に噛むことや口による吸引が、放出される物質の量を制御する、放出を意味することを意図するものである。
【0050】
用語「遅延放出」は、ある期間、たとえば数分から1時間の間に渡って、例えば噛むことにより、ニコチンが、ガムまたはタブレットから放出されることを意味することを意図するものである。
【0051】
用語「単位組成(unit formula)」は、一つのチューインガムまたはタブレット製品を意味することを意図するものである。
【0052】
用語「一時的」は、非永続的変化であって、関連状態、たとえば生物的状態または生理的状態が、一定時間の後、変化前のその値または挙動に戻る、非永続的変化を意味することを意図するものである。
【0053】
ここでいう用語「頬の」および「頬に」は、口腔組織の全てまたは任意の部分に関係することを意図するものである。
【0054】
ここでいう用語「口腔内送り込み」は、口腔の任意の組織による有効成分の吸収によって全身の血液循環系に送り込むことを意味することを意図している。
【0055】
用語「ホルダー部材」は、投薬形態の口腔内からの選択的除去および口腔内への選択的挿入を可能にするために投薬形態に取り付けられた部材を意味する。このようなホルダー部材の例は棒キャンディの棒である。
【0056】
被覆経口投薬形態
現在、既存のニコチンチューインガムおよび他の経口投薬形態は、喫煙と比較して、ニコチンの放出と取り込みとが遅い。これでは、必ずしも、喫煙の際の実際の満足感を確実に生み出すことにはならない。喫煙の際は、ニコチンの初期の迅速な取り込みが成し遂げられ、喫煙者またはタバコ・ユーザー(すなわち対象者)に満足感が与えられることになる。従って、上記のごとく、本発明は、対象者におけるニコチンの吸収を改善するための被覆チューインガムまたはタブレット製品に関するものであり、その吸収は、ニコチンチューインガムについての、本技術分野で公知の現行の手段や方法を使用する場合より迅速である。口腔中のニコチンのこのような迅速な経粘膜的取り込みは、より巻きタバコのような満足感と、喫煙の衝動またはタバコを用いたいという衝動のより迅速な減少とを実現するものと期待される。
【0057】
本被覆チューインガムまたはタブレット製品は、少なくとも一つのコア、任意の形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤、少なくとも一つのコーティング層、および少なくとも一つのその他の添加物を含み、このコーティング層の少なくとも一つが緩衝されている。
【0058】
別の実施形態では、この少なくとも一つのコアを緩衝し得る。このコアは、この少なくとも一つのコーティング層の緩衝と同じ仕方で緩衝される場合も、異なる仕方で緩衝される場合もあり得る。
【0059】
この少なくとも一つのコーティング層および任意的に少なくとも一つのコアの緩衝により、本技術分野で公知のチューインガムやタブレット製品と比較して、ニコチンの改善された吸収動力学(absorption kinetics)を与える被覆チューインガムまたはタブレット製品が生み出される。最も重要なことは、この緩衝が、少なくとも部分的に、トロメタモールの使用を通して実現されることである。
【0060】
本チューインガムまたはタブレット製品は、医薬用チューインガムまたはタブレットであり得る。ここでいう医薬用チューインガムは、主に、噛むが飲み込まないことを目的とするガムからなるベースを持つ、固形または半固形の、単回投与の調合剤であって、チューインガムが薬物の送り込み系として働く、調合剤を意味することを意図している。これらには、噛むことによって放出される一以上の活性物質が含まれる。本発明における活性物質は、全身への送り込みを目的とするニコチンおよび/またはニコチン模倣剤である。
【0061】
緩衝性作用物質(buffering agent)
口腔から体循環系へのニコチンの吸収は、唾液のpH、血漿のpHおよびニコチンのpKaに依存しており、ニコチンのpKaは約7.8である。唾液のpHを6.8とすると、ニコチンのわずか約10%が遊離塩基(free base)の形態になる。それゆえ、主に粘膜を通して吸収される形態である遊離塩基の形態のニコチンの吸収を促進するためには、唾液のpHを好ましくは少なくともpH7、最大でpH10に増大させなければならない。より好ましくは、少なくともpH8、最大pH9.5に増大させなければならない。pH8.8では、ニコチンの約90%が遊離塩基の形態になる。
【0062】
このようにして、本発明によれば、本被覆チューインガムまたはタブレット製品は緩衝される。これは、生理的に許容可能な緩衝性の物質または作用物質を含むことやその他の手段によって達成され得る。この場合、それらの物質、作用物質またはその他の手段が、少なくとも部分的にトロメタモールを含有する。その他の手段には、例えば自己緩衝添加物やガムベースといった、通常緩衝性作用物質として機能しない製品中の任意の成分が含まれる。
【0063】
本発明によれば、少なくとも一つのコーティング層が緩衝される。特定の実施形態では、少なくとも一つのコアも緩衝される。
【0064】
特定の実施形態では、ガムまたはタブレットの投与時に、唾液のpHを0.3〜4pH単位(好ましくは0.5〜2pH単位)増大させるように、少なくとも一つのコーティング層が緩衝される。緩衝は、一つまたは複数のコーティング層の溶融、崩壊または溶解中に、対象者の唾液の一時的な緩衝を成し遂げるように設計されている。この変化は一時的であるため、pHは所定の期間後、その通常の値に復帰する。
【0065】
同様に、少なくとも一つのコアが緩衝され得る。これにより、ガムまたはタブレット製品のコアを噛むか、ガムまたはタブレット製品を口で吸う間、pHの上記変化が確実に起こり得、その噛むことや口で吸うことにより、適切な緩衝の作用物質や物質またはその他の手段が唾液のpHの一時的な変化(たとえばpHの増大)をもたらし得る。
【0066】
唾液のpHの変化(例えばpHの増大)を採用することによって、口腔中のニコチンの経粘膜的取り込み量が変化し、例えば、本発明に従って唾液が緩衝されない場合のニコチン取り込み量と比較して、増大する。また、本発明に従う口腔中のニコチンの経粘膜的取り込みが、本発明に従って緩衝されていないニコチン取り込みより速いので、飲み込まれて胃腸(G.I.)管に到着するニコチンがより少なくなる。G.I.管に到達したニコチンは、第1の通過代謝(pass metabolism)を受け、吸収された完全なニコチンの総量が減少する。これは、一般的に、本発明に従って緩衝剤と共に投与されないニコチンの生物学的利用能が、本発明に記載された緩衝剤とともに投与される場合のニコチンの生物学的利用能より低いことを意味する。
【0067】
本発明の更なる実施形態には、少なくとも一つのコーティング層が、トロメタモールを、任意的に、アルカリ金属(例えばカリウムまたはナトリウム)もしくはアンモニウムの炭酸塩(重炭酸塩またはセスキ炭酸塩を含めた)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、またはクエン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた緩衝剤と一緒に使用することによって緩衝される組み合わせが含まれる。
【0068】
更なる実施形態には、トロメタモールと、クエン酸三ナトリウムまたはクエン酸三カリウム、およびこれらの混合物との組み合わせが含まれ得る。
【0069】
なお更なる実施形態には、トロメタモールと、種々異なるリン酸系(たとえばリン酸三ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム;およびリン酸三カリウム、リン酸水素ジカリウムおよび、水酸化カルシウム、グリシン酸ナトリウム;およびそれらの混合物)との組み合わせの使用が含まれ得る。
【0070】
アルカリ金属炭酸塩、グリシン酸塩およびリン酸塩は、好ましい追加的緩衝性作用物質である。
【0071】
対応してpHを増やすことなく、更になお緩衝能力を増大させるためには、具体的実施形態において、この第一のトロメタモール緩衝性作用物質に対して第二のまたは補助的な緩衝性作用物質(たとえば重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウム緩衝剤)を使用することが可能である。第二のまたは補助的な緩衝性作用物質は、この目的のための好ましいアルカリ金属重炭酸塩からなる群から選ばれ得る。このようにして、本発明の更なる実施形態には、トロメタモールならびにアルカリ金属炭酸塩またはリン酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩の混合物が含まれ得る。
【0072】
上記に明記されたごとく、具体的な実施形態におけるチューインガムまたはタブレット組成物中の一つまたは複数の緩衝性作用物質の量は、口腔内で一時的に唾液のpHを7より上、たとえば7〜11に維持するために、唾液のpHを7を超える値にまで増大させるのに十分であることが好ましい。
【0073】
種々異なる投与形態のニコチンのpHの増大を実現するために必要な緩衝剤の量は、本技術分野の当業者ならば容易に計算し得る。pHの増加の範囲と期間とは、使用される緩衝性作用物質(または複数の作用物質)のタイプと量に依存すると共に、すなわち、少なくとも一つのコーティング層と任意的に少なくとも一つのコアにおいて、緩衝剤が製品中に分布されるところに依存する。これについては、下記の段落内で更に記述する。
【0074】
ニコチンは、種々異なる形態、例えば、種々異なる複合体や塩で投与され得る。
【0075】
コーティング
本発明の特定の実施形態の例には、被覆ガム、タブレットまたはその他の投薬形態が含まれる。本発明の一実施形態によれば、チューインガムまたはタブレットは、少なくとも一つのコーティング層を含む被覆チューインガムまたはタブレットである。チューインガム、タブレットまたはその他の経口投薬形態をコーティングするプロセスは、本技術分野で周知である。本発明により、対象者に投与された任意の形態のニコチンの取り込みを容易にするためのコーティングが提供される。チューインガムまたはタブレット製品をコーティングすることの公知の狙いとしては、シャキシャキ感を加え、風味を高め、または、ガムまたタブレットを、例えば保管の間、保護するか、または、ガムまたはタブレット製品のまずい味やヒリヒリする味を軽減することがあり得る。
【0076】
本発明に係る特定の実施形態では、ハードコーティング、フィルムコーティング、プレス/圧縮コーティング、または溶融コーティングが使用され得る。
【0077】
フィルムコーティングとハードコーティングとについては、コーティング手順は手動でよい。または、種々異なる形状の回転パンまたは流動床中のガムまたはタブレットのコア/ペレットにコーティング材を噴霧し、これに、溶媒(例えば水または有機溶媒)の蒸発(evaporation)を組み合わせてもよい。
【0078】
ハードコーティングは多段階プロセスであり、以下のステップに分けられ得る:
1.コアのシーリング
2.補助コーティング(subcoating)
3.スムージングまたは光沢付与
4.着色
5.研磨
6.任意的に印刷
【0079】
ハード被覆コアは、よりスムーズな外形を持ち、当初のコアのエッジがより見えなくなっている。糖アルコール溶液に粉体をまぶすことによるまたは、糖アルコール溶液に乾燥粉体を適用することによる補助コーティングを使用し得る。コアは、例えばハードコーティングパンを使うパニング技術によって、または、幾分かの自動操作が可能な他のより高度な技術によってハードコーティングし得る。
【0080】
ハードコーティング中の糖は、蔗糖、糖アルコール類、多価アルコール、ポリオール、およびこれらのうちの二つ以上の混合物からなる群から選ばれ得る。
【0081】
特定の実施形態によれば、ハードコーティングに使用される糖は、人工甘味料であってもよく、(1)カロリーが低いか実質的にゼロであり、また、(2)通常の糖、または糖および/または糖アルコールの組合せより、虫歯を促進することが少ない。人工甘味料の例、およびそのような組合せの例は、下記の「その他の添加物」に記載されている。フィルムコーティングには、コアを囲むポリマー薄膜の(通常はスプレー法による)沈着が関与する。溶液は、回転混合床にスプレーされ得る。乾燥条件により、溶媒の除去が可能になり、各々のコアのまわりにコーティング材料の薄い沈着が残る。
【0082】
コーティング溶液と懸濁液の構成は、プロセスの異なる部分では、異なり得る。
【0083】
プレスコーティングには、既に製造されたコアのまわりへの粒状材料の圧縮が関与する。プレス/圧縮コーティングを使って、一つまたは複数の最初のコアの外側に、更なるコアがプレスされる。
【0084】
ニコチン酒石酸水素塩(NHT)がニコチン形態として使用される場合、NHTと緩衝剤とは、別々の層内に保たれることによってコーティング中で互いから適切に分離され、ハードコーティングが用いられる場合は特にそうである。コーティングプロセス中の酸性塩NHTと緩衝剤(または複数の緩衝剤)との間の相互作用を防ぐために、NHTを含む層と緩衝剤(または複数の緩衝剤)を含むコーティングとの間に湿気バリアが設けられ得る。適切な湿気バリアには、例えば、無極性脂質およびワックス(例えば、カルナウバワックス)、エチルセルロース、または、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピル・メチルセルロース(HPMC)の組み合わせ、および/または、有機溶媒または溶媒混合物からの可塑剤、水性エチルセルロース分散液(例えば、Aquacoat EDC(FMC社、フィラデルフィア、ペンシルベニア州)、Surelease(Colorcon社、ウェストポイント、ペンシルベニア州)(好ましくは可塑剤との組み合わせ)、Sepifilm LP 007またはLP 010(Seppic社、パリ、フランス)―主にHPMCとステアリン酸をベースとしている−、Opadry AMBまたはHigh Performance Opadry II(Colorcon社) −主にポリビニルアルコールをベースとしている−、および、ポリメタクリレート{Eudragit L30 D-55またはEPO(Roehm社、ドイツ)})がある。選ばれるバリアフィルムのタイプに従い、湿気バリアは、好ましくは、コーティングの総重量の約0.3〜約5%の重さを占める。
【0085】
コーティングまたは一つもしくは複数のコアには、一以上の添加物を加え得る。添加物については「その他の添加物」の段落で更に説明される。
【0086】
コア
本発明に係る被覆チューインガム中のガムベースの量は、ガムコア全体の約15〜80重量%であり、好ましくは、少なくとも40重量%、例えば40〜80重量%である。ニコチンが遊離塩基として使用されるとき、または吸収された形態で使用されるとき、ニコチンの最も好ましい遅延放出のために使用されるガムベースの量は、通常、より高い範囲にある。
【0087】
ガムベースは、本技術分野で公知の任意の従来の性質のものでもよい。例えば、商業源から容易に入手可能な天然のまたは合成起源のガムベースが含まれ得る。天然ガムベースには、たとえば、チクル(chicle)、ジェルトン(jelutong-)、レチ・デ・カスピ(lechi de caspi-)、ソー(soh-)、シアク(siak-)、カチアウ(katiau-)、ソーワ(sorwa-)、バラタ(balata-)、ペンダレ(pendare-)、マラヤ(malaya-)、およびピーチ(peach)ガム、天然のカウチュク(cautchouc)、および、ダマール(dammar)やマスチックス(mastix)といった天然樹脂が含まれる。合成ガムベースは:
−エラストマー(たとえば、ポリマーおよび咀嚼用物質)、
−可塑剤(たとえば、樹脂、エラストマーおよび溶媒)
−充填剤{たとえば、テクスチャライザー(texturizers)および不溶性補助剤}、
−軟化剤(たとえば脂肪)
−乳化剤、
−ワックス、
−酸化防止剤、
−および、タッキング防止剤(たとえば、ビニルポリマーおよび親水性樹脂)
の混合物である。
【0088】
ガムベースの他の例は、寒天、アルジネート、アラビアガム、キャロブガム、カラゲーナン、ガッティガム、グアーガム、カラヤガム、ペクチン、トラガカントガム、イナゴマメガム、ゲランガムおよびキサンタンガムを含めたガムである。
【0089】
ゲル化剤の例には、アラビアガム、デンプン、ゼラチン、寒天およびペクチンが含まれる。
【0090】
本発明に従って、任意の形態のニコチンおよび一つまたは複数の緩衝性作用物質をチューインガムの塊中に取り込む場合、多種多様なチューインガム組成物と多種多様な量のチューインガムベースとを用いることが可能である。ニコチンレベル、ニコチンの分布およびその他の添加物に関して、消費者の好みと使用の目的に依存して、種々異なるチューインガム製品を構成することができる。
【0091】
上記の成分は、それぞれ、混合、ローリング(rolling)、およびスコーリング(scoring)技術を用い、直接圧縮技術を使用する、ガムの製造に適した性質を有し得る。
【0092】
タブレットのコアに関しては、実施例6を参照されたい。
【0093】
活性成分
本発明によれば、本被覆チューインガムまたはタブレット製品には、任意の形態のニコチンおよび/またはニコチン模倣剤が含まれる。特定の実施形態では、ニコチンが、少なくとも一つのコーティング層の一部である。あるいは、複数の層が使用される場合、少なくとも一つのコーティング層のうちの少なくとも一つである。
【0094】
なお更なる実施形態では、ニコチンが、チューインガムまたはタブレットのコアの一部であるか、あるいは、複数のコアが使用される場合には、チューインガムまたはタブレットのコアの少なくとも一つである。
【0095】
なお更なる実施形態では、ニコチンが、少なくとも一つのコーティング層の一部、または、少なくとも一つのコーティング層とチューインガムもしくはタブレットのコアの少なくとも一つ、または、チューインガムもしくはタブレットのコアの少なくとも一つであって、喫煙の衝動および/またはタバコを用いたいという衝動の急速なキック(kick)すなわち減少を実現するために、対象者の口腔内におけるニコチンの迅速な経粘膜的取り込みを与える。それによってニコチンの全身的な維持レベルも達成され得る。
【0096】
ニコチンには、ベース形態のニコチン{3−(1−メチル−2−ピロリジニル)−ピリジン}が含まれることが意図されている。これには、合成ニコチンならびにタバコ植物からのニコチン抽出物またはその一部(genus Nicotiana単独またはそれらの組み合わせ等)または、薬剤的に許容される塩が含まれる。
【0097】
ニコチン剤とも呼ばれるニコチンは、最終的には、口腔の唾液中へのニコチン剤の放出と、更に、その後の、口腔の唾液から対象者の体循環中へのニコチンの取り込みを容易にするために、唾液に溶ける形態にならなければならない。
【0098】
ニコチンは、ニコチン樹脂酸塩複合体、NRC、の形態で使用し得る。NRCの可溶性は、緩衝剤の存在により増大する。
【0099】
好ましい実施形態では、任意の形態のニコチンは、ニコチン塩、遊離塩基の形態のニコチン、ニコチン誘導体(たとえばニコチンカチオン交換体)、ニコチン包接複合体(例えば、β−シクロデキストリンとの複合体のニコチン)、または、任意の(inclusion complex)非共有結合(non-covalent binding)のニコチン、ゼオライトと結合したニコチン、セルロースまたはデンプンミクロスフィアと結合したニコチン;およびそれらの任意のものの混合物からなる群から選ばれる。
【0100】
たとえば、下記表1に示される塩のように、多数のニコチン塩類が知られていて、使用され得る。好ましくは、モノ酒石酸塩、酒石酸水素塩(hydrogen tartrate){バイタートレート(bi-tartrate)とも呼ばれる}、クエン酸塩、リンゴ酸塩および/または塩酸塩等である。
【0101】
【表1】

【0102】
包接複合体は、シクロデキストリン(たとえばβ−シクロデキストリン)であり得る。
【0103】
適切なカチオン交換体は、表2に与えられており、米国特許第3,845,217号に更に開示されている。ポリアクリレートのニコチンカチオン交換体(たとえばRohm & Haas社からのAmberlite類)が好ましい。
【0104】
【表2】

【0105】
本発明に係る製品は、ニコチン模倣剤も含み得る。このような作用物質は、口やのどにヒリヒリ感を与える、ニコチンのような刺すような熱い風味(acrid burning taste)を持つ任意の適切な作用物質であり得る。ニコチン模倣剤の例には、カプサイシン、ピペリンおよびジンゲロンがある。
【0106】
コーティングまたは一つもしくは複数のコアには、一以上の添加物を添加し得る。添加物については、更に、下記の「その他の添加物」の段落で説明される。
【0107】
ニコチンの量と分布
本発明に係る任意の形態のニコチンは、ある効果を成し遂げる服用量を対象者に与えるように製剤される。この効果は、喫煙なしで喫煙の充足感を与えることであり得る。投与された任意の形態のニコチンの別の効果は、喫煙への衝動やタバコを用いたいという衝動の減少であり得る。
【0108】
この効果は、喫煙への衝動の減少と喫煙なしでの喫煙の充足感との組合せでもあり得る。ニコチンの量は、対象者にそのような効果を与えるのに十分なものでなければならない。この量は、もちろん、人によって変わり得る。
【0109】
本発明によれば、咀嚼ガム(chewable gum)またはタブレット製品の実施形態には、任意の形態のニコチンが、遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合に被覆チューインガムまたはタブレット製品の一個あたり0.05〜10mgの量で存在する実施形態が含まれる。これには、種々異なる実施形態において、遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合に被覆チューインガムまたはタブレット製品の一個あたり0.05,0.5,1,2,3,4,5,6,7,8,9または10mgを含む場合があり得る。
【0110】
更に好ましい実施形態には、任意の形態のニコチンが、遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合に被覆チューインガムまたはタブレット製品の一個あたり0.5〜6mgの量で存在する実施形態が含まれ得る。
【0111】
更により好ましい実施形態では、任意の形態のニコチンが、遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合に被覆チューインガムまたはタブレット製品の一個あたり0.5〜4mgの量で含まれる。
【0112】
本発明の特定の実施例によれば、任意の形態のニコチンは、少なくとも一つのコーティング層の一部、または、少なくとも一つのコーティング層のうちの少なくとも一つである。
【0113】
任意の形態のニコチンは、遊離塩基の形態として計算した場合、少なくとも一つのコーティング層のうちの少なくとも一つ中に、0〜8mgの量で存在し得る。なお更なる実施形態では、少なくとも一つのコーティング層のうちの少なくとも一つ中に、0.1〜6mgの量のニコチンが含まれる。または、より好ましくは、少なくとも一つのコーティング層のうちの少なくとも一つ中に、0.1〜5mgの量のニコチンが含まれる。
【0114】
種々異なる実施形態において、任意の形態のニコチンは、コアおよび/または種々異なるコーティング層中に分布し得る。被覆チューインガムまたはタブレットの全体に渡るニコチンの種々異なる分布は、種々異なるやり方で対象者にニコチンを投与することを意味する。そうすると、これによって、対象者の喫煙への衝動やタバコを用いたいという衝動に応じて、種々異なる対象者の種々異なるニーズに対して被覆チューインガムまたはタブレットの構成を調節するといういくつかの可能性が与えられ得る。
【0115】
ニコチンの放出と取り込み
口腔内取り込みのために現在利用可能なニコチン含有製剤、例えばチューインガムおよびタブレットは、喫煙に比較してニコチンの放出と取り込みが遅い。この放出と取り込みの速度は、AUC10分、すなわち、投与10分後におけるニコチンの血漿中濃度対投与後時間曲線(time after administration curve)における面積で表され得る。AUC10分が大きければ大きいほど、ニコチンの放出と取り込みはより急速である。図1は、4mgのニコチンを含有する被覆なしのチューインガムのAUC10分を示すものである。
【0116】
本発明に係る被覆薬用製剤中のニコチンの放出は、以下の少なくとも一つのステップで行われる。
【0117】
I)コーティング中、および任意的にコア中の、一以上の緩衝性作用物質の溶解により、口腔中の液体のpHの最適化された調整が得られる。
【0118】
II)好ましい実施形態におけるように、ニコチンが、上記で規定された少なくとも一つのコーティング層の少なくとも一つに、規定量、たとえば種々異なる実施形態に従って上記のごとく規定された量だけ、存在する場合、ニコチンの放出は、被覆チューインガムまたはタブレットのコーティングが、溶融するか、崩壊するか、または溶解して、この製品中の咀嚼ガムまたはタブレットのコアを露出させるようになるときに起こる。ニコチンおよびその種々の形態は、咀嚼ガムもしくは口で吸うガムまたはタブレットの使用等により、コーティングが、溶融するか、崩壊するか、または溶解する間に、コーティングから口腔内の唾液中に放出される。ついで、任意の形態のニコチンは、更に、対象者によって吸収され得る。
【0119】
III)咀嚼ガムもしくは口で吸うガムまたはタブレットからの任意の形態のニコチンの放出は、放出制御されたものである。たとえば、ガムまたはタブレットのコアを咀嚼したり、口で吸う際に、咀嚼によって、ガムまたはタブレットのコアからのニコチンの放出量が制御される。これによって、ニコチンの放出が、ある期間にわたって維持される。この期間は、種々異なる実施形態において、約5,10,20,30または40分であり得る。
【0120】
放出は、コーティング層および/またはガムもしくはタブレットのコア中への任意の形態のニコチンの所与の量の組み込みによって変わり得る。
【0121】
チューインガムまたはタブレット製品の種々異なる部分から放出されるニコチンの量が価値あるばかりではなく、本発明に従った、口腔から対象者の体循環系へのニコチンの特定の経粘膜的取り込みにおいて、一以上の緩衝性作用物質が、口腔の液体のpHの適切な調整を実現することも価値がある。
【0122】
本発明によれば、コーティング中のニコチンの急速な初期の集中的服用とその後の緩衝されたコーティングによる、口腔中の急速な経粘膜的取り込みにより、短時間のうちに満足感が得られ得る。本被覆薬用製剤からのニコチンの口腔内取り込みは、同一の総ニコチン含有量の口腔内取り込み用の被覆なし固形薬用製剤または半固形薬用製剤の場合より、急速であることが好ましい。このことは、本薬用製剤のAUC10分が、同一の総ニコチン含有量の口腔内取り込み用の被覆なし固形薬用製剤または半固形薬用製剤のAUC10分より大きいことを意味する。
【0123】
図1は、コアに3mgのニコチンを含有し、コーティングに1mgのニコチンを含有する、本発明に係る被覆チューインガムのAUC10分も示している。この量は、同じく図1にAUC10分が示されている被覆なしのチューインガムと同一の総ニコチン含有量である。図1から、本発明に係る被覆チューインガムのAUC10分が、同一の総ニコチン含有量の被覆なしチューインガムのAUC10分より大きいことが明らかである。
【0124】
その他の添加物
コアおよび/またはコーティング層には、任意的にその他の添加剤を添加し得る。
【0125】
オプションの添加物には、安定剤(たとえば防腐剤(たとえば酸化防止剤));軟化剤、増粘剤、充填剤、フィルム形成剤、乳化剤、流動促進剤、潤滑剤、甘味料、香味剤、芳香剤、エンハンサー、着色剤、ビタミン、ミネラル、フッ素、ブレスフレッシュナー(breath fresheners)、および歯の美白剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つ以上の添加物が含まれる。本発明によれば、そのような添加物のうちの少なくとも一つが任意的に本製品に添加される。
【0126】
エンハンサーは、主に、口腔からの経粘膜的取り込みを改善、すなわち増大させるために添加される。
【0127】
甘味料は、主に、風味を改善するために添加される。甘味料には、合成糖または天然糖(例えば、甘味料として使用するのに適した任意の形態の炭水化物)、および、いわゆる人工甘味料、たとえば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム(NutraSweet(登録商標)として販売されている)、アセスルファムK(acesulfame K)またはアセスルファム(acesulfame)、カリウム・アセスルファム(potassium acesulfame)、タウマチン(thaumatin)、グリチルリチン、スクラロース、ジヒドロカルコン、アリテーム(alitame)、ミラクリン(miraculin)、モネリン(monellin)、ステビサイド(stevside)から選ばれた一つ以上の要素が含まれる。
【0128】
適切な甘味料は、糖アルコール(たとえばソルビトール、キシリトール)、単糖類{サトウキビやテンサイから抽出された糖(スクロース)を含めた}、デキストロース(グルコースとも呼ばれる)、フルクトース{レブロース(leavulose)とも呼ばれる}、およびラクトース(乳糖とも呼ばれる);ソルビトール、マンニトール、グリセロール、キシリトール、エリトリトール、マルチトールシロップ(または水添デンプン加水分解物)、イソマルト、ラクチトール;および、グルコースシロップ、(たとえば、デキストロース、マルトースおよび一連の複合糖質の混合物を含むデンプン加水分解物)、転化(invert)糖シロップ{たとえば、デキストロースとフルクトースとの混合物を含む、インベルターゼ(スクラーゼまたはサッカラーゼとも呼ばれる)で転化されたスクロース}、高い糖含有量のシロップ(たとえば、特定のレブロース、デキストロース、マルトース、ラクチトール、スクロース、樹脂、デキストリンおよび高級糖の混合物を含む糖蜜や蜂蜜)を含めた、糖の混合物;およびモルトまたは麦芽エキス、からなる群から選ばれ得る。
【0129】
香味添加物と芳香添加物には、1以上の合成または天然の香味剤または芳香剤が含まれ得る。
【0130】
香味剤および芳香剤は、アルコール、エステル、アルデヒドおよびラクトンの混合物を含む、切られた花、葉、皮、もしくはつぶされた果物全体の蒸留物、溶媒抽出物、または冷圧搾物を含めたエッセンシャルオイル、エキス(エッセンシャルオイルの希釈溶液または、果物、たとえばイチゴ、キイチゴおよびブラックカラントの天然の香味にマッチさせるようにブレンドされた合成化学物質の混合物を含めた);醸造物およびリカー(たとえば、コニャック、ウィスキー、ラム、ジン、シェリー、ポートワインおよびワイン)の人工または天然の香味剤;タバコ、コーヒー、茶、ココアおよびミント;フルーツジュース{洗浄され、こすり洗いされた果物(たとえばレモン、オレンジおよびライム)から放出されたジュースを含めた};スペアミント、ペパーミント、ヒメコウジ、シナモン、カコー(cacoe)/ココア、バニラ、リコリス、メントール、ユーカリ、アニスの実、ナッツ{たとえば、ピーナッツ、ココナッツ、ヘイゼルナッツ、クリ、クルミ、コーラナッツ(colanuts)}、アーモンド、レーズン;および、ニコチンのレベルに有意に関与しない量のタバコ植物製品(tobacco plant parts)(たとえばニコチアナ属(genus Nicotiana))を含めたパウダー、粉末(flour)、または植物性材料製品、およびジンジャーから選ばれ得る。
【0131】
着色添加剤は、食品添加物として承認されている着色剤から選ばれ得る。
【0132】
安定剤添加物は、酸化防止剤(ビタミンE、すなわちトコフェロール、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸、およびエデト酸塩を含めた);および防腐剤(クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、安息香酸、およびソルビン酸を含めた)からなる群から選ばれ得る。好ましい実施形態は、安定剤として酸化防止剤を含み、より好ましくは酸化防止剤ビタミンEおよび/またはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が含まれる。
【0133】
任意の形態のニコチンを対象者に送り込む方法
本発明によれば、任意の形態のニコチンを対象者に送り込む方法には、
a)本発明に係る任意の形態のニコチンを含む被覆チューインガムまたはタブレット製品を対象者の口腔中に投与するステップと、
b)被覆チューインガムまたはタブレット製品中の任意の形態のニコチンを口腔の唾液中に放出させ、対象者の血漿中に吸収させるようにするステップと
が含まれる。
【0134】
本発明によれば、上記AUC10分で表されたように、口腔内のニコチンの経粘膜的取り込みは、現在知られている経口薬用製剤より急速である。
【0135】
任意の形態のニコチンを送り込む本方法には、
c)任意の形態のニコチンを、一定期間持続される仕方で対象者に投与するステップがさらに含まれ得る。このような期間は、例えば、少なくとも5,10,20,30または40分である。
【0136】
喫煙の衝動またはタバコの使用の減少を実現する方法
本発明に係る、喫煙の衝動またはタバコ含有物質を用いたいという衝動の減少を実現する方法、および/または喫煙せずに喫煙の充足感を与える方法には、
a)タバコ含有物質を少なくとも部分的に、本発明に係る被覆経口投薬形態で置き換えるステップと、
b)任意の形態のニコチンを含有する本発明に係る被覆経口投薬形態を対象者の口腔中に投与するステップと、
c)被覆経口投薬形態のコーティング中の任意の形態のニコチンを口腔の唾液中に放出させ、対象者に吸収させるようにするステップと
が含まれる。
【0137】
ニコチンを対象者に送り込むための方法の更なる実施形態には、喫煙の衝動またはタバコの使用の減少を実現するための少なくとも一つの他の方法を本発明の製品と組み合わせるステップが含まれ得る。
【0138】
タバコ含有物質は、たとえば、喫煙、鼻からの吸引または噛む(チューイングする)ために使用される物質であり得、巻きタバコ、葉巻、パイプタバコ、嗅ぎタバコ、スヌース(snus)、および噛みタバコが含まれ得る。
【0139】
被覆経口投薬形態は、更に以下に述べるように、喫煙の衝動またはタバコの使用の迅速な、および/もしくは持続的な、および/もしくは完全な減少を実現するために、ならびに/または、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるために使用し得る。
【0140】
この迅速な除去により、対象者に、喫煙せずに喫煙の充足感が迅速に与えられる。このような満足感は、他の既知の固形または半固形の経口投薬形態より迅速に、欲求を減少させよう。
【0141】
コーティングおよび任意的にコア中に一以上の緩衝性作用物質が存在する状態でニコチンがコーティング層中にある実施形態において、ある服用量のニコチンが、被覆経口投薬形態の少なくとも一つのコーティング層のうちの少なくとも一つから放出されるときに、この迅速な欲求の除去が実現する。これにより、対象者における口腔内でのニコチンの初期の急速な経粘膜的取り込みが実現し、初期ピークが誘導され、その結果、対象者は、充足感を得、初期の欲求が消滅する。
【0142】
喫煙への衝動やタバコの使用の持続的減少
本発明は、喫煙への衝動やタバコを用いたいという衝動を持続的に減少させ、初期の欲求除去後にも、対象者に充足感を感じさせる能力を与え得る。持続的な欲求除去は、被覆経口服用物のコア部分を咀嚼したり口で吸ったりすることにより、ニコチンの持続的取り込みが可能になることで実現する。対象者の血漿中のニコチンが、この充足感を得るのに十分高いレベルに維持される限り、対象者の持続的な欲求除去および/または充足感は持続する。
【0143】
ある期間、例えば5,10,20,30または40分またはそれより長い間、被覆経口投薬形態のコアを咀嚼し、それにより咀嚼による遅延放出を実現することにより、対象者は、この持続的な除去を達成し得る。
【0144】
喫煙への衝動やタバコの使用の停止
使用者によっては、いくつかの理由(たとえば、健康上、経済上、社会的または行動上の理由)のため、ニコチンの使用を完全に断つことが目標であり得る。これは、ある期間にわたって徐々に、任意の形態のニコチンの量を更に減少させることによって成し遂げられ得る。本発明の具体的な一実施形態では、タバコへの完全な欲求除去を達成するために、ある期間にわたって徐々に、上記の全被覆経口投薬形態製品中のニコチンの量を減少させるステップが、欲求除去を成し遂げるための上記方法に更に含まれ得る。この方法は、ある期間にわたって徐々に行う引き離し(weaning)プロセスである。
【0145】
ニコチンの種々異なる血漿レベルで、種々異なるタイプの喫煙者が、欲求の減少感を実現する。これは、もちろん、本発明に係る被覆チューインガムまたはタブレットの投与プログラムの個々のタイプに影響を及ぼし得る。種々異なるタイプの喫煙者には、たとえば、ピークシーカー、すなわち、ニコチンの血漿濃度を禁断症状のレベルより常に上にあるよう欲求する喫煙者が含まれる。
【0146】
投与される被覆経口投薬形態の頻度を減少させるのも一つの戦略であり得る。他の実施形態には、前記被覆経口投薬形態中のニコチンの服用量を変えること、およびこれら二つを組み合わせることが含まれる。また、実質的に任意の形態のニコチンを含まない被覆経口投薬形態も本戦略に含まれ得る。このような被覆経口投薬形態は、欲求が低いか実質的にない、処置期間の最後に投与され得る。
【0147】
ニコチンを送り込み、欲求の除去を実現するためのシステム
本発明によれば、対象者に任意の形態のニコチンを送り込むシステムがある。このようなシステムには、本発明に係る被覆経口投薬形態と、喫煙への衝動の減少を実現するための少なくとも一つの他の手段とが含まれる。
【0148】
本発明に係る別のシステムは、喫煙への衝動やタバコの使用の減少を実現し、および/または、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムでもあり得る。このようなシステムには、本発明に係る被覆経口投薬形態と、喫煙への衝動やタバコを用いたいという衝動の減少を実現するための少なくとも一つの他の方法とが含まれる。その他の方法としては、マウススプレー、スプレー式点鼻薬、経皮パッチ、吸入デバイス、トローチ剤、タブレットを介する投与、ならびに、非経口的方法、皮下的方法、および経粘膜的方法;またはタバコの使用からなる群から選ばれた付随的方法または同時に実行される方法もあり得る。
【0149】
具体的な一実施形態では、前記少なくとも他の方法に、ニコチンの投与が含まれる。
【0150】
被覆経口投薬形態の使用
本発明に係る被覆経口投薬形態の使用は、上記のごとく、喫煙への衝動やタバコを用いたいという衝動の迅速な、および/もしくは持続的な、および/もしくは完全な減少の実現、または、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのものである。
【0151】
ニコチンの服用量は、任意の形態のニコチンの効果として、対象者に、個人的な感覚認識と充足感とを与えるように選択される。被覆経口投薬形態の使用は、本発明に従う使用のみであっても、または薬物濫用の分野で公知の他の手段または方法との組合せであってもよい。具体的には、本発明は、上記段落の方法において上記で説明した他の手段と組み合わせて使用され得る。
【0152】
本発明によれば、本発明に係る被覆経口投薬形態の使用は、任意の形態のニコチンを対象者に送り込むためにも開示されている。
【0153】
被覆経口投薬形態の製造
本発明に係る被覆経口投薬形態は、含まれるコアの総数と被覆層との総数に応じて、いくつかの生産ステップで維持され得る。
【0154】
本発明に係る被覆経口投薬形態の生産のための一方法を下記に開示する。代替法としては、その他の製造方法、例えば圧縮技術を使用する製造、も役に立つであろう。
【0155】
本方法には、
a)少なくとも一つのコアを供給するステップ、および/または少なくとも一つのニコチン含有コアを供給するステップと、
b)任意の形態のニコチンを供給するステップと、
c)少なくともトロメタモールで緩衝されている少なくとも一つのコーティング層を供給するステップと、
d)任意の形態のニコチンを、少なくとも一つのコア、および/または、少なくとも一つのコーティングに添加するステップと、
e)少なくとも一つのコアを、少なくとも一つの緩衝されたコーティング層でコーティングするステップと
が含まれる。
【0156】
特定の実施形態では、本方法に、
f)上記少なくとも一つのコアを緩衝すること、および/または、
g)緩衝されていない少なくとも一つのコーティング層を供給すること、および、任意的に、
h)上記任意の形態のニコチンを、上記緩衝されていない少なくとも一つのコーティング層の少なくとも一つに添加すること、および、任意的に、
i)上記のコーティング中のニコチンと上記のコーティング中の緩衝剤とを、別々の層に供給することであって、ここの別々の層は、好ましくは湿気バリアに分離されている、供給すること
が、更に含まれ得る。
【0157】
一実施形態では、ニコチンが、ニコチン塩、遊離塩基の形態のニコチン、ニコチン誘導体(例えばニコチンカチオン交換体)、ニコチン包接複合体、または任意の非共有結合のニコチン;ゼオライトと結合したニコチン;セルロースまたはデンプンミクロスフィアと結合したニコチン;およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0158】
実施形態によっては、上記少なくとも一つのコーティング層が、トロメタモール、または、トロメタモールと、アルカリ金属(例えばカリウムまたはナトリウム)またはアンモニウムの炭酸塩緩衝剤(例えば炭酸塩、重炭酸塩またはセスキ炭酸塩);グリシン酸ナトリウム、リン酸のアルカリ金属塩、グリセロリン酸ナトリウムまたはカリウム、クエン酸三ナトリウムまたは三カリウム、および、これらの混合物から選ばれた緩衝剤との組み合わせからなる群から選ばれた緩衝剤を使用して緩衝され得、その際、この少なくとも一つのコーティング層が、ガムの投与時に、唾液のpHが0.3〜4pH単位増大するように緩衝される。この緩衝は一時的なものであり得る。
【0159】
なお更なる実施形態では、上記少なくとも一つのコーティング層が、ガムの投与時に、唾液のpHが0.5〜2pH単位増大するように緩衝される。
【0160】
チューインガムの場合、コアの構成は、ガムベースとニコチンの諸形態(たとえば、ニコチンイオン交換複合体または、遊離塩基または塩としてのニコチン)の少なくとも一つとを単に混合、ローリングおよびスコーリング、または圧縮することで形成され得る。ガムベースを除いて、固形成分は、良好な分布を確実なものとするため、添加する前に、まず固形成分を磨り潰し、サイズを決めることが好ましい。混合は、使用されるガムコアの粘度に応じて、適切な高い温度で行うのが好ましい。温度の上昇はゴムの粘度を減少させ、それによって、ニコチンとその他の添加物とが、チューインガムのコア/ペレット内で均一かつ緊密に分布され得る。添加物を加えられたガム塊は、冷却され、ローリングおよびスコーリングされ、十分に硬化され、その後、上記段落「コーティング」と実施例1〜4に従ってコーティングされる。
【0161】
本発明で開示された方法に係るいくつかの実施形態では、少なくとも一つの緩衝されたコーティングの少なくとも一つの層による少なくとも一つのチューインガムまたはタブレットのコアのコーティングには、
a)フィルムコーティングするステップ、および/または、
b)プレスコーティングするステップ、および/または、
c)ハードコーティングするステップ、および/または、
d)溶融コーティングするステップ
が含まれることが開示されている。
【0162】
ついで、本製品は、本技術分野で公知の方法に従って分析され、更に包装され得る。
【0163】
本発明の種々異なる実施例は、本技術分野で公知の技術を用いて製造される。
【0164】
治療および処置のための使用
本発明に係る被覆チューインガムまたはタブレット製品は治療に使用し得る。この治療は、タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の処置であり得る。
【0165】
ニコチンは、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の処置のための本発明に係るチューインガムまたはタブレット製品の製造のためにも使用され得る。
【0166】
タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、および潰瘍性大腸炎からなる群から選ばれた疾病の処置のための本発明に係るニコチン含有チューインガムまたはタブレット製品の製造のための、被覆チューインガムまたはタブレット製品の使用も開示されている。
【0167】
ニコチンの分析
本発明に係るニコチン取り込みおよび効果の分析は、本技術分野で公知の標準的手順に従って、たとえば、対象者の血漿中におけるニコチンまたはその代謝物質の測定のためのバイオ分析を用いて、行い得る。
【0168】
〔実施例〕
下記実施例は、例示的なものであり、制限的なものではない。実施例1〜4は、本発明に従って使用し得る、四つの相異なるコーティングとコーティング組成物、すなわち、実施例1のハードコーティング、実施例2のフィルムコーティング、実施例3のプレスコーティング、および実施例4の溶融コーティング(全てチューインガムまたはタブレットのコア上にコーティング)を開示している。それぞれのケースで、コーティングは、緩衝され、ニコチンも含有する。実施例1〜4のコーティングは、種々異なるコアと組み合わされ得る。コアの例は実施例5で挙げられており、これについては、更に以下で説明する。
【0169】
当業者ならば、以下の実施例に基づいて、本発明の他の実施例も想定することができよう。
【0170】
下記の製剤の製造のバッチサイズは、実際のニーズおよび実際の生産設備に応じて修正し得る。
【0171】
[実施例1 緩衝されたハードコーティング]
目的
本実施例の目的は、ニコチンを含有し緩衝されたハードコーティングを提供するものである。ニコチンは、それぞれ、0.5,1,2,3または4mgの量である。
【0172】
ハードコーティング材料
【0173】
【表3】

【0174】
【表4】

【0175】
[実施例2 緩衝されたフィルムコーティング]
目的
本実施例の目的は、ニコチンを含有し緩衝されたフィルムコーティングを提供するものである。ニコチンは、それぞれ、0.5,1,2,3または4mgの量である。
【0176】
フィルムコーティング材料
【0177】
【表5】

【0178】
【表6】

【0179】
[実施例3 緩衝されたプレスコーティング]
目的
本実施例の目的は、ニコチンを含有し緩衝されたプレスコーティングを提供するものである。ニコチンは、それぞれ、0.5,1,2,3または4mgの量である。
【0180】
プレスコーティング材料
【0181】
【表7】

【0182】
【表8】

【0183】
[実施例4 緩衝された溶融コーティング]
目的
本実施例の目的は、ニコチンを含有し緩衝された溶融コーティングを提供するものである。ニコチンは、それぞれ、0.5,1,2,3または4mgの量である。
【0184】
溶融コーティング材料
【0185】
【表9】

【0186】
【表10】

【0187】
[実施例5 ガムコア]
目的
本実施例の目的は、本発明に係るチューイングガム製品に適したコアを提供するものである。ニコチンは、遊離塩基(NFB)、ニコチンβ−シクロデキストリン複合体(NCC)、ニコチン酒石酸水素塩(NHT)、またはニコチン樹脂複合体(NRC)として組み込まれる。それぞれの単位組成におけるニコチン量、すなわちコアあたりのニコチン量は、0,0.5,1,2,3または4mgの量である。
【0188】
原理
ガムコアは、混合、ローリングおよびスコーリングプロセス、または圧縮プロセスにより形成される。
【0189】
コアの組成
【0190】
【表11】

【0191】
【表12】

【0192】
【表13】

【0193】
【表14】

【0194】
【表15】

【0195】
製造手順
I) 混合、ローリングおよびスコーリング
混合、ローリングおよびスコーリングは、従来の手順によって行う。ガムベースと製剤のその他の成分との混合には、ダブルシグマブレードミキサーを用いる。ガムベースは、ミキサーで柔らかくされる。(ヒートジャケット(heating jacket)からの)熱と混合とによって、ガムベースは塑性状態になる。そこで、柔らかくなったベースを、液体成分(例えば香味剤、液体、ソルビトールおよびグリセロールが使用される場合にはそれら)、および粉体混合物の固体材料(例えば、任意の形態のニコチン、緩衝剤、バルクの甘味料、着色剤)と混合する。この暖かいかたまりをミキサーから排出し、台車上のトレイ上に塊状に積み重ね、次のステップの開始まで、条件付けられた場所に保管する。これはガムを冷却するためのものである。
【0196】
その後、ローリングとスコーリングとを行う。ゴムを押し出して厚いシートにし、複数セットのカレンダーロールでローリング(rolling)して正しい厚さにする。スコーリング(scoring)ロールは通常二セットで、このシートを正しい大きさの小片にカットする。
【0197】
ついで、シートを、トレイ上で条件付けられた場所に移し、そこで、シートを、折り取るのに十分な硬さになるように冷却する。ついで、この条件付けられたゴムシートを、回転ドラムであるブレーカーに通し、シートをスコアに沿って別々のガム小片に分ける。
【0198】
選別工程で、変形したガムを取り除く。合格したガムは金属探知機に通される。
【0199】
II) 圧縮
圧縮(通常はドライ法)によって製造されたチューインガム、すなわち、タブレット化したガム、は、特別なガムベースから造られる。混合物の正しいサイズの粒子を与える造粒のためには、高速ミキサーを使用することができる。ついで、この混合物はタブレットマシーンで圧縮される。
【0200】
選別工程で、変形したガムを取り除く。合格したガムは金属探知機に通す。
【0201】
[実施例6 タブレットコア]
本実施例の説明は、本発明を、本発明に係る種々異なるタブレットコアの製造方法に限定するものではない。
【0202】
【表16】

【0203】
製造方法
上記成分をドライブレンドし、その後圧縮してタブレットコアを得る。ついで、実施例1〜4の任意の方法を用いてこのコアをコーティングする。
【0204】
【表17】

【0205】
製造方法
ニコチン酒石酸水素塩とデキストロース粉は、ドライブレンドされ、次いで、流動床造粒機で、水中のPVPの水溶液を用いて造粒する。次いで、造粒された材料を篩い分けし、PEGとドライブレンドし、圧縮してタブレットにする。ついで、実施例1〜4の任意の方法を用いてこのコアをコーティングする。
【0206】
〔実施の態様〕
(1) ニコチンの口腔内送り込みのための被覆薬用製品において、
少なくとも一つの緩衝された、または緩衝されていないコアと、
任意の形態のニコチン、および任意的にニコチン模倣剤と、
少なくとも一つのコーティング層と、
任意的に一以上のその他の添加物と、
を含み、
前記少なくとも一つのコーティング層が緩衝されており、その際に少なくともトロメタモールが緩衝性作用物質として使用されている、製品。
(2) 実施態様(1)に記載の製品において、
前記少なくとも一つのコアが、チューインガム、咀嚼タブレット(chewable tablet)、タブレット、溶融タブレット、トローチ剤、ハードボイルドキャンディ、および、ホルダー部材に取り付けられていないニコチンの口腔内送り込み用製剤から選択される、製品。
(3) 実施態様(1)または(2)に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンが、少なくとも一つのコーティング層の一部である、製品。
(4) 実施態様(1)〜(3)のいずれかに記載の製品において、
前記少なくとも一つのコアが緩衝されている、製品。
(5) 実施態様(1)〜(4)のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンが、少なくとも一つのコアの一部である、製品。
(6) 実施態様(1)〜(5)のいずれかに記載の製品において、
前記製品が対象者に投与された場合、前記対象者の唾液のpHが0.3〜4pH単位増大するように、少なくとも一つのコーティング層が緩衝されている、製品。
(7) 実施態様(6)に記載の製品において、
前記製品が対象者に投与された場合、前記対象者の唾液のpHが0.5〜2pH単位増大するように、少なくとも一つのコーティング層が緩衝されている、製品。
(8) 実施態様(6)または(7)に記載の製品において、
前記対象者の前記唾液のpHが、少なくともpH7、最大pH10に増大し、好ましくは少なくともpH8、最大9.5に増大する、製品。
(9) 実施態様(1)〜(7)のいずれかに記載の製品において、
少なくとも一つのコーティング層が、トロメタモールと、アルカリ金属(例えばカリウムまたはナトリウム)またはアンモニウムの炭酸塩(例えばモノ炭酸塩、重炭酸塩またはセスキ炭酸塩)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、またはクエン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択された緩衝剤とを一緒に使用することによって緩衝されており、
前記少なくとも一つのチューインガムまたはタブレットのコアの前記任意的な緩衝が、前記選択に従う緩衝剤の使用によってなされる、製品。
(10) 実施態様(1)〜(9)のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンが、ニコチン塩、遊離塩基の形態のニコチン、ニコチン誘導体(例えばニコチンカチオン交換体)、ニコチン包接複合体または任意の非共有結合のニコチン;ゼオライトと結合したニコチン;セルロースまたはデンプンミクロスフィアと結合したニコチン;およびこれらの混合物からなる群から選択される、製品。
【0207】
(11) 実施態様(10)に記載の製品において、
前記ニコチン包接複合体が、シクロデキストリン複合体(例えばβ−シクロデキストリン)である、製品。
(12) 実施態様(10)に記載の製品において、
前記ニコチンカチオン交換体が、ポリアクリレートカチオン交換体である、製品。
(13) 実施態様(10)に記載の製品において、
前記ニコチン塩が、モノ酒石酸塩、酒石酸水素塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、または塩酸塩で形成されている塩である、製品。
(14) 実施態様(1)〜(13)のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、被覆チューインガムまたはタブレット製品一個あたり0.05〜8mgの量で存在する、製品。
(15) 実施態様(14)に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、被覆製品一個あたり0.1〜6mgの量で存在する、製品。
(16) 実施態様(15)に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、被覆製品一個あたり0.5〜5mgの量で存在する、製品。
(17) 実施態様(1)〜(16)のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、少なくとも一つのコーティング層中に0.1〜5mgの量で存在する、製品。
(18) 実施態様(17)に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、少なくとも一つのコーティング層中に0.1〜3mgの量で存在する、製品。
(19) 実施態様(18)に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、少なくとも一つのコーティング層中に0.1〜2mgの量で存在する、製品。
(20) 実施態様(1)〜(19)のいずれかに記載の製品において、
前記ニコチン模倣剤が、ヒリヒリ感を与える、ニコチンのような刺すような熱い風味(acrid burning taste)を持つ作用物質である、製品。
【0208】
(21) 実施態様(20)に記載の製品において、
前記ニコチン模倣剤が、カプサイシン、ピペリンおよびジンゲロン、またはそれらの任意の混合物の任意のものから選択される、製品。
(22) 実施態様(1)〜(21)のいずれかに記載の製品において、
前記任意的な少なくとも一以上の添加物が、安定剤(例えば防腐剤(例えば酸化防止剤));軟化剤、増粘剤、充填剤、歯の美白剤、ブレスフレッシュナー(breath freshener)、乳化剤、流動促進剤、潤滑油、甘味料、香味剤、芳香剤、エンハンサー、着色剤、ビタミン、ミネラル、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、製品。
(23) 実施態様(1)〜(22)のいずれかに記載の製品において、
前記コーティング中、特にハードコーティングが使用される場合、前記ニコチン、好ましくはニコチン酒石酸水素塩(NHT)の形態のニコチン、および前記緩衝剤が、別々の層内に保たれることによって互いに分離されており、
前記層は、任意的に、湿気バリアによって分離され、前記湿気バリアが、無極性脂質およびワックス(例えば、カルナウバワックス)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースおよびポリメタクリレート、またはそれらの組合せから選択される物質を含み、好ましくは、一以上の可塑剤および/または疎水性脂質ベースのフィルム(例えばステアリン酸含有フィルム)と組み合わされている、製品。
(24) 任意の形態のニコチンを対象者に送り込む方法において、
a)前記対象者の口腔中に、実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の被覆製品を投与するステップと、
b)前記被覆製品中の前記任意の形態のニコチンを、前記口腔の唾液中に放出し、前記対象者の体循環系中に吸収させるステップと、
を含む、方法。
(25) 実施態様(24)に記載の方法において、
前記被覆製品のAUC10分が、前記被覆製品と同じ総ニコチン含有量を有する、口腔内取り込み用の、任意の固形または半固形の非被覆薬用製剤のAUC10分より大きい、方法。
(26) 実施態様(24)または(25)に記載の方法において、
c)前記任意の形態のニコチンを、ある期間持続される仕方で前記対象者に投与するステップ
を更に含む、方法。
(27) 実施態様(26)に記載の方法において、
前記期間が、少なくとも5、10、20、30、または40分である、方法。
(28) 喫煙の衝動もしくは別様にタバコ含有物質を用いたいという衝動の減少を実現し、および/または、喫煙せずに喫煙の充足感を与える方法において、
a)前記タバコ含有物質を、少なくとも部分的に、実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の被覆製品で置き換えるステップと、
b)実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の任意の形態のニコチン含有被覆製品を対象者の口腔中に投与するステップと、
c)前記被覆製品中の前記任意の形態のニコチンを、前記口腔の唾液中に放出し、前記対象者によって吸収させるステップと、
を含む、方法。
(29) 実施態様(24)〜(28)のいずれかに記載の方法において、
前記任意の形態のニコチンを、ある期間持続される仕方で前記対象者に投与するステップ、
を更に含む、方法。
(30) 実施態様(29)に記載の方法において、
前記期間が、少なくとも5、10、20、30、または40分である、方法。
【0209】
(31) 任意の形態のニコチンを対象者に送り込むためのシステムにおいて、
実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の被覆製品、および、喫煙の衝動またはタバコの使用の減少を実現するための、少なくとも一つのその他の手段または方法を含む、システム。
(32) 喫煙の衝動もしくはタバコの使用の減少を実現するための、および/または、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムにおいて、
実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の被覆製品、および、喫煙の衝動またはタバコの使用の減少を実現するための、少なくとも一つのその他の手段または方法を含む、システム。
(33) 実施態様(31)または(32)に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも一つの他の手段または方法が、マウススプレー、スプレー式点鼻薬、経皮パッチ、吸入デバイス、トローチ剤、タブレットを介する投与、ならびに、非経口的方法、皮下的方法、および経粘膜的方法;またはタバコの使用からなる群から選ばれた付随的手段もしくは方法、または同時に実行される手段もしくは方法である、システム。
(34) 実施態様(33)に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも一つの他の手段または方法に、ニコチンの投与が含まれる、システム。
(35) 実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の被覆製品の使用において、
任意の形態のニコチンを対象者に送り込むための、使用。
(36) 実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の被覆製品を生産する方法において、
a)少なくとも一つのコアを供給するステップ、および/または、少なくとも一つのニコチン含有コアを供給するステップと、
b)任意の形態のニコチンを供給するステップと、
c)緩衝性作用物質として少なくともトロメタモールを用いて緩衝されている少なくとも一つのコーティングを供給するステップと、
d)前記任意の形態のニコチンを、前記少なくとも一つのコア、および/または、前記少なくとも一つのコーティングに添加するステップと、
e)前記少なくとも一つのコアを、前記少なくとも一つの緩衝されたコーティング層の少なくとも一つの層でコーティングするステップと、
を含む、方法。
(37) 実施態様(36)に記載の方法において、
f)前記少なくとも一つのコアを緩衝するステップ、および/または、
g)緩衝されていない少なくとも一つのコーティング層を供給するステップ、および、任意的に、
h)前記任意の形態のニコチンを、前記緩衝されていない少なくとも一つのコーティング層の少なくとも一つに添加するステップ、および、任意的に、
i)前記コーティング中の前記ニコチンと前記コーティング中の前記緩衝剤とを別々の層に提供するステップであって、前記別々の層は、好ましくは湿気バリアにより分離されている、ステップと、
を更に含む、方法。
(38) 実施態様(36)または(37)に記載の方法において、
前記任意の形態のニコチンが、ニコチン塩、遊離塩基の形態のニコチン、ニコチン誘導体(例えばニコチンカチオン交換体)、ニコチン包接複合体または任意の非共有結合のニコチン;ゼオライトと結合したニコチン;セルロースまたはデンプンミクロスフィアと結合したニコチン;およびこれらの混合物からなる群から選択される、方法。
(39) 実施態様(36)〜(38)のいずれかに記載の方法において、
前記少なくとも一つのコーティング層が、トロメタモールと、アルカリ金属(例えばカリウムまたはナトリウム)もしくはアンモニウムの、重炭酸塩またはセスキ炭酸塩を含めた炭酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、またはクエン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた緩衝剤とを一緒に使用することによって、緩衝されており、
少なくとも一つのコーティング層が、対象者への前記製品の投与の際に、前記対象者の唾液のpHが0.3〜4pH単位増大するように緩衝されている、方法。
(40) 実施態様(39)に記載の方法において、
少なくとも一つのコーティング層が、対象者への前記製品の投与時に、前記対象者の前記唾液のpHが0.5〜2pH単位増大するように緩衝されている、方法。
【0210】
(41) 実施態様(36)〜(40)のいずれかに記載の方法において、
前記製品が、チューインガムまたはタブレットであり、
ステップa)における前記少なくとも一つのコアの供給が、
a1)ガムまたはタブレットのコア塊を供給するステップと、
a2)前記ガムまたはタブレットの塊について、混合、ローリング(rolling)、スコーリング(scoring);成型;または押し出し成形を行うステップと、
を含む、方法。
(42) 実施態様(36)〜(41)のいずれかに記載の方法において、
ステップa)における前記コアの前記供給が、成分の直接圧縮によって得られる、方法。
(43) 実施態様(36)〜(42)のいずれかに記載の方法において、
前記少なくとも一つのコアを前記少なくとも一つの緩衝されたコーティングの少なくとも一つの層でコーティングすることが、
a)フィルムコーティングするステップ、および/または、
b)プレスコーティングするステップ、および/または、
c)ハードコーティングするステップ、および/または、
d)溶融コーティングするステップ、
を含む、方法。
(44) 実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の製品において、
治療に用いられる、製品。
(45) 実施態様(44)に記載の製品において、
前記治療が、タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の治療である、製品。
(46) 実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載の製品を製造するためのニコチンの使用において、
前記使用が、タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の治療のためのものである、使用。
(47) 実施態様(1)〜(23)のいずれかに記載のニコチン含有製品の生産のためのチューインガムまたはタブレットの使用において、
前記使用が、タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の治療のためのものである、使用。
(48) ニコチンを含有するコーティングされたチューインガム(coated chewing gum)において、
前記ガムのコアが、任意の形態のニコチン、ガムベース、トロメタモール、1以上の甘味料、および一以上の香味剤を含み、
前記コーティングが、任意の形態のニコチン、トロメタモール、一以上の甘味料、およびゼラチンを含むハードコーティングである、チューインガム。
(49) ニコチンを含有するコーティングされたタブレットにおいて、
前記タブレットのコアが、任意の形態のニコチン、トロメタモール、一以上の結合剤、1以上の甘味料、および一以上の香味剤を含み、
前記コーティングが、トロメタモールを含み、かつ、ハードコーティング、フィルムコーティング、プレスコーティング、または溶融コーティングである、タブレット。
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】図1は、AUC10分、すなわち、二つの製剤についての、ゼロ時間〜10分までのニコチンの血漿中濃度対投与後時間曲線における面積を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンの口腔内送り込みのための被覆薬用製品において、
少なくとも一つの緩衝された、または緩衝されていないコアと、
任意の形態のニコチン、および任意的にニコチン模倣剤と、
少なくとも一つのコーティング層と、
任意的に一以上のその他の添加物と、
を含み、
前記少なくとも一つのコーティング層が緩衝されており、その際に少なくともトロメタモールが緩衝性作用物質として使用されている、製品。
【請求項2】
請求項1に記載の製品において、
前記少なくとも一つのコアが、チューインガム、咀嚼タブレット、タブレット、溶融タブレット、トローチ剤、ハードボイルドキャンディ、および、ホルダー部材に取り付けられていないニコチンの口腔内送り込み用製剤から選択される、製品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンが、少なくとも一つのコーティング層の一部である、製品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製品において、
前記少なくとも一つのコアが緩衝されている、製品。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンが、少なくとも一つのコアの一部である、製品。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製品において、
前記製品が対象者に投与された場合、前記対象者の唾液のpHが0.3〜4pH単位増大するように、少なくとも一つのコーティング層が緩衝されている、製品。
【請求項7】
請求項6に記載の製品において、
前記製品が対象者に投与された場合、前記対象者の唾液のpHが0.5〜2pH単位増大するように、少なくとも一つのコーティング層が緩衝されている、製品。
【請求項8】
請求項6または7に記載の製品において、
前記対象者の前記唾液のpHが、少なくともpH7、最大pH10に増大し、好ましくは少なくともpH8、最大9.5に増大する、製品。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の製品において、
少なくとも一つのコーティング層が、トロメタモールと、アルカリ金属(例えばカリウムまたはナトリウム)またはアンモニウムの炭酸塩(例えばモノ炭酸塩、重炭酸塩またはセスキ炭酸塩)、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、またはクエン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択された緩衝剤とを一緒に使用することによって緩衝されており、
前記少なくとも一つのチューインガムまたはタブレットのコアの前記任意的な緩衝が、前記選択に従う緩衝剤の使用によってなされる、製品。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンが、ニコチン塩、遊離塩基の形態のニコチン、ニコチン誘導体(例えばニコチンカチオン交換体)、ニコチン包接複合体または任意の非共有結合のニコチン;ゼオライトと結合したニコチン;セルロースまたはデンプンミクロスフィアと結合したニコチン;およびこれらの混合物からなる群から選択される、製品。
【請求項11】
請求項10に記載の製品において、
前記ニコチン包接複合体が、シクロデキストリン複合体(例えばβ−シクロデキストリン)である、製品。
【請求項12】
請求項10に記載の製品において、
前記ニコチンカチオン交換体が、ポリアクリレートカチオン交換体である、製品。
【請求項13】
請求項10に記載の製品において、
前記ニコチン塩が、モノ酒石酸塩、酒石酸水素塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、または塩酸塩で形成されている塩である、製品。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、被覆チューインガムまたはタブレット製品一個あたり0.05〜8mgの量で存在する、製品。
【請求項15】
請求項14に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、被覆製品一個あたり0.1〜6mgの量で存在する、製品。
【請求項16】
請求項15に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、被覆製品一個あたり0.5〜5mgの量で存在する、製品。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、少なくとも一つのコーティング層中に0.1〜5mgの量で存在する、製品。
【請求項18】
請求項17に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、少なくとも一つのコーティング層中に0.1〜3mgの量で存在する、製品。
【請求項19】
請求項18に記載の製品において、
前記任意の形態のニコチンは、前記遊離塩基の形態のニコチンとして計算した場合、少なくとも一つのコーティング層中に0.1〜2mgの量で存在する、製品。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の製品において、
前記ニコチン模倣剤が、ヒリヒリ感を与える、ニコチンのような刺すような熱い風味を持つ作用物質である、製品。
【請求項21】
請求項20に記載の製品において、
前記ニコチン模倣剤が、カプサイシン、ピペリンおよびジンゲロン、またはそれらの任意の混合物の任意のものから選択される、製品。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の製品において、
前記任意的な少なくとも一以上の添加物が、安定剤(例えば防腐剤(例えば酸化防止剤));軟化剤、増粘剤、充填剤、歯の美白剤、ブレスフレッシュナー、乳化剤、流動促進剤、潤滑油、甘味料、香味剤、芳香剤、エンハンサー、着色剤、ビタミン、ミネラル、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、製品。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載の製品において、
前記コーティング中、特にハードコーティングが使用される場合、前記ニコチン、好ましくはニコチン酒石酸水素塩(NHT)の形態のニコチン、および前記緩衝剤が、別々の層内に保たれることによって互いに分離されており、
前記層は、任意的に、湿気バリアによって分離され、前記湿気バリアが、無極性脂質およびワックス(例えば、カルナウバワックス)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースおよびポリメタクリレート、またはそれらの組合せから選択される物質を含み、好ましくは、一以上の可塑剤および/または疎水性脂質ベースのフィルム(例えばステアリン酸含有フィルム)と組み合わされている、製品。
【請求項24】
任意の形態のニコチンを対象者に送り込む方法において、
a)前記対象者の口腔中に、請求項1〜23のいずれかに記載の被覆製品を投与するステップと、
b)前記被覆製品中の前記任意の形態のニコチンを、前記口腔の唾液中に放出し、前記対象者の体循環系中に吸収させるステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
前記被覆製品のAUC10分が、前記被覆製品と同じ総ニコチン含有量を有する、口腔内取り込み用の、任意の固形または半固形の非被覆薬用製剤のAUC10分より大きい、方法。
【請求項26】
請求項24または25に記載の方法において、
c)前記任意の形態のニコチンを、ある期間持続される仕方で前記対象者に投与するステップ
を更に含む、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記期間が、少なくとも5、10、20、30、または40分である、方法。
【請求項28】
喫煙の衝動もしくは別様にタバコ含有物質を用いたいという衝動の減少を実現し、および/または、喫煙せずに喫煙の充足感を与える方法において、
a)前記タバコ含有物質を、少なくとも部分的に、請求項1〜23のいずれかに記載の被覆製品で置き換えるステップと、
b)請求項1〜23のいずれかに記載の任意の形態のニコチン含有被覆製品を対象者の口腔中に投与するステップと、
c)前記被覆製品中の前記任意の形態のニコチンを、前記口腔の唾液中に放出し、前記対象者によって吸収させるステップと、
を含む、方法。
【請求項29】
請求項24〜28のいずれかに記載の方法において、
前記任意の形態のニコチンを、ある期間持続される仕方で前記対象者に投与するステップ、
を更に含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
前記期間が、少なくとも5、10、20、30、または40分である、方法。
【請求項31】
任意の形態のニコチンを対象者に送り込むためのシステムにおいて、
請求項1〜23のいずれかに記載の被覆製品、および、喫煙の衝動またはタバコの使用の減少を実現するための、少なくとも一つのその他の手段または方法を含む、システム。
【請求項32】
喫煙の衝動もしくはタバコの使用の減少を実現するための、および/または、喫煙せずに喫煙の充足感を与えるためのシステムにおいて、
請求項1〜23のいずれかに記載の被覆製品、および、喫煙の衝動またはタバコの使用の減少を実現するための、少なくとも一つのその他の手段または方法を含む、システム。
【請求項33】
請求項31または32に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも一つの他の手段または方法が、マウススプレー、スプレー式点鼻薬、経皮パッチ、吸入デバイス、トローチ剤、タブレットを介する投与、ならびに、非経口的方法、皮下的方法、および経粘膜的方法;またはタバコの使用からなる群から選ばれた付随的手段もしくは方法、または同時に実行される手段もしくは方法である、システム。
【請求項34】
請求項33に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも一つの他の手段または方法に、ニコチンの投与が含まれる、システム。
【請求項35】
請求項1〜23のいずれかに記載の被覆製品の使用において、
任意の形態のニコチンを対象者に送り込むための、使用。
【請求項36】
請求項1〜23のいずれかに記載の被覆製品を生産する方法において、
a)少なくとも一つのコアを供給するステップ、および/または、少なくとも一つのニコチン含有コアを供給するステップと、
b)任意の形態のニコチンを供給するステップと、
c)緩衝性作用物質として少なくともトロメタモールを用いて緩衝されている少なくとも一つのコーティングを供給するステップと、
d)前記任意の形態のニコチンを、前記少なくとも一つのコア、および/または、前記少なくとも一つのコーティングに添加するステップと、
e)前記少なくとも一つのコアを、前記少なくとも一つの緩衝されたコーティング層の少なくとも一つの層でコーティングするステップと、
を含む、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、
f)前記少なくとも一つのコアを緩衝するステップ、および/または、
g)緩衝されていない少なくとも一つのコーティング層を供給するステップ、および、任意的に、
h)前記任意の形態のニコチンを、前記緩衝されていない少なくとも一つのコーティング層の少なくとも一つに添加するステップ、および、任意的に、
i)前記コーティング中の前記ニコチンと前記コーティング中の前記緩衝剤とを別々の層に供給するステップであって、前記別々の層は、好ましくは湿気バリアにより分離されている、ステップと、
を更に含む、方法。
【請求項38】
請求項36または37に記載の方法において、
前記任意の形態のニコチンが、ニコチン塩、遊離塩基の形態のニコチン、ニコチン誘導体(例えばニコチンカチオン交換体)、ニコチン包接複合体または任意の非共有結合のニコチン;ゼオライトと結合したニコチン;セルロースまたはデンプンミクロスフィアと結合したニコチン;およびこれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項39】
請求項36〜38のいずれかに記載の方法において、
前記少なくとも一つのコーティング層が、トロメタモールと、アルカリ金属(例えばカリウムまたはナトリウム)もしくはアンモニウムの、重炭酸塩またはセスキ炭酸塩を含めた炭酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、またはクエン酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた緩衝剤とを一緒に使用することによって、緩衝されており、
少なくとも一つのコーティング層が、対象者への前記製品の投与の際に、前記対象者の唾液のpHが0.3〜4pH単位増大するように緩衝されている、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、
少なくとも一つのコーティング層が、対象者への前記製品の投与時に、前記対象者の前記唾液のpHが0.5〜2pH単位増大するように緩衝されている、方法。
【請求項41】
請求項36〜40のいずれかに記載の方法において、
前記製品が、チューインガムまたはタブレットであり、
ステップa)における前記少なくとも一つのコアの供給が、
a1)ガムまたはタブレットのコア塊を供給するステップと、
a2)前記ガムまたはタブレットの塊について、混合、ローリング、スコーリング;成型;または押し出し成形を行うステップと、
を含む、方法。
【請求項42】
請求項36〜41のいずれかに記載の方法において、
ステップa)における前記コアの前記供給が、成分の直接圧縮によって得られる、方法。
【請求項43】
請求項36〜42のいずれかに記載の方法において、
前記少なくとも一つのコアを前記少なくとも一つの緩衝されたコーティングの少なくとも一つの層でコーティングすることが、
a)フィルムコーティングするステップ、および/または、
b)プレスコーティングするステップ、および/または、
c)ハードコーティングするステップ、および/または、
d)溶融コーティングするステップ、
を含む、方法。
【請求項44】
請求項1〜23のいずれかに記載の製品において、
治療に用いられる、製品。
【請求項45】
請求項44に記載の製品において、
前記治療が、タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の治療である、製品。
【請求項46】
請求項1〜23のいずれかに記載の製品を製造するためのニコチンの使用において、
前記使用が、タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の治療のためのものである、使用。
【請求項47】
請求項1〜23のいずれかに記載のニコチン含有製品の生産のためのチューインガムまたはタブレットの使用において、
前記使用が、タバコまたはニコチン依存症、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥレット症候群、潰瘍性大腸炎、および禁煙後の体重コントロールからなる群から選ばれた疾病の治療のためのものである、使用。
【請求項48】
ニコチンを含有するコーティングされたチューインガムにおいて、
前記ガムのコアが、任意の形態のニコチン、ガムベース、トロメタモール、1以上の甘味料、および一以上の香味剤を含み、
前記コーティングが、任意の形態のニコチン、トロメタモール、一以上の甘味料、およびゼラチンを含むハードコーティングである、チューインガム。
【請求項49】
ニコチンを含有するコーティングされたタブレットにおいて、
前記タブレットのコアが、任意の形態のニコチン、トロメタモール、一以上の結合剤、1以上の甘味料、および一以上の香味剤を含み、
前記コーティングが、トロメタモールを含み、かつ、ハードコーティング、フィルムコーティング、プレスコーティング、または溶融コーティングである、タブレット。

【図1】
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【公表番号】特表2009−537514(P2009−537514A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510917(P2009−510917)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000365
【国際公開番号】WO2007/133141
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(507362719)マクニール アーベー (8)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL AB
【Fターム(参考)】