説明

緩衝機能付包装用箱

【課題】外部から加わる衝撃の向きによらず収容物を保護することができ、組み立てが容易な緩衝機能付包装用箱を提供する。
【解決手段】連接された第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20及び第三側面板62で外側筒状体を構成する。外側筒状体の内側に、背面板20の端辺から連接された正面仕切板64、第二仕切部88、背面仕切板68及び第一仕切部108で囲まれた収容部が、外側筒状体と隙間を空けて対面する。収容部は、正面仕切板64及び背面仕切板68から延設された第一糊付部84が、第二側面板18の裏面に糊付される。第一仕切部108の一端から延設された糊付片96が背面板20の裏面に糊付される。第一仕切部108の他の一端から延設された第三糊付部112が、正面仕切板64の第一側面板14に近い部分に糊付される。収容部の下側開口部に、収容物支持部110が横切るように位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内側に緩衝用仕切りが一体に設けられ、瓶などの収容物を保護する緩衝機能付包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片を折り曲げて糊付けし、ワンタッチで引き起こして組み立て可能に形成された包装用箱がある。また、ガラス瓶等の衝撃に弱い収容物を包装する包装用箱の場合、収容物を保持するための緩衝用の仕切り片も箱体形成片に一体に設けられている場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている包装容器は、正面板、一側面板、背面板、他側面板が順に連接され、正面板、一側面板、背面板及び他側面板の連接方向に対して直角な所定の端辺に上下蓋片やフラップが延設され、組み立てた状態で、正面板、一側面板、背面板及び他側面板が矩形の外周壁を形成し、その上下の両端が上蓋及び下蓋で閉じられる。さらに、他側面板の連接方向の端辺には、裏正面板、内方一側面板、内方背面板、内方他側面板、内方正面板、糊代が順に連接され、組み立てた状態で、裏正面板が正面板に貼着され、糊代が内方側面板に接着されることにより、内方一側面板、内方背面板、内方他側面板及び内方正面板が矩形の内周壁を形成する。さらに、内方背面板の部分にコの字状の切れ目が設けられ、組み立てた状態で、コの字状の先端部が切り起こされ背面板の内側面に貼着されている。すなわち、上記内周壁は、裏正面板と正面板との貼着部分と、内方背面板の切り起こし先端部と背面板との貼着部分の2箇所の接着により周壁に固定される。また、内周壁の下側部分の対角線上の2箇所に所定の切り抜き穴が設けられ、組み立てた状態で、切り抜き穴の下側部分が内方に折り曲げられ、収容物を支持するL字状の支持部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−81256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装容器の場合、内周壁が外周壁に対して2箇所のみで固定されているので、外部から加わる衝撃の方向によっては、十分な緩衝効果が得られないという問題がある。例えば、包装容器の外部から、内周壁と外周とが固定されている2箇所を結ぶ線の方向に衝撃が加わったときは、その固定部で力を受け対面する外周壁方向には強い力がかからず、内周壁自体の柔軟性によって衝撃を吸収し、収容物に大きな衝撃が伝わらない。しかし、当該2箇所を結ぶ線と直角の方向に衝撃が加わったときは、内周壁の2箇所の固定部に曲げ方向の力が作用し、収容物を保持する力が弱く、内周壁全体が衝撃の方向に移動し、対面する外周面に衝突して収容物に大きな衝撃が伝わる。従って、衝撃の方向によっては緩衝効果が弱くなり、収容物を破損させるおそれがあった。
【0006】
また、上記包装容器を箱体形成片から組み立てるとき、所定の箇所を貼着した後、外周壁を引き起こして筒状の箱体にすることによって、ほとんどの部分がワンタッチで組み立てられる。しかし、平らに重なっている外周壁を引き起こすと、支持部になる部分が内周壁に沿って外方に折れ曲がった状態になるので、別途、当該部分を内方に折り込んでL字状の支持部を形成する作業が必要である。従って、組み立てに手間が掛かるものであった。
【0007】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、外部から加わる衝撃の向きによらず収容物を保護することができ、組み立てが容易な緩衝機能付包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、第一側面板、正面板、第二側面板、背面板が順に互いに平行な折罫線を介して連接され、この連接方向に対して直角な所定の端部に上蓋及び下蓋を成す端面部材が延設され、前記箱体形成片を組み立てた状態で、前記第一側面板、前記正面板、前記第二側面板及び前記背面板が矩形の外側筒状体を形成し、その上下の端部が前記上蓋及び下蓋により各々閉じられて成る緩衝機能付包装用箱であって、前記背面板の連接方向の端辺には、折罫線を介して第三側面板、正面仕切板、第二連結板、背面仕切板及び第一連結板が順に連接され、前記第三側面板は、連接方向長さが前記第一側面板の連接方向長さよりも短く、前記正面仕切板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な第一折罫線で区切られ、前記正面仕切板は、前記連接方向長さが前記正面板の連接方向長さに等しく、前記第二連結板との境界が、前記第一折罫線と平行な第二折罫線で区切られているとともに、前記正面仕切板の一部の連接方向長さが前記正面板の連接方向長さよりも短く形成され第三折罫線を介して第二仕切部に連接し、前記第二連結板と前記第二仕切部は、前記背面仕切板との境界が、前記第一折罫線と平行な第四折罫線で区切られるとともに、前記第二仕切部の一部が第五折罫線で区切られて糊付部が形成され、前記背面仕切板の連接方向長さが、前記背面板の連接方向長さよりも短く、前記第一連結板との境界が、前記第一折罫線と平行な第六折罫線で区切られ、前記第三側面板の表面が前記第一側面板の裏面に糊付けされ、前記第二連結板の表面が前記第二側面板の裏面に糊付されることにより、前記正面仕切板が前記正面板と隙間を空けて対面し、前記背面仕切り板の一部の糊付片が前記背面板の裏面に糊付されることにより、前記背面仕切板が前記背面板と隙間を空けて対面するとともに、前記第二仕切部が前記第五折罫線で折れて前記第二側面板と隙間を空けて対面し、前記第一連結板の一部が前記正面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第一仕切部が前記第三側面板と隙間を空けて対面し、前記正面仕切板、前記背面仕切板、前記第二仕切部及び前記第一仕切部により筒状の収容部を形成し、この収容部の外周全周が、前記外側筒状体に対して隙間を空けて対面し、前記収容部内に収容物を収容可能とした緩衝機能付包装用箱である。
【0009】
さらに、前記背面仕切板は、前記下蓋側の領域の連接方向長さが自身の前記上蓋側の領域の連接方向長さよりも短く、当該領域の前記第一連結板との境界が、前記第一折罫線と平行な第七折罫線で区切られ、前記第一連結板は、自身の連接方向の端辺と前記第六折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な第八折罫線で区切られ、自身の連接方向の端辺と前記第七折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な第九折罫線で区切られ、前記第八罫線の内側終端から前記第九折罫線の内側終端と前記第六折罫線の内側終端を通り前記第七折罫線の内側終端に達する切り込みが設けられ、前記第六折罫線、前記切り込み及び前記第八罫線で囲まれた第一仕切部と、前記第七折罫線、前記切り込み及び前記第九折罫線で囲まれた収容物支持部と、前記第八折罫線、前記切り込み及び前記第九折罫線で囲まれた端部側の糊付部とに区切られ、前記糊付部の裏面が前記正面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第一仕切部が前記第三側面板と隙間を空けて対面し、前記収容物支持部が、前記収容部の下側開口部を前記正面仕切板から前記背面仕切板までの間を横切るように位置し、前記収容部に入れられた収容物を下方から支持するものである。
【0010】
また、前記正面仕切板は、前記上蓋側の領域の連接方向長さが自身の前記下蓋側の領域の連接方向長さよりも短く、当該領域と前記第二連結板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な前記第三折罫線で区切られ、前記第二連結板は、前記第三折罫線の内側終端から前記第二折罫線の内側終端を通り前記第四折罫線に達する第一切り込みが設けられ、前記第二折罫線、前記第一切り込み線及び前記第四折罫線とで囲む領域である第一糊付部とその他の領域に区切られ、当該その他の領域は、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な前記第五折罫線により、前記第三折罫線の側の領域である前記第二仕切部と前記第四折罫線の側の領域である第二糊付部とに区切られ、前記第一糊付部の表面が前記第二側面板の裏面に糊付されることにより、前記正面仕切板が前記正面板と隙間を空けて対面し、前記第二糊付部の裏面が前記背面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第二仕切部が前記第二側面板と隙間を空けて対面し、前記背面仕切板は、前記上蓋側の領域の連接方向長さが前記背面板の連接方向長さよりも短く、当該領域の前記第一連結板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な前記第六折罫線で区切られるとともに、前記背面仕切板は、残る前記下蓋側の領域の連接方向長さが自身の前記上蓋側の領域の連接方向長さよりも短く、当該領域の前記第一連結板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な前記第七折罫線で区切られ、前記背面仕切板には、前記第一連結板から延びる糊付片を切り出す第二切り込みが設けられ、前記糊付片の先端部分が前記背面板の裏面に糊付されることにより、前記背面仕切板が前記背面板と隙間を空けて対面し、前記第一連結板は、自身の連接方向の端辺と前記第六折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な前記第八折罫線で区切られ、自身の連接方向の端辺と前記第七折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な第九折罫線で区切られ、前記第八罫線の内側終端から前記第九折罫線の内側終端と前記第六折罫線の内側終端を通り前記第七折罫線の内側終端に達する第三切り込みが設けられることにより、前記第六折罫線、前記第三切り込み及び前記第八折罫線で囲まれる前記第一仕切部と、前記第七折罫線、前記第三切り込み及び前記第九折罫線で囲まれる前記収容物支持部と、前記第八折罫線、前記第三切り込み及び前記第九折罫線で囲む端側の領域である第三糊付部とに区切られ、前記第三糊付部の裏面が前記正面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第一仕切部が前記第三側面板と隙間を空けて対面するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の緩衝機能付包装用箱は、外側筒状体の内側に、収容部が外側筒状体から隙間を空けて対面し、収容部は、自身の外周面が互いに離れた3箇所で延設されて外側筒状体の内周面に固定されている。従って、外側筒状体の外周面のどの方向から衝撃が加わっても、収容部が外側筒状体に接触しない。さらに、収容部自体の柔軟性によって衝撃を吸収することができ、収容部内にある収容物に大きな衝撃が伝わらない。また、収容部内の収容物は、収容物保持部によって下方から支持されているので、緩衝機能付包装用箱が下蓋側を下にして取り置きされる通常の取り扱いに対して、十分な緩衝効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の緩衝機能付包装用箱の一実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の展開した箱体形成片を示す平面図である。
【図3】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の組み立て方法を説明する平面図(a)、正面図(b)である。
【図4】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の組み立て方法を説明する平面図(a)、正面図(b)である。
【図5】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の組み立て方法を説明する平面図(a)、正面図(b)である。
【図6】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の組み立て方法を説明する平面図(a)、正面図(b)である。
【図7】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の組み立て方法を説明する平面図(a)、正面図(b)である。
【図8】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の内部の糊付け箇所を説明する模式図である。
【図9】この実施形態の緩衝機能付包装用箱を上蓋側からみた部分切り欠き斜視図(a)、下蓋側から見た部分切り欠き斜視図(b)である。
【図10】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の他の組み立て方法を説明する平面図である。
【図11】この実施形態の緩衝機能付包装用箱の変形例の、開封前の外観を示す斜視図(a)、開封後の外観を示す斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の緩衝機能付包装用箱の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態の緩衝機能付包装用箱10は、厚紙等のブランクシートから打ち抜かれた一枚の箱体形成片12を折り曲げて糊付けし、ワンタッチで引き起こすことによって組み立てられる箱体である。組み立てられた緩衝機能付包装用箱10は、図1に示すように、略矩形で縦長の外側筒状体S1と、その内側に所定の隙間を空けて対面するように配置された緩衝用仕切りである筒状の収容部S2とを有し、ガラス瓶等の衝撃に弱い収容物Wを収容部S2で緩衝的に保持するものである。
【0014】
図2は、箱体形成片12を裏面から見た展開図である。箱体形成片12は、組み立て状態で一方の側面となる第一側面板14から順に、第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20が、互いに平行に連接して形成され、互いに平行な折罫線22,24,26で各々区切られている。第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20は、連接する幅方向がほぼ同じ長さであり、連接方向は、第一側面板14及び第二側面板18がほぼ等しく短く、正面板16、背面板20がほぼ等しく長くになっている。
【0015】
第一側面板14の、正面板16との連接方向に対して直角な一端辺には、台形状の端面部材であるフラップ28が折罫線30で区切られて設けられている。フラップ28の折罫線34から先端までの長さは、正面板16の連接方向長さの1/2程度に設けられている。同様に、第一側面板14の折罫線30と反対側の端辺にも、フラップ28とほぼ同形のフラップ32が折罫線34で区切られて設けられている。
【0016】
第二側面板18の、背面板20との連接方向に対して直角な一端辺には、フラップ28とほぼ同形のフラップ36が折罫線38で区切られて設けられている。同様に、第二側面板18の折罫線38と反対側の端辺にも、フラップ28とほぼ同形のフラップ40が折罫線42で区切られて設けられている。
【0017】
背面板20の、第二側面板18との連接方向に対して直角な一端辺であって、フラップ36と隣接する端辺には、端面部材である下蓋片44と差込片46とが順に連接され、各々折罫線48,50で区切られている。下蓋片44の折罫線48から折罫線50までの長さは、第二側面板18の連接方向長さにほぼ等しく、差込片46の折罫線50から先端までの長さは、下蓋片44の上記長さの1/3程度に設けられている。背面板20の折罫線44と反対側の端辺には、端面部材である上蓋片52が差込片54とが順に連接され、各々折罫線56,58で区切られている。上蓋片52及び差込片54は、下蓋片44及び差込片46とほぼ同形である。
【0018】
正面板16の、フラップ32と隣接する側の端辺の中央部であって、組み立て状態で内側に差込片54が差し込まれる部分には、台形状の開封用ミシン目60が設けられている。
【0019】
さらに、背面板20の連接方向の端辺に、第三側面板62、正面仕切板64、第二連結板66、背面仕切板68及び第一連結板70が順に連接されている。
【0020】
第三側面板62は、背面板20との境界が折罫線72で区切られ、正面仕切板64との境界が、折罫線72と平行に第一折罫線74で区切られている。連接方向長さは第一側面板14の連接方向長さよりも短く、折罫線72から第一折罫線74にかけて幅方向が僅かに短くなっている。
【0021】
正面仕切板64は、連接方向長さが、下蓋片44側の領域と上蓋片52側の領域とで異なっている。正面仕切板64の下蓋片44側領域は、連接方向長さが正面板16の連接方向長さにほぼ等しく、第二連結板66との境界が、第一折罫線74と平行な第二折罫線76で区切られている。残る上蓋片52側領域は、連接方向長さが上記下蓋片44側領域の連接方向長さよりも短く、第二連結板66との境界が、第一折罫線74と平行な第三折罫線78で区切られている。
【0022】
第二連結板66は、背面仕切板68との境界が、第二、第三折罫線76,78と平行な第四折罫線80で区切られている。そして、第三折罫線78の内側終端から第二折罫線76の内側終端を通り第四折罫線80に達する第一切り込み82が設けられ、第二折罫線76、第一切り込み82及び第四折罫線80で囲む第一糊付部84と、その他の領域に区切られている。当該その他の領域は、第三折罫線78と平行な第五折罫線86により、第三折罫線78側の第二仕切部88と第四折罫線80側の第二糊付部90とに区切られている。ここでは、図2に示すように、第五折罫線86の中央部分に、コの字状の補助切り込み86aが付加され、組み立てるときに第五折罫線86を折り曲げやすくしている。
【0023】
背面仕切板68は、連接方向長さが、上蓋片52側の領域と下蓋片14側の領域とで異なっている。背面仕切板68の上蓋片52側領域は、連接方向長さが背面板20の連接方向長さよりも短く、第一連結板70との境界が、第四折罫線80と平行な第六折罫線92で区切られている。残る下蓋片14側領域は、連接方向長さが上記上蓋片52側領域の連接方向長さよりも短く、第一連結板70との境界が、第四折罫線80と平行な第七折罫線94で区切られている。
【0024】
さらに、背面仕切板68には、第六折罫線92の部分から延びる糊付片96を切り出すコの字状の第二切り込み98が設けられ、その根元からやや先端寄りの部分に、第六折罫線92と平行な補助折罫線98aが設けられている。
【0025】
第一連結板70は、自身の連接方向の端辺100と第六折罫線92との間の領域が、第六折罫線92と平行な第八折罫線102で区切られ、端辺100と第七折罫線94との間の領域が、第七折罫線94と平行な第九折罫線104で区切られている。また、第八罫線102の内側終端から第九折罫線104内側終端を結び、第六折罫線92の内側終端を通って第七折罫線94の内側終端に達する第三切り込み106が設けられている。このようにして、第一連結板70は、第六折罫線92、第三切り込み106及び第八罫線102で囲む領域である第一仕切部108と、第七折罫線94、第三切り込み106及び第九折罫線104で囲む領域である収容物支持部110と、第八折罫線102、第三切り込み106及び第九折罫線104で囲む端側の領域である第三糊付部112とに区切られている。
【0026】
次に、緩衝機能付包装用箱10の組立方法の一例について説明する。ここで、図2〜図7は箱体形成片12の裏面を見たものであり、以下、箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0027】
まず、図3に示すように、第二糊付部90の裏面に糊114を、第三糊付部112の裏面に糊116をそれぞれ塗布し、図4に示すように、第四折罫線80を正折りする。これにより、第二糊付部90の裏面が背面仕切板68の裏面に糊付され、第三糊付部112の裏面が正面仕切板64の裏面に糊付される。次に、図4に示すように、糊付片96の表面に糊118を塗布し、図5に示すように、第一折罫線74を正折りする。これにより、糊付片96の表面が背面板20の裏面に糊付される。次に、図5に示すように、第一糊付部84の表面に糊120を塗布し、図6に示すように、折罫線26を正折りする。これにより、第一糊付部84の表面が第二側面板18の裏面に糊付される。次に、図6に示すように、第三側面板62の表面に糊122を塗布し、図7に示すように、折罫線22を正折りする。これにより、第一側面板14の裏面が第三側面板62の表面に糊付される。このようにして箱体形成片12は折り畳み状態となり、この状態で出荷される。
【0028】
次に、収容物Wを収容し包装する工場等において、折罫線24,72を各々90度に正折りし、四角形の箱体にする。すると、図8、図9に示すように、第三側面板62の表面が第一側面板14の裏面に糊付けされているので、第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20及び第三側面板62が外側筒状体S1を形成する。なお、図8、図9では、フラップ28,32,36,40、下蓋片44及び差込片46、上蓋片52及び差込片54が省略されている。
【0029】
このとき、外側筒状体S1の内側は、第一糊付部84の表面が第二側面板18の裏面に糊付されているので、第二折罫線76が正折りされ、正面仕切板64が正面板16と隙間を空けて対面する。また、糊付片96の先端部分が背面板20の裏面に糊付されているので、補助折罫線98aと第六折罫線92が正折りされ、背面仕切板68が背面板20と隙間を空けて対面する。また、第二糊付部90の裏面が背面仕切板68の裏面に糊付されているので、第三折罫線78が正折りされ、第五折罫線86が逆折りされ、第二仕切部88が第二側面板18と隙間を空けて対面する。また、第三糊付部112の裏面が正面仕切板64の裏面に糊付されることにより、第八折罫線102が逆折りされ、第一仕切部108が第三側面板62と隙間を空けて対面する。このようにして、正面仕切板64、第二仕切部88、背面仕切板68及び第一仕切部108で囲まれた収容部S2が形成される。
【0030】
また、上記の動作に伴って、第七折罫線94が正折りされ、第九折罫線104が逆折りされるので、収容物支持部110が、収容部S2の下側開口部(収容部S2の下蓋片44側の開口部。図9(b)においては収容部S2の上方)に、正面仕切板64から背面仕切板68の間を横切るように配置される。
【0031】
次に、折罫線30,38を各々90度に正折りしてフラップ28,36を倒し、さらに折罫線48,50を各々90度に正折りし、差込片46を正面板16の裏面側に差し込み、下蓋片44で外側筒状体S1の下方開口部を閉鎖する。このようにして、図1に示す緩衝機能付包装用箱10が組み立てられる。
【0032】
この状態で、図1に示すように収容物Wを収容部S2の中に入れる。収容物Wは、自身の側面が、正面仕切板64、第二仕切部88、背面仕切板68及び第一仕切部108によって保持され、自身の底面が、収容物支持部110によって支持される。次に、折罫線34,42を各々90度に正折りしてフラップ32,40を倒し、さらに折罫線56,58を各々90度に正折りし、差込片54を正面板16の裏面側に差し込み、上蓋片52で外側筒状体S1の上方開口部を閉鎖する。
【0033】
以上説明したように、緩衝機能付包装用箱10は、第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20及び第三側面板62で構成された外側筒状体S1の内側に、正面仕切板64、第二仕切部88、背面仕切板68及び第一仕切部108で囲まれた収容部S2が隙間を空けて対面し、収容部S2が自身の外周面の互いに離れた3箇所が延設されて外側筒状体S1の内周面に固定されている。従って、外側筒状体S1の外周面のどの方向から衝撃が加わっても、収容部S2が外側筒状体S1に接触せず、収容部S2自体の柔軟性によって衝撃を吸収するので、収容部S2内にある収容物Wに大きな衝撃が伝わらない。また、収容部S2内の収容物Wは、収容物保持部110によって下方から支持されているので、緩衝機能付包装用箱10が下蓋片44側を下にして取り置きされる通常の取り扱いに対して、十分な緩衝効果を得ることができる。
【0034】
また、ブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片12を折り曲げて糊付けし、ワンタッチで引き起こして組み立て可能であり、優れた緩衝性を実現する構成を有しながらも、非常に組み立てやすい。さらに、正面仕切板64と正面板16との隙間には、説明書等を収納することも可能であり、その他の隙間も適宜利用することができる。
【0035】
なお、この発明の緩衝機能付包装用箱は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、箱体形成片の素材は、例えば紙などが好適であり、収容物の耐衝撃性やデザイン性に鑑みて、素材の選択や厚みの設定を適宜変更することができる。特に、輸送中に乱雑に取り扱われるおそれがあるときは、外側筒状体と収容部との間隔が広くなるように、第一から第三切り込みと第一から第九各折罫線の形状や配置を設定することが好ましい。
また、上述した箱体形成片12の組み立て方法において、図10に示すように、糊付片96の表面に塗布する糊118を背面板20の裏面の糊118aに変更し、第一糊付部84の表面に塗布する糊120を第二側面板18の裏面の糊120aに変更し、第三側面板の表面に塗布する糊122を第一側面板14の裏面の糊122aに変更してもよい。このようにすれば、糊114,116を含む全ての糊が箱体形成片12の裏面に塗布されることになるので、全ての糊を一括塗布し、その後、上述したように各折罫線を順番に折り曲げるだけで、効率よく組み立てることができる。
【0036】
また、上蓋及び下蓋の構成は、自由に変更することができる。例えば、図11(a)に示す包装用箱10の変形例ように、上蓋片52の折罫線56,58に代えて開封用切込線132,134を設け、さらに、上蓋片の52の開封用切込線132,134の各始端部に摘み52a,52bを各々を設け、老人や手の不自由な人でも容易に開封可能な上蓋を構成することができる。この場合、図11(b)のように、フラップ32の先端に差込片136を設け、フラップ40に差込片136を挿入可能な切り込み138を設けておけば、上蓋片52を開封して除去した後でも、フラップ32,40で外側筒状体S1の上方開口部を閉鎖することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 包装用箱
12 箱体形成片
14 第一側面板
16 正面板
18 第二側面板
20 背面板
22,24,26,30,34,38,42,48,50,56,58,72 折罫線
28,32,36,40 フラップ
44 下蓋片
46 差込片
52 上蓋片
54 差込片
62 第三側面板
64 正面仕切板
66 第二連結板
68 背面仕切板
70 第一連結板
74 第一折罫線
76 第二折罫線
78 第三折罫線
80 第四折罫線
82 第一切り込み
84 第一糊付部
86 第五折罫線
88 第二仕切部
90 第二糊付部
92 第六折罫線
94 第七折罫線
96 糊付片
98 第二切り込み
100 端辺
102 第八折罫線
104 第九折罫線
106 第三切り込み
108 第一仕切部
110 収容部支持部
112 第三糊付部
114,116,118,118a,120,120a,122,122a 糊
S1 外側筒状体
S2 収容部
W 収容物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、第一側面板、正面板、第二側面板、背面板が順に互いに平行な折罫線を介して連接され、この連接方向に対して直角な所定の端部に上蓋及び下蓋を成す端面部材が延設され、前記箱体形成片を組み立てた状態で、前記第一側面板、前記正面板、前記第二側面板及び前記背面板が矩形の外側筒状体を形成し、その上下の端部が前記上蓋及び下蓋により各々閉じられて成る緩衝機能付包装用箱において、
前記背面板の連接方向の端辺には、折罫線を介して第三側面板、正面仕切板、第二連結板、背面仕切板及び第一連結板が順に連接され、
前記第三側面板は、連接方向長さが前記第一側面板の連接方向長さよりも短く、前記正面仕切板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な第一折罫線で区切られ、
前記正面仕切板は、前記連接方向長さが前記正面板の連接方向長さに等しく、前記第二連結板との境界が、前記第一折罫線と平行な第二折罫線で区切られているとともに、前記正面仕切板の一部の連接方向長さが前記正面板の連接方向長さよりも短く形成され第三折罫線を介して第二仕切部に連接し、
前記第二連結板と前記第二仕切部は、前記背面仕切板との境界が、前記第一折罫線と平行な第四折罫線で区切られるとともに、前記第二仕切部の一部が第五折罫線で区切られて糊付部が形成され、
前記背面仕切板の連接方向長さが、前記背面板の連接方向長さよりも短く、前記第一連結板との境界が、前記第一折罫線と平行な第六折罫線で区切られ、
前記第三側面板の表面が前記第一側面板の裏面に糊付けされ、前記第二連結板の表面が前記第二側面板の裏面に糊付されることにより、前記正面仕切板が前記正面板と隙間を空けて対面し、前記背面仕切り板の一部の糊付片が前記背面板の裏面に糊付されることにより、前記背面仕切板が前記背面板と隙間を空けて対面するとともに、前記第二仕切部が前記第五折罫線で折れて前記第二側面板と隙間を空けて対面し、前記第一連結板の一部が前記正面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第一仕切部が前記第三側面板と隙間を空けて対面し、
前記正面仕切板、前記背面仕切板、前記第二仕切部及び前記第一仕切部により筒状の収容部を形成し、この収容部の外周全周が、前記外側筒状体に対して隙間を空けて対面し、前記収容部内に収容物を収容可能としたことを特徴とする緩衝機能付包装用箱。
【請求項2】
前記背面仕切板は、前記下蓋側の領域の連接方向長さが自身の前記上蓋側の領域の連接方向長さよりも短く、当該領域の前記第一連結板との境界が、前記第一折罫線と平行な第七折罫線で区切られ、
前記第一連結板は、自身の連接方向の端辺と前記第六折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な第八折罫線で区切られ、自身の連接方向の端辺と前記第七折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な第九折罫線で区切られ、前記第八罫線の内側終端から前記第九折罫線の内側終端と前記第六折罫線の内側終端を通り前記第七折罫線の内側終端に達する切り込みが設けられ、前記第六折罫線、前記切り込み及び前記第八罫線で囲まれた第一仕切部と、前記第七折罫線、前記切り込み及び前記第九折罫線で囲まれた収容物支持部と、前記第八折罫線、前記切り込み及び前記第九折罫線で囲まれた端部側の糊付部とに区切られ、
前記糊付部の裏面が前記正面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第一仕切部が前記第三側面板と隙間を空けて対面し、
前記収容物支持部が、前記収容部の下側開口部を前記正面仕切板から前記背面仕切板までの間を横切るように位置し、前記収容部に入れられた収容物を下方から支持する請求項1記載の緩衝機能付包装用箱。
【請求項3】
前記正面仕切板は、前記上蓋側の領域の連接方向長さが自身の前記下蓋側の領域の連接方向長さよりも短く、当該領域と前記第二連結板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な前記第三折罫線で区切られ、
前記第二連結板は、前記第三折罫線の内側終端から前記第二折罫線の内側終端を通り前記第四折罫線に達する第一切り込みが設けられ、前記第二折罫線、前記第一切り込み線及び前記第四折罫線とで囲む領域である第一糊付部とその他の領域に区切られ、当該その他の領域は、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な前記第五折罫線により、前記第三折罫線の側の領域である前記第二仕切部と前記第四折罫線の側の領域である第二糊付部とに区切られ、
前記第一糊付部の表面が前記第二側面板の裏面に糊付されることにより、前記正面仕切板が前記正面板と隙間を空けて対面し、前記第二糊付部の裏面が前記背面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第二仕切部が前記第二側面板と隙間を空けて対面し、
前記背面仕切板は、前記上蓋側の領域の連接方向長さが前記背面板の連接方向長さよりも短く、当該領域の前記第一連結板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な前記第六折罫線で区切られるとともに、前記背面仕切板は、残る前記下蓋側の領域の連接方向長さが自身の前記上蓋側の領域の連接方向長さよりも短く、当該領域の前記第一連結板との境界が、前記背面板の連接方向の端辺と平行な前記第七折罫線で区切られ、
前記背面仕切板には、前記第一連結板から延びる糊付片を切り出す第二切り込みが設けられ、前記糊付片の先端部分が前記背面板の裏面に糊付されることにより、前記背面仕切板が前記背面板と隙間を空けて対面し、
前記第一連結板は、自身の連接方向の端辺と前記第六折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な前記第八折罫線で区切られ、自身の連接方向の端辺と前記第七折罫線との間の領域が、前記背面板の上記連接方向の端辺と平行な第九折罫線で区切られ、前記第八罫線の内側終端から前記第九折罫線の内側終端と前記第六折罫線の内側終端を通り前記第七折罫線の内側終端に達する第三切り込みが設けられることにより、前記第六折罫線、前記第三切り込み及び前記第八折罫線で囲まれる前記第一仕切部と、前記第七折罫線、前記第三切り込み及び前記第九折罫線で囲まれる前記収容物支持部と、前記第八折罫線、前記第三切り込み及び前記第九折罫線で囲む端側の領域である第三糊付部とに区切られ、
前記第三糊付部の裏面が前記正面仕切板の裏面に糊付されることにより、前記第一仕切部が前記第三側面板と隙間を空けて対面する請求項1記載の緩衝機能付包装用箱


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−6646(P2012−6646A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145993(P2010−145993)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(391019500)朝日印刷株式会社 (70)
【Fターム(参考)】