説明

縦型ばねと、プランジャと、回転止め球とを含むブッシングの中に手動調節可能な回転止め機構を有する回転式スイッチ

パネル取付け型薄形回転式スイッチ100は、ブッシング110の中に取り付けられた回転止め機構120を含む。好ましい部類の実施形態では、回転止めサブアセンブリは、縦に延在する軸130の内部に平行に位置する単一のばね220を含む。ばねによって加えられる力は設定ねじ210によって手動で調節されて、所望の下向きに加えられる縦方向の力をプランジャ230に与える。先の尖った円筒であることが好ましいプランジャは、回転止め球240に圧力を加え、回転止め球を半径方向外向きに動かして、回転止め機構の内表面上にある回転子カムと係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年11月5日に出願されたPCT特許出願番号PCT/US02/35610の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、電気機械回転式スイッチに関する。
【背景技術】
【0003】
回転式電気機械スイッチは概して、1つの端子に連結された回転軸を有する装置であって、1つまたは複数の他の端子への接続を行うか切ることができるものとして定義される。回転式電気機械エンコーダは、回転式スイッチの特性全体を含むが、追加の機械作動機構を有する。いずれにしても、ユーザは一般的に回路を手動で選択するためにスイッチを操作する。
【0004】
回転式スイッチとエンコーダは、ユーザが電気装置を制御するために、パネルまたはその他の支持構造の上に取り付けられることが多い。スイッチの一部分をパネルの片側(ユーザの側)に置き、スイッチの他の部分をパネルの他の側(内側)に置くことが通常である。多くの例では、パネルのユーザ側にあるスイッチの部分だけが軸のセクションおよびノブ、またはその他の作動手段である。一般に、スイッチの大部分はパネルの内側の上にある。長年の間、この形式の構成は十分であったが、時が経つにつれて、電気装置のサイズがかなり小さくなり、スイッチのサイズ、特にパネル内側上の部分を小さくすることが必要になった。
【0005】
パネルの下により小さな室を有するより小さな装置の必要性を満たすために、スイッチの構成要素のサイズも小さくなった。それでも、これらのスイッチは部分的に機械的構成要素から構成されるので、有用性を保ちながらいかに小さくできるかについては実際的な限界が残った。構成要素のサイズを小さくするだけではなく、様々な設計の必要性が生じてきた。この様な設計の1つは、Olssonの米国特許第4454391号明細書(1984年6月)に教示されている。Olssonは、スイッチの本体内でディップスイッチの作動部材が設定される集積回路板の上で使用される薄形ディップスイッチを記載している。スイッチの垂直断面を小さくすることによって、低い全体的フットプリントを板のために達成することができる。しかし、Olssonによって教示されたスイッチ設計は、パネル取付け形スイッチに関する設計の問題に取り組むものではない。スイッチ設計における問題に取り組む別の特許は、Genz他の米国特許第6312288号明細書(2001年11月)に記載されている。Genzは薄形組合せスイッチとコネクタ組立体を教示している。Genzによって記載されたスイッチは結果として全体的に薄形の組合せ構成要素となることができるが、このスイッチはまだパネル取付け形スイッチの問題、特にパネル下の空間が限られているために生じる問題に取り組むものではない。
【0006】
Graveの米国特許第6043855号明細書(2000年3月)は、航空機におけるエビオニクスパネルの上に置かれるLCDを囲むベゼル(bezel)の上に取り付けたスイッチを対象としている。米国特許第6043855号明細書は、スイッチのノブの中に回転止めが少なくとも部分的に位置する設計を教示している。それでもなお、米国特許第6043855号明細書の設計は次の欠点を有する。すなわち、回転止めはノブの中に収容されているので、ノブを外さなければならないときにはスイッチは機能しないか不適切に機能すること、回転止めはノブ内に完全にはないこと、設計には2つのばねが必要であること、およびばねが垂直に取り付けられて、ノブの垂直方向全体の輪郭を増すことである。
【0007】
電子装置は全く小さくなっているので、よりコンパクトで効率的な設計が必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主題は、ブッシングの中に収容された回転止めサブアセンブリを有するパネル取付け形薄型スイッチである。ばねを収容するブッシングの部分は、中にスイッチが取り付けられるパネルと実質的に平面的関係にある。
【0009】
あるいくつかの実施形態では、回転止めサブアセンブリは、垂直に延在する軸の中に位置付けられた単一のばねを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の様々な目的、特徴、態様、および利点は、添付の図面と共に、本発明の好ましい実施形態の下記の詳細な説明から更に明らかになろう。添付の図面において同様な参照番号は同様な構成要素を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、概してブッシング110と、回転止め機構120と、軸130と、電気接点140と、プリント回路板(PCB)150とから構成される回転式スイッチ100を示す。
【0012】
ブッシング110は、ねじ切りされた上部分112と下部分114から構成されている。本明細書で定義するように、ブッシングは、スイッチが貫いて取り付けられるパネル(例えば制御板)にスイッチを保持するために使用されるスイッチの構成要素である。ある好ましいブッシングは、パネルにおける孔を貫いて延在する上部分と、パネルの下側(すなわち非ユーザ側)に接触する下部分とを有する。図1では、ブッシング110は、パネル160における孔164を貫いて延在するねじ切りされた上部分112を有する。スイッチをパネルに保持することを容易にするために、下部分114を、パネル160における孔164を貫通嵌合しないような直径および/または形状のものにする。ブッシング112の上部分を覆ってロックワッシャ172が置かれ、スイッチをパネルに保持するために捕捉ナット170が上部分112にねじ込み式に取り付けられる。ねじ切りされていないブッシングも使用できるようにするには、ブッシングをねじ切りすること、およびスイッチをパネルに保持するためにナットを使用することは必要ではない。ねじ切りされていないブッシングを別の方法、例えばリベットまたは圧縮取付け具を使用してパネルに保持することができる。
【0013】
一般にブッシングは回転してはならないと考えられ、本明細書では、このような回転運動を実質的に防止するための手段を提供する。このような手段の1つは、ピン/開口構成であり、ここでピン116はパネルにおける開口162の内部にきれいに嵌合する。別の部類の実施形態では、パネルの中に「D」形状の孔(開口部)を有することは有利であり、このような「D」形状の孔は平側面ブッシングと協働して回転を防止する。適当な形状と寸法とのいかなる組合せも、この組合せが実質的に回転運動を防止する限り十分となる。例えば、パネルにおける孔およびブッシングの関連する上部分には2つまたはそれ以上の平側面があってもよい。
【0014】
回転止めサブアセンブリは、回転子121を有する回転止め機構120と、ばね122と、球124とから構成される。図1に示すスイッチを更に分析すると、ばね122が水平に(すなわち軸に垂直に)配置された単一ばね回転止めサブアセンブリが明らかである。ばねは少なくとも1個の球124と(直接または間接的に)接触している。ばねの各端部に1個ずつ2個の球を使用してもよい水平単一ばね実施形態もあることに留意されたい。いずれにしても、球124は回転止め機構120の内表面に向かって偏向している。回転止め機構の内表面に沿って、回転子カム(すなわち円筒形の丸い突出部)121がある。スイッチの軸130が回転すると、1個または複数個の球は、電気接点140がPCB150の周りに回転するにつれて、回転子カムの周りを回転する。回転止めサブアセンブリはブッシング110の内部に、好ましくはブッシング112の上部分の内部に収容されている。しかし、回転止めサブアセンブリの一部分がブッシングの下部分の中に延在できることが考えられる。
【0015】
回転止め機構がブッシングの内部で回転を防止されることは好ましい。この様にして、回転止め機構120は、ブッシングの内表面上の切り欠き(図示せず)と係合する突出部126を有することができ、これによってこの様な回転を防止する。もちろん、軸は回転することを意図されているが、軸の回転を制限することが有利となり得る。軸の回転の制限は、回転止め機構における切り欠き128の寸法の関数として回転の度合いを制限するためにピン132を使用することで、達成することができる。軸の回転を制限することによって、利用可能なスイッチの設定を制限することができる。
【0016】
電気接点140(例えばスイッチワイパまたはブラシ)が非導電性(すなわち誘電性)ディスク135の上に取り付けられ、接点140はPCB150上の回路構成と協働する。PCB150は、金属リベット190またはその他のコネクタによってブッシング110に固着されているが、PCBのブッシングへの固着は必要ではないことに留意されたい。図示されてはいないが、PCBは、スイッチ以外の構成要素とインタフェース接続してもよい追加の電子構成要素(例えば、チップ、ピン、リード線など)を含むことができる。従って、スイッチ位置の設定は一般に、回転止めサブアセンブリと、軸と、電気接点と、PCBとの間の相互作用の関数である。
【0017】
図2を見ると、一代替実施形態において、縦型ねじ220(すなわち軸に平行)と、止めねじ210と、プランジャ230とが含まれる。単一縦型ねじ220は軸の中に収容されており、軸と同じ方向に細長くなっている。止めねじ210は軸130の上部分212の中にねじ込まれ、これによってプランジャは球240の上に外向きの圧力を行使させることになる。外向きの圧力は球を回転止め機構120の内表面上で回転子カムの方向に偏向させる。球に対する外向きの張力は止めねじを回して出し入れすることによって調節可能であることに留意されたい。止めねじをねじ込むと、プランジャは下向きに(PCBに向かって)押され、球は外向きに押される。もちろん、止めねじを回して出すと反対の効果が得られる。プランジャは円筒形の形状で先が尖っていることが好ましい。好ましいプランジャは均一の圧力を球に加えるのみならず、2個以上の球を単一のばねで使用できるようにする。
【0018】
複数の電気的設定を行うためのスイッチを構成することができる。図3は、縦型ばね構成を有する複数デッキスイッチを示す。図3の実施形態は、2組の接点と2つのPCBを有する。第1組の接点140は非導電性(誘電性)ディスク310に取り付けられ、このディスク310は更に軸130に結合されている。第2非導電性ディスク320も軸130に結合されており、更に第2組の接点330に結合されている。スペーサ340がPCB間の絶縁をもたらす。
【0019】
機能的には、一般にスイッチの軸を、スイッチ位置を設定するために手動によって回転する。スイッチ位置は回転止め機構における回転子カム(丸い突出部)によって定義される。軸の回転によって、軸から突き出る球は2つのカムの間にある区域で設定され、これによってスイッチ位置を決める。スイッチのユーザは回転子カム間に設定された球に触れることができる。球が回転止め機構の内表面の周りに回転すると、接点は接点とPCBとの間の関係に基づいて電気接続部を形成する。ここに列挙したスイッチは軸の回転を制限するために停止ピンと共に示されているが、これは、スイッチのいくつかが両方向に360度の回転を可能にするので必要なことではない。
【0020】
使用方法は、回転止めサブアセンブリがパネルに平面的関係になるように、回転式スイッチの取付けを含む。しかしながら、ブッシングの上部分のほとんどはパネルのユーザ側の上にあるので、回転止めサブアセンブリは実質的に、パネルと1つの平面にならず、パネルのユーザ側にある。更に、パネルの下側に延在する回転止めサブアセンブリの一部分であってもよい。従って、単一の回転止めサブアセンブリを、回転止めサブアセンブリの一部分がパネルの上方にあり、一部分がパネルと平行で、更に一部分がパネルの下方にあるように、位置付けることもできる。
【0021】
こうして、ブッシングの中に回転止めを有する薄形スイッチの特定の実施形態と適用とを開示した。しかし、本明細書における本発明の概念から逸脱することなく、既に説明したもの以外の多くの変更が可能であることが当業者には明白なはずである。従って本発明の主題は、添付された特許請求の範囲の精神内を除いて、限定されるものではない。その上、明細書と特許請求の範囲との両方を解釈する場合、すべての用語を文脈と一致したできるだけ広い方法で解釈すべきである。特に、用語「含む」および「含んでいる」は、参照番号付きの要素、構成要素、またはステップを明白な参照番号のない他の要素、構成要素、またはステップによって表示、または利用、または組み合わせてもよいことを示しており、非排他的方式で要素、構成要素、またはステップに言及していると解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】分解した回転式スイッチを示す斜視図である。
【図2】分解した回転式スイッチを示す斜視図である。
【図3】分解した回転式スイッチを示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを貫いてユーザ側に向かって延びる上部分と、パネルの下にあってブッシングがユーザ側に向けて移動することを防止する下部分とを有するブッシングと、
ブッシングの上部分に収容された回転止めサブアセンブリと
を有するパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項2】
ユーザ側のノブをパネル下の電気接点と結合する軸を有する請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項3】
回転止めサブアセンブリの動作がノブとは独立している請求項2に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項4】
回転止めサブアセンブリがパネルと平面的関係で位置付けられた請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項5】
ブッシングの回転運動がパネルとの係合によって防止される請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項6】
ブッシングの下部分がパネル上の開口の中に嵌合した停止ピンを有する請求項5に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項7】
ブッシングの上部分が、パネル内のD形状開口部と協働して回転運動を防止する平側面を有する請求項5に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項8】
回転止めサブアセンブリの回転運動がブッシングとの係合によって防止される請求項6に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項9】
ブッシングとの係合が、ブッシング上の溝と協働する回転止めサブアセンブリ上の突出部を含む請求項8に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項10】
回転止めサブアセンブリが1つだけのばねと少なくとも1つの球とを利用して回転子カム(円筒形の丸い突出部)に接触し、これによってスイッチ位置を設定する請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項11】
複数のプリント回路板と電気的に接続されている請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項12】
回転止めサブアセンブリがパネルと平面的関係になるように回転式スイッチをパネルに取り付けるステップを含む回転式スイッチを使用する方法。
【請求項13】
回転止めサブアセンブリが、パネルの下からパネルの上まで延在するブッシングの中に収容されている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ブッシングの中に収容された回転止めサブアセンブリを有するパネル取付け型回転式スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを貫いてユーザ側に向かって延びる上部分と、パネルの下にあってブッシングがユーザ側に向けて移動することを防止する下部分とを有するブッシングと、
ブッシングの上部分に収容された回転止めサブアセンブリと
を有するパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項2】
ユーザ側のノブをパネル下の電気接点と結合する軸を有する請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項3】
回転止めサブアセンブリの動作がノブとは独立している請求項2に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項4】
回転止めサブアセンブリがパネルと平面的関係で位置付けられた請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項5】
ブッシングの回転運動がパネルとの係合によって防止される請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項6】
ブッシングの下部分がパネル上の開口の中に嵌合した停止ピンを有する請求項5に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項7】
ブッシングの上部分が、パネル内のD形状開口部と協働して回転運動を防止する平側面を有する請求項5に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項8】
回転止めサブアセンブリの回転運動がブッシングとの係合によって防止される請求項6に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項9】
ブッシングとの係合が、ブッシング上の溝と協働する回転止めサブアセンブリ上の突出部を含む請求項8に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項10】
回転止めサブアセンブリが1つだけのばねと少なくとも1つの球とを利用して回転子カム(円筒形の丸い突出部)に接触し、これによってスイッチ位置を設定する請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項11】
複数のプリント回路板と電気的に接続されている請求項1に記載のパネル取付け型回転式スイッチ。
【請求項12】
ブッシングの中に収容された回転止めサブアセンブリがパネルと平面的関係になるように、回転式スイッチをパネルに取り付けるステップ
を含む回転式スイッチを含む方法。
【請求項13】
ブッシングがパネルの下からパネルの上まで延在する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ブッシングの中に収容された回転止めサブアセンブリを有するパネル取付け型回転式スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−501628(P2006−501628A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551425(P2004−551425)
【出願日】平成15年7月17日(2003.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/022523
【国際公開番号】WO2004/044938
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(505045492)エムライズ・コーポレイシヨン (3)
【Fターム(参考)】