説明

縮合度の高い、1,3,5−トリアジン化合物のポリリン酸塩、その製造方法及びポリマー組成物における難燃剤としての使用方法

【解決課題】 ポリマー中の難燃剤としての使用に適し、且つ、ポリマーの機械的強度に対して悪い影響を与えない、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩を提供する。
【解決手段】 数平均縮合度nが20より大きく、且つ、メラミン含有量が、リン原子1モル当たりのメラミンモル量で1.1モルより多いことを特徴とする1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩、その製造方法及び得られる塩をポリマー組成物において難燃剤として使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩は、一般式:

(ここで、Mは1,3,5-トリアジン化合物を表し、及び、nは縮合度の数平均を表すところの、3より大きい整数である)
で表すことができる。大きいnについては、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩は、式(MHPO3)nによって最も良く表される。理論的には、M/P(トリアジン/リン)比がほぼ丁度1.0であれば、実質的に直線の構造である。同様に、M/P比が1未満であれば、そのことは、生成物がいくらかの架橋を含むことを示し、M/P比が0.4未満であれば、架橋度が、生成物が網目構造を形成するのに充分であることを示す。
【0003】
メラミンのポリリン酸塩及びメラミンのポリリン酸塩の製造方法が、とりわけ、国際出願公開WO第97/44377号に記載されている。この文献によれば、25℃で100mlの水に0.01〜0.10gの溶解度、2.5〜4.5 のpH、及び、1.0〜1.1のメラミン/リンのモル比を有する、メラミンのポリリン酸塩の10重量%の水性スラリーが、25℃で得られ得る。WO第97/44377号は、開示されたメラミンのポリリン酸塩スラリーを調製するための2段階工程をも記載する。第1の工程において、メラミン、尿素、及び水性オルトリン酸水溶液(40重量%以上のオルトリン酸を含む)を混合して、0〜140℃の温度で、メラミン/オルトリン酸のモル比1.0〜1.5及び尿素/オルトリン酸モル比0.1〜1.5を有する、反応混合物を調製する。得られる反応混合物が、次いで、0〜140℃の温度で、攪拌されて且つ脱水されて、オルトリン酸のメラミンおよび尿素との複塩を含む粉状生成物が生成される。この粉状生成物が、次いで、240〜340℃の温度に加熱され、及び凝集を阻止しつつこの範囲の温度で0.1〜30時間維持されてメラミンポリリン酸塩が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばWO第97/44377号の記載に従い調製されるような、1.0〜1.1のメラミン/リンのモル比を有する、メラミンのポリリン酸塩の一つの欠点は、一般的にポリマー中における難燃剤としての使用に適さないことである。このことは、例えばナイロン及びポリエステルのような、該塩が充分な熱安定性を示さないところの、高められた温度で通常処理されるポリマーの場合に、特に該当する。さらに、該塩のpHは比較的低く、その特性がポリマーの機械的強度、例えば衝撃強度、引張り強度、及び破壊強度、に対して悪い影響を与える傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかし、20より大きい、及び好ましくは40より大きいnを有し、及び、1.1以上、及び好ましくは1.2以上のM/P比を有する、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩は、ポリマーと混合されたときに、これらの欠点を示さないことが見出された。さらに、本発明に従い、nの値は広く20から200の間、好ましくは40から150の間、でなければならず、且つ、M/P比は1.1から2.0の間、好ましくは1.2から1.8の間でなければならない。さらに、本発明に従い調製された塩の10%水性スラリーのpHは、一般的に4.5より高く、及び好ましくは5.0以上である。前記pH値は、25gの塩と225gの純粋な25℃の水を300mlのビーカーに入れ、得られるスラリーを攪拌し、次いで、pHを測定することにより決定される。
【0006】
前記nの値は、縮合度の数平均であり、31P固体NMRにより決定してよい。J.R.van Wazer、C.F.Callis、J.Shoolery 及び R.Jonesら著、J.Am.Chem.Soc.、第78巻、第5715頁、1956年、から、隣接するリン酸基の数は、特有のケミカルシフトを与え、そのことがオルトリン酸塩、ピロリン酸塩、及びポリリン酸塩を明確に区別することを可能にすることが知られている。
【0007】
さらに、20以上、好ましくは40以上のn及び1.1以上のM/P比を有する、所望の1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩を調製する方法が見出された。この方法は、1,3,5-トリアジン化合物とオルトリン酸とを、1,3,5-トリアジン化合物のオルトリン酸塩に転換すること、次いで、脱水および熱処理して、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩へと転換することを含む。この熱処理は、好ましくは300℃以上、及び好ましくは310℃以上の温度で行われる。1,3,5-トリアジン化合物のオルトリン酸塩に加えて、1,3,5-トリアジンの他のリン酸塩、例えばオルトリン酸塩とピロリン酸塩の混合物を含む、を使用してよい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1,3,5-トリアジン化合物のオルトリン酸塩は、種々の方法で調製されてよい。好ましい方法は、1,3,5-トリアジン化合物をオルトリン酸の水性溶液に添加することを含む。他の方法は、オルトリン酸を1,3,5-トリアジン化合物の水性スラリーに添加することを含む。
【0009】
本発明に従う方法は、触媒の存在下で行うこともできる。その結果最終製品は、文献から知られており、IEC 695−2−1基準に従い測定されるコンパラティブトラッキング インデックス(Comparative Tracking Index:CTI)に示されるように、より良い電気的特性を有する。いかなる水酸化物も触媒として使用され得るが、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物が好ましい。ホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛、も触媒として使用してよい。使用される場合には、使用される触媒の量は、広く0.1重量%〜10重量%である。
【0010】
所望する1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩を満足に調製するために必要な反応時間は、一般に、2分以上、及びより一般には、5分以上であり、且つ、一般に24時間未満である。
【0011】
本発明に従う、1,3,5-トリアジン誘導体のポリリン酸塩は、1重量%未満、及びより好ましくは0.1重量%未満で、水溶性物質を含まなければならない。この低い水溶性物質含有量は、生成物が所望のポリリン酸塩から主として成ることを示す。
【0012】
本発明に従う、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩は、ポリマー組成物中における難燃剤として特に適することも見出された。このように使用された場合には、ポリマー組成物中に使用される難燃剤の量は、一般に15〜45重量%、及び、より一般的には20〜40重量%である。これらの特定の1,3,5-トリアジンのポリリン酸塩化合物が適しているのは、他の難燃剤、例えばハロゲン化合物、メラミン等、と比べて、本発明に従う化合物により達成されところのより増大された安定性及びより高められたpHによるものであると考えられる。
【0013】
本発明に従う難燃性ポリマー組成物は、好ましくは以下の組成を含む。
35〜55重量%のポリマー
15〜45重量%の、数平均縮合度nが20より大きい、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩
0〜50重量%の強化ファイバー
0〜20重量%の炭素形成性化合物
0〜10重量%の炭素形成を促進する触媒
【0014】
好適な1,3,5-トリアジン化合物には、2,4,6-トリアミン-1,3,5-トリアジン(メラミン)、メラム、メレム、メロン、アンメリン、アンメリド、2-ウレイドメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジアミンフェニルトリアジン、又はそれらの混合物が含まれる。メラミン、メラム、メレム、メロン、又はそれらの混合物が好ましく、及び、メラミンが特に好ましい。
【0015】
難燃特性を向上するために、本発明に従う、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩が添加されるところのポリマー類及びポリマー組成物には、以下のものが含まれる:
1.モノ−及びジオレフィンポリマー類、例えばポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、ポリブチレン-1、ポリメチルペンテン-1、ポリイソプレン又はポリブタジエン;例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はこれらの混合物、を含む、ポリエチレン類(随意に架橋されている)。
2. モノ-及びジオレフィンのコポリマー類、随意に他のビニルモノマーを含む、例えばエチレン-プロピレンコポリマー、リニア低密度ポリエチレン及びこれらの低密度ポリエチレンとの混合物、並びに、エチレン、プロピレン及びジエン、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、又はエチリデンノルボルネン、の三元共重合体;加えて、これらのコポリマーと1で記載したポリマー、との混合物、例えばポリプロピレン/エチレン-プロピレンコポリマー。
3.ポリスチレン、ポリ-(p-メチル-スチレン)、ポリ-(α-メチルスチレン)及びスチレン又はα-メチルスチレンとジエン又はアクリル誘導体とのコポリマー、例えばスチレン-ブタジエン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-アルキルメタクリレート、スチレン-ブタジエン-アルキルアクリレート、スチレン-マレイン酸無水物、スチレン-アクリロニトリル-メタクリレート。
4.ポリフェニレンオキサイド、及びポリフェニレンサルファイド、及びこれらのスチレンポリマー類又はポリアミド類との混合物。
5.一方の、末端水酸基を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンと、他方の脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートとから誘導されるポリウレタン、並びにそれらの前駆体。
6.ジアミン類、及びジカルボン酸類及び/又はアミノカルボン酸類又は対応するラクタム類から誘導されるポリアミド類及びコポリアミド類、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、66/6、6/66、ポリアミド11、ポリアミド12、芳香族ジアミン及びアジアピン酸に基づく芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミン及びイソ-及び/又はテレフタル酸及び随意にモディファイアとしてのエラストマーから調製されるポリアミド、例えばポリ-2,4,4-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリ-m-フェニレン-イソフタルアミド。
7.ジカルボン酸類及びジアルコール類及び/又はヒドロキシカルボン酸類又は対応するラクトン類から誘導されるポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート及びポリヒドロキシベンゾエート。
8.例えば不飽和ポリエステル類、飽和ポリエステル類、アルキド樹脂類、ポリアクリレート又はポリエーテルを含む熱硬化性樹脂類、又はこれらのポリマーの1または2以上及び架橋剤を含む組成物。
【0016】
本発明に従うポリマー組成物に強化物質が含まれる場合には、それらの含有量は、大部分所望される又は必要とされる1又は2以上の機械的強度、並びに、審美上、製造上、又は経済上の事項、に依存して広く変えてよい。一般に、しかし、強化物質の量は5〜50重量%、及びより好ましくは、15〜35重量%である。強化物質は、無機強化物質、例えば雲母、粘土、又はガラスファイバー;アラミドファイバー及び/又はカーボンファイバー、又はこれらの混合物からなる群より選ぶことができる。一般に、しかし、ガラスファイバーが好ましい。
【0017】
1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩の難燃作用は、難燃剤のための共働的効果を有する化合物、特に炭素形成性化合物と呼ばれるものを随意に炭素形成を促進する触媒と組み合わせて存在させることによって強化することができる。一般に、炭素形成性化合物の存在は、触媒の存在又は不存在下で、得られるポリマー組成物の難燃特性を減じることなく、トリアジン誘導体ポリリン酸塩含有量を減じることができる。
【0018】
トリアジン誘導体ポリリン酸塩の難燃作用を強化する多くの物質が知られており、炭素形成性化合物としてポリマー組成物に含めてよい。これらの物質には、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、澱粉、グルコース、及び2以上の水酸基を有する化合物、が含まれる。2以上の水酸基を有する化合物の例には、種々のアルコール、例えばペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、及びこれらの混合物が含まれる。該炭素形成性化合物のポリマー組成物中の濃度は、典型的には20重量%未満、及び好ましくは5〜15重量%である。
【0019】
種々の触媒も、炭素形成を促進するために含有されてよい。これらの触媒には、とりわけ、タングステン酸の金属塩、タングステンと両性元素の複合酸酸化物、錫酸化物塩、アンモニウムスルファメート及び/又はそのダイマー、が含まれる。タングステン酸の金属塩は、好ましくはアルキル金属塩、特にタングステン酸ナトリウムである。タングステンと両性元素の複合酸酸化物は、両性元素、例えばケイ素、又はリン及びタングステン、から形成される複合酸酸化物であると理解されるべきである。ポリマー組成物中に使用される触媒の量は、広く0.1〜5重量%、及び好ましくは0.1〜2.5重量%である。
【0020】
ポリマー組成物中に、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの混合物、が使用される場合には、炭素形成性化合物及び/又は炭素形成を促進する触媒をも含むことが好ましい。
【0021】
1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩の難燃作用は、第2の難燃成分の添加によってさらに強化することができる。原理的には、公知の他の何らかの難燃剤を、第2の難燃成分として使用してよい。これらの例には、酸化アンチモン、例えば三酸化アンチモン;アルキル土類金属酸化物、例えば酸化マグネシウム;他の金属酸化物、例えばアルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化鉄、及び酸化マンガン;金属水酸化物、例えば水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウム;ホウ酸金属塩、例えば水和又は非水和ホウ酸亜鉛;及びリン含有化合物が含まれる。リン含有化合物の例は、リン酸亜鉛、リン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、エチレンジアミンリン酸塩、ピペラジンリン酸塩、ピペラジンピロリン酸塩、メラミンリン酸塩、ジメラミンリン酸塩、メラミンポリリン酸塩、グアニジンリン酸塩、ジシアノジアミドリン酸塩及び/又は尿素リン酸塩である。ホスホン酸エステル及びリン酸エステルも使用することができる。それらの含有量は広い範囲で変えてよいが、一般に、トリアジン誘導体ポリリン酸塩の含有量は超えない。
【0022】
ポリマー組成物は、さらに他の慣用の添加物、例えば安定化剤、離型剤、流れ調整剤、分散剤、着色剤、及び/又は顔料を、一般に許容できる範囲の量で含有してよい。ポリマー組成物の添加剤含有量は、所望の特性が許容できる限界内(該限界は、勿論、ポリマー組成物及び意図される用途に依存する)に維持されることを確実にするように一般に選択される。
【0023】
本発明に従うポリマー組成物は、タンブルミキサー中で総て又はいくつかの成分をドライミキシングし、次いでメルトミキサー、例えばブラベンダーミキサー、一軸押出機、又は好ましくは2軸押出機内で溶融することを含む、大抵の従来技術を用いて調製できる。
【0024】
本発明のポリマー組成物の種々の成分は、押出機の喉にいっしょに仕込むこと、又は、個々に、もしくは、部分的に組み合わせて、複数の入り口から仕込むことができる。ガラスファイバー強化剤を組成物に含める場合には、ガラスファイバーの破壊を最小にするために、押出機の喉でガラスファイバーを組成物に添加することは、好ましくは、回避される。いくつかの成分、例えば着色剤、安定化剤、及び他の添加物は、マスターバッチとしてポリマーに添加することができる。得られるポリマー組成物は、次いで、例えば射出成形等の当業者に公知に技術を用いて、種々の半製品及び最終製品に加工することができる。
【実施例】
【0025】
本発明を、以下の実施例により説明する。
比較例:
攪拌機を備えた50リットルの反応容器に、29.25リットルの純水を投入した。攪拌しながら、8.619gの室温のオルトリン酸(85重量%のH3PO4)を水に加えた。発熱反応のために、希釈されたリン酸溶液の温度が上がり、そして、50℃で10分間維持した。さらに攪拌しながら、9.419Kgのメラミンを(塊が形成されるのを防ぐために)ゆっくり、溶液に添加した。メラミンが添加された後、水を蒸発させるために反応容器の圧力を低下し、及び温度を上げ、水分含有量が0.1重量%未満の生成物を得た。得られた、M/P比1.0を有するメラミンリン酸塩を、次いで、310℃まで加熱し、M/P比0.94を有するメラミンポリリン酸塩へと転換した。得られたメラミンポリリン酸塩の10重量%水性スラリーは、25℃でpH5未満であった。
25重量%の得られたメラミンポリリン酸塩、20重量%のガラスファイバー(PPG 3545、PPG インダストリーズ製)及び55重量%のポリアミド6.6(Durethan A31、バイエル製)からなる混合物を調製し、そして粒状物へと押し出した。得られた粒状物から板を調製し、以下の特性を測定した:
難燃性:UL-94 VB 1.6mmに従いV-1
引張り強度:ISO527に従い140MPa
破壊伸び:ISO527に従い1.5%
シャルピーノッチ衝撃強度:ISO 179-1E-A/Uに従い、37KJ/m2
剛性率:ISO527に従い11GPa。
【0026】
実施例:
攪拌機を備えた50リットルの反応容器に、29.25リットルの純水を投入した。攪拌しながら、8.619gの室温のオルトリン酸(85重量%のH3PO4)を水に加えた。発熱反応のために、希釈されたリン酸溶液の温度が上がり、そして、50℃で10分間維持した。攪拌しながら、次いで、12.245Kgのメラミンを(塊が形成されるのを防ぐために)ゆっくり、溶液に添加した。メラミンが添加された後、水を蒸発させるために反応容器の圧力を低下し及び温度を上げ、水分含有量が0.1重量%未満の生成物を得た。得られた、M/P比1.3を有するメラミンリン酸塩を、次いで、310℃まで加熱し、M/P比1.26を有するメラミンポリリン酸塩へと転換した。得られたメラミンポリリン酸塩の10重量%水性スラリーは、5より高いpHを有した。
25重量%の、本発明に従う、得られたメラミンポリリン酸塩、20重量%のガラスファイバー(PPG 3545、PPG インダストリーズ製)及び55重量%のポリアミド6.6(Durethan A31、バイエル製)からなる混合物を調製し、そして粒状物へと押し出した。比較例で調製されたポリマー組成物のように、得られた粒状物からテスト用板を調製し、以下の特性を測定した:
難燃性:UL-94 VB 1.6mmに従いV-0
引張り強度:ISO527に従い153MPa
破壊伸び:ISO527に従い2.1%
シャルピーノッチ衝撃強度:ISO 179-1E-A/Uに従い、48KJ/m2
剛性率:ISO527に従い12GPa。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均縮合度nが20より大きく、且つ、メラミン含有量が、リン原子1モル当たりのメラミンモル量1.1モルより多いことを特徴とする1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩。
【請求項2】
数平均縮合度nが40より大きいことを特徴とする請求項1に従うポリリン酸塩。
【請求項3】
メラミン含有量が、リン原子1モル当たりのメラミンモル量1.2モルより多いことを特徴とする1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩。
【請求項4】
塩の水中10%スラリーのpHが5以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に従う、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩。
【請求項5】
1,3,5-トリアジン化合物とオルトリン酸を、室温で、1,3,5-トリアジン化合物のリン酸塩へと変換し、次いでこの塩が、熱処理を経て、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩へと変換される、数平均縮合度nが20より大きい、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩を調製する方法。
【請求項6】
1,3,5-トリアジン化合物のリン酸塩が、300℃以上の温度で1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩へと変換されることを特徴とする請求項5に従う方法。
【請求項7】
40より大きい数平均縮合度が得られることを特徴とする請求項6に従う方法。
【請求項8】
1,3,5-トリアジン化合物のリン酸塩が310℃以上の温度で1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩へと変換されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
数平均縮合度nが20より大きい、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩が難燃剤成分として使用されていることを特徴とする難燃性ポリマー組成物。
【請求項10】
下記の成分、
35〜55重量%のポリマー
15〜45重量%の、数平均縮合度nが20より大きい、1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩
0〜50重量%の強化ファイバー
0〜20重量%の炭素形成性化合物
0〜10重量%の炭素形成を促進する触媒
を含む難燃性ポリマー組成物。
【請求項11】
メラミン、メラム、メレム、メロン、又はこれらの混合物が、1,3,5-トリアジン化合物として使用されることを特徴とする請求項10に従う難燃性ポリマー組成物。
【請求項12】
メラミンが1,3,5-トリアジン化合物として使用されることを特徴とする請求項11に従う難燃性ポリマー組成物。
【請求項13】
1,3,5-トリアジン化合物のポリリン酸塩と第2の難燃剤を含む難燃性組成物が使用されていることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に従う難燃性ポリマー組成物。

【公開番号】特開2011−174095(P2011−174095A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133985(P2011−133985)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【分割の表示】特願2000−559100(P2000−559100)の分割
【原出願日】平成11年7月7日(1999.7.7)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】