説明

繊維性サポート及び親水性及び/又は浸透化コーティングを含む製品、その製造方法並びにその使用

本発明は、繊維性サポート及び親水性コーティングを含む製品、その製造方法並びに、おむつ等の使い捨て用吸収体製品中で又はそれ用の使用に関する。更に詳細には、本発明は、繊維性サポート及びそのサポート表面の少なくとも一部へ結合された親水性及び/又は浸透化コーティングを含む製品に関する。本発明は、少なくとも一部のサポート及び親水性剤及び/又は浸透化剤を被覆するフィルムを含むコーティングに特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維性サポート及び親水性及び/又は浸透化コーティングを含む製品、その製造方法、並びに例えば使い捨て用吸収体製品、例えばおむつ中又はそれ用の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしばポリマー性であり、その親水性及び/又は透過性が改良され、好ましくはそれは耐久性である繊維性サポートを含有する製品の需要がある。例えば、ベビーおむつ等の使い捨て用吸収体製品の構成中に含まれるポリプロピレン不織布の親水性及び/又は透過性の耐久性改良が求められている。おむつ中のポリプロピレン不織布は吸収体化合物を少なくとも部分的に包む層であり、皮膚と接触する。特に、尿をはじかず、その親水性及び/又は透過性は尿との少なくとも1回の接触後でも維持されるような、親水性及び/又は透過性に耐久性のある不織布を製造することが求められている。更に、尿が不織布の親水性及び/又は透過性を改質する化合物と接触した後も尿の表面張力が非常に低下しないような解決策が求められている。
【0003】
ポリプロピレン不織布の親水性を改良するために、公知の手段として、例えばポリエトキシル化アルキルフェノール等の界面活性剤の使用が挙げられる。これは、例えば国際公開WO97/47801号パンフレットの実施例1に記載されている。同号パンフレットには親水性ポリマーで耐久性のあるように被覆されているサポートを含有する製品が記載されている。その製品はサポートをプラズマ又はコロナ処理へ曝して製造される。使用される親水性ポリマーは任意で改質されたポリサッカリドである。
【特許文献1】国際公開WO97/47801号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、使用されるコーティング量を減量し、製品の性能品質を改良し、工業プロセスを単純化するいずれかの目的のために、例えば実施をより単純にし、より簡単に製品の製造費用を減少させるコーティングを提示するような、従来とは別の製品及びプロセスを提供することがやはり求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題達成のために、本発明は繊維性サポート並びにサポート面積の少なくとも一部上に結合された親水性及び/又は浸透化コーティングを含む製品であり、上記コーティングは下記を含有する製品を提供する:
サポートの少なくとも一部を被覆するフィルム、
親水性剤及び/又は浸透化剤、
任意で、フィルム用及びサポート面積の少なくとも一部用の相溶化剤、並びに
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤。
【0006】
本発明は又、使い捨て用吸収体製品、例えばベビーおむつに関し、それらはその成分1の構成要素として、上記製品又は下記方法を使用して得られる製品を含む。本発明は又、上記製品又は下記方法を使用して得られる製品の使用に関し、それらはベビーおむつ等の使い捨て用吸収体製品中に、又は使い捨て用吸収体製品用に使用される。本発明の製品は又、化学雑巾、家事手入れ用品、スキンケア用品、フロアモップ、フィルター、及び専用紙又は印刷用紙中に又はそれ用に使用できる。
【0007】
本発明は又、上記製品の製造を可能とする、サポート及びサポート上のコーティングを含む製品の製造方法に関する。
本発明の方法は下記に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
定義
用語「疎水性ポリマー」は水親和性を有さないポリマーを意味する。本記載中、疎水性ポリマーは、その表面の(水との)接触角が少なくとも70°であるポリマーである。
用語「耐久性のある結合」、「耐久性親水化」、「耐久性のある浸透化」及び「浸出抵抗」とは、結合(粘着性)に関する物性を意味し、製品を2回、数秒(例えば5秒)間水中又は塩化ナトリウム溶液中に浸漬された後も親水性又は透過性が少なくとも部分的に維持されることを意味する。上記物性は、浸漬前の上記物性値が、浸漬後も少なくとも50%、好ましくは60%、更に好ましくは少なくとも70%、更に好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%を超える測定値である場合に、一部維持されるといえる。
用語「ポリマー」は架橋又は非架橋高分子化合物を意味する。本明細書中、用語「ポリマー」は特に用語「樹脂」をも含む。
【0009】
サポート
本発明の製品は、繊維性サポート及び親水性及び/又は浸透化コーティングを含有する。
繊維性サポートはヤーン、ファイバー若しくはフィラメント、織布若しくは不織布製品表面、又は紙でもよい。ヤーン、ファイバー又はフィラメントは、それ自体が織物表面へ組み込まれていないヤーン、ファイバー又はフィラメントでもよい。布製品表面は、織編物の表面、フロック加工された布製品表面又はカーペットとして組み上げられた表面(房状の表面)又は不織布表面でもよい。繊維性サポート、例えば不織布表面は、例えばヤーン、ファイバー又はフィラメント形状の、合成若しくは天然ポリマー、又は天然ポリマー由来ポリマーを含有してもよく、例えば熱可塑性若しくはセルロース−ベースのポリマー又はセルロース誘導体が挙げられる。不織布表面は、予備成形繊維の交絡、及び任意で次にカレンダ加工、ホットボンディング、ニードルパンチング等の処理により形成された表面を含む。不織布表面は又、高い生産性プロセス、「メルトブロー」又は「スパンボンド」法等の一般的な加熱処理を使用して得られる不織布表面を含む。これら全ての不織布表面及びこれら全ての製造方法は当業者に公知である。
【0010】
サポートのポリマーは疎水性ポリマーが有用である。疎水性ポリマーの例として下記が挙げられる:
ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリイソブテン及びポリイソプレン;
ポリスチレン、及びスチレンユニット含有コポリマー;
ハロゲン化ビニルポリマー、例えばPVC、PTFE又はPVDF;
疎水性ビニルポリマー;及び
ポリエチレンテレフタレート(PET)。
上記サポートポリマーは又、疎水性ともいえないポリマー、例えばポリアミド6若しくは66等のポリアミド、セルロース、又はセルロース誘導体でもよい。
【0011】
本発明の繊維性サポートのポリマーは、好ましくは、ポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート、セルロース若しくは誘導体、又は混合物をベースとする熱可塑性ポリマーである。本発明のサポートは従って、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース若しくは誘導体をベースとするファイバー、又はこれらファイバーの混合物を含有する不織布でもよい(例えば、ポリプロピレンファイバー不織布又は、ポリプロピレンファイバー及びセルロース若しくは誘導体のファイバーの不織布)。これらサポートは、好ましくは使い捨て用吸収体製品、例えばベビーおむつ、女性生理用品及び大人の失禁用介護用製品で使用される製品(被覆されたサポート)に利用できる。
【0012】
サポートのポリマーは、様々な量の添加剤、例えば顔料、艶消し剤、抗酸化剤、安定化剤(特に熱安定化剤、光安定化剤若しくはUV安定化剤)、塗料、フリーラジカル捕捉剤、触媒残渣等を含有してもよい。含まれてもよい添加剤は当業者に公知のものである。
使用できるサポートは、特にFreudenberg(商標「Vilmed」)又はBBA不織布(商標「Celestra」又は「Veraspun」)として販売されている。これらボイル織物の比重量は、例えば10〜20g/m2である。
【0013】
コーティング
本発明のコーティングは、サポート面積の少なくとも一部のサポートに結合される。上記コーティングは下記を含有する:
サポートの少なくとも一部を被覆するフィルム、
親水性剤及び/又は浸透化剤、
任意で、フィルム用及びサポート面積の少なくとも一部用の相溶化剤、並びに
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤。
【0014】
本発明のフィルムは、例えば、ポリマーフィルムでもよい。フィルムは少なくとも1のフィルム形成剤(フィルム形成剤単独、又は複数のフィルム形成剤の組み合わせ)、例えばポリマー性(適用以前に形成されたポリマー)又は非ポリマー性(但し、適用後にポリマー又は架橋樹脂を形成可能である)であるフィルム形成剤から得られる。詳細を下記に示す。
【0015】
本発明の相溶化剤は、フィルムのサポートへの結合促進剤、又はフィルム形成剤のサポートへの結合を促進する薬剤でもよい。これら薬剤は、サポートの性質、コーティング方法、及びフィルム又はフィルム形成剤の性質に応じて使用及び選択される。これら薬剤は当業者に公知である。
【0016】
本発明の湿潤剤は、フィルム形成剤又はフィルム形成剤含有媒体とサポートとを結合させる促進剤でもよい。これら薬剤のは、サポートの性質、コーティング方法、及びフィルム又はフィルム形成剤の性質に応じて使用及び選択される。これら薬剤は当業者に公知である。
【0017】
親水性剤及び/又は浸透化剤
本発明の親水性剤及び/又は浸透化剤は、有機又は無機薬剤でもよい。それは例えば無機性親水性剤でもよい。この場合、薬剤はフィルム、任意でフィルム上部に含まれるのみで、サポート(フィルム及びサポート間の界面とは反対側の外側表面)へは結合していない無機性粒子の分散体でもよい。別の態様では、薬剤はフィルムの少なくとも一部を被覆する無機性材料層でもよい。
【0018】
親水性剤及び/又は浸透化剤は、親水性ポリマー、好ましくはポリエーテルシリコーンでもよい。
好ましくは、上記ポリエーテルシリコーンは下式(I)を有する:
【化1】

但し、上記エチレンオキシド(OE)又はプロピレンオキシド(OP)の末端基はOR基であり:
OEは−O−CH2−CH2−を意味し、
OPは−O−CH2−CH2−CH2−を意味し、
Rは水素原子又は、1〜22炭素原子、好ましくは1〜4炭素原子を含有する直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又はアセチル基を表し、
xは5〜50の数であり、
yは3〜10の数であり、
eは10〜30の数であり、
pは0〜10の数であり;
x/yは10未満、好ましくは8以下であり、
e+pは30未満、好ましくは20以下であり、
e/pは1を超え、好ましくは4以上であり、
x+yは60未満、好ましくは40未満である。
より好ましくは:
x=9.5、y=3.5、e=11.5、p=2.5、かつRは水素原子を表すか;
x=14、y=4、e=17、p=1、かつRはH、水素原子を表すか;
x=48、y=6、e=15、p=5、かつRは水素原子を表す。
本発明で使用されるポリエーテルシリコーンは、例えばロディア社により商標Rhodorsil SP3301として、Degussa社により商標Tegopren5843、5851、5857、8404、8450又は8462として販売されている。
【0019】
フィルム
フィルムはフィルム形状のポリマーでもよい。フィルムは少なくとも1のポリマー性又は非ポリマー性フィルム形成剤から得られてもよい。それは水不溶性フィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)、例えば天然又は合成ラテックスから得られたフィルムでもよい。
好ましい水不溶性フィルム形成ポリマーは、下記から選ばれたモノマーの重合から得られてもよい:
ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル;
そのアルキル基は1〜10炭素原子を含有するアルキルアクリレート及びメタクリレート、例えばメチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルアクリレート及びメタクリレート;
ビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン。
上記モノマーは、それぞれ互いに又は他のエチレン性不飽和モノマーと共重合して、ホモポリマー、コポリマー又はターポリマーを形成してもよい。
【0020】
本発明の、酢酸ビニル、アクリル系エステル及びスチレンのいずれか少なくとも1種と共重合されるモノマーの、本発明を限定するものではない例として、下記が挙げられる:エチレン及びオレフィン、例えばイソブテン;1〜12炭素原子を含有する分岐状又は非分岐状の飽和モノカルボン酸のビニルエステル、例えばビニルプロピオネート、ビニル「Versatate」(商標、分岐状C9−C11カルボン酸エステル)、ビニルピバレート又はビニルラウレート;3〜6炭素原子を含有する不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸と1〜10炭素原子を含有するアルカノールとのエステル、例えばメチル、エチル、ブチル又はエチルヘキシルマレエート又はフマレート;メチルスチレン又はビニルトルエン等のビニル芳香族モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデンのビニルハライド、及び好ましくはブタジエン等のジオレフィン;
(メタ)アクリル酸の(メタ)アリルエステル、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸モノエステル及びジエステルの(メタ)アリルエステル、及びN−メタリルマレイミド等のアクリル酸及びメタクリル酸アミドのアルケン誘導体。
少なくとも2の、異なる性質を有する共重合可能なモノマーが特に、ターポリマーを得るために選択される。
例えば、アセテート/versatate/ジブチルマレエート型ターポリマーが挙げられる。
【0021】
ラテックスの重合は、重合可能なモノマーの水性エマルジョン中で、少なくとも1のラジカル開始剤及び好ましくは例えばメルカプタン型の移動剤の存在下で、反応媒体中のモノマー濃度が一般的に20%〜60重量%で本質的(per se)に公知の方法で行われることができる。
重合は、一部のモノマーの連続的投入で連続式、バッチ式又は半連続式に行われてもよく、均一及び不均一構造粒子を得るために公知の改変様式による、「シード」又は「インクレメンタル」形式でもよい。
本発明を限定するものではない例として、ラテックスの調製には、本発明の出願人による欧州特許第599676号明細書に記載されている手順を資料として使用する。
【0022】
アクリル系ポリマーは、好ましくはフィルムに使用される、例えば、アクリル系モノマーベースポリマーを含有するポリマー(そのアルキル基は1〜10炭素原子を含有するアルキルアクリレート及びメタクリレート、例えばメチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルアクリレート及びメタクリレート等)が挙げられる。これらアクリル系ポリマーは又他のモノマーを含有してもよく:それらは例えば、スチレン−アクリル系ワニスでもよい。しかし、目的の用途では、「純粋な」アクリル系コーティング組成物、例えばアクリル系モノマー単独ベースの組成物がより好ましい。
【0023】
使用されるラテックスは、ガラス転移温度(TG)が10℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃であるように選択される。
本発明のラテックスを構成する水性分散体中のポリマー粒子のサイズは、300nm〜20nmでもよい。これら粒子径は、レーザー粒子測定器又は走査顕微鏡によりサンプルの低温破壊(cryofracture)後に測定される。
【0024】
任意で、フィルム形成ポリマーの水性分散体は可塑剤を含んでもよく、その場合は本発明の方法が非常に低い温度条件、例えば0℃以下の温度で行われた場合に、フィルム形成温度(TMMF)が低下する。
【0025】
製品特性
本発明の一例として、親水性剤及び/又は浸透化剤は、フィルム中に含まれてもよい。この場合、例えばサポートへ、少なくとも1のフィルム形成剤及び親水性剤及び/又は浸透化剤を含むコーティング組成物が液体媒体中に含まれるものを適用してもよい。理論により限定されるものではないが、親水性剤が、コーティングが結合しているサポートの表面とは反対側のコーティング(又はフィルム)外面へ移動することが好ましいと考えられる。これら移動は、例えば、媒体の除去における同伴作用により引き起こされると考えられる。
【0026】
別の態様では、親水性剤はフィルムの少なくとも一部を被覆する材料層である。この態様では、例えば、最初に組成物を適用してフィルム形成し、次に親水性及び/又は浸透化材料層を形成することが可能である。
【0027】
コーティング、親水性剤及び/又は浸透化剤、フィルム、サポート表面の少なくとも一部、任意でコーティングの他の成分、その量及び製造方法は、好ましくは水溶液の存在下、10℃〜50℃の温度でも、サポート及びフィルム間の結合の耐久性があるように選択される。これは耐久性のあるコーティング、耐久性のある処理、耐久性のある結合、耐久性のある親水化、浸出抵抗、又は耐久性のある浸透化をいう。
【0028】
製品は、特にポリプロピレン及び/又はセルロース又はその誘導体からなる不織布サポート中で、使い捨て用吸収体製品、例えばベビーおむつ、女性用生理用品、又は大人の失禁用介護用製品に使用される製品(コートされたサポート)用として水透過性が有利である。
【0029】
更に、サポート、コーティング及びそれらの結合は、製品を水溶液と接触させた後に、水溶液の表面張力の低下が好ましくは50%以下、更に好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは10%となるようなものである。
【0030】
組成物
1の具体的態様では、コーティングは、特に上記コーティング成分を含有する液体組成物、並びに液体媒体(その後それを除去してフィルムを形成する)を適用することにより得られる。
従って、本発明の実施に使用できる組成物は:
液体媒体中の少なくとも1のフィルム形成剤であり、媒体の除去後にフィルムを形成するフィルム形成剤、
親水性剤及び/又は浸透化剤、
任意で、フィルム用若しくはフィルム形成剤用相溶化剤、又はサポート表面の少なくとも一部用相溶化剤、
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤、を含有する。
【0031】
別の態様では、上記のとおり、方法は数個のステップで行われ、好ましくは親水性剤及び/又は浸透化剤を含まないフィルムを形成し、次にフィルムの少なくとも一部を被覆する材料層を形成する。
組成物の成分は上記に記載されている。液体媒体は水性又は非水性媒体(アルコール性、ヒドロキシアルコール性又は他の溶媒)でもよく、ポリマーはこの媒体中で、溶液、分散体又はエマルジョンの形状をとる。好ましくは、液体媒体中のフィルム形成ポリマーは、水性媒体若しくは溶媒中に溶解されたポリマー、又はフィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)である。媒体の性質、その量、及び可能な希釈(度)は、当業者により適宜設定できる。
【0032】
本発明の製品のフィルム並びに親水性剤及び/又は浸透化剤間の好ましい重量比は、99.9/0.1〜90/10、更に好ましくは97/3及び95/5である。
製品のコーティング(乾燥体)/サポート重量比は1%〜25%でもよい。
【0033】
理論により限定されるものではないが、フィルムは、繊維性サポートのファイバーコーティングの単純な効果を通して充分強い結合を提供できると考えられる。
サポート上のフィルムの存在は、その物理的特性の改良に寄与する。従って、そのサポートが、例えばポリプロピレン及び/又はセルロースファイバーを含有する不織布表面である製品は、より高い物理的特性を有する。又、不織布密度(g/m2)を減少させると同時に充分な物理的特性を維持することは可能である。例えば、17g/m2以下、好ましくは15g/m2以下の密度の不織布が使用できる。
【0034】
手順
本発明の製品の実際の製造方法として、下記ステップを含んでもよい:
(a)任意で、サポート表面の少なくとも一部をコーティングと処理されるサポート表面の少なくとも一部との間の結合を促進する予備処理にかけるステップ、
(b)下記(b1)又は(b2)の方法の一種によるコーティング形成ステップ:
(b1)
(b1a)サポート表面の少なくとも一部へ、下記を含むコーティング組成物を適用するステップ:
液体媒体中の少なくとも1のフィルム形成剤、例えばフィルム形成ポリマーであり、媒体の除去後にフィルムを形成するフィルム形成剤、
親水性剤及び/又は浸透化剤、
任意で、フィルム用若しくはフィルム形成剤用相溶化剤、又はサポート表面の少なくとも一部用相溶化剤、
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤、及び次に
(b1b)液体媒体を除去してフィルムを形成するステップ、又は
(b2)
(b2a)サポート表面の少なくとも一部へ、下記を含むコーティング組成物を適用するステップ:
液体媒体中の少なくとも1のフィルム形成剤、例えばフィルム形成ポリマーであり、媒体の除去後にフィルムを形成するフィルム形成剤、
任意で、フィルム用若しくはフィルム形成剤用相溶化剤、又はサポート表面の少なくとも一部用相溶化剤、
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤、及び次に
(b2b)媒体の少なくとも一部を除去してフィルムを形成するステップ、次に
(b2c)親水性及び/又は浸透化無機性材料層を形成してフィルムの少なくとも一部を被覆するステップ。
【0035】
使用されるフィルム形成剤がフィルム形成ポリマーである場合、それは水性媒体若しくは溶媒中に溶解されたポリマー、又はフィルム形成ポリマー中の水性分散体(ラテックス)でもよい。
【0036】
ステップ(a)は任意の予備処理ステップである。このステップは、コートされる目的のサポートの少なくとも一部用の組成物の親和性を改良するために、及び/又はコーティングと処理されるサポート表面の少なくとも一部との間の結合を改良するために行われる。この処理は乾式又は湿式処理でもよい。乾式処理の例として、コロナ処理、UV照射又はプラズマ式が挙げられる。これら表面処理は当業者に公知である。湿式処理の例として、化学的処理、例えばサポート表面に存在する化学基の改質を行う化学化合物の使用(酸化、分解、還元等)が挙げられる。
【0037】
ステップ(b1a)又は(b2a)は、サポートへ液体組成物を適用するためのいずれのプロセスによっても行うことができる。いずれの含浸、被覆又はコーティング技術も使用できる。プロセスは、例えば;
サポート表面の少なくとも一部へスプレー散布する、
サポート表面の少なくとも一部を組成物バス中へ導入する、
ドクターブレード、ブラシ又はロール等の装置を使用して組成物を適用する、ことにより行われる。
組成物適用の工業的プロセスは、特に「キスロール」、「フォーミング」として知られている。
【0038】
除去ステップ(b1b)又は(b2c)は単純なエバポレートにより行われ、任意で加熱又は他の手段(赤外線等)により補強されてもよい.
【0039】
そのサポートは布製品表面(例えば使い捨て用吸収体製品で使用される不織布表面)である本発明の製品の範囲内の一例では、サポートは、ステップb)処理中に移動する。サポートは、例えば表面の移動動作中に:
広げられ次に巻き取られ(特別な処理ステップ)、
形成され(表面の製造)次に巻き取られ(布製品表面の製造の下流での処理)、
広げられ次に処理(使い捨て用吸収体製品等の製品の組み立て又は構築の上流での処理)後に、他の成分と組み合わされ、又は
形成され(表面の製造)、処理され、次に(布製品表面の製造の上流ステップ及び、使い捨て用吸収体製品等の製品の組み立て又は構築の下流ステップの統合)処理後に他の成分と組み合わされる。
【0040】
本発明の製品及び使用
本発明の一態様では、サポートは不織布表面、例えばポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートをベースとする不織布表面である。本発明の製品は、使い捨て用吸収体製品、好ましくはベビーおむつ(おしめ)、女性用生理用品、又は大人の失禁用介護用製品中に含まれ(又はその中に使用され)る。これら製品は当業者に公知である。それら製品は一般的に、吸収体化合物、並びにそれを取り囲む、使用者の皮膚と接触するための透過性の内側層及び一般的に非浸透性である外側層からなる外皮を含有する。本発明の製品は、好ましくは使い捨て用吸収体製品の構成中で内側層として使用される。使い捨て用吸収体製品は、例えば弾性体、ボイル織物の販売品等の当業者に公知である他の成分を含有してもよい。
【0041】
この点で、本発明の製品は、使い捨て用吸収体製品、好ましくはベビーおむつ(おしめ)、女性用生理用品、又は大人の失禁用介護用製品の構築又は組み立てに使用される中間半製品の形でもよい。それはロール形状で、不織布表面の製造者により販売されている形状でもよい。処理は次に、好ましくは不織布表面の製造の下流で行われる。
本発明の製品は又、使い捨て用吸収体製品、好ましくはベビーおむつ(おしめ)、女性用生理用品、又は大人の失禁用介護用製品の一部の形状でもよく、最終消費製品の製造者により販売されている。処理は上記同様に行われても良く、又、未処理不織布表面のロールから最終製品(おむつのアセンブリ又は構築)の製造の上流で連続モードで、又は、表面の製造、処理及び組み立ての組み合わされたプロセス中で行われることもできる。
本発明の更なる詳細及び利点は下記実施例により明らかになるが、それらは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0042】
下記製品が実施例を行うために使用される:
【表1】

組成物は、室温で、親水性剤のラテックス1への添加により調製される。ラテックス/薬剤比は下記表Iに示され、乾燥体/乾燥体換算で表され、脱イオン水で希釈される。
【0043】
サポート及びコーティングを含む製品の調製
本発明のプロセスは下記の通り行われる:
脱イオン水中で50倍に希釈させて、サポート上へ組成物をスプレー散布し、
水を除去して乾燥させフィルムを形成し、(スプレー散布及び乾燥前及び後)コーティング量を重量測定により定量化する。この量を表Iに示す。
【0044】
【表2】

【0045】
製品評価
試行1(定性的親水性/透過性):
5mlの食塩水(NaCl=9g/l)を吸収紙3シート上に配置されたサンプルを通過させる。サンプル上の水の挙動は視覚的に観察される。
【0046】
試行2(定量的親水性/透過性):
標準Edana ERT150(透過性試験)に記載されたように実施して、5mlの食塩水(NaCl=9g/l)がサンプル(ディスク直径32mm)を通過する時間(秒)を、2個の電極を使用して測定する。試験は5時間連続的に(5回通過)60秒間隔で繰り返される。
【0047】
試行3(NaClを含む洗浄水の表面張力):
プロセスは標準ASTMD1331で記載されたように6×6cmのサンプル上で実施され、サンプルを40mlの食塩水(NaCl=9g/l)中に浸漬し、スパチュラで5秒間攪拌し、5分間放置し、10秒間攪拌してサンプルを除去する。表面張力は、ASTM標準D1331に従いウィルヘルミー板(Wilhelmy plate)で測定される。試行は24℃で行われ、71.9mN/m2の蒸留水及び71mN/m2の生理食塩水を標準として使用する。
【0048】
【表3】

【0049】
上記より、本発明は、洗浄水の表面張力を実質的に低下させずに、有利で耐久性のある親水性及び/又は透過性を提供できることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維性サポート並びにサポート面積の少なくとも一部上に結合された親水性及び/又は浸透化コーティングを含む製品であり、上記コーティングは下記を含有する製品:
サポートの少なくとも一部を被覆するフィルム、
親水性剤及び/又は浸透化剤、
任意で、フィルム用及びサポート面積の少なくとも一部用の相溶化剤(compatibilizer)、並びに
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤。
【請求項2】
親水性剤及び/又は浸透化剤はフィルム中に含まれている請求項1の製品。
【請求項3】
親水性剤及び/又は浸透化剤は、フィルムの少なくとも一部を被覆する材料層である請求項1又は2の製品。
【請求項4】
上記サポート及びフィルム間の結合は、水溶液の存在下、10℃〜50℃の温度で耐久性がある請求項1〜3いずれか1項記載の製品。
【請求項5】
上記繊維性サポートはヤーン、ファイバー若しくはフィラメント、織り若しくは不織布布、任意でフロック加工若しくは房状の、繊維製品表面、又は紙である請求項1〜4いずれか1項記載の製品。
【請求項6】
上記繊維性サポートは、ファイバー、ヤーン又はフィラメントの形状の合成ポリマー、天然ポリマー若しくは天然ポリマーの誘導体を含有する請求項1〜5いずれか1項記載の製品。
【請求項7】
上記サポートのポリマーは、ポリプロピレン若しくはポリエチレンテレフタレート、セルロース若しくはその誘導体、又はそれらの混合物をベースとする熱可塑性ポリマーである請求項6記載の製品。
【請求項8】
上記サポートは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース若しくは誘導体をベースとするヤーン、ファイバー又はフィラメント又は、これらヤーン、ファイバー又はフィラメントの混合物を含有する織物表面である請求項7記載の製品。
【請求項9】
上記サポートは不織布の表面、好ましくはポリプロピレンファイバー不織布又はポリプロピレンファイバー及びセルロース若しくは誘導体ファイバーの不織布の表面である請求項7又は8の製品。
【請求項10】
水が浸透可能であり、かつ上記サポート中のコーティング及びその結合は、製品を水溶液と接触させた後にも水溶液の表面張力は50%を超えて低下しない請求項1〜9いずれか1項記載の製品。
【請求項11】
上記親水性剤及び/又は浸透化剤は無機性親水性剤である請求項1〜10いずれか1項記載の製品。
【請求項12】
無機性親水性剤はフィルム中に含有される無機性粒子の分散体であり、任意でサポートへ結合していないフィルムの上部に存在するか、又はフィルムの少なくとも一部を被覆する無機性材料層である請求項11記載の製品。
【請求項13】
親水性剤及び/又は浸透化剤は親水性ポリマーである請求項1〜12いずれか1項記載の製品。
【請求項14】
上記親水性ポリマーはポリエーテルシリコーンである請求項13記載の製品。
【請求項15】
上記ポリエーテルシリコーンは下式(I)を有する請求項14記載の製品:
【化1】

但し、上記エチレンオキシド(OE)又はプロピレンオキシド(OP)の末端基はOR基であり:
OEは−O−CH2−CH2−を意味し、
OPは−O−CH2−CH2−CH2−を意味し、
Rは水素原子又は、1〜22炭素原子、好ましくは1〜4炭素原子を含有する直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又はアセチル基を表し、
xは5〜50の数であり、
yは3〜10の数であり、
eは10〜30の数であり、
pは0〜10の数であり;
x/yは10未満、好ましくは8以下であり、
e+pは30未満、好ましくは20以下であり、
e/pは1を超え、好ましくは4以上であり、
x+yは60未満、好ましくは40未満である。
【請求項16】
上記x=9.5、y=3.5、e=11.5、p=2.5、かつRは水素原子を表すか;
x=14、y=4、e=17、p=1、かつRはH、水素原子を表すか;
x=48、y=6、e=15、p=5、かつRは水素原子を表す請求項15の製品。
【請求項17】
上記フィルムはフィルム形状のポリマーである請求項1〜16いずれか1項記載の製品。
【請求項18】
上記フィルム形状のポリマーは、下記から選ばれたモノマーの重合から得られる水不溶性ポリマーである請求項1〜17いずれか1項記載の製品:
ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル;
そのアルキル基は1〜10炭素原子を含有するアルキルアクリレート及びメタクリレート、例えばメチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルアクリレート及びメタクリレート;
ビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン;
但し、上記モノマーは、それぞれ互いに又は他のエチレン性共重合可能な不飽和モノマー、例えば酢酸ビニル及び/又はアクリル系エステル及び/又はスチレンと共重合して、ホモポリマー、コポリマー又はターポリマーを形成してもよい。
【請求項19】
酢酸ビニル及び/又はアクリル系エステル及び/又はスチレンと共重合可能なモノマーは、下記から選ばれた請求項18の製品:
エチレン及びオレフィン、例えばイソブテン;
1〜12炭素原子を含有する分岐状又は非分岐状の飽和モノカルボン酸のビニルエステル、例えばビニルプロピオネート、ビニル「Versatate」(商標、分岐状C9−C11カルボン酸エステル)、ビニルピバレート又はビニルラウレート;
3〜6炭素原子を含有する不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸の、1〜10炭素原子を含有するアルカノールとのエステル、例えばメチル、エチル、ブチル又はエチルヘキシルマレエート又はフマレート;
ビニル芳香族モノマー、メチルスチレン又はビニルトルエン等;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のビニルハライド、及び好ましくはブタジエン等のジオレフィン;
(メタ)アクリル酸の(メタ)アリルエステル、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸モノエステル及びジエステルの(メタ)アリルエステル、及びN−メタリルマレイミド等のアクリル酸及びメタクリル酸アミドのアルケン誘導体。
【請求項20】
上記水不溶性ポリマーは、そのアルキル基は1〜10炭素原子を含有するアルキルアクリレート及びメタクリレート、例えばメチル、エチル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルアクリレート及びメタクリレート、から選ばれたモノマーの重合により得られる請求項18又は19の製品。
【請求項21】
フィルム並びに親水性剤及び/又は浸透化剤の重量比は、99.9/0.1〜90/10、好ましくは97/3〜95/5である請求項1〜20いずれか1項記載の製品。
【請求項22】
上記コーティング(乾燥)/サポート比は1%〜25%である請求項1〜21いずれか1項記載の製品。
【請求項23】
使い捨て用吸収体製品、好ましくはベビーおむつ(おしめ)、女性用生理用品、又は大人の失禁用介護用製品に含まれる請求項1〜22いずれか1項記載の製品。
【請求項24】
下記ステップを含む請求項1〜23いずれか1項記載の製品の製造方法:
(a)任意で、サポート表面の少なくとも一部を、コーティングとサポートの処理される表面の少なくとも一部との間の結合を促進する予備処理にかけるステップ、
(b)下記(b1)又は(b2)の方法の一種によるコーティング形成ステップ:
(b1)
(b1a)サポート表面の少なくとも一部へ、下記を含むコーティング組成物を適用するステップ:
液体媒体中の少なくとも1のフィルム形成剤であり、媒体の除去後にフィルムを形成するフィルム形成剤、
親水性剤及び/又は浸透化剤、
任意で、フィルム用若しくはフィルム形成剤用相溶化剤、又はサポート表面の少なくとも一部用相溶化剤、
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤、及び次に
(b1b)液体媒体を除去してフィルムを形成するステップ、又は
(b2)
(b2a)サポート表面の少なくとも一部へ、下記を含むコーティング組成物を適用するステップ:
液体媒体中の少なくとも1のフィルム形成剤であり、媒体の除去後にフィルムを形成するフィルム形成剤、
任意で、フィルム用若しくはフィルム形成剤用相溶化剤、又はサポート表面の少なくとも一部用相溶化剤、
任意で、親水性剤及び/又は浸透化剤以外の湿潤剤、及び次に
(b2b)媒体の少なくとも一部を除去してフィルムを形成するステップ、次に
(b2c)親水性及び/又は浸透化無機性材料層を形成してフィルムの少なくとも一部を被覆するステップ。
【請求項25】
上記フィルム形成剤はフィルム形成ポリマーである請求項24の方法。
【請求項26】
上記フィルム形成ポリマーは水性媒体若しくは溶媒中に溶解されたポリマー、又はフィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)である請求項25の方法。
【請求項27】
使い捨て用吸収体製品中での、又は使い捨て用吸収体製品用の請求項1〜23いずれか1項記載の製品の使用。

【公表番号】特表2007−514563(P2007−514563A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530424(P2006−530424)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002552
【国際公開番号】WO2005/035674
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】