説明

繊維材料ウェブ機械でローラの位置またはローラ間隙の間隙圧を制御するための構造

本発明は、特にたとえば製紙機械、板紙機械、またはティッシュ機械のような繊維ウェブ機械で、ローラの位置またはローラ間隙の間隙圧を制御するための構造に関する。本発明による構造は、ローラ位置またはローラ間隙圧を変更するための少なくとも1つの流体圧駆動式のアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータまたは複数の流体圧駆動式のアクチュエータと接続された少なくとも1つのデジタルバルブコントローラと、少なくとも1つの第1のデジタル式の常時開の遮断弁とを有している。少なくとも1つの遮断弁は、コントローラとアクチュエータとの間にそれぞれ設けられており、少なくとも1つの圧力コントローラは多数のデジタルバルブを有しており、流体圧力および/または流体流量を制御することができる。さらに本発明は、これに対応する制御方法ならびに診断・保守整備方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料ウェブを製造または処理するための機械で、特に製紙機械、板紙機械、またはティッシュ機械で、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための構造(アセンブリ)に関するものであり、特に、流体圧駆動式のアクチュエータと、アクチュエータを制御するデジタルバルブコントローラとの間に切換弁としてのデジタルバルブが設けられている構造に関するものである。さらに本発明は、このような種類の構造のための制御方法ならびに診断・保守整備方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラ間隙を形成する1組のローラのローラの位置、ならびにローラ間隙における間隙圧を調整するために、油圧流体圧または油圧流体流量を変えることによって油圧調節シリンダを制御する、デジタルバルブで構成されるコントローラがたとえば特許文献1から公知である。
【0003】
「デジタルバルブ」という概念は、連続する2つの状態の間で第1の状態から、たとえば完全に開いた状態から、第2の状態へ、たとえば完全に閉じた状態へ、およびこれと逆向きに、直接的に移動することができるバルブを意味している。デジタルバルブが完全に開いているとき、当該バルブによって許容される流体流の容積処理量全体が貫流される。それに対して完全に閉じた状態では、バルブは流体流を貫流させない。したがってこのような種類のデジタルバルブは、オン・オフ・バルブあるいはオン・オフ・デジタルバルブとも呼ばれる。
【0004】
したがって、このような種類のオン・オフ・デジタルバルブから構成されるデジタルバルブモジュールは、N種類の貫流状態を有しており、ここでNはデジタルバルブモジュールにおけるデジタルバルブの個数である。したがって、それぞれ容積処理量が異なる12個のデジタルバルブを有する、上に説明したコントローラのデジタルバルブモジュールは、最大で212種類の異なる容積処理量の制御解像度を実現し、すなわち、4096種類の異なる容積処理量を実現する。それにより、公知のサーボバルブや比例弁の容積処理量の連続的な調整への優れた近似が実現される。個々のデジタルバルブモジュールに含まれるデジタルバルブは2つの状態(開または閉)しか有していないので、このようなデジタルバルブは、公知のサーボバルブや比例弁に比べてはるかに迅速に作動する。2つを超える状態を有するデジタルバルブ、たとえば3つの位置を有するデジタルバルブも知られており、この場合、バルブは第1の位置では一方の方向への貫流を許容し、第2の位置では他方の方向への貫流を許容し、第3の位置では貫流を許容せず、ないしは貫流を遮断する(オフ状態)。
【0005】
特許文献1のコントローラで使用されるデジタルバルブは、1つまたは複数のデジタルバルブパッケージないしデジタルバルブモジュールに配置されており、油圧シリンダのピストンロッドと連結されたローラの正確な制御を可能にするものであり、これは、油圧シリンダの油圧室へ導入される流体圧または流体流量をデジタル式に、すなわち段階的に、希望される個数のデジタルバルブの開放によって正確に制御できることによっている。コントローラのデジタルバルブは、個々のデジタルバルブの大きさの異なる通過開口部によって、それぞれ異なる処理能力を有している。したがって、大きさの異なる通過開口部とデジタルバルブとのさまざまな組み合わせにより、さまざまに異なる流体流量容積を幅広い解像度で、すなわち数多くの異なる可能な処理容積で、油圧シリンダへ導入することができる。
【0006】
このように、油圧シリンダにおける油圧流体の圧力は1つまたは複数の適当なデジタルバルブの開放によって制御され、バルブを通過する流体処理量は、1つのデジタルバルブからその次に大きいデジタルバルブへ移行するとき、そのたびに倍増するのが通常である。換言すると、1つのデジタルバルブの最大限可能な容積処理量は、常に、その前に接続されたデジタルバルブの最大限可能な容積処理量の2倍である。実現されるべきローラ間隙圧が既知であるとき、作動時に生じるあらゆるローラ間隙圧を、デジタルバルブモジュールにおける事前に規定された適当な個数のデジタルバルブによって、相応に設定することができる。
【0007】
オン・オフ・デジタルバルブでは特に2つの異なる種類が一般に知られており、すなわち、略図中では普通NC(英語の用語“normally closed”より)の記号で表記される常時閉のデジタルバルブと、通常NO(英語の用語“normally open”より)の記号で表記される常時開のデジタルバルブである。常時閉のデジタルバルブは、操作されていない状態のとき、たとえば切換電磁石へ電流が供給されていない状態のとき、ばねなどによって閉じた位置(オフ位置)へと押圧される弁である。それに対して常時開のデジタルバルブは、操作されていない状態のとき、たとえば切換電磁弁へ電流が供給されていない状態のとき、ばねなどによって開いた位置(オン位置)へと押圧される弁である。
【0008】
従来使用されているサーボバルブや比例弁と比べたときのデジタルバルブの主要な利点は、特に、はるかに迅速な反応挙動、デジタルバルブの簡素な構造、および低いエネルギー消費量にある。バルブを油圧流体が常時貫流する必要がないからである。
【0009】
特に製紙や板紙製造のような繊維ウェブ製造の分野では、油圧装置のための圧力コントローラまたは流量コントローラにおけるデジタルバルブの使用は、最近になって始まったところである。しかし製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで、連続的に調節可能な通常のサーボバルブや比例弁を置き換えて、特に、製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などの油圧装置のための制御で公知のデジタルバルブを使用する場合、新たな問題が生じている。
【0010】
特にデジタルバルブの問題となるのは、とりわけ電気式に操作されるデジタルバルブを使用する場合、停電あるいはコントローラの誤機能が起こると、繊維ウェブ機械でたとえばローラの位置を規定する、デジタルバルブにより制御される油圧装置が、初期位置へ復帰できなくなるという帰結につながりかねないことである。つまり、特に当該ローラによって形成されるローラ間隙を、停電時に開くことができなくなる。そうすると、たとえばローラ間隙を通過する繊維ウェブを、ローラ間隙から取り出すことができなくなる。
【0011】
これに加えて、デジタルバルブコントローラにおけるデジタルバルブは、機能に不具合がないかどうか保守整備ルーチンで定期的に検査しなくてはならない。つまり、通常は繊維ウェブ機械の作動中に実施されるこのような保守整備ルーチンの間、制御されるべき油圧装置は、油圧装置の機能を損なうことなしに、デジタルバルブコントローラから全面的に分断されなくてはならない。
【0012】
最後に全般的な問題は、繊維ウェブ機械の置き換えられるべき各々のサーボバルブや比例弁が、多数のデジタルバルブによって置き換えられることである。それに応じて必要なバルブの個数は倍数で増えていき、そのために、繊維ウェブ機械における油圧装置の統計的な不具合の発生しやすさも増えていくという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第10393693A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明の課題は、ローラの位置またはローラ間隙の間隙圧を制御するための改良された構造、ならびに改良された構造のための制御方法および診断・保守整備方法を提供することであり、それによって上に掲げた問題が解消される。この課題は本発明によると、請求項1の構成要件を有する構造によって解決され、および、請求項15または請求項17の構成要件を有する制御方法によって解決され、ならびに、請求項22の構成要件を有する診断・保守整備方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
特にたとえば製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械のような繊維機械のために、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための本発明の構造は、ローラ位置またはローラ間隙圧を変更するための少なくとも1つの流体圧駆動式のアクチュエータを有している。このアクチュエータは油圧シリンダであるのが好ましく、厳密に言えば、製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などのローラと直接的に連結されていてよい油圧シリンダであり、油圧シリンダの力を制御することができ、およびそれによってローラの位置ないし特にローラにより形成されるローラ間隙の圧力を制御することができる。さらに本発明の構造は、蓄圧器を備える流体ポンプとも流体捕集容器(タンクまたはアキュムレータ)とも接続された、少なくとも1つのデジタルバルブコントローラを有している。コントローラは、少なくとも1つの流体圧駆動式のアクチュエータと接続され、ないしは複数の流体圧駆動式のアクチュエータと接続されるとともに、多数のデジタルバルブを有しており、これらのデジタルバルブは、個々のデジタルバルブを通過する流体処理量を調整することで、アクチュエータで作用する流体圧を制御する役目をする。
【0016】
コントローラは、それぞれ多数のデジタルバルブを有する少なくとも2つのデジタルバルブモジュールを含んでいるのが好ましく、一方のデジタルバルブモジュールは、アクチュエータとして作用する油圧シリンダのロッド側の油圧室と接続されていてよく、他方のデジタルバルブモジュールは、油圧シリンダのピストン側の油圧室と接続されていてよく、それにより、油圧シリンダの並進的な調節運動が、ロッド側の油圧室および/またはピストン側の油圧室の的確な制御によって行われる。各々のデジタルバルブモジュールは複数のデジタルバルブを有しているのが好ましく、さらには12個のデジタルバルブを有しているのが好ましく、コントローラは必要に応じて、それぞれ12個を超えるデジタルバルブを備えた2つを超えるデジタルバルブモジュールを有することもできる。
【0017】
さらに本発明の構造は、それぞれコントローラとアクチュエータとの間に設けられた、少なくとも1つの第1のデジタル式の常時開の遮断弁をさらに有している。コントローラの各々のデジタルバルブモジュールと、当該デジタルバルブモジュールと接続された油圧室との間にデジタル式の遮断弁が設けられた構造も考えられる。少なくとも1つの第1のデジタル式の遮断弁は、油圧式に制御/操作されるデジタルバルブであってよく、その油圧供給は制御弁によって制御されるのが好ましい。このような種類の制御弁は、電磁式に操作可能な常時閉のデジタルバルブであってよい。あるいは電磁式に操作可能なデジタルバルブに代えて、これ以外のどのような種類の制御弁でも適用することができる。
【0018】
さらに、デジタル式の接続弁としての役目をする常時閉のデジタルバルブが、コントローラの両方のデジタルバルブモジュールの間に設けられているのが好ましい。この接続弁により、一方のデジタルバルブモジュールからロッド側の油圧室へと通じる配管と、他方のデジタルバルブモジュールからピストン側の油圧室へと通じる配管との間の接続を成立させることができる。このような種類の構成により、両方のデジタルバルブモジュールのすべてのデジタルバルブが閉じるとともに接続弁が開いているとき、油圧シリンダのピストン側の油圧室とロッド側の油圧室との間の直接的な接続を成立させることができ、それにより油圧室の油圧を、外部の油圧流体供給ないし油圧媒体排出をすることなく、各室の中ですでに生じている異なる油圧だけを用いて調整することができる。
【0019】
さらに本発明による構造は、各々の第1のデジタル式の遮断弁と並列に設けられた、少なくとも1つの第2のデジタル式の遮断弁を有しているのが好ましい。第2のデジタル式の遮断弁は、常時閉のデジタルバルブであるのが好ましい。このような構造により、コントローラないしコントローラのデジタルバルブモジュールと、油圧シリンダないし油圧シリンダの各々の油圧室との間に配置された、常時閉のデジタルバルブと常時開のデジタルバルブとの並列接続を適用することができる。
【0020】
原則として本発明による構造は、上に説明した構造で一例として意図されるような1つの油圧シリンダに代えて、2つまたはそれ以上の並列に配置された油圧シリンダがコントローラと接続されていてもよく、上に説明したシステムがこれに合わせて適合化される。それに応じて、たとえば第1のデジタル式の遮断弁がコントローラの各々のデジタルバルブモジュールと各々の油圧室との間に設けられていてよく、および/または1つまたは複数の上に説明した接続弁が、別の油圧シリンダにより提供される油圧室への配管を相互に接続することができる。
【0021】
さらに、圧力センサおよび/または流量センサなどが、少なくとも1つの第1の遮断弁と、少なくとも1つの油圧シリンダないし油圧シリンダの油圧室との間にそれぞれ配置されていると好ましく、それにより、シリンダでの油圧の制御が可能となる。
【0022】
さらに、コントローラが、すなわちコントローラのデジタルバルブモジュールのうちの少なくとも1つのモジュールが、あるいは各々のデジタルバルブモジュールが、安全弁としての役目をすることができる少なくとも1つの常時開のデジタルバルブを有していることが意図される。このような種類の安全弁により、停電、コントローラの誤機能などが生じたときに必要になる場合がある、コントローラを通じての流体の排出が確保される。それにより、そのために従来使用されてきた非常電力装置などが不要になる。
【0023】
上に説明したような本発明の構造により、特に、コントローラのさまざまな制御・診断方法を具体化することができる。特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための本発明の構造のための本発明による第1の制御方法は、次の各ステップを有している:
−デジタルバルブコントローラのデジタルバルブモジュールの一定数のデジタルバルブを開き、開いたデジタルバルブの個数は希望される流体流量を基準として決められ、
−部分的または全面的に開いたデジタルバルブモジュールと、制御されるべき第1の油圧シリンダの当該デジタルバルブモジュールにより制御されるべき油圧室との間に設けられた少なくとも1つの第1のデジタル式の遮断弁を開き、制御されるべき油圧室は希望される遮断弁の開放によって規定され、
−制御されるべき油圧室の中で希望される油圧に達するまで、制御されるべき油圧室に油圧流体を供給し、それにより油圧シリンダのピストンロッドが動き、これと連結されているローラの並進位置がたとえばローラの位置変更の過程で変更され、
−遮断弁を閉じ、それにより制御されるべき油圧室に供給される油圧が維持され、それによってピストンロッドおよびこれに伴う制御されるべきローラの位置が維持される。
【0024】
このような種類の制御方法により、デジタルバルブを用いて迅速で的確な油圧シリンダの制御を実現することが可能であり、油圧シリンダの油圧室の中でいったん設定された圧力を、油圧室に前置された遮断弁を閉じることによって維持することができ、他のデジタルバルブを恒常的に制御する必要がない。したがって、このような種類の制御はエネルギー節約的で低コストである。
【0025】
本発明による第1の制御方法では、好ましくは、別の油圧シリンダが第1の油圧シリンダと並列にコントローラと接続されていてよい。このような種類の並列の構造では、第1の油圧シリンダのロッド側の油圧室と、別の油圧シリンダのロッド側の油圧室とが、コントローラの同一のデジタルバルブモジュールと接続され、また、第1の油圧シリンダのピストン側の油圧室と、別の油圧シリンダのピストン側の油圧室とが、コントローラの同一のデジタルバルブモジュールと接続される。さらに、第1の油圧シリンダのロッド側の油圧室と、別の油圧シリンダのピストン側の油圧室とが、コントローラの同一のデジタルバルブモジュールと接続されている構造、すなわち交差型の構造も、別案として同様に考えられる。
【0026】
さらに、本発明による第1の制御方法では、少なくとも1つの第1の遮断弁を開くステップは、デジタルバルブモジュールと、別の油圧シリンダの並列に接続された油圧室との間に配置された、別の第1のデジタル式の遮断弁の開放を含んでいるのが好ましい。このことは、少なくとも1つの第1の遮断弁を開くステップのとき、デジタルバルブモジュールと並列に接続されている、第1の油圧シリンダおよび別の油圧シリンダの油圧室と、対応するデジタルバルブモジュールとの間の配管が開かれることを意味している。
【0027】
さらに本発明による第1の制御方法では、制御されるべき油圧室へ油圧流体を供給するステップは、並列に接続された油圧室への油圧流体の並行した供給を含んでいるのが好ましく、それにより、デジタルバルブコントローラと接続された蓄圧器によって、たとえばポンプによって、並列に配置された油圧室へ同時に油圧流体が供給される。このときさらに遮断弁を閉じるステップは、本構造に存在しているすべての遮断弁の閉止を含んでいるのが好ましく、それにより、圧力損失を甘受することなく、制御されるべきすべての油圧室に供給される油圧を維持することができる。それにより、複数の油圧シリンダを同一のデジタルバルブモジュールによって制御し、遮断弁の閉止によって維持される希望される油圧を、油圧シリンダの制御される油圧室の中で生成することが可能であり、バルブを通るそれ以外の流体貫流を必要とすることがない。このことは、上に説明したように配置されたデジタルバルブを用いた油圧シリンダの制御を、エネルギー節約的かつそれに伴って低コストな方法によって実現できることを意味している。
【0028】
特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための本発明の構造のための本発明による別の制御方法は、次の各ステップを有している:
−2つのデジタルバルブモジュールを含むデジタルバルブコントローラのすべてのデジタルバルブを閉じ、
−デジタルバルブコントローラの一方のデジタルバルブモジュールから第1の油圧シリンダの一方の油圧室へと通じる配管を、コントローラの他方のデジタルバルブモジュールから油圧シリンダの他方の油圧室へと通じる配管と接続するデジタル式の接続弁を開き、
−少なくとも1つの第1のデジタル式の遮断弁を開き、一方のデジタルバルブモジュールと一方の油圧室との間、および他方のデジタルバルブモジュールと他方の油圧室との間にはそれぞれ遮断弁が設けられている。
【0029】
本発明による別の制御方法では、少なくとも1つの第1のデジタル式の遮断弁を開くステップにより、油圧シリンダのそれぞれの油圧室の間で油圧が直接的に伝達され、ないしはやり取りされ、必要な流体圧を供給する外部の蓄圧器に頼らなくてもよい。それにより、他方の油圧室のすでに生じている油圧を用いて油圧室のいっそう迅速な制御が実現され、コントローラを相応に制御する必要がない。さらにこの制御方法により、コントローラにおける多数のデジタルバルブに比較して、ただ1つのデジタルバルブを用いて圧力を制御することができ、それによってエネルギー節約的な圧力制御が具体化される。
【0030】
本発明による別の制御方法では、別の油圧シリンダが第1の油圧シリンダと並列にコントローラと接続されているのが好ましく、これは本発明による第1の制御方法についてすでに説明したのと同様である。
【0031】
さらに、少なくとも1つのデジタル式の遮断弁を開くステップは、一方のデジタルバルブモジュールと、別の油圧シリンダの一方の油圧室との間、および他方のデジタルバルブモジュールと他方の油圧室との間にそれぞれ設けられた、少なくとも1つの別の第1のデジタル式の遮断弁の開放を含んでいるのが好ましく、それにより、油圧シリンダのそれぞれの油圧室の間で相互に油圧をやり取りし、ないしは伝達することができる。
【0032】
さらに、上に説明した本発明による第1および第2の制御方法では、第2のデジタル式の遮断弁が、第1のデジタル式の遮断弁と並列に配置されているのが好ましく、少なくとも1つのデジタル式の遮断弁を開くステップは、第1のデジタル式の遮断弁の開放と、第2のデジタル式の遮断弁の開放を含んでいるのが好ましく、それにより、並列につながれた遮断弁を通るように油圧を同時に案内することができる。このとき、第1のデジタル式の遮断弁は常時開のデジタルバルブであってよく、第2のデジタル式の遮断弁は常時閉の遮断弁であってよく、それにより、第1のデジタル式の遮断弁は停電、誤機能などのための安全弁としての役目をすることができ、場合により希望されるシリンダからの流体の排出を可能にする。
【0033】
さらに本発明の構造により、本発明による診断・保守整備方法を実施することが可能である。特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための本発明の構造のためのこの方法は、次の各ステップを有している:
−デジタルバルブモジュールと、少なくとも1つの油圧シリンダの制御されるべき油圧室との間に設けられた少なくとも1つのデジタル式の遮断弁を閉じ、
−デジタルバルブコントローラの少なくとも1つのデジタルバルブモジュールのすべてのデジタルバルブを特定の切換順序に従って開き、コントローラに流体を供給し、このときデジタルバルブの診断切換順序はデジタルバルブの機能性チェックをするための既知の制御を含んでおり、
−コントローラから出てくる流体処理量を参照して不具合のあるデジタルバルブを判定し、このときデジタルバルブモジュールと油圧室の間のデジタル式の遮断弁を閉じるステップにより、診断・保守整備方法の間に油圧室圧を圧力損失なく維持することができる。
【0034】
このように上述した診断・保守整備方法は、油圧シリンダの作動中に実施することができ、その機能性にマイナスの影響を及ぼしたり、油圧シリンダを一時的に作動停止させたりしなくてよい。それにより、繊維ウェブ機械のスムーズな動作を保証することができる。
【0035】
本発明による診断・保守整備方法では、遮断弁は油圧式に制御されるデジタルバルブであってよく、その油圧供給は制御弁により制御されるのが好ましい。さらに制御弁は、電磁式に操作可能な常時閉のデジタルバルブであってよく、少なくとも1つの遮断弁を閉じるステップを制御するのが好ましい。このような構成により、電磁式に制御されるただ1つのデジタルバルブを用いて、複数の油圧式の遮断弁を同時に開閉することが可能である。それにより、電力を節約する低コストな、かつそれにもかかわらず迅速な診断・保守整備方法を具体化することができる。
【0036】
上記以外の課題、利点、および態様は従属請求項、実施例の説明、および図面から明らかとなる。
【0037】
次に、実施例を用いて図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】2つの油圧シリンダと接続された本発明によるデジタルバルブコントローラを示す模式図である。
【図2】並列に配置された2つの油圧シリンダと接続された別のデジタルバルブコントローラを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、4つのデジタルバルブモジュール11,12,13,14を有するデジタルバルブコントローラ1を備える構造が示されており、それぞれの共通の入口配管はポンプ2と接続されており、それぞれの共通の出口配管は流体捕集容器3と接続されている。各々のデジタルバルブモジュール11,12,13,14は全部で12個のデジタルバルブで構成されており、各々のデジタルバルブモジュール11,12,13,14の共通の入口配管と接続された入口側は、6つの常時閉(NC)の入口デジタルバルブと接続されている。6つの常時閉(NC)の入口デジタルバルブは、共通の供給配管111,121,131,141に連通しており、さらにこの供給配管は、5つの常時閉(NC)の出口デジタルバルブおよび1つの常時開(NO)の出口デジタルバルブ112,122,132,142と接続されており、出口デジタルバルブは、各々のデジタルバルブモジュール11,12,13,14の出口側を介して、共通の出口配管に連通している。各々のデジタルバルブモジュール11,12,13,14の常時開(NO)の出口デジタルバルブ112,122,132,142は、停電、誤機能などが生じたときに制御されるべき流体の排出を可能にする安全弁112,122,132,142としての役目をする。
【0040】
供給配管111,121,131,141は、それぞれ常時開(NO)のデジタルバルブ15,16,17,18を介して、油圧シリンダ4,5の油圧室41,42,51,52と接続されている。厳密に言うと、デジタルバルブモジュール11の供給配管111は、遮断弁として作用するデジタルバルブ15を介して、油圧シリンダ4のロッド側の油圧室42と接続されており、デジタルバルブモジュール12の供給配管121は、遮断弁として作用するデジタルバルブ16を介して、油圧シリンダ4のピストン側の油圧室41と接続されており、デジタルバルブモジュール13の供給配管131は、遮断弁として作用するデジタルバルブ17を介して、油圧シリンダ5のロッド側の油圧室52と接続されており、デジタルバルブモジュール14の供給配管141は、同じく遮断弁として作用するデジタルバルブ18を介して、油圧シリンダ5のピストン側の油圧室51と接続されている。
【0041】
繊維ウェブ機械で、特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで通常ローラ(図示せず)を位置決めする役目をする油圧シリンダ4,5の作動時には、位置決めされるべきローラの運動に応じて、シリンダ4,5のピストン側の油圧室42,52がローラの前進運動のために油圧流体圧で付勢されるか、または、シリンダ4,5のロッド側の油圧室41,51がローラの後退運動のために付勢される。ポンプ2によって供給される希望される油圧流体圧は、各々のデジタルバルブモジュール11,12,13,14の各デジタルバルブのオン・オフの組み合わせを通じて厳密に設定され、これは前の個所ですでに説明したとおりである。各々の油圧シリンダ4,5の位置の制御は、そのつどリニアセンサ(図示せず)の応答メッセージによって可能となり、この応答メッセージにより、各々のシリンダ4,5のピストンロッド43,53の位置決めを、デジタルバルブコントローラ1により設定されるべき流体圧によって正確に制御することができる。
【0042】
図1に示す遮断弁15,16,17,18は、電磁石191により作動するデジタル式の制御弁19で制御される油圧式のデジタルバルブである。遮断弁15,16,17,18を制御する役目をする油圧流体圧は、同じくポンプ2からデジタルバルブモジュール11の入口配管を介して供給される。各々の遮断弁15,16,17,18と制御弁19との共通の接続は、すべての遮断弁15,16,17,18を開いておくか閉じておくために、同時かつそれによって電力を節約するように制御できることを可能にする。このような種類の制御構造を用いて、4つを超える遮断弁を同時に電力節約的に制御することも考えられる。
【0043】
デジタルバルブコントローラ1の常時閉(NC)のデジタルバルブは、操作されていない状態すなわち通電のない状態のときばね部材192により閉じた位置へ押圧される制御弁19と同じ構成を有している。油圧による油圧シリンダ4,5の希望される付勢に応じて、それによって実現されたピストンロッド43,53の位置を各々の油圧シリンダ4,5で維持することができ、これは、遮断弁15,16,17,18が閉じられることによって行われる。さらに、遮断弁15,16,17,18が閉じた状態になっている間に、デジタルバルブコントローラ1のすべてのデジタルバルブが不具合なく機能しているかどうかチェックするために、デジタルバルブモジュール11,12,13,14のさまざまな診断・保守整備方法を実施することができる。このような種類の診断・保守整備方法については、すでに以前の個所で説明している。
【0044】
このとき遮断弁15,16,17,18への油圧流体供給が中断され、このことは、遮断弁15,16,17,18に作用する油圧流体を放出部(図示せず)を通して排出することができ、遮断弁15,16,17,18がそれぞれ設けられたばね部材151,161,171,181によって開いた位置へ押圧されるという帰結につながる。このようにして、油圧シリンダ4,5に作用する油圧を、開いた遮断弁15,16,17,18および各々のデジタルバルブモジュール12,13,14,15に設けられた安全弁112,122,132,142を介して低減することができる。それにより、油圧シリンダ4,5が決まった位置で固定ないし係止されることが妨げられる。それに応じて、油圧シリンダ4,5によって位置決めされるローラを手作業で、または安全システム(図示せず)によって、初期位置へ動かすことができ、それによってたとえば製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などでローラを通過する紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブなどを外すことができる。
【0045】
図2には本発明による別の構造が示されており、この構造では、デジタルバルブコントローラ1は2つのデジタルバルブモジュール11,12を有しており、その構成は図1に示すデジタルバルブモジュール11,12と一致している。つまり各々のデジタルバルブモジュール11,12は、図1に示す構造と同じく12個のデジタルバルブで成り立っており、各々のデジタルバルブモジュール11,12の共通の入口配管は、6つの常時閉(NC)の入口デジタルバルブと接続されている。6つの常時閉(NC)の入口デジタルバルブは、共通の供給配管111,121に連通しており、さらにこの供給配管は、5つの常時閉(NC)の出口デジタルバルブおよび1つの常時開(NO)の出口デジタルバルブ112,122と接続されており、出口デジタルバルブは、各々のデジタルバルブモジュール11,12の共通の出口配管に連通している。各々のデジタルバルブモジュール11,12の常時開(NO)の出口デジタルバルブ112,122は、停電、誤機能などが生じたときに制御されるべき流体の排出を可能にする安全弁112,122としての役目をする。
【0046】
供給配管111,121は、それぞれ制御ユニット7を介して、油圧シリンダ4,5の油圧室41,42,51,52と接続されており、制御ユニット7は、常時開(NO)のデジタルバルブ71と、常時閉(NC)のデジタルバルブ72とで成り立っている。両方のデジタルバルブモジュール11,12の間には、接続バルブ6としての役目をし、供給配管111,121を選択的に相互に接続することができる常時閉(NC)のデジタルバルブ6が設けられている。
【0047】
接続バルブ6が閉じた状態にあるとき、デジタルバルブモジュール11の供給配管111は、相応の制御ユニット7を介して、油圧シリンダ4のロッド側の油圧室42と接続され、および/または油圧シリンダ5のロッド側の油圧室52と接続され、また、デジタルバルブモジュール12の供給配管121は、相応の制御ユニット7を介して、油圧シリンダ4のピストン側の油圧室41と接続され、および/または油圧シリンダ5のピストン側の油圧室51と接続される。
【0048】
接続バルブ6が開いた状態にあり、コントローラ1のすべてのデジタルバルブが閉じた状態にあるとき、供給配管111は供給配管121と短絡され、その結果、油圧シリンダ4のロッド側の油圧室41および/または油圧シリンダ5のロッド側の油圧室51が、油圧シリンダ4のピストン側の油圧室42および/または油圧シリンダ5のピストン側の油圧室52と直接接続され、それにより、各室41,42,51,52の間で直接的な油圧のやり取りを惹起することができる。各々の制御ユニット7の常時開(NO)のデジタルバルブ72は、各々のデジタルバルブモジュール11,12における安全弁112,122と同様に、停電、誤機能などが生じたときに圧力放出を可能にするための安全弁としての役目をする。必要に応じて、各々の制御ユニット7の両方のデジタルバルブ71,72を開くことができ、それにより、相応の油圧室41,42,51,52へのいっそう多い流体流量が可能となる。それにより、油圧室41,42,51,52の迅速な制御を実現することができる。
【0049】
各々の制御ユニット7と各々の油圧室41,42,51,52の間、ならびにポンプ2ないし流体蓄積器3とデジタルバルブコントローラ1の間には、油圧ないし油圧流体流量を測定して油圧制御を可能にするために、それぞれ圧力センサまたは流量センサ8が設けられている。
【0050】
ローラ間隙圧の調整動作では、希望される圧力が各々の油圧室41,42,51,52で設定されて、制御ユニット7のデジタルバルブ71,72が閉じられ、このことは圧力流体節約モードに相当する。制御ユニット7と油圧室41,42,51,52の間に設けられた圧力測定センサ8が圧力損失を知らせると、目標値に合わせた圧力修正を行うために、相応の制御ユニット7の一方または両方のデジタルバルブ71,72が開かれる。このとき接続弁6を用いて、両方のデジタルバルブモジュール11,12を相互に接続することができ、その結果、デジタルバルブコントローラ1は要求に応じて、油圧室41,42,51,52に応じて希望される油圧を付勢する状態になることができる。図2に示すような構造により、図1の構造と比べたとき、油圧シリンダごとに2つのデジタルバルブモジュール(すなわち全部で4つのデジタルバルブモジュール)ではなく、2つの油圧シリンダをただ2つのデジタルバルブモジュールすなわち全部で33個のデジタルバルブで制御することが可能である。
【0051】
安全弁として作用する常時開のデジタルバルブは、これ以外の用途でも考えることができる。たとえばこのような種類の安全弁は、たとえば紙ウェブ、板紙ウェブ、ティッシュウェブのような繊維ウェブをコーティングするためのドクターブレード装置において、繊維ウェブに対するドクターブレードロッドの圧力を調整するためのデジタル式の圧力システムで考えられ、これは、停電時やドクターブレード装置の誤機能が生じたときに、繊維ウェブからのドクターブレードロッドの取外しを可能にするためである。また、このような種類の安全弁をデジタル式の注油循環路システムに設けることも可能であり、それにより、故障発生時の残りの注油が保証される。
【0052】
繊維ウェブ機械での適用のほか、上に説明した構造のさらに別の利用可能性も考えられる。たとえばこのような種類のコントローラ構造は、流体圧力駆動式のシステムまたはアクチュエータのどのような圧力制御および/または流量制御でも適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などでローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための構造において、
ローラ位置またはローラ間隙圧を変更するための少なくとも1つの流体圧駆動式のアクチュエータと、
多数のデジタルバルブを有し、アクチュエータ流体圧および/またはアクチュエータ流体流量を制御することができる、少なくとも1つの前記アクチュエータまたは複数の流体圧駆動式の前記アクチュエータと接続された少なくとも1つのデジタルバルブコントローラと、
前記コントローラと前記アクチュエータの間にそれぞれ設けられた少なくとも1つの第1のデジタル式の常時開の遮断弁とを有している構造。
【請求項2】
前記アクチュエータは油圧シリンダであり、
前記コントローラは少なくとも2つのデジタルバルブモジュールを有しており、
前記油圧シリンダの並進的な位置調節運動を制御するために、一方の前記デジタルバルブモジュールはロッド側の油圧室と接続されており、他方の前記デジタルバルブモジュールはピストン側の油圧室と接続されている、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記第1のデジタル式の常時開の遮断弁は、各々の前記デジタルバルブモジュールと、これと接続された前記油圧室との間に設けられている、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
さらに前記構造は、それぞれ前記第1のデジタル式の遮断弁と並列に前記コントローラと少なくとも1つの流体圧駆動式の前記アクチュエータとの間に設けられた、少なくとも1つの第2のデジタル式の遮断弁を有している、請求項2および3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項5】
それぞれ前記第1のデジタル式の遮断弁と前記第2のデジタル式の遮断弁は、前記デジタルバルブモジュールと、少なくとも1つのアクチュエータとして作用する前記油圧シリンダの前記油圧室との間に設けられた制御ユニットを形成する、請求項4に記載の構造。
【請求項6】
前記第2のデジタル式の遮断弁は常時閉のデジタルバルブである、請求項4または5に記載の構造。
【請求項7】
常時閉のデジタル式の接続弁が前記コントローラの両方の前記デジタルバルブモジュールの間に設けられている、請求項2から6のいずれか1項に記載の構造。
【請求項8】
少なくとも1つの前記第1のデジタル式の遮断弁は油圧制御式のデジタルバルブである、先行請求項のうちいずれか1項に記載の構造。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第1のデジタル式の遮断弁への油圧供給は制御弁を通じて制御される、請求項8に記載の構造。
【請求項10】
前記制御弁は電磁式に操作可能な常時閉のデジタルバルブである、請求項9に記載の構造。
【請求項11】
少なくとも1つの前記第1の遮断弁と少なくとも1つの前記アクチュエータとの間に圧力センサおよび/または流量センサがそれぞれ配置されている、先行請求項のうちいずれか1項に記載の構造。
【請求項12】
前記コントローラは少なくとも1つの常時開のデジタルバルブを有している、先行請求項のうちいずれか1項に記載の構造。
【請求項13】
各々の前記デジタルバルブモジュールは少なくとも1つの常時開のデジタルバルブを有している、請求項2から12のいずれか1項に記載の構造。
【請求項14】
前記デジタルバルブモジュールは複数のデジタルバルブを有する、請求項2から13のいずれか1項に記載の構造。
【請求項15】
特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための構造のための制御方法において、次の各ステップを有しており、すなわち、
デジタルバルブコントローラのデジタルバルブモジュールの一定数のデジタルバルブを開き、
前記デジタルバルブモジュールと第1の油圧シリンダの制御されるべき油圧室との間に設けられた少なくとも1つの第1のデジタル式の遮断弁を開き、
制御されるべき前記油圧室の中で所望の油圧に達するまで、制御されるべき前記油圧室に油圧流体を供給し、
前記遮断弁を閉じる方法。
【請求項16】
別の油圧シリンダが前記第1の油圧シリンダと並列に前記コントローラと接続されており、
少なくとも1つの前記第1の遮断弁を開く前記ステップは、一方の前記デジタルバルブモジュールと、前記別の油圧シリンダの並列に接続された油圧室との間に配置された、別の第1のデジタル式の遮断弁の開放を含んでおり、
制御されるべき前記油圧室へ油圧流体を供給する前記ステップは、並列に接続された前記油圧室への油圧流体の供給を含んでおり、
前記遮断弁を閉じる前記ステップはすべての前記遮断弁の閉止を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための構造のための制御方法において、次の各ステップを有しており、すなわち、
デジタルバルブコントローラの2つのデジタルバルブモジュールのすべてのデジタルバルブを閉じ、
両方の前記デジタルバルブモジュールのうちの一方のデジタルバルブモジュールと前記第1の油圧シリンダの一方の油圧室との間の配管を、両方の前記デジタルバルブモジュールのうちの他方のデジタルバルブモジュールと前記油圧シリンダの他方の油圧室との間の配管と接続するデジタル式の接続弁を開き、
一方の前記デジタルバルブモジュールと一方の前記油圧室との間、および他方の前記デジタルバルブモジュールと他方の前記油圧室との間にそれぞれ設けられた少なくとも1つの第1のデジタル式の遮断弁を開き、それにより前記油圧シリンダのそれぞれの前記油圧室の間で油圧流体を的確に伝達する方法。
【請求項18】
別の油圧シリンダが前記第1の油圧シリンダと並列に前記コントローラと接続されており、
少なくとも1つの前記第1のデジタル式の遮断弁を開く前記ステップは、一方の前記デジタルバルブモジュールと前記別の油圧シリンダの一方の油圧室との間、および他方の前記デジタルバルブモジュールと他方の油圧室との間にそれぞれ配置された少なくとも1つの別の第1のデジタル式の遮断弁の開放を含んでおり、それにより前記油圧シリンダのそれぞれの前記油圧室の間で油圧流体を的確に伝達する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第2のデジタル式の遮断弁が前記第1のデジタル式の遮断弁と並列に配置されており、少なくとも1つのデジタル式の遮断弁を開く前記ステップは前記第1のデジタル式の遮断弁および前記第2のデジタル式の遮断弁の開放を含んでいる、請求項15から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のデジタル式の遮断弁は常時開のデジタルバルブである、請求項15から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のデジタル式の遮断弁は常時閉の遮断弁である、請求項15から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
特に製紙機械、板紙機械、ティッシュ機械などで、ローラの位置または2つのローラの間で形成されるローラ間隙の間隙圧を制御するための構造のための診断・保守整備方法において、次の各ステップを有しており、すなわち、
デジタルバルブコントローラのデジタルバルブモジュールと、少なくとも1つの油圧シリンダの制御されるべき油圧室との間に設けられた少なくとも1つのデジタル式の遮断弁を閉じ、
前記デジタルバルブコントローラの少なくとも1つのデジタルバルブモジュールのすべてのデジタルバルブを所定の切換順序に従って開き、前記コントローラに油圧流体を供給し、
前記コントローラから出てくる油圧流体処理量を参照して、および/または油圧流体圧を参照して、不具合のあるデジタルバルブを判定する診断・保守整備方法。
【請求項23】
前記遮断弁は油圧制御されるデジタルバルブである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記遮断弁は制御弁によって制御される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記制御弁は電磁式に操作可能な常時閉のデジタルバルブである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの遮断弁を閉じる前記ステップは前記制御弁によって制御される、請求項22から25のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515867(P2013−515867A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545170(P2012−545170)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064840
【国際公開番号】WO2011/076453
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】