説明

繊維材料叩解機及び方法

繊維材料を叩解する叩解機1,18,19、方法及び叩解機用ブレードセグメント。叩解機は、少なくとも1つの第1叩解表面4,11と少なくとも1つの第2叩解表面4,11を含み、該第1叩解表面及び第2叩解表面が、それらの間に叩解室12が形成されるように、少なくとも部分的に略互いに対向して配置され、叩解室は、解繊されるべき材料が供給されるところである。第1叩解表面及び第2叩解表面の少なくともいずれかが、対向する叩解表面に対して移動するように構成される。第1叩解表面は、第1叩解表面を通って設けられる細長い開口14,15を有し、該開口を通って、叩解されるべき繊維材料が、当該叩解機の叩解室へと供給されるように構成され、及び/又は、第2叩解表面は、第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を有し、該開口を通って、叩解室内で叩解された繊維材料が、叩解室から排出されるように構成される。叩解表面を通って設けられる細長い開口は、第1及び/又は第2叩解表面上の叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維材料を叩解する叩解機であって、少なくとも1つの第1叩解表面と少なくとも1つの第2叩解表面を含み、該第1叩解表面及び第2叩解表面が、それらの間に叩解室が形成されるように、少なくとも部分的に略互いに対向して配置され、前記叩解室は、解繊されるべき材料が供給されるところであり、前記第1叩解表面及び第2叩解表面の少なくともいずれかが、対向する叩解表面に対して移動するように構成され、前記第1叩解表面及び第2叩解表面が、ブレードバーと、前記ブレードバー間のブレード溝とを含む、叩解機に関する。
【0002】
本発明は、また、繊維材料を叩解する方法であって、当該方法は、叩解機で繊維材料を叩解することを含み、前記叩解機は、少なくとも1つの第1叩解表面と少なくとも1つの第2叩解表面を含み、該第1叩解表面及び第2叩解表面が、それらの間に叩解室が形成されるように、少なくとも部分的に略互いに対向して配置され、前記叩解室は、解繊されるべき材料が供給されるところであり、前記第1叩解表面及び第2叩解表面の少なくともいずれかが、対向する叩解表面に対して移動するように構成され、前記第1叩解表面及び第2叩解表面が、ブレードバーと、ブレードバー間のブレード溝とを含む、方法に関する。
【0003】
本発明は、また、繊維材料を叩解するためのブレードセグメントであって、ブレードバーと、前記ブレードバー間のブレード溝とを備える叩解表面を含む、ブレードセグメントに関する。
【背景技術】
【0004】
繊維材料を扱う叩解機は、典型的には、2つの、又は考えられうるそれ以上の、互いに略対向する叩解表面を含み、これらの間には、叩解されるべき繊維材料が供給される。叩解表面の少なくとも1つは、対向する叩解表面に対して移動するように構成される。叩解表面は、一体構造から形成されてもよく、若しくは、互いに隣接して配設された複数の叩解表面から形成されてもよく、これにより、ここの叩解セグメントの叩解表面は、1つの均一な叩解表面を形成する。叩解表面は、また、特別なブレードバー、即ちバーと、バー間にブレード溝、即ち溝を含み、これにより、繊維材料は、対向する叩解表面のブレードバー間で叩解され、叩解されるべき材料と既に叩解された材料の双方は、ブレードバー間のブレード溝内で叩解表面上を移動することができる。他方、叩解表面は、突起と、突起間の凹部とを含んでよい。叩解表面のブレードバーとブレード溝、若しくは、叩解表面の突起及び凹部は、叩解表面の基本材料若しくは異なる材料から作成されてもよい。突起は、また、既知の方法で叩解表面に取り付けられたセラミックグリッドにより形成されてもよい。叩解表面、即ちブレード表面は、また、叩解表面を形成するために固定され互いに距離を置いて若しくは互いに近接して配置された別々の層体から形成されてもよい。叩解表面は、非常に多数の小さい突起とそれらの間の凹部を含んでよく、この場合、叩解機は、グラインディングの原理により動作する。
【0005】
叩解室は、ステータとロータの叩解表面の間に形成される空間であって、そこで叩解が生じる。叩解は、叩解表面と叩解されている材料との間の摩擦力の下で、他方では、叩解されている材料内で生成される摩擦力の下で、叩解表面の動き及び相互の圧縮により生じる。ステータとロータの叩解表面によりそれらの間に形成される表面領域は、叩解領域であり、この場合、ステータとロータの叩解表面の間の叩解は、叩解室内で生じる。叩解領域の領域内のステータとロータの叩解表面の間の最も短い距離は、ブレードギャップである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
叩解機の生産性を倍増するために、叩解のために対向する叩解表面間に効率的に叩解されるべき繊維材料をガイドできることが重要である。同時に、既に叩解された材料が叩解表面間の叩解室を塞がず叩解機の生産性を悪化させることがない態様で、叩解表面間から既に十分叩解された材料を除去することができることが本来的に重要である。特に、ブレードバーと、バー間のブレード溝を含む叩解表面では、対向するブレードバー間の繊維材料の案内は、叩解されている材料を、対向する叩解表面間で溝の底部から離れる方向に移動させる特別なダムを溝の底部に提供することにより、より効率化される。しかしながら、ダムの作用は、局所的であり、従って、叩解表面の全体領域に亘って実質的に利点をもたらさない。また、ダムは、叩解表面の水力学上の容量を顕著に低減する。
【0007】
ブレード溝底部の高さ及び/又はブレード溝の容積を変更することによって、叩解されている材料の流れを、対向する叩解表面間を移動させようとし、これにより、叩解をより効率的にすることが可能である。更に、ブレードバーを傾斜させることによって、叩解される流れに影響を与え、これにより、叩解されている材料を、対向する叩解表面間を通させようとすることが可能である。
【0008】
しかしながら、これらの解決策の問題点は、叩解機の生産能力を弱めることなく叩解室内への叩解されている材料の案内を顕著に改善しないことである。
【0009】
本発明の目的は、新たなタイプの叩解機及び方法を提供することであり、これにより、叩解されている材料の流れが、叩解室及び対向する叩解表面間のブレードギャップへとより効率的に案内され、これにより、叩解機の動作をより効率的にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の叩解機は、第1叩解表面は、第1叩解表面を通って設けられる細長い開口を有し、該開口を通って、叩解されるべき繊維材料が、当該叩解機の叩解室へと供給されるように構成され、及び/又は、第2叩解表面は、第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を有し、該開口を通って、叩解室内で叩解された繊維材料が、叩解室から排出されるように構成され、
叩解表面を通って設けられる細長い開口は、第1及び/又は第2叩解表面上の叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設されることを特徴とする。
【0011】
本発明の方法は、叩解機の叩解表面間の叩解室内に、第1叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、叩解されるべき繊維材料を供給し、及び/又は、
第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、叩解室から叩解された繊維材料を除去することを含み、
第1及び/又は第2叩解表面を通って設けられる細長い開口は、叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設されることを特徴とする。
【0012】
本発明のブレードセグメントは、叩解表面が、叩解表面を通って設けられる細長い開口であって、叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される細長い開口を有することを特徴とする。
【0013】
繊維材料を叩解する叩解機は、少なくとも1つの第1叩解表面と少なくとも1つの第2叩解表面を含み、該第1叩解表面及び第2叩解表面が、それらの間に叩解室が形成されるように、少なくとも部分的に実質的に互いに対向して配置され、叩解室は、解繊されるべき材料が供給されるところであり、第1叩解表面及び第2叩解表面の少なくともいずれかが、対向する叩解表面に対して移動するように構成される。また、第1叩解表面は、第1叩解表面を通って設けられる細長い開口を有し、該開口を通って、叩解されるべき繊維材料が、当該叩解機の叩解室へと供給されるように構成され、及び/又は、第2叩解表面は、第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を有し、該開口を通って、叩解室内で叩解された繊維材料が、叩解室から排出されるように構成される。また、叩解表面を通って設けられる細長い開口は、第1及び/又は第2叩解表面上の叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される。
【0014】
従って、叩解室は、ステータとロータの叩解表面の間に形成される空間であって、そこで叩解が生じる。ステータとロータの叩解表面によりそれらの間に形成される表面領域は、叩解領域であり、この場合、ステータとロータの叩解表面の間の叩解は、叩解室内で生じる。
【0015】
この明細書及び特許請求の範囲において、用語“ブレードバー”は、上述した突起も指し、用語“ブレード溝”は、上記突起間の凹部も指す。
【0016】
叩解室内に叩解されるべき繊維材料を第1叩解表面を介して供給し、及び/又は、叩解室から叩解された繊維材料を、第1叩解表面に対向する第2叩解表面を介して除去することで、従前より効率的に且つ均一に叩解室内に繊維材料を供給することが可能であり、従って、叩解される材料の分布がより均一であり、これにより、叩解の効率及びそれに伴い叩解機の能力が向上する。同時に、叩解機の効率は、更に、従来から知られている方策から、表面を通って設けられる開口を細長くし、該開口を叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設することによって、改善されてもよい。
【0017】
本発明の一実施例によれば、第1叩解表面は、当該叩解機の可動の叩解表面を形成するように構成され、第2叩解表面は、当該叩解機の固定の叩解表面を形成するように構成される。
【0018】
本発明の一実施例によれば、第1叩解表面は、当該叩解機の固定の叩解表面を形成するように構成され、第2叩解表面は、当該叩解機の可動の叩解表面を形成するように構成される。
【0019】
円筒形若しくは円錐形の叩解機で可能なように、可動の叩解表面が内側の叩解表面であるように配設されるとき、それは、叩解室内への叩解されるべき材料の移動を改善するポンピング作用を材料流れ内に遠心力を介して提供する。ポンピング作用は、更に、開口又は開口前の構造を方向付けることにより若しくは流れ関係の設計により増加若しくは低減されることができる。これは、材料を押す可動の叩解表面の開口の壁が、壁の法線方向の材料の流れを生む力を生じさせるからである。可動の叩解表面が外側の叩解表面として配設される場合、開口を方向付けることにより、対応する態様で開口を通る流れに影響を及ぼすことが可能である。ディスク型の叩解機の場合、可動の叩解表面の開口を通る流れは、半径方向に少なくともある程度、開口を方向付けることにより、遠心力により改善されることもできる。固定の叩解表面は、遠心力により流れを生成しないが、固定の叩解表面を介した流れは、開口の壁を介して材料流れに伝達される力によって開口を方向付けることにより、幾分若しくは相当に低減されることができる。
【0020】
本発明の第3実施例によれば、叩解室の叩解領域の表面積は、可動の叩解表面の少なくとも70%であり、これは、更に叩解機の効率を増加する。
【0021】
本発明の第4実施例によれば、叩解表面の全体の表面積に対する、叩解表面を通して設けられる開口の表面積の比は、5から70%、好ましくは7−55%、最も好ましくは10−40%である。
【0022】
本発明の第5実施例によれば、細長い開口は、5−90度、好ましくは25−80度、より好ましくは50−70度の角度で、叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】円錐型叩解機の概略的な側面断面図。
【図2】円錐形の叩解表面の概略的な不等角投影図。
【図3】第2円錐型叩解の概略的な側面断面図。
【図4】第3円錐型叩解の概略的な側面断面図。
【図5】円筒型叩解の概略的な側面断面図。
【図6】ディスク型叩解の概略的な側面断面図。
【図7】第2円錐形叩解表面の概略的な側面図。
【図8】図7の叩解表面の一部の概略的な断面図。
【図9】第3円錐形叩解表面の概略的な側面図。
【図10】図9の叩解表面の一部の概略的な断面図。
【図11】第4円錐形叩解表面の概略的な側面図。
【図12】図11の叩解表面の一部の概略的な断面図。
【図13】第5円錐形叩解表面の概略的な側面図。
【図14】図13の叩解表面の一部の概略的な断面図。
【図15】側方からの円錐型叩解機の叩解表面に適したブレードセグメントの概略的な側面図。
【図16】図15のブレードセグメントの叩解表面の一部の概略的な断面図。
【図17】第6円錐形叩解表面の概略的な側面図。
【図18】図17の叩解表面の一部の概略的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例のより詳細な説明を行う。図において、本発明の実施例は、明瞭化のために簡易化されて示される。類似の部品は、各図で同一の参照番号が付される。
【0025】
図1は、円錐型叩解機1の概略的な側面断面図であり、これは、紙若しくは板紙を製造するために使用される材料のような、繊維材料を叩解するために使用される。図2は、今度は、例えば、ロータの叩解表面としてだけでなく、図1による叩解機における、ステータの叩解としても使用されてもよい円錐形の叩解表面を概略的に不等角投影図で示す。叩解表面においてブレードバーとバー間にブレード溝が存在するとき、それらは、叩解表面上に、即ち繊維材料の叩解処理を行うブレード表面上に本来的に配置される。図1に示す叩解機1は、叩解機1のフレーム2と、固定の、固定された叩解要素3、即ち、フレーム2に支持され叩解表面4を備えるステータ3とを含む。叩解表面4は、図2により詳細に示すように、ブレードバー5と、バー間のブレード溝6とを有する。叩解機1は、更に、例えば、例えば矢印Aの方向に、シャフト7及び非常に概略的に図示されたモータ8により回転されるように構成される叩解要素9を有し、その回転移動に起因して、叩解要素は、叩解機1のロータ9とも称されることがある。叩解機1のロータ9は、本体10と、ブレードバー5及びブレード溝6からなるロータ9の叩解表面11とを含む。図1の実施例では、ロータ9の本体10の大部分は、中空の構造を有し、従って、ロータ9の本体10内部には十分な空いた空間がある。叩解機1は、図1では明瞭性のために図示されていないローダも含み、ローダは、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11との間のブレードギャップ及び叩解室12のサイズを調整するために、矢印Bで概略的に示すように、シャフト7に取り付けられたロータを前後に移動するために使用されることができる。
【0026】
叩解されるべき繊維材料は、矢印Cにより示される態様で供給開口13若しくは供給路を介して叩解機1内に供給される。叩解機1内に供給される繊維材料の大部分は、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11の間の叩解室12内に、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14を通って、矢印Dにて示される態様で通過し、叩解室12内で繊維材料が叩解される。既に叩解された材料は、今度は、叩解機1のフレーム2とステータ3の間の中間スペース16内に、ステータ3の叩解表面4内の開口15を通って通過することができ、中間スペース16から、叩解された材料は、矢印Eにて概略的に示すように、叩解機1の外に排出路17若しくは排出開口を介して除去される。ロータ9と叩解機1のフレーム2の間のスペースは、完全に閉じていないので、叩解機1内に供給される繊維材料の一部は、図1で見て叩解室12の右端から矢印Fにより示すように叩解室12内に移動してもよい。既に叩解された材料は、また、図1で見て叩解室12の左端から叩解室12を出ることもでき、そこから、叩解機1のフレーム2とステータ3の間の中間スペース16との接続がある。
【0027】
図1の実施例では、可動の叩解要素9の叩解表面11、即ちロータ9の叩解表面11は、叩解機の第1叩解表面を構成し、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14は、第1叩解表面を通って形成される第1開口を構成し、該第1開口を通って、叩解されるべき材料が、叩解表面間の叩解室内に供給される。また、図1の実施例では、固定の叩解要素3の叩解表面4、即ちステータ3の叩解表面4は、叩解機の第2叩解表面を構成し、ステータ3の叩解表面4を通って形成される開口15は、第2叩解表面を通って形成される第2開口を構成し、該第2開口を通って、叩解室12内で叩解された繊維材料は、叩解室から除去される。更に、図1の実施例では、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11の双方は、円錐形の外周全体まわりに実質的に延在し、叩解表面4,11間の叩解領域の表面積は、可動に構成された叩解表面、即ちロータ9の表面積の少なくとも70%であり、これは、叩解をより効率的にする。しかし、叩解表面4,11、及び特にステータ3の叩解表面4は、全体の円錐形の外周まわりに延在する必要はないが、より効率的な叩解は、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11の間の表面積が、ロータ9の叩解11の表面積の、少なくとも70%、好ましくは85%、最も好ましくは100%であるときに達成されることができる。叩解表面間の叩解領域の表面積は、可動に構成された叩解表面の表面積の70%より小さくてもよい。
【0028】
ステータ3の叩解表面4を通って形成される開口15及びロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14は、叩解表面上のみにブレードバー5を通って形成されてもよく、叩解表面上のみにブレード溝6を通って形成されてもよく、若しくは、叩解表面上のみにブレードバー5及びブレード溝6を通って形成されてもよい。図1の実施例では、ロータ9の叩解表面11の開口14に起因して、叩解されるべき繊維材料は、叩解表面間の叩解室12内に効率的に供給されることができ、これにより、繊維材料は、従前よりも効率的に叩解されることができる。更に、ロータ9の叩解表面11上の開口14に起因して、叩解されるべき繊維材料は、従前よりも均一に叩解室12内に供給されることができ、従って、叩解室12内で叩解されるべき材料の分布は、従前よりも均一であり、これは、今度は、叩解効率も増加し、それに伴い叩解機の能力を増強する。叩解機1のステータ3の叩解表面4上の開口15によって、既に叩解されたパルプは、従前よりも効率的に叩解室12から外に移送されることができ、従って、叩解表面4の詰まりの危険性を低減すると共に、叩解機の動作を向上する。
【0029】
ロータ若しくはステータの叩解表面は、開口を備え、開口の縁部から最も近接した第2開口の縁部までの距離、即ち開口の無いスペースの測定値は、200mmよりも小さい。より好ましくは、開口の縁部からの他の開口の縁部までの距離は、100mmよりも小さい。最も好ましくは、開口の縁部からの他の開口の縁部までの距離は、50mmよりも小さい。
【0030】
叩解室を画成する双方の叩解表面上に開口があるので、良好な歩留まりは、開口の全体の面積により主に影響される。開口が互いに十分距離を置いて配置されるとき、叩解結果を改善することは可能であり、これは、叩解されるべき材料が、排出される前に叩解室内により長く留まり、良好なパルプ品質を生む叩解処理を受けることを意味する。他方、開口が密に配置されるとき、叩解されるべき材料は、各叩解用ブレードバーに直接効率的に案内され、叩解機のブレードは、叩解処理のために効率的に利用される。密に位置する開口を備える叩解機が高い通過速度と共に使用されるとき、生産性は、高く、叩解は効率的である。通過速度若しくは生産性を低減することによって、叩解時間を長くすることができ、また、開口が密に配置されたブレードは、叩解室における十分な滞留時間と良好なパルプ品質を提供する。
【0031】
図3は、繊維材料を叩解するためのその他の円錐型叩解機1の側方断面図を概略的に示す。図3に示す円錐型叩解機1は、図1に示した円錐型叩解機に対して、図3に示す叩解機の円錐型の構造の傾斜方向が、図1に示した円錐型の構造の傾斜方向と逆である点が異なる。即ち、図3の叩解機では、円錐形の大径は、叩解されるべき材料の供給方向から離れる方向に向けられるのに対して、図1の叩解機では、円錐形の大径は、叩解されるべき材料の供給方向に向けられる。更に、図3に示す叩解機のロータ9の本体10は、図1に示す叩解機のロータ9の本体10よりも大規模であり若しくは構造が閉じており、その結果、ロータ9の叩解表面11の下方の空いたスペースは、図1の叩解機よりも図3の叩解機のほうが小さい。その他は、図3に示す叩解機の動作は、図1に示した叩解機の動作に対応する。
【0032】
図4は、繊維材料を叩解するための第3の円錐型叩解機1の側方断面図を概略的に示す。図4に示す円錐型叩解機の基本構造は、図3に示した叩解機のものと対応するが、図4の叩解機は、図3の叩解機に比べて反対の態様で動作する。これは、図4に示す叩解機では、叩解機内へ繊維材料を供給する供給路13若しくは供給開口が叩解機1の外周側に配置され、叩解機から叩解された材料を除去するための排出路17若しくは排出開口が、叩解機1の中心セクションであって、図3の叩解機が叩解機内に叩解されるべき材料を供給するための供給開口13若しくは供給路を含むところである位置に、配置されることを、意味する。図4の叩解機では、叩解されるべき繊維材料は、従って、叩解機1のステータ3のフレーム2の間の中間スペース16内に叩解機1の供給路13若しくは供給開口を介して先ず供給され、そこから、叩解されるべき材料は、叩解機のステータ3の叩解表面4上の開口15を通って叩解室12内へ至る。叩解された材料の大部分は、ロータ9の叩解表面11上の開口14を通って叩解室12から除去され、少量は、ロータ9と叩解機1のフレーム2の間の図4の右端の叩解室の端部からの漏れ流れとして除去されうる。
【0033】
図4の実施例では、可動の叩解要素9の叩解表面11、即ちロータ9の叩解表面11は、叩解機の第2叩解表面を構成し、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14は、第2叩解表面を通って形成される第2開口を構成し、該第2開口を通って、叩解室12内で叩解された繊維材料は、叩解室から除去される。また、図4の実施例では、固定の叩解要素3の叩解表面4、即ちステータ3の叩解表面4は、叩解機の第1叩解表面を構成し、ステータ3の叩解表面4を通って形成される開口15は、第1叩解表面を通って形成される第1開口を構成し、該第1開口を通って、叩解されるべき材料が、叩解表面間の叩解室内に供給される。更に、図4の実施例では、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11の双方は、円錐形の外周まわりに実質的に延在し、叩解表面4,11間の叩解領域の表面積は、可動に構成された叩解表面、即ちロータ9の表面積の70%より大きい。
【0034】
図5は、円筒形の叩解機18の側面断面図を概略的に示し、これは、紙若しくは板紙を製造するために使用される材料のような、繊維材料を叩解するために使用される。図5に示す叩解機18は、フレーム2と、固定の、固定された叩解要素3、即ち、叩解機18のフレーム2に支持され叩解表面4を備えるステータ3とを含む。叩解表面は、更に、ブレードバーと、バー間のブレード溝とを含む。叩解機18は、更に、例えば、例えば矢印Aの方向に、シャフト7及び非常に概略的に図示されたモータ8により回転されるように構成される叩解要素9を有し、その回転移動に起因して、叩解要素は、叩解機18のロータ9とも称されることがある。叩解機18のロータ9は、本体10と、ブレードバー5及びブレード溝6からなるロータ9の叩解表面11とを含む。図5の実施例では、ロータ9の本体10の大部分は、中空の構造を有し、従って、ロータ9の本体10内部には十分な空いた空間がある。叩解機18は、矢印Bで概略的に示すように、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11との間の叩解室12のサイズを調整するための調整構造を含んでよい。調整は、既知の態様で実行されてもよく、この場合、少なくとも1つの叩解表面とその他の叩解表面との間の距離が調整される。調整は、例えば、スクリュウ若しくは楔機構又は油圧機構により実行される。
【0035】
叩解されるべき繊維材料は、矢印Cにより概略的に示される態様で供給開口13若しくは供給路を介して叩解機18内に供給される。叩解機18内に供給される繊維材料の大部分は、叩解室12内に、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14を通って、矢印Dにて示される態様で通過し、叩解室12内で繊維材料が叩解される。既に叩解された材料は、今度は、叩解機18のフレーム2とステータ3の間の中間スペース16内に、ステータ3の叩解表面4内の開口15を通って通過することができ、中間スペース16から、叩解された材料は、矢印Eにて概略的に示すように、叩解機18の外に排出路17若しくは排出開口を介して除去される。
【0036】
ロータ9と叩解機18のフレーム2の間のスペースは、完全に閉じていないので、叩解機18内に供給される繊維材料の一部は、図5で見て叩解室の左端から矢印Fにより示すように叩解室12内に移動してもよい。既に叩解された材料は、また、図5で見て叩解室12の右端から叩解室12を出ることもでき、そこから、叩解機18のフレーム2とステータ3の間の中間スペース16との接続がある。
【0037】
図5の実施例では、可動の叩解要素9の叩解表面11、即ちロータ9の叩解表面11は、叩解機の第1叩解表面を構成し、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14は、第1叩解表面を通って形成される第1開口を構成し、該第1開口を通って、叩解されるべき材料が、叩解表面間の叩解室内に供給される。また、図5の実施例では、固定の叩解要素3の叩解表面4、即ちステータ3の叩解表面4は、叩解機の第2叩解表面を構成し、ステータ3の叩解表面4を通って形成される開口15は、第2叩解表面を通って形成される第2開口を構成し、該第2開口を通って、叩解室12内で叩解された繊維材料は、叩解室から除去される。更に、図5の実施例では、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11の双方は、円筒形の外周全体まわりに実質的に延在し、叩解表面4,11間の叩解室12の叩解領域の表面積は、可動に構成された叩解表面、即ちロータ9の表面積の70%より大きく、これは、叩解をより効率的にする。
【0038】
円錐型叩解機に関連した上述したのに対応する態様で、円筒型叩解機では、円筒型叩解機18への繊維材料の供給は、叩解されるべき繊維材料が叩解室12へとステータ3の叩解表面4の開口15を通って移動し、既に叩解された材料がロータ9の叩解表面11の開口4を通って叩解室12から排出される態様で、構成されてもよい。この場合、叩解機内に叩解されるべき繊維材料を供給するための供給路若しくは供給開口及び叩解された材料を叩解機から除去するための排出路若しくは排出開口は、互いに入れ替わる。可動の叩解要素、即ちロータ9の叩解表面11は、このとき、叩解機の第2叩解表面を構成し、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14は、第2叩解表面を通って形成される第2開口を構成し、該第2開口を通って、叩解室12内で叩解された繊維材料は、叩解室から除去されるだろう。対応して、固定の叩解要素3の叩解表面4、即ちステータ3の叩解表面4は、叩解機の第1叩解表面を構成し、ステータ3の叩解表面4を通って形成される開口15は、第1叩解表面を通って形成される第1開口を構成し、該第1開口を通って、叩解されるべき材料が、叩解表面間の叩解室内に供給されるだろう。
【0039】
図6は、ディスク型の叩解機19の側面断面図を概略的に示し、これは、紙若しくは板紙を製造するために使用される材料のような、繊維材料を叩解するために使用される。図1に示す叩解機19は、叩解機19のフレーム2と、固定の、固定された叩解要素3、即ち、フレーム2に支持され叩解表面4を備えるステータ3とを含む。叩解表面4は、ブレードバーと、バー間のブレード溝とを含む。叩解機19は、更に、例えば、例えば矢印Aの方向に、シャフト7及び非常に概略的に図示されたモータ8により回転されるように構成される叩解要素9を有し、その回転移動に起因して、叩解要素は、叩解機19のロータ9とも称されることがある。ロータ9は、本体10と、ブレードバー及びブレード溝からなるロータ9の叩解表面11とを含む。図6の実施例では、ロータ9の本体10の一部は、中空の構造を有し、従って、ロータ9の本体10内部には十分な空いた空間がある。叩解機19は、図6では明瞭性のために図示されていないローダも含み、ローダは、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11との間の叩解室12のサイズを調整するために、矢印Bで概略的に示すように、シャフト7に取り付けられたロータを前後に移動するために使用されることができる。
【0040】
叩解されるべき繊維材料は、矢印Cにより示される態様で供給開口13若しくは供給路13を介して叩解機19内に供給される。叩解機19内に供給される繊維材料の大部分は、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11の間の叩解室12内に、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14を通って、矢印Dにて示される態様で通過し、叩解室12内で繊維材料が叩解される。既に叩解された材料は、今度は、叩解機1のフレーム2とステータ3の間の中間スペース16内に、ステータ3の叩解表面4内の開口15を通って通過することができ、中間スペース16から、叩解された材料は、矢印Eにて概略的に示すように、叩解機19の外に排出路17若しくは排出開口を介して除去される。既に叩解された材料は、また、叩解表面4,11の外周から叩解室12を出ることもでき、そこから、叩解機19のフレーム2とステータ3の間の中間スペース16との接続もある。叩解され叩解室12へと直接的な供給開口13からの叩解機内へ供給されるべき材料の移動は、保護構造20により防止される。
【0041】
図6の実施例では、可動の叩解要素9の叩解表面11、即ちロータ9の叩解表面11は、叩解機の第1叩解表面を構成し、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14は、第1叩解表面を通って形成される第1開口を構成し、該第1開口を通って、叩解されるべき材料が、叩解機の叩解表面間の叩解室内に供給される。また、図6の実施例では、固定の叩解要素3の叩解表面4、即ちステータ3の叩解表面4は、叩解機の第2叩解表面を構成し、ステータ3の叩解表面4を通って形成される開口15は、第2叩解表面を通って形成される第2開口を構成し、該第2開口を通って、叩解室12内で叩解された繊維材料は、叩解室から除去される。更に、図6の実施例では、ステータ3の叩解表面4とロータ9の叩解表面11の双方は、ディスク形の外周全体まわりに実質的に延在し、叩解表面4,11間の叩解室12の叩解領域の表面積は、可動に構成された叩解表面、即ちロータ9の表面積の70%より大きく、これは、叩解をより効率的にする。
【0042】
円錐型叩解機及び円筒型叩解機に関連した上述したように、ディスク型の叩解機においても、叩解機19への繊維材料の供給は、叩解されるべき繊維材料が中間スペース16内に供給され、そこから、叩解室12内へステータ3の叩解表面4上の開口15を通って通過する態様で、構成されてもよい。既に叩解された材料は、今度は、ロータ9の叩解表面11の開口4を通って叩解室12から排出されてよい。この場合、叩解機19内に叩解されるべき繊維材料を供給するための供給路13若しくは供給開口13及び既に叩解された材料を叩解機19から除去するための排出路17若しくは排出開口は、互いに入れ替わる。可動の叩解要素、即ちロータ9の叩解表面11は、このとき、叩解機の第2叩解表面を構成し、ロータ9の叩解表面11を通って形成される開口14は、第2叩解表面を通って形成される第2開口を構成し、該第2開口を通って、既に叩解された繊維材料は、叩解表面間の叩解室から除去されるだろう。対応して、固定の叩解要素3の叩解表面4、即ちステータ3の叩解表面4は、叩解機の第1叩解表面を構成し、ステータ3の叩解表面4を通って形成される開口15は、第1叩解表面を通って形成される第1開口を構成し、該第1開口を通って、叩解されるべき材料が、叩解室12内に供給されるだろう。
【0043】
叩解されるべき繊維材料を叩解表面を通して供給し、既に叩解された材料を反対の叩解表面を通して除去することによって、叩解表面の方向の叩解されるべき材料の流れ及び既に叩解された材料の流れを防止若しくは低減することが可能であり、これは、叩解機における圧力損失を低減する。また、叩解されるべき材料が材料の供給からその排出まで叩解室を介して流れることが保証され、これは、従前よりも多い数の繊維が叩解されることを意味する。叩解されるべき材料の供給速度及び可動の叩解表面の速度により、叩解の度合いに影響を及ぼすこと、即ちどの程度の叩解を繊維が受けるかに影響を及ぼすことが可能である。
【0044】
本解決策により、材料流れは、従前よりも効率的に叩解室に向けられるので、繊維は、従前よりも均一な態様で処理される。更に、ブレードバー及びブレード溝を含む叩解表面において、叩解表面は、叩解用により効率的に利用されることができ、その結果、より少ない数のブレードバー及びブレード溝若しくはより短い全長のそれらが必要とされ、従って、叩解機のサイズを低減することができる。本解決策により、従前より連続的な繊維流れも叩解室において達成され、その結果、叩解表面の効果は、繊維により多く向けられ、反対の叩解表面により少なく向けられ、これにより、ブレードの磨耗が低減される。
【0045】
本解決策は、また、叩解表面の平面若しくは接線の方向で叩解されるべき材料の流れを低減することを可能とし、叩解表面の設計は、従って、叩解に向けられる叩解効果を最適化することに集中することができる。これは、叩解されるべき材料及び既に叩解された材料の搬送における叩解表面の意義がより小さいためである。その結果、叩解表面上の材料の移動は、より広々とした叩解の供給路及び排出路において、従前よりも低い圧力損失で構成されることができ、従って、叩解機の出力損失を低減する。叩解表面上に形成される開口14,15の方向、サイズ及び形状は、叩解表面の全体面積に対するそれらの表面積の比と同様、多くの異なる態様で変化してもよい。図2の実施例では、開口14は、細長く、ブレードバー及びブレード溝の走行方向を略横切るように方向付けられる。しかしながら、例えば、開口は、丸や楕円でありうり、若しくは異なる多角形形状を有しうる。更に、それらの走行の向きは、全体としてブレードバー5とブレード溝6に平行であってよく、ブレードバー及びブレード溝の走行方向に直角であってよく、若しくは、これらの2つの方向間の任意の斜め方向であってよい。開口のサイズ及び表面積は、異なる態様で変化してもよい。より多くの小さい開口若しくはより少ない大きい開口であってもよい。叩解表面の表面積と比較した開口の全体の面積は、また、多くの異なる態様で変化してもよく、好ましくは5〜70%、より好ましくは7〜55%、最も好ましくは10〜40%の範囲である。上述の開口の特性は、また、固定の叩解表面と可動の叩解表面とで互いに異なってもよい。図17及び図18は、開口14が丸である叩解表面を示す。
【0046】
図7乃至図12は、細長い開口14を備える幾つかの円錐型叩解表面を概略的に示す。細長い開口は、特定の長手方向、即ち開口の縁部間の距離が当該方向を略横切る方向の開口の縁部間の距離よりも大きい方向、を有すると考えることができる開口を指す。図7,8の実施例では、細長い開口は、叩解表面の中心軸若しくは複数の中心軸に略平行に延在する。図9,10の実施例では、細長い開口は、叩解表面の中心軸に対して傾斜した位置に延在し、図11,12の実施例では、細長い開口は、叩解表面の中心軸を略横切る方向に延在する。図7乃至図12では、叩解表面は、叩解機のロータの叩解表面として図示されているが、これらは、同様に叩解機のステータの叩解表面であってよい。
【0047】
細長い開口14は、従って、図7,8に示すように、叩解表面の中心軸に略平行に配設されてもよいが、細長い開口14を形成し、叩解ブレードの軸に斜めに叩解表面上の細長い開口を配設することによって、開口の最適な大きい流れ面積が達成され、従って、叩解に寄与する叩解面積が大きい。細長い開口は、叩解領域の少ない部分だけを占有し若しくは叩解機の効率を低減しない方法で叩解領域を占有する。細長い開口を備える叩解ブレードは、高い引っ張り強度と引裂き抵抗を備える高品質のパルプを生成する。更に、均一な材料流れは、叩解領域の全体で達成される。ステータ及びロータを通って延在する直線の流路の断面の流れ面積、即ちステータとロータブレードを介した可視的な接触を可能とする流路の断面の流れ面積は、開口の全体の流れ面積に対して小さく、それ故に、叩解されるべき材料は、効率的な叩解プロセスを受け、叩解されずに叩解機を実質的に通過できない。また、ステータとロータを通って延在する直線の流路の位置は、叩解機が使用されるすべての時に変化し、従って、全体としての叩解表面が叩解用に利用される。叩解機の軸に斜めである及び/又は叩解表面の法線方向に斜めである細長い開口は、また、ポンピング効果も生成でき、若しくは、代替的に、叩解機に供給されている材料及び/又は叩解機から除去される材料に滞留効果を生成でき、この効果は、必要に応じて所望の方向での材料の動きを速くし若しくは遅くする。このようにして、叩解されている材料の流動化を維持することが可能である。叩解機の軸の方向、即ち叩解表面の半径方向の叩解表面上の細長い開口の角度は、しばしば、5から40度で選択され、これにより、開口は、一般的に、叩解機の排出縁部に向けて叩解表面の供給縁部から適切なポンピング効果又は滞留効果を提供する。より高いポンピング効果又は滞留効果が必要とされるとき、開口の方向と叩解軸の間の角度は、40〜60度から選択される。ポンピング効果又は滞留効果は、この際、開口の方向に好ましくは交わる角度でブレードバーを配置することにより部分的に形成され、これにより、ブレードバーは、しばしば、開口とは反対の効果、即ち、ブレードバーの方向及びロータの回転方向に依存してポンピング効果又は滞留効果、を処理されている材料に生じさせる。開口及びロータブレードのブレードバーを方向付けるポンピング効果又は滞留効果は、処理されている材料へのロータの動きにより生成される高い力の作用に起因して、ステータブレードの開口を方向付ける効果よりも大きい。供給する叩解表面の細長い開口は、細長い開口の全長が少なくとも2つのブレードバー及びそれらの間の溝を含む態様で形成されてもよく、その効果の下で、叩解されるべきパルプは、叩解室内に最適に分布され、これは、制御された選択された最適な叩解室内の保持時間を生み、反対の叩解表面若しくはブレード表面上の開口を介したブレードギャップからの叩解された材料の後続する排出を生む。これは、所望の叩解プロセスをもたらす。
【0048】
細長い開口は、従って、叩解表面のブレードバー及びブレード溝を横断する角度で配置されてもよい。細長い開口と、叩解表面のブレードバー及び/又はブレード溝の間の角度は、従って、例えば5−90度であってよい。好ましくは、角度は、25−80度であり、より好ましくは、50−70度である。細長い開口がブレードバーに少なくとも部分的に平行であるとき、これは、例えば開口がブレードバーに対して5−80度の角度であり互いに直角でないときに起きるが、ブレードバー及びブレード溝の方向の力成分は、溝内で叩解されている材料の走行を増強するように、叩解されている材料に作用するが、同時に、開口の方向は、反対側の叩解表面間で材料を叩解させることになり、これは、今度は、叩解されている材料に向けられる叩解効果を増強する。開口とブレードバー及び/又はブレード溝の間の角度が50−70度である場合、案内する力成分が、ブレードバー及び開口の壁により、ブレードバー間でブレード溝の方向に特に適切な割合で処理されている材料に対して形成され、これは、叩解室内で良好な品質と能力の叩解結果を提供する流れ場が形成されることを意味する。
【0049】
細長い開口がロータの叩解表面とステータの叩解表面の双方に存在する場合、開口は、例えば、叩解表面の外周の方向に設置されてもよく、これにより、叩解されている材料のロータ及びステータの叩解表面を介した直接的な通過が防止され、叩解されている全ての材料は、少なくともある程度は叩解を受ける。ロータの叩解表面及びステータの叩解表面の開口は、叩解表面上に、叩解表面が互いに対向するときに、細長い開口が互いに交わることができる態様で、配設されてもよく、これにより、いくらかの材料が如何なる叩解作用を受けることなく叩解機を通過することが可能であり、これは、繊維材料の必要とされる特性に依存して好ましい場合がある。ステータ及びロータの叩解表面上の交わる細長い開口間に形成される自由空間は、ロータの叩解表面上の細長い開口とブレードバーの間の角度が45度であり、ステータの叩解表面上の細長い開口とブレードバーの間の角度も45度であるがロータとは反対方向であり、これにより、ロータの叩解表面上の細長い開口及びステータの叩解表面上の細長い開口は、互いに直交するときに、最小である。従って、細長い開口及びブレードバー間の角度を変化させることによって、ステータの叩解表面上の細長い開口とロータの叩解表面上の細長い開口の間に形成される自由領域のサイズに影響を及ぼすことが可能である。
【0050】
図13は、円錐形の叩解表面の側面視を概略的に示し、図14は、図13の叩解表面を不等角投影図で概略的に示す。図13、14では、叩解表面は、叩解機のロータの叩解表面として図示されているが、叩解機のステータの叩解表面も同様であってよい。図13,14の実施例では、叩解表面11は、叩解機の中心軸に斜めの位置であり、叩解表面の外周方向で互いから離間してロッド又はリムを含み、ロッド又はリムは、叩解表面11のブレードバー5を形成する。ブレードバー5は、叩解表面11の端部で支持構造24若しくは支持リング24に支持される。ブレードバー5の全長に亘って延在する細長い開口14は、ブレードバー5間に形成される。従って、図13,14の実施例では、細長い開口14は、溝の底部の全体が、叩解表面11を通って延在する細長い開口14によりカバーされる態様で、ブレードバーの間の溝の全長に亘って延在する。この実施例では、開口は、密に配置され、従って、叩解されている材料は、叩解のために各ブレードバーに直接効率的に案内され、これにより、叩解機のブレードは、叩解用に効率的に利用される。
【0051】
図13,14では、ブレードバーを形成するロッド、リム若しくはワイヤの断面は、例えば、図のように長方形、正方形、三角形、若しくは他の断面形状であってよい。構造を強化する支持リングは、構造の中央領域若しくは両端に配置されてもよい。構造は、端部で好ましくは支持リングを介して叩解機のフレームに取り付けられるが、構造の中央部で支持リングを介して取り付けられてもよく、若しくは、双方の解決策を使用して取り付けられてもよい。ワイヤは、好ましくは、中心軸に0から30度の角度で配置される。ワイヤの幅及びワイヤ間の距離は、叩解されるべき繊維材料に基づいて適切に選択されてもよい。ワイヤ間の開口は、半径方向に若しくはいずれかの方向に傾斜して延在してもよい。極端な場合、開口、即ち流路は、構造の全長に亘って延在してもよい。
【0052】
図15は、円錐型の叩解機の叩解表面に適したブレードセグメントの側面視を概略的に示し、図16は、図15によるブレードセグメントの叩解表面の断面部分を概略的に示す。図15,16に示すブレードセグメントは、円錐型の叩解機のロータの叩解表面の部分を構成するのに適している。適切な数の図15のブレードセグメントを互いに隣接して配設することによって、均一な円錐形の叩解表面が達成される。図15、16の実施例では、叩解表面を通って形成される開口は、細長いが、丸や楕円形若しくは種々の多角形のような他の形状を有しうり、若しくは、他の上述の方法で実現されうる。叩解機のステータの叩解表面は、それに応じてブレードセグメントから形成されてもよい。ブレードセグメントから作成される叩解表面は、円筒形及び円錐形の叩解機で本来的に使用されてもよい。
【0053】
叩解室内に叩解されている材料を供給し若しくは叩解室から既に叩解された材料を排出するのに適した叩解表面を通って形成される開口が、可動の叩解表面若しくは固定の叩解表面のいずれかを通ってのみ形成される叩解機を実現することも可能である。図の実施例では、開口は、ステータ及びロータの叩解表面の双方に配設されているが、ステータ若しくはロータのいずれかの叩解表面のみに開口を有することは可能であり、この場合、叩解室への叩解されるべき材料の供給及び既に叩解された材料の排出は、例えば、叩解室の端部から発生してもよく、若しくは、逆も同様である。
【0054】
ロータのブレード表面が、ブレード表面のブレード溝及びブレードバーに斜めの細長い開口(図7乃至12、15,16の実施例がこの例に該当する)を有し、ステータのブレード表面上の開口とブレードバーが平行である(図13,14のブレード表面がこの例に該当する)叩解機を実現することも可能である。これとは逆に実現される叩解機も可能である。
【0055】
ある場合には、本願で開示された特徴は、他の特徴とは無関係に、使用されてもよい。他方、本願で開示された特徴は、種々の組み合わせを提供するために必要に応じて組み合わせられてもよい。
【0056】
図面及び関連する説明は、本発明の考えを図示する意図だけである。本発明は、請求項の範囲内でその詳細が変更されてもよい。図に示された全ての実施例では、叩解機の叩解表面は、叩解表面を形成するためにブレードバー及びバー間のブレード溝を含むが、叩解機の叩解表面が、繊維材料の叩解を達成するための幾つかの他の態様で提供されてもよいことは、本質的に明らかである。また、叩解表面がブレードバー及びバー間のブレード溝を含む場合、ブレードバーの上面、即ち反対の叩解表面に向く表面が、より小さいブレードバー及びバー間のブレード溝を含んでよいことも、明らかである。また、ブレードバー及びブレード溝が、例えば、ブレードバー及びそれらの間のブレード溝が直線若しくは湾曲であるといったような態様で、それらの長手方向若しくは走行方向で多様な方法で形成されてもよいことも、明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料を叩解する叩解機であって、
少なくとも1つの第1叩解表面と少なくとも1つの第2叩解表面を含み、該第1叩解表面及び第2叩解表面が、それらの間に叩解室が形成されるように、少なくとも部分的に略互いに対向して配置され、前記叩解室は、解繊されるべき材料が供給されるところであり、前記第1叩解表面及び第2叩解表面の少なくともいずれかが、対向する叩解表面に対して移動するように構成され、前記第1叩解表面及び第2叩解表面が、ブレードバーと、前記ブレードバー間のブレード溝とを含む、叩解機において、
前記第1叩解表面は、前記第1叩解表面を通って設けられる細長い開口を有し、該開口を通って、叩解されるべき繊維材料が、当該叩解機の前記叩解室へと供給されるように構成され、及び/又は、前記第2叩解表面は、前記第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を有し、該開口を通って、前記叩解室内で叩解された繊維材料が、前記叩解室から排出されるように構成され、
前記叩解表面を通って設けられる細長い開口は、前記第1及び/又は第2叩解表面上の叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設されることを特徴とする、叩解機。
【請求項2】
前記第1叩解表面は、当該叩解機の可動の叩解表面を形成するように構成され、前記第2叩解表面は、当該叩解機の固定の叩解表面を形成するように構成される、請求項1に記載の叩解機。
【請求項3】
前記第1叩解表面は、当該叩解機の固定の叩解表面を形成するように構成され、前記第2叩解表面は、当該叩解機の可動の叩解表面を形成するように構成される、請求項1に記載の叩解機。
【請求項4】
前記固定の叩解表面と前記可動の叩解表面との間の叩解領域の表面積は、前記可動の叩解表面の少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは100%である、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の叩解機。
【請求項5】
前記叩解表面の全体の表面積に対する、前記叩解表面を通して設けられる開口の表面積の比は、5から70%、好ましくは7−55%、最も好ましくは10−40%である、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の叩解機。
【請求項6】
前記叩解表面を通して設けられる開口は、5−90度、好ましくは25−80度、より好ましくは50−70度の角度で、前記叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の叩解機。
【請求項7】
当該叩解機は、円錐型、円筒型又はディスク型の叩解機である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の叩解機。
【請求項8】
繊維材料を叩解する方法であって、当該方法は、叩解機で繊維材料を叩解することを含み、前記叩解機は、少なくとも1つの第1叩解表面と少なくとも1つの第2叩解表面を含み、該第1叩解表面及び第2叩解表面が、それらの間に叩解室が形成されるように、少なくとも部分的に略互いに対向して配置され、前記叩解室は、解繊されるべき材料が供給されるところであり、前記第1叩解表面及び第2叩解表面の少なくともいずれかが、対向する叩解表面に対して移動するように構成され、前記第1叩解表面及び第2叩解表面が、ブレードバーと、前記ブレードバー間のブレード溝とを含み、
当該方法は、
前記叩解機の叩解表面間の前記叩解室内に、前記第1叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、叩解されるべき繊維材料を供給し、及び/又は、
前記第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、前記叩解室から叩解された繊維材料を除去することを含み、
前記第1及び/又は第2叩解表面を通って設けられる細長い開口は、前記叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記叩解機の叩解表面間の前記叩解室内に、可動の前記第1叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、叩解されるべき繊維材料を供給し、
前記第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、前記叩解室から叩解された繊維材料を除去することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記叩解機の叩解表面間の前記叩解室内に、固定の前記第1叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、叩解されるべき繊維材料を供給し、
可動の前記第2叩解表面を通って設けられる細長い開口を通して、前記叩解室から叩解された繊維材料を除去することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
記固定の叩解表面と前記可動の叩解表面との間の叩解室の表面積は、前記可動の叩解表面の少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは100%である、請求項8〜10のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記叩解表面を通して設けられる開口は、5−90度、好ましくは25−80度、より好ましくは50−70度の角度で、前記叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される、請求項8〜11のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
繊維材料を叩解するためのブレードセグメントであって、
ブレードバーと、前記ブレードバー間のブレード溝とを備える叩解表面を含み、
前記叩解表面は、前記叩解表面を通って設けられる細長い開口であって、前記叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される細長い開口を有することを特徴とする、ブレードセグメント。
【請求項14】
当該ブレードセグメントの叩解表面を通して設けられる開口は、5−90度、好ましくは25−80度、より好ましくは50−70度の角度で、前記叩解表面のブレード溝及びブレードバーに対して斜めに配設される、請求項13に記載のブレードセグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2011−524950(P2011−524950A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514078(P2011−514078)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050548
【国際公開番号】WO2009/153413
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】