説明

繊維網状構造層およびそれを含んでなる可撓性の耐貫通性物品

本発明は、第1および第2糸のそれぞれが他の第1および第2糸に平行のまたは実質的に平行の第1方向に配置された、複数の第1糸および複数の第2糸と、第3糸のそれぞれが他の第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置され、第2方向が第1方向に対して直角である、複数の第3糸とを有する耐貫通性物品で使用するための繊維網状構造層に関する。第3糸および第1糸もしくは第2糸のいずれかは第1ポリマーでできている。第1、第2および第3糸のそれぞれは少なくとも15g/デシテックスの靱性を有する。層は、(i)第2糸が第1ポリマーとは異なる第2ポリマーでできているか、または(ii)第1糸が第2糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第1および第2糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第1糸のフィラメントが第2糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせであるようなものである。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、開示内容の全体が参照により本明細書に援用される、2005年8月10日出願の米国仮特許出願第60/707,200号明細書、および2005年9月27日出願の米国仮特許出願第60/720,898号明細書の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、耐貫通性物品で使用するための繊維網状構造層に、および1つもしくはそれ以上のかかる層を含有する物品に関する。
【背景技術】
【0003】
報告は、100%ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサザール)布(PBO布)でできた防弾チョッキが通常の布より高い防弾性能を示し得ることを示唆している。しかしながら、PBO布は非常に高価であり、幾つかの生命保護用途向けには使用が制限される。
【0004】
様々な布構成が防弾性材料のために知られている。例えば、第1層が第1ポリマーの繊維で構成され、そして第2層が異なるポリマーの繊維で構成されている、異なる層を使用することは知られている。
【0005】
2つのポリマーの繊維を単層に使用できることもまた知られている。例えば、特許文献1は、異なる特性のたて糸およびよこ糸繊維を使用して非対称の織り方で織られた多重織の保護布を教示している。別の特許文献2は、たて糸およびよこ糸の両方での2つの隣接繊維が異なる材料のものである織り方を教示している。
【0006】
特許文献3は、ポリエチレン繊維を有するたて糸とアラミド繊維を含んでなるよこ糸とを有することができるマルチフィラメント防弾布を教示している。特許文献4は、第1組のより糸の線密度対第2組のより糸の線密度の比が4.2より大きい、第1組のより糸が第2組のより糸を横断する多層直交積層の布を教示している。特許文献5は、たて糸がアラミドであり、そしてよこ糸が熱可塑性材料である、異なる材料の組み合わせを有する柔らかいチョッキを教示している。特許文献6は、たて糸およびよこ糸方向に異なる材料の防弾織布を教示している。特許文献7は、よこ糸方向の繊維がたて糸方向の繊維より大きい破断点伸びを有する防弾織布を開示している。
【0007】
これらの進歩にもかかわらず、より軽量の、より高性能の生命保護防護服が必要とされている。
【0008】
【特許文献1】カナダ国特許出願CA1034842号明細書
【特許文献2】カナダ国特許出願CA2313995号明細書
【特許文献3】米国特許第6,155,306号明細書
【特許文献4】米国特許第6,610,619号明細書
【特許文献5】米国特許第5,180,880号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第310199(A1)号明細書
【特許文献7】米国特許第5,187,003号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
第1および第2糸のそれぞれが他の第1および第2糸に平行のまたは実質的に平行の第1方向に配置された、複数の第1糸および複数の第2糸と、
第3糸のそれぞれが他の第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置され、第2方向が第1方向に対して直角であり、第3糸および第1糸もしくは第2糸のいずれかが第1ポリマーでできている、複数の第3糸と
を含んでなる、耐貫通性物品で使用するための繊維網状構造層であって、
第1、第2および第3糸のそれぞれが少なくとも15g/デシテックス(好ましくは幾つかの実施形態では20〜45g/デシテックス)の靱性を有し、かつ、
(i)第2糸が第1ポリマーとは異なる第2ポリマーでできているか、または(ii)第1糸が第2糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第1および第2糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第1糸のフィラメントが第2糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである繊維網状構造層に関する。
【0010】
幾つかの好ましい実施形態では、繊維網状構造層は、第4糸のそれぞれが第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置された、複数の第4糸をさらに含んでなり、ここで、(i)第4糸は第2ポリマーもしくは第3ポリマーでできているか、または(ii)第3糸は第4糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第3および第4糸は複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第3糸のフィラメントは第4糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである。
【0011】
特定の実施形態では、第1糸は、第1方向の糸の総数の少なくとも35%[好ましくは幾つかの実施形態では40〜60%]を占め、かつ、
第2糸は、第1方向の糸の総数の少なくとも35%[好ましくは幾つかの実施形態では40〜60%]を占める。
【0012】
幾つかの実施形態では、第2方向のすべての繊維は複数の第3糸のものである。
【0013】
幾つかの繊維網状構造で、繊維網状構造層は10kg/m以下の面密度を有する。幾つかの実施形態では、面密度は好ましくは2〜8kg/mである。
【0014】
本発明の特定の態様では、第1、第2、および第3糸のそれぞれは、少なくとも2%(好ましくは幾つかの実施形態では2.5%〜10%)の破断点伸びとデシテックス当たり少なくとも150グラム(好ましくは幾つかの実施形態では250〜2000)の弾性率とを有する。
【0015】
特定の層は、第1、第2、および第3糸のそれぞれがデニール当たり少なくとも15グラム(好ましくは幾つかの実施形態ではデニール当たり少なくとも20グラム)の靱性を有するようなものである。他の実施形態では、繊維網状構造層は、デニール当たり少なくとも30グラムの靱性を有する第1、第2、および第3糸の少なくとも1つを有する。幾つかの実施形態では、靱性は好ましくはデニール当たり少なくとも35グラムである。
【0016】
幾つかの層は、デニール当たり少なくとも30グラムの靱性と立方センチメートル当たり少なくとも1.6グラムの密度とを有する第1、第2、および第3糸の少なくとも1つを有する。
【0017】
幾つかの実施形態では、第2糸は第1ポリマーとは異なる第2ポリマーでできている。
【0018】
特定の実施形態では、第1糸は第2糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有する。幾つかの実施形態では、第1および第2糸は複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第1糸のフィラメントは第2糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有する。
【0019】
幾つかの態様では、本発明は、第1および第3糸が第1ポリマーでできており、そして同じ平均線密度を実質的に有し、そして第1および第3糸のフィラメントが同じ平均線密度を実質的に有する繊維網状構造層に関する。
【0020】
幾つかの層では、第1、第2、および第3糸のそれぞれは100〜5000デシテックスの線密度を有する。幾つかの実施形態では、線密度は好ましくは220〜3300デシテックスである。特定の層では、第1、第2、および第3糸は0.1〜10デシテックスの線密度を有する。特定の実施形態では、糸は好ましくは0.2〜5.5デシテックスである。
【0021】
本発明の幾つかの層は、連続フィラメント、ステープルファイバー、または両方の混合物である第1、第2および第3糸のフィラメントを含んでなる。
【0022】
幾つかの実施形態では、第1および第2糸は交互の順番に配置される。
【0023】
第1および第2ポリマーは、幾つかの実施形態では、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリ{2,6−ジイミダゾ[4,5−b4’,5’−e]ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}、ポリアレーンアゾール、ポリピリダゾール、ポリピリドビスイミダゾールおよびそれらの混合物よりなる群から選択される。特定の実施形態では、第1ポリマーはポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)である。
【0024】
本発明のある層は、第1糸、第2糸、および第3糸が織られている、不織の、または一方向アレイ上に直角に積み重ねられた一方向アレイであるようなものである。
【0025】
本発明はまた、本明細書に記載されるような複数の繊維網状構造層を含んでなる可撓性の耐貫通性物品に関する。幾つかの可撓性の耐貫通性物品は2〜12kg/mの面密度を有する。特定の物品は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合物を含んでなるポリマーマトリックスを含浸されている布層の少なくとも1層を有する。
【0026】
幾つかの実施形態では、本発明はまた繊維網状構造の製織方法に関する。一実施形態では、繊維網状構造層の製造方法は、
第1および第2糸のそれぞれが他の第1および第2糸に平行のまたは実質的に平行の第1方向での、複数の第1糸および複数の第2糸を、
第3糸のそれぞれが他の第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置され、第2方向が第1方向に対して直角であり、第3糸および第1糸もしくは第2糸のいずれかが第1ポリマーでできている、複数の第3糸と
織る工程を含んでなり、
ここで、
第1、第2および第3糸のそれぞれは少なくとも15g/デシテックスの靱性を有し、かつ、
(i)第2糸は第1ポリマーとは異なる第2ポリマーでできているか、または(ii)第1糸は第2糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第1および第2糸は複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第1糸のフィラメントは第2糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである。
【0027】
特定の実施形態では、本方法は、第4糸のそれぞれが第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置された、複数の第4糸を織る工程であって、
(i)第4糸が第2ポリマーもしくは第3ポリマーでできているか、または(ii)第3糸が第4糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第3および第4糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第3糸のフィラメントが第4糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである工程をさらに含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、本開示の一部を形成する例示的な好ましい実施形態の以下の詳細な説明の参照によってより容易に理解され得る。特許請求の範囲は本明細書に記載されるおよび/または示される具体的なデバイス、方法、条件もしくはパラメーターに限定されず、本明細書に用いられる専門用語はあくまで一例として特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、そして特許請求される本発明を限定することを意図されないことが理解されるべきである。また、添付される特許請求の範囲を含む本明細書で用いられるように、単数形(「a」、「an」、および「the」)は複数を含み、ある特定の数値についての言及は、文脈が特に明らかに指示しない限り、少なくとも当該特定値を含む。値の範囲が表されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」を用いて値が近似値として表されるとき、特定の値は別の実施形態を形成すると理解されるであろう。すべての範囲は包括的であり、そして組み合わせ可能である。
【0029】
本発明の耐貫通性複合材料および物品は、ポリマー繊維から製造されている複数の繊維層を好ましくは含む。
【0030】
本明細書の目的のためには、「繊維」という用語は、長さ対その長さに垂直のその断面積を横切る幅の高い比を有する比較的可撓性の、巨視的に均一の物体と定義される。繊維断面は任意の形状であることができるが、典型的には円形である。繊維は、コートされていない、もしくはコートされている、または別の方法で前処理された(例えば、前延伸または熱処理された)形態で存在することができる。本明細書では、「フィラメント」という用語は「繊維」という用語と同じ意味で用いられる。
【0031】
本明細書で用いるところでは、「糸」は、繊維が本明細書に定義される通りである連続的な長さの2つもしくはそれ以上の繊維を意味する。
【0032】
本明細書の目的のためには、「布」は、任意の織られた、編まれた、または不織の構造体を意味する。「織られた」とは、平織、千鳥綾織、バスケット織、繻子織、綾織などのような任意の布の織り方を意味する。「編まれた」とは、1つもしくはそれ以上のエンド、繊維またはマルチフィラメント糸を編成するまたはかみ合わせることによって生成される構造体を意味する。「不織の」とは、一方向の繊維を含む、繊維の網状構造、フェルトなどを意味する。
【0033】
繊維層は、編布もしくは織布または不織構造体を含むが、それらに限定されない、多数の構造をとることができる。不織のとは、一方向を含む(マトリックス樹脂内に含有される場合)、繊維の網状構造、フェルトなどを意味する。織られたとは、平織、千鳥綾織、バスケット織、繻子織、綾織などのような、任意の布の織り方を意味する。平織が業界で用いられる最も一般的な織り方であると考えられる。
【0034】
幾つかの好ましい実施形態では、布は複数の糸を織ることによって製造される。
【0035】
布層の面密度は、選択されたサイズ、例えば、10cm×10cmの各単層の重量を測定することによって求められる。本複合構造体の面密度は、個々の層の面密度の合計によって求められる。
【0036】
デニールは、ASTM(米国材料試験協会)D1577に従って求められ、9000メートルの繊維のグラム単位の重量として表されるような繊維の線密度である。
【0037】
靱性はASTM D885に従って求められ、デニール当たりのグラムとして表されるような繊維の最大または破断応力である。
【0038】
多種多様の好適な熱硬化性および熱可塑性樹脂ならびにそれらの混合物が先行技術で周知であり、マトリックス材料として使用され得る。例えば、熱可塑性樹脂は、1つもしくはそれ以上のポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリカーボネートなどを含んでなることができる。熱硬化性樹脂は、1つもしくはそれ以上のエポキシ−ベース樹脂、ポリエステル−ベース樹脂、フェノール−ベース樹脂など、好ましくはポリビニルブチラール・フェノール系樹脂であることができる。混合物は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との任意の組み合わせであることができる。
【0039】
本発明に好適な繊維の代表的なリストには、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリベンゾチアゾール繊維、ポリ{2,6−ジイミダゾ[4,5−b4’,5’−e]ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}(PIPD)繊維、またはそれらの混合物が含まれる。好ましくは、繊維はポリ{2,6−ジイミダゾ[4,5−b4’,5’−e]ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}(PIPD)繊維でできている。
【0040】
ポリマーがポリアミドであるとき、アラミドが好ましい。「アラミド」とは、アミド(−CO−NH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合しているポリアミドを意味する。好適なアラミド繊維は、W.ブラック(W.Black)ら著、「人造繊維−科学および技術、第2巻、繊維形成芳香族ポリアミドという表題のセクション(Man−Made Fibers−Science and Technology,Volume 2,Section titled Fiber−Forming Aromatic Polyamides)」、インターサイエンス・パブリッシャー(Interscience Publishers)、1968年、297ページに記載されている。アラミド繊維はまた、米国特許第4,172,938号明細書、同第3,869,429号明細書、同第3,819,587号明細書、同第3,673,143号明細書、同第3,354,127号明細書、および同第3,094,511号明細書にも開示されている。添加剤をアラミドで使用することができ、そして10重量%程度までの他のポリマー材料をアラミドとブレンドできること、またはアラミドのジアミンを10重量%程度の他のジアミンで置換できるかもしくはアラミドの二酸塩化物を10重量%程度の他の二酸クロリドで置換できることが分かった。
【0041】
好ましいアラミドはパラ−アラミドであり、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)が好ましいパラ−アラミドである。PPD−Tとは、p−フェニレンジアミンとテレフタロイルクロリドとのおおよそモル対モル重合から生じるホモポリマーならびに、また、p−フェニレンジアミンと共に少量の他のジアミンおよびテレフタロイルクロリドと共に少量の他の二酸クロリドの組み入れから生じるコポリマーを意味する。原則として、他のジアミンおよび他の二酸クロリドは、他のジアミンおよび二酸クロリドが重合反応を妨害する反応基を全く持たないことのみを条件として、p−フェニレンジアミンもしくはテレフタロイルクロリドの約10モルパーセント程度までの、または場合によりわずかにより高い量で使用することができる。PPD−Tは、また、例えば、2,6−ナフタロイルクロリドまたはクロロ−もしくはジクロロテレフタロイルクロリド、または3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの他の芳香族ジアミンと他の芳香族二酸クロリドとの組み入れから生じるコポリマーをも意味する。
【0042】
ポリマーがポリオレフィンであるとき、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。ポリエチレンとは、少量の鎖分岐もしくは100個の鎖炭素原子当たり5個を超えない変性ユニットのコモノマーを含有してもよい、かつ、それと混合されてアルケン−1ポリマー、具体的には低密度ポリエチレン、プロピレンなどのような約50重量パーセント以下の1つもしくはそれ以上のポリマー添加物、または一般に組み入れられる酸化防止剤、滑剤、紫外線遮断剤、着色剤などのような低分子量添加剤をまた含有してもよい、好ましくは百万より大きい分子量の主に線状のポリエチレン材料を意味する。かかるものは伸張鎖ポリエチレン(ECPE)として一般に知られる。同様に、ポリプロピレンは、好ましくは百万より大きい分子量の主に線状のポリプロピレン材料である。高分子量の線状ポリオレフィン繊維は商業的に入手可能である。ポリオレフィン繊維の製造は米国特許第4,457,985号明細書に説明されている。
【0043】
ポリアレーンアゾールポリマーは、乾燥原料の混合物をポリリン酸(PPA)溶液と反応させることによって製造されてもよい。乾燥原料は、アゾール形成モノマーおよび金属粉末を含んでなってもよい。これらの乾燥原料の正確に秤量されたバッチは、本発明の好ましい実施形態の少なくとも幾つかの使用によって得ることができる。
【0044】
例示的なアゾール形成モノマーには、2,5−ジメルカプト−p−フェニレンジアミン、テレフタル酸、ビス−(4−安息香酸)、オキシ−ビス−(4−安息香酸)、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ピリドジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−キノリンジカルボン酸、2,6−ビス(4−カルボキシフェニル)ピリドビスイミダゾール、2,3,5,6−テトラアミノピリジン、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,5−ジアミノヒドロキノン、1,4−ジアミノ−2,5−ジチオベンゼン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。好ましくは、アゾール形成モノマーには、2,3,5,6−テトラアミノピリジンおよび2,5−ジヒドロキシテレフタル酸が含まれる。特定の実施形態では、アゾール形成モノマーはリン酸化されていることが好ましい。好ましくは、リン酸化アゾール形成モノマーはポリリン酸および金属触媒の存在下で重合させられる。
【0045】
金属粉末は、最終ポリマーの分子量を構成するのを助けるために用いることができる。金属粉末には典型的には、鉄粉、スズ粉末、バナジウム粉末、クロム粉末、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0046】
アゾール形成モノマーおよび金属粉末は混合され、次に混合物はポリリン酸と反応させられてポリアレーンアゾールポリマー溶液を形成する。追加のポリリン酸を、必要に応じてポリマー溶液に加えることができる。ポリマー溶液は典型的には、フィラメントを製造するまたは紡糸するためにダイまたは紡糸口金を通して押し出される。
【0047】
ポリベンゾオキサゾール(PBO)およびポリベンゾチアゾール(PBZ)は2つの好適なポリマーである。これらのポリマーは、PCT出願国際公開第93/20400号パンフレットに記載されている。ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾチアゾールは好ましくは、次の構造の繰り返し単位で構成される。
【0048】
【化1】

【0049】
窒素原子に結合して示される芳香族基は複素環であってもよいが、それらは好ましくは炭素環であり、そしてそれらは縮合または非縮合多環系であってもよいが、それらは好ましくは単6員環である。ビス−アゾールの主鎖中に示される基は、好ましいパラ−フェニレン基であるが、当該基は、ポリマーの製造を、または何の基も全く妨害しない任意の二価有機基で置換されてもよい。例えば、当該基は12個以下の炭素原子の脂肪族、トリレン、ビフェニレン、ビス−フェニレンエーテルなどであってもよい。
【0050】
本発明の繊維を製造するために使用されるポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾチアゾールは、少なくとも25、好ましくは少なくとも100の繰り返し単位を有するべきである。ポリマーの製造およびそれらのポリマーの紡糸は、前述のPCT出願国際公開第93/20400号パンフレットに開示されている。
【0051】
M5繊維は本発明での使用に好適である。この繊維はポリ[ジイミダゾピリジニレン(ジヒドロキシ)フェニレン]をベースとする。M5繊維は、約310GPaの平均弾性率と約5.8GPa以下の平均靱性とを有することが知られている。M5繊維は、ブルー(Brew)ら著、複合材料科学および技術(Composites Science and Technology)、59(1999)、1109ページ;ファンデルジャグト(Van der Jagt)、ビューカース(Beukers)著、Polymer 40(1999)、1035ページ;シッケマ(Sikkema)著、Polymer 39(1998)、5981ページ;クロップ(Klop)、ラマース(Lammers)著、Polymer 39(1998)、5987ページ;ハーゲマン(Hageman)ら著、Polymer 40(1999)、1313ページに記載されてきた。
【0052】
ラミネート層は、熱硬化性もしくは熱可塑性樹脂、またはそれらの混合物を含んでなるポリマーマトリックスを含浸した繊維の網状構造と定義される。各層は複合構造体の厚さおよび重量まで追加され、それによってその可撓性、着用性および着心地の良さを低下させる。それ故、層の数は、全体複合構造体が具体的な脅威から保護するために構成され、そして使用されるように選択されてきた。
【0053】
層は、縫い合わせることなどによって、任意の方法で一緒に保持するまたは接合することができるか、またはそれらは一緒に積み重ね、例えば、布エンベロープもしくはキャリヤで保持することができる。セクションを形成する層は、別々に積み重ね、接合することができるか、または複数の層のすべては、単一ユニットとして積み重ね、接合することができる。
【0054】
層はまた、熱硬化性もしくは熱可塑性樹脂、またはそれらの混合物を含んでなるポリマーマトリックスによって一緒に保持することもできる。多種多様な好適な熱硬化性および熱可塑性樹脂ならびにそれらの組み合わせが先行技術で周知であり、マトリックス材料として使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂は、1つもしくはそれ以上のポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリカーボネートなどを含んでなることができる。熱硬化性樹脂は、1つもしくはそれ以上のエポキシ−ベース樹脂、ポリエステル−ベース樹脂、フェノール−ベース樹脂など、好ましくはポリビニルブチラール・フェノール系樹脂であることができる。混合物は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との任意の組み合わせであることができる。各層中のマトリックス材料の割合は、層の約10%〜約80重量%、好ましくは層の20%〜60重量%である。
【0055】
様々な量の紫外線吸収剤または安定剤を、有害な紫外線を吸収し、それを熱エネルギーとして消散させるために繊維またはラミネート層に添加することができる。UV吸収剤は、繊維またはラミネート層をUV光から遮断することによって役割を果たすが、UV安定剤は、UV光に露光されたときに繊維またはラミネート層の実用寿命を高めるために光酸化プロセスで形成されるラジカル中間体を捕捉することによって役割を果たす。UV吸収剤の例には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)のベンゾフェノンまたはベンゾチアゾールが挙げられる。
【0056】
図1では、第1および第2糸を第1方向に、そして第3糸を第2方向に有する織り方が示される。この図では、第1および第2糸は実質的に平行であり、そして第3糸の方向を横断する。
【0057】
試験方法
次の試験方法が以下の実施例で用いられた。
【0058】
線密度
糸または繊維の線密度は、ASTM D1907−97およびD885−98に記載されている手順に基づいて既知の長さの糸または繊維を秤量することによって求められる。デシテックスまたは「dtex」は、10,000メートルの糸または繊維のグラム単位の重量と定義される。
【0059】
面密度
布層の面密度は、選択されたサイズ、例えば、10cm×10cmの各単層の重量を測定することによって求められる。複合構造体の面密度は、個々の層の面密度の合計によって求められる。
【0060】
耐弾道貫通性
多層パネルのV50弾道試験は、2000年9月に発行されたNIJ標準−0101.04「個人用防護服の防弾性(Ballistic Resistance of Personal Body Armor)」に従って行われた。この試験は9mmの使用のみを開示しているにすぎないが、本発明者らは9mmおよびまた.357弾でも同じ試験を用いた。
【実施例】
【0061】
ここで、本発明は以下の具体的な実施例によって例示される。すべての部および百分率は、特に明記しない限り重量による。本発明の方法に従って製造された実施例は数値によって示す。対照または比較例は文字によって示す。
【0062】
実施例の製造および試験
以下の実施例では、たて糸およびよこ糸方向の両方にアラミド糸とポリベンゾオキサゾール(PBO)糸との様々な組み合わせの複数の層の織布を製造した。アラミド糸は、商標ケブラー(KEVLAR)(登録商標)でイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)によって販売されるものであった。アラミドはポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)であった。ポリベンゾオキサゾール(PBO)糸は、商標ザイロン(ZYLON)(登録商標)で東洋紡績株式会社によって販売されるものであった。複数の布層の複合材料を耐弾道貫通性について試験した。布層のすべてをエッジ周りで縫い、さらにクロスステッチで対角線上を縫った、16平方インチ(40.6cm)の弾道パネルを各試験のために構築した。様々な材料および異なる線密度の糸から製造した幾つかの異なる布を、3.7〜6.0kg/mの様々な面密度で試験した。
【0063】
実施例1
実施例1では、44層の布を、センチメートル当たり10.2エンドおよび約4.7kg/mの面密度での平織でたて糸およびよこ糸方向の両方に、交互の順に、すなわち、ケブラー(登録商標)糸/ザイロン(登録商標)糸/ケブラー(登録商標)糸/ザイロン(登録商標)糸に配置された440デシテックスのケブラー(登録商標)129糸と550デシテックスのザイロン(登録商標)糸とから織った。
【0064】
比較例A
比較例Aでは、44層の布を、平織、および約4.7kg/mの面密度でセンチメートル当たり9.8エンドでたて糸方向に550デシテックスのザイロン(登録商標)糸とセンチメートル当たり11.0エンドでよこ糸方向に440デシテックスのケブラー(登録商標)129糸とで製造した。
【0065】
比較例B
比較例Bでは、44層の布を、平織、および約4.7kg/mの面密度でセンチメートル当たり11.0エンドでたて糸方向に440デシテックスのケブラー(登録商標)129糸とセンチメートル当たり9.8エンドでよこ糸方向に550デシテックスのザイロン(登録商標)糸とで製造した。
【0066】
実施例1ならびに比較例AおよびBでの層の布を、9mmおよび.357マグ(mag)弾に抗する弾道V50について試験した。表1に示す弾道試験結果は、実施例1に示すような本発明の物品についてのV50結果が比較例AおよびBの物品のV50よりかなり大きかったことを示す。要約すると、本発明の物品は、比較例AおよびBの物品と比較して約3%〜8%の弾道V50の改善を示した。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例2
実施例2では、35層の布を、センチメートル当たり10.2エンドおよび約3.7kg/mの面密度での平織でたて糸およびよこ糸方向の両方に交互の順に配置された440デシテックスのケブラー(登録商標)129糸と550デシテックスのザイロン(登録商標)糸とから織った。
【0069】
比較例C
比較例Cでは、35層の布を、平織、および約3.7kg/mの面密度でセンチメートル当たり9.8エンドでたて糸方向に550デシテックスのザイロン(登録商標)糸とセンチメートル当たり11.0エンドでよこ糸方向に440デシテックスのケブラー(登録商標)129糸とで製造した。
【0070】
比較例D
比較例Dでは、35層の布を、平織、および約3.7kg/mの面密度でセンチメートル当たり11.0エンドでたて糸方向に440デシテックスのケブラー(登録商標)129糸とセンチメートル当たり9.8エンドでよこ糸方向に550デシテックスのザイロン(登録商標)糸とで製造した。
【0071】
実施例2ならびに比較例CおよびDでの層の布を、9mmおよび.357マグ弾に抗する弾道V50について試験した。表2に示す弾道試験結果は、実施例2に示すような本発明の物品についてのV50結果が比較例CおよびDの物品のV50よりかなり大きかったことを示す。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例3
実施例3では、36層の布を、センチメートル当たり7.5エンドおよび約6.0kg/mの面密度での平織でたて糸およびよこ糸方向の両方に交互の順に配置された1110デシテックスのケブラー(登録商標)129糸と1110デシテックスのザイロン(登録商標)糸とから織った。
【0074】
比較例E
比較例Eでは、36層の布を、平織、および約6.0kg/mの面密度でセンチメートル当たり7.5エンドでたて糸方向に1110デシテックスのザイロン(登録商標)糸とセンチメートル当たり7.5エンドでよこ糸方向に1110デシテックスのケブラー(登録商標)129糸とで製造した。
【0075】
実施例3および比較例Eでの層の布を、9mmおよび.357マグ弾に抗する弾道V50について試験した。表3に示す弾道試験結果は、実施例3に示すような本発明の物品についてのV50結果が比較例Eの物品のV50よりかなり大きかったことを示す。
【0076】
【表3】

【0077】
実施例4
実施例4では、実施例1〜3の構造体は、ケブラー(登録商標)繊維の代わりにポリアレーンアゾール、ポリピリダゾール、ポリピリドビスイミダゾールまたはそれらの組み合わせから選択される繊維で複製されてもよい。
【0078】
実施例5
実施例5では、実施例1〜3の構造体は、ザイロン(登録商標)繊維の代わりにポリアレーンアゾール、ポリピリダゾール、ポリピリドビスイミダゾールまたはそれらの組み合わせから選択される繊維で複製されてもよい。
【0079】
本発明は図の好ましい実施形態に関連して記載されてきたが、他の類似の実施形態が用いられてもよいか、または本発明の同じ機能を果たすために記載された実施形態に対し、それから逸脱することなく変更および追加がなされてもよいことは理解されるべきである。従って、本発明はいかなる単一実施形態にも限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の詳述に従った広さおよび範囲で解釈されるべきである。
【0080】
本明細書に開示されるすべての特許および刊行物は、全体が参照により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1および第2糸を第1方向に、そして第3糸を第2方向に有する織り方を示す。
【図2】第1および第2糸を第1方向に、そして第3および第4糸を第2方向に有する織り方を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2糸のそれぞれが他の第1および第2糸に平行のまたは実質的に平行の第1方向に配置された、複数の第1糸および複数の第2糸と、
第3糸のそれぞれが他の第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置され、第2方向が第1方向に対して直角であり、第3糸および第1糸もしくは第2糸のいずれかが第1ポリマーでできている、複数の第3糸と
を含んでなる、耐貫通性物品で使用するための繊維網状構造層であって、
第1、第2および第3糸のそれぞれが少なくとも15g/デシテックスの靱性を有し、かつ、
(i)第2糸が第1ポリマーとは異なる第2ポリマーでできているか、または(ii)第1糸が第2糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第1および第2糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第1糸のフィラメントが第2糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである繊維網状構造層。
【請求項2】
第4糸のそれぞれが第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置された、複数の第4糸をさらに含んでなる繊維網状構造層であって、
(i)第4糸が第2ポリマーもしくは第3ポリマーでできているか、または(ii)第3糸が第4糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第3および第4糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第3糸のフィラメントが第4糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項3】
第1糸が第1方向に糸の全数の少なくとも35%を含んでなり、
そして
第2糸が第1方向に糸の全数の少なくとも35%を含んでなる
請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項4】
第3糸が第2方向に糸の全数の少なくとも25%を含んでなり、
そして
第4糸が第2方向に糸の全数の少なくとも25%を含んでなる
請求項2に記載の繊維網状構造層。
【請求項5】
10kg/m以下の面密度を有する請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項6】
第1、第2、第3および第4糸のそれぞれが少なくとも2%の破断点伸びとデシテックス当たり少なくとも150グラムの弾性率とを有する請求項2に記載の繊維網状構造層。
【請求項7】
第2糸が第1ポリマーとは異なる第2ポリマーでできている請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項8】
第1糸が第2糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有する請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項9】
第1および第2糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第1糸のフィラメントが第2糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有する請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項10】
第1および第3糸が第1ポリマーでできており、同じ平均線密度を有し、そして第1および第3糸のフィラメントが同じ平均線密度を有し、かつ、
第2および第4糸が第2ポリマーでできており、同じ平均線密度を有し、そして第2および第4糸のフィラメントが同じ平均線密度を有する
請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項11】
第1、第2、第3および第4糸のフィラメントが0.1〜10デシテックスの線密度を有する請求項2に記載の繊維網状構造層。
【請求項12】
第1および第2糸が交互の順番に配置される請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項13】
第3および第4糸が交互の順番に配置される請求項2に記載の繊維網状構造層。
【請求項14】
第1および第2ポリマーが、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリ{2,6−ジイミダゾ[4,5−b4’,5’−e]ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}、ポリアレーンアゾール、ポリピリダゾール、ポリピリドビスイミダゾールおよびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の繊維網状構造層。
【請求項15】
請求項1に記載の複数の繊維網状構造層を含んでなる可撓性の耐貫通性物品。
【請求項16】
2〜12kg/mの面密度を有する請求項15に記載の可撓性の耐貫通性物品。
【請求項17】
2つの異なるタイプの糸が布のたて糸およびよこ糸方向の両方に交互の順番に配置された布の複数の層を含んでなる、可撓性の防弾性物品。
【請求項18】
前記布層の少なくとも1つの層が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合物を含んでなるポリマーマトリックスを含浸されている請求項17に記載の可撓性の防弾性物品。
【請求項19】
第1および第2糸のそれぞれが他の第1および第2糸に平行のまたは実質的に平行の第1方向に配置された、複数の第1糸および複数の第2糸を、
第3糸のそれぞれが他の第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置され、第2方向が第1方向に対して直角であり、第3糸および第1糸もしくは第2糸のいずれかが第1ポリマーでできている、複数の第3糸と
織る工程を含んでなる繊維網状構造の形成方法であって、
第1、第2および第3糸のそれぞれが少なくとも15g/デシテックスの靱性を有し、
(i)第2糸が第1ポリマーとは異なる第2ポリマーでできているか、または(ii)第1糸が第2糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第1および第2糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第1糸のフィラメントが第2糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである方法。
【請求項20】
第4糸のそれぞれが第3糸に平行のまたは実質的に平行の第2方向に配置された、複数の第4糸を織る工程をさらに含んでなる方法であって、
(i)第4糸が第2ポリマーもしくは第3ポリマーでできているか、または(ii)第3糸が第4糸の平均線密度とは異なる平均線密度を有するか、または(iii)第3および第4糸が複数のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を含んでなり、そして第3糸のフィラメントが第4糸中のフィラメントとは異なる平均線密度を有するか、または(iv)それらの組み合わせである請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−504941(P2009−504941A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527960(P2008−527960)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/031010
【国際公開番号】WO2008/016363
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】