説明

置換されたスピロアミン

本発明は、一般式(I)


で表わされる置換されたスピロアミン、その製造方法、これらの化合物を含有する薬剤、及び痛み、特に、急性痛、神経障害痛、内臓痛、慢性痛および炎症痛より成る群から選ばれる痛みの治療に有効な、または片頭痛、糖尿病、呼吸器の疾患、炎症性腸疾患、神経疾患、敗血性ショック、再灌流症候群、肥満の治療のための薬剤、および血管新生阻害薬としての薬剤の製造への置換されたスピロアミンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換されたスピロアミン、その製造方法、これらの化合物を含有する薬剤、および薬剤を製造するための置換されたスピロアミンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラジキニン2受容体(B2R)の恒常的発現とは対照的に、ブラジキニン1受容体(B1R)は、ほとんどの組織において発現されないか、あるいは弱く発現されるだけである。それにもかかわらず、B1Rの発現は、種々の細胞において誘発され得る。例えば、炎症反応の過程で、神経細胞においてB1Rの急速で明白な誘発が起こるが、線維芽細胞、内皮細胞、顆粒球、マクロファージおよびリンパ球などの種々の末梢細胞においても起こる。従って、炎症反応の過程で、関連細胞において、B2R優勢からB1R優勢への切り替えが生じる。サイトカインのインターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)は、実質的に、このB1Rの上方制御に関与する(非特許文献1)。特異的なリガンドによる活性化の後、B1R発現細胞は、次に、それ自体がIL−6およびIL−8などの炎症促進サイトカインを分泌することができる(非特許文献2)。これは、さらなる炎症細胞、例えば好中性顆粒球の内部移行をもたらす(非特許文献3)。ブラジキニンB1R系は、これらのメカニズムによって、疾患の慢性化の一因となり得る。これは、多数の動物研究によって実証される(非特許文献4および非特許文献5における概説)。ヒトにおいても、例えば、炎症性腸疾患のある患者の患部組織の腸細胞およびマクロファージ(非特許文献6)、および多発性硬化症のある患者のTリンパ球(非特許文献7)においてB1Rの発現の増大が見られ、あるいはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)による感染の過程で、ブラジキニンB2R−B1R系の活性化が見られる(非特許文献8)。スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)による感染は、皮膚の表在感染から敗血性ショックに至るような疾患プロファイルの原因となる。
【0003】
記載される病態生理学的関係に基づいて、急性および特に慢性の炎症性疾患に対してB1Rアンタゴニストを使用する大きな治療可能性が存在する。これらには、呼吸器の疾患(気管支ぜんそく、アレルギー、COPD/慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症など)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、CD/クローン病など)、神経疾患(多発性硬化症、神経変性など)、皮膚の炎症(アトピー性皮膚炎、乾癬、細菌感染症など)、粘膜の炎症(ベーチェット病、慢性骨盤痛、前立腺炎など)、リウマチ性疾患(関節リウマチ、変形性関節症など)、敗血性ショックおよび再灌流症候群(心発作または脳卒中の後)が含まれる。
【0004】
ブラジキニン(受容体)系は、さらに、血管新生の制御にも関与し(癌および目の黄斑変性症の場合の血管新生阻害薬としての可能性)、B1Rノックアウトマウスは、特に高脂肪食による肥満の誘発から保護される(非特許文献5)。従って、B1Rアンタゴニストは肥満の治療にも適している。
【0005】
特に、B1Rアンタゴニストは、痛み、特に炎症痛および神経障害痛(非特許文献9)、そしてここでは特に糖尿病性神経障害(非特許文献10)の治療に適している。これらは片頭痛の治療にも適している。
【0006】
しかしながら、B1Rモジュレーターの開発において、ヒトB1R受容体とラットB1R受容体は非常に大きく異なるので、ヒト受容体において良好なB1Rモジュレーターである多くの化合物は、ラット受容体に対する親和性を不十分にしか有さないか、あるいは全く有さないという問題が存在する。多くの研究は通常ラットにおいて行われるので、これは、動物薬理学的研究をかなりより困難にする。しかしながら、ラット受容体において活性がなければ、ラットにおける作用も副作用も調査することができない。これは、既に、動物薬理学研究のためにヒトB1受容体による遺伝子導入動物が作られていることを意味する(非特許文献11)。しかしながら、遺伝子導入動物による研究は、非改変動物による研究よりも費用がかかる。
【0007】
特許出願の特許文献1および特許文献2には、インビトロアッセイで、マカクB1受容体におけるアンタゴニスト作用を示す化合物が記載されている。ヒトB1受容体またはラットのB1受容体における活性についての実験データは開示されていない。
【0008】
特許出願の特許文献3および特許文献4には、インビトロアッセイで、ヒトB1受容体およびラットのB1受容体の両方におけるアンタゴニスト作用を示す化合物が記載されている。
【0009】
従って、新規のB1Rモジュレーターが依然として必要とされており、ラット受容体およびヒト受容体の両方に結合するB1Rモジュレーターは特定の利点を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2007/140383号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/101007号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/040492号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2008/046573号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008109178号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2008109181号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Passosら J.Immunol.2004年,172,1839−1847
【非特許文献2】Hayashiら,Eur.Respir.J.2000年,16,452−458
【非特許文献3】Pesqueroら,PNAS 2000年,97,8140−8145
【非特許文献4】Leeb−Lundbergら,Pharmacol Rev.2005年、57、27−77
【非特許文献5】Pesqueroら,Biol.Chem.2006年,387,119−126
【非特許文献6】Stadnickiら,Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.2005年,289,G361−366
【非特許文献7】Pratet al.,Neurology.1999年,53,2087−2092
【非特許文献8】Bengtsonら,Blood 2006年,108,2055−2063
【非特許文献9】Calixtoら,Br.J.Pharmacol 2004年,1−16
【非特許文献10】Gabraら,Biol.Chem.2006年,387,127−143
【非特許文献11】Hessら,Biol.Chem 2006年,387(2):195−201
【非特許文献12】Philip J.Kocienski,Protecting Groups,第3版,Georg Thieme Verlag,2005年(ISBN 3−13−135603−0)
【非特許文献13】Peter G.M.Wuts,Theodora W.Greene,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,第4版,Wiley−Interscience,2007年(ISBN−13:978−0−471−69754−1)
【非特許文献14】Fogassyら,Optical resolution methods,Org.Biomol.Chem 2006年,4,3011−3030
【非特許文献15】Tetrahedron Report Number 617:M.Liu,M.P.Sibi,Tetrahedron,58,(2002年),7991−8053
【非特許文献16】Bioorg.Med.Chem.Lett.,2001年,11,1293−1296
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、特に、薬剤中、好ましくは、B1R受容体によって少なくとも部分的に仲介される障害または疾患を治療するための薬剤中の薬理学的有効成分として適切な新規の化合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明に従う置換されたスピロアミンによって達成される。
【0014】
従って、本発明は、場合により、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマー、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、そのジアステレオマー、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物の形にある、あるいはそれぞれ、その塩基および/または生理学的に許容し得る塩の形にある、一般式(I)
【化1】

(式中、
r、sおよびtは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表し、
nおよびoは、それぞれ相互に独立して1または2を表し、
mおよびpは、それぞれ相互に独立して1、2または3を表し、
Qは、単結合、−O−または−CH−を示し、
は、CH(アリール)、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールもしくはヘテロアリールを示し、
およびRは、(i)または(ii):
(i)Rは、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、二環式8〜12員カルボシクリル、CH(アリール)、アリールまたはヘテロアリールを示すか、あるいはRは、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、二環式8〜12員カルボシクリル、CH(アリール)、アリールまたはヘテロアリールを示し、
は、H、F、Cl、Br、I、−CF、−OCF、OH、COOR16、CONR1718、O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを示すか、あるいはRは、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを示す、
または
(ii)RおよびRはこれらを連結する−N−(CR4a4b−CH−基と一緒に複素環を形成し、この複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換されてよく、そして/あるいは、場合により置換された少なくとも1つのアリールまたはヘテロアリールと縮環(anellated)されてよく、
上記複素環は飽和または少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、そして基Rが結合するN−ヘテロ原子に加えて、それぞれ相互に独立してN、NR12、O、S、S=OまたはS(=O)より成る群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、ここで、基R12は、H、C1〜6アルキル、−C(=O)−R13、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、そしてR13は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、
4a、R4b、R5a、R5b、R6aおよびR6bは、それぞれ相互に独立してH、F、Cl、Br、I、−CF、−OCF、OH、SH、O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール、またはC1〜6アルキレン基もしくはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表し、
は、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールもしくはヘテロアリールを示し、
およびRは、(iii)または(iv):
(iii)RおよびRは、それぞれ相互に独立してH、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜8シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示す、
または
(iv)RおよびRはこれらを連結する窒素原子と一緒に複素環を形成し、この複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−C3〜8シクロアルキル、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換されてよく、そして/あるいは、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−C3〜8−シクロアルキル、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によってその炭素環員の1つ以上において置換されてよい飽和、少なくともモノ-不飽和または芳香族環系と縮環されてよく、
上記複素環は飽和、少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、基RおよびRが結合するN−ヘテロ原子に加えて、N、NR14、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのさらなるヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、上記環系は4、5、6または7員であり、N、NR15、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ原子団を含有することができ、R14は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示し、そしてR15は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示し、
10およびR11は、それぞれ相互に独立して0〜4個の置換基を表し、この置換基は、それぞれ相互に独立してF、OH、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびC1〜6アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールより成る群から選ばれ、
16は、C1〜6アルキルを示し、
17およびR18は、(v)または(vi):
(v)R17およびR18は、それぞれ相互に独立してHまたはC1〜6アルキルを示す、
または
(vi)R17およびR18はこれらを連結する窒素原子と一緒に複素環を形成し、この複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換されてよく、そして/あるいは、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によってその炭素環員の1つ以上において置換されてよい飽和、少なくともモノ-不飽和または芳香族環系と縮環されてよく、
上記複素環は飽和、少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、基RおよびRが結合するN−ヘテロ原子に加えて、N、NR19、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのさらなるヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、上記環系は4、5、6または7員であり、N、NR20、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ原子団を含有することができ、R19は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示し、そしてR20は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示し、
上記基C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜3アルキレン、C1〜6アルキレン、C2〜6アルケニレン、カルボシクリル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換されていてもよく、そして上記基C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜3アルキレン、C1〜6アルキレンおよびC2〜6アルケニレンはそれぞれ分枝状でも非分枝状でもよい)
で表わされる置換されたスピロアミンを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明が意味する範囲内において、「ハロゲン」という用語は、好ましくは、基F、Cl、BrおよびI、特に基FおよびClを示す。
【0016】
本発明が意味する範囲内において、「C1〜6アルキル」という表現は、1、2、3、4、5または6個のC原子を有する非環状飽和炭化水素基を含み、これらは分枝状でも直鎖(非分枝状)でもよく、そして非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換(例えば、二、三、四または五置換)されていてもよい。アルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシルより成る群から選ばれ得る。特に好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルより成る群から選ばれ得る。
【0017】
本発明が意味する範囲内において、「C2〜6アルケニル」という表現は、2、3、4、5または6個のC原子を有する非環状不飽和炭化水素基を含み、これらは分枝状でも直鎖(非分枝状)でもよく、そして非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換(例えば、二、三、四または五置換)されていてもよい。アルケニル基は、少なくとも1つのC=C二重結合を含む。アルケニル基は、好ましくは、ビニル、プロパ−1−エニル、アリル、2−メチルプロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、ブト−1,3−ジエニル、2−メチルプロパ−1−エニル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1−エン−2−イル、ペンテニルおよびヘキセニルより成る群から選ばれ得る。特に好ましいアルケニル基は、ビニル、プロパ−1−エニル、アリル、2−メチルプロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、ブト−1,3−ジエニル、2−メチルプロパ−1−エニル、ブタ−2−エン−2−イルおよびブタ−1−エン−2−イルより成る群から選ばれ得る。
【0018】
本発明が意味する範囲内において、「C3〜8シクロアルキル」という表現は、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有する環状飽和炭化水素を示し、これらは非置換であっても、あるいは1つ以上の環員において同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換(例えば、ジ、トリ、テトラまたはペンタ置換)されていてもよい。C3〜8シクロアルキルは、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルより成る群から選ばれ得る。
【0019】
「3〜8員ヘテロシクロアルキル」という表現は飽和複素環を示し、それぞれ相互に独立して好ましくはN、OまたはSの群から選択される1、2、3、4または5個の同一または異なるヘテロ原子を環員として示すことができる。ヘテロシクロアルキルがヘテロ原子、例えばNに結合する場合、ヘテロシクロアルキルへの結合は、好ましくは、ヘテロシクロアルキルの炭素環員の1つを介して行われる。3〜8員ヘテロシクロアルキルは、特に、4、5または6員であり得る。3〜8員ヘテロシクロアルキルの例は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニルおよびジオキソラニルであり、場合により、以下で説明されるように置換されていてもよい。
【0020】
本発明が意味する範囲内において、「アリール」という表現は、芳香族炭化水素、特に、フェニルおよびナフチルを示す。アリール基は、他の飽和、(部分)不飽和または芳香族環系と縮合されてもよい。それぞれのアリール基は、非置換またはモノ置換またはポリ置換(例えば、ジ、トリ、テトラまたはペンタ置換)形で存在することができ、ここで、アリール置換基は同一でも異なっていてもよく、アリールの所望される任意の可能な位置にあり得る。アリールは、フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルからなる群から有利に選択することができ、これらは非置換であっても、あるいはモノ置換またはポリ置換(例えば2、3、4または5個の基によって)されていてもよい、
【0021】
本発明が意味する範囲内において、「ヘテロアリール」という表現は、少なくとも1個、場合により2、3、4または5個でもよいヘテロ原子を含有する5、6または7員環状芳香族基を示し、ここで、ヘテロ原子は同一でも異なっていてもよく、ヘテロアリールは非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換(例えば、ジ、トリ、テトラまたはペンタ置換)されていてもよい。置換基は、ヘテロアリールの所望される任意の可能な位置に結合され得る。複素環は、二環式または多環式、特に単環式、二環式または三環式系の一部であってもよく、そしてこれらは、全体で7員よりも多く、例えば14員までになり得る。好ましいヘテロ原子は、N、OおよびSより成る群から選ばれる。ヘテロアリール基は、好ましくは、ピロリル、インドリル、フリル(フラニル)、ベンゾフラニル、チエニル(チオフェニル)、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、イミダゾチアゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、フタラジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾール、テトラゾール、イソオキサゾイル、ピリジニル(ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、インダゾリル、プリニル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナジニル、フェノチアジニルおよびオキサジアゾリルからなる群から、特に、チエニル(チオフェニル)、ピリジニル(ピリジル)、ピリミジニル、チアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、キナゾリニル、キノリニルおよびイソキノリニルからなる群から選択することができ、一般構造(I)への結合は、ヘテロアリール基の所望される任意の可能な環員を介して行うことができる。ヘテロアリール基は、特に好ましくは、キノリニル、イソキノリニル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、トリアゾリルおよびピリジニルより成る群から選ばれ得る。
【0022】
本発明が意味する範囲内において、「二環式8〜12員カルボシクリル」という表現は、2つの縮合環系からなる環状炭化水素化合物を示し、2つの環系は合わせて8〜12個の環員を有し、ヘテロ原子を有さない。2つの環系は、異なる環サイズおよび異なる飽和度を有することができる。これは、2つの環系がそれぞれ、芳香族、飽和または部分不飽和であり得ることを意味する。特に、二環式8〜12員炭素環式化合物は、飽和環系と縮合した芳香族環系からなる化合物であると理解される。一般構造(I)への結合は、カルボシクリル基の所望される任意の可能な環員を介して行うことができるが、好ましくは、不飽和環の環員を介して行われる。二環式8〜12員カルボシクリルは、特に好ましくは、2,3−ジヒドロ−1H−インデニルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフチルより成る群から選ばれ得る。
【0023】
本発明が意味する範囲内において、「C1〜3アルキレン基」または「C1〜6アルキレン基」という表現は、それぞれ、1、2もしくは3個のC原子、または1、2、3、4、5もしくは6個のC原子を有する非環状飽和炭化水素基を含み、これらは分枝状でも直鎖(非分枝状)でもよく、そして非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換(例えば、二、三、四または五置換)されていてもよく、対応する基を主要構造に連結する。アルキレン基は、好ましくは、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−CH−CH−CH−、−CH(CH)−CH−、−CH(CHCH)−、−CH−(CH−CH−、−CH(CH)−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−、−CH(CH)−CH(CH)−、−CH(CHCH)−CH−、−C(CH−CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−CH−(CH−CH−、−CH(CH)−CH−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−CH−、−CH(CH)−CH−CH(CH)−、−CH(CH)−CH(CH)−CH−、−C(CH−CH−CH−、−CH−C(CH−CH−、−CH(CHCH)−CH−CH−、−CH−CH(CHCH)−CH−、−C(CH−CH(CH)−、−CH(CHCH)−CH(CH)−、−C(CH)(CHCH)−CH−、−CH(CHCHCH)−CH−、−C(CHCHCH)−CH−、−CH(CHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−および−CH−(CH−CH−より成る群から選ばれ得る。アルキレン基は、特に好ましくは、−CH−、−CH−CH−および−CH−CH−CH−より成る群から選ばれ得る。
【0024】
本発明が意味する範囲内において、「C2〜6アルケニレン基」という表現は、2、3、4、5または6個のC原子を有する非環状の単不飽和または多価不飽和(例えば、二、三または四価不飽和)の炭化水素基を含み、これらは分枝状でも直鎖(非分枝状)でもよく、そして非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換(例えば、二、三、四または五置換)されていてもよく、対応する基を主要構造に連結する。アルケニレン基は、少なくとも1つのC=C二重結合を含む。アルケニレン基は、好ましくは、−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C(CH)=CH−、−CH=CH−CH−CH−、−CH−CH=CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−、−C(CH)=CH−CH−、−CH=C(CH)−CH−、−C(CH)=C(CH)−、−C(CHCH)=CH−、−CH=CH−CH−CH−CH−、−CH−CH=CH−CH−CH−、−CH=CH=CH−CH−CH−および−CH=CH−CH−CH=CH−より成る群から選ばれ得る。
【0025】
本発明が意味する範囲内において、「C1〜3アルキレン基、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたアリールまたはヘテロアリール」という表現は、C1〜3アルキレン基、C1〜6アルキレン基およびC2〜6アルケニレン基ならびにアリールまたはヘテロアリールが上記の意味を有し、アリールまたはヘテロアリールが、C1〜3アルキレン基、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基によって主要構造に結合されていることを意味する。例として、ベンジル、フェネチルおよびフェニルプロピルが言及される。
【0026】
本発明が意味する範囲内において、「C1〜3アルキレン基、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、カルボシクリルおよびヘテロシクロアルキル」という表現は、C1〜3アルキレン基、C1〜6アルキレン基、C2〜6アルケニレン基、C3〜8シクロアルキル、カルボシクリルおよびヘテロシクロアルキルが上記の意味を有し、C3〜8シクロアルキル、カルボシクリルおよびヘテロシクロアルキルが、C1〜3アルキレン基、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基を介して主要構造に結合されていることを意味する。
【0027】
「アルキル」、「アルケニル」、「アルキレン」、「アルケニレン」および「シクロアルキル」に関連して、本発明の意義の範囲内での「置換」という用語は、F、Cl、Br、I、CF、OCF、CN、NH、NH−C1〜6アルキル、NH−C1〜6アルキレン−OH、C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキレン−OH)、NO、SH、S−C1〜6アルキル、S−ベンジル、O−C1〜6アルキル、OH、O−C1〜6アルキレン−OH、=O、O−ベンジル、C(=O)C1〜6アルキル、COH、CO−C1〜6アルキル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ナフチル、フリル、チエニルおよびピリジニルによる水素基の置換を意味すると理解され、多置換基は、異なるまたは同一の原子において、数回、例えば2回または3回置換された(例えば、CFまたは−CHCFの場合のように同一のC原子において、あるいはCH(Cl)−CH=CH−CHClの場合のよう異なる部位において、3回置換された)基を意味すると理解される。多置換は、例えばCH(OH)−CH=CH−CHClの場合のように、同一または異なる置換基によって生じ得る。特に、F、Cl、CF、NH、OH、フェニル、O−CFまたはO−C1〜6アルキル、特にメトキシによる、1つ以上の水素基の置換であると理解されるべきである。
【0028】
「アリール」および「ヘテロアリール」に関連して、本発明の意義の範囲内での「置換」という用語は、1つまたは種々の原子における、F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C1〜6アルキル、NH−C1〜6アルキレン−OH、N(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキレン−OH)、NH−アリール、N(アリール、N(C1〜6アルキル)アリール、ピロリニル、ピペラジニル、モルホリニル、(C1〜3アルキレン)−アゼチジニル、(C1〜3アルキレン)−ピロリニルまたは(C1〜3アルキレン)−ピペリジニル、NO、SH、S−C1〜6アルキル、OH、O−C1〜6アルキル、O−C1〜6アルキル−OH、C(=O)C1〜6アルキル、NHSO1〜6アルキル、NHCOC1〜6アルキル、COH、CHSOフェニル、CO−C1〜6アルキル、OCF、CF、−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−、−O−C(CH−CH−、非置換C1〜6アルキル、ピロリジニル、イミダゾリル、ピペリジニル、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニル、ナフチル、ピリジニル、−C1〜3アルキレン−アリール、ベンジル、チエニル、フリル(ここで、アリールは、フェニル、フリル、チエニルまたはピリジニルを示す)による、対応する環系の1つ以上の水素原子のモノ置換またはポリ置換(例えば、二、三、四または五置換)を意味すると理解され、上記置換基は、他に指定されない限り、言及される置換基によってそれ自体が置換されていてもよい。アリールおよびヘテロアリールの多置換は、同一または異なる置換基によって実施され得る。アリールおよびヘテロアリールのための好ましい置換基は、−O−C1〜3アルキル、非置換C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、CN、CF、OCF、OH、SH、−CHアゼチジニル、フェニル、ナフチル、フリル、チエニルおよびピリジニルからなる群から、特にF、Cl、Br、CN、CF、CH、OCHおよびOCFより成る群から選ばれ得る。
【0029】
「3〜8員ヘテロシクロアルキル」に関連して、「置換」という用語は、F、Cl、Br、I、−CN、NH、NH−C1〜6アルキル、NH−C1〜6アルキレン−OH、C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキレン−OH)、ピロリニル、ピペラジニル、モルホリニル、NO、SH、S−C1〜6アルキル、S−ベンジル、O−C1〜6アルキル、OH、O−C1〜6アルキレン−OH、=O、O−ベンジル、C(=O)C1〜6アルキル、COH、CO−C1〜6アルキルまたはベンジルによる、1つ以上の環員における水素基の置換を意味すると理解される。多置換は、同一または異なる置換基によって実施され得る。N環員に結合した水素は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールによって置換されていてもよく、ここで、これらのアルキル、シクロアルキル、アルキレンおよびアリールおよびヘテロアリール基は、非置換であっても上記のように置換されていてもよい。置換3〜8員ヘテロシクロアルキル基の例は、1−メチルピペリジン−4−イル、1−フェニルピペリジン−4−イル、1−ベンジルピペリジン−4−イル、1−メチルピロリジン−3−イル、1−フェニルピロリジン−3−イル、1−ベンジルピロリン−3−イル、1−メチルアゼチジン−3−イル、1−フェニル−アゼチジン−3−イルまたは1−ベンジルアゼチジン−3−イルである。
【0030】
「二環式8〜12員カルボシクリル」に関連して、本発明の意義の範囲内での「置換」という用語は、二環式カルボシクリルの対応する環系の水素原子のモノ置換またはポリ置換を意味すると理解される。カルボシクリルの飽和または部分不飽和環系に結合される置換基は、それぞれ相互に独立して、シクロアルキルのための上記の置換基の群から、すなわち、F、Cl、Br、I、CF、OCF、CN、NH、NH−C1〜6アルキル、NH−C1〜6アルキレン−OH、C1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキレン−OH)、NO、SH、S−C1〜6アルキル、S−ベンジル、O−C1〜6アルキル、OH、O−C1〜6アルキレン−OH、=O、O−ベンジル、C(=O)C1〜6アルキル、COH、CO−C1〜6アルキル、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ナフチル、フリル、チエニルおよびピリジニルを含む群から選択され、多置換の場合、1つの環員の多数の水素原子および/または多数の環員の1つの水素原子が置換され得る。カルボシクリルの芳香族環系に結合される置換基は、それぞれ相互に独立して、アリールまたはヘテロアリールのための上記の置換基の群から、すなわち、F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C1〜6アルキル、NH−C1〜6アルキレン−OH、N(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキレン−OH)、NHアリール、N(アリール、N(C1〜6アルキル)アリール、ピロリニル、ピペラジニル、モルホリニル、(C1〜3アルキレン)−アゼチジニル、−ピロリニルまたは−ピペリジニル、NO、SH、S−C1〜6アルキル、OH、O−C1〜6アルキル、O−C1〜6アルキル−OH、C(=O)C1〜6アルキル、NHSO1〜6アルキル、NHCOC1〜6アルキル、COH、CHSOフェニル、CO−C1〜6アルキル、OCF、CF、−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−、−O−C(CH−CH2−、非置換C1〜6アルキル、ピロリジニル、イミダゾリル、ピペリジニル、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニル、ナフチル、ピリジニル、−C1〜3アルキレン−アリール、ベンジル、チエニル、フリル(ここで、アリールは、フェニル、フリル、チエニルおよびピリジニルを示す)より成る群から選ばれ、上記置換基は、他に指定されない限り、言及される置換基によってそれ自体が置換されていてもよい。多置換は、同一または異なる置換基によって実施され得る。好ましい置換基は、−O−C1〜3アルキル、非置換C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、CN、CF、OCF、OH、SH、−CHアゼチジニル、フェニル、ナフチル、フリル、チエニルおよびピリジニルからなる群から、特に、F、Cl、Br、CN、CF、CH、OCH、OCFおよび−CH−アゼチジニルより成る群から選ばれ得る。
【0031】
本発明の化合物を表すために本明細書で使用される化学構造式において、記号
【化2】

は1つ以上の置換モデルを表すためにも使用され、特定の原子への結合の表示とは違って、この基の表示は化学構造式内の特定の原子には結合しない(ここでの例として、Rは、変数「a」で表される数を有する置換基Rを表す)。
【0032】
これは、例として、上記で示される一般式(I)からの基
【化3】

を参照することによって説明することができ、R10についての定義は、R10が0〜4個の置換基を表し得ることを示す。従って、R10は存在しなくてもよいし、あるいは一般式(I)で表される部分構造内のC−結合水素原子のうちの1、2、3または4個が、基R10の定義において提供される置換基の1つによって置換されていてもよく、ここで、置換基のそれぞれはそれぞれ相互に独立して選択することができる、すなわち異なる意味を有することができ、C−結合水素原子は1つ以上のC原子において置換され得る。例えば、R200の定義において示されるように、R200置換基のうちの2つは一緒に、縮環アリールまたはヘテロアリール(縮合アリールまたはヘテロアリール、あるいは縮環/縮合アリールまたはヘテロアリール基とも称される)を表すことができる。
【0033】
本発明との関連では、式中で使用される記号
【化4】

は、対応する基の主要構造への連結を表す。
【0034】
異なる置換基の定義のために使用される同一の基が互いに独立していることは、当業者には理解される。
【0035】
2つの基がこれらを連結する原子または基と共に(ヘテロ)環状化合物を形成し、この化合物が、その炭素環員の1つ以上において1つ以上の基によって置換され得る場合、この多置換は、例えば2、3または4個の環員において、特に2、3、4または5個の基によって生じ得る。
【0036】
本発明が意味する範囲内において、「生理学的に適合性の塩」という用語は、好ましくは、生理学的に(特にヒトおよび/または哺乳類において使用する場合に)適合性である、本発明の化合物と無機または有機酸との塩を意味すると理解される。適切な酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、1,1−ジオキソ−1,2−ジヒドロ1λ−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−オン(サッカリン酸)、モノメチルセバシン酸、5−オキソプロリン、ヘキサン−1−スルホン酸、ニコチン酸、2−、3−または4−アミノ安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、α−リポ酸、アセチルグリシン、馬尿酸、リン酸および/またはアスパラギン酸である。塩酸の塩(塩酸塩)およびクエン酸の塩(クエン酸塩)が特に好ましい。
【0037】
本発明の化合物において、Rは、好ましくは、フェニル、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(ベンゾチエニル)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾチアゾリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル(ジベンゾチエニル)、キノリニル、イソキノリニル、CH(フェニル)、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニルもしくはナフチルを示し、特に好ましくは、フェニル、ナフチル、ベンゾチオフェニル(ベンゾチエニル)、ベンゾオキサジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、チエニル、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニルを示し、最も特に好ましくは、フェニル、ナフチル、ベンゾチオフェニル(ベンゾチエニル)、またはC1または2アルキレン基を介して結合されたフェニルを示し、ここで、上記アリールまたはヘテロアリール基は、それぞれ非置換であるか、あるいは同一または異なってモノ置換またはポリ置換されており、置換基は、それぞれ相互に独立して、特に−O−C1〜3アルキル、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、F、Cl、Br、CF、OCF、OH、フェニル、フェノキシ、ナフチル、チアゾリル、チエニルおよびピリジニルより成る群から選ばれる。
【0038】
基Rは特にフェニルまたはナフチルを表すことができ、ここで、フェニルまたはナフチルは非置換であるか、あるいはメチル、メトキシ、CF、OCF、F、およびClから選択される同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換(例えば、二、三、四または五置換)されている。
【0039】
本発明の化合物の同様に好ましい実施形態では、基Rは、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルフェニル、4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,6−ジクロロ−4−メトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル、6−メトキシ−2−ナフチル、2−メチル−1−ナフチル、2−クロロ−1−ナフチル、2−フルオロ−1−ナフチル、2−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、4−クロロ−2,5−ジメチルフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−(トリフルオロメチル)フェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−フルオロ−1−ナフチル、4−メトキシ−1−ナフチル、1−ナフチルおよび2−ナフチル、特に4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルおよび2−クロロ−6−メチルフェニルから選択される。
【0040】
一般式(I)に従う本発明の化合物の同様に好ましい実施形態において、以下に示される部分構造(AcI)
【化5】

は、一般式(AcI.a)
【化6】

に従う基を表し、式中、
rは、0、1または2を示し、
r1は、0、1、2または3を示し、
r2は、0、1または2を示し、
qは、0または1を示すが、
ただし、r+r1+r2+q≧2であり、
Aは、CH、NR12、O、S、S=OまたはS(=O)を示し、
200は、それぞれ相互に独立してF、Cl、−CF、=O、−O−CF、−OH、−O−C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキル、特にFまたはCFから選択される0〜4個の置換基を示すか、あるいは基R200の2つは一緒に、場合により置換された縮環アリールまたはヘテロアリール、特に場合により置換されたベンゾ基を表す。
【0041】
N含有複素環の構造により可能であれば、R200は、このように、複素環に縮環した2つのアリール、特にベンゾ基を表すことができる。特定の実施形態では、R200は0個の置換基を示し、従って存在しない。
【0042】
部分構造AcIは、特に、以下の基:
【化7】

のうちの1つを表すことができ、式中、
200は、それぞれ相互に独立してF、Cl、−CF、=O、−O−CF、−OH、−O−C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキル、特にFまたはCFから選択される0〜4個の置換基を示し、そして/あるいは2つの隣接する基R200は一緒に、縮環アリールまたはヘテロアリール、特にベンゾ基を形成し、
210は、それぞれ相互に独立してO−C1〜3アルキル、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、CF、OCF、OH、SH、フェニル、ナフチル、フリル、チエニルおよびピリジニルから、特に、メチル、メトキシ、CF、OCF、F、ClおよびBrより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示し、
12は、H、C1〜6アルキル、−C(=O)−R13、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、そして
13は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示す。
【0043】
本発明の化合物の特定の実施形態では、R200および/またはR210は0個の置換基を表し、従って存在しない。
【0044】
部分構造AcIは、特に、以下の基:
【化8】

のうちの1つを表すことができ、式中、
基R200、R210およびR12は、好ましくは、上記の意味をとる。
【0045】
本発明の化合物の同様に好ましい実施形態では、Rは、H、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜6シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、いずれの場合も非置換であるか、あるいは同一または異なる置換基によってモノ置換またはポリ置換されている。特に、Rは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、フェニル、ピリジニル、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニルもしくはピリジニルを表すことができ、いずれの場合も非置換であるか、あるいは同一または異なる置換基によってモノ置換またはポリ置換されている。
【0046】
本発明の化合物の同様に好ましい実施形態では、Rは、H、F、Cl、−CF、−OH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、アリールもしくはヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールもしくはヘテロアリールを示し、いずれの場合も非置換であるか、あるいは同一または異なる置換基によってモノ置換またはポリ置換されている。特に、Rは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニルまたはピリジニルを表すことができる。
【0047】
本発明の化合物のさらに好ましい実施形態では、一般式(I)の以下の部分構造
【化9】

は、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−または−CH−O−CH基を示す。
【0048】
同様に好ましいのは、R4a、R4b、R5a、R5b、R6aおよびR6bがそれぞれ相互に独立してH、F、Cl、−CF、OH、OCFおよびO−C1〜6アルキルからなる群から、好ましくは、H、F、Cl、CF、OH、OCFおよびOCHより成る群から選ばれる、本発明の化合物の実施形態である。特に、これらの基は、それぞれ相互に独立してHまたはFを表す。これらの基は、最も特に好ましくは、Hを表す。
【0049】
同様に好ましいのは、Rがフェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルを示し、このフェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルが非置換であるか、あるいは、それぞれ相互に独立してC1〜4アルキル、O−C1〜4アルキル、F、Cl、CF、OCFおよび−CNより成る群から選ばれる置換基によってモノ置換またはポリ置換されている、本発明の化合物の実施形態である。
【0050】
本発明の化合物の同様に好ましい実施形態は、RおよびRが、それぞれ相互に独立して、H、非置換またはモノ置換またはポリ置換C1〜6アルキル、特に、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルより成る群から選ばれる基を表すものである。2つの基RおよびRは、最も特に好ましくは、Hまたはメチルを表す。
【0051】
同様に好ましいのは、RおよびRが、これらを連結する窒素原子と一緒に、一般式(II)
【化10】

に従うタイプの複素環を形成する、本発明の化合物実施形態であり、式中、
Zは、O、S NR15a、CHまたはC(ハロゲン)を示し、ここで、R15aは、H、C1〜6アルキル、アリール、好ましくはフェニルもしくはナフチル、または1または2個のNヘテロ原子を有するヘテロアリール、好ましくは5〜6員ヘテロアリール、特にピリジニルを示すか、あるいはR15aは、C1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、好ましくはフェニルもしくはナフチル、またはC1〜3アルキレン基を介して結合された1または2個のNヘテロ原子を有するヘテロアリール、好ましくは5〜6員ヘテロアリール、特にピリジニルを示し、
xおよびyは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表すが、ただし、x+y=0、1、2または3であり、そして
300は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示し、
上記基C1〜6アルキル、C1〜3アルキレン、アリールおよびヘテロアリールは、非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換されていてもよい。
【0052】
本発明の化合物のさらに好ましい実施形態は、次の形態である:
およびRが、(iii)または(iv):
(iii)RおよびRは、それぞれ相互に独立してH、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルより成る群から選ばれる基を表し、特に、基RおよびRはいずれもメチルを表す、
または
(iv)RおよびRは、これらを連結する窒素原子と一緒に、一般式(II)
【化11】

(式中、
Zは、O、S NR15a、CHまたはCFを示し、
15aは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ナフチルまたはピリジニルを示すか、あるいはR15aは、C1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニル、ナフチルまたはピリジニルを表し、
xおよびyは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表すが、ただし、x+y=0、1、2または3であり、
300は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示す)
に従うタイプの複素環を形成する。
【0053】
本発明の化合物の特定の実施形態では、一般式(II)を有する複素環中のR300は0個の置換基を示し、従って存在しないか、あるいはメチルを示す。
【0054】
本発明の化合物の同様に好ましい実施形態では、R10およびR11は、それぞれ相互に独立して0〜4個の置換基を表し、これらは、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる。特に、R10およびR11は存在しないか、あるいはメチルを表すことができる。
【0055】
同様に好ましいのは、以下の部分構造
【化12】

が、以下の基:
【化13】




のうちの1つを示す、本発明の化合物の実施形態であり、式中、
10およびR11は、それぞれ相互に独立して0〜4個の置換基を表し、この置換基は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれ、
300は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示し、
310は、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、C1〜6アルキル、O−C1〜6アルキル、CF、OCFおよびCNより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示す。
【0056】
本発明の化合物の特に好ましい実施形態は、次の通りである:
一般式(Ia)
【化14】

を有するものであり、式中、
sおよびtは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表し、
Qは、単結合、−O−または−CH−を示し、
は、それぞれ非置換であるか、あるいは同一または異なってモノ置換またはポリ置換されたフェニルまたはナフチルを示し、ここで、置換基は、それぞれ相互に独立してO−C1〜3アルキル、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、CF、OCFおよびOHより成る群から選ばれ、
およびRは、(i)または(ii):
(i)Rは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、アリール、ヘテロアリールを示すか、あるいはRは、C1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールまたはヘテロアリールを示し、
は、Hまたはフェニルを示し、このフェニルは、非置換であるか、あるいはF、Cl、−CF、−OCF、OH、メチルおよびメトキシより成る群から選ばれる置換基によってモノ置換またはポリ置換されている、
または
(ii)RおよびRは、これらを連結する−N−CH−基と一緒に複素環を形成し、この複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換され得る、そして/あるいは、場合により置換された少なくとも1つのアリールまたはヘテロアリールと縮環され得る、
において定義される通りであり、
上記複素環は飽和または少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、そして基Rが結合するN−ヘテロ原子に加えて、それぞれ相互に独立してN、NR12、O、S、S=OまたはS(=O)より成る群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、ここで、基R12は、H、C1〜6アルキル、−C(=O)−R13、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、そしてR13は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、
は、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルを示し、ここで、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルは、非置換であるか、あるいはそれぞれ相互に独立してC1〜4アルキル、O−C1〜4アルキル、F、Cl、CF、OCFおよび−CNより成る群から選ばれる置換基によってモノ置換またはポリ置換されており、
およびRは、(iii)または(iv):
(iii)RおよびRは、それぞれ相互に独立してH、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルより成る群から選ばれ、そして好ましくは、Hまたはメチルを表す、
または
(iv)RおよびRは、これらを連結する窒素原子と一緒に、一般式(II)
【化15】

(式中
Zは、O、S NR15a、CHまたはCFを示し、
15aは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ナフチルまたはピリジニルを示すか、あるいはR15aは、C1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニル、ナフチルまたはピリジニルを表し、
xおよびyは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表すが、ただし、x+y=0、1、2または3であり、
300は、それぞれ相互に独立してF、メチルおよびエチルより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示す)
に従うタイプの複素環を形成する。
【0057】
本発明の化合物の同様に好ましい実施形態は、
【0058】
【表1】




【0059】
より成る群から選ばれる化合物であり、場合により、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマー、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、そのジアステレオマー、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物の形にある、あるいはそれぞれ、その塩基および/または生理学的に許容し得るの塩の形にある。
【0060】
上記で使用される本発明の化合物の個々の実施形態の番号付けは、本発明の以下の説明において、特に実施例の説明において保持される。
【0061】
本発明の1つの態様によると、本発明の化合物は、好ましくは、ヒトB1R受容体またはラットのB1R受容体においてアンタゴニスト作用を有する。本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、ヒトB1R受容体(hB1R)およびラットのB1R受容体(rB1R)の両方においてアンタゴニスト作用を有する。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、10μmの濃度のFLIPRアッセイで、ヒトB1R受容体および/またはラットのB1R受容体において少なくとも15%、25%、50%、70%、80%または90%の阻害を示す。最も特に好ましいのは、10μmの濃度で、ヒトB1R受容体およびラットのB1R受容体において少なくとも70%、特に少なくとも80%、そして特に好ましくは少なくとも90%の阻害を示す化合物である。
【0063】
物質のアゴニストまたはアンタゴニスト作用は、蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)を用いて、ヒトおよびラット種のブラジキニン受容体1(B1R)において、異所的に発現する細胞株(CHOK1細胞)により、Ca2+−感受性色素(Fluo−4)を用いて定量化することができる。活性化%における表示は、Lys−Des−Argブラジキニン(0.5nM)またはDes−Argブラジキニン(100nM)を添加した後のCa2+シグナルに基づく。アンタゴニストは、アゴニストの投与後のCa2+流入の抑制をもたらす。達成可能な最大阻害と比較した阻害%が示される。
【0064】
好ましくは、本発明に従う物質は、例えば、種々の疾患に関連するB1Rに作用するので、薬剤中の薬剤有効成分として適している。従って、本発明は、本発明に従う少なくとも1種のスピロアミンを、場合により適切な添加剤および/または助剤物質および/または場合によりさらなる有効成分と共に含有する薬剤も提供する。
【0065】
本発明に従う薬剤は、好ましくは、痛み、特に、急性痛、神経障害痛、内臓痛、慢性痛および炎症痛より成る群から選ばれる痛みの治療に有効であるか、または片頭痛、糖尿病、呼吸器の疾患、炎症性腸疾患、神経疾患、敗血性ショック、再灌流症候群、肥満の治療に、そして血管新生阻害薬として適切である。
【0066】
本発明に従う薬剤は、場合により、本発明に従う少なくとも1種の置換されたスピロアミンに加えて、適切な添加剤および/または補助物質(キャリア材料、充填剤、溶媒、希釈剤、染料および/または結合剤を含む)も含有し、注射溶液、ドロップまたはジュースの形の液体剤形として、顆粒、錠剤、ペレット、パッチ、カプセル、膏薬/スプレー式膏薬またはエアロゾルの形の半固体剤形として投与され得る。補助物質などの選択およびその使用量は、薬剤が、口腔(oral)、経口(peroral)、非経口、静脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、経鼻、頬側、経直腸または局所手段(例えば、皮膚、粘膜または目において)のどれによって投与されるかに依存する。錠剤、香錠、カプセル、顆粒、ドロップ、ジュースおよびシロップの形の調製物は経口投与に適しており、溶液、懸濁液、容易に再構成可能な乾燥調製物およびスプレーは、非経口、局所および吸入投与に適している。デポー製剤、溶解形または膏薬における本発明に従う置換されたスピロアミンは、場合により、皮膚の浸透を促進する薬剤を添加して、経皮投与のために適切な調製物である。経口または経皮的な投与に適した調製物の形は、本発明に従う置換されたスピロアミンを遅延放出ベースで送達することができる。本発明に従う置換されたスピロアミンは、例えば埋没物または埋め込みポンプなどの非経口長期デポー形で使用することもできる。当業者に知られている他の付加的な有効成分は、原則として、本発明に従う薬剤に添加することができる。
【0067】
患者に投与すべき有効成分の量は、患者の体重、投与のタイプ、疾患の適応症および重症度に従って変わる。0.00005〜50mg/kg、好ましくは0.01〜5mg/kgの少なくとも1種の本発明に従う置換されたスピロアミンが従来通りに投与される。薬剤の好ましい形は、純粋なジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーとして、ラセミ化合物として、あるいはジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの非等モルまたは等モル混合物としての本発明に従う置換されたスピロアミンを含有する。
【0068】
B1Rは、特に、痛みのメカニズムに関与する。従って、本発明に従う置換されたスピロアミンは、痛み、特に、急性痛、内臓痛、神経障害痛または慢性痛の治療のための薬剤を製造するために使用することができる。
【0069】
従って、本発明は、痛み、特に、急性痛、内臓痛、神経障害痛または慢性痛の治療のための薬剤を製造するための、本発明に従う置換されたスピロアミンの使用も提供する。本発明の特定の実施形態は、本発明に従う置換されたスピロアミンの少なくとも1種の、炎症痛の治療のための薬剤を製造するための使用である。
【0070】
また本発明は、糖尿病、呼吸器の疾患(例えば、気管支ぜんそく、アレルギー、COPD/慢性閉塞性肺疾患または嚢胞性線維症)、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎またはCD/クローン病)、神経疾患(例えば、多発性硬化症または神経変性)、皮膚の炎症(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬または細菌感染症)、リウマチ性疾患(例えば、関節リウマチまたは変形性関節症)、敗血性ショック、再灌流症候群(例えば、心発作または脳卒中の後)、肥満の治療のための薬剤、および血管新生阻害薬としての薬剤を製造するための、本発明に従う置換されたスピロアミンの使用も提供する。
【0071】
上記の使用の1つにおいて、使用される置換されたスピロアミンは、純粋なジアステレオマーおよび/またはエナンチオマー、ラセミ化合物、あるいはジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの非等モルまたは等モル混合物の形であるのが好ましいこともある。
【0072】
また本発明は、特に上記の適応症の1つにおいて、治療的に活性な用量の本発明に従う置換されたスピロアミンまたは本発明に従う薬剤を投与することによって、治療を必要としている非ヒト哺乳類またはヒトを治療するための方法も提供する。
【0073】
また本発明は、特に、以下の説明、実施例および特許請求の範囲において記載されるように、本発明に従う置換されたスピロアミンを製造するための方法も提供する。本発明に従う方法は、スキーム1で表される。
【0074】
【化16】

【0075】
アミン(A)は、好ましくは、硫酸ナトリウムもしくはマグネシウム、酸化リンなどの脱水剤、または、例えば、CDI、DCC(場合により、ポリマー結合)、TBTU、HATU、EDCI、PyBOPもしくはPFPTFAなどの試薬の存在下、HOAtまたはHOBtおよび有機塩基、例えば、DIPEA、トリエチルアミンまたはピリジンも存在させて、THF、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジオキサン、DMFまたはアセトニトリルなどの有機溶媒中で酸(S)を用いるアミド形成において反応されて、一般式(I)を有する本発明の化合物を形成する。
【0076】
しかしながら、アミド形成は、関連の酸(S)を対応する酸クロリドまたは酸無水物へ転化させ、次にこれを関連のアミン(A)と反応させることによっても生じ得る。酸クロリドは、場合により、THF、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジオキサン、DMFまたはアセトニトリルなどの溶媒中、−78℃〜100℃の間の温度で、SOCl、PCl、PClまたは1−クロロ−N,N,2−トリメチル−1−プロペニルアミンとの反応によって製造することができる。
【0077】
一般的な合成方法:
次の略語が以下で使用される:
9−BBN=9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン
BOP=1−ベンゾトリアゾリルオキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート
CDI=1,1’−カルボニルジイミダゾール
d=日
dba=ジベンジリデンアセトン
DBU=1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM=ジクロロメタン
DIPEA=N,N−N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP=4−ジメチルアミノピリジン
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMS=ジメチルスルフィド
EDCI=N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
eq=当量
Et=エチル
h=時間
HATU=N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジノ−1−イルメチレンメタンアミニウムヘキサフルオロホスファートN−オキシド
HBTU=O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HOAt=1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
LHMDS=リチウムヘキサメチルジシラジド
MEK=メチルエチルケトン
min=分
Ms=メシル
NMP=N−メチルピロリドン
Oxone(登録商標)=2KHSO.KHSO.KSO
PFPTFA=ペンタフルオロフェニルトリフルオロアセタート
PFP=ペンタフルオロフェノール
PTSA=p−トルエンスルホン酸
PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート
TBTU=O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TMSCl=塩化トリメチルシリル
【0078】
いくつかの反応ステップのシーケンスが場合により変更され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0079】
適切な保護基は、例えば、(a)非特許文献12、および(b)非特許文献13に記載されるように、当業者に知られている文献からの方法を用いて導入および除去することができる。
【0080】
ジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの分離は、当業者に知られている方法によって、例えば、再結晶、クロマトグラフィ、または特に、HPLCクロマトグラフィ、または場合によりキラル酸もしくは塩基による結晶化および塩の分離、またはキラルHPLCクロマトグラフィによって行われる(非特許文献14)。
【0081】
使用される酸構造単位の一般式(S)を有する化合物(非環状酸構造単位Dおよび環状酸構造単位Jに分けられる)は、β−アミノ酸から、例えば、文献(非特許文献15)から分かるか、あるいは以下に記載されるように製造することができる。
【0082】
非環状酸構造単位Dを製造するための一般的な合成方法
【化17】

【0083】
方法Iにおいて、ラセミ(R−およびS−立体配置)またはエナンチオピュアな(R−またはS−立体配置)アミノアルコールAは、場合により、有機または無機塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミンまたはDBUの存在下、好ましくは、有機溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中、そして好ましくは、0℃から還流温度までの温度で、塩化スルホニル、臭化スルホニルまたはスルホニルペンタフルオロフェノラートRSOX(X=Cl、Br、OPFP)によるスルホニル化において、スルホニル化アミノアルコールBに転化される。
【0084】
方法IIにおいて、ラセミ(R−およびS−立体配置)またはエナンチオピュアな(R−またはS−立体配置)アミノアルコールEは、場合により、有機または無機塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミンまたはDBUの存在下、好ましくは、有機溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中、そして好ましくは、0℃から還流温度までの温度で、塩化スルホニル、臭化スルホニルまたはスルホニルペンタフルオロフェノラートRSOX(X=Cl、Br、OPFP)によるスルホニル化において、スルホニル化アミノアルコールFに転化される。次に、スルホニル化アミノアルコールFは、場合により、有機または無機塩基、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、DBUまたはDIPEAの存在下、好ましくは、有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、アセトン、THF、アセトニトリル、ジオキサンまたはブレンドとしてのこれらの溶媒中、好ましくは、0℃から還流温度までの温度で、ハロゲン化アルキル(RX、X=I、Br、Cl)、メシラートまたは代替のアルキル化剤によるアルキル化反応において、スルホニル化アミノアルコールBに転化される。
【0085】
方法IIIにおいて、市販のアミンGまたは当業者が入手可能なアミンGは、エタノール、メタノール、ジエチルエーテル、THFまたはジクロロメタンなどの有機溶媒中、好ましくは、0℃から還流温度までの温度で最長20時間、ヒドロキシハロゲン化アルキルによるアルキル化反応において、アミノアルコールAに転化される。アミノアルコールAのスルホニル化アミノアルコールBへの転化は、方法Iと類似した方法で進行する。
【0086】
方法IVにおいて、アミンGは、場合により、有機または無機塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミンまたはDBUの存在下、好ましくは、有機溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中、そして好ましくは、0℃から還流温度までの温度で、塩化スルホニル、臭化スルホニルまたはスルホニルペンタフルオロフェノラートRSOX(X=Cl、Br、OPFP)によるスルホニル化において、スルホニル化誘導体Hに転化される。次に、スルホニル化アミンHは、場合により、有機または無機塩基、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、DBUまたはDIPEAの存在下、好ましくは、有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、アセトン、THF、アセトニトリル、ジオキサンまたはブレンドとしてのこれらの溶媒中、ハロゲン化アルキルエステルによるアルキル化反応において、スルホニル化アミノエステルIに転化される。スルホニル化アミノエステルIは、THFまたはジエチルエーテルなどの有機溶媒中、例えば、LiAlH、BH×DMSまたはNaBHなどの金属水素化物を還元剤として用いて、還元反応においてスルホニル化アミノアルコールBに転化される。
【0087】
方法I〜IVにおいて、スルホニル化アミノアルコールBは、塩化もしくは臭化テトラブチルアンモニウムまたは硫酸水素テトラブチルアンモニウムを用いて、THF、トルエン、ベンゼンまたはキシレンなどの有機溶媒、および水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基を用いる相間移動反応において、あるいは、有機または無機塩基(従来の無機塩基は、金属アルコラート(ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、カリウムtert−ブチラートなど)、リチウムまたはナトリウム塩基(リチウムジイソプロピルアミド、ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ナトリウムメチラートなど)、または金属水素化物(水素化カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウムなど)であり、従来の有機塩基は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンである)の存在下、ジクロロメタン、THFまたはジエチルエーテルなどの有機溶媒中、好ましくは0℃〜還流温度で、ハロゲン化エステル誘導体によるアルキル化反応において、一般構造Cを有する生成物に転化される。エステル誘導体Cは、トリフルオロ酢酸などの有機酸、または塩酸などの無機酸水溶液を用いて、あるいは水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基水溶液を用いて、メタノール、ジオキサン、ジクロロメタン、THF、ジエチルエーテルまたはブレンドとしてのこれらの溶媒などの有機溶媒中、好ましくは0℃〜室温で、エステル切断において一般式Dを有する酸段階に転化される。
【0088】
環状酸構造単位Jを製造するための一般的な合成方法
【化18】

【0089】
方法Iにおいて、ラセミ(R−およびS−立体配置)またはエナンチオピュアな(R−またはS−立体配置)アミノ酸エステルAまたはアミノ酸Lは、例えば、LiAlH、BFエーテラート、BH×DMSまたはNaBHなどの金属水素化物を還元剤として用いて、THFまたはジエチルエーテルなどの有機溶媒中、好ましくは、0℃から還流温度までの温度で還元によってアミノアルコールBに転化される。アミノアルコールBはさらに、場合により、有機または無機塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミンまたはDBUの存在下、好ましくは、有機溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中、そして好ましくは、0℃から還流温度までの温度で、塩化スルホニル、臭化スルホニルまたはスルホニルペンタフルオロフェノラートRSOX(X=Cl、Br、OPFP)によるスルホニル化において、スルホニル化アミノアルコールCに転化される。スルホニル化アミノアルコールCは、塩化もしくは臭化テトラブチルアンモニウムまたは硫酸水素テトラブチルアンモニウムを用いて、THF、トルエン、ベンゼンまたはキシレンなどの有機溶媒、および水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基を用いる相間移動反応において、あるいは、有機または無機塩基(従来の無機塩基は、金属アルコラート(ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、カリウムtert−ブチラートなど)、リチウムまたはナトリウム塩基(リチウムジイソプロピルアミド、ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ナトリウムメチラートなど)、または金属水素化物(水素化カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウムなど)であり、従来の有機塩基は、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンである)の存在下、ジクロロメタン、THFまたはジエチルエーテルなどの有機溶媒中、0℃〜還流温度で、ハロゲン化エステル誘導体によるアルキル化反応において、一般構造Dを有する生成物に転化される。
【0090】
方法IIにおいて、3−(ピリジン−2−イル)アクリル酸Eは、脱水試薬、例えば、HSOもしくは酸化リンなどの無機酸、または塩化チオニルなどの有機試薬を用いて、THF、ジエチルエーテル、メタノール、エタノールまたはジクロロメタンなどの有機溶媒中、好ましくは、室温から還流温度までの温度で、段階Fにエステル化される。
【0091】
方法IIおよびIIIにおいて、エステル段階FおよびGは、当業者に知られている条件下、THF、クロロホルムなどの有機溶媒中、そして酸化白金などの触媒の存在下、標準圧力下または過剰圧力下の水素による水素化において、中間体Hに水素化される。
【0092】
方法IVにおいて、ラセミ(R−およびS−立体配置)またはエナンチオピュアな(R−またはS−立体配置)アミノ酸Kは、脱水試薬、例えば、HSOもしくは酸化リンなどの無機酸または塩化チオニルなどの有機試薬を用いて、THF、ジエチルエーテル、メタノール、エタノールまたはジクロロメタンなどの有機溶媒中、アミノエステルHにエステル化される。
【0093】
方法II〜IVにおいて、アミノエステルHはさらに、場合により、有機または無機塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ジエチルアミンまたはDBUの存在下、好ましくは、有機溶媒、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中、そして好ましくは、0℃から還流温度までの温度で、塩化スルホニル、臭化スルホニルまたはスルホニルペンタフルオロフェノラートRSOX(X=Cl、Br、OPFP)によるスルホニル化において、スルホニル化アミノエステルIに転化される。
【0094】
方法I〜IVにおいて、エステル誘導体DおよびIは、トリフルオロ酢酸などの有機酸または塩酸などの無機酸水溶液を用いて、あるいは水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基水溶液を用いて、メタノール、ジオキサン、ジクロロメタン、THF、ジエチルエーテルまたはブレンドとしてのこれらの溶媒などの有機溶媒中、0℃〜室温で、エステル切断において、一般式Jを有する酸段階に転化される。
【0095】
使用されるアミン構造単位の一般式(A)を有する化合物は、以下に記載されるように製造することができる。
【0096】
アミン構造単位(A)の合成のための一般的な方法
方法1
【化19】

【0097】
一般式Kを有する化合物は、方法Aまたは方法Bによって一般式Lを有する化合物に転化される。
【0098】
方法A
一般式Kを有する化合物は、アミンおよび1H−ベンゾトリアゾールとの反応によるアミナール形成反応においてベンゾトリアゾールアミナールに転化され、ベンゾトリアゾールアミナールが、平衡状態、ならびに1H型および2H型の両方において存在し得ることを当業者は知っている。例えば、ベンゼン、トルエン、エタノール、ジエチルエーテルまたはTHFが、溶媒として適切である。ディーン−スターク水分離器、モレキュラーシーブまたは他の脱水剤の使用が必要なこともある。+20℃〜+110℃の反応温度における反応時間は、1時間〜20時間の間になり得る。中間体として得られるベンゾトリアゾールアミナールは、次に、有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサンまたはTHF中、マグネシウム、亜鉛またはリチウムオルガニルなどの金属オルガニル(metal organyl)により、一般式Lを有する化合物に転化される。
【0099】
方法B
一般式Kを有する化合物は、アミンおよびシアニド源の添加によってニトリルアミンに転化される。この反応は、1段階または2段階で行うことができる。2段階型では、ニトリルアルコールがまず形成されて単離される。ニトリルアルコールの形成は、一般式Kを有する化合物を、シアニド源としてのHCN、KCNまたはNaCNと反応させることによって行うことができ、NaCNおよびKCNが使用される場合、必要なシアニドは、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸、酢酸または塩酸の添加によって放出される。好ましい溶媒は、水、メタノール、エタノール、THF、ピペリジン、ジエチルエーテルまたはこれらの溶媒のブレンドである。例えば、トリメチルシリルシアニドもシアニド源として同様に適切であり、シアニドは、例えば、三フッ化ホウ素エーテラート、InFまたはHClによって放出され得る。好ましい溶媒は水またはトルエンである。別の適切なシアニド源は、例えば(シアノ−C)ジエチルアルミニウムである。THF、トルエンまたは2つの溶媒のブレンドは、溶媒として使用することができる。全ての型についての反応温度は、好ましくは、−78℃〜+25℃の間である。ニトリルアミンを形成するためのニトリルアルコールとアミンとの反応について、メタノールまたはエタノールなどのアルコールは、溶媒として特に適切である。反応温度は、0℃〜+25℃の間になり得る。1段階型では、主として形成されるニトリルアルコールはその場で形成され、アミンと反応されてニトリルアミンを形成する。中間体として得られるニトリルアミンは、次に、有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサンまたはTHF中、マグネシウム、亜鉛またはリチウムオルガニルなどの金属オルガニルと反応されて、一般式Lを有する置換されたスピロアミンを形成する。
【0100】
一般式Mを有する化合物は、当業者に知られている方法を用いて、一般式Lを有する化合物から適切なケトン保護基を除去することによって得られる。
【0101】
好ましいO−アセタール保護基は、以下のように除去することができる:
【0102】
ケトンは、酸条件下のアセタール切断反応において得られる。適切な酸は、塩酸、硫酸、塩化もしくは硫酸水素アンモニウムまたはAlIなどの無機ブレンステッドまたはルイス酸と、例えば、p−トルエンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸またはクエン酸などの有機酸との両方である。反応は、トルエン、THF、クロロホルム、DCM、キシレン、アセトニトリル、水、ジオキサン、アセトン、ジエチルエーテルまたは酢酸エチルなどの種々の溶媒中、−10℃から室温までの温度で実施することができる。
【0103】
一般式Mを有する化合物は、アンモニアの存在下、適切な溶媒、例えば、メタノールまたはエタノール中、好ましくは、−50℃〜100℃の温度でシアノ酢酸エチルと反応されて、一般式Nを有する化合物を生じる。
【0104】
一般式Nを有する化合物は、適切な酸、例えば、硫酸またはHClの存在下、適切な溶媒、好ましくは、水中、好ましくは、−20℃〜200℃の温度で反応されて、一般式Oを有する化合物を形成する。
【0105】
一般式Oを有する化合物は、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドより成る群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中、好ましくは、塩化チオニル、塩化アセチル、無水酢酸、硫酸および塩酸からなる群からの少なくとも1種の酸クロリドまたは酸無水物または酸を用いて、好ましくは、0℃〜120℃の温度においてアルコールと反応され、一般式Pを有する化合物を形成する。
【0106】
あるいは、一般式Pを有する化合物は、例えば、硫酸の存在下、エタノール中、0℃〜200℃の反応温度で、一般式Oを有する化合物から直接1段階で製造することもできる。
【0107】
一般式Pを有する化合物は、好ましくは、THF、ジエチルエーテル、トルエンまたはDCMより成る群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中、好ましくは、−78℃〜200℃の温度で、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化リチウム−トリ−tert−ブトキシアルミニウム、ナトリウム−水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウム、BH×DMSより成る群から選ばれる少なくとも1種の還元剤と反応されて、一般式Qを有する化合物を形成する。
【0108】
一般式Qを有する化合物は、例えば、ハロゲンまたはメシラートなどの適切な脱離基の導入によって、一般式Rを有する化合物から得られる。
【0109】
一般式Qを有する化合物は、好ましくは、ジクロロメタン、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドより成る群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中、好ましくは、0℃〜80℃の温度で、好ましくは、塩化メチルスルホニル、塩化トリフルオロメチルスルホニル、塩化トリルスルホニルより成る群から選ばれる塩化スルホニル、ならびに好ましくは、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンより成る群から選ばれる少なくとも1種の塩基と反応されて、一般式Rを有する化合物(好ましくは、X=OMs)を形成する。
【0110】
一般式Rを有する化合物は、場合により、好ましくは、ジクロロメタン、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエンおよびジメチルホルムアミドより成る群から選ばれる溶媒または溶媒のブレンド中、場合により、好ましくは、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンより成る群から選ばれる適切な塩基の存在下、好ましくは、0℃〜200℃の温度で、適切なアミン、好ましくはアリルアミンと反応されて、一般式Sを有する化合物を形成する。
【0111】
一般式(A)を有するアミンは、当業者に知られている方法を用いて、一般式Sを有する化合物からアミン保護基を除去することによって得られる。
【0112】
好ましい保護基、特にアリルは、以下のように除去される:
【0113】
アリル保護基は、好ましくは、トルエン、アセトニトリル、水および/またはTHFより成る群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中、適切な触媒、例えば、グラブス触媒、ウィルキンソン触媒([PhP]RhCl)、適切なPd(0)触媒、例えば、Pd(dba)またはPd[PPh、またはPd/Cの存在下、場合により、2−メルカプト安息香酸、N,N−ジメチルバルビツル酸またはメタンスルホン酸の存在下、好ましくは、0℃〜200℃の温度で除去することができる。
【0114】
あるいは、一般式(A)を有する化合物は、一般式Nを有する化合物から2段階で製造することもできる。
【化20】

【0115】
一般式Nを有する化合物は、適切な酸、例えば、硫酸またはHClの存在下、適切な溶媒、好ましくは水中で、好ましくは、−20℃〜200℃の温度で反応される。中間体は、好ましくは、THF、ジエチルエーテル、トルエンまたはDCMより成る群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中、好ましくは、−78℃〜200℃の温度で、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化リチウム−トリ−tert−ブトキシアルミニウム、ナトリウム−水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウム、BH×DMSより成る群から選ばれる少なくとも1種の還元剤と反応されて、一般式(A)を有する化合物を形成する。
【0116】
方法2
【化21】

【0117】
一般式Vを有する化合物は、適切な反応媒体、例えば、水、THF、アセトンまたは対応するブレンド中、−20℃〜+100℃の間の温度で、例えばHClの影響下で酸処理した後、THF、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、トルエンまたはこれらの溶媒のブレンドなどの有機溶媒中、−78℃〜+30℃の間の温度で、対応するホスホニウム化合物、例えば(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、および強塩基、例えば、カリウムtert−ブチラート、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムヘキサメチルジシラジドを用いるウィッティヒ反応において、一般式Uを有する化合物から得られる。
【0118】
あるいは、一般式Vを有する化合物は、一般式Zを有する化合物から出発する1ステップ法または2ステップ法のいずれかにおいて得ることもできる。
【0119】
一般式Vの化合物を得るための1ステップにおけるアルデヒド官能基への転化は、一般式Zを有する化合物と適切な還元剤との反応によって実行される。これに関連して、好ましくは、−78℃〜50℃の間の反応温度で、THF、ジエチルエーテル、トルエンまたはDCMなどの溶媒中、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウム、ナトリウム水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムまたはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムヒドリドクロリド(シュワルツ試薬)を使用することができる。
【0120】
2ステップ法の場合、一般式Zのカルボン酸誘導体は、まず、THF、ジエチルエーテル、トルエンまたはDCMなどの適切な溶媒中、好ましくは、−78℃〜200℃の温度で、好ましくは、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化リチウム−トリ−tert−ブトキシアルミニウム、ナトリウム−水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウム、BH×DMSおよび水素化ホウ素リチウムより成る群から選ばれる適切な還元剤によって、対応するアルコールに還元される。第2のステップにおいて、アルコールは、必要に応じて酢酸または酢酸ナトリウムの存在下、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテルまたはこれらの混合物などの適切な溶媒中、好ましくは、−78℃〜200℃の温度で、TEMPO/NaOCl、酸化マンガン(IV)、二クロム酸ピリジニウム、クロロクロム酸ピリジニウム、スワーン酸化条件[(COCl)/DMSO/トリエチルアミン]またはデス−マーチン・ペルヨージナン(Dess−Martin periodinone)などの適切な酸化剤によって酸化されて、一般式Vを有するアルデヒドを生じる。
【0121】
一般式Vを有する化合物は、次に、適切な塩基、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化リチウム、または適切な酸、例えば、HClもしくは硫酸の存在下、適切な溶媒、例えば、i−プロパノール、エタノール、メタノール、トルエン、ベンゼンまたは対応するブレンド中、0℃〜+200℃の反応温度で、場合によりディーン−スターク条件下でメチルビニルケトンと反応されて、一般式Wを有する化合物を形成する。
【0122】
一般式Vを有する化合物から一般式X化合物への転化は、文献、例えば、(a)非特許文献16、(b)特許文献5または(c)特許文献6から分かる。
【0123】
一般式Wを有する化合物は、均一または不均一触媒による水素化分解によって、あるいは還元剤との反応によって還元されて、一般式Xを有する化合物を形成する。適切な均一触媒は、例えば、溶媒(例えば、ベンゼンまたはトルエンなど)中のトリス(トリフェニルホスファン)ロジウムクロリドである。適切な不均一触媒は、例えば、溶媒(例えば、酢酸、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ヘキサン、クロロホルム、水またはこれらの溶媒のブレンドなど)中の、炭素上のPt、炭素上のパラジウム、ラネーニッケルまたはPtOである。例えば硫酸もしくは塩酸などの酸、または例えば炭酸カリウムなどの塩基が、場合により添加され得る。適切な還元剤は、例えば、THF中のL−セレクトリドである。
【0124】
これらの条件下でPGが同時に除去される場合、当業者に知られている方法によって、この保護基または別の適切な保護基(例えば、CBz、Boc、ベンジルまたはp−メトキシベンジル)が再導入されて、一般式Xを有する化合物が得られる。あるいは、この場合、適切な保護基の再導入を1段階で達成するために、水素化分解は、二炭酸ジ−tert−ブチルの存在下で行うことができる。
【0125】
一般式Xを有する化合物は、方法Aまたは方法Bによって一般式Yを有する化合物に転化される。
【0126】
方法A
一般式Tを有する化合物は、アミンおよび1H−ベンゾトリアゾールとの反応によるアミナール形成反応においてベンゾトリアゾールアミナールに転化され、ベンゾトリアゾールアミナールが、平衡状態、ならびに1H型および2H型の両方において存在し得ることを当業者は知っている。例えば、ベンゼン、トルエン、エタノール、ジエチルエーテルまたはTHFが溶媒として適切である。ディーン−スターク水分離器、モレキュラーシーブまたは他の脱水剤の使用が必要なこともある。+20℃〜+110℃の反応温度における反応時間は、1時間〜20時間の間になり得る。中間体として得られるベンゾトリアゾールアミナールは、次に、有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサンまたはTHF中、マグネシウム、亜鉛またはリチウムオルガニルなどの金属オルガニルにより、一般式Yを有する化合物に転化される。
【0127】
方法B
一般式Tを有する化合物は、アミンおよびシアニド源の添加によってニトリルアミンに転化される。この反応は、1段階または2段階で行うことができる。2段階型では、ニトリルアルコールがまず形成されて単離される。ニトリルアルコールの形成は、一般式Tを有する化合物を、シアニド源としてのHCN、KCNまたはNaCNと反応させることによって行うことができ、NaCNおよびKCNが使用される場合、必要なシアニドは、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸、酢酸または塩酸の添加によって放出される。好ましい溶媒は、水、メタノール、エタノール、THF、ピペリジン、ジエチルエーテルまたはこれらの溶媒のブレンドである。例えば、トリメチルシリルシアニドもシアニド源として同様に適切であり、シアニドは、例えば、三フッ化ホウ素エーテラート、InFまたはHClによって放出され得る。好ましい溶媒は水またはトルエンである。別の適切なシアニド源は、例えば(シアノ−C)ジエチルアルミニウムである。THF、トルエンまたは2つの溶媒のブレンドは、溶媒として使用することができる。全ての型についての反応温度は、好ましくは、−78℃〜+25℃の間である。ニトリルアミンを形成するためのニトリルアルコールとアミンとの反応について、メタノールまたはエタノールなどのアルコールは、溶媒として特に適切である。反応温度は、0℃〜+25℃の間になり得る。1段階型では、主として形成されるニトリルアルコールはその場で形成され、アミンと反応されてニトリルアミンを形成する。中間体として得られるニトリルアミンは、次に、有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサンまたはTHF中、マグネシウム、亜鉛またはリチウムオルガニルなどの金属オルガニルと反応されて、一般式Yを有する化合物を形成する。
【0128】
一般式(A)を有するアミンは、当業者に知られている方法を用いて、一般式Yを有する化合物からアミン保護基を除去することによって得られる。
【0129】
好ましい保護基、特に、BocおよびCbzは、次のように除去することができる。:
【0130】
BOC保護基は、好ましくは、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、ジオキサンおよびジメチルホルムアミドより成る群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中、好ましくは、0℃〜110℃の温度で、好ましくは、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸および硫酸より成る群から選ばれる酸により除去することができる。
【0131】
Cbz保護基は、酸性条件下で除去することができる。この酸性除去は、例えば、HBr/氷酢酸ブレンド、ジオキサン/水中のTFAのブレンド、またはメタノールもしくはエタノール中のHClとの反応によって実施することができる。しかしながら、例えば、溶媒(例えば、DCM、クロロホルムまたはアセトニトリルなど)中のMeSiI、溶媒(例えば、DCMなど)中にエタンチオールまたはMeSを添加したBFエーテラート、DCMおよびニトロメタンのブレンド中の塩化アルミニウム/アニソールのブレンド、またはトリエチルアミンを添加したメタノール中のトリエチルシラン/PdClなどの試薬も適切である。さらなる方法は、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、THF、酢酸、酢酸エチル、クロロホルムなどの溶媒中、場合により、HCl、ギ酸またはTFAを添加して、例えば、炭素上のPd、Pd(OH)、PdCl、ラネーニッケルまたはPtOなどの触媒を用いた、上昇圧力下での、あるいは圧力を使用しない保護基の水素化分解除去である。
【0132】
薬理学的な方法
1. ブラジキニン受容体1(B1R)における機能性調査
物質のアゴニスト作用またはアンタゴニスト作用は、ヒトおよびラット種のブラジキニン1受容体(B1R)において、以下のアッセイにより決定することができる。このアッセイによると、チャネルを通るCa2+流入は、蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、Molecular Devices,Sunnyvale,USA)において、Ca2+−感受性色素(Fluo−4型、Molecular Probes Europe BV、Leiden、The Netherlands)を用いて定量化される。
【0133】
2. 方法:
ヒトB1R遺伝子(hB1R細胞)またはラットのB1R遺伝子(rB1R細胞)が安定的に形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOK1細胞)が使用される。機能性調査のために、これらの細胞は、20,000〜35,000細胞/ウェルの密度で、透明の底部を有する黒色96ウェルプレート(BD Biosciences,Heidelberg,GermanyまたはGreiner,Frickenhausen、Germany)上にプレーティングされる。一晩中、細胞は、10体積%のFBS(ウシ胎仔血清、Gibco Invitrogen GmbH,Karlsruhe,GermanyまたはPAN Biotech GmbH,Aidenbach,Germany)を有する培地(hB1R細胞:Nutrient Mixture Ham’s F12、Gibco Invitrogen GmbH,Karlsruhe,GermanyまたはDMEM、Sigma−Aldrich,Taufkirchen,Germany、rB1R細胞:D−MEM/F12、Gibco Invitrogen,Karlsruhe,Germany)において、37℃および5%COでインキュベートされる。
【0134】
翌日、細胞は、2.5mMのプロベネシド(Sigma−Aldrich,Taufkirchen,Germany)および10mMのHEPES(Sigma−Aldrich,Taufkirchen,Germany)を有するHBSS緩衝液(Hank’s緩衝生理食塩水溶液、Gibco Invitrogen GmbH,Karlsruhe,Germany)中、2.13μMのFluo−4(Molecular Probes Europe BV,Leiden,The Netherlands)により37℃で60分間負荷される。その後、プレートはHBSS緩衝液で2回洗浄され、0.1%のBSA(ウシ血清アルブミン、Sigma−Aldrich,Taufkirchen,Germany)、5.6mMのグルコースおよび0.05%のゼラチン(Merck KGaA,Darmstadt,Germany)をさらに含有するHBSS緩衝液が添加される。室温で20分間のさらなるインキュベーションの後、プレートは、Ca2+測定のためにFLIPRに挿入される。
【0135】
あるいは、これらは、緩衝液A(15mMのHEPES、80mMのNaCl、5mMのKCl、1.2mMのCaCl、0.7mMのMgSO、2g/lのグルコース、2.5mMのプロベネシド)で洗浄され、2.5μMのFluo−4および0.025%のPluronic F127(Sigma−Aldrich,Taufkirchen,Germany)を添加した緩衝液Aにより負荷される。次に、細胞は緩衝液Aで2回洗浄され、0.05%のBSAおよび0.05%のゼラチンをさらに含有する緩衝液Aと共に室温で30分間インキュベートされ、次に、FLIPRにおいてCa2+測定のために使用される。
【0136】
Ca2+依存性の蛍光は、ここでは、物質の添加の前および後に測定される(λex=488nm、λem=540nm)。定量化は、最高蛍光強度(FC、蛍光カウント)を経時的に測定することによって実施される。
【0137】
3. FLIPRアッセイ:
FLIPRプロトコールは、2回の物質の添加を含む。まず試験物質(10μm)が細胞上にピペットで移され、対照(hB1R:Lys−Des−Argブラジキニン>=50nM、rB1R:Des−Argブラジキニン10μM)と、Ca2+の流入が比較される。それにより、Lys−Des−Argブラジキニン(>=50nM)またはDes−Argブラジキニン(10μM)の添加後のCa2+シグナルに基づいた活性化%の値が得られる。
【0138】
10〜20分のインキュベーションの後、Lys−Des−Argブラジキニン(hB1R)またはDes−Argブラジキニン(rB1R)は、EC80濃度において適用され、Ca2+の流入が同様に決定される。
【0139】
アンタゴニストは、Ca2+の流入の抑制をもたらす。達成可能な最大阻害と比較した阻害%が計算される。
【0140】
IC50値を決定するために、物質は様々な濃度で添加される。2通りまたは3通りの決定が実施され(n=2またはn=3)、これらは、少なくとも1種のさらなる独立実験において繰り返される(N>=2)。
【0141】
化合物は、好ましくは、ヒト受容体および/またはラット受容体においてB1Rアンタゴニスト作用を示す。次のデータは例として以下の表において提供される(「阻害%(ラットB1R)10μM」は「10μMにおけるラットB1Rの阻害%」を示し、「阻害%(ヒトB1R)10μM」は「10μMにおけるヒトB1RヒトB1Rの阻害%」を示す)。
【0142】
4. ヒトμ−オピエート受容体に対する親和性を決定するための方法
ヒトμ−オピエート受容体に対する受容体親和性は、マイクロタイタープレートにおいて均一バッチで決定される。このために、試験すべき物質の希釈系列は、1nmol/lの放射性リガンド[H]ナロキソン(NET719、PerkinElmer Life Sciences,Zaventem,Belgium)および1mgのWGA−SPAビーズ(Amersham/Pharmacia,Freiburg,Germanyからのコムギ胚芽凝集素SPAビーズ)の存在下、ヒトμ−オピエート受容体の発現を示すCHO−K1細胞の受容体膜調製物(15〜40μgのタンパク質/250μlのインキュベーションバッチ)(PerkinElmer Life Sciences,Zaventem,BelgiumからのRB−HOM受容体膜調製物)と共に、250μlの総体積において、室温で90分間インキュベートされる。0.06%のウシ血清アルブミンが補充された50mmol/lのtris−HClがインキュベーション緩衝液として使用される。非特異的結合を決定するために、100μmol/lのナロキソンも添加される。90分間のインキュベーション時間の最後に、マイクロタイタープレートは1000gで20分間遠心分離され、β−カウンタ(Microbeta−Trilux、PerkinElmer Wallac,Freiburg,Germany)において放射活性が測定される。1μmol/lの試験物質の濃度において、放射性リガンドのヒトμ−オピエート受容体への結合からのその置換率が決定され、特異的結合の阻害率として記載される。試験物質の異なる濃度による置換率から、放射性リガンドの約50パーセントの置換をもたらすIC50阻害濃度が計算される。試験物質のK値は、チェン−プルソフ(Cheng−Prusoff)の式を用いる外挿によって得られる。
【0143】
本発明は、実施例によって以下で説明される。これらの説明は単なる例として提供され、本発明の一般的な概念を限定しない。
【実施例】
【0144】
使用される化学薬品および溶媒は、通常の供給業者(Acros、Aldrich、Fluka、Lancaster、Maybridge、TCI、Fluorochem、Tyger、ABCR、Fulcrum、FrontierScientific、Milestoneなど)から商業的に入手した。生成した化合物の収率は最適化されていない。溶媒のブレンド比は、常に、体積/体積比で与えられる。使用される試薬の当量、ならびに溶媒量、反応温度および時間は、同じ方法を用いて実施される異なる反応においては若干異異なり得る。化合物の特有の特性に従って、処理および精製方法を適合させた。他に記載されない限り、カラムクロマトグラフィによる精製のための固定相としてシリカゲルを用いた。
【0145】
単一化合物は、HPLC−MSおよび/またはNMRによって分析した:
・ NMR:Bruker 440MHzまたは600MHz機器、
・ LC−MS分析のための材料および方法:HPLC:PDA Waters 2998を備えたWaters Alliance 2795、MS:Micromass Quattro MicroTM API、カラム:Waters Atlantis(登録商標)T3、3μm、100オングストローム、2.1×30mm、カラム温度:40℃、溶離液A:水+0.1%ギ酸、溶離液B:アセトニトリル+0.1%ギ酸、勾配:8.8分で0%Bから100%Bへ、100%Bで0.4分間、0.01分で100%Bから0%Bへ、0%Bで0.8分間、流速:1.0ml/分、イオン化:ES+、25V、構成(make−up):100μl/分の70%メタノール+0.2%ギ酸、UV:200〜400nm。
【0146】
A)単一化合物の合成
1.)酸構造単位(S)の合成
2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(S1)の合成
段階1:(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メタノール
ピペリジン−2−イルメタノール(1.1当量)をジクロロメタン(4ml/mmol)中に溶解し、冷却し、トリエチルアミン(2.5当量)を添加した。ジクロロメタン(2ml/mmol)中の塩化4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスルホニル(1当量)の溶液を0℃において液滴で添加し、次に、混合物を室温で90分間攪拌した。塩化水素溶液(eq、0.5mol/l、2ml/mmol)を添加し、混合物を15分間攪拌し、相を分離した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:20%
【0147】
段階2:2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチル
トルエン(5ml/mmol)中の(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メタノール(1当量)の冷却溶液に、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.33当量)および水酸化ナトリウム溶液(5ml/mmol、35%)を0℃で添加した。次にブロモ酢酸tert−ブチル(1.5当量)を0℃において液滴でゆっくり添加した。混合物を室温で90分間攪拌した後、相を分離し、有機相を中性pHになるまで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:64%
【0148】
段階3:2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(S1)
2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチル(1当量)をジクロロメタン(10ml/mmol)中に溶解し、冷却し、トリフルオロ酢酸(13当量)を室温でゆっくり添加した。室温で2時間攪拌した後、反応混合物を真空下で少量まで濃縮し、乾燥させた。粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:定量的
【0149】
(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(S2)の合成
段階1:(S)−ピペリジン−2−イルメタノール
(S)−ピペリジン−2−カルボン酸(2g、15.5mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)中に導入し、三フッ化ホウ素エーテラート(2.1ml、117.1mmol)を添加した後、テトラヒドロフラン中のホウ素ジメチルスルフィド(boron dimethyl sulfide)(液滴状、3ml、30.9mmol)を添加した。次に、反応混合物を16時間還流させた。混合物を氷冷メタノール(10ml)で反応停止させ、塩化水素溶液(濃、eq、3ml)を液滴で添加し、混合物を30分間還流させた。冷却した後、混合物を希水酸化ナトリウム溶液(4%)でアルカリ化し、ジクロロメタン(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:44%
【0150】
段階2:(S)−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メタノール
(S)−ピペリジン−2−イルメタノールから出発して、酸(S1)の段階2と類似した方法で反応を実施した。
収率:20%
【0151】
段階3:(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチル
(S)−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メタノールから出発して、酸(S1)の段階3と類似した方法で反応を実施した。
収率:64%
【0152】
段階4:(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(S2)
(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチルから出発して、酸(S1)の段階4と類似した方法で反応を実施した。
収率:定量的
【0153】
2−(2−(N−シクロプロピル−4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)エトキシ)酢酸(S3)の合成
段階1:2−(シクロプロピルアミノ)エタノール
エタノール(20ml)中のシクロプロピルアミン(20mmol)およびブロモエタノール(8mmol)の溶液を50℃で16時間加熱した。溶媒を除去し、残渣をトルエン(2×10ml)により同時蒸発させた。高真空下での乾燥の後、粗生成物をさらに処理することなく次の段階で直接使用した。
収率:65%
【0154】
段階2:N−シクロプロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド
ジクロロメタン(24ml)およびトリエチルアミン(2.5当量)中の2−(シクロプロピルアミノ)エタノール(8mmol)の溶液に、ジクロロメタン(12ml)中の塩化4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスルホニル(7mmol)の溶液を液滴でゆっくり添加し、0℃に冷却した。添加が完了したら、反応が完了するまで混合物を25℃で90分間攪拌した。混合物をジクロロメタン(200ml)で希釈し、水および飽和NaCl溶液で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、完全に濃縮して、所望の生成物を得た。
収率:20%
【0155】
段階3:2−(2−(N−シクロプロピル−4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)エトキシ)酢酸tert−ブチル
トルエン(18ml)中のN−シクロプロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド(3.3mmol)の溶液に、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.33当量)および35%の水酸化ナトリウム溶液(18ml)を添加し、0℃に冷却した。この混合物にブロモ酢酸tert−ブチル(1.5当量)を0℃でゆっくり添加した、添加が完了したら、反応が完了するまで混合物を25℃で90分間攪拌した。有機相を分離し、中性pHが測定されるまで水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、ろ過し、完全に濃縮して、所望の生成物を得た。
収率:90%
【0156】
段階4:2−(2−(N−シクロプロピル−4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)エトキシ)酢酸(S3)
ジクロロメタン(10ml/mmol)中の2−(2−(N−シクロプロピル−4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)エトキシ)酢酸tert−ブチルの溶液に、0℃においてトリフルオロ酢酸(13当量)を液滴で添加し、得られた溶液を25℃で2時間攪拌した。混合物を完全に濃縮し、トリフルオロ酢酸の痕跡を高真空下で除去した。粗生成物をさらに処理することなく次の段階で直接使用した。
【0157】
(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)インドリン−2−イル)メトキシ)酢酸(S4)の合成
段階1:(S)−インドリン−2−イルメタノール
THF(18ml)中の(S)−インドリン−2−カルボン酸(9.2mmol、1.0当量)の溶液に、BH−DMS溶液(18.4mmol、2当量)を液滴で添加し、混合物を12時間還流させた。メタノール(7.5ml)および濃HCl(2.5ml)を冷却しながら反応混合物に添加し、次にさらに2時間還流を続けた。溶媒を真空下で除去し、残渣を40%のNaOH溶液でアルカリ性にし、DCMで抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィにより処理した。
収率:87%
【0158】
段階2:(S)−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)インドリン−2−イル)メタノール
DCM(20ml)中の(S)−インドリン−2−イルメタノール(4.60mmol、1.2当量)およびトリエチルアミン(2.5当量)の冷却(0℃)溶液に、DCM(5ml)中の4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスルホン酸クロリド(3.83mmol、1.0当量)を液滴で添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。それを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィにより処理した。
収率:72%
【0159】
段階3:(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)インドリン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチル
トルエン(20ml)中の(S)−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)インドリン−2−イル)メタノール(3.3mmol、1.0当量)および塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム(1.1mmol、0.33当量)の冷却(0℃)溶液に、35%の水酸化ナトリウム溶液(10ml)を添加した。この混合物にブロモ酢酸tert−ブチル(1.5当量)をゆっくり添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィにより処理した。
収率:50%
【0160】
段階4:(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)インドリン−2−イル)メトキシ)酢酸(S4)
DCM(6ml)中の(S)−2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)インドリン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチル(0.5mmol)の冷却(0℃)溶液に、TFA(1.5ml)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を次の段階で使用した。
【0161】
(3R)−(ナフチル−2−スルホンアミド)−3−フェニルプロピオン酸(S5)の合成
段階1:(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルエステル塩酸塩
メタノール(50ml)中のR−β−フェニルアラニン(6mmol)の溶液に、攪拌しながら25℃において塩化チオニル(9mmol)を添加した。次に、反応混合物を16時間還流させ、薄層クロマトグラフィによる分析によって完全な転化を確認した。溶媒を真空下で除去して、塩酸塩を得た。
収率:定量的
【0162】
段階2:(R)−3−(ナフチル−2−スルホンアミド)−3−フェニルプロピオン酸メチルエステル
(R)−3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸メチルエステル塩酸塩(1.1当量)をジクロロメタン(4ml/mmol)中に溶解させ、冷却し、トリエチルアミン(2.5当量)を添加した。ジクロロメタン(2ml/mmol)中の塩化2−ナフチルスルホニル(1当量)の溶液を0℃において液滴で添加し、次に、混合物を室温で90分間攪拌した。塩化水素溶液(eq、0.5mol/l、2ml/mmol)を添加し、混合物を15分間攪拌させ、相を分離した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:70%
【0163】
段階3:(R)−3−(ナフチル−2−スルホンアミド)−3−フェニルプロピオン酸(S5)
メタノール(7.5ml/mmol)および水(2.5ml/mmol)中の(R)−3−(ナフチル−2−スルホンアミド)−3−フェニルプロピオン酸メチルエステル(1当量)の懸濁液に、水酸化リチウム一水和物(5当量)を添加し、反応混合物を25℃で72時間攪拌した。メタノールを真空下で除去し、水相を1(N)のHClで酸性化し、ろ過した。アセトン(30ml/mmol)およびメタノール(4ml/mmol)の混合物中に固体を溶かし、1時間攪拌させた。次に、固体をろ過し、真空下で乾燥させた。
収率:70%
【0164】
(S)−2−((1−(2−クロロ−6−メチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(S6)の合成
(S)−ピペリジン−2−イルメタノール(酸(S2)の段階1を参照)から出発して、酸(S1)の合成と類似した方法で合成を実施した:
【0165】
段階1:(S)−(1−(2−クロロ−6−メチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メタノール
(S)−ピペリジン−2−イルメタノールから出発して、酸(S1)の段階2と類似した方法で反応を実施した。
収率:30%
【0166】
段階2:(S)−2−((1−(2−クロロ−6−メチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチル
(S)−(1−(2−クロロ−6−メチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メタノールから出発して、酸(S1)の段階3と類似した方法で反応を実施した。
収率:60%
【0167】
段階3:(S)−2−((1−(2−クロロ−6−メチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(S6)
(S)−2−((1−(2−クロロ−6−メチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸tert−ブチルから出発して、酸(S1)の段階4と類似した方法で反応を実施した。
収率:定量的
【0168】
3−(1−(4−クロロ−2,5−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)プロピオン酸(S7)の合成
段階1:エチル3−(ピペリジン−2−イル)プロピオン酸エチルエステル塩酸塩
エタノール(飽和、40ml)中の塩化水素を0℃で3−ピペリジン−2−イル−プロピオン酸塩酸塩(1g、5mmol)に添加し、混合物を25℃16時間攪拌した(薄層クロマトグラフィによる分析)。溶媒を真空下で除去し、粗生成物を精製することなく次の段階で使用した。
収率:定量的
【0169】
段階2:3−(1−(4−クロロ−2,5−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)プロピオン酸エチルエステル
ジクロロメタン(15ml)中のエチル3−(ピペリジン−2−イル)プロピオン酸エチルエステル塩酸塩(1.1g、4.6mmol)の溶液に、攪拌しながら塩化4−クロロ−2,5−ジメチル−ベンゼンスルホニル(1g、3.8mmol)を添加し、混合物を0℃に冷却し、トリエチルアミン(1.6ml、11.5mmol)を15分間にわたって液滴で添加した。混合物を0℃で4時間攪拌し、次に、ジクロロメタンで希釈し、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィにより酢酸エチル/ヘキサン(9:1)で精製した。
収率:50%
【0170】
段階3:3−(1−(4−クロロ−2,5−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)プロピオン酸(S7)
3−(1−(4−クロロ−2,5−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)プロピオン酸エチルエステル(3.48g、9mmol)に25℃でメタノール/HO(3:1、90ml)を添加し、混合物を0℃に冷却し、水酸化リチウム(0.75g、18mmol)を添加し、混合物を25℃で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を水中に溶かし、ジクロロメタンで洗浄した。水相を塩化水素溶液(1mol/l)で注意深く酸性化し、酢酸エチルで抽出した。この有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。
収率:89%
【0171】
4−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)ブタン酸(S8)の合成
段階1:メチル4−(ピペリジン−2−イル)ブタン酸メチルエステル塩酸塩
メタノール中の塩化水素1.25mol/l(58ml、72.43mmol)を4−ピペリジン−2−イルブタン酸塩酸塩(1.5g、7.243mmol)に添加し、混合物を6時間還流させ、室温まで冷却し、3日間攪拌した。薄層クロマトグラフィによる分析により、反応物がまだ存在することが示された。付加的なメタノール中の塩化水素を添加し(4ml)、混合物を3時間還流させた。反応混合物を真空下で少量まで濃縮し、エタノール/ジエチルエーテル(1:1)(5ml)中に溶かした。溶液を氷冷ジエチルエーテル(300ml)中にゆっくり滴下し、得られた懸濁液を氷浴中で1時間攪拌し、固体を吸引し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させた。
収率:1.21g(75%)
【0172】
段階2:メチル4−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)ブタン酸メチルエステル
メチル4−(ピペリジン−2−イル)ブタン酸メチルエステル塩酸塩(1.26g、5.683mmol)をジクロロメタン(25ml)およびトリエチルアミン(4ml、28.417mmol)中に溶解し、ジクロロメタン(10ml)中の4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスルホン酸クロリド(2.67g、11.37mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。1mol/lのHCl溶液(10ml)を反応混合物に添加した後、相分離を行い、水相をジクロロメタン(2×20ml)で抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。ヘキサン/ジクロロメタン/ジエチルエーテル(400:100:50)によるカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)によって粗生成物を精製した。
収率:1.65g(75%)
【0173】
段階3:4−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)ブタン酸(S8)
メチル4−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)ブタン酸メチルエステル(1.65g、4.3mmol)を水(10ml)およびメタノール(35ml)中に溶解し、水酸化リチウム(0.3g、12.9mmol)を添加した。混合物を室温で3時間攪拌し、次に、メタノールを真空下で留去し、酢酸エチル(50ml)およびHCl溶液(1mol/l、10ml)を残渣に添加した。相を分離し、酢酸エチル(2×50ml)により抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。
収率:1.56g(98%)
【0174】
2−(1−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)酢酸(S9)の合成
段階1:2−(ピペリジン−2−イル)酢酸メチル塩酸塩
メタノール(60ml)中の2−カルボキシメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(6g、25mmol)の溶液に、攪拌しながら、塩化チオニル(5.5ml、75mmol)を添加し、次に、混合物を16時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、粗生成物を精製することなく次の段階で使用した。
収率:90%
【0175】
段階2:2−(1−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)酢酸メチル
ジクロロメタン(40ml/mmol)およびトリエチルアミン(2.5当量)中の2−(ピペリジン−2−イル)酢酸メチル塩酸塩(1.1当量)の冷却溶液(0℃)に、ジクロロメタン(1.6ml/mmol)中の塩化3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル(1当量)の溶液を液滴で添加した。混合物を25℃で90分間攪拌し、その後、反応は完了した(薄層クロマトグラフィ分析)。塩化水素溶液(0.5mol/l、2ml/mmol)を添加し、混合物を15分間攪拌した。有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。
収率:80%
【0176】
段階3:2−(1−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)酢酸(S9)
テトラヒドロフラン(176ml)中の2−(1−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)酢酸メチル(4.38g、12mmol)の溶液に、0℃で攪拌しながら、水(44ml)中の水酸化リチウム(1g、22mmol)の溶液を液滴で添加した。混合物を25℃で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を水中に溶解し、ジエチルエーテルで洗浄した。水相をクエン酸溶液(10%)で注意深く酸性化し、酢酸エチルで抽出した。この有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:90%
【0177】
(R)−2−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピラジン−2−イル)酢酸(S10)の合成
段階1:(S)−4−tert−ブトキシ−2−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)−4−オキソ酪酸
ジオキサン/水(1:1、20ml)中の(S)−2−アミノ−4−tert−ブトキシ−4−オキソブタン酸(5,1mmol、1,2当量)の懸濁液に重炭酸ナトリウム(1.5当量)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌した。ジオキサン(10ml)中の4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスルホン酸クロリド(4.3mmol、1.0当量)の溶液を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応が完了したら、有機溶媒を真空下で除去し、水相を10%のHCl(eq)で酸性化した。次に、DCMにより抽出を実施し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空下で少量まで濃縮した。
収率:45%.
【0178】
段階2:(S)−4−(2,2−ジメトキシエチルアミノ)−3−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)−4−オキソブタン酸tert−ブチル
DCM(10ml/mmol)中の(S)−4−tert−ブトキシ−2−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)−4−オキソ酪酸(1.91mmol、1.0当量)の溶液に、0℃において、ジイソプロピルエチルアミン(2.5当量)を添加した後、HOBT(1.0当量)およびEDCI(1.5当量)を添加した。得られた溶液を25℃で15分間攪拌し、再度0℃に冷却し、2,2−ジメトキシエタンアミン(1.2当量)を添加した。反応混合物を15℃で16時間攪拌した。次に、それをDCMで希釈し、飽和塩化アンモニウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液、飽和重炭酸ナトリウム溶液、そして最後に飽和塩化ナトリウム溶液で抽出した。有機相を乾燥させ(NaSO)、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィにより処理した。
収率:70%
【0179】
段階3:(S)−2−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピラジン−2−イル)酢酸tert−ブチル
ジオキサン(12ml)中の(S)−4−(2,2−ジメトキシエチルアミノ)−3−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)−4−オキソブタン酸tert−ブチル(1.26mmol)の溶液に、PTSA(0.62当量)を添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチル中に溶かした。有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で抽出し、乾燥させ(NaSO)、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィにより処理した。
収率:35%
【0180】
段階4:(S)−2−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピラジン−2−イル)酢酸(S10)
DCM(6ml)中の(S)−2−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピラジン−2−イル)酢酸tert−ブチル(210mg、1当量)の冷却(0℃)溶液に、TFA(1.5ml)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を次の段階で使用した。
【0181】
塩化スルホニルの合成
4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホン酸クロリド
ジクロロメタン(1ml/mmol)中の3,5−ジメチルアニソール(1当量)の溶液に、ジクロロメタン(0.5ml/mmol)中のクロロ硫酸(2.3当量)を10分間にわたって液滴でゆっくり添加し、0℃に冷却した。反応混合物をさらに10分間攪拌し、次に、氷水(クロロ硫酸に対して5当量)中にゆっくり滴下した。相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した(繰り返し、UV分析)。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、真空下で少量まで濃縮した。
収率:82%
【0182】
2.)アミン構造単位(A)の合成
N,N−ジメチル−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン(A1)の合成
段階1:N,N−ジメチル−8−フェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−アミン
メタノール(50ml)中の1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オン(128mmol)の溶液に酢酸(30ml)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、ジメチルアミン溶液(200ml、40%当量)を液滴で添加した。同じ温度でシアン化カリウム(2当量)を添加し、次に、冷却浴を除去し、反応混合物を室温で15時間攪拌した。それを水酸化アンモニウム溶液(50%eq、800ml)により加水分解し、1時間攪拌し、次に、酢酸エチルで希釈した。相分離の後、有機相を水、飽和塩化ナトリウム溶液および飽和硫酸鉄溶液で洗浄し、真空下で少量まで濃縮した。粗ジメチルアミノニトリル中間体(16g)をテトラヒドロフラン(200ml)中に溶解させ、冷却し、塩化フェニルマグネシウム溶液(760ml、ヘキサン中1mol/l)を液滴で添加した。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。それを飽和塩化アンモニウム溶液により加水分解し、酢酸エチルで希釈した。相分離の後、有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。メタノール/DCMによるカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)によって粗生成物を精製した。
収率:59%
【0183】
段階2:4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサノン
N,N−ジメチル−8−フェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−アミン(4g、14mmol)に、0℃において、塩化水素溶液(50ml、6mol/l)を10分間にわたって液滴で添加した。冷却浴を除去し、溶液を25℃で16時間攪拌した。酢酸エチル(3×50ml)による抽出を実施し、水相を水酸化ナトリウム溶液(6mol/l)(pH=14)でアルカリ化し、ジクロロメタン(4×100ml)で抽出した。合わせたジクロロメタン相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、真空下で少量まで濃縮した。ジクロロメタン中の5%のメタノールによるカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)によって粗生成物を精製した。
収率:67%
【0184】
段階3:9−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソ−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリル
4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサノン(3g、12.3mmol)にエタノール性のアンモニア溶液(30ml)を0℃で添加し、この温度で24時間攪拌した。沈降物をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。残渣を真空下で乾燥させ、さらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:23%
【0185】
段階4:2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)二酢酸
9−(ジメチルアミノ)−2,4−ジオキソ−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリル(0.12g)に、0℃において、硫酸(0.5ml)を液滴で添加し、冷却浴を除去し、溶液を25℃で16時間攪拌した。水(0.5ml)を添加した後、溶液を24時間還流させた。黒色沈降物をろ過し、ろ液を真空下で少量まで濃縮し、粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
【0186】
段階5:3,3’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジプロパン酸ジエチル
エタノール(2ml)中の2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)二酢酸の溶液に硫酸(0.25ml)を添加し、次に、混合物を20時間還流させた。反応混合物を25℃に冷却し、真空下で少量まで濃縮した。残渣を炭酸ナトリウム溶液により中和し、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。ジクロロメタン中2%のメタノールによるカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)によって粗生成物を精製した。
収率:66%(2段階の後)
【0187】
段階6:2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジエタノール
乾燥テトラヒドロフラン(4ml)中の水素化アルミニウムリチウム(0.093g、2.43mmol)の懸濁液に、0℃において、乾燥テトラヒドロフラン(4ml)中の3,3’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジプロパン酸ジエチル(0.42g、1.22mmol)の溶液を液滴で添加し、次に、混合物を25℃に加熱し、3時間攪拌した。反応混合物を0℃で飽和硫酸ナトリウム溶液により加水分解し、ろ過し、残渣を酢酸エチルで洗浄した。合わせた有機相を真空下で少量まで濃縮し、乾燥させ、さらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:95%
【0188】
段階7:2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル)ジメタンスルホナート
ジクロロメタン(5ml)中の2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジエタノール(0.15g、0.47mmol)の氷冷溶液に、まずトリエチルアミン(0.16ml、1.18mmol)を添加した後、塩化メタンスルホニル(0.054ml、0.71mmol)を液滴で添加した。冷却浴を除去し、混合物を25℃で1時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:定量的
【0189】
段階8:3−アリル−N,N−ジメチル−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン
アリルアミン(5ml、66.44mmol)中の2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−フェニルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル)ジメタンスルホナート(0.16g、0.338mmol)の溶液を25℃で16時間攪拌した。アリルアミンを真空下で除去し、残渣を酢酸エチル中に溶かし、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、真空下で少量まで濃縮した。ジクロロメタン中1%のメタノールによるカラムクロマトグラフィ(Alox neutral)によって粗生成物を精製した。
収率:90%
【0190】
段階9:N,N−ジメチル−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン(A1)
乾燥トルエン(5ml)中の3−アリル−N,N−ジメチル−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン(0.09g、0.266mmol)の溶液に、室温において、グラブス触媒(0.012g、0.013mmol)を添加し、混合物を2時間還流させた。沈降物をセライトによりろ過し、酢酸エチルで再洗浄した。ろ液を真空下で少量まで濃縮し、粗生成物さらに精製することなく次の段階で使用した。
収率:定量的
【0191】
9−フェニル−9−(ピロリジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン(A2)の合成
段階1:1−(8−フェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)ピロリジン
乾燥ベンゼン(300ml)中の1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オン(10g、64mmol)、ベンゾトリアゾール(7.62g、64mmol)およびピロリジン(5.26ml、64mmol)の混合物を、水分離器において、アルゴン雰囲気下で18時間還流させた。反応混合物を25℃に冷却し、真空下で少量まで濃縮し、乾燥させた(アルゴンにより通気)。粗生成物を乾燥テトラヒドロフラン(50ml)中に溶かし、0℃に冷却した。臭化フェニルマグネシウム溶液(650ml、テトラヒドロフラン中1mol/l)を保護ガス下において液滴で添加した。冷却浴を除去し、混合物を25℃で18時間攪拌した。反応混合物を再度0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液により加水分解し、酢酸エチル(3×300ml)で抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、真空下で少量まで濃縮した。ジクロロメタン中5%のメタノールによるカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)によって粗生成物を精製した。
収率:13%
【0192】
段階2:4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサノン
1−(8−フェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)ピロリジンから出発して、アミン(A1)の段階2と類似した方法で反応を実施した。
収率:80%
【0193】
段階3:2,4−ジオキソ−9−フェニル−9−(ピロリジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリル
4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサノンから出発して、アミン(A1)の段階3と類似した方法で反応を実施した。
収率:29%
【0194】
段階4:2,2’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)二酢酸
2,4−ジオキソ−9−フェニル−9−(ピロリジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリルから出発して、アミン(A1)の段階4と類似した方法で反応を実施した。
【0195】
段階5:3,3’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジプロパン酸ジエチル
2,2’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)二酢酸から出発して、アミン(A1)の段階5と類似した方法で反応を実施した。
収率:53%(2段階の後)
【0196】
段階6:2,2’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジエタノール
3,3’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジプロパン酸ジエチルから出発して、アミン(A1)の段階6と類似した方法で反応を実施した。
収率:定量的
【0197】
段階7:2,2’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル)ジメタンスルホナート
2,2’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジエタノールから出発して、アミン(A1)の段階7と類似した方法で反応を実施した。
収率:71%
【0198】
段階8:3−アリル−9−フェニル−9−(ピロリジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン
2,2’−(4−フェニル−4−(ピロリジン−1−イル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル)ジメタンスルホナートから出発して、アミン(A1)の段階8と類似した方法で反応を実施した。
収率:60%
【0199】
段階9:9−フェニル−9−(ピロリジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン(A2)
3−アリル−9−フェニル−9−(ピロリジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカンから出発して、アミン(A1)の段階9と類似した方法で反応を実施した。
収率:90%
【0200】
9−(3−フルオロフェニル)−N,N−ジメチル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン(A3)の合成
段階1:8−(3−フルオロフェニル)−N,N−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−アミン
1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オンおよび4−フルオロフェニルマグネシウムクロリド(ヘキサン中1M)から出発して、アミン(A1)の段階1と類似した方法で反応を実施した。
【0201】
段階2:4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサノン
8−(3−フルオロフェニル)−N,N−ジメチル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−アミンから出発して、アミン(A1)の段階2と類似した方法で反応を実施した。
【0202】
段階3:9−(ジメチルアミノ)−9−(3−フルオロフェニル)−2,4−ジオキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリル
4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサノンから出発して、アミン(A1)の段階3と類似した方法で反応を実施した。
【0203】
段階4:2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)二酢酸
9−(ジメチルアミノ)−9−(3−フルオロフェニル)−2,4−ジオキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリルから出発して、アミン(A1)の段階4と類似した方法で反応を実施した。
【0204】
段階5:3,3’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジプロパン酸ジエチル
2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)二酢酸から出発して、アミン(A1)の段階5と類似した方法で反応を実施した。
収率:30%(2段階の後)
【0205】
段階6:2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジエタノール
3,3’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジプロパン酸ジエチルから出発して、アミン(A1)の段階6と類似した方法で反応を実施した。
収率:60%
【0206】
段階7:2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル)ジメタンスルホナート
2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ジエタノールから出発して、アミン(A1)の段階7と類似した方法で反応を実施した。
収率:定量的
【0207】
段階8:3−アリル−9−(3−フルオロフェニル)−N,N−ジメチル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン
2,2’−(4−(ジメチルアミノ)−4−(3−フルオロフェニル)シクロヘキサン−1,1−ジイル)ビス(エタン−2,1−ジイル)ジメタンスルホナートから出発して、アミン(A1)の段階8と類似した方法で反応を実施した。
収率:50%
【0208】
段階9:9−(3−フルオロフェニル)−N,N−ジメチル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミン(A3)
3−アリル−9−(3−フルオロフェニル)−N,N−ジメチル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−アミンから出発して、アミン(A1)の段階9と類似した方法で反応を実施した。
収率:定量的
【0209】
トリフルオロ酢酸9−(アゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン(A4)の合成
ステップ−1:ピペリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチル4−メチル
ジクロロメタン(200ml)中のイソニペコチン酸メチル(127.2mmol、1当量)の攪拌溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(190.8mmol、1.5当量)およびトリエチルアミン(254.4mmol、2.0当量)を添加した、反応混合物を25℃で12時間攪拌した。次に、それをジクロロメタン(100ml)で希釈し、水(50ml)および塩水(50ml)で洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、さらに精製することなく次のステップで使用した。
収率:98%
【0210】
ステップ−2:4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
THF(250ml)中のピペリジン−1,4−ジカルボン酸1−tert−ブチル4−メチル(171.3mmol、1当量)の攪拌溶液に、LiBH(342.6mmol、2当量)を0℃で添加した。次に反応混合物を2時間加熱還流させ、そして0℃に冷却した。氷水(100g)を添加し、水層を酢酸エチル(200ml)で抽出した。有機層を塩水(50ml)で洗浄し、層を分離し、有機物をNaSO上で乾燥させ、濃縮し、さらに精製することなく次のステップで使用した。
収率:82%
【0211】
ステップ−3:4−ホルミルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
DCM(300ml)中の4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(139.5mmol)の溶液に、PCC(209.3mmol、1.5当量)を0℃で添加した。次に、反応混合物を25℃で16時間攪拌させた。混合物をセライトによりろ過し、DCM(2×200ml)で洗浄し、有機物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(DCM中10%のEtOAc)によって精製し、所望の化合物を得た。
収率:42%
【0212】
ステップ−4:9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカ−7−エン−3−カルボン酸tert−ブチル
THF(250ml)中の4−ホルミルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(5.87mmol、1当量)の溶液に、メチルビニルケトン(7.63mmol、1.3当量)を0℃で添加した後、エタノール中3NのKOH(7.7ml)をゆっくり添加した。次に、反応を25℃で16時間攪拌した。反応混合物を溶媒体積の3分の1まで濃縮し、次に、0.5NのHClにより0℃で酸性化した。水層を酢酸エチル(2×100ml)で抽出し、有機物をNaSO上で乾燥させ、濃縮した。粗材料をさらに精製することなく次のステップで使用した。
収率:91%
【0213】
ステップ−5:9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル
9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカ−7−エン−3−カルボン酸tert−ブチル(6.41mmol、1当量)をエタノール(500ml)中に溶かし、混合物に10%のPd/C(3.4g)を添加した。混合物を25℃で16時間水素化した。反応混合物をセライトによりろ過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製し、所望の生成物を得た。
収率:38%
【0214】
ステップ−6:9−(アゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル
メタノール(15ml)および酢酸(1.5ml)中の9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル(2.99mmol、1当量)の溶液に、0℃において、アゼチジン(29.9mmol、10当量)を添加した。次に、シアン化カリウム(7.47mmol、2.5当量)を反応混合物に添加し、それをさらに16時間攪拌した。NHOH溶液(50gの氷+50mlのアンモニア液)により反応混合物をゆっくり反応停止させ、0℃でさらに30分間攪拌した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水(15ml)、飽和硫酸第一鉄溶液(15ml)および塩水(20ml)で連続的に洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を生じた。THF(30ml)中の粗生成物(1.1g)の溶液を、臭化フェニルマグネシウム(5当量、THF中1M溶液)の氷冷溶液に添加し、得られた反応混合物を窒素雰囲気下において25℃で16時間攪拌させた。氷冷条件下、飽和アンモニア溶液により反応混合物を反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水(10ml)および塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、粗生成物を生じた。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中25%のEtOH)により粗生成物を精製し、所望の生成物を得た。
収率:22%
【0215】
ステップ−7:トリフルオロ酢酸9−(アゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン(A4)
ジクロロメタン(3ml)中の9−(アゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル(0.65mmol、1当量)の攪拌溶液に、TFA(2ml)を0℃で添加し、反応混合物を23℃で数時間攪拌した。次に、反応を濃縮し、粗生成物がその対応するTFA塩として得られ、これを精製することなく次のステップで使用した。
【0216】
9−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン(A5)の合成
ステップ−1:9−ベンジル−2,4−ジオキソ−3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリル
1−ベンジルピペリジン−4−オン(20g、0.105mol)およびシアノ−酢酸エチルエステル(23.9g、0.21mol)の混合物に、飽和NH−エタノール溶液を−10℃で添加し、同じ温度を維持しながら混合物を1時間攪拌させた。反応混合物を冷蔵庫で2日間貯蔵した。形成した固体生成物にDCMを添加し、次に、混合物を焼結漏斗によりろ過し、固体をDCMで繰り返し洗浄した。白色固体を減圧下で乾燥させ、所望の生成物が得られ、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
収率:73%
【0217】
ステップ−2:2,2’−(1−ベンジルピペリジン−4,4−ジイル)二酢酸ジエチル
9−ベンジル−2,4−ジオキソ−3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−1,5−ジカルボニトリル(25g、77.63mmol)に65%のHSOを添加し、得られた混合物を2時間還流させた。反応混合物を室温まで冷却し、水(35ml)を添加した。再度、今回は一晩、反応混合物を還流させた。次に、それを5〜10℃に冷却し、40%のNaOH溶液によりpH約10に塩基性化した。それを2NのHClにより再度酸性化し、溶媒部分を減圧下で反応混合物から除去した。ディーン−スターク装置を用いて残りの部分をベンゼンにより共蒸留した。次にベンゼンを減圧下で除去し、濃硫酸を添加した。次に、混合物を一晩還流させた。反応混合物を室温まで冷却し、焼結漏斗によりろ過した。ろ液を濃縮し、水(50ml)を添加した。それを固体NaCOによりpH約7〜8に塩基性化し、次に、有機部分を酢酸エチルで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィにより精製し、所望の生成物を得た。
収率:55%
【0218】
ステップ3:2,2’−(1−ベンジルピペリジン−4,4−ジイル)ジエタノール
THF(50ml)中のLAH(656mg、17.3mmol、3.0当量)のスラリーに、0℃において、THF(10ml)中の2,2’−(1−ベンジルピペリジン−4,4−ジイル)二酢酸ジエチル(2g、5.76mmol)を液滴で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌させた。THF/水(7mlのTHF中0.7mlの水)により反応を停止させた。次に、混合物を室温で1時間攪拌し、セライトによりろ過し、濃縮乾固させ、所望の化合物を得た。粗生成物をさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
収率:80%
【0219】
ステップ4:4,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
2,2’−(1−ベンジルピペリジン−4,4−ジイル)ジエタノール(1.8g、6.844mmol)の溶液に、(Boc)O(1.93g、8.89mmol)およびPd/C(600mg)を添加した。Parr shakerの下、50psiで一晩混合物を水素化した。TLCにより完全な転化が明らかになり、反応混合物をセライトによりろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカ(100−200)、MeOH/DCM(6%))により精製し、所望の生成物を得た。
収率:81%
【0220】
ステップ−5:4,4−ビス(2−(メチルスルホニルオキシ)エチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
DCM(10ml)中の4,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(500mg、1.83mmol)の攪拌溶液に、塩化メシル(0.33ml、4.2mmol)およびTEA(1ml、7.32mmol)を−20℃で添加し、同じ温度を維持しながら混合物を30分間攪拌した。TLCにより反応の完了が明らかになり、それを水により反応停止させ、DCMで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮乾固させた。カラムクロマトグラフィ(シリカ(100−200)、EtOAc−ヘキサン(30%))によって粗生成物を精製し、所望の化合物を生じた。
収率:70%
【0221】
ステップ−6:4,4−ビス(2−シアノエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
4,4−ビス(2−(メチルスルホニルオキシ)エチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(550mg、1.282mmol)をエタノール−水(6ml、9:1)中に溶解し、KCN(183.3mg、2.82mmol)を室温で添加した。反応混合物を一晩60℃に加熱した。TLCによって出発材料の完全な消費が明らかになり、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、塩水で洗浄した。次に、それにFeSO溶液洗浄を行い、最後に有機層を塩水で洗浄した。有機物をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル(100−200)、酢酸エチル−ヘキサン(30%))によって粗生成物を精製し、所望の生成物を得た。
収率:46%
【0222】
ステップ−7:3,3’−(ピペリジン−4,4−ジイル)ジプロパン酸塩酸塩
4,4−ビス(2−シアノエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(130mg、0.446mmol)に、HCl−HO(1ml、1:1)を0℃で添加し、反応混合物を一晩還流させた。反応の完了後(LCMSにより監視)、溶媒を蒸発乾固させた。粗生成物をトルエン(2〜3×)により共沸させてから、次のステップにおいて直接使用した。
【0223】
ステップ−8:3,3’−(ピペリジン−4,4−ジイル)ジプロパン酸ジメチル塩酸塩
MeOH(2ml)中の3,3’−(ピペリジン−4,4−ジイル)ジプロパン酸塩酸塩(0.446mmol)の溶液に、SOCl(0.18ml、3.0当量)を0℃において液滴で添加した。次に、反応混合物を一晩還流させた。LCMSによる監視によって出発材料の完全な消費が明らかになり、溶媒を濃縮乾固させた。粗生成物をトルエンにより共沸させてから、次のステップにおいて直接使用した。
【0224】
ステップ−9:3,3’−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4,4−ジイル)ジプロパン酸ジメチル
DCM(2ml)中の3,3’−(ピペリジン−4,4−ジイル)ジプロパン酸ジメチル塩酸塩(0.44mmol、1.0当量)の攪拌溶液に、TEA(6.0当量)および(Boc)O(1.5当量)を0℃で添加した。次に、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水および塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィにより精製した。
収率:40%
【0225】
ステップ−10:9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3,8−ジカルボン酸3−tert−ブチル8−メチル
3,3’−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4,4−ジイル)ジプロパン酸ジメチル(600mg、1.68mmol)を乾燥THF(10ml)中に溶解させ、t−BuOK(417mg、3.6mmol)のTHF溶液を氷冷反応条件下で添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌させた。TLCによって反応の完了が明らかになった。溶媒を蒸発乾固させ、残渣を酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固させ、カラムクロマトグラフィにより精製し、所望の化合物を得た。
収率:78%
【0226】
ステップ−11:3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−オン塩酸塩
9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3,8−ジカルボン酸3−tert−ブチル8−メチル(450mg、1.38mmol)に、HCl−HO(5ml、1:1)を0℃で添加し、混合物を一晩還流させた。LCMSにより出発材料の完全な消費が明らかになり、混合物を濃縮乾固させた。このようにして得られた粗生成物を次のステップで直接使用した。
【0227】
ステップ−12:9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル
粗製の3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−オン塩酸塩をDCM(5ml)中に溶解させた。TEA(3.45mmol、2.5当量)および(Boc)O(0.4ml、2.07mmol、1.5当量)を溶液に添加し、得られた混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水および塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィにより精製し、所望の化合物を生じた。
収率:73%
【0228】
ステップ−13:9−シアノ−9−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル
MeOH:HO(25ml、9:1)中の9−オキソ−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル(600mg、2.247mmol)の溶液に、AcOH(2.5ml)および3,3−ジフルオロアゼチジン塩酸塩(2.1g、16.8mmol)を添加した後、KCN(436mg、6.72mmol)を添加した。次に、反応混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を氷冷水中の50%のNH溶液により反応停止させた。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で数回洗浄した。有機層にFeSO溶液洗浄を行い、最後に塩水洗浄を行った。有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固させ、得られた粗生成物に次のステップを直接行った。
【0229】
ステップ−14:9−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル
粗製の9−シアノ−9−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチルをTHF(20ml)中に溶かし、PhMgBr(12ml)を0℃で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。混合物をNHCl溶液により0℃で反応停止させ、次に、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル(100−200))により精製し、所望の化合物を得た。
収率:31%
【0230】
ステップ−15:9−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン(A5)
9−(3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル)−9−フェニル−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル(300mg、0.714mmol)をDCM(24ml)中に溶かし、TFA(6ml)を添加した。得られた混合物を3時間攪拌させた。TLCにより反応の完了が明らかになり、溶媒を減圧下で除去した。化合物をDCMにより共沸させ(2〜3×)、次のステップで使用した。
【0231】
3.)一般式(I)を有する実施例化合物の合成
【化22】

一般的な手順:
ジクロロメタン(10ml/mmol)中の酸構造単位(S)(1.当量)の溶液に、0℃において、ジイソプロピルエチルアミン(2.5当量)を添加した後、HOBT(1当量)およびEDCI(1.5当量)を添加した。冷却浴を除去し、溶液を25℃で15分間攪拌し、次に、再度0℃に冷却し、アミン構造単位(A)(1.2当量)を添加した。反応混合物を25℃で16時間攪拌し、次に、ジクロロメタン(30ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液、飽和炭酸ナトリウム溶液、そしてもう一度飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で少量まで濃縮した。主としてジクロロメタン中1%のメタノールを用い、Alox neutralによるカラムクロマトグラフィによって粗生成物を精製した。
【0232】
以下の表は、以下に与えられる実施例化合物の調製のために使用されるアミンおよび酸構造単位を示す。
【0233】
【表2】




【0234】
*実施例12の合成は、記載した一般的な手順に従わなかった:
THF(5ml)中の酸構造単位(S2)(0.65mmol、1当量)の攪拌溶液に、HATU(0.716mmol、1.1当量)を添加し、反応混合物を0℃に冷却した。DIPEA(1.6mmol、2.5当量)を混合物に添加し、それを10分間攪拌した。THF(3ml)中のアミン構造単位(A4)の溶液を液滴で添加し、反応混合物を16時間攪拌した。水(10ml)を混合物に添加し、それをDCM(3×25ml)で抽出した。合わせた有機層を水(25ml)および塩水(25ml)で洗浄し、次に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空で濃縮すると粗化合物が得られ、次にカラムクロマトグラフィ(MeOH中5%のDCM)によって精製し、所望の化合物を得た。
【0235】
**実施例13の合成は、記載した一般的な手順に従わなかった:
THF(5ml)中の酸構造単位(S2)(265mg、0.714mmol、1.0当量)の冷却(0℃)溶液に、DIPEA(4当量)およびHATU(1.5当量)を添加し、得られた混合物を室温で15分間攪拌した。それを再度0℃に冷却し、THF(2ml)中のアミン構造単位(A5)(0.714mmol、1.0当量)の溶液を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮乾固させ、酢酸エチルで希釈し、NaCO溶液、水および塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル(100−200))により精製し、所望の化合物を得た。
【0236】
B)ライブラリー化合物の合成
ライブラリー化合物の合成の場合、酸構造単位(S)は酸構成要素ACI−CCと称され、アミン構造単位(A)はアミン構成要素AMN−CCと称される。
【0237】
1)アミン構成要素の合成
概要:
【0238】
【表3】

【0239】
アミンAMN−CC−01の合成:
9−(3−フルオロフェニル)−9−(ピロリジン−1−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル(AMN−CC−01)
【化23】

【0240】
ステップ1:ジクロロメタン(200ml)中のピペリジン−4−カルボン酸メチル(20g、127.2mmol)の攪拌溶液に、boc−無水物(41.6ml、190.8mmol)およびトリエチルアミン(35.3ml、254.4mmol)を添加し、室温で12時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水および塩水で洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、さらに精製することなく次のステップのために使用した。
収率:98%
【0241】
ステップ2:THF(250ml)中のステップ1の生成物(44g、171.3mmol)の溶液に、LiBH(7.4g、342.4mmol)を0℃で添加した。次に、反応混合物を2時間還流させた。反応混合物を0℃に冷却し、氷水を添加した。次に、酢酸エチルを用いて水層を抽出し、最後に塩水洗浄を行った。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、さらに精製することなく次のステップのために使用した。
収率:82%
【0242】
ステップ3:ジクロロメタン(300ml)中のステップ2の生成物(30g、139.5mmol)の溶液に、PCC(45g、209.3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌させた。反応混合物をセライト床によりろ過し、ジクロロメタンで洗浄した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。
収率:42%
【0243】
ステップ4:THF(250ml)中のステップ3の生成物(12.5g、5.8mmol)の溶液に、メチルビニルケトン(6.2ml、7.6mmol)を0℃で添加した後、エタノール(7.7ml)中の3NのKOHをゆっくり添加した。次に、反応を室温で一晩攪拌させた。TLCにより出発材料の完全な消費が明らかになった。反応混合物を溶媒体積の3分の1まで濃縮し、0.5NのHClにより0℃で酸性化した。酢酸エチルを用いて水層を抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濃縮した。粗材料をさらに精製することなく次のステップのために使用した。
収率:91%
【0244】
ステップ5:エタノール(500ml)中のステップ4の生成物(12.5g、6.4mmol)に、10%のPd/C(3.4g)を添加した。混合物を室温で一晩水素化した。反応混合物をセライト床によりろ過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて精製した。
収率:38%
【0245】
ステップ−6:無水ベンゼン(140ml)中のステップ5の生成物(5.69g、20.9mmol)、ベンゾトリアゾール(2.49g、20.9mmol)、およびピロリジン(1.75ml、20.9mmol)の混合物をアルゴン雰囲気およびディーン−スターク条件下で18時間加熱還流させた。反応混合物を25℃にし、減圧およびアルゴン雰囲気下で濃縮乾固させた。粗材料を乾燥THF(100ml)中に溶解させ、0℃に冷却した。THF(168ml)中の3−フルオロフェニルマグネシウムブロミドの0.5M溶液をアルゴン雰囲気下において液滴で添加した。反応をゆっくり25℃にし、18時間攪拌させた。反応混合物を再度0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液により反応停止させ、酢酸エチル(3×300ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ(100−200メッシュのシリカゲル、ジクロロメタン中5%のメタノール)によって粗材料を精製し、所望の生成物を得た。
収率:4.5%
【0246】
アミンAMN−CC−02の合成:
9−(ジメチルアミノ)−9−(チオフェン−2−イル)−3−アザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボン酸tert−ブチル(AMN−CC−02)
【化24】

【0247】
ステップ1:メタノール(3ml)および酢酸(1ml)中のスピロ−ケトン(1g、3.7mmol)の溶液に、ジメチルアミン(40%水溶液、6ml、10当量)を0℃で添加した。次に、シアン化カリウム(2.当量)を固体添加漏斗により反応混合物に添加し、16時間攪拌した。反応混合物をNHOH溶液(50gの氷+50mlのアンモニア)によりゆっくり反応停止させ、0℃で30分間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和FeSOおよび塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗中間体を得た。THF(5ml)中のこの粗中間体(1.1g、粗製)の溶液を、チオフェン−2−マグネシウムブロミド(5当量、37mlのTHF中の2−ブロモチオフェン、Mgおよび触媒量のIから新たに調製)の氷冷溶液に添加し、反応混合物を窒素雰囲気下において室温で16時間攪拌させた。反応混合物を氷冷条件下で飽和アンモニアにより反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(EtOH/ヘキサン)によって粗生成物を精製し、所望の生成物を得た。
収率:18%
【0248】
2)酸構成要素の合成
概要:
【0249】
【表4】


【0250】
酸ACI−CC−01の合成:
2−((1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(ACI−CC−01)
パラレル合成の酸構成要素ACI−CC−01は、単一化合物の合成において使用される酸構造単位(S1)と同一である。
【化25】

【0251】
ステップ−1:ジクロロメタン(160ml)およびトリエチルアミン(2.5当量)中の2−ピペリジンメタノール(40mmol、1.1当量)の冷却(0℃)溶液に、0℃の温度を維持しながら、ジクロロメタン(65ml)中の塩化4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスルホニル(1当量)の溶液を液滴で添加した。添加が完了したら、反応混合物を室温で90分間攪拌させ、この時までに、反応は完了した(TLC)。75mlの0.5MのHClを反応混合物に添加し、15分間攪拌した。有機層を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させ、純粋な生成物を得た。
収率:90%
【0252】
ステップ−2:トルエン(100ml)中の上記で調製したスルホンアミド(17.16mmol)の冷却溶液に、塩化テトラブチルアンモニウム(0.33当量)および35%の水酸化ナトリウム溶液(100ml)を0℃で添加した。この冷却した反応混合物に、同じ温度を維持しながらブロモ酢酸tert−ブチル(1.5当量)を液滴で添加し、完全に添加したら、反応混合物を室温で90分間攪拌させ、この時までに、反応は完了した(TLC)。有機層を分離し、中性pHになるまで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させて、純粋な生成物を得た。
収率:90%
【0253】
ステップ−3:必要とされるtert−ブチルエステル(1当量)のジクロロメタン溶液(10ml/mmol)に、TFA(13当量)を0℃で添加し、得られた反応混合物を周囲温度で2時間攪拌させた。溶媒を蒸発させ、真空下で乾燥させ、TFAの痕跡を除去した。粗酸をさらに精製することなくライブラリー合成において直接使用した。
【0254】
酸ACI−CC−02の合成:
2−(2−(N−シクロプロピル−4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホンアミド)エトキシ)酢酸(ACI−CC−02)
パラレル合成の酸構成要素ACI−CC−02は、単一化合物の合成において使用される酸構造単位(S2)と同一である。
【化26】

【0255】
ステップ−1:シクロプロピルアミン(5g、1当量)をエタノール(60ml)中に溶かし、それに2−ブロモエタノール(0.5当量)を添加した。得られた反応混合物を60℃で16時間加熱した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、さらに精製することなく次のステップで直接使用した
収率:70%
【0256】
ステップ−2、ステップ−3およびステップ−4:前述のACI−CC−01の合成(ステップ−2、ステップ−3およびステップ−4)と同様にACI−CC−02の合成を行った。
【0257】
酸ACI−CC−03の合成:
2−((1−(2−クロロ−6−メチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)メトキシ)酢酸(ACI−CC−03)
【化27】

【0258】
前述のACI−CC−01の合成(ステップ−1、ステップ−2およびステップ−3)と同様にACI−CC−03の合成を行った。
【0259】
酸ACI−CC−04の合成:
2−(2−(2−クロロ−N−シクロプロピル−6−メチルフェニルスルホンアミド)エトキシ)酢酸(ACI−CC−04)
【化28】

【0260】
ステップ−1:シクロプロピルアミン(5g、1当量)をエタノール(60ml)中に溶かし、それに2−ブロモエタノール(0.5当量)を添加した。得られた反応混合物を60℃に16時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、さらに精製することなく次のステップで直接使用した。
収率:70%
【0261】
ステップ−2、ステップ−3およびステップ−4:前述のACI−CC−01の合成(ステップ−2、ステップ−3およびステップ−4)と同様にACI−CC−04の合成を行った。
【0262】
酸ACI−CC−05の合成:
2−(1−(3−(トリフルオロメチル)−フェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)酢酸(ACI−CC−05)
パラレル合成の酸構成要素ACI−CC−05は、単一化合物の合成において使用される酸構造単位(S9)と同一である。
【化29】

【0263】
ステップ−1:2−(1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−イル)酢酸(25mmol)の冷却(0℃)メタノール溶液(60ml)に、塩化チオニル(3当量)を添加し、得られた反応混合物を16時間還流させた。溶媒を完全に蒸発させ、粗固体を次のステップで直接使用した。
収率:90%
【0264】
ステップ−2:ジクロロメタン(100ml)およびトリエチルアミン(2.5当量)中のステップ−1で調製したエステル(12mmol、1当量)の冷却(0℃)溶液に、0℃の温度を維持しながら、ジクロロメタン(70ml)中の塩化3−トリフルオロメチルベンゼンスルホニル(1当量)の溶液を液滴で添加した。完全に添加したら、反応混合物を室温で90分間攪拌させた。有機層を分離し、水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて粗生成物が得られ、これは、次のステップで使用するために十分に純粋であった。
収率:80%
【0265】
ステップ−3:ステップ−2において得られたエステル(12mmol)に、THF−HO(8:2、220ml)の混合物を室温で添加し、反応混合物を0℃に冷却した。この冷却反応混合物にLiOH(2当量)を添加し、得られた溶液を周囲温度で16時間攪拌させた。溶媒を減圧下で完全に蒸発させ、残渣を水中に溶解し、ジクロロメタンで洗浄し、水層を1(N)のHClにより注意深く酸性化した。それを酢酸エチルで抽出し、水および塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層の蒸発により純粋な酸が得られた。
収率:90%
【0266】
酸ACI−CC−06の合成:
3−(1−(4−クロロ−2,5−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)プロパン酸(ACI−CC−06)
パラレル合成の酸構成要素ACI−CC−06は、単一化合物の合成において使用される酸構造単位(S7)と同一である。
【化30】

【0267】
ステップ−1:3−ピペリジン−2−イル−プロピオン酸塩酸塩(5g)をHClガスで飽和したエタノール(200ml)により0℃で処理し、得られた反応混合物を周囲温度で16時間攪拌させた(LCMSにより監視)。溶媒を減圧下で完全に蒸発させ、粗材料をさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
収率:90%
【0268】
ステップ−2:ステップ−1において得られたエステル(20mmol)のジクロロメタン溶液(60ml)に、塩化4−クロロ−2,5−ジメチルベンゼンスルホニル(25mmol)を添加し、得られた反応混合物を0℃に冷却した。この冷却反応混合物にトリエチルアミン(60mmol)を15分間にわたって液滴で添加した。反応をこの温度で4時間攪拌させた(TLCにより監視)。出発材料が完全に消費したら、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水および塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下での有機層の蒸発により粗スルホンアミドが得られ、これをカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中9:1の酢酸エチル)により精製した。
収率:80%
【0269】
ステップ−3:ステップ−2から得られたエステル(9mmol)に、メタノール−HO(3:1、90ml)の混合物を室温で添加し、反応混合物を0℃に冷却した。この冷却反応混合物にLiOH(2当量)を添加し、得られた溶液を周囲温度で16時間攪拌させた。溶媒を減圧下で完全に蒸発させ、残渣を水中に溶解させ、ジクロロメタンで洗浄し、水層を1(N)のHClにより注意深く酸性化した。それを酢酸エチルで抽出し、水および塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層の蒸発により純粋な酸を得た。
収率:80%
【0270】
酸ACI−CC−07の合成:
3−(ナフタレン−2−スルホンアミド)−3−フェニルプロパン酸(ACI−CC−07)
【化31】

【0271】
ステップ−1:メタノール(3ml/mmol)中の3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸(54mmol)の冷却(0℃)溶液に、塩化チオニル(3当量)を液滴で添加し、得られた反応混合物を12時間還流させた(LCMSにより監視)。溶媒を完全に蒸発させ、残渣を真空下で乾燥させた。それをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
収率:90%
【0272】
ステップ−2:ジクロロメタン(200ml)中のステップ−1から得られたエステル(32mmol)の冷却(0℃)懸濁液にトリエチルアミン(3当量)を添加し、得られた反応混合物をジクロロメタン(50ml)中の塩化ナフタレン−2−スルホニル(1.2当量)の溶液により処理した。得られた反応混合物を室温で3時間攪拌させた(TLCにより監視)。それをジクロロメタンで希釈し、水および塩水で洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層の蒸発により粗生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中3:7の酢酸エチル)により精製した。
収率:80%
【0273】
ステップ−3:ステップ−2から得られたエステル(9mmol)に、メタノール−HO(3:1、90ml)の混合物を室温で添加し、反応混合物を0℃に冷却した。この冷却反応混合物にLiOH.HO(2当量)を添加し、得られた溶液を周囲温度で16時間攪拌させた。溶媒を減圧下で完全に蒸発させ、残渣を水中に溶解させ、ジクロロメタンで洗浄し、水層を1(N)のHClにより注意深く酸性化した。それを酢酸エチルで抽出し、水および塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層の蒸発により純粋な酸が得られた。
収率:80%
【0274】
酸ACI−CC−08の合成:
4−(1−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニルスルホニル)ピペリジン−2−イル)ブタン酸(ACI−CC−08)
パラレル合成の酸構成要素ACI−CC−08は、単一化合物の合成において使用される酸構造単位(S8)と同一である。
【化32】

【0275】
ステップ−1:ピペリジン−2−エタノール(1当量)のジクロロメタン溶液(5ml/mmol)に、DIPEA(1.5当量)およびboc−無水物(1.2当量)を0℃で添加し、得られた反応混合物を25℃で12時間攪拌させた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、有機層を水および塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を減圧下で蒸発させて粗生成物が得られ、それをカラムクロマトグラフィにより精製した。
収率:78%
【0276】
ステップ−2:塩化オキサリル(1.1当量)のジクロロメタン溶液(3ml/mmol)に、アルゴン雰囲気下、−78℃でDMSO(2当量)を添加し、得られた反応混合物をこの温度で15分間攪拌した。この冷却反応混合物に、ジクロロメタン(3ml/mmol)中のステップ−1から得られたboc−保護アルコール(1当量)を液滴で添加し、それをこの温度で1時間攪拌させた。トリエチルアミン(5当量)を反応に添加し、それをゆっくり周囲温度にし、この温度で1時間攪拌させた。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、有機層を飽和塩化アンモニウム水、水、塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下での有機層の蒸発により粗生成物が得られ、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
収率:80%(粗)
【0277】
ステップ−3:乾燥THF(5ml/mmol)中の60%のNaH(1.1当量)の冷却(0℃)懸濁液に、THF(5ml/mmol)中のホスホノ酢酸トリエチル(1.1当量)の溶液をゆっくり添加し、得られた反応混合物を25℃で30分間攪拌させた。次に、それを0℃に冷却し、同じ温度を維持しながら、乾燥THF(5ml/mmol)中のステップ−2から得られたアルデヒド(1当量)を液滴で添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌させ、この時までに、出発材料は完全に消費された。それを氷および塩水溶液により反応停止させ、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を水および塩水で連続的に洗浄した。それを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて粗生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中50%の酢酸エチル)により精製した。
収率:59%
【0278】
ステップ−4:MeOH(5ml/mmol)中のステップ−3から得られたエステル(1当量)の溶液をアルゴンにより15分間脱酸素化した後、10%のPd/C(50重量%)を添加し、得られた反応混合物を大気圧下で1時間水素化した(LCMSにより監視)。それをセライト床によりろ過し、残渣をメタノールで洗浄し、合わせた有機層を完全に蒸発させて粗生成物が得られ、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
収率:90%(粗)
【0279】
ステップ−5:ステップ−4から得られたBoc−保護エステル(1当量)のジクロロメタン溶液に、ジクロロメタン(5ml/mol)中の20%のTFAを0℃で添加し、得られた反応混合物を25℃で3時間攪拌させた(TLCにより監視)。溶媒を完全に蒸発させ、適切に乾燥させてTFAの痕跡を除去し、粗材料を再度ジクロロメタン中に溶かし、0℃に冷却した。この冷却反応混合物に、TEA(4当量)、塩化4−メトキシ−2、6−ジメチルベンゼンスルホニルを添加し、得られた反応混合物を25℃で3時間攪拌させた(TLCにより監視)。それをジクロロメタンで希釈し、有機層を水および塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下での有機層の蒸発により粗生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィにより精製した。
収率:74%(粗)
【0280】
ステップ−6:ステップ−5から得られたエステル(12mmol)に、THF−HO(8:2、220ml)の混合物を室温で添加し、反応混合物を0℃に冷却した。この冷却反応混合物にLiOH(2当量)を添加し、得られた溶液を周囲温度で16時間攪拌させた。溶媒を減圧下で完全に蒸発させ、残渣を水中に溶解させ、ジクロロメタンで洗浄し、水層を1(N)のHClにより注意深く酸性化した。それを酢酸エチルで抽出し、水および塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層の蒸発によって所望の酸化合物を得た。
収率:93%
【0281】
3)実施例化合物(I)(CCアミドと称される)のパラレル合成
CCアミドを調製するためのパラレル合成法
【化33】

【0282】
CCアミドのパラレル合成
2段階のパラレルアプローチにおいて、酸構成要素ACI_CCをアミンAMN_CCによりアミドCCに転化させた。生成物および試薬、構成要素および方法の間の相関関係は、合成マトリックスから得ることができる。
【0283】
パラレル合成からの粗生成物をHPLC_MSにより分析し、その後精製した。生成物の同一性は、分析的HPLC−MS測定により実証した。
【0284】
パラレル合成:CCアミドの合成のためのプロトコール
ステップ−1:Boc−保護アミンAMN_CC(1当量)をジクロロメタン(10ml/mol)中20%のTFAにより0℃で処理し、得られた反応混合物を25℃で4時間攪拌させた(TLCにより監視)。溶媒を完全に蒸発させ、適切に乾燥させてTFAの痕跡を除去し、残渣をライブラリー合成において直接使用した。
収率:定量的
【0285】
ステップ−2:ACI_CC(1当量)のジクロロメタン溶液(3ml/mmol)に、EDCI(1.5当量)、HOBT(1当量)、DIPEA(2.5当量)を添加し、得られた反応混合物を25℃で15分間攪拌させた。別のフラスコにおいて、ジクロロメタン(1ml/mmol)中のBoc脱保護アミンBB(1.5当量)を氷浴中で冷却し、DIPEA(4当量)により処理し、それを反応混合物に添加した。反応混合物を25℃で16時間攪拌させ、ジクロロメタンで希釈した。有機層を塩化アンモニウム水、重炭酸ナトリウムおよび塩水で連続的に洗浄し、最後に硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下での有機層の蒸発により粗生成物が得られ、これをBiotageパラレル精製システムによって精製した。
収率:20〜50%
【0286】
【表5】




【0287】
薬理学的データ
以下の薬理学的データは、上記の方法を用いて測定した。
【0288】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
場合により、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマー、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、そのジアステレオマー、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物の形にある、あるいはそれぞれ、その塩基および/または生理学的に許容し得る塩の形にある、一般式(I)
【化1】

(式中、
r、sおよびtは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表し、
nおよびoは、それぞれ相互に独立して1または2を表し、
mおよびpは、それぞれ相互に独立して1、2または3を表し、
Qは、単結合、−O−または−CH−を示し、
は、CH(アリール)、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールもしくはヘテロアリールを示し、
およびRは、(i)または(ii):
(i)Rは、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、二環式8〜12員カルボシクリル、CH(アリール)、アリールまたはヘテロアリールを示すか、あるいはRは、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、二環式8〜12員カルボシクリル、CH(アリール)、アリールまたはヘテロアリールを示し、
は、H、F、Cl、Br、I、−CF、−OCF、OH、COOR16、CONR1718、O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを示すか、あるいはRは、C1〜6アルキレン基またはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを示す、
または
(ii)RおよびRはこれらを連結する−N−(CR4a4b−CH−基と一緒に複素環を形成し、前記複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換されてよく、そして/あるいは、場合により置換された少なくとも1つのアリールまたはヘテロアリールと縮環されてよく、
前記複素環は飽和または少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、そして基Rが結合するN−ヘテロ原子に加えて、それぞれ相互に独立してN、NR12、O、S、S=OまたはS(=O)より成る群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、ここで、基R12は、H、C1〜6アルキル、−C(=O)−R13、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、そしてR13は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、
4a、R4b、R5a、R5b、R6aおよびR6bは、それぞれ相互に独立してH、F、Cl、Br、I、−CF、−OCF、OH、SH、O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール、またはC1〜6アルキレン基もしくはC2〜6アルケニレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを表し、
は、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールもしくはヘテロアリールを示し、
およびRは、(iii)または(iv):
(iii)RおよびRは、それぞれ相互に独立してH、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜8シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示す、
または
(iv)RおよびRはこれらを連結する窒素原子と一緒に複素環を形成し、前記複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−C3〜8シクロアルキル、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換されてよく、そして/あるいは、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−C3〜8−シクロアルキル、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によってその炭素環員の1つ以上において置換されてよい飽和、少なくともモノ-不飽和または芳香族環系と縮環されてよく、
前記複素環は飽和、少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、基RおよびRが結合するN−ヘテロ原子に加えて、N、NR14、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのさらなるヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、前記環系は4、5、6または7員であり、N、NR15、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ原子団を含有することができ、R14は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示し、そしてR15は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示し、
10およびR11は、それぞれ相互に独立して0〜4個の置換基を表し、前記置換基は、それぞれ相互に独立してF、OH、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびC1〜6アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールより成る群から選ばれ、
前記基C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜3アルキレン、C1〜6アルキレン、C2〜6アルケニレン、カルボシクリル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換されていてもよく、そして前記基C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜3アルキレン、C1〜6アルキレンおよびC2〜6アルケニレンはそれぞれ分枝状でも非分枝状でもよく、
16は、C1〜6アルキルを示し、
17およびR18は、(v)または(vi):
(v)R17およびR18は、それぞれ相互に独立してHまたはC1〜6アルキルを示す、
または
(vi)R17およびR18はこれらを連結する窒素原子と一緒に複素環を形成し、前記複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換されてよく、そして/あるいは、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によってその炭素環員の1つ以上において置換されてよい飽和、少なくともモノ-不飽和または芳香族環系と縮環されてよく、
前記複素環は飽和、少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、基RおよびRが結合するN−ヘテロ原子に加えて、N、NR19、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのさらなるヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、前記環系は4、5、6または7員であり、N、NR20、O、S、S=OおよびS(=O)より成る群から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ原子団を含有することができ、R19は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示し、そしてR20は、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、ヘテロアリールもしくはC3〜8シクロアルキルより成る群から選ばれる基を示す)
で表わされる置換されたスピロアミン。
【請求項2】
が、フェニル、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(ベンゾチエニル)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾチアゾリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル(ジベンゾチエニル)、キノリニル、イソキノリニル、CH(フェニル)、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニルもしくはナフチルを示し、好ましくは、フェニル、ナフチル、ベンゾチオフェニル(ベンゾチエニル)、ベンゾオキサジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、チエニル、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニルを示し、特に好ましくは、フェニル、ナフチル、ベンゾチオフェニル(ベンゾチエニル)、またはC1または2アルキレン基を介して結合されたフェニルを示し、前記アリールまたはヘテロアリール基がそれぞれ非置換であるか、あるいは同一または異なってモノ置換またはポリ置換されており、前記置換基が、それぞれ相互に独立して、特に−O−C1〜3アルキル、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、F、Cl、Br、CF、OCF、OH、フェニル、フェノキシ、ナフチル、チアゾリル、チエニルおよびピリジニルより成る群から選ばれる、請求項1に記載の置換された化合物。
【請求項3】
前記一般式(I)において、部分構造(AcI)
【化2】

が、以下の基
【化3】

(式中、
200は、それぞれ相互に独立してF、Cl、−CF、=O、−O−CF、−OH、−O−C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキル、特に、FまたはCFから選択される0〜4個の置換基を示し、そして/あるいは2つの隣接する基R200は一緒に、縮環したアリールまたはヘテロアリール、特にベンゾ基を形成し、
210は、それぞれ相互に独立してO−C1〜3アルキル、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、CF、OCF、OH、SH、フェニル、ナフチル、フリル、チエニルおよびピリジニルから、特に、メチル、メトキシ、CF、OCF、F、ClおよびBrより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示し、
12は、H、C1〜6アルキル、−C(=O)−R13、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、
13は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示す)
のうちの1つを示す、請求項1または2に記載の置換された化合物。
【請求項4】
が、H、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜6シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリール、特に、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、フェニル、ピリジニル、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニルもしくはピリジニルを示し、いずれの場合も非置換であるか、あるいは同一または異なる置換基によってモノ置換またはポリ置換されており、
そして
が、H、F、Cl、−CF、−OH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、アリールまたはヘテロアリールを示すか、あるいはC1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールまたはヘテロアリールを示し、いずれの場合も非置換であるか、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換されており、特に、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニルまたはピリジニルを示す、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項5】
前記一般式(I)において、以下の部分構造
【化4】

が、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−または−CH−O−CH基を示す、請求項1〜4のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項6】
前記基R4a、R4b、R5a、R5b、R6aおよびR6bが、それぞれ相互に独立してH、F、Cl、CF、OH、OCFおよびOCHより成る群から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項7】
が、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルを示し、前記フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルが非置換であるか、あるいはそれぞれ相互に独立してC1〜4アルキル、O−C1〜4アルキル、F、Cl、CF、OCFおよび−CNより成る群から選ばれる置換基によってモノ置換またはポリ置換されている、請求項1〜6のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項8】
およびRが、それぞれ相互に独立してH、非置換またはモノ置換またはポリ置換されたC1〜6アルキルを示す、請求項1〜7のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項9】
およびRが、これらを連結する窒素原子と一緒に、一般式(II)
【化5】

(式中、
Zは、O、S NR15a、CHまたはC(ハロゲン)を示し、ここでR15aは、H、C1〜6アルキル、アリール、好ましくはフェニルもしくはナフチル、または1または2個のNヘテロ原子を有するヘテロアリール、好ましくは5〜6員ヘテロアリール、特にピリジニルを示すか、あるいはR15aは、C1〜3アルキレン基を介して結合されたアリール、好ましくはフェニルもしくはナフチル、またはC1〜3アルキレン基を介して結合された1または2個のNヘテロ原子を有するヘテロアリール、好ましくは5〜6員ヘテロアリール、特にピリジニルを示し、
xおよびyは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表すが、ただし、x+y=0、1、2または3であり、
300は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示し、
前記基C1〜6アルキル、C1〜3アルキレン、アリールおよびヘテロアリールは非置換であっても、あるいは同一または異なる基によってモノ置換またはポリ置換されていてもよい)
に従うタイプの複素環を形成する、請求項1〜8のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項10】
10およびR11がそれぞれ相互に独立して0〜4個の置換基を表し、前記置換基が、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項11】
部分構造
【化6】

が、以下の群
【化7】




(式中、
10およびR11は、それぞれ相互に独立して0〜4個の置換基を表し、前記置換基は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれ、
300は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示し、
310は、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、C1〜6アルキル、O−C1〜6アルキル、CF、OCFおよびCNより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示す)
のうちの1つを示す、請求項1〜10のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項12】
一般式(Ia)
【化8】

[式中、
sおよびtは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表し、
Qは、単結合、−O−または−CH−を示し、
は、フェニルまたはナフチルを示し、それぞれ非置換であるか、あるいは同一または異なってモノ置換またはポリ置換されており、前記置換基は、それぞれ相互に独立してO−C1〜3アルキル、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、CF、OCFおよびOHより成る群から選ばれ、
およびRは、(i)または(ii):
(i)Rは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、アリール、ヘテロアリールを示すか、あるいはRは、C1〜3アルキレン基を介して結合されたアリールまたはヘテロアリールを示し、
は、Hまたはフェニルを示し、前記フェニルは非置換であるか、あるいはF、Cl、−CF、−OCF、OH、メチルおよびメトキシより成る群から選ばれる置換基によってモノ置換またはポリ置換されている、
または
(ii)RおよびRは、これらを連結する−N−CH−基と一緒に複素環を形成し、前記複素環は、その炭素環員の1つ以上において、それぞれ相互に独立してF、Cl、Br、I、−NH、−CF、=O、−O−CF、−OH、−SH、−O−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる1つ以上の基によって置換されてよく、そして/あるいは、場合により置換された少なくとも1つのアリールまたはヘテロアリールと縮環されてよく、
前記複素環は飽和または少なくともモノ-不飽和であるが芳香族ではなく、4、5、6または7員であり、そして基Rが結合するN−ヘテロ原子に加えて、それぞれ相互に独立してN、NR12、O、S、S=OまたはS(=O)より成る群から選ばれる1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子団も含有することができ、ここで、基R12は、H、C1〜6アルキル、−C(=O)−R13、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、そしてR13は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜3アルキレン基を介して結合されたC3〜8シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールを示し、
は、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルを示し、前記フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、ピリジニルまたはベンジルは非置換であるか、あるいはそれぞれ相互に独立してC1〜4アルキル、O−C1〜4アルキル、F、Cl、CF、OCFおよび−CNより成る群から選ばれる置換基によってモノ置換またはポリ置換されており、
およびRは、(iii)または(iv):
(iii)RおよびRは、それぞれ相互に独立してH、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルより成る群から選ばれ、好ましくはHまたはメチルを表す、
または
(iv)RおよびRは、これらを連結する窒素原子と一緒に、一般式(II)
【化9】

(式中、Zは、O、S NR15a、CHまたはCFを示す)
に従うタイプの複素環を形成し、
15aは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ナフチルまたはピリジニルを示すか、あるいはR15aは、C1〜3アルキレン基を介して結合されたフェニル、ナフチルまたはピリジニルを表し、
xおよびyは、それぞれ相互に独立して0、1または2を表すが、ただし、x+y=0、1、2または3であり、
300は、それぞれ相互に独立してC1〜6アルキル、−O−C1〜6アルキル、OH、CF、F、アリール、ヘテロアリール、C1〜3アルキレン−アリールおよびC1〜3アルキレン−ヘテロアリールより成る群から選ばれる0〜4個の置換基を示す]
を有する、請求項1〜11のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項13】
【表1】




より成る群から選ばれる、請求項1〜12のいずれか1つに記載の置換された化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1つに記載の少なくとも1種の化合物を含有する薬剤。
【請求項15】
痛み、特に、急性痛、神経障害痛、内臓痛、慢性痛および炎症痛より成る群から選ばれる痛みの治療に有効な、または片頭痛、糖尿病、呼吸器の疾患、炎症性腸疾患、神経疾患、敗血性ショック、再灌流症候群、肥満を治療するための、および血管新生阻害薬としての、請求項14に記載の薬剤。

【公表番号】特表2012−506883(P2012−506883A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533604(P2011−533604)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007723
【国際公開番号】WO2010/049146
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】