説明

置換された2−フェニル−ベンゾイミダゾールおよび医薬品としてのそれらの使用

本発明は、X、R、R1〜R3およびnが特許請求の範囲に示された意味を有し、内皮一酸化窒素(NO)シンターゼの転写を調節する、式(I)の2−フェニル−ベンゾイミダゾールの誘導体であり、薬理学的に活性な化合物である。
詳細には、式(I)の化合物は、酵素内皮NOシンターゼの発現をアップレギュレーションし、上記酵素の発現増加またはNOレベルの増加または減少したNOレベルの正常化が要求される状態において適用することができる。本発明はさらに、式(I)の化合物の製造方法、該化合物を含有する医薬製剤、および内皮NOシンターゼの発現を刺激するための医薬の製造またはアテローム性動脈硬化症、血栓症、冠状動脈疾患、高血圧症および心機能不全のような心臓血管障害を含む種々の疾患の処置のための式(I)の化合物の使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内皮一酸化窒素(NO)シンターゼの転写を調節し、価値のある薬理学的に活性な化合物である式I:
【化1】

(式中、X、R、R1〜R3およびnは、以下に示す意味を有する)
の2−フェニル−ベンゾイミダゾールの誘導体に関する。特に、式Iの化合物は、酵素内皮NOシンターゼの発現をアップレギュレーションし、該酵素の発現の増加した状態もしくはNOレベルの増加した状態または低下したNO濃度の正常化が所望されるような状態に適用され得る。本発明はさらに、式Iの化合物の製造方法、それらを含む医薬組成物、ならびに内皮NOシンターゼの発現の刺激のため、または例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症、冠状動脈疾患、高血圧症および心機能不全(cardiac insufficiency)のような心臓血管障害を含む種々の疾患の処置のための医薬を製造するための式Iの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
内皮NOシンターゼ(eNOS、NOS−III)は、アルギニンの酸化反応によって一酸化窒素(NO)を産生する3つのアイソザイムの群に帰属する。内皮に放出されたNOは、多数の重要な心臓血管機構の中心的重要性を有する。それは血管拡張作用を有し、そして血小板の凝集、内皮への白血球の接着および内膜平滑筋細胞の増殖を阻害する。
【0003】
内皮NOシンターゼは、転写および転写後のレベルの両方で生理的調節および病態生理学的調節に従う。すでに内皮に存在する酵素は、特異的なアミノ酸のリン酸化によるだけでなく、特異的タンパク質との直接的相互作用によってもまた、カルシウムに依存した活性化およびカルシウムから独立した活性化を受け得る。この通常一時的なNO放出の刺激因子は、細胞外アルギニン、17β−エストロゲン、および血流によって内皮の内腔面に及ぼされる機械的刺激(剪断応力)である。さらに、後者は転写レベルでeNOSの調節につながる。従って、例えばSessaら(非特許文献1)は、運動トレーニングおよびそれと関連する剪断応力の増加によってeNOSの著しい増加を得ることができた。
【0004】
転写後のレベルの調節が生体内で重要かどうかは明白に証明されていなかった。従って、例えば、高いアルギニン用量の投与の後は、冠状動脈性心臓病患者の内皮に依存した血管緊張低下の一時的な改善のみが生じる。
【0005】
他方、eNOSタンパクのアップレギュレーションの意義は科学的に受け入れられる。従って、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤シンバスタチンの保護特性が、脂質低下効果に加えて、ある程度生体内でのeNOS発現の増加に起因することを示す所見がある(非特許文献2)。さらに、eNOS遺伝子(「eNOSプロモータ」)の5’−フランキング領域における単一の点突然変異、およびそれと関連したeNOS遺伝子転写速度の減少が、日本人集団において、冠状動脈痙攣の危険度の増加と関係していることが知られている(非特許文献3)。
【0006】
従って現在の推定は、eNOS調節の転写および転写後のメカニズムが、多数の障害、特に心血管障害においてひどく乱されているということである。多種多様な心血管障害の非常に初期の段階でさえ、血管を覆う内皮のこのタイプの機能不全が生理活性なNOの欠乏につながる可能性があり、それは、測定できる病態生理学的および形態的変化の形で、障害の進行につれて発現する。このように、アテローム発生の初めの臨界段階が、例えば低密度リポタンパクの酸化、血管内膜における単核細胞の補充および沈積、ならびに内膜細胞の増殖のような、内皮NO放出の減少によって促進される。アテローム発生の帰結は血管の内側でのプラーク発生であり、これは次に、剪断応力の減退によって、内皮NO放出のさらなる減少および病状のさらなる悪化につながる。内皮NOはまた血管拡張因子であるので、その減少はしばしば高血圧につながり、それは独立危険因子としてさらなる器官損傷を引き起こし得る。
【0007】
従って、これらの障害の処置に対する治療的アプローチの目標は、内皮NO発現を増加させることによって事象のこの連鎖を中断することでなければならない。以前損傷した血管におけるNOシンターゼの過剰発現を生体外でもたらす遺伝子導入実験は、実際、記載された方法に対抗し得るものであり、従って、このアプローチの正しさの証拠である(非特許文献4)。
【0008】
細胞培養において、eNOS転写および発現についての直接的効果をもたらし得るいくつかの低分子量化合物が、文献に開示されている。スタチンについては、すでに述べたように、これまでのところ副作用として生体内でeNOSの増加を示すことが可能である。しかし、この種類の物質の副作用の公知の範囲を考慮して、どの程度までのこの作用の使用が、毒物的に問題のない用量でなされ得るかは不明である。Liaoらは、特許文献1および特許文献2において、rhoGTPアーゼ阻害剤ならびに、内皮細胞においてeNOSを増やすためおよび例えば発作または肺高血圧のような種々の障害の治療のためにアクチン細胞骨格の構築に影響する薬剤の使用を特許請求している。しかしながら、これを遂行する具体的な方法は示していない。内皮NOシンターゼの発現をアップレギュレーションする特定のアミド誘導体、特に、シクロアルキル環がベンゼン環または芳香族複素環に縮合しているN−シクロアルキルアミドが、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8および特許文献9に記載されている。内皮NOシンターゼの発現をアップレギュレーションする特定のトリアザ−アントラセンジオン誘導体およびテトラアザ−アントラセンジオン誘導体は、特許文献10に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO99/47153
【特許文献2】WO00/03746
【特許文献3】WO02/064146
【特許文献4】WO02/064545
【特許文献5】WO02/064546
【特許文献6】WO02/064565
【特許文献7】WO2004/014369
【特許文献8】WO2004/014372
【特許文献9】WO2004/014842
【特許文献10】WO2004/094425
【特許文献11】WO2006/050506
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Circ.Research 74(1994)349
【非特許文献2】Endresら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1998)8880
【非特許文献3】Nakayamaら、Circulation 99(1999)2864
【非特許文献4】Varenneら、Hum.Gene Ther.11(2000)1329
【非特許文献5】Goekerら、Eur.J.Med.Chem.40(2005)1062
【非特許文献6】Goekerら、Molecules 10(2005)1377
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
内皮NOシンターゼの発現をアップレギュレーションし、有利な特性プロフィールを有し、例えばアテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患または心機能不全(cardiac insufficiency)のような種々の疾患の処置のための医薬品として有用であるさらなる化合物に対する必要性が未だなお存在している。
【0012】
驚いたことに、式Iの化合物は内皮NOシンターゼの転写のモジュレーターであり、特にeNOSの発現を刺激またはアップレギュレーションし、かつ上述の心臓血管障害のような種々の疾患の処置に有用であることが見い出された。
【0013】
特定の2−フェニル−ベンゾイミダゾール誘導体はすでに記載されている。例えば、特許文献11においては、以下の化合物が、ハリネズミのタンパク質情報伝達経路のメディエーターである化合物の合成における中間体として開示されている:2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン(その互変異性型もまた、2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジンと呼ばれる)、および2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−5−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−1H−ベンゾイミダゾール(その互変異性型もまた2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−5−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−3H−ベンゾイミダゾールと呼ばれる)。非特許文献5、および非特許文献6においては、いくつかの抗菌性および抗真菌性2−フェニル−ベンゾイミダゾールカルボキサミジンが開示されており、これらはアミジン基の窒素原子上に非環式または環式のアルキル基を保有し、以下に定義されるような式Iの化合物(式中、R4基は(C1−C6)−アルキルであり、R5基は同時に水素である)の互変異性体に相当する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主題は、式I
【化2】

[式中、
Xは、=C(−R1)−および=N−から選択され;
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−(((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され、全てのR基は互いに独立しており、かつ同一であるかまたは異なっていてよく;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され、全てのR1基は互いに独立しており、かつ同一であるかまたは異なっていてよく;
R2およびR3は、互いに独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル−ヒドラジノカルボニルおよびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただしR2およびR3が両方とも水素および(C1−C6)−アルキルから選択されるのではなく;
R4は、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
あるいはR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含む、部分的に不飽和の4員環〜7員環の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、隣接する環位に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択され;
ただし、R5が水素である場合R4は(C1−C6)−アルキルではなく、かつ2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジンおよび2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−5−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−1H−ベンゾイミダゾールは除外される]
の化合物の立体異性体形のいずれかもしくは任意の比における立体異性体形の混合物、またはその生理学的に受容可能な塩。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の1つの実施形態は、式I
[式中、
Xは=C(−R1)−であり;
Rは、ハロゲンおよび(C1−C6)−アルキルから選択され;
R1は、水素であり;
R2およびR3は、それぞれ独立して水素およびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただしR2およびR3は両方とも水素ではなく;
R4は、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシから選択され;
R5は水素であるか;
あるいはR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、−C(=O)−および−O−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つ以上のさらなる環員を含む、5員または6員の部分的に不飽和な複素環式環を形成し;
nは1である]
の化合物の立体異性体形のいずれかもしくは任意の比における立体異性体形の混合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、式I
[式中、
Xは、=C(−R1)−および=N−から選択され;
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され、全てのR1基は互いに独立しており、かつ同一であるかまたは異なっていてよく;
R2およびR3は、互いに独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル−ヒドラジノカルボニルおよびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただしR2およびR3が両方とも水素および(C1−C6)−アルキルから選択されるのではなく;
R4は、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
またはR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかもしくは異なり得る1つもしくは2つのさらなる環員を含む、部分的に不飽和の4員環〜7員環の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、隣接する環位に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択され;
ただし、2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジンおよび2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−5−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−1H−ベンゾイミダゾールは除外される]
の化合物の立体異性体形のいずれかもしくは任意の比における立体異性体形の混合物、またはその生理学的に受容可能な塩に関し、特にR5が同時に水素である場合にR4は(C1−C6)−アルキルでない、化合物に関する。
【0017】
式Iの化合物において、例えばR、R1、アルキル基などのような任意の基、置換基、環員、数または他の特徴が何回も出現する場合、それらは全て互いに独立して、示されたいずれかの意味を有し得、従ってそれぞれ個々の場合において互いに同一でも異なっていてもよい。たとえば、ジアルキルアミノ基において、これらのアルキル基は同一でも異なっていてもよい。
【0018】
アルキル残基は、直鎖または分枝鎖の非環式または環式であり得る。これはまた、それらが他の基、例えばアルコキシ基(=アルキルオキシ基、すなわちアルキル−O−基)、アルキルメルカプト基(=アルキルスルファニル基、すなわちアルキル−S−基)、アルコキシカルボニル基もしくはアルキル−置換アミノ基である場合、またはそれらが置換されている場合に適用される。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、これらの基のn異性体、イソプロピル(=メチルエチル)、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルまたは3,3−ジメチルブチルである。環状アルキル基は、少なくとも3つの炭素原子を含む。置換アルキル基は、任意の所望の位置に存在し得る1つまたはそれ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)の同一かまたは異なる置換基(例えばF)によって置換され得る。適用可能である限り、アルキル基に関する前述の説明は、2価のアルキル基、すなわちアルカンジイル基およびメチレン基のようなアルキレン基に対して同様に適用される。
【0019】
(C6−C14)−アリール残基の例は、フェニルおよびナフチルである。非置換であるかまたは置換された(C6−C14)−アリール残基(例えば、フェニルまたはナフチル)が1つ以上の置換基によって置換される場合、一般的にはそれは1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの同一または異なる置換基(例えば、1つまたは2つの置換基)を保有し得る。この置換基は、任意の所望の位置に存在し得る。これは同様に、例えば、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニルまたは(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニルのような基において(C6−C14)−アリール残基に適用される。一置換フェニル基において、その置換基は2位、3位または4位に位置され得る。二置換フェニル残基において、それらの置換基は2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位または3,5位に位置することができる。三置換フェニル残基において、それらの置換基は2,3,4位、2,3,5位、2,3,6位、2,4,5位、2,4,6位または3,4,5位に位置することができる。ナフタレニル(=ナフチル)は、ナフタレン−1−イルまたはナフタレン−2−イルであり得る。一置換されたナフタレン−1−イル基において、置換基は、2位、3位、4位、5位、6位、7位または8位に位置することができ、一置換されたナフタレン−2−イル基において、置換基は、1位、3位、4位、5位、6位、7位または8位に位置することができる。二置換ナフタレンイル基において、置換基は、同様にナフタレンイル基が結合されている環を介しておよび/または他の環中の環の任意の所望の位置に存在し得る。
【0020】
R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成され得る複素環式環は、4員、5員、6員または7員であり得、かつ部分的に不飽和であるかまたは芳香族、特に部分的に不飽和であり、例えば1つ、2つ、または3つの二重結合をその環内に含み得るが、ただしそのそれぞれの環系は、その技術分野において、安定であり、かつ医薬物質におけるサブグループとして適切であることが公知である。R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成され得る複素環式環は、−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員(例えば−C(=O)−および−O−)を含むが、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、隣接する環位に存在し得ず、ただし、そのそれぞれの環系は、その技術分野において、安定であり、かつ医薬物質におけるサブグループとして適切であることが公知である。R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成され得る複素環式環は、1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基R1によって置換され得る。R4およびR5が、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって形成され得る複素環式環の残基の例としては以下が挙げられる:ジアゼト(diazet)−オン、オキサジアゾール、ジヒドロ−オキサジアゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾール、ジヒドロ−チアジアゾール、チアジアゾロン、トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾロン、ジヒドロ−ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−オキソ−チアジアゾール、ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−テトラゾール、テトラゾール、テトラヒドロ−トリアジン、ジヒドロ−トリアジン、トリアジン、テトラヒドロ−テトラジン、ジヒドロ−テトラジン、テトラジン、ジヒドロ−オキサジアジン、ジオキサジアジン、オキサジアジン、ジヒドロ−チアジアジン、ジチアジアジン、チアジアジン、ジヒドロ−オキサジアジン−オン、オキサジアジン−オン、ピリミジン−ジオン、テトラヒドロ−オキサジアゼピン、ジヒドロ−オキサジアゼピン、オキサジアゼピン、テトラヒドロ−チアジアゼピン、ジヒドロ−チアジアゼピン、チアジアゼピン、テトラヒドロ−トリアゼピン、ジヒドロ−トリアゼピンまたはトリアゼピン。
【0021】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素または臭素であり、より好ましくはフッ素または塩素である。
【0022】
オキソ基は、炭素原子に結合される場合、親系の炭素原子上の2つの水素原子を置き換える。従って、CH2基がオキソによって(すなわち二重結合した酸素原子によって)置換される場合、化合物の名前が、接尾語がオンであるかまたは接頭語がオキソによって指定されるC(=O)基となる。明らかに、オキソ基は、芳香族環中の炭素原子上の置換基としては存在し得ない。
【0023】
本発明は、式Iの化合物およびそれらの塩の全ての立体異性形を含む。各キラル中心に関しては、その他のキラル中心と独立して、式Iの化合物は、S配位もしくは実質的にS配位に存在し得るかまたは、R配位もしくは実質的にR配位に存在し得るか、または任意の比率でのS異性体とR異性体との混合物として存在し得る。本発明は、全ての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーおよび2つまたはそれ以上の立体異性体の混合物、例えば全ての比率におけるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物を含む。従って、エナンチオマーとして存在することができる本発明の化合物は、左旋性鏡像異性体および右旋性鏡像異性体として両方とも鏡像異性的に純粋な形態で、ならびに全ての比率の2つのエナンチオマーのラセミ化合物を含む混合物形態で、存在し得る。E/Z異性またはシス/トランス異性の場合(例えば、二重結合または環上)、本発明は全ての比率のこれらの形態の混合物に加え、E形およびZ形の両方かまたはシス形およびトランス形の両方を含む。個々の立体異性体の製造は、例えば慣例的な方法による異性体混合物の分離によるか、例えばクロマトグラフィーもしくは結晶化によるか、合成における立体化学的に同一の出発物質の使用によるか、または立体選択的合成によって実施することができる。場合により、誘導体化は立体異性体の分離の前に実施され得る。立体異性体の混合物の分離は、式Iの化合物の段階で、または合成の間の出発物質もしくは中間体の段階で実施され得る。本発明はまた、式Iの化合物およびそれらの塩の全ての互変異性型を含む。例えば、本発明は、C(=NR4)−NHR5基の互変異性体を含む:
【化3】

【0024】
式Iの化合物が1つまたはそれ以上の酸性基および/もしくは塩基性基(すなわち塩形成基)を含む場合に、本発明はまた、それらの対応する生理学的または毒物学的に受容可能な塩(すなわち、無毒性塩)、特にそれらの薬学的に受容可能な塩を含む。従って、酸性基を含む式Iの化合物はこれらの群において存在し得、そして本発明に従って、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩として用いられ得る。上記の塩のより詳細な例は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩のような第四級アンモニウム塩、またはアンモニアもしくは有機アミン(例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンまたはアミノ酸)との酸付加塩を含む。塩基性基(すなわち陽子を加えることができる基)を含む式Iの化合物がこれらの群において存在し得、そして例えば、無機酸または有機酸との付加塩の形で本発明に従って使用され得る。適切な酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸および当業者に公知の他の酸を含む。式Iの化合物が同時に分子内に酸性基および塩基性基を含む場合、本発明はまた、上述の塩形態に加えて、分子内塩もしくはベタインまたは双性イオンを含む。式Iの化合物の塩は、当業者にとって公知の慣例的な方法によって、例えば、溶剤または希釈剤中で式Iの化合物を有機もしくは無機の酸または塩基と接触させることによって、あるいは別の塩からの陰イオン交換または陽イオン交換によって、得ることができる。本発明はまた、低い生理学的適合性のために、医薬品における使用には直接に適切でないが、例えば化学反応のためまたは生理学的に受容可能な塩の製造のための中間体として使用できる式Iの化合物の全ての塩を含む。
【0025】
本発明はさらに、式Iの化合物の全ての溶媒和化合物、例えば水和物またはアルコール付加物、式Iの化合物の活性代謝産物、および生体外で必ずしも薬理学的活性を示さないが、生体内で薬理学的に活性な化合物に転換される式Iの化合物のプロドラッグおよび誘導体(例えばカルボン酸基のエステルまたはアミド)を含む。
【0026】
式Iの化合物中のX基は、好ましくは=C(−R1)−として定義される。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、式Iの化合物中のR基は、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子によって置換され得る(C1−C6)−アルキル、1つまたはそれ以上のフッ素原子によって置換され得る(C1−C6)−アルコキシ、およびシアノから選択される。好ましくは、式Iの化合物中のRは、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシと定義される。より好ましくは、Rは、ハロゲンまたは(C1−C6)−アルキル(例えば、フッ素、塩素、メチルまたはエチル)と定義される。別の実施形態においては、Rがフッ素およびメチルから選択される式Iの化合物が好ましい。
【0028】
1つの実施形態において、式Iの化合物中のR1は、水素、メチルまたはエチル、好ましくは水素と定義される。
【0029】
1つの実施形態において、式Iの化合物中のR2およびR3は、独立して水素、(C1−C6)−アルキルおよびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただし、R2およびR3が両方とも水素および(C1−C6)−アルキルから選択されるのではない。好ましくは、式Iの化合物中のR2およびR3は、独立して水素およびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただしR2およびR3が両方とも水素ではない。別の実施形態において、R2およびR3のうちの1つが水素または(C1−C6)−アルキル、好ましくは水素であり、R2およびR3の他方が(C1−C6)−アルキルカルボニル−ヒドラジノカルボニルまたはC(=NR4)−NHR5、好ましくはC(=NR4)−NHR5と定義される、式Iの化合物が好ましい。
【0030】
1つの実施形態において、R4は、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換され得る。別の実施形態において、R4は、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換され得る。別の実施形態において、R4は、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択される。別の実施形態において、R4は、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択される。R4を示している(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル基は、好ましくは(C1−C6)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル基である。本発明の1つの実施形態において、式Iの化合物中のR4および全ての他の基中に存在する(C1−C6)−アルキル基は、(C1−C4)−アルキル基である。好ましくは、式Iの化合物中のR4は、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシまたはジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシと定義される。より好ましくは、式Iの化合物中のR4は、(C1−C4)−アルコキシカルボニル−オキシ、ヒドロキシ、(C1−C4)−アルキルアミノカルボニル−オキシまたはジ−(C1−C3)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、例えば、メトキシカルボニル−オキシ、エトキシカルボニル−オキシ、イソプロピルオキシカルボニル−オキシ、ヒドロキシ、(メチルエチル)アミノカルボニル−オキシ、tert−ブチルアミノカルボニル−オキシ、ジエチルアミノカルボニル−オキシまたはジ(メチルエチル)アミノカルボニル−オキシと定義される。
【0031】
1つの実施形態において、R5は水素である。
【0032】
一価の基の他にも、R4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、上述したような複素環式環を形成し得る。本発明の1つの実施形態において、式Iの化合物中のR4およびR5はそれらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換され得、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含む、部分的に不飽和である4員環〜7員環の複素環式環(例えば、ジアゼト(diazet)−オン、オキサジアゾール、ジヒドロ−オキサジアゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾール、ジヒドロ−チアジアゾール、チアジアゾロン、トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾール、ジヒドロ−トリアゾロン、ジヒドロ−ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−オキソ−チアジアゾール、ジオキソ−チアジアゾール、ジヒドロ−テトラゾール、テトラゾール、テトラヒドロ−トリアジン、ジヒドロ−トリアジン、トリアジン、テトラヒドロ−テトラジン、ジヒドロ−テトラジン、テトラジン、ジヒドロ−オキサジアジン、ジオキサジアジン、オキサジアジン、ジヒドロ−チアジアジン、ジチアジアジン、チアジアジン、ジヒドロ−オキサジアジン−オン、オキサジアジン−オン、ピリミジン−ジオン、テトラヒドロ−オキサジアゼピン、ジヒドロ−オキサジアゼピン、オキサジアゼピン、テトラヒドロ−チアジアゼピン、ジヒドロ−チアジアゼピン、チアジアゼピン、テトラヒドロ−トリアゼピン、ジヒドロ−トリアゼピンまたはトリアゼピン)、を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、隣接する環位に存在し得ない。別の実施形態において、式Iの化合物中のR4およびR5は、好ましくはそれらを保有する−N=C−NH−基と一緒になって、−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、−C(=O)−および−O−選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つ(例えば、2つ)のさらなる環員を含む、部分的に不飽和の5員環または6員環(例えば、5員環)の複素環式環を形成し、ここで、2つの環員−O−は、一般的に式Iの化合物に関して上述したような隣接する環位に存在し得ず、より好ましくは、オキサジアゾール−オン環(例えば、4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン)を形成する。
【0033】
本発明の1つの実施形態において、nが0、1および2から選択される式Iの化合物が好ましい。別の実施形態において、nは1および2から選択される。別の実施形態において、nは1である。
【0034】
式Iの化合物およびそれらの前駆体は、それぞれ、文献にて公表されている方法または同様の方法に従って製造され得る。たとえば、式Iaの化合物(=ベンゾイミダゾール環の1位における窒素原子に結合されているR1基が水素である式Iの化合物)は、酸化試薬の存在下で式IIのアルデヒドと式IIIのジアミンとを反応させることによって製造され得る。
【化4】

【0035】
式Ia、IIおよびIIIの化合物において、可変部R、R2、R3、Xおよびnは、式Iの化合物におけるように定義される。酸化試薬は、例えば、ニトロベンゼン、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、酸素または空気中の酸素であり得る。式IIとIIIの化合物の反応は、不活性溶媒中で実施され得、その不活性溶媒は、プロトン性または非プロトン性であり、かつ水性または非水性であり得、例えば、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、エーテル(例えばジエチルエーテル)、テトラヒドロフラン(=THF)、ジオキサン、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(=DMF))、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、水もしくはアセトニトリル、または水と水に混和性もしくは不混和性の有機溶媒との混合物を含む2種類もしくはそれ以上の溶媒の混合物である。あるいは、この反応は溶媒なしの条件下で実施され得る。この反応はルイス酸の存在下またはマイクロ波照射を用いて実施され得る。式IIと式IIIの化合物の反応は、広範囲の温度域で実施され得る。通常、その反応を実施するには約−20℃から用いる溶媒のおおよそ沸点まで、好ましくは約0℃〜約140℃、より好ましくは溶媒のおおよそ沸点で行うのが有利である。従来どおり、溶媒、酸化試薬、温度、付加の順序、モル比および他のパラメーターを含む特定の製造の詳細な条件は、出発化合物および目的化合物の特徴を考慮して、当業者によって慣例的に選択される。適切な方法は、例えば、Lin,S.and Yang,L.,Tetrahedron Letters(2005),46(25),4315−4319;Itoh,T.,Nagata,K.,Ishikawa,H.and Ohsawa,A.,Heterocycles(2004),63(12),2769−2783;Curini,M.,Epifano,F.,Montanari,F.,Rosati,O.and Taccone,S.,Synlett(2004),(10),1832−1834;およびBen−Alloum,A.,Bakkas,S.and Soufiaoui,M.,Tetrahedron Letters(1998),39(25),4481−4484に公表されている。
【0036】
式Iaの化合物は、ベンゾイミダゾール環の1位の窒素原子に結合しているR1基がハロゲンアルキル化合物との置換またはカルボニル化合物との還元的アルキル化(ロイカート・ヴァラッハ反応(Leukart−Wallach−reaction))のような標準的なアルキル化反応で、式Iの化合物に変換され得る。たとえば、式Iaの化合物は、塩基の存在下でアルキルハロゲン化物、例えば、臭化メチル、塩化メチル、臭化エチルまたは塩化エチルと反応され得る。
【化5】

【0037】
従来どおり、溶媒、塩基、温度、付加の順序、モル比および他のパラメーターを含む特定の製造の詳細な条件は、出発化合物および目的化合物の特徴を考慮して当業者によって慣例的に選択される。
【0038】
式Iの化合物の上記合成に用いられる全ての反応は、それ自体当業者に周知であり、そして文献、例えばHouben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie(Methods of Organic Chemistry),Thieme−Verlag,Stuttgart,or Organic Reactions,John Wiley & Sons,New Yorkに記載される手順に従うかまたは同様の標準条件下で実施され得る。個々の場合の状況の如何により、化合物の合成の際の不必要な反応過程または副反応を避けるために、保護基を導入することにより一時的に官能基をブロックすること、およびその合成の後の段階でそれらを脱保護するか、または後の反応工程において所望の官能基に変換される前駆基の形態に官能基を導入することが、一般的に必要であるかまたは有利であり得る。保護基の例としては、tert−ブチルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルのようなアミノ保護基に加え、トリフルオロ酢酸(=TFA)での処理で脱保護され得るtert−ブチルエステル、または接触水添によって脱保護され得るベンジルエステルのようなカルボン酸基の保護機としてのエステルをあげることができる。前駆基の例としては、還元(例えば接触水添)によってアミノ基に変換され得るニトロ基またはシアノ基をあげることができる。特定のケースにおいて適切であるそのような合成計画ならびに保護基および前駆基は、当業者に公知である。所望ならば、式Iの化合物ならびに任意の中間化合物は、慣例的な精製手順、例えば再結晶またはクロマトグラフィーによって精製され得る。式Iの化合物の製造のための式IIおよび式IIIの出発化合物は、市販されているかまたは文献の手順またはそれと同様の方法によって製造され得る。
【0039】
式Iの化合物は、内皮NOシンターゼの発現を調節する、より詳細には内皮NOシンターゼの発現または転写をアップレギュレーションまたは刺激し、種々の疾患の処置のための医薬品または医薬の活性成分として使用され得る、有用な薬理学的に活性な化合物または薬学的に活性な化合物である。本発明との関係において、処置は、疾患および疾患症状の緩和および治癒を含む治療、ならびに喘息疾患症状の発症(appearance)の予防または心筋梗塞もしくは関連患者の心筋の再梗塞の予防のような疾患および疾患症状の防止または予防、の両方を含むとして理解される。疾患または疾患症状は、急性または慢性であり得る。式Iの化合物によって処置することができる疾患としては、例えば、安定および不安定狭心症のような心臓血管疾患、虚血性心疾患、冠状動脈疾患、プリンズメタル型狭心症(痙攣)、急性冠症候群、心機能不全(cardiac insufficiency)、心不全(heart failure)、心筋梗塞、発作、血栓症、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化、再狭窄、PTCA(=経皮的経管的冠動脈形成術)後の内皮障害、本態性高血圧、肺高血圧および二次性高血圧(腎血管高血圧、慢性的糸球体腎炎)を含む高血圧、勃起障害および心室性不整脈が挙げられる。さらに、式Iの化合物は、閉経後の女性または避妊剤を用いている女性の心血管危険度を低下させる。式Iの化合物はさらに、糖尿病および糖尿病合併症(腎症または網膜症など)、新脈管形成、気管支喘息、慢性腎不全、肝硬変、骨粗鬆症、制限された記憶能力または制限された学習能力の治療および予防を含む処置において使用され得る。好ましい効能は、安定狭心症、虚血性心疾患、高血圧、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化および糖尿病合併症である。
【0040】
式Iの化合物は、他の薬学的に活性な化合物または医薬品、好ましくは式Iの化合物の作用を増強することができる化合物と組み合わせて使用され得る。そのような他の化合物の例は以下を含む:スタチン;ACE阻害剤;AT1アンタゴニスト;アルギニナーゼ(argininase)阻害剤;PDE V阻害剤;カルシウムアンタゴニスト;α遮断薬;β遮断薬;メチマゾールおよび類似化合物;アルギニン;テトラヒドロビオプテリン;ビタミン、特にビタミンCおよびビタミンB6;ナイアシン。
【0041】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、場合により他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて、動物に、好ましくは哺乳動物に、そして特にヒトに、単独の医薬品としてか、互いに混合するかまたは医薬製剤の形態で、投与され得る。従って、本発明のさらなる主題はまた、医薬品としての使用のための式Iの化合物およびその薬学的に受容可能な塩、調節剤として、より具体的には、例えば患者における内皮NOシンターゼの発現増加またはNOレベルの増加または減少したNOレベルの正常化が所望される状況における、内皮NOシンターゼの発現または転写の刺激剤またはアップレギュレーション剤としての使用、および特に上述の疾患または症候群の治療および予防を含む処置におけるそれらの使用、ならびにこれらの目的の医薬品を製造するための使用である。さらに、本発明の主題は、有効用量の少なくとも1種類の式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能な担体、すなわち1つまたはそれ以上の薬学的に受容可能な担体物質または賦形剤を含有する医薬製剤(または医薬組成物)である。
【0042】
本発明による医薬品は、例えば丸剤、錠剤、ラッカー掛け錠剤、糖衣錠、顆粒剤、ハードおよびソフトゼラチンカプセル剤、水溶液、アルコール溶液または油性溶液、シロップ剤、乳剤もしくは懸濁液の形態で経口投与されるか、または例えば坐薬の形態で直腸投与され得る。投与はまた、非経口的に、例えば皮下に、筋肉内にまたは静脈内に、例えば、注射または輸液のための溶液の形態で実施され得る。他の適切な投与形態は、例えば軟膏剤、チンキ剤、スプレー剤もしくは、経皮治療システムの形で例えば経皮投与もしくは局所投与であるか、または鼻スプレー剤もしくはエアロゾル混合物の形での吸入投与であるか、または例えばマイクロカプセル剤、インプラントもしくはロッドである。とりわけ好適な投与形態は、治療される疾患およびその重篤度に依存する。
【0043】
医薬組成物中の式Iの化合物および/または薬学的に受容可能な塩の量は、一用量あたり通常、約0.2mg〜約800mg、好ましくは約0.5mg〜約500mg、特に約1mg〜約200mgの範囲であるが、医薬組成物の型の如何によってそれはより高くてもよい。医薬組成物は、通常、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を約0.5質量%〜約90質量%含有する。医薬組成物の製造は、それ自体公知の方法で実施され得る。このために、式Iの1つまたはそれ以上の化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を、1つまたはそれ以上の固体また液体の医薬担体物質(ビヒクル)および/または添加剤(または助剤物質)と共に、ならびに組み合わせ医薬が所望される場合、治療的または予防的作用を有する他の薬学的に活性な化合物が、ヒトまたは獣医学における医薬品として使われ得る適切な投与形態または投薬形態にする。
【0044】
丸剤、錠剤、糖衣錠およびハードゼラチンカプセル剤の製造のために、例えば、ラクトース、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンまたはデンプン誘導体)、タルク、ステアリン酸またはその塩等を使用することができる。ソフトゼラチンカプセル剤および坐薬は例えば脂肪、ワックス、半固体物質および液体ポリオール、天然油もしくは硬化油等を含み得る。溶液、例えば注射溶液または乳剤またはシロップの製造に適切な担体物質は、例えば水、生理食塩水溶液、エタノール、グリセロール、ポリオールのようなアルコール、スクロース、転化糖、グルコース、マンニトール、植物油等である。式Iの化合物およびその薬学的に受容可能な塩を凍結乾燥することおよび例えば、注射または注入液のための組成物を製造するためにその得られた凍結乾燥物を使用することもまた可能である。マイクロカプセル剤、インプラントまたはロッドのための適切な担体は、例えばグリコール酸および乳酸のコポリマーである。本発明の化合物および担体物質の他に、医薬組成物はまた、添加物、例えば充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、着香料、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポ効果を達成するための薬剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤または抗酸化剤もまた含むことができる。
【0045】
投与される式Iの化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投薬量は、個々のケースの如何により、そして慣例的であるように、最適効果を達成するために個々の状況に適応させるべきである。従ってそれは、処置される障害の性質および重篤度、ならびにまた処置されるヒトまたは動物の性別、年齢、体重および個々の反応性、使用される化合物の作用の効能および持続期間、その使用が急性もしくは慢性的疾患の治療もしくは予防のためかどうか、または他の活性な化合物が式Iの化合物に加えて投与されるかどうかの如何による。一般に、一日量、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg〜約10mg/kg、特に約0.3mg/kg〜約5mg/kg(いずれの場合においても体重1kgあたりのmg)が、約75kgの成人に投与して所望の結果を得るために適切である。一日量は、一回量において投与されることができ、特に多量に投与される場合は数回、例えば2回、3回または4回の個々の用量に分けられ得る。場合によっては個体の応答に応じて、所定の一日量から上方または下方に逸脱する必要があり得る。
【0046】
式Iの化合物はまた、上記に示す目的以外の目的に使われ得る。その非限定的な実例としては、診断目的、例えば生物サンプル中の内皮NOシンターゼの活性を測定するための方法における使用、生化学ツールとしての使用およびさらなる化合物、例えばさらなる薬学的に活性な化合物の製造のための中間体としての使用が含まれる。
【実施例】
【0047】
(実施例1:2−(4−フルオロ−フェニル)−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボニトリル(出発化合物))
【化6】

水10ml中のメタ重亜硫酸ナトリウム(1.66g、8.73mmol)を、アルゴン下で、エタノール50ml中の4−フルオロ−ベンズアルデヒド(1.86g、15mmol)に加えた。この混合物を0〜5℃にて一晩保管し、固形物を濾過し、エタノールで洗浄し、乾燥した。その固形物と3,4−ジアミノ−ベンゾニトリル(2.0g、15mmol)とを、130℃にて4時間、7mlのDMF中で加熱した。冷却後、この混合物を水に注ぎ込み、固形物を濾過し、分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水 0.1%TFA)によって精製して、2.49g(70%)の所望生成物を得た(MS(質量スペクトル):m/e=238.02(M+H+))。
【0048】
(実施例2:2−p−トリル−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボニトリル(出発化合物))
【化7】

この化合物を、実施例1と同じようにして合成した(収率:71%、MS:m/e=234.06(M+H+))。
【0049】
(実施例3:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化8】

2−(4−フルオロ−フェニル)−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボニトリル(1.898g、8mmol;実施例1)、塩酸ヒドロキシルアミン(3.34g、48mmol)およびトリエチルアミン(5.67g、56mmol)を、85mlのエタノール中で6時間、加熱還流した。各々3当量の塩酸ヒドロキシルアミンおよびトリエチルアミン、および分子ふるい(3Å)を加えた後、さらに6時間加熱を続けた。分子ふるいを濾過し、溶媒を蒸発させ、メタノールから固形物を再結晶させた(収率:85%、MS:m/e=271.05(M+H+))。
【0050】
(実施例4:N−ヒドロキシ−2−p−トリル−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化9】

実施例2の化合物を出発物質として使用して、この化合物を実施例3と同じようにして合成した(収率:82%、MS:m/e=267.10(M+H+))。
【0051】
(実施例5:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−エトキシカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化10】

2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン(50mg、0.185mmol、実施例3)を、5mlのDMF中に溶解させた。トリエチルアミン(51.6μl、0.37mmol)およびクロロギ酸エチル(19.4μl、0.2mmol)を2.5時間にわたって加えた後、この混合物を80℃まで加熱した。この混合物を蒸発させた。酢酸エチルおよび水を加え、有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。この粗生成物を、分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水 0.1%TFA)によって精製して、35mg(54%)の所望生成物を得た(MS:m/e=343.06(M+H+))。
【0052】
(実施例6:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メトキシカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化11】

実施例3の化合物およびクロロギ酸メチルを試薬として使用して、この化合物を、実施例5と同じようにして合成した(収率:20%、MS:m/e=329.05(M+H+))。
【0053】
(実施例7:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−イソプロピルオキシカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化12】

実施例3の化合物およびクロロギ酸イソプロピルを試薬として使用して、この化合物を、実施例5と同じようにして合成した(収率:35%、MS:m/e=357.07(M+H+))。
【0054】
(実施例8:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチルエチルアミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化13】

実施例3の化合物およびイソシアン酸イソプロピルを試薬として使用して、この化合物を、実施例5と同じようにして合成した(収率:17%、MS:m/e=356.14(M+H+))。
【0055】
(実施例9:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−tert−ブチルアミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化14】

実施例3の化合物およびtert−イソシアン酸ブチルを試薬として使用して、この化合物を、実施例5と同じようにして合成した(収率:20%、MS:m/e=370.15(M+H+))。
【0056】
(実施例10:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ジエチル−アミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化15】

実施例3の化合物および塩化ジエチルカルバモイルを試薬として使用して、この化合物を、実施例5と同じようにして合成した(収率:6%、MS:m/e=370.2(M+H+))。
【0057】
(実施例11:2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ジ−(メチルエチル)−アミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン)
【化16】

実施例3の化合物および塩化ジイソプロピルカルバモイルを試薬として使用して、この化合物を、実施例5と同じようにして合成した(収率:6%、MS:m/e=398.28(M+H+))。
【0058】
(実施例12:3−[2−(4−フルオロ−フェニル)−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−イル]−4H−[1,2,4]オキサジアゾ−ル−5−オン)
【化17】

2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾ−ル−5−カルボキサミジン(501.9mg、1.86mmol、実施例3)、トリエチルアミン(645μl、4.63mmol)およびクロロギ酸エチル(229μl、2.4mmol)を、35mlのDMF中に溶解させた。この混合物を、7時間にわたって80℃まで加熱した。この混合物を濃縮した。酢酸エチルおよび水を加え、有機相を分離し、水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(RP18、アセトニトリル/水 0.1%TFA)によって精製して、118mg(21%)の所望生成物を得た(MS:m/e=297.05(M+H+))。
【0059】
(生物活性の測定)
A)eNOS転写の活性化
eNOS転写の活性化を、Liら「Activation of protein kinase C alpha and/or epsilon enhances transcription of the human endothelial nitric oxide synthase gene」,Mol.Pharmacol.1998;53:630〜637に詳細に記載されているとおりに測定した。簡潔に云えば、eNOS遺伝子の出発コドンの3.5kB長の5’フラグメントをクローン化し、配列決定し、そしてホタルのルシフェラーゼ発現プラスミド中にクローン化して、レポーター遺伝子活性によってeNOSプロモーターの活性化をモニターした。このプロモーター−レポーター構築物を安定にトランスフェクションしかつこれを発現しているヒト内皮細胞株を、化合物試験に使用した。細胞を、この化合物とともに18時間インキュベートした。
【0060】
全ての化合物を、無菌ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。完全培地中のDMSOの最終濃度を0.5%にした。これらの細胞におけるレポーター遺伝子発現の誘導を、製造業者の指示による標準的なルシフェラーゼアッセイシステム(Promega,Cat.NoE150)を使用して測定した。化合物とともにインキュベートした細胞におけるルシフェラーゼ誘導を、溶媒単独でインキュベートしたものと比較した。両方の活性の比(転写誘導比、TIR)を、化合物濃度の関数としてプロットした。典型的には、TIR値は、化合物の効果を示さない、1の比の低濃度で始り、そしてeNOS転写の増加を示す最大TIR値(TIR(max))まで達した。化合物濃度の関数としての転写誘導比のEC50値を、グラフで決定した。
【0061】
本発明の多数の化合物を、上記アッセイによって試験し、タンパク質転写を増加させることを見出した。一般的には、試験した化合物は、約50μMより小さいEC50値を示した。好ましい化合物は、約5μM〜約0.5μMのEC50値を示した。より好ましい化合物(例えば、実施例4、実施例5、実施例6および実施例7の化合物)は、0.5μMよりも小さいEC50値を示した。
【0062】
eNOS−転写への化合物の効果を、eNOSタンパク質検出に基づく二次アッセイにおいて確認した。一次ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、標準的な手順に従って単離し、そして培養した。コンフルエント細胞を、化合物とともに18時間インキュベートし、そしてeNOSタンパク質発現に対する効果を、定量的なウェスタンブロッティング手順によって測定した。化合物のインキュベーション後、HUVECを、10mMのトリス−HCl(pH8.0、1% SDS)およびプロテアーゼインヒビターを含む氷冷溶解バッファー中に溶解させた。このライゼートを、標準的な変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、そしてニトロセルロース膜にブロットした。特異的一次モノクローナル抗体(Transduction Laboratories、UK)およびアルカリホスファターゼ標識された二次抗体(Jackson Labs)を使用して、特異的なeNOSタンパク質のバンドを可視化し、そして化学蛍光検出方法に基づいて定量した。
【0063】
式Iの化合物の効果はまた、以下の動物モデルで調べることができる(動物実験は、ドイツ動物保護法、ならびに米国の国立衛生研究所の「実験動物の管理および使用のためのガイド」に定められた実験動物の使用のためのガイドラインに従って実施される)。
【0064】
(動物および処理(実験B〜E))
ApoEおよびeNOS欠損マウス(C57BL/6J バックグラウンド、Jackson Laboratory,Bar Harbor,Me)を使用する。全ての動物は、10〜12週齢であり、体重が22〜28gである。手術3日前にマウスを4群に分け(apoEコントロール、n=10〜12;試験化合物を用いたapoE、n=10〜12;eNOSコントロール、n=10〜12;試験化合物を用いたeNOS、n=10〜12)、そしてこれらのマウスに、標準的なげっ歯類の餌(4%脂肪および0.001%コレステロールを含む;以下でプラセボ群として示す)または標準的なげっ歯類の餌プラス試験化合物(10または30mg/kg/日 p.o.)のいずれかを摂らせる。
【0065】
B)ApoEノックアウトマウスにおける抗高血圧効果
テイル−カフ・コンピューター・システム(Visitech Systems,Apex,Nc)を使用して、意識のあるマウスの血圧を測定する。試験化合物によるApoE欠損マウスおよびeNOS欠損マウスの処理後、それらの血圧を、プラセボ処理により得られた結果と比較する。
【0066】
C)新生内膜(neointima)形成およびアテローム形成の阻害(大腿動脈カフ)
それぞれの化合物(10mg/kg/日(餌の中に詰める))を用いたApoE欠損マウスの処理の3日後、ペントバルビタール(60mg/kg)の腹膜内注射に続き、キシラジン(2mg/kg)の筋肉内注射により動物に麻酔して、Moroiら(J.Clin.Invest.101(1998)1225)に記載されているように、大腿動脈のまわりにカフを取り付ける。簡単には、左大腿動を切開する。PE50チュービング(内部直径0.56mm、外部直径0.965mm、Becton Dickinson,Mountain View,Ca)からなる非密封性の2.0mmポリエチレンカフを、その動脈のまわりに取り付け、2つの7−0縫合糸で所定の位置に結ぶ。右大腿動脈を周囲の組織から単離するが、カフは取り付けない。それぞれの化合物を用いた処置を、手術後14日間続ける。次いで、この動物を屠殺する。定量的ウェスタンブロッティングによる血管eNOS発現の測定のために、動脈を採取する。大腿動脈の両方を採取し、ホルマリン中に固定し、そしてパラフィンに包埋する。20個の横断切片(10μm)を、左大腿動脈のカフ部分および右動脈の対応するセグメントから切り出す。標準的なヘマトキシリンおよびエオシン染色に切片を供する。形態計測分析を、画像分析コンピュータプログラム(LeicaQWin,Leica Imaging Systems,Cambridge,GB)を用いて実施する。各横断切片について、内腔、新生内膜および中膜の面積を測定する。この目的を達成するために、新生内膜を、内腔と内部弾性膜との間の面積として規定し、そして中膜を、内部弾性膜と外部弾性膜との間の面積として規定する。新生内膜の面積と中膜の面積との間の比を、新生内膜/中膜の比として表す。この化合物群で得られた結果を、プラセボ群で得られたものと比較する。
【0067】
D)長期処理におけるアテローム斑形成の予防
ApoE欠損マウスを、餌に詰め込んだそれぞれの化合物を用いて16週間処理し、最後に屠殺する。大動脈を各マウスから除去し、ホルマリン中に固定し、そしてパラフィンに包埋する。プラーク形成を、大動脈中の脂質病変形成により測定し(大動脈弓〜横隔膜)、オイルレッドO染色により分析する。血管eNOS発現に対するそれぞれの化合物の影響を定量するために、大腿動脈をこの実験に使用する。この化合物群で得られた結果を、プラセボ群で得られた結果と比較する。
【0068】
E)病気のApoE欠損マウスにおける冠動脈機能の改善
老いた雄の野生型C57BL/6Jマウス(Charles River Wiga GmbH,Sulzfeld)、および6ヶ月齢で体重が28〜36gのapoE欠損マウス(C57BL/6J バックグラウンド、Jackson Laboratory,Bar Harbor,Me)を実験に使用する。マウスを3群に分け(C57BL/6、n=8;apoEコントロール、n=8;それぞれの化合物を用いたapoE、n=8)、そして標準的なげっ歯類の餌(4%脂肪および0.001%コレステロールを含む)または標準的なげっ歯類の餌とそれぞれの化合物(30mg/kg/d p.o.)のいずれかを8週間摂らせる。ナトリウムペントバルビトン(100mg/kg i.p.)でマウスに麻酔し、心臓を急いで切開し、そして氷冷灌流バッファー中に置いた。大動脈にカニューレを挿入し、そして灌流装置に接続する(Hugo Sachs Electronics,Freiburg,Germany)(この装置を、60mmHgの一定の灌流圧で直ぐに起動させる)。変性クレブスビカルボネートバッファーを用いて、逆行様式で心臓を灌流し、95% O2および5% CO2で平衡化し、そして37.5℃に維持する。斜端(beveled)小チューブ(PE50)を肺静脈から左心室に通し、心室壁を通して引き出し、溝付きの末端により先端部に固定し、そしてチップ−ミクロマノメーター(Millar 1.4 French)につなぐ。左心房に同じ肺静脈を通じてカニューレを挿入し、そして心臓を一定のプレロード圧力(10mmHg)およびアフターロード圧力(60mmHg)による作業モードに切り換える。大動脈の流出量および心房の流入量を、超音波フロープローブ(HSE/Transonic Systems Inc.)を使用して継続的に測定する。冠動脈フローを、心房フローと大動脈フローとの間の差として計算する。全ての血流力学データを、1000Hzのサンプリング速度でデジタル化し、そして専門のソフトウェア(HEM,Notocord)を使用してPCで記録する。
【0069】
心臓を30分間安定化させる。全ての関数的血流力学的データを、定常状態の間ならびに容積負荷および圧力負荷の間で測定する。左心室の関数曲線を、プレロード圧力を変化させることにより構築する。プレロード曲線を得るために、アフターロードを60mmHgにセットし、そしてプレロードを5〜25mmHgの範囲にわたって5mmHg段階で調整する。心臓を圧力負荷と容積負荷との間のベースライン状態で安定化させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I;
【化1】

の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
式中、
Xは、=C(−R1)−および=N−から選択され;
Rは、ハロゲン、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル、ヒドロキシ、1つまたはそれ以上のフッ素原子で置換されていてよい(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキルメルカプト、アミノ、(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、シアノ、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ニトロおよびペンタフルオロスルファニルから選択され、全てのR基は互いに独立しており、かつ同一であるかまたは異なっていてよく;
R1は、水素および(C1−C6)−アルキルから選択され、全てのR1基は互いに独立しており、かつ同一であるかまたは異なっていてよく;
R2およびR3は、互いに独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル−ヒドラジノカルボニルおよびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただしR2およびR3が両方とも水素および(C1−C6)−アルキルから選択されるのではなく;
R4は、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキルカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、(C1−C18)−アルキルカルボニルオキシ−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C6−C14)−アリールカルボニル、(C6−C14)−アリールオキシカルボニル、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルカルボニル−オキシ、(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシカルボニル、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニルおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニルから選択され、全てのアリール基は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたはそれ以上の同一であるかまたは異なる置換基によって置換されていてよく;
R5は、水素、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルコキシおよび(C6−C14)−アリール−(C1−C6)−アルコキシから選択されるか;
あるいはR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、1つもしくはそれ以上の同一であるかもしくは異なる置換基R1によって置換されていてよく、かつ−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、=N−、−NR1−、−C(=O)−、−O−、−S−、−SO−および−SO2−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含む、部分的に不飽和の4員環〜7員環の複素環式環を形成し、ただし、系列−O−、−S−、−SO−、−SO2−由来の2つの環員は、隣接する環位に存在し得ず;
nは、0、1、2、3、4および5から選択され;
ただし、R5が水素である場合、R4は(C1−C6)−アルキルではなく、かつ2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジンおよび2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−5−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−1H−ベンゾイミダゾールは除外される。
【請求項2】
R2およびR3は互いに独立して水素、(C1−C6)−アルキルおよびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただし、R2およびR3が両方とも水素および(C1−C6)−アルキルから選択されるのではない、請求項1に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項3】
Xが=C(−R1)−から選択される、請求項1または2に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項4】
R1は、水素、メチルおよびエチルから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項5】
式中、
Xは=C(−R1)−であり;
Rは、ハロゲンおよび(C1−C6)−アルキルから選択され;
R1は、水素であり;
R2およびR3は、それぞれ独立して水素およびC(=NR4)−NHR5から選択されるが、ただしR2およびR3は両方とも水素ではなく;
R4は、(C1−C6)−アルコキシカルボニル−オキシ、ヒドロキシ、(C1−C6)−アルキルアミノカルボニル−オキシおよびジ−((C1−C6)−アルキル)アミノカルボニル−オキシから選択され;
R5は水素であり;
あるいはR4およびR5は、それらを保持する−N=C−NH−基と一緒になって、−N=C−NH−基の一部である窒素原子に加えて、−C(=O)−および−O−から選択される同一であるかまたは異なっていてよい1つもしくは2つのさらなる環員を含む、5員または6員の部分的に不飽和な複素環式環を形成し;
nは1である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項6】
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
N−ヒドロキシ−2−p−トリル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−エトキシカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メトキシカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−イソプロピルオキシカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチルエチルアミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−tert−ブチルアミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ジエチル−アミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、
2−(4−フルオロ−フェニル)−N−ジ−(メチルエチル)−アミノカルボニル−オキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、および
3−[2−(4−フルオロ−フェニル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン
から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項7】
医薬品として使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩。
【請求項8】
有効用量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種類の化合物および/またはその生理学的に受容可能な塩、ならびに薬学的に受容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
内皮NOシンターゼの発現を刺激する医薬の製造のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩の使用。
【請求項10】
心臓血管疾患、安定狭心症もしくは不安定狭心症、虚血性心疾患、冠状動脈疾患、プリンズメタル型狭心症、急性冠症候群、心機能不全、心不全、心筋梗塞、発作、血栓症、末梢動脈閉塞疾患、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化、再狭窄、PTCA後の内皮障害、高血圧、本態性高血圧、肺高血圧、二次性高血圧、腎血管性高血圧症、慢性糸球体腎炎、勃起障害、心室不整脈、糖尿病、糖尿病合併症、腎症、網膜症、新脈管形成、気管支喘息、慢性腎不全、肝硬変、骨粗しょう症、制限された記憶能力もしくは制限された学習能力の処置のため、または閉経後の女性もしくは避妊剤を使用している女性の心血管危険度を低下させる医薬の製造のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物またはその生理学的に受容可能な塩の使用。

【公表番号】特表2010−505756(P2010−505756A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529580(P2009−529580)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008104
【国際公開番号】WO2008/037381
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】