説明

置換チエノイミダゾール、その製造法、医薬又は診断薬としてのその使用、及びそれを含む医薬

本発明は、式(I)又は(II)の置換チエノイミダゾール類に関し、式中、R1ないしR4は特許請求の範囲に記載の意味を有する。この種の化合物を含む医薬はいろいろな疾患の予防又は治療に有用である。該化合物は、とりわけ、呼吸障害およびいびきの治療、呼吸過程の改良、腎臓及び腸の慢性及び急性疾患、虚血及び/又は再潅流の事態により引き起こされる疾患、増殖性若しくは線維症疾患の治療、中枢神経系疾患、脂肪代謝、糖尿病、血液の閉塞及び寄生虫の攻撃の治療又は予防に用途が見出される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は置換イミダゾールに関する。この種の化合物を含む医薬は種々の障害の予防又は治療に有用である。例えば、該化合物のいくつかの用途は、呼吸障害及びいびきの治療を含み、そしてまた呼吸駆動を改良し、腎臓及び腸の急性及び慢性障害を治療するために、虚血性及び/又は再潅流の事態から生じる障害、及び増殖又は線維症(fibrotic)事象から生じる障害の治療、中枢神経系の障害、脂質代謝及び糖尿病、血液凝固及び寄生虫の侵入の治療又は予防である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は式I又はII:
【化1】

の化合物、並びにそれらの薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩に関する。
式中、
R1は、2−及び6−位がR5及びR6基で置換されたフェニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ、ニトロ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではない;
【0003】
或いは、
R1は、2−及び4−位がR5及びR6基で置換された3−チエニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、CN、NO2、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではなく;
R2及びR3は、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、CN、OH、−O−CH3、NO2、NH2、−CF3又は−Y−R8であり;
R8はメチル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
YはCH2、O、NH又はS(O)mであり;
mは0、1又は2であり;
R4は、水素、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル又はCH2−CF3である。
【0004】
好ましいのは、式Iの化合物であって、式中、
R1は、2−及び6−位が基R5及びR6で置換されたフェニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ、ニトロ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではない;
或いは、
R1は、2−及び4−位が基R5及びR6で置換された3−チエニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、CN、NO2、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではなく;
R2及びR3は、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、CN、OH、−O−CH3、NO2、NH2、−CF3又は−Y−R8であり;
R8はメチル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
YはCH2、O、NH又はS(O)mであり;
mは0、1又は2であり;
R4は、水素、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル又はCH2−CF3である
化合物、並びにその薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩である。
【0005】
特に好ましいのは、式Iの化合物であって、式中、
R1は、2−及び6−位が基R5及びR6で置換されたフェニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチルであり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではない;
或いは、
R1は、2−及び4−位が基R5及びR6で置換された3−チエニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチルであり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではなく;
R2、R3及びR4は、それぞれ水素である、
化合物、並びにその薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩である。
【0006】
一態様は、式I又はIIの化合物であって、R5及びR6はそれぞれ独立して水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチルであるが、R5及びR6は両方が同時に水素ではない化合物に関し、好ましいのはR5及びR6はそれぞれ独立して水素、メチル、フッ素、塩素又はトリフルオロメチルであるが、R5及びR6は両方が同時に水素ではない化合物である。
【0007】
別の態様は、式I又はIIの化合物であって、R5及びR6は両方が同時に水素ではない化合物に関する。
別の態様は、式I又はIIの化合物であって、R2及びR3は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチルである化合物に関し;好ましいのはR2及びR3がそれぞれ独立して水素又はメチルである化合物であり;非常に特に好ましいのは、R2及びR3が両方とも水素である化合物である。
別の態様は、式I又はIIの化合物であって、R4が水素、メチル又はエチルである化合物に関し;好ましいのはR4が水素である化合物である。
【0008】
特に好ましいのは、下記の群から選ばれる式Iの化合物である:
2−(4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,6−ジメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−クロロ−6−メチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,4−ジクロロ−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、及び
2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
並びにその薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩。
【0009】
更に特に好ましいのは、下記の群から選ばれる式Iの化合物である:
2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、及び
2−(2,4−ジクロロ−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
並びにその薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩。
【0010】
式I又はIIの化合物が非対称中心を一つ又はそれ以上含む場合、それらはそれぞれ独立してS又はR配置を有し得る。該化合物は光学的異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、又はそれらのあらゆる割合の混合物として存在し得る。
【0011】
本発明は式I及びIIの化合物の全ての互変異性体を含む。
式I及びIIの化合物は酸と結合して塩を形成し得る。有用な酸付加塩は特に薬理学的に許容される酸の塩、例えばハロゲン化物、特に塩酸塩、酪酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、リン酸塩、メチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、アジピン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロールリン酸塩、安息香酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩及びパモエート(pamoates)だけでなく、トリフルオロ酢酸塩もである。
【0012】
アルキル基は直鎖又は分岐鎖していてもよい。これはアルキル基が置換基を有する場合又は他の基の置換基である場合、例えばアルコキシ基、アルキルアミノ基及びアルキルスルホニル基中にある場合、にも同様である。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル(=1−メチルエチル)である。好ましいアルキル基はメチル又はエチル、更に好ましくはメチルである。アルキル基において、1個又はそれ以上、例えば1、2、又は3個の水素原子がフッ素原子で置き換えられてもよい。かかるフルオロアルキル基の例はトリフルオロメチル及び2,2,2−トリフルオロエチルである。置換アルキル基はいかなる位置で置換されてもよい。
【0013】
シクロアルキル基の例はシクロプロピル、シクロブチル又はシクロペンチルである。置換シクロアルキル基はいかなる位置で置換されてもよい。シクロアルキル基はまた、他の基の置換基として、例えばシクロプロピルメチルとして存在してもよい。
【0014】
本発明はまた、以下に記載する、式I及び/又はIIの化合物の製造法を提供する。
本発明は式I又はIIの化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩の製造法に関し、該製造法は
a)式III又はIVのジアミンを式Vのシアネートと反応させて、式VI又はVIIの尿素誘導体を得、
b)式VI又はVIIの尿素誘導体を環化して式Ia又はIIaの化合物を得、そして
c)R4が水素以外の式I又はIIの化合物を製造するために、式Ia又はIIaの化合物を誘導して式I又はIIの化合物を得る、
工程を含む。
【0015】
【化2】

(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ前に定義した通りであり、そしてZは酸素又は好ましくはイオウである。)
【0016】
例えば、式I又はIIで記載された物質は、式Va:
【化3】

のイソチオシアネート及び式III又はIVの適当なジアミンから製造できる。このために、式III又はIVのジアミンはまず不活性溶媒、例えばテロラヒドロフランのようなエーテル中で、式Vaの適当なイソチオシアネートと反応させるが、操作は一般に0℃〜100℃、例えば室温で行われる。式Vaのイソチオシアネートが市販されていない場合は、適当なアニリンから当業者に知られた方法、例えばチオホスゲン(J.Med.Chem.,1975,18,90−99)又はチオカルボニルジイミダゾール(Justus Liebigs Ann.Chem.,1962,657,104)で処理して、製造し得る。中間体として形成されたチオ尿素誘導体は適当な溶媒、例えばエタノールのようなアルコール、の中で、例えばヨウ化メチル(Synthesis,1974、41−42)又はカルボジイミド(Synthesis,1977、864−865)により、0℃〜100℃、例えば溶媒の沸点又は室温で環化して、式Ia又はIIaの対応する化合物にし得る。更なる環化方法は、スルホニルクロリド、例えばトルエンスルホニルクロリドの、不活性溶媒、例えばテロラヒドロフランのようなエーテル中で、0℃〜100℃、例えば室温、で形成されたチオ尿素誘導体に対する作用からなり、塩基、例えばNaOH又はKOH、の存在下で行うのが好ましい。
【0017】
上記の式Vaのイソチオシアネートに加えて、式Vb:
【化4】

のイソシアネートもまた式II又はIIIのタイプのジアミンと反応させて式Ia又はIIaの化合物を得ることができる。この場合、中間体として形成された尿素誘導体は、好ましくはオキシ塩化リンを用いて、式Ia又はIIaの対応する化合物に環化される。
【0018】
式Vbの適当なイソシアネート及び式III又はIVのジアミンは市販されているか、又は文献に記載されそして当業者に知られた方法に従って又は該方法と同様にして製造することができる。
【0019】
任意の誘導体化のためには、一般式Ia又はIIaの化合物はまず無機塩基、例えばNaH、又は有機塩基を用いて−30℃〜100℃の温度、好ましくは室温で脱プロトン化し、次に適当な求電子試薬、例えばヨウ化メチルのようなハロゲン化物と−30℃〜100℃の温度、好ましくは室温で反応させて、R4が水素でない式I又はIIの誘導体を得る。
【0020】
生成物及び/又は中間体の後処理及び場合によっては精製は、抽出、クロマトグラフィー又は結晶化のような慣用の方法及び慣用の乾燥により行われる。
【0021】
本発明においては、驚くべきことに、式I及びIIの化合物はナトリウム/プロトン交換(NHE)、特にサブタイプ3ナトリウム/プロトン交換体(NHE3)の強力な阻害剤を構成することを示すことができる。
【0022】
今まで知られたNHE3阻害剤は、例えばアシルグアニジン型(EP825178)、ノルボルニルアミン型(WO0144164)、2−グアニジノキナゾリン型(WO0179186)、ベンズアミジン型(WO0121582、WO0172742)又はテトラヒドロイソキノリン型(WO03048129、WO03055880)の化合物から誘導される。同様にNHE3阻害剤として記載されたスクアラミン(M.Donowitz外、Am.J.Physiol.276(Cell Physiol.45):C136−C144)は、現在の知識状態によると、式I又はIIの化合物のように直接作用しないで、むしろ非直接的メカニズムで作用し、従って1時間後までにはその最高強度の作用を達成しない。異なるタイプの機構的作用を有するNHE3阻害剤は、例えば本発明の化合物と組み合わせるパートナーとして適する。
【0023】
本発明の化合物とは関係が薄いクロニジンは弱いNHE阻害剤であることが知られている。しかしながら、ラットのNHE3に対するその作用は、620μMの半分〜最高阻害濃度(half−maximum inhibitory concentration)(IC50)において極めて穏やかである。その代わりに、それはNHE2に対してはある程度の選択性を有する(J.Orlowski外、J.Biol.Chem.268,25536)。従ってそれはむしろNHE2阻害剤と呼ばれるべきである。弱いNHE作用に加えて、クロニジンはアドレナリン様のアルファ2受容体及びイミダゾリンI1受容体に対して高い親和性を有し、そのため強い血糖降下作用を引き起こす(Ernsberger外、Eur.J.Pharmacol.134,1,1987)。
【0024】
クロニジンに類似するがフェニル環の代わりにチオフェンを有する化合物はDE1941761に開示されている。ここに記載された式I又はIIの構造は、存在する化合物と、チエノ基が式I又はIIのイミダゾール部分構造に縮合している点で相違する。この相違は、アルファアドレノ受容体作用により媒介される、上記のクロニジン様の望ましくない心臓血管作用の除去を可能にする。同時に、置換の相違の結果、ここに記載された化合物のNHE阻害性はミクロモル及びミクロモル未満の範囲にまで向上し、一方DE1941761に開示された化合物は、あったとしても非常に弱く発現されたNHE阻害効果を示すにすぎない。例えば、出願DE1941761に記載された血圧降下剤であるチアメニジンは、治療上使用可能な濃度範囲では、調査されたNHEサブタイプ、NHE1、NHE2、NHE3及びNHE5に対して、関連する阻害作用を有しない。
【0025】
出願WO03053434はイミダゾリン型のNHE3阻害剤を、特許出願WO03101984はチオフェン型のNHE3阻害剤を、そして出願DE10304374はイミダゾール型のNHE3阻害剤を提案する。ベンゾイミダゾール型のNHE3阻害剤はWO0246169及びDE10304294に記載されている。驚くべきことに、ここに記載された式I及びIIの化合物は同様にNHE3の強力な阻害剤を構成し、そしてまた有利な薬理学的及び薬物動力学的性質をも有することが見いだされた。
【0026】
NHE3はいろいろな種類の体、優先的には胆嚢、腸及び腎臓に見いだされるが(Larry Fliegel外、Biochem.Cell.Biol.76:735−741,1998)、脳にも検出することができる(E.Ma外、Neuroscience79:591−603)。
【0027】
NHE阻害性の結果として、式I及びIIの化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、NHEの活性化又は活性化されたNHEにより引き起こされる障害、及びNHE関連損傷が二次的原因である障害の予防及び治療に適する。
【0028】
NHE阻害剤は主に細胞pH調節に対する影響を介して作用するので、それらは同様に細胞内pHを調節する他の化合物と組み合わせるのが好ましく、その場合、有用な組み合わせパートナーは、酵素群の炭酸脱水酵素からなる阻害剤、重炭酸ナトリウム共輸送体(NBC)又はナトリウム依存性塩化物−重炭酸塩交換体(NCBE)のような重炭酸イオン−輸送系の阻害剤である。また、他のNHEサブタイプに対して阻害作用を有するNHE阻害剤と組み合わるのも好ましい。何故なら、それらはここに記載したNHE阻害剤の薬理学的に関連するpH調節効果を増強するか又は調節することができるからである。
【0029】
本発明の化合物の使用は、家畜及びヒトの医学における急性及び慢性の疾患の予防及び治療に関する。
【0030】
式I又はIIの化合物の薬理学的作用の特徴は、該化合物が呼吸駆動を改良することである。従って該化合物は、例えば下記の臨床的状態及び疾患で起こり得る崩壊した呼吸状態の治療に適用できる:崩壊した中央呼吸駆動(例えば、中枢性睡眠時無呼吸症、幼児突然死、術後低酸素症)、筋肉関連呼吸障害、長期の通風後の呼吸障害、高所での適応の過程における呼吸障害、閉塞性及び混合タイプの睡眠時無呼吸症、低酸素症及び高炭酸ガス血症を伴う急性及び慢性肺疾患。
更に、該化合物は上気道の筋緊張力を増大させるので、いびきが抑えられる。従って、特定した化合物は、睡眠時無呼吸症及び筋肉関連呼吸障害を予防及び治療するための医薬の製造、並びにいびきを予防及び治療するための医薬の製造への使用が有利に見いだされる。
【0031】
式I又はIIのNHE阻害剤と炭酸脱水酵素阻害剤(例えばアセタゾルアミド)との組み合わせは有利であることを見いだすことができ、後者は代謝性アシドーシスを誘発し、従ってそれ自体呼吸活性を増大させるので、活性成分の向上した作用及び使用量の減少を達成することができる。
【0032】
NHE3−阻害作用の結果として、本発明の化合物は、毒性及び病原性の出来事の過程で急速に消費され、従って細胞損傷又は細胞死に導く細胞エネルギー貯蔵物を保護する。近位細管におけるエネルギー集中性ATP消費性ナトリウム吸収はNHE3阻害剤の影響下で一時的に遮断され、従って細胞は急性病原性、虚血性又は毒性の状況を切り抜けることができる。従って該化合物は、虚血性病毒、例えば急性腎不全を治療するための例えば医薬として適する。更に、該化合物は、増大したタンパク排泄の結果、慢性腎不全に導く全ての慢性腎臓障害及び腎炎形態を治療するのにも適する。従って、式I又はIIの化合物は後期糖尿病性損傷、糖尿病性腎症及び慢性腎臓障害、特に増大したタンパク質/アルブミン排泄と関連した全ての腎臓炎症(腎炎群)を治療するための医薬の製造に適する。
【0033】
本発明に従って使用される化合物は、温和な便通作用を有し、従って緩下剤として又は便秘を阻止する場合にも有利に使用し得る。
更に、本発明の化合物は、例えば腸領域における虚血状態により、及び/又はその後の再潅流により又は炎症状態及び事態により引き起こされる胃腸管の急性及び慢性障害の予防及び治療に有利に使用することができる。かかる合併症は、例えば外科的介在の後に便秘又は消化器の活動が大きく減少した場合にしばしば観察されるような不適切な消化器蠕動の結果として観察され得る。
【0034】
本発明の化合物は胆石形成の予防の可能性を与える。
本発明のNHE阻害剤は虚血及び再潅流により誘発される疾患を治療するのに一般に適当である。
【0035】
本発明の化合物は、それらの薬理学的性質により、抗不整脈医薬として適当である。
それらの心臓保護性成分はNHE阻害剤を梗塞予防及び梗塞治療に、そしてまた狭心症の治療に顕著に適するものとする。狭心症の場合、該NHE阻害剤はまた、特に虚血性的に誘発された心臓不整脈の刺激で虚血的に誘発された損傷が生じる病態生理学的過程を予防的に阻止するか又は大きく減少させる。病理学的低酸素及び虚血状態に対する保護作用により、本発明に従って使用される式I又はIIの化合物は、細胞Na+/H+交換メカニズムの阻害の結果、それにより一次的に又は二次的に誘発された全ての急性又は慢性虚血症−誘発損傷又は疾患を治療するための医薬として使用し得る。
【0036】
本発明はまた、外科的介入のための医薬としてのそれらの使用に関する。例えば、本発明の化合物は器官移植において使用し得、その場合、該化合物は供与者の器官をその除去前及び除去中に保護し、そして除去した器官を、例えば生理学的浴液体での処理の過程で又はそれらの生理学的浴液体中での貯蔵中に、及び式I又はIIの化合物で予備処理した受容者の生体に移植する過程で保護するために使用できる。
【0037】
該化合物は同様に、例えば心臓又は周辺器官及び血管のどこかに血管形成外科介入を行う場合、保護作用を有する貴重な医薬である。
【0038】
NHE阻害剤はヒトの組織及び器官を、虚血及び再潅流により引き起こされた損傷に対してだけでなく、特に癌治療及び自己免疫障害に用途が見いだされる医薬の細胞傷害作用に対しても有効に保護するので、式I又はIIの化合物と組み合わせた投与は治療の細胞傷害作用を低減又は抑制するのに適する。NHE阻害剤との同時薬物適用の結果としての細胞傷害作用、特に心臓毒の低減はまた、細胞毒治療の投与量を増加させそして/又はかかる医薬の適用の長期化を可能にする。かかる細胞毒治療の治療上の利点は、NHE阻害剤との組み合わせによりかなり増大し得る。式I又はIIの化合物は、望ましくない心臓毒成分を有する医薬を用いた治療に特に適する。
【0039】
虚血により誘発された損傷に対する保護作用によって、本発明の化合物は神経系、特に中枢神経系、の虚血症を治療するための医薬としても適し、そして該化合物は例えば脳卒中又は脳水腫を治療するのにも適する。
【0040】
式I又はIIの化合物はまた、中枢神経系の興奮性亢進により誘発された障害及び崩壊状態の治療及び予防、特に癲癇性障害、中枢誘発慢性及び緊張性痙攣、精神的鬱病状態、不安状態及び精神病の治療に適する。これらの場合、本発明のNHE阻害剤を単独で又は他の抗癲癇物質又は抗精神活性成分、又は炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾルアミド、と組み合わせて、そしてまた別のNHE阻害剤又はナトリウム依存性塩化物−重炭酸塩交換体(NCBE)の阻害剤と組み合わせて使用することも可能である。
【0041】
更に、式I又はIIの本発明化合物は同様に、いろいろなタイプのショック、例えばアレルギー性、心臓性、血液量減少性及びバクテリア性ショックを治療するのに適する。
式I又はIIの化合物は同様に、血栓性障害を予防及び治療するのに使用し得る。何故なら、該化合物は、NHE阻害剤として、血小板凝集自体をも阻止することができるからである。更に、該化合物は、虚血症及び再潅流の後に起こる炎症及び凝固媒体の過剰放出、特にフォンビルブランド因子及びトロンボゲン選択タンパク質の過剰放出を阻止又は予防することができる。これによりトロンボゲン及び炎症関連因子の病原性作用を減少及び除去することができる。従って、本発明のNHE阻害剤は更なる抗凝固性及び/又は血栓融解性活性成分、例えば組換え又は天然の組織プラスミノゲン活性剤、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アセチルサリチル酸、トロンビンアンタゴニスト、因子Xaアンタゴニスト、フィブリノーゲン分解活性を有する医薬、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、因子VIIaアンタゴニスト、クロピドグレル(clopidogrel)、チクロピジン(ticlopidine)等、と組み合わせることができる。本願のNHE阻害剤とNCBE阻害剤及び/又は炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾルアミド、との組み合わせの使用が特に好ましい。
【0042】
更に、本発明のNHE阻害剤は、細胞の増殖、例えば線維芽細胞増殖及び平滑筋血管細胞の増殖、に対する強い阻害作用を特徴とする。従って、式I又はIIの化合物は、細胞増殖が第1の又は第2の原因となる疾病に対する貴重な治療剤として有用であり、従って抗アテローマ硬化剤、慢性腎不全及び癌に対する薬剤として使用できる。従って該化合物はまた、器官肥大症及び過形成、例えば心臓及び前立腺の肥大症及び過形成、を治療するのにも使用できる。従って式I又はIIの化合物は、心不全(うっ血性心不全=CHF)の予防及び治療、そしてまた前立腺過形成又は前立腺肥大症の治療及び予防に適する。
【0043】
NHE阻害剤の更なる特徴は、線維症障害の遅延又は予防である。従って該阻害剤は心臓の線維症、そしてまた肺の線維症、肝臓の線維症、腎臓の線維症及び他の線維症障害を治療するための優れた薬剤として適当である。
【0044】
NHEは本態性高血圧患者において著しく増加しているので、式I又はIIの化合物は高血圧及び心臓血管障害を予防及び治療するのに適する。これらの場合、該化合物は単独で又は配合パートナーとの適当な組み合わせで高血圧及び心臓血管障害の治療用に使用できる。例えば、1種又はそれ以上のチアジド様の作用を有する利尿薬、ループ利尿薬(loop diuretics)、アルドステロン及び擬アルドステロンアンタゴニスト、例えばヒドロクロロチアジド、インダパミド、ポリチアジド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、ブメタニド、アミロリド、トリアンテレン、スピロノラクトン又はエプレロン、を式I又はIIの化合物と組み合わせてもよい。更に、本発明のNHE阻害剤はベラパミル、ジルチアゼム、アムロジピン又はニフェジピンのようなカルシウムアンタゴニストと組み合わせて、そしてまたACE阻害剤、例えばラミプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリル又はカプトプリル、と組み合わせて使用し得る。更なる好ましい組み合わせパートナーは、メトプロロール、アルブテロール等のβ−ブロッカー、アンギオテンシンリセプター及びそのリセプター下位タイプのアンタゴニスト、例えばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、オマパトリラット、ゲモパトリラット、エンドテリンアンタゴニスト、リニン阻害剤、アデノシンリセプターアンタゴニスト、カリウムチャンネルの阻害剤及び活性剤、例えばグリベンクラミド、グリメピリド、ジアゾキシド、クロモカリム、ミノキシジル及びそれらの誘導体、ミトコンドリアATP−感受性カリウムチャンネル(mito(ATP)channel)の活性剤、Kv1.5等の更なるカリウムチャンネルの阻害剤である。
【0045】
本発明のNHE阻害剤は、それらの消炎作用の結果、抗炎症薬剤として使用し得る。機構的には、顕著な炎症媒介の放出の阻害である。従って、該化合物は、急性及び慢性炎症性障害の予防又は治療において、単独で又は消炎剤と組み合わせて使用し得る。使用する組み合わせパートナーはステロイド系及び非ステロイド系抗炎症薬剤が有利である。
【0046】
NHE阻害剤は血清リポタンパク質に有益な影響を示すことが見いだされた。従って該阻害剤はアテローム硬化性損傷の予防及び退化に使用し得る。何故なら、それらは原因危険因子を除くからである。それらには、1次的高脂質血症だけでなく、例えば糖尿病で起きるある種の2次的高脂質血症を含む。更に、NHE阻害剤は、代謝異常により誘発される梗塞を明らかに減少させ、そして特に誘発された梗塞の大きさ及びその重症度を著しく低減させる。従って、式I及びIIのNHE阻害剤は、高コレステロール血症を治療するための医薬の製造;アテローム発生を予防するための医薬の製造;アテローム硬化症を治療及び予防するための医薬の製造;コレステロールレベルの上昇により誘発される疾患を予防及び治療するための医薬の製造;内皮機能障害により誘発される疾患を予防及び治療するための医薬の製造;アテローム硬化症により誘発される高血圧を予防及び治療するための医薬の製造;アテローム硬化症により誘発される血栓症を予防及び治療するための医薬の製造;高コレステロール血症及び内皮機能障害により誘発される虚血性損傷及び虚血後の再潅流損傷を予防及び治療するための医薬の製造;心臓肥大及び心筋症及び鬱血性心不全(CHF)を予防及び治療するための医薬の製造;高コレステロール血症及び内皮機能障害により誘発される冠動脈血管痙攣及び心筋梗塞を予防及び治療するための医薬の製造;血糖降下物質と組み合わせて、好ましくはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンギオテンシンリセプターアンタゴニストと組み合わせて、上記の症状を治療するための医薬の製造に有利に用途が見いだされる。式I又はIIのNHE阻害剤と血液脂質レベル降下活性成分、好ましくはHMG−CoAリダクターゼ阻害剤(例えばロバスタチン又はプラバスタチン)の組み合わせ(この場合、後者は脂質低下作用を引き起こし、従って式I又はIIのNHE阻害剤の低脂質性を増大させる)は、活性成分の作用を向上させそして使用量を低減させる好ましい組み合わせを構成する。例えば、NHE阻害剤はいろいろな起源の内皮損傷に対して有効に保護する。内皮機能障害の症候群に対するこの血管の保護は、NHE阻害剤を、冠動脈血管痙攣、末梢管疾患、特に間欠性跛行、アテローム発生およびアテローム性動脈硬化症、左心室肥大及び膨張した心筋症、及び血栓障害の予防及び治療するための貴重な医薬にする。
【0047】
NHE阻害剤はまた、例えばインスリン抵抗が抑えられた、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)を治療するのにも適する。本発明の化合物の抗糖尿病活性及び作用の質を向上するために、この場合、該化合物をメトフォルミンのようなビグアニド、グリブリド、グリメピリド、トルブタミド等の抗糖尿病性のスルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン等のPPARアゴニスト、いろいろな投与形態のインスリン製品、DB4阻害剤、インスリン増感剤又はメグリチニドと組み合わせるのが好ましいであろう。
【0048】
急性抗糖尿病効果に加えて、NHE阻害剤は糖尿病後期合併症への進展を妨げ、従って、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症及び糖尿病の結果として生じる他の障害のような糖尿病後期合併症を予防及び治療するための医薬として使用できる。この場合、NHE阻害剤はNIDDM治療中に上記した抗糖尿病医薬と組み合わせるのが有利であろう。好ましいインスリン投与形態との組み合わせは本願で特に意義があるであろう。
【0049】
急性虚血性事態に対する保護作用及びその後の同じく急性のストレスの多い再潅流事態に対する保護作用に加えて、NHE阻害剤はまた、慢性的に進行する老化過程の発現に関連しそして急性潅流減退状態と関係なくそして正常、非虚血状態でも生じることができる全哺乳類生物の疾病及び障害に対する直接的な治療上利用可能な作用を示す。病気、病弱及び死のような、長期の老化にわたって誘発される、これらの病的な年齢が関連する発現は、最近NHE阻害剤での治療を受けるようになったが、本質的原因が重要な器官およびそれらの機能の年齢に関係する変化でありそして老化する生物においてますます顕著になる疾病および障害である。機能損傷、器官の消耗の年齢に関係する発現に関連する障害は、例えば、収縮及び弛緩反応に対する血管の不適当な応答及び反応性である。心臓血管系の不可欠プロセスであり、従って生命及び健康の不可欠プロセスである収縮及び弛緩刺激に対する血管反応性における年齢が関連する減退は、NHE阻害剤により著しく除去又は低減させることができる。重要な機能であり且つ血管反応の保全の尺度は、NHE阻害剤によって非常に顕著に除去することができる年齢が関連する進行性内皮機能障害の遮断又は退化である。このようにNHE阻害剤は年齢が関連する進行性内皮機能障害、特に間欠性跛行、の治療及び予防に著しく適する。NHE阻害剤はまた、心不全、鬱血性心不全(CHF)の治療及び予防、そしてまた年齢が関係する形態の癌の治療及び特に予防に著しく適する。この場合、有用な組み合わせは、血圧降下薬、例えばACE阻害剤、アンギオテンシンリセプターアンタゴニスト、利尿剤、Ca+アンタゴニスト等、又は代謝正常化医薬、例えば低コレステロール血症薬剤である。このように式I又はIIの化合物は、年齢が関係する組織の変化の予防及び高い質の生活を維持しながらの長命化に適する。
【0050】
本発明の化合物は、数多くの障害(本態性高血圧、アテローム硬化症、糖尿病等)、および容易に測定される細胞、例えば赤血球、血小板又は白血球、において上昇する細胞ナトリウム−プロトン交互輸送体(Na/H交換体)の有効な阻害剤である。従って、本発明に従って使用される化合物は、例えばいろいろな形態の高血圧だけでなく、いろいろな形態のアテローム硬化症、糖尿病及び糖尿病後期合併症、増殖性障害等を決定しそして識別するための診断剤としての使用において、顕著な且つ簡単な科学手段として適する。
【0051】
更に、NHE3阻害剤はバクテリア及び原生動物により引き起こされる(ヒト及び家畜の)障害を治療するのに適する。原生動物により引き起こされる疾病は特にヒトにおけるマラリア病、及び家禽におけるコクシジウム症である。
【0052】
該化合物はまた、ヒト及び家畜の医学、そしてまた作物の保護における吸血寄生虫を抑制する手段にも適する。本願では、ヒト及び家畜の医学における吸血寄生虫に対する薬剤としての使用が好ましい。
【0053】
有効量の式I及びIIの化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩と、薬学的に許容される担体及び添加剤とを、単独で又は他の薬理学的活性成分又は医薬と組み合わせて含む、ヒト、家畜又は植物保護用の医薬組成物もまた請求される。
【0054】
式I及びIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩を含む医薬は、例えば経口的、非経口的、筋肉内、静脈内、直腸内、鼻孔内、又は吸入、皮下若しくは適当な経皮的投与形態により投与し得、好ましい投与は障害に特有の特徴に依存する。式I又はIIの化合物は単独で、又は薬学的賦形剤と共に、家畜及びヒトの医学に、及び作物保護に使用し得る。該医薬は式I及びIIの活性成分及び/又はその薬学的に許容しうる塩を一般に単位当たり0.01mg〜1gの量で含む。
【0055】
所望の医薬配合物にどの賦形剤が適当かは、当業者がかれらの知識に基づき熟知している。溶媒、ゲル形成剤、座薬基材、錠剤賦形剤及び他の活性成分担体に加えて、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、風味料、保存料、溶解剤又は染料を使用することが可能である。
【0056】
経口投与形態には、活性化合物はこの目的に適した添加剤、例えば担体、安定剤又は不活性希釈剤、と混合され、そして慣用の方法により適当な投与形態、例えば錠剤、被覆錠剤、硬質ゼラチンカプセル、水性、アルコール性若しくは油性溶液、に変換される。有用な不活性担体には、例えばアラビアガム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコース又は澱粉、特にとうもろこし澱粉、が含まれる。配合は、乾燥顆粒又は湿式顆粒として行うことができる。有用な油性担体又は溶媒は、例えばヒマワリ油又は魚肝油のような植物若しくは動物油である。
【0057】
皮下、経皮又は静脈内投与のためには、使用する活性化合物は、所望により溶解剤、乳化剤又は更なる賦形剤のような、この目的に慣用の物質と共に、溶液、懸濁液又は乳濁液に変換される。有用な溶媒は、例えば水、生理的食塩水又はアルコール(例えばエタノール、プロパノール、グリセロール)、及び更にグルコース溶液若しくはマンニトール溶液のような糖溶液、或いは前に述べたいろいろな溶媒の混合物である。
【0058】
エーロゾルの形態で投与するのに適した薬学的配合物は、例えば薬学的に許容される溶媒、特にエタノール又は水、およびかかる溶媒の混合物中に式I又はIIの活性成分を含む溶液、懸濁液又は乳濁液である。必要な場合は、該配合物は界面活性剤、乳化剤及び安定剤のような他の薬学的賦形剤、そしてまた推進薬ガスを含んでもよい。かかる配合物は典型的には活性成分を約0.1〜10重量%、特に約0.3〜3重量%の濃度で含む。
【0059】
投与すべき式I又はIIの活性成分の投与量及び投与頻度は、使用する化合物の効力及び作用の持続性;更には治療すべき疾患の性質及び重症度、そしてまた治療すべき哺乳類の性、年齢、体重及び個々の感応性に依存する。
【0060】
平均して、約75kg体重の患者の場合、式I又はIIの化合物の1日の投与量は、少なくとも0.001mg/kg(体重)、好ましくは0.1mg/kg(体重)から多くて30mg/kg(体重)、好ましくは1mg/kg(体重)である。急性の場合、例えば高所での呼吸停止状態を患ったすぐ後、例えば高所での呼吸停止状態を患った直後、更に多い投与量が必要であろう。特に静脈投与の場合、例えば集中治療装置にいる梗塞患者の場合、1日当たり300mg/kgまで必要であろう。1日当たりの投与量は1つ又はそれ以上、例えば4つの個々の投与量に分割し得る。
【実施例】
【0061】
実験の記述及び実施例
実施例1:2−(4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化5】

a)N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(4−メチル−3−チエニル)−チオ尿素
3,4−ジアミノチオフェン二塩酸塩1.87g,無水テトラヒドロフラン(THF)60ml及びN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン2.58gの混合物を室温で30分間撹拌し、次に4−メチル−3−チエニルイソシアネート1.5gと混合した。約18時間撹拌した後、溶媒を留去し、残留物を水と混合し、そして酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を活性化炭素で処理した後、該相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を再び留去した。N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(4−メチル−3−チエニル)−チオ尿素が無定形泡状固体として得られた。
更に特性化するために、酢酸エチル20ml中のN−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(4−メチル−3−チエニル)−チオ尿素0.15gを、塩化水素ガス飽和エーテル溶液を用いて強酸性にし、固体を濾取した。
吸湿性生成物、分解点:110℃から。
【0062】
b)2−(4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
ヨウ化メチル5.5gを、無水エタノール40ml中のN−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(4−メチル−3−チエニル)−チオ尿素1.2gの懸濁液に加え、混合物を還流下で5時間煮沸した。溶媒をロータベーパー(Rotavapor)上で留去した後、残留物を水と混合し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性にし、そして酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、活性炭で処理し、そして溶媒をロータベーパー上で留去した。次に残留物を、ジクロロメタン10容量部及びメタノール1容量部の混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、そして再び溶媒を留去した後、ジイソプロピルエーテル下で結晶化した。褐色固体。分解点:105℃。
【0063】
実施例2:2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化6】

a)N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2,6−ジクロロフェニル)−チオ尿素
3,4−ジアミノチオフェン二塩酸塩1.87g、無水THF60ml及びN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン2.58gの混合物を室温で30分間撹拌し、次に2,6−ジクロロフェニルイソチオシアネート2.04gと混合した。混合物を40℃で10分間加熱した後、該混合物を室温でほぼ18時間撹拌し、溶媒を留去し、そして残留物を水と混合しそして酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を活性炭で処理した後、該相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を再び留去した。結晶性固体が得られ、そして少量の酢酸エチルを用いて撹拌した後、濾取した。
融点:165℃。
【0064】
b)2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
ヨウ化メチル2.5gを無水エタノール40ml中のN−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2,6−ジクロロフェニル)チオ尿素0.951gの懸濁液に加え、混合物を還流コンデンサー上で6時間煮沸した。溶媒をロータベーパー上で留去した後、残留物を水と混合し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性にし、そして酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、活性炭で処理し、そして溶媒をロータベーパー上で留去した。次に残留物を、ジクロロメタン10容量部及びメタノール1容量部の混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶媒を留去した後、褐色油状−無定形生成物が得られた。それを少量の酢酸エチルに溶解し、塩化水素ガス飽和エーテル溶液を用いて強酸性にし、そして少量のアセトンを加えた後、完全に結晶するまで煮沸した。
融点>300℃。
【0065】
実施例3:2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−4,6−ジメチル−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化7】

a)N−(3−アミノ−2,5−ジメチル−4−チエニル)−N’−(2,6−ジクロロフェニル)−チオ尿素
3,4−ジアミノ−2,5−ジメチルチオフェン二塩酸塩0.5g、無水THF30ml及びトリエチルアミン0.49gの混合物を室温で30分間撹拌し、次に2,6−ジクロロフェニルイソチオシアネート0.569gと混合した。該混合物を40℃に30分間加熱した後、それを室温でほぼ18時間撹拌し、溶媒を留去し、残留物を水と混合し、そして沈殿物を濾取し、同容量のトルエンと酢酸エチルから成る混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶媒を留去した後、融点143〜148℃の泡状無定形生成物が得られた。それは融解した後、再び固化して新たな融点>300℃を有した。
【0066】
b)2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−4,6−ジメチル−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
ヨウ化メチル0.664gを、無水エタノール30ml中のN−(3−アミノ−2,5−ジメチル−4−チエニル)−N’−(2,6−ジクロロフェニル)−チオ尿素0.27gの溶液に加え、混合物を還流条件下でほぼ10時間煮沸した。溶媒をロータベーパー上
で留去した後、残留物を水と混合し、そして酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をロータベーパー上で留去した。次に残留物を、酢酸エチル20容量部、n−ヘプタン10容量部、氷酢酸3容量部の混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶媒を留去した後、残留物を少量の酢酸エチルに溶解し、塩化水素ガス飽和ジエチルエーテル溶液を用いて強酸性にし、そして無定形沈殿物を加熱により完全に結晶化した。融点:270−273℃。
【0067】
実施例4:2−(4−メチル−3−チエニルアミノ)−4,6−ジメチル−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化8】

a)N−(3−アミノ−2,5−ジメチル−4−チエニル)−N’−(4−メチル−3−チエニル)−チオ尿素
3,4−ジアミノ−2,5−ジメチルチオフェン二塩酸塩1g、無水THF60ml及びトリエチルアミン1.05gの混合物を室温で30分間撹拌し、そして次に4−メチル−3−チオニル−イソチオシアネート0.902gと混合した。混合物を35〜40℃に15分間加熱した後、ほぼ18時間撹拌し、溶媒を留去し、そして残留物を水と混合しそして酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相の溶媒を留去した後、残留物を、同部のトルエンと酢酸エチルから成る溶媒混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶媒を減圧下で留去した後、半結晶性油状物が得られ、更に精製することなく使用した。
【0068】
b)2−(4−メチル−3−チエニルアミノ)−4,6−ジメチル−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
ヨウ化メチル0.97gを、無水エタノール40ml中のN−(3−アミノ−2,5−ジメチル−4−チエニル)−N’−(4−メチル−3−チエニル)−チオ尿素0.34gの懸濁液に加え、混合物を還流下で6時間煮沸した。溶媒をロータベーパー上で留去した後、残留物を水と混合し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性にし、そして酢酸エチルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、活性炭で処理し、そして溶媒をロータベーパー上で留去した。次に残留物を、酢酸エチル20容量部、n−ヘプタン10容量部及び氷酢酸3容量部の混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶媒を留去した後、ジイソプロピルエーテル下ですり潰して褐色結晶生成物を得た。融点:159−164℃。
該生成物を少量の酢酸エチルに溶解し、塩化水素ガス飽和ジエチルエーテル溶液を用いて強酸性にし、そして加熱して褐色の結晶性目的生成物を沈殿させた。融点:230−232℃。
【0069】
実施例5:2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化9】

a)4−メチル−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェン
トリエチルアミン609mg(=0.83ml)を加えて10分間撹拌後に無水トリフルオロ酢酸464mg(=0.307ml)を、無水THF20ml中の3−アミノ−4−メチルチオフェン300mgの懸濁液に加えた。発熱反応が一旦減じると、混合物を室温で更に2時間撹拌し、一晩放置した。溶媒を留去した後、油状残留物を酢酸エチルに溶解し、有機相を水で1回そして希塩酸で1回、そして再び水で1回洗い、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を留去した。
暗色油状−無定形生成物として得られた4−メチル−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェンを更に精製することなく次の段階に使用した。
【0070】
b)2−クロロ−4−メチル−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェン
氷酢酸50ml中のN−クロロスクシンイミド3.2gの溶液を、氷酢酸70ml中の4−メチル−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェン5gの混合物に滴加し、混合物を次に室温で30分間、そして50℃で更に1時間撹拌した。溶媒を留去し、残留物を水と混合し、そして2NのNaOHを用いてpH10に調節した。混合物を酢酸エチルを用いて抽出し、そして有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、褐色油状生成物が得られ、トルエン10容量部及びn−ヘプタン2容量部の溶出混合物を用いてシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。溶媒を留去した後、生成物が薄黄色油状物として得られた。
【0071】
c)3−アミノ−2−クロロ−4−メチルチオフェン塩酸塩
2−クロロ−4−メチル−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェン400mgをヒドラジン水和物1.5mlと混合し、次に50℃で1時間撹拌した。混合物を水と混合し、溶液を酢酸エチルを用いて抽出し、そして有機相を希酢酸で1回そして水でもう1回洗った。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した後、それを塩化水素飽和ジエチルエーテルを用いて強酸性にし、そして溶媒をロータベーパー上で減圧下で留去した。実質的な程度まで留去した後、混合物を再び酢酸エチルと混合し、溶媒を再び留去し、その過程で褐色結晶が析出した。固体を急速に濾取しそして五酸化二燐で乾燥するためにデシケーターに移した。
褐色結晶性吸湿性固体。昇華点:120℃。
【0072】
d)2−クロロ−4−メチル−3−チエニル−イソチオシアネート
3−アミノ−2−クロロ−4−メチルチオフェン塩酸塩0.5g、塩化メチレン8ml及び水0.2mlから調製した混合物を、15分以内に、水6ml中の炭酸水素ナトリウム0.57gの溶液、塩化メチレン20ml及びチオホスゲン0.34gから調製した混合物に滴下した。混合物を室温で30分間撹拌し、次に有機相を除去し、そして水相を塩化メチレンでもう1回抽出した。合わせた有機相を水でもう1回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を留去した。このようにして暗色油状物として得たイソチオシアネートは、その感受性のために、更に精製することなく更なる反応に使用した。
【0073】
e)N−(4−アミノ−3−チエニル)−N’−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニル)−チオ尿素
3,4−ジアミノチオフェン二臭化水素酸塩0.55gを無水THF30ml中のN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン0.51gの溶液に加え、混合物を室温でほぼ5分間撹拌し、そして次に溶液をTHF5ml中の(2−クロロ−4−メチル−3−チエニル)−イソチオシアネート0.4gの混合物と混合した。反応混合物を室温で3時間、そして40℃で10分間撹拌した。該混合物を一晩放置した後、溶媒を留去し、そして残留物を水で処理しそして酢酸エチルで抽出した。不溶部分を濾取し、そして有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、生成物を、トルエン1容量部及び酢酸エチル1容量部の混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、そして溶媒を留去した後、N−(4−アミノ−3−チエニル)−N’−(2−クロロ−4−メチルチエニル)−チオ尿素が結晶性固体として得られた。
融点:132−135℃。
【0074】
f)2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
無水THF5ml中のp−トルエンスルホニルクロリド108.4mgの溶液を、THF15ml中のN−(4−アミノ−3−チエニル)−N’−(2−クロロ−4−メチルチエニル)−チオ尿素157mgの溶液と水2ml中のNaOH51.08mgの溶液から調製した混合物に滴下した。得られた暗色溶液を室温で2時間撹拌し、溶媒を留去し、そして残留物を水と混合した。酢酸エチルで抽出した後、有機相を水で洗いそして硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、残留物を、溶出液として酢酸エチル20容量部、n−ヘプタン10容量部、氷酢酸3容量部の混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、その溶出液を次に減圧下で留去した。粘性無定形生成物が得られ、それを酢酸エチルに溶解しそして塩化水素ガス飽和ジエチルエーテルを用いて強酸性にした。析出した無定形塩酸塩を引っ掻くことにより結晶化した。融点:>300℃。
【0075】
実施例6:2−(2−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化10】

a)N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2−トリフルオロメチルフェニル)チオ尿素
3,4−ジアミノチオフェン二臭化水素酸塩0.8gを、無水THF40ml中のN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン0.74gの混合物に加え、混合物を室温で10分間撹拌し、次に2−トリフルオロメチルフェニルイソチオシアネート0.58gと混合した。混合物を室温で3時間、そして40℃で更に10分間撹拌し、そして室温で一晩放置した。溶媒を留去した後、残留物を水と混合しそして酢酸エチルで抽出し、そして不溶部分を濾取した。有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、そして残留物を、トルエン1容量部と酢酸エチル1容量部の混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
融点122−128℃の結晶性固体。
【0076】
b)2−(2−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
THF5ml中のp−トルエンスルホニルクロリド165.3mgの溶液を、THF15ml中のN−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2−トリフルオロメチルフェニル)−チオ尿素250mgの溶液と水3ml中のNaOH77.8mgの溶液から調製した混合物に滴下した。室温で2時間撹拌した後、溶媒を留去し、残留物を水と混合しそして酢酸エチルで抽出した。洗浄後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、そして残留物を、酢酸エチル20容量部、n−ヘプタン10容量部及び氷酢酸3容量部の混合物を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。LC−MSで確認された部分の溶媒を留去した後、残留物を少量の酢酸エチルに溶解し、ジエチルエーテル中の塩化水素ガスの溶液を用いて強酸性にし、そして一晩放置した後、結晶を濾取した。
結晶性固体、融点:194−196℃。
【0077】
実施例7:2−(2,6−ジメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化11】

a)N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2,6−ジメチルフェニル)チオ尿素を、実施例6a)に特定した方法と同様にして、THF40ml中のN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン0.74g、3,4−ジアミノチオフェン二臭化水素酸塩0.8g及び2,6−ジメチルフェニルイソチオシアネート0.47gから調製した混合物を反応させることにより得た。
結晶性固体。融点:188−191℃。
【0078】
b)2−(2,6−ジメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩を、実施例6b)に特定した方法と同様にして、N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2,6−ジメチルフェニル)チオ尿素380mg、NaOH135.4mg及びp−トルエンスルホニルクロリド287.3mgから得た。結晶性物質。融点>310℃。
【0079】
実施例8:2−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化12】

a)N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2,6−ジフルオロフェニル)チオ尿素を、実施例6a)に特定した方法と同様にして、THF40ml中のN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン0.74g(=1.01ml)、3,4−ジアミノチオフェン二臭化水素酸塩0.8g及び2,6−ジメチルフェニルイソチオシアネート0.496gから調製した混合物を反応させることにより得た。
結晶性固体。融点:135−140℃。
【0080】
b)2−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩を、実施例6b)に特定した方法と同様にして、N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2,6−ジメチルフェニル)チオ尿素335mg、NaOH81.36mg及びp−トルエンスルホニルクロリド172.7mgから得た。結晶性物質。融点:296℃。
【0081】
実施例9:2−(2−クロロ−6−メチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化13】

a)N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2−クロロ−6−メチルフェニル)チオ尿素を、実施例6a)に特定した方法と同様にして、THF40ml中のN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン0.74g(=1.01ml)、3,4−ジアミノチオフェン二臭化水素酸塩0.8g及び2−クロロ−6−メチルフェニルイソチオシアネート0.473gから調製した混合物を反応させることにより得た。
結晶性固体。融点:168−170℃。
【0082】
b)2−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩を、実施例6b)に特定した方法と同様にして、N−(3−アミノ−4−チエニル)−N’−(2−クロロ−6−メチルフェニル)チオ尿素170mg、NaOH56.4mg及びp−トルエンスルホニルクロリド119.7mgから得た。結晶性物質。融点>310℃。
【0083】
実施例10:2−(2,4−ジクロロ−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
【化14】

a)3−アセチルアミノチオフェン−2−カルボン酸メチルを、3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル471gをトルエン500ml中の無水酢酸226.64mlと反応させることにより得た。無色結晶性生成物。融点:94−95℃。
【0084】
b)3−アセチルアミノ−4,5−ジクロロチオフェン−2−カルボン酸メチルを、クロロホルム100ml中の3−アセチルアミノチオフェン−2−カルボン酸メチル19.9gをクロロホルム120ml中の塩化スルフリル(S02Cl2)17.9mlと、40℃で2時間撹拌し、引き続き還流条件下で15分間煮沸することにより反応させて得た。溶媒を留去した後、残留物を酢酸エチル中で結晶させた。結晶性固体。融点:136−138℃。
【0085】
c)3−アセチルアミノ−4−クロロチオフェン−2−カルボン酸メチルを、メタノール300ml中の3−アセチルアミノ−4,5−ジクロロチオフェン−2−カルボン酸メチル25g、トリエチルアミン9.5gの混合物を炭素上のパラジウム10gを用いて室温で760mmHgカラム(標準的圧力条件)で接触水素添加することにより得た。計算量の水素が吸収された後、触媒を濾過し、溶媒をロータベーパー上で留去し、そして生成物を水中で結晶化させた。
無色結晶性物質。融点:143−147℃。
【0086】
d)3−アミノ−4−クロロチオフェン−2−カルボン酸メチルを、メタノール50mlと濃塩酸50mlの混合物中の3−アセチルアミノ−4−クロロチオフェン−2−カルボン酸メチル7gの溶液を60℃で4時間そして室温で2日間撹拌することにより得た。混合物を濾過し、溶媒を出発容量の約1/3にまで蒸留し、水約100mlを加え、そして結晶を室温で撹拌した後、濾取した。結晶性生成物。融点:62−64℃。
【0087】
e)3−アミノ−4−クロロチオフェンを、3−アミノ−4−クロロチオフェン−2−カルボン酸メチル19.9gを水150ml中の水酸化カリウム16.4gの溶液中で、還流条件下で90分間加熱することにより得た。混合物を60℃に冷却し、そして2N HCl水溶液170mlを撹拌しながら温度を維持しながら注意深く滴下した。その過程で、脱炭酸の結果として発泡が起きた。混合物を更に30分間撹拌しそして冷却し、褐色沈殿物を濾取し、そしてNaOHを使用して濾液をpH11〜12に調整し、塩化メチレンで3〜4回抽出した。合わせた有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を留去した後、褐色油状物が得られ、それを更に精製することなく使用しそして保護ガスとしてのアルゴン下で貯蔵した。
【0088】
f)4−クロロ−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェンを、無水トリフルオロ酢酸2.29gを無水THF40ml中の3−アミノ−4−クロロチオフェン2g及びトリエチルアミン4.54gの溶液に加えることにより得た。発熱反応。次に混合物を室温で3時間撹拌し、溶媒を留去し、そして残留物を水と混合しそして酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗いそして引き続き硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。所望の生成物が油状物質として得られ、更に精製することなく更に加工した。
【0089】
g)2,4−ジクロロ−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェン
氷酢酸25ml中のN−クロロスクシンイミド1.4gの溶液を氷酢酸60ml中の4−クロロ−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェン2.3gの溶液に撹拌しながら滴下し、混合物を40〜45℃で更に35分間撹拌し、溶媒を留去した。残留物を水と混合し、酢酸エチルで抽出し、有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を留去した。残留物を、トルエン10容量部とn−ヘプタン2容量部の混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてまだ未変換のモノクロロ化合物を除いた。
結晶性化合物。融点:56−58℃。
【0090】
h)3−アミノ−2,4−ジクロロチオフェン
2,4−ジクロロ−3−トリフルオロアセチルアミノチオフェン0.26gと80%ヒドラジン水和物溶液2.0mlとの混合物を50℃で1時間撹拌し、室温で一晩放置した後、水と混合した。混合物を酢酸エチルで抽出し、水で洗い、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を留去した。結晶性固体。融点:50−52℃。
【0091】
i)2,4−ジクロロ−3−チエニル−イソチオシアネート
塩化メチレン15ml中の3−アミノ−2,4−ジクロロチオフェン0.66gの溶液を、塩化メチレン8ml、水6mlに溶かした炭酸水素ナトリウム0.825g、及びチオホスゲン0.496gの混合物に15分にわたって滴下した。室温で2〜3時間にわたっ
て撹拌した後、有機相を除き、水性相を塩化メチレンでもう2回抽出した。合わせた有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を留去した。イソチオシアネートが暗色生成物として得られ、その感受性のため、生成操作なしで更に反応させた。
【0092】
j)N−(4−アミノ−3−チエニル)−N’−(2,4−ジクロロ−3−チエニル)チオ尿素を、実施例5e)に記載した方法と同様にして、3,4−ジアミノチオフェン二臭化水素酸塩0.84gをTHF中の2,4−ジクロロ−3−チエニルイソチオシアネート0.8gとN−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン0.49gと反応させることにより得た。結晶性生成物。融点:110−115℃。
【0093】
k)2−(2,4−ジクロロ−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩
無水THF5ml中のp−トルエンスルホニルクロリド108.4mgの溶液を、THF15ml中のN−(4−アミノ−3−チエニル)−N’−(2,4−ジクロロチエニル)チオ尿素157mgの溶液と水2ml中のNaOH51.08mgの溶液から調製した混合物に滴下した。得られた暗色溶液を室温で2時間撹拌し、溶媒を留去し、そして残留物を水と混合した。酢酸エチルで抽出した後、有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、残留物を、溶出液として酢酸エチル20容量部、n−ヘプタン10容量部及び氷酢酸3容量部の混合物を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、溶出液を次に減圧下で留去した。粘性無定形生成物が得られ、それを酢酸エチルに溶解し、塩化水素ガス飽和ジエチルエーテルを用いて強酸性にした。無定形塩酸塩の結晶化が引っ掻くことによりもたらされた。融点:>300℃。
【0094】
実施例11:2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール
【化15】

が、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を、水40ml中の2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール塩酸塩(実施例5)306mgの懸濁液に加えることにより得られる。その過程で、pH10が確立される。懸濁液を室温で1時間撹拌した後、固体を濾取し、水で繰り返し洗い、そして生成物を空気流中で乾燥した。無色結晶性生成物、分解点:180℃から
【0095】
薬理学的データ:
NHE阻害の測定
試験の記載:
この試験は酸性化後の細胞内pH(pHi)の回復を測定し、そしてこの回復は官能性NHEの場合、重炭酸塩なしの条件下でも起こる。このために、pHiをpH−感応性蛍光染料BCECF(カルビオケム、BCECF−AM前駆体を使用する)を使用して決定した。細胞に初めにBCECFを充填した。BCECF蛍光をレーショー蛍光分光計(Ratio Fluorescence Spectrometer)(フォトン テクノロジー インテーナショナル、サウス ブルンスウィック、ニュージャージー、米国)で、励起波長505及び440nm、発光波長535nmで測定し、校正曲線によりpHiに変換した。細胞は既にNH4Cl−バッファ(pH7.4)中でBCECF充填の間にインキュベートされていた(NH4Cl−バッファ:115mM NaCl、20mM NH4Cl、5mM KCl、1mM CaCl2、1mM MgSO4、20mM ヘペス、5mM グルコース、1mg/ml BSA;pH7.4は1MNaOHを用いて確立されている)。細胞内酸性化は、NH4Clなしのバッファ(以下を参照)975μlをNH4Clバッファ中でインキュベートした細胞25μlアリコートに加えることにより誘発される。pH回復のその後の速度を、NHE1については2分、NHE2については5分、そしてNHE3については3分の時点で記録した。試験物質の阻害効力を計算するために、細胞を初めに、完全又は全くpH回復が起きなかったバッファ中で調査した。完全なpH回復(100%)のために、細胞をNa+−含有バッファ(133.8mM NaCl、4.7mM KCl、1.25mM CaCl2、1.25mM MgCl2、0.97mM Na2HPO4、0.23mM NaH2PO4、5mM ヘペス、5mM グルコース、pH7.0は1M NaOHを用いて確立する)中でインキュベートした。0%値を決定するために、細胞をNa+なしのバッファ(133.8mMコリンクロリド、4.7mM KCl、1.25mM CaCl2、1.25mM MgCl2、0.97mM K2HPO4、0.23mMKH2PO4、5mM ヘペス、5mM グルコース、pH7.0を1M KOHを用いて確立する)中でインキュベートした。試験すべき物質をNa+含有バッファ中に作成した。物質の各試験濃度における細胞内pHの回復を、最大回復のパーセントで表した。pH回復のパーセントを使用して、個々のNHEサブタイプに対する特定の物質のIC50値をプログラムSigma−Plotにより計算した。
【0096】
結果:
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はII:
【化1】

の化合物、並びにその薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩。
式中、
R1は、2−及び6−位がR5及びR6基で置換されたフェニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ、ニトロ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではない;
或いは、
R1は、2−及び4−位がR5及びR6基で置換された3−チエニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、CN、NO2、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではなく;
R2及びR3は、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、CN、OH、−O−CH3、NO2、NH2、−CF3又は−Y−R8であり;
R8はメチル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
YはCH2、O、NH又はS(O)mであり;
mは0、1又は2であり;
R4は、水素、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル又はCH2−CF3である。
【請求項2】
式I中、
R1は、2−及び6−位がR5及びR6基で置換されたフェニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ、ニトロ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではない;
或いは、
R1は、2−及び4−位がR5及びR6基で置換された3−チエニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、3、4もしくは5個の炭素原子を有するシクロアルキル、ビニル、エチニル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、CN、NO2、トリフルオロメチル、SF5、メトキシ又は−X−R7であり;
R7は1、2、もしくは3個の炭素原子を有するアルキル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
XはCH2、O、NH又はS(O)nであり;
nは0、1又は2であり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではなく;
R2及びR3は、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、CN、OH、−O−CH3、NO2、NH2、−CF3又は−Y−R8であり;
R8はメチル、トリフルオロメチル又はCH2−CF3であり;
YはCH2、O、NH又はS(O)mであり;
mは0、1又は2であり;
R4は、水素、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル又はCH2−CF3である、
請求項1に記載の式Iの化合物、並びにその薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩。
【請求項3】
式I中、
R1は、2−及び6−位がR5及びR6基で置換されたフェニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチルであり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではない;
或いは、
R1は、2−及び4−位がR5及びR6基で置換された3−チエニルであり;
R5及びR6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、フッ素、塩素、臭素又はトリフルオロメチルであり;
ここで、R5及びR6は両方が同時に水素ではなく;
R2、R3及びR4は、それぞれ水素である、
請求項1又は2に記載の式Iの化合物、並びにその薬学的に許容しうる塩及びそのトリフルオロ酢酸塩。
【請求項4】
下記の群:
2−(4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,6−ジメチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,6−ジフルオロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−クロロ−6−メチルフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2,4−ジクロロ−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、及び
2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iの化合物、およびその薬学的に許容しうる塩もしくはそのトリフルオロ酢酸塩。
【請求項5】
下記の群:
2−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
2−(2−クロロ−4−メチル−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、及び
2−(2,4−ジクロロ−3−チエニルアミノ)−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール、
から選ばれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物、およびはその薬学的に許容しうる塩もしくはそれらのトリフルオロ酢酸塩。
【請求項6】
医薬として使用する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項7】
呼吸駆動障害、睡眠が関係した呼吸障害、睡眠時無呼吸、又はいびきの治療若しくは予防用の医薬の製造のための、急性及び慢性の腎臓障害、急性腎不全若しくは慢性腎不全、胃腸管機能障害の治療若しくは予防用の医薬の製造のための、高血圧、本態性高血圧、中枢神経系障害、CNS興奮性亢進、高癲癇若しくは中枢誘発痙攣から生じる障害、中枢神経系障害、不安状態、鬱病及び精神病の治療若しくは予防用の医薬の製造のための、急性及び慢性の損傷、虚血若しくは再潅流の事態により引き起こされる器官若しくは組織の障害及び間接的後遺症、不整脈、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、細胞増殖が1次的若しくは2次的原因となる疾患、癌、前立腺肥大症及び前立腺過形成、内部器官の線維症障害、心不全若しくは鬱血性心不全、血栓症、胆管機能障害、外部寄生虫による侵入、内皮機能障害から生じる障害、間欠性跛行、原生動物障害、マラリアの治療若しくは予防用の医薬の製造のための、ショック、糖尿病及び糖尿病からの後期損傷、急性若しくは慢性炎症性障害の治療用の医薬の製造のための、又は外科的処置のために移植組織を保存及び貯蔵するための医薬の製造のための、外科手術及び器官移植に使用するための医薬の製造のための、年齢が関係する組織の変化を防止するため、健康を保持し命を長くするための医薬の製造のための、又は細胞傷害作用を低減するための医薬の製造のための、又は診断補助剤として使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項8】
呼吸駆動障害、睡眠が関係した呼吸障害、睡眠時無呼吸、又はいびきの治療若しくは予防用の医薬の製造のための、急性及び慢性の腎臓障害、急性腎不全若しくは慢性腎不全、胃腸管機能障害の治療若しくはは予防用の医薬の製造のための、高血圧、本態性高血圧、中枢神経系障害、CNS興奮性亢進、癲癇若しくは中枢誘発痙攣から生じる障害、中枢神経系障害、不安状態、鬱病及び精神病の治療若しくは予防用の医薬の製造のための、急性及び慢性の損傷、虚血若しくは再潅流の事態により引き起こされる器官若しくは組織の障害及び間接的後遺症、不整脈、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、細胞増殖が1次的若しくは2次的原因となる疾患、癌、前立腺肥大症及び前立腺過形成、内部器官の線維症障害、心不全若しくは鬱血性心不全、血栓症、胆管機能障害、外部寄生虫による侵入、内皮機能障害から生じる障害、間欠性跛行、原生動物障害、マラリアの治療若しくは予防用の医薬の製造のための、ショック、糖尿病及び糖尿病からの後期損傷、急性若しくは慢性炎症性障害の治療用の医薬の製造のための、又は外科的処置のために移植組織を保存及び貯蔵するための医薬の製造のための、外科手術及び器官移植に使用するための医薬の製造のための、年齢が関係する組織の変化を防止するため、健康を保持し命を長くするための医薬の製造のための、又は細胞傷害作用を低減するための医薬の製造のための、他の医薬若しくは活性成分の1種又はそれ以上と組み合わせた請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項9】
呼吸駆動障害、睡眠が関係した呼吸障害又は睡眠時無呼吸の治療若しくは予防のための医薬を製造するための、単独で又は他の医薬若しくは活性成分と組み合わせた請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項10】
いびきの治療又は予防のための医薬を製造するための、単独で又は他の医薬若しくは活性成分と組み合わせた請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項11】
急性若しくは慢性の腎臓障害、急性腎不全若しくはは慢性腎不全の治療若しくは予防のための医薬を製造するための、単独で又は他の医薬若しくは活性成分と組み合わせた請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項12】
胃腸管機能障害の治療又は予防のための医薬を製造するための、単独で又は他の医薬若しくは活性成分と組み合わせた請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物の少なくとも1種及び/又はその薬学的に許容しうる塩の有効量を薬学的に許容される担体及び添加剤と共に含む、ヒト、家畜又は植物保護の用途の治療用組成物。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の式IもしくはIIの化合物の少なくとも1種及び/又はその薬学的に許容しうる塩の有効量を薬学的に許容される担体及び添加剤と共に、他の薬理学的活性成分若しくは医薬と組み合わせて含む、ヒト、家畜又は植物保護の用途の治療用組成物。
【請求項15】
式IもしくはIIの化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩の製造法であって、
a)式III又はIVのジアミンを式Vのシアネートと反応させて、式VI又はVIIの尿素誘導体を得、
b)式VI又はVIIの尿素誘導体を環化して式Ia又はIIaの化合物を得、そして
c)R4が水素以外の式I又はIIの化合物を製造するために、式Ia又はIIaの化合物を誘導して式I又はIIの化合物を得る、
【化2】

(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ請求項1〜5のいずれか1項に定義した通りであり、そしてZは酸素又は好ましくはイオウである)
工程を含む上記製造法。

【公表番号】特表2007−505035(P2007−505035A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525114(P2006−525114)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009836
【国際公開番号】WO2005/026173
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】