説明

置換ヘテロアリールアミドオキサゼピノピリミドン誘導体



式(I)で表されるピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物:式(I)(式中、Yは、水素原子2個、硫黄原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し、Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、硫黄原子、メチレン基(C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1または2つの基で場合によって置換されている。)を表し、R1は、2、3もしくは4−ピリジン環または2、4もしくは5−ピリミジン環を表し、この環は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で場合によって置換されており、R2は、水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し、R3は、4−15員のヘテロ環式基を表し、この基は場合によって置換されており、R4は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、nは、0から3を表す。)およびこれらの治療的使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GSK3βの異常活性によって引き起こされる神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
GSK3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β)は、代謝、分化および生存の制御に重要な役割を果たすプロリン指向性セリン、スレオニンキナーゼである。当初GSK3βは、リン酸化でき、したがってグリコーゲン合成酵素を阻害できる酵素として特定された。その後、GSK3βは、アルツハイマー病およびいくつかのタウパシーにおいて過剰リン酸化されていることも判明しているエピトープ中のタウタンパク質をリン酸化する酵素であるタウタンパク質キナーゼ1(TPK1)と同一であることが分かった。
【0003】
興味深いことに、GSK3βのタンパク質キナーゼB(AKT)によるリン酸化は、GSK3βのキナーゼ活性を損失させることになり、この阻害は、神経栄養因子の作用のいくつかを媒介し得るとの仮説が立てられている。さらに、細胞生存に関与しているタンパク質であるβ−カテニンをGSK3βがリン酸化することによって、ユビキチン化依存性プロテアソーム経路によるβ−カテニンの分解が生じる。
【0004】
したがって、GSK3β活性の阻害により、神経栄養活性をもたらすことができると思われる。実際、GSK3βの非競合的阻害剤であるリチウムは、いくつかのモデルにおいて神経突起生成を増強し、Bcl−2のような生存因子の誘導ならびにp53およびBaxなどのアポトーシス促進因子の発現の阻害を介して、神経細胞の生存をも高めるという証拠がある。
【0005】
最近の研究により、β−アミロイドは、GSK3β活性およびタウタンパク質リン酸化を増大させることが実証された。さらに、この過剰リン酸化、さらにβ−アミロイドの神経毒性作用は、塩化リチウムおよびGSK3βアンチセンスmRNAにより遮断される。このような知見は、GSK3βが、アルツハイマー病の2つの主要な病理過程である異常APP(アミロイド前駆タンパク質)の進行とタウタンパク質の過剰リン酸化とをリンクしている可能性を強く示唆している。
【0006】
タウの過剰リン酸化により、神経細胞骨格の不安定化が起こるが、GSK3βの異常活性による病理学的帰結は、タウタンパク質の病理的リン酸化のみが原因ではない可能性が高い。なぜなら上述されているように、このキナーゼの過剰な活性は、アポトーシス因子および抗アポトーシス因子の発現の調節を介して生存に影響を及ぼし得るからである。さらに、β−アミロイド誘導によるGSK3β活性の増加は、リン酸化を起こし、よってエネルギー産生およびアセチルコリン合成の中心的酵素であるピルビン酸デヒドロゲナーゼの阻害をもたらすことが示されている。
【0007】
これらの実験による知見は、神経病理学的帰結ならびにアルツハイマー病に伴う認知欠陥および注意欠陥ばかりでなく、他の急性および慢性の神経変性疾患ならびにGSK3βが調節されていない他の病理(Nature reviews、第3巻、2004年6月、479−487頁、Trends in Pharmacological Sciences、第25巻、第9号、2004年9月、471−480頁、Journal of neurochemistry、2004年、89、1313−1317頁、Medicinal Research Reviews、第22巻、第4号、373−384頁、2002年)の治療にGSK3βの用途を見出すことができることを示している。
【0008】
神経変性疾患には、非限定的なものとして、パーキンソン病、タウオパチー(例えば、前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上性麻痺)、ウィルソン病、ハンチントン病(The Journal of biological chemistry、第277巻、第37号、9月13日号、33791−33798頁、2002年)、プリオン病(Biochem.J.、第372号、129−136頁、2003年)および脳血管性認知症を含めた他の認知症、急性脳卒中および他の外傷性障害、脳血管障害(例えば加齢に伴う黄斑変性症)、脳および脊髄の損傷、筋萎縮性側索硬化症(European Journal of Neuroscience、第22巻、301−309頁、2005年)、末梢神経障害、網膜症および緑内障が挙げられる。最近の研究により、GSK3βの阻害は、胚幹細胞(ESC)の神経細胞の分化を引き起こし、ヒトおよびマウスのESCの再生およびこれらの多分化能の維持を補助することも示された。これは、GSK3β阻害剤が、再生医療に応用される可能性を示唆している(Nature Medicine、10、55−63頁、2004年)。
【0009】
GSK3β阻害剤は、双極性障害(躁うつ病)など他の神経系障害の治療にもその用途を見出すことができる。例えばリチウムは、50年以上もの間、気分安定薬として使用されており、双極性障害の主要な治療法である。リチウムの治療効果は、GSK3βの直接の阻害剤となるような投与量(1−2mM)で観察されている。リチウムの作用機序は明らかではないが、GSK3βの阻害剤は、リチウムの気分安定効果を模倣するために使用することもできる。Akt−GSK3βシグナル伝達における変化も、統合失調症の発症機序に関係づけられている。
【0010】
さらに、GSK3βの阻害は、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB細胞白血病およびいくつかのウイルス誘導性腫瘍などの癌の治療に有用となり得る。例えば、GSK3βの活性型が、直腸結腸癌の患者の腫瘍において上昇していることが示されており、直腸結腸癌細胞内のGSK3βの阻害は、p53依存性アポトーシスを活性化し、腫瘍増殖に拮抗する。GSK3βの阻害は、前立腺癌の培養細胞株においてTRAIL誘発性アポトーシスも増強する。GSK3βはまた、紡錘体の動力学においてもある役割を果たし、GSK3β阻害剤は、染色体の運動を阻止し、微小管の安定化をもたらし、タキソールを少量投与した場合に観察されるものと同様の、分裂前中期に似た停止をもたらす。GSK3β阻害剤に対する他の可能な用途は、インスリン非依存性糖尿病(例えばII型糖尿病)、肥満および脱毛症の治療を含む。
【0011】
ヒトGSK3βの阻害剤はまた、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)内で発見された酵素のオルソログであるpfGSK3も阻害することができ、その結果、マラリアの治療に使用することができる(Biochimica et Biophysica Acta 1697、181−196頁、2004年)。
【0012】
最近、ヒト遺伝学および動物実験の両方が、骨質量の自然増加の主要な制御因子としてのWnt/LPR5経路の役割を指摘した。GSK3βの阻害が結果として標準的Wntシグナル伝達の活性化に繋がる。不十分なWntシグナル伝達が、骨質量の減少という障害に関与しているので、GSK3β阻害剤は、骨質量の減少という障害、骨関連の病理、骨粗鬆症を治療するためにも使用し得る。
【0013】
最近のデータによると、GSK3β阻害剤は、尋常性天疱瘡の治療または予防に使用することもできる。
【0014】
最近の研究で、GSK3β阻害剤での治療は、好中球および巨核球の回復を改善することが示された。したがって、GSK3β阻害剤は、癌化学療法により誘発される好中球減少症の治療に有用となる。
【0015】
以前の研究でGSK3活性は、記憶固定の電気生理的相関物であるLTPを減少させることが示されたが、これは、この酵素の阻害剤が、認知促進活性を有し得ることを示唆している。化合物の認知促進効果は、アルツハイマー病、パーキンソン病、加齢に伴う記憶機能障害、軽度の認知障害、頭部外傷、統合失調症およびそのような欠陥が観察されている他の状態に特徴的な記憶の欠損の治療にその用途を見出すことができる。
【0016】
GSK3βの阻害剤は、腎実質性疾患の治療(Nelson PJ、Kidney International Advance online publication、12月19日、2007年)および筋萎縮の予防または治療(J.Biol.Chem(283)2008年、358−366頁)にその用途を見出すこともできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Nature reviews、第3巻、2004年6月、479−487頁
【非特許文献2】Trends in Pharmacological Sciences、第25巻、第9号、2004年9月、471−480頁
【非特許文献3】Journal of neurochemistry、2004年、89、1313−1317頁
【非特許文献4】Medicinal Research Reviews、第22巻、第4号、373−384頁、2002年
【非特許文献5】The Journal of biological chemistry、第277巻、第37号、9月13日号、33791−33798頁、2002年
【非特許文献6】Biochem.J.、第372号、129−136頁、2003年
【非特許文献7】European Journal of Neuroscience、第22巻、301−309頁、2005年
【非特許文献8】Nature Medicine、10、55−63頁、2004年
【非特許文献9】Biochimica et Biophysica Acta 1697、181−196頁、2004年
【非特許文献10】Nelson PJ、Kidney International Advance online publication、12月19日、2007年
【非特許文献11】J.Biol.Chem(283)2008年、358−366頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患、より具体的には、神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用な化合物を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防および/または治療を可能にする薬剤の活性成分として有用な新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明の発明者らは、GSK3βに対する阻害活性を有する化合物を特定した。その結果、本発明者らは、以下の式(1)で表される化合物が、所望の活性を有し、上述の疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用であることを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
したがって、本発明は、本発明の目的として、式(I)で表されるピリミドン誘導体もしくはその塩、その溶媒和化合物もしくはその水和物を提供する
【0021】
【化1】

(式中、
Yは、水素原子2個、硫黄原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し、
Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、硫黄原子、メチレン基(C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される1または2つの基で場合によって置換されている。)を表し、
R1は、2、3もしくは4−ピリジン環または2、4もしくは5−ピリミジン環を表し、この環は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で場合によって置換されており、
R2は、水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し、
R3は、4−15員のヘテロ環式基を表し、この基は、C1−6アルキル基、ハロゲン原子、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−6ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−6モノアルキルアミノ基、C2−12ジアルキルアミノ基、S−(C1−6−アルキル)基、C(O)O(C1−6−アルキル)もしくはC(O)O(アリール)基、4−15員のヘテロ環式基、アリール基、O−アリール基またはS−アリール基から選択される1個から4個の置換基で場合によって置換されており、上記で述べた基は、C1−6アルキル基、ハロゲン原子、(C1−6)アルコキシ基、C(O)O(C1−6−アルキル)またはC(O)O(アリール)基から選択される1個から4個の置換基で場合によって置換されており、
R4は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
nは、0から3を表す。)。
【0022】
本発明の別の態様によると、式(I)で表されるピリミドン誘導体および生理学的に許容されるその塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含む薬剤が提供される。薬剤の好ましい実施形態として、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患の予防的および/または治療的処置に使用される上述の薬剤、ならびに神経変性疾患、さらにインスリン非依存性糖尿病(II型糖尿病など)および肥満症、マラリア、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、脱毛症、または結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB細胞白血病、いくつかのウイルス誘発性腫瘍などの癌、ならびに骨に関連した病理などの他の疾患の予防的および/または治療的処置、腎実質性疾患の治療および筋萎縮の予防もしくは治療;認知障害および記憶障害の治療に使用される上述の薬剤が提供される。この薬剤はまた、再生医療にもその用途を見出すことができる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態として、疾患が、神経変性疾患、さらにアルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー(例えば前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上性麻痺)、ウィルソン病、ハンチントン病、プリオン病および脳血管性認知症を含めた他の認知症、急性脳卒中および他の外傷性障害、脳血管障害(例えば加齢に伴う黄斑変性症)、脳および脊髄の損傷、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害、網膜症および緑内障からなる群から選択される上述の薬剤、ならびに1種または複数の医薬品添加剤と一緒に、上記物質を活性成分として含有する医薬組成物の形態での上述の薬剤が提供される。
【0024】
本発明のさらなる実施形態として、骨に関連した病理が、骨粗鬆症である上述の薬剤を提供する。
【0025】
本発明は、式(I)のピリミドン誘導体およびその塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含むGSK3β活性阻害剤をさらに提供する。
【0026】
本発明のさらなる態様により、式(I)のピリミドン誘導体およびその生理学的に許容される塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質の予防有効量および/または治療有効量を患者に投与するステップを含む、GSK3βの異常活性によって引き起こされる神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための方法ならびに式(I)のピリミドン誘導体およびその生理学的に許容される塩ならびにその溶媒和化合物および水和物からなる群から選択される物質の、上述の薬剤の製造のための使用が提供される。
【0027】
本明細書で使用される場合、C1−6アルキル基は、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル基で場合によって置換されている、1個から6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝またはシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロプロピルメチル基などを表す。
【0028】
4−15員のヘテロ環式基は、N、O、およびSから選択される1個から7個のヘテロ原子を含有する不飽和、完全飽和または部分飽和の単環式基または多環式基(例えば、4員から10員)を表す。ヘテロ環式基の例として、ピリジン、ピリンジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピロロピロール、ピロロイミダゾール、ピロロピラゾール、ピロロトリアゾール、イミダゾイミダゾール、イミダゾピラゾール、イミダゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、ナフチリジン、ベンゾトリアジン、ピリドピリミジン、ピリドピラジン、ピリドピリダジン、ピリドトリアジン、ピリミドピリミジン、ピリミドピラジン、ピリミドピリダジン、ピリミドトリアジン、ピラジノピラジン、ピラジノピリダジン、ピラジノトリアジン、ピリダジノピリダジン、ピリダジノトリアジン、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、ピロロピリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリジン、トリアゾロピリジン、テトラゾロピリジン、ピロロピリミジン、イミダゾピリミジン、ピラゾロピリミジン、トリアゾロピリミジン、テトラゾロピリミジン、ピロロピラジン、イミダゾピラジン、ピラゾロピラジン、トリアゾロピラジン、テトラゾロピラジン、ピロロピリダジン、イミダゾピリダジン、ピラゾロピリダジン、トリアゾロピリダジン、テトラゾロピリダジン、ピロロトリアジン、イミダゾトリアジン、ピラゾロトリアジン、トリアゾロトリアジン、テトラゾロトリアジン、フロピリジン、フロピリミジン、フロピラジン、フロピリダジン、フロトリアジン、オキサゾロピリジン、オキサゾロピリミジン、オキサゾロピラジン、オキサゾロピリダジン、オキサゾロトリアジン、イソオキサゾロピリジン、イソオキサゾロピリミジン、イソオキサゾロピラジン、イソオキサゾロピリダジン、イソオキサゾロトリアジン、オキサジアゾロピリジン、オキサジアゾロピリミジン、オキサジアゾロピラジン、オキサジアゾロピリダジン、オキサジアゾロトリアジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、チエノピリジン、チエノピリミジン、チエノピラジン、チエノピリダジン、チエノトリアジン、チアゾロピリジン、チアゾロピリミジン、チアゾロピラジン、チアゾロピリダジン、チアゾロトリアジン、イソチアゾロピリジン、イソチアゾロピリミジン、イソチアゾロピラジン、イソチアゾロピリダジン、イソチアゾロトリアジン、チアジアゾロピリジン、チアジアゾロピリミジン、チアジアゾロピラジン、チアジアゾロピリダジン、チアジアゾロトリアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾジオキセピン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキシン、ジアゼパンが挙げられる。これらのヘテロ環は、例えば例示として、ジヒドロベンゾフラン、テトラヒドロキノリンなど、部分飽和または完全飽和の形態でも存在することができる。
【0029】
1−6アルコキシ基は、1から4個の炭素原子を有するアルキルオキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などを表す。
【0030】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の原子を表す。
【0031】
1−2過ハロゲン化アルキル基は、すべての水素原子が、ハロゲノ、例えばCFまたはCで置換されているアルキル基を表す。
【0032】
1−3ハロゲン化アルキル基は、少なくとも1つの水素が、ハロゲン原子で置換されていないアルキル基を表す。
【0033】
1−6モノアルキルアミノ基は、1つのC1−6アルキル基で置換されているアミノ基、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基などを表す。
【0034】
2−12ジアルキルアミノ基は、2つのC1−6アルキル基で置換されているアミノ基、例えば、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基およびジイソプロピルアミノ基などを表す。
【0035】
脱離基Lは、容易に切断、置換できる基を表し、このような基は、例えばトシル、メシル、ブロミドなどであってよい。
【0036】
上述の式(I)で表される化合物は、塩を形成してもよい。塩の例として、酸性基が存在する場合、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、アンモニアの塩ならびにメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルカミンおよびL−グルカミンなどのアミンの塩、またはリジン、δ−ヒドロキシリジンおよびアルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。酸性化合物の塩基付加塩は、当分野で周知の標準的手順で調製される。
【0037】
塩基性基が存在する場合、塩酸、臭水素酸などの鉱酸との塩、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸などの有機酸との塩が例として挙げられる。
【0038】
塩基性化合物の酸付加塩は、適切な酸を含有するアルコール水溶液中に遊離塩基を溶解すること、および溶液を蒸発させることにより、または有機溶媒中で遊離塩基と酸を反応させることにより(この場合、塩は直接分離する、または塩は第2の有機溶媒で沈殿させる、または塩は溶液を濃縮することによって得ることができる。)塩を単離することを含む、当技術分野で周知の標準的手順により調製されるがこれらに限らない。酸付加塩を調製するために使用することができる酸は好ましくは、遊離塩基と組み合わせた場合、医薬として許容される塩、すなわち、この塩のアニオンが、この塩の医薬的投与量において動物の生体に対して比較的無害である塩を生成し、よって、遊離塩基特有の有利な性質が、このアニオンに起因する副作用により損なわれないようなものを含む。塩基性化合物の医学的に許容できる塩が好ましいが、すべての酸付加塩は本発明の範囲内である。
【0039】
上述の式(I)で表されるピリミドン誘導体およびその塩に加えて、この溶媒和化合物および水和物もまた本発明の範囲内である。
【0040】
上述の式(I)で表されるピリミドン誘導体は、1つまたは複数の不斉炭素原子を有することもできる。このような不斉炭素原子の立体化学に関して、これらは独立して(R)または(S)の立体配置のいずれかであってよく、誘導体は、光学異性体またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。いかなる純粋な形態の立体異性体ならびに立体異性体およびラセミ体などのいずれの混合物も、本発明の範囲内に含まれる。
【0041】
本発明の第一実施形態において、遊離塩基または酸との付加塩の形態での、Zが、結合を表し、R1が、非置換4−ピリジン環または非置換4−ピリミジン環を表し、R2が、水素であり、R3が、ピリジン基、ピリミジン基、ベンゾジオキシン基、テトラヒドロキノリン基、テトラヒドロイソキノリン基、ナフチリジン基、ベンゾフラン基、ピリダジンを表し、これらの基は、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、アミノ、S−(C1−6−アルキル)基、4−15員のヘテロ環式基、アリール基、O−アリール基またはS−アリール基、C(O)O(C1−6−アルキル)基から選択される1個から4個の置換基で場合によって置換されており、R4が、水素を表し、Yが、Oまたは2個の水素原子を表し、nが、0を表す化合物を提供する。
【0042】
本発明の化合物の例を、本明細書の以下の表1に示す。しかし、本発明の範囲は、これらの化合物により限定されない。名称はIUPACの規則に従ってつけられている。
【0043】
本発明のさらなる目的は、本明細書で定義された式の表1の化合物の群を含む:
1.(+/−)−2−メトキシ−N−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−ニコチンアミド
2.(+/−)−7−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
3.(+/−)−6−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
4.(+/−)−[1,5]ナフチリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
5.(+/−)−6−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
6.(+/−)−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
7.(+/−)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
8.(+/−)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
9.(+/−)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
10.(+/−)−8−アミノ−7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
11.(+/−)−2,6−ジメトキシ−N−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−ニコチンアミド
12.(+/−)−6−フルオロ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−8−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
13.(+/−)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
14.(+/−)−3,6−ジメトキシ−ピリダジン−4−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
15.(+/−)−5−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
16.(+/−)−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
17.(+/−)−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
18.(+/−)−5−ブロモ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
19.(+/−)−9−[(ピリジン−2−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
20.(+/−)−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
21.(+/−)−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
22.(+/−)−2,6−ジメトキシ−N−(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−ニコチンアミド
23.(+/−)−9−[(2−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
24.(+/−)−9−[(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
25.(+/−)−9−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
【0044】
さらなる目的として、本発明はまた、上述の式(I)により表されるピリミドン化合物を調製するための方法にも関する。
【0045】
このような化合物は、例えば、以下に説明する方法により調製することができる。
【0046】
調製方法
上述の式(I)により表されるピリミドン化合物は、スキーム1に記載されている方法に従い調製し得る。
【0047】
【化2】

(上記スキームにおいて、R1、R2、R3、R4、n、YおよびZの定義は、式(I)の化合物に対してすでに記載されているものと同じである。)
【0048】
本方法に従い、上記の式(III)で表されるピリミドン誘導体(式中、R1、R2およびR4は、式(I)の化合物に対して定義されている通りである。)を中間体として使用する。あるいは、式(I)の化合物を、トリエチルアミン、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基と、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドまたはクロロホルムなどの溶媒中、0から130℃の範囲の適切な温度で、通常の空気下で反応させ、次いで式(II)の化合物(式中、R3、Z、Yおよびnは、式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Lは、脱離基好ましくは塩素、ブロミドまたはメシル基を表す。)と反応させることによって、上述の式(I)の化合物を得る。
【0049】
あるいは、式(I)の化合物(式中、Yは、水素原子2個を表す。)は、当業者に周知の方法で、式(II)の化合物(式中、Yは、酸素原子を表し、Lは、水素原子を表す。)を、式(III)の化合物(式中、R1、R2およびR4は、式(I)の化合物に対して定義された通りである。)で還元アミノ化することによって調製することもできる。
【0050】
式(II)の化合物は、市販されておりまたは当業者に周知の方法で合成することもできる。
【0051】
式(III)の化合物は、式(IV)の化合物から出発するスキーム2に定義されている方法に従い調製することができる。使用し得る条件を、化学実施例に記載する。
【0052】
【化3】

さらなる目的として、本発明は、上述の式(I)で表されるピリミドン化合物を調製するための中間体(III)、(Vl)および(VII)にも関する。
【0053】
(上記スキームにおいて、R1およびR2の定義は、すでに記載したものと同じである。)
【0054】
本方法によると、式(IV)の3−ケトエステル(式中、R1およびR2は、式(I)の化合物に対して定義されている通りであり、Rは、例えばメチルまたはエチルなどのアルキル基である。)を、式(V)の化合物と反応させる。炭酸カリウムなどの塩基の存在下、メタノール、エタノールなどのアルコール性溶媒中または溶媒なしで、25℃から140℃の範囲の適切な温度で、通常の空気下で反応を行うことによって、上述の式(VI)の化合物を得ることができる。
【0055】
式(VI)の化合物(式中、R1およびR2は、式(I)の化合物に対して定義されている通りである。)を強塩基(リチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなど)で脱プロトン化し、結果として生じるアニオンを、臭素またはN−ブロモコハク酸イミドと反応させることによって、式(VII)の化合物を得ることができる。
【0056】
式(VII)の化合物(式中、R1およびR2は、式(I)の化合物に対して定義されている通りである。)を、アンモニア、4−メトキシベンジルアミンなどの適切な求核性窒素供給源と反応することによって、式(III)の化合物を得ることができる。
【0057】
さらに、式(III)の化合物(式中、R2は、水素原子を表す。)をハロゲン化することによって、式(III)の化合物(式中、R2は、臭素原子または塩素原子などのハロゲン原子である。)を得ることができる。反応は、酢酸またはプロピオン酸などの酸性媒体中、ブロモスクシンイミド、クロロスクシンイミドまたは臭素の存在下行うこともできる。
【0058】
加えて、式(IV)の化合物(式中、R2は、フッ素原子を表す。)は、Tetrahedron Letters、第30巻、第45号、6113−6116頁、1989年に記載されている方法と類似の方法で得ることもできる。
【0059】
加えて、式(IV)の化合物(式中、R2は、水素原子を表す。)は、特許DE2705582号明細書に記載されている方法と類似の方法で得ることもできる。
【0060】
式(IV)の化合物は、市販されておりまたは当業者に周知の方法で合成することもできる。
【0061】
例えば式(IV)の化合物(式中、R1は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で場合によって置換されているピリジン環またはピリミジン環を表す。)は、イソニコチン酸またはピリミジンカルボン酸(C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲンで場合によって置換されている。)と、対応するマロン酸モノエステルとをそれぞれ反応させることによって調製することができる。反応は、例えば1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾールなどのカップリング剤の存在下、テトラヒドロフランなどの溶媒中、20から70℃の範囲の温度で、当業者に周知の方法を用いて行うことができる。
【0062】
式(V)の化合物は、WO97/16430およびBioorganic&Medicinal Chemistry Letters(2004)、14(23)、5907−5911に記載されている方法に従い合成することができる。
【0063】
上記反応において、官能基の保護または脱保護が必要なこともあり得る。適切な保護基Pgは、官能基の種類に応じて選択することができ、文献に記載されている方法を適用し得る。保護基、保護および脱保護の方法の例は、例えばGreeneらのGreene’s Protective Groups in Organic Synthesis、第4版(John Wiley & Sons,Inc.、New York)2007年に記載されている。
【0064】
本発明の化合物は、GSK3βに対する阻害活性を有する。したがって、本発明の化合物は、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患、より具体的にはアルツハイマー病などの神経変性疾患の予防的および/または治療的処置を可能にする薬剤の調製のための活性成分として有用である。加えて、本発明の化合物はまた、神経変性疾患、例えばパーキンソン病、タウオパチー(例えば前頭側頭型認知症、皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上性麻痺)、ウィルソン病、ハンチントン病、プリオン病および脳血管性認知症を含めた他の認知症、急性脳卒中および他の外傷性障害、脳血管障害(例えば加齢に伴う黄斑変性症)、脳および脊髄の損傷、筋萎縮性側索硬化症、末梢神経障害、網膜症および緑内障、ならびに他の疾患、例えばインスリン非依存性糖尿病(II型糖尿病)および肥満、マラリア、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB細胞白血病、いくつかのウイルス誘発性腫瘍などの癌、さらに骨に関連した病理、腎実質性疾患または筋萎縮などの予防的および/または治療的処置のための薬剤の調製のための活性成分として有用である。この薬剤は、再生医療にもその用途を見出すことができる。この薬剤は、尋常性天疱瘡の治療または予防にその用途を見出すこともできる。この薬剤は、癌化学療法により誘発される好中球減少の治療にその用途を見出すこともできる。この薬剤は、アルツハイマー病、パーキンソン病、加齢に伴う記憶障害、軽度認知障害、脳外傷、統合失調症およびそのような欠陥が観察されている他の状態などにおける認知障害および記憶障害を特徴とする疾患の治療的処置にその用途を見出すこともできる。
【0065】
本発明は、式(I)の化合物の有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、GSK3βの異常活性によって引き起こされる神経変性疾患および上述の疾患を治療するための方法にさらに関する。
【0066】
本発明の薬剤の活性成分として、上述の式(I)により表される化合物および薬理的に許容されるその塩ならびにその溶媒和化合物およびその水和物からなる群から選択される物質を使用してもよい。この物質自体は、本発明の薬剤として投与することができる。しかし、上述の物質を活性成分として含み、1つまたは複数の医薬品添加剤を含む医薬組成物の形態で、薬剤を投与することが望ましい。本発明の薬剤の活性成分として、上述の物質を2種以上組み合わせて使用することもできる。上述の疾患の治療のための別の薬剤の活性成分を上記医薬組成物に補充してもよい。医薬組成物の種類は、特に限定されないが、組成物は、経口投与または非経口投与のためのいかなる製剤として提供することができる。例えば、医薬組成物は、例えば、経口投与のための医薬組成物の形態、例えば粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ、乳濁液、懸濁液、溶液など、または非経口投与のための医薬組成物の形態、例えば静脈内投与、筋肉内投与または皮下投与用の注射剤、点滴剤、経皮製剤、経粘膜製剤、点鼻薬、吸入剤、坐薬などに配合し得る。注射剤または点滴剤は、凍結乾燥剤の形態など粉末製剤として調製することができ、使用直前に生理食塩水など適切な水性媒体に溶解して使用することもできる。ポリマーでコーティングされたような徐放性製剤は、脳内に直接投与してもよい。
【0067】
医薬組成物の製造のために使用される医薬品添加剤の種類、活性成分に対する医薬品添加剤の含有比および医薬組成物を調製するための方法は、当業者が適宜選択し得る。無機物質もしくは有機物質または固体物質もしくは液体物質を、医薬品添加剤として使用してもよい。一般的に、医薬品添加剤は、活性成分の重量に対して、1重量%から90重量%の範囲の割合で組み込むことができる。
【0068】
固体医薬組成物の調製に使用される賦形剤の例として、例えば、乳糖、ショ糖、澱粉、タルク、セルロース、デキストリン、カオリン、炭酸カルシウムなどが挙げられる。経口投与用の液体組成物の調製に、水または植物油などの従来からの不活性希釈剤を使用してもよい。液体組成物は、不活性希釈剤に加えて、湿潤剤、懸濁助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤および保存剤などの助剤を含有してもよい。液体組成物は、ゼラチンなどの吸収性物質で作られたカプセル剤に充填することもできる。例えば注射剤、坐薬などの非経口投与用の組成物の調製のために使用される溶媒または懸濁媒体の例として、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、レシチンなどが挙げられる。坐薬に使用される基剤の例として、例えば、カカオバター、乳化カカオバター、ラウリン酸脂質、ウイテプゾールが挙げられる。
【0069】
本発明の薬剤の投与量および投与回数は、特に限定されないが、予防的および/または治療的処置の目的、疾患の種類、患者の体重もしくは年齢、疾患の重症度などの条件に応じて、適宜選択し得る。一般的に、成人に対する経口投与の1日量は、0.01から1,000mg(活性成分の重量)であってよく、この投与量を、1日1回もしくは1日数回に分けた分量で、または数日に1回投与してもよい。薬剤が注射として使用される場合、成人に対する1日量0.001から100mg(活性成分の重量)の投与は、好ましくは持続的または断続的に行われてもよい。
(実施例)
【実施例1】
【0070】
(表1の化合物番号2)
(+/−)−7−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0071】
1.1 2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
【0072】
2,3,6,7−テトラヒドロ−[1,4]オキサゼピン−5−イルアミン一塩酸塩25.00g(165.99mmol)(WO97/16430およびBioorganic&Medicinal Chemistry Letters(2004)、14(23)、5907−5911に記載されている通りに合成)のエタノール550mL中懸濁液に、炭酸カリウム25.23g(182.59mmol)を添加した。この反応混合物を室温で10分間撹拌し、エチル3−(4−ピリミジニル)−3−オキソプロピオネート35.45g(182.59mmol)を添加し、生成した混合物を還流下で4時間撹拌した。冷却した溶液を蒸発させることによって、溶媒を除去した。この混合物を水およびジエチルエーテルで溶解させた。撹拌後、生成した固体を濾過し、水およびジエチルエーテルで洗浄することによって、所望の化合物21.7g(53%)を粉末として得た。
RMN H(DMSO−d;400MHz)
δ(ppm):9.32(s,1H)、9.04(d,1H)、8.22(d,1H)、7.28(s,1H)、4.48(m,2H)、3.88(m,2H)、3.80(m,2H)、3.31(m,2H)。
【0073】
1.2 (+/−)−9−ブロモ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
【0074】
ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン5.00g(20.47mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(200mL)中溶液に、アルゴン下−40℃で、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド22.52mL(22.52mmol)(テトラヒドロフラン中1M)を添加した。この溶液を−40℃で10分間撹拌し、臭素1.10mL(21.49mmol)を急速に添加した。この反応物を−40℃で20分間撹拌し、この反応混合物を塩化アンモニウムの飽和溶液の添加によりクエンチし、酢酸エチルで抽出した。この有機相を塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル:80/20から70/30)でこの残留物を精製することによって、生成物2.18g(33%)を得た。
Mp:176−178℃。
RMN H(DMSO−d;400MHz)
δ(ppm):9.35(s,1H)、9.08(d,1H)、8.28(d,1H)、7.32(s,1H)、5.60(m,1H)、5.18(m,1H)、4.21−4.01(m,4H)、3.68(m,1H)。
【0075】
1.3 (+/−)−9−アミノ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
【0076】
封管における(+/−)−9−ブロモ−2−ピリミジン−4−イル−5、6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン18.7g(57.89mmol)のアンモニア520mL(MeOH中7N溶液)中懸濁液を100℃で4時間撹拌した。冷却した溶液を蒸発させることによって、溶媒を除去した。酸塩基後処理およびジクロロメタンでの抽出後、この混合物を塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。この残留物をジエチルエーテル中で纏めることによって、生成物6.70g(44%)を黄色固体として得た。
Mp:149−141℃。
RMN H(DMSO−d;400MHz)
δ(ppm):9.38(s,1H)、9.08(d,1H)、8.42(d,1H)、7.30(s,1H)、4.91(m,1H)、4.41(m,1H)、4.20(m,1H)、3.90(m,2H)、3.61(m,2H)、2.38(br s,2H)。
【0077】
1.4 (+/−)−7−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0078】
ジメチルホルムアミド2.60mL中に溶解した(+/−)−9−アミノ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン0.080g(0.31mmol)の溶液に、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2,7−ジカルボン酸2−tert−ブチルエステル0.086g(0.31mmol)を添加した。生成した混合物に、ジエチルシアノホスホネート60μL(0.37mmol)およびトリエチルアミン40μL(0.31mmol)を0℃で添加した。生成した混合物を室温で15時間撹拌した。水および酢酸エチルを添加し、この混合物を撹拌した。生成した残留物を濾過し、水、酢酸エチルおよびジエチルエーテルで洗浄することによって、純粋な生成物0.062g(38%)を白色粉末として得た。
Mp:252−254℃。
RMN H(DMSO;400MHz)
δ(ppm):9.37(s,1H)、9.01(d,1H)、8.88(d,1H)、8.25(d,1H)、7.85(s,1H)、7.79(d,1H)、7.39(d,1H)、7.32(s,1H)、5.68(m,1H)、5.07(m,1H)、4.65(m,2H)、4.18(m,1H)、4.08(m,2H)、3.88(m,1H)、3.62(m,3H)、2.90(m,2H)、1.48(s,9H)。
【実施例2】
【0079】
(表1の化合物番号7)
1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド塩酸塩(1:1)
【0080】
ジクロロメタン0.5mL中に溶解した(+/−)−7−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1)0.049g(0.10mmol)の溶液に、塩酸0.24mL(0.96mmol)(ジオキサン中4M)を添加した。生成した混合物を室温で2.5時間撹拌した。生成した残留物を濾過し、ジクロロメタンおよびイソプロピルエーテルで洗浄することによって、純粋な生成物0.031g(70%)を黄色の粉末として得た。
Mp:239 ℃(分解)
RMN H(DMSO;400MHz)
δ(ppm):9.38(s,1H)、9.04(d,1H)、8.92(d,1H)、8.20(d,1H)、7.92(d,1H)、7.86(s,1H)、7.42(d,1H)、7.31(s,1H)、5.68(m,1H)、5.08(m,1H)、4.41−4.05(m,5H)、3.91(m,1H)、3.65(m,1H)、3.45(m,2H)、3.15(m,2H)。
【実施例3】
【0081】
(表1の化合物番号19)
(+/−)9−[(ピリジン−2−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
【0082】
(+/−)−9−アミノ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン0.090g(0.35mmol)のジクロロメタン3.5ml中溶液に、2−ピリジンカルボキシアルデヒド0.030mL(0.36mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド0.184g(0.87mmol)および数滴の氷酢酸を添加した。この反応混合物を室温で15時間撹拌した。この残留物をジクロロメタンおよび炭酸ナトリウムの飽和水溶液中に溶解し、ジクロロメタンで抽出し、塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させた。イソプロパノール中での再結晶により、純粋な生成物0.042g(35%)を得る。
Mp:162−164℃。
RMN H(DMSO;400MHz)
δ(ppm):9.38(m,1H)、9.08(m,1H)、8.54(m,1H)、8.40(m,1H)、7.75(m,1H)、7.45(m,1H)、7.30(m,2H)、4.85(m,1H)、4.48(m,1H)、4.30(m,1H)、4.05(m,3H)、3.85(m,3H)、3.58(m,1H)。
【実施例4】
【0083】
(表1の化合物番号20)
(+/−)−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
【0084】
4.1 2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
実施例1(ステップ1.1)に記載されている方法と類似の方法により、エチル3−(4−ピリミジニル)−3−オキソプロピオネートの代わりに3−オキソ−3−ピリジン−4−イル−プロピオン酸エチルエステルを用いて、この化合物10.40g(51%)を粉末として得た。
Mp:156−159℃。
RMN H(DMSO−d;400MHz)
δ(ppm):8.71(d,2H)、8.00(d,2H)、7.28(s,1H)、4.49(m,2H)、3.90(m,2H)、3.80(m,2H)、3.35(m,2H)。
【0085】
4.2 (+/−)9−アミノ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
【0086】
実施例1(ステップ1.2)に記載されている方法と類似の方法により、2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オンの代わりに2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オンを用いて、この化合物が粉末として得られ、そのまま次のステップで使用した。
【0087】
9−ブロモ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン5.29g(16.44mmol)のトルエン164mL中懸濁液に、4−メトキシベンジルアミン4.51g(32.88mmol)およびジメチルスルホキシド7.01mL(98.64mmol)を添加した。この反応混合物を85℃で15時間撹拌した。冷却した溶液を蒸発させることによって、溶媒を除去した。この混合物を塩化アンモニウムの飽和溶液の添加によりクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。ジクロロメタンおよび次いで97/3/0.3比のジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液(29%)の混合物で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーでこの粗生成物を精製することによって、生成物2.00gを得た。この化合物が粉末として得られ、そのまま次のステップで使用した。
【0088】
9−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン2.00g(1.32mmol)のアセトニトリル/水(20/10mL)中溶液に、硝酸セリウムアンモニウム2.17g(3.96mmol)を添加した。この反応物を室温で15時間撹拌した。酸塩基後処理およびジクロロメタンでの抽出後、この有機相を塩化ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。98/2/0.2比のジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液(29%)の混合物で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーでこの粗生成物を精製することによって、生成物0.226g(5%、3つのステップ)を白色粉末として得た。
Mp:155−157℃。
RMN H(DMSO−d;400MHz)
δ(ppm):8.75(d,2H)、8.11(d,2H)、7.15(s,1H)、4.89(m,1H)、4.41(m,1H)、4.18(m,1H)、3.90(m,2H)、3.60(m,2H)、2.73(m,2H)。
【0089】
4.3 (+/−)−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
【0090】
実施例1(ステップ1.4)に記載されている方法と類似の方法により、(+/−)−9−アミノ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オンおよび3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2,7−ジカルボン酸2−tert−ブチルエステルの代わりに(+/−)9−アミノ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オンおよび2−ピリジンカルボン酸を用いて、この化合物0.035g(57%)を白色粉末として得た。
Mp:287−289℃。
RMN H(DMSO−d;400MHz)
δ(ppm):9.95(br s,1H)、8.90(m,1H)、8.85(d,2H)、8.20(d,2H)、8.10(m,2H)、7.75(m,1H)、7.31(s,1H)、5.58(m,1H)、5.10(m,1H)、4.15(m,2H)、4.08(m,1H)、3.72(m,1H)、3.58(m,1H)。
【0091】
本発明を例示している、上述の式(I)の化合物の化学構造および物理的データの一覧が表1に示されている。これらの化合物は、実施例の方法に従い調製された。表において、Meは、メチル基を表し、(Rot.)は、鏡像異性化合物の左旋性特性または右旋性特性を示し、(dec.)は、化合物の分解を示す。
【0092】
【化4】

【0093】
【表1】



【0094】
試験例:GSK3βに対する本発明の薬剤の阻害活性:
4つの異なるプロトコルを使用することができる。
【0095】
第1のプロトコル:予めリン酸化したGS1ペプチド(7.5μM)および10μMのATP(33P−ATPを300,000cpm含有)を、GSK3ベータ(総反応量:100μl)の存在下、室温で1時間、25mMトリス−HCl、pH7.5、0.6mM DTT、6mM MgCl、0.6mM EGTA、0.05mg/ml BSA緩衝液中でインキュベートした。
【0096】
第2のプロトコル:予めリン酸化したGS1ペプチド(4.1μM)および42μMのATP(33P−ATPを260,000cpm含有)を、GSK3ベータ存在下、室温で2時間、80mM Mes−NaOH、pH6.5、1mM Mg酢酸、0.5mM EGTA、5mM 2−メルカプトエタノール、0.02%Tween20、10%グリセロール緩衝液中でインキュベートした。
【0097】
第3のプロトコル:予めリン酸化したGS1ペプチド7.5μMおよび10μMのATP(33P−ATPを300,000cpm含有)を、50mM Hepes、pH7.2、1mM DTT、1mM MgCl、1mM EGTA、0.01%Tween20緩衝液中、1時間室温で、GSK3ベータ(総反応量:100マイクロリットル)の存在下でインキュベートした。
【0098】
第4のプロトコル:予めリン酸化したGS1ペプチド7.5μMおよび10μMのATP(33P−ATPを300,000cpm含有)を、50mM Hepes、pH7.2、1mM DTT、1mM MgCl、1mM EGTA、0.01%Tween20緩衝液中、90分間室温で、市販のGSK3ベータ(ミリポア)(総反応量:100マイクロリットル)の存在下でインキュベートした。
【0099】
阻害剤をDMSO(反応媒体中の最終溶媒濃度、1%)中に可溶化させた。
【0100】
ポリリン酸(85%P)25g、85%HPO(126ml)、HOで500mlにした溶液(100μl)で反応を停止させ、次いで使用前に1:100に希釈した。次いで反応混合物1アリコットをWhatman P81カチオン交換フィルターに移し、上述の溶液ですすいだ。取り込まれた33P放射活性を液体シンチレーションスペクトロメータで求めた。
【0101】
リン酸化したGS−1ペプチドの配列は以下の通りである:
NH2−YRRAAVPPSPSLSRHSSPHQS(P)EDEE−COOH(Woodgett,J.R.(1989年)、Analytical Biochemistry、180、237−241頁。
【0102】
本発明の化合物のGSK3β阻害活性はIC50で表され、例示のように、表1の化合物のIC50の範囲は、0.1ナノモルから3マイクロモルの間の濃度である。
【0103】
例えば、プロトコル4で、表1の化合物番号12は、0.005μMのIC50を示し、表1の化合物番号15は、0.031μMのIC50を示し、表1の化合物番号17は、0.015μMのIC50を示し、表1の化合物番号18は、0.052μMのIC50を示す。
【0104】
配合例
(1)錠剤
以下の成分を通常方法で混合し、従来の装置を用いて圧縮した。
実施例1の化合物 30mg
結晶性セルロース 60mg
コーンスターチ 100mg
乳糖 200mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
【0105】
(2)軟カプセル剤
以下の成分を通常の方法で混合し、軟カプセル剤に充填した。
実施例1の化合物 30mg
オリーブ油 300mg
レシチン 20mg
【0106】
(1)非経口製剤
以下の成分を通常の方法で混合し、1mlアンプル中に含有される注射剤を調製した。
実施例1の化合物 3mg
塩化ナトリウム 4mg
注射用蒸留水 1ml
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の化合物は、GSK3β阻害活性を有し、GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患、より具体的には神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための薬剤の活性成分として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表されるピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物
【化1】

(式中、
Yは、水素原子2個、硫黄原子、酸素原子またはC1−2アルキル基および水素原子を表し、
Zは、結合、酸素原子、窒素原子(水素原子またはC1−3アルキル基で置換されている。)、硫黄原子、メチレン基(C1−6アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−2過ハロゲン化アルキル基またはアミノ基から選択される、1または2つの基で場合によって置換されている。)を表し、
R1は、2、3もしくは4−ピリジン環または2、4もしくは5−ピリミジン環を表し、これらの環は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基またはハロゲン原子で場合によって置換されており、
R2は、水素原子、C1−6アルキル基またはハロゲン原子を表し、
R3は、4−15員のヘテロ環式基を表し、この基は、C1−6アルキル基、ハロゲン原子、C1−2過ハロゲン化アルキル基、C1−6ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ、シアノ、アミノ、C1−6モノアルキルアミノ基、C2−12ジアルキルアミノ基、S−(C1−6−アルキル)基、C(O)O(C1−6−アルキル)もしくはC(O)O(アリール)基、4−15員のヘテロ環式基、アリール基、O−アリール基またはS−アリール基から選択される1個から4個の置換基で場合によって置換されており、上記で述べた基は、C1−6アルキル基、ハロゲン原子、(C1−6)アルコキシ基、C(O)O(C1−6−アルキル)またはC(O)O(アリール)基から選択される1個から4個の置換基で場合によって置換されており、
R4は、水素原子またはC1−6アルキル基を表し、
nは、0から3を表す。)。
【請求項2】
Zが、結合を表し、R1が、非置換4−ピリジン環または非置換4−ピリミジン環を表し、R2が水素であり、R3が、ピリジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、ベンゾジオキシン基、テトラヒドロキノリン基、テトラヒドロイソキノリン基、ナフチリジン基、ベンゾフラン基を表し、これらの基が、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、アミノ、S−(C1−6−アルキル)基、4−15員のヘテロ環式基、アリール基、O−アリール基もしくはS−アリール基、C(O)O(C1−6−アルキル)基から選択される1個から4個の置換基で場合によって置換されており、R4が、水素を表し、Yが、Oまたは2個の水素原子を表し、nが、0を表す、請求項1に記載のピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和物もしくはその水和物。
【請求項3】
以下からなる群から選択される、請求項1および2に記載のピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物:
(+/−)−2−メトキシ−N−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−ニコチンアミド
(+/−)−7−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
(+/−)−6−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
(+/−)−[1,5]ナフチリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−6−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−8−アミノ−7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−2,6−ジメトキシ−N−(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−ニコチンアミド
(+/−)−6−フルオロ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−8−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−3,6−ジメトキシ−ピリダジン−4−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−5−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−5−ブロモ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−9−[(ピリジン−2−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
(+/−)−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−4−メトキシ−ピリジン−2−カルボン酸(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−アミド
(+/−)−2,6−ジメトキシ−N−(4−オキソ−2−ピリジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−4H−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル)−ニコチンアミド
(+/−)−9−[(2−メトキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
(+/−)−9−[(ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン
(+/−)−9−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イルメチル)−アミノ]−2−ピリミジン−4−イル−5,6,8,9−テトラヒドロ−7−オキサ−1,4a−ジアザ−ベンゾシクロヘプテン−4−オン。
【請求項4】
式(III)、(VI)および(VII)で表されるピリミドン誘導体
【化2】

(式中、R1およびR2は、請求項1に記載の、式(I)の化合物に対して定義された通りである。)。
【請求項5】
請求項1から3に記載の式(I)で表されるピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくはその水和物からなる群から選択される物質を活性成分として含む薬剤。
【請求項6】
請求項1に記載の式(I)で表されるピリミドン誘導体もしくはその塩、またはその溶媒和化合物もしくは水和物の群から選択されるGSK3β阻害剤。
【請求項7】
GSK3βの異常活性によって引き起こされる疾患の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項8】
神経変性疾患の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項9】
神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、タウオパチー、脳血管性認知症、急性脳卒中、外傷性障害、脳血管障害、脳損傷、脊髄損傷、末梢神経障害、網膜症または緑内障からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
インスリン非依存性糖尿病、肥満、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、癌、腎実質性疾患または筋萎縮の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項11】
癌が、乳癌、肺非小細胞癌、甲状腺癌、T細胞白血病もしくはB−細胞白血病またはウイルス誘発性腫瘍である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
マラリアの予防的および/または治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項13】
骨疾患の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項14】
尋常性天疱瘡の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項15】
癌化学療法で誘発される好中球減少症の予防的および/または治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項16】
認知欠陥および記憶欠損を特徴とする疾患の治療的処置のための、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項17】
請求項4に記載の中間体を用いる、請求項1から3に記載の一般式(I)の化合物の合成方法。

【公表番号】特表2011−510968(P2011−510968A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544811(P2010−544811)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/000293
【国際公開番号】WO2009/095787
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】