説明

置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体

本発明は、エストロゲン受容体ベータアゴニストのホスファート誘導体、その組成物、その調製およびその使用に関する。式(I)。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体およびその塩、それを含む組成物、ならびにそれを作製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エストロゲン活性を有する化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,794,403号において開示されている。これらの化合物の重要性を考慮すると、特性が改善された新規化合物およびそれの調製のための新規プロセスを開発することが継続的に必要であることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
米国特許第6,794,403号において開示されている化合物等の化合物は、数種の疾患および障害の治療および阻害において治療活性を有することが示されている。とりわけ、溶解性プロファイルの改善を呈する新規化合物が必要である。本発明は、これと他の重要な目的を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態において、本発明は、構造:
【0005】
【化1】

を有する式Iの化合物
[式中、
は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、3〜8個の炭素原子のシクロアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、1〜6個の炭素原子のチオアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホキソアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホノアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、O、N、S、−NO、NR、−N(R)COR、−CN、−CHFCN、CFCNから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5もしくは6員の複素環式環、2〜7個の炭素原子のアルキニル、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり、ここで、該アルキルまたはアルケニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオラルキル(trifluoralkyl)または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり、ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
およびR3aは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり、ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
は、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子のアルキルであり、但し、Rが水素である場合、R、R、R2a、RおよびR3aは、すべてが水素とはなり得ず、
およびRは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリールであり、
Xは、O、SまたはNRであり、かつ
は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−COまたはSOであり、
AおよびA’は、それぞれ独立に、水素、保護基または−P(O)(OR)(OR)であり、ここで、AまたはA’の少なくとも一方は−P(O)(OR)(OR)であり、
およびRは、H、保護基、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、該C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキ(heterocycloalkylalky)はそれぞれ、1、2、3、4または5個のR10によって置換されていてもよく、
各R10は、独立に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CN、NO、OR、SR、C(=O)R、C(=O)NR、C(=O)OR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRS(=O)、S(=O)R、S(=O)NR、S(=O)またはS(=O)NRであり、
各Rは、H、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから独立に選択され、ここで、前記C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、
各Rは、H、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから独立に選択され、ここで、前記C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜5アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、かつ
およびRは、H、C1〜10アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、ここで、前記C1〜10アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、または
およびRは、それらが結合したN原子と一緒になって、4、5、6または7員のヘテロシクロアルキル基を形成する]
または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態において、本発明は、式Iaの構造:
【0007】
【化2】

を有する化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、式IIの構造:
【0009】
【化3】

を有する化合物または薬学的に許容できるその塩を提供し、式中、Rは、式Iについて上記で説明した通りである。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明は、哺乳動物における疾患、障害または状態を治療または阻害するための方法であって、a)前記疾患、障害または状態を有する哺乳動物を特定するステップと、b)前記哺乳動物に、治療有効量の式IまたはIaの化合物を投与するステップとを含み、ここで、前記疾患、障害または状態が、炎症性疾患、障害または状態、癌、心血管性疾患、障害または状態、認知性疾患、障害または状態、皮膚の疾患、障害または状態、神経変性疾患、障害または状態、糖尿病、閉経周辺期、閉経期または閉経後期に関連する疾患、障害または状態、および全身炎症応答の調節不全に関連する疾患、障害または状態から選択される方法を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明は、上述した通りの式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、式IVの化合物:
【0012】
【化4】

またはその塩をリン酸化試薬でリン酸化するステップを含み、式中、R、R、R2a、R、R3a、RおよびXは、式Iについて上記で説明した通りであるプロセスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の態様は、置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体およびその塩、それを含む組成物、そのような置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体、塩および組成物を作製する方法、ならびに該置換ベンゾオキサゾール、塩および組成物を使用する方法を提供する。
【0014】
置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体は、置換ベンゾオキサゾールのプロドラッグとして有用となり得、ここで、該プロドラッグは、該プロドラッグが投与される個体において置換ベンゾオキサゾール活性剤に代謝されることを除き、置換ベンゾオキサゾール活性剤と比較して異なる特性を提供する。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、1つまたは複数の下記特性:水溶液、特に注射投与に適したそのような溶液への溶解性、溶液中ならびに/または結晶および/もしくは非結晶化形態における安定性、製造(合成および/または精製)および/または取り扱いの容易さおよび/または効率、使用の容易さ、ならびに/または、プロドラッグまたはその活性代謝産物の毒性、バイオアベイラビリティーおよび/または半減期を包含するがこれらに限定されないインビボ活性に関して、活性剤とは異なり得る。
【0015】
置換ベンゾオキサゾールへのリン酸基(1個または複数)の添加は、3つの形態:2つのモノホスファート形態およびジホスファート形態をもたらし得る。いくつかの実施形態において、合成および/または精製は、3つの形態の1つを主要生成物として提供する。いくつかの実施形態において、置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体の合成は、1つの部位へのリン酸基の選択的添加を提供して、2つの一水和物形態の1つを主要生成物として生成する。いくつかの実施形態において、合成および/または精製は、高収率の置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体を提供する。いくつかの実施形態において、置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体の合成および/または精製は、汚染物質の生成を最小限に抑える条件下で実施され得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体は、炎症性疾患、障害または状態、癌、心血管性疾患、障害または状態、認知性疾患、障害または状態、皮膚の疾患、障害または状態、神経変性疾患、障害または状態、糖尿病、閉経周辺期、閉経期または閉経後期に関連する疾患、障害または状態、良性または悪性の異常な組織増殖、および全身炎症応答の調節不全に関連する疾患、障害または状態から選択される、哺乳動物における疾患、障害または状態の治療または阻害において有用である。いくつかの実施形態において、そのような疾患および障害の治療または阻害は、好ましくは、非経口投与によって達成される。水溶液、特に注射投与に適したそのような溶液への溶解性を置換ベンゾオキサゾールと比較して増大させた置換ベンゾオキサゾールのホスファート誘導体は、個体によって代謝された際に治療的に有効な置換ベンゾオキサゾールに変換される置換ベンゾオキサゾールの可溶性誘導体を提供することにより、治療的に有効な置換ベンゾオキサゾールの注射可能形態での送達を可能にする。
【0017】
敗血症の治療および阻害は、治療剤の非経口投与が他の投与ルートに比べて望ましいことがある、1種のそのような疾患または障害である。敗血症は、それまで正常だった患者においてさえ深刻な転帰であり続けている、感染症に対する全身炎症応答(SIRS)の増幅および調節不全である。SIRSは、4つの臨床徴候:低もしくは高体温症、頻脈、頻呼吸または過換気、または異常な白血球像のうちの少なくとも2つとして定義される。敗血症は、SIRSプラス立証済みのまたは疑わしい感染症として定義され、臓器機能障害/不全が1つ加わると重症敗血症である。低かん流および/または難治性低血圧を伴う重症敗血症は敗血性ショックであり、複数の臓器不全を伴う重症敗血症は多臓器不全(MOF)である。敗血症のための多数の治療手段を探索する25年間の積極的な研究にもかかわらず、死亡のリスクが高い患者における重症敗血症の治療用には、わずかな有効性を実証したにすぎない1種の新薬(ザイグリス、遺伝子組換えヒト活性化プロテインC)が承認されただけである。
【0018】
重症敗血症は、典型的には、重症の立証済みのまたは疑わしい感染症に応答して発生する。救命医療の進歩、新たな抗生物質、およびザイグリス、つまり遺伝子組換え活性化プロテインC(rAPC)の承認にもかかわらず、該症候群は、約30%の死亡率を呈し続けており、患者の年齢に伴って重症度が増加して20〜80%の範囲の死亡率となるため、未だ満たされない大きな医学的ニーズであり続けている。重症敗血症を治療し、多臓器不全(MOF)または敗血性ショック(SS)を伴う重症敗血症への進行を止め、それによって生存率を改善することができる安全で忍容性が良好な治療剤は、革新的な解決策を提供することが明らかであろう。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、構造:
【0020】
【化5】

を有する式Iの化合物
[式中、
は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、3〜8個の炭素原子のシクロアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、1〜6個の炭素原子のチオアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホキソアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホノアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、O、N、S、−NO、NR、−N(R)COR、−CN、−CHFCN、CFCNから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5もしくは6員の複素環式環、2〜7個の炭素原子のアルキニル、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり、ここで、該アルキルまたはアルケニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオラルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり、ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
およびR3aは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり、ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
は、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子のアルキルであり、但し、Rが水素である場合、R、R、R2a、RおよびR3aは、すべてが水素とはなり得ず、
およびRは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリールであり、
Xは、O、SまたはNRであり、かつ
は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−COまたはSOであり、
AおよびA’は、それぞれ独立に、水素、保護基または−P(O)(OR)(OR)であり、ここで、AまたはA’の少なくとも一方は−P(O)(OR)(OR)であり、
およびRは、H、保護基、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、該C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキはそれぞれ、1、2、3、4または5個のR10によって置換されていてもよく、
各R10は、独立に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CN、NO、OR、SR、C(=O)R、C(=O)NR、C(=O)OR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRS(=O)、S(=O)R、S(=O)NR、S(=O)またはS(=O)NRであり、
各Rは、H、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから独立に選択され、ここで、前記C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、
各Rは、H、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから独立に選択され、ここで、前記C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、かつ
およびRは、H、C1〜10アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、ここで、前記C1〜10アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、または
およびRは、それらが結合したN原子と一緒になって、4、5、6または7員のヘテロシクロアルキル基を形成する]
または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態において、RおよびRは、H、保護基、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルまたはヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、ここで、該C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキはそれぞれ、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、C2〜8ジアルキルアミノ、SH、−S−(C1〜4アルキル)、C(=O)H、C(=O)−(C1〜4アルキル)、C(=O)−(アリール)、C(=O)−(アリールアルキル)、C(=O)NH、C(=O)NH(C1〜4アルキル)、C(=O)N(C1〜4アルキル)、C(=O)OH、C(=O)O−(C1〜4アルキル)、C(=O)O−(アリールアルキル)、OC(=O)H、OC(=O)−(C1〜4アルキル)、OC(=O)−(アリール)、OC(=O)−(アリールアルキル)、OC(=O)NH、OC(=O)NH(C1〜4アルキル)、OC(=O)NH−(アリールアルキル)、OC(=O)N(C1〜4アルキル)、NHC(=O)−(C1〜4アルキル)、NHC(=O)−(アリール)、NHC(=O)−(アリールアルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)−(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)−(アリール)、N(C1〜4アルキル)C(=O)−(アリールアルキル)、NHC(=O)O−(アリールアルキル)、NHC(=O)O−(C1〜4アルキル)、NHC(=O)O−(アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1〜4アルキル)、NHC(=O)NH−(アリール)、NHC(=O)NH−(アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH−(アリール)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH−(アリールアルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH(C1〜4アルキル)、NHS(=O)−(C1〜4アルキル)、NHS(=O)−(アリール)、NHS(=O)−(アリールアルキル)、S(=O)−(C1〜4アルキル)、S(=O)−(アリール)、S(=O)−(アリールアルキル)、S(=O)NH(C1〜4アルキル)、S(=O)NH(アリール)およびS(=O)NH(アリールアルキル)から独立に選択される1、2、3、4または5個の置換基によって置換されていてもよい。
【0022】
いくつかのさらなる実施形態において、RおよびRは、H、保護基、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、ここで、該C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノおよびC2〜8ジアルキルアミノから独立に選択される1、2または3個の置換基によって置換されていてもよい。
【0023】
また他の実施形態において、RおよびRは、H、保護基、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択される。いくつかの実施形態において、RおよびRは、H、保護基、C1〜10アルキルおよびC1〜10ハロアルキルからそれぞれ独立に選択される。いくつかの実施形態において、RおよびRは、H、保護基、C1〜6アルキルおよびC1〜6ハロアルキルからそれぞれ独立に選択される。いくつかのさらなる実施形態において、RおよびRは、H、保護基およびC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択される。またさらなる実施形態において、RおよびRは、H、保護基およびC1〜4アルキルからそれぞれ独立に選択される。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、Rが2〜7個の炭素原子のアルケニルである化合物を提供し、ここで、該アルケニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール、2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール、2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール、6−クロロ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、6−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、6−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、5−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オール、7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−ブロモ−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−(1,2−ジブロモエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−(1−ブロモビニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−エチニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−プロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−ブチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、エチル 5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボキシレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−エチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−エチル−2−(2−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルバルデヒド、7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−(ブロモメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、[5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−イル] アセトニトリル、7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロペニル−1 ,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、7−(2−フリル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−フリル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−チエン−2−イル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボニトリル、4−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、4,6−ジブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール、および7−ブロモ−2−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールからなる群から選択される化合物のホスファート誘導体または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「ホスファート誘導体」は、本明細書において記載されている化合物のモノホスファート誘導体および本明細書において記載されている化合物のジホスファート(ビスホスファートとも称される)誘導体を包含することになっている。例えば、上記一覧中の各化合物は、そのヒドロキシル置換基のいずれか一方で、またはそのヒドロキシル置換基の両方でリン酸化され得る。すなわち、式Iを有する化合物のいくつかの実施形態は、モノホスファートであり、式中、Aは−P(O)(OR)(OR)、好ましくはP(O)(OH)(OH)であり、かつ、A’は水素または保護基、好ましくは水素であり、そのようなモノホスファートのいくつかの好ましい実施形態において、AはP(O)(OH)(OH)であり、かつ、A’は水素である。式Iを有する化合物のいくつかの実施形態は、モノホスファートであり、式中、Aは水素または保護基、好ましくは水素であり、かつ、A’は−P(O)(OR)(OR)、好ましくはP(O)(OH)(OH)であり、そのようなモノホスファートのいくつかの好ましい実施形態において、Aは水素であり、かつ、A’はP(O)(OH)(OH)である。式Iを有する化合物のいくつかの実施形態は、ジホスファート(ビスホスファートとも称される)であり、式中、AおよびA’はいずれも−P(O)(OR)(OR)であり、いくつかの実施形態において、AおよびA’の少なくとも一方はP(O)(OH)(OH)であり、いくつかの実施形態において、AおよびA’はいずれもP(O)(OH)(OH)である。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明は、式Iaの構造:
【0028】
【化6】

を有する化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態において、A’は−P(O)(OR)(OR)であり、XはOであり、Rはエチレンであり、R、R2a、RおよびR3aは水素であり、かつ、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態において、Rはフルオロである。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明は、式IIの構造:
【0031】
【化7】

を有する化合物または薬学的に許容できるその塩を提供し、式中、Rは、式Iについて上記で説明した通りである。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明は、哺乳動物における疾患、障害または状態を治療または阻害するための方法であって、a)前記疾患、障害または状態を有する哺乳動物を特定するステップと、b)前記哺乳動物に、治療有効量の式Iまたは式IIIの化合物を投与するステップとを含み、ここで、前記疾患、障害または状態が、炎症性疾患、障害または状態、癌、心血管性疾患、障害または状態、認知性疾患、障害または状態、皮膚の疾患、障害または状態、神経変性疾患、障害または状態、糖尿病、閉経周辺期、閉経期または閉経後期に関連する疾患、障害または状態、良性または悪性の異常な組織増殖、および全身炎症応答の調節不全に関連する疾患、障害または状態から選択される方法を提供する。
【0033】
いくつかの実施形態において、治療有効量の本発明の化合物は、非経口投与される。いくつかの実施形態において、非経口投与は、皮下、静脈内または筋肉内である。
【0034】
いくつかの実施形態において、炎症性疾患、障害または状態は、前立腺炎、間質性膀胱炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性直腸炎、大腸炎、関節炎、関節の腫脹またはびらん、前立腺肥大、喘息、胸膜炎、および関節鏡検査または外科的処置に続発する関節損傷から選択される。いくつかの実施形態において、関節炎は、関節リウマチまたは変形性関節炎である。いくつかの実施形態において、大腸炎は、潰瘍性大腸炎、分類不能大腸炎または感染性大腸炎である。
【0035】
いくつかの実施形態において、癌は、子宮筋腫、乳癌、子宮内膜癌、子宮内膜癌、良性乳房疾患、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、結腸癌、およびCNS癌から選択される。いくつかの実施形態において、CNS癌は神経こう腫である。
【0036】
いくつかの実施形態において、良性または悪性の異常な組織増殖は、糸球体硬化症、子宮筋腫、強皮症、線維腫症、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患または腺筋症である。
【0037】
いくつかの実施形態において、心血管性疾患、障害または状態は、異常なコレステロール、トリグリセリド、Lp(a)またはLDLのレベル、高コレステロール血症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、末梢血管疾患、再狭窄、血管けいれん、および免疫媒介血管損傷に至る細胞事象由来の血管壁損傷から選択される。
【0038】
いくつかの実施形態において、認知性疾患、障害または状態は、老年性認知症、アルツハイマー病、認知機能低下、脳卒中、不安神経症、およびフリーラジカルによって誘発される病状、性欲減退、鬱病、不眠症、および統合失調症から選択される。
【0039】
いくつかの実施形態において、皮膚の疾患、障害または状態は、乾癬および皮膚炎から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態において、神経変性疾患、障害または状態は、虚血、再かん流傷害、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、および出血性ショックから選択される。
【0041】
標準的な薬理試験手順で取得された結果に基づいて、本発明の化合物は、エストロゲンの欠乏もしくは過剰によって少なくとも部分的に媒介される、またはエストロゲン剤の使用を介して治療もしくは阻害され得る状態、障害または病状の治療または阻害において有用なエストロゲン受容体モジュレーターである化合物を産出することが予想される。そのような化合物は、産生される内因性エストロゲンのレベルが大幅に減少した閉経周辺期の、閉経期のまたは閉経後期の患者を治療する上で特に有用である。閉経期は、概して、最後の自然月経期間として定義され、血流中の循環エストロゲンの実質的な減少を導く卵巣機能の停止を特徴とする。本明細書において使用される場合、閉経期は、外科的に、化学的に、または卵巣機能の早期減少もしくは停止を導く病状によって引き起こされ得る、エストロゲン産生低下の状態も包含する。
【0042】
いくつかの実施形態において、閉経周辺期、閉経期または閉経後期に関連する疾患、障害または状態は、膣または外陰部の委縮、萎縮性膣炎、膣の乾燥、掻痒症、性交疼痛、排尿困難、頻尿、尿失禁、尿路感染症、血管運動症状、子宮内膜症、機能不全性子宮出血および不妊症から選択され、全身炎症応答の調節不全に関連する疾患、障害または状態は、敗血症、多臓器不全および敗血性ショックから選択される。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、敗血症、多臓器不全または敗血性ショックに関連する1つまたは複数の症状を治療または阻害するための治療有効量で投与される。いくつかの実施形態において、敗血症、多臓器不全または敗血性ショックに関連する症状は、低体温症、高体温症、頻脈、頻呼吸または過換気、および異常な白血球像から選択される。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、受胎を防止するために使用され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、白内障、ブドウ膜炎および黄斑変性症を包含する眼障害を治療または阻害する上でも有用である。
【0046】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、代謝障害、ならびに遺伝性出血性毛細管拡張症、機能不全性子宮出血等の出血性障害を治療または阻害し、かつ出血性ショックと闘う上でも有用である。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、白血病、子宮内膜アブレーション、慢性腎もしくは肝疾患、または凝固疾患もしくは障害等、無月経が有利な病状において有用である。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、本明細書において記載されている疾患、障害または状態のいずれかを治療または阻害するための薬剤の調製において使用される。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明は、上述した通りの式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、式IVの化合物:
【0050】
【化8】

またはその塩をリン酸化試薬でリン酸化するステップを含み、式中、R、R、R2a、R、R3a、RおよびXは、式Iについて上記で説明した通りであるプロセスを提供する。
【0051】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式IIIの構造:
【0052】
【化9】

を有する。
【0053】
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物は、式IIIaの構造:
【0054】
【化10】

を有する。
【0055】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式IIIbの構造:
【0056】
【化11】

を有し、式IVの化合物は、式IVaの構造:
【0057】
【化12】

を有する。
【0058】
いくつかの実施形態において、リン酸化試薬はリン酸ジエチルを含む。いくつかの実施形態において、リン酸ジエチルは、約120分間かけて反応混合物に添加される。いくつかの実施形態において、リン酸化試薬はクロロリン酸ジエチルを含む。いくつかの実施形態において、リン酸化剤は、式IVの化合物に対して約1モル当量の値で存在する。いくつかの実施形態において、リン酸化剤は、式IVの化合物に対してモル過剰で存在する。
【0059】
いくつかの実施形態において、リン酸化反応は、溶媒系中で実施される。いくつかの実施形態において、リン酸化反応は、極性非プロトン性有機溶媒を含む溶媒系中で実施される。いくつかの実施形態において、溶媒系はアセトニトリルを含む。いくつかの実施形態において、リン酸化反応は、塩基の存在下、溶媒系中で行われる。いくつかの実施形態において、リン酸化反応は、約15℃〜約60℃の温度で実施される。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明は、その遊離酸形態の式Iの化合物またはその塩を単離するステップをさらに含むプロセスを提供する。いくつかの実施形態は、式Iの化合物の塩を単離するステップをさらに含み、ここで、該塩は式Ib:
[R11−O−PO−2]M
Ib
を有し、式中、
11
【0061】
【化13】

であり、かつ
Mは第IまたはII族金属イオンである。
【0062】
いくつかの実施形態において、R11は式R11a
【0063】
【化14】

を有する。
【0064】
いくつかの実施形態において、本発明は、その遊離酸形態の式IIIの化合物またはその塩を単離するステップをさらに含むプロセスを提供する。いくつかの実施形態は、式IIIの化合物の塩を単離するステップをさらに含み、ここで、該塩は式IIIc:
[R11−O−PO−2]M
IIIc
を有し、式中、
11
【0065】
【化15】

であり、かつ
Mは第IまたはII族金属イオンである。
【0066】
いくつかの実施形態において、R11は式R11a
【0067】
【化16】

を有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、遊離酸または塩形態の化合物の単離は、反応混合物から臭化水素を十分に除去するステップを含む。本明細書において使用される場合、「十分に除去する」は、取得された残留物を水性媒体と接触させた際に、臭素化された副生成物が実質的にないままであり続けているような程度まで臭化水素を除去することを意味する。本明細書において使用される場合、「臭素化された副生成物が実質的にない」は、化合物の所与の試料の約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、より好ましくは約1重量%以下、より好ましくは約0.5重量%以下、より好ましくは約0.1重量%以下、より好ましくは約0.05重量%以下、より好ましくは約0.01重量%以下が、臭素化された副生成物またはその塩を含有することを意味する。
【0069】
いくつかの実施形態において、反応混合物を蒸発させて、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、反応混合物を真空で保持して、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、反応混合物を真空で蒸発させて、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、反応混合物を真空で蒸発および保持して、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、反応混合物を蒸発させ、次いで真空で保持して、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、反応混合物を約1mmHg〜約2mmHgの真空で保持して、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、反応混合物を終夜真空で保持して、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、終夜は約4時間〜約16時間である。いくつかの実施形態において、終夜は約8時間〜約14時間である。いくつかの実施形態において、終夜は約12時間である。
【0070】
いくつかの実施形態において、Mは、Naイオン、Kイオン、Liイオン、Ca2+イオンおよびMg2+イオンから選択される。いくつかの実施形態において、MはNaイオンである。いくつかの実施形態において、MはKイオンである。いくつかの実施形態において、Mは、第IまたはII族金属ではなくNHイオンである。
【0071】
いくつかの実施形態において、反応混合物をアルコールで処理して、臭化水素を十分に除去する。いくつかの実施形態において、アルコールはメタノールである。
【0072】
いくつかの実施形態において、遊離酸または塩形態の化合物の単離は、反応混合物を塩基で処理するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、塩基は水酸化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、塩基は水酸化ナトリウム水溶液である。いくつかの実施形態において、塩基は水酸化カリウムである。
【0073】
いくつかの実施形態において、遊離酸または塩形態の式Iの化合物の単離は、蒸留、減圧蒸留、共溶媒を添加することによってさらに促進される蒸留、共溶媒を添加することによってさらに促進される減圧蒸留、溶媒の蒸発とそれに続くクロマトグラフィー、1種または複数の極性有機溶媒を含む有機溶媒系で塩を粉砕すること、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびフリーズドライのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、遊離酸または塩形態の式IIIの化合物の単離は、蒸留、減圧蒸留、共溶媒を添加することによってさらに促進される蒸留、共溶媒を添加することによってさらに促進される減圧蒸留、溶媒の蒸発とそれに続くクロマトグラフィー、1種または複数の極性有機溶媒を含む有機溶媒系で塩を粉砕すること、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびフリーズドライのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明は、2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニル二水素ホスファートである化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−5−イル二水素ホスファートである化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、
【0076】
【化17】

である化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【0077】
いくつかの実施形態は、2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニル二水素ホスファートおよび場合により薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−5−イル二水素ホスファートおよび場合により薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態は、
【0078】
【化18】

および場合により薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、2−フルオロ−4−(5−(ジ−ヒドロキシ)ホスホリルオキシ)−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イルフェニル二水素ホスファートである化合物または薬学的に許容できるその塩を提供する。いくつかの実施形態は、2−フルオロ−4−(5−(ジ−ヒドロキシ)ホスホリルオキシ)−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イルフェニル二水素ホスファートおよび場合により薬学的に許容できる担体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、薬学的に許容できる担体は水性溶媒である。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明は、式IIの化合物:
【0080】
【化19】

および場合により薬学的に許容できる担体を含む組成物を提供する。
【0081】
いくつかの実施形態において、本発明は、式Vの化合物:
【0082】
【化20】

および場合により薬学的に許容できる担体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、薬学的に許容できる担体は水性溶媒である。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明は、式VIの化合物:
【0084】
【化21】

および場合により薬学的に許容できる担体を含む組成物を提供する。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明は、式VIIの化合物:
【0086】
【化22】

および場合により薬学的に許容できる担体を含む組成物を提供する。
【0087】
いくつかの実施形態において、本発明は、式VIIIもしくはVIIIaの化合物:
【0088】
【化23】

またはその塩が実質的にない化合物を調製するために使用されるプロセスを提供し、式中、R、R、R2a、R、R3a、RおよびXは、式Iについて上記で説明した通りである。本明細書において使用される場合、用語「式VIIIもしくはVIIIaの化合物が実質的にない」は、化合物の所与の試料の約5重量%以下、好ましくは約2重量%以下、より好ましくは約1重量%以下、より好ましくは約0.5重量%以下が、式VIIIもしくはVIIIaまたはその塩を有することを意味する。
【0089】
概して、リン酸化試薬は、式IVの化合物またはその塩の量に対して約0.7当量以上、好ましくは式IVの化合物またはその塩の量に対して約1モル当量の量で用いられる。いくつかの実施形態において、リン酸化試薬は、式IVの化合物もしくはその塩の量に対して約2モル当量以上、または式IVの化合物もしくはその塩の量に対して約3モル当量以上の量で用いられる。
【0090】
典型的には、式IVの化合物とリン酸化試薬との反応は、単一溶媒または溶媒の混合物であってよい溶媒系中で実施される。いくつかの実施形態において、リン酸化試薬は、リン酸ジエチルおよびアミンの複合体である。いくつかの実施形態において、リン酸化試薬は、リン酸ジエチルおよびアセトニトリルの複合体である。いくつかの実施形態において、リン酸化試薬は、クロロリン酸ジエチルおよびアミンの複合体である。いくつかの実施形態において、リン酸化試薬は、クロロリン酸ジエチルおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンの複合体である。極性有機溶媒、好ましくは上述した通りのものを包含する極性非プロトン性有機溶媒を包含する多種多様の適切な溶媒が用いられ得る。いくつかの実施形態において、反応は、アセトニトリルを包含するまたはアセトニトリルからなる溶媒系中で実施される。いくつかの実施形態において、式Iaの化合物またはその塩の収率は、50%、55%、60%、65%、75%、80%または85%より大きい。いくつかの実施形態において、式IIIaの化合物またはその塩の収率は、75%、80%、85%、90%または95%より大きい。
【0091】
式IVの化合物とリン酸化試薬との反応は、好都合な温度、例えば約15℃〜約60℃で、好ましくは約15℃〜約27℃で実施される。典型的には、式IVの化合物を溶媒に溶解し、リン酸化試薬をゆっくり添加する。反応の進行は、多様な技術によって、例えば、薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフ技術によって監視できる。式IVの化合物とリン酸化試薬との間の反応は、典型的には、約8時間〜約2日後に完了する。いくつかの実施形態において、式IVの化合物とリン酸化試薬との間の反応が完了したら、未反応の塩基をクエンチし、式IIIまたはIIIaの化合物を単離して、ホスファート塩として取得する。
【0092】
塩は、精製の程度に応じて、比較的粗製のまたはより純粋な形態で単離され得る。例えば、実施形態において、塩基をクエンチするための水で反応混合物を処理し、濾過し、溶媒を蒸発させて粗生成物を得ることによって塩を単離することができ、次いで、これを任意選択の脱保護ステップにおいてそのまま使用するか、または、例えば、シリカクロマトグラフィー等の前述の技術の1つもしくは複数によってさらに精製することができる。
【0093】
明瞭にするために別個の実施形態の文脈で記載されている本発明のある一定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供される場合もあることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の種々の特徴は、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供される場合もある。
【0094】
本出願において説明されている定義は、本出願の全体にわたって使用されている用語を明瞭にするように意図されている。用語「本明細書において」は、出願全体を意味する。
【0095】
本明細書において使用される場合、用語「置換されていてもよい」は、置換が任意選択であり、したがって、指定した原子または部分を非置換とするのが可能であることを意味する。置換が望まれる場合には、そのような置換は、指定した原子または部分上の任意の数の水素が指示群からの選択肢で置き換えられているが、但し、指定した原子または部分の通常の原子価を超えず、かつ、その置換が安定な化合物をもたらすことを意味する。例えば、メチル基(すなわちCH)が置換されていてもよい場合、炭素原子上の3個の水素が置き換えられてよい。適切な置換基の例は、ハロゲン、CN、NH、OH、SO、SO、COOH、OC1〜6アルキル、CHOH、SOH、C1〜6アルキル、OC1〜6アルキル、C(=O)C1〜6アルキル、C(=O)O−C1〜6アルキル、C(=O)NH、C(=O)NHC1〜6アルキル、C(=O)N(C1〜6アルキル)2、SO1〜6アルキル、SONH−C1〜6アルキル、SON(C1〜6アルキル)、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NHC(=O)C1〜6アルキル、NC(=O)(C1〜6アルキル)、アリール、O−アリール、C(=O)−アリール、C(=O)O−アリール、C(=O)NH−アリール、C(=O)N(アリール)、SO−アリール、SONH−アリール、SON(アリール)、NH(アリール)、N(アリール)、NC(=O)アリール、NC(=O)(アリール)、ヘテロシクリル、O−ヘテロシクリル、C(=O)−ヘテロシクリル、C(=O)O−ヘテロシクリル、C(=O)NH−ヘテロシクリル、C(=O)N(ヘテロシクリル)、SO−ヘテロシクリル、SONH−ヘテロシクリル、SON(ヘテロシクリル)、NH(ヘテロシクリル)、N(ヘテロシクリル)、NC(=O)−ヘテロシクリルおよびNC(=O)(ヘテロシクリル)、またはそれらの任意のサブセットを包含するがこれらに限定されない。
【0096】
本明細書において使用される場合、「浮遊置換基(floating substituent)」は、アリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリル環上での位置が固定されていない置換基である。以下の化合物において、例えば、R、R3aおよびR置換基は浮遊置換基であり、一方、OA、OA’、R、RおよびR2a置換基は固定されている。本明細書において使用される場合、浮遊置換基は、それと交差して示されている特定の環からのみ付加できる。以下の化合物Iaにおいて、例えば、Rは、それと交差して示されているフェニル環からのみ付加できる。
【0097】
【化24】

【0098】
本明細書において使用される場合、単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用されている「アルキル」、「アルキレニル」または「アルキレン」は、1〜12個の炭素原子を有する分枝鎖および直鎖両方の飽和脂肪族炭化水素基を包含するように意図されているか、または特定数の炭素原子が提供されていれば、その特定数が意図されていることになる。例えば、「C1〜6アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルを表す。アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシル、またはそれらの任意のサブセットを包含するがこれらに限定されない。本明細書において使用される場合、「C1〜3アルキル」は、末端置換基であるか2個の置換基を連結しているアルキレン(またはアルキレニル)基であるかにかかわらず、分枝鎖および直鎖両方のメチル、エチルおよびプロピルを具体的に包含すると理解される。
【0099】
本明細書において使用される場合、「アルケニル」は、1個または複数の二重炭素−炭素結合を有するアルキル基を指す。アルケニル基例は、エテニル、プロペニル、シクロヘキセニル等を包含する。用語「アルケニレニル」は、二価連結アルケニル基を指す。
【0100】
本明細書において使用される場合、「アルキニル」は、1個または複数の三重炭素−炭素結合を有するアルキル基を指す。アルキニル基例は、エチニル、プロピニル等を包含する。用語「アルキニレニル」は、二価連結アルキニル基を指す。
【0101】
本明細書において使用される場合、「芳香族」は、芳香族性を有する1個または複数の多価不飽和炭素環(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有し、かつ、最大約14個の炭素原子を含むヒドロカルビル基を指す。
【0102】
本明細書において使用される場合、「アリール」は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル等の単環式または多環式(例えば、2、3または4個の縮合環を有する)芳香族炭化水素を指す。いくつかの実施形態において、アリール基は、6〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アリール基は、6〜約10個の炭素原子を有する。
【0103】
本明細書において使用される場合、「シクロアルキル」は、特定数の炭素原子を有する環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を包含する非芳香族環式炭化水素を指す(ここで、該環は、3〜20個の環形成炭素原子を含む)。シクロアルキル基は、単または多環式(例えば、2、3または4個の縮合または架橋環を有する)基を包含し得る。シクロアルキル基例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル(norcarnyl)、アダマンチル等、またはそれらの任意のサブセットを包含する。用語「シクロアルキル」は、縮合または架橋多環式系をさらに包含する。適切なシクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造中に3、4、5および6個の炭素を有する。例えば、「C3〜6シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等の基を表す。
【0104】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」または「複素環」は、N、OおよびSから独立に選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を環構造の一部として有し、該環中に3〜20個の原子を含む環含有一価および二価の構造、または3〜7員の環を指す。複素環式基は、1個または複数の二重結合を含有する飽和または部分飽和または不飽和であってよく、かつ、複素環式基は、多環式系の場合のように複数の環を含有し得る。本明細書において記載されている複素環式環は、得られた化合物が安定であれば、炭素原子上またはヘテロ原子上で置換されていてよい。具体的に注記されていれば、ヘテロシクリル中の窒素は場合により四級化されていてよい。ヘテロシクリル中のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していないことが理解される。
【0105】
ヘテロシクリルの例は、1H−インダゾール、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾール、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アザビシクロ、アゼチジン、アゼパン、アジリジン、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキソール、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、b−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、ジアゼパン、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジオキソラン、フリル、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、ホモピペリジニル、イミダゾリジン、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシラン、オキサゾリジニルペリミジニル、フェナンスリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プリニル、ピラニル、ピロリジニル、ピロリン、ピロリジン、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、N−オキシド−ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジニルジオン、ピロリニル、ピロリル、ピリジン、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラメチルピペリジニル、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリニル、チオファン、チオテトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェンイル、チイラン、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、およびキサンテニル、またはそれらの任意のサブセットを包含するがこれらに限定されない。
【0106】
本明細書において使用される場合、「ヘテロアリール」は、硫黄、酸素または窒素等の少なくとも1個のヘテロ原子環員を有する芳香族複素環(ここで、該環は最大約20個の環形成原子を含む)を指す。ヘテロアリール基は、単環式および多環式(例えば、2、3または4個の縮合環を有する)系を包含する。ヘテロアリール基の例は、ピリジル(すなわちピリジニル)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル(すなわちフラニル)、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニル等、またはそれらの任意のサブセットを包含するがこれらに限られない。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、1〜約20個の炭素原子を、およびさらなる実施形態において、約1〜約5個、約1〜約4個、約1〜約3個、約1〜約2個の炭素原子を環形成原子として有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、1〜約4個、1〜約3個または1〜2個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、1個のヘテロ原子を有する。
【0107】
本明細書において使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」は、環化アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を包含する非芳香族複素環(ここで、該環は、約3〜約20個の環形成原子を含む)を指し、ここで、環形成炭素原子の1個または複数は、O、NまたはS原子等のヘテロ原子によって置き換えられている。ヘテルシクロアルキル(Hetercycloalkyl)基は、単または多環式(例えば、縮合、架橋およびスピロ系)であってよい。適切な「ヘテロシクロアルキル」基は、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、1,3−ベンゾジオキソール、ベンゾ−1,4−ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル等を包含する。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドによって場合により置換されていてよい。ヘテロシクロアルキルの定義には、非芳香族複素環式環と縮合した(すなわち、共通の結合を有する)1個または複数の芳香環を有する部分、例えば、インドレンおよびイソインドレン基等、複素環のフタルイミジル、ナフタルイミジルおよびベンゾ誘導体も包含される。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、1〜約20個の炭素原子を、およびさらなる実施形態において、約3〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、3〜約14個、3〜約7個または5〜6個の環形成原子を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、1〜約4個、1〜約3個または1〜2個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、0〜3個の二重結合を含有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、0〜2個の三重結合を含有する。
【0108】
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、指示された数の炭素原子が酸素架橋を介して結合している、上記で定義された通りのアルキル基を表現する。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、シクロプロピルメトキシ、アリルオキシおよびプロパルギルオキシ、またはそれらの任意のサブセットを包含するがこれらに限定されない。同様に、「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」は、指示された数の炭素原子が硫黄架橋を介して結合している、上記で定義された通りのアルキル基を表現する。
【0109】
本明細書において使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード、またはそれらの任意のサブセットを包含する。
【0110】
本明細書において使用される場合、「ハロアルキル」は、1個または複数のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。ハロアルキル基例は、CF、C、CHCF、CHF、CCl、CHCl、CCl等、またはそれらの任意のサブセットを包含する。用語「ペルハロアルキル」は、すべての水素原子がハロゲン原子で置き換えられているアルキル基を表すように意図されている。ペルハロアルキルの一例は、CHまたはCFである。用語「ペルフルオロアルキル」は、すべての水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキル基を表すように意図されている。ペルハロアルキルの一例は、CF(すなわちトリフルオロメチル)である。
【0111】
ここで使用される場合、「ハロアルコキシ」は、−O−ハロアルキル基を指す。ハロアルコキシ基例は、OCFである。
【0112】
本明細書において使用される場合、「アリールオキシ」は、−O−アリールを指す。ヘテロアリールオキシ例は、フェノキシである。
【0113】
本明細書において使用される場合、語句「保護基」は、潜在的に反応性の官能基を望ましくない化学転換から保護する一時的な置換基を意味する。そのような保護基の例は、リン酸のエステル、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびに、アルデヒドおよびケトンの、それぞれアセタールおよびケタールを包含する。保護基化学の分野については総説が書かれている(Greene,T.W.、Wuts,P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley:New York、1999)。
【0114】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容できる塩」は、開示されている化合物の誘導体を指し、ここで、親化合物は、その酸塩または塩基塩を作製することによって修飾される(すなわち、対イオンも包含する)。薬学的に許容できる塩の例は、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩または有機塩等を包含するがこれらに限定されない。薬学的に許容できる塩は、従来の非毒性塩、または例えば非毒性の無機もしくは有機酸から形成された親化合物の第四級アンモニウム塩を包含する。例えば、そのような従来の非毒性塩は、塩酸、リン酸等の無機酸に由来する塩、ならびに、乳酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、メタンスルホン酸等の有機酸から調製された塩を包含する。
【0115】
本発明の薬学的に許容できる塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から、従来の化学的方法によって合成できる。概して、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、化学量論量の適正な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中、または2つの混合物中で反応させることによって調製でき、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が使用され得る。
【0116】
本発明における多様な化合物は、特定の立体異性形態で存在し得る。本発明では、シス−およびトランス異性体、R−およびS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物、ならびにそれらの他の混合物を包含するそのような化合物すべてを、本発明の範囲内に包括されるものとして考慮する。アルキル基等の置換基中に追加の不斉炭素原子が存在し得る。すべてのそのような異性体およびその混合物は、本発明に包含されるように意図されている。本明細書において記載されている化合物は、不斉中心を有し得る。不斉に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学活性またはラセミ形態で単離され得る。ラセミ形態の分割によるもの、または光学活性出発材料からの合成によるもの等、光学活性形態の調製の仕方は、当技術分野において周知である。必要な場合、ラセミ材料の分離は、当技術分野において既知の方法によって達成できる。オレフィン、C=N二重結合等の多くの立体異性体は、本明細書において記載されている化合物中に存在することもでき、そのような安定異性体はすべて、本発明において企図されている。本発明の化合物のシスおよびトランス異性体が記載されており、異性体の混合物として、または分離した異性体形態として単離され得る。具体的な立体化学または異性体形態が具体的に指示されているのでない限り、すべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態およびすべての立体異性形態の構造が意図されている。
【0117】
本明細書において記載されているホスファート誘導体は、インビボまたはインビトロで親化合物の1つに変換可能なプロドラッグである。典型的には、プロドラッグ形態の該化合物においては化合物の生物活性の少なくとも1つが低減され、プロドラッグの変換によって活性化されて、化合物またはその代謝産物を放出することができる。いくつかのプロドラッグは、活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容できる代謝的に不安定なエステル)である。代謝中に、エステル基(−C(=O)OR)が開裂されて活性薬物を産出する。そのようなエステルは、例えば、適正な場合、親化合物中に存在する任意の他の反応基の事前保護を伴う親化合物中のカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかのエステル化、必要ならば、それに続く脱保護によって形成され得る。
【0118】
そのような代謝的に不安定なエステルの例は、式−C(=O)ORのエステルを包含し、式中、Rは、C1〜7アルキル(例えば、Me、Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、tBu)、C1〜7アミノアルキル(例えば、アミノエチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、2(4モルホリノ)エチル)およびアシルオキシ−C1〜7アルキル(例えば、アシルオキシメチル、アシルオキシエチル、ピバロイルオキシメチル、アセトキシメチル、1アセトキシエチル、1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル、1−(ベンゾイルオキシ)エチル、イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル、1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル、シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル、シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル、(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル、1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル、(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチルならびに1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)、またはそれらの任意のサブセットである。
【0119】
ホスホレート(Phosphorates)(リン酸エステル)は、化合物中に存在するヒドロキシル基と適正なリン酸の反応相手との間に、当技術分野において既知の技術を使用して形成され得る。いくつかのプロドラッグは、ヒドロキシル基を有する活性化合物(HOR)のホスホレート、例えば、生理学的に許容できる代謝的に不安定なホスホレートである。(アルカリホスファターゼの存在下での)代謝中に、P(=O)(OH)ORの式を有する化合物のP−OR結合が開裂されて、活性薬物(HOR)を産出する。
【0120】
また、いくつかのプロドラッグは、酵素的に活性化されて活性化合物を、またはさらなる化学反応時に活性化合物を産出する化合物を産出する。
【0121】
化合物がキラル中心を含有する場合、該化合物の鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体等の個々の光学形態ならびにラセミ混合物はすべて、本発明の範囲内である。
【0122】
化合物は若干数の互変異性形態で存在し得、化合物への言及は、そのような形態をすべて包含する。誤解を避けるために、化合物が数種の互変異性形態の1つで存在し得、1つだけが具体的に記載され、または示されている場合でも、他のすべてが本発明の範囲に受け入れられる。本明細書において使用される場合、「互変異性体」は、水素原子の移動によって生じる平衡で存在する他の構造異性体を意味する。例えば、得られた化合物が、ケトンおよび不飽和アルコールの両方の特性を有する場合、ケト−エノール互変異性。
【0123】
本発明の化合物は、本明細書において記載されている式のいずれかの化合物の薬学的に許容できる塩および互変異性体も包含する。本発明の化合物は、水和物および溶媒和物をさらに包含する。
【0124】
合成
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、1個または複数の付加ホスファート(すなわち−P(O)(OH))基を保有する誘導体である。
【0125】
本発明の化合物は、例えば、スキームIにおいて後述する通りの反応経路および技術を使用して調製できる。
【0126】
【化25】

【0127】
式Aの化合物の調製は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,794,403号において記載されている。
【0128】
スキームIに見られる通り、式Aの出発材料は2個の反応性ヒドロキシル基を有し、本発明は、驚くべきことに、ジホスファート副生成物または上記式VIIIもしくはVIIIaの生成物(縮合環系ヒドロキシル基で一リン酸化されている(mono−phosphated))またはそれらの塩が実質的にない、式Dのモノホスファート生成物の調製のための好都合なルートを提供する。
【0129】
用量および製剤
特定の病状または障害の治療または阻害のために投与される場合、有効な用量は、利用される特定の化合物、投与モード、治療されている状態の状態およびその重症度、ならびに治療されている個体に関する種々の身体的要因に応じて変動し得ることが理解される。本発明の化合物の有効な投与は、約0.1mg/日〜約1,000mg/日の経口または静脈内投薬で与えられ得る。好ましくは、投与は、単回投薬量または2回以上の分割投薬量で、約10mg/日〜約600mg/日、より好ましくは約50mg/日〜約600mg/日となる。計画される日用量は、投与ルートに伴って変動することが予想される。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、0.3mg/kgの投薬量で静脈内投与される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、1mg/kgの投薬量で静脈内投与される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、3mg/kgの投薬量で静脈内投与される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、24時間毎に静脈内投与される。
【0131】
そのような投薬量は、経口、インプラントによるもの、非経口(静脈内、腹腔内、関節内および皮下注射を包含する)、直腸内、鼻腔内、局所、眼内(点眼薬によるもの)、膣内、および経皮を包含する、本明細書における活性化合物をレシピエントの血流に向けるのに有用な任意の様式で投与され得る。
【0132】
本発明の化合物を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル剤、舌下錠形態、口内錠、ロゼンジ剤および経口液体、懸濁剤または液剤を包含する任意の従来使用される経口形態を含み得る。カプセル剤は、活性化合物(複数可)と、薬学的に許容できるデンプン(例えば、コーンスターチ、バレイショまたはタピオカデンプン)、砂糖、人工甘味剤、粉末セルロース(結晶性および微結晶性セルロース等)、小麦粉、ゼラチン、ガム等の不活性充填剤および/または希釈剤との混合物を含有し得る。有用な錠剤製剤は、従来の圧縮および湿式造粒または乾式造粒法によって作製され得、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアガム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合シリケート、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥デンプンおよび粉砂糖を包含するがこれらに限定されない、薬学的に許容できる希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、表面変性剤(界面活性剤を包含する)、懸濁化または安定化剤を利用することができる。好ましい表面変性剤は、非イオン性およびアニオン性表面変性剤を包含する。表面変性剤の代表例は、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアールアルコール(cetostearl alcohol)、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、ホスファート、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよびトリエタノールアミンを包含するがこれらに限定されない。本明細書における経口製剤は、活性化合物(複数可)の吸収を変えるために標準的な遅延または持続放出製剤を利用することができる。いくつかの実施形態において、経口製剤は、適正な可溶化剤または乳化剤を必要に応じて含有する、水または果汁中の活性成分を投与することからなってもよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、化合物をエアゾールの形態で気道に直接投与することが望ましい場合がある。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、非経口的にまたは腹腔内に投与することもできる。遊離塩基または薬理学的に許容できる塩としてのこれらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシ−プロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合された水中に調製できる。分散系は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの油中混合物中に調製することもできる。普通の貯蔵条件および使用条件下において、これらの調製物は微生物の増殖を阻害するための保存剤を含有する。
【0135】
注射使用に適した医薬品形態は、無菌水溶液または分散系および無菌注射溶液または分散系の即時調製用の無菌粉末を包含する。いずれの場合も、該形態は無菌でなくてはならず、かつ、注射容易性(easy syringability)が存在する程度に流動性でなくてはならない。製造条件および貯蔵条件下で安定でなくてはならず、かつ、細菌および真菌等の微生物の汚染効果に対して保存されなくてはならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒であってよい。
【0136】
本開示の目的のために、経皮投与は、体表面ならびに上皮および粘膜組織を包含する身体通路の内層の全体にわたるすべての投与を包含するものと理解される。そのような投与は、ローション剤、クリーム剤、泡状物、パッチ、懸濁剤、液剤および坐剤(直腸内および膣内)中の、本化合物または薬学的に許容できるその塩を使用して行われ得る。
【0137】
経皮投与は、活性化合物および活性化合物に対して不活性である担体を含有し、皮膚に対して非毒性であり、全身吸収用の作用物質の皮膚を経由する血流中への送達を可能にする経皮パッチの使用を介して遂行できる。担体は、クリーム剤および軟膏、ペースト剤、ゲル剤、ならびに閉塞性デバイス等、任意の数の形態をとり得る。クリーム剤および軟膏は、水中油または油中水型いずれかの粘性液剤または半固形乳剤であってよい。石油に分散された吸収性粉末または活性成分を含有する親水性石油で構成されるペースト剤も適している場合がある。活性成分を含有する槽を覆っている半透膜等の多様な閉塞性デバイスを使用して、担体、または活性成分を含有するマトリックスの有無にかかわらず、活性成分を血流中に放出することができる。その他の閉塞性デバイスは、文献において既知である。
【0138】
坐剤製剤は、坐剤の融点を変えるためのワックスの添加の有無にかかわらず、ココアバター、およびグリセリンを包含する伝統的な材料から作製され得る。種々の分子量のポリエチレングリコール等の水溶性坐剤基剤を使用してもよい。
【0139】
本発明の化合物は、1つまたは複数の付加部分を保有するために誘導体化された、置換ベンゾオキサゾールエストロゲン剤である。誘導体化された化合物の投与後、付加部分を内因性酵素によって除去して、誘導体化されていない化合物を提供する。そのような化合物を、ここでは本発明の化合物の代謝産物と称する。
【0140】
本発明に従って使用される場合、本発明によって包括される化合物または物質を提供することに関する用語「提供する」は、そのような化合物もしくは物質を直接的に投与すること、または有効量の化合物もしくは物質を体内で形成するプロドラッグ、誘導体もしくは類似体を投与することのいずれかを意味する。
【0141】
本発明に従って使用される場合、用語「ERβ選択的リガンド」は、ERβに対するリガンドの結合親和性(IC50によって計測されるものであり、ここで、17β−エストラジオールのIC50は、ERαとERβとの間の差異の3倍以下である)が、ERαおよびERβに対する結合親和性を計測する標準的な薬理試験手順において、ERαに対するその結合親和性よりも少なくとも約10倍大きいことを意味する。ERβ選択的リガンドは、ERαに対するその結合親和性よりも少なくとも約20倍大きい、ERβに対する結合親和性を有することが好ましい。ERβ選択的リガンドは、ERαに対するその結合親和性よりも少なくとも約50倍大きい、ERαに対する結合親和性を有することがより好ましい。ERβ選択的リガンドは、非子宮刺激性(non−uterotrophic)かつ非乳腺刺激性(non−mammotrophic)であることがさらに好ましい。
【0142】
本発明に従って使用される場合、用語「非子宮刺激性」は、標準的な薬理試験手順で、同じ手順における最大有効投薬量の17β−エストラジオールまたは17α−エチニル−17β−エストラジオールについて観察される子宮重量増加の約50%未満の子宮湿重量の増加を生成することを意味する。子宮湿重量の増加は、エストラジオールについて観察される増加の約25%未満となることが好ましく、子宮湿重量の増加は、エストラジオールについて観察される増加の約10%未満となることがより好ましい。非子宮刺激性ERβ選択的リガンドは、子宮刺激活性を欠く対照(例えばビヒクル)と比べて子宮湿重量を有意に増加させない(p>0.05)ことが最も好ましい。
【0143】
本発明に従って使用される場合、用語「非乳腺刺激性」は、組織学的検査によって評価した際に、小葉−肺胞終末芽の発達を促進するのに有効性が17ベータ−エストラジオールの10%未満である活性を有することを意味する。組織学的検査によるそのような測定の例は、当技術分野において周知である。例えば、Harris,H.A.ら、Endocrinology 144(10)4241〜4249(2003)、Mulac−Jericevic,B.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.100(17)9744〜9749(2003)、Bocchinfuso,W.P.ら、Endocrinology 141(8)2982〜2994(2002)、およびLewis,B.C.ら、Toxicological Sciences 62、46〜53(2001)を参照されたく、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0144】
本発明の化合物は、中間体または最終化合物中で発生する原子のすべての同位体も包含し得る。同位体は、同じ原子数を有するが質量数は異なる原子を包含する。例えば、水素の同位体は、トリチウムおよび重水素を包含する。
【0145】
具体例を挙げて本発明をより一層詳細に記載する。下記の実施例は、説明目的で掲載されるものであり、本発明をいかようにも限定するものではない。当業者であれば、変更または修正されても本質的に同じ結果を産出することができる多様な重大でないパラメーターを簡単に認識するであろう。
【実施例】
【0146】
(実施例1)
ナトリウム2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニルホスファート
ステップ1:ジエチル2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニルホスファート
アセトニトリル(145mL)中のリン酸ジエチル(10mmole、1381mg)の溶液を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(20mmole、2585mg)、4−ジ(メチルアミノ)ピリジン(1mmole、122.1mg)および四塩化炭素(50mmole、7691mg)を含有する無水テトラヒドロフラン(145mL)中の2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(10mmole、2712mg)の溶液に、周囲温度で120分間かけて滴下添加した。反応混合物を周囲温度で22時間撹拌した後、混合物をその体積の約1/5まで真空濃縮し、次いで水(200mL)を添加し、生成物をジエチルエーテル(3×70mL)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で蒸発させた。取得された固体残留物を高真空(2トール)に24時間供して、3800mg(93%)の表題化合物をオフホワイトの固体として産出した。融点95〜7℃。MS [ES]+: m+H 408.1. MS [ES]-: m-H 406.1.
【0147】
ステップ2:2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニル二水素ホスファート
乾燥窒素下、1,2−ジクロロエタン(350mL)中の出発エステル(14.24mmole、5800mg)の溶液を、ブロモトリメチルシラン(100mmole、15310mg)で一度に処理した。反応混合物を62分間還流させ、周囲温度に冷却し、次いで、真空で蒸発乾固させた。固体残留物を、水(100mL)で希釈した水酸化ナトリウム(1N、28.4mmole、28.4mL)に供し、周囲温度で20分間撹拌した。水溶液をジエチルエーテル(150mL)で抽出した。層を分離し、水相を凍結乾燥して、7000mgの所望の表題化合物(15%超の水を含有する)を白色粉末として得た。融点は160℃超に幅が狭まる。MS [ES]-: m-H 350.
【0148】
(実施例2)
2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニルリン酸
ステップ1:ジエチル2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニルホスファート
乾燥アセトニトリル(1L)中の2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オール(99g、0.36mol)の懸濁液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(93g、0.72mol、2当量)、続いてクロロリン酸ジエチル(67.2g、0.39mol、1.1当量)を、室温で1時間かけて滴下添加により添加した。反応混合物を16時間撹拌し、ミニムに濃縮した。油性残留物を水(300ml×3)で粉砕し、濾過した。湿ったケーキをエーテル(300ml)中でスラリー化し、濾過し、エーテル(200mL×3)で徹底的に洗浄し、63℃で14時間、真空オーブン内で乾燥させて、純度96%の白色粉末(90.7g、.22mol)を得た。収率62%。融点134〜136℃。MS/ES [M+H] 408.1
【0149】
ステップ2:2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニル二水素ホスファート
塩化メチレン(1L)中のジエチル2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニルホスファート(90.5g、0.22mol)およびブロモトリメチルシラン(144g、0.94mol、4.27当量)の透明溶液を、23時間穏やかに加熱還流した。反応混合物を真空濃縮し、残留物をメタノール(300mL)中で20分間撹拌した。形成された濃厚スラリーにt−ブチルメチルエーテル(200ml)を添加し、さらに20分間撹拌し、濾過した。ケーキをエーテル(200mLx3)で洗浄し、風乾させて、純度98%の黄色固体(73g、0.2mol)を得た。収率94%。
MS/ES: [M-H] 350.1
【0150】
(実施例3)
カリウム2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニルホスファート
乾燥エタノール(1.1L)中の2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニル二水素ホスファート(72.8g、0.2mol)のスラリーに、乾燥エタノール中の水酸化カリウムの溶液(500mLのエタノール中11.7g、.2mol)を添加した。40分間撹拌した反応混合物に、水(15mL、3当量)を添加し、さらに15分間撹拌し、濾過した。ケーキをエタノールで洗浄し、風乾させて、純度99%の結晶性白色固体(67.8g、0.17mol)を得た。収率85%。融点245℃。MS/ES: [M-H] 350.
【0151】
(実施例4)
アンモニウム2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニルホスファート
2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニル二水素ホスファート(1.5g、4.28mmol)のスラリーに、2Mメタノール性アンモニア(2.15mL、4.30mmol)を添加した。混合物を35分間撹拌し、濾過し、エタノールで洗浄し、風乾させて、純度98%の結晶性白色固体(1g、2.68mol)を得た。収率62%。MS/ES: [M-H] 350.
【0152】
(実施例5)
2−[3−フルオロ−4−(ホスホノオキシ)フェニル]−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル二水素ホスファート
ステップ1:2−{4[(ジエトキシホスホリル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イルジエチルホスファート
アセトニトリル(72mL)中のリン酸ジエチル(10mmole、1381mg)の溶液を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(15mmole、1938mg)、4−ジ(メチルアミノ)ピリジン(0.75mmole、92mg)および四塩化炭素(38mmole、5844mg)を含有する無水テトラヒドロフラン(72mL)中のERB−041(4mmole、1085mg)の溶液に、周囲温度で120分間かけて滴下添加した。反応混合物を周囲温度で6時間撹拌した後、水(100mL)を添加し、真空濃縮し、生成物を酢酸エチル(2×70mL)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で蒸発させた。取得された油性残留物をHPLC精製に供した。プライムスフェア(primesphere)CNカラム(5×15cm)上において、10%ジクロロメタンを含有するヘキサン中の3%メタノールで溶離して、溶媒の蒸発後、1350mg(62%)の表題化合物を純度99.6%の濃い無色油として供給した。MS [ES]+: m+H 544.1.
【0153】
ステップ2:2−[3−フルオロ−4−(ホスホノオキシ)フェニル]−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−イル二水素ホスファート
出発ジエステル(1.65mmole、900mg)およびブロモトリメチルシラン(26.4mmole、4042mg)の混合物を、周囲温度で72時間撹拌した。反応混合物を真空で蒸発させ、残留物を水(80mL)とエーテル(100mL)とに分配した。二層系を30分間撹拌し、水相を分離した。トリブチルアミン(16.5mmole、3058mg)を水層に添加し、15分間撹拌した。有機相を分離し、水相を真空濃縮した。残留物を終夜凍結乾燥して、1300mg(98%)の表題化合物をオフホワイトの微結晶として産出した。融点>180℃(分解)。MS [ES]+: m+H 802.1.
【0154】
(実施例6)
盲腸結紮穿刺(CLP)手順は、前述の標準的な方法の修正形態から派生したものである。この実験では、雌、非妊娠、特定病原体未感染のアルビノBALB/c系マウス(20〜25gm)を使用した。試験化合物(各群n=8)またはコーン油対照(n=12)を、CLP時(時間0)ならびに手術の24および48時間後に、50mg/kgの試験化合物または同様の体積のコーン油のいずれかからなる治療プロトコールに無作為に分けた。動物は、手術12時間前まで自由に摂餌および無菌水の摂飲をさせ、それから外科的処置後まで絶食させた。
【0155】
麻酔をかけた動物(メトキシフルラン、Mallinckodt Veterninary Inc.、Mundeline、IL)は、腹部皮膚を剃毛し、正中線腹部切開を行った。盲腸を露出させ、結腸からの腔内内容物を使用して拡張させた。次いで、盲腸を回盲弁の下に結紮し、23ゲージの無菌針を使用して2回穿刺した。盲腸を腹膜腔に戻し、皮膚切開とともに横筋筋膜を閉じた。皮膚切開を局所バシトラシン軟膏で覆った。動物には、単回静脈内投薬量のトロバフロキサシン(20mg/kg IM)を術後直ちに与え、急速輸液として1mLの皮下投薬量のPBSを与えた。動物を7日間毎日観察し、死亡を記録した。すべての動物に、臓器傷害の組織学的証拠、腸粘膜の病変スコアリングおよび定量的細菌学のための解剖検査を行った。
【0156】
群間における生存時間の差異を、カプラン・マイヤー生存プロットおよび対数ランク試験によって分析した。他のパラメーターは、2つの群についてマン・ホイットニーのU検定、または3つ以上の群についてクラスカル・ワリスの一元配置分散分析を使用して計測した。0.05未満のp値を有意とみなした。すべてのデータを平均および標準偏差として提示する。
【0157】
腹膜炎誘発の24、48および72時間後に、母体化合物(root compound)(ERB−041)をmCLPモデルにおいて1および3mg/kgでIV投薬した。mCLPにおけるこの治療的IV投与により、肺傷害およびサイトカイン/ケモカイン応答の減衰ならびにその後の臨床経過の減衰を確認し、3および1mg/kg群において、それぞれ95および90%の7日間生存を達成した。
【0158】
手術の24、48および72時間後に0.3、1および3mg/kgで与えた試験化合物による静脈内治療は、ビヒクルにおいて10%生存、0.3mg/kg群において40%、ならびに1および3mg/kg群の両方において60%生存と、7日間生存を増加させる明らかな投薬量応答傾向を実証した。1および3mg/kg投薬量はビヒクルとは異なっていた(P>0.05)。
【0159】
(実施例7)
以下の表1によって例示される通り、母体化合物のモノホスファートプロドラッグは、母体化合物と比較して増大した水溶解性を呈した。この溶解性の改善により、リン酸緩衝溶液ビヒクル中のモノホスファート誘導体の投与が可能になった。さらに、モノホスファート誘導体は、適度なIV薬物動態を実証し、かつ、最小有効投薬量の1mg/kgのIVによるmCLPにおける有効性を実証した。
【0160】
【表1】

【0161】
(実施例8)
モノホスファート誘導体は、ホスファターゼの活性によってインビボで親化合物に変換される。モノホスファート誘導体およびその加水分解生成物、母体化合物を、マウス、ラットおよびサルにおいて実行されたモノホスファート誘導体の薬物動態研究で採取した早期時点の血漿中で観察した。
【0162】
この研究において、マウス、ラットおよびサルへのモノホスファート誘導体(1.3および3.9mg/kg)の単回IV投薬後、5、15、30分、1、2、4、6、8および24時間の血漿試料を収集した。各対象(n=3)からの5、15、30分および1、2、4時間および6、8、24時間の時点での等体積(100μL)の試料を、2つの投薬群からプールした。アリコート(900μL)のプール血漿を2700μLの冷アセトニトリルと混合し、3200×gで10分間遠心分離した。得られた上清を清潔な管に移し、ターボバップLV内、遅い窒素流下、周囲温度で蒸発乾固させた。乾燥した抽出物を300μLの20:80アセトニトリル:水(v/v)で再構成した。次いで、LC/UV/MSにより代謝産物プロファイリングおよび特徴付けのために試料を分析した。負イオン化モードでのLC−ESI/MSを使用して、質量スペクトルデータを獲得した。血漿および全血中におけるホスファート誘導体から母体化合物への変換は種特異的であり、試験したすべての種(マウス、ラット、サル、ヒト)由来の肝細胞中に実在していた。ASDマウス、ラットおよびサルの血漿中のホスファートプロドラッグの、提案される代謝産物を以下のスキーム2に示し、同じく以下の表2においてさらに特徴付けする。
【0163】
【化26】

【0164】
【表2】

【0165】
本特許文献中で言及された特許、出願、および書籍を含む印刷刊行物はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0166】
当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に多数の変更および修正がなされ得ることを理解するであろう。そのような変形形態はすべて本発明の範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

を有する式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩
[式中、
は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、3〜8個の炭素原子のシクロアルキル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、1〜6個の炭素原子のチオアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホキソアルキル、1〜6個の炭素原子のスルホノアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、O、N、S、−NO、NR、−N(R)COR、−CN、−CHFCN、CFCNから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5もしくは6員の複素環式環、2〜7個の炭素原子のアルキニル、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり、ここで、前記アルキルまたはアルケニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
およびR2aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
およびR3aは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキルまたは1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよく、
は、水素、ハロゲンまたは1〜6個の炭素原子のアルキルであり、但し、Rが水素である場合、R、R、R2a、RおよびR3aは、すべてが水素とはなり得ず、
およびRは、それぞれ独立に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリールであり、
Xは、O、SまたはNRであり、
は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−COまたはSOであり、
AおよびA’は、それぞれ独立に、水素または−P(O)(OR)(OR)であり、ここで、AおよびA’の少なくとも一方は−P(O)(OR)(OR)であり、
およびRは、H、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、前記C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、1、2、3、4または5個のR10によって置換されていてもよく、
各R10は、独立に、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OR、SR、C(=O)R、C(=O)NR、C(=O)OR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRS(=O)、S(=O)R、S(=O)NR、S(=O)またはS(=O)NRであり、
各Rは、H、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルから独立に選択され、ここで、前記C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C6〜10アリール、C6〜20アリールアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜8シクロアルキルまたはC3〜12ヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、
各Rは、H、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルから独立に選択され、ここで、前記C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C6〜10アリール、C6〜20アリールアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜8シクロアルキルまたはC3〜12ヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、かつ
およびRは、H、C1〜10アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、ここで、前記C1〜10アルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、OH、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C6〜10アリール、C6〜20アリールアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜8シクロアルキルもしくはC3〜12ヘテロシクロアルキルによって置換されていてもよく、または
およびRは、それらが結合したN原子と一緒になって、4、5、6または7員のヘテロシクロアルキル基を形成する]。
【請求項2】
およびRが、H、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、ここで、前記C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、C6〜10アリールオキシ、C6〜10ヘテロアリールオキシ、C6〜20アリールアルキルオキシ、C6〜20ヘテロアリールアルキルオキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、C2〜8ジアルキルアミノ、SH、−S−(C1〜4アルキル)、C(=O)H、C(=O)−(C1〜4アルキル)、C(=O)−(C6〜10アリール)、C(=O)−(C6〜20アリールアルキル)、C(=O)NH、C(=O)NH(C1〜4アルキル)、C(=O)N(C1〜4アルキル)、C(=O)OH、C(=O)O−(C1〜4アルキル)、C(=O)O−(C6〜20アリールアルキル)、OC(=O)H、OC(=O)−(C1〜4アルキル)、OC(=O)−(C6〜10アリール)、OC(=O)−(C6〜20アリールアルキル)、OC(=O)NH、OC(=O)NH(C1〜4アルキル)、OC(=O)NH−(C6〜20アリールアルキル)、OC(=O)N(C1〜4アルキル)、NHC(=O)−(C1〜4アルキル)、NHC(=O)−(C6〜10アリール)、NHC(=O)−(C6〜20アリールアルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)−(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)−(C6〜10アリール)、N(C1〜4アルキル)C(=O)−(C6〜20アリールアルキル)、NHC(=O)O−(C6〜20アリールアルキル)、NHC(=O)O−(C1〜4アルキル)、NHC(=O)O−(C6〜20アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1〜4アルキル)、NHC(=O)NH−(C6〜10アリール)、NHC(=O)NH−(C6〜20アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH−(アリール)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH−(C6〜20アリールアルキル)、N(C1〜4アルキル)C(=O)NH(C1〜4アルキル)、NHS(=O)−(C1〜4アルキル)、NHS(=O)−(C6〜10アリール)、NHS(=O)−(C6〜20アリールアルキル)、S(=O)−(C1〜4アルキル)、S(=O)−(C6〜10アリール)、S(=O)−(C6〜20アリールアルキル)、S(=O)NH(C1〜4アルキル)、S(=O)NH(C6〜10アリール)およびS(=O)NH(C6〜20アリールアルキル)から独立に選択される1、2、3、4または5個の置換基によって置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRが、H、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択され、ここで、前記C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルはそれぞれ、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルコキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノおよびC2〜8ジアルキルアミノから独立に選択される1、2または3個の置換基によって置換されていてもよい、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、H、C1〜10アルキル、C1〜10ハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C6〜10アリール、C3〜8シクロアルキル、C−5〜10ヘテロアリール、C3〜12ヘテロシクロアルキル、C6〜20アリールアルキル、C6〜20ヘテロアリールアルキル、C3〜20シクロアルキルアルキルおよびC3〜20ヘテロシクロアルキルアルキルからそれぞれ独立に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
およびRが、H、C1〜10アルキルおよびC1〜10ハロアルキルからそれぞれ独立に選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが、H、C1〜6アルキルおよびC1〜6ハロアルキルからそれぞれ独立に選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが、HおよびC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
およびRが、HおよびC1〜4アルキルからそれぞれ独立に選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、2〜7個の炭素原子のアルケニルであり、ここで、前記アルケニル部分は、ヒドロキシル、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NRまたはN(R)CORで置換されていてもよい、
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式Iaの構造:
【化2】

を有するか、または薬学的に許容できるその塩である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
A’が−P(O)(OR)(OR)であり、
XがOであり、
がエチレンであり、
、R2a、RおよびR3aが水素であり、かつ
がハロゲンである、
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
がフルオロである、
請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
式IIの構造:
【化3】

を有するか、または薬学的に許容できるその塩である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
a)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
b)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
c)2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
d)2−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
e)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オールのホスファート誘導体、
f)2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オールのホスファート誘導体、
g)2−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オールのホスファート誘導体、
h)6−クロロ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
i)6−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
j)6−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
k)5−クロロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−オールのホスファート誘導体、
l)7−ブロモ−2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
m)7−ブロモ−2−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
n)7−ブロモ−2−(2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
o)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
p)7−(1,2−ジブロモエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
q)7−(1−ブロモビニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
r)7−エチニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
s)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−プロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
t)7−ブチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
u)7−シクロペンチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
v)エチル5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボキシレートのホスファート誘導体、
w)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
x)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
y)7−エチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
z)7−エチル−2−(2−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
aa)5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルバルデヒドのホスファート誘導体、
bb)7−(ヒドロキシメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
cc)7−(ブロモメチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
dd)[5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−7−イル]アセトニトリルのホスファート誘導体、
ee)7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
ff)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロペニル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
gg)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
hh)7−ブロモ−2−(4−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
ii)7−(2−フリル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
jj)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−フリル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
kk)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−チエン−2−イル−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
ll)2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
mm)2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−5−ヒドロキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−7−カルボニトリルのホスファート誘導体、
nn)4−ブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
oo)4,6−ジブロモ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、および
pp)7−ブロモ−2−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ベンゾオキサゾール−5−オールのホスファート誘導体、
または薬学的に許容できるその塩
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
2−フルオロ−4−(5−ヒドロキシ−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イル)フェニル二水素ホスファート、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−5−イル二水素ホスファートおよび2−フルオロ−4−(5−(ジ−ヒドロキシ)ホスホリルオキシ)−7−ビニルベンゾ[d]オキサゾール−2−イルフェニル二水素ホスファート、または薬学的に許容できるその塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
式Vの化合物:
【化4】

式VIの化合物:
【化5】

および式VIIの化合物:
【化6】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容できる担体を含む組成物。
【請求項18】
前記薬学的に許容できる担体が水性溶媒である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
哺乳動物における疾患、障害または状態を治療または阻害するための方法であって、
a)前記疾患、障害または状態を有する哺乳動物を特定するステップと、
b)前記哺乳動物に、治療有効量の請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップと
を含み、ここで、前記疾患、障害または状態が、炎症性疾患、障害または状態、癌、心血管性疾患、障害または状態、認知性疾患、障害または状態、皮膚の疾患、障害または状態、神経変性疾患、障害または状態、糖尿病、閉経周辺期、閉経期または閉経後期に関連する疾患、障害または状態、および全身炎症応答の調節不全に関連する疾患、障害または状態から選択される方法。
【請求項20】
前記治療有効量の化合物が非経口投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記疾患、障害または状態が、前立腺炎、間質性膀胱炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性直腸炎、大腸炎、関節炎、関節の腫脹またはびらん、前立腺肥大、喘息、胸膜炎、および関節鏡検査または外科的処置に続発する関節損傷からなる群から選択される炎症性疾患、障害または状態、子宮筋腫、乳癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患、腺筋症、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、結腸癌、神経こう腫、およびアスチオブラストミアからなる群から選択される癌、異常なコレステロール、トリグリセリド、Lp(a)またはLDLのレベル、高コレステロール血症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、末梢血管疾患、再狭窄、血管けいれん、および免疫媒介血管損傷に至る細胞事象由来の血管壁損傷からなる群から選択される心血管性疾患、障害または状態、老年性認知症、アルツハイマー病、認知機能低下、脳卒中、不安神経症、およびフリーラジカルによって誘発される病状からなる群から選択される認知性疾患、障害または状態、乾癬および皮膚炎からなる群から選択される皮膚の疾患、障害または状態、虚血、再かん流傷害、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、および出血性ショックからなる群から選択される神経変性疾患、障害または状態、膣または外陰部の委縮、萎縮性膣炎、膣の乾燥、掻痒症、性交疼痛、排尿困難、頻尿、尿失禁、尿路感染症、血管運動症状、子宮内膜症、および受胎からなる群から選択される閉経周辺期、閉経期または閉経後期に関連する疾患、障害または状態、敗血症、多臓器不全、および敗血性ショックからなる群から選択される全身炎症応答の調節不全に関連する疾患、障害または状態である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記関節炎が関節リウマチである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1から16のいずれか一項に記載の式Iの化合物を調製するためのプロセスであって、
式IVの化合物:
【化7】

またはその塩をリン酸化試薬でリン酸化するステップを含み、
式中、
、R、R2a、R、R3a、RおよびXは、請求項1から16において定義されている通りであるプロセス。
【請求項24】
前記化合物が、式IIIの構造:
【化8】

を有する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記式IIIの化合物が、式IIIaの構造:
【化9】

を有する、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記リン酸化剤がリン酸ジエチルを含む、請求項23から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記リン酸化剤がクロロリン酸ジエチルを含む、請求項23から25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記リン酸化反応が、塩基の存在下、溶媒系中で行われる、請求項23から27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
式Iの化合物の塩を単離するステップをさらに含み、ここで、前記塩は式Ib:
[R11−O−PO−2]M
Ib
を有し、式中、
11
【化10】

であり、かつ
Mは第IまたはII族金属イオンである、
請求項23から28のいずれか一項に記載のプロセス。

【公表番号】特表2011−511803(P2011−511803A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546050(P2010−546050)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/033398
【国際公開番号】WO2009/100335
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】