説明

美容活性成分の送達に有用なゲル

ゲルを形成するポリマー、界面活性剤、およびプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドの混合物から構成され、皮膚の障害、例えば、セルライトおよびしわの処置に有用な美容用のゲルが記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粉末の形態にあり、局所投与可能な美容用組成物に関し、該組成物は、ゲルを形成するポリマー、界面活性剤および皮膚の障害の処置に有用な1以上の活性成分の混合物を含み、該粉末は好適な量の水、または液体溶液を用いて再構成されると、該皮膚の障害の予防または処置に有用なゲルを提供する。
【0002】
本発明はさらに、式 (I)を有するL-カルニチンまたはアルカノイルL-カルニチンとアミノ酸との塩の美容での使用に関する:
【化1】

(I)
[式中:
Rは、水素または、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルおよびイソバレリルからなる群から選択される、2-5の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルカノイル基;
Yは、以下からなる群から選択されるタンパク質に存在するアミノ酸のアニオン: ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、アルギニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラニン、スレオニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニンおよびトリプトファン;
アニオン Y- は、好ましくは、ヒドロハロゲン酸(hydrohalogen acid)、例えば、塩酸またはリン酸によってアミノ基において塩化(salified)されていてもよい]。
【0003】
式 (I)のL-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンとアミノ酸との塩は、以下のための局所投与可能な美容用組成物の調製において有用な物質である:皮膚の下の組織の線維性マトリックス層の支持;皮下組織の真皮への侵入または突出の防止;セルライトを有する患者の処置、または表皮の表面の下のたるみまたはしわのある組織を収縮させる目的。
【背景技術】
【0004】
発明の分野
体内での脂肪組織の分布は均一ではない。体の特定の部分、例えば、皮下組織では、それは非常に豊富に存在する。脂肪と脂肪組織とは区別しなければならない; 後者は特有の組織であり、前者は油性の物質である。脂肪組織は「脂肪細胞」と以後称する小胞からなり、それは疎性結合組織のマトリックスにある。脂肪細胞には様々な大きさのものがあり、おおよその直径は約 0.05 mmである。それらは、生存中には液体であるが死後には固化する油性物質で満たされた微細な原形質膜から形成される。これら脂肪細胞は微細な結合組織の乳輪(areolae)における明確なクラスター中に含まれる。
【0005】
疎性組織(areolar tissue)は結合組織から形成され、ここで、取り巻いている結合組織マトリックスが、乳輪(areolae)、即ち、互いに開放しており、液体が容易に浸透する空間に分かれている。疎性組織は体の様々な部分を互いに結合させている。疎性組織の弾性とその乳輪の透過性により、体の様々な部分が互いにより連関している。もっとも具体的には、疎性結合組織は体全体で連続層にて皮膚の下にみられ、皮膚 (真皮)を下位にある組織と連結させている。多くの部分において、乳輪(areolae)は脂肪細胞によって占められている; 脂肪組織を構成するマトリックスおよび脂肪細胞は本明細書において「蓄積脂肪」とも称される。
【0006】
セルライトは典型的には、皮膚の真皮および真皮下レベルにおける血管の統合性の崩壊および毛細血管網の喪失に起因する皮膚の劣化を特徴とする。血管の劣化は真皮代謝を低下させる傾向がある。この代謝の低下によりタンパク質合成および修復プロセスが妨げられ、その結果、真皮が薄層化する。この状態はさらに、脂質がたまり、膨らみ、互いに凝集するようになった脂肪細胞、ならびに皮膚の真皮および真皮下領域における過剰な体液貯留によって特徴づけられる。したがって、セルライトを患う個体は皮膚の皮下脂肪層が厚くなる傾向がある。セルライトが進行した段階では、中隔(septa)と呼ばれる網状 タンパク質蓄積が皮膚における脂肪蓄積の周囲に形成されるようになり、脂肪細胞を閉塞させる。さらに進行した状態では、脂肪細胞の硬性小結節および中隔により囲まれた脂肪の塊が真皮領域に形成される。これにより皮膚表面が非常に不均一さを示すようになり、「ムチムチした」外観を有することによって特徴づけられるようになる。この外観は過体重個体において非常に顕著である。セルライトを有する個体はまた、罹患領域において薄い表皮および真皮を有し、皮膚の弾力が低下し、細胞再生速度が低下する傾向がある。
【0007】
セルライト低減のための手っ取り早い解決策はなく、セルライトを処置する明白かつもっとも安価な方法は、飲食したものを監視し、定期的に運動することによってカロリーを燃焼させることである。
【0008】
セルライトに打ち勝つための非常に多くのOTC 薬、クリームおよび丸薬が市場に流入しているが、セルライトは頑固であって容易には微動だにしないというのが現状である。
【0009】
現在、セルライトの外観は、カフェイン、テオフィリン、およびアミノフィリンを含むキサンチン(xanthines)の投与により処置される傾向がある。キサンチンは、水を脂肪細胞から除き、それによって脂肪細胞を小さくする利尿剤として作用する。しかしキサンチンの効果は、一時的であり、脂肪細胞は個体が失われた水分を補給したらすぐに再び水を含むようになる。
【0010】
様々なビタミンおよびミネラルが個々に患者がビタミンまたはミネラルを欠乏した場合に起こる特定の皮膚およびその他の問題の処置に投与されてきた。例えば、ビタミン Aは、ざ瘡の処置を助け、創傷治癒を促進する; ビタミン C (アスコルビン酸)は皮膚損傷の予防および創傷治癒を助ける; ビタミン E は抗酸化剤である; そして銅は弾性組織欠陥の処置を助ける [Neldner、K. H.、Amer. Acad. Derm. Annl. Mtg.、Wash. D.C.、Dec. 6、1993]。ビタミン Cの局所使用は日焼けによる損傷を排除し、結合組織の崩壊を低減し、おそらくはコラーゲン合成を促進するとも考えられている [Dial、W.、Medical World News、p. 12、March 1991]。ビタミン E は抗炎症剤として、皮膚の湿潤の促進、細胞の紫外線からの保護および皮膚の早期の老化の遅延のために局所使用されている。
【0011】
製品を劣化させ、使用者に有害となりうる微生物(例えば、細菌および真菌)の増殖を防ぐために保存料を美容用組成物に添加することが知られている。該保存料は皮膚に刺激を与えることも知られている。
【0012】
実際、「U. S. Food and Drug Administration、FDA Consumer、November 1991; revised May 1995」では、North American Contact Dermatitis Groupにより行われた化粧品に対する反応の研究によれば、保存料は化粧品に対するアレルギーおよび刺激反応の第二の主要な原因であることが報告された。FDAはまた、1994 年に化粧品に対する有害反応についてのおよそ200の報告を受け取ったと報告している; スキンケア製品およびメイクアップ製品についてが約 65件であった; 65の報告のほとんどはアレルギー反応または皮膚刺激についてのものであった。
【0013】
「Nutrition Health Review、Fall、1990」および「In Contact Dermatitis; 1987、Jul; 17(1):26-34」において、化粧品用の保存料である「Kathon」が化粧品アレルギーの主な原因であると報告されている。
【0014】
「Dermatol. Nurs. 2006; 18(2):130-136」において、化粧品中のグラム陰性細菌の増殖を妨げるのに有用であるホルムアルデヒド-放出性保存料[この分野において最もよく用いれている化学品の5つは、クオタニウム-15、ジメチル-ジメチル (DMDM) ヒダントイン、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、および2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール (ブロノポール)である]が、局所アレルギー反応および発疹を引き起こすと報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
皮膚障害の処置に有用な製品が多数あるにもかかわらず、美容分野においては、当該技術分野において知られている製品の欠点を示さない、皮膚障害の予防または処置のための美容用組成物の調製に有用な、新しい媒体および新しい活性成分がいまだに求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の詳細な説明
このたび、ゲルを形成する天然または合成ポリマー、界面活性剤、および皮膚の障害の予防または処置に有用な1以上の活性成分の混合物を含む固体粉末が、溶液を用いて再構成されると美容用に好適なゲルを提供することが見いだされた。
【0017】
本発明による粉末は、現在市場に存在するゲルまたは美容用組成物と比べて以下のような利点を有する:
(a)溶液中で安定ではない美容活性成分の送達のための組成物の調製に有用である;
(b)刺激性保存料を含まなくてもよい;
(c)皮膚に直接塗布される即時調製液体または半液体組成物の調製に有用である [単一用量または一日(またはそれより長い)塗布用の用量として]。
【0018】
本発明の目的はそれゆえ、以下を含む固体粉末である:
a) ゲルを形成する天然または合成ポリマー、該ポリマーの例は、カルボキシビニルポリマー、例えば、 カルボポール(Carbopol)である;
b)以下から選択される好適な界面活性剤: ドデシル硫酸ナトリウム; 例えば、L-アルギニン、DL-ピロリドンカルボン酸、ココナッツ脂肪酸から得られるアミノ酸に基づくカチオン性界面活性剤;またはアミノ酸に基づく非イオン性界面活性剤; および、
c)以下から選択される皮膚の障害の予防または処置に有用な少なくとも1つの活性成分:
- 微小循環をサポートする物質(agent)、例えば、これらに限定されないが、イチョウ(Gingko biloba)、ルスカス(ruscus)、シナガワハギ(melilot)、アカブドウ(red vine)、ガマズミ(viburnum)の抽出物;
- 脂肪分解を活性化する物質、例えば、これらに限定されないが、カキドウシ(Ground ivy)(グレコマ(Glechoma))、アンゼリカの根(root of Angelica)の抽出物、グアラナ(Paulinia)、サブデュード(Subdued)またはキサンチン塩基(xanthic bases)の抽出物、例えば、カフェイン、テオブロミンおよびテオフィリン;
- 抗炎症性化合物、例えば、これらに限定されないが、ロスマリン酸、グリチルリジン酸(glycyrrizinate) 誘導体、アルファビサボロール、アズレンおよびその誘導体、アシアチコシド(asiaticoside)、セリコシド(sericoside)、ルスコゲニン(ruscogenin)、エスシン(escin)、エスコリン(escolin)、ケルセチン、ルチン、ベツリン酸およびその誘導体、カテキンおよびその誘導体;
- 皮膚美白化合物、例えば、これらに限定されないが、フェルラ酸、ハイドロキノン、アルブチン、およびコウジ酸;
- 抗酸化剤および抗しわ化合物、例えば、これらに限定されないが、レチノールおよび誘導体、トコフェロールおよび誘導体、サリチル酸およびその誘導体;
-一般的な抗セルライト剤の皮膚浸透および有効性を向上させる物質、例えば、これらに限定されないが、乳酸、グリコール酸、マンデル酸を含むモノカルボン酸およびそれらの混合物;
-表皮の脂質生合成に入り、表皮のバリア形成のための脂質を提供することにより、酸化ストレスに対する皮膚防御において重要な役割を果たす必須脂肪酸 (EFA); 好ましい必須脂肪酸は、リノール酸、ガンマ-リノレン酸、ホモ-ガンマ-リノレン酸、コランビニン酸(columbinic acid)、エイコサ-(n-6,9,13)-トリエン酸、アラキドン酸、ガンマ-リノレン酸、ティムノドン酸、ヘキサエン酸(hexaenoic acid)およびそれらの混合物、からなる群から選択される;
- 日焼け止め、例えば、パラアミノ安息香酸 (PABA)の誘導体、ケイ皮酸およびベンゾフェノン誘導体、例えば、オクチルメトキシ-ケイ皮酸および2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン;または、
-式 (I)を有するL-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンとアミノ酸との塩:
【化2】

(I)
[式中:
Rは、水素または、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルおよびイソバレリルからなる群から選択される2-5の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルカノイル基; および
Yは、以下からなる群から選択されるタンパク質に存在するアミノ酸のアニオン:ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、アルギニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラニン、スレオニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニンおよびトリプトファン;
アニオン Y-は、好ましくは、ヒドロハロゲン酸、例えば、塩酸またはリン酸によってアミノ基にて塩化されていてもよい]。
好ましい活性成分は、水または溶液中で安定ではないものであり; もっとも好ましいのはプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドである。
【0019】
本発明による粉末は水または溶液を用いて再構成されると、美容用に好適なゲルを提供する。
【0020】
以下を含むゲルはさらなる本発明の目的である:
a)ゲルを形成する天然または合成ポリマー、該ポリマーの例は、カルボキシビニルポリマー、例えば、カルボポールである;
b)以下から選択される好適な界面活性剤:ドデシル硫酸ナトリウム; 例えば、L-アルギニン、DL-ピロリドンカルボン酸、ココナッツ脂肪酸からできたアミノ酸に基づくカチオン性界面活性剤;またはアミノ酸に基づく非イオン性界面活性剤;および、
c)上記の皮膚の障害の予防または処置に有用な1以上の活性成分。
【0021】
以下の工程を含む本発明の粉末の調製方法は本発明のさらなる目的である:
a)ゲル化剤、界面活性剤および上記の1以上の活性成分を水または好適な溶液に溶解し、pHを4.0 〜6.0に維持してゲルを調製する工程; pHの制御には、好適な無機および/または有機塩基性化合物を使用できる; 無機塩基性化合物の例は、水酸化ナトリウムまたはカリウムであり;有機塩基性化合物の例は、リジン、アルギニン、ヒスチジンまたはオルニチンから選択される塩基性アミノ酸である;
b) そうして得られたゲルを単一用量に分割してバイアルに入れる工程;
c)粉末を得るために工程 b)のバイアルを凍結乾燥する工程;あるいは工程a)のゲルを直接噴霧乾燥手順に供し、そうして得られた粉末を好適な量にてバイアルに入れる工程。
【0022】
そうして得られた粉末は、皮膚に塗布されるゲルを得るために使用前に好適な量の水、または溶液を用いて再構成される必要がある。
【0023】
上記の粉末またはゲル、そして所望により以下から選択される少なくとも1つの賦形剤または希釈剤を含む美容用組成物は本発明のさらなる目的である:
-当業者に周知のあらゆる好適な割合における増粘剤; 例示的な増粘剤はゴム類、例えば、キサンタン、カラギーナン、ゼラチン、カラヤ、ペクチンおよびローカストビーンガム; 該水に基づく美容用組成物が保護されうる;
- 微生物の増殖に対する保存料; 好適な保存料としては、p-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニルウレア、ナトリウムデヒドロキシアセテートベンジルアルコールおよび様々な四級アンモニウム化合物が挙げられる。保存料を添加する場合は、当業者に周知のあらゆる好適な割合で添加する;
-当業者に周知のあらゆる好適な割合におけるシリコンポリマー;
-活性成分の分散を促進する担体および皮膚軟化剤の両方として作用する軟化剤; 軟化剤は当業者に周知のあらゆる好適な割合において本発明の美容用組成物に組み込むことが出来る; 好適な軟化剤は一般的化学的分類に基づくと、エステル、脂肪酸およびアルコール、ポリオールおよび炭化水素に分類できる; 脂肪酸ジエステルの例: アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ジイソプロピルジメレート、プロピレングリコール ミリスチルエーテルアセテート、アジピン酸ジイソプロピル、およびコハク酸ジオクチル; 分枝鎖脂肪酸エステルの例: ミリスチン酸2-エチル-ヘキシル、ステアリン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソステアリル; 三塩基酸エステルの例: トリリノール酸トリイソプロピル、クエン酸トリラウリル、トリブチリン(tributirrine)、および飽和または不飽和植物油; 直鎖脂肪酸エステルの例:パルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチリル、オレイルエウルケート(oleyl eurcate)、ステアリルオレエートココカプリレート/カプレート、およびオクタン酸セチル; 脂肪アルコールおよび酸の例: C10-C20 化合物、例えば、セチル、ミリスチリル、パルミチル(palmitic)およびステアリルアルコールおよび酸; ポリオールの例: 直鎖および分枝鎖アルキルポリヒドロキシル化合物、例えば、 プロピレンおよび ブチレングリコール、ソルビトールグリセリン、およびポリマー性ポリオール、例えば、 ポリプロピレングリコールおよびポリエチレン グリコール;炭化水素の例: 直鎖C12-C30 炭化水素鎖、例えば、ミネラルオイル、ヴァセリン(petroleum jelly)、スクアレンおよびイソパラフィン;
-水;
- 着色料、
- 乳白剤;
- 芳香剤。
【0024】
本発明のさらなる目的は、活性成分としてプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドを含み、そして所望により上記のさらなる活性成分および/または賦形剤を含んでいてもよい美容用組成物である。
【0025】
本発明のさらなる目的は、セルライトおよびしわから選択される皮膚の障害の予防または処置に有用な美容用組成物の調製のための、上記の固体粉末またはゲルの使用である。
【0026】
本発明のさらなる目的は、セルライトおよびしわから選択される皮膚の障害の予防または処置に有用な美容用組成物の調製のための、プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドの使用である。
【0027】
その別の側面によると、本発明はプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドの局所投与のためのキットに関し、これは所望により1以上の活性成分および/または 1以上の好適な希釈剤および/または1以上の賦形剤を含んでいてもよい。
【0028】
本発明のさらなる目的は、(美容分野において有用な)1以上の活性成分と混合して本発明の粉末を含み、そして別々に、同じまたは異なる容器/バイアル中において、本発明のゲルを得るための水または好適な液体溶液を含むキットである。
【0029】
本発明のさらなる目的は本発明の粉末を含み、そして別々に、同じまたは異なる容器中において、水または液体溶液を含むキットであり、ここで活性成分はプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドである。
【0030】
本発明のさらなる目的は以下を含むキットである:
a)本発明の粉末 (美容用に有用な化合物と混合されていない);
b)美容用に有用な1以上の活性成分(液体、固体、クリーム、ゲルまたは粉末形態にある); および、
c)本発明のゲルを得るための水または好適な液体溶液;
ここで(3つの) 成分は離れた空間において同じ容器/バイアルにあり、該 (3つの) 成分は互いに混合されると容易に、直接局所投与できる本発明のゲルを得ることが出来る。
【0031】
美容用容器における専門家であれば、例えば、単回または複数回塗布のための、1以上の薬剤と混合されたゲル;または粉末、および、別々に (同じ容器中に)液体; または2以上の異なる粉末および液体;を含める好適な容器を容易に示唆することが出来る。様々な容器/バイアルも本発明に含まれる。
【0032】
本発明によると、美容用組成物の形態におけるプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドはクリームまたはローションの形態において局所投与されるものであり、活性成分を0.5〜 45重量%、好ましくは 5 〜35重量%、より好ましくは10 〜25重量%、所望により好適な慣用の補助剤と混合して含む。好ましい 用量は20%である。
【0033】
本発明によると、美容用組成物の形態におけるプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドは、ゲル、または水または液体溶液を用いて再構成される粉末の形態において局所投与され、活性成分を0.5 〜 35重量%、好ましくは5 〜 25重量%、より好ましくは7.5 〜 15重量%、所望により好適な慣用の補助剤と混合して含む。
【0034】
本発明の局所皮膚処置用組成物は美容ケアにおいて用いられるあらゆる形態に製剤することができる: ローション、液状クリーム、クリームまたはゲル。組成物はその粘度および使用者に意図される用途に応じて好適な容器に梱包されうる。例えば、ローションまたは液状クリームは、ビン、ロールボールアプリケーター、カプセル、パッチ、高圧推進エアロゾル装置または指で取るのに好適なポンプを備えた容器に梱包されうる。
【0035】
組成物がクリームである場合、それは簡便に非変形性ビンまたは絞り容器、例えば、チューブまたはふたつきジャーに保存できる。
【0036】
いずれの特定の形態についても、好適な賦形剤を用いることが出来る。
【0037】
これらの賦形剤はすべて通常要求される品質を有する必要がある。例として、以下を引用できる:プロピレングリコール、グリセリン、セチルアルコール、ポリオール、リポソーム中であってもリポソームに入れらていなくてもよいリン脂質、通常用いられる植物性、動物性、ミネラルオイル、保存料、吸収剤、増粘剤、安定剤および乳化剤。
【0038】
本発明による「美容的に許容される成分」という表現は美容処置における使用に好適な成分であり、例えば、European Cosmetic Toiletry and Perfumery Association (COLIPA)により作られ、 96/335/EC 「Annex to Commission Decision of 8 May 1996」において発行されたINCIリストに含まれているものが挙げられる。
【0039】
図面の簡単な説明
図1は、17.5 mL の水を3 gr の実施例 1の固体に添加することによって得られる実施例 1のゲルの挙動を示す。この図において、変形速度γ(剪断速度)が上昇すると粘度が低下し、典型的な非ニュートン流動挙動であることが示される。
【0040】
図2は、10 mLの水を1.7 grの実施例 2の固体に添加することによって得られる実施例 2のゲルの挙動を示す。この場合においても、変形速度γ(剪断速度)が上昇すると粘度が低下し、典型的な非ニュートン流動挙動であることが示される。
【0041】
以下の非限定的な実施例により本発明をさらに説明する。
【0042】
材料
カルボポール 974P NF (Noveon)およびその他のすべての化学物質はSigmaから購入し、そのまま使用した。
【0043】
「ゲル基材」の調製
7.5 gのカルボポール 974P (Noveon)を500 mLの水にゆっくりと添加した。そうして得られた混合物を室温で18時間撹拌下に維持した。
【0044】
ゲルを得た。
【0045】
実施例 1
400 mgのドデシル硫酸ナトリウム (SDS)を42,4 grのゲル基材に添加した; そうして得られた混合物をSDSの可溶化が完了するまで撹拌下に維持した。5.03 grのプロピオニル L-カルニチン グリシネートヒドロクロリド (PLCGH)をゆっくりと添加し、ゲル混合物を可溶化が完了するまで撹拌下に維持した (約 30 分間)。2.25 grの L-リジンを添加し、ゲルを約 2 時間撹拌下に維持した(pH 4-6、好ましくは4.5-5)。ゲルを100 ml の水で希釈し、約 10 分間撹拌下に維持し、18 時間凍結乾燥させた。
【0046】
白色固体を得た。
【0047】
5 ml の 水を1 grの白色固体に添加し、10% のプロピオニル L-カルニチン ヒドロクロリドを含むゲルを得た。
【0048】
実施例 2
1.6 grの SDSを169.5 grのゲル基材に添加した; そうして得られたゲル混合物を可溶化が完了するまで撹拌下に維持した。
【0049】
20 grの プロピオニル L-カルニチン グリシネート ヒドロクロリドをゆっくりとゲルに添加し、混合物を可溶化が完了するまで撹拌下に維持した。
【0050】
9 grの L-リジンを添加し、そうして得られたゲル混合物 (pH 4.5-5)を約 2 時間撹拌下に維持した。
【0051】
ゲルを300 mlの水で希釈し、常に撹拌下に維持した粘稠溶液を噴霧乾燥 (Buchi B-191)により以下の条件下で濃縮した:
入口 = 70℃、ASP = 85%、ポンプ = 0.03
【0052】
白色固体を得た。
【0053】
5 ml の 水を1 grの白色固体に添加し、10% のプロピオニル L-カルニチン ヒドロクロリドを含むゲルを得た。
【0054】
流体力学的研究
流体力学的研究は同軸シリンダー型の回転式粘度計(スモールサンプルアダプターおよびロータータイプ M3を備えたViscometer TV-10 Toky Sangyo)を用いて行った。サンプルの粘度は25℃で様々な速度で測定した。温度は粘度計に連結した循環浴によって+/- 0.1℃の範囲に維持した。サンプルは各測定の前に実行温度に達するまでに5分間平衡化させた。
【0055】
実施例1および2のゲルを用いて得られた結果を、それぞれ図 1および2に報告する。
【0056】
実施例 3
プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドの局所抗セルライト活性
局所投与した本発明による生産品の有効性を、大腿部におけるセルライトの外観を軽減するその能力について試験した。全部で22名の28〜60歳の女性対象を本発明の組成物の評価のために選択した。
【0057】
対象は左右対称を示す大腿部におけるそのセルライトの程度に基づいて選択した。各対象のセルライトの重篤性を評価するために5段階尺度を用いて、段階1および2のセルライトを有する対象を選択した。尺度は0〜4であり、0=セルライト無し; 1=小さい隆起または凹み; 2=筋状痕および隆起; 3=皮膚の顕著に多い塊および筋状痕; 4=上記全てに加え硬い表面下の小瘤。
【0058】
いずれの対象も被験物質からの皮膚反応と混同しうる目視できる皮膚疾患を有しておらず、全般的に良好な健康状態にあって、既知の、特に化粧品または衛生用品に対するアレルギーは有しておらず、急性または慢性疾患の証拠は無く、妊娠または授乳中ではなく、ダイエットまたは食事制限をしておらず、定期的な運動プログラムを行っていなかった (試験の直前または試験の最中)。
【0059】
ベースラインにおいて各対象は技術責任者により行われる外観検査を受けた。
【0060】
右太股および左太股を処置された対象を「対照」とみなした。
【0061】
被験部位は注意深く境界を定めて、続く評価が確実に同じ被験領域に行われるようにした。
【0062】
以下の尺度にしたがって病院に訪れる度に、被験部位は訓練を受けた観察者によって調べられ、セルライトの程度についてスコア付けされた: 0=目視可能なセルライト無し; 1=非常にわずかな目視可能なセルライト、でこぼこ無し; 2=目視可能なセルライト、浅いでこぼこ有り; 3=容易に目視可能なセルライト、中程度から顕著なでこぼこ; 4=極端な目視可能なセルライト、激しく深いでこぼこ。
【0063】
対象は実施例 1のゲルを用いて、1日2回朝および晩に6 週間塗布を行うよう指導された。
【0064】
対象には自宅で使用するための被験物質を3週間分与え、試験期間中にセルライトを処置する新しい物質が混入するのを避けるために通常用いている抗-セルライト製品の使用をやめるように指示され、ダイエットまたは食事制限または定期的な運動プログラムを試験の直前または試験の最中に行わないように指示された。各対象はまた、順守を記録するよう日記をつけるよう指示された。3週間の物質の使用後、対象は被験部位の目視評価のために実験室に戻った。
【0065】
さらに3週間分の被験物質および新しい日記が各対象に配布された。2回目の3週間の物質の使用後(6週間後)、対象は最後の目視評価のために研究室に戻った。
【0066】
セルライト評価はCosmetics & Toiletries、61-70、June 1995に記載の方法にしたがって、右太股と左太股を比較することによって行った。
【0067】
処置期間の間にいずれの対象も有害事象、例えば、痒みおよび/または赤みを報告しなかった。
【0068】
得られた結果を表1に報告する。
【0069】
表1
6週間塗布の後のセルライト状態の変化
【表1】

【0070】
上記結果はプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドを含む組成物が有効にセルライト状態を改善したことを示す。
【0071】
pH を4.5-5に調整した(プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドを含まない)実施例 1の粉末を用いて得られたゲルに同じ量のL-リジンおよびグリシンが含まれるゲル基材の使用によっては、セルライト 状態の改善は示されなかった(データ示さず)。
【0072】
実施例 4
しわの外観を軽減するためのプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドの局所塗布
ゲルの試験に対象として20名が参加した。各対象はゲルを彼/彼女の眼のまわりのしわに用いるよう指示され、プロトコールは1部分塗布とするよう指示された。本発明のゲルの塗布の前後の対象の顔のしわの測定をするよう専門家を配置した。この専門家は紙片上に2つの楕円を描画した。代表的な描画を迅速に対象のしわおよび小じわ(fine lines)について行った。
【0073】
実施例 1のゲルを右眼領域に、1日2回、朝および晩、7日間の処置中、塗布した。1週間の処置の最後に、ゲルの最後の塗布の5分後に、皮膚の外観の二度目の描画を行った。
【0074】
ゲルは皮膚の外観に顕著な変化をもたらした。
【0075】
実施例 1の粉末を用いて得たゲルに同じ量のL-リジンおよびグリシンを含み、pHを4.5-5に調整したゲル基材(プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドを含まない) の使用によっては、皮膚の外観の改善は示されなかった。
【0076】
被験対象により有害作用は報告されなかった。
【0077】
実施例3および4に報告する結果は、本発明の化合物の使用がセルライトおよびしわの予防処置に有用であることを示し、観察された改善の程度は上記のように処置期間の関数であった。これは、処置が、皮膚の真皮に有益に作用することにより改善された皮膚基礎構造を与えたことを強く示唆する。
【0078】
Noveon、Inc.はカルボポール(登録商標) ポリマーを美容業界に1950年代半ばに上市した。
【0079】
式 (I)を有するL-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンとアミノ酸の塩は公知の化合物であり、およびその調製方法は US 6,703,042に記載されている。
【0080】
セルライトの予防または処置のための式 (I)のL-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンとアミノ酸の塩の局所使用は以前になんら開示されていない。
【0081】
本発明による美容用組成物は、美容分野の当業者によく知られた活性成分から構成されており、既にその使用およびその毒物学的プロファイルは知られている。
【0082】
それゆえ、それらは長い間市場にあった製品であるため、その入手は非常に容易であり、ヒトへの塗布について好適な段階に達している。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、17.5 mL の水を3 gr の実施例 1の固体に添加することによって得られる実施例 1のゲルの挙動を示す。この図において、変形速度γ(剪断速度)が上昇すると粘度が低下し、典型的な非ニュートン流動挙動であることが示される。
【図2】図2は、10 mLの水を1.7 grの実施例 2の固体に添加することによって得られる実施例 2のゲルの挙動を示す。この場合においても、変形速度γ(剪断速度)が上昇すると粘度が低下し、典型的な非ニュートン流動挙動であることが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む固体粉末:
a)ゲルを形成するカルボキシビニルポリマー;
b)界面活性剤;および、
c) 以下を含む群から選択される少なくとも1つの活性成分:
- 微小循環をサポートする物質;
- 脂肪分解を活性化する物質;
- 抗炎症性化合物;
- 皮膚美白化合物;
- 抗酸化剤および抗しわ化合物;
-一般的な抗セルライト剤の皮膚浸透および有効性を改善する物質;
- 必須脂肪酸 (EFA);
- 日焼け止め; または、
-式 (I)を有するL-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンとアミノ酸との塩:
【化1】

(I)
[式中:
Rは、水素、またはアセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルおよびイソバレリルからなる群から選択される2-5の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルカノイル基; および、
Yは、以下からなる群から選択されるタンパク質に存在するアミノ酸のアニオン: ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、アルギニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラニン、スレオニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニンおよびトリプトファン;
アニオン Y-は、アミノ基において、好ましくはヒドロハロゲン酸、例えば、塩酸、またはリン酸によって塩化されていてもよい]。
【請求項2】
以下を含むゲル:
a)カルボキシビニルポリマー;
b)界面活性剤; および、
c)以下を含む群から選択される少なくとも1つの活性成分:
- 微小循環をサポートする物質;
- 脂肪分解を活性化する物質;
- 抗炎症性化合物;
- 皮膚美白化合物;
- 抗酸化剤および抗しわ化合物;
- 一般的な抗セルライト剤の皮膚浸透および有効性を改善する物質;
- 必須脂肪酸 (EFA);
- 日焼け止め;または、
-式 (I)を有するアルカノイル L-カルニチンとアミノ酸との塩:
【化2】

(I)
[式中:
Rは、水素、または、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルおよびイソバレリルからなる群から選択される2-5の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルカノイル基;および、
Yは、以下からなる群から選択されるタンパク質に存在するアミノ酸のアニオン: ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、アルギニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラニン、スレオニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニンおよびトリプトファン;
アニオン Y-は、好ましくは、ヒドロハロゲン酸、例えば、塩酸、またはリン酸によってアミノ基にて塩化されていてもよい]。
【請求項3】
カルボキシビニルポリマーがカルボポールである、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル。
【請求項4】
界面活性剤が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル: ドデシル硫酸ナトリウム; アミノ酸に基づくカチオン性界面活性剤、またはアミノ酸に基づく非イオン性界面活性剤。
【請求項5】
活性成分が、水または溶液中で安定ではない化合物である、請求項1の固体粉末。
【請求項6】
微小循環をサポートする物質が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル:イチョウ、ルスカス、シナガワハギ、アカブドウまたはガマズミの抽出物。
【請求項7】
脂肪分解を活性化する物質が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル:カキドウシ、アンゼリカの根、グアラナの抽出物、またはキサンチン塩基の抽出物、例えば、カフェイン、テオブロミンおよびテオフィリン。
【請求項8】
抗炎症性化合物が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル: ロスマリン酸、グリチルリジン酸誘導体、アルファビサボロール、アズレンおよびその誘導体、アシアチコシド、セリコシド、ルスコゲニン、エスシン、エスコリン、ケルセチン、ルチン、ベツリン酸およびその誘導体、カテキンおよびその誘導体。
【請求項9】
皮膚美白化合物が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル: フェルラ酸、ハイドロキノン、アルブチン、およびコウジ酸。
【請求項10】
抗酸化剤および抗しわ化合物が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル: レチノールおよびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、サリチル酸およびその誘導体。
【請求項11】
一般的な抗セルライト剤の皮膚浸透および有効性を改善する物質が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル:乳酸、グリコール酸、マンデル酸およびそれらの混合物を含むモノカルボン酸。
【請求項12】
必須脂肪酸 (EFA) が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル: リノール酸、ガンマ-リノレン酸、ホモ-ガンマ-リノレン酸、コランビニン酸、エイコサ-(n-6,9,13)-トリエン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、ヘキサエン酸およびそれらの混合物。
【請求項13】
日焼け止めが以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル: PABAおよびその誘導体、ケイ皮酸およびベンゾフェノン誘導体、例えば、オクチルメトキシ-ケイ皮酸および2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノン。
【請求項14】
式 (I)を有するL-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンとアミノ酸との塩が以下を含む群から選択される、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル: アセチル L-カルニチン L-イソロイシネートヒドロクロリド、プロピオニル L-カルニチン L-ロイシネートヒドロクロリド、L-カルニチン L-バリネートホスフェート、アセチル L-カルニチン L-システイネートヒドロクロリド、アセチル L-カルニチン L-アルギネートジヒドロクロリド、アセチル L-カルニチン L-グルタミネート ヒドロクロリド、アセチル L-カルニチン L-アスパラギネート ヒドロクロリド、アセチル L-カルニチン グリシネート ヒドロクロリド、アセチル L-カルニチン L-アラニネート ヒドロクロリド、アセチル L-カルニチン L-スレオニネート ヒドロクロリド、アセチル L-カルニチン L-セリネート ヒドロクロリド、プロピオニル L-カルニチン L-プロリネート ヒドロクロリド、L-カルニチン L-ヒスチジネート ヒドロクロリド、L-カルニチン L-メチオネート ヒドロクロリド、プロピオニル L-カルニチン L-フェニルアラニネート ヒドロクロリド、およびアセチル L-カルニチン L-トリプトファネート ヒドロクロリドまたはプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリド。
【請求項15】
活性成分がプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドである、請求項1の固体粉末または請求項2のゲル。
【請求項16】
以下の工程を含む、請求項 1の粉末の調製方法:
a)水または溶液に、ゲル化剤、界面活性剤および美容用の1以上の活性成分を溶解し、pHを4.0〜6.0に維持し、ゲルを調製する工程;
b) そうして得られたゲルを単一用量に分割し、バイアルに入れる工程;
c)粉末を得るために、工程 b)のバイアルを凍結乾燥する工程; あるいは工程a)のゲルを直接噴霧乾燥手順に供し、そうして得られた粉末を好適な量にてバイアルに入れる工程。
【請求項17】
pHを無機または有機酸または塩基を用いて制御する、請求項 16 の方法。
【請求項18】
塩基が以下を含む群から選択される、請求項 17の方法: 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはリジン、アルギニン、ヒスチジンまたはオルニチンから選択される塩基性アミノ酸。
【請求項19】
請求項1または2の粉末またはゲルを含み、所望により美容的に許容される1以上の賦形剤および/または希釈剤を含む、美容用組成物。
【請求項20】
活性成分としてプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドを含み、そして所望により少なくとも1つのさらなる活性成分、および/または美容的に許容される賦形剤および/または希釈剤を含む、美容用組成物。
【請求項21】
賦形剤および/または希釈剤が以下を含む群から選択される、請求項19または20の美容用組成物: 増粘剤; 保存料; シリコンポリマー; 軟化剤; 水; 着色料; 乳白剤; 芳香剤。
【請求項22】
さらなる活性成分が以下を含む群から選択される、請求項 20の美容用組成物:
- 微小循環をサポートする物質;
- 脂肪分解を活性化する物質;
- 抗炎症性化合物;
- 皮膚美白化合物;
- 抗酸化剤および抗しわ化合物;
- 一般的な抗セルライト剤の皮膚浸透および有効性を改善する物質;
- 必須脂肪酸 (EFA);
- 日焼け止め。
【請求項23】
セルライトおよびしわから選択される皮膚の障害の予防または処置に有用な美容用組成物の調製のための、請求項1または2の固体粉末またはゲルの使用。
【請求項24】
セルライトおよびしわから選択される皮膚の障害の予防または処置に有用な美容用組成物の調製のための、活性成分がプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドである、請求項1または2の固体粉末またはゲルの使用。
【請求項25】
プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドが、0.5 〜35重量%、好ましくは5 〜25重量%、より好ましくは 7.5 〜15重量%の量で存在する、請求項 24の使用。
【請求項26】
プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドが10重量%の量で存在する、請求項 25の使用。
【請求項27】
セルライトおよびしわから選択される皮膚の障害の予防または処置に有用な美容用組成物の調製のための、プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドの使用。
【請求項28】
プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドが、0.5〜45重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%の量で存在する、請求項 27の使用。
【請求項29】
プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドが20重量%の量で存在する、請求項 28の使用。
【請求項30】
プロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドを含む美容用組成物が、ビン、非変形性ビンまたは絞り容器、例えば、チューブまたはふたつきジャー、ロールボールアプリケーター、カプセル、パッチ、高圧推進エアロゾル装置または指で取るのに好適なポンプを備えた容器に梱包された、ローション、液状クリーム、クリームまたはゲルの形態におけるものである、請求項 27 の使用。
【請求項31】
請求項 1の粉末を含み、そして別々に、同じまたは異なる容器中に、水または液体溶液を含む、キット。
【請求項32】
請求項 1の粉末を含み、そして別々に、同じまたは異なる容器中に、水または液体溶液を含み、そして活性成分がプロピオニルL-カルニチングリシネートヒドロクロリドである、キット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−532509(P2009−532509A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513634(P2009−513634)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054574
【国際公開番号】WO2008/138393
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】